説明

二液硬化型接着剤用接着装置、及び該装置を用いた物品の接着方法

【課題】第一液と第二液とからなる二液硬化型接着剤を用いて二つの物品を接着する際に、第一液を一方の物品の接着面に、第二液を他方の物品の接着面に、効率よく塗布し接着することのできる接着装置の提供。
【解決手段】 第一液を貯留する第一容器と、第二液を貯留する第二容器と、前記第一液を浸潤し得る第一塗布体と、前記第二液を浸潤し得る第二塗布体と、第一塗布体及び第二塗布体を支持する支持体と、第一容器内に貯留された第一液を第一塗布体に送り出す第一チューブと、前記第二容器内に貯留された第二液を第二塗布体に送り出す第二チューブと、第一塗布体に一方の物品の接着面を押圧し接離自在とする第一物品把持体と、第二塗布体に他方の物品の接着面を押圧し接離自在とする第二物品把持体とからなることを特徴とする二液硬化型接着剤用接着装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、第一液と第二液とからなる二液硬化型接着剤を用いて二つの物品を接着する際に、第一液を一方の物品の接着面に、第二液を他方の物品の接着面に、効率よく塗布し接着することのできる接着装置、及び該装置を用いた物品の接着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二液硬化型接着剤は第一液と第二液とが反応することによって硬化が始まり、物品を接着する。このような二液硬化型接着剤を用いて二つの物品を接着する場合、1)接着剤を塗布する直前に第一液と第二液とを混合し、該混合物を少なくとも一方の物品の接着面に塗布した後、接着面同士を重ね合せ接着する方法、2)一方の物品の接着面に第一液、他方の物品の接着面に第二液を塗布した後、接着面同士を重ね合せ接着する方法、のいずれかの方法が採用されている。
【0003】
上記1)の方法は、接着剤を一方の物品の接着面に塗布するだけでも接着が可能であり、接着剤の塗布作業を簡素化することができる。しかしながら第一液と第二液とを混合してから物品を接着するまでの時間が、可使時間(ポットライフ)を越えないように絶えず留意する必要があった。また一旦混合した接着剤は硬化反応が開始しているので、使い残りが生じてもこれを保存して再利用することはできなかった。
一方、上記2)の方法は接着剤を塗布する前に混合しないため、使い残した接着剤は保存して再度利用することができる。しかしながら異なる種類の接着剤を異なる物品の接着面に、ほぼ同じタイミングで塗布する必要があり、該作業が非常に煩わしいものであった。そして、現在は手作業によって行われることが一般的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、第一液と第二液とからなる二液硬化型接着剤を用いて二つの物品を接着する際に、第一液を一方の物品の接着面に、第二液を他方の物品の接着面に、効率よく塗布し接着することのできる接着装置、及び該装置を用いた物品の接着方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によると上記課題を解決するための手段として、
第一液を貯留する第一容器と、第二液を貯留する第二容器と、前記第一液を浸潤し得る第一塗布体と、前記第二液を浸潤し得る第二塗布体と、第一塗布体及び第二塗布体を支持する支持体と、第一容器内に貯留された第一液を第一塗布体に送り出す第一チューブと、前記第二容器内に貯留された第二液を第二塗布体に送り出す第二チューブと、第一塗布体に一方の物品の接着面を押圧し接離自在とする第一物品把持体と、第二塗布体に他方の物品の接着面を押圧し接離自在とする第二物品把持体とからなることを特徴とする二液硬化型接着剤用接着装置が提供される。
また、前記第一物品把持体及び/又は前記第二物品把持体は、回動可能であることを特徴とする前記接着装置が提供される。
【0006】
更に、上記接着装置を用いた物品の接着方法であって、第一容器から第一液を第一塗布体に供給し、第二容器から第二液を第二塗布体に供給し、各塗布体に各液を浸潤させた後、第一物品把持体に把持される一方の物品の接着面を第一塗布体に、第二物品把持体に把持される他方の物品の接着面を第二塗布体に押圧し、各物品の接着面に各液を付着させ、次いで、一旦各物品を各塗布体から引き離し、一方の物品及び/又は他方の物品を移動させ、一方の物品の接着面と他方の物品の接着面とを重ね合わせることを特徴とする二液硬化型接着剤を用いた物品の接着方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の接着装置、及び接着方法を用いると、きわめて簡単に二液硬化型接着剤の第一液と第二液とを異なる物品の接着面に塗布することができ、物品の接着作業を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の接着装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明を説明する。図1は本発明の接着装置の一実施形態の模式図である。本発明の接着装置1は、第一液を貯留する第一容器21、第二液を貯留する第二容器22、第一容器から供給された第一液が浸潤する第一塗布体31、前記第二容器から供給された第二液が浸潤する第二塗布体32、第一塗布体と第二塗布体とを支持する支持体4、第一液を第一容器から第一塗布体へ送り出す第一チューブ51、第二液を第二容器から第二塗布体へ送り出す第二チューブ52、一方の物品を把持する第一物品把持体61と、他方の物品を把持する第二物品把持体62とからなる。
【0010】
