不完全な寛骨臼用の延長部を備える一体寛骨臼カッププロテーゼ
寛骨の不完全な股関節臼のための一体カッププロテーゼは、カップ部分、およびカップから延びる1対の隣接するねじ保持部材を有する。第2対のねじ保持部材は、好ましくは、患者の左または右いずれの寛骨臼内でもプロテーゼを使用することができるように向けられた、第1および第2対のねじ保持部材を備える。ねじ保持部材は、単一フランジ上に形成することができる。ねじ保持部材は、カップの周縁に対して、一定に傾斜し、オフセットする。各ねじ保持部材は、ねじ穴の軸が1つの次元でカップ部分の軸に向かって収束し、第2の次元でカップ部分の軸に対して傾くように、周縁に対して傾斜したねじ穴を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年9月15日出願の係属中の米国特許出願第10/941,210号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、整形外科用人工インプラントに関し、より具体的には、特に、股関節異形成または変形性関節症において見られるタイプなど不完全な寛骨臼の治療のために構成された、寛骨臼カッププロテーゼに関する。
【背景技術】
【0003】
従来の寛骨臼カッププロテーゼは、カップ部分および別個の軸受挿入体を含む2部品構造を用いる。カップは、カップの壁部を通り寛骨臼の骨内へと直接貫通する、1つまたは複数のねじによって寛骨臼内に固定される。カップが固定されると、軸受挿入体が、カップ内に設置される。カップの移動または緩みを防止するために、寛骨臼は、正確な嵌合およびより深いポケットをカップに提供する目的で、カップへの挿入前にリーミングされる。安定性をさらに向上させるために、カップは、欠損部の最も広い部分に広がるのに十分大きい直径で選択される。カップはまた、プレスフィット連結が実現されるよう、リーミングされた寛骨臼の直径よりもわずかに大きい直径を有するように選択することができる。ただし、より大きいカップは通常、小さいカップよりもリーミングをより多く必要とし、その結果、疾患を有する骨と同様、生存可能な骨も除去される。
【0004】
寛骨臼カッププロテーゼは、欠陥を有する寛骨臼壁または不完全な骨に伴う欠損を含めて、様々なタイプの寛骨臼欠損を補正するために使用される。1つのタイプの寛骨臼欠損は、先天性股関節異形成である。先天性股関節異形成では、寛骨臼の周縁部分が最小限であることがあり、寛骨臼は、正常なものよりも浅い。カッププロテーゼを浅い寛骨臼内に安定化させることは、リーミングしまたはねじをねじ込むために利用することができる骨がほとんどないため、困難である。
【0005】
その他の不完全な寛骨臼状態は、異形成で遭遇するものと同様の問題を呈することがある。股関節再置換では、1次プロテーゼの緩み、または骨セメントの剥離によって、寛骨臼の欠損が生じることが多い。感染症により、寛骨臼の変形または欠損をもたらす、骨の損失が生じることがある。骨折後に、寛骨臼が、変形した形状で治癒することがある。こうしたそれぞれの状況では、リーミングを最小限に抑え、利用できる穿孔可能な骨を、プロテーゼを固定するために最大限に使用することが望ましい。
【0006】
従来のプロテーゼは、正しいリーミングおよびねじのねじ込みを可能にするのに十分な骨が存在しない、異形成において遭遇するものなど不完全な股関節内での、確実な固定を提供しない。従来技術のカップに固有の問題は、直接カップを通して寛骨臼内へと固定する以外は、固定に提供される能力が制限されていることである。この問題を克服するために、カップを利用可能な骨に固定するために使用するための延長部分を有する、カップを提供するための試みがなされてきた。
【0007】
従来技術は、先天性股関節異形成において遭遇するタイプなど不完全な寛骨臼内に、カップを固定するために使用するための周縁延長部を備える、2部品の寛骨臼カッププロテーゼを含む。米国特許第5,702,477号、(Capelloら)、米国特許第5,931,870号(Cucklerら)、米国特許第6,162,257号(Gustiloら)参照。これらの装置は、カップを寛骨臼に直接固定することができ延長部分を周囲の骨に直接固定することができるように、カップ部分および延長部分の両方にねじ穴を備え、不完全な骨状態においてもプロテーゼの安定性を高める。
【0008】
米国特許第4,801,300号(Kurzeら)は、2部品の股関節プロテーゼの、異形成股関節を治療する能力における限界を認識していた(コラム1、41〜42行目)。この欠陥を克服するために、Kurzeらは、インプラントねじによる係留のための穿孔フランジリングを備える、単一部品の股関節ソケットを提案した。フランジは、股関節ソケットの周囲の少なくとも3分の2を覆う。フランジは、装置を骨上に固定するためのねじを受けるために、少なくとも4つの均等に分布する穿孔を有する。穴は、ねじ切りされていない。Kurzeらは、まず、生体適合性および機械的安定性を向上させるために、表面加工に注目した。Kurzeらは、ソケットがねじによってどのように固定されるかを議論していない。Kurzeらの欠点は、いくつかの不完全な骨状態にある利用できる穿孔可能な骨内への、ねじの角度付けを行わないことである。
【0009】
図1は、特に異形成寛骨臼の治療用に設計された、従来の寛骨臼カッププロテーゼを示す。図1Aおよび図1Bに示すように、従来技術のカップは、カップの外面から延びる1対のタブを有する。各タブは、カップを寛骨臼内に固定するのに使用するねじ切りされたねじを受けるための、ねじ切りされた穴を備える。図1Aおよび図1Bに示すように、タブは、カップの周縁と同じ平面内に延び、すなわち、カップの軸と直交する。図1Aおよび図1Bに示すように、各ねじ穴の軸は、カップの軸と平行である。図1の寛骨臼カップの1つの利点は、それが線対称構成を有し、したがって左または右股関節のいずれにおいても使用することができることである。ただし、図1の寛骨臼カップの欠点は、異形成において遭遇するものなどいくつかの不完全な骨状態にある利用できる穿孔可能な骨を最大限に使用しないやり方で、ねじの向きが決められることである。
【0010】
従来技術は、図10A〜図10Bに示すタイプの3つ穴カップを備える。図10A〜図10Bに示す3つ穴カップには、いくつかの欠点がある。図10Bに示すように、フランジ部分は、フランジの頂部が周縁と同じ高さとなり、フランジの底部が周縁より低くなるように、カップの周縁から外側に延び出る。フランジは、わずかな傾斜を有する。従来技術のフランジの頂部および底部は、平坦である。従来技術のフランジの穴は、三角形の方位で配列され、これによって長いフランジがもたらされる。上記特徴によって、従来技術の3つ穴インプラントを、寛骨臼の輪郭へと向けることが困難になる。さらに、従来技術フランジの穴の軸は、カップの軸と平行に向けられ、これによって、特に不完全な寛骨臼内で、インプラントを十分に前傾させて係留することが困難になる。
【0011】
英国特許出願第2,347,864号(Paling)は、従来の寛骨臼カップを異形成用カップへと変形するために使用することができる、取外し可能な取付け部材を開示する。Paringの主な目的は、従来のカップを使用するか、カップを異形成用カップに変換するかを、外科医が術中に決定することを可能にすることである。この目的を実現するために、Palingは、寛骨臼カップの周縁上に着脱式に取付け可能であり、ねじを受けるための穴を有する1つまたは複数の一体フランジを備える、環状部分を開示する。ねじによってカップにかけられる結果的なモーメントを打ち消すために、環状部分は、好ましくは、直径方向に対向する2つのフランジを備える。さらに、2つのフランジは、好ましくは、環状部分に対して傾斜する。フランジ角度は、20°の下方傾斜であり、または環状部分の下面からほぼ20°である。Palingによれば、角度付けによって、リングが寛骨臼カップ上に作用するときにより大きい締付け力をかけることが可能になる。ただし、Palingの図4が示すように、穴の軸は、カップの軸と平行なままであり、すなわち骨内に傾斜したねじ切りを行わない。Palingは、カップ部分を寛骨臼内に従来のやり方で取り付け、次いで、環状部分上の突起がカップ部分の周縁内の凹部に係合するように、環状部分をカップ部分に取り付けることを開示する。次いでねじは、環状部分によって寛骨臼カップが定位置に固定されるように、穴を通って骨内へと進む。Palingの1つの欠点は、環状部分が薄い構造であり、したがって潜在的に故障しやすいことである。さらに、環状部分がカップ部分に固定されていないので、環状部分がカップから分離されまたは外れるという状況がある。さらに、Palingの角度付けされた変型でも、ねじは、いくつかの不完全な股関節状態にある、利用できる穿孔可能な骨を最大限に使用するように傾斜しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、以下の特徴および従来技術に勝る利点を有する、寛骨臼カッププロテーゼが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一目的は、異形成股関節など不完全な股関節内での確実な埋込みを提供するように構成された、寛骨臼カッププロテーゼを提供することである。
【0014】
本発明の一目的は、改善された安定性を提供するために、不完全な股関節内の利用可能な骨を最大限に使用する寛骨臼カッププロテーゼを提供することである。
【0015】
本発明の一目的は、欠損部を取り囲む良好な骨の過剰なリーミングを必要とせずに、不完全な寛骨臼内のカップの嵌合および安定性を特別に作り出す、寛骨臼カッププロテーゼを提供することである。
【0016】
本発明の一目的は、患者の右または左いずれの寛骨臼内でも使用することができるカッププロテーゼを提供することによって、目録を減らすことである。
【0017】
本発明のさらなる目的は、本発明のカップを設置するために使用することができる、万能なドリル案内部を提供することである。
【0018】
上記目的および利点は、患者の寛骨の不完全な寛骨臼内で使用するための、カップ部分と患者の寛骨にプロテーゼを取り付けるのに使用するために向けられた1対の隣接するねじ保持部材とを有する、一体寛骨臼カッププロテーゼを提供することによって獲得することができる。カップ部分は、軸および上部周縁を有するほぼドーム状の壁を有する。壁の内側軸受面は、股関節プロテーゼの大腿骨頭に枢動式に係合するように構成される。各ねじ保持部材は、ドームの外面から、ほぼ周縁に沿って延びる。ねじ保持部材は、ねじ保持部材が周縁に対して一定に傾斜し、周縁に対して一定にオフセットするように、カップ部分と一体に形成される。ねじ保持部材は、プロテーゼを患者の股関節の片側に埋込むことを容易にするために、互いに協力的な関係に向けられる。各ねじ保持部材は、それを貫通するねじ穴を有する。各ねじ穴は、ねじ穴の軸が、1つの次元(dimension)でカップ部分の軸に向かって収束し、ねじ穴の軸が第2の次元でカップ部分の軸に対して傾くように、周縁に対して一定に傾斜する。プロテーゼの在庫品目を減らすために、第1の一対のねじ保持部材、及び、第2の一対のねじ保持部材が、患者の左または右いずれの寛骨臼内でもプロテーゼを使用することができるように向けられた状態で、第2の一対のねじ保持部材を設けることができる。
【0019】
1つの好ましい実施形態では、第1対および第2対のねじ保持部材が、単一フランジ上に形成される。フランジは、ドームの外面から、周縁の一部にほぼ沿って延びる。フランジは、カップ部分と一体に形成され、周縁に対して傾斜する。第1対のねじ保持部材は、患者の左股関節内に装置を埋込むことを容易にするために、相互に協働関係となるように固定される。第2対のねじ保持部材は、患者の右股関節内に装置を埋込むことを容易にするために、互いに協力的な関係で、しかし、第1の一対のねじ保持部材と傾いた関係で固定される。第1および第2の一対のねじ保持部材は、好ましくは、ギザギザ関係で配列される。
【0020】
好ましい一実施形態では、フランジ部材は、上部周縁の一部に沿って上向きに延びる基部を有する。基部は、フランジ部材の一部を周縁の上方に持ち上げるように働き、それによって、患者の寛骨臼に対するインプラントの適合性が増す。基部から、ほぼ平坦なねじ保持部分が延びる。ねじ保持部分は、ねじ保持部分の下面の少なくとも外側部分が上部周縁の下方に配置され、ねじ保持部分の上面が上部周縁の上方に配置されるように、基部から傾斜する。ねじ保持部分は、それを貫通して形成される、第1のねじ穴、第2のねじ穴、および中立ねじ穴を有する。中立ねじ穴は、第1および第2のねじ穴の間に配置される。第1のねじ穴、中立ねじ穴、および第2のねじ穴は、ねじ穴の軸が、フランジ部材の幅側にほぼ沿って見た第1の次元でカップ部分の軸に向かって傾斜するように、周縁に対して一定に傾斜する。第1および第2のねじ穴の軸はまた、フランジ部材の長さ側にほぼ沿って見た第2の次元で、カップ部分の軸から外側にオフセットする。中立ねじ穴の軸は、中立ねじ穴を第1または第2のねじ穴のいずれかと共に使用することができるように、第2の次元でカップ部分の軸にほぼ平行となる。第1のねじ穴、第2のねじ穴、および中立ねじ穴は、カッププロテーゼを患者の左または右いずれの股関節内で使用することも可能になるように、互いに十分近接して離間される。
【0021】
外科用キットなどキットフォーマット内に、インプラントを提供することができる。好ましい実施形態では、キットは、1組の様々なサイズのインプラントと、ドリル案内部とを備える。別の好ましい実施形態では、キットは、1組の様々なサイズのインプラントと、融合されたねじ山を有する1組のねじとを備える。
【0022】
本発明の、上記およびその他の目的、特徴、態様、および利点は、添付の図面と関連付けて考慮するとき、本発明の以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
好ましい実施形態の以下の詳細な説明において、本明細書の一部を形成し、本発明をその中で実施することができる具体的な実施形態の例として示される、添付の図面を参照する。本発明の範囲から逸脱することなく、その他の実施形態を使用することができ、構造的な変化を加えることができることを理解されたい。
【0024】
図2に示すように、本発明は、患者の股関節の不完全な寛骨臼内で使用される、一体寛骨臼カッププロテーゼ1である。プロテーゼ1は、カップ部分10を備える。図2Bに示すように、カップ部分10は、軸Aおよび上部周縁18を有する、ほぼドーム形状の壁10を有する。図2Aに示すように、壁10の軸受面12は、当業者に周知の方法で、大腿股関節プロテーゼの大腿骨頭に枢動式に係合するように構成される。図2Bに示すように、ドーム10の外面14は、当業者に周知の方法で、少なくとも部分的に患者の寛骨臼内に存在するようにサイズ決めおよび構成される。
【0025】
図2に示すように、1対の第1および第2のねじ保持部材51、52が、プロテーゼを患者の股関節に取り付けるのに使用するために設けられる。図2Bに示すように、各ねじ保持部材はそれぞれ、ほぼ周縁18に沿って、ドーム10の外面14から延在している。図2Cに示すように、ねじ保持部材51、52は、各ねじ保持部材51、52のそれぞれが周縁18に対して一定に傾斜するように、カップ部分10と一体に形成される。傾斜の向きは、図2Cで、線または平面の「I」を基準にして示される。図2Cに示すように、傾斜によって、ねじ100を、カップ部分10の外面14に可能な限り近付けて、異形成股関節内の穿孔可能な骨を最大限に使用する向きで配置することが可能になる。さらに、図2Bにさらに示すように、ねじ保持部材51、52は、周縁18に対して一定にオフセットすることができる。オフセットの方向は、図2Bで、線または平面の「O1」および「O2」を基準にして示される。図2Bおよび図2Cに示すように、ねじ保持部材51、52は、患者の股関節の片側にプロテーゼ1を埋込むことを容易にするために、相互に協働関係となる方向に配置されている。
