説明

二環式インドリル誘導体およびそのセロトニン作動薬としての使用法

二環式インドリル誘導体およびかかる化合物を含有する組成物が開示されている。うつ病および不安などの治療において、セロトニン作動薬として二環式インドリル誘導体およびかかる化合物を含有する組成物を用いる方法も開示されている。加えて、二環式インドリル誘導体の調製方法も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本発明は、2003年6月11日付け出願の米国出願番号60/477575の利益を主張する、2004年6月9日付け出願の米国出願番号 に対して優先権を主張するものであり、出典明示によりそれらの内容を本明細書の一部とする。
【0002】
(技術分野)
本発明は新規なピペラジン誘導体、その含有する医薬組成物およびその使用法に関する。さらに詳細には、本発明は、セロトニン作動薬である、新規な二環式インドリル誘導体に関する。
【0003】
(従来技術)
セロトニン5−HT1A受容体のサブタイプは、1981年に発見され(Pedigoら、J. Neurochem. 1981、36、220)、その後1988年にクローン化されてから(Farginら、Nature 1988、335、358)、そのサブタイプに関する多くの情報が生み出されている。数々の前臨床的実験は、中枢神経系(CNS)の種々の疾患および障害、特に不安およびうつ病の治療において5−HT1Aアンタゴニストが有用である可能性を示唆する。前臨床および臨床データは、今日、5−HT1A受容体を拮抗する化合物が、不安、うつ病、統合失調症およびアルツハイマー病のような神経変性障害に由来する認知障害を含む、中枢神経系疾患および障害の治療、予防および改善;抗うつ薬活性の亢進;前立腺癌の治療および改善;および禁煙およびニコチン中毒の治療にて有用である可能性のあることを示唆する。K. RasmussenおよびV. P. Rocco、“Recent Progress in Serotonin (5-HT)1A Receptor Modulators”Annual Reports in Medicinal Chemistry、第30巻、J. A. Bristol編、1−9(1995);L. E. SchechterおよびM. G. Kelly、“An Overview of 5-HT1A Receptor Antagonists:Historical Perspective and Therapeutic Targets,”Current Drugs Serotonin ID Research Alert 1997、2、299−309。
【0004】
5−HT1A受容体のアンタゴニストは、中枢神経系疾患の治療、予防および改善、抗うつ活性の強化、前立腺癌の治療および改善、禁煙およびニコチン中毒の治療において有用であると期待されるため、5−HT1A受容体との結合能を有し、その活性の拮抗能を有する新規な化合物を開発することが望まれる。本発明の新規な二環式インドリル誘導体は5−HT1A受容体に拮抗するセロトニン作動薬であり、かくしてこれらおよび他の重要な使用にて利益があると期待される。
【0005】
(発明の開示)
本発明はセロトニン作動薬として有用である二環式インドリル誘導体を提供する。
【0006】
一の実施形態において、本発明は、式(I):
【化1】

[式中、
はH、ハロまたはアルキルであり;
はHまたは低級アルキルであり;および
nは0または1を意味する]
で示される化合物あるいはそのプロドラッグ、立体異性体、N−オキシドまたは医薬上許容される塩に関する。
【0007】
もう一つ別の実施形態において、本発明は、式(I)の化合物と、1またはそれ以上の医薬上許容される担体とを含む、組成物に関する。
【0008】
式(I)の新規な化合物は、好ましくは、5−HT1Aと結合し、ある実施形態においては、セロトニン5−HT1Aアンタゴニストであり、それ自身が不安、うつ病、統合失調症およびアルツハイマー病のような神経変性障害に由来する認知障害を含む、中枢神経系疾患および障害の治療、予防および改善;および前立腺癌の治療および改善を含む、5−HT1A受容体の結合および/または拮抗作用に付随するある種の疾患および障害を治療、予防または改善するのに有用である。それらはまた、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)の抗うつ作用の開始または効能を強化するために、ならびに禁煙およびニコチン中毒に由来する症状の緩和のために併用して投与される治療薬として有用である。
【0009】
(発明の詳細な記載)
一の態様において、本発明は、式(I):
【化2】

[式中、
はH、ハロまたはアルキルであり;
はHまたは低級アルキルであり;および
nは0または1を意味する]
で示される化合物あるいはそのプロドラッグ、立体異性体、N−オキシドまたは医薬上許容される塩に関する。
【0010】
は、好ましくはHまたはアルキルであり、より好ましくはHまたは低級アルキルであり、最も好ましくはHである。Rは、好ましくはHまたはメチルであり、より好ましくはHである。nは1であることが好ましい。特定の好ましい実施形態においては、RがHまたはアルキルであり;RがHまたはメチルであり;nが1である。このような好ましい意義の組合せを用いてもよい。
【0011】
本発明の化合物の特に好ましい例は、式(I)の2種のジアステレオマー異性体:
【化3】

(S)−N−{(2R)−2−[4−(1H−インドール−4−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボキシアミド[式(Ia)];および
(R)−N−{(2R)−2−[4−(1H−インドール−4−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボキシアミド[式(Ib)];
あるいはそのプロドラッグ、N−オキシドまたは医薬上許容される塩である。本発明はまた、N−{(2R)−2−[4−(1H−インドール−4−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−7−メチル−N−ピリジン−2−イル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボキシアミド;N−{(2R)−2−[4−(1H−インドール−4−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−7−メチル−N−ピリジン−2−イル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボキシアミド;あるいはそのプロドラッグ、N−オキシドまたは医薬上許容される塩も包含する。
【0012】
本明細書にて使用する「アルキル」なる語は、単独でまたは別の基の一部として用いる場合であろうとなかろうと、置換または置換されていない脂肪族炭化水素鎖をいい、特に明示しない限り、炭素数1ないし12、好ましくは炭素数1ないし6、より好ましくは炭素数1ないし4、最も好ましくは炭素数1の直鎖および分岐鎖を包含するが、これらに限定されるものではない。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、i−ブチルおよびt−ブチルは「アルキル」なる語に含まれる。具体的には、所望により置換されていてもよいこれらの脂肪族炭化水素鎖は「アルキル」の定義の範囲内に含まれる。適当な置換基はハロゲンを包含し、フルオロが特に好ましい。「低級アルキル」なる語を本明細書で使用する場合、それは上記した、炭素数1ないし6、好ましくは炭素数1ないし4、より好ましくは炭素数1のアルキルをいう。
【0013】
本明細書中の定義にて使用される炭素数は、骨格の炭素および分岐鎖の炭素をいうが、アルコキシ置換基等の置換基の炭素原子を包含するものではない。
【0014】
本明細書で使用される「ハロ」なる語は、クロロ、ブロモ、フルオロまたはヨードをいう。
【0015】
いずれかの構成要素またはいずれかの式において可変基が1つ以上存在する場合、その存在における定義は、各々、他のすべての存在における定義から独立している。置換基および/または可変基の組合せは、各組合せが安定した化合物をもたらす場合においてのみ可能である。
【0016】
本発明の方法にて用いられる化合物はプロドラッグの形態にて存在してもよい。本明細書で用いられる「プロドラッグ」なる語は、それ自身が所望の活性については典型的には不活性であるか、最低限の活性であるのに対して、生体内変換を介して生物学的に活性な代謝物に変換される、所望の反応部位に至る活性種の量を最大限となるように具体的に設計された化合物をいう。典型的には、プロドラッグとは、かかるプロドラッグが哺乳動物である対象に投与された場合、本発明の方法にて用いられる、例えば、式(I)の活性な親薬物を放出する共有結合したキャリアである。
【0017】
本明細書にて用いられる「立体異性体」なる語は、化学構成成分が同じであるが、原子配列または空間群に関して異なる、化合物をいう。
【0018】
