説明

乾燥粒子を製造するための方法および装置

【課題】乾燥粒子を製造するための方法および装置の提供。
【解決手段】2種の液体成分がスタティックミキサー630で混合され、液滴へ噴霧化され、液滴が乾燥されて乾燥粒子を形成する。スタティックミキサー630の使用は、非相溶性の液体成分が迅速かつ均質に混合されることを可能にする。粒子多孔率を増大かつ制御するための工程条件が最適化され、粒子製造中のリアルタイムの粒度の最適化も可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、乾燥粒子を製造するための方法および装置に関する。より詳しくは、本発明は、肺の中へ吸入するために適しており、かつ活性剤を含有する乾燥粒子を製造するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術
薬剤および他の活性剤の送達は、薬剤または活性剤を含有する粒子で製造される乾燥粉末組成物の使用により達成されうる。かかる粒子の製造においては、物理的性質が顕著に異なる物質を混合し、患者における所望の医薬効果を達成することがしばしば望まれる。さらに、異なる物質の合剤である粒子を製造することがしばしば望ましい。異なる物質の合剤を含有する粒子を製造する1つの方法は、適切な溶媒中に物質を溶解し、次いで、例えば、蒸発または乾燥によって溶媒を除去し、所望の粒子を得ることである。この方法の主な難点は、物理的性質が異なる物質は溶媒中の溶解度がきわめて異なる場合が多いということである。したがって、粒子が製造される溶液を形成するには補助溶媒(co−solvents)、または溶媒の大混合が必要となりうる。しかし、補助溶媒の使用は、溶液中の成分の化学的または物理的非相溶性により、成分の1つの劣化を引き起こすことがある。
【0003】
成分の非相溶性の一例は、疎水性成分および親水性成分を含有する粒子の生成である。かかる粒子の生成は、ゴールドン(Gordon)らへの米国特許第6,077,543号(「ゴールドン特許」)に記載されている。ゴールドン特許に記載されているように、疎水性薬液および親水性賦形液はいっしょに噴霧乾燥され、薬剤および賦形剤を含有する乾燥粉末を形成する。疎水性成分と親水性成分との間の非相溶性を解決するには、疎水性成分および親水性成分を異なる溶媒中で別々に溶解し、別々にノズルを通じてスプレードライヤーへ同時に方向づける。この方法では、2つの液体成分が、2つの液体成分を液滴に噴霧化するノズルに送達され、これらの液滴はスプレードライヤーで乾燥され、乾燥粒子を形成する。
【0004】
ゴールドン特許の方法および装置の不利な点の1つは、液滴に噴霧化される前に2つの液体成分の完全な混合が得られないことである。したがって、生成される液滴は、2つの液体成分の均質の混合物である可能性は低く、液滴間の均質性もありそうにない。その結果として、生成される粒子は、薬剤と賦形剤の均質の混合物を含有する可能性が低く、粒子そのもの間の均質性を有する可能性が低い。したがって、粒子間の均質性の改善を有する薬剤成分と賦形剤成分の均質な混合物を含有する乾燥粒子を製造するための方法および装置の改善が技術的に必要である。薬剤成分および賦形剤成分が液体状態で物理的および化学的に非相溶性であるかかる方法および装置が技術的に特に必要である。
【0005】
乾燥粉末組成物の1つの重要な用途は、経肺薬物送達である。肺系への増強された送達と相関する乾燥粒子の一部の特性が確認されている。例えば、0.4g/cm未満のタップ密度および約1〜約3ミクロン(μm)である空気動力学的粒度を有する粒子は、肺胞または深部肺への送達に適していることがわかっている。中心気道または上気道への送達が望ましい場合は、大きな空気動力学的粒度、例えば、約3〜約5ミクロンを有する粒子が好ましい。さらに、約5ミクロンより大きい幾何学的粒度を有する粒子は、肺胞マクロファージおよび肺からのクリアランスによる食細胞貪食をより有効に回避すると考えられている。
【0006】
肺系の標的部位への送達に最適な選択された幾何学的粒度および空気動力学的粒度を有する粒子を製造するための改善された方法が技術的に必要である。粒子製造工程中にリアルタイムで粒度の最適化を可能にする装置および方法が特に必要である。
【0007】
その説明が以下に完全に記載されている本発明の装置および方法により、粉末組成物を製造する従来の方法の前記問題および難点が解決される。
【発明の概要】
【0008】
発明の概要
本発明は、乾燥粒子を製造するための方法および装置に関する。乾燥粒子は、治療目的でヒト患者などの患者に投与されうる乾燥粉末組成物に有利に形成される。本発明の好ましい態様では、乾燥粉末組成物は肺系を通じて活性剤を送達するために患者による吸入用に調製される。
【0009】
本発明の1つの態様では、乾燥粉末組成物を調製するための方法が提供される。本発明の実施形態は、第1の流体成分と第2の流体成分をミキサーで混合して混合流体を形成するステップであって、ここで第1の流体成分は第2の流体成分と非相溶性である活性剤を含むステップと、混合流体を噴霧化して液滴を生成する工程と、液滴を乾燥させて乾燥粒子を形成するステップを含む。ある実施形態では、第1の流体成分は親水性であり、第2の流体成分は疎水性であり、また、混合するステップは第1の流体成分を第2の流体成分に添加するステップを含んで成る。他の実施形態では、第2の流体成分は、約60〜70体積%の水を含んで成る有機溶液であり、混合流体は約20体積%の有機相を含んで成る。さらに他の実施形態では、この方法により約6%未満、かつ好ましくは約3%未満の高分子量タンパク質(「HMWP」)および約90%を超える容易に抽出可能なタンパク質産物(「RE」)を含む乾燥粒子が生成される。
【0010】
本発明の方法の別の実施形態では、この方法は、内部混合ノズル、例えば、単孔ノズル、または6孔ノズルで混合流体を噴霧化するステップを含んで成る。他の実施形態では、他の種類のノズルが使用されうる。
【0011】
本発明の方法の一部の実施形態では、この方法はさらに、界面活性剤、例えば、非イオン界面活性剤もしくはDPPCまたはTween80を第1の流体成分、第2の流体成分、または混合流体に混合するステップを含んで成る。一部の実施形態では、少なくとも0.2重量%のTween80が添加される。他の実施形態では、0.2〜2.8重量%のTween80が添加される。
【0012】
本発明の方法のさらに他の実施形態では、この方法は、約1〜60g/Lの混合流体に対する総固体濃度を使用するステップを含んで成る。
【0013】
本発明の方法のさらに他の実施形態では、この方法は、約5〜40g/L重炭酸アンモニウムを第1の流体成分、第2の流体成分、または混合流体に添加するステップを含んで成る。
【0014】
本発明の方法の別の実施形態では、この方法は、出口温度が35〜70℃である乾燥機で乾燥させるステップを実行するステップを含んで成る。別の実施形態では、約80〜125kg/時の乾燥ガスレートが使用される。
【0015】
本発明の方法の別の実施形態は、第1の溶液濃度を得るのに必要な固体および液体成分の量を確認するステップと、液体および固体成分をいっしょに混合して第1の流体成分を形成するステップとを含んで成る。
【0016】
本発明の方法のさらに他の別の実施形態では、この方法は、約35〜120g/分の噴霧化ガスレートを用いるステップを含んで成る。
【0017】
本発明の方法の他の実施形態では、この方法は、噴霧化ステップ中に約10〜75mL/分の液体供給レートを用いるステップを含んで成る。
【0018】
本発明の装置の態様では、乾燥粉末組成物を調製するための装置が提供される。本発明の装置の実施形態は、第1の流体成分を第2の流体成分と混合して混合流体を形成するように作動するスタティックミキサーを含んで成り、ここで第1の流体成分は第2の流体成分と非相溶性である活性剤を含んで成る。この装置は、それによって混合流体が噴霧化されて液滴を形成するスタティックミキサーと流体連通したアトマイザーと、液滴が乾燥されて乾燥粒子を形成する乾燥機とをさらに含んで成る。本発明の装置の一部の実施形態では、アトマイザーは、内部混合ノズル、例えば単孔ノズルまたは6孔ノズルを含んで成る。本発明の他の態様では、シーティング作用ノズルまたは圧力ノズルも使用されうる。
【0019】
本発明のさらに別の態様では、乾燥粉末組成物を調製するための方法が提供される。かかる方法では、その1つが活性剤を含んでなる親水性成分および疎水性成分が調製される。疎水性および親水性成分はスタティックミキサーで混合されて合剤を形成する。合剤は噴霧化されて液滴を生成し、これが乾燥されて乾燥粒子を形成する。この方法の好ましい態様では、噴霧化するステップは、各成分がスタティックミキサーで混合された直後に実行される。この方法の別の好ましい態様では、親水性成分は、例えば、インスリン、硫酸アルブテロール、L−DOPA、ヒト化モノクローナル抗体(例えば、IgG1)、ヒト成長ホルモン(hGH)、エピネフリン、および臭化イプラトロピウム(ipatropium)一水和物を含みうる活性剤を含んで成る。
【0020】
本発明の別の態様では、乾燥粉末組成物を調製するための方法が提供される。かかる方法では、その1つが活性剤を含んで成る第1および第2の成分が調製される。第1および第2の成分がスタティックミキサーで混合され、合剤を形成する。第1および第2の成分は、それらを混合することにより成分の1つの劣化がひき起こされる。好ましい態様では、活性剤は他の成分と非相溶性である。合剤は噴霧化されて液滴を生成し、これが乾燥されて乾燥粒子を形成する。かかる方法の好ましい態様では、第1の成分は水性溶媒中に溶解された活性剤を含んで成り、第2の成分は有機溶媒中に溶解された賦形剤を含んで成る。
【0021】
本発明のさらに別の態様では、乾燥粉末組成物を調製するための方法が提供される。かかる方法では、ヒト成長ホルモン、リン酸ナトリウム、および重炭酸アンモニウムを含んで成る第1相が調製される。エタノールを含んで成る第2相が調製される。第1相と第2相はスタティックミキサーで混合されて合剤を形成する。合剤は噴霧化されて液滴を形成し、これが乾燥されて乾燥粒子を形成する。かかる方法の別の態様では、第2相が、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリン(DPPC)をさらに含んで成る。かかる方法の別の態様では、結果として生じる乾燥粒子は、ヒト成長ホルモンおよびリン酸ナトリウムの全重量比で約93%のヒト成長ホルモンおよび約7%のリン酸ナトリウムから実質的に成る。かかる方法のさらに別の態様では、結果として生じる粒子は、ヒト成長ホルモン、リン酸ナトリウム、およびDPPCの全重量比で約79%のヒト成長ホルモン、約7%のリン酸ナトリウム、および約14%のDPPCから実質的に成る。
【0022】
本発明のさらに別の態様では、乾燥粉末組成物を調製するための方法が提供される。かかる方法では、親水性成分がスタティックミキサーで有機溶媒と混合されて合剤を形成する。合剤は噴霧化されて液滴を形成し、これが乾燥されて乾燥粒子を形成する。かかる方法の好ましい態様では、親水性成分は活性剤を含んで成る。かかる方法の別の態様では、親水性成分は賦形剤を含んで成る。
【0023】
本発明のさらに別の態様では、乾燥粉末組成物を調製するための装置が提供される。この装置は、入口端と出口端とを有するスタティックミキサーを含む。スタティックミキサーは、水性成分を有機成分と混合して合剤を形成するように作動する。水性成分と有機成分をスタティックミキサーの入口端に輸送するための手段が提供される。アトマイザーがスタティックミキサーの出口端と流体連通し、合剤を液滴に噴霧化する。液滴は乾燥機で乾燥されて乾燥粒子を形成する。好ましい発明の1つの態様では、アトマイザーはロータリーアトマイザーである。かかるロータリーアトマイザーは、羽根なしであってもよく、または複数の羽根を含有してもよい。本発明の別の態様では、アトマイザーは2流体混合ノズルである。かかる2流体混合ノズルは、内部混合ノズルまたは外部混合ノズルでありうる。本発明の1つの態様では、水性有機成分を輸送するための手段は、2個の別個のポンプである。あるいは、単一のポンプも使用されうる。別の態様では、装置は、乾燥粒子の幾何学的直径を測定する幾何学的粒度測定装置、および乾燥粒子の空気力学的直径を測定する空気力学的粒度測定装置をも含む。
【0024】
本発明のさらに別の態様では、選択体積平均幾何学的直径を有する乾燥粒子を調製するための方法が提供される。かかる方法は、
噴霧化液滴を乾燥させて乾燥粒子を形成するステップと、
粒子密度(ρ)を選択するステップと、
乾燥粒子の測定質量平均空気力学的直径
【数1】


を測定するステップと、
乾燥粒子の測定体積平均幾何学的直径
【数2】


を測定するステップと、
計算体積平均幾何学的直径
【数3】


を粒子密度から計算し、かつ測定質量平均空気力学的直径を式
【数4】


から計算するステップと、
計算体積平均幾何学的直径が測定体積平均幾何学的直径と実質的に等しくなるまで粒子密度を調節するステップと
を含んで成る。
【0025】
かかる方法の別の態様では、調節するステップが、
計算体積平均幾何学的直径を測定体積平均幾何学的直径を比較して差異を測定するステップと、
差異に対応して、空気力学的粒度測定装置で粒子密度値を変更するステップと
を含んで成る。
【0026】
かかる方法のさらに別の態様では、液体供給物が噴霧化されて噴霧化液滴を形成する。好ましい態様では、第1の液体成分と第2の液体成分がスタティックミキサーで混合されて液体供給物を形成する。
【0027】
本発明のさらに別の態様では、選択幾何学的直径を有する乾燥粒子を調製するためのシステムが提供される。このシステムは、液滴を乾燥させて乾燥粒子を形成する乾燥機を含む。このシステムは、乾燥粒子の測定幾何学的直径
【数5】


を測定する乾燥機に結合された幾何学的粒度測定装置をも含む。このシステムは、乾燥粒子の密度(ρ)に対応した乾燥粒子の測定空気力学的直径
【数6】


を測定する乾燥機に結合された空気力学的粒度測定装置をも含む。このシステムの別の成分は、空気力学的粒度測定装置に結合されたプロセッサである。プロセッサは、計算幾何学的直径
【数7】


を密度から計算し、かつ測定空気力学的直径を式
【数8】


から計算するとともに、計算幾何学的直径が測定幾何学的直径と実質的に等しくなるまで密度を調節するために構成されたプログラムに応答する。かかるシステムの別の態様では、プログラムは、計算幾何学的直径を測定幾何学的直径と比較し、差異を測定し、かつ、差異に対応して、前記空気力学的粒度測定装置によって用いられる密度を変更することによって調節を行うように構成されている。かかるシステムの別の態様では、アトマイザーが乾燥機に結合されて液体供給物を噴霧化し、液滴を形成する。かかるシステムのさらに別の態様では、スタティックミキサーはアトマイザーと流体連通しており、このスタティックミキサーは第1の液体成分と第2の液体成分を混合して液体供給物を形成する。
【0028】
特徴および利点
本発明の特徴は、スタティックミキサーが2つの液体成分を混合し、合剤を形成し、これが液滴に噴霧化され、これらが乾燥されて粒子を形成するために用いられることである。スタティックミキサーは、2つの液体成分の迅速かつ均質の混合を有利に提供する。これは、2つの液体成分は物理的および/または化学的に互いに非相溶性である場合に特に有利である。スタティックミキサーによって提供される均質の混合のため、本発明の装置および方法の使用に由来する粒子は、粒子スケールで実質的に同じ組成物を有利に有する。スタティックミキサー以外のミキサーを用いて同様の結果を達成することができる。2つの液体成分が物理的および/または化学的に互いに非相溶性である場合、混合物は、生成物の劣化を最小限に抑えるためにできる限り迅速に非スタティックミキサーから除去し、次いで直ちに噴霧化されるべきである。
【0029】
本発明の別の特徴は、噴霧化される液体供給物溶液が噴霧化前に完全に混合されることである。本発明はまた、噴霧化される液体供給物溶液が噴霧化前にその混合状態下にあり続ける時間を有利に最小限に抑える。
【0030】
本発明の別の特徴は、これを用いて、親水性薬剤、および親水性または疎水性賦形剤を含有する粒子を製造しうることである。
【0031】
本発明の別の特徴は、これを用いて、肺、特に深部肺へ吸入するために特に十分に適合されている乾燥粒子を製造しうることである。一例として、本発明は、粒子の多孔性を増大および制御するための工程条件を有利に最適化する。別の一例として、本発明の製剤は、粒子の多孔性を増大させる重炭酸アンモニウムを有利に含む。さらに別の一例として、本発明は、粒子製造工程時にリアルタイムで粒度を最適化するために使用されうる方法および装置を提供する。このようにして、選択幾何学的および/または空気力学的サイズの粒子の工程条件が最小限の量の材料用いて有利に最適化されうる。
【0032】
本発明は、添付の図面を参照して説明される。図面において、同様の参照番号は、同一または機能的に類似の要素を示す。参照番号の左側の大部分の数字は、参照番号が最初に現れる図面を示す。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1A】スタティックミキサーの中を流れを示す図である。
【図1B】本発明による使用に適したスタティックミキサーを示す図である。
【図2】乾燥粒子を製造するための本発明の装置の1つの実施形態を示す図である。
【図3】本発明による使用に適した羽根付きのロータリーアトマイザーを示す図である。
【図4A】本発明による使用に適した内部混合ノズルの実施形態を示す図である。
【図4B】本発明による使用に適した内部混合ノズルの別の実施形態を示す図である。
【図4C】本発明による使用に適した内部混合ノズルのさらに別の実施形態を示す図である。
【図4D】本発明による使用に適した内部混合ノズルのさらに別の実施形態を示す図である。
【図4E】本発明による使用に適した内部混合ノズルの別の実施形態を示す図である。
【図5】本発明による使用に適した外部混合ノズルの1つの実施形態を示す図である。
【図6】乾燥粒子を製造するための本発明の装置の別の実施形態を示す図である。
【図7】粒度を最適化するための本発明の工程の1つの実施形態のフローチャートを示す図である。
【図8】本発明による使用に適したコンピュータシステムの1つの実施形態を示す図である。
【図9】本発明の装置および方法を用いて測定された空気動力学的粒度(MMAD)対多段階液体インピンジャー(MSLI)を用いて測定されたMMADのグラフを示す図である。
【図10】エタノール濃度の関数としての可溶性凝集体(二量体)レベルに対する添加の順序の影響を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
好ましい実施形態の詳細な説明
概要
本発明は、乾燥粒子を製造するための装置および方法に関する。本発明は、乾燥粒子、および乾燥粉末組成物の調製、治療目的に肺への吸入に対して特に適応性を有する。特に、好ましい乾燥粒子としては、以下の11件の出願に記載され、開示されたものが挙げられる。すなわち、「吸入徐放治療薬剤(Inhalable Sustained Therapeutic Formulations)」、出願番号第60/366,479号(2002年3月20日出願)、「吸入サルメテロールおよびイプラトロピウム組成物(Inhalable Salmeterol and Ipratropium Compositions)」、出願番号第60/366,449号(2002年3月20日出願)、「吸入サルメテロールおよびイプラトロピウム組成物(Inhalable Salmeterol and Ipratropium Compositions)」、出願番号第60/366,354号(2002年3月20日出願)、「吸入サルメテロールおよびイプラトロピウム組成物(Inhalable Salmeterol and Ipratropium Compositions)」、出願番号第60/366,470号(2002年3月20日出願)、「吸入サルメテロールおよびイプラトロピウム組成物(Inhalable Salmeterol and Ipratropium Compositions)」、出願番号第60/366,487号(2002年3月20日出願)、「吸入サルメテロールおよびイプラトロピウム組成物(Inhalable Salmeterol and Ipratropium Compositions)」、出願番号第60/366,440号(2002年3月20日出願)、「経肺投与用のhGH(ヒト成長ホルモン)製剤(hGH(Human Growth Hormone)Formulations for Pulmonary Administration)」、出願番号第60/366,488号(2002年3月20日出願)、「レボドパ(LevoDOPA)用の経肺送達(Pulmonary Delivery for LevoDOPA)」、出願番号第60/366,471号(2002年3月20日出願)、「吸入可能徐放治療薬剤(Inhalable Sustained Therapeutic Formulations)」、出願番号第xx/xxx,xxx号、代理人整理番号(Attorney Docket)第2685.2034−001号US(2003年3月19日出願)、「経肺投与用のhGH(ヒト成長ホルモン)製剤(hGH(Human Growth Hormone)Formulations for Pulmonary Administration)」、出願番号第xx/xxx,xxx号、代理人整理番号(Attorney Docket)第2685.2040−001号US(2003年3月19日出願)、および「レボドパ(LevoDOPA)用の経肺送達(Pulmonary Delivery for LevoDOPA)」、出願番号第xx/xxx,xxx号、代理人整理番号(Attorney Docket)第2685.2044−001号US(2003年3月19日出願)であり、そのそれぞれの全体が本明細書中で参照によって援用される。以下の説明は、かかる乾燥粒子を調製する実施例を示す。しかし、当業者は、本発明が乾燥粒子、または乾燥粉末組成物の調製に限定されず、肺への吸入に適しており、かつ他の目的のための乾燥粒子が調製されうることを理解すべきである。本明細書中で用いられる「乾燥」なる用語は、粉末が物理的および化学的に室温下での貯蔵において安定であり、かつ吸入装置に容易に分散可能で、エアロゾルを形成するように水分および/または残留溶媒含量を有する粒子を指す。粒子の水分および残留溶媒含量は10重量%未満、7重量%未満、またはそれ未満でありうる。
【0035】
本発明により、完成乾燥粒子製品中の成分の均質の混合を確実にする方法および装置を提供することによって非相溶性成分を含有する乾燥粒子の調製と関係がある問題が解決され、かつ粒子それ自体の均質性が改善される。本明細書中で用いられる「非相溶性成分」は、接触すると互いに化学的または物理的に非相溶性でありうる成分を指す。非相溶性成分の一例は、そのタンパク質が安定である水溶液中のタンパク質、および疎水性物質を含有する有機溶液である。水性タンパク質溶液は、有機溶液がタンパク質の劣化をひき起こすため、疎水性有機溶液と非相溶性である。本発明の方法では、親水性成分および疎水性成分などの非相溶性成分は、粒子製造工程の直前まで互いに別々に調製され、維持される。「疎水性成分」は、水中で不溶性もしくはやや溶性または不十分に溶性である材料を指す。かかる組成物は一般的に、5mg/ml未満、通常、1mg/ml未満の水中での溶解度を有する。「親水性成分」なる用語は、水中できわめて溶性である物質を指す。親水性成分の一般的な水溶解度は5mg/mlより高く、通常50mg/mlより高く、かつ100mg/mlより高いことがありうる。非相溶性の疎水性成分と親水性成分はスタティックミキサーで混合され、非相溶性成分の均質の混合物である合剤を形成する。その後直ちに、合剤は液滴に噴霧化され、これらが乾燥されて乾燥粒子を形成する。スタティックミキサーの使用を通じて、非相溶性成分はきわめて迅速に均質の混合物に混合されうる。スタティックミキサーの使用により、非相溶性成分が互いに接触する時間の量が大幅に削減され、それによってかかる接触に由来する劣化作用を最小限に抑え、または除去する。スタティックミキサーの使用はまた、噴霧化前に非相溶性成分の完全な混合を確実にし、各液滴、および各完成乾燥粒子が実質的に同じ組成物を有することになる。粒子スケールでの粒子の組成物における均質性は、治療目的に使用される場合に乾燥粒子の有効性における重要な因子である。
【0036】
吸入用に乾燥粒子および乾燥粉末組成物を調製する場合、粒子が肺、好ましくは深部肺へ吸入されうるように、粒子の多孔性を増大させることが望ましい。本発明は、粒子の多孔性を増大させ、制御するための工程条件を有利に最適化する。本発明の好ましい実施形態では、内部混合2流体ノズルが使用され、液体供給物流を噴霧化して噴霧化液滴を形成する。内部混合2流体ノズルでは、1つもしくはそれ以上のガス流が液体供給物流に影響を与え、液体供給物流を噴霧化液滴へ噴霧化し、これらはノズルを出る。かかるノズルは、気体(窒素など)と液体供給物流との間の緊密な接触を可能にする。これにより液体供給物流および結果として生じる液滴中の気体の量が増大する。液滴が乾燥されると、流出する気体は完成乾燥粒子の多孔性に寄与する。液滴中の気体の増大は、液体供給物流において重炭酸アンモニウム、または他の揮発性塩の使用によっても達成されうる。本発明の別の実施形態では、単孔ノズル、6孔ノズル、および圧力ノズルを含むがこれらに限定されない種々のノズルを使用することができる。
【0037】
乾燥粒子が肺への吸入用に製造される場合には、製造工程時に粒子のサイズを制御することが重要である。粒子は、空気力学的直径(d)および幾何学的直径(d)によって特徴づけられうる。空気力学的直径は、過去2時点で測定される粒子を加速する「飛行時間」測定システムを用いて測定されうる。移動の時間は、以下の関係、すなわち、
【数9】


