説明

予備剥離ナノクレーに基づくマスターバッチおよびその使用

本発明は、予備剥離性添加剤もしくは添加剤混合物により改変された膨潤性無機層状材料からのナノクレーを有する組成物、特に粉末状マスターバッチに関するものである。添加剤もしくは添加剤混合物は飽和もしくは不飽和脂肪酸およびその塩、脂肪酸誘導体、ポリマー脂肪酸、シロキサン誘導体の群から或いはエチレン−プロピレン−コポリマー(EPM)、エチレン−プロピレン−ターポリマー(EPDM)、熱可塑性エラストマー、カップリング剤、架橋剤またはその混合物の群から選択される。粉末状マスターバッチもしくは組成物はポリマー粉末と共に均質混合物を与え、その形態で使用することができる。更にポリマー−マスターバッチを、キャリヤポリマーとの粉末状マスターバッチの配合により作成することもできる。粉末マスターバッチもしくはポリマー−マスターバッチは種々のポリマー組成物に充填材として或いは充填材系に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、有機介在ナノクレーに基づく組成物(特にマスターバッチ)、この組成物/マスターバッチの本発明による使用、およびその製造方法に関するものである。
【0002】
充填材としてのナノクレーによるプラスチックもしくは一般にポリマー材料の性質改善の可能性は既に古くから知られている。このナノクレーの重要な源泉としては、水膨潤性天然もしくは合成層状シリケートが挙げられる。水での膨張に際し層状小板がナノ範囲にて放出され、これにより規則的なネットワークが生ずる。ポリマーまたは一般に長鎖イオンまたは他の帯電粒子は中間層に浸入することがあり、これを介在(挿入)と称する。
【0003】
介在ナノクレーを工業的に使用しうるためには、これらを更なる膨張剤の使用下で剥離せねばならない。この剥離に際し、層状シリケートにおける初期近接順序が喪失される。完全に剥離したスメクタイト(この種の層状シリケートの例としてはモンモリロナイト)は1000までの極めて高いアスペクト比を有する粒子寸法を形成し、直径約1nm、幅約100nmおよび長さ500〜1000nmを有する層により得られる。
【0004】
本出願の目的でナノクレーという概念は常に有機介在層状シリケートと理解される。これはこの分野における一般的な理解に相当する。この種のナノクレーは市販入手しうる。「ナノフィル」という名称の下でモンモリロナイトに基づくナノクレーがズードヘミーAGにより市販されている。たとえばジステアロイルジメチル−アンモニウムクロライドで有機介在された「ナノフィル15」および「ナノフィル5」が挙げられる。「EA108」と称する米国、エレメンティス・コーポレーション社の製品はヘクトライトに基づいている。
【0005】
プラスチック処理工業におけるこれらナノクレーの使用については、天然もしくは合成層状シリケートを先ず最初に親有機性にせねばならず、これらを疎水性プラスチックと共に処理せねばならないという化学的問題が生ずる。層状シリケートのこの親有機性改変のための重要な方法としてカチオン交換が挙げられる。カチオン交換は水相にてアンモニウム−、ホスホニウム−もしくはスルホニウム−表面活性剤に基づくカチオン型表面活性剤で行われる。更なる方法としては酸活性化も知られている。この場合、たとえば塩酸が使用される。
【0006】
ナノクレーはハロゲンフリーの難燃剤における添加剤として意義を有する。ドイツ国特許出願公開第19921472号明細書には、難燃性ポリマー組成物が開示されており、これは熱可塑性もしくは架橋性ポリマー、マグネシウム−、カルシウム−亜鉛−および/またはアルミニウム−水酸化物および/またはその二重水酸化物をハロゲンフリーの充填材として含有し、更に膨潤性スメクタイトに基づく有機介在層状シリケートをも含有する。
【0007】
ナノクレーは好ましくはハロゲンフリーの難燃剤における添加剤として使用される。何故なら、これらはポリマーの燃焼に際し安定なクラスト相を形成するからである。この種のクラスト相の形成は、火災の拡大を強化しうるような更なるポリマーの着火、燃焼ポリマーの崩落または崩壊を阻止する。
【0008】
ナノクレー充填材においては、その効果を高めるためこれらを導入すべきポリマーにて剥離させる必要がある。しかしながら従来技術においては、充分な剥離が問題になると示されている。配合の際の膨潤剤の存在は特に、有機溶剤を使用する場合は、プロセス技術上問題となる。たとえば官能化されたシランのような従来のカップリング剤も従来使用することができない。
【0009】
仕上ポリマーにおいて、これまで好ましくないと示されたことは、ナノクレー充填材の使用に際しポリマー組成物の機械的性質および押出性が相当に阻害される点である。ナノクレー充填材は、各ポリマー組成物中へ混入する際の困難性を拡大する。剥離が困難であるため、これらを全ポリマー組成物中に緊密に分配させることも従来困難であった。このこと、およびその従来高いコストにより、その使用分野も限定された。電気分野では更なる問題が生ずる。特に塩水においては数日間にわたり300Vを用いる浸漬試験は、アーク形成によりポリマーの崩落をもたらした。
【0010】
このことから出発して、本発明は、特に予備剥離に関しその性質を改善しながら種々のポリマー材料に均一に分配することができ、所望ポリマーへの混入により完全なデラミネーション/エクスホリエーションを改善し、更に新規な使用分野へのナノクレー充填材の使用を可能にすると共に、その使用に係るコストを減少させてその経済効果を高めるようなナノクレー充填材を提供することを課題とする。
【0011】
この課題は、予備剥離添加剤もしくは添加剤混合物により改変された膨潤性無機層状材料からのナノクレーを有する請求項1に記載の組成物、特に粉末状マスターバッチにより解決される。
【0012】
マスターバッチと言う概念は化学おいてそれ自体公知であり、先ず最初に作成され、次いで生産プロセスもしくは工程手順で使用される予備混合物を意味する。本発明の範囲内で、先ず最初に粉末状マスターバッチを作成すると共にポリマーもしくはポリマー組成物(これはプラスチックとすることもできる)における事前の単位として性質を改質するための充填材として使用すれば、従来技術で公知の欠点を回避しうることが示された。
【0013】
マスターバッチに含有されるナノクレーは0.1〜1000μm、好ましくは0.1〜100μm、特に好ましくは1〜15μm、全く好ましくは2〜10μmの平均粒子寸法を有する。
【0014】
ナノクレーは磨砕されたナノクレーを含有することもでき、或いは充分に磨砕することもできる。磨砕自身は、高い処理量を可能にすると共に磨砕ナノクレーに高い収率を与える公知の処理プロセスである。磨砕自身には特に要件を必要としない。ジェットミル、ボールミル、特に振動ミル、ロールミル、インパクトミル、磨砕ミルもしくはピンディスクミルにより行うことができる。
【0015】
市販入手しうるナノクレーの粒子寸法より低く平均粒子寸法が減少される磨砕ナノクレーは特に、ハロゲンフリーの充填材と共にポリマー組成物中に難燃剤として使用すべく役立てるマスターバッチを作成すれば大きな利点を有する。ナノクレーはこれらがその所望の作用を達成し得なくなると想定せねばならない平均粒子寸法まで減寸されるが、この種のマスターバッチの使用に際しポリマー組成物の機械的性質および処理特性が顕著に改善されることが驚くことに確認された。
【0016】
機械的性質および処理特性のこの改善はポリマー組成物への難燃性かつ好ましくはハロゲンフリーの充填材の一層高い充填を、同一の機械的性質および同一の処理特性につき可能にする。
【0017】
しかしながら他方、難燃性充填材の一層低い充填は、これにより機械的性質および処理特性を改善すると同時にポリマー組成物の難燃性の悪化には作用しない言う利点も得られる。ポリマーまたはポリマー組成物の難燃性につき粉末状マスターバッチの本発明による使用を更に説明する。
【0018】
好ましくは天然もしくは合成層状シリケートから無機層状材料が選択される。この種の層状シリケートとしては特にスメクタイトがあり、これにはモンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイトおよびバイドライトを挙げることができる。ベントナイトも使用することができる。
【0019】
本発明による組成物もしくはマスターバッチには更に少なくとも1種の添加剤を含有させることができ、これは飽和および不飽和脂肪酸およびその塩、脂肪酸誘導体、ポリマー脂肪酸、シロキサン誘導体またはその混合物の群から選択される。
【0020】
ここに挙げた全ての添加剤もしくは添加剤混合物はナノクレーの剥離の改善に役立ち、ここで上記脂肪酸および脂肪酸誘導体はこれらが一般的に使用される挿入剤に対し最良の化学的適合性を有すると共に価格上有利であるという格別の利点を有する。
【0021】
