説明

乗用芝刈機

【課題】モーア上昇時に確実にモーアの駆動を停止させることができるフロントモーアを備えた乗用芝刈機を提供すること。
【解決手段】モーア6にエンジン動力を伝達するモーア駆動用クラッチ30aと基部側に設けた回動支点61aの近傍に設けたローラ63を有するPTOレバー61を操作してクラッチ30aの切り位置と入り位置にそれぞれ対応した位置に保持するPTOレバー61のローラ63を係止する2つの係止谷部62c、62dをレバーロックカム62に設け、モーア6を上昇させるとレバーロックカム62のクラッチ30aの入り位置に対応した係止谷部62dにあるPTOレバー61のローラ63をクラッチ30aの切り位置に対応した係止谷部62cに移動させるワイヤ66などの連携機構を備えた乗用芝刈機であり、簡単な構成でモーア6を所定量上昇させるとPTOレバー61が動いて動力を遮断し、モーア6の駆動を絶つことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芝刈りなどの対地作業を行うモーアを機体の下方又は前方に搭載した乗用芝刈機に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用芝刈機は、モーアで刈り取った芝草をシュータ及びダクトを介して機体後部のコレクタバックに集草する構成としている。また、コレクタバックへ刈り取った芝草をエアー搬送するために設けたブロアと機体を走行させるためにエンジンからの動力を変速する変速装置が用いられる。
【0003】
芝刈機(モーア)を機体前部に装着した、いわゆるフロントモーア型乗用芝刈機が特開平1−148118号公報などに開示されている。特開平1−148118号公報に開示されたフロントモーア型乗用芝刈機では、モーアの上昇時にはモーアのストッパアームが作動してモーア駆動用のベルトコンバータのテンションクラッチを切る機構を備えている。
【0004】
また、特開平06−133631号公報に開示されたフロントモーアの上昇に伴ってPTOクラッチを自動的に切る機構を備えた芝刈り機において、モーアのリフトアームが下から突き上げ力を受けても、モーア駆動用のPTOクラッチが自動的に切られることがないようにするために、リフトアームとPTOクラッチレバーとをPTOクラッチレバーに接当可能なストッパーを備えたプッシュプルワイヤを介して連繋すると共に、ストッパーをモーア昇降用レバーが下降操作位置にある場合にリフトアームが下からの突き上げ力を受けて上昇側に作動されてもストッパーがPTOクラッチレバーに接当しないようにした構成が開示されている。
【特許文献1】特開平01−148118号公報
【特許文献2】特開平06−133631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載の発明の乗用芝刈機では、モーアの駆動を入り切りするPTOレバーが設けられているが、該モーア駆動用のクラッチが連動していないので、PTOレバーを作動させてもモーア駆動用のクラッチがオンかオフか不明である。
【0006】
また、上記特許文献2記載の発明の乗用芝刈機では、リフトアームとPTOクラッチレバーをモーア昇降用レバーのプッシュプルワイヤを介して連繋する構成であるために、モーア昇降用レバーと連繋していない構成に比べてPTOクラッチレバーの操作性が劣る。
【0007】
本発明の課題は、PTOクラッチ入り切り用のレバーの操作性が良く、モーア上昇時に確実にモーアの駆動を停止させることができるフロントモーアを備えた乗用芝刈機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記課題は、次の解決手段で解決される。
請求項1記載の発明は、エンジン(12)と、該エンジン(12)の動力で作動する草を刈り取るためのモーア(6)を備えた乗用芝刈機において、モーア(6)にエンジン動力を伝達するモーア駆動用クラッチ(30a)を有する動力伝達機構(B)と、モーア駆動用クラッチ(30a)を入り切り連動するPTOレバー(61)と、PTOレバー(61)の回動支点(61a)近傍に設けたローラ(63)を前記クラッチ(30a)の入り位置と切り位置にそれぞれ対応した位置に保持する2つの係止谷部(62c,62d)を有する凹部(62b)を備えたレバーロックカム(62)と、前記ローラ(63)を端部に連結してモーア駆動用クラッチ(30a)を入り切りするワイヤ(64)と、モーア(6)を昇降させるための油圧シリンダ(78)と、該油圧シリンダ(78)により作動するモーア昇降用リンク機構(71など)と、該モーア昇降用リンク機構(71など)と油圧シリンダ(78)によりモーア(6)を上昇させると、レバーロックカム(62)のクラッチ(30a)の入り位置に対応した係止谷部(62c)にあるPTOレバー(61)のローラ(63)をクラッチ(30a)の切り位置に対応した係止谷部(62d)に移動させる連携機構(66)とを備えた乗用芝刈機である。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、PTOレバー(61)は、回動支点(61a)を有するレバー板(61a,61b)と、該レバー板(61b,61c)と並行する位置に設け、回動支点(61a)を中心に回動自在のアーム板(60)と、レバー板(61b,61c)をモーア切り側に回動させるときに、該レバー板(61b,61c)の回動がアーム板(60)の回動より先行するようにレバー板(61b,61c)に設けた長穴(61ba)とレバーロックカム(62)の凹部(62b)を形成する隆起部(62e)に当接するレバー板(61b,61c)に設けたローラ(61d)と、回動支点(61a)の周りにはレバーロックカム(62)をモーア駆動用クラッチ(30a)を切り側に付勢するように設けたリングバネ(59)とを備えている請求項1記載の乗用芝刈機である。