(式中、ρは粒子の密度である。)によって測定され、かつ空気力学的サイズに相関される。空気力学的直径を測定するための適切な装置は、TSI株式会社(ミネソタ州(MN)、セントポール(St.Paul))から入手可能なAPSモデル3321などの空気力学的粒度測定装置である。かかる装置により、粒子の質量平均空気力学的直径(MMAD)、および完全な粒度分布(PSD)が測定される。
【0038】
レーザー回折法を用いて粒子の幾何学的直径を測定することができる。かかる装置の1つは、マルヴァーン(Malvern)インストルメンツ(Instruments)株式会社から入手可能なインサイテック(Insitec)オンライン粒度測定装置である。インサイテック装置は、光学センサーヘッド、単一処理装置、および機器制御ならびにデータの収集および分析用のコンピュータから成る。インサイテック装置では、それらが製造される際にリアルタイムの粒子の体積平均幾何学的直径(VMGD)が測定される。VMGDに加えて、インサイテック装置では完全な粒度分布(PSD)が生成されると同時に、操作員は生成される粒子の多分散性を視覚的に測定することが可能となる。
【0039】
本発明の装置および方法により、粒度の最適化が粒子製造中にリアルタイムで達成される。本発明の工程では、粒子の密度(ρ)は、最適化変数として使用される。粒子の密度は、測定幾何学的直径が、式
【数10】


から計算される幾何学的直径と等しくなるまで調節される。この方法の1つの重要な利点は、噴霧化され、粒子に乾燥される液体流が、工程変数を最適化するために十分なデータを採集するのにわずか約3分間噴霧される必要があることである。これにより、最小限の量の材料を用いて複数の工程条件の迅速な検査が可能となる。さらに、必要とされる噴霧時間の全体の長さおよび材料が大幅に削減される。
【0040】
浮遊微小粒子の粒度分布は、例えば、アンデルセン・カスケード・インパクター(Andersen Cascade Impactor)(ACI)、アンダーソン インストルメンツ(Anderson Instruments)(ジョージア州(GA)、シュミルナ(Smyrna))の使用による重力分析によって測定されうる。ACIは、エアロゾルを空気力学的サイズに基づく明確な画分に分離する多段階装置である。各段階の粒度カットオフは、ACIが作動するフローレートによって左右される。本明細書中の実施例および議論では、他に指定がない限り、60L/分のフローレートが使用される。
【0041】
ACIの各段階では、エアロゾル流が一連のノズルを通過し、衝突プレートに衝突する。十分な慣性を有する粒子はプレートに激突すると同時に、プレートに激突する慣性が不十分な粒子はエアロゾル中に残り、次の段階に運ばれる。各一連の段階は、ノズルにおける高いエアロゾル速度を有するため、小さな直径の粒子が各一連の段階で採集される。最終段階で採集するのに小さすぎる粒子は、採集フィルタで採集される。
【0042】
2段階ACI(ACI−2)は、吸入用の乾燥粒子を特徴づけ、最適化するために特に有利である。第1の画分は「FPF(5.6)」、すなわち微細粒子画分(5.6)と呼ばれる。この画分は、5.6μm未満の空気力学的直径を有する粒子の割合に対応する。この段階をパスし、採集フィルタ上に堆積する粒子の画分は、「FPF(3.4)」、すなわち微細粒子画分(3.4)と呼ばれる。この画分は、3.4μm未満の空気力学的直径を有する粒子の割合に対応する。FPF(5.6)は、患者の肺の中への吸入が可能である乾燥粒子の画分と相関することが明らかにされている。FPF(3.4)は、患者の深部肺へ達することが可能な画分と相関することが明らかにされている。前記の相関により、製造工程および結果として生じる肺への吸入用の乾燥粒子を最適化する本発明の工程とともに使用できる量的指標が得られる。
【0043】
別の実施形態では、3段階ACI(ACI−3)が粒子の特徴づけおよび最適化に使用される。ACI−3は、8段階ACIの最上の3段階のみから成り、3つの別個の粉末画分の採集を可能にする。例えば、ACI−3の構造は、メタノールで飽和されうる20μmの微細孔(段階−1および1)および150μmの微細孔(段階2)ステンレス鋼スクリーンから成りうる。ACI−3の最終段階をパスする粉末の画分はFPF(3.3)と呼ばれる。
【0044】
本発明の装置および方法
本発明の装置および方法を添付の図面を参照してこれから説明する。図2に関して以下に詳細に述べられるように、スタティックミキサーが2つの液体成分に結合され、合剤を形成する。合剤は噴霧化されて液滴を生成し、これらが乾燥されて粒子を形成する。本発明の別の実施形態では、2つの液体成分は親水性成分と疎水性成分である。別の実施形態では、2つの成分は、その2つを混合することにより成分の1つの劣化がもたらされる。別の実施形態では、1つの成分が親水性成分であり、もう1つの成分が有機溶媒である。
【0045】
静的すなわち不動ミキサーは、その中に多数の静的混合要素が受入れられる導管または管から成る。スタティックミキサーは比較的短い長さの導管、および比較的短い時間で均質の混合を提供する。スタティックミキサーにより、流体は、ブレードなどミキサーの一部の部品ではなく、ミキサーを通じて移動し、流体を通じて移動する。スタティックミキサーの1つの実施形態による流れが図1Aに示されている。ポンプ(図示せず)は、1つもしくはそれ以上の流体の流れを1で一般に示されているスタティックミキサー10の入口端に導入する。流れは分割され、2で一般に示されている対向する外側壁へ押し進められる。3で一般に示されているスタティックミキサー10の中心線の軸に対して渦が生じる。4で一般に示されているように、渦は剪断され、工程は繰り返されるが、反対の回転によってである。時計回り/反時計回りの運動により、スタティックミキサー10の出口端を出る均質の生成物が確保される。
【0046】
スタティックミキサーの1つの実施形態が図1Bに示されている。スタティックミキサー10は、導管またはパイプ12内に連続して配置されている多数の固定または静的混合要素14を含む。要素の数は、例えば、4〜32個もしくはそれ以上の範囲でありうる。導管12は断面が環状であり、導入(入口端18)流体と撤収(出口端16)流体のための対向端で開放する。混合要素14は、部分142を含んで成る。各部分142は、複数の略平坦プレートまたは羽根144から成る。2つの実質的に同一の部分142は、互いに対して軸方向にねじれていることが好ましい。図1Bに示されているスタティックミキサーは、その全体が本明細書中で参照によって援用される、米国特許第4,511,258号によりさらに詳しく記載されている。
【0047】
ここで図2を参照すると、乾燥粒子を製造するための本発明のシステムの1つの実施形態が示されている。このシステムは、第1の供給容器210と第2の供給容器220とを含む。種々の実施例に関して以下でより詳しく説明されるように、供給容器210は、例えば、親水性成分、水溶液、または他の適切な液体成分を含有しうる。供給容器220は、例えば、疎水性成分、有機溶液、または他の適切な液体成分を含有しうる。供給容器210および供給容器220の内容物は、適切な手段によって、スタティックミキサー230の入口端に輸送される。本発明の1つの実施形態では、輸送するための手段は供給容器210の内容物のための第1のポンプ212、および供給容器220の内容物のための第2のポンプ222である。あるいは、単一ポンプを使用し、供給容器210および220の内容物をスタティックミキサー230の入口端に輸送しうる。当業者には容易に理解されるであろうように、供給容器210および220の内容物を輸送するための他の手段が使用されうる。本発明の1つの実施形態では、供給容器210および220は同量の液体を含有し、ポンプ212および222は実質的に同じ速度で作動する。他の実施形態では、ポンプ212および222は異なる速度で作動する。ポンプ212および222はギアポンプであってもよく、または当業者には明らかであろうように他の種類のポンプであってもよい。
【0048】
供給容器210および220の内容物は、スタティックミキサー230で混合されて合剤を形成する。合剤は、スタティックミキサー230の入口端に入る液体成分の均質の混合物である。図2示されているように、スタティックミキサー230は水平、すなわちスタティックミキサー230の中心軸が噴霧乾燥機250の中心軸に対して垂直である構成で設置されうる。スタティックミキサー230は、例えば、図6(以下でより詳しく述べる)に示されているように、垂直の構成で設置されることが好ましい。本発明による使用に適したスタティックミキサーは、図1Aおよび図1Bに示されており、コフロ社(Koflo Corporation)によって製造されたモデル1/4−21、およびロス エンジニアリング(Ross Engineering)社(ジョージア州(Georgia)、サバンナ(Savannah))によって製造されたISG(界面表面発生器(Interfacial Surface Generator)ミキサー(カタログ番号(#)S01−012)を含む。ISGミキサーは、パイプハウジングに取囲まれ、隣接要素が4面体のチャンバーを形成するように成形された混合要素を含んで成る。要素を通じた孔が流路を提供する。
【0049】
スタティックミキサー230の出口端はアトマイザー240と流体連通している。アトマイザー240は、スタティックミキサー230から流出する合剤を液滴に噴霧化する。スタティックミキサー230から流出する合剤は流入液体成分の均質の混合物であるため、アトマイザー240によって形成される液滴は流入液体成分の均質の混合物をも含有する。本発明による使用に適したアトマイザーとしては、ロータリーアトマイザー、2流体混合ノズル、および圧力、超音波、振動プレート、および静電気ノズル、および前記の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の使用に適したアトマイザーは、図3〜5に関して以下でより詳しく述べられる。
【0050】
本発明の好ましい実施形態では、スタティックミキサー230で形成される合剤は、合剤が形成された直後に噴霧化される。すなわち、スタティックミキサー230の流出物は噴霧化のためにアトマイザー240の中へ流入する。これは、第1の供給容器210および第2の供給容器220が非相溶性の成分を含有しているとき、非相溶性の成分間の接触が最小限に抑えられるため特に有利である。
【0051】
アトマイザー240によって形成された液滴は噴霧乾燥機250で乾燥されて乾燥粒子を形成する。アトマイザー240によって形成された液滴は流入液体成分の均質の混合物であるため、噴霧乾燥機250によって形成された乾燥粒子は流入液体成分の均質の混合物をも含有する。本発明による使用に適した噴霧乾燥機としては、ニロ(Niro)(メリーランド州(MD)、コロンビア(Columbia))によって製造されたモバイルマイナー(Mobile Minor)、EXモデルが挙げられる。ニロ、APVシステムズ(Systems)(デンマーク)(例えば、APVアンヒドロモデル(Anhydro Model))、およびスウェンソン(Swenson)(イリノイ州(IL)、ハーベイ(Harvey))などの供給元からの他の市販の噴霧乾燥機も使用されうるが、これらは生産能力製造ラインに適した噴霧乾燥機に性能を高めることが可能である。
【0052】
乾燥気体が噴霧乾燥機250で使用され、液滴を乾燥させて乾燥粒子を形成する。本発明による使用に適した気体の例としては、空気、窒素、アルゴン、二酸化炭素、ヘリウム、およびその組合せまたは混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、窒素ガスが使用される。図2に示されているように、窒素ガス供給252が、当業者には明らかであろう適切な弁および調節器を通じて噴霧乾燥機250に結合されている。
【0053】
バグハウス260が噴霧乾燥機250の出口端254に結合されている。バグハウス260内にはバグフィルタ262が配置されている。乾燥気体および乾燥粒子で構成された気体−固体流は、出口端254を出る。排気ライン266は、噴霧乾燥機250およびバグハウス260用の排気管を提供する。噴霧乾燥機250を出る気体−固体流はバグハウス260に入る。バグフィルタ262は乾燥粒子を保持し、乾燥気体のほか、蒸発水および溶媒を含有する熱気体流の通過を可能にする。バグフィルタ262は、W.L.ゴア・アンド・アソシエート(Gore & Associate)社(デラウェア州(DE)、ニューアーク)から入手可能なゴアテックス(Gore−Tex)(登録商標)などの材料から製造されている。乾燥粒子は、バグフィルタ262上を窒素のバックパルスを走らせることによって製品採集点264で採集される。
【0054】
次いで、採集粒子は、例えば、当業者には周知の粒度検査法を用いて検査されうる。本発明の1つの実施形態では、採集乾燥粒子の1回量が測定され、次いで1回量が当業者に周知の技法を用いて包装される。このようにして、単位用量への粒子で構成された治療有効量の乾燥粉末組成物を配置することによって乾燥粉末組成物の単位用量が形成されうる。
【0055】
図2に示されたシステムによる使用に適したアトマイザーの1つの実施形態は、図3に示されているロータリーアトマイザー300などの羽根付きのロータリーアトマイザーである。ロータリーアトマイザー300は、軸330の周りを回転する回転輪(spinning wheel)320を含む。液体供給物は、入口点302で回転アトマイザー300に入り、一般に304で示されている回転輪上に分布される。回転輪320は、液体供給物を微細液滴の噴霧機の中へ分散する。回転輪の回転速度は、液体供給速度と同様に制御される。回転速度および液体供給速度を制御することによって、液滴サイズなどの噴霧の特徴が制御されうる。ロータリーアトマイザー300は24枚の羽根310で構成されている。他の数の羽根310を有するロータリーアトマイザーが本発明により使用されうることは当業者には容易に理解されるであろう。例えば、4枚の羽根を有するロータリーアトマイザー、または羽根なしロータリーアトマイザーも使用されうる。
【0056】
図2に示されているシステムによる使用に適したアトマイザーの別の実施形態が、図4A、4B、4C、4D、4E、および5に示されている。図4A、4B、4C、4D、4E、および5は、液体供給物流へ衝突する1つもしくはそれ以上のガス流の使用により液体供給物流を噴霧化する2流体ノズルを示す。内部混合ノズル400の1つの実施例が図4Aに示されている。内部混合ノズル400では、気体420が、内部混合ノズル400に内在的である混合室430の液体供給物流410へ衝突する。噴霧化液滴440の噴霧が単孔を通じて内部混合ノズル400を出る。当業者には明らかであるように、単一ガス流を含む任意の数のガス流が使用されうる。
【0057】
図4Bは、内部混合ノズルの別の実施例、単孔ノズル450を示す。単孔ノズル450は、図4Aに示された内部混合ノズル400と同じ原理の下に作動する。気体は入口451を通じて供給され、液体は入口452を通じて供給される。気体は空気キャップ453における混合室458内の液体に衝突する。噴霧化された液滴457の噴霧が、単孔を通じて単孔ノズル450を出る。単孔ノズルは、空気キャップ453、流体キャップ454、支持リング455、およびガスケット456を含んで成る。
【0058】
図4Cは、内部混合ノズルの別の実施例、6孔ノズル460を示す。6孔ノズルは、6孔ノズルの空気キャップ461が6孔462を有することを除き、単孔ノズルと同じ原理の下に作動する。気体は入口463を通じて供給され、液体は入口464を通じて供給される。気体は空気キャップ461内の混合室468内で液体に衝突する。噴霧化液滴469の噴霧は孔462を通じて6孔ノズル460を出る。6孔ノズルは、空気キャップ461、流体キャップ465、支持リング466、およびガスケット467を含んで成る。
【0059】
図4Dは、内部混合ノズルのさらに別の実施例、シート作用ノズル470を示す。このノズルは単孔ノズルおよび6孔ノズルと同様の原理の下に作動するが、図4Dに示されたノズルの異なる構成により異なる噴霧化効果がもたらされる。ノズル470では、液体供給物流471は、ノズルの縦軸に対して角方向、好ましくは側方で混合室472に入る。液体供給物流471は、ノズル470の縦軸に対してある角度をなしている液体供給物入口476を通じて混合室472に入る。液体は薄いシートの混合室472の側面に流れて落ちる。気体473は、ノズル孔474で液体の薄いシートへ衝突する。噴霧化液滴475の噴霧はノズル470を出る。図4Dに示されているノズルとデザインがほぼ同じノズルの一例が、スプレーイングシステムズ社(Spraying Systems Co.)(イリノイ州(Illinois)、ウィートン(Wheaton))によって製造されたフロマックス(Flomax)シリーズのノズル(カタログ番号(#)FM1)である。
【0060】
図4Eは、図2に示されているシステムによる使用に適したノズルのさらに別の実施例、圧力ノズル480を示す。圧力ノズル480は、液滴を噴霧化するガス流を必要としない。実際に、これは液体の圧力を使用し、ノズル480から噴霧化液滴を噴霧する。ノズル480内の液体に適用される圧力は、液体をノズル孔481から押出す。ノズル孔481に達する前に液体には回転力が与えられる。この回転力は、例えば、ノズル孔481に通じる多数の小さな断面の供給挿入部分483を特色とするスロット付き挿入部分482によって適用されうる。図4Eに示されている実施例では、断面の供給挿入部分483はノズル孔481に対して斜めに位置している。したがって、断面の供給挿入部分483のそれぞれから噴霧化された液滴の噴霧は角度運動量によってノズル孔481を出る。全体として、断面供給挿入部分483のそれぞれからの噴霧の角度運動量により、噴霧化液滴の円錐噴霧が得られる。
【0061】
図5は、外部混合ノズル500を示す。外部混合ノズル500では、2つのガス流520が、外部混合ノズル500の外部縁に隣接している混合ゾーン530の液体供給物流510へ衝突する。噴霧化液滴540の噴霧は、外部混合ノズル500の外部に形成されている。当業者には明らかであろうように、単一ガス流を含む他の数のガス流が使用されうる。
【0062】
吸入および経肺薬物送達に最適化された粒子を製造するために、乾燥粒子製造工程の噴霧化ステップ中に多孔性を増強する最適化実験が行われた。これらの実験を通じて、噴霧化の様式を変更することにより多孔性が影響を受け、かつ多孔性はアトマイザーの種類の選択によって制御されうることが測定された。
【0063】
3つのロータリーアトマイザーが試験され、そのすべては実質的に図3に示されている構成を有した。3つのアトマイザーは、回転輪320の羽根310の数が異なっていた。1つは4枚の羽根を有し(「V4」)、1つは24枚の羽根を有し(「V24」)、もう1つは羽根なしであった。V4とV24の回転輪は、以下の表1に示された同様の工程条件を用いて操作され、以下の表2に示されている同様の幾何学的サイズの粒子を得た。羽根の数の増大により、V24回転輪はV4回転輪ほど高いrpmでの操作はできなかった。
【0064】
【表1】

