説明

二成分現像装置

【課題】濃淡2種類のトナー濃度の制御基準値を設けて繊細な階調の画像とより高い濃度の画像の両方に性能良く対処出来る現像装置を提供する。
【解決手段】現像装置25は感光体にトナーを供給する現像ローラ3に二成分の現像剤4を供給する第1の現像槽6と、第1の現像槽6に現像剤4を供給する第2の現像槽8を備える。通常の低濃度トナーの場合は現像剤4は矢印e、f、g、hのように第1の循環口23と第2の循環口24を経由して第1の現像槽6と第2の現像槽8を循環する。高濃度トナーの場合は増量されたトナーの分だけ現像剤4の嵩が増えるので、攪拌搬送部材7のフィン22が現像剤4に埋没しないように、嵩吸収部26の仕切板27を開き、第3の循環口28を経由するように増えた嵩に相当する現像剤4の迂回路を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濃淡2種類のトナー濃度の制御基準値を設けて繊細な階調の画像とより高い濃度の画像の両方に性能良く対処出来る二成分現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置には、一成分現像剤(トナー)を用いる方式のものと、二成分現像剤を用いる方式のものとがある。一成分現像剤を用いる方式は、取り扱いと制御が比較的容易であるため、現像剤としては一成分トナーが主流を占めていた。
【0003】
しかし近年のように、印刷(以下、印字ともいう)処理の高速化に対する要望が強まってくると、印刷処理の高速化には非磁性トナー(以下、単にトナーという)と磁性キャリア(以下、単にキャリアという)から成る二成分現像剤を用いる方式の方がよく対応できるため二成分現像剤を用いた現像器が種々提案されるようになった。
【0004】
二成分現像剤を用いる現像器は、二成分現像剤を攪拌混合しながら搬送する攪拌搬送部材を、現像器の二室に分割した現像槽内にそれぞれ備えている。これら2本の攪拌搬送部材は二成分現像剤を攪拌し搬送しながら二室に分割した現像槽内を循環させて、二成分現像剤を現像器の現像ローラへ供給している。
【0005】
ところで、二成分現像剤(以下、単に現像剤という)を用いる現像方式は良好な現像特性を示すが、近年、電子写真方式の画像形成装置で形成される画像に対して、より繊細な階調度の高い画像が要求されるようになってきた。
【0006】
高い階調度の画像を得るには、すなわち繊細な現像を達成するには、トナーの粒子を小さくすることで対処できる。このため、トナーの小粒径化が急速に進んでいる。また、トナーの粒径が小さいと、消費されるトナーの量が少なくて済むと言う利点もある。
【0007】
このような粒径の小さいトナーを用いた繊細な現像法は、写真画像のような高階調度の画像を含む文書等の現像には非常に良好な結果をもたらす。一方、ポスターのような各色ごとにベタ印刷されることが多い階調の無い画像の現像には、繊細とは逆の隠蔽力の強い高濃度の現像が必要となる。
【0008】
ところが、粒径の小さいトナーは画像上における隠蔽量が小さいため、大粒径のトナーを用いた場合に比べて高濃度の現像が出来にくいという欠点がある。このように、繊細な低濃度の画像と階調の無い高濃度の画像という2種類の画像を同じ現像条件で達成することは困難である。
【0009】
この問題を解決する方法としては、画像によってトナー濃度を変えることが必要である。つまり、繊細な写真画像を作成する場合は現像剤のトナー濃度を低くして現像し、ポスターのような濃い画像の場合はトナー濃度を高くして現像する。
【0010】
トナー濃度の調整のみに関して言えば、種々の方法が提案されている。但し、何のためにトナー濃度を調整するか、それぞれ、その目的が異なる(例えば、特許文献1、2、3参照。)
【0011】
例えば、特許文献1では、キャリア現像を抑制するためにトナー濃度を調整する場合のトナー濃度調整方法を示している。また、特許文献2では、ユーザの希望に応じた目標画像濃度に瞬時かつ容易に変更するために現像バイアス電圧を変更することを示している。
【0012】
