乾燥気体の再生方法及び設備
【課題】乾燥気体の再生処理の省エネルギーを図る。
【解決手段】乾燥気体の再生方法20は、加熱工程21とトラップ工程22と圧縮工程23と吸着工程24と脱着工程25とを有する。加熱工程21では、第1排気401bを飽和蒸気300aとの熱交換により加熱する。加熱工程21により、第1排気401bから第1乾燥気体401aが再生する。加熱工程21を経た飽和蒸気300aは、排出物300bとなる。トラップ工程22及び圧縮工程23により、排出物300bから圧縮蒸気300dを得る。吸着工程24により、第2排気402bから第2乾燥気体402aが再生する。脱着工程25では、溶剤を吸着した処理後吸着剤410bに圧縮蒸気300dをあてる。処理後吸着剤410bは処理前吸着剤410aとなる。
【解決手段】乾燥気体の再生方法20は、加熱工程21とトラップ工程22と圧縮工程23と吸着工程24と脱着工程25とを有する。加熱工程21では、第1排気401bを飽和蒸気300aとの熱交換により加熱する。加熱工程21により、第1排気401bから第1乾燥気体401aが再生する。加熱工程21を経た飽和蒸気300aは、排出物300bとなる。トラップ工程22及び圧縮工程23により、排出物300bから圧縮蒸気300dを得る。吸着工程24により、第2排気402bから第2乾燥気体402aが再生する。脱着工程25では、溶剤を吸着した処理後吸着剤410bに圧縮蒸気300dをあてる。処理後吸着剤410bは処理前吸着剤410aとなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー及び溶剤を含む湿潤フィルムの乾燥工程、及びこの乾燥工程により得られるフィルムの乾燥工程に利用可能な乾燥気体を、各乾燥工程の排気から再生する乾燥気体の再生方法及び設備に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーフィルム(以下「フィルム」とする)は、優れた光透過性や柔軟性を有し、軽量薄膜化が可能であることから、光学機能性フィルムとして多岐に利用されている。この中でも、セルロースアシレート等を用いたセルロースエステル系フィルムは、前述の特性に加えて、さらに強靭性や低複屈折率を有している。このセルロースエステル系フィルムは、近年市場が拡大している液晶表示装置(LCD)の構成部材である偏光板の保護フィルムや光学補償フィルムとして利用されている。
【0003】
このフィルムの製造方法として溶液製膜方法がある。溶液製膜方法では、まず、流延室においてポリマーと溶剤とが含まれたドープを連続的に流出し支持体上に流延膜を形成する(以下、膜形成工程と称する)。そして、流延膜が自己支持性を有するものとなった後に、支持体から流延膜を剥ぎ取って湿潤フィルムとする。その後、テンタ室内で湿潤フィルムを搬送させながら乾燥させてフィルムを得る。最後に、フィルムは、乾燥室を経て、巻取装置によって巻き取られる。
【0004】
この溶液製膜方法では、密閉された処理室内において、流延膜、湿潤フィルム、またはフィルムに所定の乾燥気体を接触させることにより、流延膜、湿潤フィルム、またはフィルムから溶剤を蒸発させる(以下、乾燥工程と称する)。ところが、乾燥工程における溶剤の蒸発効率を維持するためには、処理室内の雰囲気における溶剤の濃度を所定の範囲内で維持する必要がある。そこで、各室内の雰囲気の一部を回収し、流延膜等から蒸発した溶剤を、回収された気体(以下、回収気体と称する)から取り出す工程(以下、溶剤取り出し工程と称する)、及び溶剤取り出し工程を経た回収空気を加熱する工程(以下、加熱工程と称する)が行われている(例えば、特許文献1)。また、加熱工程では、飽和蒸気との熱交換により回収空気を加熱する蒸気ヒータを用いることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−165129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
加熱工程において、飽和蒸気は回収空気との熱交換により冷却される結果、加熱工程から排出される排出物には、飽和蒸気よりも低温の蒸気(以下、排蒸気と称する)や排水が含まれる。加熱工程の後、排水及び排蒸気から凝縮した水(以下、総称してドレイン水と称する)と、排蒸気のうち気体として残っている蒸気(以下、低温蒸気と称する)とを分離するトラップ工程が行われる。ドレイン水は、所定の処理により、水として、或いは、熱源として再利用することができる。ところが、低温蒸気の温度が水の沸点近傍であるため、低温蒸気の再利用が困難となる。例えば、低温蒸気を熱源として再利用しようとする場合には、低温蒸気の移送中に低温蒸気からドレイン水が生成する結果、低温蒸気の熱エネルギーを有効に利用することが困難である。また、低温蒸気から生成したドレイン水を再利用する場合には、ドレイン水の加熱に要する熱エネルギーが更に必要になる。低温蒸気から再利用可能なドレイン水を生成する場合には、別途の凝縮処理が必要となってしまう。このように、低温蒸気を再利用することは、省エネルギーの点から実現が困難であったため、従来は、低温蒸気をそのまま大気中に廃棄していた。
【0007】
しかしながら、このような低温蒸気の排気を継続して行うことは、膨大な熱エネルギーの放出となるため好ましくない。したがって、省エネルギーの点から、低温蒸気が有する熱エネルギーの再利用が課題となっている。
【0008】
本発明は、低温蒸気が有する熱エネルギーを再利用可能な乾燥気体の再生方法及び設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の乾燥気体の再生方法は、ポリマー及び溶剤を含む湿潤フィルムを乾燥してフィルムを得る第1乾燥工程の第1排気から前記第1乾燥工程に供給する第1気体を再生するために、ボイラでつくられた飽和蒸気との熱交換により、前記湿潤フィルムの温度よりも高くなるまで前記第1排気を加熱する加熱工程と、前記飽和蒸気から生成した前記加熱工程の排出物から排水を取り出すトラップ工程と、このトラップ工程を経た前記排出物に含まれ、前記飽和蒸気よりも温度の低い低温蒸気を圧縮する圧縮工程とを有し、前記加熱工程では、前記圧縮された低温蒸気を用いて、前記第1排気を加熱することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の乾燥気体の再生方法は、ポリマー及び溶剤を含む湿潤フィルムを乾燥してフィルムを得る第1乾燥工程の第1排気から前記第1乾燥工程に供給する第1気体を再生するために、ボイラでつくられた飽和蒸気との熱交換により、前記湿潤フィルムの温度よりも高くなるまで前記第1排気を加熱する加熱工程と、前記飽和蒸気から生成した前記加熱工程の排出物から排水を取り出すトラップ工程と、このトラップ工程を経た前記排出物に含まれ、前記飽和蒸気よりも温度の低い低温蒸気を圧縮する圧縮工程と、前記フィルムを乾燥する第2乾燥工程の第2排気から前記第2乾燥工程に供給する第2気体を再生するために、前記フィルムから蒸発した前記溶剤を含む前記第2排気を前記溶剤の吸着剤に接触させる吸着工程であって、この吸着工程を経た前記吸着剤に前記圧縮された低温蒸気をあてて、前記吸着剤に吸着した溶剤を脱着させる脱着工程とを有することを特徴とする。
【0011】
前記脱着工程では、前記圧縮された低温蒸気とともに脱着用ボイラにて生成した脱着用蒸気を、前記吸着工程を経た前記吸着剤にあてることが好ましい。
【0012】
前記圧縮工程前に、前記低温蒸気から生成したドレイン水を取り除くことが好ましい。また、前記湿潤フィルムは、前記ポリマー及び前記溶剤を含み、支持体上に形成された流延膜のうち、前記支持体から剥ぎ取られたものであることが好ましい。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の乾燥気体の再生設備は、ポリマー及び溶剤を含む湿潤フィルムを乾燥してフィルムとする第1乾燥装置の第1排気から前記第1乾燥装置に供給する第1気体を再生するために、前記湿潤フィルムよりも高い温度の飽和蒸気との熱交換により、前記第1排気を加熱する蒸気ヒータと、前記飽和蒸気から生成した前記蒸気ヒータの排出物から排水を取り出すトラップ装置と、このトラップ装置から送り出された前記排出物に含まれ、前記飽和蒸気よりも温度の低い低温蒸気を圧縮する圧縮装置と、前記圧縮された低温蒸気を前記蒸気ヒータへ供給する低温蒸気供給装置とを有することを特徴とする。
【0014】
前記蒸気ヒータは、第1の飽和蒸気が送られる第1加熱部と、前記第1の飽和蒸気よりも温度が低い第2の飽和蒸気が送られる第2加熱部と、前記第2加熱部、前記第1加熱部、及び前記第1乾燥装置へと前記第1排気を順次送る排気供給部とを有し、前記低温蒸気供給装置は、前記圧縮された低温蒸気を前記第2加熱部へ供給することが好ましい。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の乾燥気体の再生設備は、ポリマー及び溶剤を含む湿潤フィルムを乾燥してフィルムとする第1乾燥装置の第1排気から前記第1乾燥装置に供給する第1気体を再生するために、前記湿潤フィルムよりも高い温度の飽和蒸気との熱交換により、前記第1排気を加熱する蒸気ヒータと、前記飽和蒸気から生成した前記蒸気ヒータの排出物から排水を取り出すトラップ装置と、このトラップ装置から送り出された前記排出物に含まれ、前記飽和蒸気よりも温度の低い低温蒸気を圧縮する圧縮装置と、前記フィルムを乾燥する第2乾燥装置の第2排気から前記第2乾燥装置に供給する第2気体を再生するために、前記フィルムから蒸発した前記溶剤を含む前記第2排気を前記溶剤の吸着剤に接触させる吸着装置と、前記圧縮装置により圧縮された低温蒸気を前記溶剤が吸着した吸着剤へ供給する脱着装置と、前記吸着剤に前記第2排気のみが接触する状態、及び前記吸着剤に前記低温蒸気のみが接触する状態が交互になるように、前記吸着装置及び前記脱着装置を制御する切替装置とを有することを特徴とする。
【0016】
脱着用ボイラにより生成した脱着用蒸気を、前記圧縮された低温蒸気とともに、前記吸着剤に接触させる脱着用蒸気供給装置を有することが好ましい。また、前記吸着剤を収納する吸着塔が複数設けられ、前記切替装置は、前記第1排気が第1吸着塔へ送られ、前記第2排気が第2吸着塔へ送られる状態と、前記第1排気が第2吸着塔へ送られ、前記第2排気が第1吸着塔へ送られる状態とを切り替えることが好ましい。
【0017】
前記トラップ装置及び前記圧縮装置の間に設けられ、前記低温蒸気から生成したドレイン水を取り除くドレイン除去装置を有することが好ましい。また、前記第1乾燥装置は、前記ポリマー及び前記溶剤を含むドープを流出するダイ、前記流出した前記ドープから流延膜を形成する支持体、及び、前記流延膜を前記支持体から剥ぎ取って前記湿潤フィルムとする剥取部を備える流延装置と接続することが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、低温蒸気を脱着工程や加熱工程に利用することができるため、乾燥気体の再生処理について省エネルギーを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の乾燥気体の再生方法の概要を示す工程図である。
【図2】第1の乾燥気体の再生設備の概要を示す説明図である。
【図3】蒸気再生装置及び吸着装置の概要を示す説明図である。
【図4】第2の乾燥気体の再生設備の要部の概要を示す説明図である。
【図5】第3の乾燥気体の再生設備の概要を示す説明図である。
【図6】一方の乾燥気体再生設備に第1排気が供給され、他方の乾燥気体再生設備に第2排気が供給される状態の概要を示す説明図である。
