説明

二次電池用の制御装置及び二次電池の入力制御方法

【課題】二次電池を備える機器のエネルギー回収効率を高めつつ、充電による二次電池の寿命低下を抑制し得る二次電池用の制限装置、及び二次電池の入力制限方法を提供することにある。
【解決手段】制御装置1に、二次電池10の端子電圧を測定する電圧測定部3と、設定時間内に二次電池10に入力可能な充電電力の上限を規定する入力上限値を、設定時間を異ならせ、且つ設定時間が長いほど値が低くなるように複数個設定し、機器に複数個の入力上限値を出力する制御部2とを備えさせる。制御部2は、複数個の入力上限値毎に基準電圧を設定し、端子電圧がいずれかの基準電圧まで上昇した場合に、対応する入力上限値の値を引き下げる。入力上限値毎の基準電圧は、設定された入力上限値の数をnとし、入力上限値毎の基準電圧を、対応する入力上限値の値が高いものから順にV1、V2、・・・、Vnとしたときに、V1≦V2≦・・・≦Vnとなるように設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の制限装置、及び二次電池の入力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二次電池は、燃料電池や太陽電池、更には発電機と組み合わされ、電源システムとして利用されることがある。発電機は、風力や水力といった自然による力や、内燃機関等の人工的な動力によって駆動される。このような二次電池を組み合わせた電源システムは、余剰な電力を二次電池によって蓄積しておくことによって、エネルギー効率の向上を図っている。
【0003】
このようなシステムの一例としては、近年、動力源としてエンジンとモータとを搭載したハイブリット自動車「HEV」:Hybrid Electric Vehicle)が挙げられる。HEVは、走行に必要な動力に対してエンジンからの出力が大きい場合には、余剰の動力で発電機を駆動し、二次電池の充電を行なう。また、HEVは、車両の制動時や減速時には、車輪によってモータを駆動し、モータを発電機として利用することによっても、二次電池の充電を行なう。逆に、エンジンからの出力が小さい場合には、HEVは、不足の動力を補うため、二次電池を放電してモータを駆動する。
【0004】
このように、HEVにおいては、従来の自動車では熱として大気中に放出されていたエネルギーを二次電池に蓄積できるため、従来の自動車に比べて、エネルギー効率を高めることができ、燃費の飛躍的な向上を図ることができる。
【0005】
また、HEVにおいては、余剰電力を効率良く二次電池に充電するため、二次電池の充電状態(以下、SOC:state of charge)が100%とならないよう制御が行なわれている。また、必要なときにモータを駆動できるように、SOCが0(ゼロ)とならないようにも制御が行なわれている。具体的には、通常、二次電池においては、SOCが20%〜80%の範囲で推移するように制御が行なわれている。
【0006】
ところで、HEVや他の電源システムに搭載される二次電池は、複数個の電池セル(単電池)を直列に接続することによって構成される場合がある。このような二次電池においては、個々の電池セルの容量のバラツキにより、深い充電が行なわれると、容量の低い電池セルが過充電され、この電池セル内にガスが発生して内圧が上昇する。更に、過充電が継続されると、安全弁が作動し、内部のガスと共に電解液が飛散してしまうため、二次電池全体の寿命を低下させることとなる。
【0007】
このような二次電池の寿命の低下を抑制するため、HEVにおいては、二次電池に入力される充電電力を制限する入力制御が行われている。例えば、特許文献1には、車両の車速が高い状態の後に制動が行なわれると、発生する電力が大きく、過充電が生じ易いことから、車速が高い状態の継続時間が長い程、充電電力量を制限する入力制御が開示されている。
【特許文献1】特開2005−137091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に開示の入力制御の場合、急制動であるか、通常の制動であるかに関わらず、車速が高い場合は一律に充電電力量が制限されてしまう。このため、上記特許文献1に開示の入力制御においては、制動がゆっくり行なわれ、急激に高電力が発生していない場合においても、充電電力量が制限されてしまうので、エネルギー回収効率が低いという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、上記問題を解消し、二次電池を備える機器のエネルギー回収効率を高めつつ、充電による二次電池の寿命低下を抑制し得る二次電池用の制限装置、及び二次電池の入力制限方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明における二次電池用の制御装置は、二次電池の入力を制御するための制御装置であって、前記二次電池の端子電圧を測定する電圧測定部と、設定時間内に前記二次電池に入力可能な充電電力の上限を規定する入力上限値を、前記設定時間を異ならせ、且つ前記設定時間が長いほど値が低くなるように複数個設定し、前記二次電池を使用する機器に、設定した複数個の前記入力上限値を出力する制御部とを備え、前記制御部は、複数個の前記入力上限値毎に基準電圧を設定し、前記電圧測定部が測定した端子電圧がいずれかの基準電圧まで上昇した場合に、対応する前記入力上限値の値を引き下げ、前記入力上限値毎の前記基準電圧は、設定された入力上限値の数をnとし、前記入力上限値毎の基準電圧を、対応する前記入力上限値の値が高いものから順にV1、V2、・・・、Vnとしたときに、V1≦V2≦・・・≦Vnとなるように設定されていることを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するために本発明における入力制限方法は、二次電池の入力を制御するための入力制御方法であって、(a)前記二次電池の端子電圧を測定する工程と、(b)設定時間内に前記二次電池に入力可能な充電電力の上限を規定する入力上限値を、前記設定時間を異ならせ、且つ前記設定時間が長いほど値が低くなるように複数個設定する工程と、(c)複数個の前記入力上限値毎に基準電圧を設定する工程と、(d)前記(a)の工程で測定した端子電圧がいずれかの基準電圧まで上昇した場合に、対応する前記入力上限値の値を再設定し、これを引き下げる工程とを有し、前記(c)の工程において、前記入力上限値毎の前記基準電圧の設定は、設定された入力上限値の数をnとし、前記入力上限値毎の前記基準電圧を、対応する前記入力上限値の値が高いものから順にV1、V2、・・・、Vnとしたときに、V1≦V2≦・・・≦Vnとなるように行われていることを特徴とする。
【0012】
さらに、上記目的を達成するために本発明におけるプログラムは、二次電池の入力を制御するための入力制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、(a)前記二次電池の端子電圧を測定するステップと、(b)設定時間内に前記二次電池に入力可能な充電電力の上限を規定する入力上限値を、前記設定時間を異ならせ、且つ前記設定時間が長いほど値が低くなるように複数個設定するステップと、(c)複数個の前記入力上限値毎に基準電圧を設定するステップと、(d)前記(a)のステップで測定した端子電圧が、いずれかの基準電圧まで上昇した場合に、対応する前記入力上限値の値を再設定し、これを引き下げるステップとをコンピュータに実行させ、前記(c)のステップにおいて、前記入力上限値毎の前記基準電圧の設定は、設定された入力上限値の数をnとし、前記入力上限値毎の前記基準電圧を、対応する前記入力上限値の値が高いものから順にV1、V2、・・・、Vnとしたときに、V1≦V2≦・・・≦Vnとなるように行われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明においては、設定時間に応じて入力上限値が設定される。つまり、本発明においては、短時間の間に充電が行なわれる場合と、長時間の間に充電が行なわれる場合とで、異なる入力上限値を設定できる。また、二次電池の端子電圧が上昇すると、入力上限値の引き下げが行われる。このため、本発明によれば、二次電池を備えた機器のエネルギー回収効率を高めつつ、充電による二次電池の寿命低下を抑制できる。
【0014】
例えば、本発明をHEVに適用すれば、急な制動によって短時間で高電力が発生した場合であっても、入力上限値の範囲内で二次電池を充電できる。このため、従来に比べて、エネルギーの回収効率を高めることができ、HEVの燃費の向上を図ることができる。また、本発明を、燃料電池、太陽電池、発電機といった独立型電源と、二次電池とを連動させる電源システムに適用すれば、独立型電源からの入力電力が急激に増大した場合であっても、効率良くエネルギーを回収できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明における二次電池用の制御装置は、二次電池の入力を制御するための制御装置であって、前記二次電池の端子電圧を測定する電圧測定部と、設定時間内に前記二次電池に入力可能な充電電力の上限を規定する入力上限値を、前記設定時間を異ならせ、且つ前記設定時間が長いほど値が低くなるように複数個設定し、前記二次電池を使用する機器に、設定した複数個の前記入力上限値を出力する制御部とを備え、前記制御部は、複数個の前記入力上限値毎に基準電圧を設定し、前記電圧測定部が測定した端子電圧がいずれかの基準電圧まで上昇した場合に、対応する前記入力上限値の値を引き下げ、前記入力上限値毎の前記基準電圧は、設定された入力上限値の数をnとし、前記入力上限値毎の基準電圧を、対応する前記入力上限値の値が高いものから順にV1、V2、・・・、Vnとしたときに、V1≦V2≦・・・≦Vnとなるように設定されていることを特徴とする。
【0016】
