説明

中間熱交換器

【課題】コンデンサの冷媒凝縮効率の低下を防止しうるとともに、省スペース化を図ることができる空調装置に用いられる中間熱交換器を提供する。
【解決手段】中間熱交換器10は、外管15および外管15内に間隔をおいて配置された内管16を備え、かつ外管15と内管16との間の間隙が高温側冷媒通路12となっているとともに、内管13内が低温側冷媒通路13となっている二重管11と、二重管11の高温側冷媒通路12内と通じるように設けられ、かつコンデンサから流出するとともに減圧器により減圧される前の高圧の冷媒を貯留して液相と気相とに分離する縦向きの液溜14とよりなる。二重管11は、縦向き部分20を有する。液溜14を二重管11の縦向き部分に沿うように配置する。冷媒は、縦向き部分20において、二重管11の高温側冷媒通路12から液溜14内に入り、液溜14内から高温側冷媒通路12に戻る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば車両に搭載される空調装置に用いられる中間熱交換器に関する。
【0002】
この明細書および特許請求の範囲において、「液相冷媒」という用語は、完全に液相のみからなる冷媒の他に、微量の気相冷媒が混入した液相の冷媒を意味するものとし、「気相冷媒」という用語は、完全に気相のみからなる冷媒の他に、微量の液相冷媒が混入した気相の冷媒を意味するものとする。また、この明細書および特許請求の範囲において、図2、図4、図5および図7の上下を上下というものとする。
【背景技術】
【0003】
以下、全図面を通じて同一部分および同一物には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0004】
たとえば車両に搭載される車両用空調装置として、図8に示すように、圧縮機(1)と、圧縮機(1)で圧縮された冷媒を冷却するコンデンサ(2)と、コンデンサ(2)で冷却された冷媒を減圧する減圧器としての膨張弁(3)と、減圧された冷媒を蒸発させるエバポレータ(4)と、高温側冷媒通路(6)および低温側冷媒通路(7)を有しており、かつコンデンサ(2)から流出して高温側冷媒通路(6)を流れる高温高圧の冷媒とエバポレータ(4)から流出して低温側冷媒通路(7)を流れる低温低圧の冷媒とを熱交換させる二重管式熱交換器(5)と、コンデンサ(2)から流出するとともに膨張弁(3)により減圧される前の高温高圧の冷媒を貯留し、かつ液相と気相とに分離する液溜(8)とを備えており、液溜(8)がコンデンサ(2)と中間熱交換器(5)との間に設けられ、冷媒が、二重管式熱交換器(5)の高温側冷媒通路(6)に流入する前に液溜(8)内に入るとともに、液溜(8)内から出た後に二重管式熱交換器(5)の高温側冷媒通路(6)に流入するようになされている車両用空調装置が知られている(特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1記載の車両用空調装置においては、圧縮機(1)で圧縮された高温高圧の冷媒(図9状態A参照)は、コンデンサ(2)において冷却され(図9状態B参照)、冷却された冷媒が液溜(8)内に流入して液相と気相とに分離される。液溜(8)から流出した冷媒は二重管式熱交換器(5)の高温側冷媒通路(6)内に流入し、高温側冷媒通路(6)を流れる際に、エバポレータ(4)から流出しかつ低温側冷媒通路(7)を流れる比較的低温の冷媒により過冷却される(図9状態C参照)。二重管式熱交換器(5)において過冷却された高圧の冷媒は膨張弁(3)において断熱膨張させられて減圧される(図9状態D参照)。減圧された冷媒はエバポレータ(4)に入り、エバポレータ(4)内を流れる間に通風間隙を流れる空気を冷却して気相となる(図9状態E参照)。エバポレータ(4)を通過した比較的低温の冷媒は、二重管式熱交換器(5)の低温側冷媒通路(7)を通過する。二重管式熱交換器(5)の低温側冷媒通路(7)を通過する低温側冷媒は、高温側冷媒通路(6)を流れる高温側冷媒により過熱されて温度が上昇させられ(図9状態F参照)、この状態で圧縮機(1)に送られて圧縮される。
【0006】
