説明

二次電池および二次電池製造装置

【課題】正極板と負極板との大きさが異なっていたとしても積層ずれを防止し、両電極板を精度良く位置決めして積層された二次電池および当該二次電池の製造装置を提供する。
【解決手段】正極板と負極板とがセパレータを介して交互に積層された電極体と、電極体を収容するケースと、正極端子及び負極端子が設けられ、ケースに嵌合する蓋とを有し、正極板は、略板状の正極本体部と、正極板の重心線に対して線対称に配置され正極本体部および正極端子に接続された第1のタブとを備え、負極板は、略板状の負極本体部と、負極板の重心線に対して線対称に配置され負極本体部および負極端子に接続された第2のタブとを備え、第1および第2のタブは積層された際に互いに重ならない位置に配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正極板と負極板とが積層して構成された二次電池、並びに、該二次電池を製造するための二次電池製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型の二次電池は、タブを端縁に有する正極板と負極板を交互に積層した構造の電極体を有し、正極板及び負極板それぞれのタブを対応する正極端子または負極端子に接続した構成となっている。ここで、正極板と負極板とは、積層した状態としつつ、互いに絶縁した状態とする必要があることから、互いの間には絶縁材で形成されたセパレータが配設されている(例えば、特許文献1参照)。また、セパレータとしては、袋状に形成されており、負極板を包み込むようにして正極板との絶縁を図るように構成されているものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
ところで、上記のような電極体において、正極板と負極板との間に積層ずれが発生してしまうと、反応面積の減少による充放電性能の低下や不均一反応によるLi析出等が生じたり、セパレータを介して隣接するはずの正極板と負極板とが接触して短絡が生じたりする原因となる。従って、電極体を製造する工程において、正極体と負極体とを精度良く積層していく必要があり、一般的には、位置決めピン等で位置決めしながら正極板と負極板とを交互に積層していくことが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−339054号公報
【特許文献2】特開2003−45498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1、2のような二次電池を構成する正極板と負極板とは、一般的に大きさが異なる。特に特許文献2のように一方の電極板を袋状セパレータで覆う場合には、当該電極板はセパレータの縁取りの分だけ大きくなってしまう。このため、正極板及び負極板の内、寸法の大きな一方の電極板は、ピンによって精度良く位置決めできる一方、寸法の小さな他方の電極板は、既に積層された一方の電極板が支障となってピンによる位置決めすることができず、電極板の位置精度は搬送手段による搬送精度に頼らざるを得なかった。このため、十分な精度をもって電極体を構成することができず、または、十分な精度を得ることができるとしても電極板の搬送時間が掛かってしまい製造コストが増大してしまう問題があった。
【0006】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、正極板と負極板との大きさが異なっていたとしても積層ずれを防止し、両電極板を精度良く位置決めして積層された二次電池および当該二次電池の製造装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の二次電池製造装置は、正極端子および負極端子の軸部がそれぞれ形成された蓋体を、前記軸部を上方に向けて固定する蓋固定部と、第1の貫通孔の設けられたタブを備えた正極板であって前記タブは前記正極板の重心線に対して線対称に配置されている正極板を前記蓋固定部に搬送する正極板搬送部と、前記搬送された正極板の前記第1の貫通孔を前記正極端子の軸部へ挿入する正極板配置部と、第2の貫通孔が設けられたタブを備えた負極板であって前記タブは前記負極板の重心線に対して線対称に配置されている負極板を前記蓋固定部に搬送する負極板搬送部と、前記搬送された負極板の前記第2の貫通孔を前記負極端子の軸部へ挿入して前記正極板に前記負極板を積層する負極板配置部と、前記蓋固定部により固定された前記蓋体を起立させることで前記積層された前記正極板および前記負極板を吊り下げて位置決めする起立手段とを有することを特徴としている。
【0008】
この構成によれば、起立手段によって起立させることで、蓋体がタブをそれぞれ支持した状態で正極板及び負極板を吊り下げる。ここで、タブは、重心線(定義は後述する)に対して線対称に設けられていることから、タブで支持されて吊下げられた正極板及び負極板は、互いの重心線の方向を一致させるようにして自動的に位置決めされることとなる。このため、両電極板を精度良く位置決めして積層された二次電池を製造することができる。
【0009】
また、本発明の二次電池は、正極板と負極板とがセパレータを介して交互に積層された電極体と、前記電極体を収容するケースと、正極端子及び負極端子が設けられ、前記ケースに嵌合する蓋とを有し、前記正極板は、略板状の正極本体部と、前記正極板の重心線に対して線対称に配置され前記正極本体部および前記正極端子に接続された第1のタブとを備え、前記負極板は、略板状の負極本体部と、前記負極板の重心線に対して線対称に配置され前記負極本体部および前記負極端子に接続された第2のタブとを備え、前記第1および第2のタブは前記積層された際に互いに重ならない位置に配置されていることを特徴としている。
【0010】
この構成によれば、正極板及び負極板では、互いのタブがそれぞれの重心線に対して線対称となるように設けられている。このため、精度良く位置決めされて積層されている。
さらに、例えば電気自動車などの移動体の電力モータ駆動用として当該二次電池が組み込まれ、蓋の面を上下に揺する重心線方向の振動が生じた場合に、正極本体部と正極板のタブとの接続部分において正極本体部に回転力が加わることが防止され、また、負極本体部と負極板のタブとの接続部分において負極本体部に回転力が加わることが防止される。このため、これら接続部分における破断等の故障を防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の二次電池製造装置によれば、正極板と負極板との大きさが異なる二次電池であったとしても、精度良く位置決めされて積層された二次電池を製造することができる。