驚くことに、乾燥された粉末状ナノクレーからの本発明による組成物/マスターバッチの作成を出発し、次いで乾燥プロセスにて予備剥離添加剤もしくは添加剤混合物により改変すれば、最良の生産性が達成されることが示された。その際、乾燥添加剤もしくは添加剤混合物でナノクレーを被覆し、ここで従来の乾燥ミキサ(特に高い回転速度を有するミキサ)を使用することができる。ここで乾燥は非粉末状もしくはペースト状(押出性)材料、スラリーまたは懸濁物とは相違するものである。好ましくは、ナノクレーの本発明による改変は従って表面改質もしくは表面被覆である。
【0022】
本発明による添加剤もしくは添加剤混合物の格別の利点は粉砕ナノクレーと組み合わせて得られる。何故なら、これらは微細粉末として微細な粉塵を形成すると共に爆発の潜在的な危険源となりうるからである。上記添加剤または上記添加剤の任意の混合の使用により、この問題は明らかに軽減または排除することができる。
【0023】
10〜13個の炭素原子を有する脂肪酸から選択された脂肪酸もしくは脂肪酸誘導体が好適である。ここで特にラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、カプロン酸およびひまし油が挙げられる。脂肪酸、特にこれら群の上記代表例は、多量に容易に得られると共にコスト上有利であり、他方において工業尺度で確実な環境を与えうるという利点を有する。
【0024】
脂肪酸誘導体は水素化誘導体、アルコール誘導体、アミン誘導体またはその混合物を包含する。
【0025】
更に、これらはポリマー脂肪酸、ケト脂肪酸、脂肪酸アルキルオキサゾリンおよび脂肪酸アルキルビスオキサゾリンまたはその混合物の群から選択することもできる。
【0026】
不飽和脂肪酸においては特にモノ−もしくはポリ−不飽和ヒドロキシ脂肪酸が挙げられる。
【0027】
添加剤としてシロキサン誘導体を使用する場合、これは好ましくはオリゴマーもしくはポリマーシロキサンまたはシロキサン誘導体、特にオリゴアルキルシロキサン、ポリジアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリジアリールシロキサンまたはその混合物であり、上記シロキサン誘導体は特に好ましくは少なくとも1個の反応基で官能化される。
【0028】
上記添加剤の代案として、エチレン−プロピレン−コポリマー(EPM)、エチレン−プロピレン−ターポリマー(EPDM)、熱可塑性エラストマー、カップリング剤、架橋剤またはその混合物から選択されるものも含有させることができる。使用すべきカップリング剤としては官能化シロキサンが挙げられる。EPMおよび/またはEPDMは好ましくは20,000未満の分子量を有する。EPMおよび/またはEPDMにおけるエチレンとプロピレンとの比は40:60〜60:40とすることができる。
【0029】
実質的に均質の予備剥離ナノクレーの混合物の形態における粉末状マスターバッチは、実質上均質にポリマー粉末と混合することができる。ポリマー粉末は、これがたとえば高められた温度で貯蔵される場合は、粉末マスターバッチのケーキ化を全て阻止せねばならない。これは仕上粉末マスターバッチの自由流動性の改善に決定的に貢献する。それぞれ使用すべきポリマー粉末のための適する選択基準は実質的に粉末マスターバッチの更なる使用目的との適合性である。挙げるべき例は、たとえばポリエチレン−エチレンビニルアセテート−コポリマー(EVA)、エチレンエチルアクリレート−コポリマー(EEA)、エチレンメチルアクリレート−コポリマー(EMA)、エチレンブチルアクリレート−コポリマー(EBA)、その無水マレイン酸(MAH)で改変された誘導体、イオノマー、スチレンエラストマーシステム、エーテル−エステル−ブロックコポリマー、ポリエーテル−ポリアミド−ブロック−コポリマー(PEBA)、熱可塑性ポリマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性シリコンゴムの混合物または上記ポリマーの混合物のような適するポリマー粉末である。この種の混合物としては、たとえばEVA/SAN、EVA/PA11、EVA/PSおよび更にPVDF/EVAが挙げられる。後者はデュポン社からALCRYNとして市販入手しうる。
【0030】
更に本発明の課題は、本発明の実施形態において粉末状マスターバッチと所定のキャリヤポリマーの配合により得られたポリマーマスターバッチにより解決される。
【0031】
そのため適するキャリヤポリマーはポリエチレン−エチレンビニルアセテート−コポリマー(EVA)、エチレンエチルアクリレート−コポリマー(EEA)、エチレンメチルアクリレート−コポリマー(EMA)、エチレンブチルアクリレート−コポリマー(EBA)、その無水マレイン酸(MAH)により改変された誘導体、イオノマー、スチレン−エラストマー−システム、エーテル−エステル−ブロックコポリマー、ポリエーテル−ポリアミド−ブロック−コポリマー(PEBA)、熱可塑性ポリマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性シリコーンゴムの混合物、または前記ポリマーの混合物を包含する。この種の混合物としては、たとえばEVA/SAN、EVA/PA11,EVA/PS、更にPVDF/EVAを挙げることができる。後者はデュポン社によりALCRYNとして市販入手しうる。
【0032】
有利であると共に工業的使用に関して簡単に言えば、粉末マスターバッチとの実質上均質な混合物を形成するためのポリマー粉末として、およびポリマーマスターバッチを形成するためのキャリヤポリマーとして実質的に同一の出発物質が適するという事実である。簡単な技術的取り扱いの他に適合性問題も回避される。
【0033】
ポリマー−マスターバッチにおけるキャリヤポリマーの割合は10〜90重量%、好ましくは40〜70重量%である。ポリマー−マスターバッチの使用に関し、これが顆粒形態で存在すれば有利であると判明した。
【0034】
必要に応じ上記具体例の1つにおける本発明の粉末マスターバッチまたはポリマーマスターバッチはポリマー、ポリマー組成物または一般にプラスチックナノ−充填材として広範な種類の用途にて導入することができる。これには更に、既知の充填材系に使用して従来一般的な充填材の含有量を減少させると共に、一般的に作成されたポリマーもしくはポリマー組成物の性質プロフィルを改善することも挙げられる。
【0035】
重要な分野は、この場合、ハロゲンフリーの難燃剤における使用である。ハロゲンフリーの充填材としては難燃剤中に実質的に水酸化アルミニウム、アルミニウムオキシハイドレート(ベーマイト)、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、ブルサイト、炭酸マグネシウム、ヒドロマグネサイト、ハンチット、ボーキサイト、炭酸カルシウム、タルク、ガラス粉末、メラミンイソシアヌレート、その誘導体およびその製剤、ボレート、スタネートおよびヒドロキシチタネート、ホスフェートまたはその任意の混合物を使用することができる。使用されるハロゲンフリーの充填材とポリマーもしくはポリマー組成物との間の適合性を実現するにはこれら充填材を混入してハロゲンフリーの難燃剤を得るようにし、従来技術においてはこれまでハロゲンフリーの充填材(ここでは特に水酸化アルミニウムおよびマグネシウムが挙げられる)を表面改質することが必要であった。機械的および/または電気的性質に対する所望の尺度のみがこれを可能にした。上記ハロゲンフリーの充填材を本発明のマスターバッチと一緒に使用すれば、驚くことに好適には従来一般的なハロゲンフリーの充填材の表面改質の必要性が不可欠でないと判明した。
【0036】
上記ハロゲンフリーの充填材には更に、特に水酸化アルミニウム(一般式Alx3HOのATHと称するアルミニウムトリハイドレート)および種々の形態における水酸化マグネシウムも挙げられ、ここで両グループにつき難燃剤におけるその効果だけでなく発煙の回避の分野およびハロゲン化(特に臭素化および塩素化)されたポリマーにおけるその使用、特にPVCにおける使用の際のその格別の効果も挙げられる。本発明の粉末−もしくはポリマー−マスターバッチと組み合わせて使用することにより、ハロゲンフリーの充填材の割合を性質プロフィルにマイナスに影響することなく減少させることができる。
【0037】
水酸化マグネシウムにおいては、合成形態も天然産のブルサイトも同様に使用することができる。これら充填材は1〜12μm、好ましくは2〜8μmの平均粒子寸法まで磨砕するのが好ましい。本発明のマスターバッチと組み合わせる充填材の使用に際し処理温度が180℃より高い場合または仕上ポリマーもしくはプラスチックの長時間にわたる使用温度が150℃より高い場合は、充填材の平均粒子寸法が2〜8μmであれば、特に良好な結果が得られる。
【0038】
