説明

乗用作業機

【課題】構成が比較的簡素でありながら、小回りが効き、草刈作業等を効率良く、迅速かつ円滑に行うことができる乗用作業機を提供する。
【解決手段】エンジン22等の走行駆動系、作業用駆動系、運転席18及び操作系が配在されたメインフレーム20と、該メインフレーム20に水平面内で回動可能に支持されるとともに、操舵輪16、16の車軸60が一体回動可能に連結されたサブフレーム40を備え、前記サブフレーム40と前記メインフレーム20のいずれか一方に、前記メインフレーム20側からの荷重を受ける転動部材としてのローラー47、47が設けられるとともに、他方に、前記ローラー47、47が転動する回動案内面部材27が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果樹園の下草刈等に用いられる乗用草刈機(乗用モア)や芝刈機等の乗用作業機に係り、特に、構成が比較的簡素でありながら、小回りが効き、草刈作業等を効率良く、迅速かつ円滑に行うことができる乗用作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の乗用作業機として、下記特許文献1、2等に見られるように、車体フレームが前側フレームと後側フレームとに分割され、両フレームをピボット等を持つ関節部で連結し、それらを水平面内で相対的に回動可能とした、つまり、前二輪もしくは後二輪を操舵輪とした中折れ式(アーティキュレート式)のものが知られている。
【0003】
また、果樹園の下草刈等に用いられる乗用草刈機としては、前輪操舵で草刈部が前輪と後輪の間にある構造のものが多い。
別の構造の乗用草刈機(ゴルフ場芝刈り機等)として、前記特許文献2等に見られる如くの、後輪操舵で草刈部を前輪の前方に配置したものも知られている。
【0004】
【特許文献1】実開昭60−156921号公報
【特許文献2】特開昭2000−270651号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記中折れ式(アーティキュレート式)の乗用作業機では、前側フレームと後側フレームとを連結する関節部分に大きな荷重が加えられるため、該関節部分の強度を充分に確保しておくことが要求され、加えて、中折れ式であるが故に、エンジンの動力伝達系等に油圧等を利用した複雑な構造のものを採用せざるを得ず、コスト高、重量増、複雑化等を招いていた。
【0006】
また、前輪操舵で草刈部が前輪と後輪との間(車体中央下側)にある構造の乗用草刈機は、最小回転半径が比較的大きく、車輪旋回軌跡と草刈部回転軌跡とのずれによる刈り残しが発生し易いという問題がある。さらに、刈刃部の真上に運転席があるため、繁茂した果樹の枝下や田圃の端などの草刈りを行うことが難しく、実質的に通り抜け走行できる部分のみが作業範囲(刈り取れる部分)となるという問題もあった。
【0007】
また、前記特許文献2に見られる如くの、草刈部を前輪の前方に配置した後輪操舵の乗用草刈機(ゴルフ場芝刈り機等)は、全長が長くなる傾向があり、加えて、後輪操舵による尻振りが大きくなるため、樹木が入り組んだ果樹園内では走行操縦が難しく、また、機構も複雑になるため、コスト高となる等の問題があった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、構成が比較的簡素でありながら、小回りが効き、草刈作業等を効率良く、迅速かつ円滑に行うことができる乗用作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成すべく、本発明に係る乗用草刈機は、基本的には、エンジン等の原動機を含む走行駆動系、作業用駆動系、運転席及び操作系が配在されたメインフレームと、該メインフレームに水平面内で回動可能に支持されるとともに、操舵輪の車軸が一体回動可能に連結されたサブフレームを備え、前記サブフレームと前記メインフレームのいずれか一方に、前記メインフレーム側からの荷重を受ける転動部材が設けられるとともに、他方に、前記転動部材が転動する回動案内面部材が設けられていることを特徴としている。
【0010】
好ましい態様では、前二輪が駆動輪、後二輪が操舵輪となっていて、前記後輪の前記車軸が前記サブフレームに一体回動可能に連結される。
より好ましい態様では、前記サブフレーム及び操舵輪の前記車軸の回動中心は、前記車軸の中心より車体前後方向にオフセットされる。
前記操舵輪の前記車軸は、好ましくは、前記サブフレームに設けられたセンターピンを中心として鉛直面内で揺動可能とされる。
【0011】
他の好ましい態様では、前二輪が駆動輪、後二輪が操舵輪となっていて、前記前二輪の前方に草刈部が配置される。
別の好ましい態様では、前記後二輪が操舵輪で従動輪となっており、前記後輪の一方と前記車軸とが一体回転するようにされ、かつ、前記後輪の他方は、前記車軸に自由回転可能に取り付けられるとともに、前記後輪の他方と前記車軸との間に、それらを任意に接離できるクラッチ手段が介装される。
