説明

並列反応器の圧力と流量を制御するための装置と方法

【解決手段】 本発明は、少なくとも2つの空間的に分離されている反応空間内の化学反応を並行して研究するための方法及び装置に関する。具体的には、本発明は、定容反応でない反応、及び/又は、少なくとも2つの空間的に分離されている反応空間を通る流体の流れを、全ての反応空間又はその関係付けられているサブセットに関して、できるだけ最も簡単なやり方で、一緒に制御するように意図している反応に適している。或る実施形態によれば、化学反応を並行して研究するための本発明による装置は、少なくとも以下の構成要素:
(a)少なくとも2つの空間的に分離されている反応空間(20);
(b)反応空間の入力側の、(a)による反応空間用の少なくとも1つの共通の抽出物供給部(10);
(d)反応空間の出力側の、全ての反応空間又はそれらのサブセットに共通の少なくとも1つの保持気体供給部(52)への、反応空間当たり少なくとも1つの接続部(54);
(e)反応空間の出力側の、生成物の流れの方向に(d)による保持気体供給部(52)への接続部(54)の下流にある、反応空間当たり少なくとも1つの絞り器(25)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの空間的に分離されている反応空間内の化学反応を並行して研究するための方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この化学反応は、気相反応であるのが望ましい。液相及び/又は多相の反応を伴う実施形態もある。
【0003】
特に、本発明は、定容反応でない反応に、及び/又は、少なくとも2つの空間的に分離されている反応空間を通る流体の流れが、全ての反応空間又は関係付けられた空間のサブセットに関して、できるだけ簡単なやり方で一緒に制御されるように意図されている反応に適している。
【0004】
反応は、同じでも、異なっていてもよい。この1つ又は複数の化学反応は、触媒活性物質が存在する中で実行されるのが望ましい。この1つ又は複数の化学反応は、大気圧より高い圧力で実施されるのが望ましい。この少なくとも2つの空間的に分離されている反応空間は、並列に接続されているのが望ましく、以下「併発反応器」と呼ぶことにする。
【0005】
個々の反応器内の所定の圧力又は抽出物の流れを調整することは以前から知られており、例えば、圧力及び/又は質量流量コントローラーを使って行われている。原理的には、並列に接続されている複数の個々の反応器内の流れと圧力を、各反応器毎に、個別に圧力測定、圧力補正、及び質量流量制御を行うことによって、調整することもできる。
【0006】
化学反応を試験するためのそのような並列式の個々の反応器について、例えば、科学出版物「NiO−ThO触媒の特性表示と不活性化(応用触媒48(1989年)、159−176頁)J.T.Richardson他」に開示されている。ここでは、圧力と流れは、質量流量コントローラを使って、個々の反応器毎に調整されている。
【0007】
Richardsonらが説明している装置について分かっている欠点は、それが真の並列化ではないこと、即ち、各反応器は、なお基本的には個々に制御し、作動させなければならないという点である。4つ以上のそのような反応器、例えば96個中48個の反応器の並列化は、この装置では技術的に実現不可能のように思え、何れにしてもコストと制御技術の点で受け入れられるものではない。
【0008】
並列に接続されている反応器の個々の制御だけでなく、共通の高圧ガス供給源から全ての反応器に供給し、個々の反応器の流出物を、毛管のようなそれぞれの絞り要素を使って絞ることも知られている。反応器からの生成物の流れは、同時又は順次に測定される。
【0009】
極めて数多くの触媒気相反応を研究することのできるそのような装置が、DE19809477号に記載されている。この装置は、それぞれが個体(触媒)を保持するための複数の窪みを有する保持ユニットを備えている。全ての固体は、共通の気体供給を介して、反応気体に同時に曝される。それぞれ反応空間の端部に接続されているチャネルは、先細になっていて、反応空間に入る気体の流れ(抽出物気体流)が均等に分配される。特に、様々な反応空間内での異なる触媒活性度を比較することは、この方法でしかできないので、全ての反応空間に等しい抽出物気体流の入ることが望ましい。例えば、全ての触媒を同じ抽出物気体流に曝さなければ、特に活性な触媒を識別することはできないと思われる。
【0010】
材料試験用の別の高度に並列化された装置が、US2003/0159530号に記載されている。そこに開示されている装置によれば、並列反応器システム(モジュール式に構築されたディスクから成るのが望ましい)は、「流量制御器具」を有している。例えば、流入してくる気体の流れを制御し、個々の反応チャネル全てに亘って流入してくる気体の実質的な均等配分を保証する孔付きの金属プレート及び/又はフリットのような流量絞り器が反応チャネルの前に設けられている場合は、全ての反応チャネルの受動的制限的流量制御が可能である。US2003/015930号によれば、更に、そのような受動的制限的流量制御器具を、反応モジュールの反応チャネルの後に設けることも可能で、その場合、そのような器具は、反応チャネル前の流量制御と同じ効果を示す。
【0011】
この先行技術に対応する装置を、図1に概略で示している(以下の同図面の説明も参照のこと)。
【0012】
EP1001846号は、DE19809477号と同様の主題に関係している。ここでも、複数の絞り器(毛管又はピンホールの形態で先細になっている)が、個々の反応空間全体に亘る流体流の均等分配を保証している。EP1001846号は、絞り器が、反応空間の前又は後の何れかに適用されることを開示している。
【0013】
気体−液体分離ユニットについて、特にその生成物流体の放出について、手動段階を含む工程が当技術では知られている。そのような工程段階は、生成物流体の量を重量差から正確に計算できるように、触媒実験の前後で分離ユニットの重量を計測する段階に関係することが多い。
【0014】
EP423294B1号は、流動床亀裂触媒を試験し評価するための自動化ユニットを開示している。液体生成物用の自動生成物収集システムも開示されている。このシステムの助けを借りれば、別々の実験から液体生成物が集められる。触媒作用のためのそのようなユニットは、一般的に、超低圧(即ち、1から5バールのユニット作動圧力)で行われる触媒実験だけに用いられ、その場合、触媒は短い期間(10から300秒)でだけ試験される。生成物を収集するための自動化システムに関係するヒントは与えられていない。
【0015】
液体分離ユニットと放出ユニットは、工業的処理の分野では広く知られている。代表的な実施形態が、例えば、DE19855910A1号とDE19632911C3号に開示されている。しかしながら、工業的処理は、汚染の無い液体の完全な移送、センサー要素の小型化、高圧方式、及び少量の生成物を考慮していないので、これらの技術的概念を実験室規模に置き換えることは不可能である。
【0016】
特に、先行技術で知られている工程は、自動化や、複数の触媒を並列の反応器で同時に試験する高処理量の試験ユニットでの使用には適していない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0017】
以上から、本発明の目的は、先行技術と比べて改良されている、化学反応の並行作動及び/又は試験のための装置と、関連する方法を提供することである。中でも、改良された装置と方法は、特に但し排他的にではなく、生成物の気体分子の数が抽出物気体分子の数より多いか又は少ない、定容反応ではない化学反応の作動及び/又は研究を可能にする。
【0018】
反応が実際に起こっている間に、少なくとも2つの空間的に接続されている反応空間を通過する流体流をできるだけ簡単なやり方で制御し、特に、反応空間に共通の圧力がこの制御の影響を被らないか、又は、実質的に被らないようにすることも、本発明の目的である。
【0019】
特に分離ユニット(分離器、ストリッパーなど)に関係する本発明の別の目的は、高処理量触媒作用での、及び/又は高圧下での分離の場合の、流体生成物の分離を改良することに関係する。この目的は、並列反応器内の高処理量触媒作用、並びに1つの反応ユニット内の化学反応/触媒作用を実行することに関する。
【0020】
上記及びこの他の目的は、少なくとも以下の構成要素を備えた装置を設けることによって、本発明に従って実現することができる。
【0021】
(a)少なくとも2つの空間的に分離されている反応空間、
(b)反応空間の入力側の、(a)による反応空間用の少なくとも1つの共通の抽出物供給部、
(d)反応空間の出力側の、各反応空間当たり、全ての反応空間又はそれらのサブセットに共通の少なくとも1つの保持気体供給部への、少なくとも1つの接続部、
(e)反応空間の出力側の、生成物の流れの方向に、保持気体供給部への接続部の下流にある、各反応空間当たり少なくとも1つの絞り器。
【0022】
この装置は、以下の構成要素の内の少なくとも1つを更に備えているのが望ましい。
【0023】
(c)反応空間の入力側の、各反応空間当たり少なくとも1つの絞り器、
(f)個々の反応空間からの生成物を分析するための少なくとも1つのユニット、
(g)反応空間用の少なくとも1つの共通の加熱器と、少なくとも1つの機能的に関係付けられた絞り器のセットのための少なくとも1つの他の別の加熱器。
【0024】
本発明による装置の或る好適な実施形態では、構成要素(a)から(e)は、随意的に(c)を含まず、周囲の圧力より高い圧力でさえ互いに気密接続されている。構成要素を直接一緒にすることが不可能又は現実的でない装置内の場所では、それらを一緒にするために、以下に開示する型式の「接続部」、即ち望ましくはチャネル、管又は毛管を使用するのが望ましい。
【0025】
本発明の装置及び方法は、非定容反応で特に好都合に使用することができるが、反応の1つ又は全部が定容で起こる場合も、問題なく使用することができる。この実施形態の代表的な構成を図2で概略的に取り扱っている(同図の以下の説明も参照のこと)。
【0026】
本発明の目的は、同じでも異なっていてもよいが、少なくとも2つの化学反応を少なくとも2つの空間的に分離されている反応空間内で並行して実施するための方法によっても実現することができる。本発明による方法は、少なくとも以下の段階を含んでいる。
【0027】
(A)少なくとも2つの空間的に分離されている反応空間内の少なくとも1つの物質を、少なくとも1つの抽出物と、全ての反応空間又はそれらのサブセットに共通の少なくとも1つの抽出物供給部を介して接触させる段階、
(B)少なくとも2つの空間的に分離されている反応空間からの少なくとも1つの生成物の流れを、全ての反応空間又はそれらのサブセットに共通の保持気体供給部からの保持気体と同時に接触させる段階。
【0028】
抽出物の供給は、反応空間の入力側の、各反応空間の上流の絞り器を介して行われるのが望ましい。反応空間の入力側(及び/又は反応空間の出力側)の、機能的に関係付けられた絞り器のセット(又はグループ)は、同一又は同様であるのが望ましく、同一又は同様の流体抵抗を示す。従って、絞り器又は絞り器のセット(グループ)は、少なくとも、反応空間全体に亘る抽出物気体流を略均等に分配することになる。このことは、絞り器が反応空間の出力側だけに装着されているか、又は反応空間の入力側にも装着されているかに関係しない。
【0029】
保持気体は、少なくとも1つの保持気体供給部を介して、各反応空間の出力側の方向に送出されるのが望ましい。別の好適な実施形態では、保持気体の圧力は、抽出物供給部のある側の圧力より常に低くなるように調整される。
【0030】
反応空間内に体積の変動があった場合でも、圧力を全ての反応空間内で一定に保つために、反応空間当たり1つの絞り器が、少なくとも反応空間出力側で保持気体が供給される結節/混合点の(反応空間から流れ出る生成物の流れに関して)下流に備えられている。
【0031】
反応空間の出力側の絞り器は、同一又は同様の流体抵抗を示すように構成されているのが望ましい。流体抵抗は、多口弁のような絞り器の下流にある生成物送出構成要素を、仕様に従って使用できるような諸元になっているのが望ましい。
【0032】
基本的に、反応空間内の圧力に関係する制約はない。反応空間内の圧力は、0.1Mpa(1バール)から50Mpa(500バール)であるのが望ましく、0.2Mpa(2バール)から20Mpa(200バール)であるのが更に望ましく、2Mpa(20バール)から16Mpa(160バール)であれば更に望ましい。この圧力範囲は、共通の抽出物供給部及び/又は共通の保持気体及び制御流体供給部(以下参照)の圧力にも当てはまる。
【0033】
反応空間内の流体抵抗、即ち反応空間入力と反応空間出力の間の流体抵抗は、絞り器の流体抵抗と比べると無視できるのが望ましい。ここで「無視できる」とは、各反応空間の流体抵抗が、最低の流体抵抗を有する絞り器の流体抵抗の50%未満、望ましくは10%未満、更に望ましくは1%未満であることを意味している。
【0034】
本発明による方法の具体的な利点は、(i)個々の反応空間に関する流体抵抗は、反応空間入力及び/又は出力側の絞り器によって、抽出物に対して作り出されることと、同時に、(ii)反応空間内の圧力が、全ての反応空間又はそれらのサブセットに共通の保持気体供給部への接続によって、一定に保たれることである。この結果、反応空間内で体積が変動しても、全ての反応空間に亘って抽出物の流れは一定になる。
【0035】
