説明

乗用型水田作業機

【課題】乗用型水田作業機において、仕様の異なる複数の機種に亘って昇降操作具及び感度操作具を使用(兼用)する場合、部品点数を抑えながら適切に対処できるように構成する。
【解決手段】制御弁による水田作業装置の昇降操作を行うもので人為的に操作される昇降操作具29と、制御弁による水田作業装置の昇降操作の感度を変更するもので人為的に操作される感度操作具55とを、支持部材23,24,32,33,34に支持させて、支持部材23,24,32,33,34を機体フレーム21に連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用型田植機や乗用型直播機等の乗用型水田作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用型水田作業機の一例である乗用型田植機では、特許文献1に開示されているような構成を備えたものがある。
特許文献1では、苗植付装置(特許文献1の図1及び図2の4)(水田作業装置に相当)が機体に昇降自在に備えられ、苗植付装置の田面からの高さを検出するセンターフロート(特許文献1の図1及び図5の21)(高さセンサーに相当)が、苗植付装置に備えられている。苗植付装置を昇降操作する油圧シリンダ(特許文献1の図1の2)が機体に備えられて、油圧シリンダに作動油を給排操作して油圧シリンダを作動操作する制御弁(特許文献1の図8及び図9の50)が機体に備えられており、センターフロートと制御弁とに亘ってワイヤ(特許文献1の図5,8,9の43)(連係機構に相当)が接続されている。
【0003】
田面に接地追従するセンターフロートに対して、苗植付装置が上下動すると(機体の上下動に基づく)、苗植付装置に対してセンターフロートが上下動することになり、センターフロートの動作がワイヤを介して制御弁に伝達される。これにより、苗植付装置が田面から設定高さに維持されるように、制御弁及び油圧シリンダにより苗植付装置が昇降操作されるのであり、苗植付装置による苗の植付深さが設定深さに維持される(自動昇降制御の作動状態)。
【0004】
特許文献1では、昇降操作レバー(特許文献1の図8及び図9の54)(昇降操作具に相当)が備えられており、昇降操作レバーにより制御弁を上昇側及び下降側に操作することができ、昇降操作レバーにより自動昇降制御の作動状態を設定することができる。特許文献1では、感度操作レバー(特許文献1の図8及び図9の66)(感度操作具に相当)が備えられており、感度操作レバーによりワイヤのアウターの位置を変更することによって、自動昇降制御の感度を調節することができる。
【0005】
【特許文献1】特開平11−313515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
昇降操作レバー及び感度操作レバーを備える場合、特許文献1では昇降操作レバーがブラケットを介して機体フレームに支持されて、感度操作レバーが別のブラケットを介して機体フレームに支持されている。この場合、昇降操作レバーと感度操作レバーとの位置関係が事前に設定された所定の位置関係になっていないと、昇降操作レバーや感度操作レバーによる操作が適切に行えないことがある。
【0007】
例えば仕様の異なる複数の機種に亘って昇降操作レバー及び感度操作レバーを使用(兼用)する場合、仕様の異なる機種において機体フレームの形状(位置)が異なるものになることがある。
これにより、仕様の異なる機種の各々において、昇降操作レバーと感度操作レバーとの位置関係を事前に設定された所定の位置関係に維持する為には、仕様の異なる機種の各々において、昇降操作レバー及び感度操作レバーの各々に対して形状の異なる専用のブラケットを用意し、昇降操作レバー及び感度操作レバーを機体フレームに支持して、仕様の異なる機種に関係なく、昇降操作レバーと感度操作レバーとの位置関係を事前に設定された所定の位置関係に維持する必要がある。
【0008】
前述のように、仕様の異なる複数の機種に亘って昇降操作レバー及び感度操作レバーを使用(兼用)する場合、仕様の異なる機種の各々において、昇降操作レバー及び感度操作レバーの各々に対し形状の異なる専用のブラケットを用意する状態になると、部品点数の増加を伴うことになるので、改善の余地がある。
本発明は、乗用型水田作業機において、仕様の異なる複数の機種に亘って昇降操作具及び感度操作具を使用(兼用)する場合、部品点数を抑えながら適切に対処できるように構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、乗用型水田作業機において次のように構成することにある。
水田作業装置を機体に昇降自在に備え、水田作業装置の田面からの高さを検出する高さセンサーを水田作業装置に備える。水田作業装置を昇降操作する油圧シリンダと、油圧シリンダに作動油を給排操作して油圧シリンダを作動操作する制御弁とを機体に備える。
高さセンサーの動作を制御弁に伝達する連係機構を備え、高さセンサーの動作により制御弁が操作されて、水田作業装置が田面から設定高さに維持されるように水田作業装置が昇降操作されるように構成する。
制御弁による水田作業装置の昇降操作を行うもので人為的に操作される昇降操作具と、制御弁による水田作業装置の昇降操作の感度を変更するもので人為的に操作される感度操作具とを備え、昇降操作具と感度操作具とを支持部材に支持させて、支持部材を機体フレームに連結する。
【0010】
(作用)
