説明

中央に供給され径方向外側へと流れる気体を利用したロータ駆動装置および方法

【課題】ロータの安定性を改善することができるロータ駆動装置を提供する。
【解決手段】ロータ駆動装置は、ロータとステータとを含む。ステータはロータのスピン軸に配置されている気体噴出オリフィスを有する。気体噴出オリフィスは、ロータのテーパ面と、軸方向に間隔を隔てたステータのテーパ面との間に形成されている軸受隙間に連通している。気体は、気体噴出オリフィスから軸受隙間に流れ、それによって回転中にロータを支持する、中央に供給され径方向外側へと流れる気体軸受を確立する。ある実施態様では、駆動用気体の個別の流れを、ロータの駆動溝に送って回転を駆動する。別の実施態様では、駆動溝に当てて回転を起こすために、中央に供給され径方向外側へと流れる気体の流れを追加で利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に気体軸受によって支持する、および/または気体によって駆動する種類のロータに関する。ある具体的な実施例では、本発明は核磁気共鳴(NMR)技術で利用されるサンプルスピナに関する。
【背景技術】
【0002】
ロータアセンブリは、一般にステータとロータとを含む。空気、窒素または他の気体を利用して、ロータをステータに対して軸を中心にスピンするよう駆動してもよい。スピン中、動的な摩擦をほぼ無視できる値に減らしながら、ロータを軸方向および半径方向に支持する気体軸受を形成するために気体を利用することもできる。気体軸受は、スピン中のロータの位置および動きの安定化を助ける役割も果たしてもよい。このようなロータは、典型的には中央スピン軸に沿って細長い円筒形の本体を有する。ステータは、ロータと同軸上に配置されて、ロータの外側境界とステータの内側境界との間に軸方向に細長い環状隙間を設けられていることが多い。ステータの気体軸受オリフィスは、気体をロータの外面に向かって半径方向内側に向けて、環状隙間内に半径方向気体軸受を形成し、それによって回転中にロータをスピン軸を中心に維持するのを助けるとともに、ステータとの接触を防ぐ。気体軸受オリフィスは、気体をロータの軸方向の一端または両端に向かって半径方向内側に向けて、軸方向スラスト気体軸受として機能させてもよい。ロータの軸方向の一端または両端にタービンブレード、カップまたは溝を形成してもよい。気体駆動オリフィスは、気体をこれらタービン要素に当たるように向けて、スピン軸を中心とするロータの回転を駆動してもよい。
【0003】
いくつかのロータ設計は、ロータの軸方向の両端にタービン駆動の機能性を提供する。これらのロータ設計のいくつかにおいて、ロータは軸方向エンドキャップを含み、エンドキャップの外側円柱壁の周りに円周方向に間隔を隔ててタービンブレードまたは溝が設けられている。多数の気体ジェットはインペラのようにブレードまたは溝に向かって半径方向内側に気体を方向づける。これらの設計のいくつかのロータは、円筒形のエンドキャップの代わりに円錐形の軸方向エンドキャップを採用して、溝が円錐面に形成されている。ステータは、ロータの円錐形の軸方向エンドキャップから間隔を隔てた円錐形の内面を含んでもよく、それによって軸方向端部に円錐形の隙間または中空部が設けられるので、回転の安定性を改善するとともにロータとステータとの隙間を維持する。
【0004】
別のロータ設計では、ロータの軸方向の一端は、タービンとして機能し、軸方向の他端は、軸方向スラスト気体軸受または半径方向(側方または横断方向)端部気体軸受を支持する。タービンの端部は典型的には円筒形であり、円周方向に間隔を隔ててブレードまたは溝が設けられている。あるいは、この設計のロータのタービンの端部は、溝または翼板が設けられている円錐形でもよく、ステータは、ロータのタービンの端部とともに円錐形中空部を形成する円錐面を有していてもよい。円錐形のタービンの端部は、空気軸受としての機能を果たしてもよく、スピン中、円錐形のタービンの端部を円錐形中空部に引き込みやすくするベルヌーイ効果を生んでもよい。ロータの反対端に軸方向スラストまたは半径方向端部気体軸受を採用する代わりに、ロータの反対端は、ステータ(または外側ハウジングまたは定置構造)からこのロータの反対端の軸方向中心に接触するまで延びている固体点軸受上でスピンさせてもよい。
【0005】
上記の概説したロータは、核磁気共鳴(NMR)分光法で利用されている。NMR分光計は、典型的には、無線周波数(RF)送受信用電子機器と、サンプルプローブと、超電導磁石などのサンプルプローブをさらす強力な磁界の発生源とを含む。サンプルプローブには、液体または固体のサンプルと、RF電子機器とサンプルとの間の電磁結合として機能する1つまたは複数のRFコイルとを入れる。RF電子機器は、RFエネルギでサンプルを照射して、RF入力に応答してサンプルから発せられるRF信号を受信するように動作する。応答信号を利用して、サンプルに関する情報を抽出する。多くの種類の液相サンプルには定置(非スピン)サンプルプローブで十分であるが、固相のサンプルおよび異種の液体サンプルなどの一定の種類の液相のサンプルには十分な分解能を通常出せない。したがって、NMR技術での分解能を改善するために、固体および液体サンプルを入れてスピンさせるロータが利用されている。回転速度は、約10回転/分(RPM)であってもよい。マジック角スピニング(magic-angle spinning)(MAS)技術では、外部から印加される静磁場の方向に対して54.7°の「マジック角度」でスピンするようにロータを配置して、分解能を一層改善している。
