説明

乾燥装置及び乾燥方法

【課題】常圧過熱水蒸気を用いて被乾燥材をより効率的に乾燥させる乾燥装置を提供する。
【解決手段】常圧水蒸気が供給される管路L1及び常圧乾燥空気が供給される管路L2が合流する管路L3を通して前記水蒸気及び乾燥空気の混合ガスが供給される電磁誘導加熱装置1、前記混合ガスを加熱して約200℃以上で透明となった常圧過熱水蒸気を発生させるように電磁誘導加熱装置1を制御する制御装置3、電磁誘導加熱装置1及び乾燥チャンバ2を繋ぐ管路L4、乾燥チャンバ2に供給する常圧加熱乾燥空気の量を調節することにより湿度を所定湿度以下に制御する制御装置3を備えた。前記常圧過熱水蒸気を、管路L4を通して、溶剤の沸点未満の温度であり、且つ、集電体と活物質との結着力が低下しない範囲で高く設定した温度まで温度を下げて乾燥チャンバ2に供給するとともに、乾燥チャンバ2内の湿度制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常圧過熱水蒸気を用いて被乾燥材を乾燥させる乾燥装置及び乾燥方法に関わり、特にリチウムイオン電池等の非水系電解液二次電池において、集電体に活物質溶液を塗布した後の乾燥に好適な乾燥装置及び乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池等の非水系電解液二次電池において、その電極は、金属箔からなる集電体(例えばアルミ箔、銅箔)に活物質(例えばリチウム複合酸化物、炭素材)溶液を塗布し、溶剤(溶媒)を乾燥蒸発させた後に、活物質が一定の厚みになるようにプレスして形成される。
集電体に活物質溶液を塗布した後に用いられる乾燥装置としては、熱風ノズルから熱風を吹き付けて乾燥する構成が一般的である(例えば、特許文献1参照。)。
また、被乾燥材を塗工フィルム又は湿潤フィルム(被乾燥フィルム)に特化した乾燥装置として、乾燥チャンバ内に、内部温度維持及び被乾燥フィルムの予熱を行う加熱部、加熱部で加熱された被乾燥フィルムに対して100〜300℃に加熱された常圧過熱水蒸気を噴出する過熱水蒸気噴出部、並びに、過熱水蒸気噴出部から常圧過熱水蒸気を被乾燥フィルムに噴射して温度低下した揮発性有機溶媒成分等を含む排水蒸気を回収するための排気吸入部のセットを複数備えたものがある(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、常圧過熱水蒸気の発生に好適な電磁誘導加熱装置として、流体が通過する非磁性材料のパイプ内に収納された流体が浸かる発熱体を、多層構造を形成する基材と、多層構造によって形成された規則的な多数の流体通路とを有する多層構造体としてなる、電磁誘導で加熱する直接加熱による応答性の高い電磁誘導加熱装置がある(例えば、特許文献3及び4参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−103098号公報
【特許文献2】特開2007−276283号公報
【特許文献3】特許第2889607号公報
【特許文献4】特許第3628705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非水系電解液二次電池の電極の乾燥装置として特許文献1のような熱風ノズルから熱風(130℃程度が温度の上限である。)を吹き付ける構成では、熱風による表面からの乾燥であるとともに、集電体に塗布された活物質の塗工膜の温度を溶剤の沸点(例えば、204℃)まで徐々に高めるための予熱ゾーンが必要となること等から乾燥時間(乾燥距離)が長くなるため、乾燥装置の占有面積が大きくなってしまうという問題点がある。
また、特許文献2のような被乾燥フィルムの乾燥装置を非水系電解液二次電池の電極の乾燥装置に適用した場合には、熱伝導性の高い100〜300℃に加熱された常圧過熱水蒸気を用いていることから、熱風を用いるものよりも乾燥効率が高くなるため、乾燥時間(乾燥距離)を比較的短くすることができると考えられる。
しかしながら、特許文献2の乾燥装置はフィルムに対する乾燥に特化したものであり、内部温度維持及び被乾燥フィルムの予熱を行う加熱部が必要になること等も相俟って、常圧過熱水蒸気を用いて非水系電解液二次電池の電極の乾燥をより効率的に行うためには改良の余地がある。
【0005】
そこで本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、常圧過熱水蒸気を用いて被乾燥材をより効率的に乾燥させる乾燥装置及び乾燥方法、特に非水系電解液二次電池の電極の乾燥に好適な乾燥装置及び乾燥方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の発明者は、リチウムイオン電池等の非水系電解液二次電池において、集電体に活物質溶液を塗布した後の乾燥を効率的に行うために、常圧過熱水蒸気を用いてその浸透性等の特徴を活用するための検討、実験及び試作等による具体化を進めることにより本発明を完成するに至った。
