説明

事業者毎サービス提供システム及び事業者毎サービス提供方法

【課題】異なる事業者間でSMSのショートメッセージを用いたサービスを提供する際に、事業者が異なることによるサービスの違いをなるべく抑えられるように、事業者に合わせてサービスを提供することのできる事業者毎サービス提供システム及び事業者毎サービス提供方法を提供する。
【解決手段】IWMSC22の契約事業者情報付与部22dが、テキストタイプのショートメッセージに対して、事業者情報を付与しておく。この事業者情報に基づいて、SMSC24のショートメッセージプロトコル変換部24gが、ショートメッセージに含まれる絵文字等を、他の事業者のプロトコルに合わせて変換する。また、SMSC24のショートメッセージ配信停止部24hが、制御サービスのショートメッセージを送信せずに停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事業者毎サービス提供システム及び事業者毎サービス提供方法に関し、特にショートメッセージサービス(SMS;Short Message Service)によるショートメッセージ(以下、単に「ショートメッセージ」と略称する。)の宛先ユーザの事業者に合わせてサービスを提供する事業者毎サービス提供システム及び事業者毎サービス提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
SMSは、ユーザが電話番号を宛先に指定して短いテキストタイプのショートメッセージをやり取りするサービスや、事業者側からユーザの移動端末機に向けて移動端末機の遠隔操作やデータクリア等の事業者毎に独自のサービス等を行うことのできる仕組みである。例えば、特許文献1には、SMSの相互接続が可能な事業者間であれば、発信元ユーザが契約する事業者や宛先に指定したユーザが契約する事業者を問わずにショートメッセージをやり取りすることができる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−191880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、SMSの相互接続が可能な異なる事業者間でショートメッセージを用いたサービスを提供しようとする際に下記のような課題があった。
事業者毎にショートメッセージをやりとりするためのプロトコルが異なる。例えば、上述したSMSでショートメッセージを送信する時に使われる文字は、一般的な文字コードで定義される文字に加えて、事業者毎に独自に定義された絵文字等がある。このため、ユーザ同士でメッセージをやり取りする場合、他の事業者のユーザにSMSのショートメッセージを送信すると、受信側でショートメッセージに含まれる絵文字等を正しく表示させることができない場合があった。
【0005】
また、番号ポータビリティの導入により、ユーザは電話番号を変更せずに契約事業者を変更することが可能になった。このため、ユーザからショートメッセージを作成してから、宛先のユーザにショートメッセージが届くまでの間に、宛先に指定されているユーザが契約事業者を別の事業者にポートアウトしてしまう可能性がある。すると、上述したように受信側でショートメッセージに含まれる絵文字等を正しく表示させることができない。また、事業者からユーザの携帯端末機に向けて送信される制御サービスのショートメッセージであれば、その事業者内のみで使用されるべき制御信号が、他の事業者の網にそのまま送信されてしまう。
【0006】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑み、異なる事業者間でSMSのショートメッセージを用いたサービスを提供する際に、事業者が異なることによるサービスの違いをなるべく抑えられるように、事業者に合わせてサービスを提供することのできる事業者毎サービス提供システム及び事業者毎サービス提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る事業者毎サービス提供システム及び事業者毎サービス提供方法は、上記の目的を達成するために、次のように構成される。
本発明に係る第1の事業者毎サービス提供システムは、相互接続を締結している異なる事業者間でショートメッセージサービスを提供する際に用いられる事業者毎サービス提供システムであって、受信したショートメッセージに係るサービスの種類を判定するサービス種類判定部と、前記ショートメッセージの送信元の網を管理する送信元事業者と、当該ショートメッセージの受信先の網を管理する受信先事業者との同一性を確認する事業者情報確認部と、前記事業者情報確認部によって前記送信元事業者と前記受信先事業者との同一性がとれない前記ショートメッセージに対して、前記サービス種類判定部によって判定された前記サービスの種類に応じた処理を行うサービス毎処理部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この第1の事業者毎サービス提供システムによれば、サービス種類判定部が受信したショートメッセージに係るサービスの種類を判定し、事業者情報確認部によって送信元事業者と受信先事業者との同一性がとれないショートメッセージに対しては、サービス毎処理部がサービスの種類に応じた処理を行う。これにより、相互接続を締結している異なる事業間でショートメッセージをやり取りする際にも、宛先ユーザの事業者に合わせてショートメッセージを配信することが可能となる。
【0009】
本発明に係る第2の事業者毎サービス提供システムは、前記サービス種類判定部は、前記サービスの種類が、テキストタイプのショートメッセージを送受するサービスであるか否かを判定することを特徴とする。
この第2の事業者毎サービス提供システムによれば、サービス種類判定部が、サービスの種類について、テキストタイプのショートメッセージを送受するサービスであるか否かを判定することで、テキストタイプのショートメッセージに対する処理を行うことが可能となる。
【0010】
本発明に係る第3の事業者毎サービス提供システムは、前記サービス種類判定部は、前記サービスの種類が、制御サービスであるか否かを判定することを特徴とする。
この第3の事業者毎サービス提供システムによれば、サービス種類判定部が、サービスの種類について、制御サービスであるか否かを判定することで、制御サービスのショートメッセージに対する処理を行うことが可能となる。
【0011】
本発明に係る第4の事業者毎サービス提供システムは、前記サービス毎処理部は、前記事業者情報確認部によって前記送信元事業者と前記受信先事業者との同一性がとれない前記ショートメッセージのプロトコルを、前記受信先事業者のプロトコルに合わせて変換することを特徴とする。
この第4の事業者毎サービス提供システムによれば、サービス毎処理部が、ショートメッセージに含まれる絵文字や、ショートメッセージの制御パラメータ等を、受信先事業者のプロトコルに合わせて変換する。これにより、異なる事業間でショートメッセージをやり取りする際にも、宛先ユーザの事業者に合わせてショートメッセージを配信することが可能となる。
