説明

乗客コンベア

【課題】乗客コンベアのハンドレール表面に貼付けたフイルムの長手方向継目の端部々分におけるはがれを検出する乗客コンベアを提供する。
【解決手段】ハンドレール6の長手方向表面に継目端部7Dをもって貼付けられた長尺のフイルム7と、このハンドレール6の復路に設けられて異常な外力を検出してハンドレール6の移動を停止させる異常検出装置14を備える一方、前記継目端部7Dがはがれて垂れ下がった場合に、前記異常検出装置14が作動して前記ハンドレール6を停止させる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレーターや動く歩道などの乗客コンベアに係り、特に、そのハンドレールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来において乗客コンベアのハンドレールに長尺のフイルムを貼付けて広告の媒体とする構成は、例えば特許文献1に開示されているように、既に提案されている。
【0003】
この特許文献1に記載の乗客コンベアのハンドレールは、ハンドレール本体の表面長手方向に広告物の印刷フイルムを貼付けるようにしたものである。
【0004】
【特許文献1】特開2003−212468号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のハンドレールのフイルム貼付構成においては、貼付フイルムのハンドレールからのはがれを検出してトラブルの拡大を防止するための施策に関する言及はなかった。
【0006】
しかしながら、乗客コンベアの往復路で屈曲を繰り返すハンドレールは、その表面に接着固定されるフイルムの長手方向継目端部からはがれることが問題となっていた。
【0007】
本発明の目的は、ハンドレールに貼付けたフイルムの長手方向継目端部におけるはがれを検出する構成とした乗客コンベアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために、ハンドレールの継目端部がはがれて垂れ下がった場合に、ハンドレールの復路に設けられた異常検出装置を作動させてハンドレールの移動を停止させる構成としたのである。
【0009】
通常、乗客コンベアのハンドレールはその往路と復路において半円形、1/6円形および小円形に屈曲を繰り返すことから、ハンドレールにフイルムを接着固定した場合にその継目からはがれ始め、それが拡大すると乗客への危険、機器の破損を招くことになるが、このはがれ現象を異常検出装置によって検出することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ハンドレールに貼付けたフイルムの継目端部がはがれて垂れ下がった場合、ハンドレール等の移動を停止させることにより、被害の拡大を防ぎ得る乗客コンベアを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明による乗客コンベアの一実施の形態を図1〜図4に示すエスカレーターに基づいて説明する。
【0012】
一般に、エスカレーター1は、上階床2と下階床3に跨って支持された主枠4と、無端状に連結されて往路と復路を往復運動する多数のステップ5と、このステップ5と同期移動するものでその断面が平坦部6Aとこれに連なる両縁の半円部6Bで略C字形をなすハンドレール6と、この長手方向の表面に沿い、その平坦部6A(半円部6Bにかかる場合もある)に接着固定(接着部7A)される長尺のフイルム7を備えている。この場合、フイルム7はハンドレール6の全長に貼付けられるとともに、その長手方向の端部々分7Bにおいて図2に示すようにハンドレール6に接着固定された一方の継目端部7Cと、この継目端部7Cに重なり合う他方の継目端部7Dが接着固定(接着部7E)されている。また、ハンドレール6は駆動車9の動力をチェーン10を介して駆動ローラ11等に伝達された動力によって摩擦駆動されるもので復路を案内ローラ12、往路を欄干13等で構成される案内路に従って移動する仕組みになっている。さらに、ハンドレール6が欄干13内の機械内部に図2の矢印Yのように進入した後の復路には、図4に示すように主枠4に固定(図示省略)された電気スイッチからなる異常検出装置14を設けてある。
【0013】
ここで、フイルム7の端部々分7Dが復路においてはがれて継目端部7Bが垂れ下がって異常検出装置14に接触した場合に、図4の矢印Zのような力を作用させて異常検出装置14を作動させることによりハンドレール6の移動を停止させる。このため、フイルム7のはがれトラブルによる乗客への危険や機器の破損を防ぐことができる。
【0014】
以上説明したように、本実施形態によれば、ハンドレール6に貼付けたフイルム7がその端部々分7Bがはがれたのを検出してハンドレール6の移動を停止させることにより人身および機器への悪影響を排除することができる。
【0015】
なお、上記実施の形態は、乗客コンベアとしてエスカレーターを一例に説明したが、隣接ステップ同士に段差を有しない電動道路にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による乗客コンベアの一実施の形態を示す全体側面図。
【図2】図1の要部を拡大した断面図。
【図3】図2のA−A線に沿う断面図。
【図4】図1の要部を拡大した断面図。
【符号の説明】
【0017】
1…エスカレーター,5…ステップ,6…ハンドレール
7…フイルム,7C、7D…継目端部,14…異常検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状に連結されて往路と復路を往復移動する多数のステップと、このステップと同期移動するものでその断面が略C字形のハンドレールと、このハンドレールの長手方向表面に継目端部をもって貼付けられた長尺のフイルムを設けた乗客コンベアにおいて、前記ハンドレールの復路に、前記フイルムの継目端部がはがれて垂れ下がった場合に、その垂れ下がり部が接触することによって作動し、前記ハンドレールを停止させる異常検出装置を備えたことを特徴とする乗客コンベア。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate