説明

二次電池、車両、及び二次電池の製造方法

【課題】集電部材に電極のタブ群を連結する際にセパレータの機能が低下することを抑制すること。
【解決手段】電極体23に形成された複数の正電極タブ群24と、相互に対向する複数の接合部35,36及びベース部33を含んで構成され、導電性材料からなる各接合部35,36には正電極タブ群24のうちの少なくとも一つが連結される集電端子17と、正電極タブ群24及び接合部35,36を連結する連結部材37と、を備え、連結部材37は、各接合部35,36の間に介挿される支持部37aと、支持部37aにおける前後方向の両端から前後方向に沿って延設され、各接合部35,36の切欠き部35a,36aに挿入される軸部38,39と、軸部の先端に設けられ、接合部35,36とで正電極タブ群24を挟持して正電極タブ群24と接合部35,36とを連結する頭部38a,39aと、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池、車両、及び二次電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、二次電池としては、リチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池などが知られている。このような二次電池は、例えば絶縁性を有するセパレータを介在させた状態で電極シート(電極)を積層(捲回)して電極体(電極群)を形成し、この電極体をケースに収納した構成とされている。そして、二次電池では、電極体の電極シートの端部に形成されるタブ群と連結(接合)される集電部材を設けるとともに、この集電部材はケースから突出するように設けられる電極端子と電気的に接続されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−236790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の二次電池では、電極シートと集電部材とを超音波接合により接合しているため、超音波(振動)によってシート状の電極(タブ群)から金属などの微粒子が発生し、この微粒子によって電極シートを絶縁しているセパレータの機能を低下させる虞がある。また、電極シートと集電部材とを溶接することも考えられるが、溶接を用いる場合には、電極シートや集電部材が溶融する際に飛散する金属などの微粒子(スパッタ)によってセパレータの機能を低下させる虞がある。
【0005】
この発明は、上記従来技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、集電部材と、電極のタブ群とを連結する際にセパレータの機能が低下することを抑制できる二次電池、車両、及び二次電池の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、セパレータが介在された状態でシート状の電極が層状に形成されてなる電極群を有する二次電池であって、前記電極群の端部に形成された複数のタブ群と、相互に対向する複数の板状部、及び当該板状部同士を連結するベース部を含んで構成され、導電性材料からなる各板状部には前記タブ群のうちの少なくとも一つが連結される集電部材と、前記タブ群及び前記板状部を連結する連結部材と、を備え、前記連結部材は、各板状部の間に介挿される支持部と、前記支持部における前記対向する方向の両端から前記対向する方向に沿って延設され、前記各板状部に形成された切欠き部に挿入される軸部と、前記軸部の先端に設けられ前記板状部とで前記タブ群を挟持して前記タブ群と前記板状部とを連結する挟持部と、を備えたことを要旨とする。
【0007】
これによれば、連結部材の支持部が相互に対向する複数の板状部の間に介挿されるとともに、板状部が対向する方向における支持部の両端から延設された軸部が板状部に形成された切欠き部に挿入される。そして、板状部と、軸部の先端に設けられた挟持部とによって、電極群の端部に形成されたタブ群が挟持され、連結されている。このため、超音波接合や溶接を用いる場合と比較してその製造時に金属などの微粒子が発生し難い。したがって、集電部材に電極のタブ群を連結する際にセパレータの機能が低下することを抑制できる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の二次電池において、前記連結部材は、導電性材料からなることを要旨とする。これによれば、連結部材が導電性材料からなるため、集電部材における導電率を向上させ、充放電時における板状部での発熱を抑制することができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の二次電池において、前記タブ群は、前記対向する方向において前記各板状部をそれぞれ挟むことを要旨とする。