説明

予備成形体の搬送方法および製造装置

【課題】自動化が容易であるとともに、設備費の増加を抑えることができる予備成形体の搬送方法および製造装置を提供する。
【解決手段】予備成形型52に備えられる第1成形型52Aおよび第2成形型52Bにより繊維材を型締めして加熱圧縮した後、前記第1成形型52Aから鋭利な突出針54を突出させて予備成形体Pに突き刺して、当該予備成形体Pを第1成形型52Aに保持する。この後、前記第1成形型52Aを第2成形型52Bから離間し、当該第1成形型52Aにより前記予備成形体Pを保持したまま搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予備成形体の搬送方法および製造装置に関し、特に、RTM工法における予備成形体の搬送方法および製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、軽量化を狙って強度を要する部品においても樹脂化が図られるとともに、量産化が図られている。量産性を考慮すると、射出成形による繊維強化プラスチックが用いられるが、更なる強度が必要な場合には、連続繊維を用いるRTM工法が用いられる。RTM工法では、樹脂材を含む繊維材を所定の大きさ及び形状に予備成形し、さらに所定の形状に整えるための本成形が行われる。
【0003】
このような成形方法では、予備成形された予備成形体を本成形用の型まで搬送する際に、予備成形体を形状保持用トレイに載置して、このトレイをベルト搬送することが考えられるが、予備成形体の形状を維持しつつ予備成形型からトレイまで移動させるためには、通常、手作業が必要となる。
【0004】
このため、例えば特許文献1では、予備成形型から予備成形体を搬出するための可動部を予備成形型に設けることにより、自動化を図っている。しかしながら、この方法では、予備成形型の下型を移動可能にするために、設備費が増加する。
【特許文献1】特開2002−193519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、自動化が容易であるとともに、設備費の増加を抑えることができる予備成形体の搬送方法および製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明に係る予備成形体の搬送方法は、樹脂材を含む繊維材を予備成形型内で加熱圧縮して予備成形体を成形した後に、当該予備成形体を予備成形型から搬送する予備成形体の搬送方法である。当該搬送方法は、前記予備成形型に含まれる第1成形型および第2成形型により前記繊維材を型締めして加熱圧縮する工程と、前記第1成形型から鋭利な突出針を突出させて予備成形体に突き刺し、当該予備成形体を第1成形型に保持する工程とを有する。当該搬送方法は、この後、前記第1成形型を第2成形型から離間し、当該第1成形型により前記予備成形体を保持したまま搬送する工程を有する。
【0007】
上記目的を達成する本発明に係る予備成形体の搬送方法の他の形態は、樹脂材を含む繊維材を予備成形型内で加熱圧縮して予備成形体を成形する予備成形工程の後に、当該予備成形体を予備成形型から搬送する予備成形体の搬送方法である。当該搬送方法は、前記予備成形工程において前記繊維材に線材を縫い付け、前記予備成形型から予備成形体を離型する際に、前記線材を引っ張ることで予備成形体を予備成形型から吊り上げる。
【0008】
上記目的を達成する本発明に係る予備成形体の製造装置は、樹脂材を含む繊維材を加熱圧縮して予備成形体を成形し、当該予備成形体を搬送する予備成形体の搬送装置である。当該搬送装置は、前記予備成形体を成形するために互いに近接離隔可能な対の第1成形型および第2成形型を備える予備成形型と、前記第1成形型に、当該第1成形型のキャビティ側へ進退動可能に設けられた鋭利な突出針とを有する。
【0009】
上記目的を達成する本発明に係る予備成形体の製造装置の他の形態は、樹脂材を含む繊維材を加熱圧縮して予備成形体を成形し、当該予備成形体を搬送する予備成形体の製造装置である。当該搬送方法は、前記予備成形体を成形するために互いに近接離隔可能な一対の第1成形型および第2成形型を備える予備成形型と、前記第1成形型に、当該第1成形型のキャビティ側へ進退動可能に設けられ、第1線材が通される針穴を有する針部と、前記針部に対応して前記予備成形型の他方の第2成形型に設けられ、第2線材を供給するとともに、前記針部の進退動に対応して回転する回転釜を備える第2線材供給部と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成した本発明に係る予備成形体の搬送方法は、第1成形型から鋭利な突出針を突出させて予備成形体に突き刺して予備成形体を第1成形型に保持し、当該第1成形型により予備成形体を搬送するため、手作業により予備成形型から予備成形体を搬出する必要がなく、自動化が可能となる。また、予備成形型から予備成形体を搬出するための可動部を予備成形型に設ける必要がなく、また搬送用のベルトが必要ないため、設備の改良費、製造費を削減でき、設備費の増加を抑えることができる。
【0011】
上記のように構成した本発明に係る予備成形体の搬送方法の他の形態は、予備成形体の繊維材に線材を縫い付け、この線材によって予備成形体を予備成形型から吊り上げるため、手作業により予備成形型から予備成形体を搬出する必要がなく、自動化が可能となる。また、予備成形型から予備成形体を搬出するための可動部を予備成形型に設ける必要がなく、また搬送用のベルトが必要ないため、設備の改良費、製造費を削減でき、設備費の増加を抑えることができる。
【0012】
上記のように構成した本発明に係る予備成形体の製造装置は、予備成形型の一方の第1成形型に、第1成形型のキャビティ側へ進退動可能な突出針がもうけられるため、突出針を突出させることで予備成形体を第1成形型に保持できる。したがって、第1成形型によって予備成形体を搬送でき、手作業により予備成形型から予備成形体を搬出する必要がなく、自動化が可能となる。また、予備成形型から予備成形体を搬出するための可動部を予備成形型に設ける必要がなく、また搬送用のベルトが必要ないため、設備の改良費、製造費を削減でき、設備費の増加を抑えることができる。
【0013】