【0026】
好ましい実施形態では、各ねじ保持部材51、52が、周縁18に対して約10°から約25°の間の角度をもって傾斜する(図2C参照)。最も好ましい実施形態では、各ねじ保持部材51、52が、周縁18に対して約20°の角度で一定に傾斜する。好ましい実施形態では、各ねじ保持部材51、52が、周縁18に対して約10°から約25°の間の角度で、オフセットしている(図2B参照)。最も好ましい一実施形態では、各ねじ保持部材51、52が、周縁18に対して約20°の角度で、一定にオフセットしている。
【0027】
図2B、図2C、および図2Dに示すように、各ねじ保持部材51、52は、該部材を貫通するねじ切りされた穴55、56を有する。各ねじ切りされた穴55、56は、1つの次元では、ねじ切りされた穴の軸(TI)がカップ部分の軸(A)に向かって収束するように(図2C参照)、かつ、第二の次元では、ねじ切りされた穴の軸(TO1;TO2)がカップ部分の軸(A)に対して傾くように(図2B参照)、周縁18に対して一定に傾斜している。
【0028】
図2、図3、および図4に示すように、ねじ保持部材51、52は、穿孔可能な骨の領域内での係留を最大限にするために、互いに隣接する。ねじ保持部材51、52は好ましくは、周縁18の外周に沿った、約30°から約60°の間の弧に沿って延びる。2組のねじ保持部材51、52、61、62が設けられる場合(以下でさらに詳細に議論する)、ねじ保持部材51、52、61、62は、好ましくは、周縁18の外周に沿って約90°未満の弧を占め、好ましくは約75°である。また図2Bに示すように、ねじ保持部材51、52は、好ましくは、約10mmなど選択された距離(またはプロテーゼのサイズに応じて約15°から25°の間の弧)離間している。ねじ穴55、56を離間させることによって、プロテーゼを寛骨臼内に埋め込むときに、カップ1により高い安定性がもたらされる。ただし、穿孔可能な骨の非常に小さい領域のみが利用可能な状況では、互いに直接隣接するねじ保持部材51、52を有することが好ましいことがある。さらに強度を高めるために、第1および第2のねじ保持部材51、52を、図3に示すような方法で互いに接合することができる。
【0029】
図2Bに示すように、ねじ保持部材51、52の間に協働した固定をもたらすために、ねじ保持部材を、互いにほぼ平行関係となる方向に配置することができる(線/平面O1を線/平面O2と比較せよ)。同様に、図2Bにも示すように、1対のねじ保持部材51、52のねじ切りされた穴55、56は、互いに平行関係とすることができる(ねじ/固定軸TO1およびTO2を比較せよ)。ねじ切りされた穴55、56がほぼ平行な向きであることによって、患者の寛骨臼内において約2つのほぼ平行な固定軸を固定することが可能になる。いくつかの不完全な股関節状態で、平行向きに配置することは、股関節内で遭遇する力に対するより大きい抵抗をもたらし、利用できる骨を最大限に使用することができる。ただし、多くの応用例で、ねじ100を、図2Eまたは図2Fに示すように互いに対して、相違した方向に、または相互に傾いた方向に、配置することが望ましいことがある。相違した方向に配置することは、ねじに対するより高い引抜き強度、および股関節内で遭遇する回転モーメントに対するより高い安定性をもたらす。相違した方向に配置するとは、外向きおよび内向き(技術的には収束)の向きを含む。図2Eに最も明確に示すように、相違した方向に配置することは、ねじ保持部材を、オフセットした次元、傾斜する次元、または好ましくは、オフセットした次元および傾斜する次元両方で、互いに対して傾いた関係に向けることによって実現することができる。いくつかの例では、相違した方向は、ほぼ、しかし精密にではなく、平行である。
【0030】
図2Cに示すように、ねじ保持部材51、52のねじ切りされた穴55、56の軸は、好ましくは、ねじ保持部材51、52の傾斜に対してほぼ直交する(傾斜したねじ/固定軸T1を傾斜した線/平面Iと比較せよ)。また、図2Bにさらに示すように、ねじ保持部材51、52の保持部材のねじ切りされた穴55、56の軸は、好ましくは、ねじ保持部材51、52のオフセットに対してほぼ直交する。
【0031】
図2に示す実施形態の1つの欠点は、ねじ保持部材51、52の協働した傾斜およびオフセットの向きにより、プロテーゼが、患者の股関節の片側でしか使用できないことである。本発明の一目的は、患者の左右いずれの寛骨臼でも使用することができるカッププロテーゼ1を提供することによって、在庫品目を減らすことである。この目的は、図4Aに示す実施形態におけるものなど(図3も参照)、第2の組のねじ保持部材61、62を設けることによって達成することができる。第2組のねじ保持部材61、62は、第1組のねじ保持部材51、52に関して上記で説明した向きおよび特徴を含む。ただし、図4Bに示すように、第2組のねじ保持部材61、62は、第1組のねじ保持部材51、52に対してほぼ反対または鏡像となる向きに固定される。図4Bに示す実施形態では、第1組のねじ保持部材51、52が互いに直接隣接し、第2組のねじ保持部材61、62が互いに直接隣接する。図4Cに示す実施形態では、第1および第2組のねじ保持部材は、ねじ保持部材の第1組51、52が、ねじ保持部材の第2組61、62と交互になる、ジグザグ関係である。図4Cに示すジグザグの実施形態の1つの利点は、それによって、各組の協働するねじ保持部材が、互いに離間されるが、周縁18に沿って占有される弧を最小限とすることが可能になることである。それぞれの場合に、第1の対のねじ保持部材51、52は、プロテーゼを患者の股関節の片側に埋込むことを容易にするために、互いに協働関係に向くように配置され、第2対のねじ保持部材61、62は、プロテーゼ1を患者の反対側の股関節に埋込むことを可能にするために、互いに協働関係に向くように配置されていることに留意されたい。このようにして、必要とされる在庫品目をへらすことができる。
【0032】
図3は、患者の右または左いずれの不完全な寛骨臼においても使用することができる、一体寛骨臼カップの好ましい一実施形態を示す。図3Aおよび図3Cに最も明確に示すように、フランジ40は、ドーム10の外面14から、実質的に周縁18の一部に沿って延びる。フランジ40は、カップ部分10と一体に形成される。図3Cに示すように、フランジ40は、周縁18に対して傾斜している。フランジは、好ましくは、周縁18に対して約10°から25°の間で傾斜する。図3に示す好ましい実施形態では、フランジ40は、周縁18に対して約20°傾斜する。
【0033】
図3Aに示すように、フランジ40は、プロテーゼを患者の寛骨に取り付けるのに使用するためにその上に形成された、ねじ保持部材の第1のねじ保持部材51、52および第2のねじ保持部材61、62を備える。ねじ保持部材51、52、61、62は、ねじ保持部材51、52、61、62が単一のフランジ40上で向きが決められる以外は、図2を参照しながら上記で説明した向きおよび特徴を備える。たとえば、図3Bに最も明確に示されるように、各ねじ保持部材51、52、61、62は、周縁18に対して一定に傾斜しており、また周縁18に対して一定にオフセットている。図3Aに示すように、各ねじ保持部材は、それを貫通するねじ切りされた穴55、56、65、66を有する。図3Cに示すように、1つの次元では、各ねじ切りされた穴55、56、65、66は、ねじ切りされた穴の軸が、図2Cを参照しながら上記で説明したようなやり方でカップ部分10の軸に向かって収束するように、周縁18に対して一定に傾斜する。同様に、図3Bに示すように、第2の次元では、各ねじ切りされた穴の軸が、図2Bを参照しながら上記で説明したようなやり方で、カップ部分の軸に対して傾斜している(ねじ切りされた線/軸T1、T2、T3、T4参照)。
【0034】
図3Bに示すように、第1の一対のねじ保持部材51、52は、互いにほぼ平行関係で固定され、第2の一対のねじ保持部材61、62もまた、互いにほぼ平行関係で固定される。図3Bに示すように、ねじ保持部材の第1の組51、52、および第2の組61、62は、プロテーゼを上記で説明したやり方で左または右の寛骨臼のいずれの上でも使用することができるように、互いに傾いた関係で固定される。図3に示す実施形態では、ねじ保持部材の第1対51、52および第2対61、62は、ジグザグ関係で、フランジ40によって必要とされる弧の角度を最小限に抑える構成に配列される。
【0035】
図3Bに示すように、第1の一対のねじ保持部材51、52のねじ穴55、56は、好ましくは、互いにほぼ平行関係である(ねじの線/軸T1およびT2を比較せよ)。同様に、第2の一対のねじ保持部材61、62のねじ穴65、66は、互いにほぼ平行関係である(ねじの線/軸T3およびT4を比較せよ)。図3Bに示すように、第1の一対のねじ保持部材51、52のねじ穴55、56は、第2の一対のねじ保持部材61、62のねじ穴65、66と傾いた関係であり、プロテーゼ1が患者の左または右いずれの寛骨臼上で使用されることも可能にする向きである。
【0036】
図3Cにさらに示すように、各ねじ保持部材51のねじ穴55の軸T1は、好ましくは、ねじ保持部材51の傾きIに対してほぼ直交する。図3Bに示すように、各ねじ保持部材51のねじ穴55の軸はまた、好ましくは、ねじ保持部材51のオフセットに対してほぼ直交する(ねじの線/軸T1、T2、T3、およびT4を、対応するねじ保持部材の下面と比較せよ)。
【0037】
図7Aおよび図7Bは、傾斜およびオフセットが、ねじ保持部材51、52の傾斜およびオフセットによってではなく、ねじ穴の傾斜およびオフセットのみによってもたらされる代替実施形態を示す。図7Bに示すように、本実施形態は、実質的に周縁18の平面内に、すなわちカップ10の軸Aに対して略垂直に延びた、直角に向けられたねじ保持部材52を用いる。図7Aおよび図7Bに示すように、上記で議論した様々なオフセットおよび傾斜角度を、この実施形態を用いて得ることができる。ただし、ねじ保持部材51、52は、所望の傾斜角度を得るために、さらに外側に突出しなければならない。垂直に向けられた保持部材51、52は、単一フランジ上に設けることができる。1対の直角に向けられた保持部材51、52、61、62もまた、単一フランジ40(図示せず)上に設けることもできる。傾斜した穿孔を有するオフセットさせた保持部材、またはオフセットさせた穿孔を有する傾斜した維持部材を設けることも可能である。さらに、上記で議論したねじの傾斜またはオフセット角度は、直角の、傾斜した、またはオフセットした保持部材と、適合可能に向けられたねじ孔との、選択的な組合せを用いて設けることができる。
【0038】
図1に示す従来技術の異形成用カップは、ほぼ均一のピッチの機械ねじ山(machine thread)を有するねじを用いる。図5A〜図5Bは、機械ねじ山と、ねじ保持部材51、52内に沈められるように構成された頭部102とを備える、本発明で使用するためのねじ100を示す。ねじの性能を向上させるために、ねじ100は、好ましくは、ねじ軸の末端部に沿った、骨内を最適にねじ切りするための海綿骨ねじ山(cancellous bone thread)など骨ねじねじ山(bone screw thread)106と、ねじ切りされた孔内に最適にねじ込むための、ねじ頭102に隣接する軸104の基端側の部分に沿った機械ねじ山とを備える(図5C〜図5D)。骨ねじ山106は、好ましくは、30°の末端側のピッチ、および3°の基端側のピッチを有する。軸の基端側部分104内のねじ山は、係止嵌合をもたらし、ねじ100がねじ穴から戻り出ることを防ぐために、ねじ孔のねじ山と密接に噛み合う。骨ねじ山106は好ましくは、ねじ100がカップ1の孔内へとねじ込まれるとき、骨ねじ山106がねじ孔を通ってねじ込まれるように、機械ねじ山104と融合される。本願では、「融合されたねじ山」とは、機械ねじ山104と骨ねじ山106が融合して、単一のねじ山を形成することを意味する。ただし、単一ねじ山は、自己穿孔またはタッピング特徴を提供するなどのために、その長さの一部に沿って非連続となりまたは中断される。ねじ100とねじ孔の係止をさらに向上させるために、二条ねじ山または不整合ねじ山係止手段を用いることができる。
【0039】
図3に示すカップ1の1つの欠点は、フランジ部材40が、特に小さいサイズのカップで、周縁18の外周に対して相対的に広いことである。フランジ40のサイズは、4つの穴ではなく3つの穴を用いることによって低減することができる。上記で議論したように、従来技術の3つ穴カップは、いくつかの欠点を有する。上記の問題は、図8A〜図8Gに示す一体寛骨臼カッププロテーゼ1の代替実施形態を用いて克服することができる。図8のプロテーゼは、カップ部分1を備え、カップ部分1は、軸およびほぼ平坦な上部周縁18を有するほぼドーム形状の壁10を備える。壁10の内部軸受面12は、股関節プロテーゼの大腿骨頭と枢動式に係合するように構成される。
【0040】
図8Aに示すように、フランジ部材40は、カップ部分1と一体に形成される。図8Eにおそらく最も明確に示すように、フランジ部材40は、上部周縁18の一部に沿って上向きに延びる基部42を有する。基部42は、フランジ部材40を周縁18の上方に持ち上げる働きをし、これによって、インプラント1の、患者の寛骨臼との適合性が高まる。ほぼ平坦なねじ保持部分44が、基部42から延びる。図8Eに示すように、ねじ保持部分44は、ねじ保持部分44の下面45の少なくとも外側部分が上部周縁18の下方に位置決めされ、ねじ保持部分44の上面46が上部周縁18の上方に位置決めされるように、基部42から傾斜する。
【0041】
図8Bに示すように、ねじ保持部分44は、第1のねじ穴55、第2のねじ穴65、およびそれを貫通して形成される中立ねじ穴57を有する。中立ねじ穴57は、第1および第2のねじ穴55、65の間に配置される。図8Aに示すように、第1のねじ穴55、中立ねじ穴57、および第2のねじ穴65は、ねじ穴55の軸TIがカップ1部分の軸に向かって、フランジ部材40の幅側にほぼ沿って見られる第1の次元で傾斜するように、周縁18に対して一定に傾斜する。図8Dに示すように、第1および第2のねじ穴55、56はまた、フランジ部材40の長さ側にほぼ沿って見られる第2の次元で、カップ部分1の軸Aから外側にオフセットしている。ただし図8Dに示すように、第2の次元では、中立ねじ穴57の軸は、カップ部分1の軸とほぼ平行である。このような向きにより、中立ねじ穴57は、第1および第2のねじ穴55、65のどちらとも共に使用することができる。第1の、第2の、および中立ねじ穴55、57、65は、カッププロテーゼ1を患者の左または右いずれの股関節においても使用することが可能となるように、互いに十分に近接して離間して配置される。
【0042】
