説明

不揮発性DRAMの駆動回路及びその駆動方法

【課題】本発明は、電子及びホールをトラップ可能な不導体を用いた不揮発性DRAMの制御を容易に行う駆動回路及び駆動方法を提供すること。
【解決手段】 不揮発性DRAMにおいて、
基板とゲートの間に電荷をトラップ可能な不導体を用いたセルトランジスタを備えた単位セルがアレイされるコアと、
外部電源を入力されて、複数の内部電圧を発生する内部電圧発生手段と、
前記不揮発性DRAMを動作モード別に制御するために、モード制御信号を発生するモード制御手段と、
前記モードに応じて、前記不揮発性DRAMのコアに印加する複数の電圧を前記内部電圧発生手段から供給されて切換えて出力する電圧レベル選択手段と、
該電圧レベル選択手段から出力される電圧を前記不揮発性DRAMのコアに供給するローデコーディング手段とを備え、
前記動作モードに応じてセルプレートに異なる電圧を印加することを特徴とする不揮発性DRAMの駆動回路。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子及びホールのトラップが可能な窒化膜等の不導体を用いた不揮発性DRAMの駆動回路及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、広く用いられている半導体メモリは、DRAM及びSRAMのようなRAM(Random Access Memory)と、マスクROM、EPROM及びEEPROMのようなROM(Read Only Memory)に大別される。DRAM及びSRAMの両方は書き込み及び読み出しを高速で行なうことができるが、メモリに電力を供給する電源を遮断すれば、メモリに格納されている記憶内容(データ)が消滅してしまう。一方、マスクROM、EPROM及びEEPROMは、メモリに電力を供給する電源が遮断された後にも記憶内容を保持することはできるが、記憶内容を変更できず、また変更できても相当な長時間を要するという問題がある。
【0003】
このため、メモリに対して高速なデータの書き込みや読み出しが可能であり、且つ電源の遮断した後にも記憶内容を保持可能な不揮発性DRAM(NVDRAM:Non−Volatile Dynamic Random Access Memory)が提案されている。図1は、従来の不揮発性DRAMの構造を示す断面図である。
【0004】
一例として、下記の特許文献1には、フローティングゲートと伝達ゲートとの間にDEIS(Dual Electron Injector Structure)を備えた不揮発性DRAMが開示されている。しかしながら、特許文献1に開示されているDEIS(double electron injector structure)スタック構造は、セルのビットライン側の上に位置しているので、データをキャパシタから、全てのセルに並行なフローティングゲートに、伝達することができない。このような問題を克服するために、下記の特許文献2に開示されている「NON−VOLATILE DRAM CELL」では、第1の層18及び第2の層20よりなるフローティングゲートを用いて、電界がP領域に近い第1の層18の薄い絶縁膜に集中するようにしている。しかしながら、図1に示すように、特許文献2では、セルキャパシタのプレートライン電圧Vpは接地電圧に固定されたまま、ワードラインWLの電圧及びビットラインBLの電圧だけで電界を形成する。このために、フローティングゲートが2層に形成されており、セルの面積が増大すると共に、製造工程の複雑さが増す。また、プレートライン電圧Vpを調節できる不揮発性DRAMに比べて、相対的に高いワードライン電圧及びビットライン電圧を印加するので、NVDRAMの消費電力が増大するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,471,471号明細書
