説明

丸太材およびその他の多孔質材料の体積改質法

【課題】ポリマーにより体積改質された丸太材およびその他の多孔質材料の製造方法を提供する。
【解決手段】丸太材その他の多孔質材料の毛細管内のビニルモノマーの重合を熱パルスにより開始し、重合および続く熱追加重合、開始追加重合あるいは放射追加重合プロセスの熱により丸太材その他の多孔質材料の長手方向および径方向のプロセス伝播自発フロントモードで前記ビニルモノマーのポリマーへの変換の主要部分(95〜97質量%)を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーにより体積改質された丸太材およびその他の多孔質材料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、木材は最も古い構造材であり、コンクリート、金属およびポリマーと並んで木材は国民経済において広く用いられている。木材の年間世界需要は20億mに達し、増加の一途を辿っている。これは先進国における木材および木質材料から作られる消費財、例えば家具等の需要が多いことによる。また、建設用の高級木材製品に対する需要も大幅に伸びている。木材の広範な応用はその多くの材質特性により決められる。しかしながら、木材は幾つかの欠点も持っている、すなわち低い耐水性、可燃性、比較的低い変形強度特性、生物腐食性、非常に顕著な異方性などである。この場合、木材の性質は樹木の種類に大きく依存する。最も高い基本特性を併せ持つものは、いわゆる高級樹種と呼ばれるマホガニー、黒檀、インド黒檀、胡桃の木、シーダー、ブナ、樫、ポリサンダー、カレリア白樺、楓、ダモである。それらは家具、弦楽器・鍵楽器、ラジオ・テレビ・時計キャビネット、寄木床板その他多くの製品製造用に用いられている。しかしながら、このような樹木資源は少なく、急速に減少している。近年、低価値の木材(白樺、ヨーロッパヤマナラシ、ハンノキ、ポプラ、杉その他)の利用、さらに従来使用されている樹種の特性改良が特別注目されるようになった。低価値樹種の利用は、年々その増加および再利用が顕著となっており、特に関心が持たれている。
【0003】
例えば、これらの課題を解決するためには天然木材の用途に沿った改質技術が第1義的な意味をもつ。第1近似では、木材は細胞材料(リグニン、セルロース)と細胞構造間の毛細管空洞(自由空間)からなる物質と考えることができる。木材における毛細管の体積は10〜70体積%(0.4〜1.55cm/g)の範囲で変動する。自由空洞は亀裂の芽となり、しばしば木材破損の原因となる。木材の強度はその構造の多孔性と異方性を排除することにより大幅に増加する。それは物理的・化学的方法で改質することにより達成される。物理的方法、例えば圧縮による木材改質では材質の自由体積の変化が生じる。この定義に基づけば、木材の自由体積にポリマー、ミネラルあるいは金属充填剤を充填する方法による丸太の改質方法は物理的方法に分類できる。活性度の高い化学物質による処理結果として行う化学的方法による木材改質は通常木材の細胞物質の組成および性質の変化をもたらす。多くの場合、木材改質の物理的および化学的改質は多少の程度の違いはあるが同時に進行し、お互いに補完しあう。木材の自由体積にポリマー充填剤を充填する方法は丸太材改質の最も普及した方法である。
【0004】
しかしながら、木材内の毛細管の平均径は、広葉樹繊維厚20〜50μmの場合1〜5μmの範囲で変化する。融解ポリマーは高分子量および高粘度を持っており、上記丸太の毛細管に製品化されているポリマーを含ませる(含浸する、充填する)ことは不可能である。
【0005】
そこで、木材あるいは多孔質材料の乾燥、そのモノマー含浸および続いて行われる丸太材毛細管その他の多孔質材料空隙内におけるモノマーのポリマーへの変換を含めたポリマーにより改質された丸太材その他の分散材料の製造方法が提案されている(特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開2005−199638号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の技術は、木材毛細管その他の分散材料空隙内の重合が原材料の縦(長手)方向および径(幅)方向に沿って等温で進行しないという欠点があった。