説明

乗用移動車両

【課題】
自転車とパーソナルムーバーのそれぞれの利点を活かし欠点を補うことができる変姿自在の乗用移動車両を提供する。
【解決手段】
乗用移動車両は、二つの車輪が前後に位置した第1の姿勢と、フレームを折り畳むことで二つの車輪が平行状に位置した第2の姿勢との間で変姿可能に構成されている。制御手段は、前記第1の姿勢で車両を制御する第1制御モードと、前記第2の姿勢で車両を倒立振子制御する第制御2モードと、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用移動車両に係り、詳しくは、二つの車輪が前後に位置した第1の姿勢と、二つの車輪が平行状に位置した第2の姿勢との間で変姿可能に構成されている乗用移動車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自転車は構造が簡単で移動手段としては優れたものであるが、操縦性、安定性、坂道への対応、不使用時における駐輪問題など解決するべき課題がある。
【0003】
特許文献1には、ペダルが回転されることによって発電する発電機と、後輪を回転駆動する電動機と、この電動機の電源となるバッテリと、前記発電機の信号に基づき前記電動機の出力を制御する駆動制御手段と、を具備した電動アシスト自転車が開示されている。しかしながら、必ずしも上述の課題を解決するものではない。
【0004】
一方、近年、倒立振子の原理を応用した平行二輪方式のパーソナルムーバーが考案されている。倒立振子の原理を用いた安定化制御方式については、特許文献2、特許文献3に開示されている。平行二輪方式のパーソナルムーバー(本明細書において、「パーソナルムーバー」は平行二輪方式のパーソナルムーバーを指すものとする)については特許文献4、特許文献5に記載されている。しかしながら、動力を用いて走行する方式のため、我が国においては公道を走行することができず、普及していない。外国においても、歩道での安全性、車道における車への影響などが課題となり、普及にいたっていない。
【0005】
また、姿勢を変更することができる自転車については幾つかの先行技術がある。特許文献6には、荷車兼用折り畳み自転車が開示されている。このものは、3輪以上で荷車を形成できるように、補助輪または2つの後輪を備えている。特許文献7には、手押車兼用自転車が開示されている。これらのものは手動操作するものであって、平行二輪方式のパーソナルムーバーを構成することはできない。
【特許文献1】特開2001−191976
【特許文献2】特開昭63−305082
【特許文献3】特開2004−345030
【特許文献4】特表2003−502002
【特許文献5】特表2004−510637
【特許文献6】WO87/01084
【特許文献7】実公昭56−30552
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、自転車とパーソナルムーバーのそれぞれの利点を活かし欠点を補うことができる変姿自在の乗用移動車両を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が採用した技術手段は、折り畳み可能なフレームと、前記フレームに対して回転自在に取り付けられた二つの車輪と、各車輪に設けられた駆動手段と、前記駆動手段を制御する制御手段と、を備えた乗用移動車両であって、前記乗用移動車両は、前記二つの車輪が前後に位置した第1の姿勢と、前記フレームを折り畳むことで前記二つの車輪が平行状に位置した第2の姿勢との間で変姿可能に構成されており、前記制御手段は、前記第1の姿勢で車両を制御する第1制御モードと、前記第2の姿勢で車両を倒立振子制御する第2制御モードと、を有している、乗用移動車両、である。好ましい態様では、乗用移動車両は、さらに、前輪、後輪の一方あるいは両方の操舵手段を備えており、前記制御手段は前記操舵手段を制御する。
【0008】
好ましい態様では、前記乗用移動車両は、前記第1の姿勢では自転車であり、前記駆動手段は、ペダルをこぐことにより電力を発生させる発電機を駆動源とする。また、前記乗用移動車両は、さらに、発電機により発生した電力を蓄電するバッテリを備えていてもよい。