特に驚くべき用途には、たとえば粉末マスターバッチとしての形態においても或いはポリマーマスターバッチの形態における形態においても、未配合ポリオレフィンにおける充填材としての使用、或いはたとえばポリアミドおよびポリエステルのような工業プラスチックにおけるその混合物(「アロイ」とも称される)における、更にその混合物、ポリスチレンおよび熱硬化剤、たとえば不飽和ポリエステル(UP)システムおよびエポキシ樹脂システムにおける充填材としての使用も存在する。
【0039】
これらポリオレフィン系に充填材として使用される粉末マスターバッチもしくはポリマーマスターバッチは理想的な、すなわちポリマーマトリックスにおける剥離分配および分散(従来、非極性ポリマーでは不可能であった)を達成することが示された。従来、たとえばこの種のポリマーマトリックスにおける従来得られるナノクレーの0.1〜15重量%のような極めて小割合の均一な分散物を得るには相当な問題が存在し、その結果機械的性質の相当な悪化および更に燃焼試験における予想外の変動的な性能が生ずる。
【0040】
本発明の粉末マスターバッチおよび本発明のポリマーマスターバッチで見出された格別の利点は、これらを適合化剤としてもクラスト形成剤としても使用することができ、従って更に、難燃剤の効果的成分としても使用しうる点である。ポリマー組成物は更に当業者には周知の安定化剤をも含有することができる。
【0041】
粉末マスターバッチまたはポリマーマスターバッチの更なる広範な使用分野は、エラストマーおよび熱硬化性プラスチックにおける充填材としての使用がある。
【0042】
粉末マスターバッチまたはポリマーマスターバッチの上記広範な種類のポリマー系における使用の利点は極めて一般的に次のように要約することができる:粉末マスターバッチもしくはポリマーマスターバッチの使用はポリマー組成物の表面特性の改善、たとえば表面円滑性もしくは均一性、グリース性表面外観の不存在、および印刷および複写プロセスにおける優秀な性能を達成する。これらの他に、耐摩耗性における改善、浸透特性における好適効果、更に摩擦特性に対する好適作用も存在する。工業用途につき挙げうる特に有利な特徴は、種々のガス状物質に対する透過性の不存在である。たとえば射出成形プロセスにおける処理特性が、可塑性および成形性の増大を介し顕著に改善されうる。挙げるべき他の有利な特性は収縮の減少、押出器における改善された処理特性および減少した曇りである。吹込成形においては良好な処理性および吹込材料を安定化させる全体的効果が観察された。たとえばB1およびUL94のような燃焼試験は、粉末マスターバッチもしくはポリマーマスターバッチの形態におけるナノクレー充填材の極めて低い充填でさえ低い材料の滴下を示した。
【0043】
本発明の粉末マスターバッチを1具体例で含むポリマー組成物を作成すべき場合、難燃性ポリマー組成物の1例として示されるように、これは簡単に行うことができる。先ず最初にナノクレーを選択し、予備剥離させると共に、所望の粒子寸法まで微粉砕する。これによりポリマー粉末と共に実質的に均質な混合物まで処理しうるような粉末状マスターバッチが得られる。このマスターバッチを難燃性(好ましくは更にハロゲンフリー)の充填材と共にポリマー中に導入して難燃性ポリマー組成物を形成させるには、2つの異なる方法が可能である。先ず最初に粉末状マスターバッチを充填材と混合し、次いでポリマーと配合して難燃性ポリマー組成物を得ることができる。第2の具体例においては、粉末状マスターバッチと充填材とを互いに別途に溶融ポリマーの流れに投入し、ここに包封して難燃性ポリマー組成物を形成させる。
【0044】
更にこの種の難燃性ポリマー組成物の作成は、ポリマーマスターバッチを基礎とすることもできる。次いでポリマー組成物につき所望されるポリマーをポリマーマスターバッチと本発明によるその具体例により配合し、これには再びナノクレーを選択すると共に予備剥離させ、更に必要に応じ所望粒子寸法まで磨砕する。これにより必要に応じ粉末状マスターバッチがポリマー粉末との均質混合物として得られる。得られた粉末マスターバッチを、ポリマー粉末に対し適合した或いは使用ポリマー粉末と同一であるキャリヤポリマーと配合してポリマーマスターバッチを形成させ、次いで仕上難燃性ポリマー組成物まで更に処理する。ここでも2つの代案プロセスが可能である。第1代案においては、ポリマーマスターバッチを混入すべきポリマーと機械的に混合し、次いで難燃性の好ましくはハロゲンフリーの充填材と配合して仕上難燃性ポリマー組成物を与える。第2の代案においては、ポリマーマスターバッチを難燃性にすべきポリマーと一緒に配合装置の第1入口に供給し、次いで難燃性充填材をその後の時点(「下流」)にて溶融ポリマー組成物に添加し、或いは「スプリット・フィード」プロセスとして知られるように投入して仕上難燃性ポリマー組成物を形成させる。
【0045】
粉末マスターバッチおよびポリマーマスターバッチにつき記載したプロセスは難燃性ポリマー組成物を作成するに使用しうるだけでなく、原理的には粉末マスターバッチおよびポリマーマスターバッチの他の広範な種類の用途についても、たとえばポリオレフィンの配合にて使用することができる。配合の際の優秀な結果は、ポリマーマスターバッチのための出発点でもある粉末マスターバッチを介し使用ナノクレーがこの段階により使用ナノクレーの各層を作成すると共にその剥離を促進するよう処理した後、実際の配合工程を行うという技術に起因する。その結果、配合プロセスは一層効果的となり、所望ポリマーにてナノクレーを剥離するためのエネルギーコストおよび時間コストが低くなる。その結果、作成されたマスターバッチを使用すれば配合が極めて有利となる。何故なら、ポリマーの滞留時間が減少し、更に熱劣化が予測されると共に対抗されるからである。ポリマーの熱経歴が最小に維持され、他方、仕上ポリマー組成物または配合物の色強度および機械的特性も顕著に改善され、処理量が増大すると共に配合プロセスのコストも顕著に減少する。本発明によるマスターバッチの使用につき挙げうる他の利点は、ポリマーまたはポリマー組成物のナノクレーによる全体的負荷を減少させ、好ましくは2重量%の比率まで、特に好ましくは1重量%以下の比率まで、たとえば難燃剤の作成につき使用する場合は難燃特性を阻害することなく減少させうる点である。これとは比較して、ポリマー組成物のナノクレーによる従来の負荷の場合は、必要とされる全体的負荷は5〜10重量%である。
【0046】
配合プロセス自身の際および配合ポリマーもしくはポリマー組成物の性質プロセスに関するこれら顕著な改良は、マスターバッチの形態でナノクレーを作成して配合プロセスを開始する前でさえ剥離を促進するよう作用するプロセスがナノクレーをポリマーおよび他のハロゲンフリーの充填材および/または必要に応じ使用されるポリマーと混合するのに役立ち、実際の配合工程の際の混合よりも効果的であるという事実により説明しうる。
【0047】
例として65重量%の全充填材負荷と200%より大(2m/mに相当する)、好ましくは500%(5m/mに相当する)またはそれ以上の破断点伸び率を有するプロピレンに基づくポリマーまたはポリマー組成物の場合、本発明によるマスターバッチを使用しない10%(0.1m/mに相当)と比較して配合プロセス後に示すことができる。
【0048】
難燃性ポリマー組成物を作成するための上記プロセスは、たとえば得られたポリマー組成物を押出してケーブルもしくはワイヤを製造する場合のような下流プロセス工程を介し完結される。その後の更なるプロセスはポリマー組成物の射出成形、フィルムの吹込成形および回転成形であって、得られるポリマー組成物を処理して仕上製品を与える幾つかの可能性を挙げることができる。
【0049】
ポリマーもしくは粉末マスターバッチを用いて得られるポリマーもしくはポリマー組成物は、有利にはクラスト形成用の相乗剤としておよび適合化剤として、更に一般的には広範な種類のポリマー組成物における性質を改善する手段として、更にバリヤ層形成性組成物として難燃性部門に使用することができる。エラストマーおよび熱硬化性プラスチックも、この種のポリマー組成物につきその性質を僅かに改善することができる。
【0050】
以下、本発明を実施例により一層詳細に説明する。
【0051】
実施例
本発明の実施例および比較例にて得られるポリマー組成物を以下の標準的試験および標準的測定にかけた:
メルトインデックス(MFI):DIN53 735に従う、
引張強さ:DIN53 455に従う、
破断点伸び率:DIN53 455に従う、
衝撃耐性試験(a):DIN53 453に従う、
燃焼性能:UL−94試験、アンダーライター・ラボラトリース・標準に従う
UTBD(アンタンプト嵩密度)は非圧縮嵩密度(kg/l)につき使用される用語である。
高速ミキサとしては常にM.T.I社からの60/2500型を使用した。
【0052】
I.粉末マスターバッチの作成
実施例1:
爆発防止せねばならない市販入手しうる高速ミキサを次のように使用した:
