説明

乗員保護装置

乗員保護装置は、インフレータ20から供給されるガスにより乗員Bの側方にて膨張展開して乗員Bの肩部Baから腰部Bdを保護するエアバッグ袋体10を備えていて、このエアバッグ袋体10はシートバックAaと略同一の上下方向寸法を有している。この乗員保護装置では、エアバッグ袋体10の上下方向中央部分10c、すなわち、乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに対応する部分に非膨張部12,13が形成されていて、エアバッグ袋体10の膨張展開時においてエアバッグ袋体10の上部10aおよび下部10bに比して車幅方向の厚みが薄くシートバックAaに略平行な方向に長手方向を有する領域がエアバッグ袋体10の上下方向略中央部分に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、例えば、車両の側面衝突時等にインフレータから供給されるガスにより膨張展開して乗員を保護するエアバッグ袋体を備える乗員保護装置に関する。
【背景技術】
この種の乗員保護装置は、例えば、特開2000−289556号公報に示されていて、同公報には、乗員のドア側の側部にて膨張展開可能に配設したエアバッグ袋体が、車両の側面衝突時等に、インフレータから供給されるガスにより膨張展開して乗員の頭部と胴部を保護可能な乗員保護装置が開示されている。
上記した公報の乗員保護装置では、車両の側面衝突時等に、エアバッグ袋体にて乗員の頭部と胴部を保護可能である。しかし、上記した公報の乗員保護装置は、乗員の胴部、特に、乗員の胸部や腹部の保護を図ったものではなく、乗員の胸部や腹部に大きな荷重が加わる可能性があって、改善の余地がある。
また、この種の乗員保護装置は、例えば、特開平9−202203号公報に示されていて、同公報には、乗員のドア側の側部にて膨張展開可能に配設したエアバッグ袋体が、車両の側面衝突時等に、インフレータから供給されるガスにより膨張展開して乗員の頭部と胸部を保護可能な乗員保護装置が開示されている。
上記した公報の乗員保護装置では、車両の側面衝突時等に、エアバッグ袋体にて乗員の頭部と胸部を保護可能である。しかし、上記した公報の乗員保護装置においては、エアバッグ袋体が、乗員の体形やドアの形状を考慮した形状となっていないため、膨張展開したエアバッグ袋体によって乗員の胸部に大きな荷重が局部的に加わる可能性があって、改善の余地がある。
【発明の開示】
本発明の一つの目的は、車両の側面衝突時等に、乗員の胸部や腹部に大きな荷重が加わるのを抑制することにあり、他の目的は、車両の側面衝突時等に、乗員の胸部に大きな荷重が局部的に加わるのを抑制することにある。
本発明の一つの特徴は、インフレータから供給されるガスにより乗員の側方にて膨張展開して乗員の肩部から腰部を保護するエアバッグ袋体がシートバックと略同一の上下方向寸法を有している乗員保護装置であって、前記エアバッグ袋体の上下方向略中央部分に、膨張展開時において他の部分に比して車幅方向の厚みが薄い領域が形成され、同領域がシートバックに略平行な方向に長手方向を有することにある。
この乗員保護装置においては、車両の側面衝突時等に、エアバッグ袋体がインフレータから供給されるガスにより乗員の側方にて膨張展開して乗員の肩部から腰部と車体間に介在する。このため、車体の一部が車室内に侵入する際には、エアバッグ袋体にて乗員が車室内の車幅方向中央部に向けて押動されて、乗員の肩部から腰部が保護される。
ところで、この乗員保護装置においては、エアバッグ袋体の上下方向略中央部分に、膨張展開時において他の部分に比して車幅方向の厚みが薄い領域が形成されている。このため、エアバッグ袋体にて乗員が車室内の車幅方向中央部に向けて押動されるときには、エアバッグ袋体の上部と下部が当たる乗員の肩部と腰部には大きな荷重が作用するものの、エアバッグ袋体の上下方向略中央部分が当たる乗員の胸部や腹部には大きな荷重が作用しない。したがって、車両の側面衝突時等には、乗員の胸部や腹部に加わる荷重を抑制した状態にて、乗員を車室内の車幅方向中央部に向けて押して移動させることが可能である。
また、この乗員保護装置においては、エアバッグ袋体の膨張展開時における車幅方向の厚みが薄い領域が、エアバッグ袋体の上下方向略中央部分に形成されていて、シートバックに略平行な方向に長手方向を有するため、同領域を乗員の胸部から腹部の側部に沿わせて位置させることが可能であり、車両の側面衝突時等に乗員の胸部や腹部に加わる荷重を的確に抑制することが可能である。
また、本発明の他の特徴は、前記エアバッグ袋体の前記領域(エアバッグ袋体の上下方向略中央部分に形成されて膨張展開時における車幅方向の厚みが薄い領域)に対して斜め前方上部で乗員の上腕部に対応する部位に、膨張展開時における車幅方向の厚みが薄い領域を追加することにある。この発明による乗員保護装置においては、車両の側面衝突時等において、乗員の胸部や腹部および上腕部に加わる荷重を抑制した状態にて、乗員を車室内の車幅方向中央部に向けて押して移動させることが可能である。
また、本発明の他の特徴は、エアバッグ袋体の上下方向略中央部分に形成されて膨張展開時における車幅方向の厚みが薄い領域が、側面視にて略長円形状に形成されていることにある。この発明による乗員保護装置においては、乗員の着座位置が前後方向にて異なる場合にも、同領域を乗員の胸部から腹部の側部に沿わせて位置させることが可能であり、車両の側面衝突時等に乗員の胸部や腹部に加わる荷重を的確に抑制することが可能である。
また、本発明の他の特徴は、エアバッグ袋体の上下方向略中央部分に形成されて膨張展開時における車幅方向の厚みが薄い領域が、上下方向にて分割されていて、これらの間にはガス通路が形成されていることにある。この発明による乗員保護装置においては、車両の側面衝突時等にインフレータから供給されるガスが、エアバッグ袋体にてガス通路を通して車両前後方向へ素早く供給される。これによって、エアバッグ袋体の車両前後方向での膨張展開を早めることが可能であり、エアバッグ袋体を乗員と車体間に素早く介在させることが可能である。
また、本発明の他の特徴は、インフレータから供給されるガスにより乗員の側方にて膨張展開して乗員の肩部から腰部を保護するエアバッグ袋体を備える乗員保護装置であって、前記エアバッグ袋体の上部および下部の少なくとも一方の内圧を、他の部分の内圧に比して大きくするガス圧制御手段を備えていることにある。この発明による乗員保護装置においては、車両の側面衝突時等において、膨張展開するエアバッグ袋体の上部または下部に当たる乗員の肩部または腰部が、大きなガス圧で押されて素早く移動する。これによって、車両の側面衝突時等には、乗員の胸部や腹部に加わる荷重を抑制した状態にて、乗員を車室内の車幅方向中央部に向けて素早く押して移動させることが可能である。
また、本発明の他の特徴は、前記エアバッグ袋体の上部または下部が、膨張展開時において他の部分に比して車幅方向の厚みが大きくなるように設定されていることにある。この発明による乗員保護装置においては、車両の側面衝突時等において、膨張展開するエアバッグ袋体の上部または下部に当たる乗員の肩部または腰部が大きく移動する。これによって、車両の側面衝突時等には、乗員の胸部や腹部に加わる荷重を抑制した状態にて、乗員を車室内の車幅方向中央部に向けて大きく押して移動させることが可能である。
また、本発明の他の特徴は、インフレータから供給されるガスにより乗員の側方にて膨張展開して乗員の肩部から腰部を保護するエアバッグ袋体を備える乗員保護装置であって、前記エアバッグ袋体の上部および下部の少なくとも一方を、他の部分に比して先行して膨張展開させる膨張制御手段を備えていることにある。この発明による乗員保護装置においては、車両の側面衝突時等において、膨張展開するエアバッグ袋体の上部または下部に当たる乗員の肩部または腰部が、乗員の胸部や腹部に比して先行して押されて移動する。これによって、車両の側面衝突時等には、乗員の胸部や腹部に加わる荷重を抑制した状態にて、乗員を車室内の車幅方向中央部に向けて押して移動させることが可能である。