【0007】
以下において、先ず、過熱水蒸気について説明する。
図3の水の温度−圧力相図に示すように、水はその温度と圧力により、固相、液相及び気相に分類できる。すなわち、融解曲線TAの左側で昇華曲線TBの左側の領域が固相、融解曲線TAの右側で蒸発曲線TCの左側の領域が液相、昇華曲線TB及び蒸発曲線TCの右側の領域が気相になる。
ここで、気相では、水は水蒸気として存在し、一般に水蒸気と呼ばれる物性の水は1気圧100℃の点Pに存在しており、蒸発曲線TCの右側の領域に位置する水蒸気、すなわち圧力に対応する飽和温度以上に熱せられた状態にある水蒸気(沸点以上の温度の高い水蒸気)を過熱水蒸気と呼んでいる。
【0008】
水蒸気は、その結露点以下の温度域では凝縮しあって白いモヤモヤとした蒸気に変わり、このように白く見える水蒸気は空気中に浮かぶ凝縮した水の固まりであると解釈され、直径が30μm以上になると目に映る白いモヤモヤとした状態になっている。
ところが、点Pを大きく右側に越えた高温状態の過熱水蒸気(約200℃以上の領域に達した常圧過熱水蒸気)を結露点以下に戻しても、白いモヤモヤとした水蒸気になりにくいことがわかっており、一旦高温域に温度を上げた水蒸気は何らかのエネルギを得るのか凝縮しにくく、それが為に30μm以上の直径になりにくいものと推測される。
実際、過飽和状態の空間で過熱水蒸気を送気してもその空間は白くモヤモヤとした空間にならず、極めてクリアな空間が維持できている。
また、この高温域に達した水蒸気は単体の分子状態で存在すると推測され、それが為に細かい隙間などの空域に進入しやすいと考えられる。
【0009】
次に、非水系電解液二次電池の電極の集電体に塗布した活物質溶液の溶剤の除去について説明する。
溶剤は気化しなければ取り除くことができないため、溶剤を沸点以上の温度にする必要がある。
しかしながら、集電体に塗布した活物質溶液を溶剤の沸点以上の温度で急速に乾燥させると、溶剤が突沸してしまい、乾燥表面が焼けた状態になってしまうことがわかっている。
したがって、従来の乾燥装置においては、上述のとおり集電体に塗布された活物質の塗工膜の温度を溶剤の沸点まで徐々に高めるための予熱ゾーンが必要であった。
【0010】
以上の着眼点から、本願の発明者は、集電体に活物質溶液を塗布した後に常圧過熱水蒸気を吹き付けて乾燥を行いながら予熱ゾーンを不要にするために、約200℃以上に加熱されて透明となった常圧過熱水蒸気を、気化させて取り除く溶剤の沸点未満であり、且つ、集電体と活物質との結着力が低下しない範囲で高く設定した温度まで温度を低下させた状態として乾燥チャンバに供給することにより、蓄熱効果を利用しながら加熱を行うとともに、上述のとおり約200℃以上の領域に達した常圧過熱水蒸気の温度を下げても維持される高い浸透力等の特性を活かして、乾燥表面が焼けない乾燥表面の良い状態を保ちながら効率的に乾燥するという着想を得た。
また、結露の防止及び乾燥の促進のために、常圧水蒸気に常圧乾燥空気を混合した混合ガスを、その混合比率を変えながら電磁誘導加熱装置に供給することができるように構成し、乾燥チャンバに供給する常圧加熱乾燥空気の量(常圧過熱水蒸気に対する常圧加熱乾燥空気の比率)を操作することにより乾燥チャンバ内の湿度を制御するという着想を得た。
【0011】
すなわち、本発明に係る乾燥装置は、前記課題解決のために、乾燥チャンバ内の被乾燥材を乾燥させる乾燥装置であって、管路を通して水又は水蒸気が供給される電磁誘導加熱装置と、前記水又は水蒸気を加熱して約200℃以上で透明となった常圧過熱水蒸気を発生させるように前記電磁誘導加熱装置を制御する制御装置と、前記乾燥チャンバ及び電磁誘導加熱装置に接続された過熱水蒸気供給管路とを備え、前記約200℃以上で透明となった常圧過熱水蒸気を、前記過熱水蒸気供給管路を通すことにより、前記被乾燥材に適した所定温度まで温度を低下させた状態として前記乾燥チャンバに供給することを特徴とする。
【0012】
このような構成によれば、制御装置により電磁誘導加熱装置を制御して水又は水蒸気を加熱し、約200℃以上で透明となった常圧過熱水蒸気を発生させ、この常圧過熱水蒸気を、過熱水蒸気供給管路を通すことにより、被乾燥材に適した所定温度まで低下させた状態として乾燥チャンバに供給することから、被乾燥材に適した所定温度で乾燥することができるとともに、その際に、約200℃以上の領域に達した常圧過熱水蒸気の温度を下げても維持される高い浸透力等の特性を活かすことができるため、被乾燥材の乾燥を効率的に行うことができる。
その上、乾燥チャンバ内に常圧過熱蒸気が充満することから、乾燥チャンバ内を無酸素状態にすることができるため、被乾燥材の酸化防止を促すことができる。
【0013】
