説明

乳化剤形の化粧料

【課題】 乳化剤形の化粧料において、擦過時における心地よさの持続時間を向上させる技術を提供する。
【解決手段】 1)ポリエチレングリコール(100〜200)ジ脂肪酸エステルと、2)(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステルとを乳化剤形の化粧料に含有させる。前記ポリエチレングリコール(100〜200)ジ脂肪酸エステルの含有量は、0.01〜0.5質量%が好ましく、前記(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステルの含有量は、0.1〜10質量%が好ましく、更に、ジグリセリンテトラオレートを含有することが好ましく、マッサージ用の化粧料であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に関し、更に詳細には、マッサージに好適な乳化剤形の化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
マッサージ用の化粧料は、マッサージ施術の擦過処置時に、該擦過処置に際しての手指と被擦過部位との摩擦により、被擦過部位が刺激を感じるのを防ぐ目的で、摩擦係数を低下すべく介在させる化粧料であり、その剤形としては、オイル剤形、高内相水中油乳化剤形、水性ゲル剤形、非水ゲル剤形等が知られている。オイル剤形は摩擦低下機能が長時間安定している利点が存する反面、液だれしたり、マッサージ後の感触が油っぽい等の欠点が存し、乳化剤形では、水性の添加成分、油性の添加成分を加えた剤形とすることができ、マッサージしながらスキンケアができる利点を有する反面、擦過処置の途中で乳化系が反転し、該反転時に摩擦係数が大きく変わり、擦過処置の心地よさに好ましくない影響を与えることが存する欠点が存する。水性ゲル剤形では、擦過時に油っぽさを感じず、反転による摩擦係数の変化もなく、マッサージ後に簡便に化粧料を除去できる利点を有する変わりに、水分散逸に伴い摩擦液数が急激に上昇する、エモリエント効果が少ない、マッサージ開始時に冷感を感じ、心地よさのレベルが高くならないなどの欠点が存する。非水ゲル剤形では温感付与ができる利点があるものの、摩擦係数の低下効果が低く、心地よさの向上レベルに課題がある等、それぞれの剤形に一長一短が存するのが現状であった。エステティックにおけるマッサージ施術では、第一の目的が心地よさの付与であり、第二の目的が毛穴などに蓄積した油性汚れとタンパク汚れの複合汚れの除去であり、この意味で、エステティック施術用のマッサージ料としては、擦過時の摩擦係数に変化が少なく、且つ、油性汚れ、タンパクなどの水性汚れの両者の除去できるマッサージ製剤が好適である。この様な観点から、乳化剤形のマッサージ料において、反転をなだらかに改良することが、心地よさの持続時間の向上につながり、エステティック施術用としても好適に使用できると言える。
【0003】
一方、(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステルは化粧料用の非イオン界面活性剤として知られている(例えば、特許文献1を参照)が、マッサージ料への応用は全く知られていない。ポリエチレングリコール(150)ジステアレートのようなポリエチレングリコール(100〜200)ジ脂肪酸エステルも化粧料用の原料として知られている(例えば、特許文献2を参照)が、マッサージ料への応用は全く知られていない。従って、かかる2者を組み合わせてマッサージ用の化粧料に含有させることも、この様な構成を取ることにより、反転がながらかになり、心地よさを持続させるのに好適なマッサージ料とすることができることも全く知られていなかった。
【0004】
【特許文献1】特開2003−286126号公報
【特許文献2】特開2002−47123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、乳化剤形の化粧料において、擦過時における心地よさの持続時間を向上させる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、乳化剤形の化粧料において、擦過時における心地よさの持続時間を向上させる技術を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、1)ポリエチレングリコール(100〜200)ジ脂肪酸エステルと、2)(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステルとを含有する乳化剤形の化粧料がこの様な特性を有していることを見いだし、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、以下に示すとおりである。
(1)1)ポリエチレングリコール(100〜200)ジ脂肪酸エステルと、2)(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステルとを含有する乳化剤形の化粧料。
(2)前記ポリエチレングリコール(100〜200)ジ脂肪酸エステルの含有量が、0.01〜0.5質量%であることを特徴とする、(1)に記載の化粧料。
(3)前記(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステルの含有量が、0.1〜10質量%であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の化粧料。
(4)更に、ジグリセリンテトラオレートを含有することを特徴とする、(1)〜(3)何れか1項に記載の化粧料。
(5)マッサージ用の化粧料であることを特徴とする、(1)〜(4)何れか1項に記載の化粧料。
(6)前記マッサージがエステティック施術におけるマッサージであることを特徴とする、(5)に記載の化粧料。
(7)蒸しタオルの拭き取りによって除去できる性質のものであることを特徴とする、(1)〜(6)何れか1項に記載の化粧料。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、乳化剤形の化粧料において、擦過時における心地よさの持続時間を向上させる技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(1)本発明の化粧料の必須成分であるポリエチレングリコール(100〜200)ジ脂肪酸エステル