【図7】一方の乾燥気体再生設備に第2排気が供給され、他方の乾燥気体再生設備に第1排気が供給される状態の概要を示す説明図である。
【図8】(a)は、一方の乾燥気体再生設備の吸着塔に供給される蒸気の供給量の推移を示す説明図である。(b)は、他方の乾燥気体再生設備の吸着塔に供給される蒸気の供給量の推移を示す説明図である。
【図9】第2の乾燥気体の再生方法の概要を示す工程図である。
【図10】第4の乾燥気体の再生設備の概要を示す説明図である。
【図11】第1乾燥気体の加熱を段階的に行う蒸気ヒータの概要を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示すように、溶液製膜方法10は、第1乾燥工程11及び第2乾燥工程12を有する。第1乾燥工程11では、ポリマー及び溶剤を含む湿潤フィルム15に第1乾燥気体401aをあてて、湿潤フィルム15から溶剤を蒸発させて、フィルム16とする。第2乾燥工程12では、フィルム16に第2乾燥気体402aをあてて、フィルム16から溶剤を蒸発させる。
【0021】
(乾燥気体の再生方法)
乾燥気体の再生方法20は、加熱工程21と、トラップ工程22と、圧縮工程23と、吸着工程24と、脱着工程25とを有する。加熱工程21では、第1乾燥工程11から排出された第1排気401bを加熱する。なお、乾燥気体の再生方法20において、トラップ工程22や吸着工程24を省略してもよい。
【0022】
加熱工程21により、第1排気401bから第1乾燥気体401aが再生される。加熱工程21における第1排気401bの加熱は、飽和蒸気300aとの熱交換により行われる。加熱工程21を経た飽和蒸気300aは、排出物300bとなる。排出物300bには、排水300s及び飽和蒸気300aよりも温度が低い排蒸気300tが含まれる。
【0023】
トラップ工程22では、排出物300bを冷却する。排出物300bの冷却により、排蒸気300tから液化した水、及び排水300sを含むドレイン水300xが得られる。
更に、排出物300bからドレイン水300xを取り除く。こうして、トラップ工程22では、排出物300bから、冷却後も気体のままである低温蒸気300cを得ることができる。なお、ドレイン水300xを、ボイラ80にて飽和蒸気300aをつくるための水等に再利用してもよい。
【0024】
圧縮工程23では、低温蒸気300cの圧力が所定値になるまで、低温蒸気300cを圧縮する。圧縮工程23により、低温蒸気300cから過熱蒸気(以下、圧縮蒸気と称する)300dが得られる。
【0025】
吸着工程24では、第2乾燥工程12から排出される第2排気402bを処理前吸着剤410aにあてる。第2排気402bには、フィルム12から蒸発した溶剤が含まれる。第2排気402bと接触した処理前吸着剤410aは、フィルム12から蒸発した溶剤を第2排気402bから吸着する。吸着工程24により、第2排気402bから第2乾燥気体402aが再生され、処理前吸着剤410aは、溶剤を吸着した処理後吸着剤410bとなる。
【0026】
脱着工程25では、圧縮蒸気300dを処理後吸着剤410bにあてる。処理後吸着剤410bとの接触により、処理後吸着剤410bに吸着された溶剤は、圧縮蒸気300dにより脱着される。脱着工程25により、圧縮蒸気300dは、処理後吸着剤410bに吸着された溶剤を含む溶剤含有蒸気300eとなり、処理後吸着剤410bは、吸着工程24に再利用可能な処理前吸着剤410aとなる。
【0027】
図2に示すように、溶液製膜設備30は、配管31a〜31b、及び配管32a〜32bにより、乾燥気体再生設備33と接続する。
【0028】
(溶液製膜設備)
溶液製膜設備30は、ポリマー及び溶剤を含むドープ36から、フィルム16を製造するものであり、ポンプ40と流延室41とテンタ室42と乾燥室43とを有する。ポンプ40は、後述する制御部の制御の下、流延室41へドープ36を供給する。流延室41では、ドープ36を用いて流延膜47を形成する膜形成工程、及び流延膜47の剥ぎ取り工程が行われる。
【0029】
流延室41は、ドラム48とダイ49と剥ぎ取りローラ50とを有する。ドラム48は、軸方向が水平となるように横たわり、軸を中心に回転自在に設けられる。そして、後述する制御部の制御の下、軸を中心に回転する。ダイ49は、ポンプ40からのドープ36をドラム48の周面に向けて連続的に流出する。ダイ49から流出したドープ36は、ドラム48の周面上にて流れ延ばされる結果、流延膜47となる。ドラム48の温度はダイ49から流出するドープ36の温度よりも低いため、流延膜47をなすドープ36は冷却される。ドープ36の冷却の結果、ドープ36のゲル化が進行する。ドープ36のゲル化により自己支持性を有するものとなった流延膜47は、剥ぎ取りローラ50によりドラム48から剥ぎ取られ、湿潤フィルム15となる。
【0030】
テンタ室42では、湿潤フィルム15に第1乾燥工程11(図1参照)が施される。テンタ室42にはテンタ本体55と送風ダクト56と排気ダクト(図示しない)とが設けられる。テンタ本体55は、湿潤フィルム15の耳部を把持する。更に、テンタ本体55は、後述する制御部の制御の下、所定の速度で湿潤フィルム15を搬送する。送風ダクト56は、テンタ本体55により搬送される湿潤フィルム15に第1乾燥気体401aをあてるものであり、配管31aと接続する。第1乾燥気体401aとの接触により、テンタ本体55により搬送される間の湿潤フィルム15からは溶剤が蒸発し、湿潤フィルム53はフィルム16となる。フィルム16は、テンタ室42から、第1乾燥気体401aが充満する乾燥室43へ送られる。また、排気ダクトは、テンタ室42内にある雰囲気を第1排気401bとして排出するものであり、配管31bと接続する。
【0031】
乾燥室43では、フィルム16に第2乾燥工程12(図1参照)が施される。乾燥室43には複数のローラ58と、給気ダクト(図示しない)と、排気ダクト(図示しない)とが設けられる。ローラ58は乾燥室43内にて千鳥状に配される。乾燥室43に導入されたフィルム16は、ローラ58に巻きかけられながら搬送される。給気ダクトは、第2乾燥気体402aを乾燥室43内へ供給するものであり、配管32aと接続する。乾燥室43には第2乾燥気体402aが充満するため、乾燥室43に導入されたフィルム16からは溶剤が蒸発する。乾燥室43から送り出されたフィルム16は、巻取り装置により巻き芯に巻き取られる。排気ダクトは、乾燥室43内にある雰囲気を第2排気402bとして排出するものであり、配管32bと接続する。
【0032】
(乾燥気体再生設備)
乾燥気体再生設備33は、テンタ室42内の第1乾燥気体401aの一部を第1排気401bとして回収し、新たな第1乾燥気体401aをテンタ室42内へ供給するとともに、乾燥室43内の第2乾燥気体402aの一部を第2排気402bとして回収し、新たな第2乾燥気体402aを乾燥室43内へ供給するものであり、ブロワ61、熱交換器62、凝縮器63、蒸気ヒータ64、蒸気再生装置68、ブロワ71、熱交換器72、吸着剤収納部73、ヒータ74、及び制御部77を有する。
【0033】
凝縮器63は、凝縮処理によりテンタ室42から送られた第1排気401bから溶剤78を取り除いて、第1排気401bから第1乾燥気体401aにするものであり、第1排気401bが流通する配管31b、及び第1乾燥気体401aが流通する配管31aを介して、テンタ室42と接続する。また、熱交換器62は、配管31bを流通する第1排気401bと配管31aを流通する第1乾燥気体401aとの間で熱交換を行うものであり、配管31a及び31bにかけて設けられる。ブロワ61は、テンタ室42から凝縮器63へ熱交換器66を介して第1排気401bを送るものであり、配管31bに設けられる。蒸気ヒータ64は、ボイラ80で生成した飽和蒸気300aを用いて、第1乾燥気体401aを加熱するものであり、熱交換器62及びテンタ室42との間の配管31aに設けられる。ボイラ80は、後述する制御部によって、所定の温度の飽和蒸気300aを生成する。
【0034】
吸着剤収納部73は、吸着処理により乾燥室43から送られた第2排気402bから溶剤を取り除いて、第2乾燥気体402aにするものであり、第2排気402bが流通する配管32b、及び第2乾燥気体402aが流通する配管32aを介して、乾燥室43と接続する。また、熱交換器72は、配管32bを流通する第2排気402bと配管32aを流通する第2乾燥気体402aとの間で熱交換を行うものであり、配管32a及び32bにかけて設けられる。ブロワ71は、乾燥室43から吸着剤収納部73へ熱交換器72を介して第2排気402bを送るものであり、配管32bに設けられる。ヒータ74は、第2乾燥気体402aを加熱するものであり、熱交換器72及び乾燥室43との間の配管32aに設けられる。
【0035】
蒸気再生装置68は、蒸気ヒータ64から排出された排出物300bから圧縮蒸気300dをつくるものであり、蒸気ヒータ64及び吸着剤収納部73の間に設けられる。蒸気ヒータ64及び蒸気再生装置68の間には、排出物300bが流通する配管85が設けられる。蒸気再生装置68及び吸着剤収納部73の間には圧縮蒸気300dが流通する配管86が設けられる。
【0036】
吸着剤収納部73は、配管90を介して、凝縮器91と接続する。配管90は、吸着剤収納部73から排出された溶剤含有蒸気300eが流通するものである。凝縮器91は、溶剤含有蒸気300eに凝縮処理を施して凝縮液を生成し、凝縮液に蒸留処理を施して、溶剤92と水93とを得る。なお、凝縮器63によって取り除かれた溶剤78や凝縮器91によって得られた溶剤92は、ドープ36の調製に再利用することができる。また、凝縮器91によって得られた水93は、飽和蒸気300aの生成に再利用することができる。
【0037】
図3に示すように、蒸気再生装置68は、トラップ装置94と圧縮機95とを有する。トラップ装置94は配管85と接続し、圧縮機95は配管86と接続する。トラップ装置94と圧縮機95とは、配管96により接続する。トラップ装置94は、排出物300bに含まれるドレイン水300xを取り除き、排出物300bから低温蒸気300cを得るものである。圧縮機95は、低温蒸気300cに圧縮処理を施して、圧縮蒸気300dを得るものである。
【0038】
吸着剤収納部73は、第2排気402bに含まれる溶剤を吸着剤に吸着させる処理(以下、吸着処理と称する)を行い、第2排気402bから第2乾燥気体402aを得るものであり、第1吸着塔101と、第2吸着塔102と、吸着剤103、104と、三方弁107、108とを有する。第1吸着塔101には吸着剤103が着脱自在に収納され、第2吸着塔102には吸着剤104が着脱自在に収納される。配管86と接続する三方弁107は、第1吸着塔101と配管111を介して接続し、第2吸着塔102と配管112を介して接続する。配管32bと接続する三方弁108は、第1吸着塔101と配管113を介して接続し、第2吸着塔102と配管114を介して接続する。また、第1吸着塔101及び第2吸着塔102は、配管90を介して凝縮器91(図2参照)と接続し、配管32aを介して熱交換器72(図2参照)と接続する。
【0039】
三方弁107は、圧縮蒸気300dを第1吸着塔101のみに供給する第1状態、及び圧縮蒸気300dを第2吸着塔102のみに供給する第2状態との間で切り替え自在となっている。同様に、三方弁108は、第2排気402bを第1吸着塔101のみに供給する第1状態、及び第2排気402bを第2吸着塔102のみに供給する第2状態の間で切り替え自在となっている。
【0040】