上記のように構成した本発明に係る予備成形体の製造装置は、第1成形型および第2成形型に、線材を供給する針部および第2線材供給部が設けられるため、予備成形において、予備成形体に線材を縫い付けることができる。したがって、この線材によって予備成形体を予備成形型から吊り上げることができ、手作業により予備成形型から予備成形体を搬出する必要がなく、自動化が可能となる。また、予備成形型から予備成形体を搬出するための可動部を予備成形型に設ける必要がなく、また搬送用のベルトが必要ないため、設備の改良費、製造費を削減でき、設備費の増加を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0015】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る予備成形体の製造装置の側面図、図2は、同製造装置の予備成形型の断面図、図3は、同製造装置の予備成形型の部分拡大断面図、図4は、同製造装置の搬送手段を示す平面図、図5は、同製造装置の搬送手段を示す側面図である。
【0016】
本発明の第1実施形態に係る予備成形体の製造装置1は、RTM工法に用いられる予備成形体Pを製造するための装置である。RTM(レジントランスファ−モールディング)工法では、本成形の前段階として、予備成形型を用いて、樹脂材を添加された繊維材を所定の大きさ、形状に予備成形する。この予備成形された予備成形体は、本成形を行う成形型に搬送されて、所定の形状に成形されつつ、新たに供給される流動樹脂を含浸させた後、硬化させて繊維強化プラスチックとする、最終的な本成形が行われることとなる。
【0017】
予備成形において加工される被加工物Wは、複数の繊維が集合して所定の形状に形成された繊維材に、樹脂材が添加されている。
【0018】
繊維材は、賦形シミュレーションによって切断位置を明らかにし、所定の大きさに切断される。
【0019】
繊維材には、強化材となるものであれば特に制限はなく、例えば、炭素繊維、黒鉛繊維、またはガラス繊維や、アラミド、パラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリビニルアルコール、ポリアリレート等の有機繊維や、天然繊維(植物繊維)等が挙げられ、またはこれらの2種類以上を併用したものも使用できる。繊維材の形態としては、布帛基材が好適であり、繊維が一方向に引き揃えられたUD(unidirectional)や、繊維が複数方向に引き揃えられステッチングなどで一体化された多軸基材、織物、編物、組物などの連続繊維基材、不織布状の不連続繊維基材が考えられるが、本発明の目的である品質のばらつきを抑える例えば連続繊維基材を用いることが好ましい。
【0020】
樹脂材は、熱硬化性樹脂および/または熱可塑性樹脂を適宜選択、組み合わせて使用することができる。例えばポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂や、エポキシ、不飽和ポリエステル、ビニルエステル樹脂等のプレポリマーとそれの硬化剤を含む熱硬化性の組成物や、それらの混合樹脂も使用できる。
【0021】
本実施形態に係る予備成形体Pの製造装置1は、図1,2に示すように、予備成形体Pを成形するために互いに近接離隔可能な一対の第1成形型2Aおよび第2成形型2Bを備える予備成形型2と、第1成形型2Aに設けられる第1線材供給部3と、第2成形型2Bに設けられる第2線材供給部4と、搬出手段5とを有している。
【0022】
第1成形型2Aおよび第2成形型2Bの間には、型締めの際にキャビティが形成される。キャビティは、予備成形体Pに対応した形状で形成されており、本実施形態ではトレイ形状を有しているが、この形状には限定されない。
【0023】
本実施形態の第1成形型2Aには、第2成形型方向に突出した四角柱形状の押出部7が形成されており、第2成形型2Bには、押出部7と対応する形状の収容部8が形成されている。収容部8は、被加工物Wである繊維材および樹脂材を収容し、型締めの際に第1成形型2Aの押出部7との間にキャビティを形成する。
【0024】
第1線材供給部3は、四角柱形状の押出部7の四隅近傍にキャビティ側(第2成形型側)へ進退動可能に設けられて、第1線材T1が通される針穴9を有する針部10と、針部10が先端に固定されて第1成形型2Aに対して摺動する摺動部11と、進退動する針部10まで第1線材T1を供給する線材供給ロール13と、を有している。線材供給ロール13は、モータ(不図示)に連結されており、モータが制御部15に接続されて、線材供給ロール13の回転が制御される。
【0025】
第1成形型2Aには、針部10が収まる針突出穴16と、針突出穴16に連通するとともに、摺動部11が摺動する摺動通路17とが形成されており、摺動通路17は、針突出穴16の反対側まで貫通している。摺動部11は、油圧アクチュエータ18に連結され、加圧源19から供給される油圧により摺動通路17を摺動する。なお、摺動部11の駆動は、例えばモータ等により行ってもよい。加圧源19は、制御部15に接続されて、制御部15により摺動部11の進退動が制御される。
【0026】
また、第1成形型2Aには、線材供給ロール13から針部10まで第1線材T1を通すための第1線材供給通路20が設けられている。線材供給ロール13から供給された第1線材T1は、この第1線材供給通路20を通って針部10の針穴9に通され、さらに針突出穴16からキャビティ内へ導出される。
【0027】
第2線材供給部4は、図2,3に示すように、第2成形型2Bにおける針部10と対向する位置に設けられる。第2線材供給部4は、第2線材T2が巻かれたボビン22と、ボビン22が回転可能に収容されるボビンケース23と、ボビンケース23の外側に配置される内釜24と、内釜24の更に外側に配置され、内釜24に対して回転可能に連結される外釜25とを有している。
【0028】
外釜25には、周方向に突出した剣先26が設けられている。外釜25は、モータ(不図示)に連結されており、モータが制御部15に接続されて、外釜25の回転が制御される。
【0029】
第2成形型2Bのキャビティ側には、第2線材供給部4が収容される線材供給部収容空間27が形成されており、この線材供給部収容空間27を覆うように、開閉可能な蓋部28が設けられる。蓋部28には、針部10が挿入可能な針挿入穴29が設けられている。ボビン22に巻かれた第2線材T2は、ボビンケース23、内釜24及び外釜25の周方向の切れ目から外方向へ導出され、針挿入穴29からキャビティへ導出されている。