また、本発明の他の特徴は、エアバッグ袋体の上部または下部に遅れて膨張展開する他の部分が、シートバックに略平行な方向に長手方向を有することにある。この発明による乗員保護装置においては、エアバッグ袋体の上部または下部に遅れて膨張展開する他の部分を乗員の胸部から腹部の側部に沿わせて位置させることが可能であり、車両の側面衝突時等に乗員の胸部や腹部に加わる荷重を的確に抑制することが可能である。
また、本発明の他の特徴は、エアバッグ袋体の上部または下部を他の部分に比して先行して膨張展開させる膨張制御手段が、前記エアバッグ袋体の上部または下部にガスを流した後に前記他の部分にガスを流すガス流れ調整手段であり、前記エアバッグ袋体に縫製により形成されていることにある。この発明による乗員保護装置においては、当該膨張制御手段を簡易に形成することが可能である。
また、本発明の他の特徴は、インフレータから供給されるガスにより乗員の側方にて膨張展開して乗員の肩部から腰部を保護するエアバッグ袋体を備える乗員保護装置であって、前記エアバッグ袋体は、膨張展開時に乗員側を乗員の側方形状に沿った形状とする形状調整手段を備えていることにある。この発明による乗員保護装置においては、膨張展開するエアバッグ袋体から乗員への局所的な荷重入力を抑制することが可能であり、車両の側面衝突時等に乗員の肩部や腰部は勿論のこと胸部や腹部に加わる荷重を的確に抑制することが可能である。
また、本発明の他の特徴は、乗員の側方にて膨張展開するエアバッグ袋体が備える形状調整手段が、前記エアバッグ袋体内にて車幅方向に延在するストラップであることにある。この発明による乗員保護装置においては、形状調整手段を簡易に形成することが可能である。
また、本発明の他の特徴は、乗員の側方にて膨張展開するエアバッグ袋体の下部には、乗員の大腿部側方にて膨張展開する膨張部が形成されていることにある。この発明による乗員保護装置においては、車両の側面衝突時等に乗員の大腿部をも膨張展開するエアバッグ袋体にて押動することが可能である。これによって、車両の側面衝突時等には、乗員の胸部や腹部に加わる荷重を抑制した状態にて、乗員を車室内の車幅方向中央部に向けて押して移動させることが可能である。
また、本発明の他の特徴は、乗員の側方にて膨張展開するエアバッグ袋体が、上部と下部を中央部に折り重ねた後に車両前方から後方に向けてロール折りまたは蛇腹折りされて折り畳まれていることにある。この発明による乗員保護装置においては、車両の側面衝突時等に、エアバッグ袋体が、先ず車両前後方向に膨張展開し、その後に上下方向に膨張展開する。したがって、エアバッグ袋体が折り畳まれた状態にてシートバックやこれに対応するドア部に組付けられていても、エアバッグ袋体は、車両の側面衝突時等に、乗員と車体間に素早く入り込んで的確に膨張展開する。
また、本発明の他の特徴は、インフレータから供給されるガスにより膨張展開して乗員を保護するエアバッグ袋体をシートに装着した乗員保護装置であって、前記エアバッグ袋体は、車両の側突時に乗員の胸部を車両側の凸部から遠ざける方向に移動させることにある。この発明による乗員保護装置においては、シートに装着したエアバッグ袋体が、車両の側面衝突時等にインフレータから供給されるガスにより膨張展開して、乗員の胸部を車両側の凸部から遠ざける方向に移動させる。このため、車両の側面衝突時等に乗員の胸部と車両側の凸部が当接することを抑制することが可能であり、乗員の胸部への荷重入力を抑制することが可能である。
また、本発明の他の特徴は、シートに装着したエアバッグ袋体が、乗員の胸部を車両のドアから遠ざける斜め前方に移動させるエアバッグ袋体であることにある。この発明による乗員保護装置においては、車両の側面衝突時等に、シートに装着されて膨張展開するエアバッグ袋体が、乗員の胸部を車両のドアから遠ざける斜め前方に移動させる。このため、乗員の胸部と車両のドアに設けられているアームレスト部が当接することを抑制することが可能であり、乗員の胸部への荷重入力を抑制することが可能である。
また、本発明の他の特徴は、シートに装着されて車両の側面衝突時等にインフレータから供給されるガスにより膨張展開するエアバッグ袋体が、乗員のドア側背面とシートバック間にて膨張展開する第1膨張部と乗員のドア側側面とドア間にて膨張展開する第2膨張部とを有していることにある。この発明による乗員保護装置においては、エアバッグ袋体の第1膨張部および第2膨張部にて、車両の側面衝突時等に乗員の胸部を車両のドアから遠ざける斜め前方に的確に移動させることが可能であるとともに、エアバッグ袋体の第2膨張部にて、ドアから乗員への荷重入力を抑制することが可能である。
また、本発明の特徴は、インフレータから供給されるガスにより乗員のドア側の側部にて膨張展開して乗員の肩部から腰部を保護するエアバッグ袋体を備える乗員保護装置であって、前記エアバッグ袋体は、膨張展開時に、ドア内面とこれに対向する乗員の側面に実質的に沿った外形形状を有して、ドア内側とこれに対向する乗員の側部間の空間を埋める膨張部を備えていることにある。
この発明による乗員保護装置においては、車両の側面衝突時等において、エアバッグ袋体がインフレータから供給されるガスにより乗員のドア側の側部にて膨張展開して乗員の肩部から腰部とドア間に介在する。このため、車両のドアが車室内に侵入する際には、エアバッグ袋体にて乗員が車室内の車幅方向中央部に向けて押動されて、乗員の肩部から腰部が保護される。
ところで、この乗員保護装置においては、エアバッグ袋体が、膨張展開時に、ドア内面とこれに対向する乗員の側面に実質的に沿った外形形状を有して、ドア内側とこれに対向する乗員の側部間の空間を埋める膨張部を備えている。このため、この乗員保護装置においては、エアバッグ袋体と乗員の実質的な接触面積を大きくすることが可能であり、車両の側面衝突時等に乗員の胸部等に大きな荷重が局部的に加わるのを抑制することが可能である。
また、本発明の他の特徴は、インフレータから供給されるガスにより乗員のドア側の側部にて膨張展開して乗員の肩部から腰部を保護するエアバッグ袋体を備える乗員保護装置であって、前記エアバッグ袋体は、膨張展開時に、ドア内側またはこれに対向する乗員側部の車幅方向に突出する凸部を収容可能な凹部を有していることにある。
この発明による乗員保護装置においては、ドア内側またはこれに対向する乗員側部の車幅方向に突出する凸部を収容可能なエアバッグ袋体の凹部によって乗員の特定部位、例えば胸部が局部的に押圧されることを抑制することが可能である。したがって、車両の側面衝突時等に、乗員の特定部位、例えば胸部に大きな荷重が局部的に加わるのを抑制することが可能である。
また、本発明の他の特徴は、上記した凸部が乗員の上腕部であり、エアバッグ袋体が膨張展開時において乗員の上腕部を収容可能な凹部を有していることにある。この発明による乗員保護装置においては、膨張展開するエアバッグ袋体から乗員の上腕部を介して乗員の胸部に加わる荷重を低減することが可能であり、車両の側面衝突時等に乗員の胸部に大きな荷重が局部的に加わるのを抑制することが可能である。
また、本発明の他の特徴は、上記した凸部がドア内側のアームレスト部であり、エアバッグ袋体が膨張展開時においてドア内側のアームレスト部を収容可能な凹部を有していることにある。この発明による乗員保護装置においては、膨張展開するエアバッグ袋体がドア内側のアームレスト部によって押動されることが抑制されて、エアバッグ袋体から乗員の胸部に加わる荷重を低減することが可能であり、車両の側面衝突時等に乗員の胸部に大きな荷重が局部的に加わるのを抑制することが可能である。
また、本発明の他の特徴は、インフレータから供給されるガスにより乗員のドア側の側部にて膨張展開して乗員の肩部から腰部を保護するエアバッグ袋体を備える乗員保護装置であって、前記エアバッグ袋体は、膨張展開時に、ドア内側に形成されているアームレスト部を上下方向にて挟むように配置される上部膨張部と下部膨張部を備えていることにある。
この発明による乗員保護装置においては、車両のドアが車室内に侵入する際に、エアバッグ袋体の上部膨張部と下部膨張部がドア内側のアームレスト部により大きく押動されることはなく、エアバッグ袋体の上部膨張部にて主として乗員の肩部が車室内の車幅方向中央部に向けて押動され、エアバッグ袋体の下部膨張部にて主として乗員の腰部が車室内の車幅方向中央部に向けて押動される。したがって、車両の側面衝突時等に、乗員の胸部に大きな荷重が局部的に加わるのを抑制することが可能である。