制御部77は、三方弁107及び三方弁108のうちいずれか一方を第1状態にして、他方を第2状態にするものである。また、制御部77は、三方弁107及び三方弁108のうちいずれか一方の状態を切り替えるときには、他方の状態も切り替える。加えて、制御部77は、ポンプ40の動作、ドラム48の回転、テンタ本体55の稼動、ブロワ61、ブロワ71、圧縮機95及びボイラ80を制御する。
【0041】
次に、本発明の作用について説明する。図2及び図3に示すように、溶液製膜設備30が稼動すると、各室41〜43では、各工程が行なわれ、ドープ36からフィルム16が製造される。
【0042】
(流延工程)
ドラム48の温度は、図示しない温調機により保持される。ドラム48が軸を中心に回転するため、ドラム48の周面は、60m/分以上200m/分以下で走行する。流延室41では、ダイ49からドラム48の周面に向かってドープ36が流出する。ドラム48の周面には、ドープ36からなる流延膜47が形成する。冷却によって自己支持性を有するものとなった流延膜47は、剥ぎ取りローラ50によりドラム48の周面から剥ぎ取られ、湿潤フィルム15として、テンタ室42へ送られる。
【0043】
(第1乾燥工程)
所定の温度(50℃以上150℃以下)の第1乾燥気体401aが蒸気ヒータ64からテンタ室42へ供給される。テンタ室42に導入される湿潤フィルム15の温度は、50℃以上150℃以下であるため、第1乾燥気体401aとの接触により、湿潤フィルム15は加熱される。この加熱により、湿潤フィルム15から溶剤が蒸発する。テンタ室42における湿潤フィルム15の搬送速度は20m/分以上であることが好ましい。
【0044】
テンタ室42において、湿潤フィルム15と接触した第1乾燥気体401aの温度は低下し、溶剤の濃度は高くなる。しかしながら、テンタ室42から排出された第1排気401bは、凝縮器63にて溶剤の一部が取り除かれ、第1乾燥気体401aとなる。更に、第1乾燥気体401aは、熱交換器62で予熱された後、蒸気ヒータ64にて加熱工程21(図1参照)が施される。加熱工程21が施された第1乾燥気体401aは、テンタ室42へ供給される。こうして、凝縮器63及び蒸気ヒータ64により、テンタ室42内の第1乾燥気体401aの温度や溶剤の濃度は一定の範囲内で維持される。
【0045】
ボイラ80により生成した飽和蒸気300aは、排出物300bとなって蒸気ヒータ64から排出される。排出物300bは、トラップ装置94により、ドレイン水300xと低温蒸気300cとに分離される。低温蒸気300cの温度は、例えば、100℃以上135℃以下である。低温蒸気300cは、圧縮機95により、圧縮蒸気300dとなる。圧縮蒸気300dの圧力は30kPa以上60kPa以下であることが好ましい。圧縮蒸気300dの温度は130℃以上160℃以下であることが好ましい。
【0046】
(第2乾燥工程)
乾燥室43には、所定の温度(160℃以上180℃以下)の第2乾燥気体402aがヒータ74から供給される。第2乾燥気体402aとの接触により、フィルム16から溶剤が蒸発する。このため、乾燥室43において、フィルム16と接触した第2乾燥気体402aの温度は低下し、溶剤の濃度は高くなる。しかしながら、乾燥室43から排出された第2排気402bは、第1吸着塔101に送られる。第1吸着塔101に送られた第2排気402bは、吸着剤103と接触する。吸着剤103との接触により、第2排気402bに含まれる溶剤の一部が吸着剤103に吸着する結果、第2排気402bから第2乾燥気体402aとなる。更に、第2乾燥気体402aは、熱交換器72で予熱された後、ヒータ74にて加熱される。加熱された第2乾燥気体402aは、乾燥室43へ供給される。こうして、吸着剤収納部73及びヒータ74により、乾燥室43内の第2乾燥気体402aの温度や溶剤の濃度は一定の範囲内で維持される。
【0047】
吸着処理後の吸着剤103に吸着している溶剤の量は、吸着処理前に比べ大きいため、吸着処理後の吸着剤103は、吸着処理前に比べ、吸着性能が低い。そこで、吸着性能が低下した吸着剤103を吸着処理に利用可能な状態にするために、吸着剤103に脱着処理を行う。脱着処理では、吸着剤103に脱着用の蒸気をあてて、吸着剤103に吸着している溶剤を脱着させる。脱着処理により、吸着剤103から溶剤が取り除かれるため、脱着処理を経た吸着剤は吸着処理に利用可能な状態となる。
【0048】
本発明では、圧縮蒸気300dを脱着用の蒸気として利用するため、従来廃棄していた低温蒸気300cの熱エネルギーを有効に活用することが可能となり、結果として、第1乾燥気体401a及び第2乾燥気体402aの再生について省エネルギーを実現することができる。
【0049】
排出物300bの温度が、(水の沸点BP)以上(水の沸点BP+α)以下である場合、排出物300bのほとんどが低温蒸気300cとなるため、低温蒸気300cを脱着用の蒸気として利用することができる本発明の意義は大きくなる。例えば、αは50℃以下であることが好ましく、αは20℃以下であることがより好ましい。また、排出物300bの温度は、溶剤の熱分解の温度よりも低いことが好ましい。溶剤がジクロロメタンの場合には、排出物300bの温度は160℃以下であることが好ましい。
【0050】
また、トラップ装置94及び圧縮機95の間の配管96に、流量調節弁を設けることが好ましい。流量調節弁は、低温蒸気300cが圧縮機65へ供給される状態を維持するために、トラップ装置94から圧縮機95への低温蒸気300cの供給量を調節するものである。流量調節弁の開度は、制御部77により調節すればよい。
【0051】
溶液製膜設備30が稼動した直後等、配管96が十分に温まっていない場合には、トラップ装置94及び圧縮機95の間の配管85において、低温蒸気300cからドレイン水300yが生成してしまう。かかる場合には、低温蒸気300cから生成したドレイン水300yを配管96から強制的に排除するためのドレイン配管116を、トラップ装置94及び圧縮機95の間の配管96に設けることが好ましい。ドレイン配管116に開閉弁117を設け、制御部77により開閉弁117の開閉操作することが好ましい。なお、ドレイン水300yを、ボイラ80にて飽和蒸気300aをつくるための水等に再利用してもよい。
【0052】
上記実施形態では、脱着工程25(図1参照)に用いる蒸気として、圧縮蒸気300dのみを用いたが、本発明はこれに限られず、図4に示すように、飽和蒸気411を生成するボイラ121を、配管120を介して、配管86と接続させてもよい。また、弁123を配管120に、弁125を配管86にそれぞれ設け、制御部77により、飽和蒸気411の流量及び圧縮蒸気300dの流量を調節してもよい。更に、必要に応じて、配管86に、圧縮蒸気300dを大気中に排気する配管127を設けてもよい。更に、弁128を配管127に設け、制御部77により、圧縮蒸気300dの排気量を調節してもよい。
【0053】
上記実施形態では、第1乾燥気体401aを第1排気401bから再生する際に生じた低温蒸気300cに所定の処理を施し、脱着用の蒸気として利用したが、本発明はこれに限られず、流延室41に供給される乾燥気体を流延室41の排気から再生する際に生じた残留蒸気に同様の処理を施し、脱着用の蒸気として利用してもよい。
【0054】
上記実施形態では、支持体としてドラム48を用いたが、本発明はこれに限られず、走行するエンドレスバンドを用いてもよい。以下、支持体としてエンドレスバンドを用いたときの膜形成工程及び剥ぎ取り工程の概要について述べる。ダイ49から流出したドープ36は、エンドレスバンド上で流れ延ばされ、流延膜47となる。流延膜47に設けられる送風ダクトは、流延膜47に所定の乾燥気体をあてて、流延膜47から溶剤を蒸発させる。溶剤の蒸発により自己支持性を有するものとなった流延膜47は、剥ぎ取りローラ50によりエンドレスバンドから剥ぎ取られる。
【0055】
なお、ドープ36に添加剤が含まれている場合には、溶剤含有空気300eには溶剤とともに添加剤が含まれている場合がある。添加剤を含む溶剤含有空気300eをそのまま乾燥気体再生設備33へ供給すると、脱着塔の内壁などに添加剤が付着してしまう。そこで、ブロワ71及び熱交換器72の間の配管32bに添加剤除去装置を設けてもよい。この添加剤除去装置は、溶剤含有空気300eが導入されるケーシングと、ケーシング内に設けられた冷却管と、ケーシングの外部に設けられ、冷却管と接続する冷却部とを有する。ケーシング内に導入された溶剤含有空気300eは冷却管との接触により冷却され、溶剤含有空気300eに含まれる添加剤が冷却管の外壁に付着する。こうして、添加剤除去装置は、溶剤含有空気300eに含まれる添加剤を取り出すことができる。
【0056】
なお、ヒータ74として、蒸気ヒータ64と同様のものを用いた場合には、ヒータから排出された蒸気を、脱着用蒸気として利用してもよい。
【0057】
上記実施形態では、1つの溶液製膜設備に1つの乾燥気体再生設備を接続したが、本発明はこれに限られず、1つの溶液製膜設備に複数の乾燥気体再生設備を接続してもよいし、複数の溶液製膜設備30a、30bに複数の乾燥気体再生設備33a、33bを接続してもよい。
【0058】
図5に示すように、第1排気を流通するための配管141a及び第2排気を流通するための配管141bは、溶液製膜設備30aと乾燥気体再生設備33aとを接続する。第1排気を流通するための配管141c及び第2排気を流通するための配管141dは、溶液製膜設備30bと乾燥気体再生設備33bとを接続する。また、配管141a〜141dには、開閉弁142a〜142dがそれぞれ設けられる。開閉弁142a及び溶液製膜設備30aの間の配管141aと、開閉弁142c及び溶液製膜設備30bの間の配管141cとは、配管141eにより接続する。同様に、開閉弁142b及び溶液製膜設備30aの間の配管141bと、開閉弁142d及び溶液製膜設備30bの間の配管141dとは、配管141fにより接続する。図示しない制御部は、開閉弁142a〜142dを操作する。
【0059】
開放弁142a〜142dの操作により、溶液製膜設備30a、30bからの第1排気401bは、乾燥気体再生設備33aのみへ供給され、溶液製膜設備30a、30bからの第2排気402bは、乾燥気体再生設備33bのみへ供給される(図6参照)。乾燥気体再生設備33bでは、溶剤を含む第2排気402bを吸着剤にあてる吸着工程が行われる。吸着工程により、第2排気402bに含まれる溶剤は吸着剤に吸着される結果、第2排気402は第2乾燥気体となる。第2乾燥気体は、溶液製膜設備30a、30bへ供給される。乾燥気体再生設備33aでは、加熱工程及びトラップ工程が順次行われる。トラップ工程により生成した低温蒸気は、圧縮工程により圧縮蒸気となる。その後、溶剤を吸着した吸着剤に圧縮蒸気をあてる脱着工程が行われる(図8(a)参照)。脱着工程により、吸着剤が再生され、再び、吸着工程が可能な状態となる。
【0060】
次に、開放弁142a〜142dの操作により、溶液製膜設備30a、30bからの第1排気401bは、乾燥気体再生設備33bへ供給され、溶液製膜設備30a、30bからの第2排気402bは、乾燥気体再生設備33aへ供給される(図7参照)。乾燥気体再生設備33aでは、溶剤を含む第2排気402bを吸着剤にあてる吸着工程が行われる。吸着工程により、第2排気402bに含まれる溶剤は吸着剤に吸着される結果、第2排気402は第2乾燥気体となる。第2乾燥気体は、溶液製膜設備30a、30bへ供給される。乾燥気体再生設備33bでは、加熱工程及びトラップ工程が順次行われる。トラップ工程により生成した低温蒸気は、圧縮工程により圧縮蒸気となる。その後、溶剤を吸着した吸着剤に圧縮蒸気をあてる脱着工程が行われる(図8(b)参照)。脱着工程により、吸着剤が再生され、再び、吸着工程が可能な状態となる。
【0061】