反応時に(例えば、反応中に気体が消費されるため)体積収縮が起こった場合、対応してより多くの保持気体が送出される(等しい抽出物の流れのため)。実際に好適な実施形態では、「始動」時、即ち反応空間を通る抽出物の流れが既にあって、抽出物供給部のある側から反応空間に圧力pが掛けられているが、(例えば、触媒がまだ活性化していないか、又は作動温度にまだ達していないために)反応自体がまだ起こっていないときは、保持気体の圧力pが、保持気体供給側の圧力コントローラーの助けによって調整されるので、反応空間内に生じる圧力は、概略、反応中に反応空間に広がることになる圧力になる。
【0036】
その後、共通の抽出物供給部からの抽出物の流れは、抽出物が抽出物供給部から反応空間に流れ込むように調整されるのが望ましい。この場合、保持気体供給側の流量計は、保持気体の流れが無いか、又は僅かに流れていることを示すのが望ましい。ここでpは、pより小さい(そうでなければ、抽出物は反応空間を通って流れない)。
【0037】
反応中に体積膨張が起こった場合、対応して保持気体供給部からの流れが減らされ、反応空間内の圧力は実質的に一定に留まる。そのため、体積膨張の際は、過剰な気体が、保持気体供給部によって「吸収」され、或る好適な実施形態では、保持気体の流れは、上記始動時には、ゼロでないが一定の値になるように調整される。この作動手順によって、体積収縮と体積膨張の両方を「吸収」することができる。
【0038】
別の実施形態では、本発明による装置は、少なくとも以下の構成要素を備えている。
【0039】
(a)少なくとも2つの空間的に分離されている反応空間、
(b)反応空間の入力側の、(a)による反応空間用の少なくとも1つの共通の抽出物供給部、
(d)反応空間の出力側の、各反応空間当たり、全ての反応空間に共通の少なくとも1つの保持気体供給部への、少なくとも1つの接続部、
(d’)反応空間の出力側の、各反応空間当たり、全ての反応空間に共通の少なくとも1つの制御流体供給部への、少なくとも1つの接続部、
(e)反応空間の出力側で、生成物の流れ方向に、(d)による保持気体供給部への接続部と(d’)による制御流体供給部への接続部の下流にある、各反応空間当たり少なくとも1つの絞り器。
【0040】
この装置は、以下の構成要素の内の少なくとも1つを更に備えているのが望ましい。
【0041】
(c)反応空間の入力側の、各反応空間当たり少なくとも1つの絞り器、
(f)個々の反応空間からの生成物を分析するための少なくとも1つのユニット、
(g)反応空間用の少なくとも1つの共通の加熱器と、少なくとも1つの機能的に関係付けられた絞り器のセットのための少なくとも1つの他の別の加熱器。
【0042】
この実施形態の原理示す装置を図3に示している(同図の以下の説明も参照のこと)。
【0043】
制御流体供給部を使った本発明による方法では、制御流体供給部を備えた本発明による装置に対応する方法で、上記段階(A)及び(B)に加えて、段階(C)が実施される。
【0044】
(C)少なくとも2つの空間的に分離されている反応空間からの少なくとも1つの生成物の流れを、全ての反応空間又はそれらのサブセットに共通の制御流体供給部からの制御流体と同時に接触させる段階。
【0045】
個々の反応空間内で起こりうる体積変動を補正することを目的とする保持気体の供給とは対照的に、制御流体の供給の目的は、個々の反応空間を通る流体の流れを、反応空間内の圧力を変えること無く、まとめて同時に所定の等しい値に調整することである(反応空間の流れ制御)。
【0046】
これは、制御流体供給部の質量流量コントローラーの所定の合計制御流体流量(Ftot)を調整することによって行われるのが望ましい。質量流量コントローラーと、個々の反応空間への、複数の空間的に分離されている接続部のそれぞれとの間の制御流体供給部には絞り器があり(以下を参照)、絞り器は同一又は同様の流体抵抗を有しているので、合計制御流体は、個々の反応空間へ等しい流量に分けられる。
【0047】
例えば、制御流体供給部の質量流量コントローラーで1.5l/hの流量が調整される場合で、制御流体供給部が、質量流量コントローラーの後で、3つの空間的に分離されている反応空間に繋がる3つの(それぞれが絞り器を備えている)個別接続部に分岐していれば、各絞り器の後で約0.5l/hの流量が得られる。
【0048】
質量流量コントローラー、望ましくは熱質量流量コントローラーの支援でこのように調整される流量に関する制限は、基本的には無い。制御流体の流れは、抽出物供給部からの抽出物が反応空間又はそれらのサブセットを通って流れることができるように調整されるのが望ましい。更に、少なくとも1つの制御流体の流れは、少なくとも1つの抽出物流体の流れの0.001%から99.9%であるのが望ましく、95%から0.01%であるのが更に望ましく、90%から0.1%であるのが更に望ましい。反応空間の体積が0.1から50mlである場合、本発明の関係では0.5から10l/hの制御流体流量が好ましい。
【0049】
これらの流れは、制御流体供給部によって、既に、いわば「提供されている」ので、抽出物供給部によって提供される流れは減らされ、従って、反応空間を通る流れは、それぞれこの量だけ減らされる。上記「始動位相」で一定の制御流体の流れが調整されている場合、反応器を通る抽出物の流れは、この制御流体の流量を増減させることによって、しかもこれにより反応空間内の圧力に相当又は全く影響を及ぼすこと無く、それぞれに減らし又は増やすことができる。
【0050】
従って、気相反応の抽出物の流れは、制御気体供給部からの制御気体の流量を増(減)することによって減(増)することができ、液相反応の抽出物の流れは、制御流体供給部からの制御液体の流量を増(減)することによって減(増)することができる。
【0051】
以上から、従って、この実施形態では、実際に併発反応が起こったときに、全ての反応空間を通って流れる流体の量を、簡単な方法で、具体的には1つの質量流量コントローラーを使って、しかも各反応空間内に広がっている圧力に相当な影響を与えること無く、制御することができる。
【0052】
本発明の或る好適な実施形態では、制御流体供給部から反応空間に繋ぐための接続部は、結節/混合点で、生成物を放出するために反応空間の出力側の反応空間に取り付けられた接続部と一体にされる。
【0053】
この場合、制御流体を供給するためのこれら結節/混合点は、絞り器の(制御流体の流れ方向に対して)下流で、反応空間出力側の絞り器((e)による絞り器)の(生成物の流れ方向に対して)上流にあるのが望ましい。
【0054】
制御流体供給部への接続部は、保持気体供給部への接続部と同じ結節/混合点で、反応空間への接続部と1つになる。しかしながら、制御流体供給部から来る各接続部は、反応出力側で、保持気体供給部の反応空間への接続部とは異なる結節/混合点で、反応空間に繋がっている接続部と1つになるのが望ましい。制御流体供給部への接続部は、保持気体供給部への接続部より反応空間に近い方が更に望ましい。
【0055】
制御流体供給を使っている本発明による方法では、質量流量コントローラーによって調整される合計制御流体流量Ftotは、始動位相時に、反応空間内の反応開始時にゼロになるように調整される。これは、本方法の開始時に、反応空間を通る抽出物の流量を最大にする。この場合、抽出物の流量は、正の制御流体の流量を調整することによって、反応中に最小にすることができる。
【0056】
或る好適な実施形態では、始動位相時に質量流量コントローラーによって調整される合計制御流体流量Ftotは、非ゼロ値に調整される。この場合、個々の反応空間を通る抽出物の流量は、必要に応じて、制御流体の流量を増減することによって、全ての反応空間で減増させることができる。
【0057】
純原理的には、抽出物の流量を制御するために、保持気体供給部とは別のユニット(ここでは制御流体供給部)を設けるのではなく、保持気体側の質量流量コントローラーを介して、保持気体自体の流量を調整することができる。保持気体は、従って、保持流体でもよい。しかしながら、ここでは2つの連結されていないユニットを使用することが望ましく、一方は、一定の保持圧力を調整し、反応空間内の体積の変動を補正する保持気体供給部であり、他方は、個々の反応空間へ入る抽出物の流量を同時に制御する制御流体供給部である。
【0058】
本発明の別の実施形態では、少なくとも1つの反応空間から流れ出す生成物は、液相のこともあるし、気相に加えて液相が入っていることもあるという技法的な反応の特徴に特別な注意を払っている。液相は、部分的に気相を「同伴」するか、又は、少なくとも部分的には溶解している気相を含んでいる。そのような生成物は、多重相反応、特に気体−液体反応が反応空間内で実行されるときに得られるのが望ましい。
【0059】
この場合、或る好適な実施形態では、反応空間は、気体−液体−固体反応器として設計されており、細流床反応器として設計されていれば更に望ましい。
【0060】
この実施形態の場合、分析するために、気相が液相から分離されるのが好都合且つ好適であり、それも望ましくは気体−液体分離ユニット内で、反応空間当たりそのようなユニットが1つ反応空間の反応出力側の下流に配置されているような、ユニット内で分離されるのが好都合である。
【0061】
この実施形態では、本発明による多相反応を並行して試験するための装置は、少なくとも以下の構成要素を備えている。
【0062】
(a)少なくとも2つの空間的に分離されている反応空間、
(b)反応空間の入力側の、(a)による反応空間又はそれらのサブセット用の少なくとも1つの共通の抽出物供給部、
(b’)反応空間の入力側の、(a)による反応空間又はそれらのサブセット用の少なくとも1つの共通の抽出物液体供給部、
(b'')反応空間の入力側の、(a)による反応空間への共通の抽出物液体供給部の接続部の一部としての、接続部当たり少なくとも1つの絞り器、
(e’)反応空間の出力側の、少なくとも1つの生成物の流れの方向に、随意の制御流体供給部への接続部の下流にある、反応空間当たり少なくとも1つの気体−液体分離ユニット、
(e'')各気体−液体分離ユニットと関係付けられた、少なくとも1つの反応気体を放出するための接続部、
(e''')(e)による接続部当たり、且つ結節/混合点を介して、共通の保持気体供給部への接続部、
(e'''')(e''')による結節部の後、即ち反応気体の流れの方向に下流で、且つ随意の分析ユニットの前の、(e'')による接続部当たり少なくとも1つの絞り器。
【0063】
(e'')による接続部は、気体−液体分離ユニットの頭部に装着されているのが望ましい。共通の抽出物液体供給部の、少なくとも2つの反応空間への接続部は、(b)による共通の抽出物供給部とは空間的且つ実質的に分離されている。そのような実施形態の原理は、図4に概要が例示されている(同図の以下の説明も参照のこと)。
【0064】
或る好適な実施形態では、装置は、以下の構成要素の内の少なくとも1つを更に備えているのが望ましい。
【0065】
(c’)反応空間の入力側の、共通の抽出物供給部の、少なくとも2つの反応空間への接続部に関係付けられている、反応空間当たり少なくとも1つの絞り器、
(d’)反応空間の出力側の、全ての反応空間に共通の少なくとも1つの制御流体供給部への反応空間当たり少なくとも1つの接続部、
(f)個々の反応空間からの反応気体を分析するための少なくとも1つのユニット、
(g)反応空間用の少なくとも1つの共通の加熱器と、少なくとも1つの機能的に関係付けられた絞り器セットの用の少なくとも1つの他の別の加熱器。
【0066】
別の好適な実施形態では、(a)による反応空間の内の少なくとも1つは、気体−液体−固体反応器として設計されており、全ての反応空間がそうであるのが望ましい。共通の抽出物液体供給部の、少なくとも2つの反応空間への接続部は、(b)による共通の抽出物供給部への接続部から、空間的且つ実質的に分離されているのが望ましい。
【0067】
この装置を使って、本方法は、本発明に従って以下のように実行することができる。
【0068】
(A’)少なくとも2つの空間的に分離されている反応空間内の反応空間当たり少なくとも1つの物質を、少なくとも1つの抽出物と、全ての反応空間又はそれらのサブセットに共通の少なくとも1つの抽出物供給部を介して、及び少なくとも1つの抽出物液体と、全ての反応空間又はそれらのサブセットに共通の少なくとも1つの抽出物液体供給部を介して、接触させる段階、
(B’)各気体−液体分離ユニットから流れ出る少なくとも1つの反応気体を、全ての気体−液体分離ユニットに共通の保持気体供給部からの保持気体と同時に接触させる段階、
(D)反応器から流れ出る生成物の流れを、反応空間当たり少なくとも1つの気体−液体分離ユニットに導入する段階。
【0069】
先に述べた段階に加えて、本発明による本方法は、下記の少なくとも1つの別の段階を含んでいるのが望ましい。
【0070】
(C’)少なくとも2つの空間的に分離されている反応空間からの少なくとも1つの生成物の流れを、全ての反応空間に共通の制御流体供給部からの制御流体と同時に接触させる段階。
【0071】
本発明による方法では、反応空間への抽出物液体の空間速度(LHSV)は、0.2h−1から10h−1の範囲、望ましくは0.5h−1から3h−1の範囲にある。
【0072】
上に述べた実施形態に関係する開示は、共通の保持気体供給部、共通の抽出物供給部、及び共通の制御流体供給部にも当てはまる。上に述べた実施形態への制御流体供給部について、気体−液体分離ユニットを備えた実施形態の制御流体は、特に気体であるのが望ましい。この場合、制御気体は、反応空間を通る流れを制御するために使用されるのではなく、本装置内に設定された流れの方向に従って気体−液体分離ユニットを通って流れる「回収気体」として使用され、回収気体は、液相内に融解している気体又は揮発性成分を液相から抽出(「回収」)するのに寄与する。
【0073】