また、特許文献3では、二成分現像方式を用いた画像形成装置において複雑なプロセス要素の変更を行うことなく変更後の印刷開始から指定画像濃度で出力するために、トナー濃度の変更が指定されたとき、先ず、画像形成不可状態に設定する。
【0013】
その後、設定トナー濃度を指定濃度に変更し、トナー濃度検出出力と指定濃度に変更された設定トナー濃度とを比較して、トナー濃度検出出力が指定濃度になるようトナー濃度変更処理を行い、トナー濃度変更処理の完了後に画像形成を開始することを示している。
【0014】
ところで、二成分現像方式においては、一般的には、繊細な画像が求められるときは現像剤のトナー濃度を低く保ち十分な摩擦帯電量をトナーに付与し感光体の静電潜像に忠実に従った現像を行って、感光体上に鮮明な印刷画像を形成するようにしている。
【0015】
また、高濃度の画像が求められるときは、現像剤のトナー濃度を極力高くしてキャリアとの摩擦帯電量を減らし、これによって多量のトナーが現像に関与できるようにして、感光体上に高濃度の印刷画像を形成するようにしている。
【0016】
図3(a)は、従来の一般的な二成分現像方式における現像装置の断面図である。同図(b)は現像装置の現像槽の上部筐体(以下、蓋という)を取り除いて現像槽の内部を示す斜視図であり、同図(c)は同図(a)を矢印A方向に見た第2の現像槽の断面図である。
【0017】
図3(a),(b),(c)に示すように、現像装置1は感光体ドラム2に現像ローラ3を介して現像剤4のトナーを供給する攪拌循環部材5を内蔵する第1の現像槽6と、その第1の現像槽6に隣接し、内部に攪拌循環部材7を備えた、第2の現像槽8を備えている。
【0018】
第1の現像槽6と第2の現像槽8とは下部と側部を筐体9に囲まれ、上部にはそれぞれ傾斜を有する段差付きの蓋11と平面状の蓋12を備えている。筐体9と蓋11及び12に囲まれた内部では第1の現像槽6と第2の現像槽8とは隔壁13によって仕切られている。
【0019】
段差付きの蓋11の現像ローラ3側には、現像剤4が外部に漏れないように規制する現像剤規制板14が蓋11に連設されている。第2の現像槽8の上方には、第2の現像槽8へトナーを補給するトナーホッパ15が配置されている。
【0020】
トナーホッパ15と第2の現像槽8は、トナー補給路16によって連結されている。このトナー補給路16を介してトナーホッパ15から第2の現像槽8へ、矢印aで示すようにトナーが補給される。第2の現像槽8の側部には第2の現像槽8内のトナーの濃度を検出するトナー濃度センサ17が配設されている。
【0021】
上記の攪拌循環部材5は、スクリュー軸18と、このスクリュー軸18に固定されて回転するフィン19から成る。同様に攪拌循環部材7は、スクリュー軸21と、このスクリュー軸21に固定されて回転するフィン22から成る。
【0022】
スクリュー軸18及び21は、その軸両端18a及び21aを、それぞれ第1の現像槽6及び第2の現像槽8の軸方向の側面に設けられている不図示の軸受けに軸支されている。また、現像ローラ3の軸両端3aは、不図示の画像形成装置本体のフレームに軸支されている。
【0023】
スクリュー軸18及び21の軸両端18a及び21aのそれぞれ一方の端部、及び現像ローラ3の軸両端3aの一方の端部は、不図示の画像形成装置本体の例えばモータ、歯付きプーリ、歯付きベルト、アイドルギア、駆動ギア等から成る駆動系に係合して回転駆動される。
【0024】
この回転駆動により、現像ローラ3は図3(a)に矢印bで示す反時計回り方向に回転駆動され、第1の現像槽6の攪拌循環部材5は矢印cで示す反時計回り方向に回転駆動され、第2の現像槽8の攪拌循環部材7は矢印dで示す反時計回り方向に回転駆動される。
【0025】
このように回転駆動されることにより、攪拌循環部材5及び7は協働して、図3(b),(c)に示すように現像剤4を矢印e、f、g、hで示すように、隔壁13に形成されている第1の循環口23と第2の循環口24を介して現像剤4を攪拌しながら循環させる。
【0026】
この現像装置1が配設されている不図示の画像形成装置には、特には図示しないがユーザが例えば2種類に画像濃度の中から所望の画像濃度を指定できる入力ボタンを備えた操作パネルと、ユーザからの画像濃度指定に従って現像処理を行う制御装置が設けられている。