式(I)の化合物は1またはそれ以上の不斉炭素を有し、式(I)は可能なすべての立体異性体およびその混合物、ならびにラセミ修飾体、特に本明細書に開示の活性を有する修飾体を包含する。本発明において利用される化合物は光学活性またはラセミ形態にて単離することができる。かくして、特定の立体化学または異性体の形態を具体的に指摘しない限り、すべてのキラル、ジアステレオマー、ラセミ形態およびすべての幾何異性体の形態の構造物を意図するものとする。式(I)の化合物の立体異性体は、有機合成の分野の当業者に既知の一般的方法を用いて純粋で光学活性な形態にて選択的に合成するか、あるいは分離することができる。例えば、立体異性体の混合物は、ラセミ形態の分割、順相、逆相およびキラルクロマトグラフィー、選択的塩形成、再結晶などを含む、標準的技法により分離してもよく、あるいはキラル出発物質を用いてキラル合成を行うか、または標的となるキラル中心にて慎重に合成されてもよい。
【0019】
本明細書で用いられる「N−オキシド」なる語は、ヘテロ芳香族環または第三アミンのいずれかの塩基性窒素原子が酸化されて正の形式電荷を有する四級窒素および負の形式電荷を有する結合した酸素原子を付与する、化合物をいう。
【0020】
本明細書で用いられる「医薬上許容される塩」なる語は、有機および無機酸より誘導される酸付加塩をいう。かかる塩は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、桂皮酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パーモ酸塩、ペクチン酸塩、リン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ピルビン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トルエンスルホン酸塩およびトシル酸塩を含むが、これらに限定されない。塩基性窒素含有基が、低級アルキルハライド、硫酸ジアルキル、臭化ラウリルなどの長鎖ハライド、臭化ベンジルおよびフェネチルなどのアラルキルハライドなどの作用物質で四級化されている場合に形成される塩も包含される。
【0021】
「有効量」とは、特定の疾患または障害の症状を阻害、防止または治療するのに効果的である、本明細書に記載の化合物の有効量をいう。かかる疾患または障害は、(例えば、うつ病の治療および/または予防に関連して)5−HT1Aアンタゴニストの投与と関連付けられるこれらの病理学的状態を包含するが、これらに限定されるものではない。この場合、治療または予防は、例えば、細胞、組織または受容体を本発明の化合物と接触させることでその活性を阻害することを含む。かくして、例えば、「有効量」なる語が、例えばうつ病の治療に、5−HT1Aアンタゴニストと関連して用いられる場合、該症状を治療および/または予防および/または改善する量をいう。
【0022】
「医薬上許容される」とは、過度の毒性、刺激、アレルギー反応または他の問題となる合併症がなく、合理的な利益/危険性の割合に見合う、ヒトおよび動物の組織と接触するのに適する、正常な医学的判断の範囲内にある、化合物、材料、組成物および/または剤形をいう。
【0023】
特定の実施形態における「との組合せ」とは、SSRIと式(I)の化合物の患者への併用投与をいう。組み合わせて投与する場合、各成分を、同時に、または異なる時点でいずれかの順序で連続的に投与してもよい。すなわち、各成分は、別々ではあるが、所望の治療的作用が得られるように、時間的に十分に密な間隔で投与されてもよい。
【0024】
「投与単位」とは、治療されるべき個々の個体に対する単一の用量として適する物理的に別個の単位をいう。各単位は、必要とされる医薬担体と一緒になって、所望の治療的効果を生じるように計算された所定の量の活性成分を含有してもよい。本発明の投与単位の形態についての規格は、(a)活性な化合物および達成されるべき個々の治療効果の独特な特性、および(b)かかる活性な化合物を混合する分野にて特有の制限、により決定され得る。
【0025】
「患者」とは、哺乳動物、好ましくはヒトを含む、動物をいう。
【0026】
本明細書中で使用される「投与する」、「投与している」または「投与」なる語は、化合物または組成物を患者に直接投与するか、あるいは患者の体内にて相当する量の活性な化合物または物質を形成するであろう、化合物のプロドラッグ誘導体またはアナログを患者に投与するかのいずれかをいう。
【0027】
したがって、本発明は、式(I)の化合物;および1またはそれ以上の医薬上許容される担体、賦形剤または希釈剤を含む、医薬組成物を提供する。本明細書にて使用される「担体」なる語は、担体、賦形剤および希釈剤を包含する。そのような担体の例は当業者に周知であり、例えば、出典明示によりその内容を本明細書の一部とする、Remington's Pharmaceutical Sciences、第17版、Alfonso R. Gennaro編、Mack Publishing Company、Easton、PA(1985)に記載されるような、許容される医薬的操作により調製される。医薬上許容される担体は、処方中の他の成分と適合し、生物学的に許容しうる担体である。
【0028】
式(I)の化合物は、そのままで、または一般的な医薬担体と組み合わせて、経口または非経口投与することができる。
【0029】
代表的な固体担体は、矯味矯臭剤、滑沢剤、安定化剤、沈殿防止剤、充填剤、滑剤、圧縮助剤、結合剤、錠剤崩壊剤またはカプセル化材料として作用しうる1またはそれ以上の物質を包含する。それらは、一般的な方法、例えば、既知の降圧剤、利尿剤およびβ−遮断剤に用いるのと同様の方法にて処方される。本発明の活性な化合物を含有する経口用処方は、錠剤、カプセル、バッカル形態、トローチ、ロゼンジおよび経口液体、懸濁液または液剤を含む、一般的に使用されるいずれの経口用形態をも含みうる。散剤において、担体は、微細化された活性成分と混合状態にて存在する、微細化された固体である。錠剤においては、活性成分を必要な圧縮特性を有する担体と適当な割合にて混合し、所望の形状および大きさに圧縮する。散剤および錠剤は99%までの活性成分を含有することが好ましい。
【0030】
カプセルは、活性な化合物と、医薬上許容される澱粉(例えば、トウモロコシ、イモまたはタピオカ澱粉)、ショ糖、人工甘味料、結晶および微結晶セルロースなどの粉末化セルロース、フラワー、ゼラチン、ガムなどの不活性な充填剤および/または希釈剤との混合物を含有してもよい。
【0031】
有用な錠剤処方は、一般的な圧縮方法、湿式顆粒または乾式顆粒方法により製造され、限定されるものではないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、微結晶セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アルギン酸、アカシアガム、キサンタンガム、クエン酸ナトリウム、複合的珪酸塩、炭酸カルシウム、グリシン、デキストリン、シュークロース、ソルビトール、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、タルク、澱粉、ショ糖、低融点ワックスおよびイオン交換樹脂を含む、医薬上許容される希釈剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、界面修飾剤(界面活性剤を含む)、沈殿防止剤または安定化剤を利用しうる。好ましい表面修飾剤は、非イオン性およびアニオン性表面修飾剤を包含する。表面修飾剤の代表例として、ポロキサマー188、塩化ベンズアルコニウム、ステアリン酸カルシウム、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール修飾化ワックス、ソルビタンエステル、コロイド状二酸化ケイ素、リン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、珪酸マグネシウムアルミニウムおよびトリエタノールアミンが挙げられるが、これらに限定されない。この経口用処方は標準的な遅延または持続放出処方を利用し、活性な化合物の吸収を変えることができる。経口用処方はまた、活性な化合物を、必要ならば適当な安定化剤または乳化剤を含有する、水または果汁にて投与することからなっていてもよい。
【0032】
液体担体は、液剤、懸濁液、エマルジョン、シロップおよびエリキシルの調製に用いることができる。活性成分は医薬上許容される油脂に溶解または懸濁させることができる。液体担体は、例えば、可溶化剤、乳化剤、緩衝剤、保存剤、甘味剤、矯味矯臭剤、沈殿防止剤、増粘剤、着色剤、粘度調節剤、安定化剤または浸透圧調節剤などの他の適当な医薬添加剤を含有しうる。経口および非経口投与用の液体担体の適当な例として、水(特に上記したような添加剤、例えば、セルロース誘導体、好ましくはカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液を含有する)、アルコール(一価および多価アルコール、例えばグリコールを含む)およびその誘導体、ならびに油(例えば、分別ヤシ油および落花生油)が挙げられる。非経口投与の場合、担体はまた、オレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルなどの油状エステルとすることもできる。滅菌液体担体は非経口投与用の滅菌液体形態の組成物にて使用される。加圧組成物用の液体担体はハロゲン化炭化水素または他の医薬上許容される噴射剤とすることができる。
【0033】
