説明

不定比コージライト繊維を含む低熱膨張係数材料および製造方法

繊維状セラミック材料は、RxMg2Al4+xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18組成構造を持つ複数の繊維から成る。本繊維状セラミック材料は、2つ以上のRxMg2Al4+xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体の少なくとも1つが繊維形状である、2つ以上のRxMg2Al4+xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体を組み合わせることにより形成される。
繊維状セラミック材料は成形されて、そのすべての繊維の少なくとも約20%が実質的に共通の方向に整列している繊維体を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に繊維状セラミック材料に関連し、さらも具体的には、複数の不定比コージライト繊維を含む低熱膨張係数繊維状材料およびその繊維状材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
改良セラミック材料は一般に、自動車エンジン(触媒コンバーターなど)、航空宇宙用途(スペースシャトルタイルなど)、耐熱性業務(耐火れんがなど)および電子機器(コンデンサ、絶縁体など)など、過酷な環境の場所にあるシステムで使用される。多孔質セラミック体はフィルターとしてこれらの環境で特に使用される。例えば、今日の自動車産業では、触媒酸化と排気ガスの低減のため、また排出粒子状物質をろ過するために、セラミックハニカム基質(すなわち多孔質セラミック体)が使用される。セラミックハニカム基質は、ろ過のための高い比表面積を提供し、触媒反応を支援すると同時に、安定しており、自動車エンジン環境に伴う高い使用温度で構造的に十分信頼性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般的に、たとえばコージライトなどのセラミック材料は、不活性材料であり、高温環境下で良い性能を示す。しかし、セラミック材料は、周囲温度用途と高温用途の間での循環により生じるストレスなどの熱応力に影響されないわけではない。従って、セラミックフィルターは、劣化して現在の用途に対しては非効率・無効となることが知られている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一般に、本書に記載の実施例は、自動車エンジン環境でのフィルターを含む、さまざまな用途で使用できる繊維状セラミック材料を取り上げる。本繊維状セラミック材料は、複数の不定比コージライト繊維(すなわち、RxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18の組成構造を持つ繊維で、ここでxは0より大きく、RはMg、Al、Si、またはO以外の元素)を含む。本書に記載の実施例はまた、本繊維状セラミック材料の製造方法も取り上げる。具体的には、1つの実施例では、繊維状セラミック材料は、2つ以上の前駆体材料の反応によってRxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18繊維を形成することにより製造され、ここで2つ以上の前駆体材料の少なくとも1つは繊維形状である。反応により作られる複数のRxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18繊維は、押出しまたは他の方法で繊維体に成形される。押出しまたは成形中に、繊維体の少なくとも1つの方向での熱膨張係数 (CTE)の減少により、繊維の整列が起こると考えられている。CTEの低減の結果、高温で亀裂および膨張がごく小さい多孔質繊維状セラミック体を形成することができる。さらに、特定の実施例では、繊維の組成構造を変えることによってCTEをさらに低減し得る。例えば、コージライトの組成構造を不定比形状から変更することにより、繊維状材料の結晶格子を操作することができ、CTE値の方向変化をもたらす。
【0005】
1つの形態では、本発明に記載の実施例は、繊維状材料のすべての繊維の少なくとも約5%がRxMg2Al4+2xSi5-xO18 か RxMg2-xAl4Si5O18のどちらかの組成構造を持つ繊維状材料の製造方法に関する。本方法には、少なくとも2つのRxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体材料を混合して、混合物を形成すること(少なくとも2つのRxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体の1つ以上は繊維形状である)、混合物を押出して繊維体を生成すること、および繊維体を熱処理ぢて繊維状材料を形成することを含む。
【0006】
本発明のこの形態の実施例には、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。一部の実施例では、繊維体の熱処理後、そのすべての繊維の少なくとも約25%がRxMg2Al4+2xSi5-xO18 またはRxMg2-xAl4Si5O18組成構造の1つを持つ。すなわち、約25%(例えば、30%、35%、45%、55%、65%またはそれ以上)の前駆体繊維が反応して、RxMg2Al4+2xSi5-xO18 またはRxMg2-xAl4Si5O18繊維のどちらかを形成したということである。特定の実施例では、前駆体材料の1つ以上を、マグネシアシリカ繊維、マグネシウムアルミン酸繊維、アルミナシリカ繊維から成るグループから選択することができる。一部の実施例では、本混合物はさらに、液体、バインター、造孔剤から成るグループから選択された1つ以上の添加剤を含み得る。その1つ以上の添加剤は、繊維体を加熱することによって実質的に除去できる。
【0007】
別の形態では、本書に記載の実施例は、RxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18繊維を含む繊維体の製造方法に関する。本方法は、少なくとも2つのRxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体材料を混合して、混合物を形成すること(ここで、少なくとも2つのRxMg2Al4+2xSi5-xO18 またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体材料の1つ以上は繊維形状である)、少なくとも2つのRxMg2Al4+2xSi5-xO18 またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体材料を反応させて、混合物中にRxMg2Al4+2xSi5-xO18 またはRxMg2-xAl4Si5O18組成構造を持つ複数の繊維を形成すること、および混合物を繊維体に成形すること(ここで、繊維体中のすべての繊維の少なくとも約5%はRxMg2Al4+2xSi5-xO18組成構造またはRxMg2-xAl4Si5O18組成構造のいずれかを持つ)を含む。
【0008】