100kgのズードヘミーAG社、ドイツ国、のナノクレー「ナノフィル15」を1360UPM(毎分の回転数)にて約45℃の温度まで加熱すると共に、この温度にて
34kgのユニケマ・インターナショナル社、エンメリッヒ、ドイツ国、のポリマー脂肪酸「プリポール1004」を約30秒の時間にわたり添加剤として投入する。
上記回転数にて反応混合物を100℃の放出温度まで加熱し、次いで冷却ミキサにて約30℃の最終温度まで冷却する。
40kgのポリオレフィン粉末を上記で得られた反応混合物と均質混合して、たとえば比較的高温度での貯蔵に際し固化(ケーキ化)を阻止すると共にバリヤ層を有する袋に包装する。
【0053】
このように得られた粉末マスターバッチは極めて良好な投入性能を有する自由流動性のほぼ粉塵のない粉末であって、0.65kg/リットルのUTBDを有する。極めて良好な投入性能に基づき、この粉末マスターバッチは連続式配合装置に極めて適している。ポリオレフィン粉末の代わりに、一般にたとえばEVA粉末も使用することができる。
【0054】
実施例2:
爆発防止せねばならない市販入手しうる高速ミキサを次のように使用した:
100kgのズードヘミーAG社、ドイツ国、のナノクレー「ナノフィル15」を1360UPM(毎分の回転数)にて約45℃の温度まで加熱すると共に、この温度にて
24kgのポリマー脂肪酸「リトソルベントKU」と
4.4kgのポリジエチルシロキサン「リトソルベントPL」(両者ともKeBo社、デュッセルドルフ、ドイツ国)を所定の順序で添加剤として投入する。所定の回転数にて反応混合物を90℃の放出温度まで加熱し、次いで冷却ミキサにて約30℃の最終温度まで冷却する。
20kgのポリオレフィン粉末を上記で得られた反応混合物と均質混合して、たとえば高温度における貯蔵に際し固化(ケーキ化)を阻止すると共に保護層袋に包装する。
【0055】
このように得られた粉末マスターバッチは極めて良好な投入特性を有する自由流動性のほぼ粉塵のない粉末であって、0.82kg/リットルのUTBDを有する。極めて良好な投入性能に基づき、この粉末マスターバッチは連続式配合装置に極めて適している。
【0056】
実施例2a:
爆発防止せねばならない市販入手しうる高速ミキサを次のように使用した:
100kgのズードヘミーAG社、ドイツ国、のナノクレー「ナノフィル5」を1360UPM(毎分の回転数)にて約45℃の温度まで加熱すると共に、この温度にて
24kgのポリマー脂肪酸「リトソルベントKU」と
4.4kgのポリジエチルシロキサン「リトソルベントPL」(両者ともKeBo社、デュッセルドルフ、ドイツ国)を所定の順序で添加剤として投入する。所定の回転数にて反応混合物を90℃の放出温度まで加熱し、次いで冷却ミキサにて約30℃の最終温度まで冷却する。
【0057】
このように得られた粉末マスターバッチは極めて良好な投入特性を有する自由流動性のほぼ粉塵のない粉末であって、0.69kg/リットルのUTBDを有する。極めて良好な投入性能に基づきこの粉末マスターバッチは連続式配合装置に極めて適している。
【0058】
実施例3:
爆発防止せねばならない市販入手しうる高速ミキサを次のように使用した:
100kgのズードヘミーAG社、ドイツ国、のナノクレー「ナノフィル5」を1360UPM(毎分の回転数)にて約45℃の温度まで加熱すると共に、この温度にて
4.4kgのポリジメチルシロキサン「リトソルベントPK」と
24.4kgのポリデカン酸「リトソルベントSTT」(両者ともKeBo社、デュッセルドルフ、ドイツ国)を所定の順序で約30秒の時間にわたり添加剤として投入する。上記回転数にて反応混合物を130℃の放出温度まで加熱し、次いで冷却ミキサにて約30℃の最終温度に冷却する。
【0059】
このように得られた粉末マスターバッチは極めて良好な投入特性を有する自由流動性のほぼ粉塵のない粉末であって、0.65kg/リットルのUTBDを有する。極めて良好な投入性能に基づき、この粉末マスターバッチは連続式配合装置に極めて適している。
【0060】
実施例4:
爆発防止せねばならない市販入手しうる高速ミキサを次のように使用した:
100kgのズードヘミーAG社、ドイツ国、のナノクレー「ナノフィル948」を1360UPM(毎分の回転数)にて約45℃の温度まで加熱すると共に、この温度にて
24.4kgのポリマー脂肪酸「リトソルベントKU」と
4.4kgのポリジエチルポリシロキサン「リトソルベントPL」(両者ともKeBo社、デュッセルドルフ、ドイツ国)を所定の順序で添加剤として約30秒間で投入する。所定の回転数にて反応混合物を110℃の放出温度まで加熱し、次いで冷却ミキサにて約30℃の最終温度まで冷却する。
80kgのポリオレフィン粉末を上記で得られた反応混合物と均質混合して、たとえば高温度における貯蔵に際し固化(ケーキ化)を阻止すると共に保護層袋に包装する。
【0061】
このように得られた粉末マスターバッチは極めて良好な投入特性を有する自由流動性のほぼ粉塵のない粉末であって、0.73kg/リットルのUTBDを有する。極めて良好な投入性能に基づき、この粉末マスターバッチは連続式配合装置に極めて適している。
【0062】
実施例5:
爆発防止せねばならない市販入手しうる高速ミキサを次のように使用した:
100kgのズードヘミーAG社、ドイツ国、のナノクレー「ナノフィル5」を1360UPM(毎分の回転数)にて約45℃の温度まで加熱すると共に、この温度にて
24.4gのポリラウリン酸「リトソルベントKTB」と
4.4kgのポリジエチルシロキサン「リトソルベントPK」(両者ともKeBo社、デュッセルドルフ、ドイツ国)を所定の順序で添加剤として約30秒間にて投入する。所定の回転数にて反応混合物を85℃の放出温度まで加熱し、次いで冷却ミキサにて約30℃の最終温度まで冷却する。
40kgのポリオレフィン粉末を上記で得られた反応混合物と均質混合して、たとえば高温度における貯蔵に際し固化(ケーキ化)を阻止すると共に保護層袋に包装する。
【0063】
このように得られた粉末マスターバッチは極めて良好な投入特性を有する自由流動性のほぼ粉塵のない粉末であって、0.67kg/リットルのUTBDを有する。極めて良好な投入性能に基づき、この粉末マスターバッチは連続式配合装置に極めて適している。
【0064】
実施例6:
爆発防止せねばならない市販入手しうる高速ミキサを次のように使用した:
100kgのエレメンティス社、米国、のナノクレー「エレメンティスEA/108」を1360UPM(毎分の回転数)にて約45℃の温度まで加熱すると共に、この温度にて
24.4kgのポリマー脂肪酸「リトソルベントKU」と
4.4kgのポリジエチルシロキサン「リトソルベントPL」(両者ともKeBo社、デュッセルドルフ、ドイツ国)を所定の順序で添加剤として約30秒で投入する。所定の回転数にて反応混合物を100℃の放出温度まで加熱し、次いで冷却ミキサにて約30℃の最終温度まで冷却する。
80kgのポリオレフィン粉末を上記で得られた反応混合物と均質混合して、たとえば高温度における貯蔵に際し固化(ケーキ化)を阻止すると共に保護層袋に包装する。
【0065】
このように得られた粉末マスターバッチは極めて良好な投入特性を有する自由流動性のほぼ粉塵のない粉末であって、0.81kg/リットルのUTBDを有する。極めて良好な投入性能に基づき、この粉末マスターバッチは連続式配合装置に極めて適している。
【0066】
実施例7:
爆発防止せねばならない市販入手しうる高速ミキサを次のように使用した:
100kgのサザン・クレイ・プロダクツ社、ゴンザレス、テキサス、米国、のナノクレー「SCP30B」を1360UPM(毎分の回転数)にて約45℃の温度まで加熱すると共に、この温度にて
24.4kgのポリマー脂肪酸「リトソルベントKU」と
4.4kgのポリジエチルポリシロキサン「リトソルベントPL」(両者ともKeBo社、デュッセルドルフ、ドイツ国)を所定の順序で添加剤として約30秒で投入する。所定の回転数にて反応混合物を100℃の放出温度まで加熱し、次いで冷却ミキサにて約30℃の最終温度まで冷却する。
80kgのポリオレフィン粉末を上記で得られた反応混合物と均質混合して、たとえば高温度における貯蔵に際し固化(ケーキ化)を阻止すると共に保護層袋に包装する。
【0067】
このように得られた粉末マスターバッチは極めて良好な投入特性を有する自由流動性のほぼ粉塵のない粉末であって、0.61kg/リットルのUTBDを有する。極めて良好な投入性能に基づき、この粉末マスターバッチは連続式配合装置に極めて適している。
【0068】
実施例8:
爆発防止せねばならない市販入手しうる高速ミキサを次のように使用した:
100kgのズードヘミーAG社、ドイツ国、のナノクレー「ナノフィル5」を1360UPM(毎分の回転数)にて約60℃の温度まで加熱すると共に、この温度にて
24.4kgのチタン酸イソステアリール「リトソルベントOF」と
