説明

二環性化合物及びそれを用いた医薬

【課題】優れたPPARα/γアゴニスト作用を有し、医薬品として望ましい性質を有す
る新規化合物を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)(式中、Qは、置換されてもよい、二環性芳香環または二
環性芳香族複素環を示し、RおよびRは、置換されてもよい、フェニル基または5〜
6員の芳香族複素環基を示し、X、YおよびZは、各々独立にC、O、SまたはNを示し
、R〜R9は、水素原子、低級アルキル基などを示し、nは、0〜3の整数を示す。)
で表されるペルオキシソーム増殖薬活性化受容体α/γアゴニスト。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖尿病の予防・治療薬に有効な二環性化合物、その塩及びそれらの溶媒和物に関する。より具体的には、ペルオキシソーム増殖薬活性化受容体α/γアゴニスト(PPAR α/γ agonist: Peroxisome proliferator-activated receptor α/γ agonist)に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、虚血性心疾患や脳血管障害などを始めとして急性あるいは慢性の種々の合併症を発症・進展させて日常生活に著しい障害をもたらす疾患である。したがって、早期発見と厳格な血糖コントロールにより、それらの合併症の発症や進展を阻止する必要がある。
糖尿病は、血糖をコントロールするインシュリンの産生・分泌が障害されている1型糖尿病と、インシュリンの産生・分泌は正常範囲から高レベルにあるがインシュリンの標的臓器や組織において感受性が低下している(すなわち、インシュリン抵抗性が高まっている)2型糖尿病に分類される。
インシュリンの主要な標的臓器や組織は、筋、脂肪組織および肝であり、筋においてはグルコースの取り込みやグリコーゲン合成を促進し、脂肪組織においてはグルコースの取り込みや利用を促進し、肝においては糖新生を抑制するとともにグリコーゲン合成を促進する。また、インシュリンは、上記のような糖代謝をコントロールするばかりではなく、脂肪組織において脂肪代謝(脂肪の合成促進や分解抑制)にも関与している。
【0003】
近年、インシュリン抵抗性を改善する薬剤として、下記構造のピオグリタゾン(piogli
tazone)等のチアゾリジンジオン誘導体(非特許文献1)が開発され、2型糖尿病患者、
特に肥満を伴う2型糖尿病患者の治療に広く使われている。
【0004】
【化1】

【0005】
これらのチアゾリジンジオン誘導体は、ペルオキシソーム増殖薬活性化受容体γ(PP
ARγ)のアゴニストであることが明らかにされている(非特許文献2)。PPARγア
ゴニストがインシュリン抵抗性を改善するメカニズムは充分には解明されていないが、イ
ンシュリン抵抗性を惹起する遊離脂肪酸などを産生・分泌する肥大脂肪細胞のアポトーシ
ス促進や前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化促進による遊離脂肪酸の取り込み・貯蔵促進
が有力な説として挙げられている。
【0006】
PPARγアゴニストであるピオグリタゾンは、特に肥満を伴う2型糖尿病患者に投与
されて高い治療効果を上げているが、その一方で体重増加や体液貯留が一部の患者で見ら
れている(非特許文献3)。前述のように糖尿病は虚血性心疾患や脳血管障害などの合併
症を発症・進展させることから、このような体重増加や体液貯留は好ましいことではない
。最近では、PPARγアゴニストにPPARαアゴニスト作用を付加したPPARα/
γアゴニストの研究が活発であり、動物モデルにおいてPPARγアゴニストよりも優れ
た糖尿病治療薬としての性質を示すことが示唆されている。例えば、db/dbマウスを
用いた試験において、PPARα/γアゴニストKRP−297がピオグリタゾンと比較
して有意に体重の増加を抑制することが示されている(非特許文献4)。また、PPAR
α/γアゴニストLY465608が用量依存的に高比重リポタンパク(HDL)を増加
させるとともに、血漿トリグリセリドを低下させ、虚血性心疾患のリスクを低減すること
が示されている(非特許文献5)。
代表的なPPARα/γアゴニストとしては、下記の化合物が挙げられる(非特許文献
6および7および特許文献1および2)。
【0007】
【化2】

【0008】
【非特許文献1】Chem. Pharm. Bull., 39, 1440-1445 (1991)
【非特許文献2】J. Biol. Chem., 270, 12953-12956 (1995)
【非特許文献3】Am. J. Med., 115 (8A), 111S-115S (2003)
【非特許文献4】Am. J. Physiol., 284, E966-E971 (2003)
【非特許文献5】Diabetes, 51, 1083-1087 (2002)
【非特許文献6】Bioorg. Med. Chem. Lett., 9, 533-538 (1999)
【非特許文献7】Chem. Pharm. Bull., 51, 138-151 (2003)
【特許文献1】WO2001−021602号公報
【特許文献2】WO2004−000785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、前記の公知PPARα/γアゴニストとは化学構造が異なり、優れた
PPARα/γアゴニスト作用を有し、医薬品として望ましい性質を有する化合物を提供
することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで本発明者は、種々検討した結果、下記一般式(I)で表される二環性化合物が、
優れたPPARα/γアゴニスト作用を示し、糖尿病の予防・治療薬として有用であるこ
とを見出し、本発明を完成した。