本発明の二次電池によれば、正極板と負極板とが精度よく積層された二次電池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態の二次電池を全体を示す一部を破断した斜視図である。
【図2】図1の切断線A−Aにおける断面図である。
【図3】図1の切断線B−Bにおける断面図である。
【図4】本発明の実施形態の二次電池の正極板及び負極板の積層状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態の二次電池の正極板を示す正面図である。
【図6】本発明の実施形態の二次電池の負極板を示す正面図である。
【図7】本発明の実施形態の二次電池製造装置の概要を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施形態の二次電池製造装置において、案内部材の詳細を示す断面図である。
【図9】本発明の実施形態の二次電池製造装置において、案内部材着脱手段の詳細を示す断面図である。
【図10】本発明の実施形態の二次電池製造装置において、収容手段の詳細を示す断面図である。
【図11】本発明の実施形態の二次電池の製造装置において、蓋体搬送動作を説明する説明図である。
【図12】本発明の実施形態の二次電池の製造装置において、案内部材装着動作を説明する説明図である。
【図13】本発明の実施形態の二次電池の製造装置において、積層動作を説明する説明図である。
【図14】本発明の実施形態の二次電池の製造装置において、吊下げ動作を説明する説明図である。
【図15】本発明の実施形態の二次電池の製造装置において、積層固定動作を説明する説明図である。
【図16】本発明の実施形態の二次電池の製造装置において、案内部材除去動作を説明する説明図である。
【図17】本発明の実施形態の二次電池の製造装置において、端子固定動作を説明する説明図である。
【図18】本発明の実施形態の二次電池の製造装置において、収容動作を説明する説明図である。
【図19】本発明の実施形態の二次電池の製造装置において、ケース本体の開口部を蓋体で閉塞する動作を説明する説明図である。
【図20】本発明の他の実施形態の二次電池を示す分解側面図である。
【図21】本発明の実施形態の二次電池において、正極板及び負極板の他の例を示す正面図である。
【図22】本発明の実施形態の二次電池において、案内部材の他の例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態を図1から図15に基づいて説明する。図1から図6は、この実施形態の二次電池を示している。図1から図3に示すように、本実施形態の二次電池100は、正極板101と負極板102とが交互に積層された電極体103と、該電極体103を収容するケース104と、該ケース104に内部の正極板101及び負極板102のそれぞれと対応して設けられた正極端子105及び負極端子106とを備えている。ケース104は、電極体103の積層方向となるX方向に直交するZ方向に開口部107aを有するケース本体107と、該ケース本体107の開口部107aを閉塞する蓋体108とを有する。そして、正極端子105及び負極端子106は、蓋体108に絶縁スリーブ109を介して取り付けられている。正極端子105及び負極端子106の一端部105a、106aは、ケース104の外部へ突出する一方、他端部105b、106bは、ケース104の内部に突出し、それぞれ対応する正極板101または負極板102と接続されている。
【0014】
正極板101及び負極板102のそれぞれは、略板状で矩形の本体部101a、102aと、本体部101a、102aの縁端から突出するタブ101b、102b、102cとを有する。正極板101及び負極板102のタブ101b、102b、102cは、積層方向となるX方向に直交し、ケース104の内部に収容された状態で正極端子105及び負極端子106に向かう端子接続方向となるZ方向に突出している。正極板101及び負極板102の内、一方の負極板102の本体部102aは、絶縁材で形成されたセパレータ110で覆われており、これにより正極板101と負極板102とは、その間にセパレータ110が配設されて絶縁された状態で積層され、電極体103を構成している。
また、電極体103の縁端には、絶縁材からなる固定用テープ111が複数箇所貼着されており、これにより積層された正極板101及び負極板102が位置ずれしないように固定されている。本実施形態では、固定用テープ111は、Y方向及びZ方向に直交するX方向に電極板(正極板101、負極板102)が順次積層されてなる電極体103の両縁端に、X方向に沿って2箇所ずつ設けられている。
【0015】
また、図4に示すように、正極板101及び負極板102のタブ101b、102b、102cの突出する位置は、X方向視して、正極板101同士、負極板102同士でそれぞれ一致している一方、正極板101と負極板102とでは互いに異なるように設定されている。これにより電極体103として構成された状態では、正極板101のタブ101b同士が束ねられた正極タブ束103aと、負極板102のタブ102b、102c同士がそれぞれ束ねられた負極タブ束103b、103cとが構成されている。ここで、各タブ101b、102b、102cには貫通孔101c、102d、102eが形成されており、正極タブ束103a、負極タブ束103b、103cを構成した状態で互いに連通している。
【0016】
また、図5及び図6に示すように、正極板101及び負極板102の各タブ101b、102b、102cは、それぞれ本体部101a、102aの重心線L101、L102に対して略対称となるようにして一または二以上の配置されている。具体的には、正極板101の本体部101aには、一つのタブ101bがZ方向に沿う重心線L101に対して線対称に配置されている。また、負極板102の本体部102aには、二つのタブ102b、102cがZ方向に沿う重心線L102に対して線対称に配置されている。なお、ここで、重心線とは、正極板または負極板の重心を通るタブの突出方向(Z方向)の線をいう。
【0017】
そして、図1及び図2に示すように、正極板101の一つのタブ101bは、接続用タブとして、束ねられて正極タブ束103aを構成している。一方、正極端子105の他端部105bの端面からは、貫通孔101cに挿通される軸部105cと、軸部105cの先端からフランジ状に拡径した拡径部105dが形成されており、貫通孔101cに軸部105cが挿通された正極タブ束103aは、該拡径部105dと他端部105bとの間に挟み込まれて固定されている。