本発明の第1特徴によると、乗用型水田作業機において昇降操作具及び感度操作具を備える場合、昇降操作具を機体フレームに支持させる為のブラケット、感度操作具を機体フレームに支持させる為の別のブラケットを備えるのではなく、昇降操作具及び感度操作具を一つの支持部材に支持させている。
本発明の第1特徴のように、昇降操作具及び感度操作具を一つの支持部材に支持させると、支持部材は昇降操作具及び感度操作具に亘るような比較的大きな部材になるので、支持部材において機体フレームに連結することができる部分が複数になるのであり、前述の複数の部分が互いに離れたものとなる。昇降操作具及び感度操作具を一つの支持部材に支持させているので、昇降操作具と感度操作具との位置関係は、事前に設定された所定の位置関係に維持される。
【0011】
これにより、仕様の異なる複数の機種に亘って昇降操作具及び感度操作具を使用(兼用)する場合、仕様の異なる機種において機体フレームの形状(位置)が異なるものになっても、支持部材において機体フレームへの連結部分を仕様の異なる機種の各々に対応して変更(設定)することによって、支持部材を変更せずに一つの支持部材により、仕様の異なる複数の機種に亘って、昇降操作具及び感度操作具を使用(兼用)することが容易に行える。
【0012】
(発明の効果)
本発明の第1特徴によると、乗用型水田作業機において、仕様の異なる複数の機種に亘って昇降操作具及び感度操作具を使用(兼用)する場合、支持部材を変更せずに一つの支持部材により、仕様の異なる複数の機種に亘って、昇降操作具及び感度操作具を使用(兼用)することが容易に行えるようになり、部品点数を抑えることができて、構造の簡素化の面で有利なものとなった。
【0013】
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の乗用型水田作業機において次のように構成することにある。
水田作業装置又は機体に右及び左のマーカーを備えて、田面に接地して次の作業行程の指標を形成する作用位置及び上方の退避位置に、右及び左のマーカーを操作自在に構成する。右及び左のマーカーを作用位置に操作する為の操作部材を支持部材に支持させる。
【0014】
(作用)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
乗用型水田作業機では、水田作業装置又は機体に右及び左のマーカーを備えて、田面に接地して次の作業行程の指標を形成する作用位置及び上方の退避位置に、右及び左のマーカーを操作自在に構成することが多い。
本発明の第2特徴によると、右及び左のマーカーを作用位置に操作する為の操作部材を支持部材に支持させているので、昇降操作具及び感度操作具、操作部材が一つの支持部材に支持される。これにより、支持部材を変更せずに一つの支持部材により、仕様の異なる複数の機種に亘って、昇降操作具及び感度操作具、操作部材を使用(兼用)することが容易に行える。
【0015】
(発明の効果)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第2特徴によると、仕様の異なる複数の機種に亘って、昇降操作具及び感度操作具、操作部材を使用(兼用)することが容易に行えるようになり、部品点数を抑えることができて、構造の簡素化の面で有利なものとなった。
【0016】
[III]
(構成)
本発明の第3特徴は、本発明の第1又は第2特徴の乗用型水田作業機において次のように構成することにある。
昇降操作具を所望の操作位置に保持可能なデテント機構を、支持部材に支持させる。
【0017】
(作用)
本発明の第3特徴によると、本発明の第1又は第2特徴と同様に前項[I][II]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
乗用型水田作業機では、昇降操作具を所望の操作位置に保持可能なデテント機構を備えることが多い。
本発明の第3特徴によると、デテント機構を支持部材に支持させているので、昇降操作具及び感度操作具(操作部材)、デテント機構が一つの支持部材に支持される。これにより、支持部材を変更せずに一つの支持部材により、仕様の異なる複数の機種に亘って、昇降操作具及び感度操作具(操作部材)、デテント機構を使用(兼用)することが容易に行える。
【0018】
(発明の効果)
本発明の第3特徴によると、本発明の第1又は第2特徴と同様に前項[I][II]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第3特徴によると、仕様の異なる複数の機種に亘って、昇降操作具及び感度操作具(操作部材)、デテント機構を使用(兼用)することが容易に行えるようになり、部品点数を抑えることができて、構造の簡素化の面で有利なものとなった。
【0019】
[IV]
(構成)
本発明の第4特徴は、本発明の第1〜第3特徴の乗用型水田作業機のうちのいずれか一つにおいて次のように構成することにある。
走行用の変速装置が後進側に操作されると昇降操作具を水田作業装置の上昇側に操作する後進上昇機構を、支持部材に支持させる。
【0020】
(作用)
本発明の第4特徴によると、本発明の第1〜第3特徴のうちのいずれか一つと同様に前項[I]〜[III]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
乗用型水田作業機では、後進時に水田作業装置を他の障害物に接触させないようにする為に、走行用の変速装置が後進側に操作されると昇降操作具を水田作業装置の上昇側に操作する後進上昇機構を備えることが多い。