また、本発明の他の特徴は、前記エアバッグ袋体の前記上部膨張部が、膨張展開時に、乗員の上腕部に対応する部分が他の部分に比して車幅方向の厚みが小さくなるように設定されていることにある。この発明による乗員保護装置においては、膨張展開するエアバッグ袋体の上部膨張部によって乗員の上腕部が押圧されることが抑制されて、エアバッグ袋体の上部膨張部から乗員の上腕部を介して乗員の胸部に加わる荷重を低減することが可能であり、車両の側面衝突時等に乗員の胸部に大きな荷重が局部的に加わるのを抑制することが可能である。
また、本発明の他の特徴は、前記エアバッグ袋体の前記上部膨張部が、膨張展開時に、前記下部膨張部に比して車幅方向の厚みが大きくなるように設定されていることにある。この発明による乗員保護装置においては、ドアのアームレスト部より上方部位と乗員の肩部間の比較的大きな上部空間およびドアのアームレスト部より下方部位と乗員の腰部間の比較的小さな下部空間を、エアバッグ袋体の上部膨張部および下部膨張部にて的確に埋めることが可能であり、乗員を適切に保護することが可能である。
また、本発明の他の特徴は、前記エアバッグ袋体の前記下部膨張部が、前記上部膨張部に比して早く膨張展開するように設定されていることにある。この発明による乗員保護装置においては、ドアのアームレスト部より上方部位と乗員の肩部間の上部空間に比して小さな空間であるドアのアームレスト部より下方部位と乗員の腰部間の下部空間にて、エアバッグ袋体の下部膨張部を的確に膨張展開させることが可能である。
また、本発明の他の特徴は、前記エアバッグ袋体の前記下部膨張部と前記上部膨張部には、独立したインフレータがそれぞれ設けられていることにある。この発明による乗員保護装置においては、各インフレータの作動タイミングを独立して制御することが可能であり、エアバッグ袋体の下部膨張部と上部膨張部を独立してタイミングよく膨張展開させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明による乗員保護装置の第1実施形態を概略的に示す側面図である。
図2は図1のS1−S1線に沿った断面図である。
図3は図1に示したエアバッグ袋体の折り畳み方を示す説明図である。
図4は第1実施形態の第1変形実施形態を概略的に示す側面図である。
図5は図4のS2−S2線に沿った断面図である。
図6は第1実施形態の第2変形実施形態を概略的に示す側面図である。
図7は図6のS3−S3線に沿った断面図である。
図8は第1実施形態の第3変形実施形態を概略的に示す側面図である。
図9は図8のS4−S4線に沿った断面図である。
図10は第1実施形態の第4変形実施形態を概略的に示す側面図である。
図11は図10のS5−S5線に沿った断面図である。
図12は第1実施形態の第5変形実施形態を概略的に示す側面図である。
図13は図12のS6−S6線に沿った断面図である。
図14は第1実施形態の第6変形実施形態を概略的に示す側面図である。
図15は図14のS7−S7線に沿った断面図である。
図16は本発明による乗員保護装置の第2実施形態を概略的に示す側面図である。
図17は本発明による乗員保護装置の第3実施形態を概略的に示す側面図である。
図18は図17のS8−S8線に沿った断面図である。
図19は第3実施形態の変形実施形態を概略的に示す側面図である。
図20は本発明による乗員保護装置の第4実施形態を概略的に示す側面図である。
図21は本発明による乗員保護装置の第5実施形態を概略的に示す要部横断平面図である。
図22は本発明による乗員保護装置の第6実施形態を概略的に示す要部縦断側面図である。
図23は本発明による乗員保護装置の第7実施形態を概略的に示す要部横断平面図である。
図24は本発明による乗員保護装置の第8実施形態を概略的に示す側面図である。
図25は図24のS11−S11線に沿った縦断断面図である。
図26は第8実施形態の第1変形実施形態を概略的に示す側面図である。
図27は図26のS12−S12線に沿った縦断断面図である。
図28は図26のS13−S13線に沿った横断断面図である。
図29は第8実施形態の第2変形実施形態を概略的に示す側面図である。
図30は図29のS14−S14線に沿った縦断断面図である。
図31は本発明による乗員保護装置の第9実施形態を概略的に示す側面図である。
図32は図31のS15−S15線に沿った縦断断面図である。
図33は本発明による乗員保護装置の第10実施形態を概略的に示す側面図である。
図34は図33のS16−S16線に沿った縦断断面図である。
図35は第10実施形態の変形実施形態を概略的に示す側面図である。
図36は本発明による乗員保護装置の第11実施形態を概略的に示す縦断正面図である。
図37は図36のS17−S17線に沿った横断断面図である。
図38は本発明による乗員保護装置の第12実施形態を概略的に示す縦断正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下に、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図3は本発明による乗員保護装置の第1実施形態を概略的に示していて、この第1実施形態の乗員保護装置は、車両におけるシートAのシートバックAaに組付けられて使用されるものであり、乗員Bのドア側の側部にて膨張展開可能に配設したエアバッグ袋体10と、このエアバッグ袋体10にガスを供給するインフレータ20を備えている。
エアバッグ袋体10は、車両の側面衝突時等にインフレータ20から供給されるガスにより乗員Bのドア側にて図1および図2に示したように膨張展開して、乗員Bの肩部Baから腰部Bdを全体的に保護するものであり、シートバックAaと略同一の上下方向寸法を有している。また、エアバッグ袋体10は、所定形状のエアバッグ素材を半分に折り合わせて、周縁部11を気密的に接合することにより袋状に形成されており、図1に示したように、膨張展開した状態にて膨張部15の車両前後方向略中央部分で上下方向略中央部分に上下一対の非膨張部12,13が形成されている。
各非膨張部12,13は、エアバッグ袋体10の膨張展開時において他の部分に比して車幅方向の厚みが薄い領域を形成するためのものであり、乗員Bの胸部Bbと腹部Bcに対応して設けられていて、折り合わせたエアバッグ素材を部分的に接合することにより形成されている。また、各非膨張部12,13は、側面視にて略長円(楕円)形状に形成されていて、これらの間にはインフレータ20からのガスを前方に向けて流すためのガス通路14が形成されている。また、各非膨張部12,13は、シートバックAaの上下方向に沿うようにして直線状に配置されていて、上記した領域がシートバックAaに略平行な方向を長手方向として形成されている。
ところで、エアバッグ袋体10は、図3に示したように、上部10aと下部10bを上下方向中央部10cに折り重ねた後に車両前方から後方に向けてロール折り(または蛇腹折り)されて折り畳まれており、折り畳まれた状態にて車両のシートバックAaに組付けられるようになっている。なお、エアバッグ袋体10の上部10aと下部10bを上下方向中央部10cに折り重ねる際には、図3の(b)に示したように、上部10aと下部10bの全体をそれぞれ内側に折り曲げて上下方向中央部10cに重ねた後に、上部10aと下部10bの各先端部をそれぞれ折り返して重ねている。また、ロール折りは、前端から内側に巻き込むようにして行われている。
インフレータ20は、車両の側面衝突時等(この状態は図示省略のセンサによって検出される)に動作して、ガスをエアバッグ袋体10に噴出供給するものであり、エアバッグ袋体10内に組付けられている。また、インフレータ20は、その下端とその下部前方にガス噴射孔21,22を有していて、下方に向けて開口するガス噴射孔21からガスを下方に向けて噴射可能であり、前方に向けて開口するガス噴射孔22からガスを前方に向けて噴射可能である。
上記のように構成したこの第1実施形態の乗員保護装置においては、車両の側面衝突時等において、該当するセンサ(図示省略)が検知する加速度が設定値以上でインフレータ20が動作すると、インフレータ20の各ガス噴射孔21,22からエアバッグ袋体10にガスが供給されて、エアバッグ袋体10が乗員Bの側方にて膨張展開して乗員Bの肩部Baから腰部Bdと車体(図示省略のドア)間に介在する。このため、車体の一部が車室内に侵入する際には、エアバッグ袋体10にて乗員Bが車室内の車幅方向中央部に向けて押動されて、乗員Bの肩部Baから腰部Bdが保護される。
