主機の余剰エネルギー回収システム
【課題】複数台の過給機を搭載する主機において、過給機の一部に余剰エネルギー回収システムを搭載した場合でも、常に主機の運転状態に最適な給気圧力と給気バランスを維持でき、主機の性能に悪影響を及ぼさない主機の余剰エネルギー回収システムを提供する。
【解決手段】主機1に設置される複数台の過給機5a〜5cのうち、一部の過給機5aに発電機7を連結し、残りの過給機5b、5cにタービン可変ノズル22b、22cを設け、主機1の回転速度、燃料消費量から主機に最適な給気圧力となるような各々の過給機の回転速度を演算する給気コントローラ24a〜24cを有し、各給気コントローラで演算した回転速度と各々の過給機に設置した回転速度検出器23a〜23cで検出した回転速度が一致するように、過給機5aの給気コントローラ24aは、出力電力の増減信号を周波数変換装置8に出力し、過給機5b、5cの給気コントローラ24b、24cは、ノズル開度を調整する信号を出力し、複数台の過給機5a〜5cの回転速度を調整する。
【解決手段】主機1に設置される複数台の過給機5a〜5cのうち、一部の過給機5aに発電機7を連結し、残りの過給機5b、5cにタービン可変ノズル22b、22cを設け、主機1の回転速度、燃料消費量から主機に最適な給気圧力となるような各々の過給機の回転速度を演算する給気コントローラ24a〜24cを有し、各給気コントローラで演算した回転速度と各々の過給機に設置した回転速度検出器23a〜23cで検出した回転速度が一致するように、過給機5aの給気コントローラ24aは、出力電力の増減信号を周波数変換装置8に出力し、過給機5b、5cの給気コントローラ24b、24cは、ノズル開度を調整する信号を出力し、複数台の過給機5a〜5cの回転速度を調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は船舶等に搭載される主機の排気ガスの余剰エネルギーを回収するシステムに係り、特に1台の主機に搭載された複数台の過給機のうち、一部の過給機に余剰エネルギー回収システムを構築した場合の主機の余剰エネルギー回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の主機の余剰エネルギー回収システムとしては、図13および図14に示す技術が知られている。
【0003】
このうち、図13に示す技術は、主機1の排気ガスが有する余剰エネルギーを電力に変換して船内電源に回収する余剰エネルギー回収システムである。この余剰エネルギー回収システムは、ディーゼルエンジン等の主機1の推進軸2に軸発電装置3を介してプロペラ4を連結し、主機1に搭載された過給機5の出力軸6で駆動される発電機7の発電電力を第1の周波数変換装置8で船内電源周波数に変換して船内電源母線9に供給し、一方、前記軸発電装置3の発電電力を第2の周波数変換装置10で船内電源周波数に変換して前記船内電源母線9で回収するように構成されている。なお、11は軸発電装置3の出力電圧と周波数を調整する同期調相機であり、12は図示しない船内負荷や補助発電機等を船内電源母線9に接続するための遮断器である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、図14に示す技術は、主機1の排気ガスが有する余剰排気エネルギーを油圧ポンプで油圧に変換して油圧モータで回収し、当該油圧モータにより推進軸2の回転を加勢する余剰エネルギー回収システムである。この余剰エネルギー回収システムは、主機1に搭載された過給機5の出力軸6に変速機17を介して油圧ポンプ18を連結し、一方、主機1のクランク軸14に変速機15を介して可変容量型油圧ポンプ16を連結し、可変容量型油圧ポンプ16と油圧ポンプ18とを油圧回路13によって接続している。
【0005】
そして、過給機5のタービン51は主機1の排気レシーバー20からの排気ガスの圧力により回転駆動されて内部回転軸52上の圧縮機53を回転駆動して空気を圧縮し、圧縮によって温度上昇した空気をインタークーラー19によって冷却したのち、主機1の給気管21に供給するように構成されている。
【0006】
この図14に示す余剰エネルギー回収システムでは、主機1の定格負荷時には油圧ポンプ18により発生した油圧で可変容量型油圧ポンプ16を駆動することにより、排気ガスが有する余剰排気エネルギーを回収し、主機1の低負荷時には可変容量型油圧ポンプ16により発生した油圧で油圧ポンプ18を駆動することにより、過給機5が主機1の負荷に見合った給気加圧を行なうようにしている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−326391公報
【特許文献2】特開2006−242051公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1および2に記載の余剰エネルギー回収システムでは、主機1台につき過給機を1台搭載する場合を想定しているが、大型船舶に設置される出力の大きい主機の場合、過給機を複数台搭載するのが一般的である。
【0009】
このように複数台の過給機で1台の主機の給気加圧を行う場合には、個々の過給機の個体差や、経年劣化等による個々の過給機に性能差が出てくると、給気圧力にばらつきが発生し、主機の気筒毎の燃焼がアンバランスとなって寿命が短くなるなど、主機性能に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0010】
また、船舶の構成機器を計画する段階で、種々の制約から複数台の過給機の一部に特許文献1あるいは2に記載の余剰エネルギー回収システムを搭載し、残りの過給機に余剰エネルギー回収システムを搭載しない場合には、当該余剰エネルギー回収システムを搭載した過給機の給気圧力のみが余剰エネルギー回収システムを搭載しない過給機の給気圧力よりも低くなり、給気圧力のバランスが大きく崩れる。
【0011】
この余剰エネルギー回収システムを搭載した過給機の給気圧力のみが搭載しない過給機よりも給気圧力が低くなる理由は、各過給機のタービンに等量の排気ガスが入力されるようにした場合、余剰エネルギー回収システムを搭載した過給機の圧縮機にはエネルギーを回収した分だけ、他の過給機の圧縮機よりも供給される回転エネルギーが少なくなり、この結果、給気圧力のバランスが大きく崩れるからである。
【0012】
このように、過給機を複数台搭載する主機において、余剰エネルギー回収システムを搭載するものと、しないものとが並存する場合、各過給機間に何らかの対策を講じないと各過給機の給気圧力のバランスが大きく崩れ、主機の性能に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0013】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、複数台の過給機を搭載する主機において、一部の過給機のみに余剰エネルギー回収システムを搭載した場合でも、常に主機の運転状態に最適な給気圧力と給気バランスを維持でき、主機の性能に悪影響を及ぼさない主機の余剰エネルギー回収システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために請求項1記載の発明は、主機と、当該主機に設置され、主機の排気ガスで駆動されるタービンおよびこのタービンと同軸上の圧縮機で空気を圧縮して主機に給気する過給機と、当該過給機によって駆動される発電機と、当該発電機の発電電力を周波数変換して船内電源系統に供給する周波数変換装置とを備えて主機排気ガスの余剰エネルギーを回収する主機の余剰エネルギー回収システムにおいて、前記主機に前記過給機を複数台設置し、かつ、主機の回転速度を検出する主機回転速度検出器および主機の燃料消費量を検出する燃料消費量検出器を設置し、前記複数台の過給機を前記発電機に連結される第1グループと、前記発電機に連結されずタービン可変ノズルを備えた第2グループとに分け、前記第1グループに属する1台または複数台の各過給機に対応して第1給気コントローラを設け、前記第2グループに属する1台または複数台の各過給機に対応して第2給気コントローラを設け、前記第1給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、前記第1グループに属する各過給機からの回転速度信号とを取り込み、主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて第1グループに属する各過給機の給気圧力が主機に最適な給気圧力となるように、各過給機の目標回転数を演算する演算手段と、前記目標回転速度および第1グループに属する各過給機の実回転速度を比較する比較手段と、比較結果に基づいて実回転速度を目標回転速度に一致させるように、前記周波数変換装置に指令を出力して当該第1グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備え、前記第2給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、前記第2グループに属する各過給機の実回転速度信号とを取り込み、主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて第2グループに属する各過給機の給気圧力が主機に最適な給気圧力となるように、各過給機の目標回転数を演算する演算手段と、前記目標回転速度および第2グループに属する各過給機の実回転速度を比較する比較手段と、比較結果に基づいて前記タービン可変ノズルに過給機の実回転速度が目標回転速度に一致するように指令を出力して当該第2グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項2に係る発明は、主機と、当該主機に設置され、主機の排気ガスで駆動されるタービンおよびこのタービンと同軸上の圧縮機で空気を圧縮して主機に給気する過給機と、当該過給機に連結される油圧ポンプと、前記主機のクランク軸に連結された可変容量型油圧ポンプと、前記油圧ポンプで発生した油圧により前記可変容量型油圧ポンプを介して主機に回転力を加勢するようにして主機排気ガスの余剰エネルギーを回収する主機の余剰エネルギー回収システムにおいて、前記主機に前記過給機を複数台設置し、かつ、主機の回転速度を検出する主機回転速度検出器および主機の燃料消費量を検出する燃料消費量検出器を設置し、前記複数台の過給機を前記油圧ポンプに連結される第1グループと、前記油圧ポンプに連結されず前記タービン可変ノズルを備えた第2グループとに分け、前記第1グループに属する1台または複数台の各過給機に対応して第1給気コントローラを設け、前記第2グループに属する1台または複数台の各過給機に対応して第2給気コントローラを設け、前記第1給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、前記第1グループに属する各過給機からの回転速度信号とを取り込み、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて第1グループに属する各過給機の給気圧力が主機に最適な給気圧力となるように、各過給機の目標回転数を演算する演算手段と、前記目標回転速度および第1グループに属する過給機の実回転速度を比較する比較手段と、比較結果に基づいて実回転速度を目標回転速度に一致させるように、前記可変容量型油圧ポンプに油圧回収量の増減信号を出力して当該第1グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備え、前記第2給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、前記第2グループに属する各過給機からの回転速度信号とを取り込み、主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて第2グループに属する各過給機の給気圧力が主機に最適な給気圧力となるように、各過給機の目標回転数を演算する演算手段と、前記目標回転速度および第2グループに属する過給機の実回転速度を比較する比較手段と、比較結果に基づいて前記タービン可変ノズルに過給機の実回転速度が目標回転速度に一致するように指令を出力して当該第2グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】
さらに、請求項3に係る発明は、主機と、当該主機に設置され、主機の排気ガスで駆動されるタービンおよびこのタービンと同軸上の圧縮機で空気を圧縮して主機に給気する過給機と、当該過給機によって駆動される発電機と、当該発電機の発電電力を周波数変換して船内電源系統に供給する周波数変換装置とを備えて主機排気ガスの余剰エネルギーを回収する主機の余剰エネルギー回収システムにおいて、前記主機に前記過給機を複数台設置し、かつ、主機の回転速度を検出する主機回転速度検出器および主機の燃料消費量を検出する燃料消費量検出器を設置し、前記複数台の過給機を前記発電機に連結される第1グループと、前記発電機に連結されずタービン可変ノズルを備えた第2グループとに分け、前記各過給機に主機への給気圧力を検出する検出器を設け、前記第1グループに属する1台または複数台の各過給機に対応して第1給気コントローラを設け、前記第2グループに属する1台または複数台の各過給機に対応して第2給気コントローラを設け、前記第1給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、前記第1グループに属する各過給機からの給気圧力信号とを取り込み、主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて第1グループに属する各過給機の目標給気圧力が主機に最適な給気圧力となるように演算する演算手段と、前記目標給気圧力および第1グループに属する各過給機の実給気圧力を比較する比較手段と、比較結果に基づいて実給気圧力を目標給気圧力に一致させるように、前記周波数変換装置に指令を出力して当該第1グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備え、前記第2給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、前記第2グループに属する各過給機の実給気圧力信号とを取り込み、主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて第2グループに属する各過給機の目標給気圧力が主機に最適な給気圧力となるように演算する演算手段と、前記目標給気圧力と第2グループに属する各過給機の実給気圧力とを比較する比較手段と、比較結果に基づいて前記タービン可変ノズルに過給機の実給気圧力が目標給気圧力に一致するように指令を出力して当該第2グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備えたことを特徴とする。