本発明の第4特徴によると、後進上昇機構を支持部材に支持させているので、昇降操作具及び感度操作具(操作部材)(デテント機構)、後進上昇機構が一つの支持部材に支持される。これにより、支持部材を変更せずに一つの支持部材により、仕様の異なる複数の機種に亘って、昇降操作具及び感度操作具(操作部材)(デテント機構)、後進上昇機構を使用(兼用)することが容易に行える。
【0021】
(発明の効果)
本発明の第4特徴によると、本発明の第1〜第3特徴のうちのいずれか一つと同様に前項[I]〜[III]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第4特徴によると、仕様の異なる複数の機種に亘って、昇降操作具及び感度操作具(操作部材)(デテント機構)、後進上昇機構を使用(兼用)することが容易に行えるようになって、部品点数を抑えることができて、構造の簡素化の面で有利なものとなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
[1]
図1に示すように、右及び左に操向操作自在な右及び左の前輪1、右及び左の後輪2で支持された機体に、エンジン3及び運転部4が備えられており、機体の後部に平行4連式のリンク機構5を介して苗植付装置6(水田作業装置に相当)が昇降自在に連結され、リンク機構5を昇降操作する油圧シリンダ7が備えられて、乗用型水田作業機の一例である乗用型田植機が構成されている。
【0023】
図1及び図2に示すように、苗植付装置6は、3個の伝動ケース8、伝動ケース8の後部に回転駆動自在に支持された一対の回転ケース9、回転ケース9の両端に備えられた一対の植付アーム10、センターフロート11(高さセンサーに相当)及びサイドフロート12、苗のせ台13等を備えて構成されている。苗のせ台13が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、回転ケース9が回転駆動され、苗のせ台13の下部から植付アーム10が交互に苗を取り出して田面に植え付ける。
【0024】
図1及び図2に示すように、右及び左の角パイプ状の機体フレーム20が機体前後方向に沿って配置され、右及び左の機体フレーム20の前部にエンジン3が支持されている。エンジン3を収容するボンネット14の右及び左横側に位置するように、右及び左のステップ15が右及び左の機体フレーム20に支持され、右及び左のステップ15につながるようにフロア16が右及び左の機体フレーム20に支持されており、下方が目視可能な格子状(スノコ状)の右及び左の補助ステップ17が、フロア16の右及び左横側に位置するように右及び左の機体フレーム20に支持されている。
【0025】
図1,2,3に示すように、右及び左の機体フレーム20の後部に、縦壁状の右及び左の機体フレーム21が固定され、右及び左の機体フレーム21の上部に支持フレーム22が固定されており、支持フレーム22に運転座席18が支持されている。リンク機構5及び油圧シリンダ7が、右及び左の機体フレーム21の後部に支持されている。
【0026】
図1及び図2に示すように、平面視で右及び左の補助ステップ17に亘る横幅を備えた後部ステップ19が、運転座席18の座面と略同じ高さで運転座席18の後側に位置するように、右及び左の機体フレーム21の後部上部に支持されている。後部ステップ19はブロー成型により一体的に構成されており、下方が目視可能な格子状部分19aが右及び左側部、中央部に備えられている。苗のせ台13に苗を補給する場合において、後部ステップ19に足を掛けた際に、後部ステップ19の格子状部分19aが滑り止めになる。運転者が運転座席18に着座した状態で振り向いて斜め後方下方を見た場合、後部ステップ19の格子状部分19aを通して右及び左の後輪2を目視することができる。
【0027】
[2]
次に、昇降操作レバー29(昇降操作具に相当)の支持構造について説明する。
図3,4,5,6に示すように、平板状の支持部材23と、平板状の板材を箱状に折り曲げて構成された支持部材24とが、溶接よって連結されている。正面視L字状の支持部材32が、支持部材24の紙面右側の部分に溶接によって連結されており、平面視コ字状の支持部材33が、支持部材24の紙面左側の部分に溶接によって連結されている。平板状の板材を折り曲げて構成された支持部材34が、支持部材24の紙面上側の部分にボルト35によって連結されている。これにより、支持部材23,24,32,33,34が一つの支持部材として、ボルト25により右の機体フレーム21の右横側面に連結されている(支持部材23がボルト25により右の機体フレーム21の右横側面に連結されている)。
【0028】
図5,6,8に示すように、支持部材24に固定されたボス部材27の横軸芯P1周りに支持軸26が回転自在に支持され、支持軸26の端部に操作板28が固定されて、操作板28のブラケット28aの横軸芯P2周りに、昇降操作レバー29の下部が回転自在に支持されている。支持軸26の端部に操作板31が固定されており、支持部材34に開口されたレバーガイド34aを通って昇降操作レバー29が上方に延出されている。
【0029】
これにより、図5,6,8に示すように、昇降操作レバー29、支持軸26及び操作板28,31が一体で支持部材24の横軸芯P1周りに揺動自在に支持されている。図7及び図8に示すように、昇降操作レバー29が上昇位置、中立位置、下降位置、植付位置、右及び左マーカー位置に操作自在に構成されており、図1及び図2に示すように、昇降操作レバー29が運転座席18の右横側に配置されている。
【0030】