【0027】
制御装置は、特には図示しないが、CPUを中心として、CPUにシステムバスを介して接続されたROM(read only memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(electrically erasable programmable ROM) 、トナー補給路開閉駆動部、センサ駆動監視部等を有している。
【0028】
このような一般的二成分現像方式の現像装置では、現像槽内の現像剤のトナー濃度は繊細な画像用のトナー濃度に設定されている。ここで、ユーザによりポスター印刷のように高濃度の画像印刷を指定されたとする。
【0029】
この場合、CPUはトナー補給路16の開閉装置を制御して通常よりも多い量のトナーを第2の現像槽8に補給する。通常のトナー濃度の場合は、キャリアの体積に対してトナーの体積は30%である。
【0030】
高濃度の画像印刷を行うために補給するトナーの量を例えば通常の2倍とすると、現像剤4の嵩は「((0.3×2)/1.3)×100=46」%増加する。通常の1.5倍とした場合でも「((0.3×1.5)/1.3)×100=34」%増加する。
【0031】
図3(c)に示す破線4´は、通常のトナー濃度に対して上記のような高濃度なトナーを現像剤4に補給した場合に増加した現像剤4の嵩の位置を示している。図3(c)に示すように、攪拌循環部材7の長さのおよそ2/3のフィン22が嵩の増えた現像剤4の中に埋没している。
【0032】
現像剤4に埋没したフィン22は、フィン22と22の間にある現像剤4を単に搬送するだけで、攪拌機能を失ってしまう。特にフィン22よりも上方に出ている現像剤4は、同じ位置にとどまっているだけで攪拌も搬送もされない状態となる。
【0033】
つまり、第2の現像槽8の攪拌機能が低下してしまうため、ユーザに指定された高濃度の画像を形成するためのトナー濃度の現像剤4を第1の現像槽6から現像ローラ3に供給できなくなるという問題を有している。なお、図示していないが、現像剤4が少な過ぎて例えばスクリュー軸21よりも下方に存在するだけとなるとフィン22による搬送がうまくゆかなくなる。従って、第2の現像槽8内の現像剤4は、図3(c)に示すような適度な量(嵩)に調整されることが重要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0034】
【特許文献1】特開2007−316136号公報
【特許文献2】特開平07−325438号公報
【特許文献3】特開平06−035323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
ところが、前述したように、特許文献1の技術は、キャリア現像を抑制するためにトナー濃度を調整する技術であって、ユーザが所望する画像濃度を実現するためにトナー濃度を調整する技術ではない。したがって、上記の問題の解決には対処できない。
【0036】
また、特許文献2の技術は、ユーザが所望する画像濃度を実現する技術であるが、ユーザが所望する画像濃度に対応するために二成分現像剤のトナー濃度を上げるのではなく、現像バイアス電圧を変更する技術であって、上記の問題に関与する技術ではない。
【0037】
また、特許文献3の技術では、複雑なプロセス要素の変更を行うことなく変更後の印刷開始から指定画像濃度で出力する技術であるが、指定画像濃度で出力するタイミングを設定する技術であり、トナー濃度の変更(調整)方法そのものの具体的な提案はない。
【0038】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであって、濃淡2種類のトナー濃度の制御基準値を設けて繊細な階調の画像とより高い濃度の画像の両方に性能良く対処出来る二成分現像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0039】
