説明

乗員拘束装置の起動システム

【課題】処理を複雑化することなしに誤作動を防止し、且つ、乗員拘束システムを迅速に起動することが可能な乗員拘束装置の起動システムを提供する。
【解決手段】車両外方の障害物を検出する障害物検出手段と、車体に作用する加速度を検出する加速度センサと、該加速度センサの検出結果に基づいて接触の有無を判定する接触判定手段と、を備えた乗員拘束装置の起動システムであって、障害物検出手段は、障害物の幅を測定する幅測定手段を備え、接触判定手段は、前記幅測定手段の検出結果に基づいて接触の有無を判定する判定条件を変更し、加速度センサによって検出された加速度が前記判定条件を満たしたときに乗員拘束装置を起動させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乗員拘束装置の起動システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、エアバッグ等の乗員拘束装置を起動するための起動システムが知られている。この乗員拘束装置の起動システムは障害物の衝突などにより車両の加速度が所定の閾値以上となったときに乗員拘束装置の起動を行うものである。
ところで、この種の乗員拘束装置の起動システムにおいては、衝突の危険度が少ない場合にノイズ等により乗員拘束装置が起動するのを防止しつつ、衝突の危険度が高い場合には確実に乗員拘束装置を起動させる必要がある。そのため、レーザレーダにより自車と前方を走行する先行車両との車間距離を検出して衝突する可能性が高いと判定された場合に、乗員拘束装置を作動させる閾値を低下させるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、上記乗員拘束装置の中には、車両の側面衝突に対して乗員の拘束を行う、いわゆるサイドエアバッグがある。このサイドエアバッグには、車両の左右側部に設けられた複数の加速度センサによって検出される加速度と、車両の幅方向略中央に配置された制御ユニットに設けられた加速度センサとの両者の加速度が所定の閾値を超えた場合にサイドエアバッグの展開制御を行うものがある。
【特許文献1】特開2003−95058号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の乗員拘束装置の起動システムにおいては、例えば、ポールなどの細い障害物が車両に衝突した場合、車体の変形等の影響により衝突位置から離れた加速度センサへの衝撃の伝達が遅れる場合がある。
図4は、車両の側面にポールなどが衝突した時における、車両側部の加速度センサによる加速度(SIS−G)と、車両略中央に配置された制御ユニットの加速度センサで検出される加速度(UNIT Y−G)との時間変化を示したものであり、これら車両側部の加速度センサと制御ユニットの加速度センサとを比較すると、衝突箇所から離間して配置された制御ユニットの加速度センサで検出される加速度(UNIT Y−G)の立ち上がりのタイミングが遅れているのが分かる。
つまり、従来の乗員拘束装置の起動システムでは、衝突する障害物の形状によって衝突位置から離れた加速度センサにより検出される加速度は、衝突発生から所定の閾値THに達するまでの時間がかかり、乗員拘束装置の起動に遅れが生じる虞があるという課題がある。
とりわけ、サイドエアバッグの場合は、クラッシュスペースがドアの厚み分だけになるため、展開完了までにきわめて厳しい時間的な制約があり、より迅速且つ確実な衝突検出が望まれている。
【0005】
一方、衝突位置から離れた加速度センサを用いて早期に衝突を検知するために、例えば、上述した所定の閾値THを図5の2点鎖線で示す閾値まで低下させる方法があるが、このように閾値THを低下させると、ノイズなどの影響で誤判定を起こす可能性がある。また、衝突の検出遅れを抑制すべく上記加速度センサに代えてレーダ等の非接触型のセンサで衝突を検出する方法もあるが、接触可能性がない壁等の様々な物体を対象から除外する必要があるため、処理が複雑化してしまうという課題がある。
【0006】