本発明の接着装置に用いられる第一容器21、第二容器22は、二液硬化型接着剤の第一液、第二液を安定な状態で貯留できる容器であり、例えばプラスチック製のタンク、ステンレス製のタンク、ガラス瓶等からなる。また第一容器21は第一チューブ51を介して第一液を第一塗布体31に供給し、第二容器22は第二チューブ52を介して第二液を第二塗布体32に供給する。尚、各容器21、22を各塗布体31、32よりも上方に配置しておけば、第一液及び第二液は重力によって自然に各塗布体31、32へ供給されるが、必要であればポンプ等を用いて送り出しても良い。また、各塗布体31、32は後述するように必要に応じて上下動するが、各液の安定性を考慮すると各容器21、22は固定され、各塗布体31、32と連動して上下動しない方が好ましい。この場合、第一チューブ51及び第二チューブ52には可撓性が必要である。
また第一塗布体31と第二塗布体32は、第一液または第二液を浸潤でき、各物品の接着面が押し付けられる。このような第一塗布体31、第二塗布体32は、例えば連続気泡を有するスポンジ等から成形し、プラスチック、ステンレス等からなる支持体4の片面に第一塗布体31、他面に第二塗布体32を貼り合わせて構成するとよい。
第一物品把持体61及び第二物品把持体62はそれぞれ、接着する物品を把持するものであり、各物品を接着面が向かい合う状態に把持することができ、更に把持した状態で物品を各塗布体31、32に押圧することができ、更には各物品の接着面同士を重ね合わせることができる。
【0011】
尚、各物品の接着面同士を重ね合わせる際に、接着面間に各塗布体31、32があると、これが邪魔をして接着面の重ね合わせができない。そこで接着面を重ね合わせる前に、(1)各塗布体31、32を引き上げる、或いは、(2)第一物品把持体61及び第二物品把持体62を動かして、接着面間に塗布体31、32が位置しないようにするとよい。
(1)各塗布体31、32を引き上げるには、支持体4をエアシリンダー等の駆動体7に接続しておけばよい。尚、図1では支持体4の上方に駆動体7が位置しているが、下方に駆動体7が位置していてもよい。
また(2)第一物品把持体61及び第二物品把持体62を動かして、接着面間に塗布体31、32が位置しないようにするには、例えば各物品把持体61、62を一旦下方等に移動させた後、接着面が重なるように第一物品把持体61及び/又は第二物品把持体62を移動させればよい。この場合、各容器21、22のみならず、各塗布体31、32も固定することができる。また、第一液と第二液を混合し、硬化時間を短縮させるためには、各物品の接着面同士を重ね合わせた後、第一物品把持体61と第二物品把持体62の少なくとも一方を回転させる等して接着面を擦り合わせることが好ましい。
【0012】
次に本発明の接着装置1を用いた物品の接着方法について説明する。まず、第一物品把持体61に一方の物品Xを、第二物品把持体62に他方の物品Yを把持させ、第一容器21に第一液を、第二容器22に第二液を貯留し、第一チューブ51を介して第一液を第一塗布体31に、第二チューブ52を介して第二液を第二塗布体32に供給する。
次いで第一物品把持部61及び第二物品把持部62を移動させ、一方の物品Xの接着面を第一塗布体31に、他方の物品Yの接着面を第二塗布体32に押圧し、各接着面に各液を付着させる。
最後に、各物品を各塗布体から引き離し、塗布体31、32を退避させ、もしくは、第一物品把持体61及び第二物品把持体62を動かし、各物品の接着面間に塗布体31、32が位置しないようにし、更に前記第一物品把持部61及び/又は第二物品把持部62を移動させて、各物品の接合面を重ね合わせる。尚、第一液と第二液を混合し、硬化時間を短縮させるためには把持部61、62の少なくとも一方を回転させる等して、接着面を擦り合わせることが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本願発明の二液硬化型接着剤用接着装置、及び該装置を用いた物品の接着方法は、二液硬化型接着剤を用いて物品を自動で接着する際に利用できる。
【符号の説明】
【0014】
1 接着装置
21 第一容器
22 第二容器
31 第一塗布体
32 第二塗布体
4 支持体
51 第一チューブ
52 第二チューブ
61 第一物品把持体
62 第二物品把持体
7 駆動体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一液を貯留する第一容器と、第二液を貯留する第二容器と、
前記第一液を浸潤し得る第一塗布体と、前記第二液を浸潤し得る第二塗布体と、
第一塗布体及び第二塗布体を支持する支持体と、
第一容器内に貯留された第一液を第一塗布体に送り出す第一チューブと、前記第二容器内に貯留された第二液を第二塗布体に送り出す第二チューブと、
第一塗布体に一方の物品の接着面を押圧し接離自在とする第一物品把持体と、第二塗布体に他方の物品の接着面を押圧し接離自在とする第二物品把持体とからなることを特徴とする二液硬化型接着剤用接着装置。
【請求項2】
前記第一物品把持体及び/又は前記第二物品把持体は、回動可能であることを特徴とする請求項1記載の接着装置。
【請求項3】
請求項1乃至2のいずれかに記載の接着装置を用いた物品の接着方法であって、
第一容器から第一液を第一塗布体に供給し、第二容器から第二液を第二塗布体に供給し、各塗布体に各液を浸潤させた後、
第一物品把持体に把持される一方の物品の接着面を第一塗布体に、第二物品把持体に把持される他方の物品の接着面を第二塗布体に押圧し、各物品の接着面に各液を付着させ、
次いで、一旦各物品を各塗布体から引き離し、一方の物品及び/又は他方の物品を移動させ、一方の物品の接着面と他方の物品の接着面とを重ね合わせることを特徴とする二液硬化型接着剤を用いた物品の接着方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−136280(P2011−136280A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297326(P2009−297326)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000206473)大倉工業株式会社 (124)
【Fターム(参考)】