説明

予圧調節可能なボールベアリング・ガイドシステム

【課題】第1及び第2摺動部材を有し、該両部材を連結し、該部材間でガイドする摺動装置用の、転動要素、特にボールベアリングを有するガイドシステムで、片方の摺動部材を、他方の摺動部材に対して往復直線運動し易いように、2組のリニアボールベアリングを介挿させたガイドシステムである。
【解決手段】該摺動部材12の片方には、運動方向と並行な該部材の両側の少なくとも片側に、開口部を有し、可変クランプ結合する側板28で一体化させ、上記第1摺動部材と上記第2摺動部材との間で上記2組のボールベアリングの予圧を調節可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して摺動装置に関し、該装置には2つの結合要素を有し、該結合要素間で、好適には空圧式の制御ユニットにより、他方に対して往復直線運動をし易くした要素によって、ガイドする。特に、本発明を、特に小型の場合、上記摺動装置用の、転動要素、一般的にボールベアリングを有するガイドシステムとする。
【背景技術】
【0002】
本明細書で考える摺動装置については、空圧制御式とすることができ、多くの産業部門において、特に、しかしそれに限定しないが、位置決め及び組付けが必要な様々な部品及び要素を自動的に掴持操作及び運転操作するのに、大いに普及している。摺動装置には、2つの摺動部分内に延在するダクトを用いて空圧制御する、吸盤等の把持装置を備えることができる。
【0003】
こうした既知の技術によれば、摺動装置のこれら2部分を結合し、殆どがボールベアリングである転動要素を介在させて、片方を他方に対して摺動できる。転動要素を存在させることで、空圧制御圧力が最小の場合でも、容易に摺動可能になるが、該要素の組付けには、高精度な操作が必要となり、その結果時間や多大な実行費用がかかり、その上、結合予圧を調節できない。
【0004】
用途によっては、これら摺動部材を小型化、軽量化することも重要となり、そうした条件には、当該部門で現在採用されているガイド及び組付技術では、対応できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、本発明の1目的は、前述した構成の摺動装置用のガイドシステムを提案して、構造と組付方法の両方を簡素化し、精密な作業の必要性を排除し、ガイド手段の予圧を外部調節可能にし、確実に正確に機能させ、装置の全体寸法、特に幅を減少することであるが、該幅は、可動要素の運転方向に延伸する摺動体の両側面が最狭となった部分で測定した厚みとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的及び該目的に由来する間接的な効果を、請求項1のプリアンブルに記載の空圧制御式摺動装置用ガイドシステムにおいて、本発明により達成するが、該ガイドシステムは、該摺動要素の片方に、運動方向と並行な該要素両側の少なくとも片側で、開口部を有し、該開口部に、側板を硬化肉盛し、固定して一体化させ、側板の締着を可変にして、結合させた2摺動部材間で2列のボールベアリングの予圧を調節可能にする。
【0007】
その結果、有利には、総じて上記介挿する側板が、摺動体の組付けを容易にする、摺動体の構造を完全にする、相対的固定手段と一体化させる点で優れたものとなり、ガイドシステムの結合予圧を外部から微調節可能にできる。
【0008】
しかしながら、本発明について一層詳細に、以下の本明細書で、包含した例示的だが非限定的な図面を参照して、説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明によるガイドシステムを有する摺動装置の構成要素に関する分解図である。
【図2】組立てた摺動装置の図である。
【図3】該装置の側面図である。
【図4】長手方向の拡大断面図である。
【図5】図4の矢印A−A方向に沿った断面図であり、ガイドシステムを線付けしてこれを示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上記図面では、摺動装置について示唆的に表しており、該摺動装置には、第1固定要素11と第2摺動部材12とを備え、これらを本発明のガイドシステム13により、互いに相補的に結合及びガイドする。
【0011】
摺動部材12を、固定摺動要素11に対して往復直線運動を行い易くし、該運動を空圧制御ユニット14によって実施する。同制御ユニットは、固定摺動要素11内に該要素長さ分だけ設ける流体チャンバ15と、該チャンバ内に収容、密閉され、該チャンバ内で摺動し、ロッド17を備えるピストン16とから成り、該ロッドは、ピン19により上記チャンバ15内に保持される少なくとも1つのガイドリング18を横断し、摺動部材12に連結するまで延在する。チャンバ15には、加圧した流体、特に空気を、給送/排出ダクト20、20’を交互に通して供給し、それにより上述した可動摺動要素の固定要素に対する運動を、発生させるようにする。
【0012】
摺動部材12にはまた、図示しないが、吸盤等の把持部材も備え、該把持部材を流体ダクト21と一致させて配置することができ、該流体ダクト21を、ピストン16用チャンバ15と並行で、且つ2摺動要素を縦断し、固定摺動要素11側で、該把持部材の作用を制御するよう設計した真空群(図示せず)に連結可能とする。上記ダクトを、可動要素の固定要素に対する運動中でも連続させるために、管22を2摺動要素間に配設し、該管により上記要素の片方と伸縮自在に結合させるが、該片方の要素を、図面では、固定摺動要素11としている。
【0013】
この摺動要素11には、例えばマニピュレータに適用するための手段23を備えている。ピストン16のロッド17に沿って、摺動部材12をピックアップする品物に向けて押圧するよう設計したバネ24を配設して、そうした方法で、品物に把持部材が接着するのを、適宜防止する。緩衝装置12’を、2摺動要素が対面する2部分間に配置する。
【0014】