【0018】
同様に、負極板102の二つのタブ102b、102cの内の一方のタブ102bは、接続用タブとして、束ねられて負極タブ束103bを構成している。一方、負極端子106の他端部106bの端面からは、貫通孔102dに挿通される軸部106cと、軸部106cの先端からフランジ状に拡径した拡径部106dが形成されており、貫通孔102dに軸部106cが挿通された負極タブ束103bは、該拡径部106dと他端部106bとの間に挟み込まれて固定されている。
【0019】
また、図1及び図3に示すように、ケース104の蓋体108において、負極板102の二つのタブ102b、102cの内の他方のタブ102cと対応する位置にはダミー端子112が設けられている。ダミー端子112は、負極端子106の他端部106bに相当する他端部112bのみを有するものであり、ケース104の外方に突出する先端部106aに相当する構成を有していない構成となっている。
そして、ダミー端子112の他端部112bの端面には、正極端子105及び負極端子106同様に軸部112c及び拡径部112dが形成されている。負極板102の二つのタブ102b、102cの内の他方のタブ102cは、ダミータブとして、束ねられて負極タブ束103cを構成し、貫通孔102eにダミー端子112の軸部112cが挿通されて、他端部112bと拡径部112dとの間に挟み込まれて固定されている。なお、正極端子105、負極端子106及びダミー端子112のそれぞれにおける拡径部105d、106d、112dは、後述の製造装置でも説明するように対応する軸部105d、106c、112cの一部を塑性変形させることで形成されている。
【0020】
次に、このような二次電池100を製造するための二次電池製造装置1を説明する。
図7は、この実施形態の二次電池製造装置1を示している。図7に示すように、この実施形態の二次電池製造装置1は、正極板101及び負極板102が載置される作業台2と、該作業台2に電極体103を構成する正極板101及び負極板102をそれぞれ搬送する電極板搬送手段3と、作業台2に蓋体108を搬送する蓋体搬送手段4と、作業台2上の電極体103を起立させる起立手段5と、積層された正極板101及び負極板102を一体となるように固定する積層固定手段6と、各タブ101b、102b、102cを各端子に固定するタブ固定手段7と、電極体103をケース104の内部に収容させる収容手段8とを備える。
【0021】
作業台2は、台本体21と、該台本体21上に配置され、正極板101及び負極板102が載置される載置板22とを有する。載置板22は、正極板101及び負極板102のタブ101b、102b、102cが突出するZ方向を図7中に示すP方向とするように載置されるものである。
そして、載置板22は、蓋体108を嵌合可能とするよう凹状に形成された凹部を備えた蓋固定部22aと、蓋固定部22aからP方向のP2側に配置され、正極板101及び負極板102が載置される電極板配置部22bとを有する。
蓋固定部22aには、蓋体108を嵌合可能なように、蓋体108のX方向に沿う幅(図1参照)と略等しいP方向の幅の凹部が形成されている。この凹部の長さ方向はP方向と直交するQ方向にある。蓋体搬送手段4によって蓋体108が把持された状態でこの蓋体108を蓋固定部22aに嵌合させることが可能なように、当該凹部は蓋体108のY方向の幅(図1参照)よりも大きな長さを持つよう設計されている。
また、電極板配置部22bには、P方向と直交するQ方向に沿って溝22cが形成されている。溝22cは、載置板22の両側縁まで貫通するように形成されており、本実施形態ではP方向に沿って二つ配列している。
【0022】
また、載置板22のP方向P2側の縁端には、Q方向に沿って第一の回転軸51が設けられているとともに、第一の回転軸51を回転させる図示しない回転駆動部(第一回転駆動部)が設けられている。そして、載置板22は、台本体21上で第一の回転軸51回りに、蓋固定部22aが上側となるようにして、積層された電極体103とともに起き上がるように回動することが可能である。第一の回転軸51と第一回転駆動部とで、電極体103を起立させる起立手段5が構成される。
【0023】
電極板搬送手段3は、正極板101を搬送する正極板搬送部31と、負極板102を搬送する負極板搬送部32とを有し、正極板搬送部31と負極板搬送部32とはQ方向に作業台2を挟んで両側に設けられている。正極板搬送部31及び負極板搬送部32は、それぞれ対応する正極板101または負極板102を受け取る電極板受取位置M1、M2と作業台2の電極板配置部22bとの間で移動可能な電極板搬送アーム部31a、32aと、電極板搬送アーム部31a、32aの先端に設けられ正極板101または負極板102を着脱可能な電極板ハンド部31b、32bと、電極板搬送アーム部31a、32aに対して電極板ハンド部31b、32bを上下方向となるR方向に位置調整する正極板配置部及び負極板配置部である電極板上下位置調整部31c、32cとを有する。電極板ハンド部31b、32bは、例えば、真空吸着により正極板101または負極板102を吸着可能な吸着パッドである。
【0024】
ここで、正極板101及び負極板102は、対応する電極板受取位置M1、M2に、例えば電極板搬送用ベルトコンベア11、12によって順次搬送される。
なお、正極板101及び負極板102は、上記搬送前に長尺状の電極シートを打抜いて形成される。この際、それぞれの本体部と一体形成されるタブには、当該打抜と同時にそれぞれ上記貫通孔が形成される。具体的には、同一の型で本体部、タブおよび貫通孔が同時に形成される。
従来は正極板と負極板とを積層した後に各タブを束ね、その後、貫通孔を形成していたため、バリなどが混入し電池故障を引き起こす可能性があった。しかし、上述のように正極板101及び負極板102を形成時に同時に貫通孔を形成するのでバリの発生が防止できる。この理由を詳しく述べると、多数のタブを束ねて型抜きを行うとバリが発生しやすいが、1つのタブのみに型抜きをして貫通孔を形成する場合には、そもそもバリは発生し難いからである。
さらに、正極板と負極板のそれぞれにつき、各々同一の型で貫通孔を形成するので、一方の電極板に着目した際、例えば積層される複数の正極板(または複数の負極板)のそれぞれのタブにおける貫通孔の位置を統一できる。すなわち、複数の正極板のそれぞれのタブにおける貫通孔の位置ずれを防止でき、結果として両電極板の積層時に位置合わせを精度よく行うことができる。