【0017】
更にまた、請求項4に係る発明は、主機と、当該主機に設置され、主機の排気ガスで駆動されるタービンおよびこのタービンと同軸上の圧縮機で空気を圧縮して主機に給気する過給機と、当該過給機に連結される油圧ポンプと、前記主機のクランク軸に連結された可変容量型油圧ポンプと、前記油圧ポンプで発生した油圧により前記可変容量型油圧ポンプを介して主機に回転力を加勢するようにして主機排気ガスの余剰エネルギーを回収する主機の余剰エネルギー回収システムにおいて、前記主機に前記過給機を複数台設置し、かつ、主機の回転速度を検出する主機回転速度検出器および主機の燃料消費量を検出する燃料消費量検出器を設置し、前記複数台の過給機を前記油圧ポンプに連結される第1グループと、前記油圧ポンプに連結されず前記タービン可変ノズルを備えた第2グループとに分け、前記各過給機に主機への給気圧力を検出する検出器を設け、前記第1グループに属する1台または複数台の過給機に対応して第1給気コントローラを設け、前記第2グループに属する1台または複数台の過給機に対応して第2給気コントローラを設け、前記第1給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、前記第1グループに属する各過給機からの給気圧力信号とを取り込み、主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて主機に最適な給気圧力となるように第1グループに属する各過給機の目標給気圧力を演算する演算手段と、前記目標給気圧力および第1グループに属する過給機の実給気圧力を比較する比較手段と、比較結果に基づいて過給機の実給気圧力が目標給気圧力に一致するように、前記可変容量型油圧ポンプに油圧回収量の増減信号を出力して当該第1グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備え、前記第2給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、第2グループに属する各過給機からの給気圧力信号とを取り込み、主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて主機に最適な給気圧力となるように第2グループに属する各過給機の目標給気圧力を演算する演算手段と、前記目標給気圧力および第2グループに属する過給機の実回転速度を比較する比較手段と、比較結果に基づいて過給機の実給気圧力が目標給気圧力に一致するように、前記タービン可変ノズルにノズル開度指令を出力して当該第2グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、1台あたり複数台の過給機を搭載する主機において、過給機の一部のみに余剰エネルギー回収システムを搭載した場合でも、各々の過給機から供給される給気をバランスさせ、主機の性能に悪影響を及ぼさない主機の余剰エネルギー回収システムを提供することができる。さらに過給機の経年劣化で複数台の過給機に性能差が出てきた場合や、過給機の周囲温度により過給機性能が変化した場合においても、各々の過給機で調整が可能なので、常に給気のバランスを維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態1の構成図。
【図2】実施形態1における余剰エネルギー回収システムを搭載した過給機の動作を説明するフローチャート。
【図3】実施形態1における余剰エネルギー回収システムを搭載しない過給機の動作を説明するフローチャート。
【図4】本発明の実施形態2の構成図。
【図5】実施形態2における余剰エネルギー回収システムを搭載した過給機の動作を説明するフローチャート。
【図6】実施形態2における余剰エネルギー回収システムを搭載しない過給機の動作を説明するフローチャート。
【図7】本発明の実施形態3の構成図。
【図8】実施形態3における余剰エネルギー回収システムを搭載した過給機の動作を説明するフローチャート。
【図9】実施形態3における余剰エネルギー回収システムを搭載しない過給機の動作を説明するフローチャート。
【図10】本発明の実施形態4の構成図。
【図11】実施形態4における余剰エネルギー回収システムを搭載した過給機の動作を説明するフローチャート。
【図12】実施形態4における余剰エネルギー回収システムを搭載しない過給機の動作を説明するフローチャート。
【図13】従来の余剰エネルギー回収システムを備えた船舶推進システムの一例を示す構成図。
【図14】従来の余剰エネルギー回収システムを備えた船舶推進システムの他の例を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図を通して同一部分には同一符号を付けて重複する説明は省略する。
【0021】
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1の構成図である。
本実施形態1は、従来例の図13に開示された余剰エネルギー回収システムを改良したもので、主機1には複数台(図1の例では3台)の過給機5a、5b、5cが設置され、このうち、任意の過給機5aのみに主機1の排気ガスが有する余剰エネルギーを電力に変換して回収し船内電源として使用する余剰エネルギー回収システムを搭載しており、残りの過給機5b、5cにはこの余剰エネルギー回収システムは搭載していない。なお、この余剰エネルギー回収システムを搭載した過給機5aを、便宜上第1グループに属する過給機と言い、余剰エネルギー回収システムを搭載しない過給機5b、5cを、便宜上第2グループに属する過給機と言う。
【0022】
図1において、各過給機5a、5b、5cとも、主要部品が主機1の排気レシーバー20からの排気ガスで回転駆動されるタービン51と、内部結合軸52を介してタービン51によって回転駆動されて外部から吸い込んだ空気を圧縮したのち、インタークーラー19を経て給気管21に給気する圧縮機53とから構成されている点は同じであるが、余剰エネルギー回収システムを搭載している第1グループに属する過給機5aと、同システムを搭載していない第2グループに属する過給機5bおよび5cとでは、新たに備えた付属部品あるいはこれに関連する部品が異なっている。なお、各過給機5a、5bおよび5cを構成する主要部品や付属部品あるいは関連部品には、各過給機5a、5b、5cの符号中の添字a、b、cと同じ添字を付与し、関連性を明示してある。
【0023】
余剰エネルギー回収システムを搭載している第1グループに属する過給機5aの出力軸6には発電機7が連結され、同発電機7で発電した発電電力は周波数変換装置8で船内電源周波数に変換されて船内電源母線9に回収され、遮断器12を通じて船内電源系統9で使用されるようになっている。そして、過給機5aの内部結合軸52aには新たに回転速度検出器23aが設置されており、この回転速度検出器23aで検出した回転数信号は第1グループに属する過給機5a専用の給気コントローラ24aに入力されるようになっている。ここで、第1グループに属する過給機5a専用の給気コントローラ24aを第1給気コントローラ24aとも言う。
【0024】
一方、余剰エネルギー回収システムを搭載していない第2グループに属する過給機5bおよび5cでは、タービン51bおよび51cにそれぞれタービン入口のノズル開度を可変可能にしたタービン可変ノズル22bおよび22cを設置し、排気レシーバー20から送られる排気ガスはそれぞれタービン可変ノズル22bおよび22cを経てタービン51bおよび51cに取り込まれるようになっている。
【0025】
また、第1グループに属する過給機5a同様に、第2グループに属する過給機5bおよび5cは内部結合軸52にそれぞれ回転速度を検出する回転速度検出器23bおよび23cを設置しており、これら回転速度検出器23bおよび23cで検出した回転数信号がそれぞれ過給機5bおよび5c専用の給気コントローラ24bおよび24cに入力されるようになっている。ここで、第2グループに属する過給機5bおよび5c専用の給気コントローラ24bおよび24cをぞれぞれ第2給気コントローラ24bおよび24cとも言う。
【0026】
なお、これら第1および第2給気コントローラ24aおよび24b、24cは、例えばマイクロプロセッサおよびその周辺機器で構成されており、前記回転速度検出器23a、23bおよび23cで検出した回転数信号の他に、主機1に設置された回転速度検出器25および燃料消費量検出器26で検出された主機回転速度信号および主機燃料消費量信号を読み込むようになっている。
【0027】
次に、図2および図3のフローチャートを参照して第1グループの給気コントローラ24aおよび第2グループの給気コントローラ24b、24cの機能について説明する。
【0028】
まず、図2を参照して第1グループの給気コントローラ24aから説明する。
第1グループの給気コントローラ24aは、ステップ2S1で主機1の回転速度検出器25および燃料消費量検出器26で検出した回転速度信号および燃料消費量信号を読込む。次いで、ステップ2S2でこれらの信号に基づいて主機1の出力に最適な給気圧力となるような過給機5aの目標回転速数r1を演算する。
【0029】
次いで、ステップ2S3において回転速度検出器23aで検出した過給機5aの実回転速度r2を読込む。次いで、ステップ2S4で目標回転速数r1と実回転速度r2とを比較して、発電機7の出力電力の増減を周波数変換装置8に指令する。
【0030】
例えば、ステップ2S4で過給機5aの実回転速度r2が、目標回転速度r1より小さい(r1>r2)場合(Yes)は、発電機7の出力電力を小さくするように周波数変換装置8に指令する(ステップ2S5)。
【0031】
この結果、過給機5aの負荷が軽くなり、過給機5aの実回転速度r2が上昇して目標回転速度r1に近づき、過給機5aは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0032】
逆に、ステップ2S4で過給機5aの実回転速度r2が、目標回転速度r1より大きい(r1<r2)場合(No)は、発電機7の出力電力を増加するように周波数変換装置8に指令する(ステップ2S6)。この結果、過給機5aの負荷が重くなり、過給機5aの実回転速度r2が低下して目標回転速度r1に近づき、過給機5aは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0033】
次に、図3を参照して第2グループの給気コントローラ24b、24cについて説明する。
第2グループの給気コントローラ24bおよび24cは、ステップ3S1で主機1の回転速度検出器25および燃料消費量検出器26で検出した回転速度信号および燃料消費量信号を読込む。次いで、ステップ3S2でこれらの信号に基づいて主機1の出力に最適な給気圧力となるような過給機5b、5cの目標回転速数r1を演算する。
【0034】
次いで、ステップ3S3で回転速度検出器23b、23cで検出した過給機5b、5cの実回転速度r2を読込む。次いで、ステップ3S4で目標回転速数r1と実回転速度r2とを比較して、ノズル開度をタービン可変ノズル22b、22cに指令する。
【0035】
例えば回転速度検出器25で検出した過給機5b、5cの実回転速度r2が、目標回転速度r1より小さい(r1>r2)場合(Yes)は、ノズル開度を小さくするようにタービン可変ノズル22b、22cに指令する。この結果、タービンの駆動力が大きくなり、過給機5b、5cの回転速度が上昇し、目標回転速度r1に近づき、過給機5b、5cは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0036】
逆に、ステップ3S4で過給機5b、5cの実回転速度r2が、目標回転速度r1より大きい(r1<r2)場合(No)は、ノズル開度を大きくするようにタービン可変ノズル22b、22cに指令する。この結果、タービン51b、51cの駆動力が小さくなり、過給機5b、5cの回転速度が低下して目標回転速度r1に近づき、過給機5b、5cは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0037】
なお、本実施形態1では過給機3台に対して余剰エネルギー回収システムを任意の1台に搭載した例を挙げたが、過給機の台数は複数台であればよく、また、その内の余剰エネルギー回収システムを搭載した過給機および余剰エネルギー回収システムを搭載しない過給機の台数は、それぞれ1台以上であればよく、任意に選択可能である。
【0038】
以上述べたように、本実施形態1の主機の余剰エネルギー回収システムによれば、主機1に搭載した複数台の過給機の一部にしか余剰エネルギー回収システムを搭載しない場合でも、複数台全ての過給機から主機に供給される給気をバランスさせることができ、主機の性能に悪影響を及ぼさない主機の余剰エネルギー回収システムとすることができる。
【0039】
さらに、過給機の経年劣化により複数台の過給機間で性能差が出てきた場合や、過給機の周囲温度により過給機性能が変化した場合においても、各々の過給機で調整が可能であるので、常に給気のバランスを維持することができる。
【0040】
[実施形態2]
図4は、本発明の実施形態2の構成図である。
本実施形態2は、従来例の図14に開示されている技術を改良したもので、主機1には複数台(3台)の過給機5a、5b、5cが設置され、このうち、任意の過給機5aのみに主機1の排気ガスが有する余剰エネルギーを油圧に変換して推進軸2の回転に加勢させて回収するようにした余剰エネルギー回収システムを搭載しており、残りの過給機5b、5cには同余剰エネルギー回収システムは搭載していない。なお、実施形態1同様、余剰エネルギー回収システムを搭載した過給機5aを、第1グループに属する過給機と言い、余剰エネルギー回収システムを搭載しない過給機5b、5cを、第2グループに属する過給機と言う。