【0009】
前記制御手段の第1制御モードは、前輪、後輪の一方あるいは両方の駆動制御を行うものである。前記制御手段の第1制御モードは、さらに、前輪、後輪の一方あるいは両方の操舵制御を行うものである。一つの態様では、前記操舵手段は、前後の車輪をそれぞれ支持する車輪支持フレームの角度を変化させる操舵モータである。
【0010】
前記第2の姿勢は、乗用移動車両の収納姿勢を兼用することができる。また、一つの好ましい態様では、前記第2の姿勢において、前後の車輪をそれぞれ支持する車輪支持フレームの一部が足載せ部を形成する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、自転車モードと平行2輪モードを選択して運転が可能な乗用移動車両を提供することができる。前輪、後輪の双方に駆動手段(モータ)を搭載することで、パーソナルムーバーとしての駆動制御が可能となった。前輪、後輪車輪はそれぞれ駆動手段を備えているので、第1姿勢(自転車モード)において、車輪を独立して駆動制御することができると共に、第2姿勢(平行2輪モード)においても自立走行が可能となる。平行2輪方式では、公道を走行できないが、本発明に係る乗用移動車両では、構内や室内を低速で移動する時には平行2輪モードで、公道を走行する時には自転車モードとして活用することができる。
【0012】
第1姿勢の自転車モードにおいて、ペダルと車両間にチェーンや駆動軸が無いため、フレームの折り畳み構造が容易となり、フレームの構造自由度が増す。ドライブバイワイヤにより、アシストトルクの制御が可能であり、走行安定性を向上させることができる。ステアバイワイヤにより後輪も操舵する方式が可能となり、安定性向上、操作性向上を図ることができ、初心者でも容易に乗れる自転車を提供し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、折り畳み可能なフレームと、前記フレームに対して回転自在に取り付けられた二つの車輪と、各車輪に設けられた駆動手段と、各車輪の操舵手段と、前記駆動手段および前記操舵手段をそれぞれ制御する制御手段と、を備えた乗用移動車両である。乗用移動車両は、前記二つの車輪が前後に位置した第1の姿勢と、前記フレームを折り畳むことで前記二つの車輪が平行状に位置した第2の姿勢との間で変姿可能に構成されている。前記制御手段は、前記第1の姿勢で車両を制御する第1制御モードと、前記第2の姿勢で車両を倒立振子制御する第2制御モードと、を有している。そして、第1の姿勢は、好ましい形態では、自転車であり、ペダルをこぐことで発電機からの電力が各駆動手段に供給されて、車輪が回転駆動されるようになっている。以下に図面に基づいて本発明の実施例について説明するが、フレームの折り畳み構成等については、実施例に限定されるものではない。また、図面は本発明の説明に最低限必要な部品のみを表しており、例えば、ブレーキ、各可動フレームを固定する手段は省略してある。また、ライト、ミラー、荷台等を設けることは任意である。
【実施例1】
【0014】
図1は自転車として使用される第1姿勢、図2,3はパーソナルムーバーとして使用される第2の姿勢を表している。図1に示すように、自転車モードにおいて、移動車両は、フレーム1と、フレーム1に支持されたハンドル2、サドル3、ペダル4、前輪5、後輪6と、を備えている。
【0015】
フレーム1は、ハンドル2を支持するハンドル支持フレーム10、ハンドル支持フレーム10の下端に連結されている前輪支持フレーム11、ハンドル支持フレーム10の下方部位より後方斜め下方に延出する傾斜フレーム12、傾斜フレーム12の下端より後方斜め上方に延出するサドル支持フレーム13、サドル支持フレーム13の上方部位より後方斜め下方に延出する後輪支持フレーム14、を有する。一つの態様では、フレーム1は中空部材であり、フレーム1の内部に、各種制御部品や配線が設けられる。
【0016】
ハンドル支持フレーム10は管状チューブであり、ハンドル支持フレーム10の上端の開口より、ハンドル2に一体化されたハンドルステム20が高さ方向に位置調節可能に挿入されている。サドル支持フレーム13は管状チューブであり、サドル支持フレーム13の上端の開口より、サドル3を支持するシートポスト30が高さ方向に位置調節可能に挿入されている。