【0030】
第1成形型2Aおよび第2成形型2Bのキャビティの近傍には、被加工部材を加熱するための温調管30が設けられており、外部から供給される高温の流体によって第1成形型2Aおよび第2成形型2Bが加熱される。温調管30は、本実施形態では、直径15mmの内径を有し、予備成形型2のキャビティ表面から深さ約45mmで形成され、第2線材供給部4を挟む2つの温調管30の間には、約75mmの間隔が設けられている。
【0031】
第1線材T1および第2線材T2は、例えばポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂からなり、更にはこれらの混合樹脂も使用できる。第1線材T1および第2線材T2は、繊維材に含まれる樹脂材よりも融点が高い樹脂であることが好ましい。
【0032】
温調管30が第2線材供給部4に近く、ボビン22に巻かれた第2線材T2の温度が高温となる可能性がある場合には、第2線材供給部4を囲うように断熱材や、熱伝達率の低い金属を配置することもできる。
【0033】
搬出手段5は、図4,5に示すように、搬送用ロボット32のアームに連結された把持部33を有している。把持部33は、搬送用ロボット32によって、互いに離隔された第1成形型2Aおよび第2成形型2Bの間に移動可能である。
【0034】
把持部33は、平板形状の保持板34と、保持板34の第1線材供給部3および第2線材供給部4に対応する位置に設けられる線材固定部35とを有している。保持板34には、一辺側から線材固定部35まで延びる線材誘導スリット36が形成されており、線材誘導スリット36の一辺側には、線材を線材誘導スリット36に誘導するために外方向に広く開いた切り込み部37が形成されている。線材誘導スリット36の線材固定部35側には、線材を所定範囲内に確保するために所定の径を有する保持穴38が形成される。なお、切り込み部37と保持穴38の間の距離が短い場合には、切り込み部37と保持穴38の間に線材誘導スリット36が設けられなくてもよい。また、必ずしも保持穴38が設けられなくてもよい。
【0035】
線材固定部35は、保持板34に対して固定的に設けられる第1挟持部材39と、第1挟持部材39に対して回転可能に連結され、第1挟持部材39との間に第1線材T1を挟むことができる第2挟持部材40とを有している。この第2挟持部材40は、保持穴38に確保された第1線材T1を第1挟持部材39との間に確実に挟持するために、第1挟持部材39方向に屈曲した鉤形状を有している。第2挟持部材40は、モータやアクチュエータ等の駆動手段(不図示)に連結されて回転駆動される。
【0036】
また、線材固定部35には、第1挟持部材39から第1成形型方向に伸延しつつ屈曲する第1線材溶断ヒータ41が設けられる。
【0037】
次に、第1実施形態に係る予備成形体Pの搬送方法について説明する。
【0038】
図6は、第1実施形態に係る製造装置の予備成形型を型締めした際の製造装置の断面図、図7は、同製造装置の第2線材供給部の動作を説明するための第1の断面図、図8は、同製造装置の針部により供給された線材を第2線材供給部に受け渡す際を示す製造装置の部分拡大断面図であり、(A)は針部の挿し込みの際、(B)は針部の引き抜きの際を示し、図9は、同製造装置の第2線材供給部の動作を説明するための第2の断面図、図10は、同製造装置の第2線材供給部の動作を説明するための第3の断面図、図11は、同製造装置の第2線材供給部の動作を説明するための第4の断面図、図12は同製造装置の予備成形型を型開きした際の製造装置の断面図、図13は、同製造装置の予備成形型により予備成形体を吊り上げた際の製造装置の断面図、図14は、同製造装置の搬送手段により、吊り上げた予備成形体を受け取る際を示す製造装置の側面図、図15は、同搬送手段の把持部の部分拡大正面図であり、(A)は線材を把持する前、(B)は線材を把持した際を示し、図16は、同搬送手段により予備成形体を搬送する際を示す斜視図である。
【0039】
予備成形体Pを製造する際には、図6に示すように、温調管30に高温の流体を流通させて第1成形型2Aおよび第2成形型2Bを加熱し、第2成形型2Bの収容部8に樹脂材を含む繊維材を設置する。この際には、針部10は針突出穴16に納まっており、キャビティへ突出していない。
【0040】
次に、第1成形型2Aおよび第2成形型2Bをプレス装置により型締めする。これにより、樹脂材が軟化しつつ、繊維材が所定の形状に変形される。
【0041】
次に、制御部15により、針部10の進退動、線材供給ロール13の回転および外釜25の回転を制御しつつ、第1線材T1および第2線材T2を繊維材に縫い付ける。この際には、まず、図7に示すように、針部10が繊維材を貫通し、外釜25の切れ目より奥まで達した後、引き戻される。このとき、図8(A)に示すように、針部10の針穴9の一方側にのみ針部10に沿って溝43が形成されているため、針部10の先端側に第1線材T1による輪Lが形成される。この後、図8(B)に示すように、針部10の進退動と同期して回転する外釜25の剣先26が輪Lに嵌る。
【0042】
さらに外釜25が回転すると、図9,10に示すように、輪Lが外釜25により拡げられつつ、外釜25と内釜24の間を移動する。
【0043】
この後、更に外釜25が回転すると、図11に示すように、第1線材T1が内釜24の外側を一周し、第1線材T1と第2線材T2が交差することとなる。
【0044】
この縫い付ける工程は、一回(一縫い)で終了してもよいが、強度を確保するために、複数回繰り返すことが好ましい。なお、繊維材の繊維間隔に対し、針部10の位置精度を大きく設定することにより、針部10を複数回にわたって進退動させても、針部10が繊維材の全く同じ位置に挿し込まれることなく、線材を繊維材の狭い範囲内に高強度で縫い付けることができる。
【0045】
また、針部10および第2線材供給部4が第1予備成形型2の押出部7の四隅近傍に設けられているため、第1線材T1および第2線材T2は、予備成形体Pの形状変化の大きい屈曲部42(押出部7の角に対応する部位)の近傍に縫い付けられる。
【0046】
なお、針部10をキャビティへ突出させたまま型締めすることにより、型締めしつつ針部10を繊維材に突き刺すことも可能である。