図3,4,5,6に示すように、支持部材24にボス部材59が固定され、操作軸60がボス部材59に回転自在に支持されて、操作軸59に保持アーム30(デテント機構に相当)が固定されており、支持部材24の横軸芯P3周りに保持アーム30が上下に揺動自在に支持されている。バネ36により保持アーム30が上方に付勢されており、保持アーム30にローラー30aが支持されている。
【0031】
図5及び図6に示すように、操作板28の下部に3個の凹部28b及び1個の凸部28cが形成されており、保持アーム30のローラー30aが操作板28の下部に接当している。これにより、保持アーム30のローラー30aが操作板28の凹部28bに入り込むことによって、昇降操作レバー29が中立位置、下降位置、植付位置、右及び左マーカー位置に保持される。
【0032】
図5,6,8に示すように、伸張側に付勢されたバネシリンダ37(後進上昇機構に相当)が操作板31と支持部材32とに亘って接続されて、昇降操作レバー29が上昇位置(保持アーム30のローラー30aが操作板28の凸部28cに接当する位置)に付勢されている。この場合、保持アーム30のローラー30aと操作板28の凹部28bとの係合作用の方が、バネシリンダ37の付勢力よりも大きいものに設定されているので、昇降操作レバー29を中立位置、下降位置、植付位置、右及び左マーカー位置に操作している状態において、バネシリンダ37により昇降操作レバー29が上昇位置に操作されることはない。
【0033】
[3]
次に、苗植付装置6の昇降操作を行う制御弁38、植付クラッチ44及び昇降操作レバー29の連係構造について説明する。
図5,6,8に示すように、支持部材23,24の横軸芯P4周りに支持軸39が回転自在支持されて、支持軸39の端部に天秤アーム40(連係機構に相当)が固定されており、操作板31に固定されたピン31aが天秤アーム40の上部に接当している。支持軸39の天秤アーム40とは反対側の端部に、操作アーム41(連係機構に相当)が固定されており、支持軸39、天秤アーム40及び操作アーム41が一体で支持部材23,24の横軸芯P4周りに揺動自在に支持されている。
【0034】
図8に示すように、油圧シリンダ7に作動油を給排操作する制御弁38が機体の前部に備えられ、制御弁38のスプール38aが上昇位置(油圧シリンダ7が収縮作動して苗植付装置6が上昇操作される)、中立位置及び下降位置(油圧シリンダ7が伸長作動して苗植付装置6が下降操作される)に操作自在に構成されており、制御弁38のスプール38aがバネ(図示せず)により下降位置に付勢されている。制御弁38のスプール38aを押し操作して上昇位置に操作する操作アーム42が備えられており、図5,6,8に示すように、操作アーム41,42に亘って連係ロッド43(連係機構に相当)が接続されている。
【0035】
図8に示すように、エンジン3の動力を苗植付装置6に伝動及び遮断自在な植付クラッチ44が備えられて、植付クラッチ44を伝動及び遮断位置に操作自在な操作アーム45が備えられている。機体の下部の横軸芯P5周りにベルクランク46が揺動自在に支持されて、ベルクランク46と操作アーム45とに亘って連係ロッド47が接続されており、植付クラッチ44を遮断位置に付勢するバネ48がベルクランク46に接続されている。図5,6,8に示すように、操作板28にL字状の長孔28dが開口されており、操作板28の長孔28dとベルクランク46とに亘って連係ロッド49が接続されている。
【0036】
図8に示す状態は昇降操作レバー29を中立位置に操作している状態である。制御弁38のスプール38aを下降位置に付勢するバネにより、天秤アーム40及び操作アーム41が紙面右側に揺動しようとしているのに対して、天秤アーム40の上部が操作板31のピン31aに接当して、制御弁38のスプール38aが中立位置に操作されている。これにより、油圧シリンダ7が停止して、苗植付装置6の昇降操作が停止している(後述する[5]に記載の自動昇降制御の停止状態)。昇降操作レバー29を中立位置に操作している状態において、バネ48により植付クラッチ44が遮断位置に操作されている。
【0037】
[4]
次に、昇降操作レバー29を上昇位置、下降位置及び植付位置に操作した場合について説明する。
図8に示すように、昇降操作レバー29を上昇位置に操作すると、操作板31のピン31aにより天秤アーム40及び操作アーム41が紙面左側に操作されて、制御弁38のスプール38aが上昇位置に操作され、油圧シリンダ7が収縮作動して、苗植付装置6が上昇操作される。この場合、後述する[5]に記載の自動昇降制御の停止状態であり、操作板28の長孔28dの融通により、連係ロッド49は操作されず、植付クラッチ44は遮断位置に操作されている。
【0038】
図5.6.8に示すように、操作板28に長孔28eが開口されており、操作板28の長孔28eとリンク機構5とに亘って連結ロッド50が接続されている。これにより、昇降操作レバー29を上昇位置に操作して苗植付装置6が上昇操作された場合、リンク機構5が上昇操作されるのに伴って、連係ロッド50が上側に押し操作され、操作板28の長孔28eに沿って上側に移動する。次にリンク機構5が上限位置に達すると、連係ロッド50が操作板28の長孔28eの上端に達して、さらに連係ロッド50が上側に押し操作され、操作板28を介して昇降操作レバー29が上昇位置から中立位置に操作されて、苗植付装置6が上限位置で停止する。
【0039】
