説明

乾燥装置

【課題】被乾燥物と、乾燥した空気との接する機会と面積を増やすことで、乾燥効率を高めた乾燥装置を提供する。
【解決手段】乾燥槽1に回転軸2を設け、該回転軸の該槽近傍に複数の小孔501を設けた噴射管5を設け、該小孔は被乾燥物が拡散するように設け、該噴射管の該小孔の上方から該小孔を覆うようにプレート5aを斜設し、該噴射管には、圧力空気を供給する手段を設け、且つ回転軸には拡散羽根を設け、対応する乾燥槽の上部に被乾燥物の投入口7と排気口8を設け、それら口部に対応して複数の拡散用羽根6を設け、前記圧力空気を供給する手段は、送風機4を内部又は外部に設け、該羽根によって昇圧された空気を前記噴射管へ供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被乾燥物にとって乾燥効率のよい乾燥装置の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、例えば、特許第2627399号おいては、被乾燥物を下から上へ上昇せしめて循環させる工程で、乾燥物を空間に臨ませながら螺旋状に伝熱面に沿って順次上昇せしめつつ、最上部に達した被乾燥物を被乾燥物落下空間を通して最下部に落下させ、伝熱面に被乾燥物を接触、過熱させ、その後蒸発面に移動する工程では、被乾燥物を載せた垂直螺旋回転羽根の回転に伴う遠心力によって被乾燥物を電熱面に押し付け含有する水分が蒸発し、含水率が低くなった被乾燥物を含水率の高い被乾燥物と入れ替えるようにして空間に臨む蒸発面に移動させることを特徴とする乾燥方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2627399号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
粉砕された動植物性残渣物等の高水分有機物の乾燥において、過熱された被乾燥物は、その場でも水分蒸発は起こるものの、更に水分蒸発を促進させるためには、個々の被乾燥物の面が空気にさらされることが大切であるが、機械的に撹拌、移動する方法では、空気にさらされる面が限られてしまうとう云う従来の問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、乾燥槽に回転軸を設け、該回転軸の該槽近傍に複数の撹拌を助長する小孔を設けた噴射管を設け、該噴射管の該小孔の上方から該小孔を覆うようにプレートを斜設し、該噴射管には、圧力空気を供給する手段を内部又は外部に設け、且つ回転軸には該プレートの上方に拡散用羽根を設けた乾燥装置を提供する。
【0006】
前記乾燥槽の上部に被乾燥物の投入口と排気口を設け、それら口に対応して複数の拡散用羽根を設けることで、被乾燥物に対して、拡散させて乾燥効率を向上させるものとする。
【0007】
前記圧力空気を供給する手段は、回転軸によって駆動される送風羽根を設け、該羽根によって昇圧された空気を前記噴射管へ供給させることで、送風機を別設することを必要とせず、コストを引き下げるものとする。
【0008】
前記回転軸は、外軸と中軸とに分かれ、外軸に拡散羽根、噴射管及びプレートを設け、中軸には送風羽根を設けることで、回転軸を兼用させて有効活用を図るものである。
【0009】
前記排気口へサイクロン型の製品収容槽を連結したことで、更に乾燥効率を向上させるものである。
【発明の効果】
【0010】
底面にある被乾燥物を巻き上げるように噴射管に備えられたプレートによって空間に巻き上げられた被乾燥物に対して、プレートの下面に沿って噴き出された乾燥した空気、又加熱手段を設ければ温風及び熱風等の、螺旋状の気流によって吹上、上昇させることによって、乾燥した空気と接する機会と面積を、増やすことで乾燥効率を高める。
【0011】
更に、拡散用羽根によって、被乾燥物を下方向の気流を生じさせるように設けることによって助長された遠心力で被乾燥物は過熱された発酵槽内面に飛ばされると共に、螺旋状に吹上、上昇する乾燥した噴出空気の噴射管を備えるプレートによって上空間に巻き上げられた被乾燥物とが混ざり合い、攪拌効果を一層たからしめる
【0012】