【特許文献2】米国特許第5,331,188号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記に関連して、本出願人は大韓民国特許出願第2003−58300号(2003年8月22日出願)において、プレートに異なる電圧を印加することによって、低い内部電圧で駆動可能な不揮発性DRAMの駆動回路及びその駆動方法を開示している。しかしながら、同発明はフローティングゲート型のNVDRAMに適したものであり、ソース側から導体のフローティングゲートに電子が無制限に流れ込むことができ、通常モードの実行中にSRC過程(Stress−Refresh−Check Process)を複数回繰り返さなければならないので、制御動作が複雑になる不都合がある。また、フローティングゲートに電子が流れ込み続けてしきい電圧Vthが上昇し続けることによって、制御動作の複雑さが増すという不都合もある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電子及びホールをトラップ可能な不導体を用いた不揮発性DRAMの制御を容易に行うことができる不揮発性DRAMの駆動回路及び駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明によれば、不揮発性DRAMにおいて、基板とゲートの間に電荷をトラップ可能な不導体を用いたセルトランジスタを備えた単位セルがアレイされるコアと、外部電源を入力されて、複数の内部電圧を発生する内部電圧発生手段と、前記不揮発性DRAMを動作モード別に制御するために、モード制御信号を発生するモード制御手段と、前記モードに応じて、前記不揮発性DRAMのコアに印加する複数の電圧を前記内部電圧発生手段から供給されて切換えて出力する電圧レベル選択手段と、該電圧レベル選択手段から出力される電圧を前記不揮発性DRAMのコアに供給するローデコーディング手段とを備え、前記動作モードに応じてセルプレートに異なる電圧を印加することを特徴とする不揮発性DRAMの駆動回路を提供することができる。
【0009】
また、本発明によれば、基板とゲートの間に電荷をトラップ可能な不導体を用いたセルトランジスタを駆動する方法において、前記不揮発性DRAMの動作モード別に制御するために、モード制御信号を生成するステップと、前記モード制御信号に応じて、セルプレートに異なる電圧を印加するステップとを含むことを特徴とする不揮発性DRAMの駆動方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、セルプレートに異なる電圧を印加することによって、従来技術に比べて低い内部電圧だけでも、不揮発性DRAMを駆動することができる。
【0011】
また、本発明によれば、不揮発性DRAMの構造が通常のDRAMの構造と大きく違わないので、その製造に関して、製造装備の追加や新規の製造ラインの構築を行う必要がない。従って、製造コストを節減することができる。特に、フローティングゲート型のNVDRAMに比べて、制御が容易であり、且つパワーオフ時に要求されるプログラムモードの実行にかかる時間を大幅に縮めることができる。
【0012】
また、本発明に係るNVDRAMをDRAMモードとして動作させる場合、通常のRAMに比べてリフレッシュ(Refreash)特性が大幅に改善するという効果を奏する。これによって、通常のDRAMに比べて電力消費を大幅に削減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来技術のNVRAMの構造を示す断面図である。
【図2A】本発明の実施の形態に係る不揮発性RAMの駆動回路の駆動対象であるNVDRAMを構成する単位セルの概略を示す断面図である。
【図2B】図2Aに示した単位セルを示す回路図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るNVDRAMの駆動回路の概略的な構成を示すブロック図である。
【図4】図3に示したNVDRAMコアに電圧を供給するための要部の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るNVDRAMのセルアレイにおけるワードラインへの電圧の印加を示す説明図である。
【図6A】本発明の実施の形態に係るNVDRAMのイレイズ及びプログラムモードの動作を示す説明図である。
【図6B】本発明の実施の形態に係るNVDRAMの各モードの動作を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るNVDRAM内のセルトランスジスタのしきい電圧の時間変化を示す図である。
【図8】本発明に係る不揮発性DRAMの各駆動モードにおいて各部に印加される電圧を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の望ましい実施の形態に関して、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図2Aは、本発明の実施の形態に係る不揮発性DRAMの駆動回路の駆動対象である不揮発性DRAM(NVDRAM)を構成する単位セルの概略を示す断面図である。図2Bは、図2Aに示した単位セルを示す回路図である。