【0065】
【表2】

【0066】
表2のデータは、V4回転輪を用いて製造される粒子が、V24回転輪を用いて製造される粒子よりも大きく、かつより多孔性である(例えば、高いFPF(5.6)およびFPF(3.4)を有する)ことを示している。この差の1つの理由は、2つのアトマイザー間の「エアポンピング」の差であると考えられる。「エアポンピング」は、回転輪が回転すると、回転輪がファンとして作用し、回転輪を通じて空気を引き込むため、ロータリーアトマイザーにより生じる。本発明により一般的に使用されるアトマイザーへの流れまたは供給速度では、V24羽根は完全に液体で満たされることはない。したがって、空気が羽根内の液体上を流れるための経路があり、一部分のみが噴霧化される液体内に輸送されている。V4羽根は同様に作動するが、それらの羽根は物理的により小さいため、V4羽根は通常、作動中に液体で満たされている。したがって、空気および噴霧化ガスは両方とも、羽根上ではなく、羽根の中を同時に通過する。これにより噴霧化される空気と液体との間のより緊密な接触が可能となる。この気体と液体の緊密な接触は、結果として生じる乾燥粒子のより多くの多孔性を誘発する。
【0067】
気体/液体接触に起因する粒子の多孔性の増大は、羽根なしアトマイザーを用いて製造された粒子と羽根付きアトマイザーで製造された粒子を比較することによって確認されうる。羽根なしアトマイザーは、強いエアポンピング効果を発生させることがない。V4および羽根なしアトマイザーは、以下の表3に示されたものと同様の工程条件を用いて操作された。表4から確認されうるように、羽根なしアトマイザーを用いて製造された粒子は両方とも、V4アトマイザーを用いて製造された粒子よりも小さく、かつ緊密であった(低いFPF(5.6)およびFPF(3.4))。
【0068】
【表3】

【0069】
【表4】

【0070】
本発明の好ましい実施形態では、2流体ノズルが噴霧化ステップ中の気体と液体との接触を増大させ、結果として生じる乾燥粒子の多孔性を増大させるために用いられる。上述したように、2流体ノズルは、気体と液体など2つの流体を噴霧化中に混合させるために構成されている。混合は、ノズルそれ自体に対して外部から(例えば、図5に示されているようなノズル)または内部から(例えば、図4A、4B、4C、または4Dに示されているようなノズル)のいずれかによって起こりうる。図4A、4B、4C、4D、または4Eに示されている混合ノズルを用いた実施例が、以下の表14〜25に関連して開示されている。
【0071】
15〜40psiの範囲のノズルまたは装置圧力で図5に実質的に示されている外部混合ノズルによる実験が行われた。以下の表5に示されているように、FPF(5.6)の範囲は76〜81%であり、FPF(3.4)の範囲は59〜63%であった。外部混合ノズルでは、ガスレートの増加の作用として、多孔性の変化は観測されなかった。
【0072】
【表5】

【0073】
図4Aに実質的に示されている内部混合ノズルを用いて実験が行われた。内部混合ノズルの使用により、液体と気体とのより緊密な接触の可能性が高くなり、それによって、高いFPF(5.6)とFPF(3.4)によって証明されるように、高い多孔性を有する乾燥粒子がもたらされる。ノズル圧力の効果、および気体と液体との質量流量比の効果を試験する実験が行われた。以下の表6のデータによって証明されるように、より多孔性の粒子は内部混合ノズルを用いて高い動作圧力で得ることができる。圧力効果は、実行294151(1.3)のものと比べ実行294152A(1.8)の高い気体/液体比の反映であるとみられる。以下の表7のデータによって証明されるように、より多孔性の粒子は、内部混合ノズルにより高い気体:液体流量で得ることができる。幾何学的サイズおよび多孔性/微細粒子画分を最適化した内部混合ノズルによる使用のための作動条件は、以下の表8に示されている。
【0074】
【表6】

【0075】
【表7】

【0076】
【表8】

【0077】
上記のように、本発明は、内部混合2流体ノズルの使用により乾燥粒子の多孔性を増大および制御するための工程条件を有利に最適化する。本発明の別の態様では、粒子の多孔性が揮発性塩の使用によって増大する。乾燥粒子を形成するために使用される液体成分の1つの炭酸化作用により、二酸化炭素(CO)の核生成によって結果として生じる乾燥粒子の多孔性が誘発される。COの核生成は、噴霧化液滴中に複数の相(気体および液体)を誘発し、気体相は賦形剤にはアクセス不可能である。噴霧化液滴のかかる異質性は、乾燥が完了する結果として生じる乾燥粒子の多孔性の増大をもたらす。乾燥粒子のタップ密度は、多孔性の尺度として用いることができる。乾燥粒子が多孔性であればあるほど、確認されるタップ密度は低くなる。炭酸製剤溶液から乾燥された粒子噴霧は、その他では同一に溶液から乾燥された粒子噴霧よりもはるかに低いタップ密度を有することがわかっている。
【0078】
60/18/18/4(DPPC/乳糖/アルブミン/硫酸アルブテロール)の製剤を用いた実験が行われた。4つのバッチが調製された。2つのバッチの水相はCOで散布され、他の2つはCOでは処理されなかった。噴霧乾燥条件は4つのバッチすべてについて十分に制御され、それらは同じ工程条件で操作された。羽根付きロータリーアトマイザー(V24)が、この実験では使用された。結果は以下の表9に示されている。
【0079】
【表9】

【0080】
上記の表9に示されているデータから、COで散布された溶液によって製造された粒子が低いタップ密度を有し、より多孔性の構造を有することがきわめて明らかである。したがって、COで噴霧乾燥溶液を散布することにより粒子の多孔性が増大する。
【0081】
本発明の好ましい態様では、乾燥粒子を形成するために使用される液体成分の1つにおける重炭酸アンモニウム(NHHCO)の使用により、多孔性の増大、および結果として低いタップ密度を達成することができる。本発明の別の実施形態では、液体成分の1つ、または合剤溶液の1つの炭酸化が、軽減温度(4℃)下にCOで散布し、または、やはり好ましくは軽減温度下にCOで加圧することによって達成されうる。炭酸成分(HCO/CO2−/CO)は、それらが揮発性種であるため完成乾燥粒子中に残存しないであろう。それらは乾燥工程中に除去されるであろう。炭酸成分または他の揮発性塩の使用は、多孔性を誘発するための高温の使用を回避する利点を有する。また、炭酸成分は、タンパク質の安定性が最大化される軽度のpH範囲にわたって有利に使用されうる。さらに、結果として生じる乾燥粒子のpHは、適切な対イオンの添加により調節されうる。
【0082】
上述されているように、乾燥粒子を形成するために使用される溶液への揮発性塩の添加により、粒子の多孔性が増大する。揮発性塩の添加により、不溶性複合体の生成、粒子中の活性剤の放出速度を制御するために使用されうる、タンパク質および小分子の両方の生成も増大する。不溶性複合体の形成は、例えば、それらが共に溶解している場合に2種間の相互作用で開始する。溶液中、逆電荷の分子は静電気力によって互いに引かれ合う。イオン種が逆電荷形態のAとBに限定されると、AとBは互いに引かれ合う。AとBが十分に強く相互作用する場合には、それらは不溶性複合体Aを形成する可能性が高いが、ここでxとyは、AとBが結びつきやすい比を表す化学量論的係数である。この複合体は浮遊状態にとどまることができるか、もしくは定着し、または凝集する沈殿物を形成しうる。追加のイオン種が存在する場合は、追加の種は電荷に基づきAおよびBと競合し、AとBとの間の相互作用の強度を減少させ、それによって不溶性複合体を形成するAとBの傾向を低下させる傾向がある。追加のイオン種が選択的に除去されうる場合は、AとBは不溶性複合体を形成する。
【0083】
不溶性の材料は、経肺薬物送達に特に有用である大きな多孔性の粒子の製造に干渉しうる。AとBが不溶性複合体Aを形成する傾向がある、AとBの種を含有する大きな多孔性粒子を有することがしばしば望ましい。高いイオン強度は、AとBとの間の相互作用の強度を減少させ、溶解の工程でAとBにより溶解性を与える。材料が噴霧乾燥されると、揮発性塩は、乾燥粒子が形成されるため液滴から優先的に除去される。不溶性複合体Aはその後にほぼ乾燥粒子で形成しうるが、多孔性構造はすべてその粒子で形成されている。
【0084】
以下の非限定的な実施例では、低いタップ密度および高い多孔性をもたらす低い空気力学的直径を有する粒子を製造する重炭酸アンモニウムの使用が説明される。本発明が重炭酸アンモニウムの使用に限定されず、発明の範囲から逸脱することなく他の適切な揮発性塩も使用されうることは、当業者によって理解されるべきである。
実施例
【0085】
多孔性ウシアルブミン粒子
ウシ血清アルブミン350mg、無水クエン酸ナトリウム100mg、塩化カルシウム二水塩66mg、および重炭酸アンモニウム10gを滅菌水500mL中に溶解する。結果として生じる供給物溶液をロータリーアトマイザーを備えたニロ(Niro)噴霧乾燥機を用いて噴霧乾燥した。乾燥ガス(乾燥窒素)を、入口温度170℃、出口温度61℃により約100kg/時の流量で供給した。供給物溶液を60ml/分液体流量でアトマイザー/噴霧乾燥機に供給した。アトマイザーを29,000rpmで作動させ、噴霧乾燥機の噴霧室における水圧を−2インチとした。結果として生じる乾燥粒子は、質量平均空気力学的直径が4.03μmであり、体積平均幾何学的直径が1barで7.76μmであった。
【0086】
ウシ血清アルブミン48mg、無水クエン酸ナトリウム20mg、塩化カルシウム二水塩13mg、マルトデキシトリン(M100)28mg、および重炭酸アンモニウム10mgを滅菌水1000mL中に溶解する。結果として生じる供給物溶液をロータリーアトマイザーを備えたニロ(Niro)噴霧乾燥機を用いて噴霧乾燥した。乾燥ガス(乾燥窒素)を、入口温度170℃、出口温度56℃により約100kg/時の流量で供給した。供給物溶液を60ml/分液体流量でアトマイザー/噴霧乾燥機に供給した。アトマイザーを29,000rpmで作動させ、噴霧乾燥機の噴霧室における水圧を−2インチとした。結果として生じる乾燥粒子は、質量平均空気力学的直径が3.97μmであり、体積平均幾何学的直径が1barで15.01μmであった。
【0087】
多孔性ヒト化IgG抗体粒子
50.7mg/mlヒト化モノクローナルIgG1抗体溶液47.35mlを1000mL水(pH=6.4)に添加した。DPPC1.6gをイソプロピルアルコール1000mLに添加した。噴霧乾燥の直前に水溶液にエタノール溶液をゆっくり添加することによって2つの溶液を混合した。結果として生じる供給物溶液をロータリーアトマイザーを備えたニロ(Niro)噴霧乾燥機を用いて噴霧乾燥した。乾燥ガス(乾燥窒素)を、入口温度100℃、出口温度45℃により約110kg/時の流量で供給した。供給物溶液を50ml/分液体流量でアトマイザー/噴霧乾燥機に供給した。アトマイザーを34,500rpmで作動させ、噴霧乾燥機の噴霧室における水圧を−2インチとした。結果として生じる乾燥粒子は、質量平均空気力学的直径が3.01μmであり、体積平均幾何学的直径が1barで9.17μmであった。
【0088】
多孔性ヒト成長ホルモン粒子
hGH2.63g、スクロース1.03g、ロイシン1.58g、リン酸ナトリウム368mg、Tween−20 26.25mg、重炭酸アンモニウム52.5gを3675mL水(pH=7.4)に添加する。噴霧乾燥の直前に水溶液にエタノール1575mLを添加した。結果として生じる供給物溶液をロータリーアトマイザーを備えたニロ(Niro)噴霧乾燥機を用いて噴霧乾燥した。乾燥ガス(乾燥窒素)を、入口温度139℃、出口温度62℃により約110kg/時の流量で供給した。供給物溶液を60ml/分液体流量でアトマイザー/噴霧乾燥機に供給した。アトマイザーを34,000rpmで作動させ、噴霧乾燥機の噴霧室における水圧を−5インチとした。結果として生じる乾燥粒子は、質量平均空気力学的直径が1.94μmであり、体積平均幾何学的直径が1barで5.8μmであった。
【0089】
93重量%のhGHおよび7重量%のリン酸ナトリウムを含有する粒子を以下の通り調製した。リン酸二水素ナトリウム328mgを洗浄用の水(ブラウン(Braun))400mLに添加することによって水溶液を調製した。1.0N NaOHを用いてpHを7.4に調整した。重炭酸アンモニウム(スペクトル ケミカルズ(Spectrum Chemicals))15gをリン酸緩衝ナトリウムに添加した。エタノール(ファルムコ(Pharmco))200mLを添加し、水溶液を完成させた。この水溶液をスタティックミキサー中で14g/L hGH溶液(リン酸緩衝液、pH=7.4中に溶解したhGH5.6g)と混合した。混合溶液を以下の工程条件下に噴霧乾燥した。
入口温度〜115℃
乾燥ドラムからの出口温度〜70℃
窒素乾燥ガス=110kg/時
窒素噴霧化ガス=46g/分
2流体内部混合ノズルアトマイザー
窒素噴霧化圧力〜65psi
液体供給量=25ml/分
液体供給物温度〜22℃
乾燥室内圧力=−2.0水柱インチ
【0090】
結果として生じる粒子は、FPF(5.6)が84%、FPF(3.4)が77%であり、いずれも2段階ACIを用いて測定された。体積平均幾何学的直径は、1.0barで8.9μmであった。
【0091】
多孔性硫酸アルブテロール粒子
硫酸アルブテロール80mg、マルトデキシトリン460mg、ロイシン350mg、プルロニック(Pluronic)F68、および重炭酸アンモニウム10gを滅菌水500mL中に溶解する。この水溶液をエタノール500mLと混合した。結果として生じる供給物溶液をロータリーアトマイザーを備えたニロ(Niro)噴霧乾燥機を用いて噴霧乾燥した。乾燥ガス(乾燥窒素)を、入口温度150℃、出口温度62℃により約100kg/時の流量で供給した。供給物溶液を65ml/分液体流量でアトマイザー/噴霧乾燥機に供給した。アトマイザーを22,000rpmで作動させ、噴霧乾燥機の噴霧室における水圧を39mmとした。結果として生じる乾燥粒子は、質量平均空気力学的直径が3.33μmであり、体積平均幾何学的直径が4barで11.5μmであった。
【0092】
多孔性ダナゾール粒子
ダナゾール800mg、マルトデキシトリン1.6g、ロイシン1.2g、ポリエチレングリコール(PEG)1500 400mg、および重炭酸アンモニウム40gを滅菌水2L中に溶解する。この水溶液をエタノール2Lと混合した。結果として生じる供給物溶液をロータリーアトマイザーを備えたニロ(Niro)噴霧乾燥機を用いて噴霧乾燥した。乾燥ガス(乾燥窒素)を、入口温度155℃、出口温度64℃により約100kg/時の流量で供給した。供給物溶液を70ml/分の液体流量でアトマイザー/噴霧乾燥機に供給した。アトマイザーを22,000rpmで作動させ、噴霧乾燥機の噴霧室における水圧を39mmとした。結果として生じる乾燥粒子は、質量平均空気力学的直径が2.69μmであり、体積平均幾何学的直径が4barで10.6μmであった。
【0093】
次に図6を参照すると、乾燥粒子を製造するためのシステム600の別の実施形態が示されている。システム600は、水溶液610をエタノール溶液620と混合し乾燥粒子を形成する例示状況のために説明される。当業者には容易に明らかであるように、システム600は、水溶液およびエタノール溶液の使用に限定されていない。例えば、システム600を使用して他の親水性および疎水性成分、他の水性および有機成分、または親水性成分、および有機溶媒を混合し乾燥粒子を得るために使用されうる。システム600は、2つの成分を混合し、2つの成分の合剤が成分の1つの劣化をひき起こす乾燥粒子を形成するためにも使用されうる。
【0094】
図6に示されているように、水溶液600は、ギアポンプ614およびフローメータ612によってスタティックミキサー630に輸送される。エタノール溶液(EtOH)620は、ギアポンプ624およびフローメータ622によってスタティックミキサー630に輸送される。本発明の1つの実施形態では、同量の水溶液610およびエタノール溶液620が使用され、ポンプ614および624が実質的に同じ速度で操作され、それぞれの溶液を実質的に同じ速度でスタティックミキサー630に供給される。他の実施形態では、ポンプ614および624が異なる速度で操作される。当業者に明らかであるように、完成乾燥粒子中の成分の濃度を用いてポンプ614および624のポンプのポンプ速度で測定することができる。例えば、本発明の1つの実施形態では、水溶液610およびエタノール溶液620の体積は、それぞれ噴霧乾燥工程中に完全に消費されるように選択される。かかる実施形態では、ポンプ614およびポンプ624のポンプ速度は、溶液610および620が両方とも使い切るように選択される。当業者には明らかであるように、溶液をスタティックミキサー630に輸送するための他の種類のポンプ、または他の手段が使用されうる。あるいは、単一ポンプを使用して、両方の溶液をスタティックミキサー630に供給しうる。図6に示されている実施形態では、スタティックミキサー630が垂直の構成、すなわちスタティックミキサー630の中心軸が噴霧乾燥機650の中心軸に対して平行に配置されている。あるいは、スタティックミキサー630は、噴霧乾燥機650の中心軸に対して鋭角で、傾斜構成で構成されうる。スタティックミキサー630の傾斜または垂直構成は、最上部でのバブリングまたはガス発生とともに、層流の確保の助けとなる。スタティックミキサーへの流入は上方に流れ、より均質な混合を提供し、チャネリングを予防することが好ましい。本発明による使用に適したスタティックミキサーは図1Aおよび1Bに示されており、コフロ コーポレーション(Koflo Corporation)によって製造されたモデル1/4−21を含む。
【0095】
スタティックミキサー630の出口端は、スタティックミキサー630から流出する合剤を噴霧化して液滴にするために使用される2流体ノズル640と流体連通している。システム600の別の実施形態では、図3に示されているロータリーアトマイザー300などロータリーアトマイザーがノズル640の代わりに使用される。スタティックミキサー630から流出する合剤は流入液体成分(水溶液およびエタノール溶液)の均質混合物であるため、ノズル640によって形成される液滴も流入液体成分の均質混合物を含有する。ノズル640は、図4に示されているものなど内部混合ノズル、または図5に示されているものなど外部混合ノズルでありうる。好ましくは、ノズル640は内部混合ノズルである。
【0096】
図6に示されている実施形態では、窒素ガス流642がノズル640への流入であり、スタティックミキサー630から流出する合剤を噴霧化する。図4および5に関して上述されているように、窒素ガス流642は単一のガス流であり、または複数のガス流に分割され、液体合剤へ衝突し、それを液滴に噴霧化しうる。当業者には容易に明らかであるように、他のガスを使用して液体合剤を液滴に噴霧化しうるとともに、本発明が噴霧化ガス流として窒素の使用に限定されない。
【0097】
ノズル640からの噴霧化液滴は噴霧乾燥機650で乾燥される。窒素ガス供給652からの窒素はヒーター654によって加熱され、噴霧乾燥機650へ流入される。フローメータ656および温度測定点658は、噴霧乾燥機650への窒素ガス流入の流量および温度をモニタリングするために使用される。当業者には容易に明らかであるように、空気、アルゴン、二酸化炭素、ヘリウム、およびその組合せまたは混合物などであるが、これらに限定されない他の乾燥ガスを噴霧乾燥機650で使用されうる。本発明の別の実施形態では、噴霧乾燥機650への乾燥ガス流入はノズル640における液体混合物を噴霧化するために用いられる同じ流入である。ガスおよび乾燥粒子または粉末の混合物は、出口659の噴霧乾燥機650から出る。流量調節器660および温度測定点662は、噴霧乾燥機650を出るガス−粉末混合物の特徴を調節およびモニタリングするために使用される。本発明による使用に適した流量調節器は、ボルタブ(Vortab)(カリフォルニア州(CA)、サンマルコス(San Marcos))によって製造されている。
【0098】
流量調節器660は、ガス流に含まれる粒子が粒子の幾何学的直径および空気力学的直径を測定することによって特徴づけられうる噴霧乾燥機650を出るガス−粉末混合物を調節する。流量調節器660は、ガス流に乱れた状態を与えることによって配管におけるより均質な粉末の分布を提供する。より均質な粉末の分布により下流粒度測定装置における選択的またはゆがんだ試料採取を予防する。流量調節器660による調節の後、ガス−粉末混合物の試料は、幾何学的粒度測定装置670および空気力学的粒度測定装置672の中を流れ、その操作は以下でより詳しく述べられる。ガス−粉末の試料は幾何学的および空気力学的サイズを測定するために使用される。サイジングの後、試料はその後の廃棄のためにフィルタ(図示せず)上に配置される。ガス−粉末混合物の大部分は直接、流量調節器660から流出し、乾燥粒子は、乾燥粒子生成物を保持すると同時にガスを排気装置684に通過させ、溶媒回収を可能にするバグフィルタ680上に収集される。乾燥粒子生成物は、バグフィルタ680上を窒素のバックパルスを移動させることなどによってバグフィルタ680から除去され、生成物収集容器682に収集される。
【0099】
幾何学的粒度測定装置670は、粒子の体積平均幾何学的直径(VMGD)を測定することが好ましい。例示的な幾何学的粒度測定装置は、マルヴァーン(Malvern)インストルメンツ(Instruments)株式会社から入手可能なインサイテック(Insitec)オンライン粒度測定装置である。インサイテック装置は、光学センサーヘッド、単一処理装置、および機器制御ならびにデータの収集および分析用のコンピュータから成る。空気力学的粒度測定装置672は、粒子の質量平均空気力学的直径(MMAD)を測定することが好ましい。例示的な空気力学的粒度測定装置は、TSI株式会社(ミネソタ州(MN)、セントポール(St.Paul))から入手可能なPSモデル3321などの空気力学的粒度測定装置である。本発明の1つの実施形態では、コンピュータ674は幾何学的粒度測定装置670および空気力学的粒度測定装置672に結合されている。コンピュータ674は、図7に関して以下でより詳しく述べられる本発明の最適化方法を行うために使用される。本発明の別の実施形態では、空気力学的粒度測定装置672または幾何学的粒度測定装置670の一部であるコンピュータまたはプロセッサが、本発明の最適化工程を行うために使用される。
【0100】
噴霧乾燥工程の従来の最適化は、時間がかかり、材料集約的工程でり、入口温度、出口温度、アトマイザー速度、ドラム圧力、ガス流量、および液体供給量など複数の工程変数、および複数の製品製剤の操作を必要とする。一般的な最適化の実行は、製剤および一連の工程条件の選択、選択条件下の材料の噴霧、完成乾燥粒子粉末の採集、および幾何学的直径を測定するレーザー回折法(HELOS回折計およびRODOS分散機)、空気力学的直径を測定するエアロサイザー、粒度分布を測定するACI、およびタップ密度の測定など種々のインビトロ法を用いる乾燥粒子の特徴づけを含む。特徴づけ試験の結果が完了すると、工程パラメータは粒子の特徴を最適化するように調節されうる。約2〜3gの材料、および約2時間が、かかるそれぞれの最適化の実行に必要とされる。完成所望粉末特徴を得るために工程条件を完全に最適化するには、何百もの実行が必要である。したがって、噴霧乾燥工程の従来の最適化は不十分であり、時間と費用がかかる。
【0101】
本発明のシステムおよび方法は、噴霧乾燥工程を最適化するために必要な時間と材料を大幅に減少させる。本発明のシステムおよび方法を用いることによって、操作員は、事後の従来のインビトロ特徴づけアッセイを実行する必要なしに噴霧乾燥工程中にリアルタイムの粒子の特徴を評価することができる。本発明のシステムおよび方法を用いることによって、工程条件をリアルタイムに変化させ、粒度を最適化して所望の幾何学的および/または空気力学的直径を有する粒子を製造することができる。
【0102】
幾何学的粒度測定装置670を用いて粒子の幾何学的直径を測定することができ、空気力学的粒度測定装置672を用いて粒子の空気力学的直径を測定することができる。しかし、行われる空気力学的測定のために、粒子の密度は測定前に既知である必要ある。密度(ρ)、幾何学的直径(d)、および空気力学的直径(d)は、以下の式、すなわち、
【数11】