【0006】
NMRなどのアプリケーションで採用されるロータは、高いレベルの精度と安定性とをもって動作しなければならない。ここでいう安定性とは、ロータの回転軸に沿った動きおよび当該回転軸に対して半径方向または横断方向の動きを抑制することをいう。たとえば、MAS勾配システムの場合、勾配リフォーカスされた実験中のロータの約1/10,000インチから1/100,000インチの軸方向の動きは、検出されるNMRスペクトルにおいては人為的なものになる。従来のロータ・ステータシステムは、一般に、かかるNMRアプリケーションに望ましいレベルの精度および安定性を提供していない。従来のロータ・ステータシステムは、所望の速度でロータをスピンするのに必要な回転力を提供するには、タービンのブレードまたは溝に当てる多数の駆動ジェットが必要である。これらの種類のロータ・ステータシステムは、ロータに、少なくとも2つの望ましくない不安定化力を与える。まず、軸まわりの回転する正味の力は、ロータの振れ回りおよび旋回運動を駆動して、ロータを軸ずれさせる。2つ目の力は、ブレードまたは溝が駆動ジェットを通過するたびに発生するコギング力である。コギングは振れ回りにも寄与して、ロータの動きに脈動加速を加え、やはり動きを不安定にさせている。ある割合の駆動溝の数に対する駆動ジェットの数を選択することによって、不安定化力を減少または均衡させてもよいが、典型的なロータ駆動システムの空間的および形状的な制約を考えれば、多くの場合理想的な割合は現実的ではない。
【0007】
図1は理想的なロータ100を模式的に示している。ロータ軸104を中心にスピンすると、理想的なロータ100は理想的なロータ100の全長にわたって完全にロータ軸104を中心に維持する。スピンするよう駆動されている間、理想的なロータ100はロータ軸104に沿って軸方向に並進することも、ロータ軸104に対して半径方向に並進することもない。比較のために、実際の従来のロータ108も図1に図示している。意図するロータ軸104を中心にスピンするよう駆動することに応答して、実際のロータ108は、図1に矢印で全体を示す回転運動に応じて、ロータ軸104に対する振れ回りが観察される。実際のロータ108は理想的なロータ100で表す意図された位置に対して軸方向にも並進する。実際のロータ108の理想的なロータ100からの偏差は、例示のために誇張していることは理解されたい。
【0008】
図2は、矢印で全体を示す旋回運動に応じて、意図するロータ軸204に対して角度をなして旋回、動揺または歳差運動している実際のロータ208の模式的な立面図である。実際のロータ208は別の時点212でも描かれている。これらの偏差もやはり例示のために誇張している。スピン中、同じロータ208が図1に描かれる振れ回り運動と図2に描かれる旋回運動との両方をすることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、ロータを駆動および支持する気体駆動ロータおよび関連システム、ならびに方法の技術改良に継続的な必要性が認められる。特に、かかるロータの安定性を改善する、より具体的には、かかるロータの動作中の不安定化力の発生を排除するまたは少なくとも実質的に減らすことを含め、被駆動回転中の軸方向の安定性を改善する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の諸問題の全部もしくは一部、および/または当業者が気づいているかもしれない他の問題に対処するために、本開示は例として以下に記載の実施態様で説明する比例弁に関わる装置、デバイス、システムおよび/または方法を提供する。
ある実施態様によると、ロータ駆動装置は、ロータと、ステータとを含む。ロータは、回転軸に沿って配置されているロータ本体と、ロータ本体の軸方向端部に配置されているロータ端部材とを含む。ロータ端部材は、ロータ端面と、ロータ端面に形成されている複数の駆動溝とを含む。ロータ端面は、回転軸に配置されているロータ先端で終端するロータテーパ面を含む。ステータは、ステータ本体と、ステータテーパ面とを含む。ステータテーパ面は、ロータテーパ面から軸方向に間隔を隔てられていて、回転軸と同軸のテーパ状輪郭を有する軸受隙間を形成している。ステータは、ステータ本体を貫いて形成され、軸方向気体噴出オリフィスで終端している気体通路をさらに含む。軸方向気体噴出オリフィスは、ステータテーパ面に配置されて、回転軸と同軸上にある。ロータ端部材およびステータは、軸方向気体噴出オリフィスから半径方向外側に、回転軸に対して角度をなして軸受隙間を流れるように向けられた気体流路を、共働して形成している。
【0011】
別の実施態様によると、ロータ駆動装置は、ロータと、ステータとを含む。ロータは回転軸に沿って配置されているロータ本体と、ロータ本体の軸方向端部に配置されているロータ端部材とを含む。ロータ端部材は、ロータ端面と、ロータ端面に形成されている複数の駆動溝とを含む。ロータ端面は、回転軸に配置されているロータ先端で終端しているロータテーパ面を含む。ステータは、ステータ本体と、ステータテーパ面とを含む。ステータテーパ面は、ロータテーパ面から軸方向に間隔を隔てられていて、回転軸と同軸にテーパ状輪郭を有する軸受隙間を形成している。ロータ駆動装置は、気体を回転軸から、半径方向外側に回転軸から遠ざかるように、軸受隙間を通るように方向づけて、スピン中にロータを支持する気体軸受を形成する手段をさらに含む。
【0012】