木材毛細管その他の分散材料空隙内のビニルモノマーの重合はプロセス技術に関するものであり、停止速度の低下および成長ラジカル濃度の増加を促進する毛細管内の溶液粘度の増加により、さらに重合プロセスの発熱性(ビニルモノマー重合の熱効果は上述されている)および材料の低い熱伝導度等により、反応ゾーンにおける温度の昂進上昇(最高170〜200℃)がもたらされ、木材毛細管内の重合速度はモノマーの70〜90%変換が達成されるまで単調に増加する。モノマー変換度の更なる上昇(80〜90%以上)により反応は拡散コントロールモードとなり、それが重合速度を低下させる。これら全体が重合の設定等温モードを破綻させ、生成ポリマー分子量の低下をもたらし、材料内に内部応力を発生させ、木材とポリマーの破壊をもたらすという問題点があった。
【0008】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたもので、フロントモードで丸太材の毛細管およびその他の多孔質材料の空隙中における重合プロセスを実現することにより上記欠点を取除き、体積改質の生産性を高め、エネルギー消費量を減らし、恒温条件でそれを可能にし、丸太材あるいはその他の多孔質材料の長手方向および径方向のポリマーの均一性を高める技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため本発明の体積改質法は、丸太材その他の多孔質材料を乾燥および脱気する手段と、ビニルモノマー、重合開始剤、染料、難燃剤、防腐剤その他改質物質を含む溶液による前記丸太材その他の多孔質材料への含浸手段と、該含浸されたビニルモノマーの熱重合、開始重合あるいは放射重合手段及び真空によるビニルモノマーの除去手段とからなる体積改質法であって、前記丸太材その他の多孔質材料の毛細管内のビニルモノマーの重合を熱パルスにより開始し、重合および続く熱追加重合、開始追加重合あるいは放射追加重合プロセスの熱により丸太材その他の多孔質材料の長手方向および径方向のプロセス伝播自発フロントモードで前記ビニルモノマーのポリマーへの変換の主要部分(95〜97質量%)を実現することを第一の特徴とする。
【0010】
また、前記他の多孔質材料として乾燥・脱気コンクリート、セオライト、膨張グラファイト、カートン(ボール紙)、その他の圧縮分散材料のうち少なくとも1種類を用いることを第二の特徴とする。
【0011】
含浸された丸太材その他の多孔質材料中のビニルモノマー含有量が乾燥・脱気された多孔質丸太材その他の多孔質材料換算で40〜100重量%となることを第三の特徴とする。
【0012】
前記熱パルスは、大容量電熱器、高周波電流あるいはレーザーによる丸太材の端面あるいはその他の多孔質材料の表面への強力な短時間パルスであることを第四の特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る体積改質法によれば、フロントモードで丸太材の毛細管およびその他の多孔質材料の空隙中における重合プロセスを実現することができるため、体積改質の生産性を高め、エネルギー消費量を減らし、恒温条件でそれを可能にし、丸太材あるいはその他の多孔質材料の長手方向および径方向のポリマーの均一性を高めることができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の丸太材およびその他の多孔質材料の体積改質方法は、丸太材その他の多孔質材料の乾燥および脱気、丸太材その他の多孔質材料のビニルモノマー、重合開始剤その他の改質物質による含浸、ビニルモノマーの熱重合、開始重合あるいは放射重合の諸段階を含む。開始剤は木材含浸前にミキサーでモノマーに溶解させる。そして、含浸は開始剤の分解温度より低い温度で行う。上記ビニルモノマーの重合プロセスは発熱プロセスである。その重合熱は56.6〜94.8KJ/モルの範囲で変化する、すなわちメタクリル酸メチルの場合56.6KJ/モル、スチレンの場合70kJ/モル、アクリロニトリルの場合72.5KJ/モル、酢酸ビニルの場合89KJ/モル、塩化ビニルの場合94.8KJ/モル、塩化ビニリデンの場合60.3KJ/モルである。
【0015】