【0017】
傾斜フレーム12及びサドル支持フレーム13の下方部位にはペダル4及び発電機7が設けてある。サドル支持フレーム13にはバッテリ8が装着されている。前輪5、後輪6には、それぞれ駆動モータ9A,9Bが設けてある。ペダル4が回転すると発電機7によって発電が行われ、電力が前後の駆動モータ9A,9Bに供給される。また、発電機7による発電された電力を、バッテリ8に蓄電することも可能である。
【0018】
図4は、乗用車両のフレームに内装される各構成要素の装着位置を例示している。ハンドル支持フレーム10の下方部位には、ハンドル角度・角速度を検出するセンサ、ハンドル反力モータが内装されている。前輪支持フレーム11には、前輪操舵モータが、後輪支持フレーム14には、後輪操舵モータが、それぞれ内装されている。前輪5、後輪6にはそれぞれ車輪の回転速度を検出するエンコーダが設けてある。
【0019】
前輪支持フレーム11は、上側横フレーム110、縦フレーム111、下側横フレーム112からなる。縦フレーム111の上端は上側横フレーム110に対して縦フレーム111の長さ方向の回転軸を中心に回転可能である。あるいは、下側横フレーム112を縦フレーム111の下端に対して縦フレーム111の長さ方向の回転軸を中心に回転可能としてもよい。後輪支持フレーム14は、上側横フレーム140、縦フレーム141、下側横フレーム142からなる。縦フレーム141の上端は上側横フレーム140に対して縦フレーム141の長さ方向の回転軸を中心に回転可能である。あるいは、下側横フレーム142を縦フレーム141の下端に対して縦フレーム141の長さ方向の回転軸を中心に回転可能としてもよい。さらに、縦フレーム141の上端は上側横フレーム140に対して上側横フレーム140の長さ方向の回転軸を中心に回転可能である。傾斜フレーム12は長さ方向略中間部位で垂直方向に延出する回転軸を介して重ね合わせるように折り畳み可能である。
【0020】
第1の姿勢(自転車)から第2の姿勢(平行2輪式パーソナルムーバー)への変形工程を、図5A〜Cに示す。第1の姿勢(1)から前輪5及び前輪支持フレーム11を外側に回動させる(2)。前輪5、下側横フレーム112、縦フレーム111を上側横フレーム110に対して回動させてもよく、あるいは、前輪5、下側横フレーム112を縦フレーム111に対して回動させてよい。同様に、後輪6及び後輪支持フレーム14を外側に回動させる(3)。後輪6、下側横フレーム142、縦フレーム141を上側横フレーム140に対して回動させてもよく、あるいは、後輪6、下側横フレーム142を縦フレーム141に対して回動させてよい。さらに、後輪支持フレーム14を前方に回動させて後輪6を収納する(4)。具体的には、後輪6、下側横フレーム142、縦フレーム141を上側横フレーム140に対して前方に回動させる。次いで、サドル支持フレーム13を縮めて(一つの態様では、サドル支持フレーム13に対してシートポスト30を押し入れる)サドル3を下げる(5)。そして、前輪5と後輪6とが平行状となるように傾斜フレーム12を折り畳む(6)。最後に、ハンドル支持フレーム10(一つの態様では、ハンドル支持フレーム10に対してハンドルステム20を伸ばす)を伸展させ(7)、ハンドル2を展開する(8)。こうすることで、移動車両は第2姿勢(平行2輪式パーソナルムーバー)となる。
【0021】
図2、図3に示すように、第2姿勢では、車輪5,6が平行状に配置され、下側横フレーム112,142が足載せ部を構成している。足載せ部はバー状のものでもよいが、一つの好ましい態様では、図6に示すように、下側横フレーム112,142には凹状の足載せ部が予め形成されており、平行2輪としてのパーソナルムーバーを提供することができる。また、図6のものでは、足載せ部が車輪5,6の回転中心よりも下方に位置しており、乗用車両としての安定性を向上させることができる。特に、第2姿勢における車両の姿勢制御(平行2輪倒立状態を保つ)には、ジャイロセンサ、加速度センサが必要となるが、これらの部品は、一つの態様例では、足載せ部を形成する下側横フレーム112,142内に設けることができる。