このように、第1排気の供給先、第2排気の供給先を同期して切り替えることにより、一方の乾燥気体再生設備では吸着工程を行ない、他方の乾燥気体再生設備では脱着工程を行うことができる(図8参照)。これにより、溶液製膜設備から継続して排気される第1排気を再利用することができる。
【0062】
上記実施形態では、第1排気の加熱により生成した低温蒸気を圧縮し、この圧縮蒸気を吸着工程に用いたが、本発明はこれに限られず、圧縮蒸気を蒸気ヒータへ送ってもよい。以下、本発明の別の実施形態を示すが、上記実施形態で示した部材、装置と同一のものには同一の符号を付し、その詳細の説明は省略する。
【0063】
図9に示すように、乾燥気体の再生方法160は、加熱工程21と、トラップ工程22と、圧縮工程23とに加えて、圧縮工程23にてつくられた圧縮蒸気300dを加熱工程21へ戻す蒸気戻し工程162とを有する。
【0064】
図10に示すように、乾燥気体再生設備173は、乾燥気体の再生方法160を行うためのものであり、ブロワ61と、熱交換器62と、凝縮器63と、蒸気ヒータ64と、蒸気再生装置68と、制御部77とに加えて、蒸気再生装置68及び蒸気ヒータ64の間に設けられる配管176とを有する。
【0065】
蒸気再生装置68は圧縮蒸気300dを蒸気ヒータ64へ送る。これにより、蒸気ヒータ64で行われる加熱工程の熱源として、ボイラ80にて生成した飽和蒸気300aとともに、圧縮蒸気300dが用いられるため、加熱工程の排出物300bが有する熱エネルギーを有効に利用することが可能となる。
【0066】
図11に示すように、蒸気ヒータ64において、第1蒸気301aが供給される第1加熱部181、第1蒸気301aよりも温度が高い第2蒸気302aが供給される第2加熱部182、及び第2蒸気302aよりも温度が高い第3蒸気303aが供給される第3加熱部183を、熱交換器62からテンタ42に向かうにしたがって順次設けてもよい。このような蒸気ヒータ64の採用により、第1乾燥気体401aの加熱を段階的に行うことができるため、効率よく第1乾燥気体401aを加熱することができる。
【0067】
上記実施形態では、乾燥気体の再生方法160を用いて、第1乾燥工程11から排出された第1排気401bから第1乾燥気体401aを再生したが、本発明はこれに限られず、乾燥気体の再生方法160を用いて、第2乾燥工程121(図1参照)から排出された第2排気402b(図1参照)から第2乾燥気体402a(図1参照)を再生してもよい。
【0068】
(ドープ)
ドープ36は、ポリマー及び溶剤を含む液である。ドープ36には、ポリマーを溶剤に溶解して得られるポリマー溶液、及びポリマーを溶剤に分散して得られる分散液の両方が含まれる。ドープ36におけるポリマーの濃度は、15質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
【0069】
(ポリマー)
フィルム16の原料となるポリマーとしては、例えば、セルロースアシレート、ラクトン環含有重合体、環状オレフィン、ポリカーボネイト等が挙げられる。中でも好ましいのがセルロースアシレート、環状オレフィンであり、中でも好ましいのがアセテート基、プロピオネート基を含むセルロースアシレート、付加重合によって得られた環状オレフィンであり、さらに好ましくは付加重合によって得られた環状オレフィンである。セルロースアシレートとしては、トリアセチルセルロース(TAC)が特に好ましい。
【0070】
(溶剤)
溶剤としては、例えば、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン,トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン,クロロベンゼンなど)、アルコール(例えば、メタノール,エタノール,n−プロパノール,n−ブタノール,ジエチレングリコールなど)、ケトン(例えば、アセトン,メチルエチルケトンなど)、エステル(例えば、酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸プロピルなど)及びエーテル(例えば、テトラヒドロフラン,メチルセロソルブなど)などが挙げられる。
【0071】
これらの中でも炭素原子数1〜7のハロゲン化炭化水素が好ましく用いられ、ジクロロメタンが最も好ましく用いられる。TACの溶解性、流延膜の支持体からの剥ぎ取り性、フィルムの機械的強度など及びフィルムの光学特性などの物性の観点から、ジクロロメタンの他に炭素原子数1〜5のアルコールを1種ないし数種類混合することが好ましい。アルコールの含有量は、溶剤全体に対し2重量%〜25重量%が好ましく、5重量%〜20重量%がより好ましい。アルコールの具体例としては、メタノール,エタノール,n−プロパノール,イソプロパノール,n−ブタノールなどが挙げられるが、メタノール,エタノール,n−ブタノールあるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
【0072】
ところで、最近、環境に対する影響を最小限に抑えることを目的に、ジクロロメタンを使用しない場合の溶剤組成についても検討が進み、この目的に対しては、炭素原子数が4〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステル、炭素数1〜12のアルコールが好ましく用いられる。これらを適宜混合して用いることがある。例えば、酢酸メチル,アセトン,エタノール,n−ブタノールの混合溶剤が挙げられる。これらのエーテル、ケトン,エステル及びアルコールは、環状構造を有するものであってもよい。また、エーテル、ケトン,エステル及びアルコールの官能基(すなわち、−O−,−CO−,−COO−及び−OH)のいずれかを2つ以上有する化合物も、溶剤として用いることができる。
【0073】
なお、溶剤としては、ポリマーの良溶媒であることが好ましい。ある物質がポリマーの貧溶媒であるか良溶媒であるかの判断は次のようにして行う。まず、温度5℃以上30℃以下の範囲内において、ポリマーが全重量の5質量%となるように当該物質とポリマーとを混合する。そして、その混合物中に不溶解物が有る場合には当該物質は貧溶媒であり、その混合物中に不溶解物がない場合には当該物質は良溶媒であると判断することができる。
【符号の説明】
【0074】
10 溶液製膜方法
11 第1乾燥工程
12 第2乾燥工程
20 乾燥気体の再生方法
21 加熱工程
22 トラップ工程
23 圧縮工程
24 吸着工程
25 脱着工程
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー及び溶剤を含む湿潤フィルムの乾燥工程、及びこの乾燥工程により得られるフィルムの乾燥工程に利用可能な乾燥気体を、各乾燥工程の排気から再生する乾燥気体の再生方法及び設備に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーフィルム(以下「フィルム」とする)は、優れた光透過性や柔軟性を有し、軽量薄膜化が可能であることから、光学機能性フィルムとして多岐に利用されている。この中でも、セルロースアシレート等を用いたセルロースエステル系フィルムは、前述の特性に加えて、さらに強靭性や低複屈折率を有している。このセルロースエステル系フィルムは、近年市場が拡大している液晶表示装置(LCD)の構成部材である偏光板の保護フィルムや光学補償フィルムとして利用されている。
【0003】
このフィルムの製造方法として溶液製膜方法がある。溶液製膜方法では、まず、流延室においてポリマーと溶剤とが含まれたドープを連続的に流出し支持体上に流延膜を形成する(以下、膜形成工程と称する)。そして、流延膜が自己支持性を有するものとなった後に、支持体から流延膜を剥ぎ取って湿潤フィルムとする。その後、テンタ室内で湿潤フィルムを搬送させながら乾燥させてフィルムを得る。最後に、フィルムは、乾燥室を経て、巻取装置によって巻き取られる。
【0004】
この溶液製膜方法では、密閉された処理室内において、流延膜、湿潤フィルム、またはフィルムに所定の乾燥気体を接触させることにより、流延膜、湿潤フィルム、またはフィルムから溶剤を蒸発させる(以下、乾燥工程と称する)。ところが、乾燥工程における溶剤の蒸発効率を維持するためには、処理室内の雰囲気における溶剤の濃度を所定の範囲内で維持する必要がある。そこで、各室内の雰囲気の一部を回収し、流延膜等から蒸発した溶剤を、回収された気体(以下、回収気体と称する)から取り出す工程(以下、溶剤取り出し工程と称する)、及び溶剤取り出し工程を経た回収空気を加熱する工程(以下、加熱工程と称する)が行われている(例えば、特許文献1)。また、加熱工程では、飽和蒸気との熱交換により回収空気を加熱する蒸気ヒータを用いることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−165129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
加熱工程において、飽和蒸気は回収空気との熱交換により冷却される結果、加熱工程から排出される排出物には、飽和蒸気よりも低温の蒸気(以下、排蒸気と称する)や排水が含まれる。加熱工程の後、排水及び排蒸気から凝縮した水(以下、総称してドレイン水と称する)と、排蒸気のうち気体として残っている蒸気(以下、低温蒸気と称する)とを分離するトラップ工程が行われる。ドレイン水は、所定の処理により、水として、或いは、熱源として再利用することができる。ところが、低温蒸気の温度が水の沸点近傍であるため、低温蒸気の再利用が困難となる。例えば、低温蒸気を熱源として再利用しようとする場合には、低温蒸気の移送中に低温蒸気からドレイン水が生成する結果、低温蒸気の熱エネルギーを有効に利用することが困難である。また、低温蒸気から生成したドレイン水を再利用する場合には、ドレイン水の加熱に要する熱エネルギーが更に必要になる。低温蒸気から再利用可能なドレイン水を生成する場合には、別途の凝縮処理が必要となってしまう。このように、低温蒸気を再利用することは、省エネルギーの点から実現が困難であったため、従来は、低温蒸気をそのまま大気中に廃棄していた。
【0007】
しかしながら、このような低温蒸気の排気を継続して行うことは、膨大な熱エネルギーの放出となるため好ましくない。したがって、省エネルギーの点から、低温蒸気が有する熱エネルギーの再利用が課題となっている。
【0008】
本発明は、低温蒸気が有する熱エネルギーを再利用可能な乾燥気体の再生方法及び設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の乾燥気体の再生方法は、ポリマー及び溶剤を含む湿潤フィルムを乾燥してフィルムを得る第1乾燥工程の第1排気から前記第1乾燥工程に供給する第1気体を再生するために、ボイラでつくられた飽和蒸気との熱交換により、前記湿潤フィルムの温度よりも高くなるまで前記第1排気を加熱する加熱工程と、前記飽和蒸気から生成した前記加熱工程の排出物から排水を取り出すトラップ工程と、このトラップ工程を経た前記排出物に含まれ、前記飽和蒸気よりも温度の低い低温蒸気を圧縮する圧縮工程とを有し、前記加熱工程では、前記圧縮された低温蒸気を用いて、前記第1排気を加熱することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の乾燥気体の再生方法は、ポリマー及び溶剤を含む湿潤フィルムを乾燥してフィルムを得る第1乾燥工程の第1排気から前記第1乾燥工程に供給する第1気体を再生するために、ボイラでつくられた飽和蒸気との熱交換により、前記湿潤フィルムの温度よりも高くなるまで前記第1排気を加熱する加熱工程と、前記飽和蒸気から生成した前記加熱工程の排出物から排水を取り出すトラップ工程と、このトラップ工程を経た前記排出物に含まれ、前記飽和蒸気よりも温度の低い低温蒸気を圧縮する圧縮工程と、前記フィルムを乾燥する第2乾燥工程の第2排気から前記第2乾燥工程に供給する第2気体を再生するために、前記フィルムから蒸発した前記溶剤を含む前記第2排気を前記溶剤の吸着剤に接触させる吸着工程であって、この吸着工程を経た前記吸着剤に前記圧縮された低温蒸気をあてて、前記吸着剤に吸着した溶剤を脱着させる脱着工程とを有することを特徴とする。
