説明

中方立て

【課題】引き戸との隙間を隙間遮断部材で確実に塞ぐとともに、種々の設置条件に対応した隙間遮断部材の突出具合の調整を不要とした中方立てを提供する。
【解決手段】複数のコイルバネ13が、一端13aを縦溝11a内の奥方部に固定し、他端13bを隙間遮断部材12の基部と連結するように配設され、コイルバネ13によって隙間遮断部材12を支持して、隙間遮断部材12を引き戸6に常時弾接させるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引き戸をスライド可能に保持する引き戸枠の中間部に立設され、引き戸側の側部に縦溝を形成して、その縦溝に隙間遮断部材を装着してなる中方立てに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建物の引き戸枠は、壁等に開設された引き戸用の開口の枠部として配設され、上下の横枠、左右の縦枠を備えるとともに、横方向の中間部で上下に配設される中方立てを備えている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
これらの中方立ては、主たる構成部材である中方立て本体の引き戸側の側部に縦溝を備えて、その縦溝に隙間遮断部材を装着させた構造とされる。この隙間遮断部材は、中方立て本体と引き戸の戸板面との間にできる、引き戸の走行性を確保するための隙間を、走行性を落とすことなく、光の洩れや隙間風の侵入を防止するために塞ぐもので、少なくとも隙間遮断部材の引き戸側の側部には、縦溝の開口よりもわずかに突出した、例えばモヘアなどの軟質繊維材が備えられている。
【0004】
この中方立て本体と引き戸面との間の隙間は、引き戸の厚さなど種々の設置条件により異なるもので、その設置条件に応じて、軟質繊維材の突出具合を、軟質繊維材の先端が引き戸の戸板面に接触する程度に調整する必要がある。
【0005】
従来では、設置条件に応じて隙間遮断部材を最適な突出具合とするために、隙間遮断部材の突出具合を調整可能とした中方立ても種々提案されており、特許文献1のものではカム材で調整可能とし、特許文献2のものでは、隙間遮断部材を弾発付勢した状態でビス調整することで突出具合を調整可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−138771号公報
【特許文献2】特開平10−339077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これらの技術では、隙間遮断部材の突出具合を、隙間遮断部材が中方立て本体とほぼ同程度の高さがあることに対応して、上下方向の複数個所(例えば上中下の3箇所)に備えた調整具で調整する構造となっており、その複数個所の調整を施工現場でしなければならないため、現場では突出具合調整のために多大な時間を要する必要があった。また、手操作で、複数の調整具間で同等の調整を行わなければならないことも、時間を要する要因となっていた。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、引き戸との隙間を隙間遮断部材で確実に塞ぐとともに、種々の設置条件に対応した隙間遮断部材の突出具合の調整を不要とした中方立てを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の中方立ては、引き戸をスライド可能に保持する引き戸枠の中間部に立設され、引き戸側の端部に縦溝を形成して、該縦溝に隙間遮断部材を装着してなる中方立てにおいて、複数の弾性支持具が、その一端を縦溝内の奥方部に固定し、他端を隙間遮断部材の基部と連結するように配設され、該弾性支持具によって隙間遮断部材を支持して、該隙間遮断部材を引き戸に常時弾接させるようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の中方立てでは、隙間遮断部材の先端には軟質繊維材が付設されており、該軟質繊維材の先端を横断面山形に形成している。
【0011】
請求項3に記載の中方立ては、弾性支持具がコイルバネで構成されるとともに、該コイルバネの伸縮動作をガイド支持するガイド部をさらに備え、該ガイド部と隙間遮断部材の基部との間にバネ移動代空間が形成されている。
【0012】
請求項4に記載の中方立てでは、ガイド部が縦溝の底部に固定され、縦溝の開口方向に突出した支持棒で構成され、コイルバネに内挿されて伸縮動作をガイド支持している。
【0013】