【0047】
この後、図12に示すように、第1成形型2Aおよび第2成形型2Bを型開きする。この際に、第1線材T1を供給しつつ型開きする。
【0048】
次に、第2線材T2を切断する。この際には、外釜25の剣先26に第2線材溶断ヒータ(不図示)を設けて加熱し、外釜25を回転させて第2線材T2を溶断することができる。また、外釜25に限らず、第2線材T2に近接可能な別途のヒータや切断刃を設けることも可能である。また、ここで第2線材T2を切断せずに、第2線材T2を供給しつつ予備成形体Pを第2成形型2Bから離型させ、その後に切断することも可能である。
【0049】
次に、図13に示すように、第1線材T1の供給を停止し、さらに第1成形型2Aと第2成形型2Bを離隔させる。これにより、予備成形体Pが第1線材T1に引っ張られて、第2成形型2Bから離型される。
【0050】
このとき、第1線材T1が予備成形体Pの屈曲部42の近傍の繊維材に縫い付けられるが、屈曲部42の剛性が他の部位と比較して高いため、第1線材T1により吊り上げられた際に予備成形体Pが自重により変形し難い。したがって、第1線材T1が縫い付けられる位置は、予備成形体Pが吊るされる際の予備成形体Pの変形量ができるだけ小さくなることが望ましく、かつ予備成形体Pに許容される変形量を超えないように設定される。この縫い付け位置は、例えばシミュレーションにより決定することができる。
【0051】
この後、図14に示すように、第1成形型2Aと予備成形体Pの間の第1線材T1に、把持部33を切り込み部37が設けられる側から近接させる。これにより、第1線材T1が切り込み部37から線材誘導スリット36に導かれ、さらに線材誘導スリット36によって保持穴38まで誘導される。第1線材T1が保持穴38まで達すると、搬送用ロボット32による把持部33の移動が停止される。保持穴38に確保された第1線材T1は、図15に示すように第2挟持部材40を回転させることにより、第1挟持部材39と第2挟持部材40の間に挟持される。このとき、第1線材T1が第1線材溶断ヒータ41に接触する。
【0052】
次に、第1線材溶断ヒータ41を加熱して第1線材T1を溶断する。この後、搬送用ロボット32により、把持部33に把持された予備成形体Pを、本成形を行う本成形型まで搬送し、本成形により予備成形体Pを所定の形状に成形しつつ、新たに供給される流動樹脂を予備成形体に含浸せしめて、硬化させ繊維強化プラスチックとする。この際、予め繊維材に含まれる樹脂材は、本成形時に新たに供給される樹脂と相溶するのが好ましい。なお、予備成形体Pに縫い付けられた第1線材T1および第2線材T2は、熱可塑性樹脂であるため、本成形により溶融して成形品と一体化する。
【0053】
以上のように、本実施形態では、予備成形体Pの繊維材に第1線材T1および第2線材T2を縫い付け、この第1線材T1によって予備成形体Pを予備成形型2から吊り上げるため、手作業により予備成形型2から予備成形体Pを搬出する必要がなく、自動化が可能となる。したがって、予備成形型2から予備成形体Pを搬出するための可動部を予備成形型2に設ける必要がなく、また搬送用のベルト等が必要ないため、設備の改良費、製造費を削減でき、設備費の増加を抑えることができる。
【0054】
また、予備成形体Pに針を突き刺し、針により予備成形体Pを保持して搬送する方法もあるが、この方法では予備成形体が大きい場合には保持が困難であり、また繊維材の網目等が乱れ、成形品強度に影響する虞がある。しかし、本実施形態に係る搬送方法および製造装置1によれば、第1線材T1により屈曲部42の近傍を上方から吊り上げるため、繊維材の網目等が乱れにくく、成形品強度を保つことができる。
【0055】
また、予備成形体を吸引して搬送する方法もあるが、RTM工法に用いられる予備成形体は本成形において樹脂を含浸せしめるため、実質的に空隙の多い構成となっており、予備成形体の自重を支える吸引力を供給する設備が巨大となってしまうという難点がある他、この方法では吸引するためのヘッドが大きくなって小回りがきかず、予備成形型内からの予備成形体の取り出しが困難であるとともに設置可能な場所が限られてしまい、更には吸引力により予備成形体が変形する場合もある。しかし、本実施形態に係る搬送方法および製造装置1によれば、第1線材供給部3および第2線材供給部4のほぼ全体が予備成形型2の内部に配置されるため、小型で小回りが可能であり、設置場所も限られず、また屈曲部42の近傍を吊り上げるため繊維材の網目等が乱れにくく、成形品強度を保つことができる。
【0056】
また、上述の針を刺して搬送する方法および吸引して搬送する方法では、必ず手作業が発生するため、予備成形の際に手待ちが発生する。しかし、本実施形態に係る搬送方法および製造装置1によれば、予備成形体Pの予備成形型2から本成形型への搬送を完全に自動化することができ、コストを削減できる。
【0057】
<第2実施形態>
図17は、第2実施形態に係る予備成形体の製造装置の斜視図、図18は、同製造装置の予備成形型の側面図、図19は、第2成形型を示す平面図、図20は、図17のXX−XX線に沿う断面図、図21は、図17のXXI−XXI線に沿う部分断面図である。
【0058】
本発明の第2実施形態に係る予備成形体の製造装置51は、第1実施形態と同様に、RTM工法に用いられる予備成形体Pを製造するための装置である。
【0059】
予備成形において加工される被加工物Wに用いられる繊維材および樹脂材については、第1実施形態と同様の材料を適用できる。
【0060】
第2実施形態に係る予備成形体の製造装置51は、図17〜19に示すように、予備成形体Pを成形するために互いに近接離隔可能な一対の第1成形型52Aおよび第2成形型52Bを備える予備成形型52と、第1成形型52Aに設けられる突出部53とを有している。
【0061】
第1成形型52Aおよび第2成形型52Bの間には、型締めの際にキャビティが形成される。
【0062】
突出部53は、第1成形型52Aに複数設けられている。各々の突出部53は、図20,21に示すように、第1成形型52Aのキャビティ側へ進退動可能な突出針54と、突出針54を付勢するための付勢ばね55と、突出針54を駆動させる駆動圧供給部56とを備えている。
【0063】