別の実施態様によると、回転軸を中心にロータをスピンする方法を提供する。ロータは、回転軸に沿って配置されている。気体を、回転軸から、回転軸に対して角度をなして半径方向外側に、ロータのロータ端部材とステータの軸受面との間のテーパ状の軸受隙間に流す。軸受隙間を通って流れる気体によって軸受隙間に形成される気体軸受上で、ロータ端部材がスピンし、ロータをスピンさせる。
【0013】
本発明は以下の図面を参照するとよりよく理解できる。図中のコンポーネントは必ずしも正確な縮尺ではなく、代わりに本発明の原理を例示することに重点を置いている。図において、同様の参照番号はさまざまな図を通じて対応する部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】理想的なロータ、ならびに振れ回りおよび軸方向の並進運動を受ける実際のロータの模式図である。
【図2】旋回運動を受ける実際のロータの模式的な立面図である。
【図3】本発明の実施態様によるロータ駆動装置の一実施例の断面立面図である。
【図4】図3に示すロータ駆動装置に装備してもよいロータの一実施例の斜視図である。
【図5】図3に示すロータ駆動装置の駆動端断面の上平面図である。
【図6】図3に示すロータ駆動装置に装備してもよいステータの一実施例の立面図である。
【図7】図4に示すロータに装備してもよい駆動要素の一実施例の斜視図である。
【図8】図3に示すロータ駆動装置を破断して示す斜視図である。
【図9】図3に示すロータ駆動装置の下部の断面立面図である。
【図10】本発明の別の実施態様によるロータ駆動装置の下部の断面立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
一般に、「連絡(通信、連通)する」という用語(例えば、第1コンポーネントが第2コンポーネントと「連絡(通信、連通)する」または「連絡(通信、連通)している」)は、本明細書において、2以上のコンポーネントまたは要素の間の構造的、機能的、機械的、電気的、光学的、磁気的、イオンの、または流体的な関係を示すために使用している。これ自体では、あるコンポーネントが別のコンポーネントと連通すると述べることは、かかる第1および第2のコンポーネントの間に追加のコンポーネントが存在する、かつ/または追加コンポーネントがかかる第1および第2のコンポーネントと作動的(操作的)に関連または係合するという可能性を排除するものではない。
【0016】
本明細書に開示する主題は、一般に、例えばNMRサンプルなどの材料をスピンするために利用してもよい気体駆動式のロータに関わるシステム、装置、デバイス、計器、プロセスおよび方法に関する。本発明に関する実施態様の実施例を、図3〜図10を参照しながら以下より詳細に説明する。これらの実施例はNMR分光法の状況において提供されているが、本発明の幅広い諸局面は気体駆動ロータの使用を必要とする他の種類の技術に適用してもよいことは認識されるであろう。
【0017】
図3は、たとえば磁気共鳴手順に関連してサンプルスピナとして利用してもよいロータアセンブリ300の断面立面図である。ロータアセンブリ300は、ロータ304と、駆動端ステータ308と、ロータ304およびステータ308を収容しているハウジング312とを含む。ロータ304は、回転軸(または自転軸、またはロータ軸)を中心に回転するように駆動される。ロータアセンブリ300は、1つまたは複数の環状軸受部材324および328を、ロータ304と軸受スリーブ320との間に半径方向に支持する円筒形軸受スリーブ320を含んでもよい。軸受部材324および328は、ロータ304がロータ軸316を中心にスピンしているときに、ロータ304に側方の安定性を提供する。ロータ304が図3に示す動作位置にあるとき、ロータ304、軸受スリーブ320、ならびに軸受部材324および328はロータ軸316は、同軸上にある。
【0018】
ロータ304はロータ軸316に沿った長さを有するロータ本体またはスリーブ332を含む。ロータ本体332は円筒形でもよい。ロータ本体332の少なくとも一部は中空になっており、スピンするサンプルを収納する。ロータ304はロータ端軸受・駆動部材336も含む。ロータ端部材336は、ロータ本体332の中空部にしっかりと嵌り込むような寸法にしてもよい断片340を含む。ロータ端部材336は、大略的に、ロータ本体332の外側(図3で見てロータ本体332の下)に外面が位置づけられている。この実施例では、外面は、円筒形でロータ軸316に略平行であってもよい側面344と、ロータ軸316に対して角度をなすロータテーパ面348とを含む。ロータテーパ面348は、その半径(ロータ軸316に対して直交)がロータ軸316の方向に沿って変化し、最終的にロータ軸316上にある尖端またはロータ先端352で終端するという意味で「テーパがついている」。ロータテーパ面348の半径は、ロータテーパ面348がロータ側面344に接する高さで最大になり、尖端352に対応する位置で最小になるように変化する。ロータテーパ面348のテーパ状輪郭は図3に示すように円錐形(つまり、ロータ軸316に対して角度をなす直線を有する)でもよく、あるいは曲線状にしてもよい。多数の駆動溝(または翼板、溝、チャンネル、くぼみ等)356がロータ端部材336の外面上に形成されている。この実施例では、駆動溝356はロータ端部材336の側面(または駆動面)344に排他的に(全体として)形成されている。別の実施形態では、駆動溝356は、一部をロータテーパ面348に形成してもよい。駆動溝356は、ロータ304をロータ軸316を中心に所望の右回りまたは左回り方向に回転(スピン)させるように衝突する駆動用気体の力に反応するような形状になっている。理想的には、スピン中、尖端352は、半径方向の並進運動、軸方向の並進運動、またはロータ軸316に対する歳差運動をせずにロータ軸316にとどまる。
【0019】
ハウジング312は、ロータ304をロータアセンブリ300に装填し、その後取り外してもよいアクセス開口部360を含む。ロータ304の一実施例の斜視図である図4も参照すると、ロータ端部材336の最外部の径はロータ本体332の最外部の径を越えていない(または実質的に越えていない)。この構成は運転と運転との間にロータ304をロータアセンブリ300に装填しおよびこれから取り外ししやすくする。ロータ304は、ロータアセンブリ300を分解する必要なく装填または取り外してもよい。
【0020】
再び図3を参照すると、ハウジング312は、適切な駆動用気体供給源(図示せず)から適切な駆動用気体(酸素、窒素、空気等)を受ける駆動用気体供給入口364も含む。駆動用気体供給入口364は、1つまたは複数の駆動用気体供給通路368に連通しており、それによって駆動用気体は、ハウジング312とステータ308との間に形成されている環状駆動用気体供給プレナムまたはマニフォルド372に供給される。ハウジング312は、適切な軸受用気体供給源(図示せず)から適切な軸受用気体(酸素、窒素、空気等)を受ける軸受用気体供給入口376も含む。軸受用気体供給入口376は、1つまたは複数の軸受用気体供給通路380に連通しており、それによって軸受用気体はハウジング312とステータ308との間に形成されている環状軸受用気体供給プレナムまたはマニフォルド384に供給される。ハウジング312は、環状軸受部材324および328、または側方気体軸受を形成するために利用されるロータ駆動装置300の他の要素に、軸受用気体を供給するために、軸受用気体供給入口376に連通する1つまたは複数の通路、ダクト、プレナム、マニフォルドまたはその他同様なもの388も含んでもよい。たとえば、軸受部材324および328は、軸受部材324および328とロータ本体332との間の環状隙間に気体を導くオリフィス(図示せず)を含んでもよい。
【0021】
ステータ308は、大略的にロータ端部材336の軸方向下(図1で見て)でロータ軸316に位置づけられている。ステータ308は、ステータ本体392と、ステータ本体392に形成されているステータテーパ面396とを含む。ステータテーパ面396は、ロータ軸316に中心がある。すなわち、ステータテーパ面396の尖端は、ロータ軸316上にある。ただし、ステータテーパ面396の尖端は、軸方向の気体通路402がステータ本体392を貫いて形成されており、ステータテーパ面396に配設されて、かつロータ軸316に中心がある軸方向気体噴出オリフィス(出口)406で終端(開放)するという意味で、仮想上のものである。すなわち、軸方向気体噴出オリフィス406の軸は、ロータ軸316に一致する(同軸上にある)。軸方向気体噴出オリフィス406に繋がる軸方向気体通路402の一部もロータ軸316に一致してもよい。ステータテーパ面396は、ロータテーパ面348から軸方向に間隔が隔てられており、ステータテーパ面396とロータテーパ面348との間に中間の環状軸受隙間または中空部が形成されている。その結果、軸受隙間自体がテーパ状になっており、ロータ軸316と同軸上にある。
【0022】
軸受隙間の入口は、大略的にロータ端部材336の尖端352またはその付近に画定されており、ここで軸方向気体通路402が、軸方向気体噴出オリフィス406として機能する開口部でステータテーパ面396に接している。軸受隙間の出口は大略的に、ステータテーパ面396がロータ端部材336の駆動面344に接する境界もしくは縁またはその付近に画定されており、ここに駆動溝356が形成されている。そのため、軸受隙間は軸受用気体の半径方向流出路をロータ軸316に対して角度をなす方向に、図3で見て上方に確立する。図示する実施例では、ロータ軸316に対するロータテーパ面348の角度は、ロータ軸316に対するステータテーパ面396の角度とは異なる。このように、軸受隙間の断面積は、軸受隙間入口から軸受隙間出口に向かう方向に狭くなっている。ロータテーパ面348およびステータテーパ面396の一方または両方の輪郭が曲線状になっている別の実施例では、軸受隙間の最小断面積は、軸受隙間の入口と出口との間のある地点にあってもよい。
【0023】
軸受用気体供給プレナム384は、1つまたは複数の追加ステータ気体通路410(例、側方、横断方向、または半径方向の通路)を介して軸方向気体通路402に連通する。ステータ308はさらに、ステータ本体392を貫いて形成されて、駆動用気体供給プレナム372から、対応する駆動用気体噴出オリフィス414まで通じている複数の駆動用気体通路を含む。ロータ端部材336が配置されている中空部を画定するステータ本体392の内面上の駆動溝356に近接して、駆動用気体噴出オリフィス414が配設されている。ステータ308はさらに1つまたは複数の排気孔、ポートまたは通路418を含む。排気通路418の入口は軸受隙間および駆動溝356の出口付近に配置してもよい。
【0024】
図3に詳しく示すように、ハウジング312の一部はエンドキャップ構造422の形態で提供してもよい。エンドキャップ構造422は、ステータ308が配説される中央中空部を有する。駆動用気体および軸受用気体の経路に必要なら、エンドキャップ構造422にいくつかの通路、プレナム、ダクト、通気孔および同様な他のものを形成してもよい。