請求項5に記載の中方立てでは、ガイド部が縦溝の底部に形成された支持凹所で構成され、コイルバネの一端を該支持凹所の底面部で固定して、コイルバネを支持凹所に収容させて、伸縮動作をガイド支持している。
【0014】
請求項6に記載の中方立てでは、隙間遮断部材の基部に、支持凹所の内周にスライド自在に嵌入されるバネガイド片が形成されている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の中方立てによれば、隙間遮断部材が、縦溝内の奥方部に一端を固定した複数の弾性支持具によって支持されて、引き戸に対して常時弾接される構成となっているため、中方立てと引き戸との隙間を確実に塞ぐことができる。また、隙間遮断部材は、弾性支持具の弾性力によって突出して引き戸との間の隙間を埋め合わせするので、従来のような手操作による隙間遮断部材の突出具合の現場での調整は不要となる。よって、現場作業の手間を大幅に削減できる。さらに、中方立てに操作可能な調整具を組み込む必要がないので、中方立ての製造コストも削減できる。
【0016】
請求項2に記載の中方立てによれば、隙間遮断部材の先端に付設された軟質繊維材の先端が横断面山形に形成されているので、引き戸との接触面積を小さくすることができ、それによって軟質繊維材と引き戸の戸板面との摩擦抵抗を小さくでき、引き戸の走行性をよくできる。また、先端が横断面山形であるため、引き戸に接触する2つの走行ガイド面が形成され、走行の向きが変わるごとに走行ガイド面が入れ替わる。つまり、走行の向きごとに一方面ずつしか使用されないため、軟質繊維材の劣化を遅らすことができる。
【0017】
請求項3に記載の中方立てによれば、弾性支持具はコイルバネで構成されるとともに、コイルバネの伸縮動作をガイド支持するガイド部をさらに備えているので、コイルバネが垂れ下がることなく水平動作をガイドできて、隙間遮断部材を支持することができる。もちろん、ガイド部と隙間遮断部材の基部との間にバネ移動代空間が形成されているので、ガイド部によって隙間遮断部材の動作がじゃまされることなく、コイルバネの伸張、伸縮による前後移動が確実に行える。
【0018】
請求項4に記載の中方立てによれば、ガイド部が縦溝の底部に固定され、縦溝の開口方向に突出した支持棒で構成され、その支持棒がコイルバネに内挿されて伸縮動作をガイド支持する構成となっているため、簡易な構成でコイルバネに適切な水平動作をさせることができる。
【0019】
請求項5に記載の中方立てによれば、ガイド部が縦溝の底面部に形成された支持凹所で構成され、コイルバネの一端を支持凹所の底面部で固定して、コイルバネを支持凹所に収容させて伸縮動作をガイド支持する構成となっている。このように縦溝の底部から横方向に掘り込んだ支持凹所でコイルバネを支持しているので、コイルバネに適切で安定した水平動作をさせることができる。
【0020】
請求項6に記載の中方立てによれば、支持凹所でコイルバネを支持する場合に、隙間遮断部材の基部に支持凹所の内周にスライド自在に嵌入されるバネガイド片が形成されているので、支持凹所から突出したコイルバネの先端部を支持でき、その結果、コイルバネは支持凹所とバネガイド片によって全長にわたって支持され、そのため、コイルバネが伸張する際にも、コイルバネの先端部の垂れ下がりが発生するおそれはない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の中方立ての第1実施形態の説明図であり、(a)は同実施形態の中方立ての概略縦断面図、(b)は同概略横断面図である。
【図2】引き戸を設置する前の状態における同中方立ての概略縦断面図である。
【図3】本発明の中方立ての第2実施形態の説明図で、同実施形態の中方立ての概略縦断面図である。
【図4】本発明の第3の実施形態として示した中方立ての説明図であり、(a)は同中方立ての概略部分縦断面図、(b)は同概略部分横断面図である。
【図5】同中方立ての隙間遮断部材の引き戸に対する接触状態を示した概略部分横断面図であり、(a)、(b)には設置条件の異なる2例について示している。
【図6】本発明の中方立てを含む引き戸枠の斜視図である。
【図7】同引き戸枠を図6とは反対の方向から見た斜視図である。
【図8】同引き戸枠の概略横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、以下の複数の実施形態に示した各中方立てを含む引き戸枠は、実施形態間で共通した図面である図6〜図8に示しており、図6には引き戸枠の斜視図、図7には図6とは反対方向から見た斜視図、図8には同概略横断面図を示している。