突出針54は、鋭利な先端部を備え、第1成形型52Aにキャビティ側へ貫通して形成される突出針通路58に摺動可能に配置される。突出針54の後端部には、外径が大きく形成された大径部59が形成されている。大径部59は、第1成形型52Aに突出針通路58と連通して形成された、突出針通路58よりも内径の大きいばね収容通路60を摺動可能となっている。突出針54は、予備成形体Pの形状や大きさに応じて複数設けられる。
【0064】
ばね収容通路60には、突出針54に挿通される付勢ばね55が設けられており、付勢ばね55は、大径部59と接して突出針54をキャビティの反対側へ付勢している。
【0065】
駆動圧供給部56には、高圧ガスが供給されるガス供給流路61と、ガスを排出するガス排出流路62と、ばね収容通路60へ連通する圧供給通路63と、これらの流路と連通する弁摺動空間64とが形成されている。弁摺動空間64の内部には、弁摺動空間64内を摺動して、一端側に位置する際にガス供給流路61と圧供給通路63を連通させ、他端側に位置する際にガス排出流路62と圧供給通路63を連通させる摺動弁65が設けられている。摺動弁65は、摺動方向の両端に弁摺動空間64から外部に導出される導出軸66が設けられており、導出軸66の端部には、導出軸66よりも径の大きい外端部67が設けられる。導出軸66はばね68を挿通しており、これにより摺動弁65が付勢される。外端部67は、電磁石(不図示)により引き寄せられて可動可能な磁性体により形成されており、電磁石によって弁の切り替えが可能となっている。なお、図20中の摺動弁65は、ガス供給流路61と圧供給通路63を連通させた状態となっており、この状態では、突出針54の大径部59に圧力が作用して、付勢ばね55が押し縮められて突出針54が突出する。また、一点鎖線で示すように、摺動弁65を摺動させてガス排出流路62と圧供給通路63を連通させると、ばね収容通路60内のガスが圧供給通路63およびガス排出流路62を介して排出されて、付勢ばね55によって突出針54が突出針通路58内に押し戻される。
【0066】
駆動圧供給部56は、本実施形態では1列に並ぶ3つの突出部53に対して1つ設けられており、弁摺動空間64に連通する圧供給通路63が、3つのばね収容通路60に連通している。したがって、1つの駆動圧供給部56を稼動させることで、3つの突出部53が同期して進退動する。なお、1つの駆動圧供給部56により駆動される突出部53の数は限定されず、3つ以外の複数でも、または1つであってもよい。
【0067】
突出針通路58は、予備成形型52に挟まれる予備成形体Pの面に傾斜して形成される。したがって、突出針通路58から突出される突出針54は、予備成形体Pに対して傾斜して突き刺される。
【0068】
全ての突出針54の予備成形体Pの面に対する傾斜方向は、予備成形体Pの中心部(図19中の中心線M)に向かう方向となっている。したがって、突出針54は、予備成形体Pの中心部を挟む両側で、予備成形体Pの面に対して逆方向へ傾斜している。このような形態は、第1成形型52A側が突出した形状(上側に凸形状)の予備成形体Pを保持するのに適している。傾斜角度θ(図21参照)は、例えば45度であるが、予備成形体Pの形状や重量、突き刺す部位、突出針54の本数等の条件に応じて、適宜設定されることが好ましい。
【0069】
第2成形型52Bには、各々の突出針54に対応する部位に溝部70が形成されている。各々の溝部70は、突出針54が突出した際に、突出部53の先端が収容される空間である。突出針54は、予備成形体Pの面に対して傾斜して進退動するため、溝部70は、突出針54の傾斜角度θに対応する傾斜した底面を有している。また、溝部70は、予備成形体Pが落ち込まないように、極力小さく形成されている。
【0070】
第1成形型52Aは、搬出用ロボット(不図示)に連結されて移動可能となっている。
【0071】
第2成形型52Bのキャビティの近傍には、被加工物を加熱するための温調管30が設けられており、外部から供給される高温の流体によって第2成形型52Bが加熱される。なお、第1成形型52Aに温調管が設けられてもよい。
【0072】
次に、第2実施形態に係る予備成形体の搬送方法について説明する。
【0073】
図22は、第2実施形態に係る製造装置の予備成形型を型締めした際の側面図、図23は、図22における予備成形体の押圧部位の部分拡大断面図、図24は、同製造装置の第1成形型から突出針を突出させた際を示す側面図、図25は、図24における予備成形体の押圧部位の部分拡大断面図、図26は、第1成形型に保持した予備成形体を搬送する際を示す側面図、図27は、図26における予備成形体を保持した部位の部分拡大断面図、、図28は、第1成形型に保持した予備成形体を本成形型に搬送した際を示す側面図、図29は、第1成形型に保持した予備成形体を本成形型に移動させる際を示す部分拡大断面図、図30は、第1成形型により予備成形体を本成形型に押圧する際を示す部分拡大断面図、図31は、移動された予備成形体を本成形型により成形する際を示す断面図である。
【0074】
予備成形体Pを製造する際には、温調管30に高温の流体を流通させて第1成形型52Aおよび第2成形型52Bを加熱し、第2成形型52Bに樹脂材を含む繊維材を設置する。この際には、突出針54は突出針通路58に収納されており、キャビティへ突出していない。
【0075】
次に、図22,23に示すように、第1成形型52Aおよび第2成形型52Bをプレス装置により型締めする。これにより、樹脂材が軟化しつつ、繊維材が所定の形状に変形されて、予備成形体Pが形成される。
【0076】
次に、図24,25に示すように、駆動圧供給部56の摺動弁65を摺動させて、突出針54をキャビティ内に突出させる。これにより、突出針54が予備成形体Pに突き刺さり、予備成形体Pを貫通して、先端部が第2成形型52Bの溝部70内に達する。
【0077】
この後、図26,27に示すように、突出針54を突出させた状態のまま第1成形型52Aおよび第2成形型52Bを型開きする。このとき、突出針54が予備成形体Pに対して傾斜して突き刺されているため、突出針54により予備成形体Pが第1成形型52Aに保持されて、予備成形体Pが第2成形型52Bから離型される。
【0078】
次に、図28に示すように、第1成形型52Aを搬出用ロボットにより移動させて、予備成形体Pを、本成形を行う本成形型71の下型71Bの直上まで搬送する。
【0079】