回収気体として用いられるのは、不活性気体が望ましく、窒素又は希ガス、或いはこれらの混合物であるのが更に望ましい。反応気体の粘性は、好適にも、回収気体によって上げ又は安定させることもできる。これは、低粘性気体の場合でも絞り器内で十分に高い流体抵抗を誘発させるためには、好都合である。
【0074】
本発明の更に別の態様、具体的に上記分離ユニット(「分離器」)に関する態様では、分離器から生成物流体を放出するための自動化された工程が提供されている。この工程で用いられる装置も、提供されている。
【0075】
具体的に、この態様では、本発明は、生成物流体を、少なくとも1つの高圧端の流体分離ユニットから制御された状態で放出するための少なくとも1つのユニットを備えている、化学反応の処理又は試験用の装置に関しており、前記流体分離ユニットは、放出弁を介して、高圧流体分離ユニットより圧力が低い収集領域と流体接続している。
【0076】
この態様は、単一ユニットの反応システムにも適用できるが、対応する並列ユニットによる並行試験が望ましい。
【0077】
更に、本発明は、少なくとも1つの触媒を試験するための反応ユニットの一部である高圧端の分離ユニットから生成物流体を制御された状態で放出するための工程に関しており、少なくとも以下の段階を含んでいる
(i)レベルセンサーの信号によってトリガされる、放出弁を開く段階、
(ii)前記放出弁を介して、少なくとも1つの分離ユニットから少なくとも1つの収集領域へ生成物流体を放出する段階、
(iii)圧力の変化及び/又は流体流量の変化に対応する信号によってトリガされる、前記放出弁を閉じる段階。
【0078】
本発明によるこの態様は、制御及び調整が難しく、高処理量の研究には適さない構成要素の使用を不要にし又は制限している。
【0079】
本発明による実施形態の使用に関して、中でも以下のことが当てはまる。本発明による装置及び本発明による方法は、原則的に、少なくとも1つの流体相が関わっている全ての化学反応の並列的研究に使用することができる。
【0080】
適する反応の例としては、窒素酸化物の分解、アンモニア合成、アンモニア酸化、硫黄を形成するための硫化水素の酸化、二酸化硫黄の酸化、メチルクロロシランの直接合成、精油、メタンの酸化的カップリング、メタノール合成、一酸化炭素及び二酸化炭素の水素添加、メタノールの炭化水素への転換、触媒改質、接触分解及び水素化分解、炭素気化及び液化、燃料電池、不均一系光触媒反応、エテール、特にMTBE及びTAMEの合成、異性化、アルキル化、芳香族化、脱水素反応、水素添加、ヒドロホルミル化、選択的又は部分的酸化、アミノ化、ハロゲン化、求核的芳香核置換、追加及び除去反応、二量化、オリゴマー化及びメタセシス、ポリマー化、エナンチオ選択触媒作用及び生物触媒反応、及び、材料試験、特にこの場合は、特に合成材料中の表面又は担体上の2つ以上の成分の間の相互作用判定のためのもの、がある。
【0081】
標準的な石油化学反応が本発明の関係では望ましく、特に、水素化処理、水素化分解、脱硫(HDS)、脱窒(HDN)、オリコマー化、ポリマー化反応、芳香族化反応、水素添加、フィッシャー−トロプッシュ反応が望ましい。
【0082】
本発明で用いる重要な用語を、当該技術の知識から自明ではない場合のそれらの技術的内容に関して、以下に説明する。好適な実施形態についても、それぞれに示す。
【0083】
本発明の文脈における気相反応とは、反応条件の下で全ての抽出物及び生成物が気体として存在する化学反応であると理解頂きたい。
【0084】
本発明の文脈における液相反応とは、反応条件の下で全ての抽出物及び生成物が液体である化学反応であると理解頂きたい。
【0085】
本発明の文脈における多相反応とは、互いに完全には混和しない少なくとも2つの異なる相が存在する反応条件の下で起こる化学反応であると理解頂きたい。これらの相の幾つか又は全て、或いは、個々の相は、液体及び/又は固体及び/又は気体である。相は、抽出物でも、生成物でもよいし、その両方であってもよい。
【0086】
本発明の文脈における非定容反応は、気体物質の分子数が式転換毎に変化し、及び/又は、固体/固体、固体/液体、液体/液体、液体/気体、又は(非理想気体の場合)気体/気体転換によって体積が増減する全ての化学反応であると理解頂きたい。
【0087】
本発明の文脈における共通の抽出物供給部とは、少なくとも1つの抽出物が少なくとも2つの空間的に接続されている反応空間に供給され、具体的には、反応空間が少なくとも1つの抽出物に同時に共に曝されるような全ての型式の供給部であると理解頂きたい。
【0088】
本発明の文脈における共通の抽出物供給部は、少なくとも以下の構成要素を備えているのが望ましい。
【0089】
(i)少なくとも1つの抽出物用の少なくとも1つの供給ユニット
(ii)少なくとも1つの抽出物用の、少なくとも1つの圧力コントローラー及び/又は流量コントローラー。
【0090】
ここに、「抽出物」は流体であるのが望ましい。抽出物には、少なくとも1つの気相が含まれていると更に望ましく、その場合それは「抽出物気体」と呼ばれる。
【0091】
本発明の文脈における抽出物気体とは、(共通の抽出物供給部を介して)反応空間、又はそれらのサブセットを通して供給することのできる何らかの気体又は気体混合物であると理解頂きたい。抽出物気体には、必ずではないが、不活性気体及び/又は混合剤が含まれており、具体的な特性(例えば気体流量など)を判定するための内部標準として用いられる。
【0092】
抽出物気体には、研究対象である化学反応に関与する少なくとも1つの成分が入っているのが望ましい。抽出物気体には、分散相(エアゾール、煙霧、泡など)として固体及び/又は液体成分も入っていてもよい。
【0093】
共通の抽出物供給部は、共通の結節/混合点(下記参照)を有するマニホルド、チャネル/管の分岐装置(下記参照)、又は毛管(下記参照)で実体化されるのが望ましい。別の好適な実施形態では、共通の抽出物供給部は、抽出物供給チャンバで好適に実体化されている。そのような抽出物供給チャンバは、例えばDE19809477号に気体供給チャンバとして記載されている。共通の気体供給チャンバに関して、DE19809477号の開示全体を参考文献としてここに援用する。
【0094】
少なくとも1つの抽出物流体は、流量コントローラー(下記参照)を使って測定されるのが望ましい。必ずというわけではないが、この場合、質量流量は、装置の作動中は一定に保たれるのが望ましい。抽出物気体が流体として用いられている場合、圧力コントローラー(下記参照)を使って利用するのが望ましい圧力補正は、少なくとも1つの抽出物気体の圧力が、事前に設定される閾値内で適切な一定値pに維持されることを保証する。前記少なくとも1つの抽出物に加えて、他の流体成分も、共通の抽出物供給部を介して反応空間に供給してもよい。
【0095】
或る好適な実施形態では、少なくとも1つの反応空間内の少なくとも1つの固体物質が気体又は液体に曝される。この固体物質は、触媒床の一部であるのが望ましい。露出は、通常はh−1の単位で指定され、抽出物が気体であるときは、「GHSV」(気体毎時空間速度)又は「空間速度」と呼ばれる。同様に、液体への露出は、同じ単位を使って「LHSV」(液体毎時空間速度)と呼ばれる。
【0096】
本発明による方法では、GHSVは、300h−1から10,000h−1、更には500h−1から3,000h−1であるのが望ましく、LHSVは0.2h−1から10h−1、更には0.5h−1から3h−1であるのが望ましい。
【0097】
本発明の文脈における流体とは、元素又は分子、並びにこれらの集合体のような物質を形成している基本的要素が、互いに対して動き、特に、互いに長期の序列を有していない何らかの担体である。これには、具体的には、液体又は気体、並びにワックス、オイル、分散体、脂肪、懸濁物、溶融物、粉末固体などが含まれる。媒体が液体の形態をしている場合、多相液体システムも、流体と理解すべきである。いずれにしろ、先に述べた物質の全ての混合物が含まれる。
【0098】
本発明の文脈における「生成物」とは、少なくとも1つの反応空間から放出され、分析される、何らかの流体又は何らかの流体混合物、並びに何らかの分散相(固体成分が入っていることもある)であると理解頂きたい。生成物には、必ずというわけではないが、幾らかの抽出物が入っていることもある。生成物には、必ずというわけではないが、反応空間内で起こった転換の流体反応生成物が入っていることもある。
【0099】
或る好適な実施形態では、生成物は、気体又は気体混合物、或いは物理的又は化学的に溶解した気体が入っている液体である。生成物が気体又は気体混合物である場合、「反応気体」と呼ばれる。特に、本発明の特定の実施形態で気体−液体分離ユニットから出てくる気体も、反応気体である。
【0100】
本発明の文脈における「共通の抽出物液体供給部」とは、少なくとも1つの抽出物液体が少なくとも2つの空間的に接続されている反応空間に供給され、具体的には、反応空間が少なくとも1つの抽出物液体に同時に共に曝されるような何らかの型式の供給部であると理解頂きたい。反応空間は、この場合は気体−液体−固体反応器であるのが望ましい。共通の抽出物液体供給部は、先に述べた共通の抽出物供給部に追加して設けられるのが望ましい。抽出物液体供給部は、多相反応に用いられるのが望ましい。
【0101】
本発明の文脈における共通の抽出物供給部は、少なくとも以下の構成要素を備えているのが望ましい。
【0102】
(i)制御流体用の少なくとも1つの供給ユニット、
(ii)少なくとも1つの質量流量コントローラー、
(iii)質量流量コントローラーの下流(制御流体の流れの方向に対して)にある、制御流体供給部の反応空間への接続部当たり1つの絞り器。
【0103】
少なくとも1つの抽出物液体用の供給ユニットは、ポンプであるのが望ましい。
【0104】
本発明の文脈における絞り器とは、絞り器を通って流れる何らかの流体に対して相当の流体抵抗を示す何らかの構成要素であると理解頂きたい。ここで「相当」とは、絞り器の流体抵抗が、他の全絞り器を除く装置内の他の全ての構成要素の流体抵抗を、少なくとも10%、望ましくは少なくとも50%、更に望ましくは100%上回ることを意味する。
【0105】
絞り器が反応空間の入力側に用いられている場合、本発明の方法では、少なくとも10バールの圧力降下を作り出すのが望ましく、少なくとも20バールの圧力降下であれば更に望ましく、少なくとも50バールであれば更に望ましい。ここで、圧力降下は差であり、「反応空間前の圧力」は反応空間後の圧力より低い。
【0106】
絞り器が反応空間の出力側に用いられている場合、それらは、液体の均等分配だけでなく、反応空間内に広がっている圧力を、多口弁及び/又は分析ユニットのような反応空間の下流に在る構成要素に適した圧力に「緩和する」のにも用いられ、従って本発明の方法では、少なくとも10バールの圧力降下があるのが望ましく、少なくとも20バールの圧力降下であれば更に望ましく、反応空間の圧力から周囲圧力までの降下であれば更に望ましい。
【0107】
複数の絞り器は、それらの機能的な関係に従って、「セット」(又は「グループ」)に分類されるのが望ましい。この場合、セットは、空間的に関係付けられていてもいなくてもよいが、何れにしても本発明による装置内で同じ機能を有する少なくとも2つの複数の絞り器であるのが望ましい。例えば、反応空間に属する全ての入力側絞り器又は全ての出力側絞り器が、そのようなセットを構成する。同様に、それぞれが抽出物液体供給部、制御流体供給部、又は保持気体供給部に属する1セットの絞り器がある。
【0108】
本発明の文脈において提供される絞り器の例には、孔付き金属プレート、焼結金属プレート、ピンホール、マイクロ機械加工チャネル及び/又はフリット(多孔性材料、特に焼結セラミックフリット)が含まれる。それらは、流入してくる流体の流れを制御して、個々の反応チャネル全部に亘って、流入してくる流体の実質的な均等分配を保証することを意図している(「受動的」絞り器)。
【0109】
個々の能動的な制限式流量制御は、自動化されているのが望ましいが、この制御は、針弁又は質量流量コントローラー(下記参照)のような制御弁を使用することによって実行される。従って、閉鎖弁であろうと、弁は、本発明の意味では「絞り器」である。
【0110】
本発明の文脈において特に好適な絞り器は、毛管である。毛管の構成については、「接続部」に関する以下の開示を参照して頂きたい。
【0111】
本発明の文脈における毛管の内径は、気体が毛管を通って流れるときは、5μmから500μmであるのが望ましく、25μmから200μmであるのが更に望ましい。毛管を通って流れるのが少なくとも部分的には液体である場合は、5μmから1mmの内径が可能であり、100μmから500μmであるのが望ましい。毛管を流れるのが液体か気体かには関係なく、毛管の長さは、1mmから1mであり、5cmから50cmであるのが望ましい。
【0112】
毛管は、極めて簡単な装置手段によって意図した流体抵抗を調整できるので、特に望ましい。このことは、例えば、当業者には周知のハーゲン・ポアズイユの式を使えば示すことができる。この式は、流体が、半径Rで長さLの管(毛管)を通って流れるときに起こる圧力降下(流体抵抗に対応する)は、長さLに単純に比例し(即ち、毛管の長さが長くなるにつれ、圧力は基本的に線形関係で低下する)、気体の体積流量に単純に比例し(即ち、気体の体積流量が増すにつれ、圧力は線形関係で低下する)、毛管の半径の4乗に逆比例する(即ち、細くなる毛管の4乗で圧力が低下する)ことを表している。
【0113】
