説明

乗物における天井の清掃装置

【課題】乗物における天井やこれに設けてある多数のルーバーの清掃を行うに当たって、作業効率をアップできてしかも作業時間を短縮することのできる清掃装置を提供すること。
【解決手段】乗物の床面上を移動する台車10と、この台車10に対して垂直方向に伸縮可能に立設した支柱20と、この支柱20上に設けられて台車10に対して回転自在にした第一支持台30aと、この第一支持台30aに対して横方向へ往復動可能に組み付けた第二支持台30bと、この第二支持台30bに組み付けた少なくとも1本の回転モップ40と、この回転モップ40を回転駆動すべく第二支持台30bに設けたモータ50とにより構成したこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車、バスあるいは航空機等の乗物における天井を清掃するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
列車、バスあるいは航空機等の乗物200における天井202は、図1にも示すように、その下を通る不特定多数の人の目に付き易いだけでなく、エアコンディショナーからの吹き出し口があって、この吹き出し口からの空気の吹き出しによって汚れ易い部分ともなっているため、定期的な清掃を行わなければならない。しかも、エアコンディショナーの吹き出し口には、多数のルーバー203が存在していることがあり、機械的な清掃が天井202の他の平らな部分と同じようには行いづらく、従来では人手に頼らざるを得ない作業となっていた。
【0003】
それだけでなく、乗物200における天井202の清掃作業は、例えば定期運行している乗物であれば、壁201等の他の部分とも併せて、次の発車時刻までの非常に短かい時間内に終わらなければならず、そのことだけでも大変な作業となっていたのである。
【0004】
勿論、例えば列車の「車内清掃」等については、例えば特許文献1〜特許文献4に示されているような装置あるいは方法があるが、これらの装置あるいは方法では、上記の乗物における天井の清掃作業は、以下に述べるような理由によって行えないものであった。
【0005】
まず、特許文献1及び特許文献2には、「電車内を自走しながら洗浄清掃する清掃ロボットを実現する」ことを目的として、図5〜図9に示すように、「この発明の清掃ロボットは、走行距離検出手段で走行駆動装置の駆動輪を用いて走行距離を検出し、測距手段によって側方に位置するシート、ドア、壁からの距離を測定し、この測距手段によって測定した現在位置での測距結果をあらかじめ設定されている走行ルートの基準距離と比較し、その偏差を位置偏差検出手段によって求め、この偏差に基づき基準距離に戻すために必要なステアリング量をステアリング量演算手段によって求め、そのステアリング量に基づいて自動走行させ、車内の自動清掃を行なう。」という構成を有した「清掃ロボット」が提案されている。
【0006】
また、特許文献3には、「未清掃部が発生せず、凸部のいかなる位置であっても清掃が開始できる清掃ロボットの制御装置を提供すること」を目的として、図6に示すように、「電車内の凹部21と凸部20の移り変わりを表すエッジを検出するためのセンサ1 と、凹部21と凸部20の側面までの距離を測定しながら清掃ロボット本体30を自走誘導するための距離センサ2 と、1 、2 で検出された検出値に基づき現在位置が21、20、該つま部のいずれかであるかを認識する位置認識装置6 と、本体30の走行に伴う走行開始から現在までの凹部の個数をカウントするカウンタ7 と、既知の凹部全数9 と7 のカウント数の比較により現在の本体30の走行位置が凸部21、凹部20、つま部のいずれかであるかを判断し、この位置に対応する走行パターンを判断する判断装置11と、11で判断した走行パターンに基づき本体30の走行制御装置18に渡すための作成するパターン作成装置17を具備したもの」という構成を有したものである。
【0007】
さらに、特許文献4には、「特急電車などの荷棚に取り付けられた空気清浄機の内部を略完全に清掃できると共に、清掃作業の能率が向上し、また、空気清浄機内の塵埃などの汚れ成分が清掃時に外部に拡散するのを抑制できる清掃装置の提供」を目的として、図7〜図13に示したように、「清掃装置1は、空気取入口31を有する箱体32と、この箱体32内に取り付けられたファン33とを備えた空気清浄機3を清掃するものである。この清掃装置1は、上記空気取入口31に気密に係止されるケース11と、このケース11に形成され空気取入口31に連続する開口12と、ケース11内に圧力空気吹き付け用の空気ノズル13を挿入するノズル挿入部14と、ケース11内の空気をケース11外に排出する排気口15とを備えている。そして、ノズル挿入部14は、ケース11の側面に沿って略隙間なく並べられた複数の弾性部材である帯状のゴム20で構成」したものである。