図5は、ステータ308は取り付けられているが、ロータ304のないエンドキャップ構造の上平面図(図3で見て下向きに見て)である。環状駆動用気体供給プレナム372に繋がる駆動用気体供給通路368(図示する実施例では、5つの駆動用気体供給通路368が設けられている)の少なくとも一部が、エンドキャップ構造422、および軸受用気体供給通路380を貫いて形成されている。排気孔418(図示する実施例では6つ設けられている)は、ステータ308を貫いて形成されており、エンドキャップ構造422を通って半径方向外側に、エンドキャップ構造422のこの部分を囲むハウジング312(図3)の一部(図示せず)まで続いている。同じく例として、3つの軸受用気体通路410は、軸受用気体供給プレナム384(図3)から中央軸受用気体通路402および軸方向軸受用気体噴出オリフィス406まで繋がっている。ステータ308を貫いて形成されている複数の駆動用気体注入通路502は、駆動用気体供給プレナム372に連通する各駆動用気体入口506から、ロータ304が配置されているステータ308の中央ボアに連通する各駆動用気体噴出オリフィス414まで繋がっている。駆動用気体注入通路502および対応する駆動用気体噴出オリフィス414は、ロータ軸316から直交して延びているどの半径方向の線に対しても角度をなした向きになっているので、ステータ308の中央ボアに注入される駆動用気体は、ロータ端部材336の駆動溝356(図3)に、ロータ304の回転を生じさせる角度で左回りの方向(図5で見て)に衝突する。
【0025】
図6はステータ308の立面図であり、この図でもロータ304(図3および図4)は取り付けられていない。駆動用気体注入通路502は、どの水平基準面に対しても角度をなした向きになっている(図5で見て)。さらに、これらの角度は、図5で見て下向きになっている。すなわち、各駆動用気体注入通路502は、その駆動用気体入口506からその駆動用気体噴出オリフィス414まで下向きの角度に配されている。したがって、駆動用気体は、駆動溝356に向かって下向きの方向に噴出される。使用時、駆動溝356に当たるまで流れる駆動用気体の下向きの流れは、ロータ304のスピン運動を駆動するだけでなく、スピンするロータ304をステータテーパ面396とロータテーパ面348との間の軸受隙間に下向きに押し込む。この構成はスピン中のロータ304の安定性を改善する。
【0026】
図7は、ロータ端部材336の斜視図である。図示する実施例では、各駆動溝356には、ロータ端部材336の駆動面344に食い込んでいる側面702が形成されており、そのため、側面702と駆動面344との間の寸法が変化する内側肩部706が形成されている。より一般的には、駆動溝356は上記説明したように、駆動用気体の下向きに角度をなすジェットに反応するのに適したどのような形状でもよい。
【0027】
図8は、図3に図示しているロータアセンブリ300を破断して示す斜視図であり、同じ横断面を採用している。図8は例示目的で提供している。
図9はロータアセンブリ300の下部の断面立面図である。ここで、ロータアセンブリ300の構成によって確立した駆動用気体および軸受用気体の流路を、図9と、流路の十分な理解にも役立つ他の図面とを併せて参照しながら説明する。軸受用気体は軸受用気体供給源(図示せず)から軸受用気体供給入口376に供給される。矢印902で示すように、軸受用気体は、軸受用気体供給入口376から半径方向内側(かつ、この実施例では下側)へ軸受用気体供給通路380を通って、軸受用気体供給プレナム384に流れる。それから矢印906で示すように、軸受用気体は、軸受用気体供給プレナム384から半径方向内側へ軸受用気体供給通路410を通って、軸方向気体通路402に流れる。ロータ軸316と一致する矢印910で示すように、軸受用気体は、ロータ軸316に大略的に沿って軸方向気体通路402を上側へ流れて、ロータ軸316の軸方向気体噴出オリフィス406から出る。軸方向気体噴出オリフィス406から、矢印914で示すように、軸受用気体は、半径方向外側かつ上側へ、ロータテーパ面348とステータテーパ面396(図3)との間に画定されている軸受隙間を流れる。
【0028】
矢印914で表す軸受用気体流路の部分は、ロータテーパ面348の尖端352(図3)が位置するロータ軸316が直接の起点である。尖端352にぶつかるとすぐに、軸受用気体は尖端352から半径方向外側のすべての方向に流れ、それによってロータテーパ面348およびロータ304の他のすべての部分の動きを安定させる。軸受用気体が軸受隙間を流れるとき、ロータ軸316に対する軸受用気体流路の半径は、軸受用気体がロータテーパ面348の最外周面に到達するまで増え続け、この地点で軸受用気体は軸受隙間から出て、排気口418に流れ込む。軸受隙間を流れる軸受用気体は、スピンするロータ304の軸方向端部またはスラスト軸受として機能する中央に供給され径方向外側に流れる気体の軸受を形成する。軸受用気体はロータ軸316から、ロータテーパ面348の尖端352から最外部の径(この例では、ロータ側面344との合流点に相当する)まで全体に沿って流れるため、軸受用気体の流れは先行技術の手法および構成では達成されない態様でスピンするロータ304の軸方向の安定性および回転の安定性を著しく改善する。
【0029】
流れベクトル910に沿う向きの気体の高圧パルスを利用すれば、ハウジング312(図3)の開口部360からロータ304を容易に取り外せる点にも注目されるであろう。