ところで、この第1実施形態の乗員保護装置においては、エアバッグ袋体10における膨張部15の上下方向中央部分10c、すなわち、乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに対応する部分に、両非膨張部12,13により、膨張展開時において他の部分に比して車幅方向の厚みが薄い領域が形成されている。このため、エアバッグ袋体10にて乗員Bが車室内の車幅方向中央部に向けて押動されるときには、エアバッグ袋体10の上部10aと下部10bが当たる乗員Bの肩部Baと腰部Bdには大きな荷重が作用するものの、エアバッグ袋体10の上下方向略中央部分が当たる乗員Bの胸部Bbや腹部Bcには大きな荷重が作用しない。したがって、車両の側面衝突時等には、乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに加わる荷重を抑制した状態にて、乗員Bを車室内の車幅方向中央部に向けて押して移動させることが可能である。
また、この第1実施形態の乗員保護装置においては、両非膨張部12,13によって形成された上記した領域がシートバックAaに略平行な方向に長手方向を有している。このため、この第1実施形態においては、上記した領域を乗員Bの胸部Bbから腹部Bcの側部に沿わせて位置させることが可能であり、車両の側面衝突時等に乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに加わる荷重を的確に抑制することが可能である。
また、この第1実施形態においては、エアバッグ袋体10の膨張展開時における車幅方向の厚みが薄い領域が、エアバッグ袋体10における膨張部15の上下方向略中央部分に、側面視にて略長円形状に形成されているため、乗員Bの着座位置が前後方向にて異なる場合にも、同領域を乗員Bの胸部Bbから腹部Bcの側部に沿わせて位置させることが可能であり、車両の側面衝突時等に乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに加わる荷重を的確に抑制することが可能である。
また、この第1実施形態においては、エアバッグ袋体10の膨張展開時における車幅方向の厚みが薄い領域が、エアバッグ袋体10における膨張部15の上下方向略中央部分に両非膨張部12,13により形成されていて、上下方向にて二分割されており、これらの間にはガス通路14が形成されている。このため、車両の側面衝突時等にインフレータ20のガス噴射孔22から供給されるガスは、エアバッグ袋体10にてガス通路14を通して車両前方へ素早く供給される。これによって、エアバッグ袋体10の車両前後方向での膨張展開を早めることが可能であり、エアバッグ袋体10を乗員Bと車体間に素早く介在させることが可能である。
また、この第1実施形態においては、車両の側面衝突時等に乗員Bの側方にて膨張展開するエアバッグ袋体10が、上部10aと下部10bを上下方向中央部10cに折り重ねた後に車両前方から後方に向けてロール折り(または蛇腹折り)されて折り畳まれている。このため、車両の側面衝突時等にエアバッグ袋体10は、先ず車両前後方向に膨張展開し、その後に上下方向に膨張展開する。したがって、エアバッグ袋体10が折り畳まれた状態にてシートバックAaに組付けられていても、エアバッグ袋体10は、車両の側面衝突時等に、乗員Bと車体間に素早く入り込んで的確に膨張展開する。
上記した第1実施形態においては、エアバッグ袋体10の膨張展開時において他の部分に比して車幅方向の厚みが薄い領域を乗員Bの胸部Bbと腹部Bcに対応して形成するために、エアバッグ袋体10に上下一対の非膨張部12,13を形成して実施したが、これに代えて、図4および図5、図6および図7、図8および図9、図10および図11、図12および図13、または、図14および図15にてそれぞれ概略的に示した各変形実施形態のように構成して実施することも可能である。
図4および図5は、第1変形実施形態を示していて、この第1変形実施形態においては、エアバッグ袋体10の膨張展開時において他の部分に比して車幅方向の厚みが薄い領域を乗員Bの胸部Bbと腹部Bcに対応して形成するために、エアバッグ袋体10に一つの非膨張部12aが形成されている。この非膨張部12aは、折り合わせたエアバッグ素材を部分的に接合することにより形成されていて、シートバックAaに略平行な方向に長手方向を有している。このため、この第1変形実施形態においては、上記した領域を乗員Bの胸部Bbから腹部Bcの側部に沿わせて位置させることが可能であり、車両の側面衝突時等に乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに加わる荷重を的確に抑制することが可能である。なお、この第1変形実施形態においては、下方にのみガス噴射孔21を有するインフレータ20が採用されている。
図6および図7は、第2変形実施形態を示していて、この第2変形実施形態においては、エアバッグ袋体10の膨張展開時において他の部分に比して車幅方向の厚みが薄い領域を乗員Bの胸部Bbと腹部Bcに対応して形成するために、エアバッグ袋体10に4個の非膨張部12b1〜12b4が形成されている。各非膨張部12b1〜12b4は、折り合わせたエアバッグ素材を部分的に接合することにより形成されていて、シートバックAaに略直角の方向に長手方向を有している。
図8および図9は、第3変形実施形態を示していて、この第3変形実施形態においては、エアバッグ袋体10の膨張展開時において他の部分に比して車幅方向の厚みが薄い領域を乗員Bの胸部Bbと腹部Bcに対応して形成するために、エアバッグ袋体10に3個の非膨張部12c1〜12c3が形成されている。各非膨張部12c1〜12c3は、折り合わせたエアバッグ素材を部分的に接合することにより形成されていて、シートバックAaに略平行な方向に長手方向を有している。なお、この第3変形実施形態においては、下方にのみガス噴射孔21を有するインフレータ20が採用されている。
図10および図11は、第4変形実施形態を示していて、この第4変形実施形態においては、エアバッグ袋体10の膨張展開時において他の部分に比して車幅方向の厚みが薄い領域を乗員Bの胸部Bbと腹部Bcに対応して形成するために、エアバッグ袋体10に5個の非膨張部12d1〜12d5が形成されている。各非膨張部12d1〜12d5は、折り合わせたエアバッグ素材を部分的に接合することにより形成されていて、側面視にて略円形形状に形成されている。
図12および図13は、第5変形実施形態を示していて、この第5変形実施形態においては、エアバッグ袋体10の膨張展開時において他の部分に比して車幅方向の厚みが薄い領域を乗員Bの胸部Bbと腹部Bcに対応して形成するために、エアバッグ袋体10に非膨張部12eが形成されている。非膨張部12eは、折り合わせたエアバッグ素材を部分的に接合することにより形成されていて、側面視にてジグザグ形状に形成されている。なお、この第5変形実施形態においては、下方にのみガス噴射孔21を有するインフレータ20が採用されている。
図14および図15は、第6変形実施形態を示していて、この第6変形実施形態においては、エアバッグ袋体10の膨張展開時において他の部分に比して車幅方向の厚みが薄い領域を乗員Bの胸部Bbと腹部Bcに対応して形成するために、エアバッグ袋体10に非膨張部12fが形成されている。非膨張部12fは、折り合わせたエアバッグ素材を部分的に接合することにより形成されていて、これによってエアバッグ袋体10の膨張部15が前方に向けて開いたコ字形状に形成されている。なお、この第6変形実施形態においては、下方と上方にガス噴射孔21,22を有するインフレータ20が採用されている。
上記した各実施形態においては、エアバッグ袋体10が乗員Bの肩部Baから腰部Bdを全体的に保護するように構成して実施したが、図16にて概略的に示した第2実施形態のように、エアバッグ袋体110の下部に乗員Bの大腿部Be側方にて膨張展開する膨張部116を膨張部115に一体的に形成して、エアバッグ袋体110が乗員Bの肩部Baから腰部Bdと大腿部Beを保護するように構成して実施することも可能である。