滅菌溶液または懸濁液である液体医薬組成物は、例えば、筋肉内、腹腔内または皮下注射により投与することができる。滅菌溶液はまた、静脈内投与することもできる。経口投与用の組成物は液体または固体形態のいずれであってもよい。
【0034】
コンシステンシーをもって投与するために、本発明の組成物は単位剤形であることが好ましい。適当な単位剤形は、錠剤、カプセルおよびサッシェまたはバイアル中の散剤を包含する。かかる単位剤形は0.1ないし100mgの、好ましくは2ないし50mgの本発明の化合物を含有してもよい。その上さらに好ましい単位剤形は5ないし25mgの本発明の化合物を含有する。本発明の化合物は、約0.01ないし100mg/kgの用量範囲で、または好ましくは0.1ないし10mg/kgの用量範囲で経口投与することができる。かかる組成物は一日に1ないし6回、より一般的には一日に1ないし4回投与されてもよい。
【0035】
特定の病態または障害の治療、予防または改善のために投与される場合、有効な投与量は利用される個々の化合物、投与方法、症状、およびその治療されるべき症状の重篤度、ならびに治療されるべき個体に関連する種々の物理的因子に応じて変化しうることが理解されよう。治療的用途において、式(I)の化合物は既に疾患に罹患している患者にその疾患の徴候およびその合併症を治癒または少なくとも部分的に改善するのに十分な量にて提供される。このことを成し遂げるのに適当な量が「有効量」として特定される。個々のケースの治療にて使用される投与量は顧問医が主観的に決定しなければならない。関係する可変数として、個々の症状および患者の体重、年齢および応答パターンが挙げられる。本発明の化合物の効果的な投与は、約0.1mg/日ないし約1000mg/日の経口用量にてなされる。好ましくは、約10mg/日ないし約600mg/日、より好ましくは約50mg/日ないし約600mg/日にて単回用量または2回またはそれ以上に分割した用量にて投与される。計画される一日の用量は投与経路で変わると考えられる。
【0036】
かかる用量は、本発明の活性な化合物を、経口的に、移植片を介して、非経口的に(静脈内、腹腔内、関節内および皮下注射を含む)、経直腸的に、鼻腔内的に、局所的に、経眼的に(点眼剤を介して)、経膣的に、および経皮的に投与することを含め、患者の血流に導くのに有用ないずれの方法で投与されてもよい。
【0037】
あるケースにおいては、化合物をエアロゾルの形態にて気道に直接投与することが好ましい。鼻腔内または気管支内に吸入により投与する場合、式(I)の化合物は水性または一部水性の溶液に処方することができる。
【0038】
本発明の化合物はまた、非経口的または腹腔内投与してもよい。これらの活性な化合物の遊離塩基または薬理学的に許容される塩としての溶液または懸濁液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤を適宜混合した水中にて調製されうる。分散液はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびその油中の混合液にて調製されうる。一般的な貯蔵および使用の条件下で微生物の増殖を阻害するのに、これらの製剤は保存剤を含有する。
【0039】
注射可能な使用に適する医薬形態として、滅菌水溶液または分散液および滅菌性注射溶液または分散液の即時調製用の滅菌粉末が挙げられる。すべてのケースにおいて、その形態は滅菌性でなければならず、易注射針通過性が存在する程度に流動性でなければならない。製造および貯蔵の条件下で安定していなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に拮抗して保存されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレン、グリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、その適当な混合液、および植物油を含有する、溶媒または分散媒体とすることができる。
【0040】
式(I)の化合物はまた、経皮貼付の使用を介して経皮的に投与することもできる。この開示において、経皮投与は、体表面ならびに上皮および粘膜組織を含む身体経路の内層を横切る、すべての投与を包含すると理解される。かかる投与は、本発明の化合物またはその医薬上許容される塩を、ローション、クリーム、フォーム、貼付、懸濁液、溶液および坐剤(直腸または膣用)にて用いて行うことができる。
【0041】
経皮投与は、活性な化合物と、該活性な化合物に対して不活性で、皮膚に対して障害性がなく、該薬剤の皮膚を介する血流への全身性吸収のデリバリーを可能とする担体とを含有する、経皮貼付の使用を通して達成されてもよい。担体は、クリームと軟膏、ペースト、ゲルおよび密封装置などの種々の形態を取ることができる。クリームと軟膏は粘性液体あるいは水中油型または油中水型の半固体エマルジョンであってもよい。活性成分を含有する石油または親水性石油に分散させた吸収粉末を含むペーストも適当である。担体と共にまたは無しで活性成分を含有するリザバーを覆う半透膜、または活性成分を含有するマトリックスなどの、多種の密封装置を用いて有効成分を血流に放出してもよい。他の密封装置も文献にて公知である。
【0042】
式(I)の化合物は、一般的な坐剤の形態にて、経直腸または経膣的に投与してもよい。坐剤処方は、カカオ脂を含む従来の材料、坐剤の融点を変えるのにワックスを添加してもしなくてもよく、およびグリセリンから製造することができる。種々の分子量のポリエチレングリコールなどの水溶性坐剤基剤を用いてもよい。
【0043】
プロドラッグは医薬の様々な望ましい特性(例えば、溶解性、生物学的利用能、製造性など)を向上させることが知られているため、本発明の方法にて用いられる化合物は、所望により、プロドラッグの形態にてデリバリーされるものであってもよい。したがって、本発明はプロドラッグをデリバリーする方法を意図する。本発明において用いられる化合物、例えば式(I)の化合物のプロドラッグは、一般的操作またはインビボのいずれかにて、修飾が切断されて親化合物となるように、化合物にて存在する官能基を修飾することで調製することができる。
【0044】
したがって、プロドラッグは、例えば、ヒドロキシ、アミノまたはカルボキシ基がいずれかの基と結合しており、そのプロドラッグが哺乳動物の対象に投与されると、切断されて、各々、遊離ヒドロキシル、遊離アミノまたはカルボン酸を形成するところの、本明細書に記載の化合物を包含する。限定されるものではないが、一例として、アルコールおよびアミン官能基のアセテート、ホルメートおよびベンゾエート;およびメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、フェニル、ベンジル、およびフェネチルエステル等などのアルキル、炭素環、アリールおよびアルキルアリールエステルが挙げられる。
【0045】
プロドラッグの種々の形態は、例えば、Bundgaard(編)、Design of Prodrugs、Elsevier(1985);Widderら(編)、Methods in Enzymology、第4巻、Academic Press(1985);Krogsgaard−Larsenら(編)、Design and Application of Prodrugs、Textbook of Drug Design and Development、第5章、113−191(1991);Bundgaardら、Journal of Drug Delivery Reviews 1992、8、1−38;Bundgaard、Journal of Pharmaceutical Sciences 1988、77、285 以下参照;HiguchiおよびStella(編)、Prodrugs as Novel Drug Delivery Systems、American Chemical Society(1975)に開示されているように当該分野にて公知であり、その各々を出典明示により本明細書の一部とする。
【0046】
本発明の方法にて使用される化合物は当業者に周知の多くの方法にて調製することができる。該化合物は、例えば、以下に記載の方法、または当業者に自明なその変形により合成することができる。本発明に関連して開示される方法はすべて、ミリグラム、グラム、数グラム、キログラム、数キログラムまたは商業的工業規模を含む、あらゆる規模で行うことを意図とするものである。
【0047】
存在する官能基は、合成の間、保護基を含有してもよいことが容易に理解されよう。保護基は、それ自体が、ヒドロキシル基およびカルボキシル基などの官能基に選択的に結合し、取り外すことのできる官能基として知られている。これらの基は化合物にあってその化合物が曝される反応条件に対してその官能性を不活性とする。本発明において種々の保護基のうちいずれの保護基を用いてもよい。好ましい保護基として、ベンジルオキシカルボニル基およびtert−ブチルオキシカルボニル基が挙げられる。本発明に従って用いることのできる他の好ましい保護基は、Greene、T.W.およびWuts、P.G.M.、Protective Groups in Organic Synthesis 第2版、Wiley & Sons、1991に記載されている。
【0048】