【0016】
図2Aに示したNVDRAMの単位セルは、トランジスタ及びキャパシタ209を備えている。ここで、トランジスタは、通常のDRAMのトランジスタの構成に加えて、制御ゲート201の下方にトラッピング層(trapping layer:Nitride)203を備えている。トラッピング層203は、不導体であり(例えば窒化膜)、電子及びホールを取り込んで内部に保持することができる。
【0017】
トラッピング層203は、1層である。キャパシタ209のプレートラインには、プレート電圧Vcpが印加されており、プレート電圧Vcpは固定の電圧では無くて可変であり、例えば接地電圧であってもよい。その結果、プレートラインによって単位セルの大きさを小さくでき、単位セルを形成する方法及び製造工程がより簡単になる。さらに、キャパシタ209は、制御可能なプレート電圧Vcpが供給されているので、単位セルに接続されたビットライン、ワードラインに低い電圧を印加することでNVDRAMを駆動することができる。即ち、本NVDRAMは低消費電力である。
【0018】
図2Aにおいて、制御ゲート201はポリシリコンで形成されており、酸化膜(Oxide)202は制御ゲート201とトラッピング層203との間に形成されている。また、別の酸化膜(Oxide)204はトラッピング層203と基板との間に形成されている。
【0019】
図2Bには、ワードライン電圧Vwl、ビットライン電圧Vbl、TP−ウエルの電圧VBB、格納ノード(strage node)電圧Vn、及びプレート電圧Vcpを示している。
【0020】
図3は、本発明の実施の形態に係る不揮発性DRAM駆動回路、即ちNVDRAMの駆動回路の概略的な構成を示すブロック図である。図3に示したように、NVDRAMコア350は、バンク別(BANK0〜3)、ブロック別(BLOCK0〜7)に区切られ、更に各ブロック内にNVDRAMセルがアレイ状に配列されている。
【0021】
本発明に係るNVDRAMは一般に、DRAMの駆動に必要な構成部に加えて、外部電源を供給されて複数の内部電圧を発生させる内部電圧発生部310と、NVDRAMの各モードを制御するモード制御部320と、各モードに応じてNVDRAMコア350において必要な複数の電圧を内部電圧発生部310から供給され、それらを切換える電圧レベル選択部330と、電圧レベル選択部330から出力される選択電圧をNVDRAMコア350に供給するローデコーディング部340と、臨時メモリブロック380を備えて構成される。カラムデコーディング部360及びセンスアンプ370の内部構成は通常のDRAMで用いられる構成と同様なので、その説明を省略する。また、臨時メモリブロック380に関しては後述する。
【0022】
内部電圧発生部310は、ビットラインに印加する複数の電圧を発生するビットラインプリチャージ電圧発生部(VBLP Gen)311と、セルプレートに印加する複数の電圧を発生するセルプレート電圧発生部(VCP Gen)313と、ワードラインに印加する正電圧を発生する正電圧発生部(VPP Gen)315と、ワードラインに印加する負電圧を発生する負電圧発生部(negWL Gen)317とから構成されている。図3では、一例として、ビットラインプリチャージ電圧発生部(VBLP Gen)311が3V、1.25V、0V及び−3Vを供給し、セルプレート電圧発生部(VCP Gen)313が0V及び2.5Vを供給し、正電圧発生部(VPP Gen)315が2V、4V及び5Vを供給し、負電圧発生部(negWL Gen)317が−3V及び0Vを供給する場合を示している。
【0023】
電圧レベル選択部330は、第1〜第8電圧レベルセレクターSELECTOR0〜7から構成されており、各々の第1〜第8ブロックBLOCK0〜7に供給する複数の電圧を内部電圧発生部310から供給されて、それらを切換える。ローデコーディング部340は、第1〜第8電圧レベルセレクターSELECTOR0〜7の各々に対応する第1〜第8のローデコーダから構成されている。
【0024】
図4は、図3に示したNVDRAMコア350に電圧を供給するための要部の構成を示すブロック図である。
【0025】