ハーゲン・ポアズイユの式(特に気体の体積流量と気体の粘性を包含する)で触媒気相反応に現実的な前因子を使えば、例えば長さ50cmの毛管では、約10−8Mpa(10−7バール)の「圧力降下」が、内径2.5mmの毛管で得られる。初期圧力が0.1MPa(1バール)であれば、そのような圧力降下は不適切であり、そのような大きさの毛管は、本発明の文脈では絞り器になりえないことは明白である。しかしながら、毛管の内径が100μmであれば、0.02Mpa(0.2バール)の圧力降下が得られ、従って、初期圧力0.1MPa(1バール)の20%が下がる。そのような毛管は、本発明の文脈における絞り器とみなすことができる。この分野の関連技術知識については、例えば、Schade及びKunz著「Stromungslehre」[流れ理論](1989年、ベルリン、Walter Gruyter、第2版、)の第5章を参照頂きたい。
【0114】
ハーゲン・ポアズイユの式が相関関係を示すのに用いられているのは事実だが、この式を使って本発明による装置を説明できるということではない。
【0115】
本発明の文脈における反応空間とは、抽出物を供給するための少なくとも1つの「入力」と、生成物を放出するための「出力」が設けられた何らかの閉じたユニットであると理解頂きたい。反応空間の空間構成に関する制約は無い。
【0116】
本発明によれば、5つ以上の反応空間がある場合、装置内にある全ての反応空間は、サブセットにグループ分けされ、反応技術の点で異なる取扱いを受けるのが望ましく、例えば、それぞれが異なる抽出物/保持気体/制御流体/抽出物液体供給部に属してもよい。サブセット当たり少なくとも2つの反応空間のあるのが望ましい。
【0117】
反応空間は、0.1mlから50mlの容積を有しているのが望ましく、0.5mlから20mlであれば更に望ましく、0.5mlから2mlであれば更に望ましい。
【0118】
或る好適な実施形態では、反応空間は、管反応器(管束反応器)様式の反応チャネルとして設計されている。これらの反応チャネルは、管状であるのが望ましく、連続しているのが更に望ましく、特に、管状で連続しているのが望ましい。反応管/チャネルは、装置の他の構成要素に接続するための管継手を有している。そのような管継手は、数多くの種類のものが市販されており、当業者には良く知られている。
【0119】
反応チャネルは、固体(触媒)を保持するのに適していれば、どの様な構成の差込を有していてもよく、例えば粉末又は多孔質床又は成形された物体の形態をしていてもよい。更に、反応チャネルの壁を、触媒活性物質のような物質で被覆することもできる。この文脈では、DE19809477号の関連開示全体を本出願に援用する。メッシュ、透過性材料、フリット又は膜は、固体(粉末、成形本体)を保持するための差込として好適に用いられる。水晶ウールを用いることも考えられる。
【0120】
別の好適な実施形態では、例えば触媒座を設けた、特別に作られた内側管が、反応空間に嵌め込まれ、触媒サンプルを反応空間(ライナー)内へ搬送し易くなっている。この文脈では、DE10036633号の関連開示全体を本出願に援用する。
【0121】
別の好適な実施形態では、反応空間/反応チャネルは、何らかの形状(円板、ブロック、管、円形体が望ましい)の中実体に嵌め込まれており、少なくとも2つの反応空間が同じ中実体の一部になっている。
【0122】
特に明示しない限り、本発明で用いている用語「反応空間の入力側」は、少なくとも1つの抽出物の流れの方向で見て、反応空間の上流に在る部分のことを指す。同様に、特に明示しない限り、「反応空間の出力側」は、抽出物の流れ方向で見て、反応空間の下流に在る部分のことを指す。
【0123】
本発明によれば、反応空間当たり複数の入力及び/又は複数の出力が存在し得る。
【0124】
反応空間の入力側の共通の抽出物供給部に接続されている反応空間の数が2以上、望ましくは4以上、更に望ましくは7以上のとき、本発明の文脈では、並列反応空間又は並列反応器が存在する。並列反応空間の数に関して、少なくとも2つなければならないという以外に原則的に制約はないが、16、32、48又は96、或いはそれ以上の並列反応空間が在るのが望ましい。
【0125】
本発明による方法では、少なくとも反応空間内の1つの物質を、少なくとも1つの抽出物流体と接触させるのが望ましい。この(又はこれらの)物質に関する制約は無い。ではあるが、触媒を使用することが望ましく、触媒は固体の形態(例えば、反応空間の壁上に堆積されている粉末、床、又はフィルム)であれば更に望ましい。この触媒に加えて、例えば別の反応協働物質又は不活性物質のような他の何らかの所望の物質が反応空間内に存在してもよい。
【0126】
本発明の文脈における接続部は、装置内の2点の間を流体連通させることができ、物質の交換の点で外側(装置の外)に閉ざされていれば、どの様な手段でもよい。接続部は、流体密封であるのが望ましく、高圧でも流体密封であれば更に望ましい。接続部は、以下に説明するようにチャネル、管又は毛管を使って実体化されると更に望ましい。
【0127】
本発明の文脈における「チャネル」という用語は、物体、望ましくは何らかの形状をした中実体、更に望ましくは丸い物体、ブロック、円板又は板、を通って、物体の表面の2つの開口の間を伸張し、具体的には流体が物体を通過できるようにする、接続部である。
【0128】
本発明の文脈における「管」は、空洞が連続して形成されているチャネルであり、管の外側の形状は、基本的に、空洞を画定している内側形状に沿っている。
【0129】
毛管は、基本的に管の特殊な場合とみなされ、違いは、具体的な寸法が、毛管では、先に「絞り器」に関して述べた仕様に従わなければならないことである。本発明の文脈における毛管は、「接続部」及び「絞り器」の両方として機能する。
【0130】
チャネル、管又は毛管は、呈示している場合の何れの形状でもよい。チャネル、管又は毛管によって内側に形成される空洞について、断面積は、チャネル、管又は毛管の長さに亘って変化してもよいし、一定でもよい。
【0131】
内側断面は、例えば、輪郭が楕円形、円形又は多角形であり、多角形の頂点の間は直線又は曲線で接続されている。円形の断面又は等辺多角形断面が好ましい。
【0132】
本発明の文脈における「保持気体」とは、共通の保持気体供給部を介して、少なくとも2つの反応空間の出力側に供給される気体であると理解頂きたい。
【0133】
反応空間から流れ出る生成物、及び接触することになる装置の材料とは反応しないか、又は研究対象の反応が実質的に影響を受けないように反応するだけのものであれば、どの様な気体又は気体混合物でも、保持気体として用いることができる。不活性気体又は不活性気体混合物は、保持気体として好適に用いられる。周期律表の窒素と希ガス、及びそれらの全ての混合物は、特に望ましい。
【0134】
本発明による保持気体の目的は、反応空間の内の少なくとも1つで少なくとも1つの非定容反応があるときに、個々の反応空間内の体積の変動を回避するか、又は少なくとも最小にすることである。
【0135】
本発明の文脈における共通の「保持気体供給部」は、以下の構成要素を備えている。
【0136】
(i)保持気体用の少なくとも1つの供給ユニット、
(ii)少なくとも1つの流量計、
(iii)少なくとも1つの圧力コントローラー。
【0137】
共通の保持気体供給部とは、2つの空間的に分離されている反応空間のそれぞれが、同じ保持気体供給部に接続されていることを意味していると理解頂きたい。更に、反応空間と保持気体供給部が互いに好適に実質的に接続されているという条件で、2つ以上の保持気体供給部を使用することも考えられる。
【0138】
或る好適な実施形態では、反応空間への全ての接続部を含む保持気体供給部は、特定の化学反応で一般的な全ての圧力に対して流体密封されるように設計されている。
【0139】
或る好適な実施形態では、圧力コントローラー(下記参照)を使用する圧力補正は、少なくとも1つの保持気体の圧力が、事前に設定される閾値内で適切な一定値pに維持されることを保証する。
【0140】
抽出物、特に抽出物気体が保持気体に抗して反応空間に流入するように、保持気体の圧力pは、抽出物の液体又は気体圧力p未満に維持される。
【0141】
或る好適な実施形態では、共通の保持気体供給部は、先に述べたように流量計を備えている。更に、保持気体、質量流量コントローラー及び随意の流量計の供給ユニットは、全てが気密接続部に沿って、具体的には先に示した順序で配置されているのが望ましい。
【0142】
接続部は、保持気体の流れに関しては、質量流量コントローラーの下流で、望ましくは結節/混合点を介して、複数の接続部に分岐し、それぞれが、具体的には個々の反応空間当たり1つの結節/混合点を介して、反応空間出力から来ている接続部に繋がっている。保持気体側の複数の接続部に供給して直接反応空間に送ることもできる。
【0143】
本発明の文脈において結節/混合点とは、管、チャネル又は毛管と、少なくとも1つの別の管、チャネル又は毛管との間の何らかの接続部であると理解頂きたい。そのような結節/混合点の設計構成に関する制約は、基本的には無い。結節/混合点は、死空間が小さく、一緒に流れる流体の良好な混合を保証するのが望ましい。「T」字型又は「Y」字型の結節部を用いるのが望ましい。
【0144】
結節/混合点のチャネル/管/毛管の間に起こる「導入」は、当業者には広く知られている市販の管継手を使って実行されるのが望ましい。そのような解除可能な接続部に加えて、例えば溶接によって、結節/混合点に共に入ってくるチャネル/管/毛管を、永久に接続することもできる。
【0145】
本発明の文脈における「制御流体」とは、共通の制御流体供給部を介して、少なくとも2つの反応空間からの生成物の流れに加えられるものであれば、どの様な気体又は液体、或いはそれらの混合物でもよいと理解頂きたい。
【0146】
反応空間から流れ出る生成物、及び接触することになる装置の材料とは反応しないか、又は研究対象の反応が実質的に影響を受けないように反応するだけのものであれば、どの様な流体又は流体の混合物でも、制御流体として用いることができる。
【0147】
制御流体は、液体でも気体でもよい。反応空間内の反応が気相反応である場合、制御気体が制御流体であるのが望ましい。液相反応が反応空間内で実行される場合、制御液体が相応して望ましい。
【0148】
制御流体が気体の場合、保持気体に関して先に行った開示が、然るべく適用される。水と溶媒、並びに不活性オイルのような高粘性又は非ニュートン液体が、不活性液体としては望ましい。超臨界気体も、本発明の目的に適う液体とみなされている。
【0149】
本発明の文脈における共通の制御流体供給部は、以下を備えている。
【0150】
(i)制御流体用の少なくとも1つの供給ユニット、
(ii)少なくとも1つの質量流量コントローラー、
(iii)質量流量コントローラーの下流(制御流体の流れの方向に対して)にある、反応空間への制御流体供給部の接続部当たり1つの絞り器。
【0151】
共通の制御流体供給部とは、少なくとも2つの空間的に分離されている反応空間のそれぞれが、同じ保持気体供給部に接続されていることを意味していると理解頂きたい。更に、反応空間と制御流体供給部が互いに好適に実質的に接続されているという条件で、2つ以上の制御流体供給部を使用することも考えられる。
【0152】
或る好適な実施形態では、反応空間への全ての接続部を含む制御流体供給部は、特定の化学反応で一般的な全ての圧力に対して流体密封されるように設計されている。
【0153】
本発明の文脈における「流量計」は、流体の流量、例えば保持気体の合計気体流量、を測定できるのであれば、どの様な構成要素でもよい。そのような構成要素は、当業者には「流量標示器」(「FI」)としても知られている。熱的方法に基づく流量計も、この場合には好適である。
【0154】
本発明の文脈における「圧力コントローラー」は、流体の圧力を測定し、随意的には所定の設定値又は閾値と比較した後でその圧力を調整できるものであれば、どの様な構成要素でもよい。そのような構成要素は、当業者には圧力標示器制御(「PIC」)としても知られている。
【0155】
本発明の文脈における「質量流量コントローラー」とは、或る種の測定及び制御ループであり、これを使えば、液体の流量を、測定し、随意的には設定値と比較した後で可変的に調整できるものであると理解頂きたい。質量流量コントローラーは、先に述べた意味の能動的絞り器とみなすこともできる。更に、質量流量コントローラーは、当業者には「PIC」(流れ標示器制御)としても知られている。本発明の文脈における質量流量コントローラーは、液体と気体の両方に使用することができる。熱量測定原理に基づくこれら質量流量コントローラーを使用するのが望ましい。
【0156】
本発明による装置の或る好適な実施形態では、生成物は、反応空間から、反応空間の出力側のチャネル/管/毛管を介して放出される。先に述べたように、これらのチャネル/管/毛管は、随意的には、結節/混合点を介して、(反応空間に)共通の保持気体供給部に接続されている。これらの結節/混合点の下流(少なくとも1つの生成物の流れの方向に関して)には、反応空間の出力側に、反応空間に接続されているチャネル/管/毛管当たり1つの絞り器がある。この絞り器の目的は、高圧に敏感な構成要素、具体的には多口弁、並びに少なくとも1つの分析ユニットを下流に接続できるように、生成物を「緩和する」流体抵抗を誘起することである。
【0157】
本発明の文脈における「多口弁」とは、少なくとも2つの反応空間から、望ましくは少なくとも4つの反応空間から、更に望ましくは少なくとも8つの反応空間から、接続部を介して実質的に分離した方式で生成物を送出するものであれば、どの様な弁回路でもよいと理解頂きたい。この弁回路は、全ての生成物を、少なくとも1つの分析ユニットに同時に又は別々に送るか、又は全ての生成物を、出口の器具に同時に又は別々に送ることができる。本発明による装置(及び関連する方法)では、並列に接続されているどの様な数の多口弁でも使用することができ、多口弁は、どの様な数の反応空間に接続することもできる。
【0158】