図示した例で提案したガイドシステム13には、固定摺動要素11と一体化したガイドリブ25を備え、該リブを固定摺動要素11の長さの少なくとも一部に沿って延在させ、該リブには2本の直線軌道26、26’を両側に沿って有する。
【0015】
摺動部材12については、該部材には、運動方向と並行な側面に、固定要素のガイドリブ25の隣接面に沿って走る壁部27を有する。反対側に、摺動部材12は開口部を有し、該開口部内に、硬化肉盛した側板28と一体化させるが、該側板28は上記ガイドリブ25の反対側に沿って走るようにする。上記側板を、ネジ29によって摺動部材12に固定する。
【0016】
固定摺動要素11の側壁27の内面には、直線軌道30を、可動要素のガイドリブ25の隣接面の対面する直線軌道26と対向して、設け;同じものを、挿入する側板28の内面にも適用し、そこでは直線軌道30’を、上記ガイドリブ25の他側にある対面する直線軌道26’に対向して、設ける。
【0017】
可動摺動要素の側壁27と固定摺動要素11のガイドリブ25の隣接面との間に、転動要素、特にボールベアリング31の第1直線列を配置し、該転動要素を関連するボールホルダケージ32を用いて一定間隔をあけて配列し、摺動体の当該側で2つの対面する軌道26、30との間に導設する。同様に、側板28と固定摺動要素のガイドリブ25の他方の隣接面との間には、ボールベアリング31の第2直線列を配置すると共に、関連するボールホルダケージ32’によって一定間隔をあけて配列し、摺動体の他側で2つの対面する軌道26’、30’との間に導設する。
【0018】
上述した構成により、ボールベアリング31、31’の2列を、摺動体の固定要素11及び可動要素12と関連させて後、側板28を可動摺動体に固定する。このような組付けは、単純且つ容易に実施でき、一旦組付けた後は、ボールベアリングの2列を介挿した2要素間の結合の予圧を、側板28の取付ネジ29を単純に締め付ける/緩めるだけで、変更可能になり、それにより必要に応じて、固定要素に対する可動要素の滑らかさを調節できる。
【符号の説明】
【0019】
11 第1固定要素
12 第2摺動部材
12’ 緩衝装置
13 ガイドシステム
14 空圧制御ユニット
15 流体チャンバ
16 ピストン
17 ロッド
18 ガイドリング
19 ピン
20、20’ 内転/排出ダクト
21 流体ダクト
22 管
24 バネ
25 ガイドリブ
26、26’、30、30’ 直線軌道
27 壁部
28 側板
29 ネジ
31 ボールベアリング
32 ボールホルダケージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2摺動部材(11、12)を有して、該両部材を連結し、該両部材間でガイドする摺動装置用の、転動要素、特にボールベアリングを有するガイドシステムで、片方の摺動部材(12)を、他方の摺動部材(11)に対して往復直線運動し易いように、2組のリニアボールベアリング(31、31’)を介挿したガイドシステムであって、
前記摺動部材(12)の片方には、運動方向と並行な該部材の両側の少なくとも片側に、開口部を有し、可変クランプ結合する側板(28)で一体化させるが、該側板を前記開口部に配置し、固定して、前記第1摺動部材と前記第2摺動部材との間の前記2組のボールベアリングの予圧を調節可能にすること、
を特徴とするガイドシステム。
【請求項2】
ガイドリブ(25)を第1摺動部材(11)と一体化させ、該部材長さの少なくとも一部分に沿って延在させ、前記ガイドリブには、2直線軌道(26、26’)を対向する両側面に沿って有すること、側壁(27)を前記第2摺動部材(12)と一体化させ、前記第1摺動部材(11)の前記ガイドリブ(25)の第1側面に沿って走らせ、前記側壁(27)には、前記ガイドリブ(25)の前記第1側面にある前記直線軌道(26)と対向する直線軌道(30)を備えること、前記側板(28)を前記第2摺動部材(12)の側開口部の高さで、前記側壁部(27)の対向部分に固定し、前記側板(28)を前記ガイドリブ(25)の第2側面に沿って走らせ、前記側板(28)には、前記ガイドリブ(25)の前記第2面にある前記直線軌道(26’)と対向する直線軌道(30’)を有すること、及び第1リニアボールベアリング組(31)を、前記側壁部と前記ガイドリブ(25)の前記第1側面との間でガイド軌道(26、30)においてガイドし、第2リニアボールベアリング組(31’)を、前記側板(28)と前記ガイドリブ(25)の第2側面との間でガイド軌道(26’、30’)においてガイドすること、
を特徴とする請求項1に記載のガイドシステム。
【請求項3】
前記側板(28)を、前記第2摺動部材(12)に、調節可能なクランプ結合ボルト(29)によって固定すること、を特徴とする請求項1及び2に記載のガイドシステム。
【請求項4】
前記第2摺動部材の前記側壁部(27)と前記側板(28)を互いに並行にし、前記第1摺動部材の前記ガイドリブ(25)の対向する両側面に配置し、夫々に前記2組の予圧調節可能なボールベアリングを含むこと、を特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のガイドシステム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の、転動要素、特にボールベアリングを有するガイドシステムを特徴とする、空圧制御摺動体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−230163(P2010−230163A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49080(P2010−49080)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(508337008)ギマティック エス.ピー.エー. (16)
【Fターム(参考)】