ところで、特許文献1記載の車両用空調装置において、液溜(8)内に流入するのは図9の状態Bの冷媒であるが、液溜(8)内において、液相と気相との分離を効率良く行うためには、液溜(8)内の液相冷媒が、気相冷媒に変化することなく液相状態に安定して保たれる必要がある。液溜(8)内において、液相冷媒を、気相冷媒に変化させることなく液相状態に安定して保つためには、実際には、液溜(8)内に流入する冷媒を、3〜5℃程度過冷却しておく必要がある。したがって、特許文献1記載の車両用空調装置においては、冷媒を、コンデンサ(2)において3〜5℃程度過冷却しなければならない。しかしながら、コンデンサ(2)において冷媒を過冷却する場合、有効コア部の面積が一定であるとすると、冷媒の凝縮に寄与する部分の面積を小さくしなければならず、コンデンサ(2)の冷媒凝縮効率が低下する。しかも、コンデンサ(2)の冷媒凝縮効率が低下すると、車両用空調装置を循環する冷媒量を減少させる必要があり、冷房能力が低下する。また、コンデンサ(2)において冷媒を過冷却する場合、受ける風速および風速分布や、外気温度により過冷却効率が大きく変動するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−22601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明の目的は、上記問題を解決し、コンデンサの冷媒凝縮効率の低下を防止しうるとともに、省スペース化を図ることができる空調装置に用いられる中間熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0010】
1)圧縮機と、圧縮機で圧縮された冷媒を冷却するコンデンサと、コンデンサで冷却された冷媒を減圧する減圧器と、減圧された冷媒を蒸発させるエバポレータとを備えた空調装置において、コンデンサから流出した高圧の冷媒とエバポレータから流出した低圧の冷媒とを熱交換させるのに用いられる中間熱交換器であって、
外管および外管内に間隔をおいて配置された内管を備え、かつ外管と内管との間の間隙が、コンデンサから流出した高圧の冷媒が流れる高温側冷媒通路となっているとともに、内管内が、エバポレータから流出した低圧の冷媒が流れる低温側冷媒通路となっている二重管と、二重管の高温側冷媒通路内と通じるように設けられ、かつコンデンサから流出するとともに減圧器により減圧される前の高圧の冷媒を貯留して液相と気相とに分離する液溜とよりなり、二重管が縦向き部分を有し、縦向き部分において、二重管の外管に、高温側冷媒通路から冷媒を流出させる流出口および高温側冷媒通路に冷媒を流入させる流入口が設けられ、液溜が二重管の縦向き部分に沿うように配置され、冷媒が、二重管の縦向き部分において高温側冷媒通路から液溜内に入り、液溜内から高温側冷媒通路に戻るようになされている中間熱交換器。
【0011】
2)二重管の高温側冷媒通路内に、高温側冷媒通路を流出口側部分と流入口側部分とに区画する仕切部が設けられている上記1)記載の中間熱交換器。
【0012】
3)液溜が密閉状の縦向き筒状であり、液溜の周壁に、二重管の外管の流出口を液溜内に通じさせる冷媒入口、および二重管の外管の流入口を液溜内に通じさせる冷媒出口が設けられている上記1)または2)記載の中間熱交換器。
【0013】
4)液溜が、縦向き筒状本体と、二重管の縦向き部分に固定されかつ筒状本体の下端部が取り付けられた取付部材とよりなるとともに、密閉状となっており、取付部材に、一端が二重管の外管の流出口に通じるとともに他端が筒状本体内に通じる冷媒流入路、および一端が二重管の外管の流入口に通じるとともに他端が筒状本体内に通じる冷媒流出路が設けられている上記1)または2)記載の中間熱交換器。
【発明の効果】
【0014】