上記課題を解決するために、本発明の二成分現像装置は、トナーとキャリアを含む二成分現像剤を用いる二成分現像装置において、上記二成分現像剤を収容して感光体に上記トナーを供給する第1の現像槽と、該第1の現像槽に隣接し内部に攪拌循環部材を備え上記第1の現像槽と連通する第1の循環口から送入される上記二成分現像剤を上記攪拌循環部材により撹拌しつつ上記第1の現像槽と連通する第2の循環口から送出して上記二成分現像剤を上記第1の現像槽との間で循環させる第2の現像槽と、該第2の現像槽へ上記トナーを補給するトナーホッパと、上記第2の現像槽内の上記トナーの目標トナー濃度が第一トナー濃度からそれよりも濃度が高い第二トナー濃度に変更されて上記トナーホッパから上記トナーが上記第2の現像槽内に補給される際に第2の現像槽内の上記攪拌循環部材により攪拌されつつ循環される上記二成分現像剤の嵩を調整する二成分現像剤嵩調整手段と、を備えるように構成される。
【発明の効果】
【0040】
本発明は、低いトナー濃度の場合でも高いトナー濃度の場合でも攪拌循環路内の二成分現像剤の嵩を所定の値に維持するので、補給トナーの混合を攪拌部材により常に良好に行うことが出来、したがって、安定したトナー濃度の制御が出来、これにより、濃淡2種類のトナー濃度の制御基準値を設けて繊細な階調の画像とより高い濃度の画像の両方に性能良く対処出来るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】(a)は本発明の実施例1に係る現像装置を筐体の段差付きの蓋、平面状の蓋、現像剤規制板、トナー濃度センサ等を取り除いて現像層の内部を示す斜視図、(b) は(a)を矢印B方向に見た場合の第2の現像槽の断面図である。
【図2】(a)は実施例2に係る現像装置の断面図、(b)は現像装置の第1の現像槽の上部筐体(蓋)を取り除いて現像槽の内部を示し、第2の現像槽を蓋付きのままで示す斜視図、(c)は(a)を矢印C方向に見た第2の現像槽の断面図である。
【図3】(a)は従来の一般的な二成分現像方式における現像装置の断面図、(b)は現像装置の現像槽の上部筐体(蓋)を取り除いて現像槽の内部を示す斜視図、(c)は(a)を矢印A方向に見た第2の現像槽の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明おいて、上記トナー濃度設定手段は例えば操作パネルの入力ボタン、制御装置のCPU等であり、上記トナー濃度検出手段は例えばトナー濃度センサ17等であり、上記トナー濃度制御手段は例えば制御装置のCPU等であり、上記現像剤嵩調整手段は例えば嵩吸収部26、電磁石31、32等である。
【0043】
尚、以下に示す本発明の実施例1及び2の図面では、従来構成との違いを明確に示すため、図3に示した構成と同一の構成部分には図3と同一の番号を付与し、発明に直接係わる構成部分にのみ図3と異なる番号を付与して示している。また、実施例1及び2の現像装置を制御する制御装置は従来の制御装置の構成に加えて、仕切板開閉駆動部、磁石オン・オフ駆動部等を備えている。
【実施例1】
【0044】
図1(a)は、実施例1に係る現像装置を、その筐体の段差付きの蓋、平面状の蓋、現像剤規制板、トナー濃度センサ等を取り除いて現像層の内部を示す斜視図であり、同図(b) は同図(a)を矢印B方向に見た場合の第2の現像槽の断面図である。
【0045】
図1(a),(b)に示すように、本例の現像装置25は、図3に示したと同様に、図外の感光体ドラムにトナーを供給する現像ローラ3に現像剤4を供給する第1の現像槽6、その第1の現像槽6に攪拌した現像剤4を供給する第2の現像槽8を備えている。
【0046】
通常の印刷モード、すなわち精細な画像を印刷する印刷モードでは、図1(b) に示すように、第2の現像槽8の攪拌循環部材7のフィン22は、第1の循環口23と第2の循環口24との間において、約1/2以上の部分が現像剤4よりも上に露出している。
【0047】
これにより、第1の循環口23から第2の現像槽8に送入される現像剤4は、第2の循環口24から第1の現像槽6に送出されるまでには十分に攪拌され、トナーが所定の濃度でキャリアに付着し、適正なトナー濃度の現像剤4が現像ローラ3に供給される。