本発明のこの形態の実施例には、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。一部の実施例では、少なくとも2つのRxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体材料の反応後、繊維体中のすべての繊維の少なくとも約25%は、RxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18組成構造を持つ。すなわち、前駆体の反応後、繊維体中のすべての繊維の少なくとも25%(例えば、35%、45%、55%、65%、75%、85%, 95%)は、RxMg2Al4+2xSi5-xO18 組成構造またはRxMg2-xAl4Si5O18組成構造のどちらかを持つ。繊維は、繊維体中のすべての繊維の少なくとも約20%が共通方向に整列するように整列され得る。特定の実施例では、前駆体材料の1つ以上を、マグネシアシリカ繊維、マグネシウムアルミン酸繊維、アルミナシリカ繊維から成るグループから選択することができる。一部の実施例では、本混合物はさらに、液体、バインター、造孔剤から成るグループから選択された1つ以上の添加剤を含み得る。その1つ以上の添加剤は、繊維体を加熱することによって実質的に除去できる。
【0009】
別の形態では、本発明の実施例は多孔質ハニカム基質の形成方法に関する。本方法は、少なくとも2つのRxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体材料を混合して混合物を形成すること(ここで、少なくとも2つのRxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体材料の1つ以上は繊維形状である)、混合物を押出して、少なくとも約20%の空隙率を持つハニカム基質を形成すること、および、ハニカム基質のすべての繊維の少なくとも約5%がRxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18組成構造を持つように、ハニカム基質を熱処理して、少なくとも2つのRxMg2Al4+2xSi5-xO18 またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体材料を反応させて、RxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18組成構造を持つ複数の繊維を形成することを含む。
【0010】
本発明のこの形態の実施例には、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。一部の実施例では、ハニカム基質を熱処理後に、そのすべての繊維の少なくとも約25%がRxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18組成構造の1つを持つ。繊維は、繊維体中のすべての繊維の少なくとも約20%が共通方向に整列するように整列され得る。特定の実施例では、前駆体材料の1つ以上を、マグネシアシリカ繊維、マグネシウムアルミン酸繊維、アルミナシリカ繊維から成るグループから選択することができる。一部の実施例では、本混合物はさらに、液体、バインター、造孔剤から成るグループから選択された1つ以上の添加剤を含み得る。その1つ以上の添加剤は、繊維体を加熱することによって実質的に除去できる。
【0011】
別の形態では、実施例は、RxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18繊維状ハニカム体に関する。繊維状ハニカム体は、隣接する壁の間の経路を規定するハニカムの一連の壁を含む。壁は、結合して、孔の開放ネットワークを持つ多孔質構造を形成する、複数のRxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18繊維を含む。壁の複数の繊維の約20%は、共通の方向に整列している。
【0012】
この形態の実施例には、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。繊維状ハニカム体の壁は、少なくとも約20%(例えば25%、30%、35%、40%、45%、50%)の空隙率を持ち得る一部の実施例では、複数のRxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18繊維は、約1より大きく2,000以下のアスペクト比を持つ。特定の実施例では、触媒コーティングが複数のRxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18繊維上に配置される。
【0013】
本発明の別の形態では、実施例はフィルターに関する。フィルターには、入口と出口を持つハウジングを含む。入口と出口の間には、RxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18繊維状ハニカム体が配置される。本体は、隣接する壁の間の経路を規定するハニカムの一連の壁を含む。壁は、結合して、孔の開放ネットワークを持つ多孔質構造を形成する、複数のRxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18繊維を含む。一部の実施例では、壁の繊維は共通の方向に整列している。特定の実施例では、少なくとも1つの触媒コーティングが、複数のRxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18繊維に蒸着する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図では、異なる図の全体を通して、類似の参照文字は一般的に同じ部分を指す。また、図は必ずしも一定の縮尺ではなく、本発明の理論の図示では代わりに強調が行なわれている。
【図1】図1は、本開示の実施例に従った繊維状材料の形成方法を示すフローチャートである。
【図2】図2は、図1の方法に従って形成された繊維状材料の一部の拡大写真である。
【図3A】図3Aと3Bは、それぞれ、熱処理の前と後の造孔剤およびバインダーの存在と不在を示す、断面略図である。
【図3B】図3Aと3Bは、それぞれ、熱処理の前と後の造孔剤およびバインダーの存在と不在を示す、断面略図である。
【図4】図4は、本開示の実施例に従った繊維状材料の別の形成方法を示すフローチャートである。
【図5】図5は、ハニカム体を示す斜視図の略図である。
【図6】図6は、接合してより大きな物体を形成する複数のハニカム体を示す斜視図の略図である。
【図7】図7は、図5のハニカム体を含むフィルターの断面略図である。
【図8】図8は、本開示の実施例に従ったハニカム体の形成方法を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
一般に、セラミック材料のCTE値を低減することによって、熱応力による亀裂を最小化することができる。下記のセラミック材料は低いCTE値を持つ。以下の1つ以上によって、低いCTE値が達成されると考えられている:(1) 材料中の繊維の実質的な整列、(2) セラミック材料の組成構造の調整による1つ以上の格子パラメーターの操作、(3) (1)の整列プロセスと、上記の(2)の1つ以上の格子パラメーターの操作の組み合わせ。
【0016】