【0023】
図1および図2は、本発明の中方立ての第1実施形態の説明図であり、図1(a)は引き戸枠に引き戸を設置した後の状態における中方立ての概略縦断面図、図1(b)は同概略横断面図、図2は引き戸枠に引き戸を設置する前の状態における同中方立ての概略縦断面図である。
【0024】
引き戸枠1は、木質材や金属材等よりなり、壁等に開設された引き戸6用の開口の枠部として配設され、上下の横枠2、3、左右の縦枠を備えるとともに、横方向の中間部に立設される中方立て10を備えている。なお以下では、左右の縦枠について、図1における左のものを幅狭縦枠4、右のものを幅広縦枠5という。
【0025】
この引き戸枠1は、上横枠2と下横枠3の左右両端部をそれぞれ、幅狭縦枠4と幅広縦枠5で連結し、上横枠2と下横枠3のほぼ全長にわたって引き戸6が摺動(走行)可能に嵌合される走行溝(下横枠3の走行溝3bのみを図示)が形成されている。
【0026】
上下横枠2、3は、幅狭縦枠4との連結端部から中央までを、幅狭縦枠4の幅に合わせて切り欠かれており、その切欠き2a、3aのうちの、幅広部2b、3bに隣接する位置に中方立て10が配設されている。
【0027】
なお、図8に示した概略横断面図における、符号7および8は引き戸枠1の近傍の中空壁を構成する柱および面材である。
【0028】
このように引き戸枠1の中央に配される中方立て10は、上記のように、引き戸6をスライド可能に保持する引き戸枠1の中間部に立設され、主たる構成部材である中方立て本体11の引き戸6側の側部の中央に上下に走る縦溝11aを形成して、その縦溝11aに隙間遮断部材12を装着してなる。
【0029】
この隙間遮断部材12は、基部を構成し、縦溝11a内に配される本体12aと、この本体12aの引き戸6側の側部に付設されるモヘア等の軟質繊維材12bとより構成されている。この軟質繊維材12bは、引き戸6の設置前(図2参照)、設置後(図1参照)のいずれであっても、縦溝11aの開口よりも引き戸6側に突出している。この軟質繊維材12bの先端は、後述する第3実施形態(図4参照)で詳述するように、横断面山形に形成されていることが望ましいが、それには限定されない。
【0030】
そして、中方立て本体11の縦溝11aには、上部、中部、下部の3箇所に、隙間遮断部材12を弾性支持する弾性支持具として、一端13aを縦溝11a内に固定したコイルバネ13が配され、そのコイルバネ13の他端13bには隙間遮断部材の基部(本体12a)が連結されている。
【0031】
コイルバネ13の一端13aは、縦溝11a内の奥方部に固定すればよい。本実施形態では、縦溝11aの底部11aaに、それよりさらに深く横方向に掘り込まれた支持凹所14が形成されており、コイルバネ13は、その一端13aが支持凹所14の底面部14aに固定されて収容されている。つまり、この支持凹所14は、コイルバネ13を収容することで、コイルバネ13を水平状態に保持しながら伸縮動作をガイド支持するガイド部を構成している。なお、このようなガイド部を設けずに、コイルバネ13を横方向に配するのに十分な深さの縦溝11aを形成して、コイルバネ13の一端13aをその縦溝11aの底部11aaで固定するようにしてもよい。
【0032】
本実施形態および後述する実施形態で使用されるコイルバネ13は、押された力に対して、復帰しようとする弾性力が作用する圧縮コイルバネで構成されており、複数のコイルバネ13によって、それらの先端(他端13b)に連結した隙間遮断部材12を弾性支持している。
【0033】
また、コイルバネ13の伸縮動作がスムーズにできるように、支持凹所14の開口と隙間遮断部材12の基部との間にはバネ移動代空間17が形成されている。
【0034】
そして、このコイルバネ13を装着した中方立て10は、引き戸6の設置前の状態ではコイルバネ13が復帰しているため、隙間遮断部材12が最長突出位置まで突出しており(図2参照)、一方、引き戸6を設置した後の状態では、隙間遮断部材12はコイルバネ13の弾性力を受けて引き戸6の戸板面に当接するまで突出している(図1参照)。
【0035】
すなわち、引き戸6を引き戸枠1内に設置すれば、コイルバネ13の弾性力によって隙間遮断部材12は付勢されて、中方立て10の軟質繊維材12bは引き戸6の戸板面に常時弾接される。したがって、このような常時弾接効果によって、中方立て10と引き戸6との隙間を常時、確実に塞ぐことができ、また軟質繊維材12bが常時弾接しているため、引き戸の走行時のがたつきも防止できる。