上記本発明における二次電池用の制御装置は、前記制御部が、前記入力上限値として、第1の時間内に前記二次電池に入力可能な充電電力の上限を規定する短時間入力上限値と、前記第1の時間よりも長い第2の時間内に前記二次電池に入力可能な充電電力の上限を規定する長時間入力上限値とを設定し、前記短時間入力上限値に対応する前記基準電圧として、第1の基準電圧V1を設定し、前記長時間入力上限値に対応する前記基準電圧として、前記第1の基準電圧V1以上の第2の基準電圧V2を設定する第1の態様とするのが好ましい。上記第1の態様は、特にHEVにおいて有効である。
【0017】
上記第1の態様においては、前記制御部が、前記短時間入力上限値の初期値を、前記長時間入力上限値の初期値よりも大きな値に設定し、前記電圧測定部が測定した端子電圧が、前記第1の基準電圧V1にまで上昇した場合に、前記短時間入力上限値を前記長時間入力上限値と同じ大きさに再設定するのが好ましい。この場合は、過充電の抑制をより確実なものとすることができる。
【0018】
また、上記第1の態様においては、前記制御部が、前記短時間入力上限値の初期値を、前記長時間入力上限値の初期値よりも大きな値に設定し、前記電圧測定部が測定した端子電圧が、前記第1の基準電圧V1にまで上昇した場合に、前記短時間入力上限値を段階的に引き下げるのも好ましい。この場合も、過充電の抑制をより確実なものとすることができる。更に、この場合は、前記制御部が、前記電圧測定部が測定した端子電圧が前記第2の基準電圧V2に到達したときに、又は到達するまでに、前記短時間入力上限値を前記長時間入力上限値と同じ大きさに再設定するのがより好ましい。これにより、過充電の抑制をより一層確実なものとすることができる。
【0019】
また、上記本発明における二次電池用の制御装置は、前記二次電池の温度を測定する温度測定部を備え、前記制御部が、前記温度測定部で測定した温度に応じて、前記複数個の入力上限値を設定する第2の態様とするのも好ましい。二次電池の充電能力は温度によって変化するため、上記第2の態様によれば、精度の高い入力制御を行うことができる。
【0020】
更に、上記本発明における二次電池用の制御装置は、前記制御部が、前記二次電池の残存容量を算出し、算出した残存容量に応じて、前記複数個の入力上限値を設定する第3の態様とするのも好ましい。上記第3の態様とすれば、二次電池の充電能力はSOCによっても変化するため、上記第3の態様によれば、精度の高い入力制御を行うことができる。
【0021】
また、上記本発明における二次電池用の制御装置においては、第2の態様と第3の態様との両方を兼ね備えた態様とすることもできる。この場合は、温度とSOCとの両方に応じて入力上限値が設定されるため、一層、精度の高い入力制御を行なうことができる。
【0022】
上記本発明における二次電池用の制御装置は、前記二次電池が、複数個の単電池を電気的に直列に接続して構成された電池ブロックを、更に複数個電気的に直列に接続して構成されており、前記電圧測定部が、前記複数個の電池ブロックそれぞれの端子電圧を測定し、前記制御部が、前記電圧測定部によって測定された前記複数個の電池ブロックそれぞれの端子電圧のうち、最も大きい端子電圧が前記第1の基準電圧V1まで上昇した場合に、前記短時間入力上限値を引き下げ、前記最も大きい端子電圧が前記第2の基準電圧V2まで上昇した場合に、前記長時間入力上限値を引き下げる第4の態様とすることもできる。
【0023】
本発明における入力制限方法は、二次電池の入力を制御するための入力制御方法であって、(a)前記二次電池の端子電圧を測定する工程と、(b)設定時間内に前記二次電池に入力可能な充電電力の上限を規定する入力上限値を、前記設定時間を異ならせ、且つ前記設定時間が長いほど値が低くなるように複数個設定する工程と、(c)複数個の前記入力上限値毎に基準電圧を設定する工程と、(d)前記(a)の工程で測定した端子電圧がいずれかの基準電圧まで上昇した場合に、対応する前記入力上限値の値を再設定し、これを引き下げる工程とを有し、前記(c)の工程において、前記入力上限値毎の前記基準電圧の設定は、設定された入力上限値の数をnとし、前記入力上限値毎の前記基準電圧を、対応する前記入力上限値の値が高いものから順にV1、V2、・・・、Vnとしたときに、V1≦V2≦・・・≦Vnとなるように行われていることを特徴とする。
【0024】
上記本発明における二次電池の入力制御方法は、前記(b)の工程において、前記入力上限値として、第1の時間内に前記二次電池に入力可能な充電電力の上限を規定する短時間入力上限値と、前記第1の時間よりも長い第2の時間内に前記二次電池が入力可能な充電電力の上限値を規定する長時間入力上限値とを設定し、前記(c)の工程において、前記短時間入力上限値に対応する前記基準電圧として、第1の基準電圧V1を設定し、前記長時間入力上限値に対応する前期基準電圧として、前記第1の基準電圧V1以上の第2の基準電圧V2を設定する態様とするのが好ましい。上記態様は、特にHEVにおいて有効である。
【0025】
また、本発明は、上記本発明における入力制御方法を具現化するためのプログラムであっても良い。このプログラムをコンピュータにインストールして実行することにより、本発明における二次電池の入力制御方法が実行される。
【0026】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における二次電池用の制御装置及び二次電池の入力制御方法について、図1〜図4を参照しながら説明する。最初に、本実施の形態1における二次電池用の制御装置の構成について図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1における二次電池用の制御装置の概略構成を示す構成図である。
【0027】
図1に示すように、本実施の形態1における二次電池用の制御装置1は、HEVに搭載された二次電池10の制御を行っている。二次電池10は、HEVの動力源となるモータ(図示せず)や、HEVに搭載された内燃機関のスタータモータ、更にはHEVにおいて電力を要求する部分全てに電力を供給する。
【0028】
本実施の形態1において、二次電池10は、電池ブロックB1〜B20を直列に接続して構成されている。電池ブロックB1〜B20は、電池ケース12に収容されている。また、電池ブロックB1〜B20それぞれは、2個の電池モジュールを電気的に直列に接続して構成されており、更に、各電池モジュールは、6個の単電池11を電気的に直列に接続して構成されている。各単電池11としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等を用いることができる。なお、電池ブロック、電池モジュール、単電池11の数は特に限定されるものではない。二次電池10の構成も上記した例に限定されるものではない。
【0029】
また、電池ケース12内には、複数の温度センサ6が配置されている。複数の温度センサ6の配置は、比較的温度が近い複数の電池ブロックを1つのグループとして、或いはいずれの電池ブロックとも比較的温度差がある1つの電池ブロックを1つのグループとして、グループ毎に1つの温度センサ6を配置することによって行われている。また、グループ分けは、事前の実験等によって、各電池ブロックの温度を計測することによって行われている。
【0030】
また、図1において、車両ECU20は、車両に搭載された駆動用モータやエンジンの制御、更にはエアコンや各種計器類の制御等も行う制御装置である。車両ECU20は、二次電池用の制御装置1から後述する短時間入力情報及び長時間入力情報を受け取る。また、車両ECU20は、これら情報によって特定される短時間入力上限値Pinp及び長時間入力上限値Pinnを越えない範囲で、駆動用モータ(駆動用モータとは別に発電機が配置されている場合は発電機)で発電された電力を二次電池10に供給する。
【0031】
二次電池用の制御装置1は、主に、制御部2と、電圧測定部3と、記憶部4と、温度測定部5とを備えている、また、本実施の形態1において、二次電池用の制御装置1は、電池ECUの一部を構成している。以下、各部について説明する。
【0032】
電圧測定部3は、二次電池10の端子電圧の測定を行なっている。本実施の形態1では、電圧測定部3は、電池ブロックB1〜B20それぞれの端子電圧Vu1〜Vu20を測定する。また、電圧測定部3は、電圧値電圧Vu1〜Vu20を特定する電圧データを生成し、これを制御部2に出力している。
【0033】
電圧データが出力されると、制御部2は、電圧データを記憶部4に格納する。また、制御部2は、電池ブロック毎の端子電圧Vuの中から、適正範囲内にある最も大きな端子電圧(最高端子電圧)Vu_maxを特定する。電圧測定部3による制御部2への電圧データの出力は、予め設定された周期で行われる。なお、「適正範囲」とは、電池ブロックの短絡や二次電池10の周辺回路等の回路エラーを誘引しない範囲をいう。
【0034】
温度測定部5は、二次電池10の温度の測定を行っている。本実施の形態1では、温度測定部5は、電池ケース12内にグループ毎に設置された各温度センサ6が出力するアナログ信号をデジタル信号に変換し、これに基づいてグループ毎の電池温度を特定する温度データを作成し、これを制御部2に出力する。
【0035】
温度データが出力されると、制御部2は、温度データを記憶部4に格納すると共に、グループ毎の電池温度の平均値(平均電池温度)を算出する。温度測定部5による制御部2への温度データの出力も、予め設定された周期で行われている。
【0036】
また、制御部2は、設定時間内に二次電池10に入力可能な充電電力の上限を規定する入力上限値を設定する。本実施の形態1においては、制御部2は、短時間入力上限値Pinpと長時間入力上限値Pinnとの二種類の入力上限値を設定する。設定された短時間入力上限値Pinpと長時間入力上限値Pinnは、それぞれ短時間入力情報及び長時間入力情報として記憶部4に格納される。また、制御部2は、車両ECU20に、短時間入力情報及び長時間入力情報を出力する。
【0037】
短時間入力上限値Pinpは、第1の時間内、例えば1秒〜2秒といった短時間の間に二次電池10に入力可能な充電電力の上限を規定する。短時間入力上限値Pinpは、車両において急制動が行なわれたときのように、短時間の間に駆動用モータ(駆動用モータとは別に発電機が配置されている場合は発電機)で高電力が発電された場合において、二次電池の充電を制限する。長時間入力上限値Pinnは、第2の時間内、例えば10秒程度といった比較的長時間の間に二次電池10に入力可能な充電電力の上限を規定している。長時間入力上限値Pinnは、例えば、車両の定常走行中の充電時や、ゆっくりと制動されている場合に、二次電池の充電を制限する。