【発明の効果】
【0012】
上記の如くの構成とされた本発明に係る乗用作業機では、次のような作用効果が得られる。
(1)動力伝達がメインフレーム上のみで行えるため、従来のアーティキュレート式のものに比べ、構造が簡単で軽量、コンパクトにできる。
(2)メインフレーム側からの荷重は、メインフレームに設けられた回動案内面部材又は転動部材→サブフレームに設けられた転動部材又は回動案内面部材→操舵輪(後二輪)で受けるため、従来のもののように、関節部分に大きな荷重は加えられず、関節部分(回動支点)は、サブフレーム及び操舵輪を水平面内で回動させ得る強度があれば良いので、関節部分の構造を簡略化でき部品コスト等を抑えることができる。
(3)後二輪が操舵輪とされ、この後輪の車軸が連結されたサブフレームは、メインフレームに対して水平面内で回動可能に支持されるとともに、サブフレーム及び操舵輪の車軸の回動中心が、前記車軸の中心より前方にオフセットされることにより、最小回転半径を前輪操舵のものに比べて小さくすることができるとともに、後輪操舵のような尻振り現象も抑えることができ、特に、樹間走行に好適となって、草刈作業等を効率良く、迅速かつ円滑に行うことができる。
(4)草刈部が前輪の前方に配置され、後輪を操舵するようにされた場合、草刈部の回転半径が小さくなり、刈り残しが少なくなる。また、運転席からの視認性が高く、特に草刈り操作性に優れたものとなる。
(5)草刈部が前方にあるため、従来のように通り抜けする必要が無く、枝奥の草刈りに優位である。
(6)前後の車軸間に草刈部がないこと及び後車軸が鉛直面内で揺動するようにされることにより、凸地での走破性が高くなる。
(7)運転席は前車軸から車輌中心にかけて配置され、最後部にエンジンが配置されることにより、従来の乗用草刈機に比べて全長を短くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の乗用作業機の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1〜図6は、それぞれ本発明に係る乗用作業機(乗用草刈機)の一実施形態を示す前方斜視図、後方斜視図、平面図、背面図、底面図、及び外装部分を取り去った基幹部分の前方斜視図である。
【0014】
図示例の乗用草刈機10は、車体12の前部に駆動輪としての前輪14、14が、また、車体12の後部に操舵輪としての後輪16、16が配置され、前輪14、14の前方に横並び3連の草刈刃を持つ草刈部15が配置されている。車体12の前部中央にはステアリングハンドル17が配置され、車体12中央には運転席18が設けられ、運転席18周りには、各種操作部材が配在されている。
【0015】
車体12の基幹部分は、図6に示される如くに、梯子状のメインフレーム20で構成されており、このメインフレーム20の後部上にエンジン22が搭載されている。エンジン22の動力は、図6に加えて図7を参照すればよくわかるように、二段ベルトプーリ式動力伝達機構24により、メインフレーム20の前部側下方に配置されたトランスミッション25に伝達され、このトランスミッション25から前輪14、14へ走行駆動力として、また、草刈部15へその刈取用動力等として伝達される。
【0016】
したがって、本実施形態においては、メインフレーム20に、エンジン22やトランスミッション25等の走行駆動系、作業用駆動系、運転席及び操作系等が配在されている。
【0017】
また、メインフレーム20の後部下側には、後述するローラー44が転動するレールの役目を果たす逆半皿状の回動案内面部材27が取付固定されている。
この回動案内面部材27の前端側下面には、ステアリングハンドル17の操舵量(回転角度)に応じて後輪16、16の車軸60(車軸ケース62)を水平面内で回動させるための操舵旋回機構30が設けられている。
【0018】
操舵回動機構30は、機構ケース部32、この機構ケース部32内に垂直姿勢で回転自在に配在された操舵用回転軸33、該回転軸33に近接して平行に垂直姿勢で配在された回動用中心軸36、該回動用中心軸36に回転自在に外嵌された段付きの回動用回転筒軸37、及び、サブフレーム40を備えている。
【0019】
前記操舵用回転軸33の上部には、ステアリングハンドル17の操舵量(回転角度)に応じて前記操舵用回転軸33を回転させるための巻掛伝動チェーン34aが巻き掛けられるスプロケットホイール34bがキー止め、スプライン結合等により一体回転可能に取付固定されている。この操舵用回転軸33の中央部には、前記サブフレーム40を水平面内で回動させるための歯車部35が設けられている。
【0020】