図8に示すように、昇降操作レバー29を下降位置に操作すると、操作板31のピン31aにより天秤アーム40及び操作アーム41が紙面右側に操作されて、制御弁38のスプール38aが下降位置に操作され、油圧シリンダ7が伸張作動して、苗植付装置6が下降操作される。この場合、後述する[5]に記載の自動昇降制御の停止状態であり、操作板28の長孔28dの融通により、連係ロッド49は操作されず、植付クラッチ44は遮断位置に操作されている。
【0040】
図8に示すように、苗植付装置6が下降操作されて、センターフロート11が田面に接地すると、センターフロート11が持ち上げられることになるので、後述する[5]に記載の自動昇降制御の作動状態となり、天秤アーム40及び操作アーム41が紙面左側に操作されて、操作板31のピン31aから天秤アーム40の上部が離れ、制御弁38のスプール38aが中立位置に操作されて、油圧シリンダ7が停止する(後述する[5]に記載の自動昇降制御の作動状態)。
【0041】
図8に示すように、昇降操作レバー29を植付位置に操作すると、自動昇降制御の作動状態が維持された状態において、連係ロッド49が操作板28の長孔28dの上端に達して、連係ロッド49が下側に押し操作されて植付クラッチ44が伝動位置に操作される。これにより、前項[1]に記載のように、苗のせ台13が左右に往復横送り駆動されて、回転ケース9が回転駆動され、苗のせ台13の下部から植付アーム10が交互に苗を取り出して田面に植え付ける。
【0042】
走行用として前進側及び後進側に無段階に変速自在な静油圧式無段変速装置(図示せず)が備えられており、図1及び図2に示すように、静油圧式無段変速装置を前進側及び後進側に操作する変速レバー75がステアリングハンドル76の左横側に備えられている。図5及び図6に示すように、ワイヤ51(後進上昇機構に相当)のインナー51aが保持アーム30に接続され、ワイヤ51のアウター51bが支持部材32に固定されており、ワイヤ51のインナー51aが変速レバー75に接続されている。
【0043】
これにより、図5,6,8に示すように、昇降操作レバー29を中立位置、下降位置、植付位置、右及び左マーカー位置に操作している状態で、変速レバー75を後進側に操作すると、ワイヤ51のインナー51aが引き操作され、保持アーム30が下方に揺動操作されて、保持アーム30のローラー30aが操作板28の凹部28bから離間する。バネシリンダ37により昇降操作レバー29が上昇位置に操作されて、苗植付装置6が上昇操作されるのであり、リンク機構5が上限位置に達すると、前述のように連係ロッド50により昇降操作レバー29が上昇位置から中立位置に操作されて、苗植付装置6が上限位置で停止する。
【0044】
[5]
次に、自動昇降制御について説明する。
図1及び図8に示すように、センターフロート11及びサイドフロート12が、苗植付装置6の横軸芯P6周りに上下に揺動自在に支持され、センターフロート11の前部に縦長の連係部材52が支持されて、連係部材52に縦長の長孔52aが開口されている。苗植植付装置6に固定されたアーム53のピン53aが、連係部材52の長孔52aに挿入されて、連係部材52の上部とアーム53のピン53aとに亘ってバネ64が接続されており、バネ64の付勢力によりセンターフロート11が下側に付勢されている。
【0045】
図5,6,8に示すように、ワイヤ54(連係機構に相当)のインナー54aがアーム53のピン53aに接続され、ワイヤ54のアウター54bが連係部材52の上部に固定されている。ワイヤ54のインナー54aが天秤アーム40に接続されており、ワイヤ54のアウター54bが、後述する[6]に記載の保持部材62に固定されている。
【0046】
図8に示すように、田面に接地追従するセンターフロート11に対して、機体の上下動等により苗植付装置6が上下動すると、苗植付装置6に対してセンターフロート11が横軸芯P6周りに上下に揺動する状態となって、ワイヤ54のインナー54aに対して、ワイヤ54のアウター54bが上下方向に移動操作される状態となるのであり、ワイヤ54のインナー54aが押し引き操作される状態となる。
【0047】
このようにワイヤ54のインナー54aが押し引き操作されることにより、図8に示すように、天秤アーム40及び操作アーム41を介して制御弁38のスプール38aが上昇及び下降位置に操作されて、油圧シリンダ7が伸縮作動し、苗植付装置6が田面から設定高さに維持されるように(植付アーム10による苗の植付深さが設定深さに維持されるように)、苗植付装置6が自動的に昇降操作される(自動昇降制御の作動状態)。
【0048】
図5,6,8に示すように、支持部材23,24の下部にボス部材56が固定され、ボス部材56にボルト57が取り付けられて、ボルト57の位置が軸芯方向に調節自在に構成されており、ボルト57が天秤アーム40の下部に対向している。苗植付装置6に対してセンターフロート11が横軸芯P6周りに上側に揺動し、ワイヤ54のインナー54aが引き操作されて、制御弁38のスプール38aが上昇位置に操作された場合、天秤アーム40の下部がボルト57に接当して止められる。
【0049】
[6]
次に、感度操作レバー55(感度操作具に相当)の支持構造について説明する。
図3,4,5,6に示すように、平面視コ字状の支持部材33において、第1縦壁部33aに丸孔(図示せず)が開口され、下側に延びた長い第2縦壁部33bに縦長の長孔(図示せず)が開口されている。丸棒材が折り曲げられて感度操作レバー55が構成され、感度操作レバー55が支持部材33の第1縦壁部33aの丸孔及び第2縦壁部33bの長孔に挿入されて、感度操作レバー55が支持部材33に支持されており、支持部材33の第2縦壁部33bの下部と感度操作レバー55とに亘ってバネ58が接続されている。