【0025】
電極板搬送用ベルトコンベア11、12のそれぞれは、対応する正極板搬送部31または負極板搬送部32によって正極板101または負極板102を電極板受取位置M1、M2から作業台2上に搬送、載置した際に、各タブ101b、102b、102cの突出する方向がP方向のP1側となるように、対応する正極板101または負極板102を電極板受取位置M1、M2まで搬送する。
より具体的には、本実施形態では、正極板搬送部31及び負極板搬送部32の各電極板搬送アーム部31a、32aは、それぞれの回転軸回りに概略90度回転移動することで、電極板受取位置M1、M2から作業台2の電極板配置部22a上まで移動可能となっている。このため、このような正極板搬送部31及び負極板搬送部32の構成では、各電極板搬送用ベルトコンベア11、12は、それぞれQ方向に沿って作業台2から離れる方向にタブ101b、102b、102cを突出させるようにして、対応する正極板101または負極板102を搬送する。
【0026】
また、蓋体搬送手段4は、作業台2に対して、載置される正極板101及び負極板102のタブ101b、102b、102cが突出するP方向のP1側に隣接して設けられている。蓋体搬送手段4は、P方向に沿って配設された蓋体搬送ガイド部41と、蓋体搬送ガイド部41に沿って、蓋体108を受け取る蓋受取位置Nと作業台2との間で移動可能な蓋体スライダ42と、蓋体スライダ42に設けられ蓋体108を着脱可能な蓋体ハンド部43と、蓋体スライダ42に対して蓋体ハンド部43をR方向に位置調整する蓋体上下位置調整部44とを有する。
【0027】
蓋体ハンド部43は、Q方向に沿って配された基部43aと、該基部43aに沿ってスライド可能な一対の挟持片43bとを有する。そして、基部43aに沿って一対の挟持片43b間の互いの離間距離を狭めることで、蓋体108を挟持することが可能となっている。なお、蓋体ハンド部43は、上記正極板101や負極板102と同様に真空吸着による吸着パッドとしても良い。
【0028】
ここで、蓋体108は、蓋受取位置Nに、例えば蓋体用ベルトコンベア13により順次搬送される。また、蓋体108の蓋体用ベルトコンベア13により搬送される際の姿勢は、組み立てた際の内面108aが上向きとなるように配置される。
また、蓋体用ベルトコンベア13で蓋受取位置Nに搬送される際の蓋体108の正極端子105、負極端子106及びダミー端子112のそれぞれは、拡径部105d、106d、112dを備えておらず、塑性して拡径部105d、106d、112dとなる前の先端部分を含めて他端部105b、106bの端面から軸部105c、106c、112cが突出する。そして、突出したこれら軸部の先端面からは軸部105c、106c、112cよりも小径で塑性して拡径部105d、106d、112dの一部となる先端小径部105e、106e、112eが形成されている。
【0029】
また、積層固定手段6は、起立手段5で起立された電極体103を仮固定する仮固定手段61と、仮固定された電極体103を固定用テープ111で固定するテープ貼着手段62とで構成されている。
仮固定手段61は、作業台2の台本体21上で載置板22の隣(P方向のP2側)に配置された挟持板63と、該挟持板63のP方向のP1側の縁端にQ方向に沿って設けられ台本体21上で挟持板63を回動可能とする第二の回転軸64と、第二の回転軸64を回転駆動させる図示しない回転駆動部(第二回転駆動部)とを有する。挟持板63は、第二の回転軸64回りに回転した際に、起立手段5により起立した載置板22との間で載置板22上の電極体103を挟み込むことが可能な位置に設けられている。また、挟持板63上には、載置板22に形成される溝22cと対向する位置に同様に溝63aが形成されている。当該溝63aもQ方向に沿って両縁端まで貫通するように形成されている。
【0030】
また、テープ貼着手段62は、作業台2を挟んでQ方向両側にそれぞれ設けられており、電極体103に固定用テープ111を貼着する貼着機構65と、貼着機構65をQ方向に沿って作業台2に向かって進退させる進退機構66とを有する。進退機構66は、Q方向に沿って配設された進退ガイド部66aと、先端に貼着機構65が設けられ、進退ガイド部66aよってQ方向に沿って進退する進退部材66bとを有する。進退部材66bには、載置板22及び挟持板63の二つずつの溝22c、63aと対応して二つの貼着機構65が上下に配列するように設けられている。
【0031】
貼着機構65は、電極体103の厚さと対応する長さに設定され且つP方向に沿って配設された基片65aと、基片65aの両端からQ方向に突出する一対の突片65b、65bとを有し、基片65a及び一対の突片65b、65bにより全体としてコの字状に形成されている。
そして、進退機構66によって貼着機構65が作業台2に向かって進出することにより、起立手段5により起立した載置板22の溝22c、及び、載置板22に対向するように回動させた挟持板63の溝63aのそれぞれに突片65bを挿入させることが可能となっている。また、突片65bは、基片65aに沿ってスライド可能に構成されている。
貼着機構65を形成するコの字内側となる部分には、一方の突片65bから基片65aを経て他方の突片65bへと跨るよう、かつ、内側に粘着部が向くようにして固定用テープ111が配されている。
この構成により、上述のように溝63aのそれぞれに突片65bが挿入された後、対の突片65bが互いにスライドされて電極体103を挟んで押圧することで、電極体103に固定用テープ111を貼着することができる。
【0032】
また、挟持板63において、載置板22に形成される蓋固定部22aと対応する位置には、蓋固定部22aに固定される蓋体108の正極端子105、負極端子106及びダミー端子112に対応する位置に、後述の案内部材14を着脱させるための案内部材着脱手段9がそれぞれ設けられている。
ここで、図8に示すように、案内部材14は、本実施形態では円錐状に形成されており、基端となる底面14aには、まだ拡径部105d、106d、112dが設けられていない蓋体108の正極端子105、負極端子106及びダミー端子112のそれぞれの先端小径部105e、106e、112eに嵌合可能な凹部14bが形成されている。また、案内部材14の底面14aにおける径は、各軸部105d、106c、112cの径と略等しく設定されている。
【0033】