図9に示されている例を引き続き述べると、駆動用気体は駆動用気体供給源(図示せず)から駆動用気体供給入口364に供給される。矢印918で示すように、駆動用気体は駆動用気体供給入口364から、半径方向内側に(かつ、この例では上側に)駆動用気体供給通路368を通って、駆動用気体供給プレナム372へと流れる。それから、矢印922で示すように、駆動用気体は駆動用気体供給プレナム372から半径方向内側に、駆動用気体噴出通路502(図5および図6)を通って、ステータ308の中央コアへと流れて、駆動溝356に向かう。さらに駆動用気体は駆動溝356から偏向して、排気孔418に流れ込む。排気孔418を通る駆動用気体および軸受用気体を合わせた半径方向外側の流れを、矢印926で示す。
【0030】
この実施例では、駆動用気体は下向きの角度で駆動溝356に当たるまで噴出される。これまでにも指摘したように、この構成は、駆動用気体が、軸受用気体の半径方向外側かつ上側への流れによって与えられる上向きの力に抗してロータ304を軸受隙間に向かって偏向できるようにし、それによってスピンするロータ304の安定性の改善に寄与する。加えて、ロータ駆動装置300の特徴は、軸受隙間を流れる軸受用気体がベルヌーイ型の気体軸受を形成するように構成してもよく、それによって、ロータテーパ面348にかかる平均流体圧力がロータ304の反対端にかかる周囲圧力(典型的には、大気圧またはほぼ大気圧)と等しくなる釣り合い状態または平衡状態に達するまで、軸受隙間の圧力低下がロータ304を軸受隙間に引き込む効果をもつ(ただし、ロータ304をステータ308に接触させることはない)。
【0031】
図10は別の実施態様によるロータアセンブリ1000の下部の断面立面図である。図3〜図9で上記説明および図示したロータアセンブリ300によって提供されるものと同様の特徴または要素は、図10で同様な参照番号で示す。ロータアセンブリ300と同様に、図10に示すロータアセンブリ1000は中央に供給され径方向側に流れる気体の軸受を提供する。ロータアセンブリ1000は、ロータ1004と、ステータ1008と、ロータ1004およびステータ1008を収容するハウジング1012とを含む。ロータ1004は、ロータ1004がスピンするロータ軸1016に沿って細長いロータ本体1032と、ロータ本体1032に固定されているロータ端部材またはドライブ先端1036とを含む。ロータ端部材1036の外面は、側面1044と、ロータ軸1016の直上に位置している尖端1052までテーパがついているロータテーパ面1048とを含む。駆動溝1056は、一部が側面1044に、一部がロータテーパ面1048に形成されている。あるいは、駆動溝1056は全部をロータテーパ面1048に形成してもよい。テーパ状軸受隙間は、ロータテーパ面1048と、ロータテーパ面1048の軸方向に間隔を隔てて下にあるステータテーパ面1096との間に画定されている。
【0032】
前に説明したロータアセンブリ300とは異なり、図10に示すロータアセンブリ1000が提供する、中央に供給され径方向外側に流れる気体は、前に説明した軸受隙間の中央に供給され径方向外側に流れる気体の軸受を生じさせるためだけでなく、駆動用気体としても利用する。そのため、この実施態様では、円周方向に間隔を隔てた個々の駆動用気体ジェットの必要性がなくなる。軸受・駆動用気体が、適切な気体供給源(図示せず)から軸受・駆動用気体供給入口1064に供給されて、軸受・駆動用気体供給通路1080を通って軸受・駆動用気体供給プレナム1084に流れる。そして、軸受・駆動用気体は、軸受・駆動用気体供給プレナム1084から、ステータ1008に形成されている1つまたは複数の軸受・駆動用気体通路1110を通って、同じくステータ1008に形成されている軸方向軸受・駆動用気体通路1002へと流れる。軸方向軸受・駆動用気体通路1002は、ロータ軸1016に中心がある軸方向軸受・駆動用気体噴出オリフィス1106で終端する。矢印1114で示すように、軸受・駆動用気体は、軸方向軸受・駆動用気体噴出オリフィス1106から出て、半径方向外側かつ上方へ、ロータテーパ面1048とステータテーパ面1096との間に画定されているテーパ状軸受隙間を流れる。この実施態様におけるテーパ状軸受隙間を流れる軸受・駆動用気体は、駆動溝1056にも当たり、それによってロータ軸1016を中心とするロータ1004のスピン運動を駆動する。軸受用気体を、側方気体軸受(例、軸受部材1024)に供給するために、軸受用気体供給入口1076を通る軸受用気体の別の流れを確立して、ロータ本体1032を支持するために利用してもよい。
【0033】
図10に示すロータアセンブリ1000が形成する、中央に供給され径方向外側に流れる気体の軸受は、ロータアセンブリ300に関連して前に説明したものと同じまたは同様な利点、特にロータ軸1016を中心とする被駆動回転中のロータ1004の軸方向の偏位を抑制する機能を果たすベルヌーイ型の気体軸受の形成を提供する。加えて、図10に示す実施態様は、単一の気体入口(図示される軸受・駆動用気体噴出オリフィス1106)が駆動溝1056に駆動用気体の連続的な半径方向の流出流を供給するために、複数の個々の駆動ジェットを使用しなくてもよい。駆動用気体の供給源が個々の駆動ジェットに区切られていないため、典型的には複数の駆動ジェットを使用して複数の駆動溝1056を駆動することに関連したコギング力を発生させないようにしてもよい。
【0034】