ここで、管路を通して常圧加熱乾燥空気を前記乾燥チャンバに供給する加熱乾燥空気供給装置と、前記乾燥チャンバ内の湿度を検出する湿度センサとを備え、前記加熱乾燥空気供給装置により前記乾燥チャンバに供給する前記常圧加熱乾燥空気の量を調節することにより、前記湿度センサにより検出した前記乾燥チャンバ内の湿度を所定湿度以下又は所定湿度範囲内に制御する制御装置を備えてなると好ましい。
このような構成によれば、乾燥チャンバ内に常圧加熱乾燥空気が供給され、その供給量が調節され、乾燥チャンバ内の湿度が所定湿度(例えば、20%)以下又は所定湿度範囲内(例えば、10%〜20%)になるように制御装置により制御されることから、乾燥チャンバ内の湿度を、通常の乾燥装置における乾燥チャンバ内の湿度(例えば、70〜80%)よりも大幅に低い状態に保つことができるため、被乾燥材の乾燥をさらに効率的に行うことができる。
【0014】
また、前記被乾燥材が、非水系電解液二次電池の集電体に活物質溶液を塗布した後の前記集電体及び活物質であり、前記被乾燥材に適した所定温度が、前記活物質溶液の溶剤の沸点未満の温度であり、且つ、前記集電体と前記活物質との結着力が低下しない範囲で高く設定した温度であると好ましい。
このような構成によれば、リチウムイオン電池等の非水系電解液二次電池の集電体に活物質溶液を塗布した後の前記集電体及び活物質の乾燥において、約200℃以上に加熱されて透明となった常圧過熱水蒸気を、気化させて取り除く溶剤の沸点(例えば、204℃)未満であり、且つ、集電体と活物質との結着力が低下しない範囲で高く設定した温度(例えば、180℃)まで温度を低下させた状態として乾燥チャンバに供給するので、約200℃以上の領域に達した常圧過熱水蒸気の温度を下げても維持される高い浸透力等の特性を活かして、表面からの乾燥ではなく集電体(芯材)を発熱させ、蓄熱効果を利用しながら溶剤を内側から乾燥蒸発させることができることから、乾燥表面が焼けない乾燥表面の良い状態を保ちながら効率的に乾燥することができるため、予熱ゾーンを不要にすることができる。
【0015】
さらに、本発明に係る乾燥装置は、前記課題解決のために、乾燥チャンバ内の被乾燥材である、非水系電解液二次電池の集電体に活物質溶液を塗布した後の前記集電体及び活物質を乾燥させる乾燥装置であって、常圧水蒸気を発生する水蒸気発生装置と、常圧乾燥空気を発生する乾燥空気発生装置と、前記水蒸気発生装置に接続されて前記常圧水蒸気が供給される水蒸気供給管路及び前記乾燥空気発生装置に接続されて前記常圧乾燥空気が供給される乾燥空気供給管路が合流する混合ガス供給管路を通して前記常圧水蒸気及び常圧乾燥空気の混合ガスが供給される電磁誘導加熱装置と、前記混合ガスを加熱して約200℃以上で透明となった常圧過熱水蒸気を発生させるように前記電磁誘導加熱装置を制御する制御装置と、前記乾燥チャンバ及び電磁誘導加熱装置に接続された過熱水蒸気及び加熱乾燥空気供給管路と、前記乾燥チャンバ内の湿度を検出する湿度センサと、前記過熱水蒸気及び加熱乾燥空気供給管路を通して前記乾燥チャンバに供給する常圧加熱乾燥空気の量を調節することにより、前記湿度センサにより検出した前記乾燥チャンバ内の湿度を所定湿度以下又は所定湿度範囲内に制御する制御装置とを備え、前記200℃以上で透明となった常圧過熱水蒸気を、前記過熱水蒸気及び加熱乾燥空気供給管路を通すことにより、前記活物質溶液の溶剤の沸点未満の温度であり、且つ、前記集電体と前記活物質との結着力が低下しない範囲で高く設定した温度まで温度を低下させた状態として前記乾燥チャンバに供給することを特徴とする。
【0016】
このような構成によれば、リチウムイオン電池等の非水系電解液二次電池の集電体に活物質溶液を塗布した後の前記活物質溶液の前記集電体及び活物質の乾燥において、電磁誘導加熱装置に常圧水蒸気及び常圧乾燥空気の混合ガスが供給し、制御装置により電磁誘導加熱装置を制御して電磁誘導加熱装置により約200℃以上で透明となった常圧過熱水蒸気を発生させ、この常圧過熱水蒸気及び常圧加熱乾燥空気の混合ガスを、乾燥チャンバ及び電磁誘導加熱装置に接続された過熱水蒸気及び加熱乾燥空気供給管路を通して、気化させて取り除く溶剤の沸点(例えば、204℃)未満であり、且つ、集電体と活物質との結着力が低下しない範囲で高く設定した温度(例えば、180℃)まで温度を低下させた状態として乾燥チャンバに供給するので、約200℃以上の領域に達した常圧過熱水蒸気の温度を下げても維持される高い浸透力等の特性を活かして、表面からの乾燥ではなく集電体(芯材)を発熱させ、蓄熱効果を利用しながら溶剤を内側から乾燥蒸発させることができることから、乾燥表面が焼けない乾燥表面の良い状態を保ちながら効率的に乾燥することができるため、予熱ゾーンを不要にすることができる。
その上、過熱水蒸気及び加熱乾燥空気供給管路を通して乾燥チャンバに供給される常圧加熱乾燥空気の量が制御装置により調節され、乾燥チャンバ内の湿度を検出する湿度センサにより検出した乾燥チャンバ内の湿度が所定湿度(例えば、20%)以下又は所定湿度範囲内(例えば、10%〜20%)になるように制御装置により制御されることから、乾燥チャンバ内の湿度を、通常の乾燥装置における乾燥チャンバ内の湿度(例えば、70〜80%)よりも大幅に低い状態に保つことができるため、前記集電体及び活物質の乾燥をさらに効率的に行うことができる。