【特許文献1】特開平5−324060号公報、要約、代表図
【特許文献2】特開平5−324062号公報、要約、代表図
【特許文献3】特開平8−95639号公報、要約、代表図
【特許文献4】特開2004−322032号公報、要約、代表図
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1及び2の「清掃ロボット」は、図8及び図9に示すように、あくまでも乗物の床面を清掃するものであって、例えば、当該文献の段落0001に記載されているように、「電車のような列車の車内床面をシート、ドア、壁に沿って自走しながら清掃用具により洗浄清掃する清掃ロボット」に関するものであり、図5及び図6に示すような乗物200の網棚210上の壁201や天井202の清掃を行うことは予定していないものである。
【0009】
勿論、これらの特許文献1及び2に記載されている「清掃ロボット」は、経費の掛かる「人手」による車内清掃をこの「清掃ロボット」によって自動的に行おうとする趣旨は理解できるが、列車の車内清掃に限って言っても、忘れ物のチェックも行わなければならず、しかも折り返し運行するような場合のように、短時間内に清掃作業を済まさなければならないから、逆に「清掃ロボット」の手を借りることは、作業の効率アップには繋がらないと考えられる。
【0010】
以上のことは、特許文献3に記載されている「清掃ロボットの制御装置」についても同様に言えることであり、図6に示すように、乗物200の床面上の清掃しか考慮しておらず、乗物200の壁201や天井202の清掃は不可能になっているものと考えられる。
【0011】
その点、特許文献4に記載された「空気清浄機の清掃装置」は、「特急電車の荷棚に取り付けられた空気清浄機などを清掃する際に好適な空気清浄機の清掃装置」であるから、図8に示したように、「空気取入口31に気密に係止されるケース11と、このケース11に形成され空気取入口31に連続する開口12と、ケース11内に圧力空気吹き付け用の空気ノズル13を挿入するノズル挿入部14と、ケース11内の空気をケース11外に排出する排気口15とを備えている」必要があり、このような状態では、乗物200の壁201や天井202の清掃を行うことはできないと考えられる。
【0012】
換言すれば、従来では、乗物200の壁201や天井202の清掃を「人手」に依らず「機械的」に行うことは全く考慮されておらず、相変わらず、乗物200の壁201や天井202の清掃作業は、殆ど「人手」に頼った苦痛を伴うものとなっていたのである。
【0013】
特に、乗物200によっては、図1にも示すように、その天井202の一部に多数のルーバー203が露出していることがあり、これらのルーバー203の清掃は、平面的な天井202とは異なった清掃方法を採用しなければならず、どうしても「人手」に頼らざるを得ないものとなっているのである。
【0014】
そこで、本発明者等は、乗物200の壁201や天井202の清掃をある程度「機械的」に行い得るようにして、作業効率のアップと作業時間の短縮を行うにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0015】
すなわち、本発明の目的とするところは、乗物200における天井202やこれに設けてある多数のルーバー203の清掃を行うに当たって、作業効率をアップできてしかも作業時間を短縮することのできる清掃装置100を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
「列車やバスあるいは航空機等の乗物200における天井202を清掃するための装置であって、
乗物200の床面上を移動する台車10と、この台車10に対して垂直方向に伸縮可能に立設した支柱20と、この支柱20上に設けられて台車10に対して回転自在にした第一支持台30aと、この第一支持台30aに対して横方向へ往復動可能に組み付けた第二支持台30bと、この第二支持台30bに組み付けた少なくとも1本の回転モップ40と、この回転モップ40を回転駆動すべく第二支持台30bに設けたモータ50とにより構成したことを特徴とする清掃装置100」