本発明の文脈における「気体−固体−液体反応器」とは、少なくとも2つの連続相と少なくとも1つの固定相を有するものであれば、どの様な反応器でもよいと理解頂きたい。この場合、少なくとも1つの気相と少なくとも1つの液相が連続相であるのが望ましい。
【0159】
固相は、固定相であるのが望ましい。反応技術の点で、この反応器は、細流床反応器として構成されているのが望ましい。
【0160】
本発明の文脈における「気体−液体分離ユニット」とは、これを使えば、少なくとも1つの揮発性で望ましくは気体の物質を、少なくとも部分的には液相から分離することができる、何らかの物理的ユニットであると理解頂きたい。
【0161】
ここでは、化学技術の当業者には周知の全ての沈降器及び凝縮器が好適である。以下で「気体−液体分離ユニット」は、「分離ユニット」又は「分離器」とも呼んでいる。
【0162】
気体−液体分離ユニットの容積は、2mlから150mlであるのが望ましく、10mlから70mlであれば更に望ましい。死空間は、できるだけ少なく保たれるのが特に望ましい。
【0163】
気体−液体分離ユニットの底部には、液体出口手段があるのが望ましく、弁であるのが望ましく、自動制御弁であれば更に望ましい。液体出口手段は、出力側の液体回収部に繋がっているのが望ましい。ここで、例えば「回収」は、廃棄、再処理、又は分析を意味する。
【0164】
本発明による装置の流体−流体分離、望ましくは気体−液体分離、のための少なくとも1つのユニットは、装置の高圧端に配置されるのが望ましく、反応器の出口側の下流であれば更に望ましい。例えば、図5を参照されたい。そのような分離器は、生成物の流体の流れが液体と気体の両方の構成要素を含んでいる場合に用いられるのが望ましい。
【0165】
本発明の意味における「生成物の流体の流れ」という用語は、反応空間から出る流体の流れに関しており、未反応の抽出物の一部も含まれている。更に、「生成物流体」という表現は、分離器に集められる全ての液体の構成要素を含んでいる。液体の構成要素は、反応条件次第で、液体の抽出物構成要素のこともある。
【0166】
分離ユニット内で生成物流体の構成要素を分離することに特に関連している本発明の別の実施形態では、触媒を研究するための本発明による装置は、或るやり方で修正されているので、生成物流体の処理は、コンピューターと通信している制御及び調整ユニットによって自動的に実施され、両方共、本発明による装置とデータ通信している。或る好適な実施形態では、分離ユニット(分離器)には、生成物流体に関して分離器内の流体のレベルを判定することができる流体レベルセンサーが備えられている。更に、前記センサーは、前記情報を、計算及び/又は制御ユニットに中継することができる。更に、流体レベルセンサーは、コンピューターに接続されているだけでなく、分離器の放出弁にも接続されている。従って、前記放出弁は、自動化様式で制御し調整することができる。
【0167】
別の好適な実施形態では、流体レベルセンサーは、分離器内で判定される生成物流体の或る(所定の)レベルを申し分なく標示できる。前記所定の充填レベルは、分離器を開く段階と、最終実験前にセンサーを配置する段階を含む実験で決定される。
【0168】
適した感知要素は、具体的には、静電容量及び/又は抵抗の測定に基づく感知要素である。分離器内の流体レベルを判定するのに適したセンサーは、位置に関して十分に解析できる全てのセンサーである。位置に関する十分な解析は、センサーが、容器の全高の10%に相当する流体レベルの変化に確実に反応する場合に達成される。標準的な容器の高さであれば、センサー応答のトリガレベルは、1mmから10mmの領域にある。本発明によるセンサーで用いられる測定処理としては、以下の処理が適しており、容量性、誘電損失の変化を受ける容量性、熱電対での感知による熱伝導性、抵抗に関する何らかの方法、反射光の遮断による光学的測定、又は反射の変化の測定である。更に適した方法は、光学的、電気的又は誘導的感知を使用し、機械式発振器を減衰する、浮動体内のセンサーを含んでおり、機械式発振器は、音叉又は発振円板として形成することができる。
【0169】
分離器内で生成物流体が所定の量に達すると、流体レベルセンサーのセンサー信号がコンピューター制御に中継される。前記コンピューター制御は、分離器の底面に配置されている放出弁を開く。前記放出弁を開くことによって、触媒を試験するための装置の高圧端と低圧端の間の流体接続が確立される。この圧力差に基づいて、生成物流体は、放出弁を含む接続部を介して、分離ユニットから装置の低圧端に押し出される。
【0170】
(圧力差のために)生成物流体が分離ユニットから完全に放出された後で、処理パラメーターの急上昇が、装置の高圧端で起こる。前記処理パラメーターの急上昇は、気体流量の増加、及び/又は装置全体の高圧端の圧力の変化に繋がる。気体流量が一定の状況の下で反応が行われている場合、圧力は、全生成物流体が高圧端の分離器から押し出されると直ちに、急上昇と似た様式で降下する。圧力が一定の状況の下で反応が実行される場合、気体流量は、全ての液体生成物が高圧端の分離器から押し出されると直ちに、急上昇と似た様式で増加する。
【0171】
圧力の急上昇様の変化、並びに気体流量の急上昇様の変化は、共に、高圧端の分離器の底面に配置されている放出弁を制御し調整するのに用いられる好適な処理パラメーターである。本発明による方法では、これらの処理パラメーターは、高圧端の分離器と装置全体の低圧端との間を流体接続する放出弁を閉じるのに用いられる。ユニット内の圧力又は流体流量に変化が起きる時間は非常に短く、従って反応空間内の触媒反応の乱れに繋がることは殆どない。
【0172】
これらの処理パラメーターの内の1つの変化を検出するためには、前記値の大きさを直接使用するのではなく、時間に関する微分を使用するのが望ましい。そうすると、起こり得る変化を容易に検出することができる。
【0173】
気体構成要素の粘性は、ニュートン型挙動を示す液体の粘性より1000倍小さい。生成物液体と生成物気体の間のこの粘性の差は、処理パラメーターの急上昇様の変化に繋がる。ここで、処理パラメーターの変化は、分離器の放出弁を閉じるための制御信号として用いられる。
【0174】
触媒を研究するためのユニット全体の或る好適な実施形態では、生成物流体用の低圧端収集領域は、追加の分離ユニット、即ち低圧端の分離ユニットによって形成されている。この実施形態は、生成物流体を段階的に冷却する場合には特に望ましく、低圧端収集領域の温度は、高圧端の分離器の温度より低いと思われる。この場合、更なる生成物液体は、ユニットの低圧端で生成物流体から分離される。高圧端の分離ユニットの底面には、放出弁が配置されている。これらの放出弁は、好適な実施形態では、流体生成物を収集し、それらの生成物を分析のオンラインシステム又は生成物収集容器に送るのに用いられる。
【0175】
ユニットの低圧端の分離器の設計及び構成は、基本的に、高圧端の分離器の設計及び構造に対応している。生成物流体、望ましくは気体生成物は、高圧端の分離器から、絞り器要素が含まれている接続部を介して低圧端の分離器に送られる。低圧端の分離器への前記生成物の装填は、浸漬パイプ又は管によって実現されるのが望ましい。少量の生成物液体が分離された後でも、前記浸漬パイプ又は管によって分離器に入る気体生成物流体は、生成物液体から気泡化する。これによって、気体構成要素を生成物液体から回収する効率が改善される。
【0176】
本発明による方法を作動させる或る環境の下では、保持気体の流量が抽出物気体の流量よりも相当に大きければ好都合である。「相当に」とは、少なくとも約10倍のことである。絞り器要素の内径は、保持気体の流量に合わせて作られる。保持気体の流量が高いほど、直径の大きな絞り器要素を使用するのが好都合になる。更なる利点として、保持気体の流量が高いほど、反応気体の粘性に大きな変化が生じる反応の流れの状態が改善される。この場合、気体生成物流体全体の粘性は、保持気体の粘性によって決まる。例として、水素含有率が反応の間に劇的に変化する反応を考えてみる。これは、反応の間に粘性が相当に変化することに繋がる。そのような粘性の変化は、最初の場所に高い保持気体流量を加えることによって、補正することができる。
【0177】
低圧端の分離器の設計に関して、前記分離器には、いわゆる浸漬パイプ又は管が含まれているのが望ましいことに注目して頂きたい。前記浸漬パイプ又は管は、少量の液体が分離器内にあれば直ちに生成物流体の流れを生成物液体に直接導入する。気体流体を生成物液体内に流すか、気泡化させることによって、液体内にまだ溶けている多量の気体構成要素が、液体から回収される。不活性気体を生成物流体の流れに、望ましくは追加して導入することによって、回収処理の効率を更に高めることができる。
【0178】
分離器の形状は、圧力を保持することに関して円筒の性能が優れているので、円筒の形をしているのが望ましい。前記分離器の底面は、じょうご形状であるのが望ましい。これによって、前記じょうごの先端に配置されている放出弁を通して、流体を確実に迅速且つ完全に放出することができる。
【0179】
本発明による方法は、或る好適な実施形態では、体積が0.1mlから140mlの生成物液体を分離器から放出するのに用いられる。更に好ましい前記体積は、0.5mlから60mlである。更に、分離器から生成物流体を放出するための本発明による方法は、1mlから30mlの液体体積に対して用いられる。
【0180】
本発明による方法を実行する間に、少量の生成物流体が、前記分離器から完全に放出された後でも、分離器の内壁上に薄膜の形態で留まることもある。生成物液体の薄膜が分離器の内壁上に留まることは、分離器から生成物液体を放出する方法が到達することのできる精度を支配する因子の1つである。実験の条件によって、追加の因子が与えられる。分離器内の生成物液体の分離の速度は、分離器から放出される、即ち生成物液体が分離器から無くなる速度より相当に低いのが望ましい。
【0181】
例えば、100mlの金属円筒の場合、(50gが最初の場所に充填されたとすると)水の場合は100mgの液体が残り、炭化水素の場合は約30mgが残る。何れの場合も、内側表面を濡らし前処置することが決定的な役割を果たし、液体が膜として流れ去ってしまうか、又は膜が破れて滴が壁にくっついたままになるかを決定する。
【0182】
適した実験条件を使用することによって、本発明による方法を使って達成される精度は、生成物液体が膜を形成する場合は、壁上に残る生成物液体の量によって殆ど決まる。一般的に、分離器の内壁上に膜として残る生成物液体の量は、分離器から取り除かれた生成物液体の総量に対して重量で約5%未満である。生成物液体の損失が、分離器から取り除かれる生成物液体の総量に対して重量で1%未満となるような方式で、方法を作動させ、装置を設計することは可能である。装置の好適な実施形態では、分離器の内壁上に膜を形成することによる生成物流体の考えられる損失が、重量で0.1%未満となるまで、方法を改良することができる。
【0183】
これらの値は、生成物流体の壁への付着が最小になるか、又は排除されるように、材料を選択し、及び/又は分離器の内壁表面を処置することによって、実現されるのが望ましい。
【0184】
分離器から放出するために本発明による方法を使用するのは、反応空間(反応器)が1つしかない従来型の触媒装置、並びに、複数又は多数の反応空間を並列に備えている高処理量試験用の触媒システムに適している。システム全体の高圧端には、反応空間当たり通常は少なくとも1つの分離器がある。低圧端では、用いられる分離器の数が、ユニット全体の具体的な各実施形態の使用目的に合わせて調整される。これによって、生成物液体を、自動制御ユニットによってオンラインの分析システムへ送ることもできるし、又は、最初に生成物流体を保存のために収集容器に送り、以後の場所で解析的分析を実行することもできる。そこで、先に述べた、又は当業者には知られている全ての方法によって、分析を実行することができる。
【0185】
生成物液体を処理するための本発明による装置及び方法は、触媒作用用の装置の使用に関して非常に柔軟性があり、先行技術で知られている方法に勝る広範な利点を提供する。これらの利点の中でも特筆すべきは、複数の触媒を並行して調査するのに用いられる高処理量システムを簡単に構築できることである。更に、本発明は、反応生成物を自動化された様式で長期間に亘って調査する反応速度論的調査を実行するのに特に適している。これらの研究で、触媒の経時変化と触媒の長期安定性が判定される。比較的短い時間間隔で試験液体を分離器から出して殆ど完全に空にすることによって、触媒を試験する間に、分離器の内壁の、一種の現場洗浄が実行される。その結果、調査する触媒反応の化学変化に関して、高い感度が得られることになる。
【0186】
例として、いわゆる「水素化処理」の方法用の触媒を調査することについて述べる。前記水素化処理は、炭化水素成分から硫黄を取り除くのに用いられる。ここで、炭化水素成分に結合している硫黄が水素で還元され、硫化水素になる。液体反応生成物内の少量の硫黄の濃度を知ることは、触媒を試験するための重要な点である。更に、硫黄の濃度は時間と共に変化するので、短い時間間隔で生成物液体を分析するのが特に興味深い。本発明による方法を使用し、本発明による装置を使用することによって、先行技術による方法と比べて、短い時間内で且つ高い感度で、触媒の触媒特性を判定することができる。
【0187】
代わりの実施形態では、反応空間の出口と高圧端の分離器との間の接続部に自動制御弁を設けることによって、既に述べた、分離器から放出する方法を修正することができる。弁の目標充填レベルを示すセンサー信号は、反応空間出口と分離器への入口との間の弁を閉じるのに用いられ、次いで前記分離器の底の弁が開かれる。底部放出弁の開放は、時間トリガで制御することもできる。開放時間は十分長いので、全ての生成物液体が、低圧端に、望ましくは少なくとも1つの収集領域に移される。弁を閉じることによって閉鎖される分離器の内側の圧力は、全ての液体サンプルが高圧端から低圧端に移動できるほどに高い。底部(放出)弁を閉鎖した後、反応空間と分離器の入り口側との間の弁が開かれる。