図9に示すように、案内部材着脱手段9は、具体的には、案内部材14の先端部14cが挿入される被挿入部91と、該被挿入部91内に設けられて挿入された案内部材14の先端部14cを挟持可能なチャック部92とを有する。そして、図7に示すように、起立手段5で起立した載置板22と挟持板63とを対向させた状態で、被挿入部91は、載置板22の蓋固定部22aに嵌合された蓋体108の正極端子105、負極端子106及びダミー端子112と対向し、これら各端子の案内部材14がそれぞれ対応する被挿入部91に挿入されることとなるので、各端子と被挿入部91内部のチャック部92との間で案内部材14を受け渡しすることが可能となっている。
【0034】
図7に示すように、タブ固定手段7は、載置板22のP方向のP1側に設けられた加圧板7aと、載置板22のP方向のP1側の縁端に設けられ且つQ方向を軸心として加圧板7aを回転させる第三の回転軸7bと、第三の回転軸7bを回転駆動させる図示しない回転駆動部(第三回転駆動部)とを有する。
そして、後述のように正極板101及び負極板102が載置板22に積層され且つ案内部材14が正極端子105、負極端子106及びダミー端子112から外された後に、第三の回転軸7b回りに加圧板7aを回転させることで、蓋固定部22aに固定された蓋体108の正極端子105、負極端子106及びダミー端子112の軸部105d、106c、112cの先端部分を加圧板7aにより押圧し、かしめて、拡径部105d、106d、112dを形成することが可能となっている。
【0035】
収容手段8は、P方向に沿って配設された収容用ガイド部81と、収容用ガイド部81に沿って、作業台2上から電極体103をケース本体107に収容する収容位置Sまで移動可能な収容用スライダ82と、収容用スライダ82に設けられ蓋体108を着脱可能な収容用ハンド部83と、収容用スライダ82に対して収容用ハンド部83をR方向に位置調整する収容用上下位置調整部84とを有する。
ここで、ケース本体107は、収容位置Sに、例えばケース本体用ベルトコンベア16により順次搬送される。また、ケース本体107のケース本体用ベルトコンベア16により搬送される際の姿勢は、開口部107aが上方に向くように設定されている。
【0036】
収容用ハンド部83は、Q方向に沿って配された基部83aと、当該基部43aに沿ってスライド可能な一対の挟持片83bとを有する。そして、基部43aに沿って一対の挟持片83bの互いの離間距離を狭めることで、蓋体108をQ方向に挟持することが可能となっている。
ここで、図10に示すように、収容用ハンド部83の一対の挟持片83bのそれぞれには、蓋体108を挟持する位置に回転可能に支持された当接板83cが配されている。このため、一対の挟持片83bで蓋体108を挟持する際には、当接板83cが蓋体108にそれぞれ当接することとなり、当接板83cの回転により挟持片83bに対する蓋体108の向きを変更することが可能となっている。
【0037】
次に、本実施形態の二次電池100の製造装置1の動作につき図11から図18を参照して説明する。
まず、準備工程として、上記正極板101及び負極板102を準備するとともに、蓋体108及びケース本体107を準備する。そして、準備された正極板101及び負極板102は、それぞれ対応する電極板搬送用ベルトコンベア11、12により各電極板受取位置M1、M2に順次搬送される。また、準備された蓋体108は、蓋体用ベルトコンベア13により蓋受取位置Nに順次搬送される。さらに、準備されたケース本体107は、ケース本体用ベルトコンベア16により収容位置Sに順次搬送される。
ここで、蓋受取位置Nに搬送される蓋体108は、正極端子105、負極端子106及びダミー端子112が拡径部105d、106d、112dを備えておらず、軸部105c、106c、112cの端面から先端小径部105e、106e、112eが突出した構成となっている。
【0038】
そして、図11に示すように、蓋体搬送手段4により蓋受取位置Nに搬送された蓋体108を、作業台2の載置板22の蓋固定部22aまで搬送する。すなわち、蓋受取位置Nで、蓋体搬送手段4の一対の挟持片43bにより蓋体108を挟持する。そして、挟持した蓋体108をP方向に沿って作業台2の載置板22において蓋固定部22aの上方まで搬送する。そして、蓋体上下調整部44により蓋体108を降下させることで、蓋体108は蓋固定部22aに内面108aを上方に受けるようにして嵌合され、固定されることとなる。
【0039】
次に、図12に示すように、作業台2上の蓋体108の正極端子105、負極端子106及びダミー端子112のそれぞれに案内部材14を装着する。案内部材14は、挟持板63に設けられた案内部材着脱手段9の被挿入部91に先端部14cが挿入されチャック部92により挟持された状態にある。そして、起立手段5の第一の回転軸51回りに載置板22を回転させるとともに、仮固定手段61の第二の回転軸64回りに挟持板63を回転させ、載置板22と挟持板63とを対向させる。これにより、被挿入部91に挿入された案内部材14の底面14aの凹部14bが、蓋固定部22aに固定された蓋体108の正極端子105、負極端子106及びダミー端子112のそれぞれの先端小径部105e、106e、112eに嵌合されることとなる。この状態で、案内部材着脱手段9のチャック部92による案内部材14の挟持した状態を解除する。
そして、第二の回転軸64回りに回転させて挟持板63を起立した状態から元に戻すことで、案内部材14は、各先端小径部105e、106e、112eに装着されたまま被挿入部91から離脱することとなる。そして、載置板22も第一の回転軸51回りに回転させて、起立した状態から元に戻す。
【0040】
次に、図13に示すように、積層工程として、互いのタブ101b、102b、102cが同一方向(P方向のP1側)に突出するようにして正極板101及び負極板102を交互に積層させていく。すなわち、まず、電極板搬送手段3の正極板搬送部31と負極板搬送部32のうち、例えば正極板搬送部31が駆動する。正極板搬送部31は、対応する電極板受取位置M1に搬送される正極板101を電極板ハンド部31bで把持してから電極板搬送アーム部31aを回転させることで、作業台2の電極板配置部22b上方まで正極板101を移動させる。