【0048】
ここで、ユーザから例えばポスター印刷のような高濃度の画像印刷が指定されたとする。本例の現像装置25は、図1(a)に示すように、第1の循環口23よりも第1の現像槽6の外側に設けられた嵩吸収部26が設けられている。
【0049】
嵩吸収部26は、第1の現像槽6との間を、第1の循環口23の直ぐ外側で、開閉式の仕切板27で仕切られている。嵩吸収部26は、第2の現像槽8と連通する第3の循環口28を有している。
【0050】
嵩吸収部26は、高濃度の画像印刷のために増量されたトナーがトナー補給路16から第2の現像槽8に補給され、第2の現像槽8の攪拌搬送路内の現像剤4の嵩が増えると、仕切板27を開成して第1の現像槽6から第2の現像槽8へ送入される現像剤4の迂回路を形成する。
【0051】
この嵩吸収部26が形成する迂回路により、第1の現像槽6の現像剤4は、迂回路を経由して嵩吸収部26の第3の循環口28から矢印iで示すように第2の現像槽8に送入される。嵩の増えた現像剤4は、迂回路を経由することにより、増えた嵩の分だけ迂回路内に吸収される。
【0052】
これにより、第2の現像槽8の第1の循環口23から第2の循環口24までの間で攪拌されながら搬送される現像剤4は、図3(c)に破線4´に示したように攪拌搬送路内で増量することなく、図1(b)に示すようにフィン22が現像剤4よりも上に露出するので、現像剤4は攪拌循環部材7によって適正に攪拌されながら搬送される。
【実施例2】
【0053】
図2(a)は実施例2に係る現像装置30の断面図であり、図2(b)は現像装置の第1の現像槽の上部筐体(蓋)を取り除いて現像槽の内部を示し、第2の現像槽を蓋付きのままで示す斜視図である。図2(c)は図2(a)を矢印C方向に見た第2の現像槽の断面図である。
【0054】
尚、図2(a)では本例の特徴である磁石31(32)を、第2の現像槽8の蓋12の内側に配置した例を示し、図2(b),(c)では、磁石31、32を、第2の現像槽8の蓋12の外に配置した例を示している。
【0055】
これらの磁石31及び32は、それぞれ電磁石であり、不図示の制御部からの電流制御により、必要に応じて所定の磁力を発生する。ここで、ユーザから例えばポスター印刷のような高濃度の画像印刷が指定されたとする。
【0056】
制御部は、高濃度の画像印刷のために増量されたトナーがトナー補給路16から第2の現像槽8に補給され、第2の現像槽8の攪拌搬送路内の現像剤4の嵩が増えると、トナー濃度センサ17の出力を参照しながら、磁石31及び32に通電する。
【0057】
これにより、図2(a)又は図2(c)に示すように、磁石31の下方の現像剤4が矢印jで示すように現像剤4−1となって吸着され、磁石32の下方の現像剤4が矢印kで示すように現像剤4−2となって吸着される。嵩の増えた現像剤4は、増えた嵩の分だけ磁石31及び32にされる。
【0058】
このように、本例では、第2の現像槽8の第1の循環口23から第2の循環口24までの間で攪拌されながら搬送される現像剤4は、増量されたトナーの分だけ嵩の増えた過剰な現像剤4を磁石31又は32で吸着して一時的に退避させる。
【0059】
これにより、第2の現像槽8の攪拌搬送路内の現像剤4は、図3(c)に破線4´に示したように攪拌搬送路内で増量することなく、増量されたトナーが補給される前と同じ状態で現像剤4の嵩がほぼ一定に保たれる。
【0060】
したがって、この場合も、図2(c)に示すようにフィン22が現像剤4よりも上に露出するので、現像剤4は攪拌循環部材7によって適正に攪拌されながら搬送される。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
【0062】
トナーとキャリアを含む2成分現像剤を用いる2成分現像装置において、
前記2成分現像剤を収容して感光体に前記トナーを供給する第1の現像槽と、
該第1の現像槽に隣接し内部に攪拌循環部材を備え前記第1の現像槽と連通する第1の循環口から送入される前記2成分現像剤を前記攪拌循環部材により撹拌しつつ前記第1の現像槽と連通する第2の循環口から送出して前記2成分現像剤を前記第1の現像槽との間で循環させる第2の現像槽と、