【0012】
本発明に係る第5の事業者毎サービス提供システムは、前記サービス毎処理部は、前記事業者情報確認部によって前記送信元事業者と前記受信先事業者との同一性がとれない前記ショートメッセージの配信を停止させることを特徴とする。
この第5の事業者毎サービス提供システムによれば、ショートメッセージ配信停止部が、宛先ユーザの契約事業者が自らの事業者でないショートメッセージの配信を停止する処理を行う。これにより、他の事業者の網に、自らの事業者の網でしか使用されないショートメッセージが配信されるのをなくすことが可能となる。
【0013】
本発明に係る第6の事業者毎サービス提供システムは、前記ショートメッセージに、前記受信元事業者を示す事業者情報を付与する事業者情報付与部と、前記事業者情報付与部によって前記ショートメッセージに付与された前記事業者情報と、前記受信元事業者への問い合わせ結果として得られた最新の事業者情報とを比較する事業者情報比較部と、を備えることを特徴とする。
この第6の事業者毎サービス提供システムによれば、事業者情報付与部が、事前にショートメッセージに事業者情報を付与しておく。これにより、事業者情報比較部が、ショートメッセージに付与されている属性情報の一つである事業者情報と、送信先事業者に関する問い合わせ結果として得られた最新の事業者情報とを比較して、送信元事業者と受信先事業者との同一性を確認することが可能となる。
【0014】
本発明に係る第7の事業者毎サービス提供システムは、前記事業者情報確認部によって前記送信元事業者と前記受信先事業者との同一性がとれない場合に、前記ショートメッセージに、前記最新の事業者情報を付与する事業者情報更新部を備えることを特徴とする。
この第7の事業者毎サービス提供システムによれば、事業者情報更新部が、送信元事業者と受信先事業者との同一性がとれない場合に、ショートメッセージに最新の事業者情報に付与する。このため、ショートメッセージに付与されている最新の事業者情報に基づいて、サービスの種類に応じた処理を行った上でショートメッセージを正しく配信することが可能となる。
【0015】
本発明に係る第8の事業者毎サービス提供システムは、前記サービスの種類に応じた優先順序で前記ショートメッセージを配信することができるように、前記ショートメッセージを配信する順序を管理するショートメッセージ配信順序管理部を備えることを特徴とする。
この第8の事業者毎サービス提供システムによれば、ショートメッセージ配信順序管理部が、サービスの種類に応じた優先順序で、ショートメッセージを配信する順序を管理している。これにより、制御サービスのショートメッセージを、テキストタイプのショートメッセージよりも優先して配信するのであれば、制御サービスのショートメッセージ、テキストタイプのショートメッセージの順序でショートメッセージを配信することが可能となる。
【0016】
本発明に係る第9の事業者毎サービス提供システムは、少なくとも前記受信先事業者に対応する識別子及び前記サービスの種類に応じた処理を行うために必要な情報を記憶した記憶部を備えることを特徴とする。
この第9の事業者毎サービス提供システムによれば、記憶部が、事業者の識別子と合わせて、当該事業者に対応する文字コードやショートメッセージの制御パラメータ等のプロトコル情報といったサービスの種類に応じた処理を行うために必要な各種の情報を記憶している。これにより、記憶部にサービスの種類に応じた処理を行うための情報を記憶しておけば、事業者に合わせてサービスの種類に応じた処理を行うことができ、サービスの違いを最大限に抑えることが可能となる。
【0017】
本発明に係る事業者毎サービス提供方法は、相互接続を締結している異なる事業者間でショートメッセージサービスを提供する際に用いられる事業者毎サービス提供方法であって、サービス種類判定部が、受信したショートメッセージに係るサービスの種類を判定するサービス種類判定ステップと、事業者情報確認部が、前記ショートメッセージの送信元の網を管理する送信元事業者と、当該ショートメッセージの受信先の網を管理する受信先事業者との同一性を確認する事業者情報確認ステップと、サービス毎処理部が、前記事業者情報確認ステップによって前記送信元事業者と前記受信先事業者との同一性がとれない前記ショートメッセージに対して、前記サービス種類判定ステップによって判定された前記サービスの種類に応じた処理を行うサービス毎処理ステップとを有することを特徴とする。
この事業者毎サービス提供方法によれば、上記の第1の事業者毎サービス提供システムと同じような作用を得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ショートメッセージの送信元事業者と受信先事業者との同一性がとれない場合に、そのショートメッセージに係るサービスの種類に応じた処理を行うことができる。相互接続を締結している異なる事業者間でSMSのショートメッセージを用いたサービスを提供する際にも、事業者が異なることによるサービスの違いをなるべく抑えることができる。
【0019】
例えば、受信先事業者のプロトコルに合わせてテキストタイプのショートメッセージを送信することができる。また、自らの事業者の網でしか提供されない独自のサービスに用いられる制御サービスのショートメッセージが、他の事業者の網にそのまま配信されるのをなくすことができる。従って、各事業者において、ユーザに事業者毎のサービスの違いをなるべく感じさせずに、サービスを提供することができる。
【0020】
ショートメッセージに、受信元事業者に問い合わせた結果として得られた受信先事業者を示す事業者情報を付与しておくことで、上述した送信元事業者と受信先事業者との同一性を確認することができる。また、ショートメッセージに事業者情報を付与した後でも、ショートメッセージに最新の事業者情報を付与することができる。このため、ユーザが別の事業者にポートアウトしてしまっても、ポートアウト後の事業者に合わせてショートメッセージを配信することができる。
【0021】
また、サービスの種類に応じた優先順序でショートメッセージを配信することができるため、例えば、ユーザが他の事業者からポートインしてきた場合に、携帯端末機に対する制御を優先して行うこと等ができる。
サービスの種類に応じた処理を行うために必要な情報を記憶しておくことにより、サービスの種類に応じた処理が行うことができ、サービスの違いを最大限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態に係る事業者毎サービス提供システムを適用した網の構成を示すネットワーク図である。
【図2】IWMSC22の構成を示すブロック図である。
【図3】契約事業者属性情報22cのテーブル構造を示す表である。
【図4】SMSC24の構成を示すブロック図である。
【図5】GMSC25の構成を示すブロック図である。
【図6−1】テキストタイプのショートメッセージを送信する際の流れを示す第1の模式図である。
【図6−2】テキストタイプのショートメッセージを送信する際の流れを示す第2の模式図である。