【0038】
また、本実施形態1においては、制御部2は、短時間入力制限値Pinp及び長時間入力制限値Pinnの引き下げを行う制限処理モードと、充電電力の短時間入力制限値Pinp及び長時間入力制限値Pinnの引き下げを行わない通常処理モードとの二つのモードを備えている。制御部2は、最高端子電圧Vu_maxが基準電圧V1又はV2まで上昇した場合は、制限処理モードによって処理を実行し、最高端子電圧Vu_maxが制限処理開始電圧V1及びV2を越えていない場合は、通常処理モードによって処理を実行する。
【0039】
通常処理モードにおいては、制御部2は、車両ECU20に、短時間入力情報として短時間入力制限値Pinpの初期値を出力し、長時間入力情報として長時間入力制限値Pinnの初期値を出力する。但し、このとき、制御部2は、温度測定部5が出力した温度データに応じて、短時間入力制限値Pinp及び長時間入力制限値Pinnの初期値を設定する。温度データに基づく設定については、図4を用いて後述する。
【0040】
制限処理モードにおいては、制御部2は、二次電池10(各電池ブロック)の端子電圧の上昇を抑制させるため、短時間入力制限値Pinp及び長時間入力制限値Pinnの引き下げを行う。具体的には、制御部2は、最高端子電圧Vu_maxが基準電圧V1まで上昇すると、短時間入力制限値Pinpを再設定して、その引き下げを行う。また、制御部2は、最高端子電圧Vu_maxが基準電圧V2まで上昇すると、長時間入力制限値Pinnを再設定し、その引き下げを行う。また、制御部2は、引き下げを行った後は、引き下げが行われた入力上限値について入力情報の内容の書き換えを行うと共に、引き下げ後の入力上限値を特定する入力情報を車両ECU20に出力する。
【0041】
また。本実施の形態1においては、短時間入力上限値Pinpの引き下げのトリガとなる基準電圧V1と長時間入力上限値Pinnの引き下げのトリガとなる基準電圧V2とは、同一の値に設定されている。このため、短時間入力上限値Pinpの引き下げと長時間入力上限値Pinnの引き下げとは同時に行われる。更に、制御部2は、電池ブロックの最高端子電圧Vu_maxが、制限処理解除電圧Vcancelまで上昇したときには、制限処理モードを解除し、通常処理モードへと復帰する。
【0042】
但し、本実施の形態1は、基準電圧V1と基準電圧V2とが同一の値に設定される例に限定されるものではない。本実施の形態1においては、基準電圧V1が基準電圧V2よりも小さな値に設定されていても良い。この場合も、過充電を抑制することができる。
【0043】
また、本実施の形態1においては、記憶部4には、温度とその温度に最適な基準電圧V1及び基準電圧V2とを示すマップが格納されている。制御部2は、算出した平均電池温度をマップに当てはめて、基準電圧V1及びV2の設定を行っている。マップは、予め行われた充電実験の結果に基づいて、二次電池10の性能や負荷を考慮して作成されている。
【0044】
記憶部4は、上述した基準電圧V1、V2を設定するためのマップや、短時間入力上限値Pinp及び長時間入力上限値Pinnの初期値を設定するためのマップを格納している。また、記憶部4は、制限処理解除電圧Vcancelの値も格納している。また、記憶部4は、制御部2の指示に応じて、格納している情報を制御部2に出力する。
【0045】
次に、本発明の実施の形態1における二次電池の入力制限方法について図2〜図4を用いて説明する。本実施の形態1における入力制御法は、図1に示した本実施の形態1における二次電池用の制御装置を動作させることによって実施される。よって、以下においては、適宜図1を参照しながら、図1に示す二次電池用の制御装置の動作に基づいて説明する。
【0046】
図2は、本発明の実施の形態1における入力制御方法を示すフロー図である。図3は、実施の形態1における、二次電池を構成する電池ブロックの端子電圧、短時間入力制限値Pinp及び長時間入力制限値Pinnの経時変化を示す図である。図4は、短時間入力制限値Pinp及び長時間入力制限値Pinnと温度との関係を示す図である。
【0047】
最初に、図2に示すように、制御部2は、温度測定部5から出力された温度データに基づいて二次電池10の平均電池温度を算出し、算出した平均電池温度に応じて、短時間入力制限値Pinpの初期値Pinp0を設定する(ステップS1)。このとき、制御部2は通常処理モードで処理を行っている。また、本実施の形態1においては、短時間入力制限値Pinpの初期値Pinp0は、記憶部4に格納されており、制御部2は、記憶部4から短時間入力制限値Pinpの初期値Pinp0を抽出し、抽出した値を設定値として用いている。
【0048】
但し、二次電池10に充電可能な充電電力は電池温度に応じて変化することから、図4に示すように、短時間入力制限値Pinpも電池温度に応じて変化する。このため。記憶部4には、予め選択された電池温度毎に、対応する短時間入力制限値Pinpの初期値Pinp0が特定されたマップ(参照マップPinp)が格納されている。よって、ステップS1においては、制御部2は、記憶部4にアクセスし、参照マップPinpを参照して、平均電池温度に応じた短時間入力制限値Pinpの初期値Pinp0の抽出及び設定を行っている。
【0049】
また、図4に示すように、長時間入力制限値Pinnの初期値Pinn0も電池温度に応じて変化する。よって、記憶部4には、参照マップPinpに加え、予め選択された電池温度毎に、対応する長時間入力制限値Pinnの初期値Pinn0が特定されたデーブル(参照マップPinn)も格納されている。
【0050】
なお、参照マップPinpでは、電池温度が同一の条件下において、短時間入力制限値Pinpの初期値Pinp0は、長時間入力制限値Pinnの初期値Pinn0よりも高い値に設定されている。これは、急制動時においては、通常時に比べて、発電される電力が大きく、又過充電とならない範囲内で可能な限り多くの電力を二次電池10に入力するためである。
【0051】
次に、制御部2は、電圧測定部3から出力された電圧データに基づいて、適正範囲内にある最高端子電圧Vu_maxが基準電圧V1以上となっているかどうかを判定する(ステップS2)。最高端子電圧Vu_maxが基準電圧V1以上となっていない場合は、短時間入力制限値Pinpを引き下げる必要がないため、制御部2は、ステップS1で設定した短時間入力制限値Pinpが特定された短時間入力情報を車両ECU20へと出力し、(ステップS8)、その後、後述するステップS6を実行する。
【0052】
一方、最高端子電圧Vu_maxが基準電圧V1以上である場合は、短時間入力制限値Pinpを引き下げる必要があるため、制御部2は制限処理モードに移行して、短時間入力情報Pinpの引き下げ処理を行う。この場合、図3の時間T1の時点のように、制御部2は、短時間入力制限値Pinpの値を引き下げ、これを電池温度に応じた長時間入力制限値Pinnの初期値Pinn0と同じ値に変更する(ステップS3)。また、このとき、制御部2は、短時間入力情報の書き換えも行う。
【0053】
また、制御部2は、ステップS1〜S3、及びS8の処理と平行して、ステップS11〜S13、及びS14の処理を実行する。なお、ステップS11〜S14の処理は、ステップS1の実行前や、ステップS3の実行後に行うこともできる。ステップS11〜S14について以下に説明する。
【0054】
制御部2は、平均電池温度に応じて、長時間入力制限値Pinnの初期値Pinn0を設定する。(ステップS11)。このときも。制御部2は通常処理モードで処理を行っている。具体的には、制御部2は、記憶部4にアクセスし、上述した参照マップPinnを参照して、電池温度に応じた長時間入力制限値Pinnの初期値Pinn0の抽出及び設定を行う。
【0055】
次に制御部2は、電圧測定部3から出力された電圧データに基づいて、最高端子電圧Vu_maxが基準電圧V2以上となっているかどうかを判定する(ステップS12)。最高端子電圧Vu_maxが基準電圧V2以上となっていない場合は、長時間入力制限値Pinnを引き下げる必要がないため、制御部2は、ステップS11で設定した長時間入力制限値Pinnが特定された長時間入力情報を車両ECU20へと出力し(ステップS14)、その後、後述するステップ6を実行する。
【0056】
一方、最高端子電圧Vu_maxが基準電圧V2以上である場合は、長時間入力制限値Pinnを引き下げる必要があるため、図3の時間T1の時点のように、制御部2は、制限処理モードに移行して、長時間入力制限値Pinnの引き下げ処理を行う(ステップS13)。
【0057】
また、本実施の形態1において、長時間入力上限値Pinnの一回目の引き下げ処理における引き下げ幅は、二次電池10の性能や電圧の上昇速度等に応じて適宜設定され、特に限定されるものではない。更に、後述する二回目以降の引き下げ処理における引き下げ幅も、二次電池10の性能や電圧の上昇速度等に応じて適宜設定され、特に限定されるものではない。
【0058】
次に、ステップS1〜S3の処理及びステップS11〜S13の処理が終了すると、制御部2は、現時点(最新)の短時間入力制限値Pinpと現時点(最新)の長時間入力制限値Pinnとが同一の値となっているかどうかを判断する(ステップS4)。
【0059】
現時点の短時間入力制限値Pinpと現時点の長時間入力制限値Pinnとが同一の値となっている場合は、制御部2は、この現時点の短時間入力制限値Pinp及び長時間入力制限値Pinnを車両ECU20に出力する(ステップS5)。
【0060】
一方、現時点の短時間入力制限値Pinpと現時点の長時間入力制限値Pinnとが同一の値でない場合は、制御部2は、短時間入力制限値Pinpの値を長時間入力制限値Pinnの値に再設定する(ステップS7)。図3に示すT1の時点では、短時間入力制限値Pinpは、ステップS3により長時間入力制限値Pinnの初期値Pinn0まで引き下げられた後、更に、ステップS7により、引き下げられた後の現時点の長時間入力制限値Pinnまで引き下げられる。この後、制御部2は、再設定された短時間入力制限値Pinpと現時点の長時間入力制限値Pinnとを車両ECU20に出力する(ステップS5)。
