説明

不揮発性記憶装置

【課題】ピラーのアスペクト比が低い不揮発性記憶装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係る不揮発性記憶装置は、第1方向に延びる第1導電部材と、前記第1方向に対して交差する第2方向に延びる第2導電部材と、を備える。前記第1導電部材における前記第2導電部材に接続される部分は、前記第2導電部材に向けて突出している。そして、前記第1導電部材においては、前記第1方向における抵抗率が前記第1導電部材が突出する第3方向における抵抗率よりも低く、前記第3方向において抵抗値が変化し、前記第2導電部材においては、前記第2方向における抵抗率が前記第3方向における抵抗率よりも低く、前記第3方向において抵抗値が変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、不揮発性記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特定の金属酸化物系の材料に電圧を印加すると、電圧印加前の抵抗率と印加した電圧の大きさによって、この材料が低抵抗状態と高抵抗状態の2つの状態をもつ現象が発見され、その現象を利用した新たな不揮発性記憶装置が注目を集めている。この不揮発性記憶装置をReRAM(Resistance Random Access Memory)という。ReRAMの実デバイス構造に関しては、高集積化の観点から、ワード線(WL)とビット線(BL)の交点にピラーを形成し、ピラー中に抵抗変化層とダイオード層を積層させてメモリセルを構成する3次元クロスポイント構造が提案されている。
【0003】
しかしながら、このような3次元クロスポイント構造のReRAMにおいては、メモリセルの高集積化を図るためにはピラーを細くしていく必要があるが、そうするとピラーのアスペクト比が高くなり、ピラーの形成が困難になるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−252974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態の目的は、ピラーのアスペクト比が低い不揮発性記憶装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る不揮発性記憶装置は、第1方向に延びる第1導電部材と、前記第1方向に対して交差する第2方向に延びる第2導電部材と、を備える。前記第1導電部材における前記第2導電部材に接続される部分は、前記第2導電部材に向けて突出している。そして、前記第1導電部材においては、前記第1方向における抵抗率が前記第1導電部材が突出する第3方向における抵抗率よりも低く、前記第3方向において抵抗値が変化し、前記第2導電部材においては、前記第2方向における抵抗率が前記第3方向における抵抗率よりも低く、前記第3方向において抵抗値が変化する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施形態に係る不揮発性記憶装置を例示する斜視図である。
【図2】実施形態に係る不揮発性記憶装置のワード線部材及びその周辺を模式的に例示する断面図である。
【図3】比較例に係る不揮発性記憶装置を例示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る不揮発性記憶装置を例示する斜視図であり、
図2は、本実施形態に係る不揮発性記憶装置のワード線部材及びその周辺を模式的に例示する断面図である。
【0009】
図1に示すように、本実施形態に係る不揮発性記憶装置1においては、シリコン基板11が設けられており、シリコン基板11の上層部分及び上面上には、不揮発性記憶装置1の駆動回路(図示せず)が形成されている。シリコン基板11上には、駆動回路を埋め込むように、例えばシリコン酸化物からなる層間絶縁膜12が設けられている。
【0010】
層間絶縁膜12上には、下層側から順に、バリアメタル層20、ワード線部材21、バリアメタル層22、シリコンダイオード層23、バリアメタル層24、ストッパ層25、ビット線部材26、バリアメタル層27、シリコンダイオード層28、バリアメタル層29及びストッパ層30が積層されている。ワード線部材21からストッパ層30までの積層体が単位積層体13となっており、バリアメタル層20上には、単位積層体13が複数段積層されている。なお、図1においては、図示の便宜上、単位積層体13は1段半しか示されていない。