丸太材の毛細管その他の多孔質材料の空隙中のビニルモノマーのフロント重合は次のような発熱重合プロセスモードである、すなわち、このモードでは発熱が層内に局在化され、熱伝導により層から層へ移動する、層自身(熱波とフロント)は丸太材あるいはその他の多孔質材料のモノマーにより含浸されていて加熱されていない長手方向に沿って加熱された部分から加熱されていない部分へ移動して行く。フロント重合の最も単純で最も重要な場合のモードにおいては、フロントの全点が時間に対して一定の同一速度で移動する。重合の熱波は重合フロントより複雑である。熱波は一定の広がりを持ち、加熱層ゾーン(このゾーン内においては重合反応は未だ行われておらず、熱伝導が行われ、モノマーあるいは充填物の加熱が行われているだけである)、重合反応ゾーン(このゾーン内においては必要な発熱をもたらすビニルモノマーの重合反応が進行している)、ビニルモノマー追加重合ゾーン(そこでは重合が継続している、しかしその重合はもはや重合フロントの伝播速度へ影響するものではない)および生成されたハイブリッド材質の構造を決定する緩慢で二次的な物理的・化学的変化(その最たるものはポリマーの結晶化である)のゾーン(段階)を含んでいる。重合フロント、これはポリマー加熱ゾーンと重合反応ゾーン(熱波の高温ゾーンの先端)を分離する仮想面である。重合熱波は周囲への熱損失が大きい場合(試料の径が小さい、モノマー含有量が少ない(元の丸太材あるいは多孔質材料の質量の40質量%以下の)場合)試料の長手方向へは伝播しない。重合熱波伝播プロセスは重合フロント伝播速度、その最大温度、モノマーのポリマーへの変換限度によって特徴付けられる。例えば、過酸化t−ブチル(0.015モル/l)により開始された丸太材の毛細管あるいはその他の多孔質材料の空隙におけるメタクリル酸メチル(元の丸太材あるいは多孔質材料の質量の70質量%のメタクリル酸メチル)のフロント重合の場合、試料の長手方向に沿った重合フロントの最大定常温度は175〜195℃の範囲で変化する。木材毛細管および他の多孔質材料の空隙内のモノマー断熱重合の場合、すなわち反応系と周囲との間の熱交換が行われない場合、重合の際に発生した総熱量(QKcal=a/Mo・ΔH、ここでaは試料内のモノマーの質量、Moはモノマーの分子量、ΔHは重合化されるビニルモノマーの重合反応の熱効果cal/モル)とモノマーの完全断熱重合時に到達したであろう重合温度(Tp=To+Q/C、ここでCはモノマーとポリマーの混合物平均熱容量である、完全に乾燥した木材のCは1.55KJ/Kg℃である)を計算することができる。
【0016】
含浸された丸太材その他の多孔質材料内のビニルモノマー含有量は樹種およびその他の多くのファクターに依存する。木材物質(細胞膜材質)密度は樹種に関係なく1530Kg/mである。乾燥した状態の木材の実際の密度は内部に空気で満たされた毛細管と空隙があるので種々の樹種に対して100Kg/m(パンヤ)から1300Kg/m(ユソウボク)までの範囲で変動する。木材のモノマー限界充填度はユソウボクの0.08mモノマー/mからパンヤの0.935mモノマー/mまで変動する。標準状態では丸太材(セラミックその他の多孔質材料)の空隙内の空気の質量は木材の平衡水分吸収に対応する水分質量の10−5%である。木材は(細胞空洞および細胞間空間の)自由水分と(細胞壁内の)結合水分を含んでいる。伐採されたばかりの針葉樹の中心部の水分は35〜70質量%の範囲で変動し、辺材の水分は2〜3倍となる。木材の水分が増加すると、木材の密度が高くなる。最も普遍的な樹種の木材は水分12質量%の場合、密度は400〜700Kg/mとなる。完全に水分を除去すると、線形寸法が縮小する、接線方向に6〜10%、径方向に3〜5%、繊維に沿って0.1〜0.3%縮小する。
【0017】
含浸された丸太材内のビニルモノマー含有量の下限は毛細管および孔空隙の自由体積とフロント重合モードでのモノマーの重合を実現するためのモノマーの最小必要量により決まる。含浸された丸太材その他の多孔質材料におけるビニルモノマーの含有量の上限は多孔質材料の毛細管および孔空隙の自由体積によってのみ決まる。幾つかの場合においては、上限は100質量%を大幅に超えることが有り得る。
【0018】
ビニルモノマーを含浸された丸太材内の端面或いは他の多孔質材料の表面から強力な電熱器、電気放電、高周波電流あるいはレーザーを用いて開始熱パルスが伝達される。このパルスの作用結果として、高温を感知する改質対象の狭い端面部分のみが加熱される。全ての場合において熱開始の継続時間は重合時間に比べて大幅に短い。これがポリマーにより体積改質される丸太材その他の多孔質材料の従来法との主要な相違点である。毛細管あるいは空隙内の発熱重合が弱い場合(例えば、その体積が少ない場合、あるいはその一部のみがモノマーで充填されている場合)、炉内の試料の全表面を加熱することにより重合プロセスを開始する。