【図6−3】テキストタイプのショートメッセージを送信する際の流れを示す第3の模式図である。
【図7−1】制御サービスのメッセージを送信する際の流れを説明する第1の模式図である。
【図7−2】制御サービスのメッセージを送信する際の流れを説明する第2の模式図である。
【図7−3】制御サービスのメッセージを送信する際の流れを説明する第3の模式図である。
【図8−1】SMSC24の蓄積配信制御の流れを説明する第1の模式図である。
【図8−2】SMSC24の蓄積配信制御の流れを説明する第2の模式図である。
【図9】IWMSC22の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】SMSC24の全体の処理のうち、GMSC25にSM−MTを送信するまでの処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】GMSC25の処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】SMSC24の全体の処理のうち、GMSC25からSM−MT_ackを受信してからの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施形態の説明において、同一の構成要素には同一の符号を付け、重複する説明は省略する。
(網10の構成)
まず、図1を参照して、本実施形態に係る事業者毎サービス提供システムを適用した網の構成を説明する。
図1に示す破線で囲む網20は自らの事業者の網であり、同様に破線で囲む網30は自らの事業者とSMSの相互接続を締結している他の事業者の網である。また、移動端末機40は、網20を提供する事業者と契約されている契約者、つまり加入者が使用する移動端末機であり、移動端末機50は、網30を提供する事業者と契約されている加入者が使用する移動端末機である。この網20の事業者と、網30の事業者との相互接続を締結している事業者間で、SMSのショートメッセージを相互にやり取りすることができる。
【0024】
網20は、MSC(Mobile services Switching Center)21、IWMSC(Inter Working Mobile services Switching Center)22、HLR(Home Location Register)23、SMSC(Short Message Service Center)24、GMSC(Gateway Mobile services Switching Center)25及びSME(Short Message Entity)26を備えて構成される。
【0025】
MSC21は、移動端末機40からショートメッセージを受信し、ショートメッセージの正常性を確認した後、IWMSC22にショートメッセージを送信する機能を有する装置である。また、MSC21は、GMSC25からショートメッセージを受信し、ショートメッセージの正常性を確認した後、移動端末機40にショートメッセージを送信する機能を合わせて有する。
IWMSC22は、MSC21からショートメッセージを受信し、ショートメッセージに指定されている宛先ユーザの有効性を確認した後、SMSC24にショートメッセージを送信する機能を合わせて有する装置である。
HLR23は、移動端末機40の契約者、つまり加入者の情報や在圏位置情報を管理するための装置である。
【0026】
SMSC24は、ショートメッセージの有効期限までショートメッセージを保持する機能を有する装置である。また、SMSC24は、移動端末機40へ送信する送信レポートを網内の各装置から受信したり、受信したショートメッセージに関する送信レポートを網内の各装置に送信したりする機能を合わせて有する。
GMSC25は、SMSC24からショートメッセージを受信し、HLR23に対して加入者の情報や在圏位置情報の問い合わせを行った上で、指定された事業者の網のMSCにショートメッセージを送信する機能を有する装置である。
【0027】
SME26は、事業者側からユーザの移動端末機40に向けて、移動端末機40の制御を行うために用いられる制御サービスのショートメッセージや、テキストタイプのショートメッセージを作成して送信するための機能を有する装置である。なお、制御サービスのショートメッセージには、移動端末機40の遠隔操作を行うためのショートメッセージや、移動端末機40のデータクリアを行うためのショートメッセージ等がある。
【0028】
同様に、網30についても、網20と同様に、HLR23及びMSC21のそれぞれに対応するHLR31及びMSC32を備える。その他、網30についても、図示しないがIWMSC22、SMSC24及びSME26に対応する装置を備えて構成される。なお、本実施形態では、網20を提供する事業者と、相互接続を締結した網30を提供する事業者との間でSMSの相互接続が可能であるものとして説明するが、相互接続先の事業者は複数であっても良い。
【0029】
移動端末機40,50は、上記の網20,30と接続され、SMSのショートメッセージを作成して送信したり、SME26から送信される制御サービスのショートメッセージによって遠隔操作等のサービスを受けたりするものである。また、本実施形態では、移動端末機50は網30に存在しているものとして説明するが、網30を提供する事業者とローミングサービスを締結している事業者の網がある場合には、移動端末機50はその網に存在することもある。
【0030】
(IWMSC22の構成)
続いて、図2を参照して、IWMSC22の構成を説明する。
図2に示すIWMSC22は、主制御部22a、契約事業者問合部22b、記憶部22c及び契約事業者情報付与部22dを備えて構成される。
主制御部22aは、網20,30を構成する各装置からの制御信号を送受信し、ショートメッセージを送受信するための処理を行う。
【0031】
契約事業者問合部22bは、HLR23に、ショートメッセージに指定されている宛先ユーザが契約している事業者である契約事業者を問い合わせる。なお、ショートメッセージの宛先に指定されたユーザが契約している事業者が、網30を提供する事業者である場合には、HLR23からさらに網30を提供する事業者のHLR31に問い合わせが行われる。また、移動端末機50がSIM(Subscriber Identity Module)ロックフリーの移動端末機である場合に、その移動端末機に係る情報を利用してサービスを行う時には、契約事業者問合部22bは、移動端末機に係る情報を保持しておく。
【0032】
記憶部22cは、図3に示すように、網20を提供する事業者とSMSの相互接続を締結している事業者に係る情報を記憶している。具体的に、記憶部22cには、各契約事業者に対応する契約事業者を一意に特定するためのユニークキーである「契約事業者コード」、契約事業者の名称である「契約事業者名」等が記憶されている。
契約事業者情報付与部22dは、契約事業者問合部22bの問い合わせ結果に基づいて、記憶部22cに相互接続を締結している事業者の情報として記憶されている「契約事業者コード」を、ショートメッセージの属性情報の一つである契約事業者情報として付与する。