【0010】
請求項3記載の発明は、モーア(6)の上昇に連動して、PTOレバー(61)をロックする係止部(62f)をレバーロックカム(62)に設けた請求項1又は2記載の乗用芝刈機である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、モーア6を所定量上昇させると、PTOレバー61が動いて動力を遮断してモーア6の駆動を絶つことができる構成をPTOレバー61とレバーロックカム62との組合せにより簡単に得ることができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、クラッチ30aを切り操作するときにPTOワイヤ64を引くアーム板60とレバー板61b,61cを別々に設け、モーア6の駆動を切る操作をする時にはPTOレバー61を切方向に操作するようにして、レバー板61b,61cを作動開始をした後に遅れてアーム板60を作動させることでロックカム62を回動させ、さらにレバー板61b,61cのローラ61dがレバーロックカム62の隆起部62eを押すのでレバー61の操作荷重を低くして、PTOテンションクラッチ30aのモーア駆動停止保持を確実にした。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、モーア6の上昇時に誤ってPTOレバー61をモーア6の入り側に操作したとき、レバー61の前記入り位置でレバー61から手を離した途端に、レバー61がモーア6の切り位置に復帰動作して手を傷めるおそれがあるが、請求項3記載の発明ではカム62の係止部62fが働いて、誤操作でPTOレバー61が動かないため、上記不具合が生じる余地がなく、安全である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。
本実施例の乗用芝刈機の要部左側面図を図1に示し、本実施例の乗用芝刈機の正断面図を図2に示し、モーアと前輪駆動部の平面図を図3に示す。なお、本発明では芝刈機の前進方向に向かって左右方向をそれぞれ左側、右側といい、前進方向を前側、後進方向を後側ということにする。
【0015】
走行機体2の前部と後部にそれぞれ前輪3、3と後輪4、4を備え、機体2の前部の下方には縦軸回りに回転するカッター5を有するモーア6が設けられる。
機体2の前部上方のフロア7にはステアリングコラム8を立設し、該コラム8の上部にはハンドル10が設けられている。またハンドル10の後方には操縦席11を設け、該操縦席11の後方にエンジン12及びラジエータ13(図4参照)及びこれらを覆うボンネット14が配置されており、該ボンネット14上方にコレクタ16が設けられている。
【0016】
前記モーア6は機体2に対して左右一対のリフトリンク71で回動自在に取り付けられ、機体左右の一側(例えば右側)に配設した油圧シリンダ78の伸縮作動によって図7について後述するようにリフトリンク71は吊下リンク72とブラケット68を介してモーア6の昇降を行うことができる。
【0017】
なお、図11の斜視図に示すように油圧シリンダ78の一端側は適宜に走行機体2に枢着され、他端側は走行機体2の機体左右方向のフレームである横軸2a(両側の走行機体2に回動自在に設けられている)と一体のシリンダブラケット79に支持されていて、この横軸2aと一体のブラケット68の先端部に装着された前記吊下リンク72が昇降動してリフトリンク71を上昇ないし下降動作をさせる構成である。
【0018】
また、左右一対のリフトリンク71は、平面視で前半側が左右に広がり後半側が狭くなった構成とされ、後端を走行機体2に枢着し、前端をモーア6のデッキ中央部に枢着している(図2参照)。
【0019】
また、前後方向に軸芯を設けたブロア17を内装したブロアケース18が操縦席11の下方で左右前輪伝動ケース23L,23Rの間に配置されており、エンジン12の出力によりブロア17が作動する。ブロアケース18の上部にはブロアケース18とコレクタ16を繋ぐ芝草搬送用のダクト20が設けられている。さらに、ブロア17とモーア6の間には側面視後上がり形状のシュータ21が配置されていて、モーア6により刈り取られた芝草は、モーアデッキ6aの後部中央の排出口から短筒状の案内ガイド部6b及び端部をこのガイド部6bに重合させて折曲をとることができる前記シュータ21を経由してブロア17に送られ、さらにダクト20を経由して後方のコレクタ16に空気搬送される。なお、モーア6のカッター5の回転によっても起風されるので、該起風もブロア風による刈り取られた草のコレクタ16へ向けての空気搬送の一助となる。
【0020】
また、左右前輪伝動ケース23L,23Rの間にブロア17を配置し、該ブロア17の後方にダクト20を接続し、該ダクト20は操縦席11の後方を通りコレクタ16に刈り取った芝草等を収納できる構成になっている。
従って、容積の大きなブロア17を前輪3,3の間に配置することができ、芝刈り機の全体の高さを比較的低く抑えることができる。
【0021】
上記概略の構成部材を備えたモーア6の作動機構などを図4、図5の動力伝達機構を示す側面図及び図6のモーア伝動機構部の背面図で説明する。