本書に記載のセラミック材料は、ディーゼル用途のフィルターなどを含むがこれに限定されない、多くの用途に使用できる。ディーゼル自動車用途では、触媒フィルター中に高い熱膨張係数を持つセラミック材料を使用すると、性能および/または設計の柔軟性が悪化または低下する可能性がある。具体的には、ディーゼルフィルターは再生(すなわち、フィルターに捕捉された粒子状物質を燃やし尽くすために使用される高温サイクル)中に亀裂を生じやすい。従って、ディーゼルフィルターに使用されるセラミック材料の熱膨張係数を最小化することは有利である。さらに、熱衝撃パラメーター(TSP)値の増加と共に、ディーゼルフィルターの性能は増加する。熱衝撃パラメーターは以下のように定義される。TSP = 破壊係数 (MOR) /ヤング率と熱膨張係数 (CTE)の積結果として、低い熱膨張係数を持つセラミック材料はより高い性能を持つ。
【0017】
ここで図1を参照するが、繊維状セラミック材料の製造方法100が示されている。この方法を使用して形成された繊維状セラミック材料は、そのすべての繊維の少なくとも約5%がRxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18組成構造のどちらかを持つ、究極的または最終構造(すなわち、図1に示された方法の完了後の構造)を持つ。流体(気体など)が通り抜けられる三次元多孔質構造を形成するように、最終構造中の繊維は連結している。本方法は、第一の前駆体105および第二の前駆体107で混合物120を形成するなど、少なくとも2つのRxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体材料を混合することを含む。(図1は2つの前駆体を示すが、2以上の任意の数の前駆体を使用することができる。)RxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体は、他の材料と反応した時、RxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18組成構造の一部をそれぞれ形成する材料である。例えば、潜在的RxMg2Al4+2xSi5-xO18前駆体は、ビーガムクレイで(すなわち、MgO、SiO、Al2O3を含むクレイ)で、別の潜在的前駆体は、Al2O3粉末、別の潜在的前駆体は、Mg、Al、および/またはSiを含む任意の材料のゾルで、さらに別の前駆体には、RxMg2Al4+2xSi5-xO18のRがGeであるGeOがある。(上記RxMg2Al4+2xSi5-xO18前駆体はまたRxMg2-xAl4Si5O18前駆体である。)
前駆体105および107は多くの形状であり得る。例えば、前駆体は繊維ベース、コロイドベース、粒子/粉末ベース、または液体溶液ベースであり得る。しかし、少なくとも2つのRxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体(すなわち105と107)の1つ以上は、混合物120が繊維ベースの材料となるように、繊維形状である。すなわち、前駆体105および前駆体107の少なくとも1つは、例えばアルミナ繊維、シリカ繊維、ムライト繊維、アルミナケイ酸繊維(Al2O3SiO2繊維、ムライト繊維、コージライト繊維など)などの繊維形状である。
【0018】
随意に、例えば、バインダー、レオロジー調節剤(流体など)、造孔剤などの添加剤110を、混合物120に導入することができる。これらの添加剤110は、後の形状成形プロセスを補助するために、混合物120の稠度を変化または操作するために使用できる。さらに、これらの添加剤110は孔位置ホルダーとして使用され得る。すなわち、これらの添加剤は、RxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体に対しては不活性で、形状成形プロセス後、混合物120から除去でき、そのため究極形状の空隙率を増加させることができる。
【0019】
RxMg2Al4+xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体(すなわち、105と107)を任意の選択的添加剤110と混合・均質化した後、混合物120を形状に成形130する。1つの実施例では、成形130は、混合物120の押出しによって行ない得る。いかなる理論にも制約されることを望むものでないが、混合物120などの繊維状混合物の押出しは、繊維を実質的に整列させると考えられる。例えば、繊維状混合物中の繊維の少なくとも約20%は、押出し後、実質的に共通の方向に整列していると考えられる。図2は、形状のすべての繊維の平均80%がそこに示される線a-aに沿って整列している、押出し繊維状構造175を示す。押出し中に混合物に働くせん断力は、繊維を押出し方向に向ける傾向がある。当然ながら、押出し設計、混合レオロジー、繊維の内容および繊維の剛性は、押出された混合物の配向挙動に影響し得る。
【0020】
押出し以外の他の成形プロセス130も、形状を生成するために使用できる。他の成形プロセスの例には、射出成形などの成形、および鋳造を含む。これらの成形プロセスでは、繊維の整列の程度が押出しの場合より小さいことがある。
【0021】
一旦、成形されると、エネルギーが形状に加えられて前駆体105と107の間の反応140が開始される。例えば、形状をl,420°C未満の温度で数時間焼結して、2つ以上のRxMg2Al4+2xSi5-xO18 前駆体または2つ以上の RxMg2-xAl4Si5O18前駆体の間の反応を生じさせることができる。この反応の結果、形状中のすべての繊維の少なくとも約5%が、RxMg2Al4+2xSi5-xO18 またはRxMg2-xAl4Si5O18繊維のいずれかに変換される。例えば、RxMg2Al4+2xSi5-xO18前駆体は、ムライト繊維、MgCO3粒子、GeO2粒子を含み、熱影響下で、その繊維の5%以上が変換されて以下の組成構造を持つ:GexMg2Al4+xSi5-xO18(xは使用される前駆体の相対比に依存する)。エネルギー(熱など)を与えることによっても、繊維間の結合を生成することができる。熱を加えると(例えば、炉の場合は直接的、またRF源を使用する場合は誘導的)、水および他の添加剤は除去または低減されて、繊維同士が接触する。(それぞれ、造孔剤305およびバインダー310の存在と除去の結果として繊維300の相互作用を示す図3Aおよび3Bを参照)。当然ながら、これらの繊維同士の接触部分では、いくつかの方法で結合が形成され得る。例えば、多くの種類の焼結メカニズムを使用でき、これには液体支援焼結、固体焼結、反応相焼結などが含まれるがこれに限定されず、ここでは化学反応は繊維同士の接触部分で起こる。繊維結合形成の結果、方法100を使用して形成されたセラミック材料は、連結した繊維を持つ繊維状材料となり、ここではすべての繊維の少なくとも5%はRxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18 組成構造のいずれかを持つ。
【0022】
選択的ステップとして、図1のステップ150に示されるように、繊維状形状をさらに処理し得る1.さらなる処理ステップには以下を含む。(a) 繊維間のさらなる結合を生成するため、または造孔剤、有機バインダー、水などの流体などの添加剤を除去するための追加的熱処理、(b) 例えば繊維上の触媒コーティングなどのコーティングの塗布、(c) 機械的処理(通路の掘削またはキャッピング/充填)によるさらに高い空隙率の導入または方向性流路の生成、(d) フィルターまたは他の装置への繊維状材料の組み込み。
【0023】