次に、駆動圧供給部56の摺動弁65を摺動させて、突出針54を突出針通路58に収納する。これにより、図29に示すように突出針54が予備成形体Pから引き抜かれ、予備成形体Pが直下の下型71Bに設置される。この後、図30に示すように第1成形型52Aを更に下降させて、予備成形体Pを下型71Bに押し付ける。これにより、本成形型71に予備成形体Pをなじませつつ、再度の予備成形が行われる。
【0080】
この後、搬出用ロボットにより第1成形型52Aを下型71Bから離隔し、図31に示すように、本成形型71の上型71Aを下型71Bに近接させて型締めする。これにより、本成形により予備成形体Pを所定の形状に成形しつつ、新たに供給される流動樹脂を予備成形体Pに含浸せしめて、硬化させ繊維強化プラスチックとする。この際、予め繊維材に含まれる樹脂材は、本成形時に新たに供給される樹脂と相溶するのが好ましい。
【0081】
以上のように、第2実施形態によれば、予備成形を行うための第1成形型52Aに予備成形体Pを保持して搬送するため、手作業により予備成形型52から予備成形体Pを搬出する必要がなく、自動化が可能となる。
【0082】
また、予備成形を行うための第1成形型52Aに予備成形体Pを突出針54よって保持して搬送するため、成形品の形状によらず搬送が可能である。したがって、成形品の形状変更による搬送装置、治具等の改造、製造等が容易であり、コストの増加を抑えることができる。
【0083】
また、第1成形型52Aに予備成形体Pを保持して搬送するため、本成形型71に予備成形体Pを配置する際の位置精度に優れている。これにより、成形後の皺等の不具合が低減し、成形品の品質が向上する。
【0084】
また、予備成形体Pの面に傾斜した状態で突出針54が突き刺されるため、突出針54によって予備成形体Pを第1成形型52Aに良好に保持したまま搬送できる。さらに、鋭利な突出針54を傾斜して突き刺すため、予備成形体Pの織り目の破壊を最小限にしつつ、予備成形体Pを保持できる。
【0085】
また、第2成形型52Bに溝部70が設けられているため、突出針54を予備成形体Pに深く差し込むことができ、予備成形体Pを良好に保持できる。
【0086】
また、溝部70の底面が傾斜して設けられているため、予備成形体Pの落ち込みを極力抑えることができ、かつ溝部70の清掃が容易となり、更には、第2成形型52Bに対する溝部70の加工が容易となる。
【0087】
また、突出針54が、予備成形体Pの中心部を挟む両側で、予備成形体Pの面に対して逆方向へ傾斜しているため、搬送の際に予備成形体Pが突出針54から抜け落ち難い。
【0088】
なお、突出針の形態は、上述の形態に限定されない。図32〜36は、突出針の変形例を示す図であり、(A)は部分断面図、(B)は(A)のB−B線に沿う断面図、図37は、突出針の他の変形例を示す部分断面図である。
【0089】
図32に示す突出針の変形例では、突出針81が第1成形型52A側に屈曲されて形成されている。突出針81が突出針通路58に収容されている際には、突出針通路58に対応する形状に弾性変形して収容され、突出針通路58から突出させることにより、屈曲した状態に戻りつつ予備成形体Pに突き刺される。なお、突出針通路が、突出針81に対応した形状で形成されてもよい。溝部82は、突出針81に対応する形状で形成されている。このような突出針81を適用することで、屈曲した突出針81により予備成形体Pが抱え込むようにして良好に保持され、搬送の際の予備成形体Pの抜け落ちや繊維の乱れの発生を抑制できる。
【0090】
図33に示す突出針の変形例では、突出針83の先端が側方へ屈曲して形成されている。突出針83が突出針通路58に収容されている際には、突出針通路58に対応する形状に弾性変形して収容され、突出針通路58から突出させることにより、屈曲した状態に戻りつつ予備成形体Pに突き刺される。溝部84は、突出針83に対応して分岐した形状で形成されている。このような突出針83を適用することで、予備成形体Pの下面側で突出針83が屈曲して予備成形体Pが良好に保持され、搬送の際の予備成形体Pの抜け落ちや繊維の乱れの発生を抑制できる。
【0091】
図34に示す突出針の変形例では、突出針85の先端が2つに分岐して、側方へ拡開して形成されている。突出針85が突出針通路58に収容されている際には、突出針通路58に対応する形状に弾性変形して収容され、突出針通路58から突出させることにより、拡開した状態に戻りつつ予備成形体Pに突き刺される。溝部86は、突出針85に対応して分岐した形状で形成されている。このような突出針83を適用することで、予備成形体Pの下面側で突出針85が拡開して予備成形体Pが良好に保持され、搬送の際の予備成形体Pの抜け落ちや繊維の乱れの発生を抑制できる。
【0092】
図35に示す突出針の変形例では、隣接する2つの突出針87A,87Bが、側方へ拡開しつつ突出するように設けられている。このような2つの突出針87A,87Bを対として適用することで、予備成形体Pの下面側で2つの突出針87A,87Bが拡開して予備成形体Pが良好に保持され、搬送の際の予備成形体Pの抜け落ちや繊維の乱れの発生を抑制できる。
【0093】
図36に示す突出針の変形例では、隣接する2つの突出針88A,88Bが、側方へ拡開しつつ突出するように設けられ、かつ側方へ湾曲して形成されている。このような2つの突出針88A,88Bを対として適用することで、予備成形体Pの下面側で2つの突出針88A,88Bが拡開しつつ湾曲し、予備成形体Pが良好に保持され、搬送の際の予備成形体Pの抜け落ちや繊維の乱れの発生を抑制できる。
【0094】
図37に示す突出針の変形例では、予備成形体Pの中心部を挟む両側の突出針89A,89Bが、予備成形体Pの面に対して反対方向へ傾斜している。このような形態は、第1成形型側が窪んだ形状(上側に凹形状)の予備成形体Pを保持するのに適している。
【0095】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で種々改変することができる。例えば、第1実施形態では、第1成形型2Aが上型で凸形状、第2成形型2Bが下型で凹形状の例を示したが、第1成形型、第2成形型のいずれが上型、下型であっても、凸形状、凹形状であっても構わない。また、必ずしも4本の第1線材T1で吊り上げる必要はなく、3本以上であれば、予備成形体Pの姿勢を安定させつつ搬送が可能である。また、搬送用ロボット32は、必ずしもアーム式である必要はなく、例えば3軸直交ロボット等を使用することもできる。また、第1線材T1により吊り上げられた予備成形体Pを搬送手段により搬送するのではなく、第1成形型2Aごと搬送することも可能である。