【0041】
図4において、各過給機5a、5b、5cとも、主要部品が主機1の排気レシーバー20からの排気ガスで回転駆動されるタービン51と、内部結合軸52を介してタービン51によって回転駆動され空気を加圧したのちインタークーラー19を経て給気管21に給気する圧縮機53とから構成されている点は同じであるが、余剰エネルギー回収システムを搭載している第1グループに属する過給機5aと、同システムを搭載していない第2グループに属する過給機5bおよび5cとでは、新たに備えた付属部品あるいはこれに関連する部品が異なっている。なお、各過給機5a、5bおよび5cを構成する主要部品や付属部品あるいは関連部品には、各過給機5a、5b、5cの符号中の添字a、b、cと同じ添字を付与し、関連性を明示してある。
【0042】
余剰エネルギー回収システムを搭載している第1グループに属する過給機5aの出力軸6には変速機17を介して油圧ポンプ18が連結されている。そして、内部結合軸52aには回転速度検出器23aが設置されており、この回転速度検出器23aで検出した回転数信号は過給機5a専用の給気コントローラ24aに入力されるようになっている。
【0043】
前記主機1のクランク軸14には、推進軸2を介してプロペラ4が連結されるとともに、変速機15を介して可変容量型油圧ポンプ16を連結している。この可変容量型油圧ポンプ16と前記油圧ポンプ18間は油圧回路13で接続されている。そして、油圧ポンプ18で昇圧された作動油は、可変容量型油圧ポンプ16を回転駆動させ、変速機15を介してクランク軸14の回転駆動を加勢するようにして排気ガスの余剰エネルギーを回収するようにしている。
【0044】
一方、余剰エネルギー回収システムを搭載していない第2グループに属する過給機5bおよび5cでは、図1と同様にタービン51bおよび51cにタービン入口のノズル開度を可変可能にしたタービン可変ノズル22bおよび22cが設置され、排気レシーバー20からの排気ガスは可変ノズル22bおよび22cを経てタービン51bおよび51cに取り込まれるようになっている。
【0045】
また、第2グループに属する過給機5bおよび5cは、第1グループに属する過給機5a同様に、内部結合軸52にそれぞれ回転速度を検出する回転速度検出器23bおよび23cを設置しており、これら回転速度検出器23bおよび23cで検出した回転数信号がそれぞれ過給機5bおよび5c専用の給気コントローラ24bおよび24cに入力されるようになっている。
【0046】
なお、これら給気コントローラ24a、24bおよび24cは、図1と同様に例えばマイクロプロセッサおよびその周辺機器で構成されており、前記回転速度検出器23a、23bおよび23cで検出した回転数信号の他に、主機1に設置された回転速度検出器25および燃料消費量検出器26で検出された主機回転速度信号および主機燃料消費量信号を読み込むようになっている。
【0047】
次に、図5および図6のフローチャートを参照して第1グループの給気コントローラ24aおよび第2グループの給気コントローラ24b、24cの機能について説明する。
【0048】
まず、図5を参照して第1グループの給気コントローラ24aから説明する。
第1グループの給気コントローラ24aは、ステップ5S1で主機1の回転速度検出器25および燃料消費量検出器26で検出した回転速度信号および燃料消費量信号を読込む。次いで、ステップ5S2でこれらの信号に基づいて主機1の出力に最適な給気圧力となるような過給機5aの目標回転速数r1を演算する。
【0049】
次いで、ステップ5S3において回転速度検出器23aで検出した過給機5aの実回転速度r2を読込む。次いで、ステップ5S4で目標回転速数r1と実回転速度r2とを比較して、可変容量型油圧ポンプ16に油圧回収量の増減を指令する。
【0050】
例えば、ステップ5S4で過給機5aの実回転速度r2が、目標回転速度r1より小さい(r1>r2)場合(Yes)は、油圧回収量を減少するよう可変容量型油圧ポンプ16に指令する(ステップ5S5)。
【0051】
この結果、過給機5aの負荷が軽くなり、過給機5aの実回転速度r2が上昇して目標回転速度r1に近づき、過給機5aは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0052】
逆に、ステップ5S4で過給機5aの実回転速度r2が、目標回転速度r1より大きい(r1<r2)場合(No)は、油圧回収量を増加するよう可変容量型油圧ポンプ16に指令する(ステップ5S6)。この結果、過給機5aの負荷が重くなり、過給機5aの実回転速度r2が低下して目標回転速度r1に近づき、過給機5aは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0053】
次に、図6を参照して第2グループの給気コントローラ24b、24cについて説明する。
第2グループの給気コントローラ24bおよび24cは、ステップ6S1で主機1の回転速度検出器25および燃料消費量検出器26で検出した回転速度信号および燃料消費量信号を読込む。次いで、ステップ6S2でこれらの信号に基づいて主機1の出力に最適な給気圧力となるような過給機5b、5cの目標回転速数r1を演算する。
【0054】
次いで、ステップ6S3で回転速度検出器23b、23cで検出した過給機5b、5cの実回転速度r2を読込む。次いで、ステップ6S4で目標回転速数r1と実回転速度r2とを比較して、ノズル開度をタービン可変ノズル22b、22cに指令する。
【0055】
例えば回転速度検出器25で検出した過給機5b、5cの実回転速度r2が、目標回転速度r1より小さい(r1>r2)場合(Yes)は、ノズル開度を小さくするようにタービン可変ノズル22b、22cに指令する。この結果、タービンの駆動力が大きくなり、過給機5b、5cの回転速度が上昇し、目標回転速度r1に近づき、過給機5b、5cは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0056】
逆に、ステップ6S4で過給機5b、5cの実回転速度r2が、目標回転速度r1より大きい(r1<r2)場合(No)は、ノズル開度を大きくするようにタービン可変ノズル22b、22cに指令する。この結果、タービン51b、51cの駆動力が小さくなり、過給機5b、5cの回転速度が低下して目標回転速度r1に近づき、過給機5b、5cは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0057】
なお、本実施形態2の場合も、過給機の台数や、その内の余剰エネルギー回収システムを搭載した過給機の台数は、任意に選択可能である。
【0058】
以上説明したように、本実施形態2の主機の余剰エネルギー回収システムによれば、実施形態1同様に、主機1に搭載した複数台の過給機の一部にしか余剰エネルギー回収システムを搭載しない場合でも、複数台全ての過給機から供給される給気をバランスさせることができ、主機の性能に悪影響を及ぼさない主機の余剰エネルギー回収システムとすることができる。
【0059】
さらに、過給機の経年劣化により複数台の過給機間で性能差が出てきた場合や、過給機の周囲温度により過給機性能が変化した場合においても、各々の過給機で調整が可能であるので、常に給気のバランスを維持することができる。
【0060】
[実施形態3]
図7は、本発明の実施形態3の構成図である。
本実施形態3は、前述した実施形態1(図1)の変形例である。本実施形態3は、図7で示すように、過給機5a、5b、5cの内部回転軸52a、52b、52cに回転速度検出器を取付ける替わりに、インタークーラー19a、19b、19cの出口側に圧力検出器27a、27b、27cを設置して、過給機5a、5b、5cから主機1に給気される空気圧力を検出するように構成した点が実施形態1と異なるだけであり、その他は図1と同様の構成なので、重複する説明は省略する。
【0061】
以下、図8および図9のフローチャートを参照して給気コントローラ24aおよび24b、24cの機能について説明する。
【0062】
まず、図8を参照して第1グループの給気コントローラ24aから説明する。
第1グループの給気コントローラ24aは、ステップ8S1で主機1の回転速度検出器25および燃料消費量検出器26で検出した主機回転速度信号および主機燃料消費量信号を読込む。次いで、ステップ8S2でこれらの信号に基づいて主機1の出力に最適な給気圧力となるような過給機5aの目標給気圧力p1を演算する。
【0063】
次いで、ステップ8S3において圧カ検出器25aで検出した過給機5aの過給機の給気圧力p2を読込む。次いで、ステップ8S4で目標給気圧力p1と実際の給気圧力p2とを比較して、発電機7の出力電力の増減を周波数変換装置8に指令する。
【0064】
例えば圧カ検出器27aで検出した実際の給気圧力p2が、目標給気圧力p1より低い(p1>p2)場合(Yes)は、出力電力を小さくするよう周波数変換装置8に指令する。その結果、過給機5aの負荷が軽くなり、過給機5aの回転速度が上昇して演算した給気圧力p2に近づき、過給機5aは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0065】
逆に、ステップ8s4で過給機5aの実際の給気圧力p2が、目標給気圧力p1より大きい(p1<p2)場合(No)は、発電機7の出力電力を増加するように周波数変換装置8に指令する(ステップ8S6)。この結果、過給機5aの負荷が重くなり、過給機5aの実給気圧力p2が低下して目標給気圧力p1に近づき、過給機5aは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0066】
次に、図9を参照して第2グループの給気コントローラ24bおよび24cについて説明する。
【0067】
給気コントローラ24bおよび24cは、ステップ9S1で主機1の回転速度検出器25および燃料消費量検出器26で検出した回転速度信号および燃料消費量信号を読込む。次いで、ステップ9S2でこれらの信号に基づいて主機1の出力に最適な給気圧力となるような過給機過給機5b、5cの目標給気圧力p1を演算する。
【0068】
次いで、ステップ9S3で、圧カ検出器27b、27cで検出した過給機過給機5b、5cの実給気圧力p2を読込む。次いで、ステップ9S4で、目標給気圧力p1と実際の給気圧力p2とを比較して、ノズル開度をタービン可変ノズル22b、22cに指令する。
【0069】
例えば圧カ検出器27b、27cで検出した過給機の実給気圧力p2が、目標給気圧力p1より低い場合(Yes)は、ノズル開度を小さくするようタービン可変ノズル22b、22cに指令する。その結果、タービン51の駆動力が大きくなり、過給機5b、5cの回転速度が上昇して目標給気圧力p1に近づき、過給機5b、5cは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0070】
逆に、ステップ9S4で過給機5b、5cの実際の給気圧力p2が、目標給気圧力p1より高い(p1<p2)場合(No)は、発電機7の出力電力を増加するように周波数変換装置8に指令する(ステップ9S6)。この結果、過給機5b、5cの負荷が重くなり、過給機5b、5cの実給気圧力p2が低下して目標給気圧力p1に近づき、過給機5b、5cは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0071】
なお、本実施形態3の場合も、過給機の全ての台数、および余剰エネルギー回収システムを搭載した過給機の台数は任意に選択可能である。
【0072】
以上述べたように、本実施形態3の主機の余剰エネルギー回収システムによれば、実施形態1同様に、主機1に搭載した複数台の過給機の一部にしか余剰エネルギー回収システムを搭載しない場合でも、複数台全ての過給機から主機に供給される給気をバランスさせることができ、主機の性能に悪影響を及ぼさない主機の余剰エネルギー回収システムとすることができる。
【0073】
さらに過給機の経年劣化で複数台の過給機に性能差が出てきた場合や、過給機の周囲温度により過給機性能が変化した場合においても、各々の過給機で調整が可能であるので、常に給気のバランスを維持することができる。
【0074】
[実施形態4]
図10は、本発明の実施形態4の構成図である。
本実施形態4は、前述した実施形態2(図4)の変形例である。本実施形態4は、図10で示すように、過給機5a、5b、5cの内部回転軸52a、52b、52cに回転速度検出器を取付ける替わりに、インタークーラー19a、19b、19cの出口側に圧力検出器27a、27b、27cを設置して、過給機5a、5b、5cから主機1に給気される空気圧力を検出するように構成した点が実施形態2と異なるだけであり、その他は図4と同様の構成なので、重複する説明は省略する。
【0075】
以下、図11および図12のフローチャートを参照して第1グループの給気コントローラ24aおよび第2グループの給気コントローラ24b、24cの機能について説明する。
【0076】
まず、図11を参照して第1グループの給気コントローラ24aから説明する。
第1グループの給気コントローラ24aは、ステップ11S1で主機1の回転速度検出器25および燃料消費量検出器26で検出した主機回転速度信号および主機燃料消費量信号を読込む。次いで、ステップ11S2でこれらの信号に基づいて主機1の出力に最適な給気圧力となるような過給機5aの目標給気圧力p1を演算する。
【0077】
次いで、ステップ11S3において圧カ検出器25aで検出した過給機5aの過給機の給気圧力p2を読込む。次いで、ステップ11S4で目標給気圧力p1と実際の給気圧力p2とを比較して、可変容量型油圧ポンプ16に油圧回収量の増減を指令する。
【0078】
例えば、ステップ11S4において圧カ検出器27aで検出した実際の給気圧力p2が、目標給気圧力p1より低い(p1>p2)場合(Yes)は、油圧回収量を減少するよう可変容量型油圧ポンプ16に指令する(ステップ11S5)。
【0079】