また、この第2実施形態においては、エアバッグ袋体110における乗員Bの上腕部Bfに対応する部位に非膨張部117が形成されていて、膨張展開時における車幅方向の厚みが薄い領域が追加されている。なお、この第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態の構成と実質的に同じであるため、100番台の同一符号を付して、その説明は省略する。
上記のように構成したこの第2実施形態においては、上記した第1実施形態の作用効果と同様の作用効果が期待できることは勿論のこと、車両の側面衝突時等に乗員Bの側方にて膨張展開するエアバッグ袋体110の下部に、乗員Bの大腿部Be側方にて膨張展開する膨張部116が膨張部115に一体的に形成されているため、車両の側面衝突時等に乗員Bの大腿部Beをもエアバッグ袋体110にて押動することが可能である。これによって、車両の側面衝突時等には、乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに加わる荷重を抑制した状態にて、乗員Bを車室内の車幅方向中央部に向けて押して移動させることが可能である。
また、この第2実施形態においては、エアバッグ袋体110における乗員Bの上腕部Bfに対応する部位に、膨張展開時における車幅方向の厚みが薄い領域を追加したものであるため、車両の側面衝突時等には、乗員Bの胸部Bbや腹部Bcおよび上腕部Bfに加わる荷重を抑制した状態にて、乗員Bを車室内の車幅方向中央部に向けて押して移動させることが可能である。
上記した第1実施形態および第2実施形態においては、エアバッグ袋体10または110の膨張展開時において他の部分に比して車幅方向の厚みが薄い領域を乗員Bの胸部Bbと腹部Bcに対応して形成して、車両の側面衝突時等に、乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに加わる荷重を抑制した状態にて、乗員Bを車室内の車幅方向中央部に向けて押して移動させることが可能としたが、図17および図18(a)にて概略的に示した第3実施形態、図20にて概略的に示した第4実施形態、図21にて概略的に示した第5実施形態、図22にて概略的に示した第6実施形態、または、図23にて概略的に示した第7実施形態のように構成して実施することも可能である。
図17および図18(a)に示した第3実施形態は、エアバッグ袋体210の下部210b(乗員Bの腰部Bdに対応する部分)の内圧を、他の部分の内圧に比して大きくするガス圧制御手段を設けて、車両の側面衝突時等に、乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに加わる荷重を抑制した状態にて、乗員Bを車室内の車幅方向中央部に向けて押して移動させることが可能としたものである。
また、図17および図18(a)に示した第3実施形態では、エアバッグ袋体210の下部210bの内圧を、他の部分の内圧に比して大きくするガス圧制御手段として、エアバッグ袋体210に形成した仕切り壁212と、下方にのみガス噴射孔221を有するインフレータ220が採用されている。仕切り壁212は、折り合わせたエアバッグ素材を部分的に接合することにより形成されていて、前後方向に延びており、後端がインフレータ220に近接していて、上方へのガス流れを抑制している。
このため、この第3実施形態においては、車両の側面衝突時等に、エアバッグ袋体210の下部210bに当たる乗員Bの腰部Bdが、大きなガス圧で押されて素早く移動する。これによって、車両の側面衝突時等には、乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに加わる荷重を抑制した状態にて、乗員Bを車室内の車幅方向中央部に向けて素早く押して移動させることが可能である。
また、この第3実施形態においては、図18(a)に示したように、エアバッグ袋体210の下部210bが、膨張展開時において他の部分に比して、車幅方向の厚みが大きくなるように設定されている。このため、車両の側面衝突時等には、エアバッグ袋体210の下部210bに当たる乗員Bの腰部Bdが大きく移動する。これによって、車両の側面衝突時等には、乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに加わる荷重を抑制した状態にて、乗員Bを車室内の車幅方向中央部に向けて大きく押して移動させることが可能である。
上記した第3実施形態においては、エアバッグ袋体210の下部210bの内圧を、他の部分の内圧に比して大きくするように構成して実施したが、上下逆の構成として、図17に仕切り壁212を仮想線にて示すとともに、図18(b)に示したように、エアバッグ袋体210の上部210aの内圧を、他の部分の内圧に比して大きくするように構成して実施することも可能である。
この場合には、車両の側面衝突時等に、エアバッグ袋体210の上部210aに当たる乗員Bの肩部Baが、大きなガス圧で押されて素早く移動する。これによって、車両の側面衝突時等には、乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに加わる荷重を抑制した状態にて、乗員Bを車室内の車幅方向中央部に向けて素早く押して移動させることが可能である。
また、この場合には、エアバッグ袋体210の上部210aが、膨張展開時において他の部分に比して車幅方向の厚みが大きくなるように設定されているため、車両の側面衝突時等には、エアバッグ袋体210の上部210aに当たる乗員Bの肩部Baが大きく移動する。これによって、車両の側面衝突時等には、乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに加わる荷重を抑制した状態にて、乗員Bを車室内の車幅方向中央部に向けて大きく押して移動させることが可能である。
また、上記した第3実施形態においては、エアバッグ袋体210の下部210bの内圧を、他の部分の内圧に比して大きくするように構成して実施したが、図19に示した実施形態のように、エアバッグ袋体210に上下の仕切り壁212,213を形成するとともに、上下にガス噴射孔221,222を有するインフレータ220を採用して、エアバッグ袋体210の上部210aおよび下部210bの内圧を、中間部210cの内圧に比して大きくするように構成して実施することも可能である。
図20に示した第4実施形態は、エアバッグ袋体310の上部310aおよび下部310bを、他の部分(シートバックAaに略平行な方向に長手方向を有する上下方向中央部分310c)に比して先行して膨張展開させる膨張制御手段を設けて、車両の側面衝突時等に、乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに加わる荷重を抑制した状態にて、乗員Bを車室内の中央部に向けて押して移動させることが可能としたものである。
また、図20に示した第4実施形態では、エアバッグ袋体310の上部310aおよび下部310bを他の部分に比して先行して膨張展開させる膨張制御手段として、エアバッグ袋体310に形成した誘導壁312と、上方および下方にガス噴射孔321,322を有するインフレータ320が採用されている。エアバッグ袋体310の誘導壁312は、上部310aおよび下部310bと上下方向中央部分310cを区画して、エアバッグ袋体310の上部310aおよび下部310bにガスを流した後に上下方向中央部分310cにガスを流すガス流れ調整手段であり、エアバッグ袋体310に縫製により形成されている。
このため、この第4実施形態においては、車両の側面衝突時等に、エアバッグ袋体310の上部310aおよび下部310bに当たる乗員Bの肩部Baおよび腰部Bdが、乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに比して先行して押されて移動する。これによって、車両の側面衝突時等には、乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに加わる荷重を抑制した状態にて、乗員Bを車室内の車幅方向中央部に向けて押して移動させることが可能である。