【0050】
図5,6,7に示すように、支持部材34に開口されたレバーガイド34bを通って感度操作レバー55が上方に延出されており、支持部材34のレバーガイド34bに複数の凹部34cが形成されている。図1及び図2に示すように、感度操作レバー55が運転座席18の右横側に配置され、昇降操作レバー29の右横側に配置されている。
【0051】
図5,6,7に示すように、支持部材33の第1縦壁部33aの丸孔及び第2縦壁部33bの長孔を支点として、感度操作レバー55を支持部材34のレバーガイド34bに沿って操作自在である(図7の紙面左右方向)。支持部材33の第1縦壁部33aの丸孔が感度操作レバー55の外径よりも少しだけ大きなものに設定されているので、支持部材33の第1縦壁部33aの丸孔を支点として、感度操作レバー55が図7の紙面上下方向に操作自在であり(支持部材33の第2縦壁部33bの長孔の範囲)、バネ58により感度操作レバー55が図7の紙面上側(支持部材33の第2縦壁部33bの長孔の下端側)に付勢されている。
【0052】
図5,6,7に示す状態は、感度操作レバー55を支持部材34の所望の凹部34cに挿入して、感度操作レバー55を所望の操作位置に保持した状態であり、バネ58の付勢力により感度操作レバー55が支持部材34の凹部34cへの挿入側に付勢されている。感度操作レバー55を支持部材34の凹部34cから出し操作し(図7の紙面下側)、支持部材34のレバーガイド34bに沿って操作することにより(図7の紙面左右方向)、感度操作レバー55を支持部材34の別の凹部34c(操作位置)に挿入して保持することができる。
【0053】
図5,6,8に示すように、感度操作レバー55に位置決め部材61が固定され、保持部材62が感度操作レバー55に相対回転自在に外嵌されて、ワイヤ54のアウター54bが保持部材62に固定されており、感度操作レバー55に対して保持部材62を図8の紙面時計方向に付勢するバネ63が、感度操作レバー55に備えられている。バネ63の付勢力により保持部材62が位置決め部材61の折り曲げ部61aに接当することで、感度操作レバー55に対する保持部材62の姿勢が設定される。
【0054】
[7]
次に、感度操作レバー55の操作について説明する。
図7及び図8に示すように、感度操作レバー55を鈍感側に操作して支持部材34の凹部34cに保持すると、天秤アーム40側においてワイヤ54のインナー54aの出る長さが短くなり、センターフロート11側においてワイヤ54のインナー54aの出る長さが長くなって、連係部材52が上側に移動する。
【0055】
これにより、図8に示すように、自動昇降制御の作動状態において、センターフロート11が上向きの姿勢(中立状態)で安定するので、センターフロート11の田面への接地面積が小さくなり、バネ64がセンターフロート12を下側に付勢する付勢力が大きくなる。従って、センターフロート11が田面の泥を積極的に押し潰していくような状態となり、センターフロート11の田面への接地追従感度(自動昇降制御の制御感度)が鈍感となる。この状態は田面の泥が比較的固い場合に適している。
【0056】
図7及び図8に示すように、感度操作レバー55を敏感側に操作して支持部材34の凹部34cに保持すると、天秤アーム40側においてワイヤ54のインナー54aの出る長さが長くなり、センターフロート11側においてワイヤ54のインナー54aの出る長さが短くなって、連係部材52が下側に移動する。
【0057】
これにより、図8に示すように、自動昇降制御の作動状態において、センターフロート11が下向きの姿勢で安定(中立状態)するので、センターフロート11の田面への接地面積が大きくなり、バネ64がセンターフロート11を下側に付勢する付勢力が小さくなる。従って、センターフロート11が田面の凹凸に敏感に反応し、センターフロート11の田面への接地追従感度(自動昇降制御の制御感度)が敏感となる。この状態は田面の泥が比較的軟らかい場合に適している。
【0058】
図8に示す構造において、例えばセンターフロート11が大きな泥の塊に乗り上げて、センターフロート11が大きく上側に揺動すると、ワイヤ54のインナー54aが、センターフロート11側に大きく引き操作される。
このような状態になると、図8に示すように、ワイヤ54のインナー54aの引き操作により、天秤アーム40及び操作アーム41を介して制御弁38のスプール38aが上昇位置に操作されて、天秤アーム40の下部がボルト57に接当することによって止められる。さらにワイヤ54のインナー54aが引き操作されると、感度操作レバー55に対しバネ63に抗して、保持部材62が紙面右側に揺動し、ワイヤ54のアウター54bが紙面右側に移動して、ワイヤ54のインナー54aの引き操作が吸収される。
【0059】
図8に示す構造において、例えばセンターフロート11が大きな凹部に入り込んで、センターフロート11が大きく下側に揺動すると、ワイヤ54のインナー54aが天秤アーム40側に大きく押し操作される。
このような状態になると、図8に示すように、ワイヤ54のインナー54aの押し操作により、天秤アーム40及び操作アーム41を介して制御弁38のスプール38aが下降位置に操作される。さらに、ワイヤ54のインナー54aが押し操作されると、天秤アーム40側においてワイヤ54のインナー54aが弛んで、ワイヤ54のインナー54aの押し操作が吸収される。
【0060】
[8]
次に、右及び左のマーカー65について説明する。