別の実施例では、図4に示されるように、繊維体の形成方法200は、少なくとも2つのRxMg2Al4+2xSi5-xO18 前駆体またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体(205と207)を任意の選択的添加剤210と共に混合して、混合物220を形成することを含む。少なくとも2つのRxMg2Al4+2xSi5-xO18 またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体205および207の1つ以上は、繊維形状である。熱または光などのエネルギーを混合物に加えて、2つ以上のRxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体の間の反応230を開始させる。選択的添加物210は、前駆体205および207に対しては不活性で、その結果、反応には関与しない。反応した混合物230はその後、押出し、鋳造、または他の成形技術によって、繊維体に成形240される。例えば、選択的添加物210を除去または量を低減するための繊維体の熱処理、繊維間の結合を生成するための繊維体の焼結、繊維体へのさらに高い空隙率または方向性流路の導入、コーティングの蒸着、および/または繊維材料のフィルターまたは他の装置への組み込みなどの選択的処理ステップ250は、繊維体の成形240後に実施し得る。
【0024】
方法100および200に使用されるRxMg2Al4+2xSi5-xO18 またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体は、さまざまな形状で提供され得る。上述のように、結果得られる前駆体の混合物が繊維ベースの材料となるように、少なくとも2つのRxMg2Al4+2xSi5-xO18 またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体の1つ以上が繊維形である。繊維形状中のRxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体の例には以下が含まれるがこれに限定されない:アルミナシリカ繊維(例えばムライト繊維、アルミノケイ酸塩H95C繊維、ストロンチウムアルミニウム・ケイ酸繊維、リチウムアルミニウムケイ酸繊維、アルミノホウ酸ケイ酸塩繊維など)、マグネシウムケイ酸塩繊維(例えば、イソフラックス繊維(ニューヨーク州ナイアガラフォールのISOFRAXから入手可能)、マグネシウム・ストロンチウム・ケイ酸塩繊維、マグネシウム・カルシウム・ストロンチウム・ケイ酸塩繊維など)、Al2O3繊維、SiO繊維、MgO繊維、Li2O繊維。ここでRはLiおよびSrCO3で、RはSrである。一般的に、これらの繊維は1より大きなアスペクト比(すなわち、繊維の長さを繊維の直径で割った比)を持つ。本書で使用される場合、繊維の「直径」では簡素化のため繊維の断面形状が円であると仮定しており、実際の断面形状(正方形、三角形など)にかかわらずこの簡素化の仮定が適用される。特定の実施例では、繊維は2,000以下のアスペクト比を持つ。すなわち、特定の実施例では、繊維はミクロンまたはサブミクロンの範囲(例えば1ミクロン)の直径を持つ一方、繊維の長さは数ミリメートル(例えば2ミリメートル)である。一般的に、繊維は約100 nmから約100ミクロンの範囲の直径を持ち得る。しかし、特定の実施例では、繊維は約100 nmから約10ミクロンの範囲内の直径を持ち、一部の実施例では、繊維は約2ミクロンから約10ミクロンの範囲内の直径を持つ。
【0025】
少なくとも2つのRxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体は、すべて繊維形状またはそうでなければ、前駆体は繊維といくつかの他の形状の任意の組み合わせであり得る。繊維形状ではない他の RxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体には以下を含むがこれに限定されない:MgCO3粒子、コロイドシリカ、シリカ粒子、Al2O3粒子、Mg、Al、またはSiを含む任意の材料のゾル、ビーガムクレイ、タルク、または粒子、SrCO3粒子(RはSr)、GeO2粒子(RはGe)、K2O粒子(RはK)、LiO(RはLi)、およびMnO粒子(RはMn)。上記の前駆体は例示目的のみであり、決して排他的ではない。すなわち、他の成分と反応した時、RxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18繊維の一部を形成する任意の前駆体材料を、方法100および200に使用し得る。
【0026】
特定のRxMg2Al4+2xSi5-xO18 前駆体またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体および使用される前駆体の量は、標的とする繊維の化学的性質および結晶構造に従って選択される。すなわち、前駆体105/205の量と種類、および前駆体107/207の量と種類は、標的とする繊維の化学的性質と結晶構造に基づいて選択される。例えば、標的とする繊維の化学的性質は、CaxMg2Al4+2XSi5-xO18でコージライトタイプの結晶構造(すなわち、斜方晶構造)を持つ場合、以下の重量パーセントを持つ以下の4つのRxMg2Al4+2xSi5-xO18 前駆体が使用できる:アルミノケイ酸塩繊維71.2%、イソフラックス繊維21.9%、MgCO3粒子5.3%、CaCO3 粒子1.5%。同様に、同じ標的とする繊維の化学的性質(すなわち、CaxMg2Al4+2XSi5-xO18)が望ましいが、斜方晶構造の代わりに、三斜晶系または灰長石結晶構造が望まれる場合、以下の前駆体の重量パーセントが使用できる:アルミノケイ酸塩繊維62%、イソフラックス繊維18%、MgCO3粒子6.9%、CaCO3 粒子12.5%。反応中のAlの量を低減し利用できるCaの量を増加させると、異なる結晶構造が得られ、従って異なる格子パラメーターおよび関連特性が達成される。結果として、繊維の化学的性質および結晶構造を調整して、特定用途に最適な特性を達成し得る。
【0027】
結果として得られる繊維の結晶構造の決定に加えて、少なくとも2つの前駆体の相対量も、反応140/230に関与する前駆体繊維の量に影響する。すべて、または実質的にすべての前駆体材料が反応140/230に関与するためには、前駆体の相対量は、特定の結晶構造を持つ特定の固体溶液に対するその溶解限度に実質的に等しくなければならない。相対量は溶解限度とは異なるが、特定の結晶構造を形成する範囲内である場合、反応は1つ以上の要素の不足により制限され得る。結果として、すべての前駆体繊維が反応に関与するわけではなく、そのため一部の前駆体繊維は、反応140/230が起こった後も繊維体中に留まる。従って、繊維体は100%未満のRxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18繊維を含み得る。例えば、ムライト繊維76.8%、イソフラックス繊維6.2%、ベントナイトクレイ17%を混合した時、繊維体中の約45%の繊維が、CaxMg2Al4+2xSi5-xO18繊維に変換されるが、ムライト繊維91%、イソフラックス繊維3.8%、ベントナイトクレイ5.1%を使用した場合、繊維体中の約10%の繊維がCaxMg2Al4+2xSi5-xO18 繊維に変換される。