【0036】
また、隙間遮断部材12は、コイルバネ13の弾性力によって突出して隙間を埋め合わせするので、従来のような調整具等の手操作による隙間遮断部材12の突出具合の調整は不要となる。よって、現場作業の手間を大幅に削減できる。さらに、中方立て10に従来使用していた調整具を組み込む必要がないので、中方立ての製造コストも削減できる。
【0037】
さらに、本実施形態の中方立て10は、縦溝11aの奥方部にコイルバネ13を収容する支持凹所14を備えているから、それらの支持凹所14によってコイルバネ13の水平伸縮動作を安定支持させることができる。
【0038】
ついで、第2実施形態について説明する。図3は同実施形態の中方立ての概略縦断面図である。なお、同実施形態では、引き戸を設置する前の中方立ての概略縦断面図については図示を省略している。
【0039】
この中方立て10は、引き戸6をスライド可能に保持する引き戸枠1の中間部に立設され、引き戸6側の側部の中央に上下に走る縦溝11aを形成して、そこに隙間遮断部材12を装着してなる。なお、引き戸枠1全体の構成については、説明を省略する(図6〜図8参照)。
【0040】
この隙間遮断部材12は、基部を構成し、縦溝11a内に配される本体12aと、この本体12aの引き戸6側の側部に付設されるモヘア等の軟質繊維材12bとより構成されており、軟質繊維材12bは縦溝11aの開口よりも引き戸6側に突出している。この軟質繊維材12bの先端は、第1実施形態と同様に、横断面山形に形成されていることが望ましい。
【0041】
また、縦溝11aには、上部、中部、下部の3箇所に、隙間遮断部材を弾性支持する弾性支持具として、一端13aを縦溝11a内に固定したコイルバネ13が配され、そのコイルバネ13の他端13bには隙間遮断部材12の基部(本体12a)が連結されている。
【0042】
より具体的には、コイルバネ13の一端13aが縦溝11aの底部11aaに固定されているとともに、同様に縦溝11aの底部11aaに固定され、縦溝11aの開口方向に突出した支持棒15がガイド部として形成されており、その支持棒15がコイルバネ13に内挿されて、コイルバネ13の水平状態を保持しながら伸縮動作をガイド支持している。
【0043】
この支持棒15は、縦溝11aの底部11aaに固定するために、基端側にネジ部(あるいは尖鋭な差込部等)を備えた固定部15aを備えており、そのネジ部を縦溝11aの底部11aaに螺着して固定できるようになっている。また、コイルバネ13は、その一端13aを予め支持棒15の基端に固定しておけば、コイルバネ13の縦溝11aへの固定が簡易に行える。また、コイルバネ13を予め固着させた支持棒15をより簡易に螺着できるように、支持棒15の先端にネジ頭を形成させてもよい。
【0044】
また、支持棒15の先端は自由端となっており、その自由端と隙間遮断部材12の基部との間には、コイルバネ13が伸縮できるようにバネ移動代空間17が形成されている。
【0045】
このように固定されたコイルバネ13は、その先端(他端13b)に連結した隙間遮断部材12を弾性支持する構成となっている。そして、このコイルバネ13を装着した中方立て10は、引き戸6の設置前の状態ではコイルバネ13が復帰しているため、隙間遮断部材12が最長突出位置まで突出しており、一方、引き戸6を設置した後の状態では、隙間遮断部材12がコイルバネ13の弾性力を受けて引き戸6側に当接するまで突出している(図3参照)。
【0046】
なお、コイルバネ13による中方立て10の隙間遮断部材12の引き戸6に対する常時弾接効果は、第1実施形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0047】
また、本実施形態の中方立て10は、支持棒15を備えているのでコイルバネ13の水平伸縮動作をガイド支持でき、さらに支持棒15は固定部15aを備えているから縦溝11aへの取付、固定も簡易に行える。
【0048】
つぎに、第3実施形態について説明する。図4および図5は同実施形態の説明図であり、図4(a)は引き戸枠に引き戸を設置する前の状態における中方立ての概略部分縦断面図、図4(b)は同概略横断面図である。また図5(a)、(b)は、第3実施形態に示した中方立ての概略横断面図であり、引き戸枠に引き戸を設置した後の状態における設置条件の異なる2例を示している。なお、図4および図5は、第1、第2実施形態の説明図とは異なり、要部を拡大したものを示している。