【0061】
ステップS5の終了後、制御部2は、電圧測定部3から出力した最新の電圧データに基づいて、現在の最高端子電圧Vu_maxが制限処理解除電圧Vcancel以下となっているかどうかを判定する(ステップS6)。現在の最高端子電圧Vu_maxが基準電圧Vcancel以下となっている場合には、制御部2は処理を終了する。
【0062】
一方、現在の最高端子電圧Vu_maxが制限処理解除電圧Vcancel以下となっていない場合は、二次電池10の入力制限を継続する必要があるため、制御部2は、再度、ステップS12、から処理を実行する。これは、長時間入力制限値Pinnを引き下げたことにより、二次電池10の端子電圧が下降し、基準電圧V2を下回る可能性があるためである。
【0063】
但し、最高端子電圧Vu_maxが基準電圧V2を下回っていない場合や、下回ってもすぐに上昇する場合は、例えば、図3に示す時間T2〜T5の時点のように、長時間入力上限値Pinnが更に階段状に引き下げられると共に、短時間入力上限値Pinpも長時間入力上限値Pinnに追随するように引き下げられる。
【0064】
このように、本実施の形態1においては、二次電池10の端子電圧が下降し、制限処理解除電圧Vcancelに到達するまで、短時間入力制限値Pinp及び長時間入力制限値Pinnの引き下げが行われる。また、制御部2は、図2に示す処理を一定周期(例えば、100ms周期)で実行している。
【0065】
以上のように本実施の形態1によれば、短時間入力制限値Pinpと長時間入力制限値Pinnとの二種類の入力制限値が設けられるため、HEVの走行状態に応じて入力制限が行なわれる。このため、急な制動によって短時間で高電力が発生した場合であっても、二次電池を充電できるので、従来に比べて、エネルギーの回収効率を高めることができ、HEVの燃費の向上を図ることができる。
【0066】
本実施の形態1においては、上述したように、制御部2は、図2に示す処理を一定周期(例えば、100ms周期)で行なっているが、本実施の形態1はこれに限定されるものではない。本実施の形態1は、二次電池10(電池ブロック)の端子電圧が基準電圧まで上昇した場合にのみ、制御部2によって図2に示す処理が実行される態様とすることもできる。
【0067】
また、本実施の形態1における二次電池用の制御装置は、電池ECUを構成するマイクロコンピュータに、図2に示す各種処理を具現化されるプログラムをインストールし、このプログラムを実行することによって、実現することができる。この場合、マイクロコンピュータのCPU(central Processing unit)が制御部2として機能する。また、二次電池との接続回路とCPUとが電圧測定部3として機能し、温度センサ6の接続回路とCPUとが温度測定部5として機能する。更に、マイクロコンピュータが備える各種メモリが記憶部4として機能する。
【0068】
更に、HEVの分野においては、車両ECUが電池ECUとしても機能する態様が考えられる。この態様においては、本実施の形態1における二次電池用の制御装置1は、車両ECUを構成するマイクロコンピュータに、図2に示す各種処理を具現化させるプログラムをインストールし、このプログラムを実行することによって、実現することができる。
【0069】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2における二次電池用の制御装置及び入力制御方法について、図5〜図7を参照しながら説明する。最初に、本実施の形態2における二次電池用の制御装置の構成について図5を参照しながら説明する。図5は、本発明の実施の形態2における二次電池用の制御装置の概略構成を示す構成図である。図5において、図1に示された符号と同符号が付された部分は、図1において同符号が付された部分と同一のものである。
【0070】
図5に示すように、本発明の形態2における二次電池用の制御装置30も、実施の形態1と同様に、HEVに搭載されたモータ駆動用の二次電池10の制御を行っている。また、二次電池用の制御装置30を構成する制御部31も、図1に示した制御部2と同様に、短時間入力上限値Pinp及び長時間入力上限値Pinnを設定し、短時間入力情報および長時間入力情報の両方を車両ECU20に出力する。
【0071】
但し、本実施の形態2における二次電池用の制御装置30は、制御部31が行う短時間入力上限値Pinpの引き下げ処理、短時間入力上限値Pinpの初期値Pinp0の設定処理、及び長時間入力上限値Pinnの初期値Pinn0の設定処理の点で、実施の形態1における二次電池用の制御装置と異なっている。
【0072】
具体的には、本実施の形態2においては、制御部31は、短時間入力上限値Pinpの値を長時間入力上限値Pinnの初期値Pinp0にまで引き下げるに際して、段階的な引き下げを行っている。また、制御部31は、二次電池10のSOCの推定を行い、推定したSOCに応じて、短時間入力上限値Pinpの初期値Pinp0と長時間入力上限値Pinnの初期値Pinn0の設定を行っている。
【0073】
更に、制御部31がSOCの算出を行うため、二次電池用の制御装置30は電流測定部32を備えている。電流測定部32は、電流センサ(図示せず)が出力した信号に基づいて、二次電池10の充放電時における電流の電流値Iを測定している。本実施の形態2では、電流測定部32は、電流センサが出力したアナログ信号をデジタル信号に変換し、これに基づいて、充電時に二次電池10に入力された電流の電流値Iと、放電時に二次電池10に出力された電流値Iとを特定する電流データを生成し、これを制御部31に出力する。
【0074】
また、電流測定部32は、充電時をマイナス、放電時をプラスとして電流データを生成する。電流測定部32による制御部2への電流データの出力も、予め設定された周期で行われ、制御部31は電流データも記憶部4に格納する。
【0075】
本実施の形態2においては、制御部31は、二次電池10の積算容量Qに基づいて第1のSOCを推定する。また、制御部31は、充放電履歴に基づいて第2のSOCも推定する。更に、制御部31は、第1のSOCと第2のSOCとの差を求め、求めた差に基づいて第1のSOCを補正し、補正後の第1のSOCを二次電池10のSOCとしている。なお、制御部31によるSOCの推定は、第1のSOC及び第2のSOCのうちのいずれかであってもよい。
【0076】
具体的には、第1のSOCの推定は、以下の手順によって行われる。先ず、制御部31は、記憶部4に格納された電流データを読み出して電流値Iを取得し、取得された電流値Iが充電時の電流(−)の場合は充電効率を乗算する。次に、制御部31は、得られた電流値I(充電時の場合は乗算値)を設定された時間にわたって積算して、積算容量Qを算出する。更に、制御部31は、予め実験によって求められている満充電時の容量と積算容量Qとの差を求め、次いで、満充電時の容量に対する差の比を求め、求めた比(%)を第1のSOCとして推定する。
【0077】
また、第2のSOCの推定は以下の手順によって行われる。先ず、制御部31は、設定期間内において、電圧測定部3から出力された電圧データと、電流測定部2から出力された電流データとから、電池ブロック毎に、端子電圧の電圧値と充放電時の電流の電流値Iとのペアデータを複数個取得する。取得されたペアデータは、充放電履歴として、記憶部4に格納される。
【0078】
次に、制御部31は、記憶部4に格納された電池ブロック毎のペアデータの中から、代表となる電池ブロックの、上限及び下限を除いた平均的なペアデータを選択する。更に、演算部は、選択されたペアデータから、回帰分析法を用いて、一次の近似直線(V−I近似直線)を求める。さらに、制御部31は、V−I近似直線のV切片を無負荷電圧OCVとして求め、これを代表となる電池ブロックの無負荷電圧OCVとする。
【0079】
次に、制御部31は、積算容量Qの単位時間あたりの変化量ΔQに基づいて、二次電池10の分極電圧を推定する。具体的には、制御部31は、変化量ΔQに対して時間遅延処理及び平均化処理を行い、これによってΔQの不要な高周波成分に相当する変動成分を除去して、ΔQ´を算出する。更に、制御部31は、グループ毎の電池温度の中から最も高い温度(最高電池温度)を特定する。次に、制御部31は、温度を縦軸(又は横軸)、ΔQ’を横軸(又は縦軸)とし、縦軸と横軸との交点に対応する分極電圧が記録された二次元マップに、算出した変化量△Q´と最高電池温度とを当てはめて分極電圧を特定する。制御部31は、この特定した分極電圧を二次電池10の分極電圧として推定する。なお、この二次元マップも記憶部4に格納されている。
【0080】
次いで、制御部31は、代表となる無負荷電圧OCVから、推定した分極電圧を減算して、代表となる電池ブロックの起電力を算出する。更に、制御部31は、温度を縦軸(又は横軸)、起電力を横軸(又は縦軸)とし、縦軸と横軸との交点に対応するSOCが記録された二次元マップに、算出された起電力と平均電池温度とを当てはめてSOCを特定し、これを第2のSOCとして推定する。なお、この二次元マップも記憶部4に格納されている。
【0081】
また、上記の例では、代表となる電池ブロックを選択してOCVの算出を行なっているが、これに限定されるものではない。たとえば、二次電池全体の無負荷電圧を算出し、これから二次電池全体の起電力を算出して、第2のSOCを推定することもできる。
【0082】
また、本実施の形態2においては、記憶部4に格納された参照マップPinpは、実施の形態1と異なり、予め選択されたSOC毎に、対応する短時間入力上限値Pinpの初期値Pinp0を特定している。同様に、記憶部4に格納された参照マップPinnは、予め選択されたSOC毎に、対応する長時間入力上限値Pinnの初期値Pinn0を特定している。また、参照マップPinpでは、SOCが同一の条件下において、短時間入力上限値Pinpの初期値Pinp0は、長時間入力上限値Pinnの初期値Pinn0よりも高い値に設定されている。
【0083】