そして、この状態で、電極板上下位置調整部31c(正極板配置部)により、把持した正極板101を電極板配置部22bに降下させることにより、正極板101は、タブ101bの貫通孔101cが正極端子105の軸部105dに挿入されつつ電極板配置部22bに配置されることとなる。この際、正極端子105は案内部材14が装着されて先端が尖った形状であるとともに、正極端子105側にいくに従って拡径していくことで、タブ101bの貫通孔101cに最小限の搬送精度で容易に正極端子105の軸部105dを挿入可能としつつ、正確に位置調整することが可能となる。
【0041】
次に、負極板搬送部32が駆動する。
負極板搬送部32は、対応する電極板受取位置M1に搬送される負極板102を電極板ハンド部32bで把持してから電極板搬送アーム部32aを回転させることで、作業台2の電極板配置部22b上方まで正極板101を移動させる。
そして、この状態で、電極板上下位置調整部32c(負極板配置部)により、把持した負極板102を電極板配置部22bに降下させることにより、負極板102は、タブ102bの貫通孔102dが負極端子106の軸部106cに、タブ102cの貫通孔102eがダミー端子112の軸部112cにそれぞれ挿入されつつ電極板配置部22bに配置されることとなる。
この際も、負極端子106及びダミー端子112のそれぞれに案内部材14が装着されていることで、タブ102b、102cの貫通孔102d、102eに最小限の搬送精度で容易に負極端子106の軸部106c、112cを挿入可能としつつ、正確に位置調整することが可能となる。
そして、正極板搬送部31及び負極板搬送部32による正極板101及び負極板102の搬送を交互に繰り返すことで、載置板22上には、それぞれ、タブ101b、102b、102cの貫通孔101c、102d、102eに、対応する正極端子105、負極端子106またはダミー端子112の軸部105d、106c、112cが挿通された状態で、正極板101と負極板102が交互に積層されて電極体13が構成されることになる。
【0042】
次に、図14に示すように、電極体103の正極タブ束103a及び負極タブ束103b、103cをそれぞれ支持して、正極板101及び負極板102を吊り下げる。すなわち、起立手段5は、第一の回転軸51回りに載置板22を回転させて起立させる。この際、正極板101及び負極板102の各タブ101b、102b、102cの貫通孔101c、102d、102eに正極端子105、負極端子106及びダミー端子112の各軸部105d、106c、112cが挿通されていることで、正極タブ束103a及び負極タブ束103b、103cのそれぞれは、各軸部105d、106c、112cに支持された状態で吊下げられることとなる。
なお、起立手段5による載置板22の起立状態としては、ほぼ鉛直状態となるようにしても良いが、正極板101と負極板102との積層状態を維持させるために若干傾斜した状態であることが好ましい。ここで、正極板101及び負極板102のそれぞれにおいて、タブ101b、102b、102cは、正極板101及び負極板102の重心線L101、L102に対して線対称に設けられている。このため、正極タブ束103a及び負極タブ束103b、103cで支持されて吊下げられた正極板101及び負極板102のそれぞれは、重力の作用により、互いの重心線L101、L102の方向が一致するように自動的に位置決めされることとなる。互いの重心線の方向のみならず位置も一致または重なるようにすれば、正極板101と負極板102とは互いのほぼ中心位置で重なるように位置決めされて積層されることになるので、積層ずれの影響を減少または防止する観点から、より好ましい。
この際、正極板101及び負極板102のタブは互いに重ならない位置に配置されているので、正極板101及び負極板102のタブが接触して短絡することが防止される。
ここで、起立手段5は、例えば振動モータなどの起振部を有するものとしても良い。このように起振部を備えることで、載置板22上で正極板101及び負極板102を位置決めする際に、振動を与えることができ、該振動によって互いに積層された正極板101と負極板102との間に作用する摩擦力を低減させて位置決めをより効果的に行う、すなわち積層ズレを効果的に防止することができる。
【0043】
次に、正極板101及び負極板102が積層された状態で一体となるように固定する。
まず、図14に示すように、積層固定手段6において仮固定手段61によって電極体103の仮固定を行う。すなわち、第二の回転軸64回りに挟持板63を回転させて載置板22と対向させることで、載置板22と挟持板63との間で電極体103を挟み込む。これにより電極体103を構成する正極板101及び負極板102は、上記吊下げによる位置決め実施後における積層状態から変位しないように仮固定される。
次に、図15に示すように、テープ貼着手段62によって電極体103に固定用テープ111を貼着することで電極体103を一体にする。すなわち、電極体103が載置板22及び挟持板63に挟持された状態のまま、テープ貼着手段62の進退機構66により、貼着機構65を作業台2に向かって進出させて突片65bを載置板22及び挟持板63の各溝22c、63aに挿入させる。
この状態で一対の突片65b同士の幅を狭めることで、突片65bの間に配置された電極体103の縁端にコの字上に固定用テープ111が貼着され、電極体103は、上記吊下げによる位置決め実施後における積層状態のままで一体となるように固定されることとなる。
【0044】
次に、蓋体108の正極端子105、負極端子106及びダミー端子112のそれぞれから案内部材14を取り外す。すなわち、電極体103を載置板22及び挟持板63で挟持した状態では、案内部材14の先端部14cは、案内部材着脱手段9の被挿入部91に挿入された状態にある(図14参照)。そして、この状態まま、チャック部92によって案内部材14を挟持させる。次に、第一の回転軸51回りに挟持板63を回転させて載置板22から離間させるようにすれば、図16に示すように、チャック部92に挟持された案内部材14は、取り付けられていた正極端子105、負極端子106及びダミー端子112から離脱して挟持板63とともに退避することとなり、載置板22側には、正極タブ束103a及び負極タブ束103b、103cから軸部105d、106c、112cの先端側が突出した状態となる。なお、挟持板63とともに退避した案内部材14は、別の新たな二次電池100の組立の際に利用されることとなる。
そして、起立手段5の第一の回転軸51回りに載置板22を回転させて、載置板22を台本体21上に載置された状態に戻す。
【0045】