IWMSC22においては、契約事業者問合部22b、記憶部22c及び契約事業者情報付与部22dが、事業者毎サービス提供システムの機能の一部である。
【0033】
(SMSC24の構成)
続いて、図4を参照して、SMSC24の構成を説明する。
図4に示すSMSC24は、主制御部24a、記憶部24b、サービス種類判定部24c、事業者情報確認部24d、サービス毎処理部24e、配信順序管理部24f及びショートメッセージ蓄積部24iを備えて構成される。
主制御部24aは、網20を構成する各装置からの制御信号を送受し、ショートメッセージを蓄積して配信するための処理を行う。
【0034】
記憶部24bは、各契約事業者に対応する「契約事業者コード」に加えて、ショートメッセージに係るサービスの種類に応じた処理を行うために必要な情報を記憶している。例えば、契約事業者毎に異なるショートメッセージに含まれる絵文字の文字コードやショートメッセージの制御パラメータ等を変換するのであれば、記憶部24bは、契約事業者に対応するプロトコル情報を記憶している。
【0035】
サービス種類判定部24cは、ショートメッセージに係るサービスの種類を判定する。サービスの種類として、例えば移動端末機40から移動端末機50に送信されたテキストタイプのショートメッセージを送受するサービスがあったり、SME26から移動端末機40に向けて移動端末機40の遠隔操作やデータクリア等の制御を行うサービスがあったりする。
事業者情報確認部24dは、ショートメッセージに付与されている属性情報の一つである事業者情報から、ショートメッセージの宛先に指定されているユーザの契約事業者が自らの網と同じであるか否かを確認する。
【0036】
サービス毎処理部24eは、ショートメッセージプロトコル変換部24g及びショートメッセージ配信停止部24hを備える。サービス毎処理部24eは、事業者情報確認部24dによってショートメッセージの宛先に指定されているユーザの契約事業者が自らの網20でない場合に、サービス種類判定部24cによって判定されたショートメッセージに係るサービスの種類に応じた処理を行う。
【0037】
受信したショートメッセージから、テキストタイプのショートメッセージを送受するサービスであると判定され、又自らの網20に送信されるメッセージでなく、網20を提供する事業者と相互接続を締結している事業者に送信されるメッセージであると判定された場合に、ショートメッセージプロトコル変換部24gは、ショートメッセージを他の事業者の網30に送信する前にショートメッセージのプロトコルを、その事業者のプロトコルに合わせて変換する。例えば、ショートメッセージプロトコル変換部24gは、テキストに含まれる絵文字や、ショートメッセージの制御パラメータ等を、ショートメッセージに付与されている属性情報の一つである契約事業者情報から判断される契約事業者のプロトコルに合わせて変換する。
【0038】
受信したショートメッセージから、移動端末機40の制御を行うサービスであると判定され、又自らの網20に送信されるメッセージでないと判定された場合に、ショートメッセージ配信停止部24hは、自らの網20で用いられる制御サービスのショートメッセージが他の事業者の網30にそのまま送信されないようにショートメッセージの配信を停止させ、削除する。
なお、サービス毎処理部24eには、上述したショートメッセージプロトコル変換部24g及びショートメッセージ配信停止部24hの他にも、ショートメッセージに係るサービスの種類に応じた処理を行うことができるように各種の処理部を設けることができる。
【0039】
配信順序管理部24fは、蓄積しているショートメッセージを配信する順序を管理する。詳しくは後述するが、例えば制御サービスのショートメッセージとテキストタイプのショートメッセージとが同時に蓄積されているような場合に、制御サービスのショートメッセージを、テキストタイプのショートメッセージよりも優先して配信させるのであれば、制御サービスのショートメッセージ、テキストタイプのショートメッセージの順番でショートメッセージを配信することができるように、ショートメッセージを配信する順序を管理する。
【0040】
ショートメッセージ蓄積部24iは、移動端末機40,50に配信するショートメッセージを蓄積する。
SMSC24においては、記憶部24b、サービス種類判定部24c、事業者情報確認部24d、サービス毎処理部24e、配信順序管理部24f及びショートメッセージ蓄積部24iが、事業者毎サービス提供システムの機能の一部である。
【0041】
(GMSC25の処理の流れ)
続いて、図5を参照して、GMSC25の構成を説明する。
図5に示すGMSC25は、主制御部25a、契約事業者問合部25b、契約事業者情報比較部25c、記憶部25d及び契約事業者情報更新部25eを備えて構成される。
主制御部25aは、網20,30を構成する各装置からの制御信号を送受し、主にショートメッセージの送受信するための処理を行う。
【0042】
契約事業者問合部25bは、HLR23に、ショートメッセージに指定されている宛先ユーザの契約事業者を問い合わせる。なお、ショートメッセージの宛先に指定されたユーザが契約している事業者が、網30を提供する事業者である場合には、HLR23からさらに網30を提供する事業者のHLR31に問い合わせが行われる。
契約事業者情報比較部25cは、HLR23に問い合わせた結果に含まれる契約事業者情報と、ショートメッセージに付与されている属性情報の一つである事業者情報とを比較し、2つの契約事業者が同じであるか否かを確認する。
記憶部25dは、少なくとも上述した契約事業者毎に異なる「契約事業者コード」を記憶している。
【0043】
契約事業者情報更新部25eは、契約事業者情報比較部25cで比較された2つの事業者情報が異なる場合に、HLR23に問い合わせた結果に基づいて最新の事業者情報をSMSC24に送信する。
GMSC25においては、契約事業者問合部25b、契約事業者情報比較部25c、記憶部25d及び契約事業者情報更新部25eが、事業者毎サービス提供システムの機能の一部である。
【0044】
(属性情報が事業者情報である場合のショートメッセージを送信する際の流れ)
続いて、一例として、ショートメッセージに付与されている属性情報の一つが事業者情報である場合のショートメッセージを送信する際の流れを説明する。
ます、図6−1〜図6−3を参照して、自らの網20の移動端末機40から他の事業者の網30の移動端末機50に、テキストタイプのショートメッセージを送信する際の流れを説明する。
まず、図6−1(a)に示すように、移動端末機40は、テキストタイプのショートメッセージ60をSMSC24経由で送るための制御信号であるSM−MO(Short Message−Mobile Originated)を送信し、移動端末機40からテキストタイプのショートメッセージ60を送信する。
【0045】