図4において、電圧レベル選択部330及びローデコーディング部340内の第1電圧レベルセレクター410及び第1ローデコーダ420は各々、NVDRAMコア350内の第1ブロック(BLOCK0)430に対応する。図4に示したように、第1電圧レベルセレクター410は、ビットラインに印加する複数の電圧をビットラインプリチャージ電圧発生部311から供給されて、それらを切換えるビットラインプリチャージ電圧(VBLP)切換え部411と、セルプレートラインで要求される複数の電圧をセルプレート電圧発生部313から供給されて切換えるセルプレートライン電圧(VCP)切換え部413と、ワードラインに印加する複数の正電圧を正電圧発生部315から供給されて、それらを切換える正電圧(VPP)切換え部415と、ワードラインに印加する負電圧を負電圧発生部317から供給されて、それらを切換える負電圧(negWL)切換え部417とから構成されている。
【0026】
図5は、本発明の実施の形態に係るNVDRAMのセルアレイにおけるワードラインWLへの電圧の印加を示す説明図である。
ローデコーダ420は、アドレスが入力されて、正電圧切換え部415及び負電圧切換え部417から入力される電圧を切り換える。正電圧切換え部415から供給される電圧をドレイン電圧VDDとして用い、負電圧切換え部417から供給される電圧をソース電圧VSSとして用いる。
【0027】
図6A及び図6Bは本実施の形態に係るNVDRAMセルの動作を示す説明図である。以下、図6A及び図6Bに従ってNVRAMのセルの駆動方法について説明する。
【0028】
本発明の実施の形態に係るNVDRAMを、電源の遮断の際には不揮発性メモリとして機能させ、また電源の投入の後には、揮発性DRAMとして機能させるには、次の4つのモードが必要である。即ち、本発明の実施の形態に係るNVDRAMは、以下に説明する「DRAMモード」、「プログラムモード」、「リコールモード」、及び「イレイズモード」で駆動される。
【0029】
DRAMモードは、NVDRAMがDRAMのように動作する過程である。プログラムモードは、NVDRAMに電力を供給する電源を遮断する際にセルキャパシタ209に格納されているデータ情報(電荷)をトラッピング層(窒化膜)203に伝達する過程である。リコールモードは、NVDRAMに電力を供給する電源を投入する際にトラッピング層(窒化膜)203にあるデータ情報をセルキャパシタ209に伝達する過程である。イレイズモードは、全てのセルアレイのトラッピング層(窒化膜)203に同量の電子を満たす(これは格納されている情報の消去に該当する)過程である。以下に、各モードについて詳細に説明する。
【0030】
<DRAMモード>
本発明の実施の形態に係るNVDRAMは、DRAMモードにおいては、通常のDRAMと同様の動作を行う。しかしながら、従来のDRAMではセルトランジスタのゲート酸化膜を用いているが、本NVDRAMでは電子をトラップできる不導体を用いているため、素子のリフレッシュ特性が改善する。
【0031】
詳細に説明すると、格納情報が消去されたセルトランジスタでは電子がトラッピング層203内にトラップされた状態なので、セルトランジスタの基板ドーピングの濃度をゲート酸化膜を用いる通常のDRAMと同じようにすれば、本発明に係るセルトランジスタのしきい電圧は通常のDRAMのしきい電圧よりも高くなる。このため、セルトランジスタの製造時に基板ドーピングの濃度を下げることによって、本発明に係るセルトランジスタのしきい電圧をほぼ通常のDRAMのしきい電圧程度に保持することができる。これによって、本NVDRAMにおいては、DRAMの主要パラメーターの中の一つであるリフレッシュ特性が通常のDRAMに比べて大幅に改善される。これは、セルトランジスタの基板ドーピングの濃度が低ければ、セルキャパシタに接続されたセルトランジスタの接合面と基板との間に低電界が形成され、該低電界によって接合面での漏れ(Junction Leakage)が減少するためである。
【0032】
<プログラムモード>
電源障害の検出や電源遮断の際に、セルキャパシタ209に格納されたデータ情報(電荷)を窒化膜203へ伝達するプログラムモードが実行される。
【0033】
(1) プログラムモードの実行のために、まずDRAMモードでアレイ状に配列された全てのセルをリフレッシュする。すると、セルキャパシタ209に格納されたデータの論理状態が明確になる。
【0034】