【0188】
そのような弁を(絞り器として)有する利点は、大量の気体が底部の弁を通って流れるための圧力の変化又は小さな変化が、或る程度に抑えられることである。
【0189】
本発明による装置に用いられる全ての構成要素/要素は、随意に冷却又は加熱してもよい。そのために、適切な温度制御要素(ヒーター/クーラー)が設けられている。温度制御要素、即ち温度を測定し、所定の設定値に達するのに適切であれば制御ループを介してヒーター/クーラーを作動させる要素の選択に関する制約は無い。並行反応器の加熱に関し、関連する開示US2003/0159530号全体をここに援用する。
【0190】
この場合、本発明による装置内に異なる温度帯域のあることが望ましい。これは、具体的には、後の「符合の説明」に示している本発明による装置の各個別要素が、「符合の説明」に示している装置の他の各要素と互いに異なる温度帯域にあることを意味している。
【0191】
反応空間に関し、反応空間出力領域と反応空間入力領域は、反応空間内側の実際の(高温)反応帯域より低温であるのが望ましい。この温度分布は、反応空間入力側と出力側の熱負荷を少なくすることになるので、本発明による接続部を、例えば抽出物及び保持気体供給部に嵌め込むのに、標準的な管継手及び標準的なシールを使用することができる。
【0192】
この場合、(反応空間出力及び入力側で、制御流体供給部などに属している)絞り器のセットは同じ温度であることが更に重要であり、望ましい。絞り器の機能は、絞り器を流れる流体の物理的特性に依るところが大きいので、このことは特に重要である。流体の物理的特性、特にそれらの粘性と体積流量は、温度に大きく依存する。従って、絞り器毎に温度が違えば、圧力降下が違うことになり、従って、反応の比較が危うくなる。
【0193】
絞り器のセットは、同一セット内では同じ温度であることが特に望ましいが、他のセットとは異なる温度であってもよい。ここで、「等しい」温度とは、温度が+/−5Kを超えるほどには変わらないという意味であり、+/−1K以下であるのが望ましい。
【0194】
或る好適な実施形態では、分析ユニットは、反応空間出力側の先に述べた絞り器の(生成物の流れに関して)下流に配置されており、これも先にも述べた少なくとも1つの多口弁の下流にあれば更に望ましい。基本的に、分析ユニット内で使用される分析方法についての制約は無い。好適な方法としては、望ましくは質量分光法と組み合わせた赤外線サーモグラフィー、質量分光分析法、GC、LC、HPLC、ミクロGC、分散FT−TR分光分析法、ラマン分光分析法、NIR、UV、UV−VIS、NMR、GC−MS、赤外線サーモグラフィー/ラマン分光分析法、赤外線サーモグラフィー/分散FT−IR分光分析法、化学標示器/MSによる色検出、化学標示器/GC−MSによる色検出、化学標示器/分散FT−IR分光分析法による色検出、及び光音響分析、並びに、上に述べた分析方法の何らかの組み合わせが挙げられる。
【0195】
本発明による分析ユニットは、1つ又は複数の多口弁と共に使用するのが望ましい。本発明による装置の選択された実施形態について、添付概略図を参照しながら、以下に例を挙げて説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0196】
図1は、それ自体先行技術で既知の、化学反応、特に触媒を使った化学反応を並行して試験するための装置の概略図である。抽出物流体、例えば抽出物気体は、この場合、供給ユニット(10)から、ここでは弁にフィードバックする圧力計として具現化されている圧力コントローラー(11)を介して、本例では全ての反応空間に共通の抽出物供給部を構成する接続部のマニホルド(12)へ送られる。
【0197】
複数の絞り器(15)は、(ここでは8つの)反応空間(20)の入力側に、前記反応空間から共通の抽出物気体供給部(12)への接続部の一部として設けられ、具体的には反応空間の入力への接続部当たり1つの絞り器が設けられている。
【0198】
本例では、反応空間内に触媒床(21)がある。
【0199】
反応空間の出力側では、それぞれ各反応空間から流れ出る生成物が、接続部(27)を介して多口弁(30)に運ばれる。各接続部は、反応空間の出力側に絞り器(25)を含んでいる。従って、合計すると、複数の8つの絞り器がある。本例のように、具体的には反応空間の前に1つと後に1つの、2セットの絞り器が用いられている場合、反応空間入力側の絞り器は、抽出物流体を均等分配するために用いられるのが望ましく、他方、反応空間出力側の絞り器は、反応器からの生成物の流れの圧力を多口弁に適した圧力、通常は周囲の圧力、に緩和する。
【0200】
多口弁は、反応空間からの生成物の流れを、放出用の出口管(45)又は分析ユニット(40)への出口管に選択的に接続する。分析ユニットへは流量計(41)で送られる。
【0201】
図2は、先行技術と対照的に、全ての反応空間に共通の保持気体供給部(52)を有する本発明による装置の或る実施形態の概略図である。この保持気体供給部は、その概要を破線で囲った箱の中に示しているが、本例では、保持気体用の供給ユニット(50)と、保持気体用の圧力コントローラー(51)とを備えている。
【0202】
共通の保持気体供給部は、反応空間の数と同じ、即ち本例では8つの反応空間への接続部(53)へと分岐している。これらの接続部(53)は、それぞれ反応空間(20)から多口弁(30)への接続部(27)と、結節/混合点(54)で連結している。これらの結節点は、それぞれ、絞り器(25)の上流、即ち反応空間を離れる生成物の流れの流れ方向の上流にある。
【0203】
ここで例として示している本発明による装置の他の構成要素は、機能と参照番号に関して、図1に示している構成要素に対応している。
【0204】
図3は、保持気体供給部(52)に加えて制御流体供給部(62)も備えている、本発明による装置の或る実施形態の概略図である。本例のこの制御流体供給部(62)は、制御流体用の供給ユニット(60)と、制御流体用の質量流量コントローラー(61)を同様に備えている。
【0205】
共通の制御流体供給部は、反応空間の数と同じ、即ち本例では8つの反応空間への接続部(63)へと分岐している。これらの接続部は、それぞれ反応空間(20)から多口弁(30)への接続部(27)と、結節/混合点で連結している。これらの結節点は、それぞれ、絞り器(25)の上流、即ち反応空間を離れる生成物の流れの流れ方向の上流にある。本例では、これらの結節点も、(直ぐ上に定義した意味で)共通の保持気体供給部の結節点(54)の上流にある。本発明の文脈では、制御流体供給部の結節点も、結節点(54)と同じである。
【0206】
制御流体供給部の機能で重要なのは、制御流体用の供給ユニットから流れてくる制御流体の流れが、最終的には反応空間からの制御対象の流れに合流する(ここでは8つの)接続部に、最大限に等しく分配されることである。この均等分配は、この場合は接続部(63)の一部分である制御流体供給部(65)の絞り器によって行われる。ここでは、反応空間当たりそれぞれ1つの絞り器(63)がある。
【0207】
ここで例として示している本発明による装置の他の構成要素は、機能と参照番号に関して、図2に示している構成要素に対応している。
【0208】
図4は、保持気体供給部(52)と、制御流体供給部(62)と、抽出物供給部(12)と並行する共通の抽出物液体供給部(72)とを備え、反応空間の出力側に液体−気体分離ユニット(80)が設けられている、本発明による装置の或る実施形態の概略図である。
【0209】
上に述べた実施形態とは対照的に、この実施形態では、反応空間の入力側には、共通の抽出物供給部(12)と並行に、全ての反応空間に共通の抽出物液体供給部(12)がある。本例では、これは、抽出物液体用の供給ユニット(70)と抽出物液体用の質量流量コントローラー(71)とを備えている。更に、抽出物液体を8つの等しい流れへと分配するのは、反応空間への8つの入力の前に位置する絞り器(73)によって行われる。
【0210】
この実施形態では、反応空間は、気体−液体−固体反応器(20’)として設計されており、即ち(70)からの抽出物液体は、固体触媒床(21)上に導入され、同時に、ここでは気体である抽出物が(10)から供給される。この場合、反応生成物としては液相と気相があり、液相には部分的に溶解している気体が含まれている。従って、何れにしても、気体−液体分離が必要である。
【0211】
8つの反応空間からの生成物の流れは、次いで接続部(81)を介して8つの気体−液体分離ユニット(80)(沈降器)に導入される。そこで、液体は、弁(83)を介して放出され、随意的に再処理される。液体から放出された反応気体は、反応気体出口管(82)を介して分析ユニットへ送られる。
【0212】
共通の保持気体供給部(52)からの保持気体も、この生成物気体出口管(82)を通して、具体的には接続部(53’)を介して送られる。この装置では、保持気体は、先に述べた実施形態でのように反応空間内の体積変動を補正するだけでなく、随意的に、生成物気体の粘性を安定させて、(多口弁(30)による)分析ユニット(40)への供給部の前に位置している絞り器(25’)が、意図した通りに作用できるようにする。更に、この装置の制御流体供給部(62)は、先に述べた実施形態でのように反応空間を通る流れを制御するのに用いられるだけでなく、気体が制御流体として用いられている場合は、回収気体としても作用し、即ち(80)での気体−液体分離を支援することに注目頂きたい。
【0213】
ここで例として示している本発明による装置の他の構成要素は、機能と参照番号に関して、図3に示している構成要素に対応している。
【0214】
図5は、図4と同じ実施形態を概略図で示しているが、異なる温度の領域を点線で示している。絞り器は、それぞれ、本発明による装置の文脈におけるセットとして設けられており、それぞれが同じ機能を果たす。例えば、点線の箱(100)は、反応空間入力側の共通の抽出物供給部に属する全ての絞り器を一つにまとめている。これらの絞り器は、個々の制御温度に維持され、個々の制御温度は、特に正確に調整されるが、何れにしてもできるだけ一定である。この様にして、本発明による装置内の全ての絞り器で、圧力降下を確実に同じか同様にすることができるので、流量も等しいか同様になる。
【0215】
同じことが、抽出物液体供給部の絞り器(102)、制御流体供給部の絞り器(106)、及び生成物気体出口側の絞り器(110)に当てはまる。この場合、或る絞り器のセットが他の絞り器のセットと異なる温度であっても全く問題ない。
【0216】
絞り器のセットに加えて、特に反応空間(20’)もそれら自体の温度制御を受け、温度制御は、随意的には加熱と冷却を含んでいる。本発明によれば、反応帯域(104)は、少なくとも或る長さの時間、反応空間の入力及び出力よりも相当に高温、即ち反応温度になる。これは、入力及び出力に経費節減に有効な標準的管継手を随意的に使用できるので、好都合である。
【0217】
最後に、沈降器の別の温度帯域(108)についても述べるが、この帯域は、気体−液体分離を促進するために反応領域より通常は相当に冷たい。従って、帯域(108)は、加熱される程度が幾らか少ない。この場合、帯域(108)は、反応気体の出力側の絞り器の帯域(110)より低温に維持されるのが望ましい。
【0218】
ここで例として示している本発明による装置の他の構成要素は、機能と参照番号に関して、図4に示している構成要素に対応している。
【0219】
図6は、流体分離システムが低圧側で別のグループの流体分離ユニット(80’)によって補完されていること以外は、図5と同じ実施形態を概略で示している。装置全体の具体的な実施形態に依っては、高圧側の分離器(80)に加えて、低圧側に流体分離用のユニットのグループ(80’)を設けると好都合なこともある。或る好適な実施形態では、低圧側の帯域108’の温度は、高圧帯域108の温度より相当に低くなるように選択される。
【0220】
適切な処理条件を選択することによって、高圧側の気体−液体分離では分離できなかった生成物の分離を、低圧側で達成することができる。気体−液体分離に低圧側ユニットを使用することの更なる技術的利点は、加熱された反応器ユニットまでの距離が長いことによる。生成物流体の流れは、従って、気体−液体分離用の低圧端ユニットへの(長い)道のりの間に、より効率的に冷却することができる。
【0221】
図7から9について、以下に示す代表的な実施形態で詳細に説明する。
【0222】
以下に示す代表的な実施形態は、例として、選択した実施形態に関する、反応空間の下流に液体−気体分離ユニット(沈降器)を使っている本発明による装置と方法を分かり易くするためのものである。例として提供した具体的な標示は、説明で示しているように、本発明の一般的開示を何ら制限するものではない。
【0223】
代表的な実施形態は、本発明による装置の並列反応空間内でフィッシャー−トロプシュ合成(FTS)触媒を使用することによって合成ガスを炭化水素へ転換する際の、活性度、活性化エネルギー、及び生成物選択性の判定に関する。ここで、圧力、流量及び温度が、並列反応空間内でフィッシャー−トロプシュ合成条件の下で制御されており、触媒の活性度、活性エネルギー及び生成物選択性のような技術的な反応量を判定できることが例証されている。
【0224】