本発明はまた、不安、全般性不安障害、うつ病、統合失調症、アルツハイマー病のような神経変性疾患に由来する認知障害の予防、治療または改善にて、および前立腺癌の治療にて、本発明の化合物またはその医薬上許容される塩を用いる方法を提供する。本発明の化合物はまた、禁煙の治療、強化または容易化において、あるいはニコチン関連癖からの離脱を補助するのと匹敵する方法において用いることができる。これらの方法は、各々、その必要とする哺乳動物に、好ましくはその必要とするヒトに、医薬的に有効な量の本発明の化合物またはその医薬上許容される塩を投与することを含む。
【0049】
本発明はまた、哺乳動物における選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)の効能を強化する方法であって、治療的に有効な量の問題のSSRIと、式(I)の化合物とをその必要とする哺乳動物に併用して投与することを含む方法を提供する。SSRIの中で、上記した方法にて投与することのできるSSRIは、塩酸フルオキセチン、塩酸ベンラファキシン、塩酸パロキセチン、塩酸ネファゾドン、および塩酸セルトラリンである。これらの投与方法でのSSRIはその化合物について当該分野にて公知の投与量および方法にて投与できることが理解されよう。これらの方法はまた、それを必要とする哺乳動物における、うつ病、不安および全般性不安障害などの疾病の治療方法であって、その必要とする哺乳動物に医薬的に有効な量の本発明の化合物またはその医薬上許容される塩、およびSSRIを併用投与することを含む方法として特徴付けられる。
【0050】
不安
臨床的な実験結果は公表されていないが、5−HT1Aアンタゴニストが数種の動物実験にて、最も顕著には高架式十字迷路実験(D. J. BillおよびA. Fletcher、Br. J. Pharmacol. 1994、111、151P;J−L. Moreauら、Brain Res. Bull. 1992、29、901)および明箱/暗箱実験(R. J. RodgersおよびJ. C. Cole、Eur. J. Pharmacol. 1994、261、321)にて、抗不安効果を示した。したがって、5−HT1Aアンタゴニストは抗不安薬として有用であることがわかる。
【0051】
うつ病
5−HT1A受容体は抗うつ応答の媒介において主たる役割を果たすようである(J. F. Deakinら、Trends Pharmacol. Sci. 1993、14、263)。セロトニン特異的放出阻害剤(SSRI’)で見られる抗うつ作用の開始の遅れは細胞体樹状(somatodendritic)5−HT1A自己受容体が活性化されたためであり、それがセロトニン放出の遅れをもたらす(S. HjorthおよびS. B. Auerbach、Behav. Brain Res. 1996、73、281)。5−HT1Aアンタゴニスト、ピンドロールと、いくつかの選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI’、パロキセチン)とを組み合わせた数種の臨床実験は、5−HT1Aアンタゴニストの添加がSSRIの作用の開始を早め、SSRIの効能までも向上させた可能性があると示唆する(Schechterら、Current Opinion in CPNS Investigational Drugs 1999、1、432)。SSRIの慢性投与は5−HT1A自己受容体の最終的な脱感作、ニューロン発火およびセロトニン放出の増加および付随する抗うつ活性をもたらす。
【0052】
統合失調症
セロトニンおよび種々のセロトニン受容体が統合失調症の病態生理学および薬理学的治療にて一定の役割を果たすことを示唆する証拠が過去10年間にわたって蓄積されてきた。統合失調症の患者の死後脳における受容体結合実験(T. Hashimotoら、Life Sci. 1991、48、355)およびオートラジオグラフィー(J. N. Joyceら、Neuropsychopharmacol. 1993、8、315;P. W. J. Burnetら、Neuropsychopharmacol. 1996、15、442)は共に、5−HT1A受容体密度が増加していることを示す。現在までの最も効果的な抗精神病治療はドーパミン作動性神経伝達を標的とすることであるが、非定型抗精神病薬もまた有意なセロトニン作動性アフィニティを有することは結合実験の結果から明らかである(H. Y. Meltzer、Clin. Neurosci. 1995、3、64)。とりわけ、5−HT1A受容体はドーパミン作動性神経伝達の変化と関連付けられる(M. Hamonら、J. Pharmacol. Exp. Ther. 1988、246、745;L. E. Schechterら、J. Pharmacol. Exp. Ther. 1990、255、1335)。その上さらに、グルタミン酸作動性経路の機能不全が精神病の病変に関係していることは明らかであり、グルタミン酸レベルの減少が統合失調症患者の脳にて測定された(K. Q. Doら、J. Neurochem. 1995、65、2652;G. C. Tsaiら、Arch. Gen. Psychiatry 1995、52、829)。かくして、5−HT1Aアンタゴニストは、グルタミン酸の利用能および伝達を亢進することで、抗精神病薬として機能するかもしれない。
【0053】
神経変性障害から由来の認知障害
アルツハイマー病はコリン作動性およびグルタミン酸作動性の両方の興奮性神経伝達の喪失により特徴付けられる。多くの前臨床実験は5−HT1A受容体の遮断がグルタミン酸放出を亢進することによるアルツハイマー病に見られるグルタミン酸作動性興奮性入力の喪失を代償する可能性のあることを示唆する(Schechterら、Current Pharmaceutical Design 2002、8、139およびその中に引用されている文献を参照のこと)。その上、5−HT1Aアンタゴニストは、同じ経路を介するグルタミン酸作動性変換を強化することでアルツハイマー関連のコリン作動性障害を代償する可能性がある。最近になって、5−HT1Aアンタゴニストが、円蓋病変(Harderら、Psychopharmacol. 1996、127、245)、スコポラミン誘発の障害(Carliら、Eur. J. Pharmacol. 1995、283、133)およびMK−801−誘発の障害(Harderら、Neuropharmacology 2002、39、547)を含む、動物実験にてコリン作動性−およびグルタミン酸作動性−関連の認知障害を反転させ得ることが明らかにされた。かくして、5−HT1Aアンタゴニストはアルツハイマー病にて見られる認知障害の軽減を提供する可能性がある。
【0054】
アルツハイマー病にて観察されるコリン作動性障害に関する実験は、患者のすべてがこのシステム単独での障害により特徴付けられるものでないことを明らかにした(P. T. Francisら、Neurotransmitters and Neuropeptides in Alzheimer's Disease、R. D. Terry編、Raven Press, Ltd.、New York、247−261(1994))。さらに最近の実験は、グルタミン作動性機能もまた激しく破壊されていることを示す。グルタミン酸は認知および長期増強(LTP)などの生理現象を亢進しうる重要な神経伝達物質であり、学習および記憶過程を媒介するにおいて一定の役割を果たすことは明らかである。グルタミン作動性神経伝達の活性化は記憶を容易にするが(U. Stabilら、PNAS(USA) 1994、91、777)、グルタミン酸アンタゴニストは学習および記憶ならびにラットにおけるLTPを害する(R. G. Morrisら、Nature 1986、319、774;T. V. BlissおよびG. L. Collinridge、Nature 1993、361、31)。
【0055】
アルツハイマー病患者の死後脳についての実験により、新皮質および海馬の両方にてグルタミン酸受容体が減少していることが明らかにされた(J. T. Greenmyre、Arch. Neurol. 1986、43、1058;W. F. Marangosら、Trends Neurosci. 1987、10、37)。グルタミン酸作動性ニューロンに富む、内嗅皮質の錐体細胞層は、アルツハイマー病の形態学的特質、プラークおよびタングルを成長させるための、アルツハイマー脳における第一領域の一つである。その上さらに、内嗅皮質から歯状回に突出する有孔質路にてグルタミン酸レベルの減少があり(B. T. Hymanら、Ann. Neurol. 1987、22、37)およびアルツハイマー病と関連する有孔質路の末端域にてグルタミン酸染色の喪失がある(N. W. KowalおよびM. F. Beal、Ann. Neurol. 1991、29、162)。このように、グルタミン酸作動性神経伝達における障害が、認識機能障害と関係しており、アルツハイマー病の病理学的知見である、という有力な証拠がある。
【0056】