上記例として説明した実施態様などのロータ・ステータ駆動装置またはシステムは、ロータの軸方向の動きを最小限に抑えるという点で著しい改善をみせている。軸受用気体圧力、駆動用気体圧力および回転速度を高度に最適化した状態で運転する従来より周知のシステムは、ロータの軸方向の動きを、約0.001インチを上限に制限することを成し遂げている。本開示で教示する実施態様は、本開示の時点でもなお調査中であるが、光学コンパレータを使って観察した予備評価では、ロータの軸方向の動きの上限が、以前に達成されている上限の約1/10から1/100に減少することが示されている。すなわち、予備評価では、約0.0001インチから0.00001インチを越えない軸方向の動きを示した。
【0035】
上記例示するようなロータ・ステータ駆動装置またはシステムは、サンプルスピニングに適応したNMRプローブを採用するあらゆる種類の技術で実施してもよい。例として、マジック角スピニング(magic-angle spinning)(MAS)、二重配向回転(double orientation rotation)(DOR)、スイッチド角スピニング(switched angle spinning)(SAS)、可変温度(VT)アプリケーション、極低温アプリケーション等に関連した技術、およびその変形が含まれるが、これらだけに限定されるわけではない。
【0036】
上記に挙げた例は、NMR関連技術において、ロータ・ステータ駆動装置またはシステムをサンプルスピナとして実施する。しかし、本発明を、ロータの使用を必要とする他の技術へ応用することが見出されるかもしれないことは理解されるであろう。さらに、例として、遠心分離機、ドリルまたはオーガなどのスピンするコンポーネントを含む他の種類のツールおよび計器、気体駆動タービンを含む他の種類のツールおよび計器、電力を生成するための磁気ロータを含むタービン発電機等を含むが、これらだけに限定されるわけではない。
【0037】
また、本発明の範囲を逸脱することなく、本発明の様々な局面または詳細を変更してもよいことも理解されるであろう。さらに、前述の説明は単なる例示を目的としており、限定を目的としているわけではなく、したがって本発明は特許請求の範囲によって定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に沿って配置されているロータ本体と、前記ロータ本体の軸方向端部に配置されているロータ端部材とを含み、前記ロータ端部材が、ロータ端面と、前記ロータ端面に形成されている複数の駆動溝とを備え、前記ロータ端面が、前記回転軸に配置されているロータ先端で終端するロータテーパ面を含む、ロータと、
ステータ本体と、ステータテーパ面とを含み、前記ステータテーパ面が、前記ロータテーパ面から軸方向に間隔を隔てられていて、前記回転軸と同軸のテーパ状輪郭を有する軸受隙間を形成するステータであって、前記ステータが、前記ステータ本体を貫いて形成されて、軸方向気体噴出オリフィスで終端する気体通路をさらに備えており、前記軸方向気体噴出オリフィスが、前記ステータテーパ面に配置されて前記回転軸と同軸上にある、ステータとを備えており、
前記ロータ端部材と前記ステータとが、前記軸方向気体噴出オリフィスから半径方向外側に、前記回転軸に対して角度をなして前記軸受隙間を通る気体流路を、共働して形成している、ロータ駆動装置。
【請求項2】
前記ロータテーパ面が円錐形である、請求項1に記載のロータ駆動装置。
【請求項3】
前記ロータテーパ面が曲面状である、請求項1に記載のロータ駆動装置。
【請求項4】
前記ロータ端面は、前記ロータテーパ面につながっているロータ側面をさらに備え、前記駆動溝の全部が前記ロータ側面に形成されている、請求項1に記載のロータ駆動装置。
【請求項5】
前記ロータ端面が、前記ロータテーパ面につながっているロータ側面をさらに備え、前記駆動溝の一部が前記ロータ側面に、前記駆動溝の一部が前記ロータテーパ面に形成されている、請求項1に記載のロータ駆動装置。
【請求項6】
前記ロータ端面が、前記ロータテーパ面につながっているロータ側面をさらに備え、前記駆動溝の全部が前記ロータテーパ面に形成されている、請求項1に記載のロータ駆動装置。
【請求項7】
前記ステータ本体は、前記駆動溝に近接した複数の駆動用気体噴出オリフィスを備えている、請求項1に記載のロータ駆動装置。
【請求項8】
各駆動用気体噴出オリフィスは、前記回転軸に対して角度をなして、大略的に前記ロータ先端に向かって下側に向いている、請求項7に記載のロータ駆動装置。
【請求項9】
前記ステータ本体は、前記駆動用気体噴出オリフィスおよび前記軸受隙間に連通する排気通路をさらに備え、前記軸方向気体噴出オリフィスから前記軸受隙間を通る前記気体流路は、さらに前記軸受隙間から半径方向外側へと前記排気通路に向かう軸受用気体流路であり、前記ロータ端部材および前記ステータは、さらに前記駆動用気体噴出オリフィスから半径方向内側に前記駆動溝に向かうとともに、前記駆動溝から半径方向外側に前記排気通路に向かう駆動用気体流路を、共働して形成している、請求項7に記載のロータ駆動装置。
【請求項10】
前記ステータを配置しているハウジングをさらに備え、前記ハウジングは、前記駆動用気体噴出オリフィスに連通している駆動用気体供給プレナムと、前記気体通路を介して前記軸方向気体噴出オリフィスに連通している軸受用気体供給プレナムとを含む、請求項7に記載のロータ駆動装置。
【請求項11】
前記ステータ本体は、前記軸受隙間に連通している排気通路をさらに備えている、請求項1に記載のロータ駆動装置。
【請求項12】