なお、上述した点以外の点については、本実施の形態2における二次電池用の制御装置は、実施形態1における二次電池用の制御装置と同様に構成されている。
【0084】
次に、本発明の実施の形態2における二次電池の入力制御方法について図6及び図7を用いて説明する。本実施の形態2における二次電池の入力制御方法は、図5に示した本実施の形態2における二次電池用の制御装置を動作させることによって実施される。よって、以下においては、適宜図5を参照しながら、図5に示す二次電池用の制御装置の動作に基づいて説明する。
【0085】
図6は、本発明の実施の形態2における二次電池の入力制御方法を示すフロー図である。図7は、実施の形態2における、二次電池を構成する電池ブロックの端子電圧、短時間入力上限値Pinp及び長時間入力上限値Pinnの経時変化を示す図である。
【0086】
最初に図6に示すように、制御部31は、二次電池10のSOCを算出し、記憶部4に格納された参照マップPinpを用いて、算出したSOCに応じた短時間入力制限値Pinpの初期値Pinp0を設定する(ステップS21)。このとき、制御部31は、通常処理モードで処理を行っている(図7における開始から時間T1までの区間参照)。
【0087】
次に、制御部31は、電圧測定部3から出力された電圧データに基づいて、最高端子電圧Vu_maxが基準電圧V1以上となっているかどうかを判定する(ステップS22)。
【0088】
最高端子電圧Vu_maxが基準電圧V1以上となっていない場合は、短時間入力上限値Pinpを引き下げる必要がないため、制御部31は、ステップS21で設定した短時間入力上限値Pinpが特定された短時間入力情報を車両ECU20へと出力し(ステップS30)、その後、後述するステップS29を実行する。
【0089】
一方、最高端子電圧Vu_maxが基準電圧V1以上となっている場合は、短時間入力上限値Pinpを引き下げる必要があるため、制御部31は、図7における時間T1からT2の区間のように、短時間入力上限値Pinpの引き下げ処理を行う(ステップS23)。本実施の形態2において、ステップS23における引き下げ処理は、予め定められた幅(例えば、2kw)で短時間入力上限値Pinpの値を引き下げることによって行われている。
【0090】
次に、制御部31は、引き下げ処理後の短時間入力上限値Pinpが長時間入力上限値Pinnの初期値Pinn0より大きいかどうかを判定する(ステップS24)。なお、ここでいう長時間入力上限値Pinnの初期値Pinn0は、後述するステップS31で設定された値である。
【0091】
短時間入力上限値Pinpが長時間入力上限値Pinnの初期値Pinn0より大きい場合は、制御部31は、短時間入力情報を車両ECU20に出力し(ステップS25)、その後、再度ステップS22を実行する。これは、短時間入力上限値Pinpを引き下げたことにより端子電圧が下降し、基準電圧V1を下回る可能性があるためである。ステップS22〜S25は、短時間入力上限値Pinpが長時間入力上限値Pinnの初期値Pinn0よりも小さくなるか、それと同じになるまで繰り返され、短時間入力制限値Pinpは段階的に引き下げられる(図7における時間T1から時間T2の区間参照)。
【0092】
一方、短時間入力上限値Pinpが長時間入力上限値Pinnの初期値Pinn0より大きくない場合は、制御部31は、ステップS26を実行する。また、制御部31は、ステップS21〜S25及びS30の処理と平行して、ステップS31〜S34の処理も実行する。なお、ステップS31〜S34の処理は、ステップS21の実行前や、ステップS24の実行後に行うこともできる。ステップS31〜S34について以下に説明する。
【0093】
制御部31は、記憶部4に格納された参照マップPinnを参照して、算出されたSOCに応じた長時間入力制限値Pinnの初期値Pinn0を設定する。(ステップS31)。このときも、制御部31は通常処理モードで処理を行っている(図7における開始から時間T3までの区間参照)。
【0094】
次に、制御部31は、電圧測定部3から出力された電圧データに基づいて、最高端子電圧Vu_maxが基準電圧V2以上となっているかどうかを判定する(ステップS32)。実施の形態2においては、実施の形態1と異なり、基準電圧V2は、基準電圧V1よりも大きな値に設定されている。
【0095】
最高端子電圧Vu_maxが基準電圧V2以上となっていない場合は、長時間入力制限値Pinnを引き下げる必要がないため、制御部31は、ステップS31で設定した長時間入力上限値Pinnを車両ECU20へと出力し(ステップS34)。その後、後述するステップS29を実行する。
【0096】
一方、最高端子電圧Vu_maxが基準電圧V2以上である場合は、長時間入力上限値Pinnを引き下げる必要があるため、制御部31は、図7における時間T3の時点のように、長時間入力上限値Pinnの引き下げ処理を行う(ステップS33)。なお、ステップS33は、実施の形態1において図2に示したステップS13と同様に行われる。
【0097】
次に、ステップS21〜S25の処理及びステップS31〜S33の処理が終了すると、制御部31は、現時点の短時間入力上限値Pinpと長時間入力上限値Pinnとが同一の値となっているかをどうかを判定する(ステップS26)。現時点の短時間入力制限値Pinpと現時点の長時間入力制限値Pinnとが同一の値となっている場合は、制御部31は、この現時点の短時間入力上限値Pinp及び長時間入力上限値Pinnを車両ECU20に出力する(ステップS27)。
【0098】
一方、現時点の短時間入力上限値Pinpと長時間入力上限値Pinnとが同一の値でない場合は、制御部31は、短時間入力上限値Pinpを長時間入力上限値Pinnの値に再設定し(ステップS28)、その後、ステップS27の処理を実行する。
【0099】
ステップS27の終了後、制御部31は、電圧測定部3から出力した最新の電圧データに基づいて、最高端子電圧Vu_maxが制限処理解除電圧Vcancel以下となっているかどうかを判定する(ステップS29)。現在の最高端子電圧Vu_maxが制限処理解除電圧Vcancel以下となっている場合は、制御部31は処理を終了する。
【0100】
一方、最高端子電圧Vu_maxが制限処理解除電圧Vcancel以下となっていない場合は、二次電池10の入力制限を継続する必要があるため、制御部2は、再度、ステップS32から処理を実行する。これは、長時間入力上限値Pinnを引き下げたことにより、端子電圧が下降し、基準電圧V2を下回る可能性があるためである。また、この処理により、例えば、図7に示す時間T2〜T7の時点のように、長時間入力上限値Pinnが更に階段状に引き下げられると共に、短時間入力上限値Pinpも長時間入力上限値Pinnに追随するように引き下げられる。
【0101】
このように本実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、二次電池10の端子電圧が下降し、制限処理解除電圧Vcancelに到達するまで、短時間入力上限値Pinp及び長時間入力上限値Pinnの引き下げが行われる。また、制御部31は、図6に示す処理を一定周期(例えば、100ms周期)で実行している。
【0102】
以上のように本実施の形態2においても、短時間入力制限値Pinpと長時間入力制限値Pinnとの二種類の入力制限値が設けられるため、HEVの走行状態に応じて入力制限が行なわれる。また、本実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、急な制動によって短時間の間に発生した高電力を、過充電とならない範囲内で、二次電池の充電に利用できる。よって、本実施の形態2においても、従来に比べて、エネルギーの回収効率を高めることができ、HEVの燃費の向上を図ることができる。
【0103】
更に、本実施の形態2においては、実施の形態1と異なり、二次電池10(電池ブロック)の端子電圧が基準値まで上昇すると、先ず、短時間入力上限値Pinpが段階的に引き下げられ、その後に、長時間入力上限値Pinnが引き下げられる(図7参照)。このため、実施の形態1に比べて、エネルギーの回収効率を更に向上させることができる。
【0104】
また、本実施の形態2においては、ステップS22〜ステップS25の繰り返し処理に、一定の制限を設けることもできる。具体的には、最高端子電圧Vu_maxが、基準電圧V2や、基準電圧V1と基準電圧V2との間の値まで、急激に上昇した場合に、ステップS23〜ステップS25の繰り返し処理を終了し、強制的にステップS26の処理を実行する態様とすることもできる。
【0105】
この態様とすれば、最高端子電圧Vu_maxが、急激に上昇した場合は、短時間入力制限値Pinpは一気に長時間入力制限値Pinnと同じ大きさまで引き下げられる。この結果、過充電になるのを効果的に抑制できる。
【0106】
また、本実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、制御部31は、図6に示す処理を一定周期で行っているが、本実施の形態2はこれに限定されるものではない。本実施の形態2においても、制御部31は、二次電池10(電池ブロック)の端子電圧が基準電圧まで上昇した場合にのみ図6に示す処理を実施する態様とすることもできる。
【0107】
更に、本発明の形態2における二次電池用の制御装置も、電池ECUを構成するマイクロコンピュータに、図6に示す各種処理を具現化させるプログラムをインストールし、このプログラムを実行することによって、実現することができる。この場合も、マイクロコンピュータのCPU(central Processing unit)が制御部31として機能する。また、電圧センサの接続回路とCPUとが電圧測定部3として、電流センサの接続回路とCPUとが電流測定部32として、温度センサ6の接続回路とCPUとが温度測定部5として機能する。更に、マイクロコンピュータが備える各種メモリが記憶部4として機能する。
【0108】
また、本実施の形態2においても、二次電池用の制御装置30は、車両ECU20を構成するマイクロコンピュータに、図6に示す各種処理を具現化させるプログラムをイオンストールし、このプログラムを実行することによって、実現することができる。