フィッシャー−トロプシュ合成(FTS)では、COとHで構成されている合成ガスが、不均一系触媒の上で、炭素数がC(メタン)からC60の範囲の炭化水素に変換される。合成ガス内のH対COの割合は、0.5から2.5であり、基本的に、生成方法と使用できる原材料供給源次第である。
【0225】
FTSでの代表的な触媒には、例えば、活性元素である鉄又はコバルト、アルミニウム酸化物又はシリコン酸化物のような酸化物支持材料、及び活性成分の還元可能性又はFTSの反応速度論と選択性に影響を与える促進剤が入っている。
【0226】
空気中に300℃で3時間焼成された代表的なFTS触媒を、水素洗浄式固体床反応器内で1K/分で350℃まで加熱し、10時間還元した。次に、反応器を水素内で50℃より低い温度まで冷却し、空気で不動態化した。
【0227】
図4に示した装置と基本的に同じである(が、並列抽出物液体供給部は無い)本発明による試験システムの16個の並列反応空間を、その後、還元され不動態化した触媒で満たした。触媒床は、還元され不動態化した触媒を、1200℃でアニールしたα−Al(不活性材料)と体積比1対3で均一に混ぜ合わせた1mlの固体床で構成されていた。
【0228】
不動態化した触媒を活性化するため、16重反応器を、水素内で50K毎に150℃まで2時間の保持時間で、具体的には、体積に関して10バールの反応圧力と3000h−1の空間速度で加熱した。反応器は、その後、10K毎に240℃まで2時間の保持時間で加熱し、触媒を12時間活性化した。
【0229】
次に、反応器を180℃まで冷却し、FTS反応条件を設定し、即ち、H/CO合成ガスを2及び10バールの反応器圧力とし、約2000h−1のGHSVに設定した。液体及び気体生成物を、150℃で、液体沈降器内の反応圧力で分離した。合成ガスが反応して液体を形成することによる体積収縮は、保持気体で補償した。個々の反応器からの気体生成物の組成及び気体流量を、プロセス分析器(H、CO、CO、総炭化水素)と熱質量流量計を使って、大気圧200℃で、連続して定量的に求めた。形成された炭化水素の組成も、ガスクロマトグラフィーによってオンラインで求めた。
【0230】
液体炭化水素は、実験時間の50から100時間の反応時間の後に、沈降器から、底部出口弁を通して定期的に引き抜き、計量した。合成ガス変換と炭化水素の選択性に関して安定した状態を実現するためには、50−100時間の実験時間が一般的に必要である。16重反応における典型的な実験条件と、FTS触媒の特性判定の結果を、或る触媒に関して(分かり易くするため)表1にまとめている。
【0231】
【表1】

一連の実験を2度(2シリーズ)実行し、GHSVを、制御流体供給部を使って変え、反応器温度を変えた。GHSVは、実験シリーズ1(例1−4)では約2100h−1であり、実験シリーズ2では約1200h−1であった。低い方のGHSVは、反応器の後の制御のために(制御流体供給部から)一定の回収気体の流れを生成物気体の流れに送ることによって得た。これは、一定圧力/流量条件での抽出物気体の体積流量を減少させた(反応空間の圧力及び毛管の大きさによって決まる)。
【0232】
両方の実験シリーズで、温度が上がるにつれて、CO転換と形成されている炭化水素生成物の空間時間収量は増大する。一定の温度による2つの実験シリーズを比較する(例3+4と5+6と)と、推測した通り、転換は低い方のGHSVで増大するが、空間時間収量は一定のままであることが分かる。
【0233】
関連図7では、空間時間収量(垂直y軸)の自然対数が、両方の実験シリーズに関する反応速度の尺度として、温度の逆数(1/T)(水平x軸)の関数として、いわゆる「アレニウス図」にプロットされている。
【0234】
温度の関数としての反応速度は、両方の実験シリーズで同じであり、線の傾斜から計算した活性化エネルギーは107kJ/molである。
【0235】
ここで、実線は、例1から4の結果であり、破線は、例5から8の結果を示している。
【0236】
形成されている炭化水素の生成物選択性も、両方の実験シリーズについて表1に示されており、図8に、CO転換の関数としてプロットされている。図8では、炭化水素に関する生成物選択性が%で(垂直y軸)、具体的には、同様に%で示されているCO転換(水平なx軸)の関数として示されている。ここで、白い四角形はCからCの炭化水素を表し、白い三角形はCからC12の炭化水素を表し、黒丸はC13以上の炭化水素を表している。
【0237】
生成物選択性は、2つの実験シリーズで僅かに異なっていることが分かる。CO転換と温度が上昇すると、C13炭化水素の比率は減少し、C−C気体とC−C12石油留分の比率が上昇する。表1にまとめられている選択性は、定常状態で測定された平均値と一致している。
【0238】
最後に、図9は、例7の炭化水素の選択性値(垂直y軸に%で)を、実験時間(水平x軸に時間で)の関数として示している。生成物選択性は、非常に長い期間に亘って変わらないことが分かるが、それは、並列反応器内の圧力、流量(GHSV)及び温度の条件が一定である場合にだけ可能である。
【0239】
例1−8の議論から得られた結論は、FTS触媒の特性判定に関する技術的な反応データ(活性度、活性エネルギー及び生成物選択性の判定)は、並列反応器を使用することによって、非常に高い精度で求めることができるということである。ここではGHSVとして測定される流量は、特に、反応が実施されている間に、圧力に関係なく変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0240】
【図1】それ自体先行技術で知られている、化学反応、特に触媒を並行して試験するための装置の概略図である。
【図2】保持気体供給部を備えた、本発明による装置の或る実施形態の概略図である。
【図3】保持気体供給部と制御流体供給部を備えた、本発明による装置の或る実施形態の概略図である。
【図4】保持気体供給部、制御流体供給部、及び抽出物供給ぶと並行している液体入力を備え、反応空間の出力側で液体−気体分離を行っている、本発明による装置の或る実施形態の概略図である。
【図5】図4と同じ実施形態の概略図であるが、温度が異なる領域も示している。
【図6】流体分離ユニットが、別のグループの流体分離ユニットによって、低圧側で補完されていること以外は、図5の実施形態と同じ概略図である。
【図7】代表的な実施形態による反応の温度の逆数の関数として空間−時間収量の自然対数を示している。
【図8】(代表的な実施形態に関する)異なる炭化水素の生成物選択性をCO変換の関数として示している。
【図9】(代表的な実施形態に関する)炭化水素の選択性を滞留時間の関数として示している。
【符合の説明】
【0241】
(10)抽出物用の供給ユニット
(11)抽出物用の圧力コントローラー
(12)共通の抽出物供給部
(15)反応空間入力側の絞り器
(20)反応空間
(20’)気体−液体−固体反応器
(21)反応空間内の物質(触媒床)
(25)反応空間出力側の絞り器
(25’)反応気体出口側の絞り器
(27)接続部(反応空間−絞り器−多口弁)
(30)多口弁
(40)分析ユニットへの出口
(41)流量計
(45)放出器具への出口
(50)保持気体用の供給ユニット
(51)保持気体用の圧力コントローラー
(52)共通の保持気体供給部
(53)接続部(保持気体供給部−反応空間)
(53’)接続部(保持気体供給部−反応気体出口管)
(54)結節/混合点
(60)制御液体用の供給ユニット
(61)制御液体用の圧力コントローラー
(62)共通の制御液体供給部
(63)接続部(制御液体供給部−反応空間)
(65)制御液体供給部の絞り器
(70)抽出物液体用の供給ユニット
(71)抽出物液体用の圧力コントローラー
(72)共通の抽出物液体供給部
(73)抽出物液体供給部の絞り器
(80)気体−液体分離ユニット(高圧側)
(80’)気体−液体分離ユニット(低圧側)
(81)接続部(反応空間−気体−液体分離)
(82)反応気体出口管
(83)液体出口手段(高圧側)
(83’)液体出口手段(低圧側)
(84)液体回収への出口管
(100−110)別々に制御される温度帯域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学反応を並行して実施又は研究するための装置において、
少なくとも以下の構成要素:
(a)少なくとも2つの空間的に分離されている反応空間と、
(b)前記反応空間の入力側の、(a)による前記反応空間又はそれらのサブセット用の少なくとも1つの共通の抽出物供給部と、
(d)前記反応空間の出力側の、全ての前記反応空間又はそれらのサブセットに共通の少なくとも1つの保持気体供給部への、反応空間当たり少なくとも1つの接続部と、
(e)前記反応空間の出力側の、生成物の流れ方向に、(d)による前記保持気体供給部への前記接続部の下流にある、反応空間当たり少なくとも1つの絞り器と、を備えていることを特徴とする装置。
【請求項2】
化学反応を並行して実行又は研究するための装置において、
少なくとも以下の構成要素:
(a)少なくとも2つの空間的に分離されている反応空間と、
(b)前記反応空間の入力側の、(a)による前記反応空間又はそれらのサブセット用の少なくとも1つの共通の抽出物供給部と、
(d)前記反応空間の出力側の、全ての前記反応空間に共通の少なくとも1つの保持気体供給部への、反応空間当たり少なくとも1つの接続部と、
(d’)前記反応空間の出力側の、全ての前記反応空間に共通の少なくとも1つの制御流体供給部への、反応空間当たり少なくとも1つの接続部と、
(e)前記反応空間の出力側の、生成物の流れ方向に、(d)による前記保持気体供給部への前記接続部と(d’)による前記制御流体供給部への前記接続部との下流にある、反応空間当たり少なくとも1つの絞り器と、を備えていることを特徴とする装置。
【請求項3】
以下の構成要素:
(c)前記反応空間の入力側の、反応空間当たり少なくとも1つの絞り器、
(f)個々の前記反応空間からの前記生成物を分析するための少なくとも1つのユニット、
(g)前記反応空間用の少なくとも1つの共通の加熱器、及び少なくとも1つの機能的に関係付けられた絞り器のセット用の少なくとも1つの他の別の加熱器、
の内の少なくとも1つを、更に備えていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
少なくとも前記構成要素(a)、(b)、(d)、(e)及び随意的に(c)は、互いに密封状態に接続されていることを特徴とする、請求項1から3の内の少なくとも1つに記載の装置。
【請求項5】
前記構成要素は、20バールを超える圧力でも、互いに密封状態に接続されていることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記構成要素(a)、(b)、(d)、(e)及び随意的に(c)、(d’)、(f)は、それぞれ互いに、直接に、或いはチャネル、管又は毛管を介して接続されていることを特徴とする、上記請求項の何れかに記載の装置。
【請求項7】
前記共通の抽出物供給部は、少なくとも以下の構成要素
(i)前記少なくとも1つの抽出物用の少なくとも1つの供給ユニットと、
(ii)前記少なくとも1つの抽出物用の少なくとも1つの圧力コントローラー及び/又は流量コントローラーと、を備えていることを特徴とする、上記請求項の何れかに記載の装置。
【請求項8】
前記共通の抽出物供給は、共通の結節/混合点を有するマニホルド、チャネルの分岐装置、管又は毛管を介して、又は抽出物供給チャンバを介して行われることを特徴とする、上記請求項の何れかに記載の装置。
【請求項9】
(e)による各絞り器と、随意的に(c)による各絞り器とは、他の全ての絞り器は別にして、前記装置の他の全ての構成要素の流体抵抗より少なくとも50%大きいことを特徴とする、上記請求項の何れかに記載の装置。
【請求項10】
(e)による前記絞り器と、随意的に(c)による前記絞り器とは、孔付き金属プレート、焼結金属プレート、ピンホール、フリット、多孔質材料、毛管、マイクロ機械加工チャネルから成るグループから選択されていることを特徴とする、上記請求項の何れかに記載の装置。
【請求項11】
毛管が絞り器として用いられ、前記毛管の平均内径は5μmから500μmであることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記反応空間それぞれの体積は、0.1mlから50mlであることを特徴とする、上記請求項の何れかに記載の装置。
【請求項13】
前記反応空間は、反応チャネルとして設計されており、それぞれが、固体を保持するための差込を有していることを特徴とする、上記請求項の何れかに記載の装置。
【請求項14】
前記共通の保持気体供給部は、少なくとも以下の構成要素:
(i)前記保持気体用の少なくとも1つの供給ユニットと、
(ii)少なくとも1つの流量計と、
(iii)少なくとも1つの圧力コントローラーと、を備えていることを特徴とする、上記請求項の何れかに記載の装置。
【請求項15】
全ての反応空間又はそれらのサブセットは、少なくとも2MPa(20バール)までは密封できる接続部を介して、前記全ての反応空間又はそれらのサブセットに共通の保持気体供給部に接続されていることを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記共通の制御流体供給部は、少なくとも以下の構成要素:
(i)前記制御流体用の少なくとも1つの供給ユニットと、
(ii)少なくとも1つの質量流量コントローラーと、
(iii)前記質量流量コントローラーの下流(前記制御流体の流れ方向に対して)の、前記制御流体供給部の前記反応空間への接続部当たり1つの絞り器と、を備えていることを特徴とする、請求項2から15の何れかに記載の装置。
【請求項17】