好ましい実施形態では、フランジ部材40のねじ保持部分44は、上部周縁18に対して約15°〜約25°の間の角度で、最も好ましくは上部周縁18に対して約20°の角度で、一定に傾斜する。図8Aに示すように、ねじ穴55、57、65それぞれの軸は、好ましくは、フランジ部材40の傾斜に対して、第1の次元でほぼ直交する。図8Aにさらに示すように、第1、第2、および中立の、ねじ穴55、57、65の軸は、第1の次元で互いに実質的に平行である。第1および第2のねじ穴55、65それぞれの軸は、好ましくは、中立ねじ穴57の軸から、第2の次元で約15°から25°の間の角度で、最も好ましくは、第2の次元で約20°の角度で離れる。図8Bに示すように、第1、第2、および中立の、ねじ穴55、57、65は、好ましくは、フランジ部材40のねじ保持部分44に沿って径方向に、カップ部分1の軸からほぼ等距離で配列される。図8Bに示すように、フランジ部材40は、好ましくは、カップ1の上部周縁18の約60°未満の弧に沿って延びる。第1および第2のねじ穴55、65は、好ましくは、中立ねじ穴57から約20°径方向に離間している。
【0043】
図8Eに示すように、フランジ部材40のねじ保持部分44の上面46は、好ましくは平坦である。上面46が平坦であることによって、プロテーゼの製造、ならびにカップ1の埋込み時の機器使用が容易になる。図8Gに示すように、フランジ部材40のねじ保持部分44の下面45は、湾曲した輪郭を有する。好ましい実施形態では、下面45の湾曲した輪郭は、円錐の断面である。輪郭が湾曲していることによって、プロテーゼの製造および機器使用が容易になり、また、骨に対するプロテーゼの適合性が高まる。
【0044】
図8のカップは、左および右いずれの股関節内でも使用することができるという意味で万能であり、これによって、外科用キットなどにおける在庫品目が減へる。図8のカップ1を埋込む場合、中立ねじ穴57および前方に向けられた第1または第2のねじ穴55、65が、カップ1を患者の寛骨臼内に固定するために使用される。後方に向けられた第1または第2のねじ穴55、65は、通常使用されない。すなわち、右股関節に埋込まれる場合、中立ねじ穴57および第1の穴55が使用される。左股関節に埋込まれる場合、中立ねじ穴57および第2のねじ穴65が使用される。
【0045】
インプラント1は、好ましくは、プロテーゼ1の、患者の寛骨臼内への埋込みを助けるために、さらなる特徴を備える。図8Bに示すように、フランジ部材40は、カップ10本体の上部周縁18がインパクタ(impactor)空間内へと延びそれを満たすように、インパクタ機器の一部を受け入れるためのインパクタ空間26を備えることができる。図8Aおよび図8Bに示すように、カップ1の本体はまた、周縁18およびドーム10の外面14を貫通して形成される、複数のインパクタノッチ20を備えることができ、各インパクタノッチは、関連するインパクタタブ22を有する。インパクタノッチ20および関連するインパクタタブ22は、インパクタ機器によりプロテーゼを選択的に係合させるように構成される。
【0046】
ねじ穴55、57、65は、ドリル案内部200を受けそれを位置合せするための、浅いカウンタボアを備えることができる。ねじ穴55、57、65はまた、保持ねじ100の頭部102を少なくとも部分的に、ねじ保持部材51、52内に沈めることが可能になるように構成される。
【0047】
カップ1の埋込みをさらに助けるために、図9A〜図9Eに示すタイプのドリル案内部200を設けることができる。ドリル案内部200は、ねじ穴が、カップ1のフランジ部材40のねじ保持部分44のねじ穴と軸方向に位置合せされるように、ねじ穴を患者の寛骨内へと穿孔するのに使用するために構成される。図9Bに示すように、ドリル案内部200は、フランジ部材40のねじ保持部分44の上面46に重なるように構成された、プレート201を備える。プレート201は、ねじ保持部分44の第1および第2のねじ穴と軸方向に位置合せされた外側ドリル案内孔210と、ねじ保持部分44の中立ねじ穴57と軸方向に位置合せされた中立ドリル案内孔220と、ねじ保持部分44の第1および第2のねじ穴と軸方向に位置合せされる固定ねじ孔230とを有する。図9Aに示すように、ドリル案内部200が、外側固定ねじ孔230内に配置され第1または第2のねじ穴55、65のいずれかにねじ込まれた固定ねじ250によって、ねじ保持部分44の上面46に選択的に固定される場合、外側ドリル案内孔210および中立ドリル案内孔220は、ねじ保持部分44のねじ穴を通り患者の股関節内へとねじ穴を穿孔するのに使用されるように、位置決めされる。
【0048】
カップ1が股関節内で前傾する場合、第1および第2のねじ穴の相違した向きによって、後方に向けられた第1または第2のねじ穴55、65を使用することが、困難になり、場合によっては不可能となる。しかし、ドリル案内部200は、固定ねじ250を用いて後方ねじ穴を遮断し、したがって後方に向けられたねじ穴の使用を妨げるというさらなる利点を有する。
【0049】
図9B〜図9Eに示すように、ドリル案内部200は、好ましくは、ドリル案内部200をフランジ部材40上で位置合せするために使用するための特徴を備える。図9Cに示すように、外側ドリル案内孔座部212が、外側ドリル案内孔210を第1または第2のねじ穴55、65のいずれかと位置合せするのに使用されるように、外側ドリル案内孔210の下方に延びる。中立ドリル案内孔座部222は、中立ドリル案内孔220を中立ねじ穴57と位置合せするのに使用されるように、ドリル案内孔220の下方に延びる。固定ねじ孔座部232は、固定ねじ孔230を第1または第2のねじ穴55、65のいずれかと位置合せするのに使用されるように、固定ねじ孔230の下方に延びる。図9B〜図9Dに示す好ましい実施形態では、外側ドリル案内孔座部212は、ほぼ半円形であり、中立ドリル案内孔座部222が環状であり、固定ねじ孔座部232は、ほぼ半円形である。
【0050】
インプラントは、外科用キットなど、キットの構成に含めることができる。好ましい実施形態では、キットは、図8に示すものなど1組の様々なサイズのインプラントと、図9に示すタイプのドリル案内部とを備える。別の好ましい実施形態では、キットは、1組の様々なサイズのインプラントと、図5Cに示すようなタイプなどの融合したねじ山を有する1組のねじとを備える。キットの構成要素は、好ましくは、外科用トレイまたはケース内など、簡便な構成に配列される。ただし、キット構成要素は、外科手術時に使用するために、組み立てられ手術室内にまとめて集められているのであれば、共に梱包または送達されなくてもよい。
【0051】
プロテーゼ1は、好ましくは、チタン合金またはコバルトクロム製であるが、様々な知られている材料が適当となることがある。任意で、カップ部分10の外面14は、プロテーゼ1へと骨が成長することを可能にするための、制御された有孔表面を有する。外面14はまた、プロテーゼ1への骨の成長を促すために、骨の成長を促進する生物活性剤(たとえば、骨形性タンパク質、成長因子、ヒドロキシアパタイトなど)を伴うことがある。
【0052】
寛骨臼カッププロテーゼ1の構成から、いくつかを上記で議論した様々な利点が生じる。寛骨臼カッププロテーゼ1の独自の構成によって、それを1次または修正インプラントの両方として使用することが可能になる。プロテーゼは、金属対金属の間接接合を形成し、金属対超高分子量ポリエチレンプロテーゼと対比して最小限のデブリを生じる。本発明1は、ねじの角度がその中で維持され、したがって、ねじがカップ10を定位置に維持することを可能にする剛性の構築物を提供する。薄いフランジ40によって、装置のインプラントに衝突することなく、十分な強度がもたらされる。
【0053】
本発明を、一体カップの一実施形態として説明してきたが、カップ10の内壁12をその代わりに、超高分子量ポリエチレンまたはセラミック挿入体など大腿股関節プロテーゼの大腿骨頭と関節をなすように構成された挿入体を受けるように、構成することができる。
【0054】
手術では、寛骨臼カッププロテーゼ1が、従来のカップまたは異形成用カップとほとんど同じやり方で、患者に挿入される。ただし、ねじ孔が独自に角度付けされているので、本発明のカップ1は、図1に示すタイプなど従来の異形成用カップに比べて、かなりの程度前傾または後傾して設置することができる。上述のように、異形成股関節の平坦な輪郭および全体的により薄い断面では、リーミングまたはねじ切りするために提供される骨がわずかであり、これによって、カップを十分に前傾位置に向けることが困難になる。図6Aは、患者の異形成股関節内に設置された図1の従来技術の異形成用カップの、X線図を示す。ねじがこの位置にあるので、従来のカップは、利用できる穿孔可能な骨内で強固な設置を達成するためにいくらか後傾位置に埋込まれなければならないことが多く、これによって位置のずれがもたらされる可能性がある。図6Aの大腿プロテーゼの頭部に沿った想像線は、股関節および大腿プロテーゼに対する、カップの周縁の好ましい位置を示す。図6Bは、患者の不完全な股関節内に設置された本発明の寛骨臼カッププロテーゼ1の、好ましい一実施形態のX線図である。図6Bにおいて、カップ1は、非異形成股関節内のプロテーゼの所望の位置と、ほぼ同じ向きに固定されており、こうして、位置がずれる危険性が最低限に抑えられる。図6Bの想像線は、異形成股関節内の、従来技術の異形成用カップの周縁の典型的な位置を示す。図3Dは、正中矢状面に沿って患者を前から見たときの、患者の右股関節内のカップの好ましい向きを示すようにカップが傾けられた、図3A〜図3Hの斜視図である。図3Eは、正中矢状面に沿って患者を前から見たときの、患者の左股関節内のカップの好ましい向きを示すようにカップが傾けられた、図3A〜図3Hの斜視図である。厳密な向きは患者によって変わるが、本発明1のプロテーゼは、好ましくは、カップ1の周縁18が、ほぼ図3Dおよび図3Eに示す向きで、垂直に対して約45°で、約15°から20°前傾して固定されるように設置される。
【0055】
安定性の問題を最小限にするために、穴を穿孔しねじを股関節に挿入するために、好ましくはドリル案内部が使用される。
【0056】
本発明を、具体的な実施形態に関して説明してきたが、その代替形態および修正形態が、当業者に疑いなく明らかになることが予想される。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲内あるすべての代替形態および修正形態を包含するものとして理解されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1A】カップの軸に対して平行関係に向けられた保持ねじを特徴とする、従来技術の異形成用カップの側面図である。
【図1B】ねじ保持部分内の1対のねじの向きを示すために90°回転された、ねじがカップの軸に対して平行である、図1の従来技術の異形成用カップの側面図である。
【図2A】本発明の寛骨臼カッププロテーゼの1つの好ましい実施形態の上面図である。
【図2B】オフセットした次元でほぼ平行な協働する向きを有するねじを示す、図2Aの側面図である。
【図2C】傾斜した次元にあるねじの傾斜を示すために図2Bからほぼ90°回転された、図2Bのカップの側部斜視図である。
【図2D】図2A〜図2Cのカップの斜視図である。
【図2E】ねじが互いに外向きまたは傾いた関係を有するように、オフセットした向きで互いからわずかに離れるねじ保持部材を示す、本発明の寛骨臼カッププロテーゼの好ましい一実施形態の側面図である。
【図2F】互いに外向きまたは傾いた関係にあるねじを示すために図2Eからほぼ90°回転された、図2Eのカップの側面図である。
【図3A】患者の左または右いずれの股関節内でも使用されるように構成された、本発明の寛骨臼カッププロテーゼの好ましい一実施形態の上面図である。
【図3B】フランジ上の2組のねじ保持部材の向きを特徴とし、ねじ孔のオフセットした向きを示す、図3Aのフランジ部分の下方の側面図である。
【図3C】フランジの傾斜およびねじ孔の傾斜向きを示すために図3Bからほぼ90°回転された、図3Bのカップの側面図である。
【図3D】正中矢状面に沿って患者の正面から見た場合の、患者の右股関節内のカップの好ましい向きを示すようにカップが傾けられた、斜視図である。
【図3E】正中矢状面に沿って患者の正面から見た場合の、患者の左股関節内のカップの好ましい向きを示すようにカップが傾けられた、斜視図である。
【図3F】図3Bから前方にほぼ45°回転された、好ましい実施形態の斜視図である。
【図3G】好まし実施形態のさらなる斜視図である。
【図3H】好ましい実施形態の底面図である。
【図4A】患者の左または右いずれの股関節内でも使用されるように構成された、本発明の寛骨臼カッププロテーゼの好ましい一実施形態を示す図である。
【図4B】患者の左または右いずれの股関節内でも使用されるように構成された、本発明の寛骨臼カッププロテーゼの好ましい一実施形態を示す図である。
【図4C】患者の左または右いずれの股関節内でも使用されるように構成された、本発明の寛骨臼カッププロテーゼの好ましい一実施形態を示す図である。
【図5】本発明の寛骨臼カッププロテーゼと共に使用するための、好ましい実施形態のねじ切りされたねじの図である。
【図6A】異形成股関節の平坦な輪郭に沿ったカップの望ましくない後傾を示す、患者の異形成股関節内に設置された図1の従来技術の異形成用カップのX線図である。
【図6B】図6Aに示す従来技術のカップなど従来技術の異形成用カップに対するカップの好ましい前傾角度を示す、患者の不完全な股関節内に設置された、本発明の寛骨臼カッププロテーゼの好ましい一実施形態のX線図である。
【図7A】オフセットした向きがねじ孔の角度付けのみによって提供される、本発明の代替実施形態の側面図である。
【図7B】ねじ孔のみの角度付けによって提供される傾いた向きを示すために、図7Aからほぼ90°回転された、図2Eのカップの側面図である。
【図8A】傾斜したフランジを有する本発明の寛骨臼カッププロテーゼの、好ましい一実施形態を示す図である。
【図8B】傾斜したフランジを有する本発明の寛骨臼カッププロテーゼの、好ましい一実施形態を示す図である。
【図8C】傾斜したフランジを有する本発明の寛骨臼カッププロテーゼの、好ましい一実施形態を示す図である。
【図8D】傾斜したフランジを有する本発明の寛骨臼カッププロテーゼの、好ましい一実施形態を示す図である。
【図8E】傾斜したフランジを有する本発明の寛骨臼カッププロテーゼの、好ましい一実施形態を示す図である。
【図8F】傾斜したフランジを有する本発明の寛骨臼カッププロテーゼの、好ましい一実施形態を示す図である。
【図8G】傾斜したフランジを有する本発明の寛骨臼カッププロテーゼの、好ましい一実施形態を示す図である。
【図9A】本発明の寛骨臼カッププロテーゼと共に使用するためのドリル案内部の、好ましい一実施形態を示す図である。
【図9B】本発明の寛骨臼カッププロテーゼと共に使用するためのドリル案内部の、好ましい一実施形態を示す図である。
【図9C】本発明の寛骨臼カッププロテーゼと共に使用するためのドリル案内部の、好ましい一実施形態を示す図である。
【図9D】本発明の寛骨臼カッププロテーゼと共に使用するためのドリル案内部の、好ましい一実施形態を示す図である。
【図9E】本発明の寛骨臼カッププロテーゼと共に使用するためのドリル案内部の、好ましい一実施形態を示す図である。
【図10A】従来技術の3つ穴カップを示す図である。
【図10B】従来技術の3つ穴カップを示す図である。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年9月15日出願の係属中の米国特許出願第10/941,210号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、整形外科用人工インプラントに関し、より具体的には、特に、股関節異形成または変形性関節症において見られるタイプなど不完全な寛骨臼の治療のために構成された、寛骨臼カッププロテーゼに関する。
【背景技術】
【0003】