データは5−HT1Aアンタゴニストがグルタミン酸作動性神経伝達において促進作用を有することを示す(D. M. Bowenら、Trends Neurosci. 1994、17、149)。セロトニン5−HT1Aアンタゴニストは、NMDA誘発の錐体神経からのグルタミン酸放出を強化し、かつ単独で投与された場合にグルタミン酸放出を亢進することを明らかにした(S. N. Dilkら、Br. J. Pharmacol. 1995、115、1169)。該アンタゴニストは、グルタミン作動性神経伝達およびシグナル化を順次強化する、皮質および海馬の両方におけるニューロンに対するセロトニンの緊張性過分極作用を阻害する(R. AranedaおよびR. Andrade、Neuroscience 1991、40、399)。アルツハイマー病における機能的に過剰応答のセロトニンシステムが認知障害の一因である(D. M. McLoughlinら、Am. J. Psychiatry 1994、151、1701)とする観察と一緒にすれば、そのデータは5−HT1Aアンタゴニストが外因性セロトニンの錐体神経に対する阻害効果を除去し、グルタミン作動の活性化およびシグナル変換の確保を強化することで認識力を改善しうることを示唆する。
【0057】
それにもかかわらず、コリン作動性システムが認識プロセスにおいて一の役割を果たしていることは明らかであり、アルツハイマー患者の認識力を改良するために設計された最近の療法は、アセチルコリンエステラーゼを阻害するか、あるいはアゴニストを使用するかのいずれかで、コリン作動性神経伝達を強化することを標的とする。シナプス後M1ムスカリン性アセチルコリン受容体をグルタミン作動性物質と一緒に錐体ニューロン上に置き、そして5−HT1A受容体部位に置いた。この点において、5−HT1A受容体の遮断は、同じ経路を介するグルタミン作動性変換を強化することでコリン作動性興奮性入力の喪失を代償するかもしれない。実際、ムスカリン性(M1)シグナル変換はセロトニンの過分極作用を遮断することで促進されうる。加えて、5−HT1A受容体アンタゴニストが、ムスカリン性M1受容体のシグナル化の強化、そしてその結果として得られる蛋白キナーゼCの活性化を介して、β−アミロイドプラークおよびタングルの形成を減少させうるという証拠がある(J. D. Baxbaumら、PNAS(USA)、1993、90、9195)。
【0058】
アルツハイマー病の治療についての前臨床的証拠が入手可能な5−HT1Aアンタゴニストを用いて確立された。WAY−100635はマーモセットにおいて円蓋病変により誘発される認知障害を反転させた(J. A. Harderら、Psychopharmacol. 1996、245)。WAY−100135は海馬内スコポラミン、ムスカリン性アンタゴニストにより惹起される空間学習の障害を防止した(M. Carliら、Eur. J. Pharmacol. 1995、283、133)。NAN−190はLTPを増強させることが明らかにされた(N. SakaiおよびC. Tanaka、Brain Res. 1993、613、326)。種々のインビトロにおける上記したおよび文献に記載のデータと一緒にすれば、これらの実験は5−HT1A受容体アンタゴニストでの治療によりアルツハイマー病に付随する複数の障害を回復させるための実行可能な方法が得られることを強く示唆する。
【0059】
抗うつ作用の強化
5−HT1Aアンタゴニストの併用投与がシナプス前自己受容体のSSRI誘発の活性化を阻害し、かくしてSSRI’の抗うつ作用の開始を早めると考えられる。この仮説は多かれ少なかれ特異的な5−HT1AアンタゴニストをSSRI’と組み合わせて用いる動物実験での研究から由来の結果により支持されている(K. BrinerおよびR. C. Dodel、Cur. Pharm. Des. 1998、4、291、およびその中で引用されている参考文献)。その上、臨床実験により、5−HT1Aアンタゴニスト、ピンドロールの併用投与が、SSRI’のパロキセチン(M. B. Tomeら、Int. Clin. Psy. 1997、12、630)およびフルオキセチン(V. Perezら、Lancet 1997、349、1594)の抗うつ応答の持続を得るのに必要とされる中央値を有意に減少させることが明らかにされた。したがって、5−HT1Aアンタゴニストはこの種の薬物で見られる作用の開始の遅れを減少させることでSSRI’の抗うつ活性を亢進すると期待される。
【0060】
前立腺癌
その神経伝達物質としての役割に加えて、セロトニンは成長因子として機能しうる。セロトニンはヒト前立腺の大部分の神経内分泌細胞に認められ、それは前立腺癌の進行にて一の役割を果たしている可能性がある(P. A. Abrahamssonら、Pathol. Res. Pract. 1986、181、675;N. M. Hooseinら、J. Urol. 1993、149、479A)。5−HT1Aアンタゴニスト、ピンドビンド(pindobind)は、ヒト前立腺癌細胞系PC3、DU−145およびLNCaPについてインビトロにて試験した場合、抗新生物薬活性を示し、胸腺欠損ヌードマウスでの侵襲性の強いPC3細胞系の増殖をインビボにて阻害した(M. Abdulら、Anticancer Res. 1994、14、1215)。
【0061】
禁煙
ヒトにおけるニコチンまたはタバコの慢性的使用からの離脱は、不安、興奮、集中力の欠如および情動不安を含む、禁断症状をもたらす。これらの禁断症状は再発において重要な役割を果たしていることが明らかにされている(J. R. HughesおよびD. Hatsukami、Arch. Gen. Psychiatry 1986、43、289)。前臨床的証拠はニコチンの慢性投与からの離脱が5−HT1A受容体の感受性を増大させ(K. RasmussenおよびJ. F. Czachura、Psychopharmacology 1997、133、343)、ラットにおける聴覚性驚愕反射を亢進すること(D. R. Heltonら、Psychopharmacology 1993、113、205)を示す。セロトニン5−HT1Aアンタゴニストは、このニコチン−離脱−驚愕応答の亢進を弱めることが明らかにされた(K. Rasmussenら、Synapse 1997、27、145;K. Rasmussenら、J. Pharmacol. Exp. Ther. 2000、294、688)。かくして、5−HT1Aアンタゴニストは禁煙のための薬物治療薬として臨床的に有用であるかもしれない。この過剰なセロトニンは、細胞体樹状自己受容体、5−HT1A受容体を活性化し、細胞発火活性を減少させ、順次、広範囲にわたる前脳領域にてセロトニン放出の減少を生じさせる。この負のフィードバックは抗うつ剤により強く誘発されうるシナプス性セロトニンの増加を制限する。
【0062】
近年の研究はまた、ニコチンの離脱により誘発される不安誘発作用が、背側海馬(Kennyら、Neuropharmacology 2000、39、300)、背側縫線核(Cheeta、Psychopharmacology 2001、155、78)および外側中隔(Fileら、Eur. J. Pharmacol. 2000、393、231)を含む、脳の種々の部分にて5−HT1A受容体により部分的または主体的に媒介されるという証拠を提供する。動物実験において、ニコチン離脱により誘発される不安誘発行動は、NAN−190、LY206130、WAY−100635(Rasmussenら、Synapse 1997、27、45)およびLY426965(Rasmussenら、J. Pharmacol. Exp. Ther. 2000、294、88)を含む、5−HT1Aアンタゴニストで治療することにより遮断されうる。すなわち、5−HT1Aアンタゴニストは禁煙および他のニコチン含有製品の使用の中断により誘発される禁断症状の治療での用途を見出すことができる。
【0063】
本発明はまた、本発明の化合物を利用する医薬組成物を提供する。各組成物は、有効量の本発明の化合物および1またはそれ以上の医薬上許容される担体または賦形剤を含む。
【0064】
個々の受容者に対する望ましい用量を決定するのに関係する変数として、特定の疾患または障害、患者の大きさ、年齢および応答パターンが挙げられる。5−HT1A受容体に関係するか、または該受容体により影響を受ける症状を治療するための本発明の新規な方法は、ヒトを含む温血動物に、有効量の少なくとも1つの本発明の化合物またはその医薬上許容される塩の形態を投与することを含む。該化合物は、経口的、直腸的、非経口的または局所的に皮膚および粘膜に投与されてもよい。一日の用量は、経口投与で約0.01−1000mg/kg、好ましくは0.5−500mg/kgであり、非経口投与で0.1−100mg/kg、好ましくは0.5−50mg/kgである。
【0065】
投与可能な固体担体は、矯味矯臭剤、滑沢剤、安定化剤、沈殿防止剤、充填剤、滑剤、圧縮助剤、結合剤、錠剤崩壊剤またはカプセル化材料としても作用しうる1またはそれ以上の物質を包含しうる。散剤において、担体は、微細化された活性成分と混合状態にて存在する、微細化された固体である。錠剤においては、活性成分を必要な圧縮特性を有する担体と適当な割合にて混合し、所望の形状および大きさに圧縮する。散剤および錠剤は99%までの活性成分を含有することが好ましい。適当な固体担体として、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ショ糖、ラクトース、デキストリン、澱粉、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、低融点ワックスおよびイオン交換樹脂が挙げられる。
【0066】