これによれば、各板状部がタブ群によって挟まれていることから、板状部が対向する方向の外側、又は内側にのみタブ群を連結する場合と比較して、板状部における導電率を向上させ、充放電時における板状部での発熱を抑制することができる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、車両において、請求項1〜3のいずれか1項に記載された二次電池を搭載したことを要旨とする。これによれば、集電部材に電極のタブ群を連結する際にセパレータの機能が低下することを抑制できる。そして、製造時に発生する金属などの微粒子が電極群に付着することを抑制し、車両における二次電池の使用時にセパレータの機能が低下することを抑制できる。したがって、二次電池の交換サイクルが短くなってしまうことを抑制できる。
【0011】
請求項5に記載の発明は、セパレータが介在された状態でシート状の電極が層状に形成されてなる電極群を有する二次電池の製造方法であって、集電部材に設けられ相互に対向する複数の板状部の間に、支持部、及び前記支持部における前記対向する方向の両端から前記対向する方向に沿って延設された軸部を設けた連結部材の前記支持部を介挿する介挿工程と、導電性材料からなる各板状部に前記電極群の端部に形成されたタブ群をそれぞれ連結する連結工程と、を含み、前記介挿工程では、前記軸部を各板状部に設けた切欠き部にそれぞれ挿入し、前記連結工程では、前記軸部の先端側を変形させることにより挟持部をそれぞれ形成し、この挟持部と前記板状部とで前記タブ群を挟持して前記タブ群と前記板状部とを連結することを要旨とする。
【0012】
これによれば、介挿工程では、集電部材において相互に対向する複数の板状部の間に連結部材の支持部を介挿させるとともに、板状部が対向する方向における支持部の両端から延設された軸部を板状部に形成された切欠き部に挿入する。そして、連結工程では、軸部の先端側を変形させることにより挟持部を形成し、この挟持部と、板状部とでタブ群を挟持し、タブ群と板状部とを連結する。このため、超音波接合や溶接を用いる場合と比較してその製造時に金属などの微粒子が発生し難い。したがって、集電部材に電極のタブ群を連結する際にセパレータの機能が低下することを抑制できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、集電部材と、電極のタブ群とを連結する際にセパレータの機能が低下することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】リチウムイオン二次電池を模式的に示す部分断面図。
【図2】(a)は、リチウムイオン二次電池を模式的に示す左側面図、(b)は、(a)に示すA−A線部分拡大断面図。
【図3】(a)〜(e)は、リチウムイオン二次電池の製造方法を模式的に示す部分拡大断面図。
【図4】(a)及び(b)は、別の実施形態におけるリチウムイオン二次電池を模式的に示す左側面図。
【図5】別の実施形態におけるリチウムイオン二次電池の模式部分断面図。
【図6】図5に示すB−B線部分拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図3にしたがって説明する。
図1に示すように、リチウムイオン二次電池(以下、単に「二次電池」と示す)10は、全体として扁平な略立方体状をなすケース11を備えている。ケース11は、有底略四角筒状に形成された本体部材12、及び本体部材12の開口部を覆う(密閉する)ように、本体部材12に組み付けられる略矩形平板状をなす蓋部材13から形成されている。本体部材12、及び蓋部材13は、何れも金属(例えばステンレスやアルミニウムなど)から形成されている。以下、説明の便宜のため、図1で矢印Y1に示すケース11の長手方向を左右方向と示し、矢印Y2に示すケース11の高さ方向を上下方向と示す。また、図2(a)で矢印Y3に示すケース11の短手方向を前後方向と示す。
【0016】
図1に示すように、蓋部材13には、蓋部材13の上面から略円柱状をなす正極端子15及び負極端子16が上方に向かって突出するように設けられている。また、蓋部材13の下面(内面)には、金属(本実施形態ではアルミニウム)からなり、正極端子15と電気的に接続された集電端子17の基端(一端)が固定されている。また、蓋部材13の下面(内面)には、金属(本実施形態では銅)からなり、負極端子16と電気的に接続された集電端子18の基端(一端)が固定されている。
【0017】