によって関係づけられる。本発明の工程では、所望の空気力学的および/または幾何学的直径を有する粒子を達成する最適化変数として密度が使用される。
【0103】
粒子サイズを最適化するための本発明の工程の1つの実施形態が、図7に示されている。ステップ710では、初期粒子密度が選択され、空気力学的粒度測定装置672に提供される。肺、好ましくは深部肺への吸入に適した乾燥粒子の調製のための本発明の好ましい実施形態では、0.06g/cmの初期粒子密度が用いられる。製造される特定の粒子によって、他の初期粒子密度が選択されうることが当業者には明白であろう。ステップ720では、測定空気力学的直径
【数12】


および測定幾何学的直径
【数13】


が、それぞれ、空気力学的粒度測定装置672および幾何学的粒度測定装置670を用いて得られる。ステップ730では、計算幾何学的直径
【数14】


が、初期粒子密度および測定空気力学的直径から式
【数15】


を用いて計算される。
【0104】
推定初期粒子密度(例えば、0.06g/cm)が製造される粒子について正しかった場合は、計算幾何学的直径は、幾何学的粒度測定装置670によって測定された測定幾何学的直径と実質的に等しくなる。計算幾何学的直径および測定幾何学的直径が一致しない場合は、新しい密度が空気力学的粒度測定装置672に入力され、処理はステップ730に戻り、幾何学的直径を再計算する。この工程は、計算幾何学的直径と測定幾何学的直径が一致するまで継続する。この反復工程は図7に示されている。ステップ740では、
【数16】


かどうか測定される。計算幾何学的直径は、測定幾何学的直径と比較され、差異を測定する。差異がある場合は、ステップ760では、粒子密度が調節され、処理はステップ730に戻り、粒子密度のために調節された値を用いて幾何学的直径を再び計算する。密度を増大させることで幾何学的直径が減少する。密度を減少させることで幾何学的直径が増大する。幾何学的直径は再びステップ730で計算され、ステップ740で測定幾何学的直径と比較される。この工程は、ステップ740で計算幾何学的直径が測定幾何学的直径と実質的に等しくなるまで繰り返されるが、この時点で粒子製造工程は、ステップ750に示されているように継続している。
【0105】
図7に示されている本発明の工程を用いると、溶液は噴霧乾燥され、乾燥粒子を形成し、空気力学的直径および幾何学的直径が測定される。工程条件(流量、温度等)は、空気力学的直径と幾何学的直径の測定中に一定に保持される。測定が行われると、噴霧乾燥装置を通じて溶媒を移動させると同時に密度反復が計算される(図7のステップ730、740、および760)。これは、活性剤を含有する水溶液などコストのかかる材料の重要な節約を示す。
【0106】
本発明の1つの実施形態では、密度反復は固定変数として空気力学的直径により行われる。かかる実施形態では、密度は、計算幾何学的直径が測定幾何学的直径と実質的に等しくなるまで変更される。密度反復が完了すると、粒子の密度、空気力学的直径、および幾何学的直径が既知となる。その時点で、工程条件(気体および/または液体流量、温度、工程溶液)を変更し、異なる密度、空気力学的、または幾何学的直径を得ることができる。あるいは、工程条件または工程溶液を変化させ、密度、空気力学的直径、および幾何学的直径に対するその影響を測定することができる。
【0107】
本発明の別の実施形態では、密度反復は固定変数として幾何学的直径により行われる。かかる実施形態では、ガス流量などの工程条件が調節され、所望の測定幾何学的直径を得る。空気力学的直径が測定される。次いで、計算幾何学的直径が測定幾何学的直径と実質的に等しくなるまで密度が変更される。密度反復が完了すると、粒子の密度、空気力学的直径、および幾何学的直径が既知となる。密度最適化工程における幾何学的直径を固定することによって、同じ幾何学的直径を有する粒子が異なる工程条件下に製造され、同じ幾何学的直径の粒子間の比較を容易にすることができる。
【0108】
工程がステップ750に達すると、操作員は3つの値を有し、その時点で製造されている乾燥粒子に関する決定、すなわち幾何学的直径、空気力学的直径、および密度の決定において使用する。本発明の方法の1つの利点は、スタティックミキサー630からの液体合剤が、噴霧乾燥機650へ噴霧化され、採集されるデータのために必要なのがわずか約3分であり、特定の一連の工程条件が達せられるステップ750である。このようにして、多数の一連の工程条件を最小限の量の材料を用いて迅速に検査することができる。例えば、ステップ750が達せられると、所定の一連の工程条件および工程溶液のために、粒子の密度、幾何学的直径、および空気力学的直径が既知となる。所望の密度、幾何学的直径、または空気力学的直径が達成された場合は、工程条件を変化させ、密度反復工程を繰り返すことができる。あるいは、特定の工程条件および工程材料を変更し、密度、空気力学的直径、および幾何学的直径に対するその影響を測定することができる。
【0109】
肺の中へ深く侵入する乾燥粒子を製造するために、所望の幾何学的直径は約7〜約10μmの範囲にありうる。図6および7に示されている本発明の方法および装置を用いることによって、空気力学的粒度測定装置672によって使用される密度は粒子密度を最小限にするように調節されると同時に、測定幾何学的直径は7〜10μmの範囲で一定に保持される。例えば、hGHを含有する乾燥粒子が、0.06g/cmの初期粒子密度を選択することによって実質的に図6に示されている装置を用いて製造された。深部肺に達するための所望の幾何学的直径のサイズ範囲は、約7〜約10μmであり、空気力学的直径サイズの範囲は約1〜約3μmである。空気力学的直径は、0.06g/cmの初期粒子密度を用いて測定され、幾何学的直径が測定された。幾何学的直径が計算され、測定幾何学的直径と比較された。深部肺に達するために、測定幾何学的直径、および結果として計算幾何学的直径は、約7〜約10μmの範囲でなければならない。計算幾何学的直径が測定幾何学的直径と同じでなかった場合は、空気力学的粒度測定装置で使用される密度値は削減され、工程は繰り返された。粒子密度を最小限にし、幾何学的直径を所望の範囲で一定に保持することによって、所望の幾何学的直径、および所望の低い空気力学的直径を有する粒子が製造された。
【0110】
所望の空気力学的直径の粒子を製造するための有効な最適化変数としての密度の使用は、図9に示されているグラフによって明らかにされている。図9は、図6および7に関して上述された本発明のシステムおよび方法を用いて測定されたμmでの質量平均空気力学的直径(MMAD)対従来の多段階液体インピンジャー(MSLI)を用いて測定されたMMADのグラフである。MSLIは、上述のACI装置と同じ基本原理で作動する。しかし、ACIのような各段階用の乾燥金属プレートを有する代わりに、MSLIは液体含有段階を有する。各MSLI段階は、エタノールを湿らせたガラスフリットから成る。湿段階は、ACIを用いて発生しうるバウンシング(bouncing)および再エトレイメント(re−etrainment)を予防するために用いられる。液体の目的は、システム内のバウンスの存在を除去することであり、これは一般にACIよりも大きな精度をもたらす。図9に示されているデータに使用されるMSLIには5段階が含まれていた。図9から確認されうるように、本発明の密度反復工程を用いて測定されたMMAD(y軸)は、MSLIを用いて測定されたMMAD(x−軸)と相関し、密度反復工程を用いて測定されたMMADはMSLIを用いて測定されたMMADにおける傾きの確実な予測因子である。
【0111】
図6および7に関しての上記のとおり、コンピュータまたはコンピュータシステムを用いて空気力学的および/または幾何学的を制御し、粒度最適化工程を行うことができる。本発明による使用に適した例示的なコンピュータシステムが図8に示されている。コンピュータ装置802は、プロセッサ804など、1個もしくはそれ以上のプロセッサを含む。プロセッサ804は、コミュニケーションバス806に接続されている。この説明を読んだ後、他のコンピュータシステムおよび/またはコンピュータアーキテクチャーを用いて発明をいかに実行するか、当業者には明らかになるであろう。
【0112】
コンピュータシステム802は、主記憶装置808、好ましくはランダムアクセスメモリー(RAM)をも含み、第2の記憶装置810も含みうる。第2の記憶装置810は、例えば、ハードディスクドライブ812および/またはフロッピーディスクドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブ等を示すリムーバル記憶装置814を含みうる。リムーバル記憶装置814は、公知の方法でリムーバル記憶ユニット818からの読み取りおよび/または該ユニットへの書き込みをする。リムーバル記憶ユニット818は、リムーバル記憶装置814によって読み書きされるフロッピーディスク、磁気テープ、光ディスク等を示す。十分に理解されるように、リムーバル記憶ユニット818は、その中にコンピュータソフトウェアおよび/またはデータを保存したコンピュータ使用可能な記憶媒体を含む。
【0113】
別の実施形態では、第2の記憶装置810は、コンピュータ装置802にコンピュータプログラムまたは他の命令がロードされることを可能にする他の同様の手段を含みうる。かかる手段は、例えば、リムーバル記憶ユニット822およびインターフェイス820を含みうる。その例としては、プログラムカートリッジおよびカートリッジインターフェイス(ビデオゲーム装置で見られるものなど)、リムーバルメモリチップ(EPROM、またはPROMなど)および関連ソケット、およびリムーバル記憶ユニット822からコンピュータ装置802へのソフトウェアおよびデータの移動を可能にする他のリムーバル記憶ユニット822およびインターフェイス820を挙げることができる。
【0114】
コンピュータ装置802は、通信用インターフェイス824をも含みうる。通信用インターフェイス824は、コンピュータ装置802と外部装置との間のソフトウェアおよびデータの移動を可能にする。通信用インターフェイス824の例としては、モデム、ネットワークインターフェイス(たとえばイーサネットカード)、コミュニケーションズポート、PCMCIAスロット、およびカード等を挙げることができる。通信用インターフェイス824によって移動されるソフトウェアおよびデータは、通信用インターフェイス824によって受取られる能力がある電子、電磁、光または他のシグナルでありうるシグナル826の形である。シグナル826は、チャンネル828を介して通信用インターフェイスに供給される。チャンネル828はシグナル826を運び、ワイヤまたはケーブル、光ファイバー、電話線、携帯電話リンク、RFリンク、および他の通信用チャンネルを用いて実行される。
【0115】
本明細書中で「コンピュータプログラム媒体」および「コンピュータ使用可能媒体」は、一般にリムーバル記憶装置818、ハードディスクドライブ812にインストールされたハードディスク、およびシグナル826などの媒体を指すように用いられている。これらのコンピュータプログラム製品は、コンピュータ装置802へソフトウェアを供給するための手段である。
【0116】
コンピュータプログラム(コンピュータ制御ロジックとも呼ばれる)は、主記憶装置808および/または第2記憶装置810に保存されている。コンピュータプログラムは、通信用インターフェイス824によっても受取ることができる。かかるコンピュータプログラムは、実行されると、コンピュータ装置802が本明細書中で論じられた本発明の特徴を実行することを可能にする。特に、コンピュータプログラムは、実行されると、プロセッサ804が本発明の特徴を実行することを可能にする。したがって、かかるコンピュータプログラムは、コンピュータシステム802のコントローラーを表す。
【0117】
本発明がソフトウェアを用いて実行される実施形態では、ソフトウェアはコンピュータプログラム製品中に保存し、リムーバル記憶装置814、ハードドライブ812、または通信用インターフェイス824を用いてコンピュータシステム802にロードすることができる。制御ロジック(ソフトウェア)は、プロセッサ804によって実行されると、本明細書中に記載された本明細書の機能をプロセッサ804に実行させる。
【0118】
別の実施形態では、本発明は、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)などハードウェア要素を用いるハードウェアにおいて主に実行される。本明細書中に記載された機能を実行するためのかかるハードウェア状態機械の実行は、当業者には明らかになるであろう。さらに別の実施形態では、本発明はハードウェアとソフトウェアの組合せを用いて実行される。
【0119】
好ましい実施形態では、本発明の噴霧乾燥粒子は、約0.4g/cm未満のタップ密度を有する。約0.4g/cm未満のタップ密度を有する粒子は、「空気力学的に軽い粒子」と呼ばれる。約0.1g/cm未満のタップ密度を有する粒子がより好ましい。タップ密度は、デュアル・プラットフォーム・マイクロプロセッサ制御タップ密度計(Dual Platform Microprocessor Controlled Tap Density Tester)(バンケル テクノロジー(Vankel Technology)(ノースカロライナ(NC)、カリー(Cary))、またはGeoPyc(商標)インストルメント(マイクロメトリックス インストルメント社(Micrometrics Instrument Corp.)、ジョージア州(GA)30093、ノルクロス(Norcross))などであるがこれらに限定されず、当業者に周知の計器を用いることによって測定されうる。タップ密度は、エンベロープ質量密度の標準尺度である。タップ密度は、USPバルク密度およびタップ密度(Bulk Density and Tapped Density)、米国薬局方条約United States Pharmacopoeia convention(メリーランド州(MD)、ロックビル(Rockville))、1999年、第10版補遺、pp.4950−4951)の方法を用いて測定されうる。低いタップ密度に寄与しうる特徴としては、不規則な表面テキスチャーおよび多孔性構造が挙げられる。
【0120】
等方性粒子のエンベロープ質量密度は、その内部に封入されうる最小限の球面エンベロープ量で割った粒子の質量と定義される。本発明の1つの実施形態では、粒子は約0.4g/cm未満のエンベロープ質量密度を有する。
【0121】
空気力学的に軽い粒子は、好ましいサイズ、例えば、少なくとも約5μmの体積平均幾何学的直径(VMGD)を有する。1つの実施形態では、VMGDは、約5μm〜約30μmである。本発明の別の実施形態では、粒子は約10μm〜約30μmのVMGDを有する。他の実施形態では、粒子は、少なくとも5μm、例えば、約5μm〜約30μmの平均直径、質量平均直径(MMD)、質量平均エンベロープ直径(MMED)、または質量平均幾何学的直径(MMGD)を有する。
【0122】
噴霧乾燥粒子の直径、例えば、VMGDは、レーザー回折計(例えば、シンパテック(Sympatec)(ニュージャージー州(NJ)、プリンストン(Princeton))によって製造されたヘロス(Helos)を用いて測定することができる。粒度を測定するための他の計器は、当技術分野で公知である。試料中の粒子の直径は、粒子組成物および合成の方法などの因子によって変動する。試料中の粒子のサイズ分布は、気道内の標的部位への最適な沈殿を可能にするように選択されうる。
【0123】
空気力学的に軽い粒子は好ましくは「質量平均空気力学的直径」(MMAD)を有し、本明細書中では「空気力学的直径」とも呼ばれ、約1μm〜約5μmである。本発明の別の実施形態では、MMADは約1μm〜約3μmである。さらに別の実施形態では、MMADは、約3μm〜約5μmである。
【0124】
実験的に、空気力学的直径は、一定の距離に沈殿する粒子の集合の時間を用いて粒子の空気力学的直径を直接推論する、重力沈殿法を行うことによって測定することができる。質量平均空気力学的直径(MMAD)を測定する間接的方法が、多段階液体インピンジャー(MSLI)である。
【0125】
約0.4g/cm未満のタップ密度、少なくとも約5μmの平均直径、および約1μm〜約5μm、好ましくは約1μm〜約3μmの空気力学的直径を有する粒子は、口腔咽頭部位における慣性および重力沈殿を回避する大きな能力があり、気道、特に深部肺にターゲティングされる。大きな、より多孔性の粒子の使用は、それらが現在、吸入療法に使用されるものなど小さな、濃密なエアロゾル粒子よりも有効にエアロゾル化が可能であるため有利である。
【0126】
本発明の別の実施形態では、粒子は、約0.4g/cm未満の本明細書では「質量密度」とも呼ばれるエンベロープ質量密度を有する。約5μm〜約30μmの平均直径を有する粒子も好ましい。質量密度、および質量密度、平均直径、および空気力学的直径間の関係は、1996年5月24日出願の米国特許出願第08/655,570号において論じられているが、これはその全体が本明細書中で参照によって援用される。好ましい実施形態では、約0.4g/cm未満未満の質量密度、および約5μm〜約30μm質量平均空気力学的直径の平均直径を有する粒子の空気力学的直径は、約1μm〜約5μmである。
【0127】
小さな、比較的濃密な粒子との比較では、好ましくは少なくとも約5μmの平均直径を有する大きな空気力学的に軽い粒子は、食細胞の細胞内空間からの粒子のサイズ排除により、肺胞マクロファージおよび肺からのクリアランスによって食細胞の貪食を潜在的により有効に回避することができる。肺胞マクロファージによる粒子の食作用は、粒度が約3μmを超えて増大すると急激に低下する。カワグチ(Kawaguchi),H.ら、Biomaterials、1986年(7)、pp.61−66、クレニス(Krenis),L.J、およびシュトラウス(Strauss),B.、Proc.Soc.Exp.Med.、1961年(107)、pp.748−750、およびルード(Rudt),S.、およびムラー(Muller),R.H.、J.Contr.Rel.、1992年(22)、pp.263−272。粗い表面を有する球形など統計的に等方性の形状の粒子では、粒子エンベロープ体積は、完全な粒子食作用のためにマクロファージ内で必要とされる細胞内空間の体積とおよそ同等である。
【0128】
粒子は、深部肺、もしくは上部または中央気道など気道の選択部位への局所送達用に適切な材料、表面粗さ、直径、およびタップ密度で製造されうる。例えば、高密度または大きな粒子は上気道送達用に使用でき、もしくは同一または異なる治療薬が供給された試料中の異なるサイズの粒子の混合物を1回の投与で肺の異なる部位の標的に投与することができる。約3〜約5μmの空気力学的直径を有する粒子が、中央および上気道への送達には好ましい。約1〜約3μmの空気力学的直径を有する粒子が、深部肺への送達には好ましい。
【0129】
エアロゾルの慣性衝突および重力沈殿は、正常な呼吸状態時の気道および肺細葉における支配的な沈殿機序である。エドワード(Edwards)、D.A.、J.Aerosol Sci.、1995年(26)、pp.293〜317。両方の沈殿機序の重要性は、粒子(またはエンベロープ)体積ではなく、エアロゾルの質量に比例して増大する。肺のエアロゾル沈殿部位はエアロゾルの質量によって決定されるため(少なくとも平均空気力学的直径が約1μmより大きい粒子について)、粒子表面の不規則性および粒子の多孔性を増大させることによってタップ密度を減少させることにより、大きな粒子のエンベロープ量の肺への送達が可能となるが、ほかのすべての物理的パラメータは等しい。
【0130】
低いタップ密度の粒子は、実際のエンベロープの球体の直径に比べ小さな空気力学的直径を有する。空気力学的直径、daerは、エンベロープの球形の直径、dと以下の式によって関係づけられる(ゴンダ(Gonda)、I.、「エアロゾル送達における物理−化学的原理(Physico−chemical principles in aerosol delivery)」、Pharmaceutical Sciences 1991のトピックス(Topics)に収載(D.J.A.クロメリン(Crommelin)およびK.K.ミドハ(Midha)編、pp.95〜117、シュトゥッツガルト(Stuttgart)、メドファルム サイエンティフィック パブリッシャーズ(Medpharm Scientific Publishers)1992年))。
【数17】