該第2の現像槽へ前記トナーを補給するトナーホッパと、
前記第2の現像槽内の前記トナーの目標トナー濃度が第一トナー濃度からそれよりも濃度が高い第二トナー濃度に変更されて前記トナーホッパから前記トナーが前記第2の現像槽内に補給される際に第2の現像槽内の前記攪拌循環部材により攪拌されつつ循環される前記2成分現像剤の嵩を調整する現像剤嵩調整手段と、
を備えることを特徴とする2成分現像装置。
[付記2]
【0063】
前記現像剤嵩調整手段は、前記第1の循環口よりも前記第1の現像槽の外側に開閉式の仕切板で仕切られて設けられ、前記第2の現像槽と連通する第3の循環口を有する嵩吸収部である、ことを特徴とする付記1記載の2成分現像装置。
[付記3]
【0064】
前記現像剤嵩調整手段は、前記第2の現像槽の前記攪拌循環部材により攪拌されつつ循環される前記2成分現像剤の移動経路よりも上方において前記第1の循環口と前記第2の循環口との間に設けられた磁石である、ことを特徴とする付記1記載の2成分現像装置。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、濃淡2種類のトナー濃度の制御基準値を設けて繊細な階調の画像とより高い濃度の画像の両方に性能良く対処出来る二成分現像装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 現像装置
2 感光体ドラム
3 現像ローラ
4 二成分現像剤(現像剤)
5 攪拌循環部材
6 第1の現像槽
7 攪拌循環部材
8 第2の現像槽
9 筐体
11 段差付きの蓋
12 平面状の蓋
13 隔壁
14 現像剤規制板
15 トナーホッパ
16 トナー補給路
17 トナー濃度センサ
18、21 スクリュー軸
18a、21a 軸両端
19、22 フィン
23 第1の循環口
24 第2の循環口
25 現像装置
26 嵩吸収部
27 仕切板
28 第3の循環口
30 現像装置
31、32 磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーとキャリアを含む二成分現像剤を用いる二成分現像装置において、
前記二成分現像剤を収容して感光体に前記トナーを供給する第1の現像槽と、
該第1の現像槽に隣接し内部に攪拌循環部材を備え前記第1の現像槽と連通する第1の循環口から送入される前記二成分現像剤を前記攪拌循環部材により撹拌しつつ前記第1の現像槽と連通する第2の循環口から送出して前記二成分現像剤を前記第1の現像槽との間で循環させる第2の現像槽と、
該第2の現像槽へ前記トナーを補給するトナーホッパと、
前記第2の現像槽内の前記トナーの目標トナー濃度が第一トナー濃度からそれよりも濃度が高い第二トナー濃度に変更されて前記トナーホッパから前記トナーが前記第2の現像槽内に補給される際に第2の現像槽内の前記攪拌循環部材により攪拌されつつ循環される前記二成分現像剤の嵩を調整する現像剤嵩調整手段と、
を備えることを特徴とする二成分現像装置。
【請求項2】
前記現像剤嵩調整手段は、前記第1の循環口よりも前記第1の現像槽の外側に開閉式の仕切板で仕切られて設けられ、前記第2の現像槽と連通する第3の循環口を有する嵩吸収部である、ことを特徴とする請求項1記載の二成分現像装置。
【請求項3】
前記現像剤嵩調整手段は、前記第2の現像槽の前記攪拌循環部材により攪拌されつつ循環される前記二成分現像剤の移動経路よりも上方において前記第1の循環口と前記第2の循環口との間に設けられた磁石である、ことを特徴とする請求項1記載の二成分現像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−44956(P2013−44956A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182910(P2011−182910)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】