従来の寛骨臼カッププロテーゼは、カップ部分および別個の軸受挿入体を含む2部品構造を用いる。カップは、カップの壁部を通り寛骨臼の骨内へと直接貫通する、1つまたは複数のねじによって寛骨臼内に固定される。カップが固定されると、軸受挿入体が、カップ内に設置される。カップの移動または緩みを防止するために、寛骨臼は、正確な嵌合およびより深いポケットをカップに提供する目的で、カップへの挿入前にリーミングされる。安定性をさらに向上させるために、カップは、欠損部の最も広い部分に広がるのに十分大きい直径で選択される。カップはまた、プレスフィット連結が実現されるよう、リーミングされた寛骨臼の直径よりもわずかに大きい直径を有するように選択することができる。ただし、より大きいカップは通常、小さいカップよりもリーミングをより多く必要とし、その結果、疾患を有する骨と同様、生存可能な骨も除去される。
【0004】
寛骨臼カッププロテーゼは、欠陥を有する寛骨臼壁または不完全な骨に伴う欠損を含めて、様々なタイプの寛骨臼欠損を補正するために使用される。1つのタイプの寛骨臼欠損は、先天性股関節異形成である。先天性股関節異形成では、寛骨臼の周縁部分が最小限であることがあり、寛骨臼は、正常なものよりも浅い。カッププロテーゼを浅い寛骨臼内に安定化させることは、リーミングしまたはねじをねじ込むために利用することができる骨がほとんどないため、困難である。
【0005】
その他の不完全な寛骨臼状態は、異形成で遭遇するものと同様の問題を呈することがある。股関節再置換では、1次プロテーゼの緩み、または骨セメントの剥離によって、寛骨臼の欠損が生じることが多い。感染症により、寛骨臼の変形または欠損をもたらす、骨の損失が生じることがある。骨折後に、寛骨臼が、変形した形状で治癒することがある。こうしたそれぞれの状況では、リーミングを最小限に抑え、利用できる穿孔可能な骨を、プロテーゼを固定するために最大限に使用することが望ましい。
【0006】
従来のプロテーゼは、正しいリーミングおよびねじのねじ込みを可能にするのに十分な骨が存在しない、異形成において遭遇するものなど不完全な股関節内での、確実な固定を提供しない。従来技術のカップに固有の問題は、直接カップを通して寛骨臼内へと固定する以外は、固定に提供される能力が制限されていることである。この問題を克服するために、カップを利用可能な骨に固定するために使用するための延長部分を有する、カップを提供するための試みがなされてきた。
【0007】
従来技術は、先天性股関節異形成において遭遇するタイプなど不完全な寛骨臼内に、カップを固定するために使用するための周縁延長部を備える、2部品の寛骨臼カッププロテーゼを含む。米国特許第5,702,477号、(Capelloら)、米国特許第5,931,870号(Cucklerら)、米国特許第6,162,257号(Gustiloら)参照。これらの装置は、カップを寛骨臼に直接固定することができ延長部分を周囲の骨に直接固定することができるように、カップ部分および延長部分の両方にねじ穴を備え、不完全な骨状態においてもプロテーゼの安定性を高める。
【0008】
米国特許第4,801,300号(Kurzeら)は、2部品の股関節プロテーゼの、異形成股関節を治療する能力における限界を認識していた(コラム1、41〜42行目)。この欠陥を克服するために、Kurzeらは、インプラントねじによる係留のための穿孔フランジリングを備える、単一部品の股関節ソケットを提案した。フランジは、股関節ソケットの周囲の少なくとも3分の2を覆う。フランジは、装置を骨上に固定するためのねじを受けるために、少なくとも4つの均等に分布する穿孔を有する。穴は、ねじ切りされていない。Kurzeらは、まず、生体適合性および機械的安定性を向上させるために、表面加工に注目した。Kurzeらは、ソケットがねじによってどのように固定されるかを議論していない。Kurzeらの欠点は、いくつかの不完全な骨状態にある利用できる穿孔可能な骨内への、ねじの角度付けを行わないことである。
【0009】
図1は、特に異形成寛骨臼の治療用に設計された、従来の寛骨臼カッププロテーゼを示す。図1Aおよび図1Bに示すように、従来技術のカップは、カップの外面から延びる1対のタブを有する。各タブは、カップを寛骨臼内に固定するのに使用するねじ切りされたねじを受けるための、ねじ切りされた穴を備える。図1Aおよび図1Bに示すように、タブは、カップの周縁と同じ平面内に延び、すなわち、カップの軸と直交する。図1Aおよび図1Bに示すように、各ねじ穴の軸は、カップの軸と平行である。図1の寛骨臼カップの1つの利点は、それが線対称構成を有し、したがって左または右股関節のいずれにおいても使用することができることである。ただし、図1の寛骨臼カップの欠点は、異形成において遭遇するものなどいくつかの不完全な骨状態にある利用できる穿孔可能な骨を最大限に使用しないやり方で、ねじの向きが決められることである。
【0010】
従来技術は、図10A〜図10Bに示すタイプの3つ穴カップを備える。図10A〜図10Bに示す3つ穴カップには、いくつかの欠点がある。図10Bに示すように、フランジ部分は、フランジの頂部が周縁と同じ高さとなり、フランジの底部が周縁より低くなるように、カップの周縁から外側に延び出る。フランジは、わずかな傾斜を有する。従来技術のフランジの頂部および底部は、平坦である。従来技術のフランジの穴は、三角形の方位で配列され、これによって長いフランジがもたらされる。上記特徴によって、従来技術の3つ穴インプラントを、寛骨臼の輪郭へと向けることが困難になる。さらに、従来技術フランジの穴の軸は、カップの軸と平行に向けられ、これによって、特に不完全な寛骨臼内で、インプラントを十分に前傾させて係留することが困難になる。
【0011】
英国特許出願第2,347,864号(Paling)は、従来の寛骨臼カップを異形成用カップへと変形するために使用することができる、取外し可能な取付け部材を開示する。Paringの主な目的は、従来のカップを使用するか、カップを異形成用カップに変換するかを、外科医が術中に決定することを可能にすることである。この目的を実現するために、Palingは、寛骨臼カップの周縁上に着脱式に取付け可能であり、ねじを受けるための穴を有する1つまたは複数の一体フランジを備える、環状部分を開示する。ねじによってカップにかけられる結果的なモーメントを打ち消すために、環状部分は、好ましくは、直径方向に対向する2つのフランジを備える。さらに、2つのフランジは、好ましくは、環状部分に対して傾斜する。フランジ角度は、20°の下方傾斜であり、または環状部分の下面からほぼ20°である。Palingによれば、角度付けによって、リングが寛骨臼カップ上に作用するときにより大きい締付け力をかけることが可能になる。ただし、Palingの図4が示すように、穴の軸は、カップの軸と平行なままであり、すなわち骨内に傾斜したねじ切りを行わない。Palingは、カップ部分を寛骨臼内に従来のやり方で取り付け、次いで、環状部分上の突起がカップ部分の周縁内の凹部に係合するように、環状部分をカップ部分に取り付けることを開示する。次いでねじは、環状部分によって寛骨臼カップが定位置に固定されるように、穴を通って骨内へと進む。Palingの1つの欠点は、環状部分が薄い構造であり、したがって潜在的に故障しやすいことである。さらに、環状部分がカップ部分に固定されていないので、環状部分がカップから分離されまたは外れるという状況がある。さらに、Palingの角度付けされた変型でも、ねじは、いくつかの不完全な股関節状態にある、利用できる穿孔可能な骨を最大限に使用するように傾斜しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、以下の特徴および従来技術に勝る利点を有する、寛骨臼カッププロテーゼが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一目的は、異形成股関節など不完全な股関節内での確実な埋込みを提供するように構成された、寛骨臼カッププロテーゼを提供することである。
【0014】
本発明の一目的は、改善された安定性を提供するために、不完全な股関節内の利用可能な骨を最大限に使用する寛骨臼カッププロテーゼを提供することである。
【0015】
本発明の一目的は、欠損部を取り囲む良好な骨の過剰なリーミングを必要とせずに、不完全な寛骨臼内のカップの嵌合および安定性を特別に作り出す、寛骨臼カッププロテーゼを提供することである。
【0016】
本発明の一目的は、患者の右または左いずれの寛骨臼内でも使用することができるカッププロテーゼを提供することによって、目録を減らすことである。
【0017】
本発明のさらなる目的は、本発明のカップを設置するために使用することができる、万能なドリル案内部を提供することである。
【0018】
上記目的および利点は、患者の寛骨の不完全な寛骨臼内で使用するための、カップ部分と患者の寛骨にプロテーゼを取り付けるのに使用するために向けられた1対の隣接するねじ保持部材とを有する、一体寛骨臼カッププロテーゼを提供することによって獲得することができる。カップ部分は、軸および上部周縁を有するほぼドーム状の壁を有する。壁の内側軸受面は、股関節プロテーゼの大腿骨頭に枢動式に係合するように構成される。各ねじ保持部材は、ドームの外面から、ほぼ周縁に沿って延びる。ねじ保持部材は、ねじ保持部材が周縁に対して一定に傾斜し、周縁に対して一定にオフセットするように、カップ部分と一体に形成される。ねじ保持部材は、プロテーゼを患者の股関節の片側に埋込むことを容易にするために、互いに協力的な関係に向けられる。各ねじ保持部材は、それを貫通するねじ穴を有する。各ねじ穴は、ねじ穴の軸が、1つの次元(dimension)でカップ部分の軸に向かって収束し、ねじ穴の軸が第2の次元でカップ部分の軸に対して傾くように、周縁に対して一定に傾斜する。プロテーゼの在庫品目を減らすために、第1の一対のねじ保持部材、及び、第2の一対のねじ保持部材が、患者の左または右いずれの寛骨臼内でもプロテーゼを使用することができるように向けられた状態で、第2の一対のねじ保持部材を設けることができる。
【0019】
1つの好ましい実施形態では、第1対および第2対のねじ保持部材が、単一フランジ上に形成される。フランジは、ドームの外面から、周縁の一部にほぼ沿って延びる。フランジは、カップ部分と一体に形成され、周縁に対して傾斜する。第1対のねじ保持部材は、患者の左股関節内に装置を埋込むことを容易にするために、相互に協働関係となるように固定される。第2対のねじ保持部材は、患者の右股関節内に装置を埋込むことを容易にするために、互いに協力的な関係で、しかし、第1の一対のねじ保持部材と傾いた関係で固定される。第1および第2の一対のねじ保持部材は、好ましくは、ギザギザ関係で配列される。
【0020】
好ましい一実施形態では、フランジ部材は、上部周縁の一部に沿って上向きに延びる基部を有する。基部は、フランジ部材の一部を周縁の上方に持ち上げるように働き、それによって、患者の寛骨臼に対するインプラントの適合性が増す。基部から、ほぼ平坦なねじ保持部分が延びる。ねじ保持部分は、ねじ保持部分の下面の少なくとも外側部分が上部周縁の下方に配置され、ねじ保持部分の上面が上部周縁の上方に配置されるように、基部から傾斜する。ねじ保持部分は、それを貫通して形成される、第1のねじ穴、第2のねじ穴、および中立ねじ穴を有する。中立ねじ穴は、第1および第2のねじ穴の間に配置される。第1のねじ穴、中立ねじ穴、および第2のねじ穴は、ねじ穴の軸が、フランジ部材の幅側にほぼ沿って見た第1の次元でカップ部分の軸に向かって傾斜するように、周縁に対して一定に傾斜する。第1および第2のねじ穴の軸はまた、フランジ部材の長さ側にほぼ沿って見た第2の次元で、カップ部分の軸から外側にオフセットする。中立ねじ穴の軸は、中立ねじ穴を第1または第2のねじ穴のいずれかと共に使用することができるように、第2の次元でカップ部分の軸にほぼ平行となる。第1のねじ穴、第2のねじ穴、および中立ねじ穴は、カッププロテーゼを患者の左または右いずれの股関節内で使用することも可能になるように、互いに十分近接して離間される。
【0021】
外科用キットなどキットフォーマット内に、インプラントを提供することができる。好ましい実施形態では、キットは、1組の様々なサイズのインプラントと、ドリル案内部とを備える。別の好ましい実施形態では、キットは、1組の様々なサイズのインプラントと、融合されたねじ山を有する1組のねじとを備える。
【0022】
本発明の、上記およびその他の目的、特徴、態様、および利点は、添付の図面と関連付けて考慮するとき、本発明の以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
好ましい実施形態の以下の詳細な説明において、本明細書の一部を形成し、本発明をその中で実施することができる具体的な実施形態の例として示される、添付の図面を参照する。本発明の範囲から逸脱することなく、その他の実施形態を使用することができ、構造的な変化を加えることができることを理解されたい。
【0024】
図2に示すように、本発明は、患者の股関節の不完全な寛骨臼内で使用される、一体寛骨臼カッププロテーゼ1である。プロテーゼ1は、カップ部分10を備える。図2Bに示すように、カップ部分10は、軸Aおよび上部周縁18を有する、ほぼドーム形状の壁10を有する。図2Aに示すように、壁10の軸受面12は、当業者に周知の方法で、大腿股関節プロテーゼの大腿骨頭に枢動式に係合するように構成される。図2Bに示すように、ドーム10の外面14は、当業者に周知の方法で、少なくとも部分的に患者の寛骨臼内に存在するようにサイズ決めおよび構成される。
【0025】
図2に示すように、1対の第1および第2のねじ保持部材51、52が、プロテーゼを患者の股関節に取り付けるのに使用するために設けられる。図2Bに示すように、各ねじ保持部材はそれぞれ、ほぼ周縁18に沿って、ドーム10の外面14から延在している。図2Cに示すように、ねじ保持部材51、52は、各ねじ保持部材51、52のそれぞれが周縁18に対して一定に傾斜するように、カップ部分10と一体に形成される。傾斜の向きは、図2Cで、線または平面の「I」を基準にして示される。図2Cに示すように、傾斜によって、ねじ100を、カップ部分10の外面14に可能な限り近付けて、異形成股関節内の穿孔可能な骨を最大限に使用する向きで配置することが可能になる。さらに、図2Bにさらに示すように、ねじ保持部材51、52は、周縁18に対して一定にオフセットすることができる。オフセットの方向は、図2Bで、線または平面の「O1」および「O2」を基準にして示される。図2Bおよび図2Cに示すように、ねじ保持部材51、52は、患者の股関節の片側にプロテーゼ1を埋込むことを容易にするために、相互に協働関係となる方向に配置されている。
【0026】
好ましい実施形態では、各ねじ保持部材51、52が、周縁18に対して約10°から約25°の間の角度をもって傾斜する(図2C参照)。最も好ましい実施形態では、各ねじ保持部材51、52が、周縁18に対して約20°の角度で一定に傾斜する。好ましい実施形態では、各ねじ保持部材51、52が、周縁18に対して約10°から約25°の間の角度で、オフセットしている(図2B参照)。最も好ましい一実施形態では、各ねじ保持部材51、52が、周縁18に対して約20°の角度で、一定にオフセットしている。
【0027】
図2B、図2C、および図2Dに示すように、各ねじ保持部材51、52は、該部材を貫通するねじ切りされた穴55、56を有する。各ねじ切りされた穴55、56は、1つの次元では、ねじ切りされた穴の軸(TI)がカップ部分の軸(A)に向かって収束するように(図2C参照)、かつ、第二の次元では、ねじ切りされた穴の軸(TO1;TO2)がカップ部分の軸(A)に対して傾くように(図2B参照)、周縁18に対して一定に傾斜している。