(2) セルキャパシタ209に格納された論理的ハイレベルのデータは、局部的なホットホールインジェクションや電子のF−Nトンネル効果を引き起こして、セルキャパシタ209側のトラッピング層(窒化膜)203が部分的にオンするようになる。ここで、ホールのインジェクション及び電子のF−Nトンネル効果のいずれがより多く発生するかは、オキサイド層(酸化膜)204の厚さに依存する。一方、セルに加えられる電圧(最大2.5ボルト)だけではホットホールを誘引することは難しい。
【0035】
従って、ワードラインとセルプレートとの間に約5.5Vの電位差が生じるように、ワードライン電圧Vwl及びセルプレート電圧Vcpを印加する。例えば、ワードラインに−3Vの電圧を与え、セルプレートに2.5Vを印加する。すると、ハイレベルのデータを格納するセルキャパシタ209に対して、格納ノード電圧Vnがブーストアップされる。したがって、図6Aにおいて、「キャパシタ5V」、「ワードライン−3V」として示したように、格納ノードとゲート電圧の電圧差が8Vとなって、ホットホール(hot Hole)がトラッピング層203に流入する。
【0036】
しかしながら、ローレベルのデータを格納するセルキャパシタ209に対して、2.5Vの格納ノード電圧Vnと−3Vのゲート電圧Vwlとの電圧差は、ホットホールインジェクションを引き起こすには余りにも小さい。プレートブースティング(Boosting)技術を使用すればプログラミングの妨害が内在的に遮断され、省電力で高信頼性の動作を達成することができる。
【0037】
(3) 一方、セルキャパシタ209のキャパシタンスが少なく、セルキャパシタ209からトラッピング層(窒化膜)203へのホールのインジェクションが十分でなく、または電子のF−Nトンネルが不充分である場合、(1)のリフレッシュ及び(2)のストレイジ手続きを繰り返す必要がある。
【0038】
<リコールモード>
(1) 格納ノードの電荷を空にすることができる電圧をワードライン及びビットラインに印加する。例えば、全てのワードラインに2V、全てのビットラインに0Vを各々印加する。
【0039】
(2) その後、ワードライン電圧Vwlを2Vに保持したまま、ビットラインに3Vを印加する。トラッピング層(窒化膜)203に格納されたデータがハイレベルであれば、セルトランジスタのソース207側(格納ノード側)しきい電圧Vthは低くなるが、セルトランジスタのドレイン208側(ビットライン側)のしきい電圧Vthはプログラミングにより影響されない。相対的に高いドレイン電圧のため、ドレイン208側の表面電圧は低くなり、それによって約2Vの電圧伝達が可能となる。一方、トラッピング層(窒化膜)203に格納されたデータがローレベルであれば、製造工程で精密制御されてトラッピング層(窒化膜)203を用いる不揮発性DRAMのDRAMモードでのしきい電圧が1.2Vであれば、わずか0.8Vの電圧伝達が可能である。
【0040】
(3) 電圧伝達が、セルに格納されたデータがハイレベルの場合には2V、ローレベルの場合には0.8Vであるので、ビットラインプリチャージ電圧が1.25Vであれば、データがセルキャパシタ209に復元される、即ちリコールが正常に達成される。この際に、セルからの電流の漏洩を防止するために、選択されたワードラインには4Vを、非選択のワードラインは−3Vを各々印加する。
【0041】
(4) セルキャパシタ209に格納されたデータの状態を明確にするために、リフレッシュする必要がある。
【0042】
<イレイズモード>
リコールモードの動作を行った後、DRAMモードに切換えるためには、同じブロック内のセルトランジスタのしきい電圧を一致させる必要がある。
【0043】
(1) このために、まず、あるブロックのデータをリフレッシュし、アレイ状に配列された各単位セルのセルキャパシタ209に格納された全てのデータを臨時メモリブロック380にバックアップする。データのバックアップ方式は、ある実施の形態では、臨時メモリブロック380の大きさによって異なる。他の実施の形態では、臨時メモリブロック380の全てを用いるかあるいは一部を用いるかによって決まる。例えば、臨時メモリブロック380の大きさ(データ容量、即ちセルの数)が、バンクBANK0〜3を構成する各々のブロックBLOCK0〜7と同じで、臨時メモリブロック380の全体をバックアップに用いると、バンク内のブロックBLOCK0〜7毎にバックアップすることができる。または、臨時メモリブロック380の大きさが、4バンクで構成されるNVDRAMメモリブロック350の中のいずれか一つのバンクに相当し、臨時メモリブロック380の全体をデータのバックアップに用いると、各バンクBANK0〜3毎にバックアップすることができる。