乾燥した被乾燥物は気流によって、ダクトを通して製品収容槽に運ぶことも可能であるため、簡易な構造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の1実施例の乾燥装置の断面図を示す。
【図2】本発明の送風機及び噴射管等の関連の詳細図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1の実施例に示されるように、円形状の乾燥槽(1)には、回転軸(2)が設けられており、
該回転軸(2)には、比較的上方に複数の拡散用羽根(6)を設け、且つ乾燥槽(1)の天面上部
方向に被乾燥物の投入口(7)と排気口(8)を設け、それらに対応して、複数の拡散用羽根を
設け、拡散による乾燥効果を得る。
【0015】
拡散用羽根(6)は、その構造は、被乾燥物を下方向の気流を生じさせるように設けることに
よって助長された遠心力で被乾燥物は過熱された発酵槽内面に飛ばされる。 該羽根(6)の傾きは、図2の(1)に示されるものとは反対方向となるのが理解される。
【0016】
なお、拡散用羽根(6)は、この外、回転軸(2)の適宜の箇所に設けることができるが、図1の
(1)
の矢印B−Bに示され、図2の(3)に詳細が示されるように、中軸(20)に取り付けることもで
きる。この場合、外軸(22)は、その上下で軸受け(23)(23)により支持される。この場合の回転方向は、前記拡散用羽根(6)と逆方向となるので、更なる拡散効果が得られるのが理解される。
【0017】
又回転軸(2)は、図1の(2)に示されるように外軸(22)と中軸(20)とに分かれ、外軸(22)に拡散羽根(6)、噴射管(5)及びプレート(5a)を取り付ける。
そして、中軸(20)と外軸(22)とは、歯車機構によって、中軸(20)よりモータ(3)によって駆動される(図1の(1)の矢印A−A)。
なお、この実施例では、中外軸を図1の(2)(3)に示されるように、ピニオンによって駆動させるものとしたが、その場合、回転方向は逆になるが、それ以外にも、図1の(3)に示されるように、中外軸を一体として固定させて回動することもできる。
【0018】
図2の(1)に示されるように、中軸(20)の下方には、送風ケーシング内に送風羽根(40)が取り付けられており、送風口(401)から吸い込まれた空気は昇圧され、外軸(22)との空間通路を通って上昇し噴射管(5)への供給口(4a)へ至る。
【0019】
中軸(20)と外軸(22)とは。歯車機構は、少なくとも軸上下に2か所設けられることが、好ましいが、(26)に示されるように軸受け(26)があると回転の安定に寄与する。又、外軸(22)は回転するので、乾燥槽(1)に支持軸受けを適宜設ける。
更に、軸受け(26)を囲む閉鎖する板材で設ければ、送風羽根(40)によって、昇圧された空気が上方へ行かずに、噴射管(5)に十分な圧力空気を供給することが可能となる。
【0020】
図の(1)(2)に示されるように、噴射管(5)には、設けられた小孔(501)が、やや斜め方向上
向き撹拌を助長できるに設け、該噴射管の該小孔(501)の上方から該小孔を覆うようにプレート(5a)を斜設したもので、噴射された空気は、被乾燥物を螺旋状の気流を生じさせ巻き上げながら、拡散させ乾燥時間を長くして、装置内を循環させ、乾燥効率を図る。このプレート(5a)が、拡散効果を上げる点は、前記拡散用羽根(6)と同じだが、その角度が被乾燥物を上方に巻上げるのに対し、前記拡散用羽根(6)は下方向へ乾燥物を下方向への気流を生じさせるように設けられているので、その助長された遠心力で、下方向のプレ-ト(5a)の上方向へ巻上げる気流と干渉し、相まって、被乾燥物は更に攪拌され乾燥されることになる。
小孔(501)は、その噴射角は、上記斜め方向上向きの外に、可なりの範囲で設けることができ、例えば、横方向や下方向きでも撹拌しえることは可能である。その被乾燥物の種類や重さ等で適宜対応することができる。
【0021】
図1に示される実施例では、送風羽根(40)の上方に歯車機構が設けられているが、送風上の効率を考えて、噴射管(5)の供給口(4a)より上方に設けることもできる。
そして、複数の骨材の支持棒により支持された軸受け(26)を下方向に設ければ空気の流れを円滑にすることができる。