本発明の化粧料は、ポリエチレングリコール(100〜200)ジ脂肪酸エステルを必須成分として含有することを特徴とする。かかる成分を構成するポリエチレングリコール部分としては、ポリオキシエチレンの重合度に換算して100〜200が好ましく、120〜180がより好ましい。又、脂肪酸残基としては、特段の限定はないが、炭素数10〜30の飽和又は不飽和のものが好ましく、分岐を有することもできる。具体的には、ラウリン酸残基、ミリスチン酸残基、パルミチン酸残基、ステアリン酸残基、ベヘン酸残基、オレイン酸残基、リノール酸残基、リノレイン酸残基、イソステアリン酸残基、オクチルドデカン酸残基などが好適に例示できる。特に好ましいものはステアリン酸残基である。特に好ましい化合物としては、ポリエチレングリコール(150)ジステアリン酸エステルが例示できる。これらの成分に関しては既に市販されているものが存し、かかる市販品を購入して利用できる。
【0009】
本発明の化粧料において、かかる成分は後記(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステルとともに働いて、擦過時の反転をなだらかにさせ、反転に伴って摩擦係数が急激に上昇するのを抑制するとともに、適度な心地よい刺激を皮膚に感じさせる効果を奏する。この様な効果を奏するためには、前記ポリエチレングリコール(100〜200)ジ脂肪酸エステルを唯一種含有させることもできるし、二種以上を組み合わせて含有させることもできる。又、この様な効果を奏するための含有量としては、総量で、化粧料全量に対して、0.01〜0.5質量%が好ましく、より好ましくは、0.05〜0.3質量%である。これは多くなりすぎると摩擦係数の変化が大きくなる場合が存し、少なすぎると反転のなだらか化効果が得られない場合が存するためである。
【0010】
(2)本発明の化粧料の必須成分である(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステル
本発明の化粧料は(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステルを必須成分として含有することを特徴とする。かかる成分は、グリセリンにアジピン酸、2−エチルヘキサン酸、ステアリン酸がランダムにエステル結合したオリゴエステルであり、二塩基酸であるアジピン酸を介して架橋構造を形成する部分も存し、分子量的には大きなエステルとなる。この様な成分は既に化粧料用の原料として使用されており、市販品も存する。好ましい市販品としては、例えば、日清オイリオ株式会社より販売されている、「ノムコートLAH」等が例示できる。かかる成分は、前記ポリエチレングリコールのジ脂肪酸エステルとともに働き、マッサージにおける擦過時の反転のタイミングを調整する作用を有し、同時にこしのある密着感により、擦過時に心地よい刺激を肌に創出する作用を有する。この様な作用を発現させるためには、かかる成分を、化粧料全量に対して、0.1〜10質量%含有させることが好ましく、より好ましくは1〜5質量%含有させる。
【0011】
(3)本発明の化粧料
本発明の化粧料は、前記必須成分を含有し、乳化剤形であることを特徴とする。乳化剤形としては、水中油乳化剤形であることが好ましい。本発明の化粧料は、通常化粧料で適用されている品目であれば特段の限定なく適用することができ、例えば、乳液、栄養クリーム、クレンジングクリーム、マッサージクリームなどの基礎化粧料、アンダーメークアップ、ファンデーションなどのメークアップ化粧料などが好適に例示できる。特に好ましい品目は基礎化粧料であり、中でもマッサージ料がより好ましく、マッサージ料においては、エステティックのマッサージ施術用の化粧料が特に好ましい。これは、反転がなだらかであり、摩擦係数の変化が少なく、以てマッサージ施術によってもたらされる心地よさが大きくなるためである。又、副次的効果として、かかる組み合わせの含有により、水性担体で容易に除去できる性質を有し、濡れタオルでの拭き取り程度の化粧動作でマッサージ後の化粧料を除去できる性質も存する。この様な形態の拭き取りで化粧料が除去できることは、化粧料の除去動作で、それ以前に構築した施術の心地よさを中断することなく維持できるため、エステティックのコース全体で獲得できる心地よさの総量が増大するメリットが存する。この様な効果を更に高めるためには、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルを0.5〜2質量%含有させることが好ましい。この様なポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルとしては、POE(7)ヤシ油脂肪酸グリセリル(例えば、コグニスジャパン株式会社製「セチオールHE」)、POE(7)(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル(例えば、コグニスジャパン株式会社製「セチオール810HE」)、POE(20)イソステアリン酸モノグリセリド(例えば、日本エマルション株式会社製「エマレックスGWIS−120」)、POE(20)イソステアリン酸トリグリセリド(例えば、日本エマルション株式会社製「エマレックスGWIS−320」)等が好適に例示できる。
【0012】
マッサージにおいては擦過動作を伴うので、この動作により毛穴の奥などに存する油脂・タンパクなどの複合汚れを除去する副次的機能も存する。とりわけ、エステティックのマッサージ施術においては、この様な複合汚れの除去効果は、肌の活力を再生する上で重要な因子となっている。この為、この様な効果をより高めるために、本発明の化粧料においては汚れ除去作用の著しい成分を含有することが好ましい。この様な汚れ除去効果の著しい成分としては、例えば、ジグリセリンテトラオレートなどが好適に例示できる。本発明の化粧料における、かかる成分の好ましい含有量は、1〜10質量%であり、より好ましくは2〜8質量%である。これは前記複合汚れを除去するのに好適な含有量である。
【0013】
本発明の化粧料においては、この様な成分以外に、通常化粧料で使用される任意成分を含有することができる。本発明の皮膚外用剤においては、かかる成分以外に、通常皮膚外用剤で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤、;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノール等の抗菌剤などが好ましく例示できる。
【0014】
本発明の化粧料は、前記必須成分、任意成分を常法に従って処理することにより、製造することができる。
【0015】
以下に、実施例をあげて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0016】
以下の表1に示す処方に従って、本発明の化粧料である、マッサージ料1を作成した。即ち、イ、ロの成分を80℃に加温して、攪拌下イに徐々にロを添加し、攪拌冷却して、マッサージ料1を得た。
【0017】
【表1】