エンジン12の出力軸12aをエンジン12の前方に出し、自在継手軸15を介して該出力軸12aからミッションケース24内の動力伝達機構Aに動力を伝達するためのミッション入力軸25に動力が伝達される。該入力軸25にはプーリ26が一体に設けられる。すなわち、入力軸25と自在継手軸15とのジョイント部15aの外周を覆うラッパ状部分25aにプーリ26が形成されている。そして、入力軸25と機体2の前後方向のほぼ同一位置に配置されたモーア用PTO軸28に固着したプーリ29に前記プーリ26からベルト30を介して動力が伝達され、これらモーア用PTO軸28、プーリ29及びベルト30をモーア動力伝達機構Bということにする。
【0022】
また、上記ミッションケース24の後面側には静油圧式無段変速装置(以下、HSTという)40を装着し、該ミッションケース24の前面側には軸支持メタル兼用のスペーサ27を介在してブロアケース18を着脱自在に設けている。
【0023】
上記構成においては、エンジン12の出力軸12aからの動力は自在継手軸15に伝達され、該自在継手軸15から動力伝達機構Aの入力軸25に伝達される。
自在継手軸15と入力軸25の連結部にある自在継手軸15のジョイント部15aは入力軸25に設けたラッパ状部材25aで覆われているので芝刈り機の全長を従来より短縮できる。
【0024】
すなわち、前記出力軸12aの端部から自在継手軸15のジョイント部15aまでの長さは必要最小の長さに設定されており、また、ミッションケース24の位置は、ブロア17の配置位置との関係で決定付けられるので、上記ジョイント部15aの位置がミッションケース24に接近する。また、上記プーリ26に掛けるベルト30がHST40に干渉しないようにするためには、上記のようにラッパ状部材25aを構成するとベルト30がHST40を迂回でき、上記の全長短縮の効果がある。
【0025】
また、図6に乗用芝刈機のモーア伝動機構Bの背面図に示すように、上記モーア動力伝達機構Bにおいて、上記プーリ26と該プーリ26の下方に配置したプーリ29との間にベルト30を掛けてPTO軸28に動力伝達し、ベルト30の緩み側を外側としてベルトクラッチ30aを構成する。このベルトクラッチ30aは、車両の側面視でHST40の一部と重なるように配置することにより、ベルト30をHST40に接近でき、動力伝達系の前後方向の構成寸法を抑えることができる。
【0026】
またミッションケース24内に設けられた入力軸25に伝達されたエンジン動力は動力伝達機構Aの走行駆動系A1、A2とブロア駆動系A3にそれぞれ動力が分配される。
ブロア駆動系A3は、前記入力軸25にカップリング25bを介して入力軸25と一体の回転軸25cに設けられ、ブロア駆動系A3へのエンジン動力を入切するブロア駆動用クラッチ32と該クラッチ32からの動力を順次伝達するクラッチ出力ギア33,中間伝動ギア34、入力ギア35及び該入力ギア35を軸上に設けたブロア駆動軸36の組合せからなる。
【0027】
また、走行駆動系A1は、入力軸25に固着された走行用ギア31からの動力が伝達されるカウンタギア37と該カウンタギア37と噛合するHST入力用ギア38、該HST入力用ギア38の固着したHSTポンプ駆動軸39を備えている。
【0028】
さらに、走行駆動系A1からは、前記入力軸25の下方においてミッションケース24の後面に配置されるHST40に動力伝達される。HST40は上記HSTポンプ駆動軸39で駆動するHSTポンプ41、該HSTポンプ41からの油圧動力で駆動するHSTモータ42、該HSTモータ42のHSTモータ軸43などからなる。
【0029】
HST出力軸43からミッションケース24内の走行駆動系A2に動力伝達される。すなわちHST出力軸43からの動力が伝達される走行駆動系A2は、該出力軸43上に設けられたドライブピニオン44、該ピニオン44に噛合うベベルギア45、このベベルギア45と並列状に設けられる連動ギア46、ベベルギア45と連動ギア46を支持する中間軸47及び連動ギア46と噛合するギア48と左右の回動軸49L,49Rを備えている。前記ギア48はデフ機構の入力部を構成し、ギア48に伝達された動力は、該デフ機構を介して左右の回動軸49L,49Rに伝達される。
【0030】
これら回動軸49L,49Rのミッションケース24から左右外部にそれぞれ突出した突出軸部にスプロケット50L,50Rが設けられ、該スプロケット50L,50Rからチェン52L,52Rとスプロケット54L,54Rを介して左右の前輪駆動軸53L,53Rにそれぞれ動力伝達可能になっている。左右前輪駆動軸53L,53Rが駆動すると左右の前輪3L,3Rが回転する。
【0031】
上記スプロケット50L,50R及びチェン52L,52Rはミッションケース24の左右両側面に装着する前輪伝動ケース23L,23R内に設けられ、これらミッションケース24と左右前輪伝動ケース23L,23Rとにより門型フレームが構成される。
【0032】
さらに、走行駆動系A1の走行用ギア31、カウンタギア37及びHST用入力ギア38のギア列を経てHSTポンプ駆動軸39が駆動されるが、HSTポンプ駆動軸39の入力回転をエンジン回転より高くなるよう設定することができるのでエンジン12自体の回転数を低くでき、低騒音化できる。
【0033】
また上記構成からなる走行駆動系A1を用いてHST40をエンジン12より低い位置に配置出来るため、後輪4L,4Rの車軸55を入力軸56及びHSTモータ軸43と同軸化することができ、4WD出力を簡素化できる。