【0011】
前記脱着工程では、前記圧縮された低温蒸気とともに脱着用ボイラにて生成した脱着用蒸気を、前記吸着工程を経た前記吸着剤にあてることが好ましい。
【0012】
前記圧縮工程前に、前記低温蒸気から生成したドレイン水を取り除くことが好ましい。また、前記湿潤フィルムは、前記ポリマー及び前記溶剤を含み、支持体上に形成された流延膜のうち、前記支持体から剥ぎ取られたものであることが好ましい。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の乾燥気体の再生設備は、ポリマー及び溶剤を含む湿潤フィルムを乾燥してフィルムとする第1乾燥装置の第1排気から前記第1乾燥装置に供給する第1気体を再生するために、前記湿潤フィルムよりも高い温度の飽和蒸気との熱交換により、前記第1排気を加熱する蒸気ヒータと、前記飽和蒸気から生成した前記蒸気ヒータの排出物から排水を取り出すトラップ装置と、このトラップ装置から送り出された前記排出物に含まれ、前記飽和蒸気よりも温度の低い低温蒸気を圧縮する圧縮装置と、前記圧縮された低温蒸気を前記蒸気ヒータへ供給する低温蒸気供給装置とを有することを特徴とする。
【0014】
前記蒸気ヒータは、第1の飽和蒸気が送られる第1加熱部と、前記第1の飽和蒸気よりも温度が低い第2の飽和蒸気が送られる第2加熱部と、前記第2加熱部、前記第1加熱部、及び前記第1乾燥装置へと前記第1排気を順次送る排気供給部とを有し、前記低温蒸気供給装置は、前記圧縮された低温蒸気を前記第2加熱部へ供給することが好ましい。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の乾燥気体の再生設備は、ポリマー及び溶剤を含む湿潤フィルムを乾燥してフィルムとする第1乾燥装置の第1排気から前記第1乾燥装置に供給する第1気体を再生するために、前記湿潤フィルムよりも高い温度の飽和蒸気との熱交換により、前記第1排気を加熱する蒸気ヒータと、前記飽和蒸気から生成した前記蒸気ヒータの排出物から排水を取り出すトラップ装置と、このトラップ装置から送り出された前記排出物に含まれ、前記飽和蒸気よりも温度の低い低温蒸気を圧縮する圧縮装置と、前記フィルムを乾燥する第2乾燥装置の第2排気から前記第2乾燥装置に供給する第2気体を再生するために、前記フィルムから蒸発した前記溶剤を含む前記第2排気を前記溶剤の吸着剤に接触させる吸着装置と、前記圧縮装置により圧縮された低温蒸気を前記溶剤が吸着した吸着剤へ供給する脱着装置と、前記吸着剤に前記第2排気のみが接触する状態、及び前記吸着剤に前記低温蒸気のみが接触する状態が交互になるように、前記吸着装置及び前記脱着装置を制御する切替装置とを有することを特徴とする。
【0016】
脱着用ボイラにより生成した脱着用蒸気を、前記圧縮された低温蒸気とともに、前記吸着剤に接触させる脱着用蒸気供給装置を有することが好ましい。また、前記吸着剤を収納する吸着塔が複数設けられ、前記切替装置は、前記第1排気が第1吸着塔へ送られ、前記第2排気が第2吸着塔へ送られる状態と、前記第1排気が第2吸着塔へ送られ、前記第2排気が第1吸着塔へ送られる状態とを切り替えることが好ましい。
【0017】
前記トラップ装置及び前記圧縮装置の間に設けられ、前記低温蒸気から生成したドレイン水を取り除くドレイン除去装置を有することが好ましい。また、前記第1乾燥装置は、前記ポリマー及び前記溶剤を含むドープを流出するダイ、前記流出した前記ドープから流延膜を形成する支持体、及び、前記流延膜を前記支持体から剥ぎ取って前記湿潤フィルムとする剥取部を備える流延装置と接続することが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、低温蒸気を脱着工程や加熱工程に利用することができるため、乾燥気体の再生処理について省エネルギーを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の乾燥気体の再生方法の概要を示す工程図である。
【図2】第1の乾燥気体の再生設備の概要を示す説明図である。
【図3】蒸気再生装置及び吸着装置の概要を示す説明図である。
【図4】第2の乾燥気体の再生設備の要部の概要を示す説明図である。
【図5】第3の乾燥気体の再生設備の概要を示す説明図である。
【図6】一方の乾燥気体再生設備に第1排気が供給され、他方の乾燥気体再生設備に第2排気が供給される状態の概要を示す説明図である。
【図7】一方の乾燥気体再生設備に第2排気が供給され、他方の乾燥気体再生設備に第1排気が供給される状態の概要を示す説明図である。
【図8】(a)は、一方の乾燥気体再生設備の吸着塔に供給される蒸気の供給量の推移を示す説明図である。(b)は、他方の乾燥気体再生設備の吸着塔に供給される蒸気の供給量の推移を示す説明図である。
【図9】第2の乾燥気体の再生方法の概要を示す工程図である。
【図10】第4の乾燥気体の再生設備の概要を示す説明図である。
【図11】第1乾燥気体の加熱を段階的に行う蒸気ヒータの概要を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示すように、溶液製膜方法10は、第1乾燥工程11及び第2乾燥工程12を有する。第1乾燥工程11では、ポリマー及び溶剤を含む湿潤フィルム15に第1乾燥気体401aをあてて、湿潤フィルム15から溶剤を蒸発させて、フィルム16とする。第2乾燥工程12では、フィルム16に第2乾燥気体402aをあてて、フィルム16から溶剤を蒸発させる。
【0021】
(乾燥気体の再生方法)
乾燥気体の再生方法20は、加熱工程21と、トラップ工程22と、圧縮工程23と、吸着工程24と、脱着工程25とを有する。加熱工程21では、第1乾燥工程11から排出された第1排気401bを加熱する。なお、乾燥気体の再生方法20において、トラップ工程22や吸着工程24を省略してもよい。
【0022】
加熱工程21により、第1排気401bから第1乾燥気体401aが再生される。加熱工程21における第1排気401bの加熱は、飽和蒸気300aとの熱交換により行われる。加熱工程21を経た飽和蒸気300aは、排出物300bとなる。排出物300bには、排水300s及び飽和蒸気300aよりも温度が低い排蒸気300tが含まれる。
【0023】
トラップ工程22では、排出物300bを冷却する。排出物300bの冷却により、排蒸気300tから液化した水、及び排水300sを含むドレイン水300xが得られる。
更に、排出物300bからドレイン水300xを取り除く。こうして、トラップ工程22では、排出物300bから、冷却後も気体のままである低温蒸気300cを得ることができる。なお、ドレイン水300xを、ボイラ80にて飽和蒸気300aをつくるための水等に再利用してもよい。
【0024】
圧縮工程23では、低温蒸気300cの圧力が所定値になるまで、低温蒸気300cを圧縮する。圧縮工程23により、低温蒸気300cから過熱蒸気(以下、圧縮蒸気と称する)300dが得られる。
【0025】
吸着工程24では、第2乾燥工程12から排出される第2排気402bを処理前吸着剤410aにあてる。第2排気402bには、フィルム12から蒸発した溶剤が含まれる。第2排気402bと接触した処理前吸着剤410aは、フィルム12から蒸発した溶剤を第2排気402bから吸着する。吸着工程24により、第2排気402bから第2乾燥気体402aが再生され、処理前吸着剤410aは、溶剤を吸着した処理後吸着剤410bとなる。
【0026】
脱着工程25では、圧縮蒸気300dを処理後吸着剤410bにあてる。処理後吸着剤410bとの接触により、処理後吸着剤410bに吸着された溶剤は、圧縮蒸気300dにより脱着される。脱着工程25により、圧縮蒸気300dは、処理後吸着剤410bに吸着された溶剤を含む溶剤含有蒸気300eとなり、処理後吸着剤410bは、吸着工程24に再利用可能な処理前吸着剤410aとなる。
【0027】
図2に示すように、溶液製膜設備30は、配管31a〜31b、及び配管32a〜32bにより、乾燥気体再生設備33と接続する。
【0028】
(溶液製膜設備)
溶液製膜設備30は、ポリマー及び溶剤を含むドープ36から、フィルム16を製造するものであり、ポンプ40と流延室41とテンタ室42と乾燥室43とを有する。ポンプ40は、後述する制御部の制御の下、流延室41へドープ36を供給する。流延室41では、ドープ36を用いて流延膜47を形成する膜形成工程、及び流延膜47の剥ぎ取り工程が行われる。
【0029】
流延室41は、ドラム48とダイ49と剥ぎ取りローラ50とを有する。ドラム48は、軸方向が水平となるように横たわり、軸を中心に回転自在に設けられる。そして、後述する制御部の制御の下、軸を中心に回転する。ダイ49は、ポンプ40からのドープ36をドラム48の周面に向けて連続的に流出する。ダイ49から流出したドープ36は、ドラム48の周面上にて流れ延ばされる結果、流延膜47となる。ドラム48の温度はダイ49から流出するドープ36の温度よりも低いため、流延膜47をなすドープ36は冷却される。ドープ36の冷却の結果、ドープ36のゲル化が進行する。ドープ36のゲル化により自己支持性を有するものとなった流延膜47は、剥ぎ取りローラ50によりドラム48から剥ぎ取られ、湿潤フィルム15となる。
【0030】
テンタ室42では、湿潤フィルム15に第1乾燥工程11(図1参照)が施される。テンタ室42にはテンタ本体55と送風ダクト56と排気ダクト(図示しない)とが設けられる。テンタ本体55は、湿潤フィルム15の耳部を把持する。更に、テンタ本体55は、後述する制御部の制御の下、所定の速度で湿潤フィルム15を搬送する。送風ダクト56は、テンタ本体55により搬送される湿潤フィルム15に第1乾燥気体401aをあてるものであり、配管31aと接続する。第1乾燥気体401aとの接触により、テンタ本体55により搬送される間の湿潤フィルム15からは溶剤が蒸発し、湿潤フィルム53はフィルム16となる。フィルム16は、テンタ室42から、第1乾燥気体401aが充満する乾燥室43へ送られる。また、排気ダクトは、テンタ室42内にある雰囲気を第1排気401bとして排出するものであり、配管31bと接続する。
【0031】
乾燥室43では、フィルム16に第2乾燥工程12(図1参照)が施される。乾燥室43には複数のローラ58と、給気ダクト(図示しない)と、排気ダクト(図示しない)とが設けられる。ローラ58は乾燥室43内にて千鳥状に配される。乾燥室43に導入されたフィルム16は、ローラ58に巻きかけられながら搬送される。給気ダクトは、第2乾燥気体402aを乾燥室43内へ供給するものであり、配管32aと接続する。乾燥室43には第2乾燥気体402aが充満するため、乾燥室43に導入されたフィルム16からは溶剤が蒸発する。乾燥室43から送り出されたフィルム16は、巻取り装置により巻き芯に巻き取られる。排気ダクトは、乾燥室43内にある雰囲気を第2排気402bとして排出するものであり、配管32bと接続する。
【0032】
(乾燥気体再生設備)