この結果、過給機5aの負荷が軽くなり、過給機5aの回転速度が上昇して演算した給気圧力p2に近づき、過給機5aは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0080】
逆に、ステップ11s4で過給機5aの実際の給気圧力p2が、目標給気圧力p1より大きい(p1<p2)場合(No)は、油圧回収量を増加するように可変容量型油圧ポンプ16に指令する(ステップ11S6)。
【0081】
この結果、過給機5aの負荷が重くなり、過給機5aの実給気圧力p2が低下して目標給気圧力p1に近づき、過給機5aは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0082】
次に、図12を参照して第2グループの給気コントローラ24b、24cについて説明する。
第2グループの給気コントローラ24b、24cは、ステップ12S1で主機1の回転速度検出器25および燃料消費量検出器26で検出した回転速度信号および燃料消費量信号を読込む。次いで、ステップ12S2でこれらの信号に基づいて主機1の出力に最適な給気圧力となるような過給機過給機5b、5cの目標給気圧力p1を演算する。
【0083】
次いで、ステップ12S3で、圧カ検出器27b、27cで検出した過給機過給機5b、5cの実給気圧力p2を読込む。次いで、ステップ12S4で、目標給気圧力p1と実際の給気圧力p2とを比較して、ノズル開度をタービン可変ノズル22b、22cに指令する。
【0084】
例えば圧カ検出器27b、27cで検出した過給機の実給気圧力p2が、目標給気圧力p1より低い場合(Yes)は、ノズル開度を小さくするようタービン可変ノズル22b、22cに指令する。その結果、タービン51の駆動力が大きくなり、過給機5b、5cの回転速度が上昇して目標給気圧力p1に近づき、過給機5b、5cは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0085】
逆に、ステップ12s4で過給機5b、5cの実際の給気圧力p2が、目標給気圧力p1より高い(p1<p2)場合(No)は、ノズル開度を増加するようにタービン可変ノズル22b、22cに指令する(ステップ12S6)。この結果、過給機5b、5cの負荷が重くなり、過給機5b、5cの実給気圧力p2が低下して目標給気圧力p1に近づき、過給機5b、5cは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0086】
なお、本実施形態4の場合も、過給機の全ての台数、および余剰エネルギー回収システムを搭載した過給機の台数は任意に選択可能である。
【0087】
以上述べたように、本実施形態4の主機の余剰エネルギー回収システムによれば、実施形態2同様に、主機1に搭載した複数台の過給機の一部にしか余剰エネルギー回収システムを搭載しない場合でも、複数台全ての過給機から主機に供給される給気をバランスさせることができ、主機の性能に悪影響を及ぼさない主機の余剰エネルギー回収システムとすることができる。
【0088】
さらに過給機の経年劣化で複数台の過給機に性能差が出てきた場合や、過給機の周囲温度により過給機性能が変化した場合においても、各々の過給機で調整が可能であるので、常に給気のバランスを維持することができる。
【符号の説明】
【0089】
1…主機、2…推進軸、3…軸発電装置、4…プロペラ、5,5a,5b,5c…過給機、51,51a,51b,51c…タービン、52,52a,52b,52c…内部回転軸、53,53a,53b,53c…圧縮機、6…過給機出力軸、7…発電機、8…周波数変換装置、9…船内系統母線、10…周波数変換装置、11…同期調相機、12…遮断器、13…油圧回路、14…クランク軸15…変速機16…可変容量型油圧ポンプ17…変速機18…油圧ポンプ19,19a,19b,19c…インタークーラー、20…排気レシーバー、21…給気管、22b,22c…タービン可変ノズル、23a,23b,23c…回転速度検出器、24a,24b,24c…給気コントローラ、25a,25b,25c…回転速度検出器、26a,26b,26c…燃料消費量検出器、27a,27b,27c…圧カ検出器。
【技術分野】
【0001】
本発明は船舶等に搭載される主機の排気ガスの余剰エネルギーを回収するシステムに係り、特に1台の主機に搭載された複数台の過給機のうち、一部の過給機に余剰エネルギー回収システムを構築した場合の主機の余剰エネルギー回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の主機の余剰エネルギー回収システムとしては、図13および図14に示す技術が知られている。
【0003】
このうち、図13に示す技術は、主機1の排気ガスが有する余剰エネルギーを電力に変換して船内電源に回収する余剰エネルギー回収システムである。この余剰エネルギー回収システムは、ディーゼルエンジン等の主機1の推進軸2に軸発電装置3を介してプロペラ4を連結し、主機1に搭載された過給機5の出力軸6で駆動される発電機7の発電電力を第1の周波数変換装置8で船内電源周波数に変換して船内電源母線9に供給し、一方、前記軸発電装置3の発電電力を第2の周波数変換装置10で船内電源周波数に変換して前記船内電源母線9で回収するように構成されている。なお、11は軸発電装置3の出力電圧と周波数を調整する同期調相機であり、12は図示しない船内負荷や補助発電機等を船内電源母線9に接続するための遮断器である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、図14に示す技術は、主機1の排気ガスが有する余剰排気エネルギーを油圧ポンプで油圧に変換して油圧モータで回収し、当該油圧モータにより推進軸2の回転を加勢する余剰エネルギー回収システムである。この余剰エネルギー回収システムは、主機1に搭載された過給機5の出力軸6に変速機17を介して油圧ポンプ18を連結し、一方、主機1のクランク軸14に変速機15を介して可変容量型油圧ポンプ16を連結し、可変容量型油圧ポンプ16と油圧ポンプ18とを油圧回路13によって接続している。
【0005】
そして、過給機5のタービン51は主機1の排気レシーバー20からの排気ガスの圧力により回転駆動されて内部回転軸52上の圧縮機53を回転駆動して空気を圧縮し、圧縮によって温度上昇した空気をインタークーラー19によって冷却したのち、主機1の給気管21に供給するように構成されている。
【0006】
この図14に示す余剰エネルギー回収システムでは、主機1の定格負荷時には油圧ポンプ18により発生した油圧で可変容量型油圧ポンプ16を駆動することにより、排気ガスが有する余剰排気エネルギーを回収し、主機1の低負荷時には可変容量型油圧ポンプ16により発生した油圧で油圧ポンプ18を駆動することにより、過給機5が主機1の負荷に見合った給気加圧を行なうようにしている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−326391公報
【特許文献2】特開2006−242051公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1および2に記載の余剰エネルギー回収システムでは、主機1台につき過給機を1台搭載する場合を想定しているが、大型船舶に設置される出力の大きい主機の場合、過給機を複数台搭載するのが一般的である。
【0009】
このように複数台の過給機で1台の主機の給気加圧を行う場合には、個々の過給機の個体差や、経年劣化等による個々の過給機に性能差が出てくると、給気圧力にばらつきが発生し、主機の気筒毎の燃焼がアンバランスとなって寿命が短くなるなど、主機性能に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0010】
また、船舶の構成機器を計画する段階で、種々の制約から複数台の過給機の一部に特許文献1あるいは2に記載の余剰エネルギー回収システムを搭載し、残りの過給機に余剰エネルギー回収システムを搭載しない場合には、当該余剰エネルギー回収システムを搭載した過給機の給気圧力のみが余剰エネルギー回収システムを搭載しない過給機の給気圧力よりも低くなり、給気圧力のバランスが大きく崩れる。
【0011】
この余剰エネルギー回収システムを搭載した過給機の給気圧力のみが搭載しない過給機よりも給気圧力が低くなる理由は、各過給機のタービンに等量の排気ガスが入力されるようにした場合、余剰エネルギー回収システムを搭載した過給機の圧縮機にはエネルギーを回収した分だけ、他の過給機の圧縮機よりも供給される回転エネルギーが少なくなり、この結果、給気圧力のバランスが大きく崩れるからである。
【0012】
このように、過給機を複数台搭載する主機において、余剰エネルギー回収システムを搭載するものと、しないものとが並存する場合、各過給機間に何らかの対策を講じないと各過給機の給気圧力のバランスが大きく崩れ、主機の性能に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0013】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、複数台の過給機を搭載する主機において、一部の過給機のみに余剰エネルギー回収システムを搭載した場合でも、常に主機の運転状態に最適な給気圧力と給気バランスを維持でき、主機の性能に悪影響を及ぼさない主機の余剰エネルギー回収システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために請求項1記載の発明は、主機と、当該主機に設置され、主機の排気ガスで駆動されるタービンおよびこのタービンと同軸上の圧縮機で空気を圧縮して主機に給気する過給機と、当該過給機によって駆動される発電機と、当該発電機の発電電力を周波数変換して船内電源系統に供給する周波数変換装置とを備えて主機排気ガスの余剰エネルギーを回収する主機の余剰エネルギー回収システムにおいて、前記主機に前記過給機を複数台設置し、かつ、主機の回転速度を検出する主機回転速度検出器および主機の燃料消費量を検出する燃料消費量検出器を設置し、前記複数台の過給機を前記発電機に連結される第1グループと、前記発電機に連結されずタービン可変ノズルを備えた第2グループとに分け、前記第1グループに属する1台または複数台の各過給機に対応して第1給気コントローラを設け、前記第2グループに属する1台または複数台の各過給機に対応して第2給気コントローラを設け、前記第1給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、前記第1グループに属する各過給機からの回転速度信号とを取り込み、主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて第1グループに属する各過給機の給気圧力が主機に最適な給気圧力となるように、各過給機の目標回転数を演算する演算手段と、前記目標回転速度および第1グループに属する各過給機の実回転速度を比較する比較手段と、比較結果に基づいて実回転速度を目標回転速度に一致させるように、前記周波数変換装置に指令を出力して当該第1グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備え、前記第2給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、前記第2グループに属する各過給機の実回転速度信号とを取り込み、主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて第2グループに属する各過給機の給気圧力が主機に最適な給気圧力となるように、各過給機の目標回転数を演算する演算手段と、前記目標回転速度および第2グループに属する各過給機の実回転速度を比較する比較手段と、比較結果に基づいて前記タービン可変ノズルに過給機の実回転速度が目標回転速度に一致するように指令を出力して当該第2グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項2に係る発明は、主機と、当該主機に設置され、主機の排気ガスで駆動されるタービンおよびこのタービンと同軸上の圧縮機で空気を圧縮して主機に給気する過給機と、当該過給機に連結される油圧ポンプと、前記主機のクランク軸に連結された可変容量型油圧ポンプと、前記油圧ポンプで発生した油圧により前記可変容量型油圧ポンプを介して主機に回転力を加勢するようにして主機排気ガスの余剰エネルギーを回収する主機の余剰エネルギー回収システムにおいて、前記主機に前記過給機を複数台設置し、かつ、主機の回転速度を検出する主機回転速度検出器および主機の燃料消費量を検出する燃料消費量検出器を設置し、前記複数台の過給機を前記油圧ポンプに連結される第1グループと、前記油圧ポンプに連結されず前記タービン可変ノズルを備えた第2グループとに分け、前記第1グループに属する1台または複数台の各過給機に対応して第1給気コントローラを設け、前記第2グループに属する1台または複数台の各過給機に対応して第2給気コントローラを設け、前記第1給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、前記第1グループに属する各過給機からの回転速度信号とを取り込み、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて第1グループに属する各過給機の給気圧力が主機に最適な給気圧力となるように、各過給機の目標回転数を演算する演算手段と、前記目標回転速度および第1グループに属する過給機の実回転速度を比較する比較手段と、比較結果に基づいて実回転速度を目標回転速度に一致させるように、前記可変容量型油圧ポンプに油圧回収量の増減信号を出力して当該第1グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備え、前記第2給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、前記第2グループに属する各過給機からの回転速度信号とを取り込み、主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて第2グループに属する各過給機の給気圧力が主機に最適な給気圧力となるように、各過給機の目標回転数を演算する演算手段と、前記目標回転速度および第2グループに属する過給機の実回転速度を比較する比較手段と、比較結果に基づいて前記タービン可変ノズルに過給機の実回転速度が目標回転速度に一致するように指令を出力して当該第2グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】