一方、前記回動用中心軸36は、機構ケース部32の底板32a上に乗せられ、その上下端部外周にはスリーブ38、39が外嵌され、前記回動用回転筒軸37と上側のスリーブ38との間には、スラストベアリング41が介装されている。回動用回転筒軸37の大径段差部37a上には、図7に加えて、図8及び図9を参照すればよくわかるように、平面視概略扇形状(銀杏葉状)のカム板43が外嵌されて、圧入、溶接、キー止め、スプライン結合等により一体回転可能に取付固定されている。このカム板43の前部側(操舵用回転軸33側)には、所定の角度範囲にわたって、前記歯車部35に噛合する歯車部45が設けられている。
【0021】
また、回動用回転筒軸37の大径段差部37a下には、前記サブフレーム40の前部が外嵌されて圧入、溶接、キー止め、スプライン結合等により一体回転可能に取付固定されている。このサブフレーム40は、断面逆溝形状で平面視長方形のアーム状となっており、その後端側は、前記メインフレーム20の後端より後方に突出させられている。
【0022】
このサブフレーム40における左右両側面の中央部付近には、前記メインフレーム20側からの荷重を受ける転動部材としてのローラー47、47が溶接等により取付固定されている。このローラー47、47は、前記回動案内面部材27の下面外周端部付近を転動するようになっている。
【0023】
また、サブフレーム40の中央部付近下面には、支持板48が溶接等により固着されており、この支持板48とサブフレーム40の前側板48との間を橋絡するようにセンターピン50が水平姿勢で挿入固定されている。このセンターピン50には、揺動用スリーブ52が回転自在に外嵌されており、この揺動用スリーブ52と後輪16、16の車軸60に外挿された車軸ケース62とが三角形状の前後の連結板63、64により連結固定されている。
【0024】
一方、前記カム板43とこれに近接配置された押圧アーム機構70とでステアリング中立復元機構が構成される。押圧アーム機構70は、図9を参照すればよくわかるように、メインフレーム20(回動案内面部材27)に取付固定されたアーム連結保持部材75と、ステアリングハンドル17が操作されていない中立位置にあるとき、カム板43のカム面(外周端面)の中央(最も張り出している部分)に圧接する押圧ベアリング部73が先端部に設けられた第1アーム72と、この第1アーム72と協同してL形アームを形成するように、前記アーム連結保持部材75を介して前記第1アーム72に一体回転可能に連結された第2アーム74と、第1アーム72(押圧ベアリング部73)をカム板43に押し付ける方向に付勢すべく、第2アーム74の自由端側を側方に引っ張るコイルばね76と、を備えている。なお、コイルばね76の側方外端部は、メインフレーム20に係止されている(図6参照)。
【0025】
ところで、本実施形態のように、前輪14、14を駆動輪、後輪16、16を従動輪とした場合、前進時は従動輪がトレーディング方向となるため、直進安定性が得られるが、後進時(後退時)には、従動輪がリーディング方向となるため、直進安定性が悪くなる。特に、操舵角(切れ角)が大きい場合は、駆動力により関節部分を真っ直ぐ押す力が働くため、車体が屈折しやすい傾向がある。
【0026】
そこで、本実施形態においては、図10、図11に示される如くに、右後輪16Aと左後輪16Bとの間に、車軸60と該車軸60をベアリング66、67を介して回転自在に支持する車軸ケース62とを配し、右後輪16A側は、車軸60とハブ81とをピン83で固定して、右後輪16Aと車軸60とが一体回転するようになし、また、左後輪16Bは、車軸60にフリーハブ82を介して自由回転可能に取り付けられるとともに、左後輪16Bと車軸60との間に、それらを任意に接離できる噛み合わせクラッチ90が介装されている。
【0027】
噛み合わせクラッチ90は、フリーハブ82側の固定クラッチ要素91と、車軸60側の可動クラッチ要素92とを備え、固定クラッチ要素91は、フリーハブ82に固定され、可動クラッチ要素92は、キー93により車軸60と一体回転するようにされるが、軸方向に摺動可能とされている。ここで、図11に示される如くに、固定クラッチ要素91と可動クラッチ要素92とが離間しているとき、左後輪16Bは、車軸62及び右後輪16Aの回転とは無関係にフリーで回転することができる。それに対し、可動クラッチ要素92を左方向に移動させると、固定クラッチ要素91と係合し、左後輪16Bと車軸60及び右後輪16Bが一体回転する。なお、可動クラッチ要素92は、図示していない付勢手段により常時、固定クラッチ要素から離れる方向に付勢されている。
【0028】