【0096】
また、第2実施形態では、溝部70の底面が必ずしも傾斜していなくてもよい。また、溝部70が設けられずに、突出針54が予備成形体Pを完全には貫通しない形態であってもよい。また、突出針54の傾斜方向は、予備成形体Pの中心線Lに向かう方向であるだけでなく、中心点O(図19参照)に向う方向とすることもできる。また、突出針54を駆動する機構として、駆動圧供給部56ではなく、例えばモータ等も適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】第1実施形態に係る予備成形体の製造装置の側面図である。
【図2】第1実施形態に係る予備成形体の製造装置の予備成形型の断面図である。
【図3】第1実施形態に係る予備成形体の製造装置の予備成形型の部分拡大断面図である。
【図4】第1実施形態に係る予備成形体の製造装置の搬送手段を示す上面図である。
【図5】第1実施形態に係る予備成形体の製造装置の搬送手段を示す側面図である。
【図6】第1実施形態に係る予備成形体の製造装置の予備成形型を型締めした際の製造装置の断面図である。
【図7】第1実施形態に係る予備成形体の製造装置のボビンの動作を説明するための第1の断面図である。
【図8】製造装置の針部により供給された線材をボビンに受け渡す際を示す製造装置の部分拡大断面図であり、(A)は針部の挿し込みの際、(B)は針部の引き抜きの際を示す。
【図9】第1実施形態に係る予備成形体の製造装置のボビンの動作を説明するための第2の断面図である。
【図10】第1実施形態に係る予備成形体の製造装置のボビンの動作を説明するための第3の断面図である。
【図11】第1実施形態に係る予備成形体の製造装置のボビンの動作を説明するための第4の断面図である。
【図12】第1実施形態に係る予備成形体の製造装置の予備成形型を型開きした際の製造装置の断面図である。
【図13】第1実施形態に係る予備成形体の製造装置の予備成形型により予備成形体を吊り上げた際の製造装置の断面図である。
【図14】第1実施形態に係る予備成形体の製造装置の搬送手段により、吊り上げた予備成形体を受け取る際を示す製造装置の側面図である。
【図15】同搬送手段の把持部の部分拡大正面図であり、(A)は線材を把持する前、(B)は線材を把持した際を示す。
【図16】同搬送手段により予備成形体を搬送する際を示す斜視図である。
【図17】第2実施形態に係る予備成形体の製造装置の斜視図である。
【図18】同製造装置の予備成形型の側面図である。
【図19】第2成形型を示す平面図である。
【図20】図17のXX−XX線に沿う断面図である。
【図21】図17のXXI−XXI線に沿う部分断面図である。
【図22】第2実施形態に係る製造装置の予備成形型を型締めした際の側面図である。
【図23】図22における予備成形体の押圧部位の部分拡大断面図である。
【図24】同製造装置の第1成形型から突出針を突出させた際を示す側面図である。
【図25】図24における予備成形体の押圧部位の部分拡大断面図である。
【図26】第1成形型に保持した予備成形体を搬送する際を示す側面図である。
【図27】図26における予備成形体を保持した部位の部分拡大断面図である。
【図28】第1成形型に保持した予備成形体を本成形型に搬送した際を示す側面図である。
【図29】第1成形型に保持した予備成形体を本成形型に移動させる際を示す部分拡大断面図である。
【図30】第1成形型により予備成形体を本成形型に押圧する際を示す部分拡大断面図である。
【図31】移動された予備成形体を本成形型により成形する際を示す断面図である。
【図32】突出針の変形例を示す図であり、(A)は部分断面図、(B)は(A)のB−B線に沿う断面図である。
【図33】突出針の他の変形例を示す図であり、(A)は部分断面図、(B)は(A)のB−B線に沿う断面図である。
【図34】突出針の他の変形例を示す図であり、(A)は部分断面図、(B)は(A)のB−B線に沿う断面図である。
【図35】突出針の他の変形例を示す図であり、(A)は部分断面図、(B)は(A)のB−B線に沿う断面図である。
【図36】突出針の他の変形例を示す図であり、(A)は部分断面図、(B)は(A)のB−B線に沿う断面図である。
【図37】突出針の他の変形例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0098】
1,51 予備成形体の製造装置、
2,52 予備成形型、
2A,52A 第1成形型、
2B,52B 第2成形型、
3 第1線材供給部、
4 第2線材供給部、
5 搬出手段、
9 針穴、
10 針部、
22 ボビン、
23 ボビンケース、
24 内釜、
25 外釜、
26 剣先、
32 搬送用ロボット、
33 把持部、
35 線材固定部、
39 第1挟持部材、
40 第2挟持部材、
41 第1線材溶断ヒータ、
42 屈曲部、
53 突出部、
54,81,83,85,87,88,89 突出針、
70,81,82,84,86 溝部、
71 本成形型、
θ 傾斜角度、
M 中心線、
O 中心点、
P,P 予備成形体、
T1 第1線材、
T2 第2線材、
W 被加工物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材を含む繊維材を予備成形型内で加熱圧縮して予備成形体を成形した後に、当該予備成形体を予備成形型から搬送する予備成形体の搬送方法であって、
前記予備成形型に備えられる第1成形型および第2成形型により前記繊維材を型締めして加熱圧縮する工程と、
前記第1成形型から鋭利な突出針を突出させて予備成形体に突き刺し、当該予備成形体を第1成形型に保持する工程と、
前記第1成形型を第2成形型から離間し、当該第1成形型により前記予備成形体を保持したまま搬送する工程と、を有することを特徴とする予備成形体の搬送方法。
【請求項2】
前記突出針を、前記予備成形体の面に傾斜して突き刺すことを特徴とする請求項1に記載の予備成形体の搬送方法。
【請求項3】