【0022】
又、中軸(20)の構造を、図2の(4)に示されるように、一部のみを送風機室にして、噴射管(5)へ昇圧空気を送るものとし、他は中軸のみとすることも可能である。この場合には、拡散用羽根の取り付けはより簡単である。
更には、外部に設置した送風機から、圧力空気を、例えば、同図の外より送風機室へ供給することも可能である。この場合、圧力空気の送気管を送風機室の下端側へ通し、且つ軸受けで送気管を支持し、下端側の孔へ取り付ければ空気漏れを少なくし、支持もしっかりすることができる(図示せず)。
【0023】
又乾燥槽の排気口(8)に対して、吸気口(11)を通して、連通するダクト(9)によって連通させる、底面に製品排出口(13)、上方に排気口(12)を有する円筒形のサイクロン型の製品収容槽(10)を設ければ、更に乾燥効率を高めることができる。
【0024】
このように、回転軸(2)に水平に固定された複数の噴射管(5)を回転させながら乾燥した空気を噴射することにより螺旋状の気流を生じさせ、被乾燥物を装置内において乾燥した空気と接する機会と面積を増加させる特徴を持つ乾燥装置が得られる。即ち、空間に放り出された被乾燥物に対し噴射管を通して、螺旋状の気流を生じさせ下方から乾燥した空気を供給することの効果は大きい。更に、拡散用羽根により下方向へ向かわせる気流と干渉し、更に攪拌効果を高められる。
【0025】
又、温風及び熱風を供給する為に、乾燥槽(1)の内部に、温風等を発生するニクロム線を設ければ、更に、乾燥効率を上げる被乾燥物と接する機会と面積を増加させることが可能である。
このことで、発酵槽を外部から、電熱線や蒸気等の多様な手段を設けることで、過熱させることで、螺旋気流の遠心力、また、拡散回転羽根を下方向の気流を生じさせるように設けることによって助長された遠心力で被乾燥物は過熱された発酵槽内面に飛ばされ、最過熱された被乾燥物は再び乾燥した空気、温風及び熱風等に接することができ、乾燥効率が向上する。
【0026】
その他、前記実施例に限られることなく、本発明の技術思想に基づいて、種々の変形例が当業者によって可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0027】
1 乾燥槽
2 回転軸
3 モーター
4 送風機
4a 噴出口
5 噴射管
5a プレート
501 小孔
6 拡散用羽根
7 投入口
8 排気口
9 ダクト
10 製品収容槽
11 吸気口
12 排気口
13 製品排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥槽に回転軸を設け、該回転軸の該槽近傍に複数の撹拌を助長する小孔を備えた噴射管を設け、該噴射管の該小孔の上方から該小孔を覆うようにプレートを斜設し、該噴射管には、圧力空気を供給する手段を内部又は外部に設け、且つ回転軸には該プレート上方に拡散羽根を設けたことを特徴とする乾燥装置
【請求項2】
前記乾燥槽の上部に被乾燥物の投入口と排気口を設け、それら口に対応して複数の拡散用羽根を設けたことを特徴とする請求項1記載の乾燥槽
【請求項3】
前記圧力空気を供給する手段は、回転軸によって駆動される送風羽根を設け、該羽根によって昇圧された空気を前記噴射管へ供給することを特徴とする請求項1又は2記載の乾燥装置
【請求項4】
前記回転軸は、外軸と中軸とに分かれ、外軸に拡散用羽根、噴射管及びプレートを設け、中軸には送風羽根を設けることを特徴とする請求項1、2又は3記載の乾燥装置
【請求項5】
前記排気口へサイクロン型の製品収容槽を連結したことを特徴とする請求項1記載の乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−132647(P2012−132647A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286778(P2010−286778)
【出願日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(507206000)北海道特殊飼料株式会社 (8)
【Fターム(参考)】