次に、図6−1(b)に示すように、IWMSC22の契約事業者問合部22bは、ユーザの在圏状況や契約条件等を問い合わせるための制御信号であるSRI for SM(Send Routing Info For SM)を、網20のHLR23に送信する。ショートメッセージの宛先に指定されたユーザが契約している事業者が、網20を提供する事業者である場合には、網20のHLR23からSRI for SMに対する応答信号であるSRI for SM_ackが返される。しかしながら、ここでは、ショートメッセージの宛先に指定されたユーザが契約している事業者が、網30を提供する事業者であり、自らの網20から他の事業者の網30にテキストタイプのショートメッセージを送信するので、さらに、網20のHLR23から他網30のHLR31に問い合わせが行われる。
【0046】
そして、HLR31は、SRI for SMに対する応答信号であるSRI for SM_ackを、IWMSC22に送信する。IWMSC22の契約事業者情報付与部22dは、問い合わせ結果に基づいて、記憶部22cに記憶されている「契約事業者コード」を、テキストタイプのショートメッセージ60の属性情報の一つである事業者情報に付与する。
【0047】
次に、図6−1(c)に示すように、IWMSC22は、SMSC24に対してSM−MOを送信して、テキストタイプのショートメッセージ60をSMSC24に送信する。SMSC24は、テキストタイプのショートメッセージ60を蓄積する。SMSC24はSM−MOの応答信号であるSM−MO_ackをIWMSC22に送信し、IWMSC22はSM−MO_ackを移動端末機20に送信する。
【0048】
そして、テキストタイプのショートメッセージ60を他の事業者の網30に送信するので、SMSC24のサービス毎処理部24eは、テキストタイプのショートメッセージ60に付与されている属性情報の一つである契約事業者情報から契約事業者を判断する。さらに、サービス毎処理部24eは、テキストタイプのショートメッセージ60を他の事業者の網30に配信する時にテキストタイプのショートメッセージ60に含まれる絵文字等を、契約事業者のプロトコルに合わせて変換する。なお、SMSC24にメッセージ60が作成されてから配信されるまでの間に、ユーザが契約事業者をポートアウトしてしまうことがある。このため、テキストタイプのショートメッセージ60をオリジナルのまま蓄積しておいて、テキストタイプのショートメッセージ60を配信する直前に文字コードの変換等を行えば良い。
【0049】
次に、図6−2(a)に示すように、SMSC24は、テキストタイプのショートメッセージ60をSMSC24から移動端末機50に送信する時に使う転送要求用の制御信号であるSM−MT(Short Message−Mobile Terminated)を出力し、蓄積しているテキストタイプのショートメッセージ60をGMSC25に送信する。GMSC25の契約事業者問合部25bは、SRI for SMを、網20のHLR23及び網30のHLR31に送信し、テキストタイプのショートメッセージ60の宛先ユーザの契約事業者を問い合わせる。これに対して、HLR31は、SRI for SMに対する応答信号であるSRI for SM_ackを、GMSC25に送信する。GMSC25の契約事業者情報比較部25cは、HLR23に問い合わせた結果に含まれる契約事業者情報と、テキストタイプのショートメッセージ60に含まれる契約事業者情報とを比較し、2つの契約事業者が同じであるか否かを確認する。
【0050】
そして、契約事業者情報比較部25cで契約事業者情報を比較した結果、2つの契約事業者が同じであった場合には、図6−2(b)に示すように、GMSC25において、主制御部25aは、MSC32を経由して移動端末機50にMT for SM(Mobile Terminated for Short Message)を送信する。すると、テキストタイプのショートメッセージ60は、移動端末機50に配信される。移動端末機50は、MT for SMに対する応答信号であるMT for SM_ackを、MSC32を経由して、GMSC25に送信する。さらに、GMSC25は、SM−MTの応答信号であるSM−MT_ackをSMSC24に送信する。
【0051】
また、契約事業者情報比較部25cで契約事業者情報を比較した結果、2つの契約事業者情報が異なっていた場合、つまり、ユーザが契約事業者をポートアウトして、ショートメッセージの宛先に指定されたユーザの契約している事業者が、網30を提供する事業者でなくなってしまった場合には、次のように処理される。図6−3(a)に示すように、GMSC25において、契約事業者情報更新部25eは、HLR23の問い合わせ結果に基づいて最新の事業者情報をSM−MTに対する応答信号であるSM−MT_nackに付与して送信することができるようにする。そして、主制御部25aは、SMSC24に対して、最新の事業者情報が付与されたSM−MT_nackを送信する。
【0052】
そして、図6−3(b)に示すように、SMSC24に、最新の事業者情報を付与されたテキストタイプのショートメッセージ60が蓄積される。再び、SMSC24において、テキストタイプのショートメッセージ60に含まれる絵文字等を、ポートアウトした後の属性情報の一つである事業者情報で判断される事業者のプロトコルに合わせて変換する。その後、SMSC24からSM−MTが送信され、SMSC24はポートアウトした後の網の移動端末機に向けてテキストタイプのショートメッセージ60を送信する。
【0053】
続いて、図7−1〜図7−3を参照して、自らの網20内において、SME26から移動端末機40に、制御サービスのメッセージを送信する際の流れを説明する。
まず、図7−1(a)に示すように、SME26は、SMSC24にSM−MOを出力し、SMSC24に制御サービスのショートメッセージ70を送信する。図7−1(b)に示すように、SMSC24は制御サービスのショートメッセージ70を蓄積し、SME26にSM−MOの応答信号であるSM−MO_ackを送信する。なお、SMSC24に制御サービスのショートメッセージ70を蓄積する段階で、網20のHLR23及び網30のHLR31に対して問い合わせを必ず行う訳ではない。このため、ユーザが契約事業者をポートアウトしてしまうと、制御サービスのショートメッセージ70が作成されたときの契約事業者と、実際の契約事業者とが異なる可能性がある。
【0054】
次に、図7−2(a)に示すように、SMSC24は、GMSC25にSM−MTを出力し、蓄積している制御サービスのショートメッセージ70をGMSC25に送信する。さらに、GMSC25の契約事業者問合部25bは、SRI for SMを、網20のHLR23に送信する。これに対して、HLR23は、SRI for SMに対する応答信号であるSRI for SM_ackを、GMSC25に送信する。GMSC25の契約事業者情報比較部25cは、HLR23に問い合わせた結果に含まれる事業者情報と、制御サービスのショートメッセージ70に付与されている属性情報の一つである事業者情報とを比較し、2つの事業者が同じであるか否かを確認する。