4.4kgのポリジエチルポリシロキサン「リトソルベントPL」(両者ともKeBo社、デュッセルドルフ、ドイツ国)を所定の順序で添加剤として約30秒で投入する。所定の回転数にて反応混合物を65℃の放出温度まで加熱し、次いで冷却ミキサにて約30℃の最終温度まで冷却する。
【0069】
このように得られた粉末マスターバッチは極めて良好な投入特性を有する自由流動性のほぼ粉塵のない粉末であって、0.56kg/リットルのUTBDを有する。極めて良好な投入性能に基づき、この粉末マスターバッチは連続式配合装置に極めて適している。
【0070】
実施例9:
爆発防止せねばならない市販入手しうる高速ミキサを次のように使用した:
100kgのズードヘミーAG社、ドイツ国、のナノクレー「ナノフィル15」を1360UPM(毎分の回転数)にて約45℃の温度まで加熱すると共に、この温度にて
12.2kgのステアリン酸「プリステレン4912」(ユニケマ・インターナショナル社、エンメリッヒ、ドイツ国)を添加剤として約30秒かけて投入する所定の回転数にて反応混合物を78℃の放出温度まで加熱し、次いで冷却ミキサにて約30℃の最終温度まで冷却する。
【0071】
このように得られた粉末マスターバッチは極めて良好な投入特性を有する自由流動性のほぼ粉塵のない粉末であって、0.74kg/リットルのUTBDを有する。極めて良好な投入性能に基づき、この粉末マスターバッチは連続式配合装置に極めて適している。
【0072】
実施例10:
爆発防止せねばならない市販入手しうる高速ミキサを次のように使用した:
100kgのズードヘミーAG社、ドイツ国、のナノクレー「ナノフィル15」を1360UPM(毎分の回転数)にて約45℃の温度まで加熱すると共に、この温度にて
14kgのユニケマ・インターナショナル社、エンメリッヒ、ドイツ国、のペルミチン酸「プリステレン4934」と
6kgのKeBo社、デュッセルドルフ、ドイツ国、のポリマー脂肪酸「リトソルベントKU−A」を所定の順序で約30秒かけて投入する。所定の回転数にて反応混合物を120℃の放出温度まで加熱し、次いで冷却ミキサにて約30℃の最終温度まで冷却する。
50kgのポリオレフィン粉末を上記で得られた反応混合物と均質混合して、たとえば高温度における貯蔵に際し固化(ケーキ化)を阻止すると共に保護層袋に包装する。
【0073】
このように得られた粉末マスターバッチは極めて良好な投入特性を有する自由流動性のほぼ粉塵のない粉末であって、0.80kg/リットルのUTBDを有する。極めて良好な投入性能に基づき、この粉末マスターバッチは連続式配合装置に極めて適している。
【0074】
実施例11:
爆発防止せねばならない市販入手しうる高速ミキサをて次のように使用した:
100kgのズードヘミーAG社、ドイツ国、のナノクレー「ナノフィル5」を1360UPM(毎分の回転数)にて約45℃の温度まで加熱すると共に、この温度にて
34kgのシェル社のポリマー「エピコート1004」を約30秒かけて添加剤として投入する。所定の回転数にて反応混合物を120℃の放出温度まで加熱し、次いで冷却ミキサにて約30℃の最終温度まで冷却する。
50kgのポリオレフィン粉末を上記で得られた反応混合物と均質混合して、たとえば高温度における貯蔵に際し固化(ケーキ化)を阻止すると共に保護層袋に包装する。
【0075】
このように得られた粉末マスターバッチは極めて良好な投入特性を有する自由流動性のほぼ粉塵のない粉末であって、0.63kg/リットルのUTBDを有する。極めて良好な投入性能に基づき、この粉末マスターバッチは連続式配合装置に極めて適している。
【0076】
実施例12:
爆発防止せねばならない市販入手しうる高速ミキサを次のように使用した:
100kgのズードヘミーAG社、ドイツ国、のナノクレー「ナノフィル15」を1360UPM(毎分の回転数)にて約45℃の温度まで加熱すると共に、この温度にて
42kgのヘンケルKG社、ドイツ国、のラウリン酸「エデノールC12/98−100」を添加剤として約30秒かけて投入する。所定の回転数にて反応混合物を80℃の放出温度まで加熱し、次いで冷却ミキサにて約30℃の最終温度まで冷却する。
【0077】
このように得られた粉末マスターバッチは極めて良好な投入特性を有する自由流動性のほぼ粉塵のない粉末であって、0.49kg/リットルのUTBDを有する。極めて良好な投入性能に基づき、この粉末マスターバッチは連続式配合装置に極めて適している。
【0078】
実施例13:
爆発防止せねばならない市販入手しうる高速ミキサを次のように使用した:
100kgのズードヘミーAG社、ドイツ国、のナノクレー「ナノフィル5」を1360UPM(毎分の回転数)にて約45℃の温度まで加熱すると共に、この温度にて
33kgのユニロイヤル社、米国、の流動性エラストマー「トリレン66」をミキサーに入れ、次いで所定の回転数で100℃に加熱する。次いでこの温度にて
7kgのKeBo社、デュッセルドルフ、ドイツ国、のテトラチタン酸イソステアリール「リトソルベントOF」を約30秒かけて添加剤として投入する。所定の回転数にて反応混合物を120℃の放出温度まで加熱し、次いで冷却ミキサにて約30℃の最終温度まで冷却する。
50kgのポリオレフィン粉末を上記で得られた反応混合物と均質混合して、たとえば高温度における貯蔵に際し固化(ケーキ化)を阻止すると共に保護層袋に包装する。
【0079】
このように得られた粉末マスターバッチは極めて良好な投入特性を有する自由流動性のほぼ粉塵のない粉末であって、0.89kg/リットルのUTBDを有する。極めて良好な投入性能に基づき、この粉末マスターバッチは連続式配合装置に極めて適している。
【0080】
実施例14:
爆発防止せねばならない市販入手しうる高速ミキサを次のように使用した:
100kgのズードヘミーAG社、ドイツ国、のナノクレー「ナノフィル32」を1360UPM(毎分の回転数)にて約45℃の温度まで加熱すると共に、この温度にて
24.4kgのテトラチタン酸イソステアリール「リトソルベントOF」と
4.4kgのポリジエチルシロキサン「リトソルベントPL」(両者ともKeBo社、デュッセルドルフ、ドイツ国)を所定の順序で添加剤として約30秒かけて投入する。所定の回転数にて反応混合物を100℃の放出温度まで加熱し、次いで冷却ミキサにて約30℃の最終温度まで冷却する。
40kgのポリオレフィン粉末を上記で得られた反応混合物と均質混合して、たとえば高温度における貯蔵に際し固化(ケーキ化)を阻止すると共に保護層袋に包装する。
【0081】
このように得られた粉末マスターバッチは極めて良好な投入特性を有する自由流動性のほぼ粉塵のない粉末であって、0.86kg/リットルのUTBDを有する。極めて良好な投入性能に基づき、この粉末マスターバッチは連続式配合装置に極めて適している。
【0082】
II.ポリマーマスターバッチの作成
ポリマーマスターバッチを作成するには、原理的にそれぞれ高充填系の作成のため配合工業にて使用される処理装置、たとえばダブルミル内部ミキサ、FCM、単一スクリュー押出器、二重スクリュー押出器、バス・コニーダまたは匹敵しうる処理装置を使用することができる。バス・コニーダを使用する場合、これは少なくとも11L/Dのプロセス長さを持たねばならない。
【0083】
実施例15:
実施例2から得られた粉末マスターバッチ、および所望の仕上ポリマーもしくはポリマー組成物に関し選択されたキャリヤポリマーをバス・コニーダまたは匹敵しうる適する処理装置に導入する。
【0084】
実施例においては60重量%の実施例2で得られた粉末マスターバッチと40重量%のキャリヤポリマーとを使用する。キャリヤポリマーとしては、この実施例の目的でEVAを使用し、これは名称「エスコレン・ウルトラUL 00119」としてエクソン・モビル社から市販されている。
【0085】
バス・コニーダをその帯域1および2,並びに顆粒化スクリュー(GS)にて約135℃までおよびノズルにて約145℃まで加熱すると共に、キャリヤポリマーをバス・コニーダの主入口に連続投入する。相応量の選択粉末−マスターバッチを上記重量比にて、たとえば重量計量器によりバス・コニーダの主入口に供給する。バレルにて粉末マスターバッチをキャリヤポリマーと混合すると共に、得られるポリマー−マスターバッチを次いで顆粒まで処理し、冷却すると共に放出させる。ポリマー−マスターバッチは円筒状もしくはレンズ状の顆粒の形態で得られる。
【0086】
実施例16:
実施例16によるポリマーマスターバッチを実施例15に示したように得、ここでは実施例2による粉末マスターバッチの代わりに実施例2aにより得られた粉末マスターバッチを使用する。
【0087】
実施例17:
実施例17によるポリマーマスターバッチを実施例15に示したように得、ここでは実施例2による粉末マスターバッチの代わりに実施例3により得られた粉末マスターバッチを使用する。
【0088】