また、ケース11には、全体として左右方向(ケース11の長手方向)に沿って延びる扁平な形状に形成された電極群としての電極体23が、絶縁性のフィルムからなる絶縁袋11aに包まれた状態で収納されている。電極体23は、セパレータ(隔膜)27が介在された状態でシート状の電極が層状に形成されてなり、より詳しくは、セパレータ27を介在させて、長尺の矩形シート状をなす電極としての正電極シート28、及び長尺の矩形シート状をなす電極としての負電極シート29を渦まき状に捲回することにより形成されている。正電極シート28は、金属箔(本実施形態ではアルミニウム箔)に、正極活物質を塗布して形成されている一方で、負電極シート29は、金属箔(本実施形態では銅箔)に負極活物質を塗布して形成されている。セパレータ27は、絶縁性を有する樹脂材料(例えばポリエチレンなど)からなる長尺の多孔性シートとされている。なお、電極体23では、最内周、及び最外周にセパレータ27が配置されている。
【0018】
また、正電極シート28には、その左端から一定幅で正電極シート28の長手方向に延びるように、正極活物質が塗布されていない非塗布領域28aが設定されているとともに、負電極シート29には、その右端から一定幅で負電極シート29の長手方向に延びるように、負極活物質が塗布されていない非塗布領域29aが設定されている。そして、本実施形態の正電極シート28、及び負電極シート29は、活物質が塗布された塗布領域Tを重ね合わせた状態で捲回されている。
【0019】
これにより、電極体23の左端部には、セパレータ27を介在させない状態で、正電極シート28の金属箔が層状をなす(積層された)タブ群としての正電極タブ群24が形成されている。そして、図2(a)及び図2(b)に示すように、本実施形態において電極体23の左端部には、正電極シート28の金属箔を前後方向に2分割することにより、前後方向に並ぶように2つの正電極タブ群24が形成されている。
【0020】
その一方で、電極体23の右端部には、セパレータ27を介在させない状態で、負電極シート29の金属箔が層状をなす(積層された)負電極タブ群25が形成されている。そして、本実施形態において電極体23の右端部には、負電極シート29の金属箔を前後方向に2分割することにより、前後方向に並ぶように2つの負電極タブ群25が形成されている。したがって、本実施形態において電極体23の端部には、複数のタブ群(正電極タブ群24及び負電極タブ群25)が形成されている。
【0021】
そして、正電極タブ群24は、前述した集電端子17の先端(一端)と電気的に接続されている一方で、負電極タブ群25は、前述した集電端子18の先端(一端)と電気的に接続されている。また、ケース11の内部には、液体状やゲル状の図示しない電解質が充填され、満たされている。
【0022】
以下、本実施形態の二次電池10において特徴的な、電極シートのタブ群と集電端子との連結構造(接合構造)について詳細に説明する。なお、本実施形態において、集電端子17及び集電端子18は、その形状が左右対称とされている。また、集電端子17と正電極シート28(正電極タブ群24)との連結構造、及び集電端子18と負電極シート29(負電極タブ群25)との連結構造は、左右対称とされている。したがって、以下の説明では、主に集電端子17、及び集電端子17と正電極シート28との連結構造についてのみ詳しく説明し、集電端子18、及び集電端子18と負電極シート29との連結構造については、同一符号を付すなどしてその説明を簡略化する。
【0023】
集電端子17は、導電性材料としての金属(本実施形態ではアルミニウム)からなる略矩形平板を例えばプレス加工などにより折り曲げて形成されている。集電端子17は、左右方向に沿って延びる矩形平板状をなし正極端子15と電気的に接続される接続部30、及び左右方向における接続部30の外側端から下方へ垂下された略矩形平板状をなす垂下部31を備えている。そして、集電端子17は、垂下部31の下端に連設され、2つの正電極タブ群24の間に挿入されるように配置される挿入部32を備えている。
【0024】
図2(a)及び図2(b)に示すように、挿入部32は、上下方向に沿って延びる矩形平板状をなすベース部33と、前後方向におけるベース部33の両端部から左右方向における外側へ向かって延びる略矩形板状(壁状)をなす一対の板状部としての接合部35,36とから形成されている。即ち、集電端子17は、相互に対向する複数の接合部35,36、及び当該接合部35,36同士を連結するベース部33を含んで構成されている。そして、ベース部33及び接合部35,36は、平面視においてコの字状に配置されている。なお、図2(b)では、ケース11及び絶縁袋11aの図示が省略されている。本実施形態において、各接合部35,36は、相互に対向して対をなしているとともに、相互に平行に配置されている。本実施形態では、前後方向が接合部35,36の対向する方向となる。
【0025】