【0028】
図2、図3、および図4に示すように、ねじ保持部材51、52は、穿孔可能な骨の領域内での係留を最大限にするために、互いに隣接する。ねじ保持部材51、52は好ましくは、周縁18の外周に沿った、約30°から約60°の間の弧に沿って延びる。2組のねじ保持部材51、52、61、62が設けられる場合(以下でさらに詳細に議論する)、ねじ保持部材51、52、61、62は、好ましくは、周縁18の外周に沿って約90°未満の弧を占め、好ましくは約75°である。また図2Bに示すように、ねじ保持部材51、52は、好ましくは、約10mmなど選択された距離(またはプロテーゼのサイズに応じて約15°から25°の間の弧)離間している。ねじ穴55、56を離間させることによって、プロテーゼを寛骨臼内に埋め込むときに、カップ1により高い安定性がもたらされる。ただし、穿孔可能な骨の非常に小さい領域のみが利用可能な状況では、互いに直接隣接するねじ保持部材51、52を有することが好ましいことがある。さらに強度を高めるために、第1および第2のねじ保持部材51、52を、図3に示すような方法で互いに接合することができる。
【0029】
図2Bに示すように、ねじ保持部材51、52の間に協働した固定をもたらすために、ねじ保持部材を、互いにほぼ平行関係となる方向に配置することができる(線/平面O1を線/平面O2と比較せよ)。同様に、図2Bにも示すように、1対のねじ保持部材51、52のねじ切りされた穴55、56は、互いに平行関係とすることができる(ねじ/固定軸TO1およびTO2を比較せよ)。ねじ切りされた穴55、56がほぼ平行な向きであることによって、患者の寛骨臼内において約2つのほぼ平行な固定軸を固定することが可能になる。いくつかの不完全な股関節状態で、平行向きに配置することは、股関節内で遭遇する力に対するより大きい抵抗をもたらし、利用できる骨を最大限に使用することができる。ただし、多くの応用例で、ねじ100を、図2Eまたは図2Fに示すように互いに対して、相違した方向に、または相互に傾いた方向に、配置することが望ましいことがある。相違した方向に配置することは、ねじに対するより高い引抜き強度、および股関節内で遭遇する回転モーメントに対するより高い安定性をもたらす。相違した方向に配置するとは、外向きおよび内向き(技術的には収束)の向きを含む。図2Eに最も明確に示すように、相違した方向に配置することは、ねじ保持部材を、オフセットした次元、傾斜する次元、または好ましくは、オフセットした次元および傾斜する次元両方で、互いに対して傾いた関係に向けることによって実現することができる。いくつかの例では、相違した方向は、ほぼ、しかし精密にではなく、平行である。
【0030】
図2Cに示すように、ねじ保持部材51、52のねじ切りされた穴55、56の軸は、好ましくは、ねじ保持部材51、52の傾斜に対してほぼ直交する(傾斜したねじ/固定軸T1を傾斜した線/平面Iと比較せよ)。また、図2Bにさらに示すように、ねじ保持部材51、52の保持部材のねじ切りされた穴55、56の軸は、好ましくは、ねじ保持部材51、52のオフセットに対してほぼ直交する。
【0031】
図2に示す実施形態の1つの欠点は、ねじ保持部材51、52の協働した傾斜およびオフセットの向きにより、プロテーゼが、患者の股関節の片側でしか使用できないことである。本発明の一目的は、患者の左右いずれの寛骨臼でも使用することができるカッププロテーゼ1を提供することによって、在庫品目を減らすことである。この目的は、図4Aに示す実施形態におけるものなど(図3も参照)、第2の組のねじ保持部材61、62を設けることによって達成することができる。第2組のねじ保持部材61、62は、第1組のねじ保持部材51、52に関して上記で説明した向きおよび特徴を含む。ただし、図4Bに示すように、第2組のねじ保持部材61、62は、第1組のねじ保持部材51、52に対してほぼ反対または鏡像となる向きに固定される。図4Bに示す実施形態では、第1組のねじ保持部材51、52が互いに直接隣接し、第2組のねじ保持部材61、62が互いに直接隣接する。図4Cに示す実施形態では、第1および第2組のねじ保持部材は、ねじ保持部材の第1組51、52が、ねじ保持部材の第2組61、62と交互になる、ジグザグ関係である。図4Cに示すジグザグの実施形態の1つの利点は、それによって、各組の協働するねじ保持部材が、互いに離間されるが、周縁18に沿って占有される弧を最小限とすることが可能になることである。それぞれの場合に、第1の対のねじ保持部材51、52は、プロテーゼを患者の股関節の片側に埋込むことを容易にするために、互いに協働関係に向くように配置され、第2対のねじ保持部材61、62は、プロテーゼ1を患者の反対側の股関節に埋込むことを可能にするために、互いに協働関係に向くように配置されていることに留意されたい。このようにして、必要とされる在庫品目をへらすことができる。
【0032】
図3は、患者の右または左いずれの不完全な寛骨臼においても使用することができる、一体寛骨臼カップの好ましい一実施形態を示す。図3Aおよび図3Cに最も明確に示すように、フランジ40は、ドーム10の外面14から、実質的に周縁18の一部に沿って延びる。フランジ40は、カップ部分10と一体に形成される。図3Cに示すように、フランジ40は、周縁18に対して傾斜している。フランジは、好ましくは、周縁18に対して約10°から25°の間で傾斜する。図3に示す好ましい実施形態では、フランジ40は、周縁18に対して約20°傾斜する。
【0033】
図3Aに示すように、フランジ40は、プロテーゼを患者の寛骨に取り付けるのに使用するためにその上に形成された、ねじ保持部材の第1のねじ保持部材51、52および第2のねじ保持部材61、62を備える。ねじ保持部材51、52、61、62は、ねじ保持部材51、52、61、62が単一のフランジ40上で向きが決められる以外は、図2を参照しながら上記で説明した向きおよび特徴を備える。たとえば、図3Bに最も明確に示されるように、各ねじ保持部材51、52、61、62は、周縁18に対して一定に傾斜しており、また周縁18に対して一定にオフセットている。図3Aに示すように、各ねじ保持部材は、それを貫通するねじ切りされた穴55、56、65、66を有する。図3Cに示すように、1つの次元では、各ねじ切りされた穴55、56、65、66は、ねじ切りされた穴の軸が、図2Cを参照しながら上記で説明したようなやり方でカップ部分10の軸に向かって収束するように、周縁18に対して一定に傾斜する。同様に、図3Bに示すように、第2の次元では、各ねじ切りされた穴の軸が、図2Bを参照しながら上記で説明したようなやり方で、カップ部分の軸に対して傾斜している(ねじ切りされた線/軸T1、T2、T3、T4参照)。
【0034】
図3Bに示すように、第1の一対のねじ保持部材51、52は、互いにほぼ平行関係で固定され、第2の一対のねじ保持部材61、62もまた、互いにほぼ平行関係で固定される。図3Bに示すように、ねじ保持部材の第1の組51、52、および第2の組61、62は、プロテーゼを上記で説明したやり方で左または右の寛骨臼のいずれの上でも使用することができるように、互いに傾いた関係で固定される。図3に示す実施形態では、ねじ保持部材の第1対51、52および第2対61、62は、ジグザグ関係で、フランジ40によって必要とされる弧の角度を最小限に抑える構成に配列される。
【0035】
図3Bに示すように、第1の一対のねじ保持部材51、52のねじ穴55、56は、好ましくは、互いにほぼ平行関係である(ねじの線/軸T1およびT2を比較せよ)。同様に、第2の一対のねじ保持部材61、62のねじ穴65、66は、互いにほぼ平行関係である(ねじの線/軸T3およびT4を比較せよ)。図3Bに示すように、第1の一対のねじ保持部材51、52のねじ穴55、56は、第2の一対のねじ保持部材61、62のねじ穴65、66と傾いた関係であり、プロテーゼ1が患者の左または右いずれの寛骨臼上で使用されることも可能にする向きである。
【0036】
図3Cにさらに示すように、各ねじ保持部材51のねじ穴55の軸T1は、好ましくは、ねじ保持部材51の傾きIに対してほぼ直交する。図3Bに示すように、各ねじ保持部材51のねじ穴55の軸はまた、好ましくは、ねじ保持部材51のオフセットに対してほぼ直交する(ねじの線/軸T1、T2、T3、およびT4を、対応するねじ保持部材の下面と比較せよ)。
【0037】
図7Aおよび図7Bは、傾斜およびオフセットが、ねじ保持部材51、52の傾斜およびオフセットによってではなく、ねじ穴の傾斜およびオフセットのみによってもたらされる代替実施形態を示す。図7Bに示すように、本実施形態は、実質的に周縁18の平面内に、すなわちカップ10の軸Aに対して略垂直に延びた、直角に向けられたねじ保持部材52を用いる。図7Aおよび図7Bに示すように、上記で議論した様々なオフセットおよび傾斜角度を、この実施形態を用いて得ることができる。ただし、ねじ保持部材51、52は、所望の傾斜角度を得るために、さらに外側に突出しなければならない。垂直に向けられた保持部材51、52は、単一フランジ上に設けることができる。1対の直角に向けられた保持部材51、52、61、62もまた、単一フランジ40(図示せず)上に設けることもできる。傾斜した穿孔を有するオフセットさせた保持部材、またはオフセットさせた穿孔を有する傾斜した維持部材を設けることも可能である。さらに、上記で議論したねじの傾斜またはオフセット角度は、直角の、傾斜した、またはオフセットした保持部材と、適合可能に向けられたねじ孔との、選択的な組合せを用いて設けることができる。
【0038】
図1に示す従来技術の異形成用カップは、ほぼ均一のピッチの機械ねじ山(machine thread)を有するねじを用いる。図5A〜図5Bは、機械ねじ山と、ねじ保持部材51、52内に沈められるように構成された頭部102とを備える、本発明で使用するためのねじ100を示す。ねじの性能を向上させるために、ねじ100は、好ましくは、ねじ軸の末端部に沿った、骨内を最適にねじ切りするための海綿骨ねじ山(cancellous bone thread)など骨ねじねじ山(bone screw thread)106と、ねじ切りされた孔内に最適にねじ込むための、ねじ頭102に隣接する軸104の基端側の部分に沿った機械ねじ山とを備える(図5C〜図5D)。骨ねじ山106は、好ましくは、30°の末端側のピッチ、および3°の基端側のピッチを有する。軸の基端側部分104内のねじ山は、係止嵌合をもたらし、ねじ100がねじ穴から戻り出ることを防ぐために、ねじ孔のねじ山と密接に噛み合う。骨ねじ山106は好ましくは、ねじ100がカップ1の孔内へとねじ込まれるとき、骨ねじ山106がねじ孔を通ってねじ込まれるように、機械ねじ山104と融合される。本願では、「融合されたねじ山」とは、機械ねじ山104と骨ねじ山106が融合して、単一のねじ山を形成することを意味する。ただし、単一ねじ山は、自己穿孔またはタッピング特徴を提供するなどのために、その長さの一部に沿って非連続となりまたは中断される。ねじ100とねじ孔の係止をさらに向上させるために、二条ねじ山または不整合ねじ山係止手段を用いることができる。
【0039】
図3に示すカップ1の1つの欠点は、フランジ部材40が、特に小さいサイズのカップで、周縁18の外周に対して相対的に広いことである。フランジ40のサイズは、4つの穴ではなく3つの穴を用いることによって低減することができる。上記で議論したように、従来技術の3つ穴カップは、いくつかの欠点を有する。上記の問題は、図8A〜図8Gに示す一体寛骨臼カッププロテーゼ1の代替実施形態を用いて克服することができる。図8のプロテーゼは、カップ部分1を備え、カップ部分1は、軸およびほぼ平坦な上部周縁18を有するほぼドーム形状の壁10を備える。壁10の内部軸受面12は、股関節プロテーゼの大腿骨頭と枢動式に係合するように構成される。
【0040】
図8Aに示すように、フランジ部材40は、カップ部分1と一体に形成される。図8Eにおそらく最も明確に示すように、フランジ部材40は、上部周縁18の一部に沿って上向きに延びる基部42を有する。基部42は、フランジ部材40を周縁18の上方に持ち上げる働きをし、これによって、インプラント1の、患者の寛骨臼との適合性が高まる。ほぼ平坦なねじ保持部分44が、基部42から延びる。図8Eに示すように、ねじ保持部分44は、ねじ保持部分44の下面45の少なくとも外側部分が上部周縁18の下方に位置決めされ、ねじ保持部分44の上面46が上部周縁18の上方に位置決めされるように、基部42から傾斜する。
【0041】
図8Bに示すように、ねじ保持部分44は、第1のねじ穴55、第2のねじ穴65、およびそれを貫通して形成される中立ねじ穴57を有する。中立ねじ穴57は、第1および第2のねじ穴55、65の間に配置される。図8Aに示すように、第1のねじ穴55、中立ねじ穴57、および第2のねじ穴65は、ねじ穴55の軸TIがカップ1部分の軸に向かって、フランジ部材40の幅側にほぼ沿って見られる第1の次元で傾斜するように、周縁18に対して一定に傾斜する。図8Dに示すように、第1および第2のねじ穴55、56はまた、フランジ部材40の長さ側にほぼ沿って見られる第2の次元で、カップ部分1の軸Aから外側にオフセットしている。ただし図8Dに示すように、第2の次元では、中立ねじ穴57の軸は、カップ部分1の軸とほぼ平行である。このような向きにより、中立ねじ穴57は、第1および第2のねじ穴55、65のどちらとも共に使用することができる。第1の、第2の、および中立ねじ穴55、57、65は、カッププロテーゼ1を患者の左または右いずれの股関節においても使用することが可能となるように、互いに十分に近接して離間して配置される。
【0042】
好ましい実施形態では、フランジ部材40のねじ保持部分44は、上部周縁18に対して約15°〜約25°の間の角度で、最も好ましくは上部周縁18に対して約20°の角度で、一定に傾斜する。図8Aに示すように、ねじ穴55、57、65それぞれの軸は、好ましくは、フランジ部材40の傾斜に対して、第1の次元でほぼ直交する。図8Aにさらに示すように、第1、第2、および中立の、ねじ穴55、57、65の軸は、第1の次元で互いに実質的に平行である。第1および第2のねじ穴55、65それぞれの軸は、好ましくは、中立ねじ穴57の軸から、第2の次元で約15°から25°の間の角度で、最も好ましくは、第2の次元で約20°の角度で離れる。図8Bに示すように、第1、第2、および中立の、ねじ穴55、57、65は、好ましくは、フランジ部材40のねじ保持部分44に沿って径方向に、カップ部分1の軸からほぼ等距離で配列される。図8Bに示すように、フランジ部材40は、好ましくは、カップ1の上部周縁18の約60°未満の弧に沿って延びる。第1および第2のねじ穴55、65は、好ましくは、中立ねじ穴57から約20°径方向に離間している。
【0043】
図8Eに示すように、フランジ部材40のねじ保持部分44の上面46は、好ましくは平坦である。上面46が平坦であることによって、プロテーゼの製造、ならびにカップ1の埋込み時の機器使用が容易になる。図8Gに示すように、フランジ部材40のねじ保持部分44の下面45は、湾曲した輪郭を有する。好ましい実施形態では、下面45の湾曲した輪郭は、円錐の断面である。輪郭が湾曲していることによって、プロテーゼの製造および機器使用が容易になり、また、骨に対するプロテーゼの適合性が高まる。
【0044】