【0055】
そして、制御サービスのショートメッセージ70に付与されている属性情報の一つである契約事業者情報で判断される契約事業者が自らの事業者であった場合には、図7−2(b)に示すように、GMSC25において、主制御部25aは、移動端末機40にSM−MTを送信する。すると、制御サービスのショートメッセージ70は、移動端末機40に配信される。移動端末機40は、SM−MTに対する応答信号であるSM−MT_ackを、GMSC25を経由して、SMSC24に送信する。
【0056】
また、制御サービスのショートメッセージ70に付与されている属性情報の一つである契約事業者情報で判断される契約事業者が他の事業者であった場合、つまり、ユーザが契約事業者をポートアウトして、ユーザの契約している事業者が、網20を提供する事業者でなくなってしまった場合には、次のように処理される。図7−3に示すように、GMSC25は、主制御部25aは、制御サービスのショートメッセージ70を移動端末機40に送信せず、SM−MTに対する応答信号であるSM−MT_nackをSMSC24に送信する。これにより、制御サービスのショートメッセージ70は、SMSC24に返送される。SMSC24のサービス毎処理部24eは、制御サービスのショートメッセージ70が他の事業者の網30に配信されないように、制御サービスのショートメッセージ70の配信を停止させる。
【0057】
(SMSC24の蓄積配信制御の流れ)
続いて、図8−1及び図8−2を参照して、SMSC24の蓄積配信制御の流れを説明する。
図8−1(a)に示すように、SMSC24に3通のテキストタイプのショートメッセージ81〜83が蓄積されているとき、ユーザが、契約事業者を他の事業者から自らの事業者にポートインしてきたものとする。これらのショートメッセージ81〜83は、ショートメッセージ81、ショートメッセージ82、ショートメッセージ83の順番でGMSC25に送信される。
【0058】
最初に、図8−1(b)に示すように、ショートメッセージ81がSMSC24からGMSC25に送信される。一方で、SME26からSMSC24に、制御サービスのメッセージ84が配信されてきている。なお、ショートメッセージ81に付与されている属性情報の一つである契約事業者情報で判断される契約事業者と、SRI for SM_ackに含まれる事業者情報で判断される契約事業者とが同じでなかった場合には、SMSC24がショートメッセージに含まれる絵文字等を、契約事業者のプロトコルに合わせて変換している可能性がある。このため、GMSC25は、ショートメッセージ81に付与されている属性情報の一つである契約事業者情報で判断される契約事業者と、SRI for SM_ackに含まれる事業者情報で判断される契約事業者とが同じでなく、事業者が異なることによるサービスの違いがあると判定した場合には、図8−1(c)に示すように、SMSC24にショートメッセージ81を一旦返送する。そして、SMSC24のサービス種類判定部24cで、ショートメッセージ81の種類が、テキストタイプのショートメッセージであるのか、又は制御サービスのメッセージであるのかを判断させる。
【0059】
また、ポートインした時に契約事業者から携帯端末機等に向けて自動的に送信される『ようこそ!!』等とメッセージの入った制御サービスのショートメッセージ84を、テキストタイプのショートメッセージ81〜83よりも優先して配信させることがある。但し、SMSC24には、テキストタイプのショートメッセージ81〜83と、制御サービスのショートメッセージ84とが混在して蓄積されている。このため、SMSC24にテキストタイプのショートメッセージ81が一旦返送された際、SMSC24の配信順序管理部24fは、図8−2(a)に示すように、制御サービスのショートメッセージ84を最初に送信し、次に、テキストタイプのショートメッセージ81、ショートメッセージ82、ショートメッセージ83が順番に送信されるように、ショートメッセージを送信する順序を管理する。
従って、テキストタイプのショートメッセージ81がSMSC24に一旦返送された場合であっても、SMSC24からテキストタイプのショートメッセージ81を再度配信する時には、SMSC24は、図8−2(b)に示すように、制御サービスのショートメッセージ84を最初に配信する。
【0060】
(IWMSC22の処理の流れ)
続いて、図9を参照して、IWMSC22の処理の流れを説明する。
図9に示すように、まず、主制御部22aは、移動端末機40から送信されるSM−MOをMSC21経由で受信するまで待機する(ステップS101のNO)。主制御部22aは、移動端末機40からSM−MOを受信すると(ステップS101のYES)、契約事業者問合部22bは、SRI for SMを、網20のHLR23に送信する(ステップS102)。上述した通り、事業者が網30を提供する事業者である場合には、HLR23からさらに網30を提供する事業者のHLR31に問い合わせを行う。このため、SRI for SMがHLR23から網30のHLR31に転送される。そして、主制御部22aは、網20のHLR23又は網30のHLR31から送信されたSRI for SMに対する応答信号であるSRI for SM_ackを受信する(ステップS103)。
【0061】
契約事業者情報付与部22dは、SRI for SM_ackの問い合わせ結果の事業者情報に基づいて、ショートメッセージに事業者コードを事業者情報として付与する(ステップS104)。
主制御部22aは、ショートメッセージをSMSC24に送信するために、SMSC24に対してSM−MOを送信する(ステップS105)。主制御部22aは、SMSC24からSM−MOの応答信号であるSM−MO_ackを受信する(ステップS106)。また、主制御部22aは、移動端末機40に対して、MSC21経由でSM−MO_ackを送信すると(ステップS107)、上述したステップS101の処理に戻る。
【0062】
(SMSC24の処理のうち、IWMSC22にSM−MO_ackを送信するまでの処理の流れ)
続いて、図10を参照して、SMSC24の全体の処理のうち、IWMSC22にSM−MO_ackを送信するまでの処理の流れを説明する。
図10に示すように、まず、主制御部24aは、IWMSC22から送信されたSM−MOを受信すると(ステップS201のYES)、ショートメッセージ蓄積部24iにショートメッセージを蓄積させる。主制御部24aは、ショートメッセージ蓄積部24iにショートメッセージを蓄積させた後に、IWMSC22に対して、SM−MOの応答信号であるSM−MO_ackを送信する(ステップS202)。
【0063】
(GMSC25の処理の流れ)
続いて、図11を参照して、GMSC25の処理の流れを説明する。