また、上下方向における接合部35の中央には、接合部35の縁部のうち左右方向における外側に配置される縁部(ここでは左方に配置される縁部)から、左右方向における内側(右方)へ向かって延びるように切欠き部35aが形成されている。また、上下方向における接合部36の中央には、接合部36の縁部のうち左右方向における外側に配置される縁部(ここでは左方に配置される縁部)から、左右方向における電極体23の内側(右方)へ向かって延びるように切欠き部36aが形成されている。切欠き部35a,36aは、正面視において互いに一致するように、同一形状に形成されている。本実施形態では、左右方向が接合部35,36の対向する方向(前後方向)と交差(直交)する方向となる。
【0026】
そして、接合部35,36には、連結部材37により正電極タブ群24が連結(接合)されている。連結部材37は、全体が導電性材料としての金属(本実施形態ではアルミニウム)からなり、略直方体状に形成された支持部37aを備えている。また、支持部37aの前後方向に沿った長さは、接合部35,36の前後方向に沿った離間距離と一致(略一致)されており、接合部35,36の間に支持部37aを介挿した状態では、前後方向における支持部37aの両端(両端面)が接合部35,36に接するようになっている。
【0027】
また、支持部37aにおいて前後方向の両端(両端面)には、前後方向(接合部35,36が対向する方向)に沿って延設された軸部38、及び軸部39が設けられている。詳しく説明すると、支持部37aの前面には、略円柱状をなす軸部38が前方に向かって延びるように形成されている一方で、支持部37aの後面には、略円柱状をなす軸部39が後方に向かって延びるように形成されている。軸部38,39は支持部37aと一体に、且つその軸線が一致するように形成されているとともに、軸部38,39の直径は、切欠き部35a,36aの上下方向に沿った幅寸法よりも僅かに小さく形成されている。
【0028】
接合部35,36に支持部37aが介挿された状態において、軸部38は、切欠き部35aに挿入されている一方で、軸部39は、切欠き部36aに挿入されている。また、軸部38は、正電極タブ群24を前後方向に貫通する貫通孔24aに挿通されている一方で、軸部39は、正電極タブ群24を前後方向に貫通する貫通孔24bに挿通されている。換言すれば、軸部38,39は、それぞれ正電極タブ群24を貫通しているといえる。
【0029】
また、軸部38には、その先端側を変形させることにより、接合部35とで正電極タブ群24を挟持して正電極タブ群24と接合部35とを連結する挟持部としての頭部38aが形成されている。同様に、軸部39には、その先端側を変形させることにより、接合部36とで正電極タブ群24を挟持して正電極タブ群24と接合部36とを連結する挟持部としての頭部39aが形成されている。頭部38a,39aは、略円盤状に形成されている。これにより、正電極タブ群24は、頭部38a,39aと、対応する接合部35,36に挟持されることにより接合部35,36に対して連結される(かしめられる)とともに、正電極タブ群24と集電端子17は電気的に接続される。
【0030】
なお、図3(b)及び図3(c)に示すように、軸部38,39の先端には、集電端子17に正電極タブ群24を連結させる前の状態において、対応する頭部38a,39aが形成されていない。また、本実施形態の集電端子18と、接合部35,36及び負電極タブ群25を連結するための連結部材37とは、導電性材料としての金属(本実施形態では銅)から形成されている。
【0031】
次に、二次電池10の製造方法について、その作用と併せて説明する。
図1に示すように、セパレータ27を介在させて正電極シート28、及び負電極シート29を渦まき状に捲回することにより積層した後、さらに前後方向からプレス(圧縮)することにより扁平な形状に成形して電極体23を得る。このとき、正電極シート28、及び負電極シート29は、活物質の塗布領域Tを重ね合わせるとともに、この塗布領域Tに対応させてセパレータ27を介在させた状態で捲回する。これにより、電極体23の左端部には、正電極タブ群24が形成され、電極体23の右端部には、負電極タブ群25が形成される。そして、正電極タブ群24(金属箔)に、前後方向に貫通するように貫通孔24a,24bを形成する。同様に、負電極タブ群25(金属箔)にも、前後方向に貫通するように、正電極タブ群24における貫通孔24a,24bに相当する貫通孔を形成する。また、電極体23を得る工程とは別の工程において、プレス加工などにより集電端子17,18を得るとともに、さらに別の工程において、例えば切削加工などにより、頭部38a,39aが形成されていない状態の連結部材37を得る。
【0032】
そして、電極体23の正電極タブ群24には、集電端子17が連結され、電気的に接続されるとともに、負電極タブ群25には、集電端子18が連結され、電気的に接続される。なお、以下の説明では、集電端子17と正電極タブ群24との連結方法(接合方法)について詳しく説明し、連結に用いる連結部材37、及び集電端子18の材質が何れも銅である点でのみ相違する集電端子18と負電極タブ群25との連結方法についてはその説明を省略する。