【0018】
<試験例1>
マッサージ料1とともに、マッサージ料1のPOE(150)ジステアリン酸エステルを水に置換した比較例1、「ノムコートLAH」を水に置換した比較例2とをマッサージ料1と同様の手技で作成し、これらを実際のマッサージ施術で使用し施術前後に唾液を採取し、唾液中のデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)の濃度を測定した。(施術後のDHEAの濃度−施術前のDHEAの濃度)/(施術前のDHEAの濃度)×100の式に従ってDHEAの増加率を算出した。DHEAの濃度は、抗DHEAマウス抗体と抗マウスウサギ標識抗体を用いた、サンドウィッチ抗原抗体法により求めた。マッサージ料は濡れタオルでの拭き取りによって除去した。結果を表2に示す。これより、本発明の化粧料は心地よさの付与効果に優れることがわかる。尚、例数は1群3名を用いた。
【0019】
【表2】

【0020】
<試験例2>
試験例1の濡れタオルでの拭き取り操作の後に、10分おいて、各パネラーの小鼻の部分に1cm×1cmのあぶらとり紙を質量を秤量した後に5分間貼付し、しかる後に再度質量を秤量し、貼付による質量増加率を求めた。結果を表3に示す。これより、マッサージ料1では質量はあまり増加しないが、比較例1、比較例2では、マッサージ料1に比して顕著に増加していることがわかる。これは、比較例1、2において複合汚れの除去が十分でなかったことと、濡れタオルでの拭き取りで化粧料や汚れの除去が十分でなかったことに起因すると思われる。
【0021】
【表3】

【実施例2】
【0022】
マッサージ料1と同様に、表4の処方に従って、本発明の化粧料であるマッサージ料2を作成した。このものを試験例1の方法で評価したところ、DHEA増加率は14.9±4.6%であり、試験例2の質量増加率は4.7±3.9でり、同様の効果が確認できた。
【0023】
【表4】

【実施例3】
【0024】
マッサージ料1と同様に、表5の処方に従って、本発明の化粧料であるマッサージ料3を作成した。このものを試験例1の方法で評価したところ、DHEA増加率は15.1±2.4%であり、試験例2の質量増加率は5.1±3.4でり、同様の効果が確認できた。
【0025】
【表5】

【実施例4】
【0026】
マッサージ料1と同様に、表6の処方に従って、本発明の化粧料であるマッサージ料4を作成した。このものを試験例1の方法で評価したところ、DHEA増加率は12.4±6.3%であり、試験例2の質量増加率は7.2±4.9でり、同様の効果が確認できたが、マッサージ料1に比すと効果は少なかった。これはジグリセリンテトラオレートを含有しないため、複合汚れの除去が十分ではなく、心地よさが減じているためと思われる。
【0027】
【表6】

【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、エステティック施術のマッサージ料に好適に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)ポリエチレングリコール(100〜200)ジ脂肪酸エステルと、2)(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステルとを含有する乳化剤形の化粧料。
【請求項2】
前記ポリエチレングリコール(100〜200)ジ脂肪酸エステルの含有量が、0.01〜0.5質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
前記(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステルの含有量が、0.1〜10質量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の化粧料。
【請求項4】
更に、ジグリセリンテトラオレートを含有することを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の化粧料。
【請求項5】
マッサージ用の化粧料であることを特徴とする、請求項1〜4何れか1項に記載の化粧料。
【請求項6】
前記マッサージがエステティック施術におけるマッサージであることを特徴とする、請求項5に記載の化粧料。
【請求項7】
蒸しタオルの拭き取りによって除去できる性質のものであることを特徴とする、請求項1〜6何れか1項に記載の化粧料。

【公開番号】特開2007−191406(P2007−191406A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−9680(P2006−9680)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】