乾燥気体再生設備33は、テンタ室42内の第1乾燥気体401aの一部を第1排気401bとして回収し、新たな第1乾燥気体401aをテンタ室42内へ供給するとともに、乾燥室43内の第2乾燥気体402aの一部を第2排気402bとして回収し、新たな第2乾燥気体402aを乾燥室43内へ供給するものであり、ブロワ61、熱交換器62、凝縮器63、蒸気ヒータ64、蒸気再生装置68、ブロワ71、熱交換器72、吸着剤収納部73、ヒータ74、及び制御部77を有する。
【0033】
凝縮器63は、凝縮処理によりテンタ室42から送られた第1排気401bから溶剤78を取り除いて、第1排気401bから第1乾燥気体401aにするものであり、第1排気401bが流通する配管31b、及び第1乾燥気体401aが流通する配管31aを介して、テンタ室42と接続する。また、熱交換器62は、配管31bを流通する第1排気401bと配管31aを流通する第1乾燥気体401aとの間で熱交換を行うものであり、配管31a及び31bにかけて設けられる。ブロワ61は、テンタ室42から凝縮器63へ熱交換器66を介して第1排気401bを送るものであり、配管31bに設けられる。蒸気ヒータ64は、ボイラ80で生成した飽和蒸気300aを用いて、第1乾燥気体401aを加熱するものであり、熱交換器62及びテンタ室42との間の配管31aに設けられる。ボイラ80は、後述する制御部によって、所定の温度の飽和蒸気300aを生成する。
【0034】
吸着剤収納部73は、吸着処理により乾燥室43から送られた第2排気402bから溶剤を取り除いて、第2乾燥気体402aにするものであり、第2排気402bが流通する配管32b、及び第2乾燥気体402aが流通する配管32aを介して、乾燥室43と接続する。また、熱交換器72は、配管32bを流通する第2排気402bと配管32aを流通する第2乾燥気体402aとの間で熱交換を行うものであり、配管32a及び32bにかけて設けられる。ブロワ71は、乾燥室43から吸着剤収納部73へ熱交換器72を介して第2排気402bを送るものであり、配管32bに設けられる。ヒータ74は、第2乾燥気体402aを加熱するものであり、熱交換器72及び乾燥室43との間の配管32aに設けられる。
【0035】
蒸気再生装置68は、蒸気ヒータ64から排出された排出物300bから圧縮蒸気300dをつくるものであり、蒸気ヒータ64及び吸着剤収納部73の間に設けられる。蒸気ヒータ64及び蒸気再生装置68の間には、排出物300bが流通する配管85が設けられる。蒸気再生装置68及び吸着剤収納部73の間には圧縮蒸気300dが流通する配管86が設けられる。
【0036】
吸着剤収納部73は、配管90を介して、凝縮器91と接続する。配管90は、吸着剤収納部73から排出された溶剤含有蒸気300eが流通するものである。凝縮器91は、溶剤含有蒸気300eに凝縮処理を施して凝縮液を生成し、凝縮液に蒸留処理を施して、溶剤92と水93とを得る。なお、凝縮器63によって取り除かれた溶剤78や凝縮器91によって得られた溶剤92は、ドープ36の調製に再利用することができる。また、凝縮器91によって得られた水93は、飽和蒸気300aの生成に再利用することができる。
【0037】
図3に示すように、蒸気再生装置68は、トラップ装置94と圧縮機95とを有する。トラップ装置94は配管85と接続し、圧縮機95は配管86と接続する。トラップ装置94と圧縮機95とは、配管96により接続する。トラップ装置94は、排出物300bに含まれるドレイン水300xを取り除き、排出物300bから低温蒸気300cを得るものである。圧縮機95は、低温蒸気300cに圧縮処理を施して、圧縮蒸気300dを得るものである。
【0038】
吸着剤収納部73は、第2排気402bに含まれる溶剤を吸着剤に吸着させる処理(以下、吸着処理と称する)を行い、第2排気402bから第2乾燥気体402aを得るものであり、第1吸着塔101と、第2吸着塔102と、吸着剤103、104と、三方弁107、108とを有する。第1吸着塔101には吸着剤103が着脱自在に収納され、第2吸着塔102には吸着剤104が着脱自在に収納される。配管86と接続する三方弁107は、第1吸着塔101と配管111を介して接続し、第2吸着塔102と配管112を介して接続する。配管32bと接続する三方弁108は、第1吸着塔101と配管113を介して接続し、第2吸着塔102と配管114を介して接続する。また、第1吸着塔101及び第2吸着塔102は、配管90を介して凝縮器91(図2参照)と接続し、配管32aを介して熱交換器72(図2参照)と接続する。
【0039】
三方弁107は、圧縮蒸気300dを第1吸着塔101のみに供給する第1状態、及び圧縮蒸気300dを第2吸着塔102のみに供給する第2状態との間で切り替え自在となっている。同様に、三方弁108は、第2排気402bを第1吸着塔101のみに供給する第1状態、及び第2排気402bを第2吸着塔102のみに供給する第2状態の間で切り替え自在となっている。
【0040】
制御部77は、三方弁107及び三方弁108のうちいずれか一方を第1状態にして、他方を第2状態にするものである。また、制御部77は、三方弁107及び三方弁108のうちいずれか一方の状態を切り替えるときには、他方の状態も切り替える。加えて、制御部77は、ポンプ40の動作、ドラム48の回転、テンタ本体55の稼動、ブロワ61、ブロワ71、圧縮機95及びボイラ80を制御する。
【0041】
次に、本発明の作用について説明する。図2及び図3に示すように、溶液製膜設備30が稼動すると、各室41〜43では、各工程が行なわれ、ドープ36からフィルム16が製造される。
【0042】
(流延工程)
ドラム48の温度は、図示しない温調機により保持される。ドラム48が軸を中心に回転するため、ドラム48の周面は、60m/分以上200m/分以下で走行する。流延室41では、ダイ49からドラム48の周面に向かってドープ36が流出する。ドラム48の周面には、ドープ36からなる流延膜47が形成する。冷却によって自己支持性を有するものとなった流延膜47は、剥ぎ取りローラ50によりドラム48の周面から剥ぎ取られ、湿潤フィルム15として、テンタ室42へ送られる。
【0043】
(第1乾燥工程)
所定の温度(50℃以上150℃以下)の第1乾燥気体401aが蒸気ヒータ64からテンタ室42へ供給される。テンタ室42に導入される湿潤フィルム15の温度は、50℃以上150℃以下であるため、第1乾燥気体401aとの接触により、湿潤フィルム15は加熱される。この加熱により、湿潤フィルム15から溶剤が蒸発する。テンタ室42における湿潤フィルム15の搬送速度は20m/分以上であることが好ましい。
【0044】
テンタ室42において、湿潤フィルム15と接触した第1乾燥気体401aの温度は低下し、溶剤の濃度は高くなる。しかしながら、テンタ室42から排出された第1排気401bは、凝縮器63にて溶剤の一部が取り除かれ、第1乾燥気体401aとなる。更に、第1乾燥気体401aは、熱交換器62で予熱された後、蒸気ヒータ64にて加熱工程21(図1参照)が施される。加熱工程21が施された第1乾燥気体401aは、テンタ室42へ供給される。こうして、凝縮器63及び蒸気ヒータ64により、テンタ室42内の第1乾燥気体401aの温度や溶剤の濃度は一定の範囲内で維持される。
【0045】
ボイラ80により生成した飽和蒸気300aは、排出物300bとなって蒸気ヒータ64から排出される。排出物300bは、トラップ装置94により、ドレイン水300xと低温蒸気300cとに分離される。低温蒸気300cの温度は、例えば、100℃以上135℃以下である。低温蒸気300cは、圧縮機95により、圧縮蒸気300dとなる。圧縮蒸気300dの圧力は30kPa以上60kPa以下であることが好ましい。圧縮蒸気300dの温度は130℃以上160℃以下であることが好ましい。
【0046】
(第2乾燥工程)
乾燥室43には、所定の温度(160℃以上180℃以下)の第2乾燥気体402aがヒータ74から供給される。第2乾燥気体402aとの接触により、フィルム16から溶剤が蒸発する。このため、乾燥室43において、フィルム16と接触した第2乾燥気体402aの温度は低下し、溶剤の濃度は高くなる。しかしながら、乾燥室43から排出された第2排気402bは、第1吸着塔101に送られる。第1吸着塔101に送られた第2排気402bは、吸着剤103と接触する。吸着剤103との接触により、第2排気402bに含まれる溶剤の一部が吸着剤103に吸着する結果、第2排気402bから第2乾燥気体402aとなる。更に、第2乾燥気体402aは、熱交換器72で予熱された後、ヒータ74にて加熱される。加熱された第2乾燥気体402aは、乾燥室43へ供給される。こうして、吸着剤収納部73及びヒータ74により、乾燥室43内の第2乾燥気体402aの温度や溶剤の濃度は一定の範囲内で維持される。
【0047】
吸着処理後の吸着剤103に吸着している溶剤の量は、吸着処理前に比べ大きいため、吸着処理後の吸着剤103は、吸着処理前に比べ、吸着性能が低い。そこで、吸着性能が低下した吸着剤103を吸着処理に利用可能な状態にするために、吸着剤103に脱着処理を行う。脱着処理では、吸着剤103に脱着用の蒸気をあてて、吸着剤103に吸着している溶剤を脱着させる。脱着処理により、吸着剤103から溶剤が取り除かれるため、脱着処理を経た吸着剤は吸着処理に利用可能な状態となる。
【0048】
本発明では、圧縮蒸気300dを脱着用の蒸気として利用するため、従来廃棄していた低温蒸気300cの熱エネルギーを有効に活用することが可能となり、結果として、第1乾燥気体401a及び第2乾燥気体402aの再生について省エネルギーを実現することができる。
【0049】
排出物300bの温度が、(水の沸点BP)以上(水の沸点BP+α)以下である場合、排出物300bのほとんどが低温蒸気300cとなるため、低温蒸気300cを脱着用の蒸気として利用することができる本発明の意義は大きくなる。例えば、αは50℃以下であることが好ましく、αは20℃以下であることがより好ましい。また、排出物300bの温度は、溶剤の熱分解の温度よりも低いことが好ましい。溶剤がジクロロメタンの場合には、排出物300bの温度は160℃以下であることが好ましい。
【0050】
また、トラップ装置94及び圧縮機95の間の配管96に、流量調節弁を設けることが好ましい。流量調節弁は、低温蒸気300cが圧縮機65へ供給される状態を維持するために、トラップ装置94から圧縮機95への低温蒸気300cの供給量を調節するものである。流量調節弁の開度は、制御部77により調節すればよい。
【0051】
溶液製膜設備30が稼動した直後等、配管96が十分に温まっていない場合には、トラップ装置94及び圧縮機95の間の配管85において、低温蒸気300cからドレイン水300yが生成してしまう。かかる場合には、低温蒸気300cから生成したドレイン水300yを配管96から強制的に排除するためのドレイン配管116を、トラップ装置94及び圧縮機95の間の配管96に設けることが好ましい。ドレイン配管116に開閉弁117を設け、制御部77により開閉弁117の開閉操作することが好ましい。なお、ドレイン水300yを、ボイラ80にて飽和蒸気300aをつくるための水等に再利用してもよい。
【0052】
上記実施形態では、脱着工程25(図1参照)に用いる蒸気として、圧縮蒸気300dのみを用いたが、本発明はこれに限られず、図4に示すように、飽和蒸気411を生成するボイラ121を、配管120を介して、配管86と接続させてもよい。また、弁123を配管120に、弁125を配管86にそれぞれ設け、制御部77により、飽和蒸気411の流量及び圧縮蒸気300dの流量を調節してもよい。更に、必要に応じて、配管86に、圧縮蒸気300dを大気中に排気する配管127を設けてもよい。更に、弁128を配管127に設け、制御部77により、圧縮蒸気300dの排気量を調節してもよい。