【0033】
最初に、集電端子17に設けた接合部35,36の間に連結部材37の支持部37aを介挿させる介挿工程を行う。詳しく説明すると、図3(a)及び図3(b)に示すように、介挿工程では、連結部材37を左右方向における外側(ここでは左方)から内側(ここでは右方)へ移動させるようにして、軸部38を切欠き部35aに挿入するとともに、軸部39を切欠き部36aに挿入し、さらに支持部37aを接合部35,36の間に介挿させる。このとき、前後方向における支持部37aの両端面は、接合部35,36に接する。
【0034】
続けて、図3(c)に示すように、集電端子17の挿入部32を、ベース部33側から各電極タブ群24の間に挿入する。このとき、正電極タブ群24の貫通孔24aに軸部38を挿通させるとともに、貫通孔24bに軸部39を挿通させる。
【0035】
次に、軸部38,39の先端側を変形させることにより、頭部38a,39aをそれぞれ形成し、この頭部38a,39aと、対応する接合部35,36とで正電極タブ群24を挟持して正電極タブ群24と接合部35,36とを連結する連結工程(接合工程)を行う。詳しく説明すると、連結工程では、図3(d)に示すように、軸部38の先端側(前方端部)をハンマなどで叩き打つことにより、軸部38の先端側を略円盤状に変形させて頭部38aを形成すると同時に、この頭部38aと接合部35とで正電極タブ群24を挟持させる。このとき、接合部35は、連結部材37の支持部37aによって支持されていることから、軸部38の先端側を叩き打つ力により接合部35が前後方向の内側(ここでは後方)に倒れ込むように変形してしまうことが抑制される。なお、接合部36側には図示しない支持台などの冶具を配置して、集電端子17及び正電極タブ群24を支持するとよい。
【0036】
同様に、図3(e)に示すように、軸部39の先端側(前方端部)をハンマなどで叩き打つことにより、軸部39の先端側を略円盤状に変形させて頭部39aを形成すると同時に、この頭部39aと接合部36とで正電極タブ群24を挟持させる。このとき、接合部36は、連結部材37の支持部37aによって支持されていることから、軸部39の先端側を叩き打つ力により接合部36が前後方向の内側(ここでは前方)に倒れ込むように変形してしまうことが抑制される。なお、接合部35側には図示しない支持台などの冶具を配置して、集電端子17及び正電極タブ群24を支持するとよい。
【0037】
以上のようにして、接合部35,36及び正電極タブ群24が連結され、電気的に接続される。また、集電端子18及び負電極タブ群25は、集電端子17及び正電極タブ群24の連結方法(接合方法)と同様にして連結させる。このように、本実施形態の二次電池10では、軸部38,39の先端側を変形させることにより集電端子17と正電極タブ群24とが連結されるとともに、集電端子18と負電極タブ群25とが連結される。このため、本実施形態では、超音波接合や溶接といった方法で接合する場合と比較して、集電端子17,18と、対応する各電極タブ群24,25とを連結する際に電極体23(各電極タブ群24,25)から金属などの微粒子が発生することが好適に抑制される。このため、本実施形態では、金属などの微粒子によって、セパレータ27に貫通孔や破断が生じ、絶縁性が低下するといったセパレータ27の機能低下を好適に抑制できる。
【0038】
その後、図1に示すように、集電端子17には正極端子15が電気的に接続される一方で、集電端子18には負極端子16が接続される。次に、集電端子17及び集電端子18が連結(接合)された電極体23を、絶縁袋11aに収納するとともに、上方から本体部材12に挿入する。そして、本体部材12には、正極端子15及び負極端子16を上面から突出させつつ蓋部材13が組み付けられるとともに、最終的に電解質が充填されて二次電池10が完成される。
【0039】
したがって、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)連結部材37の支持部37aが相互に対向する複数の各接合部35,36の間に介挿されるとともに、支持部37aにおける前後方向の両端から前後方向に沿ってそれぞれ延設された軸部38,39が各接合部35,36に形成された切欠き部35a,36aに挿入される。そして、軸部38,39の先端に設けられた頭部38a,39aと、対応する接合部35,36とによって、電極体23の端部に形成された正電極タブ群24が挟持され、連結されている。なお、集電端子18と負電極タブ群25との連結についても同様である。このため、超音波接合や溶接を用いる場合と比較してその製造時に金属などの微粒子が発生し難い。したがって、集電端子17,18に、対応する各電極タブ群24,25を連結する際にセパレータ27の機能が低下することを抑制できる。