【0109】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3における二次電池用の制御装置および二次電池の入力制御方法について、図8〜図10を参照しながら説明する。最初に、本実施の形態3における二次電池用の制御装置の構成について図8を参照にしながら説明する。図8は、本発明の実施の形態3における二次電池用の制御装置の概略構成を示す構成図である。図8において、図1に示された符号と同符号が付された部分は、図1において同符号が付された部分と同一のものである。
【0110】
図8に示すように、本実施の形態3においては、実施の形態1及び2と異なり、二次電池10は、発電装置40と組み合わされて電源システムを構成している。二次電池10は、実施の形態1及び2で用いられている二次電池と同様のものである。発電装置40としては、具体的には、太陽光発電装置(太陽電池)、燃料電池、風力発電装置、水力発電装置、ガスタービンエンジンといった内燃機関を備えた火力発電装置等が挙げられる。
【0111】
図8に示す電源システムにおいては、発電装置40が出力した電力のうち負荷42に対して余剰となる分が、充放電制御装置41を介して二次電池10に入力され、これにより二次電池10の充電が行われる。また、負荷42の消費電力が急激に増大し、負荷42が要求する電力が発電装置40の出力を超えると、二次電池10から不足の電力が充放電制御装置41を介して負荷42に供給される。
【0112】
また、図8に示す電源システムにおいても。HEVと同様に、通常二次電池10のSOCが20〜80%程度の範囲で推移するように制御が行われている(背景技術の欄参照)。具体的には、本実施の形態3における二次電池用の制御装置44は、実施の形態2と同様に、二次電池10のSOCを算出し、算出したSOCを特定する情報を充放電制御装置41に出力している。充放電制御装置41は、出力された情報に基づいて、二次電池10のSOCが上記の範囲内に収まるよう二次電池10の充放電を制御している。
【0113】
また、図8に示すように、本実施の形態3においても二次電池用の制御装置44は、実施の形態1及び2で示した例と同様に、電圧測定部3、温度測定部5、記憶部4及び制御部45とを備えている。更に二次電池用の制御装置44は、実施の形態2で示した例と同様に、電流測定部32も備えている。また、制御部45は、実施の形態1及び2で示した制御部と同様に、設定時間内に二次電池10に入力可能な充電電力の上限を規定する入力上限値を設定する。
【0114】
但し,本実施の形態3においては、実施の形態1及び2と異なり、制御部45は、超短時間入力上限値Pinsと、短時間入力上限値Pinpと、長時間入力上限値Pinnとの3種類の上限値を設定する。なお、設定された超短時間入力上限値Pinsと、短時間入力上限値Pinpと、長時間入力上限値Pinnは、それぞれ、超短時間入力情報、短時間入力情報及び長時間入力情報として記憶部4に格納される。
【0115】
また、本実施の形態3においては、制御部45は、充放電制御装置41に、超短時間入力情報、短時間入力情報及び長時間入力情報を出力する。充放電制御装置41は、制御部45から、超短時間入力情報、短時間入力情報及び長時間入力情報を受け取ると、これら情報によって特定される上限値を超えない範囲で、二次電池10に充電用の電力を供給する。
【0116】
超短時間入力上限値Pinsは、第1の時間内、例えば1秒以下といった極めて短い時間の間に二次電池10に入力可能な充電電力の上限を規定している。つまり、超短時間入力上限値Pinsは、充放電制御装置41から瞬間的に高い充電電力が入力された場合において、二次電池10の充電電力を制限している。
【0117】
短時間入力上限値Pinpは、例えば2秒前後といった短い時間の間に二次電池10に入力可能な充電電力の上限を規定している。短時間入力上限値Pinpは、例えば、発電装置40から負荷42への電力供給が短時間の間停止され、その間に発生した余剰の電力が二次電池10に入力される場合等において、二次電池10の充電電力を制限している。
【0118】
長時間入力上限値Pinnは、例えば10秒程度といった比較的長時間の間に二次電池10に入力可能な充電電力の上限を規定している。長時間入力上限値Pinnは、例えば、負荷42が定常動作の状態にある場合において、余剰の電力が二次電池10に入力されるときに、二次電池10の充電電力を制限している。
【0119】
また、本実施の形態1及び2の例と同様に、制御部45は、制限処理モードと通常処理モードとを備えているが、本実施の形態3においては、制限処理モードにおいて、超短時間入力制限値Pinsについても引き下げ処理を行う。
【0120】
具体的には、制限処理モードにおいては、制御部45は、最高端子電圧Vu_maxが基準電圧V1まで上昇すると、超短時間入力上限値Pinsを再設定して、その引き下げを行う。また、制御部45は、最高端子電圧Vu_maxが基準電圧V2まで上昇すると、短時間入力上限値Pinpを再設定して、その引き下げを行う。更に、最高端子電圧Vu_maxが基準電圧V3まで上昇すると、長時間入力上限値Pinnを再設定して、その引き下げを行う。また、制御部45は、引き下げを行った後は、引き下げが行われた入力上限値について入力情報の内容の書き換えを行うと共に、引き下げ後の入力上限値を特定する入力情報を充放電制御装置41に出力する。
【0121】
通常処理モードにおいては、制御部45は、短時間入力上限値Pinp及び長時間入力上限値Pinnに加えて、超短時間入力上限値Pinsについても、初期値Pins0を設定し、これを充放電制御装置41に超短時間入力情報として出力する。超短時間入力上限値Pinsの初期値Pins0も記憶部4に格納されている。
【0122】
また、このとき、制御部45は、超短時間入力上限値Pinsの設定も、温度測定部5が出力した温度データに応じて行う。これは、超短時間入力上限値Pinsも、短時間入力上限値Pinp及び長時間入力上限値Pinnと同様に、電池温度に応じて変化するからである(図4参照)。本実施の形態3においては、記憶部4には、予め選択された電池温度毎に、対応する超短時間入力上限値Pinsの初期値Pins0が特定されたマップ(参照マップPins)も格納されている。
【0123】
また、本実施の形態3においては、超短時間入力上限値Pinsの引き下げのトリガとなる基準電圧V1、短時間入力上限値Pinpの引き下げのトリガとなる基準電圧V2、長時間入力上限値Pinnの引き下げのトリガとなり基準電圧V3は、同一の値に設定されている。更に、制御部45は、電池ブロックの最高端子電圧Vu_maxが、制限処理解除電圧Vcancelまで低下したときは、制限処理モードを解除し、通常処理モードへと復帰する。
【0124】
但し、本実施の形態3は、実施の形態1と同様に、基準電圧V1、基準電圧V2及び基準電圧V3が同一の値に設定されている例に限定されるものではない。本実施の形態3においては、基準電圧V1は基準電圧V2よりも小さな値に設定されていても良いし、基準電圧V2は基準電圧V3よりも小さな値に設定されていても良い。この場合も、過充電を抑制することができる。
【0125】
更に、本実施の形態3においては、記憶部4には、温度とその温度に最適な基準電圧V1、基準電圧V2及び基準電圧V3とを示すマップが格納されている。制御部45は、温度データに基づいて平均電池温度を算出し、これをマップに当てはめて、基準電圧V1、基準電圧V2及び基準電圧V3を設定している。このマップは、予め行われた充電実験の結果を用いて、二次電池10の性能や負荷を考慮して作成される。また、記憶部4には、制限処理解除電圧Vcancelの値も格納されている。
【0126】
次に、本発明の実施の形態3における二次電池の入力制御方法について図9及び図10を用いて説明する。本実施例の形態3における入力制御方法は、図8に示した本実施の形態3における制御装置を動作させることによって実施される。よって、以下においては、適宜図8を参照しながら、図8に示す二次電池用の制御装置の動作に基づいて説明する。
【0127】
図9は、本発明の実施の形態3における入力制御方法を示すフロー図である。図10は、実施の形態3における、二次電池を構成する電池ブロックの端子電圧、超短時間入力上限値Pins及び短時間入力上限値Pinp及び長時間入力上限値Pinnの経時変化を示す図である。
【0128】
最初に、図9に示すように、制御部45は、温度測定部5から出力された温度データに基づいて二次電池10の平均電池温度を算出し、算出した平均電池温度に応じて、超短時間入力上限値Pinsの初期値Pins0を設定する(ステップS51)。この時、制御部45は通常処理モードで処理を行っている。本実施例の形態3においては、制御部45は、上述したように、記憶部4に格納されている参照マップPinsを参照して、平均電池温度に応じた超短時間入力上限値Pinsの初期値Pins0を抽出し、抽出した値を設定値として用いている。
【0129】
なお、参照マップPinsでは、電池温度が同一の条件下において、超短時間入力上限値Pinsの初期値Pins0は、短時間入力上限値Pinpの初期値Pinp0よりも高い値に設定されている。これは、瞬間的に発生する電力ほど値が大きく、又過充電とならない範囲内で可能な限り多くの電力を二次電池10に入力するためである。
【0130】
次に、制御部45は、電圧測定部3から出力された電圧データに基づいて、最高端子電圧Vu_maxが基準電圧V1以上となっていないかどうかを判定する(ステップS52)。最高端子電圧Vu_maxが基準電圧V1以上となっていない場合は、超短時間入力上限値Pinsを引き下げる必要がないため、制御部45は、ステップS51で設定した超短時間入力上限値Pinsが特定された超短時間情報を充放電制御装置41へと出力する(ステップS58)。その後、制御部45は、後述のステップS56を実行する。
【0131】