【0022】
すなわち、第1姿勢において、移動車両は、ペダルの回転から得られた力を電気的に車輪に伝えることにより、チェーン、ベルト、シャフトを使用しない自転車である。本発明に係る自転車では、チェーンやベルト等の伝動機構を備える必要が無いので、チェーンやベルトが外れるという不具合が生じることがない。特に、従来の折り畳み自転車ではギアが何段にも使われ、チェーンが外れやすい。そして、チェーンの廃止により、折り畳み方法の選択の自由度が大きくなる。また、両輪駆動によって、雪道、ぬかるみ、砂地などの悪路や前かごにたくさん荷物を載せた時の走行の安定性を改善できる可能性がある。また、電気により駆動力を直接前輪に伝えるので、ギア等による回転力の伝達ロスや、ハンドル方向へのふらつきをなくすことができる。電動機付の二輪車に比べ、自分でこぐことによって初めて前後輪が動くので、段差などのコントロールがきく。
【0023】
また、第1姿勢において、ハンドルによる操舵情報(前輪の操舵角、前輪の操舵角速度など)によって、後輪の操舵角を制御してもよい。例えば、後輪を前輪と同じ向き(同相)に操縦することにより直立安定性を向上させることができ、車輪径の小さい自転車でもより安定となる。あるいは、後輪を前輪と逆の向き(逆相)に操縦することにより、小回り性能を向上させることができる。前輪を1だけ操縦したときに、後輪がどれだけの割合で回転させるか(操縦角比)を変えることにより、自転車の直立安定性と小回り性能を調整できる。従来の動力用チェーンを用いた2WS自転車では、後輪をステアリング操作すると、チェンリング(足でこぐところ)と後輪の回転面はねじれてしまうため、動力用チェーンを後輪フォークの上まで引っ張りあげ、大ギアを用い、等速ジョイントで回転面を変換していた。このため、部品点数が増加する、ギアやチェーンが緩みやすい、操縦トルクが大きくなる、などの問題があった。しかし、電気的伝達力を利用した2WSでは、自転車のフレームを折り曲げたり、新たに後フォークやチェーンを付け加えたりする必要がなく、軽量化、また壊れにくくなる。
【0024】
移動車両が平行2輪である第2の姿勢では、移動車両は以下のような利点を有する。第1の姿勢に比べてコンパクトに収められるので、収納空間が少なくてすむ平行2輪を転がして移動できるので、持ち運びが楽である。人で混雑している道や乗り降りを繰り返す場面において、平行2輪で運転すれば、より小回りがきいて臨機応変に移動できる。車両を倒立振子制御することで、持ち運んで移動する際、軽く触れているだけで移動させることができる。さらには、公道は自転車、私道やアミューズメントーパークにおいてはパーソナルムーバーとして使うこともできる。
【実施例2】
【0025】
図7乃至図9に第2実施例を示す。自転車モードにおいて、移動車両は、フレーム1と、フレーム1に支持されたハンドル2、サドル3、ペダル4、前輪5、後輪6と、を備えている。実施例1と同一の構成要素には同一の参照番号が付してある。
【0026】
フレーム1は、上端のハンドル支持フレーム20Aを介してハンドル2を支持する第1フレーム1Aと、上端でサドル3を支持する第2フレーム1Bと、を有し、第1フレーム1Aは、後方に向かって斜め下方に延出しており、第2フレーム1Bは、前方に向かって斜め下方に延出している。両フレーム1A,1Bは、交差部において回動軸を介して回転自在に連結されており、自転車モードでは、側面視X形状の配置されている。
【0027】
第1フレーム1Aの下端には後輪支持フレーム14´が、第2フレーム1Bの下端には前輪支持フレーム11´が、それぞれ連結されている。前輪支持フレーム11´、後輪支持フレーム14´は共に、フレーム1A,1Bの下端に連結された横フレーム1Cと、横フレーム1Cの他端に連結された立上り状の弧状部1Dと、弧状部1Dから垂下する垂直部1Eと、からなり、垂直部1Eに前輪5、後輪6がそれぞれ回転自在に支持されている。第1フレーム1Aの下半部にはペダル4、発電機7が装着され、第2フレーム1Bの下半部にはバッテリ8が装着されている。一つの態様では、フレーム1は中空部材であり、フレーム1の内部に、各種制御部品や配線が設けられる。
【0028】