【0040】
(2)特に、接合部35,36に介挿した連結部材37の支持部37aによって接合部35,36を支持することにより、新たに冶具を用意することなく、軸部38,39を叩き打つ力によって接合部35,36が変形することを抑制できる。したがって、接合部35,36と、対応する各電極タブ群24,25とを簡便に連結(接合)することができる。
【0041】
(3)連結部材37が導電性材料からなるため、集電端子17,18における導電率を向上させ、充放電時における接合部分での発熱を抑制することができる。
(4)介挿工程では、集電端子17において相互に対向する接合部35,36の間に、連結部材37の支持部37aを介挿させるとともに、支持部37aにおける前後方向の両端から前後方向に沿って延設された軸部38,39を、対応する切欠き部35a,36aに挿入する。そして、連結工程では、軸部38,39の先端側を変形させることにより頭部38a,39aを形成し、この頭部38a,39aと、対応する接合部35,36とで正電極タブ群24を挟持して正電極タブ群24と接合部35,36とを連結する。なお、集電端子18と負電極タブ群25との連結についても同様である。このため、超音波接合や溶接を用いる場合と比較してその製造時に金属などの微粒子が発生し難い。このため、集電端子17,18に、対応する各電極タブ群24,25を連結する際にセパレータ27の機能が低下することを抑制できる。
【0042】
(5)各電極シート28,29(各電極タブ群24,25)は、軸部38,39により貫通された状態で連結されていることから、各電極タブ群24,25と接合部35,36とをより確実に連結することができる。
【0043】
(6)正電極タブ群24に形成した貫通孔24a,24bに対して、対応する軸部38,39を挿通させた状態で頭部38a,39aを形成するようにしている。なお、集電端子18と負電極タブ群25との連結についても同様である。したがって、集電端子17,18と、対応する各電極タブ群24,25との連結位置を位置決めできる。
【0044】
(7)前後方向に沿った支持部37aの長さは、接合部35,36の離間距離と一致(略一致)されている。したがって、支持部37aと接合部35,36との間の隙間を少なくすることで、軸部38,39を叩き打つ際に接合部35,36が変形することを好適に抑制できる。
【0045】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
・ 図4(a)に示すように、正電極タブ群24は、接合部35,36が対向する方向(前後方向)において各接合部35,36をそれぞれ挟むように連結されていてもよい。この場合には、正電極シート28の金属箔を4分割して4つの正電極タブ群24を設けるとともに、接合部35,36が対向する方向において各接合部35,36をそれぞれ正電極タブ群24で挟むように連結(接合)すればよい。即ち、各接合部35,36には、タブ群のうちの少なくとも一つが接しておればよい。これによれば、接合部35,36が対向する方向の外側、又は内側にのみ正電極タブ群24を配置する場合と比較して、接合部35,36と正電極タブ群24との接合部分における電気抵抗を低減し、充放電時における接合部分での発熱を抑制することができる。さらに、この場合には、垂下部31に連設されるベース部33を左右方向における電極体23の外側に配置するとともに、接合部35,36を左右方向における内側(電極体23側)に向かって延びるように形成し、接合部35,36を正電極タブ群24の間に挿入するように配置するとよい。そして、連結工程では、前後方向において各接合部35,36をそれぞれ挟むように正電極タブ群24を配置するとともに、軸部38,39の先端側を変形させて頭部38a,39aを形成し、この頭部38a,39aと、対応する接合部35,36とで挟持させるとよい。なお、集電端子18と負電極タブ群25との連結(接合)についても同様に変更できる。
【0046】
・ 連結部材37に設ける軸部38,39の本数を変更してもよい。例えば、図4(b)に示すように、接合部35と正電極タブ群24を2本の軸部38で連結してもよく、接合部36と正電極タブ群24を2本の軸部39で連結してもよい。この場合には、垂下部31に連設されるベース部33を左右方向における電極体23の外側に配置してもよく、正電極タブ群24の間に挿入するように配置してもよい。さらに、正電極タブ群24は、接合部35,36が対向する方向において各接合部35,36をそれぞれ挟むように連結されていてもよい。なお、集電端子18と負電極タブ群25との連結についても同様に変更できる。
【0047】