【0028】
繊維の化学的性質および結晶構造が制御できると、低いCTE値を持つように繊維状材料を調整できる。例えば、コージライト、Mg2Al4Si5O18は比較的低い平均CTE値(1 x 10-6/°C)を持つことが知られている。しかし、コージライトの化学的性質(RxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18)および結晶構造を変更することにより、特に特定の格子方向の低いCTE値を達成できる。さらに、繊維状材料の繊維を整列させることによって、さらに材料のCTE値を調整することができる。
【0029】
方法100および200から得られる繊維状材料は、多孔質ハニカム基質または体に成形することができ、これはフィルター、特に自動車用途のフィルターとして使用され得る。
【0030】
ここで図5を参照するが、多孔質ハニカム体510を示す。ハニカム体510は、隣接する壁515の間の経路520を規定する一連の壁515を持つ。壁515は上述の繊維状材料から成る。すなわち、壁515は、結合して、多孔質構造を形成する、複数のRxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18繊維のどちらかを含む。多孔質構造は少なくとも20%の空隙率を持ち、流体が構造を通って流れることができるように、一般的に孔の開放ネットワークを持つ。壁515のRxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18繊維の少なくとも20%は整列している。結果として、熱膨張係数など方向性値を持つ材料特性は、特定の方向のより低い値を提供するために操作できる。すなわち、最も低いCTE値を持つ格子パラメーター(a、b,またはc)など、繊維を特定の格子方向に沿って整列させ得る。例えば、特定の材料がc方向に沿って最低のCTEを持つ場合、繊維の少なくとも20%(例えば、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%)が実質的にc方向に沿って整列するように、繊維を押出しまたは他の方法で成形できる。次に、整列繊維のc方向が壁515の面に含まれるように、ハニカム体510の壁を形成し得る。結果として、熱にさらされた時、壁には最低量の膨張が起こる。同様に、材料中の繊維は、繊維の20%以上(例えば、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%)が最高のCTE値を持つ方向に沿って整列するように、整列させることができる。この実施例では、ハニカム体510の壁515は、熱によって最も影響される部分が、構造的影響が最少になるように配置されるようにするため、整列した繊維が壁515の最小の範囲(すなわち奥行き)を形成するように形成される。
【0031】
ハニカム体510は、例えば円筒形(図5に示す)、パイ状のくさび、またはやや円筒形の部分、長方形(図6に示す)、またはひし形などの任意の数の形状に加工し得る。これらのハニカム体510は、図6に示すように、一緒に接着してセグメント体を形成し得る。体を一緒に接着する結果として、任意のサイズ、形状または寸法のハニカム形状を生成することができる。熱膨張係数の低い多孔質繊維状材料では、隣接する小セグメントにヤング係数の低い糊/接着剤を使用して大きな形状を形成することなく、押出し、または他の方法で幅の広い(例えば5.66 インチ〜14インチの間の直径)形状(円筒形など)を形成することが可能である。押出しまたは大きな幅を形成する能力は、製造技術の柔軟性および大量生産でのコスト低減の可能性を提供する。
【0032】
図7は、図5の多孔質ハニカム体510を使用したフィルター700の断面図を示す。フィルター700は、多孔質ハニカム体510を取り囲むハウジング720を含む。ハウジングは、排出ガスなどの気体が通る入口705および出口707を含む。ハウジング720とハニカム体510の間には、ハウジング720とハニカム体510の間の気密シールを支持および形成するマット730がある。ハニカム体510は、出口ブロック760および入口ブロック770を持つ交互の経路を選択的に塞ぎ、それぞれ複数の入口経路740および出口経路750を形成することにより、壁流形態に構成される。この実施例では、壁515の孔の開放ネットワークは、入口と出口経路740、750の間の壁515を通しての流れを可能にするために十分な空隙率と透過性を提供する。結果として、粒子状物質が入口経路の壁740表面に蓄積し、、フィルター700で気体流から除去され得る。触媒コーティングまたは他の反応性コーティングなどのコーティングを、壁515に沿って蒸着させ、壁515によって捕獲される粒子濃度を増加せることができる。例えば、ディーゼル自動車環境で使用されるフィルターでは、蓄積した煤煙の酸化を促進し、害のより少ない成分への排気ガスの変換を加速する触媒コーティングで壁515を被覆し得る。基質および多孔質体への触媒コーティングおよび他の種類のコーティングの適用技術は、本技術分野では良く知られている。
【0033】
図8は、図5のハニカム体510などの、ハニカム体の形成方法を示す。まず、ステップ810に示されるように、繊維形状の前駆体の1つ以上が繊維形状である、少なくとも2つのRxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体を一緒に混合して混合物を形成する。混合物の効率的な押出しまたは成形を可能にするために、流体、造孔剤、および/またはバインダーなどのレオロジー剤も混合物に添加することができる。望ましい稠度が得られたら、混合物を少なくとも20%の空隙率を持つハニカム体に押出し(ステップ820)、その後加熱して、少なくとも2つのRxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体を反応させ、選択的添加剤(すなわち流体、造孔剤、バインター)を実質的に排除または除去する(ステップ830)。ハニカム体のすべての繊維の少なくとも5%は、変換されてRxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18組成構造のどちらかを持つ。繊維間(すなわち、ステップ830の前駆体とから形成される繊維と任意の未反応繊維の間)の結合は、ハニカム体の焼結840を通して形成される。一部の実施例では、ステップ830および840は1つの加熱処理プロセス中に起こる。他の実施例では、複数の熱処理プロセスを使用してRxMg2Al4+2xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体を反応させ、選択的添加剤を実質的に排除し、繊維を焼結する。ハニカム体が繊維である実施例では、入口および出口ブロック(例えば、図7の740、750)が挿入され、フィルターを通した流路を生成する(選択的ステップ850)。さらに、触媒コーティングをフィルターに塗布して、例えば、ディーゼル粒子状物質フィルターに捕獲された煤塵の酸化を促進する(任意段階960)ためなど、意図する用途での反応性機能を持つフィルターを提供する。
【0034】
本書に記載されたもの変化、変更、および他の実施は、当業者であれば、本発明の精神および範囲から逸脱することなく考え付く。例えば、繊維状材料がフィルター(特にディーゼル用途のフィルター)として使用される多くの実施例が記載されているが、例えば、航空宇宙産業、液体ろ過、クロスフローろ過、溶融金属ろ過、固定床化学反応器、ハニカム高表面積吸着剤、高温反応器など、低い熱膨張係数が望ましい任意の用途で、本繊維性材料を使用し得る。