である。
【0017】
すなわち、この請求項1に係る清掃装置100は、図1〜図3に示すように、乗物200の床面上を移動する台車10と、この台車10に対して垂直方向に伸縮可能に立設した支柱20と、この支柱20上に設けられて台車10に対して回転自在にした第一支持台30aと、この第一支持台30aに対して横方向へ往復動可能に組み付けた第二支持台30bと、この第二支持台30bに組み付けた少なくとも1本の回転モップ40と、この回転モップ40を回転駆動すべく第二支持台30bに設けたモータ50とにより構成したことをその基本とするものである。
【0018】
一方、本発明の対象である乗物200の一種としての列車を見てみると、この列車では、図1に示すように、その中央の通路の左右に座席が配列してあり、各座席列の上には網棚210が設けてある。そして、これらの網棚210の内奥には曲面化された壁201がそれぞれ形成してあって、両壁201は通路上で中央上部の天井202に連なっている。
【0019】
さて、本発明に係る清掃装置100を構成している台車10は、上述した乗物200内の通路上を搬送されるものであり、図1〜図3に示すように、各キャスター12によって移動し易くしてあるとともに、支柱20、第一支持台30a、第二支持台30b、回転モップ40、及びモータ50を支えることができる程度の剛性を有したものとしてある。
【0020】
支柱20は、台車10に対して垂直に支持されたものであり、台車10上に固定される外支柱20aと、この外支柱20aに対して伸縮される内支柱20bとからなっている。この内支柱20bは、後述する最良形態の清掃装置100ではボールネジを内蔵したものであり、このボールネジは、図2に示すように、台車10内に内蔵した昇降モータ21によって回転される。つまり、この支柱20の伸縮は、最良形態の場合には、昇降モータ21の正逆回転によって、内支柱20bの外支柱20aに対する上下動によって行えるようにしてあるが、これに限るものではなく、例えば、流体圧を利用して内支柱20bを外支柱20aに対して伸縮するように構成してもよい。そして、この支柱20の上端には、図2にも示すように、第一支持台30aが設けてあり、この第一支持台30a上には第二支持台30bが横方向に往復動可能に設けてある。
【0021】
第一支持台30aは、台車10に対して少なくとも90°回転できるようにしてある。この第一支持台30aの台車10に対する回転は、後述する最良形態では、支柱20内に回転軸を挿入しておき、この回転軸の上端に第一支持台30aを連結しておいて、この回転軸を、台車10内に上述した駆動モータ21とは別のモータによって所定角度回転駆動することによってなされるものである。つまり、この第一支持台30aは、回転モップ40やそのモータ50を支持するだけでなく、各回転モップ40の回転軸41の方向を、台車10の進行方向に対して直交させたり、平行にしたりするものである。
【0022】
一方、第一支持台30a上に組み付けた第二支持台30bは、各回転モップ40を回転自在に支持するものであるとともに、各回転モップ40を支持したままの状態で第一支持台30a上を横方向に往復動できるようにしたものである。また、この第二支持台30bにはモータ50が取り付けてあって、このモータ50の回転駆動力が、左右2本の回転モップ40の各回転軸41に伝達できるようにしてある。
【0023】
各回転モップ40は、図1に示すように、その各回転軸41がモータ50の回転駆動力によって回転したとき、乗物200の天井202の清掃を行うものである。後述する最良形態の清掃装置100においては、この回転モップ40は左右で2個のものとしてあり、各回転モップ40の回転方向を互いに反対となるようにして、回転による力のバランスを図るようにしてある。そして、各回転モップ40はその回転軸41に対して取付あるいは取り外しが自在に行えるようにしてある。
【0024】
勿論、後述の最良形態では、回転モップ40を左右2本のものとしているが、例えば何れか一方のみを使用するように実施してもよい。なお、各回転モップ40には、洗剤を浸み込ませたり、各種の表面剤やワックス等を添加したりすることができるものである。
【0025】
以上のように構成した清掃装置100は、図1に示すように、人が押して乗物200の通路内に搬入できる程度の大きさのものとなっており、清掃すべき乗物200が到着するのを、乗物200内とは別の場所で待機する。対象となる乗物200が到着すれば、作業者は、この清掃装置100を押して乗物200内に入る。