その上さらに、乾燥チャンバ内に常圧過熱蒸気が充満することから、乾燥チャンバ内を無酸素状態にすることができるため、前記集電体及び活物質の酸化防止を促すことができる。
その上、電磁誘導加熱装置に常圧水蒸気及び常圧乾燥空気の混合ガスを供給することから、電磁誘導加熱装置により、約200℃以上の領域に達した常圧過熱水蒸気を発生するための常圧水蒸気の加熱及び乾燥チャンバ内の湿度制御に用いる常圧乾燥空気の加熱の両方を行う構成であるため、常圧加熱乾燥空気を乾燥チャンバに供給する加熱乾燥空気供給装置を別途設ける必要がない。
【0017】
さらにまた、本発明に係る乾燥方法は、前記課題解決のために、乾燥チャンバ内の被乾燥材を乾燥させる乾燥方法であって、電磁誘導加熱装置により水又は水蒸気を加熱して約200℃以上で透明となった常圧過熱水蒸気を発生させ、前記被乾燥材に適した所定温度まで低下させた状態とした前記常圧過熱水蒸気を前記乾燥チャンバに供給するとともに、加熱乾燥空気供給装置により加熱した常圧加熱乾燥空気を前記乾燥チャンバに供給し、前記乾燥チャンバに供給する前記常圧乾燥空気の量を調節することにより、前記乾燥チャンバ内の湿度を所定湿度以下又は所定湿度範囲内にすることを特徴とする。
【0018】
このような構成によれば、電磁誘導加熱装置により水又は水蒸気を加熱して約200℃以上で透明となった常圧過熱水蒸気を発生させ、この常圧過熱水蒸気を被乾燥材に適した所定温度まで低下させた状態として乾燥チャンバに供給することから、被乾燥材に適した所定温度で乾燥することができるとともに、その際に、約200℃以上の領域に達した常圧過熱水蒸気の温度を下げても維持される高い浸透力等の特性を活かすことができるため、被乾燥材の乾燥を効率的に行うことができる。
その上、乾燥チャンバに供給する常圧乾燥空気の量を調節することにより、乾燥チャンバ内の湿度を所定湿度(例えば、20%)以下又は所定湿度範囲内(例えば、10%〜20%)にするため、乾燥チャンバ内の湿度を、通常の乾燥装置における乾燥チャンバ内の湿度(例えば、70〜80%)よりも大幅に低い状態に保つことができるため、被乾燥材の乾燥をさらに効率的に行うことができる。
その上さらに、乾燥チャンバ内に常圧過熱蒸気が充満することから、乾燥チャンバ内を無酸素状態にすることができるため、被乾燥材の酸化防止を促すことができる。
【0019】
また、本発明に係る乾燥方法は、前記課題解決のために、乾燥チャンバ内の被乾燥材である、非水系電解液二次電池の集電体に活物質溶液を塗布した後の前記集電体及び活物質を乾燥させる乾燥方法であって、常圧乾燥空気を電磁誘導加熱装置に供給して加熱した常圧乾燥空気を前記乾燥チャンバに供給して前記乾燥チャンバの内壁の温度を100℃以上にする乾燥チャンバ内予熱工程と、常圧水蒸気及び常圧乾燥空気の混合ガスを電磁誘導加熱装置に供給して加熱し、約200℃以上で透明となった常圧過熱水蒸気を発生させる工程、及び、前記200℃以上で透明となった常圧過熱水蒸気を、前記活物質溶液の溶剤の沸点未満の温度であり、且つ、前記集電体と前記活物質との結着力が低下しない範囲で高く設定した温度まで低下させた状態として前記乾燥チャンバに供給する工程、並びに、前記常圧乾燥空気の供給量を調節することにより前記乾燥チャンバ内の湿度を所定湿度以下又は所定湿度範囲内にする工程を有する被乾燥材の乾燥工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0020】
このような構成によれば、乾燥チャンバ内予熱工程により、乾燥チャンバに常圧加熱乾燥空気が供給されて乾燥チャンバの内壁の温度が100℃以上にされるため、結露の発生を抑制することができる。
その上、被乾燥材の乾燥工程における約200℃以上で透明となった常圧過熱水蒸気を発生させる工程、及び、前記常圧過熱水蒸気を、気化させて取り除く溶剤の沸点(例えば、204℃)未満の温度であり、且つ、集電体と活物質との結着力が低下しない範囲で高く設定した温度(例えば、180℃)まで低下させた状態として乾燥チャンバに供給する工程により、約200℃以上の領域に達した常圧過熱水蒸気の温度を下げても維持される高い浸透力等の特性を活かして、表面からの乾燥ではなく集電体(芯材)を発熱させ、蓄熱効果を利用しながら溶剤を内側から乾燥蒸発させることができることから、乾燥表面が焼けない乾燥表面の良い状態を保ちながら効率的に乾燥することができるため、予熱ゾーンを不要にすることができる。
その上さらに、被乾燥材の乾燥工程における電磁誘導加熱装置に供給する常圧乾燥空気の供給量を調節することにより乾燥チャンバ内の湿度を所定湿度(例えば、20%)以下又は所定湿度範囲内(例えば、10%〜20%)にする工程により、乾燥チャンバ内の湿度を、通常の乾燥装置における乾燥チャンバ内の湿度(例えば、70〜80%)よりも大幅に低い状態に保つことができるため、前記集電体及び活物質の乾燥をさらに効率的に行うことができる。