また、この第4実施形態においては、エアバッグ袋体310の上部310aおよび下部310bに遅れて膨張展開する上下方向中央部分310cがシートバックAaに略平行な方向に長手方向を有するため、同部分を乗員Bの胸部Bbから腹部Bcの側部に沿わせて位置させることが可能であり、車両の側面衝突時等に乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに加わる荷重を的確に抑制することが可能である。
また、この第4実施形態においては、エアバッグ袋体310の上部310aおよび下部310bを上下方向中央部分310cに比して先行して膨張展開させる膨張制御手段が、エアバッグ袋体310の上部310aおよび下部310bにガスを流した後に上下方向中央部分310cにガスを流すガス流れ調整手段であり、その一構成であるエアバッグ袋体310の誘導壁312がエアバッグ袋体310に縫製により形成されている。これにより、膨張制御手段を簡易に形成することが可能である。
上記した第4実施形態においては、エアバッグ袋体310の上部310aおよび下部310bを上下方向中央部分310cに比して先行して膨張展開させるように構成して実施したが、エアバッグ袋体310の上部310aまたは下部310bを上下方向中央部分310cに比して先行して膨張展開させるように構成して実施することも可能である。
図21に示した第5実施形態は、エアバッグ袋体410に、膨張展開時に乗員側を乗員Bの側方形状に沿った形状とする形状調整手段、具体的には、エアバッグ袋体410内にて車幅方向に延在する複数のストラップ412a,412b,412cを設けたものである。各ストラップ412a,412b,412cは、両端部にてそれぞれエアバッグ袋体410に固着されている。
このため、この第5実施形態においては、エアバッグ袋体410から乗員Bへの局所的な荷重入力を抑制することが可能であり、車両の側面衝突時等に乗員Bの肩部Baや腰部Bdは勿論のこと胸部Bbや腹部Bcに加わる荷重を的確に抑制することが可能である。また、この第5実施形態においては、形状調整手段を複数のストラップ412a,412b,412cにて構成したため、形状調整手段を簡易に形成することが可能である。
図22に示した第6実施形態は、シートAのシートクッションAbにエアバッグ袋体510を設けたものであり、エアバッグ袋体510は膨張展開時に乗員Bを上方へ移動させる。このため、この第6実施形態においては、車両の側面衝突時等に乗員Bの胸部Bbと車両側の凸部、例えば、ドアに設けたアームレスト部(図示省略)が当接することを抑制することが可能であり、乗員Bの胸部Bbへの荷重入力を抑制することが可能である。
図23に示した第7実施形態は、シートバックAaにエアバッグ袋体610を設けたものであり、エアバッグ袋体610は、乗員Bのドア側背面とシートバックAa間にて膨張展開する第1膨張部610aと、乗員Bのドア側側面とドア(図示省略)間にて膨張展開する第2膨張部610bとを有していて、乗員Bの胸部Bbを車両のドアから遠ざける斜め前方に移動させることが可能である。
このため、この第7実施形態においては、エアバッグ袋体610の第1膨張部610aおよび第2膨張部610bにて、車両の側面衝突時等に乗員Bの胸部Bbを車両のドアから遠ざける斜め前方に的確に移動させることが可能であって、乗員Bの胸部Bbと車両のドアに設けられているアームレスト部が当接することを抑制することが可能であるとともに、エアバッグ袋体610の第2膨張部610bにて、ドアから乗員Bへの荷重入力を抑制することが可能である。
図24および図25は本発明による乗員保護装置の第8実施形態を概略的に示していて、この第8実施形態の乗員保護装置は、車両におけるシートAのシートバックAaに組付けられて使用されるものであり、乗員Bのドア側の側部にて膨張展開可能に配設したエアバッグ袋体1010と、このエアバッグ袋体1010にガスを供給するインフレータ1020を備えている。
エアバッグ袋体1010は、車両の側面衝突時等にインフレータ1020から供給されるガスにより乗員BのドアC側にて図24および図25に示したように膨張展開して、乗員Bの肩部Baから腰部Bdに至る胸部Bbと腹部Bcを含む側方部位を全体的に保護するものであり、通常時には折り畳まれてシートバックAaに収納されている。
また、エアバッグ袋体1010は、所定形状のエアバッグ素材を半分に折り合わせて、周縁部1011を気密的に接合することにより袋状に形成されており、膨張展開した状態にてドアC内側に対向する乗員B側部の車幅方向に突出する凸部である乗員Bの上腕部Beを収容可能な凹部1012を有している。エアバッグ袋体1010の凹部1012は、エアバッグ袋体1010の該当部位を予め切り欠いた形状とすることにより形成されている。
インフレータ1020は、車両の側面衝突時等(この状態は図示省略のセンサによって検出される)に動作して、ガスをエアバッグ袋体1010に噴出供給するものであり、エアバッグ袋体1010内に組付けられている。また、インフレータ1020は、その上下両端にガス噴射孔1021,1022を有していて、上方に向けて開口するガス噴射孔1021からガスを上方に向けて噴射可能であり、下方に向けて開口するガス噴射孔1022からガスを下方に向けて噴射可能である。
上記のように構成したこの第8実施形態の乗員保護装置においては、車両の側面衝突時等において、該当するセンサ(図示省略)が検知する加速度が設定値以上でインフレータ1020が動作すると、インフレータ1020の各ガス噴射孔1021,1022からエアバッグ袋体1010にガスが供給されて、エアバッグ袋体1010が乗員Bの側方にて膨張展開して乗員Bの肩部Baから腰部Bdと車体のドアC間に介在する。このため、車体の一部が車室内に侵入する際には、エアバッグ袋体1010にて乗員Bが車室内の中央部に向けて押動されて、乗員Bの肩部Baから腰部Bdが保護される。
ところで、この第8実施形態の乗員保護装置においては、エアバッグ袋体1010が、膨張展開時に、ドアC内側に対向する乗員側部の車幅方向に突出する凸部である乗員Bの上腕部Beを収容可能な凹部1012を有している。このため、この乗員保護装置においては、乗員Bの上腕部Beに対応するエアバッグ袋体1010の凹部1012によって乗員Bの特定部位、例えば胸部Bbが上腕部Beを介して局部的に押圧されることを抑制することが可能である。したがって、車両の側面衝突時等に、乗員Bの特定部位、例えば胸部Bbに大きな荷重が局部的に加わるのを抑制することが可能である。
また、この第8実施形態の乗員保護装置においては、エアバッグ袋体1010の凹部1012がエアバッグ袋体1010の該当部位を予め切り欠くことにより形成されているため、エアバッグ素材の容積・重量を小さくすることが可能である。このため、エアバッグ袋体1010をコンパクトに折り畳むことが可能であり、これをシートバックAaにコンパクトに収納することが可能である。
上記した第8実施形態においては、エアバッグ袋体1010の該当部位を予め切り欠くことにより該当部位に凹部1012を形成したが、これに代えて、図26〜図28または図29および図30にてそれぞれ概略的に示した各変形実施形態のように構成して実施することも可能である。
図26〜図28は、第8実施形態の第1変形実施形態を示していて、この第1変形実施形態においては、乗員Bの上腕部Beに対応する部位に長円形状の非膨張部1013を形成することにより、エアバッグ袋体1010に凹部1012が形成されている。長円形状の非膨張部1013は、折り合わせたエアバッグ素材を部分的に接合することにより形成されていて、その周囲には膨張部1014が形成されている。このため、この第1変形実施形態においては、エアバッグ袋体1010の膨張展開時における剛性を確保した上で、エアバッグ袋体1010の該当部位に凹部1012を形成することが可能である。
図29および図30は、第8実施形態の第2変形実施形態を示していて、この第2変形実施形態においては、乗員Bの上腕部Beに対応する部位に前端にまで延びる非膨張部1013aを形成することにより、エアバッグ袋体1010に凹部1012が形成されている。非膨張部1013aは、折り合わせたエアバッグ素材を部分的に接合することにより形成されている。