そこで、この発明は、処理を複雑化することなしに誤作動を防止し、且つ、乗員拘束システムを迅速に起動することが可能な乗員拘束装置の起動システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、車両(例えば、実施の形態における車両100)外方の障害物を検出する障害物検出手段(例えば、実施の形態における幅取得センサSd)と、車体に作用する加速度を検出する加速度センサ(例えば、実施の形態における加速度センサSG1,SG2)と、該加速度センサの検出結果に基づいて接触の有無を判定する接触判定手段(例えば、実施の形態における制御ユニットY)と、を備えた乗員拘束装置の起動システムであって、前記障害物検出手段は、障害物の幅を測定する幅測定手段(例えば、実施の形態における幅取得センサSd)を備え、前記接触判定手段は、前記幅測定手段の検出結果に基づいて接触の有無を判定する判定条件を変更し、前記加速度センサによって検出された加速度が前記判定条件を満たしたときに乗員拘束装置を起動させることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の発明において、前記接触判定手段は、前記障害物の幅が所定の閾値より小さいと判定された場合にのみ前記判定条件を変更することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載した発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記加速度センサは、車両の外面近傍に設置される側面センサ(例えば、実施の形態における加速度センサSG1)と、前記車両の中央近傍に設置される中央センサ(例えば、実施の形態における加速度センサSG2)とを備え、前記判定条件は、前記側面センサおよび中央センサのそれぞれに対して閾値(例えば、実施の形態における、衝突有無判定閾値、補正閾値)を設定してなり、前記接触判定手段は、前記側面センサの検出結果に基づき接触の有無を判定し、接触ありと判定した場合には、前記幅測定手段によって測定された前記障害物の幅に応じて、前記中央センサに対する前記閾値を変更することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載した発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記加速度センサは、車両の外面近傍に設置される第1側面センサ(例えば、実施の形態の他の態様における加速度センサSG1)と、該第1側面センサとは反対側の車両の外面近傍に設置される第2側面センサ(例えば、実施の形態の他の態様における加速度センサSG1)とを備え、前記判定条件は、前記第1側面センサおよび前記第2側面センサのそれぞれに対して閾値を設定してなり、前記接触判定手段は、前記第1側面センサと前記第2側面センサとのうち何れか一方に基づき接触の有無を判定し、接触ありと判定した場合には、前記幅測定手段の測定結果に基づいて、前記第1側面センサと前記第2側面センサとのうち何れか他方に対する前記閾値を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載した発明によれば、障害物検知部により障害物の幅だけ検出すればよいため処理が複雑化することなく、さらに、この障害物検出手段によって検出された障害物の幅に応じて、接触判定手段において最適な判定条件に変更することができるため、誤作動を防止しつつ、障害物の幅に応じて変化する加速度センサの検出遅れを低減して迅速に乗員拘束装置の起動を行うことができる効果がある。
【0012】
請求項2に記載した発明によれば、接触判定手段によって障害物の幅が所定の閾値より小さいと判定された場合に、この幅が所定の閾値より小さい障害物に適した判定条件に変更することができるため、幅が所定の閾値より小さい障害物でない場合の誤作動を防止し、且つ、障害物の幅が所定の閾値より小さい場合には迅速に衝突の検知を行うことができる効果がある。
【0013】
請求項3に記載した発明によれば、側面センサによって検出された加速度が閾値に達した場合に、幅測定手段で測定された障害物の幅に応じて中央センサに対する閾値を変化させることができるため、側面センサよりも衝突検知が遅れる虞のある中央センサの閾値を最適化することができるため、側面センサと中央センサとを用いて誤動作を防止しつつ、より迅速な衝突検知を行うことができる効果がある。
【0014】
請求項4に記載した発明によれば、第1側面センサと第2側面センサとの何れか一方の検出結果に基づいて衝突が検出された際に、第1側面センサと第2側面センサとの何れか他方に対する閾値を幅測定手段で測定された障害物の幅に応じて変化させることができるため、衝突側のセンサよりも衝突検知が遅れる虞のある衝突側と反対側に配置されたセンサの閾値を最適化することができるため、第1側面センサと第2側面センサとを用いて誤動作を防止しつつより迅速な衝突検知を行うことができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1において、符号100はこの発明の実施の形態における車両を示している。ここで、この車両100は、側面からの衝突に対して乗員を車室内壁との2次衝突から保護するためのサイドエアバッグシステムを備えている。このサイドエアバッグシステムは、側面への衝突が生じた際にインフレータ(図示せず)を作動させて左右のドアライニング内や、シートバック内に収容され、各シートごとに設けられたエアバッグを展開することで乗員をドアライニング、サッシュおよびウインドウガラス等との2次衝突から保護する。なお、図1は、左右両側に2枚ずつドアDFR、DFL、DRR、DRLが設けられた車両の一例を示している。