上記1)〜4)の中間熱交換器によれば、外管および外管内に間隔をおいて配置された内管を備え、かつ外管と内管との間の間隙が、コンデンサから流出した高圧の冷媒が流れる高温側冷媒通路となっているとともに、内管内が、エバポレータから流出した低圧の冷媒が流れる低温側冷媒通路となっている二重管と、二重管の高温側冷媒通路内と通じるように設けられ、かつコンデンサから流出するとともに減圧器により減圧される前の高圧の冷媒を貯留して液相と気相とに分離する液溜とよりなり、二重管が縦向き部分を有し、縦向き部分において、二重管の外管に、高温側冷媒通路から冷媒を流出させる流出口および高温側冷媒通路に冷媒を流入させる流入口が設けられ、液溜が二重管の縦向き部分に沿うように配置され、冷媒が、二重管の縦向き部分において高温側冷媒通路から液溜内に入り、液溜内から高温側冷媒通路に戻るようになされているので、二重管の高温側冷媒通路に入った冷媒が液溜内に流入するまでの間に、二重管の低温側冷媒通路を流れる冷媒により冷却されることになる。したがって、冷媒を、液溜内に流入する前に二重管において過冷却することができ、液溜内の液相冷媒を、気相冷媒に変化することなく液相状態に安定して保つことが可能になって、液溜内において、液相と気相との分離を効率良く行うことができる。その結果、当該中間熱交換器を備えた空調装置のコンデンサの有効コア部の全体を冷媒の凝縮に寄与させることが可能になり、コンデンサの冷媒凝縮効率の低下を防止することができる。しかも、コンデンサの冷媒凝縮効率の低下を防止することができるので、空調装置を循環する冷媒量を減少させる必要がなく、冷房能力の低下を防止することができる。また、二重管の低温側冷媒通路を流れる冷媒によって、高温側冷媒通路を流れ、かつ液溜内に流入する冷媒の過冷却が行われるので、冷媒の過冷却が風速や外気温の変動に依存することがなく、安定した過冷却度を得ることができる。
【0015】
また、二重管が縦向き部分を有し、液溜が二重管の縦向き部分に沿うように配置されているので、この中間熱交換器を用いた空調装置の省スペース化を図ることができるとともに、液溜を配置するためにデッドスペースを有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施形態1の中間熱交換器を用いた車両用空調装置の構成を示す図である。
【図2】この発明の実施形態1の中間熱交換器を示す一部を省略した垂直縦断面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】この発明の実施形態2の中間熱交換器を示す一部を省略した垂直縦断面図である。
【図5】この発明の実施形態3の中間熱交換器を示す一部を省略した垂直縦断面図である。
【図6】図5のB−B線断面図である。
【図7】この発明の実施形態4の中間熱交換器を示す一部を省略した垂直縦断面図である。
【図8】従来の車両用空調装置の構成を示す図である。
【図9】車両用空調装置のモリエル線図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。この実施形態は、この発明の中間熱交換器を、車両に搭載される車両用空調装置に用いたものである。
【0018】
以下の説明において、図2、図4、図5および図7の左右を左右というものとする。
【0019】
また、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【0020】
実施形態1
この実施形態は図1〜図3に示すものである。
【0021】
図1は実施形態1の中間熱交換器を用いた車両用空調装置の構成を示し、図2および図3は実施形態1の中間熱交換器を示す。
【0022】
図1に示す車両用空調装置は、コンデンサ(2)から流出した高温高圧の冷媒が流れる高温側冷媒通路(12)およびエバポレータ(4)から流出した低温低圧の冷媒が流れる低温側冷媒通路(13)を有する二重管(11)と、高温側冷媒通路(12)内に通じるように二重管(11)に固定され、かつコンデンサ(2)から流出するとともに膨張弁(3)により減圧される前の高圧の冷媒を貯留して液相と気相とに分離し、液相冷媒を下側部分内に溜める液溜(14)とからなる中間熱交換器(10)を備えている。
【0023】
図2および図3に示すように、中間熱交換器(10)の二重管(11)は、アルミニウム製外管(15)と、外管(15)内に間隔をおいて配置されたアルミニウム製内管(16)とを備えており、外管(15)と内管(16)との間の間隙が高温側冷媒通路(12)となっているとともに、内管(16)内が低温側冷媒通路(13)となっている。二重管(11)の外管(15)に、高温側冷媒通路(12)内の一端部に通じる冷媒入口(17)と、他端部に通じる冷媒出口(18)とが設けられている。冷媒入口(17)には、コンデンサ(2)からのびる配管(P1)が接続され、同じく冷媒出口(18)には膨張弁(3)にのびる配管(P2)が接続されている。なお、図2においては、冷媒入口(17)と冷媒出口(18)とは、同一方向、ここでは上方向を向いているが、両者は異なる方向を向いていてもよい。