液体担体は、液剤、懸濁液、エマルジョン、シロップおよびエリキシルの調製に用いられてもよい。本発明の活性成分は、水、有機溶媒、その両方の混合液または医薬上許容される油脂などの医薬上許容される液体担体に溶解または懸濁させることができる。液体担体は、可溶化剤、乳化剤、緩衝剤、保存剤、甘味剤、矯味矯臭剤、沈殿防止剤、増粘剤、着色剤、粘度調節剤、安定化剤または浸透圧調節剤などの他の適当な医薬添加剤を含有しうる。経口および非経口投与用の液体担体の適当な例として、水(特に上記したような添加剤、例えば、セルロース誘導体、好ましくはカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液を含有する)、アルコール(一価アルコールおよび多価アルコール、例えばグリコールを含む)およびその誘導体、ならびに油(例えば、分別ヤシ油および落花生油)が挙げられる。非経口投与の場合、担体はまた、オレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルなどの油状エステルとすることもできる。滅菌液体担体は非経口投与用の滅菌液体形態の組成物にて使用される。
【0067】
滅菌溶液または懸濁液である液体医薬組成物は、例えば、筋肉内、腹腔内または皮下注射により使用することができる。滅菌溶液はまた静脈内投与することもできる。経口投与は液体または固体組成物の形態のいずれであってもよい。
【0068】
式(I)の化合物は一般的方法により入手可能である既知の出発物質より既知の方法により調製されうる。かかる方法は式(II)のアミン(Rは上記と同意義である)を一般式(III)の二環式カルボン酸(Rは上記と同意義である)またはその誘導体でアシル化することを含む。アシル化誘導体の例として、酸ハライド(例えば、酸クロリド)、無水物、イミダゾリド(例えば、カルボニルジイミダゾールより得られる)および活性化エステルが挙げられる。
【化4】

式(II)の出発物質は、その内容を出典明示により本明細書の一部とする、EP−B1−0512755に開示されている一般的な反応経路により、詳細にはWO95/33743に記載されている具体的な反応経路により調製されうる。
【0069】
シクロヘキサジエンとアクリル酸エステル誘導体とを文献に記載の方法(Tichyら、Coll. Czech. Chem. Commun. 1970、35、459;Boehmeら、J. Am. Chem. Soc. 1958、80、5488)を用いて反応させて、式(IV)のビシクロ[2.2.2]シクロオクタ−5−エンエステル誘導体を得、それを(例えば、Christolら、Org. Magn. Res. 1981、17、110にあるように、水素雰囲気下、炭素上10%パラジウムを用いて)還元して、式(V)の飽和二環式エステルを得る。(例えば、メタノールなどの適当な溶媒中、水酸化ナトリウムなどの塩基を用いて)加水分解に付し、式(III)の必要とされるラセミ出発物質を得る(スキーム1)。
【化5】

【0070】
ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボン酸の個々のエナンチオマーは有機合成の分野における当業者に公知の方法によりラセミ混合物を分離することを介して得てもよい。別法として、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボン酸のエナンチオマーは分子内ディールズ−アルダー反応にてキラル補助試薬を利用する合成経路を介して得てもよい。かかる条件は公知であり、ビシクロ[2.2.2]オクタ−5−エンエステル誘導体を調製するのに使用される。例えば、式(VIa)の化合物をHansenら(J. Org. Chem. 1998、63、775)の方法に従って合成し、スキーム2に示されるように(例えば、アルコール性溶媒中、炭素上10%パラジウムを用いて)二重結合を水素化した後、水酸化リチウムなどの塩基の影響下でキラル補助エステル部分を除去し、式(IIIa)のビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボン酸の(S)−エナンチオマーを得ることができた。
【化6】

【0071】
ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボン酸の対照的な(R)−エナンチオマーは、スキーム3に示されるように、キラル補助試薬の対照的なエナンチオマー、およびHansenら(J. Org. Chem. 1998、63、775)により報告されている方法を用いることにより調製されうる。スキーム2に示される条件を用いて、エステル(VIb)をこのように処理してエステル(VIIb)を得、それを加水分解に付して、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボン酸(IIIb)の(R)−エナンチオマーを得た。
【化7】

【0072】
必要とされる式(VIII)のビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸は、StapersmaおよびKlump(Tetrahedron 1981、37、187)に記載される操作を用いて、スキーム4に示されるように、そこでは7−ブロモビシクロ[2.2.1]ヘプタンをジ−t−ブチルビフェニリドリチウム(FreemanおよびHutchinson、Tet. Lett. 1976、1849)と反応させ、つづいて二酸化炭素で処理することで調製される。
【化8】

【0073】
式(XII)の7−置換されたビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸中間体は、例えば、スキーム5に示されるように、文献に記載の操作に従って調製されうる。シクロペンタジエンと適当なアクリル酸とをディールズ−アルダー反応に付し、式(IX)のエキソ−2−アルキルビシクロ[2.2.1]ヘプテン−2−カルボン酸を得る。酸触媒の転位により式(X)のラクトンを得、それを系内にて加水分解に付し、四酸化ルテニウム(塩化ルテニウムと過ヨウ素酸ナトリウムより系内にて生成)を用いて式(XI)の所望の7−置換されたビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン−7−カルボン酸に酸化させうる。フォルフ−キスナー(Wolff−Kishner)還元反応に付して最終生成物(XII)を得る。
【化9】

【0074】
本発明を以下の具体的な限定するものでない実施例を用いて説明する。有機合成の分野における当業者は本発明の化合物についての別の合成経路に気付く可能性もある。ここで使用する試薬および中間体は、商業上入手可能であるか、あるいは標準的な文献記載の操作に従って調製されるかのいずれかである。
【0075】
実施例
中間体1:ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボン酸
水酸化ナトリウム(2.5N、22.4mL、56ミリモル)を外界温度でのビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボン酸メチルのメタノール性溶液(4.7g、50mL中28ミリモル)に加え、該混合物を16時間攪拌した。溶媒を減圧下で濃縮し、水(20mL)を添加し、該溶液を1N水性HClで酸性にした。生成物をジクロロメタン(3x50mL)で抽出し、合した有機層を水(25mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーターで濃縮して式(III)の表記化合物を白色固体として得た(4.3g、100%收率)。
MS(ESI)m/z=:155(M+H)
元素分析:C14として
計算値(%):C,70.10;H,9.15
測定値(%):C,70.53;H,9.25
【0076】
中間体2:(3R)−4,4−ジメチル−2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル−(2S)−ビシクロ[2.2.2]オクタ−5−エン−2−カルボキシレート
化合物(VIa)をHansenら(J. Org. Chem. 1998、63、775)の記載に従って、(R)−(−)−パントラクトン(11.5g、88.4ミリモル)および塩化アクロロイル(10.14g、112ミリモル)から出発する2工程にて合成した。ジエチルエーテル/ヘキサンからの再結晶に付し、それを明黄色粉末として得た。
MS(+ESI)m/z=265(M+H)
元素分析: C1520として
計算値(%):C,68.16;H,7.63
測定値(%):C,67.87;H,7.68
【0077】
中間体3:(3R)−4,4−ジメチル−2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル−(2S)−ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボキシレート
化合物(VIa)(中間体2、20g、75.8ミリモル)のメタノール(100mL)中溶液に、触媒量の炭素上10%パラジウム(1g)を加え、その混合物をパール(Parr)振盪器を用いて40psiで水素添加した。3時間経過後、該混合物をセライト床を介して濾過し、該触媒をメタノールで洗浄し、該溶液を減圧下で濃縮かつ乾燥させた。式(VIIa)の粗生成物を明褐色固体として得、それをさらに精製することなく使用した(18.2g、90%)。
MS(+ESI)m/z=267(M+H)
元素分析:C1522として
計算値(%):C,67.64;H,8.33
測定値(%):C,67.00;H,8.52.