一方、最高端子電圧Vu_maxが基準電圧V1以上である場合は、超短時間入力上限値Pinsを引き下げる必要があるため、制御部45は、制限処理モードに移行して、超短時間入力上限値Pinsの引き下げ処理を行う。この場合、図10の時間T1の時点のように、制御部45は、超短時間入力上限値Pinsの値を引き下げ、電池温度に応じた長時間入力上限値Pinnの初期値Pinn0と同じ値に再設定する。(ステップS53)。また、このとき、制御部45は、超短時間入力情報の書き換えも行う。
【0132】
また、制御部45は、ステップS51〜S53、及びS58の処理と平行して、ステップS61〜S66、及びS71〜S74の処理も実行する。なお、ステップS61〜S66、及びステップS71〜S74の処理は、ステップステップS51の実行前や、ステップS53の実行後に行うこともできる。
【0133】
以下、ステップS61〜S66、及びステップS71〜S74の処理について説明する。但し、説明は、ステップS61〜S66の処理、ステップS71〜S74の処理、ステップS65及びS66の処理の順で行う。
【0134】
先ず、制御部45は、平均電池温度に応じて、短時間入力上限値Pinpの初期値Pinp0を設定する(ステップS61)。ステップS61は、実施の形態1において図1に示したステップS1と同様に、参照マップPinpを用いて行われる。次に、制御部45は、電圧測定部3から出力された電圧データに基づいて、最高端子電圧Vu_maxが基準電圧V2以上となっているかどうかを判断する(ステップS62)。
【0135】
最高端子電圧Vu_maxが基準電圧V2以上となっていない場合は、制御部45は、ステップS61で設定した短時間入力上限値Pinpが特定された短時間入力情報を充放電制御装置41へと出力し(ステップS64、その後、後述のステップS56を実行する。一方、最高端子電圧Vu_maxが基準電圧V2以上である場合は、実施の形態1において図2に示したステップ3と同様に、図10の時間T1の時点のように、制御部45は、制限処理モードに移行して、短時間入力上限値Pinpの引き下げ処理を行う(ステップS63)。
【0136】
次に、ステップS71〜S74の処理について説明する。制御部45は、長時間入力上限値Pinnの初期値Pinn0を設定する(ステップS71)。ステップS71は、実施の形態1において図2に示したステップS11と同様に、参照マップPinnを用いて行われる。次に、制御部45は、電圧測定部3から出力された電圧データに基づいて、最高端子電圧Vu_maxが基準電圧V3以上となっているかどうかを判断する(ステップS72)。
【0137】
最高端子電圧Vu_maxが基準電圧V3以上となっていない場合は、制御部45は、ステップS71で設定した長時間入力上限値Pinnが特定された長時間入力情報を充放電制御装置41へと出力し(ステップS74)、その後、後述のステップS56を実行する。一方、最高端子電圧Vu_maxが基準電圧V3以上である場合は、実施の形態1において図2に示したステップS13と同様に、図10の時間T1の時点のように、制御部45は、制限処理モードに移行して、長時間入力上限値Pinnの引き下げ処理を行う(ステップS73)。
【0138】
なお、本実施の形態3においても、実施の形態1と同様に、長時間入力上限値Pinnの1回目の引き下げ処理における引き下げ幅は、二次電池10の性能や電圧の上昇速度に応じて適宜設定され、特に限定されるものではない。更に、後述する2回目以降の引き下げ処理における引き下げ幅も、二次電池10の性能や電圧の上昇速度等に応じて適宜設定され、特に限定されるものではない。
【0139】
次に、ステップS61〜S64の処理及びステップS71〜S74の処理が終了すると、制御部45は、現時点(最新)の短時間入力上限値Pinpと現時点(最新)の長時間入力上限値pinnとが同一の値となっているかどうかを判定する(ステップS65)。現時点の短時間入力上限値Pinpと現時点の長時間入力上限値Pinnとが同一になっている場合は、制御部45は、後述するステップS54を実行する。
【0140】
一方、現時点の短時間入力上限値Pinpと現時点の長時間入力上限値Pinnとが同一の値でない場合は、制御部45は、短時間入力上限値Pinpの値を長時間入力上限値Pinnの値に再設定する。(ステップS66)。図10に示すT1の時点では、短時間入力上限値Pinpは、ステップS33により長時間入力上限値Pinnの初期値Pinn0まで引き下げられた後、更に、ステップS65により、引き下げられた後の現在の長時間入力上限値Pinnまで引き下げられる。この後、制御部45は後述するステップS54を実行する。
【0141】
次に、ステップS65及びS66の処理が終了すると、制御部45は、現時点の超短時間入力上限値Pinsと現時点の長時間入力上限値Pinnとが同一の値となっているかどうかを判定する(ステップS54)。
【0142】
現時点の超短時間入力上限値Pinsと長時間入力上限値Pinnとが同一の値となっている場合は、制御部45は、現時点における超短時間入力上限値Pins、短時間入力上限値Pinp、長時間入力上限値Pinnを充放電制御装置41へ出力する(ステップS55)。
【0143】
一方、現時点の超短時間入力上限値Pinsと現時点の長時間入力上限値Pinnとが同一の値でない場合は、制御部45は、超短時間入力上限値Pinsの値を長時間入力上限値Pinnの値に再設定する。(ステップS57)。
【0144】
図10に示すT1の時点では、超短時間入力上限値Pinsは、ステップS53により長時間入力上限値Pinnの初期値Pinn0まで引き下げられた後、更に、ステップS57により、引き下げられた後の現在の長時間入力上限値Pinnまで引き下げられる。この後、制御部45は、短時間入力上限値Pinp及び長時間入力上限値Pinnと共に、再設定された超短期入力上限値Pinsを充放電制御装置41に出力する(ステップS55)。
【0145】
ステップS55の終了後、制御部45は、電圧測定部3から出力した最新の電圧データに基づいて、現在の最高端子電圧Vu_maxが制限処理解除電圧Vcancel以下となっているかどうかを判定する(ステップS56)。現在の最高端子電圧Vu_maxが制限処理解除電圧Vcancel以下となっている場合は、制御部45は処理を終了する。
【0146】
一方、現在の最高端子電圧Vu_maxが制限処理解除電圧Vcancel以下となっていない場合は、二次電池10の入力制限を継続する必要があるため、制御部45は、再度、ステップS72からの処理を実行する。これは、実施の形態1と同様に、長時間入力制限値Pinnを引き下げたことにより、二次電池10の端子電圧が低下し、基準電圧V3を下回る可能性があるためである。
【0147】
但し、最高端子電圧Vu_maxが基準電圧V3を下回っていない場合や、下回ってもすぐに上昇する場合は、例えば、図3に示す時間T2〜T5の時点のように、長時間入力上限値Pinnが更に階段状に引き下げられると共に、超短時間入力上限値Pins、短時間入力上限値Pinpも長時間入力上限値Pinnに追随するように引き下げられる。
【0148】
このように、本実施の形態3においては、二次電池10の端子電圧が下降し、制限処理解除電圧Vcancelに到達するまで、超短時間入力上限値Pins、短時間入力上限値Pinp及び長時間入力上限値Pinnの引き下げが行われる。また、制御部45は、図9に示す処理を一定周期(例えば、100ms周期)で実行している。但し、本実施の形態3も、二次電池10(電池ブロック)の端子電圧が基準電圧まで上昇した場合にのみ、制御部45によって図9に示す処理が実行される態様とすることもできる。
【0149】
以上のように本実施の形態3においては、3つの入力制限値が設けられ、負荷42の状況に応じて、入力制限が行なわれる。また、本実施の形態3においては、短時間の間に発生した高電力を、過充電とならない範囲内で、二次電池の充電に利用できる。よって、本実施の形態3においても、実施の形態1及び2と同様に、エネルギーの回収効率を高めることができる。
【0150】
また、本実施の形態3における二次電池用の制御装置44も、電池ECUを構成するマイクロコンピュータに、図9に示す各種処理を具現化させるプログラムをインストールし、このプログラムを実行することによって、実現することができる。この場合、マイクロコンピュータのCPU(central processing unit)が制御部45として機能する。また、二次電池との接続回路とCPUとが電圧測定部3として、電流センサの接続回路とCPUとが電流測定部32として、温度センサ6の接続回路とCPUとが温度測定部5として機能する。更に、マイクロコンピュータが備える各種メモリが記憶部4として機能する。
【0151】
更に、本実施の形態3においては、充放電制御装置41が、二次電池用の制御装置44として機能する態様も考えられる。この態様においては、本実施の形態3における二次電池用の制御装置44は、充放電制御装置41を構成するマイクロコンピュータに、図9に示す各種処理を具現化させるプログラムをインストールし、このプログラムを実行することによって、実現することが可能である。
【0152】
また、本実施の形態1〜3は、グループ毎に測定された電池温度の中から最小または最高の電池温度を特定し、これを用いて処理を行う態様であってもよい。更に、本実施の形態1〜3は、電池ブロックの平均の端子電圧や、電池パック全体の端子電圧を算出し、これらを用いて処理を行う態様であってもよい。
【0153】
実施の形態1〜3においては、入力上限値は、電池温度及びSOCのいずれかに応じて設定されているが、これに限定されるものではなく、電池温度及びSOCの両方に応じて設定されても良い。この場合は、参照マップPins、参照マップPinp、及び参照マップPinnとして、縦軸(又は横軸)を電池温度、横軸(又は縦軸)をSOCとし、縦軸と横軸との交点に最適な上限値が記録された二次元マップが用いられる。
【0154】