次に、図17に示すように、正極タブ束103a及び負極タブ束103b、103cを対応する各端子に固定する。すなわち、タブ固定手段7の加圧板7aを第三の回転軸7b回りに回転させて載置板22と対向するようにする。これにより、タブ101b、102b、102cから突出した軸部105d、106c、112cの先端側は先端小径部105e、106e、112eも含めて押圧されて塑性変形し、拡径部105d、106d、112dが形成されることとなる。このため、各タブ101b、102b、102cは、貫通孔101c、102d、102eに、対応する軸部105d、106c、112cが挿通されたまま拡径部105d、106d、112dと他端部105c、106c、112cとの間に挟み込まれて固定された状態となる。
【0046】
次に、電極体103をケース本体107に収容する。すなわち、図18に示すように、収容手段8において収容用ハンド部83の一対の挟持片83bを、蓋固定部22aにおいて、蓋体108のQ方向両側に形成された隙間に挿入して、蓋体108を挟持させる。そして、収容用上下位置調整部84により収容用ハンド部83を上方に移動させることで、収容用ハンド部83に挟持された蓋体108は、蓋固定部22aから離脱し、さらに蓋体108の正極端子105、負極端子106及びダミー端子112に固定された正極端子105及び負極端子106からなる電極体103も離脱することとなる。このため、蓋体108及び電極体103は、収容手段8によって、収容用ハンド部83で把持された状態で吊下げられ、P方向に沿って移動し、収容位置Sまで搬送される。そして、収容位置Sにおいて、ケース本体107上方から収容用上下位置調整部84によって降下させられることで、電極体103は、ケース本体107の開口部107aから内部へと挿入されていくこととなる。
【0047】
そして、図19に示すように、さらに収容用上下位置調整部84によって電極体103及び蓋体108を降下させることで、電極体103がケース本体107に完全に収容されるとともに、正極タブ束103a及び負極タブ束103b、103cも折り畳まれながらケース本体107の内部に収容され、蓋体108がケース本体107の開口部107aに配置されることとなる。この際、蓋体108は、上記のとおり収容手段8の収容用ハンド部83に設けられた当接板83cによって収容用ハンド部83に対して回転可能であることから、ケース本体107の開口部107aを閉じるように向きを変えながら、該開口部107aに配置され、ケース本体107が閉塞されることとなる。
【0048】
以上のように、本実施形態の二次電池の製造装置1によれば、正極板101及び負極板102として、本体部101a、102aの重心線L101、L102に対して線対称となるようにしてタブが一または二以上設けられているものを使用し、起立手段5により上記吊下げを実施することで、正極板101と負極板102との大きさが異なっていたとしても、積層ずれなく精度良く、かつ、効率良く積層して二次電池100を製造することができる。
また、正極板101及び負極板102を積層させる作業台2の載置板22に蓋固定部22aが設けられていることで、蓋体搬送手段4で搬送した蓋体108を作業台2上において蓋固定部22aに固定することができる。このため、電極板搬送手段3によって正極板101及び負極板102を搬送し、それぞれのタブ101b、102b、102cを蓋体108上に固定させることが可能となる。
そして、上記吊下げの際、起立手段5によって、正極板101及び負極板102を、蓋体108に支持された状態のまま互いに位置決めさせることができる。
さらに、電極板搬送手段3で正極板101及び負極板102を搬送して、それぞれのタブ101b、102b、102cの貫通孔101c、102d、102eに、対応する正極端子105または負極端子106を挿通させる際に、これら正極端子105及び負極端子106に錘状の案内部材14が固定されていることで、最小限の搬送精度で容易に、タブ101b、102b、102cの貫通孔101c、102d、102eに正極端子105または負極端子106を挿通させることができる。また、正極板101及び負極板102を積層した後は、案内部材着脱手段9により案内部材14を取り外すことで、その後のタブ固定手段7の動作において案内部材14が支障となってしまうこともない。
【0049】
なお、上記のとおり、本発明の二次電池100および二次電池製造装置1の実施形態について説明したが、これらは一例にすぎず、様々な他の実施形態が考えられる。
図20は、二次電池についての他の実施形態を示している。図20に示すように、この実施形態の二次電池200では、ケース201が、積層方向Xの一方側に開口部202aを有するケース本体202と、開口部202aを閉塞する蓋体203とを有する。蓋体203は、開口部202aを閉塞する構成であることから、ケース本体202に収容される正極板101及び負極板102よりも大きな面を有する。そして、本実施形態でも、蓋体203に、正極端子105、負極端子106及びダミー端子112が設けられている。ここでは、蓋体203を貫通する正極端子105、負極端子106及びダミー端子112もX方向に突出することとなる。
【0050】
図20に示す二次電池200では、タブ101b、102b、102cのみならず、本体部101a、102aも蓋体203上に載置するようにして正極板101及び負極板102を交互に積層していくことができる。このため、蓋体203と、電極体103とを一体として、より容易に取り扱うことができる。
また、ケース本体107へ電極体103を収容工程する際、吊下げた電極体103を搬送・挿入する必要はなく、蓋体202の上方からケース本体202を被せるだけで良いので、作業がより容易なものとなる。
さらに、蓋体203でケース本体202の開口部202aを閉塞した後も、タブ101b、102b、102cは、折り畳まれることなく、向きを変えずに配設させることができる。このため、ケース201に収容された状態で、タブ101b、102b、102cに曲げが作用して引張応力や圧縮応力が生じて破損してしまうおそれもない。
【0051】
なお、上記実施形態において、正極板101は、一つのタブ101bを有し、負極板102は、二つのタブ102b、102cを有するものとしたが、これに限るものではない。図21に示すように、負極板102のみならず、正極板101も、二つのタブ101b、101dを有し、その一方を接続用タブとし、他方をダミータブとしても良い。
さらには、タブは二つに限られず、三つ以上としても良い。少なくとも、正極板、負極板は、積層された際に互いに位置が異なる、すなわち互いに重ならない一または二以上のタブを有しており、これら各電極板の各重心線L101、L102に対して線対称となるように配置されていればよい。