第1フレームと第2フレームとは回転軸a1を介して回動自在であり、第1フレーム1Aの下端と横フレーム1C、第2フレーム1Bの下端と横フレーム1Cも回転軸a2,a2を介して回転自在である。したがって、第1フレーム1Aと第2フレーム1BとをX状の姿勢から、両者が近接して垂直状に延出する姿勢へと変姿させることが可能である。下端に車輪5,6を支持する垂直部1Eは、上端において、垂直部1Eの長さ方向の回転軸a3,a3を介して円弧部1Dに対して回動可能であり、車輪5,6を同じ平面内で前後に配置する姿勢から、両者が対向する姿勢へと変姿させることが可能である。
【0029】
車輪5,6はそれぞれ駆動モータ(図示せず)を備えているので、第1姿勢(自転車モード)において、車輪5,6を独立して駆動制御することができると共に、第2姿勢(平行2輪モード)においても自立走行が可能となる。実施例1と同様に、ハンドル支持フレーム20Aには、ハンドル角度・角速度を検出するセンサ、ハンドル反力モータが内装されている。前輪支持フレーム11´には、前輪操舵モータが、後輪支持フレーム14´には、後輪操舵モータが、それぞれ内装されている。前輪5、後輪6にはそれぞれ車輪の回転速度を検出するエンコーダが設けてある。また、他の構成部品、例えば、後述するジャイロセンサ、加速度センサは、足載せ部を形成する横フレーム1C内に設けることができる。
【0030】
制御手段は、車輪回転速度検出センサ、加速度センサ、車体姿勢角度・角速度検出センサ、前輪、後輪の操舵角・操舵角速度検出センサ、及び、これらのセンサの一つあるいは複数による検知結果に基づいて制御を行うコントローラ、を備えている。車輪回転速度検出センサは、各車輪の回転速度をそれぞれ検出するセンサであり、一つの態様ではロータリーエンコーダから構成されており、第1制御モード、第2制御モードのいずれのモードにおいても用いられる。加速度センサは、車両の加速度(前後・左右・上下)を検出するセンサであって、主として、第2制御モードにおいて用いられる。車体姿勢角度、角速度検出センサは、車両のロール、ピッチ、ヨーを検出するセンサであり、一つの態様ではジャイロセンサから構成されており、主として、第2制御モードで用いられる。前輪、後輪の操舵角、操舵角速度検出センサは、前後輪の操舵角、操舵角速度をそれぞれ検出するセンサであって、一つの態様ではポテンションメータから構成されており、主として、第1制御モードで用いられる。コントローラは、制御モードに応じて、所定のセンサからの入力に基づいて、前後輪駆動トルク、前後輪操舵トルクを出力することで前後輪駆動モータ、前後輪操舵モータを制御する。コントローラはコンピュータから構成することができる。
【0031】
図10に制御手段の第1制御モードのブロック図を示す。車輪回転速度検出センサ、加速度センサ、車体姿勢角度・角速度検出センサ、前輪、後輪の操舵角・操舵角速度検出センサ、からの検知結果がコントローラに入力され、コントローラは、前後輪駆動トルク、前後輪操舵トルクを出力することで前後輪駆動モータ、前後輪操舵モータを制御する。第1制御モードの一つの態様例を図12に示す。エンコーダで検出した後輪モータの回転速度vとハンドルリンクポテンションメータで検出した前輪操舵角βとを入力として、前後輪の所定の操舵角比(例えば、vに応じて可変とする)γを得るように後輪操舵角βを決定し、後輪操舵モータを制御する。駆動系においては、ジャイロセンサで取得したロール角θと後輪操舵角速度センサから検出した後輪操舵角速度ψを入力として、所定の後輪駆動トルクを後輪駆動モータから出力させる。
【0032】
図11に制御手段の第2制御モードのブロック図を示す。第2制御モードでは、車両の倒立振子制御を行う。車輪回転速度検出センサ、加速度センサ、車体姿勢角度・角速度検出センサ、からの検知結果がコントローラに入力され、コントローラは、左右輪駆動トルクを出力することで左右輪の駆動モータを制御する。平行2輪モードでは、車両の現在位置、車両の姿勢角度(およびそれらの速度成分)を検知し、コントローラによって、目標値との差にフィードバックをかけて左右車輪トルクを制御する。乗用車両としての操作は、ハンドルを用いた車両のヨー方向、ピッチ方向の操作、あるいは、重心移動を用いた車両のロール方向の操作が考えられる。