【0019】
以下、本発明を一実施例を示す図面を参照して説明する。尚、本発明は本実施例に限定されないことは無論である。図1は本発明の体積改質法のプロセス原理を示す説明図である。
【実施例】
【0020】
(フロント重合モードにおけるポリスチレンによる杉の改質)
杉丸太材試料の乾燥、脱気およびスチレンにアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(0.2モル/l)を溶かした溶液による含浸を実行した、プロセス原理を図1に示す。図において、円筒型反応炉1は、木材、多孔質体などを投入しスチレン溶液を含浸させると共に、スチレン樹脂の重合を行なう容器であり、反応炉1の周縁には温度150°〜170°まで加熱可能な電熱装置2が備えられ、反応炉1内を加熱する。また、反応炉1の下方にはスチレン溶液を注入する開口部を有し、含浸用混合物の調整容器3とパイプによって連結されている。
調整容器3の内部には混合物攪拌用の攪拌機4が備えられ、樹脂モノマー、開始材、顔料、などの軽量フィーダー(図示せず)から投入された混合物を攪拌する。そして反応炉1の上方には各種のバルブを介してトラップコンデンサー・セパレータ5が設けられ、真空ポンプ6の吸引によって不用な水蒸気や未重合モノマーを凝集させる。
【0021】
スチレン溶液の含浸が終了した後、反応炉1を乾燥した脱酸素窒素で満たし、木材が吸収しなかったモノマーの残りをトラップコンデンサー・セパレータ5に注ぎ込み、窒素を吹き込みながら上蓋を反応炉1から外し、反応炉1からスチレン溶液を含浸した木材を取り出し、3cmの厚さの発砲ポリウレタンで断熱を行い、長手方向の4cm毎に熱電対用の深さ7cm、径2mmの穴を7個明け、この穴にフロメル-コペル(タイプE)熱電対を入れ、熱電対をマルチ電位レコーダーに接続し、再度反応炉1に投入して電熱装置2を用いてスチレン溶液を含浸させた木材試料の下端面を3分間90℃まで加熱した。
【0022】
本実施例においては木材を改質するために円筒形に切断した杉丸太材を使用した、その寸法は長さ322mm、径140mm、乾燥前の質量2772g、乾燥後の質量2066g、試料から除去された水分含有量は706g(25.5質量%)であった。含浸前の杉丸太材の体積は4954.3cmであった。含浸前の乾燥杉丸太材の密度は0.417g/cmであった。スチレン溶液を含浸させた杉丸太材の質量は4244g、スチレン溶液を含浸させた杉丸太材の密度は0.857g/cmであった。杉丸太材毛細管内のスチレン質量は2178g (杉丸太材の質量に対するスチレンは105.4質量%)であった。20℃のスチレンの密度は0.91g/cmであった。杉丸太材のスチレン充填毛細管の体積は2393.4cm(杉丸太材の幾何学的体積の48.3体積%)であった。
【0023】
上記のように準備した杉丸太材の端面を加熱後直ちに杉丸太材内の毛細管内において重合が開始された。その際、杉丸太材の中心部の温度は次第に上昇し、電熱器で加熱した端面から8cmの高さの温度は152℃に達した。それ以後、±3℃の精度で反応ゾーン(フロント)の温度は不変であった。重合開始剤AIBNの急速な分解により、5分経過後からは、恐らく、AIBNにより開始されたのではなく、自己熱開始によるスチレンの重合が進行した。上記条件での重合フロントの移動速度は0.35m/hrであったことが明らかとなった。重合およびモノマー除去後の"製品"質量は4154gであった(これは改質された木材の質量である)。杉丸太材内のポリスチレン質量は2088gである(杉丸太材内のポリスチレン含有量は50.26質量%である)(それは含浸時に吸収されたスチレン質量の99,87質量%である)。したがって、恒温モードにおけるスチレンのフロント重合過程におけるスチレンのポリマーへの変換率は95.87%であった。10分後の重合フロント通過ゾーン(端面から5.5cm)から重合終了後に取り出したポリスチロールの場合のベンゾール中のポリスチレンの粘度平均分子量は137000g/モル、50分後のゾーン(杉丸太材の他方の端面)から取り出したポリスチロールの場合、それは142000g/モルであった。これもまた杉丸太材の全長に沿った重合フロント通過による重合の等温進行の事実を確認するものである。同様な断熱条件におけるスチレン重合の際、重合ゾーンの温度は常に限界内で変動し、217℃に達した。スチレンのフロント重合法により改質した杉丸太材の変形強度特性は改質されていない杉の対応する特性を大幅に(1.5〜4.0倍)超えるものであった。(表1参照)