図8に示すように、一回の植付行程での走行中に次の植付行程の指標を田面に形成する右及び左のマーカー65が、苗植付装置6の右及び左側部に備えられている。右及び左のマーカー65は、先端を田面に突入させる下向きの作用位置(走行に伴って田面に指標を描く状態)、及び先端を田面から上昇させた上向きの退避位置に亘り揺動操作自在に支持されており、バネ(図示せず)によって作用位置に付勢されている。
【0061】
図8に示すように、右及び左のマーカー65とリンク機構5とに亘ってワイヤ(図示せず)が接続されており、リンク機構5が上限位置付近にまで上昇操作されると、リンク機構5によりワイヤが引き操作されて、右及び左のマーカー65が退避位置に操作される。センターフロート11及びサイドフロート12が田面に接地するまでリンク機構5が下降操作されると、ワイヤが戻し操作されて、右及び左のマーカー65が作用位置に操作される。
【0062】
図8に示すように、右及び左のマーカー65が退避位置に操作されると、右及び左のマーカー65に自動的に係合して右及び左のマーカー65を退避位置に保持可能な右及び左のロック部材66が備えられている。これにより、右及び左のロック部材66により右及び左のマーカー65が退避位置に保持された状態で、リンク機構5が下降操作されても、右及び左のマーカー65は退避位置に保持されているのであり、リンク機構5が下降操作された状態で、右又は左のロック部材66を解除位置に操作すると、右又は左のマーカー65が作用位置に操作される。
【0063】
図3,4,5,7,8に示すように、支持部材34の縦軸芯P7周りに、右及び左の操作部材67が揺動自在に支持されており、右及び左の操作部材67が植付位置の右及び左横側に配置されている。右及び左のワイヤ68のインナー68aが右及び左の操作部材67に接続され、支持部材34に固定された保持部34dに右及び左のワイヤ68のアウター68bが固定されており、右及び左のワイヤ68のインナー68aが右及び左のロック部材66に接続されている。
【0064】
図7及び図8に示すように、昇降操作レバー29を植付位置に操作した状態(前項[4][5]に記載のように、自動昇降制御の作動状態により苗植付装置6が田面から設定高さに維持され(植付アーム10による苗の植付深さが設定深さに維持され)、植付クラッチ44が伝動位置に操作された状態)において、昇降操作レバー29を右横側の右マーカー位置に操作すると、昇降操作レバー29により右の操作部材67が押し操作され、右のワイヤ68のインナー68aが引き操作される。これにより、右のロック部材66が解除位置に操作されて、退避位置の右のマーカー65が作用位置に操作される。
【0065】
前述と同様に、図7及び図8に示すように、昇降操作レバー29を植付位置に操作した状態において、昇降操作レバー29を左横側の左マーカー位置に操作すると、昇降操作レバー29により左の操作部材67が押し操作され、左のワイヤ68のインナー68aが引き操作される。これにより、左のロック部材66が解除位置に操作されて、退避位置の左のマーカー65が作用位置に操作される。
【0066】
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]において、右及び左の後輪2の内側に、補助車輪69を同芯状に右及び左の後輪2に連結することがある。この場合、図9(a)(b)に示すように、120度の角度を備えた扇状の3個の補強板70、120度の角度を備えた扇状(リング状)の3個の補強板71が用意されている。補助車輪60のボス部69a及びスポーク部69bの基部に亘って3個の補強板70が連結されており、補助車輪60のスポーク部69bの中間部に亘って3個の補強板71が連結されている。
【0067】
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態]において、右及び左の後輪2を図10に示すように構成してもよい。
図10に示すように、ボス部2aの内側部に3本のスポーク部2bが固定され、ボス部2aの外側部に3本のスポーク部2cが固定されており、3本のスポーク部2bの外周部にリング状のリム部2eが固定され、3本のスポーク部2cの外周部にリング状のリム部2dが固定されている。アングル部材状の複数の接地部2fがリブ部2e,2dに亘って固定されており、複数の接地部2fが円周方向に沿って所定間隔を置いて配置されている。この場合、苗植付装置6における植付条の間隔W2(隣接する植付アーム10の間隔)よりも、右及び左の後輪2の横幅W1が狭いものに設定されている。
【0068】
[発明の実施の第3別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態][発明の実施の第2別形態]において、図11に示す構成を備えてもよい。
図11に示すように、右及び左の前輪1の間と、右及び左の後輪2との間に位置するように、金属製の平板状でソリ状の底板部材72を、右及び左の機体フレーム20に連結する。深い水田において田面が右及び左の機体フレーム20に近接するような場合、底板部材72が田面に接することにより、前進する際の田面からの抵抗が少なくなる。深い水田において前輪1及び後輪2の駆動力では前進できなくなっても、畦からロープ等により機体を引っ張る際に、底板部材72が田面に接することにより、前進する際の田面からの抵抗が少なくなる。
この場合、図12に示すように、金属製の平板状でソリ状の底板部材72に代えて、センターフロート11及びサイドフロート12と同様に、合成樹脂によるブロー成型によって底板部材73を構成してもよい。金属製の平板状でソリ状の底板部材72に比べて、底板部材73は浮力も期待できる。