図8のカップは、左および右いずれの股関節内でも使用することができるという意味で万能であり、これによって、外科用キットなどにおける在庫品目が減へる。図8のカップ1を埋込む場合、中立ねじ穴57および前方に向けられた第1または第2のねじ穴55、65が、カップ1を患者の寛骨臼内に固定するために使用される。後方に向けられた第1または第2のねじ穴55、65は、通常使用されない。すなわち、右股関節に埋込まれる場合、中立ねじ穴57および第1の穴55が使用される。左股関節に埋込まれる場合、中立ねじ穴57および第2のねじ穴65が使用される。
【0045】
インプラント1は、好ましくは、プロテーゼ1の、患者の寛骨臼内への埋込みを助けるために、さらなる特徴を備える。図8Bに示すように、フランジ部材40は、カップ10本体の上部周縁18がインパクタ(impactor)空間内へと延びそれを満たすように、インパクタ機器の一部を受け入れるためのインパクタ空間26を備えることができる。図8Aおよび図8Bに示すように、カップ1の本体はまた、周縁18およびドーム10の外面14を貫通して形成される、複数のインパクタノッチ20を備えることができ、各インパクタノッチは、関連するインパクタタブ22を有する。インパクタノッチ20および関連するインパクタタブ22は、インパクタ機器によりプロテーゼを選択的に係合させるように構成される。
【0046】
ねじ穴55、57、65は、ドリル案内部200を受けそれを位置合せするための、浅いカウンタボアを備えることができる。ねじ穴55、57、65はまた、保持ねじ100の頭部102を少なくとも部分的に、ねじ保持部材51、52内に沈めることが可能になるように構成される。
【0047】
カップ1の埋込みをさらに助けるために、図9A〜図9Eに示すタイプのドリル案内部200を設けることができる。ドリル案内部200は、ねじ穴が、カップ1のフランジ部材40のねじ保持部分44のねじ穴と軸方向に位置合せされるように、ねじ穴を患者の寛骨内へと穿孔するのに使用するために構成される。図9Bに示すように、ドリル案内部200は、フランジ部材40のねじ保持部分44の上面46に重なるように構成された、プレート201を備える。プレート201は、ねじ保持部分44の第1および第2のねじ穴と軸方向に位置合せされた外側ドリル案内孔210と、ねじ保持部分44の中立ねじ穴57と軸方向に位置合せされた中立ドリル案内孔220と、ねじ保持部分44の第1および第2のねじ穴と軸方向に位置合せされる固定ねじ孔230とを有する。図9Aに示すように、ドリル案内部200が、外側固定ねじ孔230内に配置され第1または第2のねじ穴55、65のいずれかにねじ込まれた固定ねじ250によって、ねじ保持部分44の上面46に選択的に固定される場合、外側ドリル案内孔210および中立ドリル案内孔220は、ねじ保持部分44のねじ穴を通り患者の股関節内へとねじ穴を穿孔するのに使用されるように、位置決めされる。
【0048】
カップ1が股関節内で前傾する場合、第1および第2のねじ穴の相違した向きによって、後方に向けられた第1または第2のねじ穴55、65を使用することが、困難になり、場合によっては不可能となる。しかし、ドリル案内部200は、固定ねじ250を用いて後方ねじ穴を遮断し、したがって後方に向けられたねじ穴の使用を妨げるというさらなる利点を有する。
【0049】
図9B〜図9Eに示すように、ドリル案内部200は、好ましくは、ドリル案内部200をフランジ部材40上で位置合せするために使用するための特徴を備える。図9Cに示すように、外側ドリル案内孔座部212が、外側ドリル案内孔210を第1または第2のねじ穴55、65のいずれかと位置合せするのに使用されるように、外側ドリル案内孔210の下方に延びる。中立ドリル案内孔座部222は、中立ドリル案内孔220を中立ねじ穴57と位置合せするのに使用されるように、ドリル案内孔220の下方に延びる。固定ねじ孔座部232は、固定ねじ孔230を第1または第2のねじ穴55、65のいずれかと位置合せするのに使用されるように、固定ねじ孔230の下方に延びる。図9B〜図9Dに示す好ましい実施形態では、外側ドリル案内孔座部212は、ほぼ半円形であり、中立ドリル案内孔座部222が環状であり、固定ねじ孔座部232は、ほぼ半円形である。
【0050】
インプラントは、外科用キットなど、キットの構成に含めることができる。好ましい実施形態では、キットは、図8に示すものなど1組の様々なサイズのインプラントと、図9に示すタイプのドリル案内部とを備える。別の好ましい実施形態では、キットは、1組の様々なサイズのインプラントと、図5Cに示すようなタイプなどの融合したねじ山を有する1組のねじとを備える。キットの構成要素は、好ましくは、外科用トレイまたはケース内など、簡便な構成に配列される。ただし、キット構成要素は、外科手術時に使用するために、組み立てられ手術室内にまとめて集められているのであれば、共に梱包または送達されなくてもよい。
【0051】
プロテーゼ1は、好ましくは、チタン合金またはコバルトクロム製であるが、様々な知られている材料が適当となることがある。任意で、カップ部分10の外面14は、プロテーゼ1へと骨が成長することを可能にするための、制御された有孔表面を有する。外面14はまた、プロテーゼ1への骨の成長を促すために、骨の成長を促進する生物活性剤(たとえば、骨形性タンパク質、成長因子、ヒドロキシアパタイトなど)を伴うことがある。
【0052】
寛骨臼カッププロテーゼ1の構成から、いくつかを上記で議論した様々な利点が生じる。寛骨臼カッププロテーゼ1の独自の構成によって、それを1次または修正インプラントの両方として使用することが可能になる。プロテーゼは、金属対金属の間接接合を形成し、金属対超高分子量ポリエチレンプロテーゼと対比して最小限のデブリを生じる。本発明1は、ねじの角度がその中で維持され、したがって、ねじがカップ10を定位置に維持することを可能にする剛性の構築物を提供する。薄いフランジ40によって、装置のインプラントに衝突することなく、十分な強度がもたらされる。
【0053】
本発明を、一体カップの一実施形態として説明してきたが、カップ10の内壁12をその代わりに、超高分子量ポリエチレンまたはセラミック挿入体など大腿股関節プロテーゼの大腿骨頭と関節をなすように構成された挿入体を受けるように、構成することができる。
【0054】
手術では、寛骨臼カッププロテーゼ1が、従来のカップまたは異形成用カップとほとんど同じやり方で、患者に挿入される。ただし、ねじ孔が独自に角度付けされているので、本発明のカップ1は、図1に示すタイプなど従来の異形成用カップに比べて、かなりの程度前傾または後傾して設置することができる。上述のように、異形成股関節の平坦な輪郭および全体的により薄い断面では、リーミングまたはねじ切りするために提供される骨がわずかであり、これによって、カップを十分に前傾位置に向けることが困難になる。図6Aは、患者の異形成股関節内に設置された図1の従来技術の異形成用カップの、X線図を示す。ねじがこの位置にあるので、従来のカップは、利用できる穿孔可能な骨内で強固な設置を達成するためにいくらか後傾位置に埋込まれなければならないことが多く、これによって位置のずれがもたらされる可能性がある。図6Aの大腿プロテーゼの頭部に沿った想像線は、股関節および大腿プロテーゼに対する、カップの周縁の好ましい位置を示す。図6Bは、患者の不完全な股関節内に設置された本発明の寛骨臼カッププロテーゼ1の、好ましい一実施形態のX線図である。図6Bにおいて、カップ1は、非異形成股関節内のプロテーゼの所望の位置と、ほぼ同じ向きに固定されており、こうして、位置がずれる危険性が最低限に抑えられる。図6Bの想像線は、異形成股関節内の、従来技術の異形成用カップの周縁の典型的な位置を示す。図3Dは、正中矢状面に沿って患者を前から見たときの、患者の右股関節内のカップの好ましい向きを示すようにカップが傾けられた、図3A〜図3Hの斜視図である。図3Eは、正中矢状面に沿って患者を前から見たときの、患者の左股関節内のカップの好ましい向きを示すようにカップが傾けられた、図3A〜図3Hの斜視図である。厳密な向きは患者によって変わるが、本発明1のプロテーゼは、好ましくは、カップ1の周縁18が、ほぼ図3Dおよび図3Eに示す向きで、垂直に対して約45°で、約15°から20°前傾して固定されるように設置される。
【0055】
安定性の問題を最小限にするために、穴を穿孔しねじを股関節に挿入するために、好ましくはドリル案内部が使用される。
【0056】
本発明を、具体的な実施形態に関して説明してきたが、その代替形態および修正形態が、当業者に疑いなく明らかになることが予想される。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲内あるすべての代替形態および修正形態を包含するものとして理解されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1A】カップの軸に対して平行関係に向けられた保持ねじを特徴とする、従来技術の異形成用カップの側面図である。
【図1B】ねじ保持部分内の1対のねじの向きを示すために90°回転された、ねじがカップの軸に対して平行である、図1の従来技術の異形成用カップの側面図である。
【図2A】本発明の寛骨臼カッププロテーゼの1つの好ましい実施形態の上面図である。
【図2B】オフセットした次元でほぼ平行な協働する向きを有するねじを示す、図2Aの側面図である。
【図2C】傾斜した次元にあるねじの傾斜を示すために図2Bからほぼ90°回転された、図2Bのカップの側部斜視図である。
【図2D】図2A〜図2Cのカップの斜視図である。
【図2E】ねじが互いに外向きまたは傾いた関係を有するように、オフセットした向きで互いからわずかに離れるねじ保持部材を示す、本発明の寛骨臼カッププロテーゼの好ましい一実施形態の側面図である。
【図2F】互いに外向きまたは傾いた関係にあるねじを示すために図2Eからほぼ90°回転された、図2Eのカップの側面図である。
【図3A】患者の左または右いずれの股関節内でも使用されるように構成された、本発明の寛骨臼カッププロテーゼの好ましい一実施形態の上面図である。
【図3B】フランジ上の2組のねじ保持部材の向きを特徴とし、ねじ孔のオフセットした向きを示す、図3Aのフランジ部分の下方の側面図である。
【図3C】フランジの傾斜およびねじ孔の傾斜向きを示すために図3Bからほぼ90°回転された、図3Bのカップの側面図である。
【図3D】正中矢状面に沿って患者の正面から見た場合の、患者の右股関節内のカップの好ましい向きを示すようにカップが傾けられた、斜視図である。
【図3E】正中矢状面に沿って患者の正面から見た場合の、患者の左股関節内のカップの好ましい向きを示すようにカップが傾けられた、斜視図である。
【図3F】図3Bから前方にほぼ45°回転された、好ましい実施形態の斜視図である。
【図3G】好まし実施形態のさらなる斜視図である。
【図3H】好ましい実施形態の底面図である。
【図4A】患者の左または右いずれの股関節内でも使用されるように構成された、本発明の寛骨臼カッププロテーゼの好ましい一実施形態を示す図である。
【図4B】患者の左または右いずれの股関節内でも使用されるように構成された、本発明の寛骨臼カッププロテーゼの好ましい一実施形態を示す図である。
【図4C】患者の左または右いずれの股関節内でも使用されるように構成された、本発明の寛骨臼カッププロテーゼの好ましい一実施形態を示す図である。
【図5】本発明の寛骨臼カッププロテーゼと共に使用するための、好ましい実施形態のねじ切りされたねじの図である。
【図6A】異形成股関節の平坦な輪郭に沿ったカップの望ましくない後傾を示す、患者の異形成股関節内に設置された図1の従来技術の異形成用カップのX線図である。
【図6B】図6Aに示す従来技術のカップなど従来技術の異形成用カップに対するカップの好ましい前傾角度を示す、患者の不完全な股関節内に設置された、本発明の寛骨臼カッププロテーゼの好ましい一実施形態のX線図である。
【図7A】オフセットした向きがねじ孔の角度付けのみによって提供される、本発明の代替実施形態の側面図である。
【図7B】ねじ孔のみの角度付けによって提供される傾いた向きを示すために、図7Aからほぼ90°回転された、図2Eのカップの側面図である。
【図8A】傾斜したフランジを有する本発明の寛骨臼カッププロテーゼの、好ましい一実施形態を示す図である。
【図8B】傾斜したフランジを有する本発明の寛骨臼カッププロテーゼの、好ましい一実施形態を示す図である。
【図8C】傾斜したフランジを有する本発明の寛骨臼カッププロテーゼの、好ましい一実施形態を示す図である。
【図8D】傾斜したフランジを有する本発明の寛骨臼カッププロテーゼの、好ましい一実施形態を示す図である。
【図8E】傾斜したフランジを有する本発明の寛骨臼カッププロテーゼの、好ましい一実施形態を示す図である。
【図8F】傾斜したフランジを有する本発明の寛骨臼カッププロテーゼの、好ましい一実施形態を示す図である。
【図8G】傾斜したフランジを有する本発明の寛骨臼カッププロテーゼの、好ましい一実施形態を示す図である。
【図9A】本発明の寛骨臼カッププロテーゼと共に使用するためのドリル案内部の、好ましい一実施形態を示す図である。
【図9B】本発明の寛骨臼カッププロテーゼと共に使用するためのドリル案内部の、好ましい一実施形態を示す図である。
【図9C】本発明の寛骨臼カッププロテーゼと共に使用するためのドリル案内部の、好ましい一実施形態を示す図である。
【図9D】本発明の寛骨臼カッププロテーゼと共に使用するためのドリル案内部の、好ましい一実施形態を示す図である。
【図9E】本発明の寛骨臼カッププロテーゼと共に使用するためのドリル案内部の、好ましい一実施形態を示す図である。
【図10A】従来技術の3つ穴カップを示す図である。
【図10B】従来技術の3つ穴カップを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の寛骨の不完全な寛骨臼内で使用するための一体寛骨臼カッププロテーゼであって、前記プロテーゼが、
軸および上部周縁を有するほぼドーム形状の壁を備え、前記壁の内側軸受面が股関節プロテーゼの大腿骨頭に枢動式に係合するように構成される、カップ部分と、
前記プロテーゼを前記患者の寛骨に取り付けるのに使用される1対の隣接するねじ保持部材とを備え、前記各ねじ保持部材は、前記ドームの外面から前記周縁にほぼ沿って延び、前記各ねじ保持部材は、前記ねじ保持部材が前記周縁に対して一定に傾斜し、かつ、前記周縁に対して一定にオフセットするように、前記カップ部分と一体に形成され、前記ねじ保持部材は、前記プロテーゼを前記患者の前記股関節の片側に埋込むことを容易にするために相互に協働関係となる方向に配置され、
前記各ねじ保持部材は、該保持部材を貫通するねじ穴を有し、前記各ねじ穴は、前記ねじ穴の軸が、1つの次元では、前記カップ部分の前記軸に向かって収束し、第2の次元では、前記ねじ穴の前記軸が前記カップ部分の前記軸に対して傾くように、前記周縁に対して一定に傾斜する、プロテーゼ。
【請求項2】
ねじ保持部材の前記対の前記ねじ穴は、互いに平行関係にあり、それによって前記患者の寛骨内で、平行固定軸の周りにおいての固定を可能にする、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項3】
前記各ねじ保持部材の前記ねじ穴の前記軸が、前記ねじ保持部材の前記傾斜に対してほぼ直交し、前記ねじ保持部材の前記オフセットに対してほぼ直交する、請求項2に記載のプロテーゼ。
【請求項4】
ねじ保持部材の前記対の前記ねじ穴が、相互に離間した関係にあり、それによって前記患者の寛骨内での非平行固定軸の周りにおいての固定を可能にする、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項5】