【0011】
層間絶縁膜12の上部から、下から1段目の単位積層体13におけるストッパ層25までの部分、及び、1段目の単位積層体13におけるビット線部材26の上部26bから、その1つ上段、すなわち、下から2段目の単位積層体13におけるストッパ層25までの部分には、一方向に延びる溝33が複数本、相互に平行に且つ等間隔に形成されている。以下、溝33が延びる方向を「ワード線方向」という。また、1段目の単位積層体13におけるワード線部材21の上部21bから、1段目の単位積層体13におけるストッパ層30までの部分には、ワード線方向に対して交差、例えば直交する方向に延びる溝34が複数本、相互に平行に且つ等間隔に形成されている。以下、溝34が延びる方向を「ビット線方向」という。また、ワード線方向及びビット線方向の双方に対して直交する方向、すなわち、上述の各層の積層方向を「上下方向」という。溝33内及び溝34内には、例えばシリコン酸化物等の絶縁材料35が埋め込まれている。
【0012】
同様に、下から2段目以降の単位積層体13においても、溝33及び溝34が形成されている。すなわち、各単位積層体13において、ビット線部材26の下部26aを除く部分は、ワード線方向に延びる溝33によって分断されており、ワード線部材21の下部21aを除く部分は、ビット線方向に延びる溝34によって分断されている。これにより、各単位積層体13において、ワード線部材21の上部21b、バリアメタル層22、シリコンダイオード層23、バリアメタル層24及びストッパ層25は、溝33及び溝34の双方によって分断されており、ワード線方向及びビット線方向の双方に沿ってマトリクス状に配列された複数本のピラー36となっている。同様に、ビット線部材26の上部26b、バリアメタル層27、シリコンダイオード層28、バリアメタル層29及びストッパ層30も、溝33及び溝34の双方によって分断されており、ワード線方向及びビット線方向の双方に沿ってマトリクス状に配列された複数本のピラー37となっている。
【0013】
一方、ワード線部材21の下部21aは、溝33によっては分断されているが溝34によっては分断されておらず、ワード線方向に延びている。ワード線部材21の上部21bは下部21aから上方、すなわち、ビット線部材26に向けて突出している。また、ビット線部材26の下部26aは、溝34によっては分断されているが溝33によっては分断されておらず、ビット線方向に延びている。ビット線部材26の上部26bは下部26aから上方、すなわち、ワード線部材21に向けて突出している。
【0014】
バリアメタル層20、22、24、27及び29は、各層間における材料の拡散を抑制すると共に、密着性を向上させる層であり、例えば、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)又は窒化タングステン(WN)によって形成されている。シリコンダイオード層23及び28は例えばポリシリコンによって形成されている。シリコンダイオード層23においては、下層側から順に、導電形がn形のn形層、真性半導体からなるi形層、及び導電型がp形のp形層が積層されている。一方、シリコンダイオード層28においては、下層側から順に、p形層、i形層及びn形層が積層されている。これにより、シリコンダイオード層23及び28は、ビット部材26の電位がワード線部材21の電位よりも高い場合に電流を流し、逆方向の電流は流さない選択素子層として機能する。ストッパ層25及び30は、単位積層体13を形成する際にCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械研磨)のストッパとなる層であり、例えば、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)又は窒化チタン(TiN)により形成されている。
【0015】
図1及び図2に示すように、ワード線部材21及びビット線部材26は、微小導電体であるカーボンナノチューブ(Carbon NanoTube:CNT)41が隙間42を介して緩く集合したナノマテリアル集合体によって形成されている。ワード線部材21及びビット線部材26の内部において、各CNT41は微小な範囲で移動することができる。例えば、あるCNT41は、周囲のCNTに囲まれた空間内で、位置及び姿勢を変えることができる。隙間42は、例えば、窒素ガス(N)又は水素ガス(H)を含む気体層である。ワード線部材21及びビット線部材26の幅は例えば24nmであり、高さは例えば200nmである。また、各CNT41の形状は一方向に延びる筒状である。CNT41の直径は例えば1〜2nmであり、その長さは例えば20nm〜1μmである。