前記ステータを配置しているハウジングと、前記ロータ本体に接して配置されている側方気体軸受部材と、前記ハウジング内に形成されている軸受用気体供給プレナムとをさらに含み、前記軸受用気体供給プレナムは、前記気体通路を介して前記軸方向気体噴出オリフィスと、前記側方気体軸受部材とに連通している、請求項1に記載のロータ駆動装置。
【請求項13】
前記ステータを配置しているハウジングをさらに含み、前記ハウジングは前記気体通路を介して前記軸方向気体噴出オリフィスに連通している駆動・軸方向軸受用気体供給プレナムと、前記軸受隙間および前記駆動溝に連通している気体排出通路とを備えており、前記軸方向気体噴出オリフィスから前記軸受隙間を通る前記気体流路は、さらに、前記軸受隙間から前記駆動溝を通り、半径方向外側に前記排気通路に向かう、請求項1に記載のロータ駆動装置。
【請求項14】
前記ロータ本体に接して配置されている側方気体軸受部材をさらに備えており、前記ハウジングは、前記側方気体軸受部材に連通している側方軸受用気体供給プレナムをさらに含む、請求項13に記載のロータ駆動装置。
【請求項15】
前記ロータ端面の前記テーパ部分と、前記ステータテーパ面とは、前記軸受隙間が前記軸方向気体噴出オリフィスから離れた位置で減少するように別々の形状にされている、請求項1に記載のロータ駆動装置。
【請求項16】
前記ロータ本体は、前記回転軸に対して最外部の径を有しており、前記ロータ端部材は、前記ロータ本体の前記最外部の径に実質的に等しいか、またはそれ未満の最外部の径を有している、請求項1に記載のロータ駆動装置。
【請求項17】
回転軸に沿って配置されているロータ本体と、前記ロータ本体の軸方向端部に配置されているロータ端部材とを含んでおり、前記ロータ端部材は、ロータ端面と、前記ロータ端面に形成されている複数の駆動溝とを備え、前記ロータ端面が、前記回転軸に配置されているロータ先端で終端しているロータテーパ面を含む、ロータと、
ステータ本体と、ステータテーパ面とを備えており、前記ステータテーパ面が、前記ロータテーパ面から軸方向に間隔を隔てられていて、前記回転軸と同軸のテーパ状輪郭を有する軸受隙間を形成している、ステータと、
気体を、前記回転軸から、半径方向外側に前記回転軸から遠ざかるように、前記軸受隙間を通るように方向づけて、スピン中に前記ロータを支持する気体軸受を形成する手段と、を備えたロータ駆動装置。
【請求項18】
前記気体を方向づける手段は、前記ステータ本体を貫いて形成されている気体通路と、前記気体通路が終端する軸方向気体噴出オリフィスとを備えており、前記軸方向気体噴出オリフィスは、前記ステータテーパ面に配置され、前記回転軸と同軸である、請求項17に記載のロータ駆動装置。
【請求項19】
スピン中に前記ロータを軸方向に前記軸受隙間に押し込む手段をさらに備えた、請求項17に記載のロータ駆動装置。
【請求項20】
前記押し込む手段は、前記ステータ本体に形成されている複数の駆動用気体噴出オリフィスと、前記ロータ端面の駆動面とを備えており、前記駆動溝は、少なくとも一部が、前記駆動用気体噴出オリフィスに近接した前記駆動面に形成されている、請求項19に記載のロータ駆動装置。
【請求項21】
前記ステータ本体は、複数の駆動用気体噴出オリフィスをさらに備えており、前記ロータ端面は駆動面をさらに含み、前記駆動溝は、少なくとも一部が、前記駆動用気体噴出オリフィスに近接した前記駆動面に形成されている、請求項17に記載のロータ駆動装置。
【請求項22】
前記駆動溝は、少なくとも一部が前記ロータテーパ面に形成されており、前記気体を方向づける手段は、前記気体を前記軸受隙間から前記駆動溝に当たるように向けて、前記ロータをスピンさせる、請求項17に記載のロータ駆動装置。
【請求項23】
回転軸を中心にロータをスピンさせる方法であって、前記ロータは前記回転軸に沿って配置されており、
気体を、前記回転軸から、前記回転軸に対して角度をなして半径方向外側に、前記ロータのロータ端部材と前記ステータの軸受面との間のテーパ状軸受隙間に流すステップと、
前記ロータをスピンさせるステップであって、前記軸受隙間を通る気体によって、前記軸受隙間に形成される気体軸受上で、前記ロータ端部材をスピンさせるステップとを含む、方法。
【請求項24】
前記ロータをスピンさせるステップは、第2気体を前記ロータ端部材の複数の駆動溝に当てるように流すステップを含んでおり、前記第2気体は、前記テーパ状軸受隙間を通る気体から分離している、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ロータをスピンさせるステップは、気体を、前記テーパ状軸受隙間から前記ロータ端部材の複数の駆動溝に当てるように流すステップを含んでおり、前記駆動溝は、少なくとも一部が、前記ロータ端部材のロータテーパ面に形成されており、前記ロータテーパ面は、少なくとも、一部が前記テーパ状軸受隙間を画定している、請求項23に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−529562(P2011−529562A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517208(P2010−517208)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/071383
【国際公開番号】WO2009/012504
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(599060928)バリアン・インコーポレイテッド (81)
【Fターム(参考)】