【0026】
乗物200内に入った清掃装置100については、図2及び図3中の仮想線にて示すように、支柱20を伸張させて各回転モップ40の上端が天井202に当接するようにする。この状態で、モータ50によって各回転モップ40を回転させるとともに、第二支持台30bを第一支持台30aに対して往復動させると、各回転モップ40の上端が天井202に回転しながら当接するから、この天井202の清掃が行われるのである。そして、そのような作業を行いながら台車10自体を押していけば、天井202全体の清掃が簡単に行えるのである。
【0027】
以上のような天井202の清掃作業を進めていくと、図1に示すように、多数のルーバー203があるエアコンディショナーの排出口に来ることがある。ここで、各回転モップ40の上端の回転方向が各ルーバー203の方向と異なっていれば、支柱20を一旦下げてから、各回転モップ40の回転方向が各ルーバー203の方向となるように第二支持台30bを第一支持台30aに対して回転させて再び支柱20を上昇させ、各ルーバー203の清掃を行うのである。
【0028】
勿論、各回転モップ40の上端の回転方向が各ルーバー203の方向と同じであれば、第二支持台30bを第一支持台30aに対して往復動させながらそのまま台車10自体を押していけば、天井202全体の清掃が簡単に行えるのである。
【0029】
また、もし、乗物200の天井202の清掃について、その洗浄とつや出しが必要な場合には、例えば洗浄では清掃装置100を乗物200の前進端まで前進させ、つや出しでは、そのための回転モップ40に交換してから、清掃装置100を後退端まで後退させればよい。そのために、最良形態の清掃装置100では、その台車10にモップ受け13が設けてあって、このモップ受け13内に交換すべき回転モップ40を収納できるようにしてある。
【0030】
以上のようにして清掃装置100を使用すれば、ルーバー203の存在を確かめながら、単に当該清掃装置100を通路上を押して行くだけで、乗物200の天井202やルーバー203の清掃を効率的にかつ短時間内で行えるのである。
【0031】
従って、この請求項1の清掃装置100は、乗物200の天井202や、これに設けてある多数のルーバー203の清掃を行うに当たって、作業効率をアップできてしかも作業時間を短縮することができるものとなっているのである。
【0032】
上記課題を解決するために、請求項2に係る発明の採った手段は、上記請求項1に記載の清掃装置100について、
「台車10の側面に、乗物200の床面に形成してある段部220の通路側壁面221に当接するガイド板11を位置調整可能に設けたこと」
である。
【0033】
すなわち、この請求項2に係る清掃装置100は、図2に示すように、台車10の側面にガイド板11を設けたものである。このガイド板11は、台車10に対して自在に伸縮できて位置調整可能にしたものであり、かつ、図4に示すように、乗物200の床面に形成してある段部220の通路側壁面221に当接するものである。
【0034】
清掃装置100がその台車10の側面にガイド板11を設けたものであれば、図4に示すように、このガイド板11を、乗物200の床面に形成してある段部220の通路側壁面221に当接させることにより、当該清掃装置100の移動時の位置を常に両通路側壁面221間になるようにすることができるのである。
【0035】
つまり、各ガイド板11の位置を乗物200の通路幅に合ったものにしておけば、当該清掃装置100の乗物200内への搬入や通路上での移動を各通路側壁面221に沿った状態で行えることになり、当該清掃装置100による清掃作業を安定したものとすることができるのである。勿論、乗物200の種類によって段部220の通路側壁面221間の幅が異なっているから、ガイド板11は台車10に対して位置調整可能に設けておくと有利である。
【0036】
従って、この請求項2に係る清掃装置100は、上記請求項1のそれと同様な機能を発揮する他、ガイド板11を通路側壁面221に当接させながら清掃装置100を移動させることにより、当該清掃装置100の乗物200内への搬入や清掃作業時の走行性を安定させ得るのである。
【発明の効果】
【0037】
以上、説明した通り、本発明においては、
「列車やバスあるいは航空機等の乗物200における天井202を清掃するための装置であって、