【0016】
そして、ワード線部材21においては、ワード線方向に延びるCNT41の数が上下方向に延びるCNT41の数よりも多い。より具体的には、ワード線部材21においては、CNT41はほぼ水平方向、すなわち、ワード線方向及びビット線方向を含む平面に対して平行な方向に延びており、上下方向には延びていない。また、少なくとも一部のCNT41はワード線方向に延びている。例えば、ワード線部材21は上下方向に積層された複数の層からなり、各層において、CNT41が延びる方向は、水平方向のうちのいずれかの方向に揃っており、少なくとも1つの層において、CNT41は、ほぼワード線方向に延びている。このため、ワード線部材21における単位長さ当たりのCNT41同士の接触点の数は、ワード線方向においては相対的に少なく、上下方向においては相対的に多い。
【0017】
CNT41の軸方向における抵抗率は、例えば、1μΩ・cm(マイクロオーム・センチメートル)以下である。これに対して、CNT41同士の接触抵抗は、例えば、1ヶ所当たり1kΩ(キロオーム)程度であり、軸方向における抵抗率と比較して極めて大きい。このため、ワード線部材21の抵抗率は、単位長さ当たりのCNT41同士の接触点の数が多いほど、高くなる。従って、ワード線部材21は、ワード線方向における抵抗率が上下方向における抵抗率よりも低い。
【0018】
また、ワード線部材21は上下方向において抵抗値が変化し、「高抵抗状態」と「低抵抗状態」の2つの状態を持つことができる。そのメカニズムは完全には解明されていないが、例えば、以下のように考えられる。ワード線部材21において、上下方向に電圧が印加されていないときは、CNT41同士は概ね相互に離隔した状態にあり、ワード線部材21は「高抵抗状態」にある。一方、上下方向に電圧が印加されると、CNT41間にクーロン力が発生して、引きつけ合う。そして、この電圧を一定時間以上継続して印加すると、クーロン力によってCNT41が移動・回転して隣のCNT41と接触し、ワード線部材21内に複数本のCNT41を介した電流経路が形成される。この結果、ワード線部材21は「低抵抗状態」となる。この状態は、上下方向の電圧が印加されなくなっても、維持される。また、上下方向に例えばナノ秒オーダーの短時間のパルス電圧を印加すると、CNT41同士の接触部分が発熱し、CNT41同士が離れる。この結果、ワード線部材21は「高抵抗状態」に戻る。
【0019】
同様に、ビット線部材26においては、ビット線方向に延びるCNT41の数が上下方向に延びるCNT41の数よりも多い。より具体的には、CNT41は上下方向には延びておらず、ほぼ水平方向に延びている。また、少なくとも一部のCNT41はビット線方向に延びている。例えば、ビット線部材26は上下方向に積層された複数の層からなり、各層において、CNT41が延びる方向は水平方向のうちの一方向にほぼ揃っており、少なくとも1つの層において、CNT41は、ほぼビット線方向に延びている。このため、ビット線部材26は、ビット線方向における抵抗率が上下方向における抵抗率よりも低い。また、ワード線部材21と同様に、ビット線部材26においても、上下方向における抵抗値が変化し、「高抵抗状態」と「低抵抗状態」の2つの状態を持つことができる。
【0020】
このような構成により、ワード線部材21の下部21aは、ワード線方向に延びる配線として機能する。また、ビット線部材26の下部26aは、ビット線方向に延びる配線として機能する。更に、ワード線部材21の上部21b及びビット線部材26の上部26bは、上下方向について「高抵抗状態」と「低抵抗状態」の2つの状態を持つことができ、これにより、2値のデータを記憶可能な記憶層として機能する。
【0021】
そして、不揮発性記憶装置1においては、上下方向において同じ位置に配置された複数本のワード線部材21によって構成されたワード線配線層と、上下方向において同じ位置に配置された複数本のビット線部材26によって構成されたビット線配線層とが交互に積層され、各ワード線部材21と各ビット線部材26との間にピラー36及び37が形成された3次元クロスポイント構造が実現されている。そして、各ピラー36及び37においては、選択素子層としてのシリコンダイオード層23又は28と、記憶層としてのワード線部材21の上部21b又はビット線部材26の上部26bとが、上下方向に積層されている。