上記した各実施形態においては、乗員Bの上腕部Beを収容可能な凹部1012をエアバッグ袋体1010に形成して実施したが、図31および図32にて概略的に示した第9実施形態のように、ドアC内側の凸部、例えば、アームレスト部Caを収容可能な凹部1112をエアバッグ袋体1110に形成して実施することも可能である。エアバッグ袋体1110の凹部1112は、ドアC内側のアームレスト部Caに対応する部位に長円形状の非膨張部1113を形成することにより、形成されている。長円形状の非膨張部1113は、折り合わせたエアバッグ素材を部分的に接合することにより形成されていて、その周囲には膨張部1114が形成されている。
この第9実施形態においては、エアバッグ袋体1110が膨張展開時においてドアC内側のアームレスト部Caを収容可能な凹部1112を有している。このため、エアバッグ袋体1110がドアC内側のアームレスト部Caによって押動されることが抑制されて、エアバッグ袋体1110から乗員Bの胸部Bbに加わる荷重を低減することが可能であり、車両の側面衝突時等に乗員Bの胸部Bbに大きな荷重が局部的に加わるのを抑制することが可能である。
また、この第9実施形態においても、長円形状の非膨張部1113の周囲に膨張部1114が形成されているため、上記第8実施形態の第1変形実施形態と同様に、エアバッグ袋体1110の膨張展開時における剛性を確保した上で、エアバッグ袋体1110の該当部位に凹部1112を形成することが可能である。
上記した第9実施形態においては、ドアC内側のアームレスト部Caを収容可能な凹部1112をエアバッグ袋体1110に形成して実施したが、図33および図34にて概略的に示した第10実施形態のように、ドアC内側のアームレスト部Caを上下方向にて挟むように配置される上部エアバッグ袋体1210Aと下部エアバッグ袋体1210Bを採用して実施することも可能である。
上部エアバッグ袋体1210Aは、乗員Bの肩部Baに対応して配置されていて、シートAのシートバックAaに組付けられており、内部にはインフレータ1220Aが組付けられている。下部エアバッグ袋体1210Bは、乗員Bの腰部Bdに対応して配置されていて、シートAのシートバックAaに組付けられており、内部にはインフレータ1220Bが組付けられている。また、この第10実施形態においては、上部エアバッグ袋体1210Aが、膨張展開時に、下部エアバッグ袋体1210Bに比して車幅方向の厚みが大きくなるように設定されている。
各インフレータ1220A,1220Bは、独立していて別個に作動可能であり、この第10実施形態においては、下方のインフレータ1220Bが上方のインフレータ1220Aより先に作動して、下部エアバッグ袋体1210Bを上部エアバッグ袋体1210Aに比して早く膨張展開させるように設定されている。
上記のように構成した第10実施形態においては、車両の側面衝突によりドアCが車室内に侵入する際に、両エアバッグ袋体1210A,1220BがドアC内側のアームレスト部Caにより押動されることは殆どなく、上部エアバッグ袋体1210Aにて主として乗員Bの肩部Baが車室内の車幅方向中央部に向けて押動され、下部エアバッグ袋体1210Bにて主として乗員Bの腰部Bdが車室内の車幅方向中央部に向けて押動される。したがって、車両の側面衝突時等に、乗員Bの胸部Bbに大きな荷重が局部的に加わるのを抑制することが可能である。
また、この第10実施形態においては、上部エアバッグ袋体1210Aが、膨張展開時に、下部エアバッグ袋体1210Bに比して車幅方向の厚みが大きくなるように設定されている。このため、ドアCのアームレスト部Caより上方部位と乗員Bの肩部Ba間の比較的大きな上部空間およびドアCのアームレスト部Caより下方部位と乗員Bの腰部Bd間の比較的小さな下部空間を、上部エアバッグ袋体1210Aと下部エアバッグ袋体1210Bにて、的確に埋めることが可能であり、乗員を適切に保護することが可能である。
また、この第10実施形態においては、下部エアバッグ袋体1210Bが上部エアバッグ袋体1210Aに比して早く膨張展開するように設定されている。このため、ドアCのアームレスト部Caより上方部位と乗員Bの肩部Ba間の上部空間に比して小さな空間であるドアCのアームレスト部Caより下方部位と乗員Bの腰部Bd間の下部空間にて、下部エアバッグ袋体1210Bを的確に膨張展開させることが可能である。
また、この第10実施形態においては、上部エアバッグ袋体1210Aと下部エアバッグ袋体1210Bに、独立したインフレータ1220A,1220Bがそれぞれ設けられている。このため、各インフレータ1220A,1220Bの作動タイミングを独立して制御することが可能であり、上部エアバッグ袋体1210Aと下部エアバッグ袋体1210Bを独立してタイミングよく膨張展開させることが可能である。
上記した第10実施形態においては、ドアC内側のアームレスト部Caを上下方向にて挟むように配置される上部エアバッグ袋体1210Aと下部エアバッグ袋体1210Bを採用して実施したが、図35に示した変形実施形態のように、エアバッグ袋体1210に上部膨張部1210aと下部膨張部1210bを形成して、上部膨張部1210aと下部膨張部1210bがドアC内側のアームレスト部Caを上下方向にて挟むように配置されるように構成して実施することも可能である。
この変形実施形態の場合には、上方にのみガス噴射孔1221を有するインフレータ1220を採用することで、上記した第10実施形態と同様の作動を期待することが可能である。また、この変形実施形態においては、上部膨張部1210aにおける乗員Bの上腕部Beに対応する部分に非膨張部1213が形成されていて、膨張展開時に、乗員Bの上腕部Beに対応する部分が他の部分に比して車幅方向の厚みが小さくなるように設定されている。
このため、エアバッグ袋体1210の上部膨張部1210aによって乗員Bの上腕部Beが押圧されることが抑制されて、エアバッグ袋体1210の上部膨張部1210aから乗員Bの上腕部Beを介して乗員Bの胸部Bbに加わる荷重を低減することが可能であり、車両の側面衝突時等に乗員Bの胸部Bbに大きな荷重が局部的に加わるのを抑制することが可能である。
図36および図37は第11実施形態を示していて、この第11実施形態においては、エアバッグ袋体1310内にストラップ1315a,1315bが設けられている。上方のストラップ1315aは、図36に示したように、乗員Bの上腕部Beに対応して設けられていて、エアバッグ袋体1310が膨張展開したときに形成される凹部1312aの形状が、乗員Bの上腕部Beに沿った形状となるように、エアバッグ袋体1310の膨張を規制する。下方のストラップ1315bは、図37に示したように、乗員Bの腹部Bcに対応して設けられていて、エアバッグ袋体1310が膨張展開したときに形成される凹部1312bの形状が、乗員Bの腹部Bcに沿った形状となるようにエアバッグ袋体1310の膨張を規制する。
このため、この第11実施形態においては、エアバッグ袋体1310の凹部1312aと乗員Bの上腕部Beとの接触面積を上記各実施形態に比して多くすることが可能であるとともに、エアバッグ袋体1310の凹部1312bと乗員Bの腹部Bcとの接触面積を上記各実施形態に比して多くすることが可能である。したがって、車両の側面衝突時等に乗員Bの上腕部Beと腹部Bcに大きな荷重が局部的に加わるのを抑制することが可能である。
図38は第12実施形態を示していて、この第12実施形態においては、エアバッグ袋体1410が立体裁断された二枚のエアバッグ素材の周縁部を気密的に接合することにより袋状に形成されている。このため、エアバッグ袋体1410は、膨張展開時に、ドアC側がドアC内面に実質的に沿った外形形状となり、乗員B側が乗員Bの側面に実質的に沿った外形形状となる。
また、エアバッグ袋体1410は、膨張展開時に、ドアC内側とこれに対向する乗員Bの側部の空間を埋める膨張部1414を備えている。したがって、この第12実施形態においては、エアバッグ袋体1410と乗員Bの実質的な接触面積を大きくすることが可能であり、車両の側面衝突時等に乗員Bの側部すなわち肩部Ba、胸部Bb、腹部Bcおよび腰部Bdに大きな荷重が局部的に加わるのを抑制することが可能である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】