【実施例】
【0035】
以下の例は本開示をさらに図解し、その理解を助けるために提供される。これらの特定例は、本開示の例示目的であり、限定目的ではない。
【0036】
標的とする繊維の化学的性質がCaxMg2Al4+xSi5-xO18(ここでx=0.1)で、斜方晶構造である第一の例では、以下の前駆体が一緒に混合される:71.2 グラムのムライト繊維、21.9グラムのイソフラックス繊維、5.3 グラムのMgCO3粒子、 1.5 グラムの CaCO3。以下の添加剤も、押出し可能混合物を形成するために添加される:16グラムのヒドロキシプロピル・メチルセルロース(有機バインダーおよびレオロジー調整剤)、65グラムの炭素粒子(-45ミクロンメッシュグレードで造孔剤として使用される)、および混合流体としての130グラムの脱イオン水。材料は押出可能混合物に混ぜ込まれ、押出しによって直径1インチのハニカム基質に成形される。基質は、高周波 (RF) 乾燥設備を使用して乾燥され、その後1,300 °Cで2時間焼結して、約88%の空隙率を持つ多孔質ハニカム構造を形成する。押出し可能混合物中で使用されたすべてのムライト繊維およびイソフラックス繊維の80%以上が、反応して斜方晶構造を持つCa0.1Mg2Al4.1Si4.9O18繊維を形成した。この実施例では、多孔質セラミック体の熱膨張係数は0.8 x 10-6/°Cであり、繊維は押出し方向に約70~80%整列しているように見える。
【0037】
標的とする繊維の化学的性質がCaxMg2Al4+xSi5-xO18(ここでx=1.0)で、三斜晶系構造である第二の例では、以下の前駆体が一緒に混合される:62 グラムのムライト繊維、18.6グラムのイソフラックス繊維、6.9 グラムのMgCO3粒子、 12.5 グラムの CaCO3。以下の添加剤も、押出し可能混合物を形成するために添加される:16グラムのヒドロキシプロピル・メチルセルロース、65グラムの炭素粒子(-45ミクロンメッシュグレード)、および130グラムの脱イオン水。材料は押出可能混合物に混ぜ込まれ、押出しによって直径1インチのハニカム基質に成形される。基質は、高周波 (RF) 乾燥設備を使用して乾燥され、その後1,300 °Cで2時間焼結して、約89%の空隙率を持つ多孔質ハニカム構造を形成する。押出し可能混合物中で使用されたすべてのムライト繊維およびイソフラックス繊維の80%以上が、、反応して三斜晶系構造を持つCa1Mg2Al3Si4O18繊維を形成したこの実施例では、多孔質セラミック体の熱膨張係数は0.7 x 10 -6/°Cであり、繊維は押出し方向に約70〜80%整列しているように見える。
【0038】
標的とする繊維の化学的性質がCaxMg2Al4+xSi5-xO18(ここでx=0.1)で、斜方晶構造である第三の例では、以下の前駆体が一緒に混合される:96 グラムのムライト繊維、2.0グラムのイソフラックス繊維、2.0 グラムのMgCO3粒子、 0.6 グラムの CaCO3。以下の添加剤も、押出し可能混合物を形成するために添加される:16グラムのヒドロキシプロピル・メチルセルロース、20グラムの炭素粒子(-45ミクロンメッシュグレード)、および70グラムの脱イオン水。材料は押出可能混合物に混ぜ込まれ、押出しによって直径1インチのハニカム基質に成形される。基質は、高周波 (RF) 乾燥設備を使用して乾燥され、その後1,300 °Cで2時間焼結して、約77%の空隙率を持つ多孔質ハニカム構造を形成する。押出し可能混合物中で使用されたすべてのムライト繊維およびイソフラックス繊維の約10%が、反応して斜方晶構造を持つCa0.1Mg2Al4.1Si4.9O18繊維を形成した。この実施例では、多孔質セラミック体の熱膨張係数は3.2 x 10 -6/°Cである。
【0039】
標的とする繊維の化学的性質がCaxMg2Al4+xSi5-xO18(ここでx=0.1)で、斜方晶構造である第三の例では、以下の前駆体が一緒に混合される:161.8 グラムのムライト繊維、13グラムのイソフラックス繊維、35.9 グラムのベントナイトクレイ。以下の添加剤も、押出し可能混合物を形成するために添加される:16グラムのヒドロキシプロピル・メチルセルロース、65グラムの炭素粒子(-45ミクロンメッシュグレード)、および130グラムの脱イオン水。材料は押出可能混合物に混ぜ込まれ、押出しによって直径1インチのハニカム基質に成形される。基質は、高周波 (RF) 乾燥設備を使用して乾燥され、その後1,300 °Cで2時間焼結して、約75%の空隙率を持つ多孔質ハニカム構造を形成する。押出し可能混合物中で使用されたすべてのムライト繊維およびイソフラックス繊維の約45%が、反応して斜方晶構造を持つCa0.1Mg2Al4.1Si4.9O18繊維を形成した。この実施例では、多孔質セラミック体の熱膨張係数は0.7x 10-6/°Cである。
【0040】
標的とする繊維の化学的性質がCaxMg2Al4+xSi5-xO18(ここでx=0.1)で、斜方晶構造である第四の例では、以下の前駆体が一緒に混合される:53.2 グラムのムライト繊維、2.2グラムのイソフラックス繊維、3 グラムのベントナイトクレイ。以下の添加剤も、押出し可能混合物を形成するために添加される:16グラムのヒドロキシプロピル・メチルセルロース、65グラムの炭素粒子(-45ミクロンメッシュグレード)、および60グラムの脱イオン水。材料は押出可能混合物に混ぜ込まれ、押出しによって直径1インチのハニカム基質に成形される。基質は、高周波 (RF) 乾燥設備を使用して乾燥され、その後1,300 °Cで2時間焼結して、約86%の空隙率を持つ多孔質ハニカム構造を形成する。押出し可能混合物中で使用されたすべてのムライト繊維およびイソフラックス繊維の約10%が、反応して斜方晶構造を持つCa0.1Mg2Al4.1Si4.9O18繊維を形成した。この実施例では、多孔質セラミック体の熱膨張係数は3.1 x 10-6/°Cである。
【0041】
標的とする繊維の化学的性質がGe0.8Mg2Al4.8Si4.2O18で、斜方晶構造である第五の例では、以下の前駆体が一緒に混合される:59.8 グラムのアルミナケイ酸塩繊維、6 グラムのイソフラックス繊維、11.1 グラムのGeO2 粒子。以下の添加剤も、押出し可能混合物を形成するために添加される:16グラムのヒドロキシプロピル・メチルセルロース、20グラムの炭素粒子(-45ミクロンメッシュグレード)、バインダーとして23.2グラムのMgCO3、および混合流体として130グラムの脱イオン水。材料は押出可能混合物に混ぜ込まれ、押出しによって直径1インチのハニカム基質に成形される。基質は、高周波 (RF) 乾燥設備を使用して乾燥され、その後1,300 °Cで2時間焼結して、約85%の空隙率を持つ多孔質ハニカム構造を形成する。押出し可能混合物中で使用されたすべてのムライト繊維およびイソフラックス繊維の80%以上が、反応して斜方晶構造を持つGe0.8Mg2Al4.8Si4.2O18繊維を形成した。この実施例では、多孔質セラミック体の熱膨張係数は0.7x 10-6/°Cである。
【0042】