その上、乾燥チャンバ内に常圧過熱蒸気が充満することから、乾燥チャンバ内を無酸素状態にすることができるため、前記集電体及び活物質の酸化防止を促すことができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明に係る乾燥装置及び乾燥方法によれば、電磁誘導加熱装置により約200℃以上で透明となった常圧過熱水蒸気を発生させ、この常圧過熱水蒸気を、被乾燥材に適した所定温度まで低下させた状態として乾燥チャンバに供給することから、被乾燥材に適した所定温度で乾燥することができるとともに、その際に、約200℃以上の領域に達した常圧過熱水蒸気の温度を下げても維持される高い浸透力等の特性を活かすことができるため、被乾燥材の乾燥を効率的に行うことができ、乾燥チャンバ内に供給する常圧加熱乾燥空気の供給量が調節され、乾燥チャンバ内の湿度が所定湿度以下になるように制御されることから、乾燥チャンバ内の湿度を低い状態に保つことができるため、被乾燥材の乾燥をさらに効率的に行うことができるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係る乾燥装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】乾燥チャンバ内の構成例を示す概略縦断面図である。
【図3】水の温度−圧力相図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1のブロック図に示す本発明の実施の形態に係る乾燥装置は、例えば非水系電解液二次電池であるリチウムイオン電池の電極の製造に用いられ、電磁誘導加熱装置1により発生させた常圧過熱水蒸気を過熱水蒸気供給管路(過熱水蒸気及び加熱乾燥空気供給管路)L4を通して乾燥チャンバ2に供給することにより、活物質(例えばリチウム複合酸化物、炭素材)溶液の溶剤(例えば、N−メチル−2−ピロリドン、三協化学株式会社商品名:NMP)を乾燥蒸発させるものである。すなわち本実施の形態に係る乾燥装置の被乾燥材は、リチウムイオン電池の集電体Aに活物質溶液を塗布した後の集電体A及び活物質である。
ここで、前記電極を構成する帯状の金属箔からなる集電体A(例えばアルミ箔、銅箔)の搬送系(搬送方向は、図中矢印F参照。)は、乾燥チャンバ2の上流側に位置する図示しない繰り出しローラに巻回された集電体Aを繰り出しながら、乾燥チャンバ2の下流側に位置する図示しない巻き取りローラに巻き取るように構成され、この搬送系により、乾燥チャンバ2の上流側の図示しない塗工装置により活物質溶液が表面に塗布された集電体Aが乾燥チャンバ2内を通って下流側へ所定搬送速度で搬送される。また、前記搬送系の搬送速度は搬送速度センサ10により検出され、この検出値が制御装置3へ送られる。
【0024】
電磁誘導加熱装置1は、熱交換器を用いない直接加熱により流体を過熱するものであり、装置本体1A及び高周波電流発生器1Bからなる。ここで、装置本体1Aは、特許文献3及び4の電磁誘導加熱装置のように、絶縁体カラム(非磁性材料のパイプ)、絶縁体カラムに巻線された通電可能な励磁コイル、絶縁体カラム内に収納されて流体が浸かり、励磁コイルによる電磁誘導により渦電流が生じて発熱する発熱体を備えており、発熱体を、多層構造を形成する基材と多層構造によって形成された規則的な多数の流体通路とを有する多層構造体としたものである。また、高周波電流発生器1Bは、交流電源の整流回路及びインバータ等からなり、装置本体1Aの励磁コイルに高周波電流を流すためのものである。
このような直接加熱による電磁誘導加熱装置によれば、流体の単位体積当たりの伝熱面積の比表面積を極めて大きくすることができ、発熱体から流体への伝熱効率が非常に高くなるとともに、応答性を高めることができるため、本発明のように流体の温度制御を行う電磁誘導加熱装置として好適なものである。
また、装置本体1Aの流出側には温度センサ1Tが設置されており、温度センサ1Tの検出値が制御装置3へ送られ、制御装置3により高周波電流発生器1Bから励磁コイルに供給する高周波電流が制御される。
【0025】
図1に示すように、例えば純水用のボイラである水蒸気発生装置4から水蒸気供給管路L1に常圧水蒸気が供給され、例えば空気タンク、コンプレッサ及びドライヤ等である乾燥空気発生装置5から乾燥空気供給管路L2に常圧乾燥空気が供給されるため、管路L1及びL2が合流した混合ガス供給管路L3を経由して、電磁誘導加熱装置1の装置本体1Aには、前記常圧水蒸気及び常圧乾燥空気の混合ガスが供給される。