【0078】
中間体4:(S)−ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボン酸
式(VIIa)の生成物(中間体3、18.0g、67.7ミリモル)をテトラヒドロフラン(100mL)に溶かし、得られた溶液を5−10℃に冷却した。反応温度を25℃以下に維持しながら、水酸化リチウム(7g)の水(140mL)中溶液をゆっくりと添加し、その混合物を室温で24時間攪拌し、ついで減圧下で大部分のテトラヒドロフランが除去されるまで濃縮した。濃縮したHClを滴下してpHを2に調整し、水(60mL)を添加し、そのスラリーを0−10℃で1時間攪拌した。沈殿物を濾過により単離し、真空乾燥機中で乾燥させた。式(IIIa)の粗生成物をさらに精製することなく使用した(9.35g、90%)。
MS(−ESI)m/z=153(M−H)
元素分析:C14として
計算値(%):C,70.10;H,9.15
測定値(%):C,69.50;H,9.22
【0079】
中間体5:(R)−ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボン酸
式(IIIb)の(R)−エナンチオマーを、(S)−(+)−パントラクトン(10g、76.9ミリモル)および塩化アクリロイル(8.81g、97.4ミリモル)より出発し、Hansenら(J. Org. Chem. 1998、63、775)に記載の方法および中間体3および4に記載の合成方法を用いて調製した。
MS(−ESI)m/z=153(M−H)
元素分析:C14として
計算値(%):C,70.10;H,9.15
測定値(%):C,69.97;H,9.10
【0080】
中間体6:ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸
窒素雰囲気下、4,4'−ジ−t−ブチルビフェニル(8.25g、31ミリモル)の無水テトラヒドロフラン(70mL)中溶液に、新たに汚染物を除去したリチウムワイヤー(0.21g、30ミリモル)を添加した。得られた混合物を室温で15分間攪拌して反応を開始させ、ついで氷浴にて冷却し、さらに4時間攪拌した。得られた青色溶液をドライアイス/アセトン浴を用いて冷却し、7−ブロモ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(2.0g、11.4ミリモル)の無水テトラヒドロフラン(5mL)中溶液を一度に添加した。反応混合物を20分間攪拌し、その間に青色は橙色に変化した。ついで、ドライアイス固体を該溶液に添加すると、該溶液は無色となった。ドライアイス浴/アセトン浴を取り外し、該反応物を2時間攪拌し、その間に温度を室温とした。2.5N無水水酸化ナトリウム(200mL)を添加し、該混合物を5分間攪拌した。層を分離し、水層をジエチルエーテル(50mL)で2回抽出した。ついで、濃縮したHClを添加して水層を酸性にし、3部に分けたジエチルエーテル(75mL)で抽出した。合した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮して所望の式(VIII)の化合物を白色固体として得た(1.54g、96%)。融点=74−75℃(文献上の融点=77.5−78.5℃、J. Am. Chem. Soc. 1954、76、4072)。
MS(−ESI)m/z=139(M−H)
元素分析:C12として
計算値(%):C,68.55;H,8.63
測定値(%):C,67.97;H,8.57
【0081】
中間体7:エキソ−2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸
シクロペンタジエン(ジシクロペンタジエン、62.0g、0.94モルより新たに調製)およびメタクリル酸(69.8g、0.81モル)の混合物を90℃で4時間還流させた。得られた混合物を減圧(2mm)下で真空蒸留に付した。69℃と110℃の間で沸騰するフラクションを集め、放置して白色固体(エンド−およびエキソ−異性体の混合物で、エキソ−異性体が優勢であることが分かった)を得た。該混合物を石油エーテル(沸点:40−60℃)で2回再結晶させて、式(IX)の純粋なエキソ−2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプテン−2−カルボン酸を単離し、所望の生成物を白色固体(30.5g)として得た。融点=82−83℃(文献上の融点=82−83℃、J. Org. Chem. 1979、44、2206)。
MS(−ESI)m/z=151(M−H)
元素分析:C12として
計算値(%):C,71.03;H,7.95
測定値(%):C,71.37;H,8.19
【0082】
中間体8:3a−メチルヘキサヒドロ−3H−1,4−メタノシクロペンタ[c]フラン−3−オン
エキソ−2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプテン−2−カルボン酸(8.06g、53ミリモル、中間体7)を氷冷しながら75%水性硫酸(100mL)で処理した。得られた混合物を一夜攪拌し、その間に該混合物を室温にした。ついで、該反応物を氷および水(1000g)の混合物に注いで、沈殿物を形成させた。得られた混合物を200mLのジエチルエーテルで3回抽出した。合した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮して白色固体(7.73g)を得た。該固体をエタノールから再結晶して所望の式(X)の生成物を白色針状晶として得た(5.9g、73%)。融点=125−127℃(文献上の融点=125−126℃、J. Org. Chem. 1979、44、2206)。
MS(+ESI)m/z=153(M+H)
元素分析:C12として
計算値(%):C,71.03;H,7.95
測定値(%):C,70.92;H,8.10
【0083】
中間体9:7−メチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸
中間体8の生成物(式(X)の化合物、4.9g、32.2ミリモル)を0.5N水性水酸化ナトリウム(70mL、35ミリモル)に懸濁させ、100℃で45分間攪拌し、その間に透明な溶液を形成した。得られた溶液を室温にまで冷却し、1%エタノール性フェノールフタレイン溶液を2滴添加した。ついで、該溶液を0.1N水性HClで中和した。該中性溶液に、水(35mL)、四塩化炭素(33mL)およびアセトニトリル(33mL)を添加した。ついで、該攪拌反応混合物に、塩化ルテニウム(III)水和物(0.25g)を添加し、つづいて過ヨウ素酸ナトリウム(20.67g、96.6ミリモル)を添加した。ついで、得られた混合物を室温で24時間攪拌し、つづいて水(50mL)およびジエチルエーテル(100mL)を添加した。攪拌を5分間続け、ついで層を分離した。水層をジエチルエーテル(50mL)で2回以上抽出した。合した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮して紫色固体を得た。該固体をジエチルエーテル(75mL)に溶かし、セライト床を介して濾過して残りの紫色不純物を除去した。該透明溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し、所望の式(XI)の生成物を白色固体として得た(3.16g、58%)。融点=204−206℃(文献上の融点=206−208℃、Tetrahedron 1972、28、4259)。
MS(−ESI)m/z=167(M−H)
元素分析:C12として
計算値(%):C,64.27;H,7.19
測定値(%):C,63.74;H,7.31
【0084】
中間体10:7−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸
新たに不純物を除去したナトリウム金属(5.25g、228.3ミリモル)を細片に裁断し、窒素雰囲気下で乾燥ジエチレングリコール(120mL)に添加した。得られた混合物を80℃で15分間攪拌し、ナトリウム塩の形成を終えた。得られた橙色溶液を室温にまで冷却し、中間体9(化合物(XI)、3.1g、18.5ミリモル)の乾燥ジエチレングリコール(20mL)中溶液を添加し、つづいて98.5%ヒドラジン(3.65mL、114.5ミリモル)を添加した。ついで、得られた混合物を50時間還流させた(浴温度:200℃)。暗橙色反応混合物を室温にまで冷却し、水(400mL)中に注ぎ、濃縮したHClを添加して酸性にした。得られた白色沈殿物を真空濾過により集め、水で洗浄し、風乾させ、ジエチルエーテル(400mL)に溶かした。そのエーテル溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、酸性の脱色炭で処理し、ロータリーエバポレーターで濃縮して、所望の式(XII)の生成物をオフホワイト固体として得た(2.36g、84%)。融点=192−195℃(文献上の融点=194−195℃、J. Org. Chem. 1979、44、2206)。
MS(−ESI)m/z=153(M−H)
元素分析:C14として
計算値(%):C,70.10;H,9.15
測定値(%):C,70.23;H,9.32
【0085】
実施例1:(S)−N−{(2R)−2−[4−(1H−インドール−4−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イル−ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボキシアミド
(S)−ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボン酸(中間体4、1.0g、6.48ミリモル)およびジメチルホルムアミド(2滴)のジクロロメタン(5mL)中溶液に、窒素下、0℃にて2当量の塩化オキサリル(ジクロロメタン中2M、6.5mL)を滴下することで処理した。2時間攪拌させた後、その混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、明黄色油として酸クロリドを得た。(R)−1−(4−インドリル)−4−[2−メチル−2−(2−ピリジニルアミノ)エチル]ピペラジン(2.17g、6.48ミリモル)のジクロロメタン(20mL)中溶液に、新たに調製した(S)−ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボン酸クロリドのジクロロメタン溶液(5mL中に6.48ミリモル)を0℃にて滴下して処理した。16時間攪拌した後、該混合物をヘキサン(100mL)に注ぎ、モノ塩酸塩としての表記化合物を沈殿させた(1.77g、51%)。融点=180−182℃。
MS(+ESI)m/z=472(M+H)
[α]25/D=+31.24(c=1、MeOH)
元素分析:C2937O・1HCl・1.5HOとして
計算値(%):C,65.09;H,7.72;N,13.09
測定値(%):C,65.23;H,7.41;N,13.49
【0086】
実施例2:(R)−N−[(2R)−2−[4−(1H−インドール−4−イル)−1−ピペラジニル]プロピル]−N−2−ピリジン−2−イル−ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボキシアミド
(R)−ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボン酸(中間体5、0.80g、5.19ミリモル)およびジメチルホルムアミド(2滴)のジクロロメタン(5mL)中溶液に、2当量の塩化オキサリル(ジクロロメタン中2M、5.2mL)を0℃、窒素下で滴下して処理した。1時間攪拌した後、該混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、明黄色油としての酸クロリドを得た。(R)−1−(4−インドリル)−4−[2−メチル−2−(2−ピリジニルアミノ)エチル]ピペラジン(1.92g、5.72ミリモル)のジクロロメタン(25mL)中溶液に、新たに調製した(R)−ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボン酸クロリド(5mL)のジクロロメタン溶液を0℃にて滴下して処理した。16時間攪拌した後、該混合物をヘキサン(100mL)上に注ぎ、黄色油を形成させた。その油をデカント処理で得、ジクロロメタン(100mL)と飽和水性炭酸水素ナトリウム(100mL)の間に分配させた。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣を酢酸エチル/ジエチルエーテル中の過剰のHClで処理することで白色固体を得、所望の生成物をジ塩酸塩として得た(1.64g、56%)。融点=186−190℃。
MS(+)472(M+H)
[α]25/D=−25.45(c=1、MeOH)
元素分析:C2937O・2HCl・1HOとして
計算値(%):C,61.91;H,7.35;N,12.45