【0049】
この中方立て10は、引き戸6をスライド可能に保持する引き戸枠1の中間部に立設され、引き戸6側の側部の中央に上下に走る縦溝11aを形成して、そこに隙間遮断部材12を装着してなる。なお、引き戸枠1全体の構成については、説明を省略する(図6〜図8参照)。
【0050】
この隙間遮断部材12は、基部を構成し、縦溝11a内に配される本体12aと、この本体12aの引き戸6側の側部に付設されるモヘア等の軟質繊維材12bとより構成されており、軟質繊維材12bは縦溝11aの開口よりも引き戸6側に突出している。この軟質繊維材12bの先端は、図4(b)に示すように、横断面山形に形成されている。つまり、軟質繊維材12bは、引き戸6の戸板面に対して傾斜した2つの走行ガイド面12ba、12baが形成されている。
【0051】
また、縦溝11aには、上部、中部、下部の3箇所に、弾性支持具として、一端13aを縦溝11a内に固定したコイルバネ13が配され、そのコイルバネ13の他端13bには隙間遮断部材12の基部(本体12a)が連結されている。
【0052】
本実施形態に示した中方立て10は、コイルバネ13をガイド支持するガイド部として、第1実施形態に採用されている支持凹所14と、第2実施形態に採用されている支持棒15の両方を備えている。
【0053】
すなわち、コイルバネ13は、縦溝11aの底部11aaに掘り込み形成された支持凹所14に、一端13aを支持凹所14の底面部14aに固定して収容されているとともに、支持凹所14の底面部14aに固定した支持棒15に内挿されている。そして、この支持凹所14および支持棒15が、コイルバネ13の水平状態を保持しながら伸縮動作をガイド支持している。
【0054】
この支持棒15は、支持凹所14の底面部14aに固定するために、基端側にネジ部(あるいは尖鋭な差込部等)よりなる固定部15aを備えており、その固定部15aを支持凹所14の底面部14aに差し込んで固定できるようになっている。また、コイルバネ13は、予め支持棒15の基端に固定しておけば、縦溝11aへの固定が簡易に行える。
【0055】
また、図例では支持棒15の全体(全長)が支持凹所14に収容されているが、先端が支持凹所14の開口より突出する構成であってもよい。いずれであっても、隙間遮断部材12の本体12aと、支持凹所14の開口および支持棒15の先端との間にバネ移動代空間17が形成されていればよい。
【0056】
またさらに、隙間遮断部材12の基部には、支持凹所14の内周にスライド自在に嵌入されるバネガイド片16が固着されている。
【0057】
このバネガイド片16は、横断面コ字形状であり、その基部片16aが隙間遮断部材12の基部(本体12a)とコイルバネ13の先端との間に介在され、隙間遮断部材12と一体となって水平動作ができるように、隙間遮断部材12とコイルバネ13とに連結されている。一方、バネガイド片16のスライド片16bは、支持凹所14の内周に沿って水平に摺動できる高さ、幅寸法に形成されている。なお、バネガイド片16は縦断面コ字形状であってもよい。
【0058】
このように、本実施形態の中方立て10は、支持凹所14と支持棒15でコイルバネ13の伸縮動作をガイド支持する構造であるため、コイルバネ13に適切で安定した水平動作をさせることができる。さらに、中方立て10はバネガイド片16を有して、コイルバネ13の先端を支持できる構造となっているため、コイルバネ13の伸張時にコイルバネ13の先端がバネ移動代空間17において垂れ下がることを防止でき、それによって隙間遮断部材12の垂れ下がりを防止できる。
【0059】
なお、バネガイド片16は上記形状に限られず、円筒等の筒形状でもよく、少なくとも支持凹所14の内周に沿って、上下にぐらつくことなくスライドできる形状であればよい。また、上記のバネガイド片16は、コイルバネ13の先端に結合し、隙間遮断部材12の基部に固着される基部片16aを備えているが、基部片16aを有さないスライド片、左右片、あるいは筒体であってもよい。
【0060】
このように支持凹所14、支持棒15およびバネガイド片16で支持されたコイルバネ13は、バネガイド片16の基部片16aを介して先端(他端13b)に連結した隙間遮断部材12を弾性支持しており、このコイルバネ13を装着した中方立て10は、引き戸6の設置前の状態ではコイルバネ13が復帰しているため、隙間遮断部材12が最長突出位置まで突出しており(図4参照)、一方、引き戸6を設置した後の状態では、隙間遮断部材12がコイルバネ13の弾性力を受けて引き戸6側に当接する位置まで突出している(図5参照)。