この構成により、上記吊下げ時に重力の作用により互いの重心線の方向を一致させるようにして精度よく位置決めして積層される。
さらに、例えば電気自動車などの移動体の電力モータ駆動用として当該二次電池が組み込まれ、重心線方向の振動が生じた場合に、正極本体部と正極板のタブとの接続部分において正極本体部に回転力が加わることが防止され、また、負極本体部と負極板のタブとの接続部分において負極本体部に回転力が加わることが防止されるので、これら接続部分における破断等が防止され、結果として二次電池の故障を防止することもできる。
正極板または負極板の一方の電極板のタブが図4の正極板のように1つしか設けられない場合には、当該タブの幅は他方の電極板のタブの幅より広く設計するのが望ましい。幅広に設計することで強度を上げることができるので、上記破断をより効果的に防止することができる。
正極板または負極板が袋状セパレータで包まれている場合には、この袋状セパレータを含む正極板または負極板の重心線に対して線対称となるように上記タブが配置される。
【0052】
また、上記製造装置において、蓋体108を作業台2上に配置した上で、正極板101及び負極板102の各タブ101b、102b、102cのそれぞれの貫通孔101c、102d、102eを正極端子105、負極端子106及びダミー端子112に接続させていくものとしたがこれに限るものではない。
例えば、正極板101と負極板102とを積層した後に別の支持部材によって各タブ101b、102b、102cを支持して吊下げ、この吊下げにより位置決めされた電極体103の積層状態を固定した後に、正極タブ束103a及び負極タブ束103b、103cに、蓋体108の正極端子105、負極端子106及びダミー端子112のそれぞれを接続するようにしても良い。
【0053】
端子接続の際、ダミー端子112を利用してダミータブであるタブ102cも端子接続するものとしたが、端子接続しないものとしても良い。
案内部材14は、正極板101と負極板102との積層を実施する前に、案内部材14を各端子に装着させるものとしたが、これに限るものではない。例えば、蓋受取位置で受け取る蓋体に既に装着されているものとしても良い。この場合には、案内部材14を着脱するための案内部材着脱手段9を備える必要はなく、少なくとも案内部材14を除去可能な案内部材除去手段を備えていれば良い。また、使用する案内部材14は、円錐状であるものとしたが、様々な形状のものが適用可能である。
さらに、図22に示す案内部材18のように、上記吊下げの際、上側に位置する稜線が、端子の軸線に略平行となるような円錐形状としても良い。この場合には、容易に積層を行うことが可能であるとともに、上記吊下げを実施時の正極板101及び負極板102の位置決め精度をさらに向上させることができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0055】
1 二次電池製造装置
2 作業台
22a 蓋体固定部
3 電極板搬送手段
4 蓋体搬送手段
5 起立手段
6 積層固定手段
8 収容手段
9 案内部材着脱手段(案内部材除去手段)
14 案内部材
31c 電極板上下位置調整部(正極板配置部)
32c 電極板上下位置調整部(負極板配置部)
100 二次電池
101 正極板
101a 本体部
101b、101d タブ
101c 貫通孔
102 負極板
102a 本体部
102b、102c タブ
102d、102e 貫通孔
103 電極体
104 ケース
105 正極端子
106 負極端子
107 ケース本体
107a 開口部
108 蓋体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極板と負極板とがセパレータを介して交互に積層された電極体と、
前記電極体を収容するケースと、
正極端子及び負極端子が設けられ、前記ケースに嵌合する蓋とを有し、
前記正極板は、略板状の正極本体部と、前記正極板の重心線に対して線対称に配置され前記正極本体部および前記正極端子に接続された第1のタブとを備え、
前記負極板は、略板状の負極本体部と、前記負極板の重心線に対して線対称に配置され前記負極本体部および前記負極端子に接続された第2のタブとを備え、
前記第1および第2のタブは前記積層された際に互いに重ならない位置に配置されていることを特徴とする二次電池。
【請求項2】
前記蓋に設けられたダミー端子をさらに有し、
前記第2のタブは接続用タブとダミータブとを備え、
前記接続用タブが前記負極端子に接続されるとともに前記ダミータブが前記ダミー端子に接続されていることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
【請求項3】
正極端子および負極端子の軸部がそれぞれ形成された蓋体を、前記軸部を上方に向けて固定する蓋固定部と、
第1の貫通孔の設けられたタブを備えた正極板であって前記タブは前記正極板の重心線に対して線対称に配置されている正極板を前記蓋固定部に搬送する正極板搬送部と、
前記搬送された正極板の前記第1の貫通孔を前記正極端子の軸部へ挿入する正極板配置部と、
第2の貫通孔が設けられたタブを備えた負極板であって前記タブは前記負極板の重心線に対して線対称に配置されている負極板を前記蓋固定部に搬送する負極板搬送部と、
前記搬送された負極板の前記第2の貫通孔を前記負極端子の軸部へ挿入して前記正極板に前記負極板を積層する負極板配置部と、
前記蓋固定部により固定された前記蓋体を起立させることで前記積層された前記正極板および前記負極板を吊り下げて位置決めする起立手段と
を有することを特徴とする二次電池製造装置。
【請求項4】
前記位置決めされた前記正極板と前記負極板とを互いにテープで固定する積層固定手段と、
前記テープで固定された前記正極板と前記負極板とを前記蓋体と嵌合するケースに収容する収容手段と
をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の二次電池製造装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−165620(P2011−165620A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30421(P2010−30421)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】