また、前輪駆動軸53L,53Rを駆動するためにチェン52L,52Rを用いる伝動系は前述の通り、ミッションケース24と左右車軸伝動ケース23L,23Rとにより門型フレームとし、いわゆるポータルミッションタイプの動力伝動機構を採用しているため、前記ブロワ17を前輪駆動軸53L,53Rの間に配置することで、前輪3L,3R間にブロワ17を配置することができ、ブロア17とモーア6の距離が近くなり、刈り取った芝草などの搬送性能が向上する。
【0034】
さらに動力伝動機構Aへの入力軸25の前方にブロア駆動用クラッチ32を設け、またHST40への走行伝動系A1のギア列31,37,38とブロア伝動系A3のギア列33,34,35の間にギア群44,45,46,48などを配置することで、芝刈り機の前後長を短縮しつつ、動力伝動機構Aの地上からの高さをできるだけ高く維持することができる。
【0035】
また、後輪駆動軸55の入力軸56をHSTモータ軸43と同軸としているので後輪4の駆動系が簡素となり、後輪駆動軸55とHST油圧モータ軸43の連結部に自在継手を用いる必要がなく、簡素な動力伝達系統が得られる。
【0036】
上記動力伝達系統の配置により、ブロア駆動用クラッチ32をブロア駆動系A3の上方部へ配置することにより、ブロア駆動系A3のギア列33,34,35と走行駆動系A1のギア列31,37,38との間にスペースが生じるため、このスペースに走行駆動系A2の前輪駆動用のギア機構44,45,46,48などを配置することができ、動力伝達系統の地上高を下げることなく、動力伝達系統の前後長を短縮できる。
前記入力軸25とHST40が、機体前後方向で同じ位置の上下方向に配置されるため、走行駆動系A1、A2とブロア駆動系A3の前後長が比較的短くて良い。
【0037】
また、ブロア駆動用クラッチ32を設けたことで走行駆動系A1とブロア駆動系A3をモーア動力伝達機構B(モーア用PTO軸28、プーリ29、ベルト30、テンションプーリ30aなど)とは独立してオン/オフが可能となり、またモーア動力伝達機構Bの一部に駆動ベルト30を採用することによりブロア17を避けた遠い位置まで単純な構成でモーア6への駆動伝達系を成立させることができる。
【0038】
また、ブロアケース18の空気排出口にコレクタ16に向けダクト20を接続するが、ダクト20は操縦席11との干渉をさけて、操縦席11の後側に配置し、その排出口に前方より見てやや右方に傾斜し、かつ上部側に至るに従い後方傾斜するもので、コレクタ16の壁に沿うように設けられる。
【0039】
図7は、本実施例のモーア6とPTOレバー61の機械的連動機構を説明するためのレバー操作部の左側面図(図7(a))と平面図(図7(b))であり、図7(a)はクラッチ30aが完全に入り状態になったときのPTOレバー61の操作位置を示す。
また、図8(a)はクラッチ30aが入り状態になる直前のPTOレバー61の操作位置、図8(b)はクラッチ30aが切り状態になったときのPTOレバー61の操作位置を示す図である。
【0040】
PTOレバー61は、レバー先端部側の比較的長いレバー板材61bとレバー基部側の短いレバー板材61cをレバー基部側で貼り合わせた構成を備え、レバー基部側の下端部に走行機体2に支持される回動軸(回動支点)61aがある。また、前記回動支点61aを中心に回動する比較的短いアーム板材60がレバー板材61cと並列状に配置されている。
【0041】
さらに回動支点61aの外周部にはバネ59が巻き付けられ、バネ59の一端はアーム板材60と一体の付属板60aに係止し、他端はレバー板材61cに係止している。また、レバー板材61cの回動支点61aとは反対側の端部付近に長穴61caが設けられており、該長穴61caに余裕を持って貫通する回転筒63aと、該筒63a内のピン63bから成るローラ63がアーム板材60をも貫通し、このアーム部材60に固着されている。
【0042】
従ってレバー61を操作すると回動支点61aを中心にレバー板材61b、61cが一体的に揺動し、また回動支点61aを中心にレバー板材61cの長穴を貫通するローラ63がアーム板材60も揺動させる。ただしアーム板材60の揺動は回転筒(ローラ)63が長穴61caに壁面に接当して始めて作動するので、レバー61の揺動開始よりアーム板材60の揺動開始タイミングが遅れる。
【0043】
走行機体2に設けられた円筒状の回動中心(回動軸)62aを中心に揺動自在に支持されるレバーロックカム62はPTOレバー61のレバー板61b、61c、アーム板材60等の並列位置に配置されている。レバーロックカム62の回動中心62aより後方上側には上方が開放した大きな凹部62bが形成され、該凹部62bには前後二つの係止谷部62c,62dが設けられる。
【0044】
また、レバーロックカム62の回動中心(回動軸)62aの上側にはレバーロックカム62を牽引するワイヤ66一端が連結しており、ワイヤ66の他端は図示しないがモーアの昇降用リンク機構と連動している。さらに、レバーロックカム62の前後二つの係止谷部62c,62dには、レバー板材61cの長穴61caとアーム板材60を貫通して配置されたローラ63が係止可能になっており、該ローラ63にはワイヤ64の一端が連繋されている。このワイヤ64の他端はモーア駆動用テンションクラッチ用のローラ30aの作動部(図示せず)に連結している。
【0045】
また、レバーロックカム62の回動軸62aの下側前方端部には機体との間でレバーロックカム62を常時牽引する側に付勢するバネ67が設けられている。
また更に、前記PTOレバー61のレバー板61cには、PTO入り位置でレバーロックカム62の凹部62bを形成する一端の隆起部62eの近傍にローラ61dを配置している。このローラ61dは、PTOレバー61を入りから切りに操作する際に、前記隆起部62eに接触してレバーロックカム62を前記バネ67に抗して回動中心62a周りに回動させることができる。