【0022】
次に、本実施形態に係る不揮発性記憶装置の製造方法について、図1を参照して説明する。
先ず、シリコン基板11を用意する。シリコン基板11は、例えば、シリコンウェーハの一部である。次に、シリコン基板11の上面に駆動回路(図示せず)を形成する。次に、シリコン基板11上に層間絶縁膜12を形成する。次に、例えばスパッタ法により、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)又は窒化タングステン(WN)を堆積させて、バリアメタル層20を形成する。
【0023】
次に、多数のカーボンナノチューブ(CNT)を含有するナノマテリアル材料を用意する。ナノマテリアル材料には、例えば、水にCNTを分散させたCNT分散液を用いることができる。そして、例えばスピンコート法により、このCNT分散液をバリアメタル層20上に塗布する。なお、スプレーにより、バリアメタル層20上にCNT分散液を散布してもよい。その後、バリアメタル層20上に塗布したCNT分散液を乾燥させる。このとき、CNT分散液が乾燥して厚さが減少する過程で、CNT41が延びる方向が水平方向に近づく。これにより、バリアメタル層20の上面上に、薄いナノマテリアル集合層が形成される。ナノマテリアル集合層においては、水平方向に延びる複数本のCNT41(図2参照)が緩く集合しており、CNT41間には隙間42(図2参照)が形成されている。
【0024】
この工程において、不純物濃度が低いCNT分散液を使用すると、ナノマテリアル集合層に含まれるCNT41の軸方向が一方向に揃う。これは、CNT41の表面に結合したOH基同士が反発するためであると考えられる。そして、上述のCNT分散液の塗布及び乾燥を複数回、例えば15回程度繰り返すことにより、薄いナノマテリアル集合層を複数層積層して、ワード線部材21を形成する。ワード線部材21を構成する複数層のナノマテリアル集合層のうち、少なくとも1層のナノマテリアル集合層においては、CNT41がほぼワード線方向に延びている。また、ワード線部材21を上下方向に貫通するCNT41は存在しない。なお、この段階においては、ワード線部材21は分断されておらず、連続膜となっている。
【0025】
次に、例えばスパッタ法により、ワード線部材21上にバリアメタル層22を形成し、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法により、シリコンダイオード層23を形成し、例えばスパッタ法により、バリアメタル層24及びストッパ層25をこの順に成膜する。次に、ストッパ層25上に、例えばシリコン酸化物を堆積させて、ハードマスク(図示せず)を成膜する。次に、リソグラフィ法により、ハードマスクをワード線方向に延びるラインアンドスペース(L/S)状に加工する。
【0026】
次に、ハードマスクをマスクとしてRIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)等の異方性エッチングを施し、ストッパ層25、バリアメタル層24、シリコンダイオード23、バリアメタル層22、ワード線部材21、バリアメタル層20及び層間絶縁膜12の上部を選択的に除去する。これにより、ストッパ層25から層間絶縁膜12の上部までの部分に、ワード線方向に延びる複数本の溝33が形成される。溝33により、ストッパ層25、バリアメタル層24、シリコンダイオード23、バリアメタル層22、ワード線部材21及びバリアメタル層20が、ワード線方向に延びる複数本のライン部分に分断される。
【0027】
次に、全面に例えばシリコン酸化物等の絶縁材料35を堆積させる。絶縁材料35は溝33内に埋め込まれると共に、ストッパ層25の上面上にも堆積される。次に、ストッパ層25をストッパとしてCMPを施し、ストッパ層25の上面を露出させる。このとき、溝33内には絶縁材料35が残留する。
【0028】
次に、CNT分散液の塗布及び乾燥を繰り返すことにより、ストッパ層25上にビット線部材26を形成する。ビット線部材26の形成方法は、ワード線部材21の形成方法と同様である。ビット線部材26を構成する複数のナノマテリアル層のうち、少なくとも1つの層においては、CNT41がほぼビット線方向に延びる。
【0029】