前記制御流体供給部から前記反応空間に繋げるための前記接続部は、結節/混合点で、前記生成物を放出するために前記反応空間の出力側に取り付けられた前記接続部と一体に設けられていることを特徴とする、請求項2から16の何れかに記載の装置。
【請求項18】
前記制御流体を供給するための前記結節/混合点は、前記制御流体供給部の前記絞り器の下流(前記制御流体の流れ方向に対して)で、且つ前記反応空間出力側の絞り器((e)による絞り器)の上流(1つ又は複数の生成物の流れ方向に対して)にあることを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
少なくとも2つの空間的に分離されている反応空間内で、少なくとも2つの化学反応を並行して実施又は研究するための方法において、少なくとも以下の段階:
(A)少なくとも2つの空間的に分離されている反応空間内の少なくとも1つの物質を、少なくとも1つの抽出物と、全ての反応空間又はそれらのサブセットに共通の少なくとも1つの抽出物供給部を介して接触させる段階と、
(B)前記少なくとも2つの空間的に分離されている反応空間からの少なくとも1つの生成物の流れを、全ての前記反応空間又はそれらのサブセットに共通の保持気体供給部からの保持気体と同時に接触させる段階と、を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項20】
少なくとも以下の段階:
(C)前記少なくとも2つの空間的に分離されている反応空間からの前記少なくとも1つの生成物の流れを、全ての前記反応空間又はそれらのサブセットに共通の制御流体供給部からの制御流体と同時に接触させる段階、を更に備えていることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも2つの化学反応の内の少なくとも1つは、定容反応ではないことを特徴とする、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記抽出物の流れは、前記少なくとも2つの空間的に分離されている反応空間の上流の前記絞り器によって、又は前記反応空間の下流の前記絞り器によって、或いは両方によって、少なくとも概ね等しく分配されることを特徴とする、請求項19から21の何れかに記載の方法。
【請求項23】
前記反応空間内で起こり得る体積の変動は、不活性保持気体を、少なくとも1つの共通の保持気体供給部を介して供給することによって、低減され又は補償されることを特徴とする、請求項19から22の何れかに記載の方法。
【請求項24】
始動時、即ち前記反応空間内で前記少なくとも1つの化学反応が起こる前に、前記共通の保持気体供給部からの前記保持気体は、前記化学反応が起きているときの前記反応空間の目標圧力にほぼ相当する圧力に調整され、続いて、前記共通の抽出物供給部からの前記抽出物の流れは、抽出物が前記共通の抽出物供給部から前記反応空間へ流れ込むように調整されることを特徴とする、請求項19から23の何れかに記載の方法。
【請求項25】
前記反応空間には少なくとも1つの固体が充填され、前記固体の、前記抽出物への露出は、前記抽出物が気体である場合はGHSVとして、前記抽出物が液体である場合はLHSV単位で指定されており、前記GHSVは300h−1から10,000h−1で、前記LHSVは0.2h−1から10h−1であることを特徴とする、請求項19から24の何れかに記載の方法。
【請求項26】
前記反応空間内の圧力は、0.2MPa(2バール)から20MPa(200バール)であることを特徴とする、請求項19から25の何れかに記載の方法。
【請求項27】
前記流れ方向に前記反応空間の下流の前記絞り器で、少なくとも1Mpa(10バール)の圧力降下が作り出されることを特徴とする、請求項19から26の何れかに記載の方法。
【請求項28】
一定のゼロでない制御流体の流量は始動時に調整され、前記反応器を通る抽出物の流量は、反応が起こっているときに、この制御流体の流量を、前記反応空間内の圧力に相当の影響を及ぼすこと無く増減させることによって、それぞれ低減又は増大させることを特徴とする、請求項19から27の何れかに記載の方法。
【請求項29】
前記方法は、請求項1から18の何れかに記載の装置内で実行されることを特徴とする、請求項19から28の何れかに記載の方法。
【請求項30】
多相化学反応を並行して実施又は研究するための装置において、
(a)少なくとも2つの空間的に分離されている反応空間と、
(b)前記反応空間の入力側の、(a)による前記反応空間又はそれらのサブセット用の少なくとも1つの共通の抽出物供給部と、
(b’)前記反応空間の入力側の、(a)による前記反応空間又はそれらのサブセット用の少なくとも1つの共通の抽出物液体供給部と、
(b'')前記反応空間の入力側の、(a)による前記反応空間への前記共通の抽出物液体供給部の接続部の一部としての、接続部当たり少なくとも1つの絞り器と、
(e’)前記反応空間の出力側の、前記少なくとも1つの生成物の流れ方向に、随意の制御流体供給部への接続部の下流にある、反応空間当たり少なくとも1つの気体−液体分離ユニットと、
(e'')各気体−液体分離ユニットと関係付けられた、前記少なくとも1つの反応気体を放出するための接続部と、
(e''')(e'')による接続部当たり1つの、結節/混合点を介した、共通の保持気体供給部への接続部と、
(e'''')(e''')による前記結節点の後、即ち前記反応気体の流れ方向の下流で且つ随意の分析ユニットの前にある、(e'')による接続部当たり少なくとも1つの絞り器と、を備えていることを特徴とする装置。
【請求項31】
前記共通の抽出物液体供給部の前記少なくとも2つの反応空間への接続部は、(b)による前記共通の抽出物供給部の前記反応空間への前記接続部と、空間的且つ実質的に分離されていることを特徴とする、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記装置は、以下の別の構成要素:
(c’)前記反応空間の入力側の、前記共通の抽出物供給部の前記少なくとも2つの反応空間への前記接続部と関係付けられている、反応空間当たり少なくとも1つの絞り器、
(d’)前記反応空間の出力側の、全ての前記反応空間に共通の少なくとも1つの制御流体供給部への、反応空間当たり少なくとも1つの接続部、
(f)個々の反応空間からの前記反応気体を分析するための少なくとも1つのユニット、
(g)前記反応空間用の少なくとも1つの共通の加熱器、及び少なくとも1つの絞り器のセット用の少なくとも1つの他の別の加熱器、
の内の少なくとも他の1つを更に備えることを特徴とする、請求項30又は31に記載の装置。
【請求項33】
(a)による反応空間の少なくとも1つは、気体−液体−固体反応器として設計されていることを特徴とする、請求項30から32の何れかに記載の装置。
【請求項34】
前記気体−液体分離ユニットは、沈降器及び/又は凝縮器であり、前記気体−液体−固体反応器は細流床反応器であることを特徴とする、請求項30から33の何れかに記載の装置。
【請求項35】
少なくとも2つの空間的に分離されている反応空間内の少なくとも2つの化学反応を並行して実施又は研究するための方法において、少なくとも以下の段階:
(A’)少なくとも2つの空間的に分離されている反応空間内の反応空間当たり少なくとも1つの物質を、少なくとも1つの抽出物と、全ての前記反応空間又はそれらのサブセットに共通の少なくとも1つの抽出物供給部を介して、及び少なくとも1つの抽出物液体と、全ての前記反応空間又はそれらのサブセットに共通の少なくとも1つの抽出物液体供給部を介して、接触させる段階と、
(B’)各気体−液体分離ユニットから流れ出る少なくとも1つの反応気体を、全ての前記気体−液体分離ユニットに共通の保持気体供給部からの保持気体と同時に接触させる段階と、
(D)前記反応器から流れ出る生成物の流れを、反応空間当たり少なくとも1つの気体−液体分離ユニットへと導入する段階と、を有していることを特徴とする方法。
【請求項36】
少なくとも1つの更なる段階:
(C’)少なくとも2つの空間的に分離されている反応空間からの前記少なくとも1つの生成物の流れを、全ての前記反応空間に共通の制御流体供給部からの制御流体と同時に接触させる段階、を含んでいることを特徴とする、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記制御流体は気体であり、この気体は、前記反応空間を通る流れを制御するのに用いられるだけでなく、前記気体−液体分離ユニットにおいて、前記反応空間から出てくる前記液相に溶けている気体及び揮発性物質を回収するのにも貢献することを特徴とする、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記方法は、請求項30から34の何れかに記載の装置内で実行されることを特徴とする、請求項35から37の何れかに記載の方法。
【請求項39】
少なくとも1つの標準的な石油化学反応に、請求項1から18又は30から34の内の少なくとも1つに記載の装置、又は請求項19から29又は35から38の内の少なくとも1つに記載の方法の使用。
【請求項40】
前記少なくとも1つの反応は、水素化処理、水素化分解、脱硫(HDS)、脱窒(HDN)、オリゴマー化、ポリマー化反応、芳香族化反応、水素添加、フィッシャー−トロプッシュ反応という反応クラスから選択されることを特徴とする、請求項39に記載の使用。
【請求項41】
少なくとも1つの化学反応を実行し又は試験するための装置において、生成物流体を、少なくとも1つの高圧端の流体分離ユニットから制御された状態で放出するための少なくとも1つのユニットを備えており、前記流体分離ユニットは、放出弁を介して、前記高圧の流体分離ユニットより圧力が低い収集領域と流体連通していることを特徴とする装置。
【請求項42】
少なくとも2つの反応が並行して進行し、少なくとも2つの流体分離ユニットが、高圧端又は低圧端の何れかで、或いはその両方で、並列に接続されていることを特徴とする、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
少なくとも1つの放出弁が、少なくとも1つの流体分離ユニットの高圧端の底部に配置されていることを特徴とする、請求項41又は42に記載の装置。
【請求項44】
前記生成物流体の収集領域は、高圧端の流体分離ユニットに対して、低圧端に配置されている流体分離ユニットであることを特徴とする、請求項41から43の何れかに記載の装置。
【請求項45】
少なくとも1つの流体分離ユニットには、流体レベルセンサーが含まれていることを特徴とする、請求項41から44の何れかに記載の装置。
【請求項46】
前記装置には、圧力又は流体流量、或いは両方を調整するための手段が含まれていることを特徴とする、請求項41から45の何れかに記載の装置。
【請求項47】
前記放出弁、前記流体レベルセンサー、及び前記圧力又は流体流量を調整するための手段は、コンピューターベースの制御ユニットに接続されていることを特徴とする、請求項41から46の何れかに記載の装置。
【請求項48】
少なくとも1つの高圧端の流体分離ユニットは、0.1mlから140mlの体積を有する生成物流体を収容するのに適していることを特徴とする、請求項41から47の何れかに記載の装置。
【請求項49】
少なくとも1つの化学反応を実行し又は試験するための装置の一部である高圧端の分離ユニットから生成物流体を制御された状態で放出するための方法において、少なくとも以下の段階、
(i)少なくとも1つの分離ユニット内のレベルセンサーの信号によってトリガされる放出弁を開く段階と、
(ii)前記生成物流体を、前記少なくとも1つの分離ユニットから、前記放出弁を介して少なくとも1つの収集領域へと放出する段階と、
(iii)圧力の変化及び/又は流体流量の変化に対応する信号によってトリガされる、前記放出弁を閉じる段階と、を含んでいる方法。
【請求項50】
少なくとも以下の段階
(iv)気体生成物の流れを前記収集領域を通して送る段階、を更に含んでいる、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
少なくとも以下の段階
(v)前記収集領域の前記生成物流体を分析システムに送る段階、を更に含んでいる、請求項49又は50に記載の方法。
【請求項52】
前記高圧端の分離ユニットからの前記気体生成物は、浸漬パイプ又は管によって、前記低圧端の分離ユニットへと送られる、請求項50又は51に記載の装置。
【請求項53】
前記低圧端の分離ユニットから来る前記気体生成物は、分析システムに送られる、請求項50から52の何れかに記載の方法。
【請求項54】
少なくとも2つの分離ユニットが並行して作動する、請求項49から53の何れかに記載の方法。
【請求項55】
請求項1から18又は30から34に記載の装置と組み合わせて用いられる請求項41から48に記載の装置、又は、請求項19から29又は35から38に記載の方法と組み合わせて用いられる請求項49から54に記載の方法の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2007−515646(P2007−515646A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546027(P2006−546027)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014509
【国際公開番号】WO2005/063372
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(501389637)ハーテーエー・アクチェンゲゼルシャフト・ザ・ハイ・スループット・イクスペリメンテイション・カンパニー (8)
【Fターム(参考)】