【0046】
上記構成からなるモーア6とPTOレバー61の機械的連動機構によりPTOレバー61の操作に連動してモーア6の入り切りが次のようにして行われる。
まず図8(b)に示すレバーロックカム62の二つの谷部62c,62dの後方側に谷部62dにローラ63が係止しているときワイヤ64はモーア6の作動用クラッチ30aを切った状態にあり、この状態からPTOレバー61を矢印P方向に揺動して図8(a)の位置に動かそうとすると、ローラ63はレバー板61b、61cとアーム板60の揺動によりカム62の係止谷部62dから二つの係止谷部62c,62dの間の小さな山部を乗り越えるように動く。
【0047】
このときレバー板61cの長穴61ca内のローラ63はレバー板61cの矢印P方向への動きで長穴61caの後方の側面に接当するアーム板60を初めて矢印P方向へ動かす。そのときローラ63が、その下部側面が接当するカム62の係止谷部62c,62dの間の小さな山部を乗り越えるように動くため、カム62が矢印Pの反対方向に回動軸62aを中心に回動し、係止谷部62dの緩い傾斜面上をローラ63が転がるため、レバー61は比較的小さい力で操作できる。
【0048】
図8(a)に示す位置から、さらにレバー61を矢印P方向に回動すると、図7(a)に示すような位置にレバー61が回動し、ローラ63はカム62の係止谷部62cに嵌るので、ワイヤ64が機体2の前方に牽引されるためクラッチ30aが完全に入り状態になりモーア6が入り状態となる。
【0049】
図7,図8に示す本実施例の構成では、図7(a)に示すモーア6の駆動状態(入り状態)ではモーア駆動用テンションローラ30aの反力(矢印Q方向にワイヤ64を牽引する張力)がカム62を押し下げる方向(矢印R方向)に分力される割合が少ない位置になるようカム62の回動軸(支点)62aを設けている。また、カム62の形状も前記矢印Q方向の前記反力ではローラ63がカム62の係止谷部62cから抜けない形状としている。
【0050】
この様な図7(a)に示すモーア6の駆動状態(入り状態)から図8(b)に示すモーアの駆動停止状態(切り状態)にするために、図7(a)に示すようにPTOレバー61を矢印Sに動かすと、ローラ63はレバー板61cの長穴61ca内を矢印Sへの移動している間は抵抗なくレバー61が揺動可能である。
【0051】
つまり、矢印S方向に動く直後にローラ61dが隆起部62eに接触してレバーロックカム62を押し下げようとし、一方、PTOレバー61と一体的のローラ63は、長穴61caの範囲でレバーロックカム62とは相対的にずれ動く。この間、ローラ63がアーム板60の前方の壁面に接当するとアーム板60を初めて矢印S方向へ動かす。アーム板60が矢印S方向へ動きだすとローラ63が、その下部側面に接当するカム62の係止谷部62c,62dの間の小さな山部を乗り越えるように動き始めるため、カム62が矢印S方向に回動軸62aを中心に押し下げられる。このとき、上記のように隆起部62eにローラ61dが接触してレバーロックカム62が若干押し下げられているため係止谷部62c,62d間の山部を乗り越えやすくなっており、そのため、レバー61の操作荷重がレバー板61cの長穴61caとアーム板60がない場合に比較して格段に軽くなる。
【0052】
さらにレバー61をS方向に揺動させると、ローラ63がカム62の係止谷部62dにはまり込み、図8(b)の状態となりモーア6の作動用ワイヤ64がテンションクラッチ30aをモーア6の駆動を切る位置に動かす。
【0053】
この様にPTOアーム板60を動かすためのPTOレバー61はモーア6の入り方向ではPTOアーム板60と一体となって動くようにし、モーア6の切り方向への操作時にはPTOアーム板60とは別に動いてカム62を押し下げるように作動する。
【0054】
こうして、PTOワイヤ64を引くアーム板60とレバー板61b,62cを別々に設け、モーア6の駆動を切る操作をする時にはレバー板61b,62cを作動開始をした後にアーム板60を作動させることでロックカム62を回動させてから、PTOレバー61を切方向に操作するようにして、レバー61の操作荷重を低くして、PTOテンションクラッチ30aのモーア駆動停止保持を確実にした。
【0055】
またモーア6を図1に示す油圧シリンダ78と昇降用のリフトアーム71の作動で上昇させると、リフトアーム71の作動で牽引されるワイヤ66が図8(b)の矢印T方向に牽引され、カム62は図8(b)の矢印(イ)方向に回動し、ローラ63が係止谷部62cから脱し、PTOレバー61は図8(b)の位置、即ち係止谷部62dに移動する。
【0056】
PTOレバー61は図8(b)の位置にある、切り状態のモーア6の上昇時には、モーア6を駆動状態にしようとして手動でレバー61を前方(図面左側)に倒せるが、カム62の係止谷部62cにローラ(回動軸)63が係合し得ないため手をレバー61から離すと、レバー61の基部に巻かれたコイルスプリング59に付勢され、レバー61はモーア6を切り位置側に復帰するので、モーア6の上昇中に不測に刃部が回転するなどの危険を防止できる利点がある。
【0057】
上記図8(b)に示すアップカット状態(モーア6の駆動を禁止した状態でモーア6を上昇させた状態)で誤ってレバー61を図7(a)位置に移動させ、モーア6を駆動させる操作(入り操作)した場合、レバー61の入り位置でレバー61から手を離すと、レバー61はコイルスプリング59に付勢されたテンション力で、レバー61がモーア6の切り位置側へ勢いよく戻るため、操縦者の手を打つ等の不具合が発生するおそれがある。