前記各ねじ保持部材の前記ねじ穴の前記軸が、前記ねじ保持部材の前記傾斜に対してほぼ直交し、前記ねじ保持部材の前記オフセットに対してほぼ直交する、請求項4に記載のプロテーゼ。
【請求項6】
前記各ねじ保持部材が、前記周縁に対して約10°から約25°の間の角度で一定に傾斜し、前記各ねじ保持部材が、前記周縁に対して約10°から約25°の間の角度で一定にオフセットする、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項7】
前記各ねじ保持部材が、前記周縁に対して約20°の角度で一定に傾斜し、前記各ねじ保持部材が、前記周縁に対して約20°の角度で一定にオフセットする、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項8】
前記プロテーゼを前記患者の寛骨に取り付けるために使用するための第2の一対のねじ保持部材をさらに備え、前記第2の一対の前記各ねじ保持部材は、前記ドームの前記外面から前記周縁にほぼ沿って延び、前記第2対の前記各ねじ保持部材は、前記ねじ保持部材が前記周縁に対して一定に傾斜し前記周縁に対して一定にオフセットするように前記カップ部分と一体に形成され、前記ねじ保持部材は、前記プロテーゼを前記患者の前記股関節の反対側に埋め込むことを容易にするように相互に協働関係となる方向に配置され、
前記第2の一対の前記各ねじ保持部材は、該保持部材を貫通するねじ穴を有し、前記各ねじ穴が、1つの次元では、前記ねじ穴の軸が、前記カップ部分の前記軸に向かって収束し、第2の次元では、前記ねじ穴の前記軸が前記カップ部分の前記軸に対して傾くように、前記周縁に対して一定に傾斜し、
前記第1および前記第2対のねじ保持部材は、前記プロテーゼを前記患者の左または右いずれの寛骨臼内でも使用することができるように向けられる、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項9】
前記ねじ保持部材が、単一フランジ上に形成される、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項10】
前記ねじ保持部材が、単一フランジ上に形成される、請求項8に記載のプロテーゼ。
【請求項11】
患者の寛骨の不完全な寛骨臼内で使用するための一体寛骨臼カッププロテーゼであって、前記プロテーゼが、
軸および上部周縁を有するほぼドーム形状の壁を備え、前記壁の内部軸受面が股関節プロテーゼの大腿骨頭に枢動式に係合するように構成される、カップ部分と、
前記ドームの外面から前記周縁にほぼ沿って延び、前記カップ部分と一体に形成され、前記周縁に対して傾斜するフランジとを備え、
前記フランジは、前記プロテーゼを前記患者の寛骨に取り付けるために使用するための第1および第2対のねじ保持部材をその上に備え、
前記各ねじ保持部材は、前記周縁に対して一定に傾斜し、前記周縁に対して一定にオフセットしおり、
前記各ねじ保持部材は、それを貫通するねじ穴を有し、前記各ねじ穴は、前記ねじ穴の軸が1つの次元で前記カップ部分の前記軸に向かって収束し前記ねじ穴の前記軸が第2の次元で前記カップ部分の前記軸に対して傾くように、前記周縁に対して一定に傾斜し、
前記第1対のねじ保持部材は、前記装置を前記患者の左股関節内に埋込むことを容易にするために相互に協働関係となるように固定され、
前記第2対のねじ保持部材は、前記装置を患者の右股関節内に埋込むことを容易にするために相互に協働関係となるように、また前記第1対のねじ保持部材に対して傾いた関係で固定され、
前記第1および前記第2対のねじ保持部材がジグザグ関係に配列される、プロテーゼ。
【請求項12】
前記第1対のねじ保持部材の前記ねじ穴が、互いに平行関係にあり、それによって前記患者の寛骨臼内で、平行固定軸の周りにおいての固定を可能にし、
前記第2対のねじ保持部材の前記ねじ穴が、互いにほぼ平行関係にあり、それによって前記患者の寛骨臼内で平行固定軸の周りにおいての固定を可能にし、
前記第1対のねじ保持部材の前記ねじ穴が、前記第2対のねじ保持部材の前記ねじ穴と傾いた関係にある、請求項11に記載のプロテーゼ。
【請求項13】
前記各ねじ保持部材の前記ねじ穴の前記軸が、前記ねじ保持部材の前記傾斜に対してほぼ直交し、前記ねじ保持部材の前記オフセットに対してほぼ直交する、請求項12に記載のプロテーゼ。
【請求項14】
前記各ねじ保持部材の前記ねじ穴の前記軸が、前記ねじ保持部材の前記傾斜に対してほぼ直交し、前記ねじ保持部材の前記オフセットに対してほぼ直交する、請求項11に記載のプロテーゼ。
【請求項15】
前記第1対のねじ保持部材の前記ねじ穴が、相互に離間した関係にあり、それによって前記患者の寛骨臼内の、非平行固定軸の周りにおいての固定が可能になり、
前記第2対のねじ保持部材の前記ねじ穴が、相互に離間した関係にあり、それによって、前記患者の寛骨臼内の非平行固定軸の周りの固定が可能になり、
前記第1対のねじ保持部材の前記ねじ穴が、前記第2対のねじ保持部材の前記ねじ穴と傾いた関係である、請求項11に記載のプロテーゼ。
【請求項16】
前記各ねじ保持部材の前記ねじ穴の前記軸が、前記ねじ保持部材の前記傾斜に対してほぼ直交し、前記ねじ保持部材の前記オフセットに対してほぼ直交する、請求項15に記載のプロテーゼ。
【請求項17】
前記各ねじ保持部材が、前記周縁に対して約10°から約25°の間の角度で一定に傾斜し、前記各ねじ保持部材が、前記周縁に対して約10°から約25°の間の角度で一定にオフセットする、請求項11に記載のプロテーゼ。
【請求項18】
前記各ねじ保持部材が、前記周縁に対して約20°の角度で一定に傾斜し、前記各ねじ保持部材が、前記周縁に対して約20°の角度で一定にオフセットする、請求項11に記載のプロテーゼ。
【請求項19】
患者の寛骨の不完全な寛骨臼内で使用するための一体寛骨臼カッププロテーゼであって、前記プロテーゼが、
軸およびほぼ平坦な上部周縁を有するほぼドーム形状の壁を備え、前記壁の内側軸受面が股関節プロテーゼの大腿骨頭に枢動式に係合するように構成される、カップ部分と、
前記カップ部分と一体に形成されるフランジ部材とを備え、前記フランジ部材が、
前記上部周縁の一部に沿って上向きに延びる基部と、
ほぼ平坦なねじ保持部分とを備え、前記ねじ保持部分は、前記ねじ保持部分の下面の少なくとも外側部分が前記上部周縁の下方に配置され前記ねじ保持部分の上面が前記上部周縁の上方に配置されるように、前記基部から傾斜し、
前記ねじ保持部分が、該ねじ保持部分を貫通して形成される第1のねじ穴、第2のねじ穴、および中立ねじ穴を有し、前記中立穴が、前記第1および前記第2のねじ穴の間に配置され、
前記第1のねじ穴は、前記第1のねじ穴の軸が前記フランジ部材の幅側にほぼ沿って見た第1の次元で前記カップ部分の前記軸に向かって傾斜し、前記第1のねじ穴の前記軸が前記フランジ部材の長さ側にほぼ沿って見た第2の次元で前記カップ部分の前記軸から外側にオフセットするように、前記上部周縁に対して一定に傾斜し、
前記第2のねじ穴は、前記第2のねじ穴の軸が前記第1の次元で前記カップ部分の前記軸に向かって傾斜し、前記第2のねじ穴の前記軸が前記カップ部分の前記軸から外側に、前記第2の次元で前記第1のねじ穴の前記軸から離れてオフセットするように、前記上部周縁に対して一定に傾斜し、
前記中立穴は、前記中立ねじ穴の軸が前記第1の次元で前記カップ部分の前記軸に向かって傾斜し、前記中立ねじ穴の前記軸が前記第2の次元で前記カップ部分の前記軸とほぼ平行となるように、前記上部周縁に対して一定に傾斜し、
前記第1のねじ穴、第2のねじ穴、および中立ねじ穴が、互いに十分に近接して離間され、それによって前記プロテーゼを患者の左または右いずれの股関節内で使用することも可能になる、プロテーゼ。
【請求項20】
前記フランジ部材の前記ねじ保持部分が、前記上部周縁に対して約15°から約25°の間の角度で一定に傾斜している、請求項19に記載のプロテーゼ。
【請求項21】
前記フランジ部材の前記ねじ保持部分が、前記上部周縁に対して約20°の角度で一定に傾斜している、請求項20に記載のプロテーゼ。
【請求項22】
前記各ねじ穴の前記軸が、前記第1の次元で前記フランジ部材の前記傾斜に対してほぼ直交している、請求項19に記載のプロテーゼ。
【請求項23】
前記第1のねじ穴、前記第2のねじ穴、および前記中立ねじ穴の前記軸が、前記第1の次元でほぼ平行である、請求項19に記載のプロテーゼ。
【請求項24】
前記第1および前記第2のねじ穴それぞれの前記軸が、前記中立ねじ穴の前記軸から前記第2の次元で約15°から約25°の間の角度で離れる、請求項19に記載のプロテーゼ。
【請求項25】
前記第1および前記第2のねじ穴それぞれの前記軸が、前記中立ねじ穴の前記軸から前記第2の次元で約20°の角度で離れる、請求項24に記載のプロテーゼ。
【請求項26】
前記第1のねじ穴、前記第2のねじ穴、および前記中立ねじ穴が、前記フランジ部材の前記ねじ保持部分に沿って前記カップ部分の前記軸からほぼ等距離で径方向に配列される、請求項19に記載のプロテーゼ。
【請求項27】
前記フランジ部材が、前記カップ部分の前記上部周縁の約60°未満の弧に沿って延びる、請求項19に記載のプロテーゼ。
【請求項28】
前記第1および前記第2のねじ穴が、前記中立ねじ穴から径方向に約20°離間される、請求項19に記載のプロテーゼ。
【請求項29】
前記フランジ部材の前記ねじ保持部分の上面が平坦であり、それによって前記プロテーゼの製造および機器の使用が容易になる、請求項19に記載のプロテーゼ。
【請求項30】
前記フランジ部材の前記ねじ保持部分の前記下面が、湾曲した輪郭を有し、それによって、前記プロテーゼの製造および機器の使用が容易になり前記プロテーゼの骨に対する適合性が増す、請求項19に記載のプロテーゼ。
【請求項31】
前記湾曲した輪郭が円錐の断面である、請求項30に記載のプロテーゼ。
【請求項32】
インパクタ機器を収容するためのインパクタ空間を有する前記フランジ部材をさらに備え、前記上部周縁が、前記インパクタ空間内へと延びそこを満たす、請求項19に記載のプロテーゼ。
【請求項33】
前記カップ部分の前記上部周縁および前記壁の前記外面を貫通して形成される複数のインパクタノッチを有する前記カップ部分をさらに備え、前記各インパクタノッチが、関連するインパクタタブを有し、前記インパクタノッチおよび関連するインパクタタブが、インパクタ機器により前記プロテーゼを選択的に係合させるように構成される、請求項32に記載のプロテーゼ。
【請求項34】
前記ねじ穴は、ドリル案内部を受け入れて位置合せするための浅いカウンタボアを備える、請求項19に記載のプロテーゼ。
【請求項35】
患者の寛骨の不完全な寛骨臼内で使用するための一体寛骨臼カッププロテーゼであって、前記プロテーゼが、
請求項19に記載のプロテーゼと、
1対の保持ねじとを備え、前記保持ねじがそれぞれ、頭部および該頭部から延びる長さ方向のねじ軸を有し、前記ねじ軸が、融合されたねじ山を有し、
前記融合されたねじ山の基端側の部分は、前記ねじが前記ねじ穴から戻り出ることを防ぐために、前記ねじ穴の雌ねじに密接に噛合うように構成された機械ねじ山部分であり、
前記融合されたねじ山の末端側の部分は、前記ねじ穴の雌ねじを通してねじ込まれ、また前記患者の前記寛骨に確実に係合するように構成された骨ねじ山部分である、プロテーゼ。
【請求項36】
前記融合されたねじ山の前記機械ねじ山部分が、前記ねじ軸の約4分の1未満に沿って延び、前記骨ねじ山が、前記機械ねじ山部分と前記ねじ軸の末端の先端との間で延びる、請求項35に記載のプロテーゼ。
【請求項37】
前記骨ねじ山部分が、好ましくは約30°の基端側のピッチおよび約3°の先端側のピッチを有する、請求項35に記載のプロテーゼ。
【請求項38】
前記第1のねじ穴、前記第2のねじ穴、および前記中立ねじ穴は、前記保持ねじの前記頭部が少なくとも部分的に前記ねじ保持部材内に沈められることが可能になるように構成される、請求項35に記載のプロテーゼ。
【請求項39】
患者の不完全な寛骨臼内の股関節プロテーゼを埋込むために使用するためのキットの組合せであって、
請求項19に記載のプロテーゼと、
前記プロテーゼの前記フランジ部材の、前記ねじ保持部分の前記ねじ穴と軸方向に位置合せされるねじ穴を穿孔するために使用されるドリル案内部とを備え、前記ドリル案内部は、前記フランジ部材の前記ねじ保持部分の前記上面に重なるように構成されたプレートを備え、前記ドリル案内部が、前記外側固定ねじ孔内に配置された固定ねじによって前記ねじ保持部分の前記上面に選択的に固定され前記第1および第2のねじ穴のいずれかにねじ込まれるときに、前記外側ドリル案内孔および前記中立ドリル案内孔が、前記ねじ保持部材の前記ねじ穴を貫通し前記患者の前記股関節内へとねじ穴を穿孔するのに使用するために配置されるように、前記プレートが、前記ねじ保持部分の前記第1および前記第2のねじ穴と軸方向に位置合せされる外側ドリル案内孔と、前記ねじ保持部分の前記中立ねじ穴と軸方向に位置合せされる中立ドリル案内孔と、前記ねじ保持部分の前記第1および前記第2のねじ穴と軸方向に位置合せされる固定ねじ孔とを有する、キット組合せ。
【請求項40】
前記外側ドリル案内孔を前記第1または前記第2のねじ穴のいずれかと位置合せするために使用するための、前記外側ドリル案内孔の下方に延びる前記外側ドリル案内孔座部と、
前記中立ドリル案内孔を前記中立ねじ穴と位置合せするために使用するための、前記ドリル案内孔の下方に延びる中立ドリル案内孔座部と、
前記固定ねじ孔を前記第1または第2のねじ穴と位置合せするために使用するための、前記固定ねじ孔の下方に延びる固定ねじ孔座部とをさらに備える、請求項39に記載のキット組合せ。
【請求項41】
前記外側ドリル案内孔座部が、ほぼ半円形であり、前記中立ドリル案内孔座部が、環状であり前記固定ねじ孔座部が、ほぼ半円形である、請求項39に記載のキット組合せ。
【請求項1】
患者の寛骨の不完全な寛骨臼内で使用するための一体寛骨臼カッププロテーゼであって、前記プロテーゼが、
軸および上部周縁を有するほぼドーム形状の壁を備え、前記壁の内側軸受面が股関節プロテーゼの大腿骨頭に枢動式に係合するように構成される、カップ部分と、
前記プロテーゼを前記患者の寛骨に取り付けるのに使用される1対の隣接するねじ保持部材とを備え、前記各ねじ保持部材は、前記ドームの外面から前記周縁にほぼ沿って延び、前記各ねじ保持部材は、前記ねじ保持部材が前記周縁に対して一定に傾斜し、かつ、前記周縁に対して一定にオフセットするように、前記カップ部分と一体に形成され、前記ねじ保持部材は、前記プロテーゼを前記患者の前記股関節の片側に埋込むことを容易にするために相互に協働関係となる方向に配置され、
前記各ねじ保持部材は、該保持部材を貫通するねじ穴を有し、前記各ねじ穴は、前記ねじ穴の軸が、1つの次元では、前記カップ部分の前記軸に向かって収束し、第2の次元では、前記ねじ穴の前記軸が前記カップ部分の前記軸に対して傾くように、前記周縁に対して一定に傾斜する、プロテーゼ。
【請求項2】
ねじ保持部材の前記対の前記ねじ穴は、互いに平行関係にあり、それによって前記患者の寛骨内で、平行固定軸の周りにおいての固定を可能にする、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項3】
前記各ねじ保持部材の前記ねじ穴の前記軸が、前記ねじ保持部材の前記傾斜に対してほぼ直交し、前記ねじ保持部材の前記オフセットに対してほぼ直交する、請求項2に記載のプロテーゼ。
【請求項4】
ねじ保持部材の前記対の前記ねじ穴が、相互に離間した関係にあり、それによって前記患者の寛骨内での非平行固定軸の周りにおいての固定を可能にする、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項5】