【0024】
二重管(11)は、縦向き部分(20)と、縦向き部分(20)の上端に連なって左方にのびた上側横向き部分(21)と、縦向き部分(20)の下端に連なって右方にのびた下側横向き部分(22)とを有している。縦向き部分(20)とは、鉛直状態はもちろんのこと、鉛直から30度まで傾斜した状態を意味するものとする。
【0025】
二重管(11)の外管(15)は、両端が開口した管本体(23)と、一端が開口するとともに他端が閉鎖され、かつ開口端部が管本体(23)の両端部に接合されて管(23)の両端開口を閉鎖する有底筒状の閉鎖部材(24)とからなり、上側横向き部分(21)の先端に接合された閉鎖部材(24)に冷媒入口(17)が形成されるとともに、下側横向き部分(22)の先端に接合された閉鎖部材(24)に冷媒出口(18)が形成されている。二重管(11)の縦向き部分(20)において、外管(15)の管本体(23)には、高温側冷媒通路(12)から冷媒を流出させる流出口(25)および高温側冷媒通路(12)に冷媒を流入させる流入口(26)が、前者が上方に位置するように上下方向に間隔をおいて形成されている。
【0026】
二重管(11)の内管(16)の両端部は外管(15)の両端部よりも外側に突出しており、内管(16)が外管(15)の閉鎖部材(24)の底壁(24a)を貫通している。図示は省略したが、内管(16)における冷媒出口(18)側の端部にはエバポレータ(4)からのびる配管が接続され、同じく内管(16)の冷媒入口(17)側の端部には圧縮機(1)にのびる配管が接続されている。
【0027】
液溜(14)は上下両端が閉鎖された密閉状の縦向き筒状であって、上端が開口するとともに下端が閉鎖されたアルミニウム製有底円筒状本体(27)と、本体(27)の上端部に着脱自在に取り付けられて本体(27)の上端開口を閉鎖する蓋体(28)とよりなり、二重管(11)の縦向き部分(20)に沿うように配置されている。液溜(14)の本体(27)の周壁には上下方向にのびるとともに内方に凹んだ円弧状の凹陥部(29)が設けられており、凹陥部(29)に、冷媒入口(31)および冷媒出口(32)が、前者が上方に位置するように上下方向に間隔をおいて形成されている。そして、二重管(11)の外管(15)における管本体(23)の外周面の一部が、流出口(25)と冷媒入口(31)、および流入口(26)と冷媒出口(32)が通じるように、凹陥部(29)に密着させられ、この状態で管本体(23)と本体(27)とが接合されており、これにより二重管(11)の外管(15)の流出口(25)および流入口(26)と液溜(14)内とが通じさせられている。液溜(14)内には乾燥剤封入容器(33)が入れられている。なお、液溜(61)内には、フィルタが入れられることもある。乾燥剤封入容器(33)やフィルタは必ずしも必要としない。
【0028】
図1に示す車両用空調装置において、圧縮機(1)で圧縮された高温高圧の気液混相の冷媒は、コンデンサ(2)において冷却され、中間熱交換器(10)の二重管(11)の外管(15)の冷媒入口(17)から高温側冷媒通路(12)内に入る。高温側冷媒通路(12)内に入った冷媒は、高温側冷媒通路(12)内を流れる間に、低温側冷媒通路(13)内を流れる低温低圧の冷媒により冷却されて過冷却状態となる。過冷却状態となった冷媒の一部は、外管(15)の流出口(25)および液溜(14)の冷媒入口(31)を通って液溜(14)内に入り、液相と気相とに分離されるとともに、冷媒中の水分が乾燥剤封入容器(33)内の乾燥剤により除去される。液溜(14)内の液相冷媒は、液溜(14)の冷媒出口(32)および外管(15)の流入口(26)を通って二重管(11)の高温側冷媒通路(12)内に戻り、冷媒出口(18)から膨張弁(3)に送られる。一方、過冷却状態となった冷媒のうち液溜(14)内に入らなかったものは、冷媒出口(18)から膨張弁(3)に送られる。
【0029】