実施例18:
実施例18によるポリマーマスターバッチを実施例15に示したように得、ここでは実施例2による粉末マスターバッチの代わりに実施例8により得られた粉末マスターバッチを使用する。
【0089】
実施例19:
実施例2から得られた粉末マスターバッチ、および所望の仕上げポリマーもしはポリマー組成物に関し選択されたキャリヤポリマーをバス・コニーダまたは匹敵しうる適する処理装置に導入する。
【0090】
実施例においては60重量%の実施例2により得られた粉末マスターバッチと40重量%のキャリヤポリマーとを使用する。キャリヤポリマーとしては、この実施例の目的でEP−g−MAHを使用し、これは名称「FUSABOND」としてデュポン社、米国から市販されている。
【0091】
バス・コニーダにはその帯域1および2並びにGSにて約165℃までおよびノズルにて約170℃まで加熱すると共に、キャリヤポリマーをバス・コニーダの主入口にて連続投入する。相応量の選択粉末マスターバッチを上記重量比にて、たとえば重量式計量器によりバス・コニーダの主入口に供給する。バレルにて粉末マスターバッチをキャリヤポリマーと混合し、次いで得られたポリマー−マスターバッチを顆粒まで処理し、冷却し、放出させる。ポリマー−マスターバッチは円筒状もしくはレンズ状の顆粒の形態で得られる。
【0092】
実施例20:
実施例2から得られた粉末マスターバッチ、および所望の仕上ポリマーまたはポリマー組成物に関し選択されたキャリヤポリマーをバス・コニーダまたは匹敵しうる適する処理装置に導入する。
【0093】
実施例においては60重量%の実施例2により得られた粉末マスターバッチと40重量%のキャリヤポリマーとを使用する。キャリヤポリマーとしては、この実施例の目的でPP−g−MAHを使用し、これは名称「EXXELOR PO 1050」としてエクソン・モビル社から市販されている。
【0094】
バス・コニーダをその帯域1および2にて並びにGSにて約165℃までおよびノズルにて約175℃まで加熱すると共に、キャリヤポリマーをバス・コニーダの主入口にて連続投入する。相応量の選択粉末マスターバッチを上記重量比にて、たとえば重力型計量器によりバス・コニーダの主入口に供給する。バレルにて粉末マスターバッチをキャリヤポリマーと混合し、次いで得られたポリマー−マスターバッチを顆粒まで処理し、冷却すると共に放出させる。ポリマー−マスターバッチは円筒状もしくはレンズ状の顆粒として得られる。
【0095】
実施例21:
実施例8から得られた粉末マスターバッチ、および所望の仕上ポリマーもしくはポリマー組成物に関し選択されたキャリヤポリマーをバス・コニーダもしくは匹敵しうる適する処理装置に導入する。
【0096】
実施例においては60重量%の実施例2により得られた粉末マスターバッチと40重量%のキャリヤポリマーとを使用する。キャリヤポリマーとしては、この実施例の目的でEEAを使用し、これは名称「エスコール5000」としてエクソン・モビル社から市販入手しうる。
【0097】
バス・コニーダをその帯域1および2にて並びにGSにて約125℃までおよびノズルにて約135℃まで加熱すると共に、キャリヤポリマーをバス・コニーダの主入口にて連続投入する。相応量の選択粉末マスターバッチを上記重量比にて、たとえば重力型計量器によりバス・コニーダの主入口に供給する。バレルにて粉末マスターバッチをキャリヤポリマーと混合し、次いで得られたポリマー−マスターバッチを顆粒まで処理し、冷却すると共に放出させる。ポリマー−マスターバッチは円筒状もしくはレンズ状の顆粒として得られる。
【0098】
実施例22:
実施例3から得られた粉末マスターバッチ、および所望の仕上ポリマーもしくはポリマー組成物に関し選択されたキャリヤポリマーをバス・コニーダもしくは匹敵しうる適する処理装置に導入する。
【0099】
実施例においては60重量%の実施例3により得られた粉末マスターバッチと40重量%のキャリヤポリマーとを使用する。キャリヤポリマーとしてはこの実施例の目的でカルシウムイオノマーを使用し、これは名称「ACLYN AC201A」としてアライド・シグナル社、米国から市販入手しうる。
【0100】
バス・コニーダをその帯域1および2にて並びにGSにて約125℃までおよびノズルにて約135℃まで加熱すると共に、キャリヤポリマーをバス・コニーダの主入口にて連続投入する。相応量の選択粉末マスターバッチを上記重量比にて、たとえば重力型計量器によりバス・コニーダの主入口に供給する。バレルにて粉末マスターバッチをキャリヤポリマーと混合し、次いで得られたポリマー−マスターバッチを顆粒まで処理し、冷却すると共に放出させる。ポリマー−マスターバッチは円筒状もしくはレンズ状の顆粒として得られる。
【0101】
実施例23:
実施例8から得られた粉末マスターバッチ、および所望の仕上ポリマーもしくはポリマー組成物に関し選択されたキャリヤポリマーをバス・コニーダもしくは匹敵しうる適する処理装置に導入する。
【0102】
実施例においては60重量%の実施例3により得られた粉末マスターバッチと40重量%のキャリヤポリマーとを使用する。キャリヤポリマーとしては、この実施例の目的でEAAZポリマーを使用し、これは名称「イオテック7010」としてエクソン・モビル社から市販入手しうる。
【0103】
バス・コニーダをその帯域1および2にて並びにGSにて約110℃までおよびノズルにて約125℃まで加熱すると共に、キャリヤポリマーをバス・コニーダの主入口にて連続投入する。相応量の選択粉末マスターバッチを上記重量比にて、たとえば重力型計量器によりバス・コニーダの主入口に供給する。バレルにて粉末マスターバッチをキャリヤポリマーと混合し、次いで得られたポリマー−マスターバッチを顆粒まで処理し、冷却すると共に放出させる。ポリマー−マスターバッチは円筒状もしくはレンズ状の顆粒として得られる。
【0104】
実施例24:
実施例3から得られた粉末マスターバッチ、および所望の仕上ポリマーもしくはポリマー組成物に関し選択されたキャリヤポリマーをバス・コニーダもしくは匹敵しうる適する処理装置に導入する。
【0105】
実施例においては60重量%の実施例3により得られた粉末マスターバッチと40重量%のキャリヤポリマーとを使用する。キャリヤポリマーとしては、この実施例の目的で無水マレイン酸改変されたポリプロピレンを使用し、これは名称「EXXELOR PO1015」としてエクソン・モビル社、米国から市販入手しうる。更に同じくエクソン・モビル社からの10重量%のエスコレン・ウルトラ00328で配合することもできる。
【0106】
バス・コニーダをその帯域1および2にて並びにGSにて約185℃までおよびノズルにて約200℃まで加熱すると共に、キャリヤポリマーをバス・コニーダの主入口にて連続投入する。相応量の選択粉末マスターバッチを上記重量比にて、たとえば重力型計量器によりバス・コニーダの主入口に供給する。バレルにて粉末マスターバッチをキャリヤポリマーと混合し、次いで得られたポリマー−マスターバッチを顆粒まで処理し、冷却すると共に放出させる。ポリマー−マスターバッチは円筒状もしくはレンズ状の顆粒として得られる。
【0107】
実施例25:
実施例5から得られた粉末マスターバッチ、および所望の仕上ポリマーもしくはポリマー組成物に関し選択されたキャリヤポリマーをバス・コニーダもしくは匹敵しうる適する処理装置に導入する。
【0108】
実施例においては60重量%の実施例3により得られた粉末マスターバッチと40重量%のキャリヤポリマーとを使用する。キャリヤポリマーとしては、この実施例の目的でポリカプロラクタムを使用し、これは名称「グリラミド20LM」としてEMS−ケミー社、スイス国から市販入手しうる。
【0109】
バス・コニーダをその帯域1および2にて並びにGSにて約200℃までおよびノズルにて約220℃まで加熱すると共に、キャリヤポリマーをバス・コニーダの主入口にて連続投入する。相応量の選択粉末マスターバッチを上記重量比にて、たとえば重力型計量器によりバス・コニーダの主入口に供給する。バレルにて粉末マスターバッチをキャリヤポリマーと混合し、次いで得られたポリマー−マスターバッチを顆粒まで処理し、冷却すると共に放出させる。ポリマー−マスターバッチは円筒状もしくはレンズ状の顆粒として得られる。
【0110】
III.選択ポリマー組成物における粉末−およびポリマー−マスターバッチ
下表における全ての%表示は特記しない限り重量%を意味する。
【0111】
表においては次の記号を使用する:
ATH=一般式Alx3HOのアルミニウム三水塩
PU−MB=粉末マスターバッチ
PO−MB=ポリマー−マスターバッチ
【0112】
【表1】

【0113】
表1で得られた結果は、表3による比較例にて得られた数値と比較して、本発明の粉末マスターバッチの使用に際し同様なおよび部分的には改良された引張強さにて実質的に改善された破断点伸び率が得られると共に、少なくとも燃難性も同様に良好であった。