平行2輪モードでは、左右輪の回転数差を用いて車両を旋回させることができる。平行2輪モードにおける制御では、必ずしも操舵手段を必要としないが、操舵手段を用いることを妨げるものではない。倒立振子の原理を用いた制御方式は公知であって、例えば、特許文献2,3に記載されている。また、既に実現されている平行2輪式のパーソナルムーバーの制御方式を採用して倒立振子制御を行うことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、自転車とパーソナルムーバーを兼用した乗用移動車両として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施例の第1姿勢を示す。
【図2】本発明の第1実施例の第2姿勢を示す。
【図3】本発明の第1実施例の第2姿勢を示す。
【図4】本発明の第1実施例において、フレームに内装された部品を示す。
【図5A】本発明の第1実施例において、フレームの折り畳み構成を示す。
【図5B】本発明の第1実施例において、フレームの折り畳み構成を示す。
【図5C】本発明の第1実施例において、フレームの折り畳み構成を示す。
【図6】足載せ部の構成を示す。
【図7】本発明の第2実施例の第1姿勢を示す。
【図8】本発明の第2実施例において、第1姿勢から第2姿勢への変換を示す。
【図9】本発明の第2実施例の第2姿勢を示す。
【図10】制御手段の第1制御モードのブロック図である。
【図11】制御手段の第2制御モードのブロック図である。
【図12】第1制御モードの一つの態様を示すブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み可能なフレームと、
前記フレームに対して回転自在に取り付けられた二つの車輪と、
各車輪に設けられた駆動手段と、
前記駆動手段を制御する制御手段と、
を備えた乗用移動車両であって、
前記乗用移動車両は、前記二つの車輪が前後に位置した第1の姿勢と、前記フレームを折り畳むことで前記二つの車輪が平行状に位置した第2の姿勢との間で変姿可能に構成されており、
前記制御手段は、前記第1の姿勢で車両を制御する第1制御モードと、前記第2の姿勢で車両を倒立振子制御する第2制御モードと、を有している、
乗用移動車両。
【請求項2】
前記乗用移動車両は、前記第1の姿勢では自転車であり、
前記駆動手段は、ペダルをこぐことにより電力を発生させる発電機を駆動源とする、
請求項1に記載の乗用移動車両。
【請求項3】
前記乗用移動車両は、さらに、発電機により発生した電力を蓄電するバッテリを備えている、請求項2に記載の乗用移動車両。
【請求項4】
前記制御手段の第1制御モードは、前輪、後輪の一方あるいは両方の駆動制御を行う、請求項1乃至3いずれかに記載の乗用移動車両。
【請求項5】
さらに、前輪、後輪の一方あるいは両方の操舵手段を備えており、前記制御手段は前記操舵手段を制御する、請求項1乃至4いずれかに記載の乗用移動車両。
【請求項6】
前記制御手段の第1制御モードは、前輪、後輪の一方あるいは両方の操舵制御を行う、請求項5に記載の乗用移動車両。
【請求項7】
前記操舵手段は、前後の車輪をそれぞれ支持する車輪支持フレームの角度を変化させる操舵モータである、請求項6,7いずれかに記載の乗用移動車両。
【請求項8】
前記第2の姿勢は、乗用移動車両の収納姿勢を兼用する、請求項1乃至7いずれかに記載の乗用移動車両。
【請求項9】
前記第2の姿勢において、前後の車輪をそれぞれ支持する車輪支持フレームの一部が足載せ部を形成する、請求項1乃至8いずれかに記載の乗用移動車両。
【請求項10】
前記足載せ部は車輪の回転中心よりも下方に位置している、請求項9に記載の乗用移動車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−62769(P2008−62769A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−242097(P2006−242097)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(595117046)
【Fターム(参考)】