図11に示すように、主制御部22aは、SMSC24から送信されるSM−MTを受信するまで待機する(ステップS301のNO)。主制御部22aは、SM−MTを受信すると(ステップS301のYES)、SRI for SM(Send Routing Info For SM)を、HLR23に送信する(ステップS302)。上述した通り、事業者が網30を提供する事業者である場合には、SRI for SMがHLR23から網30のHLR31に転送される。そして、主制御部22aは、HLR23又は網30のHLR31からSRI for SMに対する応答信号であるSRI for SM_ackを受信する(ステップS303)。
【0064】
契約事業者情報比較部25cは、ショートメッセージに付与されている属性情報の一つである契約事業者情報から判断することができる契約事業者と、SRI for SM_ackに含まれる事業者情報で判断される事業者とから、両者が同じであるか否かを確認する。そして、契約事業者情報比較部25cが、2つの事業者が同じであると判断した場合(ステップS304のYES)、主制御部25aは、移動端末機40又は移動端末機50にMT for SMを送信する(ステップS305)。続いて、主制御部25aは、移動端末機40又は移動端末機50からMT for SMに対する応答信号であるMT for SM_ackを受信し(ステップS306)、SMSC24に対してSM−MT_ackを送信し(ステップS307)、ステップS301の処理に戻る。
【0065】
また、契約事業者情報比較部25cが、ステップS304の処理で、契約事業者情報比較部25cが、2つの事業者が同じでないと判断した場合には(ステップS304のNO)、契約事業者情報更新部25eは、HLR23又は網30のHLR31からの問い合わせた結果に基づいて、SM−MT_nackに最新の事業者情報を付与して送信することができるようにする(ステップS308)。続いて、主制御部25aは、ショートメッセージをSMSC24に返送するために、SMSC24に対してSM−MT_nackを送信し(ステップS309)、ステップS301の処理に戻る。
【0066】
(SMSC24の処理のうち、IWMSC22にSM−MO_ackを送信した後の処理の流れ)
続いて、図12を参照して、SMSC24の全体の処理のうち、IWMSC22にSM−MO_ackを送信した後の処理の流れを説明する。
まず、事業者情報確認部24dは、蓄積しているショートメッセージに付与されている属性情報の一つである契約事業者情報に基づいてショートメッセージの宛先ユーザの契約事業者を判断し、宛先ユーザの契約事業者が相互接続を締結している他の事業者である否かを確認する。さらに、サービス種類判定部24cは、蓄積しているショートメッセージに係るサービスの種類が、移動端末機40から送信されたテキストタイプのショートメッセージを送受するサービスであるか、又はSME26から移動端末機40に向けた制御サービスであるかを判定する。
【0067】
図12に示すように、事業者情報確認部24dが、蓄積しているショートメッセージの宛先ユーザの契約事業者を、相互接続を締結している他の事業者であると判定し(ステップS401のYES)、サービス種類判定部24cが、蓄積しているショートメッセージに係るサービスの種類を、テキストタイプのショートメッセージを送受するサービスであると判定すると(ステップS402のYES)、サービス毎処理部24eは、テキストタイプのショートメッセージに含まれる絵文字等を、ショートメッセージに付与されている属性情報の一つである契約事業者情報で判断される契約事業者のプロトコルに合わせて変換する(ステップS403)。
【0068】
続けて、主制御部24aは、絵文字等が変換されたテキストタイプのショートメッセージ60をSMSC24から移動端末機50に配信するために、GMSC25に、事業者情報を付与してSM−MTを送信する(ステップS404)。
なお、事業者情報確認部24dが、蓄積しているショートメッセージの宛先ユーザの契約事業者を、相互接続を締結している他の事業者でないと判定した場合や(ステップS401のNO)、サービス種類判定部24cが、蓄積しているショートメッセージに係るサービスの種類を、テキストタイプのショートメッセージを送受するサービスでないと判定した場合(ステップS402のNO)、ショートメッセージに含まれる絵文字等のコードを他の事業者のプロトコルに合わせて変換する必要はない。従って、ステップS403の処理をスキップして、ステップS404の処理を行う。
【0069】
主制御部24aは、GMSC25から送信されたSM−MTに対する応答信号であるSM−MT_ack又はSM−MT_nackを受信するまで待機する(ステップS405のNO及びステップS406のNO)。そして、主制御部24aは、GMSC25からSM−MT_ackを受信した場合には(ステップS405のYES)、ショートメッセージの送信が正常完了したので、ショートメッセージを削除して(ステップS409)、処理を終了する。また、主制御部24aは、GMSC25から送信されたSM−MT_nackを受信した場合には(ステップS406のYES)、GMSC25からショートメッセージが返送されてくるので、次の処理を行う。
【0070】
サービス種類判定部24cは、ショートメッセージに係るサービスの種類が、テキストタイプのショートメッセージを送受するサービスであるか、又は移動端末機に向けた制御サービスであるかを判定する。サービス種類判定部24cが、ショートメッセージに係るサービスの種類を、テキストタイプのショートメッセージを送受するサービスであると判定した場合(ステップS407のYES)、サービス毎処理部24eは、テキストタイプのショートメッセージに含まれる絵文字等を、ショートメッセージに付与されている属性情報の一つである契約事業者情報で判断される契約事業者のプロトコルに合わせて変換する(ステップS403)。続けて、主制御部24aは、絵文字等が変換されたテキストタイプのショートメッセージ60をSMSC24から移動端末機50に配信するために、GMSC25に、事業者情報を付与してSM−MTを送信する(ステップS404)。主制御部24aは、SM−MTを送信後、送信したSM−MTに対する応答信号であるSM−MT_ack又はSM−MT_nackを受信するまで待機する。
【0071】
また、上述したステップS407の処理で、サービス種類判定部24cが、ショートメッセージに係るサービスの種類を、テキストタイプのショートメッセージを送受するサービスと判定しなかった場合には(ステップS407のNO)、サービスの種類は制御サービスであるので、制御サービスのショートメッセージ70が他の事業者の網30に配信されないようにする。よって、サービス毎処理部24eは、制御サービスのショートメッセージ70の配信を停止させる(ステップS408)。さらに、サービス毎処理部24eは、ショートメッセージを削除して(ステップS409)、処理を終了する。
【0072】
(まとめ)