または、臨時メモリブロック380の大きさが4バンクで構成されるNVDRAMメモリブロック350と同じで、臨時メモリブロック380の全体をデータのバックアップに用いると、NVDRAMメモリブロック350のデータを一度にバックアップすることができる。臨時メモリブロック380のセル構造は、本発明に係るNVDRAMアレイセルの構造と同様にすることが、製造上の便利さや経済性など様々な面から望ましいが、これに限定されるものではなく、データを所定の時間の間格納可能な構造ならばよい。臨時メモリブロック380に印加されるワードライン電圧Vwl、ビットラインプリチャージ電圧Vblp及びプレートライン電圧Vcpは、データのバックアップ方式によって適宜調整する必要があるが、当業者ならば容易に理解できることであり、その説明は省略する。
【0044】
(2) 図6Aに示したように、セルトランジスタのワードライン電圧Vwlとして約5V、ビットラインプリチャージ電圧Vblp及びボディー電圧Vbbとして約−3Vを印加する。すると、セルトランジスタの全体においてチャネルが逆転状態に置かれるようになる。この状態で、全体チャネルにF−Nトンネル効果生じて、電子がトラッピング層(窒化膜)203にトラップされることによって、全体としてしきい電圧Vthを上昇させるようになる。この過程で、以前にプログラムされたしきい電圧は消去される。トラッピング層(窒化膜)203のトラップ数は制約的であるから、所定量以上F−Nトンネル効果が発生すれば、飽和状態に達する。即ち、トラッピング層(窒化膜)203に格納されたデータがローレベルの場合、トンネルされる電子が殆どないはずであるが、トラッピング層(窒化膜)203に格納されたデータがハイレベルの場合、格納ノード側が部分的に低いしきい電圧を有するはずで、この部分に集中的に電子のトンネル効果が発生して飽和されるはずである。結局、アレイ状に配列された全てのセルは、DRAMとして動作するのに必要なしきい電圧、即ち、1±0.2Vを有し得る。
【0045】
(3) 最後に、バックアップしたデータをセルに書込む。
【0046】
図7は、NVDRAMがプログラムモード、イレイズモードで駆動される場合における、セルトランジスタのしきい電圧の変化を示す図である。
【0047】
本発明に係る不揮発性DRAMの各駆動モードにおいて各部に印加される電圧を図8にまとめて示す。
【0048】
上記した実施の形態では、NVDRAMは、電子及びホールのトラップが可能な不導体として窒化膜を備えている。従って、NVDRAMのセルトランジスタは、SONOS型フラッシュメモリ構造にキャパシタを加えて構成することができる。また、本発明の駆動対象であるNVDRAMのセルトランジスタは、MONOS型フラッシュメモリ構造にキャパシタを加えて構成されてもよい。さらに、本発明の駆動対象であるNVDRAMのセルトランジスタは、SON1N2S型フラッシュメモリ構造にキャパシタを加えて構成されてもよい。SONOS型及びMONOS型のトラップ可能な窒化膜は、化学気相蒸着(CVD方式)によって形成することができるが、例えば、アルミニウムオキサイドAL23、タンタルオキサイドTa25及びハフニウムオキサイドHfO2の中のいずれか一つの雰囲気中にて蒸着によって形成しても良く、SON1N2S型のN2窒化膜は加温して成長させることによって形成しても良い。
【0049】
また、NVDRAMに供給される電源の遮断を早期に検出する電源モニター手段と、電源の遮断の際にも、NVDRAMを所定時間動作させる蓄電池とを更に備えることができる。
【0050】
以上で開示された実施の形態はすべての点で例示であって限定を意図したものではない。本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲の記載によって示され、発明の趣旨を変更しない範囲内で種々の変更が成され得る。
【符号の説明】
【0051】
310 内部電圧発生部
320 モード制御部
330 電圧レベル選択部
340 ローデコーディング部
350 NVDRAMコア
360 カラムデコーディング部
370 センスアンプ
380 臨時メモリブロック
311 ビットラインプリチャージ電圧発生部
313 セルプレート電圧発生部
315 正電圧発生部
317 負電圧発生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性DRAMにおいて、