【0058】
そこで前記アップカット時にPTOレバー61をモーア6の駆動を切るように(モーア6を切り位置に)ロックする構成として、上記誤操作を防止する構成とすることもできる。この構成を図9に示す。
図9に示す構成は、凹部62bを形成するカム62の後方端部側の頂部にローラ63を保持できる係止部61fを設けておき、前記アップカット時にカム62の係止部62fでローラ63を抱え込むことでモーア6が誤って駆動状態にならないようにする。
この状態で、モーア6を上昇させていたリフトアーム71を下げると、該リフトアーム71に連動するワイヤ66がカム62を図9の点線位置に回動させるので、前記ローラ63がカム62の係止部62fへ抱え込まれたロック状態は解除される。
【0059】
上記した図7〜図9に示す構成で、カム62の動きに連動する回動部と、テンションクラッチ30aの入り切り用のワイヤ64の端部の回動部及びPTOアーム板60とPTOカム62の間のロック用の回動部を一つのローラ63で構成したので、構成が簡素化される。
【0060】
さらに図7〜図9に示す構成により、アーム板60の回動支点とPTOレバー61の回動支点を同一の回動支点(回動軸)61aとしているため、部品点数の削減ができ、PTOレバー61によるモーア6のテンションクラッチ30aの入り切りのための構成を前記2つの支点を別々にした場合に比べて簡素化できる。
【0061】
図10は、本実施例のモーア6とPTOレバー61の機械的連動機構を説明するためのレバー操作部の左側面図である。また、図11には油圧シリンダ78の機体への取付部の斜視図を示す。
PTOレバー61の基部側にある走行機体2に支持される回動支点61aより下方の端部には前後二つの突起部61e,61f(円A内参照)が設けられ、該一対の突起部61e,61fはレバーロックカム62の後方片側にある凹部62bに形成された対応する前後二つの係止谷部62c,62d(円B内参照)の内の前側の谷部62cに初期状態では収まるように配置される。
【0062】
また、PTOレバー61の基部側の前方の突起部61eには回動自在のローラ63が取り付けられており、レバーロックカム62の周縁を跨ぐ状態に設けられ、PTOレバー61の取っ手を持って操作(図7に示す例では矢印P方向に操作)すると該ローラ63が回転するのでレバー61を回動支点61aを中心にスムーズに動かすことができる。また、PTOレバー61が初期位置である図示実線位置に傾くように後方に付勢するためのスプリング65が該レバー61の回動支点61aより上側に位置するレバー中間部と走行機体2との間に取り付けられている。
【0063】
前記PTOレバー61には、その回動支点61aよりも上位置においてスプリング65とほぼ平行してワイヤ64の一端が連繋されており、このワイヤ64の他端はモーア駆動用テンションクラッチ用のローラ30aの作動部(図示せず)に連結しており、PTOレバー61が図7の実線位置にあるときにはモーア6は作動停止した状態にあり、PTOレバー61を矢印P方向に回動するとテンションクラッチ用ローラ30aが入りとなりモーア6は駆動する。
【0064】
また、レバーロックカム62の凹部62bとは反対側の走行機体前方側の端部付近にはレバーロックカム62の回動中心62aがある。さらにレバーロックカム62の回動中心62aの上側にはレバーロックカム62を牽引するワイヤ66の一端が連結しており、ワイヤ66の他端は走行機体2の横軸2aに支持されたブラケット68の支持片68aに支持固定されている。
【0065】
さらに、レバーロックカム62の回動中心62aの下側には、該レバーロックカム62をワイヤ66のインナワイヤ66bを牽引する方向(矢印Q方向)とは反対側に常時牽引するスプリング67の一端が連結され、該スプリング67の他端は走行機体2に連結している。
【0066】
前記レバーロックカム62の凹部62bにある二つの谷部62c,62dはモーア駆動用ベルトテンションクラッチ用プーリ30aのクラッチ切り位置とクラッチ入り位置にそれぞれ対応しており、PTOレバー61の回動支点61aより下方の端部にある前後二つの突起部61e,61fの中で前側の突起部61eに設けられたローラ63が通常のテンションクラッチ用プーリ30aのクラッチ切り位置に対応した谷部62cからテンションクラッチ用プーリ30aのクラッチ入り位置に対応した谷部62dに移動すると、モーア駆動用のベルトテンションクラッチ用プーリ30aは「切」から「入」に切り替わる。
【0067】
さらに、前記ブラケット68の支持片68aに支持されたアウタワイヤ66aから更に伸びるインナワイヤ66bの端部はモーアリフトアーム70の先端部に連結している。
該リフトアーム70の基部はモーア昇降用の前記リフトリンク71の後端部に固着しており、該リフトアーム70とリフトリンク71の回動支点71aは走行機体2の一部2bに下端部が支持固定された縦アーム2cに支持され、該縦アーム2cの上端部が走行機体2の側面に支持固定されている。
【0068】
また、走行機体2に回動自在に枢着された横軸2aと一体に連結されたブラケット68の前端部には吊下げリンク72の上端部が回動自在に支持されている。該吊下げリンク72の下端部はリフトリンク71の中間部に回動自在に支持されている。また、横軸2aと一体のブラケット68はシリンダブラケット79を介して油圧シリンダ78に連結している。
【0069】