【0114】
【表2】

【0115】
表2は本発明によるポリマー−マスターバッチの使用下で得られた結果を示す。その際、表1にて粉末マスターバッチの使用に際し得られた破断点伸び率と対比して、数値は1つの例外として更に改善された。表3で得られた数値と比較して原理的には表1で既に述べたものと原理的に同じであった。
【0116】
【表3】

【0117】
ここで使用した水酸化マグネシウムにてFR20は製造業者、すなわちデッド・シー・ブロミン社、イスラエル国、の商品名を示す。メルトインデックスおよび破断点伸び率につき比較例で得られた数値は、処理性に関し既に限界範囲にある。破断点伸び率につきV1、V2およびV4により得られた数値は、1.5である基準値より低い。
【0118】
【表4】

【0119】
衝撃耐性に関し括弧内に示した数値は、それぞれ材料が亀裂(o.Br.)を示さなかった際に決定されうる衝撃エネルギーを示す。実施例P9についてのみ材料亀裂が確認された。しかしながら勿論、衝撃耐性につき一層良好な数値が達成され、これは表5による比較例の数値より優れ、更にケーシングの作成においても良好な処理性を実現した。
【0120】
【表5】

【0121】
この比較例にて得られた衝撃耐性は、たとえばケーシング作成にて必要とされる数値よりも更に低かった。比較例V5につき測定されたような8の衝撃耐性は極めて脆い硬質の材料であることを意味し、更にケーシング作成につき適していない。ここで少なくとも30の衝撃耐性が必要である。比較例V5〜V8に従う材料は全て材料亀裂を示したので、ここでは衝撃エネルギーにつき述べる必要がなかった。
【0122】
【表6】

【0123】
ここでPA6−ウルトラミドB3Lと共に使用する工業級ポリアミドにおいて、問題とする性質としては破断点伸び率が挙げられる。これは工業級ポリアミドにおいては、一般に表7に比較試験V9〜V12で顕著に示したように0.02を超えない。V10のみがその程度において良好な数値を示し、これは更にAMEOを使用したからである。破断点伸び率に関し一般的に悪い数値は、従来の工業級ポリアミドの脆性亀裂にて見られる。
【0124】
【表7】

【0125】
表6に対する注釈から既に見られるように、ここでポリマー組成物につき使用されるこの工業級ポリアミドの性質に関し、破断点伸び率は極めて重要である。その際、P13を例外として本発明により作成された各ポリマー組成物は主として従来技術の少なくとも3倍の破断点伸び率の数値である破断点伸び率を有することが示された。
【0126】
【表8】

【0127】
本発明により極性(出発)ポリマーで作成したポリマー組成物(現在まで従来技術では実現し得ないと見なされている)は優れた性質プロフィルを示す。特に有利であると示されたことは、押出しに際し決してバリが生じないこと、並びに材料を極めて良好に押出しうることである。金型形成に際し、収縮が少なくなると共に表面が明らかに良好となる。
【0128】
更にポリマー組成物または配合ポリマー材料の性質プロフィルを充填材の高比率と共に直線的に改善しうると言う当業者の間の幅広い偏見を打ち破るための試験を行った。
【0129】
表8が示すように、試験対P21〜P22は最もバランスの良い性質プロフィルを有すると共に、検討した性質につき高い測定値またはバランスのとれた平均値を有する。
【0130】
【表9】

【0131】
ポリマー組成物もしくはポリマー配合物のこの例は、引込フィルム作成のためのフィルム種類に関するものである。表8にて既に述べたマスターバッチの比率に関するポリマー−充填材マスターバッチ組成物(これは基本的に充填材をも示す)につき前記した非直線がここでも明らかに見られる。試験P25は、調和した試験結果を有する諸性質の極めて良好な全体的プロフィルを達成し、このプロフィルは比較すればたとえばマスターバッチ20%を有する試験P23およびP24におけるよりも一層良好である。
【0132】
しかしながら、P23およびP24は比較試験V16と比較して顕著に良好な数値を示す。フィルム安定性は上記比較実験の材料では確保されず、破断点伸び率につき僅か0.2である。
【0133】
【表10】

【0134】
表10においてエルテックスKL104により、射出成形および押出につき使用されるようなポリプロピレンが示される。最もバランスのとれた性質プロフィルは本発明によるポリマー組成物もしくはポリマー配合物で達成され、これらは試験P28〜P30による組成を有する。従って、ここでも非直線性が観察される。
【0135】
これに対し、P30によりメルトインデックスにつき優秀な数値が達成される一方、破断点伸び率はここでは不充分である。これは勿論、上記処理が決定的でない。破断点伸び率はポリプロピレンの場合は基本的に押出し自身によって設定される。
【0136】
基本的に、粉末−もしくはポリマー−マスターバッチの使用下で作成されたポリマー、ポリマー組成物もしくは配合物は、従来技術から公知である充填材としてナノクレーのみで作成されたポリマー、ポリマー組成物もしくは配合物と比較して実質的な利点を有することが確認される。これらは一層良好に処理することができ、実質的に粉塵フリーであり、更に比較的高い嵩密度(非圧縮性)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予備剥離性添加剤もしくは添加剤混合物で改変された膨潤性無機層状材料からのナノクレーを有する組成物、特に粉末状マスターバッチ。
【請求項2】
含有ナノクレーが0.1〜1000μm、好ましくは0.1〜100μm、特に好ましくは1〜15μm、全く好ましくは2〜10μmの平均粒子寸法を有することを特徴とする請求項1に記載の組成物、特に粉末状マスターバッチ。
【請求項3】
含有ナノクレーが粉砕ナノクレーを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の組成物、特に粉末状マスターバッチ。
【請求項4】
無機層状材料が天然または合成層状シリケートから選択されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物、特に粉末状マスターバッチ。
【請求項5】
添加剤もしくは添加剤混合物が飽和もしくは不飽和脂肪酸およびその塩、脂肪酸誘導体、ポリマー脂肪酸、シロキサン誘導体またはその混合物の群から選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物、特に粉末状マスターバッチ。
【請求項6】
脂肪酸もしくは脂肪酸誘導体が、10〜30個の炭素原子を有する脂肪酸から選択されることを特徴とする組成物、特に粉末状マスターバッチ。
【請求項7】
脂肪酸誘導体が水素化誘導体、アルコール誘導体、アミン誘導体またはその混合物から選択されることを特徴とする請求項5または6に記載の組成物、特に粉末状マスターバッチ。
【請求項8】
不飽和脂肪酸がモノ−もしくはポリ不飽和ヒドロキシ脂肪酸を包含することを特徴とする請求項5または6に記載の組成物、特に粉末状マスターバッチ。
【請求項9】
脂肪酸誘導体がポリマー脂肪酸、ケト脂肪酸、脂肪酸アルキルオキサゾリンおよび脂肪酸アルキルビスオキサゾリンまたはその混合物から選択されることを特徴とする請求項5または6に記載の組成物、特に粉末状マスターバッチ。
【請求項10】
シロキサン誘導体がオリゴアルキルシロキサン、ポリジアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリジアリールシロキサンまたはその混合物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項5に記載の組成物、特に粉末状マスターバッチ。
【請求項11】
少なくとも1個の反応基により官能化されたシロキサン誘導体を特徴とする請求項10に記載の組成物、特に粉末状マスターバッチ。
【請求項12】
添加剤もしくは添加剤混合物がエチレン−プロピレン−コポリマー(EPM)、エチレン−プロピレン−ターポリマー(EPDM)、熱可塑性エラストマー、カップリング剤、架橋剤またはその混合物から選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物、特に粉末状マスターバッチ。
【請求項13】
EPMおよび/またはEPDMの平均分子量が20,000より小であることを特徴とする請求項12に記載の組成物、特に粉末状マスターバッチ。
【請求項14】
EPMおよび/またはEPDMにおけるエチレンとプロピレンとの比が40:60〜60:40であることを特徴とする請求項12または13に記載の組成物、特に粉末状マスターバッチ。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の予備剥離性ナノクレーとポリマー粉末との実質的に均質な混合物の形態である組成物、特に粉末状もしくは顆粒状マスターバッチ。