式中、エンベロープ質量ρは単位がg/cmである。ヒト肺の肺胞部位における単一分散エアロゾル粒子の最大沈殿(〜60%)は、約daer=3μmの空気力学的直径で起こる。ハイダー(Heyder)、J.ら、J.Aerosol Sci.、1986年(17)、pp.811〜825。それらの小さなエンベロープ質量密度により、最大の深部沈殿を示す単一分散吸入粉末を含んで成る空気力学的に軽い粒子の実際の直径dは、
【数18】


式中、dは常に3μmより大きい。例えば、エンベロープ質量密度、ρ=0.1g/cmを示す空気力学的に軽い粒子は、エンベロープ直径がほぼ9.5μmの大きさを有する粒子の最大の沈殿を示す。粒度の増大は粒子間の接着力を減少させる。ビサー(Visser)、J.、Powder Technology、58、pp.1〜10。したがって、大きな粒度は、低い食作用喪失に関与することに加えて、低いエンベロープ質量密度の粒子の深部肺へのエアロゾル化の有効性を増大させる。
【0131】
空気力学的直径を計算し、肺内に最大限の沈殿を提供することができる。以前、これは直径が約5ミクロン未満、好ましくは約1〜約3ミクロンのきわめて小さな粒子の使用によって達成され、次いでこれらは食作用にかけられる。大きな直径を有するが、十分に軽い(したがって、特徴づけは「空気力学的に軽い」)粒子の選択により肺への同等の送達がもたらされるが、大きな粒度は貪食されない。
【0132】
本発明の1つの実施形態では、粒子は生物学的に活性(生物活性)の化合物、例えば、治療、予防、または診断薬を含む。生物活性成分または薬剤は、本明細書中では薬物、活性剤、または薬品と呼ぶ。粒子中に存在する生物活性剤の量は、一般に約0.1重量%〜約100重量%、好ましくは約1.0重量%〜約100重量%である。
【0133】
生物学的に活性の薬剤の例として、合成無機または合成有機化合物、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、治療的、予防的、または診断的活性を有するDNAおよびRNA核酸配列が挙げられる。核酸配列としては、遺伝子、相補的にDNAまたはRNAに結合し、転写を阻害するアンチセンス分子、およびリボザイムが挙げられる。組込まれる薬剤は、血管作用剤、神経刺激剤、ホルモン、抗凝固剤、免疫修飾剤、細胞毒性剤、予防剤、抗生物質、抗菌剤、アンチセンス、抗原、および抗体など種々の生物学的活性を有しうる。広範囲の分子量、例えば、モル当たり100〜500,000グラムもしくはそれ以上を有する化合物を用いることができる。
【0134】
粒子は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気腫、または嚢胞性線維症の治療、または全身治療のための薬剤など、肺内の局所送達用の治療薬を含みうる。例えば、嚢胞性線維症などの疾患の治療用の遺伝子を投与することができるが、同様に喘息用のベータ作動薬のステロイド剤、抗コリン作用薬、およびロイコトリエン修飾薬が投与されうる。他の特異的治療薬としては、ヒト成長ホルモン、インスリン、カルシトニン、ゴナドトロピン放出ホルモン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、顆粒球コロニー刺激因子(「G−CSF」)、副甲状腺ホルモンおよびPTH関連ペプチド、ソマトスタチン、テストステロン、プロゲステロン、エストラジオール、ニコチン、フェンタニル、ノルエチステロン、クロニジン、スコポラミン、サリチル酸塩、クロモリンナトリウム、サルメテロール、ホルメテロール、アルブテロール、エピネフリン、L−ドーパ、およびジアゼパムのほか、主に中枢神経系、腎、心臓、または他の器官をターゲティングする薬品が挙げられるが、これらに限定されない。
【0135】
診断薬としては、陽電子放出断層撮影(PET)、コンピュータ断層撮影(CAT)、単光子放出コンピュータ断層撮影、X線、透視診断、および磁気共鳴映像法(MRI)において使用される市販の薬剤を含む造影剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0136】
MRIにおける造影剤としての使用に適した材料の例としては、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)およびガドペントテートジメグルミンのほか、鉄、マグネシウム、マンガン、銅、およびクロムなど現在入手可能なガドリニウムキレート剤が挙げられるが、これに限定されない。
【0137】
CATおよびX線に有用な材料の例としては、ジアトリゾエートおよびイオタラメートによって代表されるイオンモノマー、イオパミドール、イソヘキソル、およびイオベルソルなどの非イオンモノマー、イオトロールおよびイオジキサノールなどの非イオンダイマー、およびイオンダイマー、例えば、イオキサガルテなど、静脈内投与のためのヨードベース材料が挙げられる。
【0138】
粒子は追加の成分を含みうる。かかる追加の成分は、本明細書中では賦形剤と呼ばれうるが、例えば、リン脂質、界面活性剤、アミノ酸、およびポリマーを含みうる。好ましい実施形態では、粒子は、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、またはその組合せなど1つもしくはそれ以上のリン脂質を含む。1つの実施形態では、リン脂質は肺内因性である。リン脂質の特定の例は表10に示されている。リン脂質の組合せも使用されうる。
【0139】
【表10】