さらに、請求項3に係る発明は、主機と、当該主機に設置され、主機の排気ガスで駆動されるタービンおよびこのタービンと同軸上の圧縮機で空気を圧縮して主機に給気する過給機と、当該過給機によって駆動される発電機と、当該発電機の発電電力を周波数変換して船内電源系統に供給する周波数変換装置とを備えて主機排気ガスの余剰エネルギーを回収する主機の余剰エネルギー回収システムにおいて、前記主機に前記過給機を複数台設置し、かつ、主機の回転速度を検出する主機回転速度検出器および主機の燃料消費量を検出する燃料消費量検出器を設置し、前記複数台の過給機を前記発電機に連結される第1グループと、前記発電機に連結されずタービン可変ノズルを備えた第2グループとに分け、前記各過給機に主機への給気圧力を検出する検出器を設け、前記第1グループに属する1台または複数台の各過給機に対応して第1給気コントローラを設け、前記第2グループに属する1台または複数台の各過給機に対応して第2給気コントローラを設け、前記第1給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、前記第1グループに属する各過給機からの給気圧力信号とを取り込み、主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて第1グループに属する各過給機の目標給気圧力が主機に最適な給気圧力となるように演算する演算手段と、前記目標給気圧力および第1グループに属する各過給機の実給気圧力を比較する比較手段と、比較結果に基づいて実給気圧力を目標給気圧力に一致させるように、前記周波数変換装置に指令を出力して当該第1グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備え、前記第2給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、前記第2グループに属する各過給機の実給気圧力信号とを取り込み、主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて第2グループに属する各過給機の目標給気圧力が主機に最適な給気圧力となるように演算する演算手段と、前記目標給気圧力と第2グループに属する各過給機の実給気圧力とを比較する比較手段と、比較結果に基づいて前記タービン可変ノズルに過給機の実給気圧力が目標給気圧力に一致するように指令を出力して当該第2グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備えたことを特徴とする。
【0017】
更にまた、請求項4に係る発明は、主機と、当該主機に設置され、主機の排気ガスで駆動されるタービンおよびこのタービンと同軸上の圧縮機で空気を圧縮して主機に給気する過給機と、当該過給機に連結される油圧ポンプと、前記主機のクランク軸に連結された可変容量型油圧ポンプと、前記油圧ポンプで発生した油圧により前記可変容量型油圧ポンプを介して主機に回転力を加勢するようにして主機排気ガスの余剰エネルギーを回収する主機の余剰エネルギー回収システムにおいて、前記主機に前記過給機を複数台設置し、かつ、主機の回転速度を検出する主機回転速度検出器および主機の燃料消費量を検出する燃料消費量検出器を設置し、前記複数台の過給機を前記油圧ポンプに連結される第1グループと、前記油圧ポンプに連結されず前記タービン可変ノズルを備えた第2グループとに分け、前記各過給機に主機への給気圧力を検出する検出器を設け、前記第1グループに属する1台または複数台の過給機に対応して第1給気コントローラを設け、前記第2グループに属する1台または複数台の過給機に対応して第2給気コントローラを設け、前記第1給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、前記第1グループに属する各過給機からの給気圧力信号とを取り込み、主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて主機に最適な給気圧力となるように第1グループに属する各過給機の目標給気圧力を演算する演算手段と、前記目標給気圧力および第1グループに属する過給機の実給気圧力を比較する比較手段と、比較結果に基づいて過給機の実給気圧力が目標給気圧力に一致するように、前記可変容量型油圧ポンプに油圧回収量の増減信号を出力して当該第1グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備え、前記第2給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、第2グループに属する各過給機からの給気圧力信号とを取り込み、主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて主機に最適な給気圧力となるように第2グループに属する各過給機の目標給気圧力を演算する演算手段と、前記目標給気圧力および第2グループに属する過給機の実回転速度を比較する比較手段と、比較結果に基づいて過給機の実給気圧力が目標給気圧力に一致するように、前記タービン可変ノズルにノズル開度指令を出力して当該第2グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、1台あたり複数台の過給機を搭載する主機において、過給機の一部のみに余剰エネルギー回収システムを搭載した場合でも、各々の過給機から供給される給気をバランスさせ、主機の性能に悪影響を及ぼさない主機の余剰エネルギー回収システムを提供することができる。さらに過給機の経年劣化で複数台の過給機に性能差が出てきた場合や、過給機の周囲温度により過給機性能が変化した場合においても、各々の過給機で調整が可能なので、常に給気のバランスを維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態1の構成図。
【図2】実施形態1における余剰エネルギー回収システムを搭載した過給機の動作を説明するフローチャート。
【図3】実施形態1における余剰エネルギー回収システムを搭載しない過給機の動作を説明するフローチャート。
【図4】本発明の実施形態2の構成図。
【図5】実施形態2における余剰エネルギー回収システムを搭載した過給機の動作を説明するフローチャート。
【図6】実施形態2における余剰エネルギー回収システムを搭載しない過給機の動作を説明するフローチャート。
【図7】本発明の実施形態3の構成図。
【図8】実施形態3における余剰エネルギー回収システムを搭載した過給機の動作を説明するフローチャート。
【図9】実施形態3における余剰エネルギー回収システムを搭載しない過給機の動作を説明するフローチャート。
【図10】本発明の実施形態4の構成図。
【図11】実施形態4における余剰エネルギー回収システムを搭載した過給機の動作を説明するフローチャート。
【図12】実施形態4における余剰エネルギー回収システムを搭載しない過給機の動作を説明するフローチャート。
【図13】従来の余剰エネルギー回収システムを備えた船舶推進システムの一例を示す構成図。
【図14】従来の余剰エネルギー回収システムを備えた船舶推進システムの他の例を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図を通して同一部分には同一符号を付けて重複する説明は省略する。
【0021】
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1の構成図である。
本実施形態1は、従来例の図13に開示された余剰エネルギー回収システムを改良したもので、主機1には複数台(図1の例では3台)の過給機5a、5b、5cが設置され、このうち、任意の過給機5aのみに主機1の排気ガスが有する余剰エネルギーを電力に変換して回収し船内電源として使用する余剰エネルギー回収システムを搭載しており、残りの過給機5b、5cにはこの余剰エネルギー回収システムは搭載していない。なお、この余剰エネルギー回収システムを搭載した過給機5aを、便宜上第1グループに属する過給機と言い、余剰エネルギー回収システムを搭載しない過給機5b、5cを、便宜上第2グループに属する過給機と言う。
【0022】
図1において、各過給機5a、5b、5cとも、主要部品が主機1の排気レシーバー20からの排気ガスで回転駆動されるタービン51と、内部結合軸52を介してタービン51によって回転駆動されて外部から吸い込んだ空気を圧縮したのち、インタークーラー19を経て給気管21に給気する圧縮機53とから構成されている点は同じであるが、余剰エネルギー回収システムを搭載している第1グループに属する過給機5aと、同システムを搭載していない第2グループに属する過給機5bおよび5cとでは、新たに備えた付属部品あるいはこれに関連する部品が異なっている。なお、各過給機5a、5bおよび5cを構成する主要部品や付属部品あるいは関連部品には、各過給機5a、5b、5cの符号中の添字a、b、cと同じ添字を付与し、関連性を明示してある。
【0023】
余剰エネルギー回収システムを搭載している第1グループに属する過給機5aの出力軸6には発電機7が連結され、同発電機7で発電した発電電力は周波数変換装置8で船内電源周波数に変換されて船内電源母線9に回収され、遮断器12を通じて船内電源系統9で使用されるようになっている。そして、過給機5aの内部結合軸52aには新たに回転速度検出器23aが設置されており、この回転速度検出器23aで検出した回転数信号は第1グループに属する過給機5a専用の給気コントローラ24aに入力されるようになっている。ここで、第1グループに属する過給機5a専用の給気コントローラ24aを第1給気コントローラ24aとも言う。
【0024】
一方、余剰エネルギー回収システムを搭載していない第2グループに属する過給機5bおよび5cでは、タービン51bおよび51cにそれぞれタービン入口のノズル開度を可変可能にしたタービン可変ノズル22bおよび22cを設置し、排気レシーバー20から送られる排気ガスはそれぞれタービン可変ノズル22bおよび22cを経てタービン51bおよび51cに取り込まれるようになっている。
【0025】
また、第1グループに属する過給機5a同様に、第2グループに属する過給機5bおよび5cは内部結合軸52にそれぞれ回転速度を検出する回転速度検出器23bおよび23cを設置しており、これら回転速度検出器23bおよび23cで検出した回転数信号がそれぞれ過給機5bおよび5c専用の給気コントローラ24bおよび24cに入力されるようになっている。ここで、第2グループに属する過給機5bおよび5c専用の給気コントローラ24bおよび24cをぞれぞれ第2給気コントローラ24bおよび24cとも言う。
【0026】
なお、これら第1および第2給気コントローラ24aおよび24b、24cは、例えばマイクロプロセッサおよびその周辺機器で構成されており、前記回転速度検出器23a、23bおよび23cで検出した回転数信号の他に、主機1に設置された回転速度検出器25および燃料消費量検出器26で検出された主機回転速度信号および主機燃料消費量信号を読み込むようになっている。
【0027】
次に、図2および図3のフローチャートを参照して第1グループの給気コントローラ24aおよび第2グループの給気コントローラ24b、24cの機能について説明する。
【0028】
まず、図2を参照して第1グループの給気コントローラ24aから説明する。
第1グループの給気コントローラ24aは、ステップ2S1で主機1の回転速度検出器25および燃料消費量検出器26で検出した回転速度信号および燃料消費量信号を読込む。次いで、ステップ2S2でこれらの信号に基づいて主機1の出力に最適な給気圧力となるような過給機5aの目標回転速数r1を演算する。
【0029】
次いで、ステップ2S3において回転速度検出器23aで検出した過給機5aの実回転速度r2を読込む。次いで、ステップ2S4で目標回転速数r1と実回転速度r2とを比較して、発電機7の出力電力の増減を周波数変換装置8に指令する。
【0030】
例えば、ステップ2S4で過給機5aの実回転速度r2が、目標回転速度r1より小さい(r1>r2)場合(Yes)は、発電機7の出力電力を小さくするように周波数変換装置8に指令する(ステップ2S5)。
【0031】
この結果、過給機5aの負荷が軽くなり、過給機5aの実回転速度r2が上昇して目標回転速度r1に近づき、過給機5aは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0032】
逆に、ステップ2S4で過給機5aの実回転速度r2が、目標回転速度r1より大きい(r1<r2)場合(No)は、発電機7の出力電力を増加するように周波数変換装置8に指令する(ステップ2S6)。この結果、過給機5aの負荷が重くなり、過給機5aの実回転速度r2が低下して目標回転速度r1に近づき、過給機5aは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0033】
次に、図3を参照して第2グループの給気コントローラ24b、24cについて説明する。
第2グループの給気コントローラ24bおよび24cは、ステップ3S1で主機1の回転速度検出器25および燃料消費量検出器26で検出した回転速度信号および燃料消費量信号を読込む。次いで、ステップ3S2でこれらの信号に基づいて主機1の出力に最適な給気圧力となるような過給機5b、5cの目標回転速数r1を演算する。
【0034】
次いで、ステップ3S3で回転速度検出器23b、23cで検出した過給機5b、5cの実回転速度r2を読込む。次いで、ステップ3S4で目標回転速数r1と実回転速度r2とを比較して、ノズル開度をタービン可変ノズル22b、22cに指令する。
【0035】