【0024】
【表1】

【0025】
以上、本発明による体積改質法によれば、丸太材その他の多孔質材料の耐水性を高め、発火特性・生物腐敗性、磨耗性を低下させ、元の丸太材の方向による特性の違い(異方性)を平均化し、変形強度および装飾審美性を向上させ、木材の応用範囲を大幅に広げる可能性をもたらした。ポリマーにより体積改質された木材は全ての基本特性において非改質木材を凌駕している、すなわち、木材製品の耐久性が(2〜4倍)増し、製品の使用に伴う費用が減り、以前価値の低い木材が使用されなかった商品製造用として価値の低い木材が使用される可能性が現れた。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の体積改質法は木材加工、建設、家具その他の工業分野において利用することができる。建設業および鉄道輸送においては他の応用と並んで、基礎、壁、ダムその他の垂直構造物のコンクリート枠製造用、パイル、さらに枕木製造、またレンガおよびコンクリートの耐水性・耐久性を改善するためにも利用できる。農業では家畜飼育システムの耐水床の製造に利用できる。住宅建設では装飾用および従来の寄木床板、壁パネル、窓敷居、手摺、階段等の製造に利用できる。本発明は家具製造、スポーツ用品および楽器製造、歴史および考古学上の木質資料の保存等の分野においても利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の体積改質法のプロセス原理を示す説明図である。
【符号の説明】
【0028】
1 反応炉
2 電熱装置
3 調整容器
4 攪拌機
5 トラップコンデンサー・セパレータ
6 真空ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
丸太材その他の多孔質材料を乾燥および脱気する手段と、ビニルモノマー、重合開始剤、染料、難燃剤、防腐剤その他改質物質を含む溶液による前記丸太材その他の多孔質材料への含浸手段と、該含浸されたビニルモノマーの熱重合、開始重合あるいは放射重合手段及び真空によるビニルモノマーの除去手段とからなる体積改質法であって、前記丸太材その他の多孔質材料の毛細管内のビニルモノマーの重合を熱パルスにより開始し、重合および続く熱追加重合、開始追加重合あるいは放射追加重合プロセスの熱により丸太材その他の多孔質材料の長手方向および径方向のプロセス伝播自発フロントモードで前記ビニルモノマーのポリマーへの変換の主要部分(95〜97質量%)を実現することを特徴とする体積改質法。
【請求項2】
前記その他の多孔質材料として乾燥・脱気コンクリート、セオライト、膨張グラファイト、カートン(ボール紙)、その他の圧縮分散材料のうち少なくとも1種類を用いることを特徴とする請求項1記載の体積改質法。
【請求項3】
含浸された丸太材その他の多孔質材料中のビニルモノマー含有量が乾燥・脱気された多孔質丸太材その他の多孔質材料換算で40〜100重量%となることを特徴とする請求項1記載の体積改質法。
【請求項4】
前記熱パルスは、大容量電熱器、高周波電流あるいはレーザーによる丸太材の端面あるいはその他の多孔質材料の表面への強力な短時間パルスであることを特徴とする請求項1記載の体積改質法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−273000(P2008−273000A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−117994(P2007−117994)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(507142410)アビオス株式会社 (2)
【出願人】(507142443)有限会社中村ツキ板 (1)
【Fターム(参考)】