ここで、水蒸気発生装置4から水蒸気供給管路L1に供給された常圧水蒸気は、管路L1に設置された蒸気流量制御弁6Aにより流量を調節することができ、その流量は蒸気流量センサ6Bにより検出され、蒸気流量センサ6Bの検出値が制御装置3へ送られ、制御装置3により蒸気流量制御弁6Aが制御される。
また、乾燥空気発生装置5から乾燥空気供給管路L2に供給された常圧乾燥空気は、管路L2に設置された空気流量制御弁7Aにより流量を調節することができ、その流量は空気流量センサ7Bにより検出され、空気流量センサ7Bの検出値が制御装置3へ送られ、制御装置3により空気流量制御弁7Aが制御される。
さらに、混合ガス供給管路L3に供給された前記常圧水蒸気及び常圧乾燥空気の混合ガスは、管路L3に設置された混合ガス流量制御弁8Aにより流量を調節することができ、その流量は混合ガス流量センサ8Bにより検出され、混合ガス流量センサ8Bの検出値が制御装置3へ送られ、制御装置3により混合ガス流量制御弁8Aが制御される。
【0026】
混合ガス供給管路L3から電磁誘導加熱装置1の装置本体1Aに供給された前記常圧水蒸気及び常圧乾燥空気の混合ガスは、約200℃以上で透明となった常圧過熱水蒸気を発生させるように電磁誘導加熱装置1により加熱される。
このように発生した約200℃以上で透明となった常圧過熱水蒸気の温度は、過熱水蒸気及び加熱乾燥空気供給管路L4(図2に示す噴出部2A,2A又は2B,2Bまでの管路L41又はL42も含む。)を通して、被乾燥材に適した所定温度である活物質溶液の溶剤の沸点(前記溶剤がN−メチル−2−ピロリドンである場合、204℃)未満の温度であり、且つ、集電体Aと活物質との結着力が低下しない範囲で高く設定した温度(例えば、180℃)まで低下させた状態とされ、この状態の常圧過熱水蒸気が乾燥チャンバ2内へ導入される。
【0027】
なお、約200℃以上で透明となった常圧過熱水蒸気の温度を被乾燥材に適した所定温度まで低下させるための、電磁誘導加熱装置1から噴出部2A,2A又は2B,2Bまでの管路L4の長さは、被乾燥材の種類や厚さにより異なるため、実験又は試作等により決定することができ、このように約200℃以上で透明となった常圧過熱水蒸気の温度を目標温度(被乾燥材に適した所定温度)にするための微調整は、例えば蒸気流量制御弁6A又は混合ガス流量制御弁8Aを操作する流量調整により行うことができる。
また、電磁誘導加熱装置1の装置本体1Aには前記常圧水蒸気及び常圧乾燥空気の混合ガスが供給されるため、前記所定温度まで温度が低下した常圧過熱水蒸気とともに、前記常圧過熱水蒸気と同じ温度の常圧乾燥空気も管路L4を経由して乾燥チャンバ2内へ導入される。
【0028】
例えば、図2の概略縦断面図に示すように、乾燥チャンバ2内を搬送される活物質溶液が両面に塗布された集電体Aに対し、その両面に離間するように設置された、例えば直径1〜2mm程度の多数の通孔が集電体Aに対向する面に形成された箱体である噴出部2A,2A及び2B,2Bから、上述のとおり過熱水蒸気及び加熱乾燥空気供給管路L4を経由して前記所定温度まで温度が低下した状態の混合ガスGが噴出する。
ここで、乾燥チャンバ2内の温度及び湿度は、図1に示す温度センサ2T及び湿度センサ2Hにより検出され、温度センサ2Tの検出値及び湿度センサ2Hの検出値が制御装置3へ送られ、制御装置3により、後述するように乾燥チャンバ2内の温度及び湿度が制御される。
なお、活物質溶液が片面に塗布された集電体Aに対しては、活物質溶液が塗布された片面に対向する側から混合ガスGが噴出するように、噴出部2A,2A及び噴出部2B,2Bの一方のみとする。
また、制御装置3によりダンパ9を開閉するアクチュエータが制御され、活物質溶液の溶剤が気化したガスは、排気管路L5を経由してダンパ9から排気される。
【0029】
次に、本発明の実施の形態に係る乾燥方法について説明する。
(乾燥チャンバ内予熱工程)
図1に示す構成の乾燥装置において、蒸気流量制御弁6Aを閉じ、空気流量制御弁7Aを開いて乾燥空気発生装置5から常圧乾燥空気を管路L2に供給し、管路L3を経由して、常圧乾燥空気のみを電磁誘導加熱装置1の装置本体1Aに供給する。
この常圧乾燥空気を電磁誘導加熱装置1により所定温度(例えば、150℃〜160℃程度)まで加熱し、このように加熱された常圧加熱乾燥空気を管路L4から乾燥チャンバ2内へ供給することにより、温度センサ2Tで検出した乾燥チャンバ2内の温度を100℃以上の所定温度(例えば120℃)に昇温し、乾燥チャンバ2の内壁の温度を100℃以上にする。
この工程により、冷えた乾燥チャンバ2内に過熱水蒸気を供給することによる結露の発生を抑制することができる。
【0030】
(被乾燥材の乾燥工程)
次に、図1に示す構成の乾燥装置において、蒸気流量制御弁6Aを開いて水蒸気発生装置4から常圧水蒸気を管路L1に供給するとともに、空気流量制御弁7Aを開いて乾燥空気発生装置5から常圧乾燥空気を管路L2に供給し、管路L3を経由して、常圧水蒸気及び常圧乾燥空気の混合ガスを電磁誘導加熱装置1の装置本体1Aに供給する。