基板とゲートの間に電荷をトラップ可能な不導体を用いたセルトランジスタを備えた単位セルがアレイされるコアと、
外部電源を入力されて、複数の内部電圧を発生する内部電圧発生手段と、
前記不揮発性DRAMを動作モード別に制御するために、モード制御信号を発生するモード制御手段と、
前記モードに応じて、前記不揮発性DRAMのコアに印加する複数の電圧を前記内部電圧発生手段から供給されて切換えて出力する電圧レベル選択手段と、
該電圧レベル選択手段から出力される電圧を前記不揮発性DRAMのコアに供給するローデコーディング手段とを備え、
前記動作モードに応じてセルプレートに異なる電圧を印加することを特徴とする不揮発性DRAMの駆動回路。
【請求項2】
前記モード制御手段が、
前記セルトランジスタのしきい電圧を上昇させることによって、前記単位セル内のトラップ可能な不導体に格納された電荷を消去するイレイズモードを有するように制御し、この時ワードラインに正電圧を、ビットラインに負電圧を印加し、セルトランジスタの全体においてチャンネルが逆状態に置かれるようになることを特徴とする請求項1に記載の不揮発性DRAMの駆動回路。
【請求項3】
前記モード制御手段が、
電源の印加の際、前記単位セル内のトラップ可能な不導体に格納された電荷を前記セルキャパシタに伝達するリコールモードを有するように制御し、この時ワードラインに第1電圧を印加し、ビットラインには第1電圧より低い第2電圧を印加した後、第1電圧より高い第3電圧を印加することを特徴とする請求項1又は2に記載の不揮発性DRAMの駆動回路。
【請求項4】
前記モード制御手段が、
電源が遮断された場合、前記セルキャパシタに格納されたデータ情報を前記単位セル内のトラップ可能な不導体に伝達されるプログラムモードを有するように制御し、この時ワードラインに負電圧、セルプレートに正電圧を印加することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の不揮発性DRAMの駆動回路。
【請求項5】
アレイ状に配列された各々の前記単位セルに格納されたデータをバックアップするための臨時メモリブロックを更に備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の不揮発性DRAMの駆動回路。
【請求項6】
アレイ状に配列された各々の前記単位セルに格納されたデータを前記臨時メモリブロックにバックアップする1回当たりのデータ量が、電源電圧を独立して供給される前記臨時メモリブロックの大きさにより決定されることを特徴とする請求項5に記載の不揮発性DRAMの駆動回路。
【請求項7】
前記臨時メモリブロックのデータ記録容量が、前記不揮発性DRAMのコアを構成する複数のバンクの中のいずれか一つと同じデータ記録容量であることを特徴とする請求項6に記載の不揮発性DRAMの駆動回路。
【請求項8】
基板とゲートの間に電荷をトラップ可能な不導体を用いたセルトランジスタを駆動する方法において、
前記不揮発性DRAMの動作モード別に制御するために、モード制御信号を生成するステップと、
前記モード制御信号に応じて、セルプレートに異なる電圧を印加するステップとを含むことを特徴とする不揮発性DRAMの駆動方法。
【請求項9】
前記不揮発性DRAMの動作モードが、
前記セルアレイ内のセルトランジスタのしきい電圧を上昇させることによって、前記単位セル内のトラップ可能な不導体に格納された電荷を消去するイレイズモードを有するように制御することを特徴とする請求項8に記載の不揮発性DRAMの駆動方法。
【請求項10】
前記不揮発性DRAMの動作モードが、
電源が印加される場合、前記単位セル内のトラップ可能な不導体に格納された情報を前記セルキャパシタに伝達するリコールモードを有することを特徴とする請求項8又は9に記載の不揮発性DRAMの駆動方法。
【請求項11】
前記不揮発性DRAMの動作モードが、
電源が遮断された場合、前記セルキャパシタに格納されたデータ情報を前記単位セル内のトラップ可能な不導体に伝達されるプログラムモードを備えることを特徴とする請求項8〜10の何れか1項に記載の不揮発性DRAMの駆動方法。
【請求項12】
前記プログラムモードが、
前記セルトランジスタをリフレッシュする第1ステップと、
ワードラインに負電圧を印加し、セルプレートに正電圧を印加し、セルキャパシタに格納されたハイレベルのデータが局部的なホットホールインジェクションを引き起こしてセルキャパシタ側の前記不導体が部分的にオンする電圧を印加する第2ステップと