【0140】
荷電リン脂質も使用することができる。荷電リン脂質の例は、2000年12月29日出願の「徐放特性を有する吸入用の粒子(Particles for Inhalation Having Sustained Release Properties)」と称する米国特許出願第09/752,106号、および2000年12月29日出願の「徐放特性を有する吸入用の粒子(Particles for Inhalation Having Sustained Release Properties)」と称する米国特許出願第09/752,109号に記載されており、両方とも全体の内容が本明細書中で参照によって援用される。
【0141】
リン脂質は、約5重量パーセント(%)〜約95重量%の範囲の量で粒子中に存在しうる。これは約20重量%〜約80重量%の範囲の量で粒子中に存在しうることが好ましい。
【0142】
リン脂質またはその組合せは、本発明の方法によって製造される噴霧乾燥粒子へ制御された放出特性を与えるように選択されうる。制御された放出特性を有する粒子、および生物学的に活性の薬剤の放出を変化させる方法は、1999年8月25日出願の「基質遷移を制御することによる乾燥粉末製剤からの放出の変化(Modulation of Release From Dry Powder Formulations by Controlling Matrix Transition)」と称する米国仮特許出願第60/150,742号、および「乾燥粉末製剤からの放出の変化(Modulation of Release From Dry Powder Formulations)」と称する2000年8月23日出願の米国非仮特許出願第09/644,736号に記載されている。両方の内容は、その全体が本明細書中で参照によって援用される。
【0143】
本発明の別の実施形態では、粒子は界面活性剤を含む。本明細書中で用いられる、「界面活性剤」なる用語は、水と有機ポリマー溶液との間の界面、水/空気界面、または有機溶媒/空気界面など、2つの不混和相間の界面に優先的に吸着する薬剤を指す。界面活性剤は一般に、親水性部分および親油性部分を有し、微粒子に吸着すると、それらは同様にコーティングされた粒子を引き付けることがない外部環境に部分を示し、したがって粒子の集積を削減する。また、界面活性剤は、治療薬または診断薬の吸収を促進するとともに、薬剤の生物学的利用能を増大させうる。
【0144】
例えば、上述されたリン脂質など、肺サーファクタントに加えて、適切な界面活性剤としては、ヘキサデカノール、ポリエチングリコール(PEG)などの脂肪アルコール、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、パルミチン酸またはオレイン酸などの表面活性脂肪酸、グリココール酸塩、サルファクチン、ポロキサマー、三オレイン酸ソルビタン(Span85)、Tween20、またはTween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)などのソルビタン脂肪酸エステル、およびチロキサポールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0145】
界面活性剤は、約0.01重量%〜約5重量%の範囲の量で粒子中に存在しうる。これは約0.1重量%〜約1.0重量%の範囲の量で粒子中に存在しうることが好ましい。
【0146】
界面活性剤、および、特にリン脂質を含む粒子を調製し、投与する方法は、ハンズ(Hanes)らへ1999年1月5日発行された米国特許第5,855,913号、およびエドワーズ(Edwards)らへ1999年11月16日発行の米国特許第5,985,309号に記載されている。両方の開示はその全体が本明細書中で参照によって援用される。
【0147】
本発明の別の実施形態では、粒子がアミノ酸を含有する。疎水性アミノ酸が好ましい。適切なアミノ酸としては、天然起源および非天然起源の疎水性アミノ酸が挙げられる。使用されうるアミノ酸の例としては、グリシン、プロリン、アラニン、システイン、メチオニン、バリン、ロイシン、チロシン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファンが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい疎水性アミノ酸としては、ロイシン、イソロイシン、アラニン、バリン、フェニルアラニン、グリシン、およびトリプトファンが挙げられるが、これらに限定されない。疎水性アミノ酸の組合せを含むアミノ酸も使用されうる。非天然起源アミノ酸としては、例えば、ベータ−アミノ酸が挙げられる。疎水性アミノ酸のD、Lの両方、およびラセミ化合物の構成が使用されうる。適切な疎水性アミノ酸は、アミノ酸類似体をも含みうる。本明細書中で用いられるアミノ酸類似体は、以下の式、−NH−CHR−CO−[式中、Rは脂肪族基、置換脂肪族基、ベンジル基、置換ベンジル基、芳香族基、または置換芳香族基であり、かつRは天然起源のアミノ酸の側鎖に対応することはない。]を有するアミノ酸のDまたはL構成を含む。本明細書中で用いられる脂肪族基は、完全飽和している、窒素、酸素、またはイオウなどの1個もしくは2個のヘテロ原子を含有し、かつ/または1個もしくはそれ以上の単位の不飽和を含有する直鎖、分岐、または環状C1−C8炭化水素を含む。芳香族基としては、フェニルおよびナフチルなどの炭素環式芳香族基、およびイミダゾイル、インドリル、チエニル、フラニル、ピリジル、ピラニル、オキサゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル、およびアクリジンチルなどの複素環式芳香族環が挙げられる。
【0148】
脂肪族、芳香族、またはベンジル基での適切な置換基としては、−OH、ハロゲン(−Br、Cl、−I、および−F)−O(脂肪族、置換脂肪族、ベンジル、置換ベンジル、アリール、または置換アリール基)、−CN、−NO2、−COOH、−NH2、−NH(脂肪族基、置換脂肪族、ベンジル、置換ベンジル、アリール、または置換アリール基)、−N(脂肪族基、置換脂肪族、ベンジル、置換ベンジル、アリール、または置換アリール基)2、−COO(脂肪族基、置換脂肪族、ベンジル、置換ベンジル、アリール、または置換アリール基)、−CONH2、−CONH(脂肪族、置換脂肪族基、ベンジル、置換ベンジル、アリール、または置換アリール基)、−SH、−S(脂肪族、置換脂肪族、ベンジル、置換ベンジル、芳香族、または置換芳香族基)、および−NH−C(=NH)−NH2が挙げられる。置換ベンジルまたは芳香族基は、置換基として脂肪族または置換脂肪族基をも有しうる。置換脂肪族基は、置換基としてベンジル、置換ベンジル、アリール、または置換アリール基をも有しうる。置換脂肪族、置換芳香族、または置換ベンジル基は、1個もしくはそれ以上の置換基を有しうる。アミノ酸置換基の変化により、例えば、親水性である天然アミノ酸の親油性または疎水性が増大しうる。
【0149】
多くの適切なアミノ酸、アミノ酸類似体、およびその塩は市販されている。その他は当技術分野で周知の方法によって合成されうる。合成法は、例えば、グリーン(Green)とウッツ(Wuts)著「有機合成における保護基(Protecting Groups in Organic Synthesis)」、ジョン ワイリー アンド サンズ(John Wiley and Sons)、1991年、第5章および第7章に記載されている。
【0150】
疎水性は一般に非極性溶媒と水との間のアミノ酸の分配に関して規定されている。疎水性アミノ酸は、非極性溶媒に対する選好を示すアミノ酸である。アミノ酸の相対的疎水性は、グリシンが0.5の値を有する疎水性スケールで表すことができる。かかるスケールでは、水に対して選好を有するアミノ酸の値は0.5未満であり、非極性溶媒に対して選好を有するアミノ酸の値は0.5超である。本明細書中で用いられる疎水性アミノ酸は、疎水性スケールで0.5以上の値を有する、換言すれば、少なくともグリシンのものと少なくとも同等である非極性酸における分配への傾向を有するアミノ酸を指す。
【0151】
疎水性アミノ酸の組合せも使用されうる。さらに、全体的な組合せは疎水性である、疎水性と親水性(優先的に水中に分配する)アミノ酸も使用されうる。1個もしくはそれ以上のアミノ酸と1個もしくはそれ以上のリン脂質または界面活性剤の組合せも使用されうる。
【0152】
アミノ酸は、約0重量%〜約60重量%の量で粒子中に存在しうる。アミノ酸は、約5重量%〜約30重量%の範囲の量で粒子中に存在しうることが好ましい。疎水性アミノ酸の塩は、約0重量%〜約60重量%の量で液体供給物中に存在しうる。アミノ酸塩は、約5重量%〜約30重量%の範囲の量で液体供給物中に存在することが好ましい。アミノ酸を含む粒子を形成し、送達する方法は、1999年8月25日出願の「噴霧乾燥中に多孔性粒子を形成する単純アミノ酸の使用(Use of Simple Amino Acids to Form Porous Particles During Spray Drying)」と称する米国特許出願第09/382,959号、および2000年8月23日出願の「多孔性粒子を形成する単純アミノ酸の使用(Use of Simple Amino Acids to Form Porous Particles)」と称する米国特許出願第09/644,320号に記載されており、両方の開示はその全体が本明細書中で参照によって援用される。
【0153】
本発明の別の実施形態では、粒子は、カルボン酸部分および多価金属塩を含む。1個もしくはそれ以上のリン脂質も包含しうる。かかる組成物は、1999年8月25日出願の「大きな多孔性粒子を噴霧乾燥するための構成(Formulation for Spray−Drying Large Porous Paricles)」と称する米国仮出願第60/150,662号、および2000年8月23日出願の「大きな多孔性粒子を噴霧乾燥するための構成(Formulation for Spray−Drying Large Porous Paricles)」と称する米国特許出願第09/644,105号に記載されており、両方の開示はその全体が本明細書中で参照によって援用される。好ましい実施形態では、粒子はクエン酸ナトリウムおよび塩化カルシウムを含む。
【0154】
生体適合性、かつ好ましくは生体分解性ポリマーも粒子中に包含されうる。かかるポリマー材料を含む粒子は、エドワーズ(Edwards)らへ1999年2月23日発行の米国特許第5,874,064号に記載されており、その開示はその全体が本明細書中で参照によって援用され、かつエドワーズ(Edwards)らへ2000年10月24日発行の米国特許第6,136,295号に記載されており、その開示はその全体が本明細書中で参照によって援用される。
【0155】
粒子は、例えば、デキストラン、多糖類、乳糖、トレハロース、シクロデキストリン、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、脂肪酸、無機化合物、リン酸塩などの材料も含みうる。
【0156】
そこから粒子が形成される液体供給物の固体の総濃度は、約0.1%〜約0.5%以上である。固体は、生物学的に活性の薬剤、賦形剤、リン脂質、界面活性剤、塩、緩衝剤、金属、および他の化合物を含みうる。
【0157】
本発明の方法によって製造され、薬品、例えば、上述された1個もしくはそれ以上の生物活性剤を含む粒子は、治療、予防、または診断を必要とする患者の気道に投与されうる。呼吸器系への粒子の投与は、当技術分野で周知の手段によって行うことができる。例えば、粒子は吸入装置から送達される。好ましい実施形態では、粒子は、乾燥粉末吸入器(DPI)によって投与される。定量吸入器(MDI)、または点滴注入法も使用されうる。
【0158】
患者の気道に粒子を投与するために使用できる吸入の種々の適切な装置および方法が当技術分野で周知である。例えば、適切な吸入器が、バレンチーニ(Valentini)らへ1976年8月5日発行の米国特許第4,069,819号、バレンチーニ(Valentini)らへ1991年2月26日発行の米国特許第4,995,385号、およびパットン(Patton)らへ1999年12月7日発行の米国特許第5,997,848号に記載されている。適切な吸入器の他の例としては、スピンハーラー(Spinhaler)(登録商標)(フィソンズ(Fisons)、英国、ラフバラ(Loughborough))、ロータハーラー(Rotahalaer)(登録商標)(グラクソ−ウェルカム(Glaxo−Wellcome)、リサーチ トライアングル テクノロジー パーク(Research Triangle Technology Park)、ノースカロライナ)、フローキャップ(FlowCaps)(登録商標)(ホビオン(Hovione)、ポルトガル、ローレス(Loures))、インハレーター(Inhalator)(登録商標)(ベーリンガー−インゲルハイム(Boehringer−Ingelheim)、ドイツ)、およびエアロライザー(Aerolizer)(登録商標)(ノバルティス(Novartis)、スイス)、ディスクハーラー(Diskhaler)(登録商標)(グラクソ−ウェルカム(Glaxo−Wellcome)、ノースカロライナ州(NC)、RTP)、および当技術分野で周知のものが挙げられるが、これらに限定されない。適切な吸入器のさらに他の例として、以下の米国特許出願において開示されているものが挙げられる。すなわち、「吸入装置および方法(Inhalation Device and Method)」、特許出願第09/835/302号(2001年4月16日出願)、および「吸入装置および方法(Inhalation Device and Method)」、特許出願第10/268,059号(2002年10月10日出願)であり、それぞれその全体が本明細書中で参照によって援用される。
【0159】
好ましくは、気道に投与された粒子は上気道(口腔咽頭および喉頭)、気管を含む下気道を通って移動した後、気管支と細気管支に分岐し、末端細気管支を通り、ここで次々に呼吸細気管支に分れ、次いで最終的な呼吸域、肺胞または深部肺に至る。本発明の好ましい実施形態では、粒子の塊の大部分は深部肺に沈殿する。本発明の別の実施形態では、送達は主に中央気道へ行われる。上気道への送達も得ることができる。
【0160】
本発明の1つの実施形態では、粒子の肺系への送達は、その全体が本明細書中で参照によって援用される、2000年6月9日出願の米国非仮特許出願「大きな治療的質量エアロゾルの高効率な送達(High Efficient Delivery of a Large Therapeutic Mass Aerosol)」、出願番号第09/591,307号に記載されている単一、呼吸作動ステップである。本発明の別の実施形態では、呼吸器容器に保存された粒子の塊の少なくとも50%が対象の呼吸器系へ単一、呼吸作動ステップで送達される。さらに別の実施形態では、少なくとも5ミリグラムおよび好ましくは少なくとも10ミリグラムの薬品が、1回の呼吸で投与によって容器に封入された対象の気道粒子に送達される。15、20、25、30、35、40、および50ミリグラムもの量を送達することができる。
【0161】
本明細書中で用いられる「有効量」なる用語は、所望の治療または診断効果または有効性を達するために必要な量を意味する。薬物の実際の有効量は、利用される特定の薬物またはその組合せ、調製される特定の組成物、投与様式、および年齢、体重、患者の状態、および治療される症状または状態の重篤度によって変動しうる。特定の患者の投与量は、従来の検討材料を用いて(例えば、適切な従来の薬学的プロトコルによって)当業者の1人によって決定されうる。一例では、有効量の硫酸アルブテロールは、約100マイクログラム(μg)〜約1.0ミリグラム(mg)の範囲である。
【0162】
エアロゾル用量、製剤、および送達系も、例えば、ゴンダ(Gonda)、I.著「気道への治療薬及び診断薬の送達のためのエアロゾル(Aerosols for delivery of therapeutic and diagnostic agents to the respiratory tract)」、Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems、1990年(6)、pp.273−313、およびモレン(Moren)著「エアロゾル用量の形態及び製剤(Aerosol dosage forms and formulations)」、Aerosols in Medicine. Principles, Diagnosis and Therapy、モレン(Moren)編、1985年(エセビル(Esevier)、アムステルダム)に記載されているように、特定の治療用途に選択されうる。
【0163】
本発明の粒子は、肺系への薬物送達に適した組成物で使用されうる。例えば、かかる組成物は、粒子および患者への投与、好ましくは吸入による投与のために薬学的に許容される担体を含みうる。粒子は単独で、または呼吸器系への投与のために液体、例えば生理食塩水、または粉末など適切な薬学的に許容される担体で投与されうる。それらは、治療薬を含まない大きな担体粒子とともに同時に送達されるが、後者は、約50μm〜約100μmの範囲の質量平均直径を有する。
【0164】
本発明は、以下の非限定的な実施例を参照することによってさらに理解されるであろう。
【0165】
実施例
hGHを含有する乾燥粒子の調製
本発明の好ましい態様では、肺胞空間に達する活性hGHの量を最大限にするhGH(ヒト成長ホルモン)を含有する吸入可能な乾燥粒子を調製することが望ましかった。そうするために、吸入可能な乾燥粒子は、少なくとも約85%のFPF(5.6)および少なくとも約55%のFPF(3.4)を有することが決定された。また、乾燥粒子中には少なくとも95%のhGHが「容易に抽出可能」であること、すなわち、緩衝液中で可溶性であることが望ましかった。hGHが非相溶性成分、例えば、エタノール溶液など有機溶液に曝露されると、hGHは劣化または変性し、その結果、不溶性の凝集体および可溶性のダイマーを含む劣化生成物が生じる。本発明の方法および装置は、それらを迅速にスタティックミキサー中で混合することによってhGH溶液と非相溶性エタノール溶液との間の接触を最小限にすることによって完成乾燥粒子における不溶性の凝集体および可溶性のダイマーの量を最小限にするために開発された。
【0166】
以下の実施例は、hGHを含有する吸入可能な乾燥粒子に調製を示す。他に指定がない限り、バルク原料のhGHは、凍結乾燥粉末として、エリ・リリー(Eli Lilly Inc.)株式会社によって供給された。1,2ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC)をアバンチ ポラー リピズ(Avanti Polar Lipids)から得た。USPグレード200プルーフエチルアルコールおよびUSP(米国薬局方)洗浄用滅菌水を使用した。
【0167】
56.1重量%hGH/40.6重量%DPPC/3.3重量%リン酸ナトリウム
乾燥粒子を以下の手順に従い、図2に示されているものと実質的に同じ装置を用いて調製した。凍結乾燥hGH粉末を少なくとも1/2時間室温に温めた。hGHを1.7mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)中に溶解し、濃縮hGH溶液を形成した。hGH濃縮物のpHを1.0N NaOHを用いて7.4に増大させた。hGH濃縮物をミリポア(Millipore).22μmオプチキャップ(Opticap)フィルタの中に通した。hGH濃縮物の濃度をベックマンドゥー(Beckman Du)(登録商標)640分光光度計を用いて測定した。hGH濃縮物溶液を1.7mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)で希釈し、3.57g/KgのhGH濃度を得た。結果として生じる水溶液を、供給容器210などの密閉容器に移した。200プルーフエチルアルコール中にDPPCを溶解することによって有機溶液を1.40g/Kgの濃度に調製した。
【0168】
水相を15ml/分±3ml/分でポンピングし、有機相を35ml/分±3ml/分でポンピングして、スタティックミキサー230など長さ12インチのスタティックミキサーに入れた。合剤液体は、34,500rpm±2000rpmで作動する24枚の羽根付きロータリーアトマイザー回転輪(ニロ(Niro))を用いてロータリーアトマイザー(アトマイザー240など)へスタティックミキサーから流出した。合剤は小さな液滴に噴霧化され、これらは105Kg/時±4Kg/時で流れる乾燥窒素ガスを利用するニロ(Niro)サイズ1噴霧乾燥機(噴霧乾燥機250など)に入った。噴霧乾燥機の入口温度は、88℃±5℃に維持され、出口温度は45℃±2℃の範囲内であった。粒子は、バグハウス260などのバグハウスに収集された。結果として生じる粒子の平均MMADは2.52μmであり、平均VMGDは10.20μmであった。
【0169】
サイズ排除HPLCを用いて、結果として生じる乾燥粒子中の凝集体形成を検出し、定量化した。以下でより詳しく述べられるように、試料を25mMリン酸ナトリウム緩衝液、H7.0、および33%n−プロパノールを含有する67% 25mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0に溶解し、クロマトグラフィーの前に0.45μmシリンジフィルタを通じてろ過した。この方法を用いて、hGHはモノマーとして(主ピーク)12〜17分の保持時間で溶出する。モノマー主ピーク上の主要な肩の外観は、可溶性ダイマーの存在を示す。可溶性ダイマーおよび可溶性モノマーの量は、それぞれのピーク面積を測定することによって得ることができる。不溶性凝集体の量は以下の式から計算される。
不溶性凝集体(%)=(1−A/B×面積補正)×100%
A=25mMリン酸ナトリウム緩衝液に溶解したhGH乾燥粒子のモノマーピーク面積。
B= 33%n−プロパノールを含有する67% 25mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0に溶解したhGH乾燥粒子のモノマーピーク面積。
面積補正=1.027(33%n−プロパノールおよび緩衝液からの注射間のhGH標準ピーク面積の差に当たる)。
【0170】
サイズ排除HPLCを、ウォーターズ(Waters)2487UV検出器およびトソハズ(Tosohas)TSK G3000SW、10μm(7.5mm×300mm)カラムとともに定組成モードで作動するウォーターズ(Waters)2690HPLCシステムを用いて行った。サイズ排除カラムは、0.063Mリン酸ナトリウム緩衝液:イソプロピルアルコール(97:3)移動相、pH7.0を用いて0.6ml/分で実行した。UV検出は214nmであった。
【0171】
hGHなどタンパク質中の可溶性および不溶性凝集体を測定するための別の方法は以下で述べられる。この方法は、ウォーターズ2486デュアル波長検出器とともにウォーターズ2690システム上で214nmでの検出によるサイズ排除HPLCを用いて行われる。TSK GEL 3000SW 7.5mm×300mmカラムが、室温で30分/実行、0.6mL/分で流れる3%IPA移動相を含有する63mMリン酸カリウム、pH7.0により分離のために使用される。手動の統合を行い、モノマー、高分子量タンパク質(可溶性凝集体)、および酸溶解hGH(不溶性凝集体)面積対hGH基準標準較正曲線を定量化する。
【0172】
手順は以下のとおりである。
hGH20mgを秤量してシンチレーションバイアルに入れ、20mlの希釈液(25mMリン酸カリウム)に移す。これは約0.8mg/mLhGHモノマーである。
静かに粉末溶液を分散する。
約3mlを除去し、HPLCバイアルにろ過し、20μLをSE HPLCカラム上に注射する。この溶液は、hGHモノマー含量および高分子量タンパク質(可溶性凝集体)を測定するために用いられる。
さらに1mlを除去し、遠心分離管に移す。(正副2通実行)
10分間、14,000rpmで遠心分離する。上清を除去し、廃棄する。
ペレットを洗浄し、水1mlとともに可溶性hGHを除去し、10分間遠心分離する。これを3回繰り返す。
3回目の洗浄後、水を除去し、管をもう1回遠心分離し、残留水を除去する。ペレットばらばらにしないこと。
ペレットを0.01N HCl 1mlで再構成し、15分間溶解させる。
溶液をHPLCバイアルに移し、カラムに100μL注入する。
【0173】
緩衝可溶性hGH含量は、第1回の溶液の注射から測定される。不溶性hGH含量は、0.01N HCl中の第2の溶液の注射から測定される。容易に抽出可能なhGHの割合は、総hGH含量(可溶性+不溶性hGH)で割った緩衝可溶性hGHとして計算される。
【0174】
3つの実験を行いhGHタンパク質の統合に対する非相溶性エタノール溶液中の時間の効果を測定した。3つのうち2つの試験では、スタティックミキサーを使用しなかった。それどころか、水性溶液と有機溶液を混合し、混合を噴霧化および噴霧乾燥前の時間にわたって維持された。第1の実験(以下の表11の試料2)では、噴霧前に水溶液と有機溶液を混合し、最終の量を1.25Lとし、結果として生じる合剤を25分間にわたって噴霧乾燥させた。第2の実験(以下の表11の試料1)では、水溶液と有機溶液を噴霧前に混合し、最終の量を28Lとし、結果として生じる合剤を8時間(560分)にわたって噴霧乾燥させた。第3の実験(以下の表11の試料3)では、スタティックミキサーを用いて、hGHをエタノールへ約6秒(0.1分)曝露した。試料3の総バッチサイズは、水溶液0.375Lおよびエタノール溶液0.875Lであった。
【0175】
【表11】