【0053】
上記実施形態では、第1乾燥気体401aを第1排気401bから再生する際に生じた低温蒸気300cに所定の処理を施し、脱着用の蒸気として利用したが、本発明はこれに限られず、流延室41に供給される乾燥気体を流延室41の排気から再生する際に生じた残留蒸気に同様の処理を施し、脱着用の蒸気として利用してもよい。
【0054】
上記実施形態では、支持体としてドラム48を用いたが、本発明はこれに限られず、走行するエンドレスバンドを用いてもよい。以下、支持体としてエンドレスバンドを用いたときの膜形成工程及び剥ぎ取り工程の概要について述べる。ダイ49から流出したドープ36は、エンドレスバンド上で流れ延ばされ、流延膜47となる。流延膜47に設けられる送風ダクトは、流延膜47に所定の乾燥気体をあてて、流延膜47から溶剤を蒸発させる。溶剤の蒸発により自己支持性を有するものとなった流延膜47は、剥ぎ取りローラ50によりエンドレスバンドから剥ぎ取られる。
【0055】
なお、ドープ36に添加剤が含まれている場合には、溶剤含有空気300eには溶剤とともに添加剤が含まれている場合がある。添加剤を含む溶剤含有空気300eをそのまま乾燥気体再生設備33へ供給すると、脱着塔の内壁などに添加剤が付着してしまう。そこで、ブロワ71及び熱交換器72の間の配管32bに添加剤除去装置を設けてもよい。この添加剤除去装置は、溶剤含有空気300eが導入されるケーシングと、ケーシング内に設けられた冷却管と、ケーシングの外部に設けられ、冷却管と接続する冷却部とを有する。ケーシング内に導入された溶剤含有空気300eは冷却管との接触により冷却され、溶剤含有空気300eに含まれる添加剤が冷却管の外壁に付着する。こうして、添加剤除去装置は、溶剤含有空気300eに含まれる添加剤を取り出すことができる。
【0056】
なお、ヒータ74として、蒸気ヒータ64と同様のものを用いた場合には、ヒータから排出された蒸気を、脱着用蒸気として利用してもよい。
【0057】
上記実施形態では、1つの溶液製膜設備に1つの乾燥気体再生設備を接続したが、本発明はこれに限られず、1つの溶液製膜設備に複数の乾燥気体再生設備を接続してもよいし、複数の溶液製膜設備30a、30bに複数の乾燥気体再生設備33a、33bを接続してもよい。
【0058】
図5に示すように、第1排気を流通するための配管141a及び第2排気を流通するための配管141bは、溶液製膜設備30aと乾燥気体再生設備33aとを接続する。第1排気を流通するための配管141c及び第2排気を流通するための配管141dは、溶液製膜設備30bと乾燥気体再生設備33bとを接続する。また、配管141a〜141dには、開閉弁142a〜142dがそれぞれ設けられる。開閉弁142a及び溶液製膜設備30aの間の配管141aと、開閉弁142c及び溶液製膜設備30bの間の配管141cとは、配管141eにより接続する。同様に、開閉弁142b及び溶液製膜設備30aの間の配管141bと、開閉弁142d及び溶液製膜設備30bの間の配管141dとは、配管141fにより接続する。図示しない制御部は、開閉弁142a〜142dを操作する。
【0059】
開放弁142a〜142dの操作により、溶液製膜設備30a、30bからの第1排気401bは、乾燥気体再生設備33aのみへ供給され、溶液製膜設備30a、30bからの第2排気402bは、乾燥気体再生設備33bのみへ供給される(図6参照)。乾燥気体再生設備33bでは、溶剤を含む第2排気402bを吸着剤にあてる吸着工程が行われる。吸着工程により、第2排気402bに含まれる溶剤は吸着剤に吸着される結果、第2排気402は第2乾燥気体となる。第2乾燥気体は、溶液製膜設備30a、30bへ供給される。乾燥気体再生設備33aでは、加熱工程及びトラップ工程が順次行われる。トラップ工程により生成した低温蒸気は、圧縮工程により圧縮蒸気となる。その後、溶剤を吸着した吸着剤に圧縮蒸気をあてる脱着工程が行われる(図8(a)参照)。脱着工程により、吸着剤が再生され、再び、吸着工程が可能な状態となる。
【0060】
次に、開放弁142a〜142dの操作により、溶液製膜設備30a、30bからの第1排気401bは、乾燥気体再生設備33bへ供給され、溶液製膜設備30a、30bからの第2排気402bは、乾燥気体再生設備33aへ供給される(図7参照)。乾燥気体再生設備33aでは、溶剤を含む第2排気402bを吸着剤にあてる吸着工程が行われる。吸着工程により、第2排気402bに含まれる溶剤は吸着剤に吸着される結果、第2排気402は第2乾燥気体となる。第2乾燥気体は、溶液製膜設備30a、30bへ供給される。乾燥気体再生設備33bでは、加熱工程及びトラップ工程が順次行われる。トラップ工程により生成した低温蒸気は、圧縮工程により圧縮蒸気となる。その後、溶剤を吸着した吸着剤に圧縮蒸気をあてる脱着工程が行われる(図8(b)参照)。脱着工程により、吸着剤が再生され、再び、吸着工程が可能な状態となる。
【0061】
このように、第1排気の供給先、第2排気の供給先を同期して切り替えることにより、一方の乾燥気体再生設備では吸着工程を行ない、他方の乾燥気体再生設備では脱着工程を行うことができる(図8参照)。これにより、溶液製膜設備から継続して排気される第1排気を再利用することができる。
【0062】
上記実施形態では、第1排気の加熱により生成した低温蒸気を圧縮し、この圧縮蒸気を吸着工程に用いたが、本発明はこれに限られず、圧縮蒸気を蒸気ヒータへ送ってもよい。以下、本発明の別の実施形態を示すが、上記実施形態で示した部材、装置と同一のものには同一の符号を付し、その詳細の説明は省略する。
【0063】
図9に示すように、乾燥気体の再生方法160は、加熱工程21と、トラップ工程22と、圧縮工程23とに加えて、圧縮工程23にてつくられた圧縮蒸気300dを加熱工程21へ戻す蒸気戻し工程162とを有する。
【0064】
図10に示すように、乾燥気体再生設備173は、乾燥気体の再生方法160を行うためのものであり、ブロワ61と、熱交換器62と、凝縮器63と、蒸気ヒータ64と、蒸気再生装置68と、制御部77とに加えて、蒸気再生装置68及び蒸気ヒータ64の間に設けられる配管176とを有する。
【0065】
蒸気再生装置68は圧縮蒸気300dを蒸気ヒータ64へ送る。これにより、蒸気ヒータ64で行われる加熱工程の熱源として、ボイラ80にて生成した飽和蒸気300aとともに、圧縮蒸気300dが用いられるため、加熱工程の排出物300bが有する熱エネルギーを有効に利用することが可能となる。
【0066】
図11に示すように、蒸気ヒータ64において、第1蒸気301aが供給される第1加熱部181、第1蒸気301aよりも温度が高い第2蒸気302aが供給される第2加熱部182、及び第2蒸気302aよりも温度が高い第3蒸気303aが供給される第3加熱部183を、熱交換器62からテンタ42に向かうにしたがって順次設けてもよい。このような蒸気ヒータ64の採用により、第1乾燥気体401aの加熱を段階的に行うことができるため、効率よく第1乾燥気体401aを加熱することができる。
【0067】
上記実施形態では、乾燥気体の再生方法160を用いて、第1乾燥工程11から排出された第1排気401bから第1乾燥気体401aを再生したが、本発明はこれに限られず、乾燥気体の再生方法160を用いて、第2乾燥工程121(図1参照)から排出された第2排気402b(図1参照)から第2乾燥気体402a(図1参照)を再生してもよい。
【0068】
(ドープ)
ドープ36は、ポリマー及び溶剤を含む液である。ドープ36には、ポリマーを溶剤に溶解して得られるポリマー溶液、及びポリマーを溶剤に分散して得られる分散液の両方が含まれる。ドープ36におけるポリマーの濃度は、15質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
【0069】
(ポリマー)
フィルム16の原料となるポリマーとしては、例えば、セルロースアシレート、ラクトン環含有重合体、環状オレフィン、ポリカーボネイト等が挙げられる。中でも好ましいのがセルロースアシレート、環状オレフィンであり、中でも好ましいのがアセテート基、プロピオネート基を含むセルロースアシレート、付加重合によって得られた環状オレフィンであり、さらに好ましくは付加重合によって得られた環状オレフィンである。セルロースアシレートとしては、トリアセチルセルロース(TAC)が特に好ましい。
【0070】
(溶剤)
溶剤としては、例えば、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン,トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン,クロロベンゼンなど)、アルコール(例えば、メタノール,エタノール,n−プロパノール,n−ブタノール,ジエチレングリコールなど)、ケトン(例えば、アセトン,メチルエチルケトンなど)、エステル(例えば、酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸プロピルなど)及びエーテル(例えば、テトラヒドロフラン,メチルセロソルブなど)などが挙げられる。
【0071】
これらの中でも炭素原子数1〜7のハロゲン化炭化水素が好ましく用いられ、ジクロロメタンが最も好ましく用いられる。TACの溶解性、流延膜の支持体からの剥ぎ取り性、フィルムの機械的強度など及びフィルムの光学特性などの物性の観点から、ジクロロメタンの他に炭素原子数1〜5のアルコールを1種ないし数種類混合することが好ましい。アルコールの含有量は、溶剤全体に対し2重量%〜25重量%が好ましく、5重量%〜20重量%がより好ましい。アルコールの具体例としては、メタノール,エタノール,n−プロパノール,イソプロパノール,n−ブタノールなどが挙げられるが、メタノール,エタノール,n−ブタノールあるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
【0072】
ところで、最近、環境に対する影響を最小限に抑えることを目的に、ジクロロメタンを使用しない場合の溶剤組成についても検討が進み、この目的に対しては、炭素原子数が4〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステル、炭素数1〜12のアルコールが好ましく用いられる。これらを適宜混合して用いることがある。例えば、酢酸メチル,アセトン,エタノール,n−ブタノールの混合溶剤が挙げられる。これらのエーテル、ケトン,エステル及びアルコールは、環状構造を有するものであってもよい。また、エーテル、ケトン,エステル及びアルコールの官能基(すなわち、−O−,−CO−,−COO−及び−OH)のいずれかを2つ以上有する化合物も、溶剤として用いることができる。
【0073】
なお、溶剤としては、ポリマーの良溶媒であることが好ましい。ある物質がポリマーの貧溶媒であるか良溶媒であるかの判断は次のようにして行う。まず、温度5℃以上30℃以下の範囲内において、ポリマーが全重量の5質量%となるように当該物質とポリマーとを混合する。そして、その混合物中に不溶解物が有る場合には当該物質は貧溶媒であり、その混合物中に不溶解物がない場合には当該物質は良溶媒であると判断することができる。
【符号の説明】
【0074】
10 溶液製膜方法
11 第1乾燥工程
12 第2乾燥工程
20 乾燥気体の再生方法
21 加熱工程
22 トラップ工程
23 圧縮工程
24 吸着工程
25 脱着工程