前記各ねじ保持部材の前記ねじ穴の前記軸が、前記ねじ保持部材の前記傾斜に対してほぼ直交し、前記ねじ保持部材の前記オフセットに対してほぼ直交する、請求項4に記載のプロテーゼ。
【請求項6】
前記各ねじ保持部材が、前記周縁に対して約10°から約25°の間の角度で一定に傾斜し、前記各ねじ保持部材が、前記周縁に対して約10°から約25°の間の角度で一定にオフセットする、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項7】
前記各ねじ保持部材が、前記周縁に対して約20°の角度で一定に傾斜し、前記各ねじ保持部材が、前記周縁に対して約20°の角度で一定にオフセットする、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項8】
前記プロテーゼを前記患者の寛骨に取り付けるために使用するための第2の一対のねじ保持部材をさらに備え、前記第2の一対の前記各ねじ保持部材は、前記ドームの前記外面から前記周縁にほぼ沿って延び、前記第2対の前記各ねじ保持部材は、前記ねじ保持部材が前記周縁に対して一定に傾斜し前記周縁に対して一定にオフセットするように前記カップ部分と一体に形成され、前記ねじ保持部材は、前記プロテーゼを前記患者の前記股関節の反対側に埋め込むことを容易にするように相互に協働関係となる方向に配置され、
前記第2の一対の前記各ねじ保持部材は、該保持部材を貫通するねじ穴を有し、前記各ねじ穴が、1つの次元では、前記ねじ穴の軸が、前記カップ部分の前記軸に向かって収束し、第2の次元では、前記ねじ穴の前記軸が前記カップ部分の前記軸に対して傾くように、前記周縁に対して一定に傾斜し、
前記第1および前記第2対のねじ保持部材は、前記プロテーゼを前記患者の左または右いずれの寛骨臼内でも使用することができるように向けられる、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項9】
前記ねじ保持部材が、単一フランジ上に形成される、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項10】
前記ねじ保持部材が、単一フランジ上に形成される、請求項8に記載のプロテーゼ。
【請求項11】
患者の寛骨の不完全な寛骨臼内で使用するための一体寛骨臼カッププロテーゼであって、前記プロテーゼが、
軸および上部周縁を有するほぼドーム形状の壁を備え、前記壁の内部軸受面が股関節プロテーゼの大腿骨頭に枢動式に係合するように構成される、カップ部分と、
前記ドームの外面から前記周縁にほぼ沿って延び、前記カップ部分と一体に形成され、前記周縁に対して傾斜するフランジとを備え、
前記フランジは、前記プロテーゼを前記患者の寛骨に取り付けるために使用するための第1および第2対のねじ保持部材をその上に備え、
前記各ねじ保持部材は、前記周縁に対して一定に傾斜し、前記周縁に対して一定にオフセットしおり、
前記各ねじ保持部材は、それを貫通するねじ穴を有し、前記各ねじ穴は、前記ねじ穴の軸が1つの次元で前記カップ部分の前記軸に向かって収束し前記ねじ穴の前記軸が第2の次元で前記カップ部分の前記軸に対して傾くように、前記周縁に対して一定に傾斜し、
前記第1対のねじ保持部材は、前記装置を前記患者の左股関節内に埋込むことを容易にするために相互に協働関係となるように固定され、
前記第2対のねじ保持部材は、前記装置を患者の右股関節内に埋込むことを容易にするために相互に協働関係となるように、また前記第1対のねじ保持部材に対して傾いた関係で固定され、
前記第1および前記第2対のねじ保持部材がジグザグ関係に配列される、プロテーゼ。
【請求項12】
前記第1対のねじ保持部材の前記ねじ穴が、互いに平行関係にあり、それによって前記患者の寛骨臼内で、平行固定軸の周りにおいての固定を可能にし、
前記第2対のねじ保持部材の前記ねじ穴が、互いにほぼ平行関係にあり、それによって前記患者の寛骨臼内で平行固定軸の周りにおいての固定を可能にし、
前記第1対のねじ保持部材の前記ねじ穴が、前記第2対のねじ保持部材の前記ねじ穴と傾いた関係にある、請求項11に記載のプロテーゼ。
【請求項13】
前記各ねじ保持部材の前記ねじ穴の前記軸が、前記ねじ保持部材の前記傾斜に対してほぼ直交し、前記ねじ保持部材の前記オフセットに対してほぼ直交する、請求項12に記載のプロテーゼ。
【請求項14】
前記各ねじ保持部材の前記ねじ穴の前記軸が、前記ねじ保持部材の前記傾斜に対してほぼ直交し、前記ねじ保持部材の前記オフセットに対してほぼ直交する、請求項11に記載のプロテーゼ。
【請求項15】
前記第1対のねじ保持部材の前記ねじ穴が、相互に離間した関係にあり、それによって前記患者の寛骨臼内の、非平行固定軸の周りにおいての固定が可能になり、
前記第2対のねじ保持部材の前記ねじ穴が、相互に離間した関係にあり、それによって、前記患者の寛骨臼内の非平行固定軸の周りの固定が可能になり、
前記第1対のねじ保持部材の前記ねじ穴が、前記第2対のねじ保持部材の前記ねじ穴と傾いた関係である、請求項11に記載のプロテーゼ。
【請求項16】
前記各ねじ保持部材の前記ねじ穴の前記軸が、前記ねじ保持部材の前記傾斜に対してほぼ直交し、前記ねじ保持部材の前記オフセットに対してほぼ直交する、請求項15に記載のプロテーゼ。
【請求項17】
前記各ねじ保持部材が、前記周縁に対して約10°から約25°の間の角度で一定に傾斜し、前記各ねじ保持部材が、前記周縁に対して約10°から約25°の間の角度で一定にオフセットする、請求項11に記載のプロテーゼ。
【請求項18】
前記各ねじ保持部材が、前記周縁に対して約20°の角度で一定に傾斜し、前記各ねじ保持部材が、前記周縁に対して約20°の角度で一定にオフセットする、請求項11に記載のプロテーゼ。
【請求項19】
患者の寛骨の不完全な寛骨臼内で使用するための一体寛骨臼カッププロテーゼであって、前記プロテーゼが、
軸およびほぼ平坦な上部周縁を有するほぼドーム形状の壁を備え、前記壁の内側軸受面が股関節プロテーゼの大腿骨頭に枢動式に係合するように構成される、カップ部分と、
前記カップ部分と一体に形成されるフランジ部材とを備え、前記フランジ部材が、
前記上部周縁の一部に沿って上向きに延びる基部と、
ほぼ平坦なねじ保持部分とを備え、前記ねじ保持部分は、前記ねじ保持部分の下面の少なくとも外側部分が前記上部周縁の下方に配置され前記ねじ保持部分の上面が前記上部周縁の上方に配置されるように、前記基部から傾斜し、
前記ねじ保持部分が、該ねじ保持部分を貫通して形成される第1のねじ穴、第2のねじ穴、および中立ねじ穴を有し、前記中立穴が、前記第1および前記第2のねじ穴の間に配置され、
前記第1のねじ穴は、前記第1のねじ穴の軸が前記フランジ部材の幅側にほぼ沿って見た第1の次元で前記カップ部分の前記軸に向かって傾斜し、前記第1のねじ穴の前記軸が前記フランジ部材の長さ側にほぼ沿って見た第2の次元で前記カップ部分の前記軸から外側にオフセットするように、前記上部周縁に対して一定に傾斜し、
前記第2のねじ穴は、前記第2のねじ穴の軸が前記第1の次元で前記カップ部分の前記軸に向かって傾斜し、前記第2のねじ穴の前記軸が前記カップ部分の前記軸から外側に、前記第2の次元で前記第1のねじ穴の前記軸から離れてオフセットするように、前記上部周縁に対して一定に傾斜し、
前記中立穴は、前記中立ねじ穴の軸が前記第1の次元で前記カップ部分の前記軸に向かって傾斜し、前記中立ねじ穴の前記軸が前記第2の次元で前記カップ部分の前記軸とほぼ平行となるように、前記上部周縁に対して一定に傾斜し、
前記第1のねじ穴、第2のねじ穴、および中立ねじ穴が、互いに十分に近接して離間され、それによって前記プロテーゼを患者の左または右いずれの股関節内で使用することも可能になる、プロテーゼ。
【請求項20】
前記フランジ部材の前記ねじ保持部分が、前記上部周縁に対して約15°から約25°の間の角度で一定に傾斜している、請求項19に記載のプロテーゼ。
【請求項21】
前記フランジ部材の前記ねじ保持部分が、前記上部周縁に対して約20°の角度で一定に傾斜している、請求項20に記載のプロテーゼ。
【請求項22】
前記各ねじ穴の前記軸が、前記第1の次元で前記フランジ部材の前記傾斜に対してほぼ直交している、請求項19に記載のプロテーゼ。
【請求項23】
前記第1のねじ穴、前記第2のねじ穴、および前記中立ねじ穴の前記軸が、前記第1の次元でほぼ平行である、請求項19に記載のプロテーゼ。
【請求項24】
前記第1および前記第2のねじ穴それぞれの前記軸が、前記中立ねじ穴の前記軸から前記第2の次元で約15°から約25°の間の角度で離れる、請求項19に記載のプロテーゼ。
【請求項25】
前記第1および前記第2のねじ穴それぞれの前記軸が、前記中立ねじ穴の前記軸から前記第2の次元で約20°の角度で離れる、請求項24に記載のプロテーゼ。
【請求項26】
前記第1のねじ穴、前記第2のねじ穴、および前記中立ねじ穴が、前記フランジ部材の前記ねじ保持部分に沿って前記カップ部分の前記軸からほぼ等距離で径方向に配列される、請求項19に記載のプロテーゼ。
【請求項27】
前記フランジ部材が、前記カップ部分の前記上部周縁の約60°未満の弧に沿って延びる、請求項19に記載のプロテーゼ。
【請求項28】
前記第1および前記第2のねじ穴が、前記中立ねじ穴から径方向に約20°離間される、請求項19に記載のプロテーゼ。
【請求項29】
前記フランジ部材の前記ねじ保持部分の上面が平坦であり、それによって前記プロテーゼの製造および機器の使用が容易になる、請求項19に記載のプロテーゼ。
【請求項30】
前記フランジ部材の前記ねじ保持部分の前記下面が、湾曲した輪郭を有し、それによって、前記プロテーゼの製造および機器の使用が容易になり前記プロテーゼの骨に対する適合性が増す、請求項19に記載のプロテーゼ。
【請求項31】
前記湾曲した輪郭が円錐の断面である、請求項30に記載のプロテーゼ。
【請求項32】
インパクタ機器を収容するためのインパクタ空間を有する前記フランジ部材をさらに備え、前記上部周縁が、前記インパクタ空間内へと延びそこを満たす、請求項19に記載のプロテーゼ。
【請求項33】
前記カップ部分の前記上部周縁および前記壁の前記外面を貫通して形成される複数のインパクタノッチを有する前記カップ部分をさらに備え、前記各インパクタノッチが、関連するインパクタタブを有し、前記インパクタノッチおよび関連するインパクタタブが、インパクタ機器により前記プロテーゼを選択的に係合させるように構成される、請求項32に記載のプロテーゼ。
【請求項34】
前記ねじ穴は、ドリル案内部を受け入れて位置合せするための浅いカウンタボアを備える、請求項19に記載のプロテーゼ。
【請求項35】
患者の寛骨の不完全な寛骨臼内で使用するための一体寛骨臼カッププロテーゼであって、前記プロテーゼが、
請求項19に記載のプロテーゼと、
1対の保持ねじとを備え、前記保持ねじがそれぞれ、頭部および該頭部から延びる長さ方向のねじ軸を有し、前記ねじ軸が、融合されたねじ山を有し、
前記融合されたねじ山の基端側の部分は、前記ねじが前記ねじ穴から戻り出ることを防ぐために、前記ねじ穴の雌ねじに密接に噛合うように構成された機械ねじ山部分であり、
前記融合されたねじ山の末端側の部分は、前記ねじ穴の雌ねじを通してねじ込まれ、また前記患者の前記寛骨に確実に係合するように構成された骨ねじ山部分である、プロテーゼ。
【請求項36】
前記融合されたねじ山の前記機械ねじ山部分が、前記ねじ軸の約4分の1未満に沿って延び、前記骨ねじ山が、前記機械ねじ山部分と前記ねじ軸の末端の先端との間で延びる、請求項35に記載のプロテーゼ。
【請求項37】
前記骨ねじ山部分が、好ましくは約30°の基端側のピッチおよび約3°の先端側のピッチを有する、請求項35に記載のプロテーゼ。
【請求項38】
前記第1のねじ穴、前記第2のねじ穴、および前記中立ねじ穴は、前記保持ねじの前記頭部が少なくとも部分的に前記ねじ保持部材内に沈められることが可能になるように構成される、請求項35に記載のプロテーゼ。
【請求項39】
患者の不完全な寛骨臼内の股関節プロテーゼを埋込むために使用するためのキットの組合せであって、
請求項19に記載のプロテーゼと、
前記プロテーゼの前記フランジ部材の、前記ねじ保持部分の前記ねじ穴と軸方向に位置合せされるねじ穴を穿孔するために使用されるドリル案内部とを備え、前記ドリル案内部は、前記フランジ部材の前記ねじ保持部分の前記上面に重なるように構成されたプレートを備え、前記ドリル案内部が、前記外側固定ねじ孔内に配置された固定ねじによって前記ねじ保持部分の前記上面に選択的に固定され前記第1および第2のねじ穴のいずれかにねじ込まれるときに、前記外側ドリル案内孔および前記中立ドリル案内孔が、前記ねじ保持部材の前記ねじ穴を貫通し前記患者の前記股関節内へとねじ穴を穿孔するのに使用するために配置されるように、前記プレートが、前記ねじ保持部分の前記第1および前記第2のねじ穴と軸方向に位置合せされる外側ドリル案内孔と、前記ねじ保持部分の前記中立ねじ穴と軸方向に位置合せされる中立ドリル案内孔と、前記ねじ保持部分の前記第1および前記第2のねじ穴と軸方向に位置合せされる固定ねじ孔とを有する、キット組合せ。
【請求項40】
前記外側ドリル案内孔を前記第1または前記第2のねじ穴のいずれかと位置合せするために使用するための、前記外側ドリル案内孔の下方に延びる前記外側ドリル案内孔座部と、
前記中立ドリル案内孔を前記中立ねじ穴と位置合せするために使用するための、前記ドリル案内孔の下方に延びる中立ドリル案内孔座部と、
前記固定ねじ孔を前記第1または第2のねじ穴と位置合せするために使用するための、前記固定ねじ孔の下方に延びる固定ねじ孔座部とをさらに備える、請求項39に記載のキット組合せ。
【請求項41】
前記外側ドリル案内孔座部が、ほぼ半円形であり、前記中立ドリル案内孔座部が、環状であり前記固定ねじ孔座部が、ほぼ半円形である、請求項39に記載のキット組合せ。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図8G】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図10A】
【図10B】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図8G】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図10A】
【図10B】
【公表番号】特表2008−513054(P2008−513054A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531469(P2007−531469)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/032788
【国際公開番号】WO2006/031911
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(500430408)ライト メディカル テクノロジー インコーポレーテッド (7)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/032788
【国際公開番号】WO2006/031911
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(500430408)ライト メディカル テクノロジー インコーポレーテッド (7)
【Fターム(参考)】
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