を含むことを特徴とする請求項11に記載の不揮発性DRAMの駆動方法。
【請求項13】
前記セルトランジスタのワードラインとセルプレートとの間の電位差が約5.5Vになるように、ワードライン電圧およびセルプレート電圧を印加することを特徴とする請求項12に記載の不揮発性DRAMの駆動方法。
【請求項14】
前記イレイズモードが、
前記セルトランジスタ内のセルキャパシタに格納されたデータをバックアップする第1ステップと、
ワードラインに正電圧を、ビットラインに負電圧を印加し、セルトランジスタの全体においてチャンネルが逆状態に置かれるようになることによって、前記セルトランジスタのトラップ可能な不導体に電子のF−Nトンネルによって、前記セルトランジスタのしきい電圧を全体として上昇させる第2のステップと、
前記バックアップデータを前記セルキャパシタに書込む第3のステップと
を含むことを特徴とする請求項9に記載の不揮発性DRAMの駆動方法。
【請求項15】
前記第2ステップが、
前記セルトランジスタのワードライン電圧として約5Vを、ビットラインプリチャージ電圧およびボディー電圧として約−3Vを印加することを特徴とする請求項14に記載の不揮発性DRAMの駆動方法。
【請求項16】
前記第2ステップを行った後の前記しきい電圧が、1±0.2Vであることを特徴とする請求項14に記載の不揮発性DRAMの駆動方法。
【請求項17】
前記リコールモードが、
ワードラインに第1電圧をビットラインに第1電圧より低い第2電圧を印加し、前記セルトランジスタの格納ノードを空にする第1ステップと、
ワードラインに印加された第1電圧を維持しつつ、ビットラインに第1電圧より高い第3電圧を印加し、前記セルトランジスタの前記不導体に格納された論理状態に応じて前記格納ノード上に異なる電圧が許されるように、前記セルトランジスタに印加されるソース電圧よりドレイン電圧を相対的に上昇させる第2ステップと、
前記セルトランジスタをリフレッシュする第3ステップと
を含むことを特徴とする請求項10に記載の不揮発性DRAMの駆動方法。
【請求項18】
前記第1ステップが、
前記セルトランジスタのワードラインが、ビットラインよりも約2V高い電位差を維持するように、ワードライン電圧とビットライン電圧を印加することを特徴とする請求項17に記載の不揮発性DRAMの駆動方法。
【請求項19】
前記第2ステップが、
前記ワードライン電圧を維持した状態で、前記セルトランジスタのビットラインが前記ワードラインよりも約1V高い電位差を維持するように、前記ワードラインの電圧および前記ビットラインの電圧を印加することを特徴とする請求項18に記載の不揮発性DRAMの駆動方法。
【請求項20】
前記第2ステップが、
前記セルトランジスタの不導体に格納されたデータがハイレベルに該当する場合、前記セルトランジスタの格納ノード上に約2Vの電圧が印加されるようにし、前記セルトランジスタの不導体に格納された電荷量がローレベルに該当する場合、前記格納ノード上に約0.8Vの電圧が印加されるようにすることを特徴とする請求項17に記載の不揮発性DRAMの駆動方法。
【請求項21】
前記セルトランジスタに格納されたデータの状態を検出するために、前記セルトランジスタのビットラインプリチャージ電圧が1.25Vを、前記セルトランジスタのワードライン電圧が4Vを、そして選択されないワードライン電圧は−3Vを、各々印加する第4ステップをさらに含むことを特徴とする請求項17に記載の不揮発性DRAMの駆動方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−238361(P2010−238361A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−166688(P2010−166688)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【分割の表示】特願2004−197766(P2004−197766)の分割
【原出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(591024111)株式会社ハイニックスセミコンダクター (1,189)
【氏名又は名称原語表記】HYNIX SEMICONDUCTOR INC.
【住所又は居所原語表記】San 136−1,Ami−Ri,Bubal−Eup,Ichon−Shi,Kyoungki−Do,Korea
【Fターム(参考)】