例えば回転速度検出器25で検出した過給機5b、5cの実回転速度r2が、目標回転速度r1より小さい(r1>r2)場合(Yes)は、ノズル開度を小さくするようにタービン可変ノズル22b、22cに指令する。この結果、タービンの駆動力が大きくなり、過給機5b、5cの回転速度が上昇し、目標回転速度r1に近づき、過給機5b、5cは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0036】
逆に、ステップ3S4で過給機5b、5cの実回転速度r2が、目標回転速度r1より大きい(r1<r2)場合(No)は、ノズル開度を大きくするようにタービン可変ノズル22b、22cに指令する。この結果、タービン51b、51cの駆動力が小さくなり、過給機5b、5cの回転速度が低下して目標回転速度r1に近づき、過給機5b、5cは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0037】
なお、本実施形態1では過給機3台に対して余剰エネルギー回収システムを任意の1台に搭載した例を挙げたが、過給機の台数は複数台であればよく、また、その内の余剰エネルギー回収システムを搭載した過給機および余剰エネルギー回収システムを搭載しない過給機の台数は、それぞれ1台以上であればよく、任意に選択可能である。
【0038】
以上述べたように、本実施形態1の主機の余剰エネルギー回収システムによれば、主機1に搭載した複数台の過給機の一部にしか余剰エネルギー回収システムを搭載しない場合でも、複数台全ての過給機から主機に供給される給気をバランスさせることができ、主機の性能に悪影響を及ぼさない主機の余剰エネルギー回収システムとすることができる。
【0039】
さらに、過給機の経年劣化により複数台の過給機間で性能差が出てきた場合や、過給機の周囲温度により過給機性能が変化した場合においても、各々の過給機で調整が可能であるので、常に給気のバランスを維持することができる。
【0040】
[実施形態2]
図4は、本発明の実施形態2の構成図である。
本実施形態2は、従来例の図14に開示されている技術を改良したもので、主機1には複数台(3台)の過給機5a、5b、5cが設置され、このうち、任意の過給機5aのみに主機1の排気ガスが有する余剰エネルギーを油圧に変換して推進軸2の回転に加勢させて回収するようにした余剰エネルギー回収システムを搭載しており、残りの過給機5b、5cには同余剰エネルギー回収システムは搭載していない。なお、実施形態1同様、余剰エネルギー回収システムを搭載した過給機5aを、第1グループに属する過給機と言い、余剰エネルギー回収システムを搭載しない過給機5b、5cを、第2グループに属する過給機と言う。
【0041】
図4において、各過給機5a、5b、5cとも、主要部品が主機1の排気レシーバー20からの排気ガスで回転駆動されるタービン51と、内部結合軸52を介してタービン51によって回転駆動され空気を加圧したのちインタークーラー19を経て給気管21に給気する圧縮機53とから構成されている点は同じであるが、余剰エネルギー回収システムを搭載している第1グループに属する過給機5aと、同システムを搭載していない第2グループに属する過給機5bおよび5cとでは、新たに備えた付属部品あるいはこれに関連する部品が異なっている。なお、各過給機5a、5bおよび5cを構成する主要部品や付属部品あるいは関連部品には、各過給機5a、5b、5cの符号中の添字a、b、cと同じ添字を付与し、関連性を明示してある。
【0042】
余剰エネルギー回収システムを搭載している第1グループに属する過給機5aの出力軸6には変速機17を介して油圧ポンプ18が連結されている。そして、内部結合軸52aには回転速度検出器23aが設置されており、この回転速度検出器23aで検出した回転数信号は過給機5a専用の給気コントローラ24aに入力されるようになっている。
【0043】
前記主機1のクランク軸14には、推進軸2を介してプロペラ4が連結されるとともに、変速機15を介して可変容量型油圧ポンプ16を連結している。この可変容量型油圧ポンプ16と前記油圧ポンプ18間は油圧回路13で接続されている。そして、油圧ポンプ18で昇圧された作動油は、可変容量型油圧ポンプ16を回転駆動させ、変速機15を介してクランク軸14の回転駆動を加勢するようにして排気ガスの余剰エネルギーを回収するようにしている。
【0044】
一方、余剰エネルギー回収システムを搭載していない第2グループに属する過給機5bおよび5cでは、図1と同様にタービン51bおよび51cにタービン入口のノズル開度を可変可能にしたタービン可変ノズル22bおよび22cが設置され、排気レシーバー20からの排気ガスは可変ノズル22bおよび22cを経てタービン51bおよび51cに取り込まれるようになっている。
【0045】
また、第2グループに属する過給機5bおよび5cは、第1グループに属する過給機5a同様に、内部結合軸52にそれぞれ回転速度を検出する回転速度検出器23bおよび23cを設置しており、これら回転速度検出器23bおよび23cで検出した回転数信号がそれぞれ過給機5bおよび5c専用の給気コントローラ24bおよび24cに入力されるようになっている。
【0046】
なお、これら給気コントローラ24a、24bおよび24cは、図1と同様に例えばマイクロプロセッサおよびその周辺機器で構成されており、前記回転速度検出器23a、23bおよび23cで検出した回転数信号の他に、主機1に設置された回転速度検出器25および燃料消費量検出器26で検出された主機回転速度信号および主機燃料消費量信号を読み込むようになっている。
【0047】
次に、図5および図6のフローチャートを参照して第1グループの給気コントローラ24aおよび第2グループの給気コントローラ24b、24cの機能について説明する。
【0048】
まず、図5を参照して第1グループの給気コントローラ24aから説明する。
第1グループの給気コントローラ24aは、ステップ5S1で主機1の回転速度検出器25および燃料消費量検出器26で検出した回転速度信号および燃料消費量信号を読込む。次いで、ステップ5S2でこれらの信号に基づいて主機1の出力に最適な給気圧力となるような過給機5aの目標回転速数r1を演算する。
【0049】
次いで、ステップ5S3において回転速度検出器23aで検出した過給機5aの実回転速度r2を読込む。次いで、ステップ5S4で目標回転速数r1と実回転速度r2とを比較して、可変容量型油圧ポンプ16に油圧回収量の増減を指令する。
【0050】
例えば、ステップ5S4で過給機5aの実回転速度r2が、目標回転速度r1より小さい(r1>r2)場合(Yes)は、油圧回収量を減少するよう可変容量型油圧ポンプ16に指令する(ステップ5S5)。
【0051】
この結果、過給機5aの負荷が軽くなり、過給機5aの実回転速度r2が上昇して目標回転速度r1に近づき、過給機5aは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0052】
逆に、ステップ5S4で過給機5aの実回転速度r2が、目標回転速度r1より大きい(r1<r2)場合(No)は、油圧回収量を増加するよう可変容量型油圧ポンプ16に指令する(ステップ5S6)。この結果、過給機5aの負荷が重くなり、過給機5aの実回転速度r2が低下して目標回転速度r1に近づき、過給機5aは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0053】
次に、図6を参照して第2グループの給気コントローラ24b、24cについて説明する。
第2グループの給気コントローラ24bおよび24cは、ステップ6S1で主機1の回転速度検出器25および燃料消費量検出器26で検出した回転速度信号および燃料消費量信号を読込む。次いで、ステップ6S2でこれらの信号に基づいて主機1の出力に最適な給気圧力となるような過給機5b、5cの目標回転速数r1を演算する。
【0054】
次いで、ステップ6S3で回転速度検出器23b、23cで検出した過給機5b、5cの実回転速度r2を読込む。次いで、ステップ6S4で目標回転速数r1と実回転速度r2とを比較して、ノズル開度をタービン可変ノズル22b、22cに指令する。
【0055】
例えば回転速度検出器25で検出した過給機5b、5cの実回転速度r2が、目標回転速度r1より小さい(r1>r2)場合(Yes)は、ノズル開度を小さくするようにタービン可変ノズル22b、22cに指令する。この結果、タービンの駆動力が大きくなり、過給機5b、5cの回転速度が上昇し、目標回転速度r1に近づき、過給機5b、5cは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0056】
逆に、ステップ6S4で過給機5b、5cの実回転速度r2が、目標回転速度r1より大きい(r1<r2)場合(No)は、ノズル開度を大きくするようにタービン可変ノズル22b、22cに指令する。この結果、タービン51b、51cの駆動力が小さくなり、過給機5b、5cの回転速度が低下して目標回転速度r1に近づき、過給機5b、5cは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0057】
なお、本実施形態2の場合も、過給機の台数や、その内の余剰エネルギー回収システムを搭載した過給機の台数は、任意に選択可能である。
【0058】
以上説明したように、本実施形態2の主機の余剰エネルギー回収システムによれば、実施形態1同様に、主機1に搭載した複数台の過給機の一部にしか余剰エネルギー回収システムを搭載しない場合でも、複数台全ての過給機から供給される給気をバランスさせることができ、主機の性能に悪影響を及ぼさない主機の余剰エネルギー回収システムとすることができる。
【0059】
さらに、過給機の経年劣化により複数台の過給機間で性能差が出てきた場合や、過給機の周囲温度により過給機性能が変化した場合においても、各々の過給機で調整が可能であるので、常に給気のバランスを維持することができる。
【0060】
[実施形態3]
図7は、本発明の実施形態3の構成図である。
本実施形態3は、前述した実施形態1(図1)の変形例である。本実施形態3は、図7で示すように、過給機5a、5b、5cの内部回転軸52a、52b、52cに回転速度検出器を取付ける替わりに、インタークーラー19a、19b、19cの出口側に圧力検出器27a、27b、27cを設置して、過給機5a、5b、5cから主機1に給気される空気圧力を検出するように構成した点が実施形態1と異なるだけであり、その他は図1と同様の構成なので、重複する説明は省略する。
【0061】
以下、図8および図9のフローチャートを参照して給気コントローラ24aおよび24b、24cの機能について説明する。
【0062】
まず、図8を参照して第1グループの給気コントローラ24aから説明する。
第1グループの給気コントローラ24aは、ステップ8S1で主機1の回転速度検出器25および燃料消費量検出器26で検出した主機回転速度信号および主機燃料消費量信号を読込む。次いで、ステップ8S2でこれらの信号に基づいて主機1の出力に最適な給気圧力となるような過給機5aの目標給気圧力p1を演算する。
【0063】
次いで、ステップ8S3において圧カ検出器25aで検出した過給機5aの過給機の給気圧力p2を読込む。次いで、ステップ8S4で目標給気圧力p1と実際の給気圧力p2とを比較して、発電機7の出力電力の増減を周波数変換装置8に指令する。
【0064】
例えば圧カ検出器27aで検出した実際の給気圧力p2が、目標給気圧力p1より低い(p1>p2)場合(Yes)は、出力電力を小さくするよう周波数変換装置8に指令する。その結果、過給機5aの負荷が軽くなり、過給機5aの回転速度が上昇して演算した給気圧力p2に近づき、過給機5aは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0065】
逆に、ステップ8s4で過給機5aの実際の給気圧力p2が、目標給気圧力p1より大きい(p1<p2)場合(No)は、発電機7の出力電力を増加するように周波数変換装置8に指令する(ステップ8S6)。この結果、過給機5aの負荷が重くなり、過給機5aの実給気圧力p2が低下して目標給気圧力p1に近づき、過給機5aは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0066】
次に、図9を参照して第2グループの給気コントローラ24bおよび24cについて説明する。
【0067】
給気コントローラ24bおよび24cは、ステップ9S1で主機1の回転速度検出器25および燃料消費量検出器26で検出した回転速度信号および燃料消費量信号を読込む。次いで、ステップ9S2でこれらの信号に基づいて主機1の出力に最適な給気圧力となるような過給機過給機5b、5cの目標給気圧力p1を演算する。
【0068】
次いで、ステップ9S3で、圧カ検出器27b、27cで検出した過給機過給機5b、5cの実給気圧力p2を読込む。次いで、ステップ9S4で、目標給気圧力p1と実際の給気圧力p2とを比較して、ノズル開度をタービン可変ノズル22b、22cに指令する。
【0069】
例えば圧カ検出器27b、27cで検出した過給機の実給気圧力p2が、目標給気圧力p1より低い場合(Yes)は、ノズル開度を小さくするようタービン可変ノズル22b、22cに指令する。その結果、タービン51の駆動力が大きくなり、過給機5b、5cの回転速度が上昇して目標給気圧力p1に近づき、過給機5b、5cは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0070】
逆に、ステップ9S4で過給機5b、5cの実際の給気圧力p2が、目標給気圧力p1より高い(p1<p2)場合(No)は、発電機7の出力電力を増加するように周波数変換装置8に指令する(ステップ9S6)。この結果、過給機5b、5cの負荷が重くなり、過給機5b、5cの実給気圧力p2が低下して目標給気圧力p1に近づき、過給機5b、5cは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0071】
なお、本実施形態3の場合も、過給機の全ての台数、および余剰エネルギー回収システムを搭載した過給機の台数は任意に選択可能である。
【0072】