【0016】
サイドエアバッグシステムにおける種々の制御処理は、制御ユニット(UNIT)Yにより行われる。この制御ユニットYは、車両100の車室内前方のインスツルメントパネル内に収容され、各種センサの出力に基づいて上述したインフレータの作動制御を行う。また、上記制御ユニットYには、車両100の幅方向略中央位置における加速度を検出する加速度センサSG2が内蔵されている。さらに、上記制御ユニットYには、車両側部に配置され車両側方からの衝突を検出する4個のサイドインパクトセンサSが接続されている。
【0017】
サイドインパクトセンサSは、車両100の4枚のドアDFR、DFL、DRR、DRLの外側のドアアウタパネルと内側のドアインナパネルとで画成された空間にそれぞれ配置されている。より具体的には、これらサイドインパクトセンサSは、ドアアウタパネルとドアインナパネルとで画成された空間のうち、ドアアウタパネルの近傍に配置されている。
【0018】
また、サイドインパクトセンサSは、加速度を検出する加速度センサSG1と、障害物Obの幅dを検出する幅取得用センサSdとを備えており、加速度センサSG1は、車両100の外面近傍における加速度を検出し、幅取得用センサSdは車両100の側方(外方)の障害物Obの有無を検出するとともにこの障害物Obの幅dを検出するように構成されている。そして、サイドインパクトセンサSは、上記加速度センサSG1と幅取得用センサSdとで検出された検出結果を上述した制御ユニットYに送信する。ここで、前記幅取得用センサSdは、例えば、音波や電波等のレーダや、カメラ等を用いることができる。なお、図1では、車両100の進行方向右側の障害物Obの検出を幅取得用センサSdで行っている場合を示している。
【0019】
図2に示すように、制御ユニットYにおけるサイドエアバッグの起動は、メインロジックとセ−フィングロジックとで構成された論理回路で実行される。メインロジックでは、サイドインパクトセンサSの加速度センサ(SIS−G)SG1と制御ユニットYの加速度センサ(UNIT Y−G)SG2とで検出された加速度が、それぞれ加速度センサSG1,SG2毎に設定された所定の閾値を超えたか否かを判定し、これらの結果の論理積をとる。
【0020】
一方、セーフィングロジックは、メインロジックの結果を再度確認するためのロジックであり、メインロジックで得られた論理積と、制御ユニットYの加速度センサSG2で検出された加速度が閾値を超えているか否かを判定した結果との論理積をとる。セーフィングロジックの出力がON、すなわち加速度センサSG1と加速度センサSG2との両者の加速度が閾値を超えている場合に、エアバッグ(AirBag)101を起動させる。なお、この論理回路では、加速度センサSG1の検出信号は、4箇所に設けられた全ての加速度センサSG1の検出結果の論理和をとればよい。
【0021】
ここで、図3のグラフは、衝突が発生した箇所の近傍に配置されたサイドインパクトセンサSの加速度センサSG1によって検出された加速度(SIS−G)および制御ユニットYの加速度センサSG2において検出された加速度(UNIT Y−G)の時間(横軸)に対する変化と、それぞれインパクトセンサSの加速度センサSG1の出力に基づいて衝突有無を判定するための閾値である衝突有無判定閾値(図3中、破線で示す)TH1と、制御ユニットYの加速度センサSG2の出力に基づいて衝突の有無を判定するための閾値である補正閾値(図3中、1点鎖線で示す)TH2とを示しており、例えば、ポールなどの幅の細い障害物が衝突した場合の一例である。また、衝突有無判定閾値TH1(例えば、150m/s程度)は、補正閾値TH2よりも大きい値に設定されており、閾値TH3に示す従来の閾値よりもやや低い値に設定されている。
【0022】