前記混合ガスを電磁誘導加熱装置1により加熱して常圧で約200℃以上に加熱されて透明となった常圧過熱水蒸気を発生させ、上述のとおり管路L4を経由させて、活物質溶液の溶剤の沸点未満の温度であり、且つ、集電体Aと活物質との結着力が低下しない範囲で高く設定した温度(例えば、180℃)まで低下させた状態の常圧過熱水蒸気と加熱乾燥空気との混合ガスG(図2参照。)を乾燥チャンバ2に供給する。
そして、活物質溶液が表面に塗布された集電体Aを前記搬送系により所定搬送速度で下流側へ搬送しながら、混合ガスGにより蓄熱効果を利用しながら加熱を行うとともに、上述のとおり約200℃以上の領域に達した常圧過熱水蒸気の温度を下げても維持される高い浸透力等の特性を活かして、表面からの乾燥ではなく集電体A(芯材)を発熱させ、蓄熱効果を利用しながら活物質溶液の溶剤を内側から乾燥蒸発させることができることから、乾燥表面が焼けない乾燥表面の良い状態を保ちながら効率的に乾燥することができるため、予熱ゾーンを不要にすることができる。
【0031】
ここで、温度センサ2Tの検出値が制御装置3へ送られることから、制御装置3は、搬送速度センサ10により検出した搬送速度を参照して活物質溶液の溶剤を乾燥蒸発させるための単位時間当たりの熱エネルギを考慮しながら、乾燥チャンバ2内へ供給すべき図2に示す混合ガスGの流量を、例えば混合ガス流量制御弁8Aを調節することにより制御して、温度センサ2Tの検出値が低下し過ぎないように温度制御することができる。
また、このように被乾燥材(集電体A及び活物質)を乾燥する際には、湿度センサ2Hの検出値が制御装置3へ送られることから、制御装置3により空気流量制御弁7Aを操作して常圧乾燥空気の供給量を調節することにより、乾燥チャンバ2に供給する常圧加熱乾燥空気の量を調節することができるため、乾燥チャンバ2内の湿度を所定湿度以下(例えば、20%以下)又は所定湿度範囲内(例えば、10%〜20%)にすることにより、乾燥チャンバ2内の湿度を、通常の乾燥装置における乾燥チャンバ内の湿度(例えば、70〜80%)よりも大幅に低い状態に保つことができるため、集電体A及び活物質の乾燥をさらに効率的に行うことができる。
さらに、乾燥チャンバ2内に常圧過熱蒸気が充満することから、乾燥チャンバ2内を無酸素状態にすることができるため、集電体A及び活物質の酸化防止を促すことができる。
【0032】
(運転停止工程)
図1に示す構成の乾燥装置の運転を停止させる際には、乾燥チャンバ2内の結露を防ぐために、蒸気流量制御弁6Aを閉じ、空気流量制御弁7Aを開いて乾燥空気発生装置5から常圧乾燥空気を管路L2に供給し、管路L3から常圧乾燥空気のみを電磁誘導加熱装置1の装置本体1Aに供給し、電磁誘導加熱装置1により加熱された加熱乾燥空気のみを管路L4から乾燥チャンバ2に供給し、加熱乾燥空気の温度を少しずつ下げるように制御装置3により電磁誘導加熱装置1を制御して運転を停止する。
【0033】
以上の説明においては、常圧水蒸気及び常圧乾燥空気の混合ガスを電磁誘導加熱装置1に供給して加熱する構成を示したが、常圧水蒸気の加熱と常圧乾燥空気の加熱とを別の加熱装置により行う構成としてもよく、例えば常圧水蒸気の供給及び加熱ルートと分離した加熱乾燥空気供給装置の構成、すなわち常圧乾燥空気を電磁誘導加熱装置1と別体の加熱装置に供給して加熱し、このように加熱された常圧加熱乾燥空気を乾燥チャンバに供給するようにしてもよい。
ただし、図1に示す構成の乾燥装置のように電磁誘導加熱装置1に常圧水蒸気及び常圧乾燥空気の混合ガスを供給し、電磁誘導加熱装置1により、約200℃以上の領域に達した常圧過熱水蒸気を発生するための常圧水蒸気の加熱及び乾燥チャンバ2内の湿度制御に用いる常圧乾燥空気の加熱の両方を行う構成によれば、常圧加熱乾燥空気を乾燥チャンバ2に供給する加熱乾燥空気供給装置を別途設ける必要がないため、より好ましい実施態様である。
【符号の説明】
【0034】
A 集電体
F 搬送方向
G 混合ガス
L1 水蒸気供給管路
L2 乾燥空気供給管路
L3 混合ガス供給管路
L4,L41,L42 過熱水蒸気及び加熱乾燥空気供給管路
L5 排気管路
1 電磁誘導加熱装置
1A 装置本体
1B 高周波電流発生器
1T 温度センサ
2 乾燥チャンバ
2A,2B 噴出部
2T 温度センサ
2H 湿度センサ
3 制御装置
4 水蒸気発生装置
5 乾燥空気発生装置
6A 蒸気流量制御弁
6B 蒸気流量センサ
7A 空気流量制御弁
7B 空気流量センサ
8A 混合ガス流量制御弁
8B 混合ガス流量センサ
9 ダンパ
10 搬送速度センサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥チャンバ内の被乾燥材を乾燥させる乾燥装置であって、
管路を通して水又は水蒸気が供給される電磁誘導加熱装置と、
前記水又は水蒸気を加熱して約200℃以上で透明となった常圧過熱水蒸気を発生させるように前記電磁誘導加熱装置を制御する制御装置と、