可動クラッチ要素92を左方向に移動させて固定クラッチ要素91と噛み合わせるための手段として、車軸ケース62の左端部に外嵌固定されたベアリング押さえ68の外周に、摺動可能に押し子95が外嵌されている。この押し子95は、可動クラッチ要素92の小径部外周に取り付けられているベアリング96(のアウターレース)に当接して、該ベアリング96を介して可動クラッチ要素92を左方向に押動させるものである。押し子95の移動、つまり、クラッチ90の接離には、例えば、図8に示される如くに、インナーケーブ101とアウターチューブ102からなるボーデンケーブル100を使用する。すなわち、ベアリング押さえ68の外周に、インナーケーブル101係止用金具97を固着するとともに、押し子95の外周に、アウターチューブ係止用金具98を固着しておき、インナーケーブル101を引っ張ることで、アウターチューブ102を相対的に左方向に前進させる。これより、図10に示す押し子95がベアリング96を介して可動クラッチ要素92を左方向に押動し、固定クラッチ要素91と可動クラッチ要素92とが係合してクラッチ90が締結され、左後輪16Bと車軸60と右後輪16Aとが一体的に回転し、それらの間に差動が生じない。従って、後進する際に連動してクラッチ90を締結状態にすることにより、直進安定性等が得られる。なお、クラッチ90締結時には、車軸60の左端部外周とフリーハブ82との間に配在されているベアリング86、87が使用されて、左右の車輪に差動を生じ、それぞれ独立して遊転するが、差動量を適宜に調節したい場合には、クラッチ90におけるクラッチ要素91、92を摩擦式とすることもできる。
【0029】
かかる構成のもとで、ステアリングハンドル17が操作されると、その操舵量(回転角度)がチェーン34a及びスプロケットホイール34bを介して操舵用回転軸33に伝達され、操舵用回転軸33がその操舵量に応じて回転せしめられる。操舵用回転軸33が回転すると、その回転が歯車部35→カム板43の歯車部45→回動用回転筒軸37を介してサブフレーム40に伝達され、サブフレーム40に設けられたローラー47、47が回動案内面部材27の下面に圧接しながら転動し、サブフレーム40が操舵量に応じて回動用中心軸36を中心(支点)Oとして回動する。これにより、図5(B)に示される如くに、サブフレーム40に伴って後輪16、16の車軸60(車軸ケース62)も旋回し、操舵が行われる。
【0030】
なお、前記カム板43と押圧アーム機構70とで構成されるステアリング中立復元機構においては、ステアリングハンドル17が中立位置から操作されて、カム板43、サブフレーム40、及び後輪16、16の車軸60(車軸ケース62)が操舵方向に回動せしめられるときは、カム板43の平面視扇形状のカム面の作用により、カム板43、サブフレーム40、及び後輪16、16の車軸60(車軸ケース62)を中立位置に戻そうとする力が働く。
【0031】
前記の如くの構成とされた本実施形態の乗用草刈機10においては、動力伝達がメインフレーム20上のみで行えるため、従来のアーティキュレート式のものに比べ、構造が簡単で軽量、コンパクトにできる。
【0032】
また、メインフレー20側からの荷重は、メインフレーム20に設けられた回動案内面部材27→サブフレーム40に設けられたローラー47→操舵輪(後二輪16、16)で受けるため、従来のもののように、関節部分に大きな荷重は加えられず、操舵用回転軸33や回動用回転筒軸37等の関節部分は、サブフレーム40及び操舵輪6、16を水平面内で回動させ得る強度があれば良いので、関節部分の構造を簡略化でき部品コスト等を抑えることができる。
【0033】
なお、転動部材としてのローラー47をメインフレーム20に設け、回動案内面部材27をサブフレーム40に設けても作用は変わらず、また、転動部材としてボールを用いても作用は変わらない。
【0034】
また、後二輪16、16が操舵輪とされ、この後輪16の車軸60が連結されたサブフレーム40が、メインフレーム20に対して水平面内で回動可能に支持されるとともに、サブフレーム40及び後輪16、16の車軸60の回動中心が、前記車軸60の中心より前方にオフセットされることにより、最小回転半径を前輪操舵のものに比べて小さくすることができるとともに、後輪操舵のような尻振り現象も抑えることができ、特に、樹間走行に好適となって、草刈作業等を効率良く、迅速かつ円滑に行うことができる。
【0035】
加えて、草刈部が前輪の前方に配置され、後輪を操舵するようにされた場合、草刈部の回転半径が小さくなり、刈り残しが少なくなる。また、運転席からの視認性が高く、特に草刈り操作性に優れたものとなる。
【0036】
このような作用効果を確認すべく、図12に示される如くに、実際に本実施形態の乗用草刈機10[本発明機:図12(A)]と、これと略同じ大きさ(車幅等)の従来の、前輪操舵で草刈部15’が前輪14’、14’と後輪16’、16’との間にある構造の乗用草刈機10’[従来機:図12(B)]との比較試験を行ったところ、本発明機の最小回転半径Raは、約1600mmであったのに対し、従来機の最小回転半径Ra’は、約2000mmとなり、また、本発明機の旋回時刈り残し直径Daは、約1400mmであったのに対し、従来機の旋回時刈り残し直径Da’は、約1700mmとなり、上記した作用効果が実証された。