前記突出針を複数設け、当該突出針を、前記予備成形体の中心を挟む両側で前記予備成形体の面に対して逆方向へ傾斜するように突き刺すことを特徴とする請求項2に記載の予備成形体の搬送方法。
【請求項4】
前記突出針を、当該突出針の先端が前記第2成形型に設けられる溝部に達するまで予備成形体に貫通させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の予備成形体の搬送方法。
【請求項5】
樹脂材を含む繊維材を予備成形型内で加熱圧縮して予備成形体を成形する予備成形工程の後に、当該予備成形体を予備成形型から搬送する予備成形体の搬送方法であって、
前記予備成形工程において前記繊維材に線材を縫い付け、前記予備成形型から予備成形体を離型する際に、前記線材を引っ張ることで予備成形体を予備成形型から吊り上げることを特徴とする予備成形体の搬送方法。
【請求項6】
前記予備成形型は一対の第1成形型および第2成形型を有し、一方の第1成形型に設けられて第1線材を供給する針部および他方の第2成形型に設けられて第2線材を供給する第2線材供給部により、前記繊維材に対となる第1線材および第2線材を縫い付け、前記第1成形型および第2成形型の型開きにおいて前記第1線材により予備成形体を引っ張ることで、前記第2成形型から予備成形体を吊り上げることを特徴とする請求項5に記載の予備成形体の搬送方法。
【請求項7】
前記予備成形工程の際に、複数の線材を前記繊維材に縫い付け、当該複数の線材により予備成形体を吊り上げることを特徴とする請求項5または6に記載の予備成形体の搬送方法。
【請求項8】
前記繊維材に前記線材を縫い付ける際に、当該線材を、前記予備成形体において形状が変化する屈曲部の近傍の繊維材に縫い付けることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の予備成形体の搬送方法。
【請求項9】
前記予備成形体を吊り上げた線材を、搬送用ロボットで移動可能な把持部により把持して搬送することを特徴とする請求項8に記載の予備成形体の搬送方法。
【請求項10】
前記把持部により線材を把持した後に、前記線材を、搬送用ロボットで移動可能な把持部により把持して搬送することを特徴とする請求項9に記載の予備成形体の搬送方法。
【請求項11】
前記線材として、熱可塑性樹脂を用いることを特徴とする請求項5〜10のいずれか1項に予備成形体の搬送方法。
【請求項12】
樹脂材を含む繊維材を加熱圧縮して予備成形体を成形し、当該予備成形体を搬送する予備成形体の製造装置であって、
前記予備成形体を成形するために互いに近接離隔可能な一対の第1成形型および第2成形型を備える予備成形型と、
前記第1成形型に、当該第1成形型のキャビティ側へ進退動可能に設けられた鋭利な突出針と、を有することを特徴とする予備成形体の製造装置。
【請求項13】
前記突出針は、前記予備成形体の面に傾斜して進退動可能であることを特徴とする請求項12に記載の予備成形体の製造装置。
【請求項14】
前記突出針は複数設けられ、当該突出針は、前記予備成形体の中心を挟む両側で前記予備成形体の面に対して逆方向へ傾斜して進退動可能であることを特徴とする請求項13に記載の予備成形体の製造装置。
【請求項15】
前記第2成形型には、突出して前記予備成形体を貫通した前記突出針が収容される溝部が形成されることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載の予備成形体の製造装置。
【請求項16】
前記溝部は、底面が前記突出針の突出方向に対応して傾斜して形成されることを特徴とする請求項15に記載の予備成形体の製造装置。
【請求項17】
樹脂材を含む繊維材を加熱圧縮して予備成形体を成形し、当該予備成形体を搬送する予備成形体の製造装置であって、
前記予備成形体を成形するために互いに近接離隔可能な一対の第1成形型および第2成形型を備える予備成形型と、
前記第1成形型に、当該第1成形型のキャビティ側へ進退動可能に設けられ、第1線材が通される針穴を有する針部と、
前記針部に対応して前記予備成形型の他方の第2成形型に設けられ、第2線材を供給するとともに、前記針部の進退動に対応して回転する回転釜を備える第2線材供給部と、を有することを特徴とする予備成形体の製造装置。
【請求項18】
前記針部および第2線材供給部は、複数備えられることを特徴とする請求項17に記載の予備成形体の製造装置。
【請求項19】
前記線材は、熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項17または18に記載の予備成形体の製造装置。
【請求項20】
前記第2成形型には、前記第2線材を溶融して切断する第1線材溶断ヒータが設けられることを特徴とする請求項17〜19のいずれか1項に記載の予備成形体の製造装置。
【請求項21】
前記第1線材溶断ヒータは、前記回転釜に設けられることを特徴とする請求項20に記載の予備成形体の製造装置。
【請求項22】
搬送用ロボットに連結されて、互いに離隔された第1成形型および第2成形型の間に移動可能であり、前記第1成形型から引き出された第1線材を把持することができる把持部を有することを特徴とする請求項17〜21のいずれか1項に記載の予備成形体の製造装置。
【請求項23】
前記把持部は、互いに近接離間して線材を挟持する第1挟持部材および第2挟持部材を有することを特徴とする請求項22に記載の予備成形体の製造装置。
【請求項24】
前記把持部には、把持した第1線材の予備成形体に対して反対側を溶融して切断する第1線材溶断ヒータが設けられることを特徴とする請求項22または23に記載の予備成形体の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2008−254438(P2008−254438A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−63123(P2008−63123)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係わる特許出願(平成17年度 新エネルギー・産業技術総合開発機構「地球温暖化防止新技術プログラム 自動車軽量化炭素繊維強化複合材料の研究開発」、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】