【0061】
本実施形態では、設置条件によって中方立て10と引き戸6との間隔Dが異なる2例を、図5(a)、図5(b)に示しているが、隙間遮断部材12はコイルバネ13の弾性力によって突出する構成であるため、これら2つの図例に示すように、設置条件によって中方立て10と引き戸6との間隔が異なっていても、軟質繊維材12bは引き戸6の戸板面に対して同等に当接させることができる。
【0062】
また、軟質繊維材12bの先端が横断面山形に形成され、両側に走行ガイド面12baが形成されているので、引き戸6との接触面積を小さくすることができ、それによって軟質繊維材と引き戸の戸板面との摩擦抵抗を小さくでき、引き戸の走行性をよくできる。さらに、先端が横断面山形であるため、引き戸6に接触する2つの12baが形成され、走行の向きが変わるごとに走行ガイド面12baが入れ替わる。つまり、走行の向きごとに一方面ずつしか使用されないため、軟質繊維材12bの劣化を遅らすことができる。
【0063】
なお、コイルバネ13による中方立て10の隙間遮断部材12の引き戸6に対する常時弾接効果は、第1実施形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0064】
また、本実施形態では、支持凹所14、支持棒15およびバネガイド片16を備えた構造であるが、支持棒15を有さず、支持凹所14とバネガイド片だけでコイルバネ13をガイド支持する構成であってもよい。
【0065】
以上の3つの実施形態では、いずれも弾性支持具としてコイルバネ13を採用した中方立て10を示したが、コイルバネ13に代えて、スポンジ、ゴム、ベローズ等の弾性体を使用してもよい。特に、支持凹所14や支持棒15を備えない構造の中方立て10では、スポンジやゴムが好適に使用できる。
【符号の説明】
【0066】
1 引き戸枠
6 引き戸
10 中方立て
11 中方立て本体
11a 縦溝
11aa 底部
12 隙間遮断部材
12a 本体(基部)
12b 軟質繊維材
12ba 走行ガイド面
13 コイルバネ(弾性支持具)
13a 一端
13b 他端(先端)
14 支持凹所
14a 底面部
15 支持棒
15a 固定部
16 バネガイド片
17 バネ移動代空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
引き戸をスライド可能に保持する引き戸枠の中間部に立設され、引き戸側の端部に縦溝を形成して、該縦溝に隙間遮断部材を装着してなる中方立てにおいて、
複数の弾性支持具が、その一端を上記縦溝内の奥方部に固定し、他端を上記隙間遮断部材の基部と連結するように配設され、該弾性支持具によって上記隙間遮断部材を支持して、該隙間遮断部材を上記引き戸に常時弾接させるようにしたことを特徴とする中方立て。
【請求項2】
請求項1において、
上記隙間遮断部材の先端には軟質繊維材が付設されており、該軟質繊維材の先端を横断面山形に形成している中方立て。
【請求項3】
請求項1または2において、
上記弾性支持具はコイルバネで構成されるとともに、該コイルバネの伸縮動作をガイド支持するガイド部をさらに備え、該ガイド部と上記隙間遮断部材の基部との間にバネ移動代空間が形成されている中方立て。
【請求項4】
請求項3において、
上記ガイド部は、上記縦溝の底部に固定され、該縦溝の開口方向に突出した支持棒で構成され、上記コイルバネに内挿されて上記伸縮動作をガイド支持している中方立て。
【請求項5】
請求項3において、
上記ガイド部は、上記縦溝の底部に形成された支持凹所で構成され、上記コイルバネの一端を該支持凹所の底面部で固定して、該コイルバネを該支持凹所に収容させて、上記伸縮動作をガイド支持している中方立て。
【請求項6】
請求項5において、
上記隙間遮断部材の基部には、上記支持凹所の内周にスライド自在に嵌入されるバネガイド片が形成されている中方立て。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−270561(P2010−270561A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125589(P2009−125589)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】