液溜(14)内に流入する冷媒は過冷却状態であるから(図9の状態G参照)、液溜(14)内の液相冷媒を、気相冷媒に変化することなく液相状態に安定して保つことが可能になって、液溜(14)内において、液相と気相との分離を効率良く行うことができる。その結果、コンデンサ(2)の有効コア部の全体を冷媒の凝縮に寄与させることが可能になり、コンデンサ(2)の冷媒凝縮効率の低下を防止することができる。しかも、コンデンサ(2)の冷媒凝縮効率の低下を防止することができるので、空調装置を循環する冷媒量を減少させる必要がなく、冷房能力の低下を防止することができる。また、二重管(11)の低温側冷媒通路(13)を流れる冷媒によって、高温側冷媒通路(12)を流れ、かつ液溜(14)内に流入する冷媒の過冷却が行われるので、冷媒の過冷却が風速や外気温の変動に依存することがなく、安定した過冷却度を得ることができる。
【0030】
また、液溜(14)から流出して二重管(11)の高温側冷媒通路(12)内に入った高温高圧の冷媒は、冷媒出口(18)から流出するまでに、低温側冷媒通路(13)内を流れる低温低圧の冷媒によりさらに冷却され、図8に示す従来の空調装置の場合と同様に、図9の状態Cまで過冷却される。
【0031】
実施形態2
この実施形態は図4に示すものである。
【0032】
図4に示す中間熱交換器(40)の場合、二重管(11)の高温側冷媒通路(12)内に、高温側冷媒通路(12)を流出口(25)側部分と流入口(26)側部分と区画する仕切部(41)が設けられている。仕切部(41)は、外管(15)の管本体(23)に形成されたスリット(42)を通して高温側冷媒通路(12)内に挿入された円環状の板からなる。なお、仕切部(41)は、外管(15)の管本体(23)および内管(16)のうちの少なくともいずれか一方を変形させることにより設けられていてもよい。
【0033】
その他の構成は、実施形態1の中間熱交換器(10)と同様である。
【0034】
実施形態2の中間熱交換器(40)を用いた車両用空調装置の動作は、コンデンサ(2)から送られて冷媒入口(17)から二重管(41)の高温側冷媒通路(12)内に入り、かつ高温側冷媒通路(12)内を流れる間に低温側冷媒通路(13)内を流れる低温低圧の冷媒により冷却されて過冷却状態となったすべての冷媒が、液溜(14)内に入ることを除いては、図1に示す車両用空調装置と同様である。
【0035】
実施形態3
この実施形態は図5および図6に示すものである。
【0036】
図5および図6に示す中間熱交換器(45)の場合、液溜(14)の本体(27)の周壁には凹陥部(29)は形成されておらず、周壁は横断面円形となっている。そして、二重管(11)の外管(15)を構成する管本体(23)における流出口(25)の周囲の部分と、液溜(14)の本体(27)における冷媒入口(31)の周囲の部分、および管本体(23)における流入口(26)の周囲の部分と、液溜(14)の本体(27)における冷媒出口(32)の周囲の部分とは、それぞれ連結部材(46)(47)を介して接合されている。上側の連結部材(46)に流出口(25)と冷媒入口(31)を通じさせる冷媒流路(48)が形成され、下側の連結部材(47)に流入口(26)と冷媒出口(32)とを通じさせる冷媒流路(49)が形成されており、これにより二重管(11)の外管(15)の流出口(25)および流入口(26)と液溜(14)内とが通じさせられている。
【0037】
その他の構成は、実施形態1の中間熱交換器(10)と同様である。
【0038】
実施形態3の中間熱交換器(45)を用いた車両用空調装置の動作は、実施形態1の中間熱交換器(10)を用いた車両用空調装置と同じである。
【0039】
実施形態4
この実施形態は図7に示すものである。
【0040】
図7に示す中間熱交換器(50)の場合、液溜(51)は、上端が閉鎖されるとともに下端が開口しかつ二重管(11)の縦向き部分(20)に沿う縦向きのアルミニウム製有蓋円筒状本体(52)と、二重管(11)の縦向き部分(20)において外管(11)の管本体(23)に固定されかつ本体(52)の下端部が取り付けられたアルミニウム製取付部材(53)とよりなり、本体(52)の下端開口が取付部材(53)により閉鎖されることによって液溜(51)が密閉状となっている。