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー及び溶剤を含む湿潤フィルムを乾燥してフィルムを得る第1乾燥工程の第1排気から前記第1乾燥工程に供給する第1気体を再生するために、ボイラでつくられた飽和蒸気との熱交換により、前記湿潤フィルムの温度よりも高くなるまで前記第1排気を加熱する加熱工程と、
前記飽和蒸気から生成した前記加熱工程の排出物から排水を取り出すトラップ工程と、
このトラップ工程を経た前記排出物に含まれ、前記飽和蒸気よりも温度の低い低温蒸気を圧縮する圧縮工程とを有し、
前記加熱工程では、前記圧縮された低温蒸気を用いて、前記第1排気を加熱することを特徴とする乾燥気体の再生方法。
【請求項2】
ポリマー及び溶剤を含む湿潤フィルムを乾燥してフィルムを得る第1乾燥工程の第1排気から前記第1乾燥工程に供給する第1気体を再生するために、ボイラでつくられた飽和蒸気との熱交換により、前記湿潤フィルムの温度よりも高くなるまで前記第1排気を加熱する加熱工程と、
前記飽和蒸気から生成した前記加熱工程の排出物から排水を取り出すトラップ工程と、
このトラップ工程を経た前記排出物に含まれ、前記飽和蒸気よりも温度の低い低温蒸気を圧縮する圧縮工程と、
前記フィルムを乾燥する第2乾燥工程の第2排気から前記第2乾燥工程に供給する第2気体を再生するために、前記フィルムから蒸発した前記溶剤を含む前記第2排気を前記溶剤の吸着剤に接触させる吸着工程であって、この吸着工程を経た前記吸着剤に前記圧縮された低温蒸気をあてて、前記吸着剤に吸着した溶剤を脱着させる脱着工程とを有することを特徴とする乾燥気体の再生方法。
【請求項3】
前記脱着工程では、前記圧縮された低温蒸気とともに脱着用ボイラにて生成した脱着用蒸気を、前記吸着工程を経た前記吸着剤にあてることを特徴とする請求項2記載の乾燥気体の再生方法。
【請求項4】
前記圧縮工程前に、前記低温蒸気から生成したドレイン水を取り除くことを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の乾燥気体の再生方法。
【請求項5】
前記湿潤フィルムは、前記ポリマー及び前記溶剤を含み、支持体上に形成された流延膜のうち、前記支持体から剥ぎ取られたものであることを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項記載の乾燥気体の再生方法。
【請求項6】
ポリマー及び溶剤を含む湿潤フィルムを乾燥してフィルムとする第1乾燥装置の第1排気から前記第1乾燥装置に供給する第1気体を再生するために、前記湿潤フィルムよりも高い温度の飽和蒸気との熱交換により、前記第1排気を加熱する蒸気ヒータと、
前記飽和蒸気から生成した前記蒸気ヒータの排出物から排水を取り出すトラップ装置と、
このトラップ装置から送り出された前記排出物に含まれ、前記飽和蒸気よりも温度の低い低温蒸気を圧縮する圧縮装置と、
前記圧縮された低温蒸気を前記蒸気ヒータへ供給する低温蒸気供給装置とを有することを特徴とする乾燥気体の再生設備。
【請求項7】
前記蒸気ヒータは、
第1の飽和蒸気が送られる第1加熱部と、
前記第1の飽和蒸気よりも温度が低い第2の飽和蒸気が送られる第2加熱部と、
前記第2加熱部、前記第1加熱部、及び前記第1乾燥装置へと前記第1排気を順次送る排気供給部とを有し、
前記低温蒸気供給装置は、前記圧縮された低温蒸気を前記第2加熱部へ供給することを特徴とする請求項6記載の乾燥気体の再生設備。
【請求項8】
ポリマー及び溶剤を含む湿潤フィルムを乾燥してフィルムとする第1乾燥装置の第1排気から前記第1乾燥装置に供給する第1気体を再生するために、前記湿潤フィルムよりも高い温度の飽和蒸気との熱交換により、前記第1排気を加熱する蒸気ヒータと、
前記飽和蒸気から生成した前記蒸気ヒータの排出物から排水を取り出すトラップ装置と、
このトラップ装置から送り出された前記排出物に含まれ、前記飽和蒸気よりも温度の低い低温蒸気を圧縮する圧縮装置と、
前記フィルムを乾燥する第2乾燥装置の第2排気から前記第2乾燥装置に供給する第2気体を再生するために、前記フィルムから蒸発した前記溶剤を含む前記第2排気を前記溶剤の吸着剤に接触させる吸着装置と、
前記圧縮装置により圧縮された低温蒸気を前記溶剤が吸着した吸着剤へ供給する脱着装置と、
前記吸着剤に前記第2排気のみが接触する状態、及び前記吸着剤に前記低温蒸気のみが接触する状態が交互になるように、前記吸着装置及び前記脱着装置を制御する切替装置とを有することを特徴とする乾燥気体の再生設備。
【請求項9】
脱着用ボイラにより生成した脱着用蒸気を、前記圧縮された低温蒸気とともに、前記吸着剤に接触させる脱着用蒸気供給装置を有することを特徴とする請求項8記載の乾燥気体の再生設備。
【請求項10】
前記吸着剤を収納する吸着塔が複数設けられ、
前記切替装置は、前記第1排気が第1吸着塔へ送られ、前記第2排気が第2吸着塔へ送られる状態と、前記第1排気が第2吸着塔へ送られ、前記第2排気が第1吸着塔へ送られる状態とを切り替えることを特徴とする請求項8または9記載の乾燥気体の再生設備。
【請求項11】
前記トラップ装置及び前記圧縮装置の間に設けられ、前記低温蒸気から生成したドレイン水を取り除くドレイン除去装置を有することを特徴とする請求項6ないし10のうちいずれか1項記載の乾燥気体の再生設備。
【請求項12】
前記第1乾燥装置は、前記ポリマー及び前記溶剤を含むドープを流出するダイ、前記流出した前記ドープから流延膜を形成する支持体、及び、前記流延膜を前記支持体から剥ぎ取って前記湿潤フィルムとする剥取部を備える流延装置と接続することを特徴とする請求項6ないし11のうちいずれか1項記載の乾燥気体の再生設備。
【請求項1】
ポリマー及び溶剤を含む湿潤フィルムを乾燥してフィルムを得る第1乾燥工程の第1排気から前記第1乾燥工程に供給する第1気体を再生するために、ボイラでつくられた飽和蒸気との熱交換により、前記湿潤フィルムの温度よりも高くなるまで前記第1排気を加熱する加熱工程と、
前記飽和蒸気から生成した前記加熱工程の排出物から排水を取り出すトラップ工程と、
このトラップ工程を経た前記排出物に含まれ、前記飽和蒸気よりも温度の低い低温蒸気を圧縮する圧縮工程とを有し、
前記加熱工程では、前記圧縮された低温蒸気を用いて、前記第1排気を加熱することを特徴とする乾燥気体の再生方法。
【請求項2】
ポリマー及び溶剤を含む湿潤フィルムを乾燥してフィルムを得る第1乾燥工程の第1排気から前記第1乾燥工程に供給する第1気体を再生するために、ボイラでつくられた飽和蒸気との熱交換により、前記湿潤フィルムの温度よりも高くなるまで前記第1排気を加熱する加熱工程と、
前記飽和蒸気から生成した前記加熱工程の排出物から排水を取り出すトラップ工程と、
このトラップ工程を経た前記排出物に含まれ、前記飽和蒸気よりも温度の低い低温蒸気を圧縮する圧縮工程と、
前記フィルムを乾燥する第2乾燥工程の第2排気から前記第2乾燥工程に供給する第2気体を再生するために、前記フィルムから蒸発した前記溶剤を含む前記第2排気を前記溶剤の吸着剤に接触させる吸着工程であって、この吸着工程を経た前記吸着剤に前記圧縮された低温蒸気をあてて、前記吸着剤に吸着した溶剤を脱着させる脱着工程とを有することを特徴とする乾燥気体の再生方法。
【請求項3】
前記脱着工程では、前記圧縮された低温蒸気とともに脱着用ボイラにて生成した脱着用蒸気を、前記吸着工程を経た前記吸着剤にあてることを特徴とする請求項2記載の乾燥気体の再生方法。
【請求項4】
前記圧縮工程前に、前記低温蒸気から生成したドレイン水を取り除くことを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の乾燥気体の再生方法。
【請求項5】
前記湿潤フィルムは、前記ポリマー及び前記溶剤を含み、支持体上に形成された流延膜のうち、前記支持体から剥ぎ取られたものであることを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項記載の乾燥気体の再生方法。
【請求項6】
ポリマー及び溶剤を含む湿潤フィルムを乾燥してフィルムとする第1乾燥装置の第1排気から前記第1乾燥装置に供給する第1気体を再生するために、前記湿潤フィルムよりも高い温度の飽和蒸気との熱交換により、前記第1排気を加熱する蒸気ヒータと、
前記飽和蒸気から生成した前記蒸気ヒータの排出物から排水を取り出すトラップ装置と、
このトラップ装置から送り出された前記排出物に含まれ、前記飽和蒸気よりも温度の低い低温蒸気を圧縮する圧縮装置と、
前記圧縮された低温蒸気を前記蒸気ヒータへ供給する低温蒸気供給装置とを有することを特徴とする乾燥気体の再生設備。
【請求項7】
前記蒸気ヒータは、
第1の飽和蒸気が送られる第1加熱部と、
前記第1の飽和蒸気よりも温度が低い第2の飽和蒸気が送られる第2加熱部と、
前記第2加熱部、前記第1加熱部、及び前記第1乾燥装置へと前記第1排気を順次送る排気供給部とを有し、
前記低温蒸気供給装置は、前記圧縮された低温蒸気を前記第2加熱部へ供給することを特徴とする請求項6記載の乾燥気体の再生設備。
【請求項8】
ポリマー及び溶剤を含む湿潤フィルムを乾燥してフィルムとする第1乾燥装置の第1排気から前記第1乾燥装置に供給する第1気体を再生するために、前記湿潤フィルムよりも高い温度の飽和蒸気との熱交換により、前記第1排気を加熱する蒸気ヒータと、
前記飽和蒸気から生成した前記蒸気ヒータの排出物から排水を取り出すトラップ装置と、
このトラップ装置から送り出された前記排出物に含まれ、前記飽和蒸気よりも温度の低い低温蒸気を圧縮する圧縮装置と、
前記フィルムを乾燥する第2乾燥装置の第2排気から前記第2乾燥装置に供給する第2気体を再生するために、前記フィルムから蒸発した前記溶剤を含む前記第2排気を前記溶剤の吸着剤に接触させる吸着装置と、
前記圧縮装置により圧縮された低温蒸気を前記溶剤が吸着した吸着剤へ供給する脱着装置と、
前記吸着剤に前記第2排気のみが接触する状態、及び前記吸着剤に前記低温蒸気のみが接触する状態が交互になるように、前記吸着装置及び前記脱着装置を制御する切替装置とを有することを特徴とする乾燥気体の再生設備。
【請求項9】
脱着用ボイラにより生成した脱着用蒸気を、前記圧縮された低温蒸気とともに、前記吸着剤に接触させる脱着用蒸気供給装置を有することを特徴とする請求項8記載の乾燥気体の再生設備。
【請求項10】
前記吸着剤を収納する吸着塔が複数設けられ、
前記切替装置は、前記第1排気が第1吸着塔へ送られ、前記第2排気が第2吸着塔へ送られる状態と、前記第1排気が第2吸着塔へ送られ、前記第2排気が第1吸着塔へ送られる状態とを切り替えることを特徴とする請求項8または9記載の乾燥気体の再生設備。
【請求項11】
前記トラップ装置及び前記圧縮装置の間に設けられ、前記低温蒸気から生成したドレイン水を取り除くドレイン除去装置を有することを特徴とする請求項6ないし10のうちいずれか1項記載の乾燥気体の再生設備。
【請求項12】
前記第1乾燥装置は、前記ポリマー及び前記溶剤を含むドープを流出するダイ、前記流出した前記ドープから流延膜を形成する支持体、及び、前記流延膜を前記支持体から剥ぎ取って前記湿潤フィルムとする剥取部を備える流延装置と接続することを特徴とする請求項6ないし11のうちいずれか1項記載の乾燥気体の再生設備。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−69597(P2011−69597A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283703(P2009−283703)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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