【0037】
以上の作用効果に加えて、草刈部が前方にあるため、従来のように通り抜けする必要が無く、枝奥の草刈りに優位である。
また、前後の車軸間に草刈部がないこと及び後車軸60がセンターピン50を中心(支点)として鉛直面内で揺動するようにされているので(図4参照)、凸地での走破性等が高くなる。
【0038】
さらに、運転席18が前輪14、14から車体中心にかけて配置され、最後部にエンジン22が配置されるので、従来の乗用草刈機に比べて全長を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る乗用作業機の一実施形態を示す前方斜視図。
【図2】本発明に係る乗用作業機の一実施形態を示す後方斜視図。
【図3】本発明に係る乗用作業機の一実施形態を示す平面図。
【図4】本発明に係る乗用作業機の一実施形態を示す背面図。
【図5】本発明に係る乗用作業機の一実施形態を示す底面図。
【図6】本発明に係る乗用作業機の一実施形態を示す、外装部分を取り去った基幹部分の前方斜視図。
【図7】本発明に係る乗用作業機の一実施形態の主要部を示す部分切欠拡大側面図。
【図8】本発明に係る乗用作業機の一実施形態の主要部を示す下方斜視図。
【図9】本発明に係る乗用作業機の一実施形態の主要部を示す上方斜視図。
【図10】本発明に係る乗用作業機の一実施形態で使用されている後輪の切欠拡大図。
【図11】本発明に係る乗用作業機の一実施形態で使用されている左後輪の切欠拡大図。
【図12】本発明に係る乗用作業機の作用効果の説明に供される図。
【符号の説明】
【0040】
10 乗用作業機(乗用草刈機)
12 車体
14 前輪
15 草刈部
16 後輪
17 ステアリングハンドル
18 運転席
20 メインフレーム
22 エンジン
27 回動案内面部材
30 操舵回動機構
33 操舵用回転軸
36 回動用中心軸
37 回動用回転筒軸
40 サブフレーム
43 カム板
47 ローラー(転動部材)
50 センターピン
60 車軸
62 車軸ケース
90 噛み合わせクラッチ
91 固定クラッチ要素
92 可動クラッチ要素
95 押し子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン等の原動機を含む走行駆動系、作業用駆動系、運転席及び操作系が配在されたメインフレームと、該メインフレームに水平面内で回動可能に支持されるとともに、操舵輪の車軸が一体回動可能に連結されたサブフレームを備え、
前記サブフレームと前記メインフレームのいずれか一方に、前記メインフレーム側からの荷重を受ける転動部材が設けられるとともに、他方に、前記転動部材が転動する回動案内面部材が設けられていることを特徴とする乗用作業機。
【請求項2】
前二輪が駆動輪、後二輪が操舵輪となっていて、前記後輪の前記車軸が前記サブフレームに一体回動可能に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の乗用作業機。
【請求項3】
前記サブフレーム及び操舵輪の前記車軸の回動中心は、前記車軸の中心より車体前後方向にオフセットされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の乗用作業機。
【請求項4】
前記操舵輪の前記車軸は、前記サブフレームに設けられたセンターピンを中心として鉛直面内で揺動可能とされていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の乗用作業機。
【請求項5】
前記前二輪が駆動輪、前記後二輪が操舵輪となっていて、前記前二輪の前方に草刈部が配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の乗用作業機。
【請求項6】
前記後二輪が操舵輪で従動輪となっており、前記後輪の一方と前記車軸とが一体回転するようにされ、かつ、前記後輪の他方は、前記車軸に自由回転可能に取り付けられるとともに、前記後輪の他方と前記車軸との間に、それらを任意に接離できるクラッチ手段が介装されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の乗用作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−87673(P2008−87673A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−272181(P2006−272181)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【出願人】(000141990)株式会社共立 (110)
【Fターム(参考)】