前記乾燥チャンバ及び電磁誘導加熱装置に接続された過熱水蒸気供給管路とを備え、
前記約200℃以上で透明となった常圧過熱水蒸気を、前記過熱水蒸気供給管路を通すことにより、前記被乾燥材に適した所定温度まで温度を低下させた状態として前記乾燥チャンバに供給することを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
管路を通して常圧加熱乾燥空気を前記乾燥チャンバに供給する加熱乾燥空気供給装置と、
前記乾燥チャンバ内の湿度を検出する湿度センサとを備え、
前記加熱乾燥空気供給装置により前記乾燥チャンバに供給する前記常圧加熱乾燥空気の量を調節することにより、前記湿度センサにより検出した前記乾燥チャンバ内の湿度を所定湿度以下又は所定湿度範囲内に制御する制御装置を備えてなる請求項1記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記被乾燥材が、非水系電解液二次電池の集電体に活物質溶液を塗布した後の前記集電体及び活物質であり、前記被乾燥材に適した所定温度が、前記活物質溶液の溶剤の沸点未満の温度であり、且つ、前記集電体と前記活物質との結着力が低下しない範囲で高く設定した温度である請求項1記載の乾燥装置。
【請求項4】
乾燥チャンバ内の被乾燥材である、非水系電解液二次電池の集電体に活物質溶液を塗布した後の前記集電体及び活物質を乾燥させる乾燥装置であって、
常圧水蒸気を発生する水蒸気発生装置と、
常圧乾燥空気を発生する乾燥空気発生装置と、
前記水蒸気発生装置に接続されて前記常圧水蒸気が供給される水蒸気供給管路及び前記乾燥空気発生装置に接続されて前記常圧乾燥空気が供給される乾燥空気供給管路が合流する混合ガス供給管路を通して前記常圧水蒸気及び常圧乾燥空気の混合ガスが供給される電磁誘導加熱装置と、
前記混合ガスを加熱して約200℃以上で透明となった常圧過熱水蒸気を発生させるように前記電磁誘導加熱装置を制御する制御装置と、
前記乾燥チャンバ及び電磁誘導加熱装置に接続された過熱水蒸気及び加熱乾燥空気供給管路と、
前記乾燥チャンバ内の湿度を検出する湿度センサと、
前記過熱水蒸気及び加熱乾燥空気供給管路を通して前記乾燥チャンバに供給する常圧加熱乾燥空気の量を調節することにより、前記湿度センサにより検出した前記乾燥チャンバ内の湿度を所定湿度以下又は所定湿度範囲内に制御する制御装置とを備え、
前記200℃以上で透明となった常圧過熱水蒸気を、前記過熱水蒸気及び加熱乾燥空気供給管路を通すことにより、前記活物質溶液の溶剤の沸点未満の温度であり、且つ、前記集電体と前記活物質との結着力が低下しない範囲で高く設定した温度まで温度を低下させた状態として前記乾燥チャンバに供給することを特徴とする乾燥装置。
【請求項5】
乾燥チャンバ内の被乾燥材を乾燥させる乾燥方法であって、
電磁誘導加熱装置により水又は水蒸気を加熱して約200℃以上で透明となった常圧過熱水蒸気を発生させ、前記被乾燥材に適した所定温度まで低下させた状態とした前記常圧過熱水蒸気を前記乾燥チャンバに供給するとともに、加熱乾燥空気供給装置により加熱した常圧加熱乾燥空気を前記乾燥チャンバに供給し、前記乾燥チャンバに供給する前記常圧乾燥空気の量を調節することにより、前記乾燥チャンバ内の湿度を所定湿度以下又は所定湿度範囲内にすることを特徴とする乾燥方法。
【請求項6】
乾燥チャンバ内の被乾燥材である、非水系電解液二次電池の集電体に活物質溶液を塗布した後の前記集電体及び活物質を乾燥させる乾燥方法であって、
常圧乾燥空気を電磁誘導加熱装置に供給して加熱した常圧乾燥空気を前記乾燥チャンバに供給して前記乾燥チャンバの内壁の温度を100℃以上にする乾燥チャンバ内予熱工程と、
常圧水蒸気及び常圧乾燥空気の混合ガスを電磁誘導加熱装置に供給して加熱し、約200℃以上で透明となった常圧過熱水蒸気を発生させる工程、及び、前記200℃以上で透明となった常圧過熱水蒸気を、前記活物質溶液の溶剤の沸点未満の温度であり、且つ、前記集電体と前記活物質との結着力が低下しない範囲で高く設定した温度まで低下させた状態として前記乾燥チャンバに供給する工程、並びに、前記常圧乾燥空気の供給量を調節することにより前記乾燥チャンバ内の湿度を所定湿度以下又は所定湿度範囲内にする工程を有する被乾燥材の乾燥工程と、
を備えたことを特徴とする乾燥方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−64516(P2013−64516A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202085(P2011−202085)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(597024681)第一実業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】