標的とする繊維の化学的性質が Mn1Mg1Al4Si5O18で、斜方晶構造である第六の例では、以下の前駆体が一緒に混合される:63.8 グラムのアルミナケイ酸塩繊維、19.8 グラムのイソフラックス繊維、11.9 グラムのMnO粒子。以下の添加剤も、押出し可能混合物を形成するために添加される:16グラムのヒドロキシプロピル・メチルセルロース、20グラムの炭素粒子(-45ミクロンメッシュグレード)、バインダーとして4.6グラムのMgCO3、および混合流体として70グラムの脱イオン水。材料は押出可能混合物に混ぜ込まれ、押出しによって直径1インチのハニカム基質に成形される。基質は、高周波 (RF) 乾燥設備を使用して乾燥され、その後1,300 °Cで2時間焼結して、約82%の空隙率を持つ多孔質ハニカム構造を形成する。押出し可能混合物中で使用されたすべてのアルミナケイ酸塩繊維およびイソフラックス繊維の80%以上が、反応して斜方晶構造を持つMn1Mg1Al4Si5O18繊維を形成した。この実施例では、多孔質セラミック体の熱膨張係数は0.6 x 10-6/°Cである。
【0043】
標的とする繊維の化学的性質がK0.5Mg2Al4.5Si4.5O18で、斜方晶構造である第七の例では、以下の前駆体が一緒に混合される:71.2 グラムのアルミナケイ酸塩繊維、2.3 グラムのイソフラックス繊維、1.2 グラムのK2O粒子。以下の添加剤も、押出し可能混合物を形成するために添加される:16グラムのヒドロキシプロピル・メチルセルロース、20グラムの炭素粒子(-45ミクロンメッシュグレード)、バインダーとして25グラムのMgCO3、および混合流体として70グラムの脱イオン水。材料は押出可能混合物に混ぜ込まれ、押出しによって直径1インチのハニカム基質に成形される。基質は、高周波 (RF) 乾燥設備を使用して乾燥され、その後1,300 °Cで2時間焼結して、約86%の空隙率を持つ多孔質ハニカム構造を形成する。押出し可能混合物中で使用されたすべてのアルミナケイ酸塩繊維およびイソフラックス繊維の80%以上が、反応して斜方晶構造を持つK0.5Mg2Al4.5Si4.5O18繊維を形成した。この実施例では、多孔質セラミック体の熱膨張係数は0.8 x 10-6/°Cである。
【0044】
標的とする繊維の化学的性質がK0.5Mg2Al4.5Si4.5O18で、斜方晶構造である第八の例では、以下の前駆体が一緒に混合される:49.4 グラムのムライト繊維、39.6グラムのイソフラックス繊維、1.2 グラムの K2O粒子。以下の添加剤も、押出し可能混合物を形成するために添加される:16グラムのヒドロキシプロピル・メチルセルロース、20グラムの炭素粒子(-45ミクロンメッシュグレード)、バインダーとして9.7グラムのMgCO3、および混合流体として70グラムの脱イオン水。材料は押出可能混合物に混ぜ込まれ、押出しによって直径1インチのハニカム基質に成形される。基質は、高周波 (RF) 乾燥設備を使用して乾燥され、その後1,300 °Cで2時間焼結して、約89%の空隙率を持つ多孔質ハニカム構造を形成する。押出し可能混合物中で使用されたすべてのムライト繊維およびイソフラックス繊維の80%以上が、反応して斜方晶構造を持つK0.5Mg2Al4.5Si4.5O18繊維を形成した。この実施例では、多孔質セラミック体の熱膨張係数は0.7x 10-6/°Cである。
【0045】
標的とする繊維の化学的性質がFe0.45Mg1.55Al4Si5O18で、斜方晶構造である第九の例では、以下の前駆体が一緒に混合される:42 グラムのムライト繊維、46.9グラムのイソフラックス繊維、11.1 グラムのFe2O3粒子。以下の添加剤も、押出し可能混合物を形成するために添加される:16グラムのヒドロキシプロピル・メチルセルロース、20グラムの炭素粒子(-45ミクロンメッシュグレード)、および70グラムの脱イオン水。材料は押出可能混合物に混ぜ込まれ、押出しによって直径1インチのハニカム基質に成形される。基質は、高周波 (RF) 乾燥設備を使用して乾燥され、その後1,300 °Cで2時間焼結して、約87%の空隙率を持つ多孔質ハニカム構造を形成する。押出し可能混合物中で使用されたすべてのムライト繊維およびイソフラックス繊維の80%以上が、反応して斜方晶構造を持つFe0.45Mg1.55Al4Si5O18繊維を形成した。この実施例では、多孔質セラミック体の熱膨張係数は0.7x 10-6/°Cである。
【0046】
第十の例では、標的とする繊維の化学的性質は、コージライト繊維10%とアルミナケイ酸繊維90%を含む、変性コージライト構造である。従って、この例では、コージライト構造を変更するためのRがないが、究極的繊維の化学的性質がコージライトとアルミナケイ酸塩の混合物となるように、前駆体材料の変換を95%未満にすることによって、コージライト構造からの変更が達成される。以下の前駆体材料を混合して押出し可能混合物を形成することによって、アルミナケイ酸塩90%とコージライト繊維状材料10%を調製する:96 グラムのムライト繊維、2.0グラムのイソフラックス繊維、2.0 グラムのMgCO3粒子。以下の添加剤も、押出し可能混合物に添加される:16グラムのヒドロキシプロピル・メチルセルロース、20グラムの炭素粒子(-45ミクロンメッシュグレード)、および70グラムの脱イオン水。材料を混合し押出して、直径1インチのハニカム基質を形成する。基質は、高周波 (RF) 乾燥設備を使用して乾燥され、その後1,300 °Cで2時間焼結して、約77%の空隙率を持つ多孔質ハニカム構造を形成する。押出し可能混合物中で使用されたすべてのムライト繊維およびイソフラックス繊維の10%のみが、反応してMg2Al4Si5O18繊維を形成した。この実施例では、多孔質セラミック体の熱膨張係数は2.8 x 10-6/°Cである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維状材料中のすべての繊維の少なくとも約5%が、RxMg2Al4+xSi5-xO18 組成構造またはRxMg2-xAl4Si5O18組成構造を持つ、繊維状材料の製造方法で、本製造方法は以下から成る:
少なくとも2つのRxMg2Al4+xSi5-xO18前駆体材料またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体材料を混合して混合物を形成すること(ここで、少なくとも2つのRxMg2Al4+xSi5-xO18 またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体材料の1つ以上は繊維形状である)、
混合物を押出して繊維体を生成すること、
繊維体を熱処理して繊維状材料を形成すること。
【請求項2】
熱処理後、繊維体中のすべての繊維の少なくとも約25%がRxMg2Al4+xSi5-xO18 組成構造またはRxMg2-xAl4Si5O18組成構造のいずれかを持つ、請求項1の方法。
【請求項3】
少なくとも2つのRxMg2Al4+xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体材料の1つ以上が、マグネシア・シリカ繊維、マグネシウム・アルミン酸塩繊維、アルミナケイ酸塩繊維からなるグループから選択される、請求項1の方法。
【請求項4】
混合物がさらに、流体、バインター、造孔剤から成るグループから選択された1つ以上の添加剤から成る、請求項1の方法。
【請求項5】
1つ以上の添加剤が、繊維体の加熱によって実質的に除去される、請求項4の方法。
【請求項6】