【0176】
噴霧乾燥前の水溶液とエタノール溶液との間の曝露時間の量を除き、表11の試料のすべてを同じ条件下に調製した。表11の結果からわかるように、hGHモノマーの不溶性凝集体は、70%(v/v)エタノール溶液への曝露時間の関数として増大した。スタティックミキサーの使用は、不溶性凝集体を約17%減少させた。
【0177】
93.5重量%hGH/6.5重量%リン酸ナトリウム:10g/L重炭酸アンモニウム:12g/L固体
hGHおよびリン酸ナトリウム一水和物を含有する製剤とともに脂質を含まない粒子を以下のとおり実質的に図6に示された装置を用いて調製した。バルクリン酸ナトリウム溶液を100mM、pH7.4で、バルク重炭酸アンモニウム溶液を50g/Lで調製することによって水溶液を調製した。100mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4、52mLを洗浄用の水268mLに添加した。これには50g/L重炭酸アンモニウム溶液200mLおよびエタノール200mLを添加した。結果として生じる溶液を、1.7mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH=7.4中40g/LでバルクhGH280mLとスタティックミキサーで混合した。混合溶液中の溶質濃度は12g/Lであった。混合溶液を以下の工程条件下に噴霧乾燥させた。
入口温度〜74℃
乾燥ドラムからの出口温度〜40℃
窒素乾燥ガス=110kg/時
窒素噴霧化ガス=64g/分
2流体内部混合ノズルアトマイザー
窒素噴霧化圧力〜90psi
液体流量=25ml/分
液体供給温度〜22℃
乾燥室内圧力=−2.0in水圧
【0178】
結果として生じる粒子のFPF(5.6)は75%であり、FPF(3.4)は70%であり、両方とも2段階ACIを用いて測定された。体積平均幾何学的直径は1.0barで8μmであった。結果として生じる粒子の可溶性ダイマー画分は1.2%であり、容易に抽出可能なhGH画分は97.5%であった。
【0179】
スタティックミキサーから流出する混合溶液を、アトマイザー640など噴霧乾燥機上に配置された2流体ノズルアトマイザーへ供給した。アトマイザーおよび加熱窒素からの噴霧化液滴間の接触により液体は液滴から蒸発され、結果として乾燥多孔性粒子が得られた。結果として生じるガス固体流を結果として生じる乾燥粒子を保持したバグフィルタ680に供給し、乾燥ガス(窒素)、蒸発水、およびエタノールを含有する熱ガス流を通過させた。乾燥粒子は生成物収集容器682の中へ収集された。
【0180】
特定の物理的および化学的特性の乾燥粒子を得るために、完成乾燥粒子でインビトロ特徴づけ試験を行い、その結果、当業者には明らかであろうように、工程パラメータを調節することができる。図2に示された装置を用いて生成された粒子は、VMGDが8.4μm、FPF(5.6)が89%〜93%、容易に抽出可能なhGH画分が95.5%、および可溶性ダイマー画分が3%であった。93.5重量%のhGHおよび6.5重量%のリン酸ナトリウムを含有する粒子を実質的に図6に示されている装置を用いて製造した。このようにして、所望の空気力学的直径、幾何学的直径、および粒子密度が製造工程中、リアルタイムでこれらの粒子について得ることができた。
【0181】
80重量%hGH/14重量%DPPC/6重量%リン酸ナトリウム:15g/L重炭酸アンモニウム:6g/L固体
hGH、DPPC、およびリン酸ナトリウムを含有する製剤とともに実質的に図6に示されている装置を用いて以下のとおり粒子を調製した。pH7.4でバルクリン酸ナトリウム溶液、およびバルク重炭酸アンモニウム溶液を調製することによって水溶液を調製した。洗浄のために280mgのリン酸二水素ナトリウムを457mLの水に添加した。1.0N NaOHを用いてpHを7.4に調節した。これに重炭酸アンモニウム15gおよびエタノール200mLを添加した。14g/L hGHバルク溶液(pH7.4でリン酸ナトリウム緩衝液1.7mM中hGH 4.8g)343mLを添加し、水溶液を完成させた。DPPC 840mgをエタノール200mLに添加し、エタノール溶液を形成した。水溶液については流量24mL/分、エタノール溶液いついては流量6mL/分を用いて、スタティックミキサーで水溶液をエタノール溶液と混合した。混合溶液中の溶質濃度は6g/Lであった。混合溶液を以下の工程条件下に噴霧乾燥させた。
入口温度〜120℃
乾燥ドラムからの出口温度〜70℃
窒素乾燥ガス=110kg/時
窒素噴霧化ガス=40g/分
2流体内部混合ノズルアトマイザー
窒素噴霧化圧力〜65psi
液体流量=30mL/分(24mL/分水性および6mL/分エタノール)
液体供給温度〜22℃
乾燥室内圧力=−2.0in水圧
【0182】
結果として生じる粒子のFPF(5.6)は89%であり、FPF(3.4)は76%であり、両方とも2段階ACIを用いて測定された。体積平均幾何学的直径は1.0barで7.4μmであった。結果として生じる粒子の可溶性ダイマー画分は3.5%であり、容易に抽出可能なhGH画分は95.6%であった。
【0183】
本発明の工程により、タンパク質凝集体の形成を最小限に抑えることができる。例えば、タンパク質凝集体の削減は、とりわけ、スタティックミキサーを使用し、エタノール溶液中のエタノールのレベルを制御することによって達成される。
【0184】
バッチまたはスタティックミキサーのいずれかで製造された粉末の比較が以下の表12に示されている。ロットのすべては、実質的に同じ工程材料、および工程条件を用いて製造された。バッチ混合で製造された5つの混合ロットは、スタティックミキサー(n=4ロット)を用いて生成されるよりも低いレベルの高分子量(HMW)タンパク質(可溶性ダイマー=HMWタンパク質)を生成する。20%エタノールを含有する噴霧乾燥溶液のバッチ混合は、hGH分子間の疎水性相互作用を崩壊させる時間を許し、hGH凝集体を削減しうるため有利にみえる。スタティックミキサーによって希釈hGH水相にエタノールを添加すると、エタノール−水性界面の延長が生じ、これによりわずかに高いレベルの可溶性凝集体が生じる。これが起こるのは、水相のhGHが最適よりも高いエタノールレベル曝露されるためであり、これがhGHの展開および変性をひき起こしうる。混合工程にスタティックミキサーが使用される場合は、hGHは濃縮物として希釈エタノール/水相に添加されることが好ましい。これはバッチ混合の最後にhGHを添加することと同等である。これが好ましいのは、そのタンパク質構造を混乱させうる高いエタノールレベルへのhGHの曝露が除去されるためである。エタノール濃度の関数としての可溶性凝集体(ダイマー)レベルに対する添加の順序の効果が図10に示されている。可溶性凝集体レベルは、エタノール濃度が約20%を越えるまで、hGHを最後に(右列)添加することによって低下する。
【0185】
【表12】

【0186】
反対に、高レベルのエタノール(>20%)では、タンパク質の不安定化が起こりうるとともに、スタティックミキサーは、エタノール相へのhGHの曝露時間を削減するため、混合の良好な方法であることが明らかにされた(表13)。これにより不溶性凝集体が低レベルである粉末が得られる。エタノールへのhGHの曝露時間は、噴霧乾燥形成溶液で形成される可溶性凝集体のレベルに影響を及ぼしうることが明らかにされている(データは示さず)。
【0187】
【表13】

【0188】
93.5重量%hGH/6.5重量%リン酸ナトリウム
hGHおよびリン酸ナトリウム一水和物を含有する製剤とともに脂質を含まない粒子を以下のとおり実質的に図6に示された装置を用いて調製した。洗浄用水(WFI)500mL中に第二リン酸ナトリウム0.78gを溶解することによって水溶液を調製した。これに水分4.4%のバルクhGH凍結乾燥粉末11.74を添加した。洗浄用の水300mL中に重炭酸アンモニウム30gを溶解することによって有機溶液を調製し、エタノール200mLと混合した。pHが約7の水溶液および有機溶液を噴霧乾燥機ノズルに導入される前にスタティックミキサーで混合した。混合溶液中の溶質濃度は12g/Lであった。混合溶液を以下の工程条件下に噴霧乾燥させた。
入口温度〜74℃
乾燥ドラムからの出口温度〜40℃
窒素乾燥ガス=110kg/時
窒素噴霧化ガス=80g/分
2流体内部混合ノズルアトマイザー
窒素噴霧化圧力〜100psi
液体流量=25ml/分
液体供給温度〜22℃
乾燥室内圧力=−2.0in水圧
【0189】
結果として生じる粒子のFPF(3.3)は69%であり、これは3段階湿スクリーンACIを用いて測定された。体積平均幾何学的直径は1.0barで7.0μmであった。結果として生じる粒子のHMWPは1.5%であり、容易に抽出可能なhGH画分は96%であった。
【0190】
スタティックミキサーから流出する混合溶液を、アトマイザー640など噴霧乾燥機上に配置された2流体ノズルアトマイザーへ供給した。アトマイザーおよび加熱窒素からの噴霧化液滴間の接触により液体は液滴から蒸発され、結果として乾燥多孔性粒子が得られた。結果として生じるガス固体流を結果として生じる乾燥粒子を保持したバグフィルタ680に供給し、乾燥ガス(窒素)、蒸発水、およびエタノールを含有する熱ガス流を通過させた。乾燥粒子は生成物収集容器682の中へ収集された。
【0191】
特定の物理的および化学的特性の乾燥粒子を得るために、完成乾燥粒子でインビトロ特徴づけ試験を行い、その結果、当業者には明らかであろうように、工程パラメータを調節することができる。93.5重量%のhGHおよび6.5重量%のリン酸ナトリウムが、実質的に図6に示された装置を用いて生成された。このようにして、所望の空気力学的直径、幾何学的直径、および粒子密度が製造工程中、リアルタイムでこれらの粒子について得ることができた。
【0192】
本発明の装置および方法は、粉末特性を調節するために、本実施例に記載されているものを含むがこれに限定されない種々の方法で調節されうる。例えば、脂質を含まない粒子をhGHおよびリン酸ナトリウム一水和物を含有する製剤と表14、15、および16に処方されたように、実質的に図6に示されている装置を用いて調製された。これらの方法から得られたhGH粉末の特徴が表17に示されている。
【0193】
【表14】

【0194】
【表15】

【0195】
表15に示されているように、溶液調製の「湿性」および「乾燥」方法が用いられた。湿性方法は、バッチまたはスタティックミキサーで混合される最終溶液を形成するために、複数の溶液(濃縮hGH溶液および種々の緩衝液濃縮物を含む)を混合するステップを含んで成る。この方法は、多数の工程内計算、および濃縮hGH溶液溶液および種々の緩衝液濃縮物を含む多くの溶液を混合し、最終溶液を生成することを必要とする。
【0196】
乾燥方法は、バッチまたはスタティックミキサーで混合される最終溶液に直接乾燥成分を溶解するステップを含んで成る。乾燥方法により、工程内計算が不要となり、異なる緩衝液の調製の必要が除去される。実際に、乾燥方法は、開始バルク粉末の水分を考慮に入れて、所望の溶液濃度を得るのに必要とされる第二リン酸ナトリウム、hGH凍結乾燥粉末、および水の量の初期計算を必要とする。その後、これらの量は、適切な溶液に溶解される。
【0197】
【表16】

【0198】
この実施例では、−2”水柱(「W.C.」)の噴霧乾燥動作圧を用いた。当業者には明らかなように、装置または他の製造パラメータの変動によって、他の噴霧乾燥圧力(例えば、+2”W.C.)を用いることができる。
【0199】
【表17】

【0200】
図4Bに示されている単孔、2流体ノズルがこの実施例で用いられた。単孔ノズルを用いてこの実施例で使用された試料パラメータおよび得られた粉末特性が表18および19に記載されている。
【0201】
【表18】

【0202】
【表19】

【0203】
図4Cに示されている6孔ノズルもこの実施例では用いられた。6孔ノズルにより、一般に、単孔ノズルで製造されるものよりも大きな幾何学的サイズおよび低い密度の粉末が製造された。6孔ノズルは、高い個体濃縮物をも処理することができ、これにより製造速度が上昇するとともに、容易に抽出可能な値の助けとなる。6孔ノズルを用いてこの実施例で使用された試料パラメータおよび得られた粉末特性が表20および21に記載されている。
【0204】
【表20】

【0205】
【表21】

【0206】
図4Dに示されているシート作動ノズルもこの実施例では用いられた。このノズルは、容易に抽出可能な値が高いことでわかるように、タンパク質に対して優しいノズルであるように思われる。このノズルのサイズを調節することにより、高いFPF値および小さなVMGD値を得ることができる。図4Dに示されているノズルを用いてこの実施例で使用された試料パラメータおよび得られた粉末特性が表22および23に記載されている。
【0207】
【表22】

【0208】
【表23】

【0209】
図4Eに示されている圧力ノズルもこの実施例では用いられた。圧力ノズルは、空気−液体界面を生成する噴霧化ガスが存在しないため粉末におけるhGHの化学的完全性に対してダメージを与えない。圧力ノズルを用いてこの実施例で使用された試料パラメータおよび得られた粉末特性が表24および25に記載されている。
【0210】
【表24】

【0211】
【表25】

【0212】
hGHを含有する溶液に非イオン界面活性剤を添加することにより、空気/液体界面への曝露中に不溶性凝集体の形成が大幅に削減される。特に、界面活性剤Tween80(喘息(Pulmicort Respules)の治療用に市販の吸入製品における使用に認可されている)の使用は、溶液中のhGHの不溶性凝集体の量を削減する。Tween80などの非イオン界面活性剤は、空気−水界面に優先的に吸着し、噴霧乾燥など処理中の凝集に対してタンパク質を安定化する。しかし、Tween80など非イオン界面活性剤の過剰な使用は、肺用の製品において好ましくない。単孔ノズルで製造されたhGH製剤への低レベルのTween80(〜0.2−2.8重量%)の添加は、粉末における容易に抽出可能なタンパク質産物を99%超増大させた。0.1〜0.2重量%のTween80の添加は、若干の効果を示したが、十分な保護は示さなかった。この実施例の結果の試料が表26に記載されている。
【0213】
【表26】

【0214】
固体濃度は、製剤溶液において使用されたhGH+非揮発性賦形剤の全体の濃度である。固体濃度を増大させると、容易に抽出可能なhGHおよび粉末生産を増大させ、FPFを削減する傾向がある。単孔ノズルについて調査された固体濃度の範囲は2〜30g/Lであり、6孔ノズルについては6〜60g/Lであった。この実施例からの代表的な結果が表27および28に記載されている。
【0215】
【表27】

【0216】
【表28】

【0217】
重炭酸アンモニウムは、噴霧乾燥溶液中の揮発性固体として、完成粒子における所望物理的特性を達成するために使用される。重炭酸アンモニウムの濃度が増大すると、FPFおよび粉末分散性が改善する。しかし、高レベルはHMWPを増大させ、容易に抽出可能なタンパク質産物を減少させる。単孔ノズルについて調査された重炭酸アンモニウムの濃度の範囲は0〜30g/Lであり、6孔ノズルについては0〜40g/Lであった。この実施例からの結果のサンプルが、表29に記載されている。
【0218】
【表29】

【0219】
共溶媒としてのアルコールを適切な量で水相に添加することにより、所望の物理的特性が得られ、タンパク質凝集が減少する。しかし、アルコール含量が多すぎると、タンパク質における有害な構造的変化がもたらされる。hGHに影響を及ぼしうる2つのアルコールレベルがある。すなわち、溶媒系の全体的なアルコール含量、およびhGHが混合時に曝露されるアルコール含量である。混合溶媒の最適な全体的なアルコール含量は、20/80(v/v%)エタノール/水であることがわかった。hGHと高濃度のエタノールとの間の接触は、hGH水溶液と混合する前に水でエタノール希釈することによって最小限にされた。最初に、エタノールを40体積%に希釈し、同等量の100%hGH水溶液と混合し、最終供給溶液20体積%のエタノールを作製した。この手順は完成製品を改善させた。有機相のさらなる希釈の効果を試験するために、エタノール含量を30体積%に低下させる試験を行い、次いで、有機:水性の比2:1で水性hGH相と混合した。両方の場合に、単一ノズルが使用された。この実施例からの代表的な結果が表30に記載されている。
【0220】
【表30】

【0221】
噴霧乾燥機出口温度は、噴霧乾燥ドラムの出口での温度である。出口温度が上昇すると、HMWPおよびFPFは増大し、水分含量が減少する。単孔ノズルについて調査された噴霧乾燥機出口温度は35〜70℃であり、6孔ノズルについては35〜65℃であった。この実施例からのサンプル結果が表31に示されている。
【0222】
【表31】

【0223】
噴霧化ガス量は、2つの流体噴霧化で液滴を生成する高速ガスの速度である。質量ガスと液体の比(液体供給量に対する噴霧化ガス)は平均液滴サイズに影響を及ぼす。この比が増大すると液滴サイズは減少し、これがさらにFPFを増大させうる。したがって、噴霧化ガス量が増大すると、VMGDはFPFの増大とともに減少する傾向がある。単孔ノズルについて調査された噴霧化ガス量の範囲は38〜120g/分であり、6孔ノズルについては50〜120g/分であった。この実施例からの代表的な結果が表32に示されている。
【0224】
【表32】

【0225】
液体供給量は、液体溶液がアトマイザーおよび噴霧乾燥機へポンピングされる速度である。供給量が増大すると、液体とガスの比は減少し、したがってVMGDがFPFの減少とともに増大する傾向がある。単孔ノズルについて調査された液体供給量の範囲は10〜75mL/分であり、6孔ノズルについては10〜40mL/分であった。この実施例からの代表的な結果が表33に示されている。
【0226】
【表33】

【0227】
乾燥ガス量は、液滴を乾燥させるために使用される加熱ガスの速度である。この量はまた、乾燥機内での滞留時間も制御する。単孔ノズルについて調査された乾燥ガス量の範囲は80〜125Kg/時であった。この実施例からのサンプル結果が表34に示されている。
【0228】
【表34】