次に、例えばスパッタ法により、ビット線部材26にバリアメタル層27を形成し、例えばCVD法によりシリコンダイオード層28を形成し、例えばスパッタ法により、バリアメタル層29及びストッパ層30をこの順に成膜する。この段階において、1段目の単位積層体13を構成する全ての層が成膜される。次に、ストッパ層30上に、例えばシリコン酸化物を堆積させて、加工用のハードマスク(図示せず)を成膜する。そして、リソグラフィ法により、ハードマスクをビット線方向に延びるラインアンドスペース(L/S)状に加工する。
【0030】
次に、このハードマスクをマスクとしてRIE等の異方性エッチングを施し、ストッパ層30、バリアメタル層29、シリコンダイオード層28、バリアメタル層27、ビット線部材26、ストッパ層25、バリアメタル層24、シリコンダイオード23、バリアメタル層22及びワード線部材21の上部21bを選択的に除去する。これにより、ストッパ層30からワード線部材21の上部21bまでの部分に、ビット線方向に延びる複数本の溝34が形成される。これにより、ストッパ層30からワード線部材21の上部21bまでの部分は、溝34によってビット線方向に延びる複数本のラインに分断される。このうち、ストッパ層25からワード線部材21の上部21bまでの部分は、既に溝33によって分断されているため、マトリクス状に配列されたピラー36となる。一方、ワード線部材21の下部21aは溝34によっては分断されず、ワード線方向に延びる配線となる。
【0031】
次に、全面に絶縁材料35を堆積させる。絶縁材料35は溝34内に埋め込まれると共に、ストッパ層30の上面上にも堆積される。次に、ストッパ層30をストッパとしてCMPを施し、ストッパ層30の上面を露出させる。このとき、溝34内には絶縁材料35が残留する。
【0032】
次に、上述と同様な方法により、ストッパ層30上に、2層目の単位積層体13の下層部分、すなわち、ワード線部材21、バリアメタル層22、シリコンダイオード層23、バリアメタル層24及びストッパ層25をこの順に成膜する。次に、ワード線方向に延びるL/S状のハードマスクを形成し、これをマスクとしてRIEを施し、2段目の単位積層体13のストッパ層25から1段目のビット線部材26の上部26bまでの部分に、溝33を形成する。これにより、この部分が溝33によって分断される。このうち、1段目の単位積層体13におけるストッパ層30からビット線部材26の上部26bまでの部分は、既に溝34によって分断されているため、マトリクス状に配列されたピラー37となる。一方、ビット線部材26の下部26aは溝33によっては分断されず、ビット線方向に延びる配線となる。次に、絶縁材料35を堆積させ、ストッパ層30をマスクとしてCMPを施すことにより、溝33内に絶縁材料35を埋め込む。
【0033】
次に、2段目の単位積層体13の上層部分、すなわち、ビット線部材26、バリアメタル層27、シリコンダイオード層28、バリアメタル層29及びストッパ層30を成膜し、RIEによって、2段目の単位積層体13のストッパ層30からビット線部材26の上部26bまでの部分に溝34を形成し、この溝34を絶縁材料35によって埋め込む。
【0034】
以後、同様にして、単位積層体13の下層部分の成膜、溝33の形成、絶縁材料35の埋め込み、単位積層体13の上層部分の成膜、溝34の形成、絶縁材料35の埋め込みを繰り返し実施することにより、3次元クロスポイント構造体を作製する。これにより、不揮発性記憶装置1を製造する。
【0035】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態によれば、ワード線部材21により、ワード線方向に延びる配線と記録層の双方を実現することができる。すなわち、ワード線部材21の下部21aがワード線方向に電流を流す配線(ワード線)として機能し、上方に突出した上部21bがCNT41による抵抗変化層として機能する。同様に、ビット線部材26により、ビット線方向に延びる配線と記録層の双方を実現することができる。すなわち、ビット線部材26の下部26aがビット線方向に電流を流す配線(ビット線)として機能し、上方に突出した上部26bがCNT41による抵抗変化層として機能する。これにより、ワード線と抵抗変化層との間、及びビット線と抵抗変化層との間にバリアメタル層を形成する必要がなくなり、ピラー36及び37の高さを低減することができる。この結果、メモリセルの高集積化を図るためにピラー36及び37を細くしても、アスペクト比を低く抑えることができ、ピラー36及び37の形成が容易になる。
【0036】
また、本実施形態によれば、ワード線と抵抗変化層との間、及びビット線と抵抗変化層との間にバリアメタル層を形成する場合と比較して、工程数を減らすことができる。これにより、不揮発性記憶装置1の製造コストを低減することができる。