【0069】
[発明の実施の第4別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態]〜[発明の実施の第3別形態]において、図12,13,14に示す構成を備えてもよい。
図12,13,14に示すように、右及び左のステップ15の横外側に支柱73が固定され、立方体形状で箱状の予備苗のせ部74が、支柱73の縦軸芯P8周りに回転自在に支持されており、予備苗のせ部74の一方及び反対側に大きな開口部74a,74bが形成されている。
【0070】
図12および図13の実線で示すように、予備苗のせ部74を前向き姿勢に操作した状態において、マット状苗Aをロール状に巻いたものを、機体の前方又は後方から予備苗のせ部74(開口部74a,74b)に挿入し、予備苗のせ部74の内部において、マット状苗Aをロール状に巻いたものを積み上げる。苗のせ台13にマット状苗Aを補給する場合には、図13の二点鎖線に示すように、予備苗のせ部74を後方に約180度回転させて、予備苗のせ部74(開口部74a,74b)からマット状苗Aを取り出して、苗のせ台13に補給する。
【0071】
本発明は乗用型田植機ばかりではなく、乗用型直播機や乗用型薬剤散布機等にも適用できる。右及び左のマーカー65を苗植付装置6の右及び左側部に備えるのではなく、機体の前部の右及び左側部に備えて、先端を田面に突入させる下向きの作用位置(走行に伴って田面に指標を描く状態)、及び先端を田面から上昇させた上向きの退避位置に亘り揺動操作自在に支持してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】乗用型田植機の全体側面図
【図2】乗用型田植機の全体平面図
【図3】支持部材、昇降操作レバー及び感度操作レバーを機体フレームに連結した状態を示す側面図
【図4】支持部材、昇降操作レバー及び感度操作レバーを機体フレームに連結する前の状態を示す側面図
【図5】支持部材、昇降操作レバー及び感度操作レバーの付近の側面図
【図6】支持部材、昇降操作レバー及び感度操作レバーの付近の横断平面図
【図7】支持部材、昇降操作レバー及び感度操作レバーの付近の平面図
【図8】昇降操作レバーと制御弁、植付クラッチ、センターフロート、右及び左のマーカーとの連係状態、感度操作レバーと制御弁及びセンターフロートとの連係状態を示す側面図
【図9】(a)発明の実施の第1別形態における補助車輪の側面図、(b)発明の実施の第1別形態における補助車輪の縦断正面図、
【図10】発明の実施の第2別形態における右及び左の後輪の状態を示す平面図
【図11】発明の実施の第3別形態における乗用型田植機の全体側面図
【図12】発明の実施の第3及び第4別形態における乗用型田植機の全体側面図
【図13】発明の実施の第4別形態における乗用型田植機の前部の平面図
【図14】発明の実施の第4別形態における予備苗のせ部の斜視図
【符号の説明】
【0073】
6 水田作業装置
7 油圧シリンダ
11 高さセンサー
21 機体フレーム
23,24,32,33,34 支持部材
29 昇降操作具
30 デテント機構
37,51 後進上昇機構
38 制御弁
40,41,43,54 連係機構
55 感度操作具
65 マーカー
67 操作部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水田作業装置を機体に昇降自在に備え、前記水田作業装置の田面からの高さを検出する高さセンサーを水田作業装置に備え、
前記水田作業装置を昇降操作する油圧シリンダと、前記油圧シリンダに作動油を給排操作して油圧シリンダを作動操作する制御弁とを機体に備え、
前記高さセンサーの動作を制御弁に伝達する連係機構を備え、前記高さセンサーの動作により制御弁が操作されて、前記水田作業装置が田面から設定高さに維持されるように水田作業装置が昇降操作されるように構成すると共に、
前記制御弁による水田作業装置の昇降操作を行うもので人為的に操作される昇降操作具と、前記制御弁による水田作業装置の昇降操作の感度を変更するもので人為的に操作される感度操作具とを備え、
前記昇降操作具と感度操作具とを支持部材に支持させて、前記支持部材を機体フレームに連結してある乗用型水田作業機。
【請求項2】
前記水田作業装置又は機体に右及び左のマーカーを備え、
田面に接地して次の作業行程の指標を形成する作用位置及び上方の退避位置に、前記右及び左のマーカーを操作自在に構成して、
前記右及び左のマーカーを作用位置に操作する為の操作部材を、前記支持部材に支持させてある請求項1に記載の乗用型水田作業機。
【請求項3】
前記昇降操作具を所望の操作位置に保持可能なデテント機構を、前記支持部材に支持させてある請求項1又は2に記載の乗用型水田作業機。
【請求項4】
走行用の変速装置が後進側に操作されると前記昇降操作具を水田作業装置の上昇側に操作する後進上昇機構を、前記支持部材に支持させてある請求項1〜3のうちのいずれか一つに記載の乗用型水田作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−81842(P2010−81842A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253300(P2008−253300)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】