すなわち、一般式(I)
【0011】
【化3】

【0012】
(上記式中、
Qは、水酸基、ハロゲン原子、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、置換もしくは非置
換の低級アルキル基、および置換もしくは非置換のアミノ基の中から選ばれる1または2
個の基で置換されてもよい、ナフタレン環、テトラリン環、インダン環、ベンゾチオフェ
ン環、ジヒドロベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、ジヒドロベンゾフラン環、インド
ール環、インドリン環、ベンゾピラン環、ジヒドロベンゾピラン環、キノリン環またはイ
ソキノリン環を示し、
は、ハロゲン原子、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、フェノキシ基、置換もし
くは非置換の低級アルキル基、および置換もしくは非置換のアミノ基の中から選ばれる1
または2個の基で置換されてもよい、フェニル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピリダジ
ニル基、ピラジニル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリ
ル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサ
ジアゾリル基またはトリアゾリル基を示し、
は、水酸基、ハロゲン原子、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、置換もしくは非
置換の低級アルキル基、置換もしくは非置換のアミノ基、置換もしくは非置換のフェニル
基、および置換もしくは非置換のピリジル基の中から選ばれる1もしくは2個の基で置換
されてもよい、フェニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル
基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基
、オキサゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チア
ジアゾリル基、トリアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリル基、シンノリ
ル基、キノキサリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、インドリル基、ベンゾイミ
ダゾリル基、インダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソ
チアゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、もしくはベンゾトリアゾリル基、または、1
もしくは2個の低級アルキル基で置換されてもよいカルバモイル基を示し、
X、YおよびZは、各々独立にC、O、SまたはN(ただし、X、YおよびZの少なくと
もいずれか1つがO、SまたはNである。)を示し、
〜Rは、各々独立に水素原子または低級アルキル基を示し、あるいはRとR
たはRとRは、それらが置換している炭素原子と一緒になって3〜6員の飽和環を形
成してもよいことを示し、
、RおよびR9は、各々独立に水素原子または低級アルキル基を示し、
nは、0〜3の整数を示す。)
で表される化合物、その塩およびそれらの溶媒和物を提供するものである。
【0013】
また本発明は、上記一般式(I)で表される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物を
有効成分とする医薬を提供するものである。
また本発明は、上記一般式(I)で表される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物お
よび薬学的に許容し得る担体を含有する医薬組成物を提供するものである。
さらに本発明は、上記一般式(I)で表される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物
の、医薬製造のための使用を提供するものである。
さらにまた、本発明は、上記一般式(I)で表される化合物、その塩またはそれらの溶
媒和物の有効量を投与することを特徴とするインシュリン抵抗性に起因する疾患の処置方
法を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一般式(I)で表される化合物は、優れたPPARα/γアゴニスト作用を示
し、糖尿病の予防・治療薬として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、一般式(I)のQ、RおよびRにおける、置換してもよい基について説明
する。
【0016】
ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子および沃素原子を意味する。ハロ
ゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が好ましい。
【0017】
非置換の低級アルキル基とは、炭素数1〜6の直鎖状、分枝状および環状のアルキル基
を意味し、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、1−
メチルエチル基、1,1−ジメチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピ
ル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプ
ロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1,1−ジ
メチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメ
チルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−メチルペン
チル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、シクロ
プロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメ
チル基、シクロブチルメチル基、およびシクロペンチルメチル基を代表例として挙げるこ
とができる。これらの中で、メチル基、エチル基およびプロピル基が好ましい。
【0018】
置換低級アルキル基とは、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、ジア
ルキルアミノ基、低級アルコキシ基、カルボキシ基、低級アルコキシカルボニル基、カル
バモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、カルバモイルアミノ
基、アルキルカルバモイルアミノ基、ジアルキルカルバモイルアミノ基、アルキルスルホ
ニルアミノ基、低級アルコキシカルボニルアミノ基、および低級アルカノイルアミノ基の
中から選ばれる1〜3個の基が置換した低級アルキル基を意味し、例えば、トリフルオロ
メチル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、
2−フルオロエチル基、2−クロロエチル基、3−フルオロプロピル基、アミノメチル基
、2−アミノエチル基、3−アミノプロピル基、メチルアミノメチル基、2−メチルアミ
ノエチル基、3−メチルアミノプロピル基、ジメチルアミノメチル基、2−ジメチルアミ
ノエチル基、3−ジメチルアミノプロピル基、メトキシメチル基、2−メトキシエチル基
、3−メトキシプロピル基、カルボキシメチル基、2−カルボキシエチル基、3−カルボ
キシプロピル基、メトキシカルボニルメチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、3−
メトキシカルボニルプロピル基、カルバモイルメチル基、2−カルバモイルエチル基、3
−カルバモイルプロピル基、メチルカルバモイルメチル基、2−メチルカルバモイルエチ
ル基、3−メチルカルバモイルプロピル基、エチルカルバモイルメチル基、2−エチルカ
ルバモイルエチル基、3−エチルカルバモイルプロピル基、ジメチルカルバモイルメチル
基、2−ジメチルカルバモイルエチル基、3−ジメチルカルバモイルプロピル基、ジエチ
ルカルバモイルメチル基、2−ジエチルカルバモイルエチル基、3−ジエチルカルバモイ
ルプロピル基、カルバモイルアミノメチル基、2−カルバモイルアミノエチル基、3−カ
ルバモイルアミノプロピル基、メチルカルバモイルアミノメチル基、2−メチルカルバモ
イルアミノエチル基、3−メチルカルバモイルアミノプロピル基、エチルカルバモイルア
ミノメチル基、2−エチルカルバモイルアミノエチル基、3−エチルカルバモイルアミノ
プロピル基、ジメチルカルバモイルアミノメチル基、2−ジメチルカルバモイルアミノエ
チル基、3−ジメチルカルバモイルアミノプロピル基、ジエチルカルバモイルアミノメチ
ル基、2−ジエチルカルバモイルアミノエチル基、3−ジエチルカルバモイルアミノプロ
ピル基、メチルスルホニルアミノメチル基、2−メチルスルホニルアミノエチル基、3−
メチルスルホニルアミノプロピル基、メトキシカルボニルアミノメチル基、2−メトキシ
カルボニルアミノエチル基、3−メトキシカルボニルアミノプロピル基、エトキシカルボ
ニルアミノメチル基、2−エトキシカルボニルアミノエチル基、3−エトキシカルボニル
アミノプロピル基、アセチルアミノメチル基、2−アセチルアミノエチル基、および3−
アセチルアミノプロピル基を代表例として挙げることができる。中でも、トリフルオロメ
チル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−フルオロエチル基、2−ク
ロロエチル基、アミノメチル基、2−アミノエチル基、メチルアミノメチル基、2−メチ
ルアミノエチル基、ジメチルアミノメチル基、2−ジメチルアミノエチル基、メトキシメ
チル基、2−メトキシエチル基、カルボキシメチル基、2−カルボキシエチル基、メトキ
シカルボニルメチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、カルバモイルメチル基、2−
カルバモイルエチル基、メチルカルバモイルメチル基、2−メチルカルバモイルエチル基
、エチルカルバモイルメチル基、2−エチルカルバモイルエチル基、ジメチルカルバモイ
ルメチル基、2−ジメチルカルバモイルエチル基、ジエチルカルバモイルメチル基、2−
ジエチルカルバモイルエチル基、カルバモイルアミノメチル基、2−カルバモイルアミノ
エチル基、メチルカルバモイルアミノメチル基、2−メチルカルバモイルアミノエチル基
、エチルカルバモイルアミノメチル基、2−エチルカルバモイルアミノエチル基、ジメチ
ルカルバモイルアミノメチル基、2−ジメチルカルバモイルアミノエチル基、ジエチルカ
ルバモイルアミノメチル基、2−ジエチルカルバモイルアミノエチル基、メチルスルホニ
ルアミノメチル基、2−メチルスルホニルアミノエチル基、メトキシカルボニルアミノメ
チル基、2−メトキシカルボニルアミノエチル基、エトキシカルボニルアミノメチル基、
2−エトキシカルボニルアミノエチル基、アセチルアミノメチル基、および2−アセチル
アミノエチル基が好ましく、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキ
シエチル基、2−フルオロエチル基、アミノメチル基、2−アミノエチル基、メチルアミ
ノメチル基、2−メチルアミノエチル基、ジメチルアミノメチル基、2−ジメチルアミノ
エチル基、メトキシメチル基、2−メトキシエチル基、カルバモイルメチル基、2−カル