【0037】
更に、本実施形態においては、配線をCNT(カーボンナノチューブ)によって形成している。一般に、CNTの抵抗率は金属の抵抗率よりも低い。例えば、タングステンの抵抗率は約5μΩ・cmであるが、CNTの抵抗率は1μΩ・cm以下である。このため、本実施形態によれば、タングステン等の金属材料によって配線を形成する場合と比較して、配線部分、すなわち、ワード線部材21の下部21a及びビット線部材26の下部26aの厚さを薄くすることが可能となる。これによっても、ピラー36及び37の高さを低くして、アスペクト比を低減することができる。
【0038】
次に、本実施形態の比較例について説明する。
図3は、本比較例に係る不揮発性記憶装置を例示する斜視図である。
図3に示すように、本比較例に係る不揮発性記憶装置101においては、シリコン基板111上に層間絶縁膜112及びバリアメタル層120が設けられており、その上に複数段の単位積層体113が設けられている。
【0039】
各単位積層体113において、下層側から順に、ワード線121、バリアメタル層122、シリコンダイオード層123、バリアメタル層124、ナノマテリアル集合層125、バリアメタル層126、ストッパ層127、ビット線128、バリアメタル層129、シリコンダイオード層130、バリアメタル層131、ナノマテリアル集合層132、バリアメタル層133及びストッパ層134が積層されている。ナノマテリアル集合層125及び132はCNTが緩く集合した層であり、抵抗変化層である。また、ワード線121及びビット線128は、例えばタングステン等の金属材料によって形成されている。更に、各単位積層体113におけるビット線128を除く部分にはワード線方向に延びる溝143が形成されており、ワード線121を除く部分にはビット線方向に延びる溝144が形成されており、溝143及び溝144の内部には絶縁材料145が埋め込まれている。
【0040】
このように、本比較例に係る不揮発性記憶装置101においては、1つの単位積層体113に6層のバリアメタル層122、124、126、129、131及び133が設けられている。これに対して、前述の実施形態に係る不揮発性記憶装置1(図1参照)においては、1つの単位積層体13に含まれるバリアメタル層の数は、バリアメタル層22、24、27及び29の4層である。このため、本比較例に係る不揮発性記憶装置101においては、実施形態に係る不揮発性記憶装置1と比較して、バリアメタル層の数が多い分だけピラーの高さが高くなる。従って、ピラーを細くするとアスペクト比が増加してしまい、加工が困難になる。例えば、エッチングの際に、ピラーが倒壊してしまう。また、バリアメタル層を形成するための工程数が増加し、製造コストが増加してしまう。
【0041】
なお、前述の実施形態においては、ワード線部材21及びビット線部材26がそれぞれ、複数のナノマテリアル集合層からなる積層体である例を示したが、本発明はこれに限定されず、ワード線部材21及びビット線部材26はそれぞれ、単層のナノマテリアル集合層であってもよい。
【0042】
また、前述の実施形態においては、ワード線部材21及びビット線部材26を構成する微小導電体として、カーボンナノチューブ(CNT)を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。微小導電体は、例えば、グラフェンナノリボン等のCNT以外のカーボンナノマテリアルであってもよく、また、シリコンナノチューブ等のカーボン以外の導電性材料からなるナノマテリアルであってもよい。又は、ナノスケールの結晶構造をもつナノ構造体材料であってもよく、このようなナノ構造体材料を含む炭素膜等であってもよい。
【0043】
更に、前述の実施形態においては、ワード線部材21及びビット線部材26を、微小導電体が集合したナノマテリアル集合層によって構成する例を示したが、本発明はこれに限定されず、一方向における抵抗率が他方向における抵抗率よりも低く、且つ、他方向において抵抗値が変化する材料であればよい。
【0044】
更にまた、前述の実施形態においては、選択素子層としてpin形のシリコンダイオード層23及び28を設ける例を示したが、本発明はこれに限定されない。選択素子層は、ワード線部材21とビット線部材26との間の電位差に基づいて、ワード線部材21とビット線部材26との間に流れる電流量を制御する層であればよい。