また、実施の形態1及び2においては、二つの上限値が設定され、実施の形態3においては、三つの上限値が設定されているが、本発明においては、四つ以上の上限値を設定する態様としても良い。さらに本発明において、基準電圧は、設定された入力上限値の数をnとし、入力上限値毎の基準電圧を、対応する入力上限値の値が高いものから順にV1、V2、・・・、Vnとしたときに、V1≦V2≦・・・≦Vnとなるように設定されていてれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明における二次電池用の制御装置及び二次電池の入力制御方法は、燃料電池や太陽電池、及び発電機といった独立型電源と、二次電池とを組み合わせた電源システムに有効である。本発明における二次電池用の制御装置及び二次電池の入力制御方法は、産業上の利用可能性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】本発明の実施の形態1における二次電池用の制御装置の概略構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1における入力制御方法を示すフロー図である。
【図3】実施の形態1における、二次電池を構成する電池ブロックの端子電圧、短時間入力制限値Pinp及び長時間入力制限値Pinnの経時変化を示す図である。
【図4】短時間入力制限値Pinp及び長時間入力制限値Pinnと温度との関係を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態2における二次電池用の制御装置の構成概略を示す構成図である。
【図6】本発明の実施の形態2における二次電池の入力制御方法を示すフロー図である。
【図7】実施の形態2における、二次電池を構成する電池ブロックの端子電圧、短時間入力上限値Pinp及び長時間入力上限値Pinnの経時変化を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態3における二次電池用の制御装置の概略構成を示す構成図である。
【図9】本発明の実施の形態3における入力制御方法を示すフロー図である。
【図10】実施の形態3における、二次電池を構成する電池ブロックの端子電圧、超短時間入力上限値Pins及び短時間入力上限値Pinp及び長時間入力上限値Pinnの経時変化を示す図である。
【符号の説明】
【0157】
1、30、44 二次電池用の制御装置
2、31、45 制御部
3 電圧測定部
4 記憶部
5 温度測定部
6 温度センサ
10 二次電池
20 車両ECU
32 電流測定部
40 発電装置
41 充放電制御装置
42 負荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池の入力を制御するための制御装置であって、
前記二次電池の端子電圧を測定する電圧測定部と、設定時間内に前記二次電池に入力可能な充電電力の上限を規定する入力上限値を、前記設定時間を異ならせ、且つ前記設定時間が長いほど値が低くなるように複数個設定し、前記二次電池を使用する機器に、設定した複数個の前記入力上限値を出力する制御部とを備え、
前記制御部は、複数個の前記入力上限値毎に基準電圧を設定し、前記電圧測定部が測定した端子電圧がいずれかの基準電圧まで上昇した場合に、対応する前記入力上限値の値を引き下げ、
前記入力上限値毎の前記基準電圧は、設定された入力上限値の数をnとし、前記入力上限値毎の基準電圧を、対応する前記入力上限値の値が高いものから順にV1、V2、・・・、Vnとしたときに、V1≦V2≦・・・≦Vnとなるように設定されていることを特徴とする二次電池用の制御装置。
【請求項2】
前記二次電池が、内燃機関と発電機とを備える車両に搭載され、前記発電機によって発生した電力によって充電される請求項1に記載の二次電池用の制御装置。
【請求項3】
前記制御部が、前記入力上限値として、第1の時間内に前記二次電池に入力可能な充電電力の上限を規定する短時間入力上限値と、前記第1の時間よりも長い第2の時間内に前記二次電池に入力可能な充電電力の上限を規定する長時間入力上限値とを設定し、前記短時間入力上限値に対応する前記基準電圧として、第1の基準電圧V1を設定し、前記長時間入力上限値に対応する前記基準電圧として、前記第1の基準電圧V1以上の第2の基準電圧V2を設定する請求項1または2に記載の二次電池用の制御装置。
【請求項4】
前記制御部が、前記短時間入力上限値の初期値を、前記長時間入力上限値の初期値よりも大きな値に設定し、前記電圧測定部が測定した端子電圧が、前記第1の基準電圧V1にまで上昇した場合に、前記短時間入力上限値を前記長時間入力上限値と同じ大きさに再設定する請求項3記載の二次電池用の制御装置。
【請求項5】
前記制御部が、前記短時間入力上限値の初期値を、前記長時間入力上限値の初期値よりも大きな値に設定し、前記電圧測定部が測定した端子電圧が、前記第1の基準電圧V1にまで上昇した場合に、前記短時間入力上限値を段階的に引き下げる請求項3記載の二次電池用の制御装置。
【請求項6】
前記制御部が、前記電圧測定部が測定した端子電圧が前記第2の基準電圧V2に到達したときに、又は到達するまでに、前記短時間入力上限値を前記長時間入力上限値と同じ大きさに再設定する請求項5に記載の二次電池用の制御装置。
【請求項7】
前記二次電池の温度を測定する温度測定部を備え、
前記制御部が、前記温度測定部で測定した温度に応じて、前記複数個の入力上限値を設定する請求項1に記載の二次電池用の制御装置。
【請求項8】
前記制御部が、前記二次電池の残存容量を算出し、算出した残存容量に応じて、前記複数個の入力上限値を設定する請求項1に記載の二次電池用の制御装置。
【請求項9】
前記二次電池が、複数個の単電池を電気的に直列に接続して構成された電池ブロックを、更に複数個電気的に直列に接続して構成されており、
前記電圧測定部が、前記複数個の電池ブロックそれぞれの端子電圧を測定し、
前記制御部が、前記電圧測定部によって測定された前記複数個の電池ブロックそれぞれの端子電圧のうち、最も大きい端子電圧が前記第1の基準電圧V1まで上昇した場合に、前記短時間入力上限値を引き下げ、前記最も大きい端子電圧が前記第2の基準電圧V2まで上昇した場合に、前記長時間入力上限値を引き下げる請求項3〜6のいずれか記載の二次電池用の制御装置。
【請求項10】
二次電池の入力を制御するための入力制御方法であって、
(a)前記二次電池の端子電圧を測定する工程と、
(b)設定時間内に前記二次電池に入力可能な充電電力の上限を規定する入力上限値を、前記設定時間を異ならせ、且つ前記設定時間が長いほど値が低くなるように複数個設定する工程と、
(c)複数個の前記入力上限値毎に基準電圧を設定する工程と、
(d)前記(a)の工程で測定した端子電圧がいずれかの基準電圧まで上昇した場合に、対応する前記入力上限値の値を再設定し、これを引き下げる工程とを有し、
前記(c)の工程において、前記入力上限値毎の前記基準電圧の設定は、設定された入力上限値の数をnとし、前記入力上限値毎の前記基準電圧を、対応する前記入力上限値の値が高いものから順にV1、V2、・・・、Vnとしたときに、V1≦V2≦・・・≦Vnとなるように行われていることを特徴とする二次電池の入力制御方法
【請求項11】
前記二次電池が、内燃機関と発電機とを備える車両に搭載され、前記発電機によって発生した電力によって充電される請求項10に記載の二次電池の入力制御方法。
【請求項12】
前記(b)の工程において、前記入力上限値として、第1の時間内に前記二次電池に入力可能な充電電力の上限を規定する短時間入力上限値と、前記第1の時間よりも長い第2の時間内に前記二次電池が入力可能な充電電力の上限値を規定する長時間入力上限値とを設定し、
前記(c)の工程において、前記短時間入力上限値に対応する前記基準電圧として、第1の基準電圧V1を設定し、前記長時間入力上限値に対応する前期基準電圧として、前記第1の基準電圧V1以上の第2の基準電圧V2を設定する請求項10または11に記載の二次電池の入力制御方法。
【請求項13】
二次電池の入力を制御するための入力制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記プログラムは、
(a)前記二次電池の端子電圧を測定するステップと、
(b)設定時間内に前記二次電池に入力可能な充電電力の上限を規定する入力上限値を、前記設定時間を異ならせ、且つ前記設定時間が長いほど値が低くなるように複数個設定するステップと、
(c)複数個の前記入力上限値毎に基準電圧を設定するステップと、
(d)前記(a)のステップで測定した端子電圧が、いずれかの基準電圧まで上昇した場合に、対応する前記入力上限値の値を再設定し、これを引き下げるステップとをコンピュータに実行させ、
前記(c)のステップにおいて、前記入力上限値毎の前記基準電圧の設定は、設定された入力上限値の数をnとし、前記入力上限値毎の前記基準電圧を、対応する前記入力上限値の値が高いものから順にV1、V2、・・・、Vnとしたときに、V1≦V2≦・・・≦Vnとなるように行われることを特徴とするコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
前記二次電池が、内燃機関と発電機とを備える車両に搭載され、前記発電機によって発生した電力によって充電される請求項13に記載のプログラム。
【請求項15】
前記(b)のステップにおいて、前記入力上限値として、第1の時間内に前記二次電池に入力可能な充電電力の上限を規定する短時間入力上限値と、前記第1の時間よりも長い第2の時間内に前記二次電池が入力可能な充電電力の上限値を規定する長時間入力上限値とを設定し、
前記(c)のステップにおいて、前記短時間入力上限値に対応する前記基準電圧として、第1の基準電圧V1を設定し、前記長時間入力上限値に対応する前期基準電圧として、前記第1の基準電圧V1以上の第2の基準電圧V2を設定する請求項13または14に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−159248(P2007−159248A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−350034(P2005−350034)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(399107063)パナソニック・イーブイ・エナジー株式会社 (193)
【Fターム(参考)】