【0229】
当業者には明らかであろうように、装置または他の製造パラメータ(例えば、乾燥機のサイズ)の変動によって、他の乾燥ガス量が使用されうる。この実施例では、サイズ1の乾燥機が使用された。他のサイズ乾燥機の使用は、ほぼ同じ液体供給と乾燥ガス量比(mL 液体/kgガス)をひき起こし、この実施例でのその範囲は4.8〜56.25mL 液体/kgガスであった。
【0230】
インスリンを含有する乾燥粒子の調製
インスリン、DPPC、およびクエン酸ナトリウムを含有する製造で実質的に図2に示され、かつhGHについ上述された装置を用いて粒子を調製した。結果として生じる粒子には、60重量%のDPPC、30重量%のインスリン、10重量%のクエン酸ナトリウムが含まれていた。全混合量1Lを使用し、総溶質濃度は60/40エタノール/水中で3g/Lであった。水性溶液を以下のとおり調製した。クエン酸一水和物630mgをUSP水1.0Lに添加し、3.0mMクエン酸緩衝液1.0Lを形成した。1.0N HClでpHを2.5に調節した。インスリン900mgをクエン酸緩衝液400mL中に溶解した。1.0N NaOHを用いてpHをpH6.7に調節した。エタノール600mL中にDPPC1.8gを溶解することによって有機溶液を調製した。水400mLを有機溶液に添加し、総量を1Lとした。
【0231】
水性インスリン溶液および有機溶液を、スタティックミキサー230などのスタティックミキサーで混合した。スタティックミキサーからの流出物はロータリーアトマイザー240へ流入し、結果として生じる噴霧化液滴が噴霧乾燥機250で噴霧乾燥された。結果として生じる60重量%のDPPC、30重量%のインスリン、および10重量%のクエン酸ナトリウムの粒子がバグハウス260から容器へ収集された。
【0232】
特定の物理的および化学的特性の乾燥粒子を得るために、完成乾燥粒子でインビトロ特徴づけ試験を行い、その結果、当業者には明らかであろうように工程パラメータが調節されうる。あるいは、60重量%のDPPC、30重量%のインスリン、および10重量%のクエン酸ナトリウムを含有する粒子が、実質的に図6に示されている装置を用いて製造されうる。このようにして、所望の空気力学的直径、幾何学的直径、および粒子密度が製造工程中、リアルタイムでこれらの粒子について得ることができた。
【0233】
ヒト化モノクローナルIgG1抗体を含有する乾燥粒子の調製
ヒト化モノクローナルIgG1抗体およびDPPCを含有する製造で実質的に図2に示され、かつhGHについ上述された装置を用いて粒子を調製した。結果として生じる粒子には、80重量%のヒト化モノクローナルIgG1抗体および20重量%のDPPCが含まれていた。全混合量2Lを使用し、総溶質濃度は30/70エタノール/水中で1.0g/Lであった。水性溶液を以下のとおり調製した。47.8mg/mLのヒト化モノクローナルIgG1抗体溶液25.0mLをUSP水1400mLに添加した。DPPC0.8gをエタノール600mLと混合することによって有機溶液を調製した。
【0234】
水性溶液および有機溶液を、スタティックミキサー230などのスタティックミキサーで混合した。スタティックミキサーからの流出物はロータリーアトマイザー240へ流入し、結果として生じる噴霧化液滴が噴霧乾燥機250で噴霧乾燥された。結果として生じる粒子がバグハウス260から容器の中へ収集された。
【0235】
特定の物理的および化学的特性の乾燥粒子を得るために、完成乾燥粒子でインビトロ特徴づけ試験を行い、その結果、当業者には明らかであろうように工程パラメータが調節されうる。あるいは、80重量%のヒト化モノクローナルIgG1抗体および20重量%のDPPCを含有する粒子が、実質的に図6に示されている装置を用いて製造されうる。このようにして、所望の空気力学的直径、幾何学的直径、および粒子密度が製造工程中、リアルタイムでこれらの粒子について得ることができた。
【0236】
エピネフリンを含有する乾燥粒子の調製
エピネフリンおよびロイシンを含有する製造で実質的に図2に示され、かつhGHについ上述された装置を用いて粒子を調製した。結果として生じる粒子には、18重量%の酒石酸水素エピネフリンおよび82重量%のロイシンが含まれていた。水性溶液を以下のとおり調製した。酒石酸水素エピネフリン900mgおよびロイシン4.1gをUSP水300mLに添加し、攪拌によって溶解した。
【0237】
水性溶液300mLおよびエタノール700mLを、スタティックミキサー230などのスタティックミキサーで混合した。これによって総混合量1.0リットルの噴霧乾燥が得られ、総溶質濃度は70/30エタノール/水中で5.0g/Lであった。スタティックミキサーからの流出物は、噴霧化速度19.5g/分、供給量65ml/分で、ロータリーアトマイザー240などのロータリーアトマイザーへ流入した。結果として生じる噴霧化液滴は、噴霧乾燥機250における乾燥ガスのように乾燥窒素を用いて噴霧乾燥された。結果として生じる粒子がバグハウス260から容器の中へ収集された。
【0238】
特定の物理的および化学的特性の乾燥粒子を得るために、完成乾燥粒子でインビトロ特徴づけ試験を行い、その結果、当業者には明らかであろうように工程パラメータが調節されうる。あるいは、18重量%のエピネフリンおよび82重量%のロイシンを含有する粒子が、実質的に図6に示されている装置を用いて製造されうる。このようにして、所望の空気力学的直径、幾何学的直径、および粒子密度が製造工程中、リアルタイムでこれらの粒子について得ることができた。
【0239】
キシナホ酸サルメテロールを含有する乾燥粒子の調製
キシナホ酸サルメテロール、ロイシン、DSPCを含有する製造で実質的に図2に示され、かつhGHについ上述された装置を用いて粒子を調製した。結果として生じる粒子には、74.55重量%のDSPC、24重量%のロイシン、および1.45重量%のキシナホ酸サルメテロールが含まれていた。全混合量1Lを使用し、総溶質濃度は70/30エタノール/水中で1.0g/Lであった。水性溶液を以下のとおり調製した。ロイシン240mgをUSP水300mL中に溶解した。エタノール700mL中にDSPC745.5mgを溶解することによって有機溶液を調製した。キシナホ酸サルメテロール14.5mgをDSPC/エタノール溶液中に溶解した。両方の溶液を別々に50℃に加熱した。
【0240】
水性溶液および有機溶液を、スタティックミキサー230などのスタティックミキサーで混合した。スタティックミキサーからの流出物はロータリーアトマイザー240へ流入し、結果として生じる噴霧化液滴が噴霧乾燥機250で噴霧乾燥された。結果として生じる粒子がバグハウス260から容器の中へ収集された。
【0241】
特定の物理的および化学的特性の乾燥粒子を得るために、完成乾燥粒子でインビトロ特徴づけ試験を行い、その結果、当業者には明らかであろうように工程パラメータが調節されうる。あるいは、74.55重量%のDSPC、24重量%のロイシン、および1.45重量%のキシナホ酸サルメテロールを含有する粒子が、実質的に図6に示されている装置を用いて製造されうる。このようにして、所望の空気力学的直径、幾何学的直径、および粒子密度が製造工程中、リアルタイムでこれらの粒子について得ることができた。
【0242】
他の活性剤を含有する乾燥粒子の調製
上記の実施例および説明に基づき、本発明の方法および装置を用いて他の活性剤を含有する乾燥粒子を調製する方法が当業者には容易に理解されるであろう。例えば、図2および図6の装置は、サルメテロールについて上述されたものと実質的に同じ方法でサルメテロールと臭化イプラトロピウムの合剤を含有する乾燥粒子を調製するために使用されうる。図2および図6の装置は、例えば、硫酸アルブテオール、DPPC、DSPC、およびロイシンを含有する乾燥粒子を調製するためにも使用できる。水溶液は、水300mL中にロイシン200mgを溶解することによって水相を形成し、水相中に硫酸アルブテロール40mgを溶解し、水溶液を形成することによって調製されるであろう。有機溶液は、エタノール700mL中にDPPC380mgを溶解することによって有機相を形成し、 有機相中にDSPC380mg溶解し、有機溶液を形成することによって調製されるであろう。水溶液および有機溶液は、別々に50℃に加熱されるであろう。水溶液と有機溶液は、スタティックミキサー230などのスタティックミキサーで混合されるであろう。スタティックミキサーからの流出物はロータリーアトマイザー240へ流入し、結果として生じる噴霧化液滴が噴霧乾燥機250で噴霧乾燥されるであろう。結果として生じる粒子がバグハウス260から容器の中へ収集されるであろう。結果として生じる粒子は、38重量%のDPPC、38重量%のDSPC、20重量%のロイシン、および4重量%の硫酸アルブテロールを含有するであろう。
【0243】
結論
本発明の種々の実施形態が上述されているが、それらはほんの一例として示されており、非限定として示されていることが理解されるべきである。本発明は、吸入用の乾燥粒子の調製に限定されず、特定の活性剤、賦形剤、または溶媒にも限定されず、本発明は、特定の規模、バッチサイズ、または粒度にも限定されない。したがって、本発明の大きさおよび範囲は、上述された例示的実施形態のいずれによっても限定されず、請求の範囲およびその同等物によってのみ規定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥粉末組成物を調製するための方法であって、
疎水性成分および親水性成分をスタティックミキサーで混合して合剤を形成するステップであって、前記親水性成分および疎水性成分のうちの1つが活性剤を含むステップと、
前記合剤を噴霧化して液滴を生成するステップと、
前記液滴を乾燥させて乾燥粒子を形成するステップと
を含んで成る方法。
【請求項2】
前記親水性成分が活性剤を含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記疎水性成分が賦形剤を含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記疎水性成分が賦形剤を含んで成る、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記活性剤が、インスリン、硫酸アルブテロール、L−DOPA、ヒト化モノクローナル抗体(IgG1)、ヒト成長ホルモン、エピネフリン、およびキシナホ酸サルメテロールより成る群から選択される、請求項2または4に記載の方法。
【請求項6】
前記親水性成分が水性溶媒中に溶解されて水溶液を形成し、前記疎水性成分が有機溶媒中で溶解されて有機溶液を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記疎水性成分が活性剤を含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記親水性成分が水中で溶解され、かつ前記疎水性成分が有機溶媒中で溶解される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記親水性成分が抗体を含んで成る、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記親水性成分がタンパク質を含んで成る、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記乾燥粒子をスクリーニングするステップさらに含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
1回用量の前記乾燥粒子を測定するステップと、
1回容量を包装するステップと
をさらに含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記噴霧化するステップが前記混合するステップの直後に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記噴霧化するステップがロータリーアトマイザーを用いて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記噴霧化するステップが内部混合ノズルを用いて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記噴霧化するステップが外部混合ノズルを用いて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記乾燥させるステップがスプレードライヤーを用いて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記親水性成分が重炭酸アンモニウムを含んで成る、請求項1または2に記載の方法。
【請求項19】
請求項1に記載の方法によって調製される乾燥粉末組成物。
【請求項20】
前記活性剤がヒト成長ホルモンである、請求項2に記載の方法によって調製される乾燥粉末組成物。
【請求項21】
乾燥粉末組成物を調製するための方法であって、
第1相および第2相をスタティックミキサーで混合して合剤を形成するステップであって、前記第1相がヒト成長ホルモンおよびリン酸ナトリウムを含んで成り、かつ前記第2相がエタノールおよび重炭酸アンモニウムを含んで成るステップと、
前記合剤を噴霧化して液滴を生成するステップと、
前記液滴を乾燥させて乾燥粒子を形成するステップと
を含んで成る方法。
【請求項22】
前記第2相が、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC)をさらに含んで成る、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
請求項21に記載の方法によって調製される乾燥粉末組成物。
【請求項24】
前記乾燥粒子が、ヒト成長ホルモンおよびリン酸ナトリウムの全重量に対し、93.5%のヒト成長ホルモンおよび6.5%のリン酸ナトリウムから実質的に成る、請求項23に記載の乾燥粉末組成物。
【請求項25】
前記乾燥粒子が、ヒト成長ホルモン、リン酸ナトリウム、およびDPPCの全重量に対し、80%のヒト成長ホルモン、6%のリン酸ナトリウム、および14%のDPPCから実質的に成る、請求項22に記載の方法によって調製される乾燥粉末組成物。
【請求項26】
乾燥粉末組成物を調製するための方法であって、
親水性成分と有機溶媒をスタティックミキサーで混合して合剤を形成するステップと、
前記合剤を噴霧化して液滴を生成するステップと、
前記液滴を乾燥させて乾燥粒子を形成するステップと
を含んで成る方法。
【請求項27】
前記親水性成分が活性剤を含んで成る、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記親水性成分が賦形剤をさらに含んで成る、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記活性剤が、L−DOPA、ヒト化モノクローナル抗体(IgG1)、ヒト成長ホルモン、およびエピネフリンより成る群から選択される、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記親水性成分が水性溶媒中に溶解されて水溶液を形成する、請求項26、27、または28に記載の方法。
【請求項31】
前記噴霧化するステップが、前記混合するステップの直後に実行される、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記親水性成分が重炭酸アンモニウムを含んで成る、請求項26または27に記載の方法。
【請求項33】
前記噴霧化するステップがロータリーアトマイザーを用いて実行される、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
前記噴霧化するステップが内部混合ノズルを用いて実行される、請求項26に記載の方法。
【請求項35】
請求項26に記載の方法によって調製される乾燥粉末組成物。
【請求項36】
乾燥粉末組成物を調製するための方法であって、
第1の成分と第2の成分をミキサーで混合して混合物を形成するステップであって、前記第1の成分が前記第2の成分と非相溶性である活性剤を含んで成るステップと、
前記混合物を噴霧化して液滴を生成するステップであって、前記アトマイザーが内部混合ノズルを含んで成るステップと、
前記液滴を乾燥させて乾燥粒子を形成するステップであって、前記乾燥粒子が約6%未満の高分子量のタンパク質、および約90%を超える容易に抽出可能なタンパク質産物を含有するステップと
を含んで成る方法。
【請求項37】
前記噴霧化するステップが、前記混合するステップの直後に実行される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
乾燥粉末組成物を調製するための方法であって、
第1の成分と第2の成分をスタティックミキサーで混合して混合物を形成するステップであって、前記第1の成分が前記第2の成分と非相溶性である活性剤を含んで成るステップと、
前記混合物を噴霧化して液滴を生成するステップと、
前記液滴を乾燥させて乾燥粒子を形成するステップと
を含んで成る方法。
【請求項39】
前記第1の成分が親水性であり、前記第2の成分が疎水性であり、前記混合するステップが前記第1の成分を前記第2の成分に添加するステップを含んで成る、請求項36または38に記載の方法。
【請求項40】
前記第1の成分が、水性溶媒中に溶解された活性剤を含んで成る、請求項36または38に記載の方法。
【請求項41】
前記第2の成分が、有機溶媒中に溶解された賦形剤を含んで成る、請求項36または38に記載の方法。
【請求項42】
請求項36または38に記載の方法によって調製される乾燥粉末組成物。
【請求項43】
前記ノズルが単孔ノズルである、請求項36または38に記載の方法。
【請求項44】
前記ノズルが6孔ノズルである、請求項36または38に記載の方法。
【請求項45】
前記ノズルが混合室と、前記混合室への液体供給物入口とを含んで成り、前記液体供給物入口が前記ノズルの縦軸に対して所定の角度で配置され、それによって前記混合室中に液体の薄いシートを生成する、請求項36または38に記載の方法。
【請求項46】
前記ノズルが圧力ノズルである、請求項36または38に記載の方法。
【請求項47】
前記第1の成分、前記第2の成分、または前記混合物に界面活性剤を添加するステップをさらに含んで成る、請求項36または38に記載の方法。
【請求項48】
前記界面活性剤が非イオン界面活性剤を含んで成る、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記界面活性剤がDPPCを含んで成る、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記界面活性剤がTween80を含んで成る、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記添加するステップが、0.2重量%より多くのTween80を用いて行われる、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記添加するステップが、約0.2〜2.8重量%のTween80を用いて行われる、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記混合物の固体濃度が約2g/Lを超える、請求項36または38に記載の方法。
【請求項54】
前記混合物の固体濃度が約5g/Lを超える、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記混合物の固体濃度が約60g/L未満である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記混合物の固体濃度が約30g/L未満である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記第1の成分、前記第2の成分、または前記混合物に約5〜40g/L重炭酸アンモニウムを添加するステップをさらに含んで成る、請求項36または38に記載の方法。
【請求項58】
前記第2の成分が約60〜70体積%の水を含んで成る有機溶液であり、前記混合物が約20体積%の有機相を含んで成る、請求項36または38に記載の方法。
【請求項59】
前記第2の成分が約60体積%の水を含んで成る有機溶液であり、前記混合物が約20体積%の有機相を含んで成る、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記乾燥させるステップが、出口温度が35〜70℃の乾燥機で実行される、請求項36または38に記載の方法。
【請求項61】
前記出口温度が約40℃である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記出口温度が約60℃である、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
溶液濃度を得るのに必要な固体成分の量を確認するステップと、
前記溶液濃度を得るのに必要な液体成分の量を確認するステップと、
前記液体成分と前記固体成分を混合して前記第1の流体成分を形成するステップと
をさらに含んで成る、請求項36または38に記載の方法。
【請求項64】
前記噴霧化するステップが、約35〜120g/分の噴霧化ガスレートを用いるステップを含んで成る、請求項36または38に記載の方法。
【請求項65】
前記噴霧化ガスレートが約45〜80g/分である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記噴霧化するステップが、約10〜75mL/分の液体供給レートを用いるステップを含んで成る、請求項36または38に記載の方法。
【請求項67】
前記液体供給レートが約15〜40mL/分である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記乾燥させるステップが、約80〜125kg/時の乾燥ガスレートを用いて実行される、請求項36または38に記載の方法。
【請求項69】
前記液体供給物/乾燥ガス比が約5〜60mL液体/kgガスである、請求項36または38に記載の方法。
【請求項70】
乾燥粉末組成物を調製するための装置であって、
入口端および出口端を有するスタティックミキサーであって、水性成分を有機成分と混合して合剤を形成するように作動する前記スタティックミキサーと、
前記水性成分を前記スタティックミキサーの前記入口端に輸送するための手段と、
前記有機成分を前記スタティックミキサーの前記入口端に輸送するための手段と、
前記スタティックミキサーの前記出口端と流体連通し、それによって前記合剤が噴霧化されて液滴を形成するアトマイザーと、
前記液滴が前記乾燥機で乾燥されて乾燥粒子を形成する乾燥機と
を含んで成る装置。
【請求項71】
前記アトマイザーがロータリーアトマイザーを含んで成る、請求項70に記載の装置。
【請求項72】
前記ロータリーアトマイザーが複数の羽根を含んで成る、請求項71に記載の装置。
【請求項73】
前記アトマイザーが内部混合ノズルを含んで成る、請求項70に記載の装置。
【請求項74】
前記ノズルが単孔ノズルである、請求項70に記載の装置。
【請求項75】
前記ノズルが6孔ノズルである、請求項70に記載の装置。
【請求項76】
前記ノズルが混合室と、前記混合室への液体供給入口とを含んで成り、前記液体供給入口が前記ノズルの縦軸に対して所定の角度で配置され、それによって前記混合室中に液体の薄いシートを生成する、請求項70に記載の装置。
【請求項77】
前記ノズルが圧力ノズルである、請求項70に記載の装置。
【請求項78】
前記アトマイザーが外部混合ノズルを含んで成る、請求項70に記載の装置。
【請求項79】
前記乾燥機では窒素ガスを使用して前記液滴を乾燥させる、請求項70に記載の装置。
【請求項80】
前記乾燥機の出口に結合されたバグフィルタをさらに含んで成り、前記乾燥粒子が前記バグフィルタによって保持される、請求項70に記載の装置。
【請求項81】
前記水性成分を輸送するための前記手段が第1のポンプを含んで成り、かつ前記有機成分を輸送するための前記手段が第2のポンプを含んで成る、請求項70に記載の装置。
【請求項82】
前記第1のポンプおよび前記第2のポンプが、前記水性成分および前記有機成分を異なる速度で輸送する、請求項81に記載の装置。
【請求項83】
前記乾燥機に結合された幾何学的粒度測定装置であって、前記乾燥粒子の幾何学的直径を測定する幾何学的粒度測定装置と、
前記乾燥機に結合された空気力学的粒度測定装置であって、前記乾燥粒子の空気力学的直径を測定する空気力学的粒度測定装置と
を含んで成る、請求項70に記載の装置。
【請求項84】
選択された体積平均幾何学的直径を有する乾燥粒子を調製するための方法であって、
噴霧化液滴を乾燥させて乾燥粒子を形成するステップと、
粒子密度(ρ)を選択するステップと、
前記乾燥粒子の測定質量平均空気力学的直径
【数1】


を測定するステップと、
前記乾燥粒子の測定体積平均幾何学的直径
【数2】


を測定するステップと、
計算体積平均幾何学的直径
【数3】


を前記粒子密度から計算し、かつ前記測定質量平均空気力学的直径を式
【数4】


から計算するステップと、
前記計算体積平均幾何学的直径が前記測定体積平均幾何学的直径と実質的に等しくなるまで前記粒子密度を調節するステップと
を含んで成る方法。
【請求項85】
前記調節するステップが、
前記計算体積平均幾何学的直径を前記測定体積平均幾何学的直径と比較して差異を測定するステップと、
前記差異に対応して、空気力学的粒度測定装置で粒子密度値を変更するステップと
を含んで成る、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記比較するステップおよび変更するステップがコンピュータを用いて行われる、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記測定体積平均幾何学的直径が、約7〜約10μmの範囲である、請求項84に記載の方法。
【請求項88】
前記測定質量平均空気力学的直径が、約1〜約3μmの範囲である、請求項84に記載の方法。
【請求項89】
液体供給物を噴霧化して前記噴霧化液滴を形成するステップ
をさらに含んで成る、請求項84に記載の方法。
【請求項90】
前記噴霧化するステップがロータリーアトマイザーを用いて行われる、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記噴霧化するステップが2流体ノズルを用いて行われる、請求項89に記載の方法。
【請求項92】
第1の液体成分と第2の液体成分をスタティックミキサーで混合して前記液体供給物を形成するステップ
をさらに含んで成る、請求項89に記載の方法。
【請求項93】
前記噴霧化するステップが、前記混合するステップの直後に行われる、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
請求項1、21、26、38、または86に記載の方法により形成される治療有効量の乾燥粉末組成物を有する単位用量容器を含んで成る乾燥粉末組成物の単位用量。
【請求項95】
選択された幾何学的直径を有する乾燥粒子を調製するためのシステムであって、
液滴が乾燥機で乾燥されて乾燥粒子を形成する乾燥機と、
前記乾燥機に結合された幾何学的粒度測定装置であって、前記乾燥粒子の測定幾何学的直径
【数5】


を測定する幾何学的粒度測定装置と、
前記乾燥機に結合された空気力学的粒度測定装置であって、前記乾燥粒子の密度(ρ)に対応した前記乾燥粒子の測定空気力学的直径
【数6】


を測定する空気力学的粒度測定装置と、
前記空気力学的粒度測定装置に結合されたプロセッサであって、
計算幾何学的直径
【数7】


を前記密度から計算し、かつ前記測定空気力学的直径を式
【数8】


から計算するとともに、
前記計算幾何学的直径が前記測定幾何学的直径と実質的に等しくなるまで前記密度を調節するために構成されたプログラムに応答する前記プロセッサと
を含んで成るシステム。
【請求項96】
前記プログラムが、
前記計算幾何学的直径を前記測定幾何学的直径と比較して、差異を測定するステップと、
前記差異に対応して、前記空気力学的粒度測定装置によって用いられる前記密度を変更するステップと
によって調節を行うように構成されている、請求項95に記載のシステム。
【請求項97】
前記乾燥機に結合されたアトマイザーをさらに含んで成り、前記アトマイザーが液体供給物を噴霧化して前記液滴を形成する、請求項95に記載のシステム。
【請求項98】
前記アトマイザーがロータリーアトマイザーである、請求項97に記載のシステム。
【請求項99】
前記アトマイザーが2流体ノズルを含んで成る、請求項97に記載のシステム。
【請求項100】
前記アトマイザーと液体連通したスタティックミキサーをさらに含んで成り、前記スタティックミキサーが第1の液体成分と第2の液体成分を混合して前記液体供給物を形成する、請求項97に記載のシステム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−292833(P2009−292833A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−183588(P2009−183588)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【分割の表示】特願2003−577858(P2003−577858)の分割
【原出願日】平成15年3月19日(2003.3.19)
【出願人】(507096098)アルカームズ,インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】