以上述べたように、本実施形態3の主機の余剰エネルギー回収システムによれば、実施形態1同様に、主機1に搭載した複数台の過給機の一部にしか余剰エネルギー回収システムを搭載しない場合でも、複数台全ての過給機から主機に供給される給気をバランスさせることができ、主機の性能に悪影響を及ぼさない主機の余剰エネルギー回収システムとすることができる。
【0073】
さらに過給機の経年劣化で複数台の過給機に性能差が出てきた場合や、過給機の周囲温度により過給機性能が変化した場合においても、各々の過給機で調整が可能であるので、常に給気のバランスを維持することができる。
【0074】
[実施形態4]
図10は、本発明の実施形態4の構成図である。
本実施形態4は、前述した実施形態2(図4)の変形例である。本実施形態4は、図10で示すように、過給機5a、5b、5cの内部回転軸52a、52b、52cに回転速度検出器を取付ける替わりに、インタークーラー19a、19b、19cの出口側に圧力検出器27a、27b、27cを設置して、過給機5a、5b、5cから主機1に給気される空気圧力を検出するように構成した点が実施形態2と異なるだけであり、その他は図4と同様の構成なので、重複する説明は省略する。
【0075】
以下、図11および図12のフローチャートを参照して第1グループの給気コントローラ24aおよび第2グループの給気コントローラ24b、24cの機能について説明する。
【0076】
まず、図11を参照して第1グループの給気コントローラ24aから説明する。
第1グループの給気コントローラ24aは、ステップ11S1で主機1の回転速度検出器25および燃料消費量検出器26で検出した主機回転速度信号および主機燃料消費量信号を読込む。次いで、ステップ11S2でこれらの信号に基づいて主機1の出力に最適な給気圧力となるような過給機5aの目標給気圧力p1を演算する。
【0077】
次いで、ステップ11S3において圧カ検出器25aで検出した過給機5aの過給機の給気圧力p2を読込む。次いで、ステップ11S4で目標給気圧力p1と実際の給気圧力p2とを比較して、可変容量型油圧ポンプ16に油圧回収量の増減を指令する。
【0078】
例えば、ステップ11S4において圧カ検出器27aで検出した実際の給気圧力p2が、目標給気圧力p1より低い(p1>p2)場合(Yes)は、油圧回収量を減少するよう可変容量型油圧ポンプ16に指令する(ステップ11S5)。
【0079】
この結果、過給機5aの負荷が軽くなり、過給機5aの回転速度が上昇して演算した給気圧力p2に近づき、過給機5aは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0080】
逆に、ステップ11s4で過給機5aの実際の給気圧力p2が、目標給気圧力p1より大きい(p1<p2)場合(No)は、油圧回収量を増加するように可変容量型油圧ポンプ16に指令する(ステップ11S6)。
【0081】
この結果、過給機5aの負荷が重くなり、過給機5aの実給気圧力p2が低下して目標給気圧力p1に近づき、過給機5aは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0082】
次に、図12を参照して第2グループの給気コントローラ24b、24cについて説明する。
第2グループの給気コントローラ24b、24cは、ステップ12S1で主機1の回転速度検出器25および燃料消費量検出器26で検出した回転速度信号および燃料消費量信号を読込む。次いで、ステップ12S2でこれらの信号に基づいて主機1の出力に最適な給気圧力となるような過給機過給機5b、5cの目標給気圧力p1を演算する。
【0083】
次いで、ステップ12S3で、圧カ検出器27b、27cで検出した過給機過給機5b、5cの実給気圧力p2を読込む。次いで、ステップ12S4で、目標給気圧力p1と実際の給気圧力p2とを比較して、ノズル開度をタービン可変ノズル22b、22cに指令する。
【0084】
例えば圧カ検出器27b、27cで検出した過給機の実給気圧力p2が、目標給気圧力p1より低い場合(Yes)は、ノズル開度を小さくするようタービン可変ノズル22b、22cに指令する。その結果、タービン51の駆動力が大きくなり、過給機5b、5cの回転速度が上昇して目標給気圧力p1に近づき、過給機5b、5cは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0085】
逆に、ステップ12s4で過給機5b、5cの実際の給気圧力p2が、目標給気圧力p1より高い(p1<p2)場合(No)は、ノズル開度を増加するようにタービン可変ノズル22b、22cに指令する(ステップ12S6)。この結果、過給機5b、5cの負荷が重くなり、過給機5b、5cの実給気圧力p2が低下して目標給気圧力p1に近づき、過給機5b、5cは主機1の運転状態に最適な給気圧力を供給することができる。
【0086】
なお、本実施形態4の場合も、過給機の全ての台数、および余剰エネルギー回収システムを搭載した過給機の台数は任意に選択可能である。
【0087】
以上述べたように、本実施形態4の主機の余剰エネルギー回収システムによれば、実施形態2同様に、主機1に搭載した複数台の過給機の一部にしか余剰エネルギー回収システムを搭載しない場合でも、複数台全ての過給機から主機に供給される給気をバランスさせることができ、主機の性能に悪影響を及ぼさない主機の余剰エネルギー回収システムとすることができる。
【0088】
さらに過給機の経年劣化で複数台の過給機に性能差が出てきた場合や、過給機の周囲温度により過給機性能が変化した場合においても、各々の過給機で調整が可能であるので、常に給気のバランスを維持することができる。
【符号の説明】
【0089】
1…主機、2…推進軸、3…軸発電装置、4…プロペラ、5,5a,5b,5c…過給機、51,51a,51b,51c…タービン、52,52a,52b,52c…内部回転軸、53,53a,53b,53c…圧縮機、6…過給機出力軸、7…発電機、8…周波数変換装置、9…船内系統母線、10…周波数変換装置、11…同期調相機、12…遮断器、13…油圧回路、14…クランク軸15…変速機16…可変容量型油圧ポンプ17…変速機18…油圧ポンプ19,19a,19b,19c…インタークーラー、20…排気レシーバー、21…給気管、22b,22c…タービン可変ノズル、23a,23b,23c…回転速度検出器、24a,24b,24c…給気コントローラ、25a,25b,25c…回転速度検出器、26a,26b,26c…燃料消費量検出器、27a,27b,27c…圧カ検出器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主機と、当該主機に設置され、主機の排気ガスで駆動されるタービンおよびこのタービンと同軸上の圧縮機で空気を圧縮して主機に給気する過給機と、当該過給機によって駆動される発電機と、当該発電機の発電電力を周波数変換して船内電源系統に供給する周波数変換装置とを備えて主機排気ガスの余剰エネルギーを回収する主機の余剰エネルギー回収システムにおいて、
前記主機に前記過給機を複数台設置し、かつ、主機の回転速度を検出する主機回転速度検出器および主機の燃料消費量を検出する燃料消費量検出器を設置し、前記複数台の過給機を前記発電機に連結される第1グループと、前記発電機に連結されずタービン可変ノズルを備えた第2グループとに分け、
前記第1グループに属する1台または複数台の各過給機に対応して第1給気コントローラを設け、
前記第2グループに属する1台または複数台の各過給機に対応して第2給気コントローラを設け、
前記第1給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、前記第1グループに属する各過給機からの回転速度信号とを取り込み、主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて第1グループに属する各過給機の給気圧力が主機に最適な給気圧力となるように、各過給機の目標回転数を演算する演算手段と、前記目標回転速度および第1グループに属する各過給機の実回転速度を比較する比較手段と、比較結果に基づいて実回転速度を目標回転速度に一致させるように、前記周波数変換装置に指令を出力して当該第1グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備え、
前記第2給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、前記第2グループに属する各過給機の実回転速度信号とを取り込み、主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて第2グループに属する各過給機の給気圧力が主機に最適な給気圧力となるように、各過給機の目標回転数を演算する演算手段と、前記目標回転速度および第2グループに属する各過給機の実回転速度を比較する比較手段と、比較結果に基づいて前記タービン可変ノズルに過給機の実回転速度が目標回転速度に一致するように指令を出力して当該第2グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備えたことを特徴とする主機の余剰エネルギー回収システム。
【請求項2】
主機と、当該主機に設置され、主機の排気ガスで駆動されるタービンおよびこのタービンと同軸上の圧縮機で空気を圧縮して主機に給気する過給機と、当該過給機に連結される油圧ポンプと、前記主機のクランク軸に連結された可変容量型油圧ポンプと、前記油圧ポンプで発生した油圧により前記可変容量型油圧ポンプを介して主機に回転力を加勢するようにして主機排気ガスの余剰エネルギーを回収する主機の余剰エネルギー回収システムにおいて、
前記主機に前記過給機を複数台設置し、かつ、主機の回転速度を検出する主機回転速度検出器および主機の燃料消費量を検出する燃料消費量検出器を設置し、前記複数台の過給機を前記油圧ポンプに連結される第1グループと、前記油圧ポンプに連結されず前記タービン可変ノズルを備えた第2グループとに分け、
前記第1グループに属する1台または複数台の各過給機に対応して第1給気コントローラを設け、
前記第2グループに属する1台または複数台の各過給機に対応して第2給気コントローラを設け、
前記第1給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、前記第1グループに属する各過給機からの回転速度信号とを取り込み、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて第1グループに属する各過給機の給気圧力が主機に最適な給気圧力となるように、各過給機の目標回転数を演算する演算手段と、前記目標回転速度および第1グループに属する過給機の実回転速度を比較する比較手段と、比較結果に基づいて実回転速度を目標回転速度に一致させるように、前記可変容量型油圧ポンプに油圧回収量の増減信号を出力して当該第1グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備え、
前記第2給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、前記第2グループに属する各過給機からの回転速度信号とを取り込み、主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて第2グループに属する各過給機の給気圧力が主機に最適な給気圧力となるように、各過給機の目標回転数を演算する演算手段と、前記目標回転速度および第2グループに属する過給機の実回転速度を比較する比較手段と、比較結果に基づいて前記タービン可変ノズルに過給機の実回転速度が目標回転速度に一致するように指令を出力して当該第2グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備えたことを特徴とする主機の余剰エネルギー回収システム。
【請求項3】
主機と、当該主機に設置され、主機の排気ガスで駆動されるタービンおよびこのタービンと同軸上の圧縮機で空気を圧縮して主機に給気する過給機と、当該過給機によって駆動される発電機と、当該発電機の発電電力を周波数変換して船内電源系統に供給する周波数変換装置とを備えて主機排気ガスの余剰エネルギーを回収する主機の余剰エネルギー回収システムにおいて、
前記主機に前記過給機を複数台設置し、かつ、主機の回転速度を検出する主機回転速度検出器および主機の燃料消費量を検出する燃料消費量検出器を設置し、前記複数台の過給機を前記発電機に連結される第1グループと、前記発電機に連結されずタービン可変ノズルを備えた第2グループとに分け、
前記各過給機に主機への給気圧力を検出する検出器を設け、
前記第1グループに属する1台または複数台の各過給機に対応して第1給気コントローラを設け、
前記第2グループに属する1台または複数台の各過給機に対応して第2給気コントローラを設け、
前記第1給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、前記第1グループに属する各過給機からの給気圧力信号とを取り込み、主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて第1グループに属する各過給機の目標給気圧力が主機に最適な給気圧力となるように演算する演算手段と、前記目標給気圧力および第1グループに属する各過給機の実給気圧力を比較する比較手段と、比較結果に基づいて実給気圧力を目標給気圧力に一致させるように、前記周波数変換装置に指令を出力して当該第1グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備え、
前記第2給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、前記第2グループに属する各過給機の実給気圧力信号とを取り込み、主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて第2グループに属する各過給機の目標給気圧力が主機に最適な給気圧力となるように演算する演算手段と、前記目標給気圧力と第2グループに属する各過給機の実給気圧力とを比較する比較手段と、比較結果に基づいて前記タービン可変ノズルに過給機の実給気圧力が目標給気圧力に一致するように指令を出力して当該第2グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備えたことを特徴とする主機の余剰エネルギー回収システム。