前記油圧シリンダ78の横軸2aを支点とする前後方向への伸縮作動に伴い、走行機体2に回動自在に取り付けられた横軸2aと一体のブラケット68の前端部が上下回動すると、リフトリンク71の後端部の回動支点71aを中心にリフトリンク71は上下回動し、たとえば上記モーアリフトアーム70が図示の位置から矢印D方向に回動すると、ワイヤ66を引く構成である。
【0070】
上記構成からなるモーア6とPTOレバー61の機械的連動機構において、PTOレバー61の取っ手を前方(矢印P方向)に回動させると、PTOレバー61の基部側の前方側の突起部61eにあるローラ63がレバーロックカム62の凹部62bの前方の係止谷部62cから山を乗り越えて後方の係止谷部62dに移動する。このときPTOレバー61が矢印P方向に作動するためワイヤ64が牽引されてモーア駆動用テンションクラッチ用プーリ30aがモーア6を駆動する側に動き、モーア6が駆動開始する。
【0071】
この後、モーア6をモーア昇降用の油圧シリンダ78により上昇させる動きがあると、リフトリンク71が上方に回動し(矢印C方向)、該リフトリンク71と一体のリフトアーム70が矢印D方向に回動する。このリフトアーム70の矢印D方向への回動によりインナワイヤ66bが牽引され、レバーロックカム62がスプリング67に抗して回動支点62aを中心とし矢印Q方向に回動する。このレバーロックカム62の矢印Q方向への回動によりレバーロックカム62の後方の係止谷部62dにあったPTOレバー61の前方の突起部61eにあるローラ63がレバーロックカム62の前後二つの係止谷部62c,62dの間の山を乗り越えて前方の谷部62cに移動し、PTOレバー61が初期位置に戻り、モーア6が駆動停止する。
【0072】
このように一対のスプリング65,67とPTOレバー61の前後二つの突起部61e,61fと前方側の突起部61eにあるローラ63とレバーロックカム62の凹部62bの前後二つの係止谷部62c,62d等の形状と配置位置によりPTOレバー61は前後方向への移動をスムーズに行うことができ、またPTOレバー61の前方向への移動でモーア6が作動し、PTOレバー61の後方向への移動でモーア6が作動停止する。
【0073】
上記構成とすることにより、モーア6を所定量上昇連動させるとPTOレバー61が矢印P方向の反対側方向に動いてモーア駆動系の動力を遮断する。このように、PTOレバー61とレバーロックカム62との組合せであるが、レバーロックカム62の形状を工夫することによってモーア6の駆動と昇降の連動機構を簡単な構成とすることができる。
【0074】
以下、本実施例の乗用芝刈り機に適用可能なその他の構成を説明する。
図12には中央部で刈り草を集めるタイプのモーアデッキ6aの平面図を示すが、モーアデッキ6aから機体後方に刈り草を搬送する案内ダクト6bの始端部には刈り草が溜まり易いので、カッター5を芝草の刈取時とは逆転させて、これを定期的に前記始端部などに溜まった刈り草を除去する。そのためのカッター5の逆転用のハンドル75をその端部に形成した出力凹部75aがカッタ回転軸部5aの軸端に形成した外部入力軸部5bに伝動可能に嵌合装着できるようにする。なおハンドル75は使用しないときは、例えば図12に示すハンドル位置とは直交する位置にして前記モーアデッキ6aの適所に仮止めしておく。こうして、簡単に手を汚すことなく、モーア6内に詰まった草を取り除くことができる。
【0075】
モーア6を上昇させすぎるとモーア6の駆動が切りになる装置を設けると安全である。そのために図13に示すようにモーア6のオン−オフスイッチ80を機体に取り付けておき、該オン−オフスイッチ80とモーアリフトリンク71をワイヤ78で連動させる。すなわちリフトリンク71が回動支点71a回りに回動し矢印A方向にモーア6を上昇させ過ぎると、ワイヤ81が矢印B方向に引かれ、オン−オフスイッチ80がオフとなりモーア6の駆動を停止させる構成である。
【0076】
また図14に示すようにモーア6の補助輪9の支持アーム9bにゲージを設け、該アーム9bとモーアデッキ6aのリフトリンク支持ブラケット9cをプレート9dで接続しておき、該アーム9bの設置位置でモーアの組付高さがアーム9bに設けたゲージで読み取ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、家庭用、産業用の乗用芝刈機として有用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施例の乗用芝刈機の要部左側面図である。
【図2】図1の乗用芝刈機のブロア配置を説明する要部正断面図である。
【図3】図1の乗用芝刈機のモーアと前輪駆動部の平面図である。
【図4】図1の乗用芝刈機の動力伝達系統を説明する伝動説明線図である。
【図5】図1の乗用芝刈機の動力伝達系統を説明する要部左側面図である。
【図6】図1の乗用芝刈機のモーア伝動機構部の背面図である。
【図7】図1の乗用芝刈機のモーアとPTOレバーの機械的連動機構を説明するためのレバー操作部の左側面図(図7(a))と平面図(図7(b))である。
【図8】図1の乗用芝刈機のクラッチが入り状態になる直前のPTOレバーの操作位置を示すレバー操作部の側面図(図8(a))とクラッチが切り状態になったときのPTOレバーの操作部の側面図(図8(b))である。
【図9】図1の乗用芝刈機のアップカット時にPTOレバーをモーアの駆動を切り位置にロックする構成のPTOレバーの操作部の側面図である。
【図10】図1の乗用芝刈機のモーアとPTOレバーの機械的連動機構を説明するためのレバー操作部の左側面図である。