乗物200の床面上を移動する台車10と、この台車10に対して垂直方向に伸縮可能に立設した支柱20と、この支柱20上に設けられて台車10に対して回転自在にした第一支持台30aと、この第一支持台30aに対して横方向へ往復動可能に組み付けた第二支持台30bと、この第二支持台30bに組み付けた少なくとも1本の回転モップ40と、この回転モップ40を回転駆動すべく第二支持台30bに設けたモータ50とにより構成したこと」
にその構成上の主たる特徴があり、これにより、乗物200の天井202や、これに設けてある多数のルーバー203の清掃を行うに当たって、作業効率をアップできてしかも作業時間を短縮することのできる清掃装置100を提供することができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
次に、以上のように構成した各請求項に係る発明を、図面に示した最良の形態である清掃装置100について説明するが、この最良形態の清掃装置100は、上記各請求項に係る発明の全てを実質的に含むものである。
【0039】
図1には、本発明に係る清掃装置100の斜視図が示してあるが、この清掃装置100では、各回転モップ40の上端が乗物200の天井202、あるはこれに設けてある多数のルーバー203の清掃作業を行っている状態が示してある。
【0040】
この清掃装置100は、図2及び図3に示したように、列車やバス、あるいは航空機等の乗物200の床面上を移動する台車10と、この台車10に対して垂直方向に伸縮可能に立設した支柱20と、この支柱20上に設けられて台車10に対して回転自在にした第一支持台30aと、この第一支持台30aに対して横方向へ往復動可能に組み付けた第二支持台30bと、この第二支持台30bに組み付けた少なくとも1本の回転モップ40と、この回転モップ40を回転駆動すべく第二支持台30bに設けたモータ50とを備えたことを基本構成としているものである。
【0041】
台車10は、当該清掃装置100の基部を構成するものであり、図1等に示したように、その下面にキャスター12を設けることにより、清掃装置100全体を一体として移動自在なものとしてある。なお、本最良形態の台車10では、図2に示したように、その側面にモップ受け13を形成しておいて、このモップ受け13内に、予備の、あるいは洗剤またはワックスを浸み込ませた回転モップ40を収納しておけるようにしてある。
【0042】
また、この最良形態の台車10は、図2及び図4に示したようなガイド板11を備えたものである。このガイド板11は、図4に示したように、当該台車10に対して伸縮自在に組み付けたものであり、その調整位置にて固定できるようにし、かつ、乗物200側の段部220を構成している通路側壁面221に対して摺動可能にしてある。つまり、このガイド板11は、乗物200が通路側壁面221を有するものである場合に、この通路側壁面221に当接することにより、乗物200の通路内を移動する清掃装置100の位置を安定させるものであり、作業時の位置決めを行うものである。勿論、このガイド板11の突出量は、乗物200の形態に応じて適宜調整できるものであることは言うまでもない。
【0043】
以上のような台車10に対しては、図1〜図3に示したように、支柱20が立設してある。本最良形態の支柱20は、台車10上に固定される外支柱20aと、この外支柱20a内に昇降可能に収納した内支柱20bとからなっているものであり、この内支柱20bは、例えばボールネジ等を介して、外支柱20aに対して昇降されるものである。そのために、台車10内には昇降モータ21が組み込んであり、この昇降モータ21の駆動力によって上述したボールネジが左右何れかに回転されて、当該支柱20の伸縮を行うようにしてある。
【0044】
支柱20の上端には第一支持台30aが設けてあり、この第一支持台30aは台車10に対して回転でき、かつその回転位置にて固定できるようにしてある。つまり、この第一支持台30aは、各回転モップ40を取り付けた第二支持台30bを支持したままの状態で、手動あるいは機械力により、支柱20に対して少なくとも90°回転できるようにしてある。
【0045】
本最良形態においては、この第一支持台30aの台車10に対する回転は、支柱20内に回転軸を挿入しておき、この回転軸の上端に第一支持台30aを連結しておいて、この回転軸を、台車10内に収納した上述の駆動モータ21とは別のモータによって所定角度回転駆動してなされる。勿論、この第一支持台30aの回転は手動によって行うようにしてもよい。