【0041】
液溜(51)の取付部材(53)に、上端面から下方にのびる凹所(56)が設けられている。また、液溜(51)の取付部材(53)に、一端が二重管(11)の外管(15)の流出口(25)に通じるとともに他端が凹所(56)内に通じる冷媒流入路(54)、および一端が二重管(11)の外管(15)の流入口(26)に通じるとともに他端が凹所(56)内に通じる冷媒流出路(55)が設けられており、これにより、二重管(11)の外管(15)の流出口(25)および流入口(26)と液溜(51)の筒状本体(52)内とが通じさせられている。
【0042】
その他の構成は、実施形態1の中間熱交換器(10)と同様である。
【0043】
実施形態4の中間熱交換器(50)を用いた車両用空調装置の動作は、実施形態1の中間熱交換器(10)を用いた車両用空調装置と同じである。
【産業上の利用可能性】
【0044】
この発明による中間熱交換器は、車両に搭載される空調装置に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0045】
(1):圧縮機
(2):コンデンサ
(3):膨張弁(減圧器)
(4):エバポレータ
(10)(40)(45)(50):中間熱交換器
(11):二重管
(12):高温側冷媒通路
(13):低温側冷媒通路
(14)(51):液溜
(15):外管
(16):内管
(20):縦向き部分
(25):流出口
(26):流入口
(31):冷媒入口
(32):冷媒出口
(41):仕切部
(52):本体
(53):取付部材
(54):冷媒流入路
(55):冷媒流出路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、圧縮機で圧縮された冷媒を冷却するコンデンサと、コンデンサで冷却された冷媒を減圧する減圧器と、減圧された冷媒を蒸発させるエバポレータとを備えた空調装置において、コンデンサから流出した高圧の冷媒とエバポレータから流出した低圧の冷媒とを熱交換させるのに用いられる中間熱交換器であって、
外管および外管内に間隔をおいて配置された内管を備え、かつ外管と内管との間の間隙が、コンデンサから流出した高圧の冷媒が流れる高温側冷媒通路となっているとともに、内管内が、エバポレータから流出した低圧の冷媒が流れる低温側冷媒通路となっている二重管と、二重管の高温側冷媒通路内と通じるように設けられ、かつコンデンサから流出するとともに減圧器により減圧される前の高圧の冷媒を貯留して液相と気相とに分離する液溜とよりなり、二重管が縦向き部分を有し、縦向き部分において、二重管の外管に、高温側冷媒通路から冷媒を流出させる流出口および高温側冷媒通路に冷媒を流入させる流入口が設けられ、液溜が二重管の縦向き部分に沿うように配置され、冷媒が、二重管の縦向き部分において高温側冷媒通路から液溜内に入り、液溜内から高温側冷媒通路に戻るようになされている中間熱交換器。
【請求項2】
二重管の高温側冷媒通路内に、高温側冷媒通路を流出口側部分と流入口側部分とに区画する仕切部が設けられている請求項1記載の中間熱交換器。
【請求項3】
液溜が密閉状の縦向き筒状であり、液溜の周壁に、二重管の外管の流出口を液溜内に通じさせる冷媒入口、および二重管の外管の流入口を液溜内に通じさせる冷媒出口が設けられている請求項1または2記載の中間熱交換器。
【請求項4】
液溜が、縦向き筒状本体と、二重管の縦向き部分に固定されかつ筒状本体の下端部が取り付けられた取付部材とよりなるとともに、密閉状となっており、取付部材に、一端が二重管の外管の流出口に通じるとともに他端が筒状本体内に通じる冷媒流入路、および一端が二重管の外管の流入口に通じるとともに他端が筒状本体内に通じる冷媒流出路が設けられている請求項1または2記載の中間熱交換器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−225612(P2012−225612A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95010(P2011−95010)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】