【0045】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明及びその等価物の範囲に含まれる。
【0046】
以上説明した実施形態によれば、ピラーのアスペクト比が低い不揮発性記憶装置を実現することができる。
【符号の説明】
【0047】
1:不揮発性記憶装置、11:シリコン基板、12:層間絶縁膜、13:単位積層体、20:バリアメタル層、21:ワード線部材、21a:下部、21b:上部、22:バリアメタル層、23:シリコンダイオード層、24:バリアメタル層、25:ストッパ層、26:ビット線部材、26a:下部、26b:上部、27:バリアメタル層、28:シリコンダイオード層、29:バリアメタル層、30:ストッパ層、33:溝、34:溝、35:絶縁材料、36、37:ピラー、41:カーボンナノチューブ(CNT)、42:隙間、101:不揮発性記憶装置、111:シリコン基板、112:層間絶縁膜、113:単位積層体、121:ワード線、122:バリアメタル層、123:シリコンダイオード層、124:バリアメタル層、125:ナノマテリアル集合層、126:バリアメタル層、127:ストッパ層、128:ビット線、129:バリアメタル層、130:シリコンダイオード層、131:バリアメタル層、132:ナノマテリアル集合層、133:バリアメタル層、134:ストッパ層、143、144:溝、145:絶縁材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びる第1導電部材と、
前記第1方向に対して交差する第2方向に延びる第2導電部材と、
を備え、
前記第1導電部材における前記第2導電部材に接続される部分は、前記第2導電部材に向けて突出しており、
前記第1導電部材においては、前記第1方向における抵抗率が前記第1導電部材が突出する第3方向における抵抗率よりも低く、前記第3方向において抵抗値が変化し、
前記第2導電部材においては、前記第2方向における抵抗率が前記第3方向における抵抗率よりも低く、前記第3方向において抵抗値が変化する
ことを特徴とする不揮発性記憶装置。
【請求項2】
前記第1導電部材及び前記第2導電部材は、一方向に延びる複数の微小導電体が集合したナノマテリアル材料からなり、
前記第1導電部材においては、前記第1方向に延びる前記微小導電体の数が前記第3方向に延びる前記微小導電体の数よりも多く、
前記第2導電部材においては、前記第2方向に延びる前記微小導電体の数が前記第3方向に延びる前記微小導電体の数よりも多い
ことを特徴とする請求項1記載の不揮発性記憶装置。
【請求項3】
前記第1導電部材及び前記第2導電部材は、それぞれ、前記第3方向に積層された複数の層を有し、
各前記層においては、前記微小導電体の延びる方向が相互に同一であり、
前記第1導電部材を構成する前記複数の層のうち少なくとも1つの層において、前記微小導電体が前記第1方向に延びており、
前記第2導電部材を構成する前記複数の層のうち少なくとも1つの層において、前記微小導電体が前記第2方向に延びている
ことを特徴とする請求項2記載の不揮発性記憶装置。
【請求項4】
前記微小導電体はカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項2または3に記載の不揮発性記憶装置。
【請求項5】
複数本の前記第1導電部材によって構成された第1配線層と、複数本の前記第2導電部材によって構成された第2配線層とが交互に積層されており、
前記第2導電部材における前記第1導電部材に接続される部分は、前記第3方向に向けて突出していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の不揮発性記憶装置。
【請求項6】
前記第1導電部材と前記第2導電部材との間の電位差に基づいて、前記第1導電部材と前記第2導電部材との間に流れる電流量を制御する選択素子層をさらに備え、
前記選択素子層は、各前記第1導電部材と各前記第2導電部材との間に設けられたピラーの一部であることを特徴とする請求項5記載の不揮発性記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−33601(P2012−33601A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170261(P2010−170261)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】