【0046】
また、この第一支持台30a上には、図2及び図3に示したように、第二支持台30bが組み付けてあって、この第二支持台30bは、第一支持台30aに対して横方向に往復動可能にしてある。なお、この第二支持台30bの往復動を行うモータは第一支持台30aが内蔵している。そして、この第二支持台30bには、モータ50が減速機51を介して取り付けてあって、このモータ50の駆動力によって回転駆動される次に述べる各回転モップ40も組み付けてある。
【0047】
つまり、この第二支持台30bには、図3等に示したように、左右2本の回転モップ40の回転軸41が支持してあるが、この回転軸41は上述した第二支持台30bに取り付けたモータ50の回転駆動力によって回転されるようにしてある。
【0048】
各回転モップ40は、図1に示したように、乗物200の天井202の比較的広い面に当接し得るものであり、その各回転軸41が回転したとき、上記した天井202の清掃を行うものである。勿論、本最良形態では、回転モップ40を左右2本のものとしているが、例えば何れか一方のみを使用するように実施してもよい。なお、各回転モップ40には、洗剤を浸み込ませたり、各種の表面剤やワックス等を添加したりすることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上のように構成した本発明に係る清掃装置100は、これによる清掃作業を効率的かつ短時間内に行えるから、乗物200の折り返し運転を効率的にし、乗物200の清掃作業による待機時間を短縮することができる。このため、この清掃装置100を使用することによって、乗物200の運行を時間的無駄なく行えるのであり、公共交通機関の効率アップを図ることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る清掃装置を使用して列車の車内の清掃を行っている状態を示す部分斜視図である。
【図2】同清掃装置の側面図である。
【図3】同清掃装置の平面図である。
【図4】同清掃装置におけるガイド板が乗物側の通路側壁面に当接している状態の部分斜視図である。
【図5】従来の技術を示すもので、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図6】他の従来の清掃装置を使用して乗物の床上清掃を行う様子を、(a)と(b)との2種類を示した平面図である。
【図7】さらに別の従来技術を示す部分斜視図である。
【図8】図7に示した清掃装置によって実際に清掃を行っている様子を示した部分断面図である。
【符号の説明】
【0051】
100 清掃装置
10 台車
11 ガイド板
12 キャスター
13 モップ受け
20 支柱
20a 外支柱
20b 内支柱
21 昇降モータ
30a 第一支持台
30b 第二支持台
40 回転モップ
41 回転軸
50 モータ
51 減速機
200 乗物
201 壁
202 天井
210 網棚
220 段部
221 通路側壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車やバスあるいは航空機等の乗物における天井を清掃するための装置であって、
前記乗物の床面上を移動する台車と、この台車に対して垂直方向に伸縮可能に立設した支柱と、この支柱上に設けられて台車に対して回転自在にした第一支持台と、この第一支持台に対して横方向へ往復動可能に組み付けた第二支持台と、この第二支持台に組み付けた少なくとも1本の回転モップと、この回転モップを回転駆動すべく前記第二支持台に設けたモータとにより構成したことを特徴とする清掃装置。
【請求項2】
前記台車の側面に、前記乗物の床面に形成してある段部の通路側壁面に当接するガイド板を位置調整可能に設けたことを特徴とする請求項1に記載の清掃装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−196088(P2007−196088A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−14689(P2006−14689)
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(506005477)柿ケ瀬重機株式会社 (4)
【Fターム(参考)】