測定値(%):C,62.03;H,7.50;N,12.31
【0087】
実施例3:N−{(2R)−2−[4−(1H−インドール−4−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボキシアミド
ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸(中間体6、0.26g、1.86ミリモル)およびジメチルホルムアミド(1滴)のジクロロメタン(7mL)中溶液に、2.2当量の塩化オキサリル(ジクロロメタン中2M、2.08mL)を0℃、窒素下で滴下して処理した。3時間攪拌した後、該混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、黄色油としての酸クロリドを得た。新たに調製した酸クロリドを乾燥ジクロロメタン(7mL)に溶かし、0℃に冷却し、(R)−1−(4−インドリル)−4−[2−メチル−2−(2−ピリジニルアミノ)エチル]ピペラジン(0.30g、0.9ミリモル)のジクロロメタン(10mL)中溶液で処理した。得られた混合物を48時間攪拌し、その間に該混合物を室温にした。該反応混合物をジクロロメタン(50mL)で希釈し、飽和水性炭酸水素ナトリウムで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮した。シリカゲル上のメタノール/ジクロロメタンを用いるクロマトグラフィーにより所望の生成物を単離し、酢酸エチル/ジエチルエーテル中のHClを添加することでモノ塩酸塩に変えた(0.21g、46%)。融点=176−179℃。
MS(+ESI)m/z=458(M+H)
[α]25/D=+35.6(c=1、MeOH)
元素分析:C2835O・1HCl・1HOとして
計算値(%):C,65.67;H,7.48;N,13.68
測定値(%):C,65.78;H,7.44;N,13.46
【0088】
実施例4:N−{(2R)−2−[4−(1H−インドール−4−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−7−メチル−N−ピリジン−2−イル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボキシアミド
7−メチル−ビシクロ[2.2.2]ヘプタン−7−カルボン酸(中間体10、0.28g、1.80ミリモル)およびジメチルホルムアミド(1滴)のジクロロメタン(5mL)中溶液に、2.2当量の塩化オキサリル(ジクロロメタン中2M、2.0mL)を0℃、窒素下で滴下して処理した。該反応物を一夜攪拌し、その間に該反応物を室温にした。該混合物をロータリーエバポレーターで濃縮して酸クロリドを黄色油として得た。新たに調製した酸クロリドを乾燥ジクロロメタン(10mL)に溶かし、0℃に冷却し、(R)−1−(4−インドリル)−4−[2−メチル−2−(2−ピリジニルアミノ)エチル]ピペラジン(0.30g、0.9ミリモル)のジクロロメタン(7mL)中溶液で、つづいてトリエチルアミン(0.18g、1.8ミリモル)で処理した。得られた混合物を96時間攪拌し、その間に該混合物を室温にした。該反応混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、過剰の溶媒およびトリエチルアミンを除去した。残渣をジクロロメタン(100mL)と飽和水性炭酸水素ナトリウム(75mL)の間に分配した。水層をジクロロメタン(30mL)を2回添加して抽出した。合した有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮した。シリカゲル上のメタノール/ジクロロメタンを用いるクロマトグラフィーにより所望の生成物を単離し、酢酸エチル/ジエチルエーテル中のHClを添加することでモノ塩酸塩に変えた(0.36g、76%)。融点=236−238℃。
MS(+ESI)m/z=472(M+H)
[α]25/D=+37.1(c=1、MeOH)
元素分析:C2937O・1HCl1HOとして
計算値(%):C,66.20;H,7.66;N,13.31
測定値(%):C,65.95;H,7.51;N,13.26
【0089】
セロトニン5−HT1A結合プロフィール
セロトニン5−HT1A受容体についてのアフィニティは、Dunlopら、J. Pharmacol. Toxicol. Methods 1998、40、47に記載の操作に従って、ヒト5−HT1A受容体で安定してトランスフェクトされたCHO細胞中の受容体複合体上のその結合部位から[3H]8−OH−DPATを置き換える試験化合物の能力をアッセイすることで確立された。本発明の化合物は、表1に示されるように、5−HT1A受容体について高いアフィニティを示した。
【0090】
インビトロでの機能的活性
式(I)の化合物は、Dunlopら、J. Pharmacol. Toxicol. Methods 1998、40、47に記載の操作に従って、ヒト5−HT1A受容体で安定してトランスフェクトされたCHO細胞にて、5−HT1Aの完全なアゴニストである8−OH−DPATの、ホルスコリン刺激のサイクリックAMPターンオーバーを阻害する能力を拮抗する試験化合物の能力で測定されるように、5−HT1Aアンタゴニスト活性を示した。
【表1】

【0091】
分子量などの物理特性、または化学式などの化学特性について本明細書にて範囲が使用される場合、範囲および具体的な実施形態のすべてのコンビネーションおよびサブコンビネーションが包含されることを意図とする。
【0092】
本明細書にて引用または記載されている特許、特許出願および刊行物の各々の開示は、出典明示によりその内容を本明細書の一部とする。
【0093】
本発明の好ましい実施形態を行うのに多くの変形および修飾をなすことができ、本発明の精神を逸脱することなく、そのような変形および修飾を行うことができることを当業者であれば理解するであろう。したがって、添付した特許請求の範囲は本発明の範囲内にあるかかるすべての均等物に及ぶものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
はH、ハロまたはアルキルであり;
はHまたは低級アルキルであり;および
nは0または1を意味する]
で示される化合物あるいはそのプロドラッグ、立体異性体、N−オキシドまたは医薬上許容される塩。
【請求項2】
がHまたはメチルであるところの、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
がHまたはアルキルであり;および
nが1であるところの、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
(S)−N−{(2R)−2−[4−(1H−インドール−4−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボキシアミド;
(R)−N−{(2R)−2−[4−(1H−インドール−4−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボキシアミド;
N−{(2R)−2−[4−(1H−インドール−4−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−7−メチル−N−ピリジン−2−イル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボキシアミド;
N−{(2R)−2−[4−(1H−インドール−4−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−7−メチル−N−ピリジン−2−イル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボキシアミド;ならびに
そのプロドラッグ、N−オキシドおよび医薬上許容される塩
からなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
(S)−N−{(2R)−2−[4−(1H−インドール−4−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボキシアミド;
(R)−N−{(2R)−2−[4−(1H−インドール−4−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボキシアミド;ならびに
そのプロドラッグ、N−オキシドおよび医薬上許容される塩
からなる群より選択される、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
請求項1に記載の化合物;および1またはそれ以上の医薬上許容される担体を含む、組成物。
【請求項7】
それを必要とする患者にて5−HT1A受容体に結合する方法であって、有効量の請求項1に記載の化合物を患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項8】
それを必要とする患者にて5−HT1A受容体に拮抗する方法であって、有効量の請求項1に記載の化合物を患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項9】
中枢神経系(CNS)障害を患っていると思われる患者を治療する方法であって、有効量の請求項1に記載の化合物を患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項10】
中枢神経系障害が、不安、うつ病、認知障害、統合失調症およびその組合せからなる群より選択される障害であるところの請求項9記載の方法。
【請求項11】
中枢神経系障害が不安であるところの、請求項10記載の方法。
【請求項12】
中枢神経系障害がうつ病であるところの、請求項10記載の方法。
【請求項13】
中枢神経系障害が認知障害であるところの、請求項10記載の方法。
【請求項14】
中枢神経系障害が統合失調症であるところの、請求項10記載の方法。
【請求項15】
その必要とする患者にて不安を治療する方法であって、有効量の請求項1に記載の化合物を患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項16】
その必要とする患者にてうつ病を治療する方法であって、有効量の請求項1に記載の化合物を患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項17】
その必要とする患者にて認知障害を治療する方法であって、有効量の請求項1に記載の化合物を患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項18】
その必要とする患者にて統合失調症を治療する方法であって、有効量の請求項1に記載の化合物を患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項19】
その必要とする患者にて選択的セロトニン再取り込み阻害剤の抗うつ活性の作用の開始または効能を強化する方法であって、
有効量の少なくとも1つの請求項1に記載の化合物、および有効量の少なくとも1つのSSRIを患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項20】
その必要とする患者にて前立腺癌を治療する方法であって、有効量の請求項1に記載の化合物を患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項21】
その必要とする患者にて喫煙またはニコチン含有製品の使用を中断することにより誘発される禁断症状を治療する方法であって、有効量の請求項1に記載の化合物を患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項22】
中枢神経系(CNS)障害を治療するための、前立腺癌を治療するための、または喫煙またはニコチン含有製品の使用を中断することにより誘発される禁断症状を治療するための医薬の製造における請求項1ないし5のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項23】
うつ病または不安の治療にて同時、別々または連続的に使用するための組合せ製剤としての請求項1ないし5のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物および少なくとも1つのSSRIを含有する製品。


【公表番号】特表2007−500751(P2007−500751A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533687(P2006−533687)
【出願日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/018472
【国際公開番号】WO2004/111035
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】