【図11】図1の乗用芝刈機のモーア昇降用油圧シリンダの取付部の斜視図である。
【図12】図1の乗用芝刈機の中央部で刈り草を集めるタイプのモーアデッキの平面図である。
【図13】図1の乗用芝刈機のモーア過上昇時の安全装置の構成図である。
【図14】図1の乗用芝刈機のモーアの補助輪支持アーム設けたゲージ構造を示す図である。
【符号の説明】
【0079】
2 走行機体 2a 横軸
2b 機体の一部 2c 縦アーム
3 前輪 4 後輪
5 カッター 6 モーア
6a モーアデッキ 6b 案内ガイド部
7 フロア 8 ステアリングコラム
9 補助輪 9b 支持アーム
9c 支持ブラケット 9d プレート
10 ハンドル 11 操縦席
12 エンジン 12a エンジン出力軸
13 ラジエータ 14 ボンネット
15 自在継手軸 15a ジョイント部
16 コレクタ 16a コレクタの蓋
16b コレクタ回動支点 16c コレクタ開口部フレーム
16d コレクタ蓋開閉支点 17 ブロア
18 ブロアケース 20 ダクト
21 シュータ 22 フェンダ
23 前輪伝動ケース 24 ミッションケース
25 ミッション入力軸 25a ラッパ状部材
25b カップリング 25c 回転軸
26 プーリ 27 スペーサ
28 モーア用PTO軸 29 プーリ
30 ベルト 30a テンションクラッチ
31,33,34,35,48 ギア
32 ブロア駆動用クラッチ 36 ブロア駆動軸
37 カウンタギア 38 HST入力用ギア
39 HSTポンプ駆動軸 40 静油圧式無段変速装置(HST)
41 HSTポンプ 42 HSTモータ
43 HSTモータ軸 44 ドライブピニオン
45 ベベルギア 46 連動ギア
47 中間軸 49 回動軸
50L,50R スプロケット 52L,52R チェン
53L,53R 前輪駆動軸 54L,54R スプロケット
55 後輪駆動軸 56 後輪駆動入力軸
61 PTOレバー 61a 回動支点
61b,61c レバー板、 61d ローラ
61e,61f 突起部 62 レバーロックカム
62a 回動中心 62b レバーロックカム凹部
62c,62d 係止谷部 63 ローラ(回転軸)
64 ワイヤ 65 スプリング
66 ワイヤ 66a アウタワイヤ
66b インナワイヤ 67 スプリング
68 ブラケット 70 モーアリフトアーム
71 リフトリンク 71a 回動支点
72 吊下リンク 75 カッター逆転用ハンドル
80 オン−オフスイッチ 81 ワイヤ
A 動力伝達機構 A1、A2 走行駆動系
A3 ブロア駆動系 B モーア動力伝達機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(12)と、該エンジン(12)の動力で作動する草を刈り取るためのモーア(6)を備えた乗用芝刈機において、
モーア(6)にエンジン動力を伝達するモーア駆動用クラッチ(30a)を有する動力伝達機構(B)と、
モーア駆動用クラッチ(30a)を入り切り連動するPTOレバー(61)と、
PTOレバー(61)の回動支点(61a)近傍に設けたローラ(63)を前記クラッチ(30a)の入り位置と切り位置にそれぞれ対応した位置に保持する2つの係止谷部(62c,62d)を有する凹部(62b)を備えたレバーロックカム(62)と、
前記ローラ(63)を端部に連結してモーア駆動用クラッチ(30a)を入り切りするワイヤ(64)と、
モーア(6)を昇降させるための油圧シリンダ(78)と、
該油圧シリンダ(78)により作動するモーア昇降用リンク機構(71など)と、
該モーア昇降用リンク機構(71など)と油圧シリンダ(78)によりモーア(6)を上昇させると、レバーロックカム(62)のクラッチ(30a)の入り位置に対応した係止谷部(62c)にあるPTOレバー(61)のローラ(63)をクラッチ(30a)の切り位置に対応した係止谷部(62d)に移動させる連携機構(66)と
を備えたことを特徴とする乗用芝刈機。
【請求項2】
PTOレバー(61)は、回動支点(61a)を有するレバー板(61b,61c)と、該レバー板(61b,61c)と並行する位置に設け、回動支点(61a)を中心に回動自在のアーム板(60)と、レバー板(61b,61c)をモーア切り側に回動させるときに、前記レバー板(61b,61c)の回動がアーム板(60)の回動より先行するようにレバー板(61b,61c)に設けた長穴(61ba)とレバーロックカム(62)の凹部(62b)を形成する隆起部(62e)に当接するレバー板(61b,61c)に設けたローラ(61d)と、
回動支点(61a)の周りにはレバーロックカム(62)をモーア駆動用クラッチ(30a)を切り側に付勢するように設けたリングバネ(59)と
を備えていることを特徴とする請求項1記載の乗用芝刈機。
【請求項3】
モーア(6)の上昇に連動して、PTOレバー(61)をロックする係止部(62f)をレバーロックカム(62)に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の乗用芝刈機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−77691(P2009−77691A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251112(P2007−251112)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】