RxMg2Al4+xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18繊維を含む繊維体の製造方法で、本方法は以下から成る:
少なくとも2つのRxMg2Al4+xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体材料を混合して混合物を形成すること(ここで少なくとも2つのRxMg2Al4+xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体材料の1つ以上は繊維形状である)、
少なくとも2つのRxMg2Al4+xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体材料を反応させて、RxMg2Al4+xSi5-xO18 またはRxMg2-xAl4Si5O18組成構造を持つ複数の繊維を混合物中に形成すること、
混合物を繊維体に成形すること(ここで、繊維体中のすべての繊維の少なくとも約5%は、RxMg2Al4+xSi5-xO18 組成構造またはRxMg2-xAl4Si5O18組成構造のいずれかを持つ)。
【請求項7】
少なくとも2つのRxMg2Al4+xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体材料の反応後、繊維体中のすべての繊維の少なくとも約25%が、RxMg2Al4+xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18組成構造をそれぞれ持つ、請求項6の方法。
【請求項8】
繊維体中のすべての繊維の少なくとも約20%が共通の方向に整列している、請求項6の方法。
【請求項9】
少なくとも2つのRxMg2Al4+xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体材料の1つ以上が、マグネシア・シリカ繊維、マグネシウム・アルミン酸塩繊維、アルミナケイ酸塩繊維からなるグループから選択される、請求項6の方法。
【請求項10】
混合物がさらに、流体、バインター、造孔剤から成るグループから選択された1つ以上の添加剤から成る、請求項6の方法。
【請求項11】
1つ以上の添加剤が、繊維体の加熱によって実質的に除去される、請求項10の方法。
【請求項12】
多孔質ハニカム基質の形成方法で、本方法は以下から成る:
少なくとも2つのRxMg2Al4+xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体材料を混合して混合物を形成すること(ここで、少なくとも2つのRxMg2Al4+xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体材料の1つ以上は繊維形状である)、
混合物を押出して、少なくとも約20%の空隙率を持つハニカム基質を形成すること、
ハニカム基質中のすべての繊維の少なくとも約5%が、RxMg2Al4+xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18組成構造を持つように、ハニカム基質を熱処理して、少なくとも2つのRxMg2Al4+xSi5-xO18または RxMg2-xAl4Si5O18前駆体材料を反応させ、RxMg2Al4+xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18組成構造を持つ複数の繊維を形成すること。
【請求項13】
ハニカム基質の熱処理後、すべての繊維の約25%がRxMg2Al4+xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18組成構造を持つ、請求項12の方法。
【請求項14】
少なくとも2つのRxMg2Al4+xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18前駆体材料の1つ以上が、マグネシア・シリカ繊維、マグネシウム・アルミン酸塩繊維、アルミナケイ酸塩繊維からなるグループから選択される、請求項12の方法。
【請求項15】
混合物がさらに、流体、バインター、造孔剤から成るグループから選択された1つ以上の添加剤から成る、請求項12の方法。
【請求項16】
1つ以上の添加剤が、ハニカム基質の加熱によって実質的に除去される、請求項15の方法。
【請求項17】
以下から成るRxMg2Al4+xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18繊維状ハニカム体:
隣接する壁の間の経路を規定するハニカムの一連の壁、
本壁は、結合して、孔の開放ネットワークを持つ多孔質構造を形成する複数のRxMg2Al4+xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18繊維から成り、ここで、壁中の複数のRxMg2Al4+xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18繊維の少なくとも約20%は、共通の方向に整列している。
【請求項18】
壁が少なくとも約20%の空隙率を持つ、請求項17のRxMg2Al4+xSi5-xO18または RxMg2-xAl4Si5O18繊維状ハニカム体。
【請求項19】
複数のRxMg2Al4+xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18繊維が、1より大きく2,000以下のアスペクト比を持つ、請求項17のRxMg2Al4+xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18繊維状ハニカム体。
【請求項20】
さらに、複数のRxMg2Al4+xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18繊維上の触媒コーティングから成る、請求項17のRxMg2Al4+xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18繊維状ハニカム体。
【請求項21】
以下から構成されるフィルター:
入口および出口を含むハウジング、
入口と出口の間に配置された、請求項17のRxMg2Al4+xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18繊維状ハニカム体。
【請求項22】
さらに、壁の複数のRxMg2Al4+xSi5-xO18またはRxMg2-xAl4Si5O18繊維に蒸着した少なくとも1つの触媒から成る、請求項21のフィルター。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2011−521868(P2011−521868A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505107(P2011−505107)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/040245
【国際公開番号】WO2009/129152
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(507280435)ジーイーオー2 テクノロジーズ,インク. (12)
【Fターム(参考)】