【請求項16】
予備決定されたキャリヤポリマーとの請求項1〜15のいずれか一項に記載の粉末状マスターバッチの配合により得られた組成物、特にポリマー−マスターバッチ。
【請求項17】
予備決定されたキャリヤポリマーがポリエチレン−エチレン−酢酸ビニル−コポリマー(EVA)、エチレンエチルアクリレート−コポリマー(EEA)、エチレンメチルアクリレート−コポリマー(EMA)、エチレンブチルアクリレート−コポリマー(EBA)、その無水マレイン酸(MAH)により改変された誘導体、イオノマー、スチレン−エラストマー系、エーテル−エステル−ブロックコポリマー、ポリエーテル−ポリアミド−ブロック−コポリマー(PEBA)、熱可塑性ポリマーの混合物、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性シリコンゴムまたはその混合物から選択されることを特徴とする請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
キャリヤポリマーの割合が10〜90重量%、好ましくは40〜70重量%であることを特徴とする請求項16または17に記載の組成物。
【請求項19】
顆粒形態における請求項16〜18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
ポリマーもしくはポリマー組成物における充填材としての、請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物、特に粉末−マスターバッチまたは請求項16〜19のいずれか一項に記載のポリマー−マスターバッチの使用。
【請求項21】
ポリマーもしくはポリマー組成物のための充填材系における、請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物、特に粉末マスターバッチまたは請求項16〜19のいずれか一項に記載のポリマーマスターバッチの使用。
【請求項22】
難燃性充填材と組み合わせる請求項21に記載の使用。
【請求項23】
ハロゲンフリーの充填材を特徴とする請求項22に記載の使用。
【請求項24】
ハロゲンフリーの難燃性充填材が水酸化アルミニウム、アルミニウムオキシハイドレート(ベーマイト)、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、フルサイト、炭酸マグネシウム、ヒドロマグネサイト、ハンチット、ボーキサイト、炭酸カルシウム、タルク、粉末ガラス、メラミンイソシアヌレート、その誘導体および製剤、硼素化合物、錫化合物およびヒドロキシ錫化合物、燐酸塩またはその混合物から選択されることを特徴とする請求項23に記載の使用。
【請求項25】
ポリオレフィンおよびその混合物、工業プラスチックおよびその混合物、並びに合金における充填材としての請求項20に記載の使用。
【請求項26】
エラストマーおよび熱硬化性プラスチックのための請求項20または21に記載の使用。
【請求項27】
仕上ポリマーもしくはポリマー組成物における予後剥離されたナノクレーの割合が0.1〜50重量%、好ましくは0.1〜15重量%であることを特徴とする請求項20〜25のいずれか一項に記載の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥法にて予備剥離性添加剤もしくは添加剤混合物により表面被覆された有機介在膨潤性無機層状材料からのナノクレーを有する粉末状マスターバッチ。
【請求項2】
含有ナノクレーが0.1〜1000μm、好ましくは0.1〜100μm、特に好ましくは1〜15μm、全く好ましくは2〜10μmの平均粒子寸法を有することを特徴とする請求項1に記載の粉末状マスターバッチ。
【請求項3】
含有ナノクレーが粉砕ナノクレーを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の粉末状マスターバッチ。
【請求項4】
無機層状材料が天然または合成層状シリケートから選択されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の粉末状マスターバッチ。
【請求項5】
添加剤もしくは添加剤混合物が飽和もしくは不飽和脂肪酸およびその塩、脂肪酸誘導体、ポリマー脂肪酸、シロキサン誘導体またはその混合物の群から選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の粉末状マスターバッチ。
【請求項6】
脂肪酸もしくは脂肪酸誘導体が、10〜30個の炭素原子を有する脂肪酸から選択されることを特徴とする請求項5に記載の粉末状マスターバッチ。
【請求項7】
脂肪酸誘導体が水素化誘導体、アルコール誘導体、アミン誘導体またはその混合物から選択されることを特徴とする請求項5または6に記載の粉末状マスターバッチ。
【請求項8】
不飽和脂肪酸がモノ−もしくはポリ不飽和ヒドロキシ脂肪酸を包含することを特徴とする請求項5または6に記載の粉末状マスターバッチ。
【請求項9】
脂肪酸誘導体がポリマー脂肪酸、ケト脂肪酸、脂肪酸アルキルオキサゾリンおよび脂肪酸アルキルビスオキサゾリンまたはその混合物から選択されることを特徴とする請求項5または6に記載の粉末状マスターバッチ。
【請求項10】
シロキサン誘導体がオリゴアルキルシロキサン、ポリジアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリジアリールシロキサンまたはその混合物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項5に記載の粉末状マスターバッチ。
【請求項11】
少なくとも1個の反応基により官能価されたシロキサン誘導体を特徴とする請求項10に記載の粉末状マスターバッチ。
【請求項12】
添加剤もしくは添加剤混合物がエチレン−プロピレン−コポリマー(EPM)、エチレン−プロピレン−ターポリマー(EPDM)、熱可塑性エラストマー、カップリング剤、架橋剤またはその混合物から選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の粉末状マスターバッチ。
【請求項13】
EPMおよび/またはEPDMの平均分子量が20,000より小であることを特徴とする請求項12に記載の粉末状マスターバッチ。
【請求項14】
EPMおよび/またはEPDMにおけるエチレンとプロピレンとの比が40:60〜60:40であることを特徴とする請求項12または13に記載の粉末状マスターバッチ。
【請求項15】
予備剥離性ナノクレーとポリマー粉末との実質的に均質な混合物である請求項1〜14のいずれか一項に記載の粉末状マスターバッチ。
【請求項16】
ポリマーもしくはポリマー組成物における充填材としての請求項1〜15のいずれか一項に記載の粉末マスターバッチの使用。
【請求項17】
難燃性充填材と組み合わせる請求項16に記載の使用。
【請求項18】
難燃性充填材がハロゲンフリーであることを特徴とする請求項17に記載の使用。
【請求項19】
ハロゲンフリーの難燃性充填材が水酸化アルミニウム、アルミニウムオキシハイドレート(ベーマイト)、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、ベルサイト、炭酸マグネシウム、ヒドロマグネサイト、ハンチット、ボーキサイト、炭酸カルシウム、タルク、粉末ガラス、メラミンイソシアヌレート、その誘導体および製剤、硼素化合物、錫化合物およびヒドロキシ錫化合物、燐酸塩またはその混合物から選択されることを特徴とする請求項18に記載の使用。
【請求項20】
ポリオレフィンおよびその混合物、工業プラスチックおよびその混合物、並びに合金における充填材としての請求項16に記載の使用。
【請求項21】
エラストマーおよび熱硬化性プラスチックのための請求項17または18に記載の使用。
【請求項22】
仕上ポリマーもしくはポリマー組成物にて、予後剥離されたナノクレーの割合が0.1〜50重量%、好ましくは0.1〜15重量%であることを特徴とする請求項16〜21のいずれか一項に記載の使用。

【公表番号】特表2006−517597(P2006−517597A)
【公表日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500533(P2006−500533)
【出願日】平成16年1月8日(2004.1.8)
【国際出願番号】PCT/EP2004/000071
【国際公開番号】WO2004/063264
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(591056237)ジュート−ヒェミー アクチェンゲゼルシャフト (33)
【Fターム(参考)】