【図27】

【図28】

【図29】

【図30】

【図31】

【図32】

【図33】

【図34】

【図35】

【図36】

【図37】

【図38】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
インフレータから供給されるガスにより乗員の側方にて膨張展開して乗員の肩部から腰部を保護するエアバッグ袋体がシートバックと略同一の上下方向寸法を有している乗員保護装置であって、前記エアバッグ袋体の上下方向略中央部分に、膨張展開時において他の部分に比して車幅方向の厚みが薄い領域が形成され、同領域がシートバックに略平行な方向に長手方向を有することを特徴とする乗員保護装置。
【請求項2】
請求の範囲1に記載した乗員保護装置において、前記エアバッグ袋体の前記領域に対して斜め前方上部で乗員の上腕部に対応する部位に、膨張展開時における車幅方向の厚みが薄い領域を追加したことを特徴とする乗員保護装置。
【請求項3】
請求の範囲1に記載した乗員保護装置において、前記エアバッグ袋体の膨張展開時における車幅方向の厚みが薄い領域は、側面視にて略長円形状に形成されていることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項4】
請求の範囲1〜3のいずれか一つに記載した乗員保護装置において、前記エアバッグ袋体の膨張展開時における車幅方向の厚みが薄い領域は、上下方向にて分割されていて、これらの間にはガス通路が形成されていることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項5】
インフレータから供給されるガスにより乗員の側方にて膨張展開して乗員の肩部から腰部を保護するエアバッグ袋体を備える乗員保護装置であって、前記エアバッグ袋体の上部および下部の少なくとも一方の内圧を、他の部分の内圧に比して大きくするガス圧制御手段を備えていることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項6】
請求の範囲5に記載した乗員保護装置において、前記エアバッグ袋体の上部または下部は、膨張展開時において他の部分に比して車幅方向の厚みが大きくなるように設定されていることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項7】
インフレータから供給されるガスにより乗員の側方にて膨張展開して乗員の肩部から腰部を保護するエアバッグ袋体を備える乗員保護装置であって、前記エアバッグ袋体の上部および下部の少なくとも一方を、他の部分に比して先行して膨張展開させる膨張制御手段を備えていることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項8】
請求の範囲7に記載した乗員保護装置において、前記他の部分は、シートバックに略平行な方向に長手方向を有することを特徴とする乗員保護装置。
【請求項9】
請求の範囲7または8に記載した乗員保護装置において、前記膨張制御手段は、前記エアバッグ袋体の上部または下部にガスを流した後に前記他の部分にガスを流すガス流れ調整手段であり、前記エアバッグ袋体に縫製により形成されていることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項10】
インフレータから供給されるガスにより乗員の側方にて膨張展開して乗員の肩部から腰部を保護するエアバッグ袋体を備える乗員保護装置であって、前記エアバッグ袋体は、膨張展開時に乗員側を乗員の側方形状に沿った形状とする形状調整手段を備えていることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項11】
請求の範囲10に記載した乗員保護装置において、前記形状調整手段は、前記エアバッグ袋体内にて車幅方向に延在するストラップであることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項12】
請求の範囲1〜11のいずれか一つに記載した乗員保護装置において、前記エアバッグ袋体の下部には、乗員の大腿部側方にて膨張展開する膨張部が形成されていることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項13】
請求の範囲1〜12のいずれか一つに記載した乗員保護装置において、前記エアバッグ袋体は、上部と下部を中央部に折り重ねた後に車両前方から後方に向けてロール折りまたは蛇腹折りされて折り畳まれていることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項14】
インフレータから供給されるガスにより膨張展開して乗員を保護するエアバッグ袋体をシートに装着した乗員保護装置であって、前記エアバッグ袋体は、車両の側突時に乗員の胸部を車両側の凸部から遠ざける方向に移動させることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項15】
請求の範囲14に記載した乗員保護装置において、前記エアバッグ袋体は、乗員の胸部を車両のドアから遠ざける斜め前方に移動させるエアバッグ袋体であることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項16】
請求の範囲15に記載した乗員保護装置において、前記エアバッグ袋体は、乗員のドア側背面とシートバック間にて膨張展開する第1膨張部と乗員のドア側側面とドア間にて膨張展開する第2膨張部とを有していることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項17】
インフレータから供給されるガスにより乗員のドア側の側部にて膨張展開して乗員の肩部から腰部を保護するエアバッグ袋体を備える乗員保護装置であって、前記エアバッグ袋体は、膨張展開時に、ドア内面とこれに対向する乗員の側面に実質的に沿った外形形状を有して、ドア内側とこれに対向する乗員の側部間の空間を埋める膨張部を備えていることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項18】
インフレータから供給されるガスにより乗員のドア側の側部にて膨張展開して乗員の肩部から腰部を保護するエアバッグ袋体を備える乗員保護装置であって、前記エアバッグ袋体は、膨張展開時に、ドア内側またはこれに対向する乗員側部の車幅方向に突出する凸部を収容可能な凹部を有していることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項19】
請求の範囲18に記載した乗員保護装置において、前記凸部は乗員の上腕部であり、前記エアバッグ袋体が膨張展開時において乗員の上腕部を収容可能な凹部を有していることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項20】
請求の範囲18に記載した乗員保護装置において、前記凸部はドア内側のアームレスト部であり、前記エアバッグ袋体が膨張展開時においてドア内側のアームレスト部を収容可能な凹部を有していることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項21】
インフレータから供給されるガスにより乗員のドア側の側部にて膨張展開して乗員の肩部から腰部を保護するエアバッグ袋体を備える乗員保護装置であって、前記エアバッグ袋体は、膨張展開時に、ドア内側に形成されているアームレスト部を上下方向にて挟むように配置される上部膨張部と下部膨張部を備えていることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項22】
請求の範囲21に記載した乗員保護装置において、前記エアバッグ袋体の前記上部膨張部は、膨張展開時に、乗員の上腕部に対応する部分が他の部分に比して車幅方向の厚みが小さくなるように設定されていることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項23】
請求の範囲21に記載した乗員保護装置において、前記エアバッグ袋体の前記上部膨張部は、膨張展開時に、前記下部膨張部に比して車幅方向の厚みが大きくなるように設定されていることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項24】
請求の範囲21に記載した乗員保護装置において、前記エアバッグ袋体の前記下部膨張部は、前記上部膨張部に比して早く膨張展開するように設定されていることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項25】
請求の範囲21〜24のいずれか一つに記載した乗員保護装置において、前記エアバッグ袋体の前記下部膨張部と前記上部膨張部には、独立したインフレータがそれぞれ設けられていることを特徴とする乗員保護装置。

【国際公開番号】WO2004/065179
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【発行日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−567157(P2004−567157)
【国際出願番号】PCT/JP2003/016517
【国際出願日】平成15年12月24日(2003.12.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】