【請求項4】
主機と、当該主機に設置され、主機の排気ガスで駆動されるタービンおよびこのタービンと同軸上の圧縮機で空気を圧縮して主機に給気する過給機と、当該過給機に連結される油圧ポンプと、前記主機のクランク軸に連結された可変容量型油圧ポンプと、前記油圧ポンプで発生した油圧により前記可変容量型油圧ポンプを介して主機に回転力を加勢するようにして主機排気ガスの余剰エネルギーを回収する主機の余剰エネルギー回収システムにおいて、
前記主機に前記過給機を複数台設置し、かつ、主機の回転速度を検出する主機回転速度検出器および主機の燃料消費量を検出する燃料消費量検出器を設置し、前記複数台の過給機を前記油圧ポンプに連結される第1グループと、前記油圧ポンプに連結されず前記タービン可変ノズルを備えた第2グループとに分け、
前記各過給機に主機への給気圧力を検出する検出器を設け、
前記第1グループに属する1台または複数台の過給機に対応して第1給気コントローラを設け、
前記第2グループに属する1台または複数台の過給機に対応して第2給気コントローラを設け、
前記第1給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、前記第1グループに属する各過給機からの給気圧力信号とを取り込み、主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて主機に最適な給気圧力となるように第1グループに属する各過給機の目標給気圧力を演算する演算手段と、前記目標給気圧力および第1グループに属する過給機の実給気圧力を比較する比較手段と、比較結果に基づいて過給機の実給気圧力が目標給気圧力に一致するように、前記可変容量型油圧ポンプに油圧回収量の増減信号を出力して当該第1グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備え、
前記第2給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、第2グループに属する各過給機からの給気圧力信号とを取り込み、主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて主機に最適な給気圧力となるように第2グループに属する各過給機の目標給気圧力を演算する演算手段と、前記目標給気圧力および第2グループに属する過給機の実回転速度を比較する比較手段と、比較結果に基づいて過給機の実給気圧力が目標給気圧力に一致するように、前記タービン可変ノズルにノズル開度指令を出力して当該第2グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備えたことを特徴とする主機の余剰エネルギー回収システム。
【請求項1】
主機と、当該主機に設置され、主機の排気ガスで駆動されるタービンおよびこのタービンと同軸上の圧縮機で空気を圧縮して主機に給気する過給機と、当該過給機によって駆動される発電機と、当該発電機の発電電力を周波数変換して船内電源系統に供給する周波数変換装置とを備えて主機排気ガスの余剰エネルギーを回収する主機の余剰エネルギー回収システムにおいて、
前記主機に前記過給機を複数台設置し、かつ、主機の回転速度を検出する主機回転速度検出器および主機の燃料消費量を検出する燃料消費量検出器を設置し、前記複数台の過給機を前記発電機に連結される第1グループと、前記発電機に連結されずタービン可変ノズルを備えた第2グループとに分け、
前記第1グループに属する1台または複数台の各過給機に対応して第1給気コントローラを設け、
前記第2グループに属する1台または複数台の各過給機に対応して第2給気コントローラを設け、
前記第1給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、前記第1グループに属する各過給機からの回転速度信号とを取り込み、主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて第1グループに属する各過給機の給気圧力が主機に最適な給気圧力となるように、各過給機の目標回転数を演算する演算手段と、前記目標回転速度および第1グループに属する各過給機の実回転速度を比較する比較手段と、比較結果に基づいて実回転速度を目標回転速度に一致させるように、前記周波数変換装置に指令を出力して当該第1グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備え、
前記第2給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、前記第2グループに属する各過給機の実回転速度信号とを取り込み、主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて第2グループに属する各過給機の給気圧力が主機に最適な給気圧力となるように、各過給機の目標回転数を演算する演算手段と、前記目標回転速度および第2グループに属する各過給機の実回転速度を比較する比較手段と、比較結果に基づいて前記タービン可変ノズルに過給機の実回転速度が目標回転速度に一致するように指令を出力して当該第2グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備えたことを特徴とする主機の余剰エネルギー回収システム。
【請求項2】
主機と、当該主機に設置され、主機の排気ガスで駆動されるタービンおよびこのタービンと同軸上の圧縮機で空気を圧縮して主機に給気する過給機と、当該過給機に連結される油圧ポンプと、前記主機のクランク軸に連結された可変容量型油圧ポンプと、前記油圧ポンプで発生した油圧により前記可変容量型油圧ポンプを介して主機に回転力を加勢するようにして主機排気ガスの余剰エネルギーを回収する主機の余剰エネルギー回収システムにおいて、
前記主機に前記過給機を複数台設置し、かつ、主機の回転速度を検出する主機回転速度検出器および主機の燃料消費量を検出する燃料消費量検出器を設置し、前記複数台の過給機を前記油圧ポンプに連結される第1グループと、前記油圧ポンプに連結されず前記タービン可変ノズルを備えた第2グループとに分け、
前記第1グループに属する1台または複数台の各過給機に対応して第1給気コントローラを設け、
前記第2グループに属する1台または複数台の各過給機に対応して第2給気コントローラを設け、
前記第1給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、前記第1グループに属する各過給機からの回転速度信号とを取り込み、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて第1グループに属する各過給機の給気圧力が主機に最適な給気圧力となるように、各過給機の目標回転数を演算する演算手段と、前記目標回転速度および第1グループに属する過給機の実回転速度を比較する比較手段と、比較結果に基づいて実回転速度を目標回転速度に一致させるように、前記可変容量型油圧ポンプに油圧回収量の増減信号を出力して当該第1グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備え、
前記第2給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、前記第2グループに属する各過給機からの回転速度信号とを取り込み、主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて第2グループに属する各過給機の給気圧力が主機に最適な給気圧力となるように、各過給機の目標回転数を演算する演算手段と、前記目標回転速度および第2グループに属する過給機の実回転速度を比較する比較手段と、比較結果に基づいて前記タービン可変ノズルに過給機の実回転速度が目標回転速度に一致するように指令を出力して当該第2グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備えたことを特徴とする主機の余剰エネルギー回収システム。
【請求項3】
主機と、当該主機に設置され、主機の排気ガスで駆動されるタービンおよびこのタービンと同軸上の圧縮機で空気を圧縮して主機に給気する過給機と、当該過給機によって駆動される発電機と、当該発電機の発電電力を周波数変換して船内電源系統に供給する周波数変換装置とを備えて主機排気ガスの余剰エネルギーを回収する主機の余剰エネルギー回収システムにおいて、
前記主機に前記過給機を複数台設置し、かつ、主機の回転速度を検出する主機回転速度検出器および主機の燃料消費量を検出する燃料消費量検出器を設置し、前記複数台の過給機を前記発電機に連結される第1グループと、前記発電機に連結されずタービン可変ノズルを備えた第2グループとに分け、
前記各過給機に主機への給気圧力を検出する検出器を設け、
前記第1グループに属する1台または複数台の各過給機に対応して第1給気コントローラを設け、
前記第2グループに属する1台または複数台の各過給機に対応して第2給気コントローラを設け、
前記第1給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、前記第1グループに属する各過給機からの給気圧力信号とを取り込み、主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて第1グループに属する各過給機の目標給気圧力が主機に最適な給気圧力となるように演算する演算手段と、前記目標給気圧力および第1グループに属する各過給機の実給気圧力を比較する比較手段と、比較結果に基づいて実給気圧力を目標給気圧力に一致させるように、前記周波数変換装置に指令を出力して当該第1グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備え、
前記第2給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、前記第2グループに属する各過給機の実給気圧力信号とを取り込み、主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて第2グループに属する各過給機の目標給気圧力が主機に最適な給気圧力となるように演算する演算手段と、前記目標給気圧力と第2グループに属する各過給機の実給気圧力とを比較する比較手段と、比較結果に基づいて前記タービン可変ノズルに過給機の実給気圧力が目標給気圧力に一致するように指令を出力して当該第2グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備えたことを特徴とする主機の余剰エネルギー回収システム。
【請求項4】
主機と、当該主機に設置され、主機の排気ガスで駆動されるタービンおよびこのタービンと同軸上の圧縮機で空気を圧縮して主機に給気する過給機と、当該過給機に連結される油圧ポンプと、前記主機のクランク軸に連結された可変容量型油圧ポンプと、前記油圧ポンプで発生した油圧により前記可変容量型油圧ポンプを介して主機に回転力を加勢するようにして主機排気ガスの余剰エネルギーを回収する主機の余剰エネルギー回収システムにおいて、
前記主機に前記過給機を複数台設置し、かつ、主機の回転速度を検出する主機回転速度検出器および主機の燃料消費量を検出する燃料消費量検出器を設置し、前記複数台の過給機を前記油圧ポンプに連結される第1グループと、前記油圧ポンプに連結されず前記タービン可変ノズルを備えた第2グループとに分け、
前記各過給機に主機への給気圧力を検出する検出器を設け、
前記第1グループに属する1台または複数台の過給機に対応して第1給気コントローラを設け、
前記第2グループに属する1台または複数台の過給機に対応して第2給気コントローラを設け、
前記第1給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、前記第1グループに属する各過給機からの給気圧力信号とを取り込み、主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて主機に最適な給気圧力となるように第1グループに属する各過給機の目標給気圧力を演算する演算手段と、前記目標給気圧力および第1グループに属する過給機の実給気圧力を比較する比較手段と、比較結果に基づいて過給機の実給気圧力が目標給気圧力に一致するように、前記可変容量型油圧ポンプに油圧回収量の増減信号を出力して当該第1グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備え、
前記第2給気コントローラは、前記主機の回転速度信号および燃料消費量信号と、第2グループに属する各過給機からの給気圧力信号とを取り込み、主機の回転速度信号および燃料消費量信号に基づいて主機に最適な給気圧力となるように第2グループに属する各過給機の目標給気圧力を演算する演算手段と、前記目標給気圧力および第2グループに属する過給機の実回転速度を比較する比較手段と、比較結果に基づいて過給機の実給気圧力が目標給気圧力に一致するように、前記タービン可変ノズルにノズル開度指令を出力して当該第2グループに属する過給機の回転速度を調整する手段とを備えたことを特徴とする主機の余剰エネルギー回収システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−137410(P2011−137410A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297634(P2009−297634)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000195959)西芝電機株式会社 (172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000195959)西芝電機株式会社 (172)
【Fターム(参考)】
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