ここで、図3のグラフによれば、サイドインパクトセンサSの加速度センサSG1により検出される加速度(SIS−G)は、衝突発生とともに急激に増加して、直ぐに(例えば、2〜4ms程度後に)衝突有無判定閾値TH1に達する。これに対して、制御ユニットYの加速度センサSG2により検出される加速度は、サイドインパクトセンサSの加速度センサSG1で検出された加速度よりも衝突後の立ち上がりが緩慢となり所定の時間(例えば、10ms程度)経過後に急激に立ち上がる。これは、衝突による車体の変形に起因するものであり、この変形が大きいほど加速度センサSG2で検出される加速度の立ち上がりが遅れる傾向となる。そして、衝突による車体の変形は障害物Obの幅dが小さいほど大きくなるので、加速でセンサSG2によって検出される衝突時の加速度は障害物Obの幅dが小さいほど加速度センサSG1よりも急激に立ち上がるタイミングが遅くなることとなる。
【0023】
上述した補正閾値TH2は、上述した制御ユニットYによって可変となっており、制御ユニットYは、サイドインパクトセンサSによって検出された加速度が衝突有無判定閾値TH1に達したとの判定をすると、幅取得用センサSdの検出結果に基づいて、補正閾値TH2を変更する。ここで、幅取得用センサSdで検出された衝突物Obの幅dが、予め設定された所定の幅dth(例えば、1000mm程度)よりも短い場合には、衝突箇所から離間して配置されている制御ユニットYの加速度センサSG2によって検出される加速度(UNIT Y−G)が加速度センサSG1で検出される加速度(SIS−G)よりも急激に立ち上がるタイミングが遅れるため、制御ユニットYは、衝突有無判定閾値TH1よりも低い加速度の領域において前記所定の幅dthよりも小さい障害物Obの幅dに応じて、障害物の幅dが小さいほど補正閾値TH2を低く、障害物Obの幅dが長いほど補正閾値TH2を高く設定する。ここで、上記所定の幅dthとは、障害物Obが車両に対して衝突した場合に、車体の変形による加速度センサSG2での検出遅れが所定の時間(例えば、5ms程度)よりも大きくなる虞のある幅dである。
【0024】
したがって、上述の実施の形態によれば、非接触のセンサである幅取得用センサSdが障害物Obの幅dだけを検出すればよいため、対象となる障害物Obの種類を判定する場合よりも簡単な処理で済み、さらに、幅取得用センサSdによって検出された障害物Obの幅dに応じて、制御ユニットYで最適な補正閾値TH2に変更することができるため、障害物Obの幅dに応じて変化する制御ユニットYの加速度センサSG2による検出タイミングの遅れを低減して、誤作動を防止しつつ迅速にサイドエアバッグを起動することができる。
【0025】
また、制御ユニットYによって障害物Obの幅dが所定の幅dthよりも小さいと判定された場合に、加速度センサSG2で検出される加速度の補正閾値TH2を、所定の幅dthよりも小さい幅dの障害物Obに適した値に変更することができるため、障害物Obの幅dが所定の幅dthよりも小さくない場合のサイドエアバッグの誤作動を防止しつつ、障害物Obの幅dが所定の幅dthよりも小さい場合には迅速に衝突の検知を行うことができる。
【0026】
さらに、サイドインパクトセンサSの加速度センサSG1の加速度が閾値TH1を達した場合に、幅取得用センサSdで測定された障害物Obの幅dに応じて制御ユニットYの加速度センサSG2の検出結果に対する補正閾値TH2を変化させることができるため、サイドインパクトセンサSの加速度センサSG1よりも衝突検知が遅れる虞のある制御ユニットYの加速度センサSG2の検出結果に対する加速度の補正閾値TH2を低下させて最適化することができるため、誤動作を防止しつつより迅速な衝突検知を行うことができる。
【0027】
なお、この発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、例えば、サイドエアバッグシステム以外に、通常のエアバッグシステムに採用してもよい。さらに、上述の実施の形態ではサイドインパクトセンサSがドアDFR、DFL、DRR、DRL内に設けられ、制御ユニットYがインスツルメントパネル内に設けられている場合について説明したが、配置はこれに限られるものではなく、サイドインパクトセンサSと制御ユニットYとが離れた場所に設置されているものであればよい。
【0028】
さらに、サイドインパクトセンサSに加速度センサSG1と幅取得用センサSdとを設けた場合について説明したが、これら加速度センサSG1と幅取得用センサSdとを別体で設けても良い。
【0029】
また、上記実施の形態では複数のサイドインパクトセンサSのうち何れか一つのサイドインパクトセンサSの加速度センサSG1による加速度の検出結果と、制御ユニットYに設けられた加速度センサSG2の検出結果とを用いてサイドエアバッグの起動を制御する場合について説明したが、その他の態様として、例えば、幅方向の一方に設けられたサイドインパクトセンサSの加速度センサSG1(第1側面センサ)で検出された加速度と、他方に設けられたサイドインパクトセンサSの加速度センサSG1(第2側面センサ)で検出された加速度とを用いてサイドエアバッグの起動制御を行うようにしてもよい。