・ 図5及び図6に示すように、電極体23は、セパレータ27を介在させて、矩形のシート状をなす正電極シート28、及び同じく矩形のシート状をなす負電極シート29を、前後方向(厚さ方向)に積層し、層状をなすように形成してもよい。この場合、各正電極シート28において上端部の左方側には、略矩形となるように金属箔を上方に向かって延出させるとともに、この複数の金属箔を前後方向に2分割することにより2つの正電極タブ群24を設ける。一方、各負電極シート29において上端部の右方側には、略矩形となるように金属箔を上方に向かって延出させるとともに、この複数の金属箔を前後方向に2分割することにより2つの負電極タブ群25を設ける。
【0048】
また、集電端子17には、接続部30における左右方向の内側端に連設され、正電極タブ群24の間に挿入されるように配置される挿入部32を設ける一方で、集電端子18には、接続部30における左右方向の内側端に連設され、負電極タブ群25の間に挿入されるように配置される挿入部32を設ける。なお、本別例における挿入部32は、ベース部33における前後方向の両端部から各接合部35,36を立設して形成されている。そして、上記実施形態と同様に、集電端子17において相互に対向する接合部35,36の間に、連結部材37の支持部37aを介挿させるとともに、軸部38,39を、対応する切欠き部35a,36aに挿入する。そして、軸部38,39の先端側を変形させることにより頭部38a,39aを形成し、この頭部38a,39aと、対応する接合部35,36とで正電極タブ群24を挟持して正電極タブ群24と接合部35,36とを連結するとよい。また、集電端子18と負電極タブ群25との連結(接合)に関しても同様である。このような構成であっても、超音波接合や溶接を用いる場合と比較してその製造時に金属などの微粒子が発生し難い。したがって、集電端子17,18に対応する電極タブ群24,25を連結する際にセパレータ27の機能が低下することを抑制できる。
【0049】
・ 電極体23は、セパレータ27を介在させて、正電極シート28、及び負電極シート29を蛇腹状に折り曲げることで層状をなすように形成してもよい。
・ 切欠き部35a,36aは、別の縁部から接合部35,36が対向する方向と交差する方向に沿って延びるように形成してもよい。例えば、切欠き部35a,36aは、対応する接合部35,36の上側の縁部や、下側の縁部から切欠くように形成してもよい。
【0050】
・ 正電極タブ群24には、貫通孔24a,24bに代えて上下方向に延びる長孔や、左右方向における端部から内側に向かって延びる切欠き部を設け、この長孔や切欠き部に軸部38,39を挿通させた状態で頭部38a,39aを形成してもよい。これによれば、正電極タブ群24を貫通するように軸部38,39を配置しやくできる。集電端子18と負電極タブ群25との連結についても同様に変更できる。
【0051】
・ 支持部37aは、前後方向に延びる円柱状や六角柱(多角柱)状に形成してもよい。
・ 支持部37aと軸部38,39とを別体に形成し、これらを組み合わせて連結部材37を形成してもよい。
【0052】
・ 導電性材料(金属)から形成されておれば、集電端子17,18及び連結部材37の材料を適宜変更してもよい。
・ 正電極タブ群24の貫通孔24a,24bに、対応する軸部38,39を挿通させてから、介挿工程を行うように変更してもよい。なお、集電端子18と負電極タブ群25との連結についても同様に変更できる。
【0053】
・ 連結工程では、軸部38,39を同時に叩き打って頭部38a,39aを形成してもよい。集電端子18と負電極タブ群25との連結についても同様に変更できる。
・ 電極体23は、セパレータ27を介在させて、各電極シート28,29を蛇腹状に折り曲げて積層してもよく、複数の正電極シート28、及び複数の負電極シート29を重ね合わせるように積層してもよい。
【0054】
・ ケース11は、全体として扁平な楕円形状に形成してもよい。この場合、本体部材12は、有底の略楕円筒状に形成するとよい。また、ケース11は、円柱状や直方体状など、扁平な形状でなくてもよい。
【0055】
・ 電極体23は、各電極シート28,29の幅方向が上下方向に沿うようにケース11に収納されていてもよい。この場合、電極体23の左上端部に正電極タブ群24を形成し、電極体23の右上端部に負電極タブ群25を形成する。
【0056】
・ 頭部38a,39aを別体に設けるとともに、正電極タブ群24を対応する接合部35,36とで挟持させつつ頭部38a,39aを連結部材37の軸部38,39の先端に組みつけてもよい。この場合、例えば軸部38,39の先端にネジ溝を形成するとともに、頭部38a,39aとしてナットを螺入させるようにしてもよい。集電端子18と負電極タブ群25との連結についても同様に変更できる。
【0057】