本実施形態に係る事業者毎サービス提供システム10によれば、IWMSC22の契約事業者情報付与部22dが、テキストタイプのショートメッセージに対して、事業者情報を付与しておく。そして、テキストタイプのショートメッセージを他の事業者の網30に配信するときに、SMSC24のショートメッセージプロトコル変換部24gが、その事業者情報に基づいて、ショートメッセージに含まれる絵文字等を、他の事業者のプロトコルに合わせて変換することができる。また、SMSC24のショートメッセージ配信停止部24hが、制御サービスのショートメッセージが他の事業者の網30にそのまま送信されないように、制御サービスのショートメッセージの送信を停止させることができる。
【0073】
また、本実施形態に係る事業者毎サービス提供システム10では、テキストタイプのショートメッセージであるならばプロトコルの変換を行い、制御サービスのショートメッセージであるならば送信を停止させるものとして説明したが、これに限定されない。これ以外にも、事業者毎サービス提供システム10は、ショートメッセージに係るサービスの種類に応じた最適な処理を行うことができる。その一例として、制御サービスのショートメッセージであっても、他網のプロトコルに合わせて、制御に係るデータの変換を実施して、他網の移動端末機50に送信することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、SMSで、異なる事業者の網へショートメッセージを送信することのできるようにサービスを提供する際に、ショートメッセージに係るサービスの違いをなるべく抑えられるように事業者に合わせてサービスを提供するための事業者毎サービス提供システム及び事業者毎サービス提供方法として用いることができる。
【符号の説明】
【0075】
10,20,30 網
21,32 MSC
22 IWMSC
22a 主制御部
22b 契約事業者問合部
22c 記憶部
22d 契約事業者情報付与部
23,31 HLR
24 SMSC
24a 主制御部
24b 記憶部
24c サービス種類判定部
24d 事業者情報確認部
24e サービス毎処理部
24f 配信順序管理部
24g ショートメッセージプロトコル変換部
24h メッセージ配信停止部
24i ショートメッセージ蓄積部
25 GMSC
25a 主制御部
25b 契約事業者問合部
25c 契約事業者情報比較部
25d 記憶部
25e 契約事業者情報更新部
26 SME
40,50 移動端末機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互接続を締結している異なる事業者間でショートメッセージサービスを提供する際に用いられる事業者毎サービス提供システムであって、
受信したショートメッセージに係るサービスの種類を判定するサービス種類判定部と、
前記ショートメッセージの送信元の網を管理する送信元事業者と、当該ショートメッセージの受信先の網を管理する受信先事業者との同一性を確認する事業者情報確認部と、
前記事業者情報確認部によって前記送信元事業者と前記受信先事業者との同一性がとれない前記ショートメッセージに対して、前記サービス種類判定部によって判定された前記サービスの種類に応じた処理を行うサービス毎処理部と、
を備えることを特徴とする事業者毎サービス提供システム。
【請求項2】
前記サービス種類判定部は、
前記サービスの種類が、テキストタイプのショートメッセージを送受するサービスであるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の事業者毎サービス提供システム。
【請求項3】
前記サービス種類判定部は、
前記サービスの種類が、制御サービスであるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の事業者毎サービス提供システム。
【請求項4】
前記サービス毎処理部は、
前記事業者情報確認部によって前記送信元事業者と前記受信先事業者との同一性がとれない前記ショートメッセージのプロトコルを、前記受信先事業者のプロトコルに合わせて変換することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の事業者毎サービス提供システム。
【請求項5】
前記サービス毎処理部は、
前記事業者情報確認部によって前記送信元事業者と前記受信先事業者との同一性がとれない前記ショートメッセージの配信を停止させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の事業者毎サービス提供システム。
【請求項6】
前記ショートメッセージに、前記受信元事業者を示す事業者情報を付与する事業者情報付与部と、
前記事業者情報付与部によって前記ショートメッセージに付与された前記事業者情報と、前記受信元事業者への問い合わせ結果として得られた最新の事業者情報とを比較する事業者情報比較部と、
を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の事業者毎サービス提供システム。
【請求項7】
前記事業者情報確認部によって前記送信元事業者と前記受信先事業者との同一性がとれない場合に、前記ショートメッセージに、前記最新の事業者情報を付与する事業者情報更新部を備えることを特徴とする請求項6に記載の事業者毎サービス提供システム。
【請求項8】
前記サービスの種類に応じた優先順序で前記ショートメッセージを配信することができるように、前記ショートメッセージを配信する順序を管理するショートメッセージ配信順序管理部を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の事業者毎サービス提供システム。
【請求項9】
少なくとも前記受信先事業者に対応する識別子及び前記サービスの種類に応じた処理を行うために必要な情報を記憶した記憶部を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の事業者毎サービス提供システム。
【請求項10】
相互接続を締結している異なる事業者間でショートメッセージサービスを提供する際に用いられる事業者毎サービス提供方法であって、
サービス種類判定部が、受信したショートメッセージに係るサービスの種類を判定するサービス種類判定ステップと、
事業者情報確認部が、前記ショートメッセージの送信元の網を管理する送信元事業者と、当該ショートメッセージの受信先の網を管理する受信先事業者との同一性を確認する事業者情報確認ステップと、
サービス毎処理部が、前記事業者情報確認ステップによって前記送信元事業者と前記受信先事業者との同一性がとれない前記ショートメッセージに対して、前記サービス種類判定ステップによって判定された前記サービスの種類に応じた処理を行うサービス毎処理ステップと
を有することを特徴とする事業者毎サービス提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−147116(P2012−147116A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2323(P2011−2323)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】