【0030】
このように構成する場合には、衝突が発生した側のサイドインパクトセンサSの加速度センサSG1で検出された加速度が衝突有無判定閾値TH1に達したときに、障害物Obの幅dに応じて、衝突が発生した側とは反対側に設けられているサイドインパクトセンサSの加速度センサSG1で検出された加速度の補正閾値TH2を最適な値に変化させ、衝突と反対側に配置された加速度センサSG1によって検出される加速度が補正閾値TH2に達した場合に上述したサイドエアバッグを起動する構成にすればよい。
【0031】
上記他の態様によれば、左右の加速度センサSG1のうち衝突側の加速度センサSG1で検出された加速度が衝突を判定する衝突判定閾値TH1に達した場合に、上述した実施の形態と同様に、衝突側と反対側の加速度センサSG1の閾値である補正閾値TH2を幅取得用センサSdで測定された障害物Obの幅dに応じて変化させることができるため、衝突側の加速度センサSG1よりも衝突検知が遅れる虞のある反対側の加速度センサSG1によって検出される加速度の閾値である補正閾値TH2を最適化することができるため、誤動作を防止しつつより迅速な衝突検知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態における乗員拘束装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態における制御ユニットの論理回路図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるサイドインパクトセンサの加速度センサで検出される加速度と、その衝突判定閾値と、制御ユニットの加速度センサで検出される加速度と、その補正閾値とを示すグラフである。
【図4】従来の乗員拘束装置の車両側部に設けられた加速度センサで検出される加速度と、車両の幅方向略中央に配置された制御ユニットの加速度センサで検出される加速度と、これら加速度の閾値を示すグラフである。
【図5】図4における閾値を低下させた場合のグラフである。
【符号の説明】
【0033】
SG1 加速度センサ(側面センサ)
SG2 加速度センサ(中央センサ)
100 車両
Sd 幅取得センサ(障害物検出手段、幅測定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両外方の障害物を検出する障害物検出手段と、
車体に作用する加速度を検出する加速度センサと、
該加速度センサの検出結果に基づいて接触の有無を判定する接触判定手段と、を備えた乗員拘束装置の起動システムであって、
前記障害物検出手段は、障害物の幅を測定する幅測定手段を備え、
前記接触判定手段は、前記幅測定手段の検出結果に基づいて接触の有無を判定する判定条件を変更し、前記加速度センサによって検出された加速度が前記判定条件を満たしたときに乗員拘束装置を起動させることを特徴とする乗員拘束装置の起動システム。
【請求項2】
前記接触判定手段は、前記障害物の幅が所定の閾値より小さいと判定された場合にのみ前記判定条件を変更することを特徴とする請求項1に記載の乗員拘束装置の起動システム。
【請求項3】
前記加速度センサは、車両の外面近傍に設置される側面センサと、
前記車両の中央近傍に設置される中央センサとを備え、
前記判定条件は、前記側面センサおよび中央センサのそれぞれに対して閾値を設定してなり、
前記接触判定手段は、前記側面センサの検出結果に基づき接触の有無を判定し、接触ありと判定した場合には、前記幅測定手段によって測定された前記障害物の幅に応じて、前記中央センサに対する前記閾値を変更することを特徴とする請求項1または2に記載の乗員拘束装置の起動システム。
【請求項4】
前記加速度センサは、車両の外面近傍に設置される第1側面センサと、該第1側面センサとは反対側の車両の外面近傍に設置される第2側面センサとを備え、
前記判定条件は、前記第1側面センサおよび前記第2側面センサのそれぞれに対して閾値を設定してなり、
前記接触判定手段は、前記第1側面センサと前記第2側面センサとのうち何れか一方に基づき接触の有無を判定し、接触ありと判定した場合には、前記幅測定手段の測定結果に基づいて、前記第1側面センサと前記第2側面センサとのうち何れか他方に対する前記閾値を変更することを特徴とする請求項1または2に記載の乗員拘束装置の起動システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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