・ 二次電池10はニッケル水素二次電池として具体化してもよい。
・ 上記実施形態の二次電池10を車両(例えば産業車両や乗用車両など)に搭載し、車両に装備された発電機により充電する一方で、二次電池10から供給する電力によりエアコン用のコンプレッサや、車輪を駆動するための電動モータ、或いはカーナビゲーションシステムなどの電装品を駆動してもよい。これによれば、二次電池10の製造時に金属などの微粒子が電極体23に付着することを抑制し、車両における二次電池10の使用時にセパレータ27の機能が低下することを抑制できる。したがって、二次電池10の交換サイクルが短くなってしまうことを抑制できる。特に、二次電池10から供給する電力により上記電動モータを駆動する場合、1の二次電池で走行可能な総走行距離が短くなってしまうことを好適に抑制できる。
【0058】
以下、上記実施形態から把握できる技術的思想について追記する。
(イ)前記軸部は、前記電極を貫通していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の二次電池。
【0059】
(ロ)セパレータが介在された状態でシート状の電極が層状に形成されてなる電極群の端部に形成されたタブ群と、集電部材と、を連結部材で連結する連結構造であって、前記集電部材は、導電性材料からなり相互に対向する複数の板状部、及び当該板状部同士を連結するベース部を含んで構成されており、前記連結部材は、各板状部の間に介挿される支持部と、前記支持部における前記対向する方向の両端から前記対向する方向に沿って延設され、前記各板状部に形成された切欠き部に挿入される軸部と、前記軸部の先端に設けられ前記板状部とで前記タブ群を挟持して前記タブ群と前記板状部とを連結する挟持部と、を備えたことを特徴とする連結構造。
【符号の説明】
【0060】
10…二次電池、17,18…集電端子(集電部材)、23…電極体(電極群)、27…セパレータ、28…正電極シート(電極)、29…負電極シート(電極)、33…ベース部、35,36…接合部(板状部)、35a,36a…切欠き部、37…連結部材、37a…支持部、38,39…軸部、38a,39a…頭部(挟持部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータが介在された状態でシート状の電極が層状に形成されてなる電極群を有する二次電池であって、
前記電極群の端部に形成された複数のタブ群と、
相互に対向する複数の板状部、及び当該板状部同士を連結するベース部を含んで構成され、導電性材料からなる各板状部には前記タブ群のうちの少なくとも一つが連結される集電部材と、
前記タブ群及び前記板状部を連結する連結部材と、を備え、
前記連結部材は、
各板状部の間に介挿される支持部と、前記支持部における前記対向する方向の両端から前記対向する方向に沿って延設され、前記各板状部に形成された切欠き部に挿入される軸部と、前記軸部の先端に設けられ前記板状部とで前記タブ群を挟持して前記タブ群と前記板状部とを連結する挟持部と、を備えたことを特徴とする二次電池。
【請求項2】
前記連結部材は、導電性材料からなることを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記タブ群は、前記対向する方向において前記各板状部をそれぞれ挟むことを特徴とする請求項1または2に記載の二次電池。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載された二次電池を搭載したことを特徴とする車両。
【請求項5】
セパレータが介在された状態でシート状の電極が層状に形成されてなる電極群を有する二次電池の製造方法であって、
集電部材に設けられ相互に対向する複数の板状部の間に、支持部、及び前記支持部における前記対向する方向の両端から前記対向する方向に沿って延設された軸部を設けた連結部材の前記支持部を介挿する介挿工程と、
導電性材料からなる各板状部に前記電極群の端部に形成されたタブ群をそれぞれ連結する連結工程と、を含み、
前記介挿工程では、前記軸部を各板状部に設けた切欠き部にそれぞれ挿入し、
前記連結工程では、前記軸部の先端側を変形させることにより挟持部をそれぞれ形成し、この挟持部と前記板状部とで前記タブ群を挟持して前記タブ群と前記板状部とを連結することを特徴とする二次電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−105672(P2013−105672A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249993(P2011−249993)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】