バモイルエチル基、メチルカルバモイルメチル基、2−メチルカルバモイルエチル基、ジ
メチルカルバモイルメチル基、2−ジメチルカルバモイルエチル基、ジエチルカルバモイ
ルメチル基、カルバモイルアミノメチル基、メチルカルバモイルアミノメチル基、エチル
カルバモイルアミノメチル基、ジメチルカルバモイルアミノメチル基、ジエチルカルバモ
イルアミノメチル基、およびメチルスルホニルアミノメチル基がより好ましく、トリフル
オロメチル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基および2−フルオロエチル
基が特に好ましい。
【0019】
低級アルケニル基とは、炭素数2〜6の直鎖状および分枝状のアルケニル基を意味し、
例えば、ビニル基、アリル基、およびブテニル基を代表例として挙げることができる。
【0020】
低級アルコキシ基とは、炭素数1〜6の直鎖状、分枝状および環状のアルキル基を有す
るアルコキシ基を意味し、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポ
キシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、ペントキシ基、およびシクロペンチルオキシ基を
代表例として挙げることができる。これらの中で、メトキシ基及びエトキシ基が好ましく
、メトキシ基がより好ましい。
【0021】
置換アミノ基とは、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、低級アルコキシカルボニ
ルアミノ基、カルバモイルアミノ基、アルキルカルバモイルアミノ基、ジアルキルカルバ
モイルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、および低級アルカノイルアミノ基を意味
し、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ペ
ンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、1−メチルエチルアミノ基、1,1−ジメチルエチ
ルアミノ基、1−メチルプロピルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプ
ロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基、ジ(1
−メチルエチル)アミノ基、メチルエチルアミノ基、メトキシカルボニルアミノ基、エト
キシカルボニルアミノ基、メチルカルバモイルアミノ基、エチルカルバモイルアミノ基、
ジメチルカルバモイルアミノ基、ジエチルカルバモイルアミノ基、メチルスルホニルアミ
ノ基、エチルスルホニルアミノ基、アセチルアミノ基、およびプロピオニルアミノ基を代
表例として挙げることができる。中でも、メチルアミノ基、エチルアミノ基、1−メチル
エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、メチルエ
チルアミノ基、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、メチルカル
バモイルアミノ基、エチルカルバモイルアミノ基、ジメチルカルバモイルアミノ基、ジエ
チルカルバモイルアミノ基、メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、ア
セチルアミノ基が好ましい。
【0022】
置換フェニル基とは、アルキル基、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ
基、ジアルキルアミノ基、低級アルコキシ基、フェノキシ基および置換もしくは非置換の
アミノ基の中から選ばれる1または2個の基が置換したものを意味する。モノ置換フェニ
ル基の具体例としては、メチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、エチルフェ
ニル基、ヒドロキシフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニ
ル基、アミノフェニル基、メチルアミノフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジメチル
アミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、メトキシフェニル基、フェノキシフェニ
ル基、メトキシカルボニルアミノフェニル基、カルバモイルアミノフェニル基、メチルカ
ルバモイルアミノフェニル基、ジメチルカルバモイルアミノフェニル基、メチルスルホニ
ルアミノフェニル基、およびアセチルアミノフェニル基を代表例として挙げることができ
、ジ置換フェニル基の具体例としては、フルオロ−メチルフェニル基、クロロ−メチルフ
ェニル基、フルオロ−ヒドロキシフェニル基、クロロ−ヒドロキシフェニル基、ジフルオ
ロフェニル基、ジクロロフェニル基、クロロ−フルオロフェニル基、アミノフルオロフェ
ニル基、アミノクロロフェニル基、フルオロ−メチルアミノフェニル基、クロロ−メチル
アミノフェニル基、ジメチルアミノ−フルオロフェニル基、ジメチルアミノ−クロロフェ
ニル基、ジエチルアミノ−フルオロフェニル基、クロロ−ジエチルアミノフェニル基、フ
ルオロ−メトキシフェニル基、クロロ−メトキシフェニル基、フルオロ−メトキシカルボ
ニルアミノフェニル基、クロロ−メトキシカルボニルアミノフェニル基、カルバモイルア
ミノ−フルオロフェニル基、カルバモイルアミノ−クロロフェニル基、フルオロ−メチル
カルバモイルアミノフェニル基、クロロ−メチルカルバモイルアミノフェニル基、ジメチ
ルカルバモイルアミノ−フルオロフェニル基、クロロ−ジメチルカルバモイルアミノフェ
ニル基、フルオロ−メチルスルホニルアミノフェニル基、クロロ−メチルスルホニルアミ
ノフェニル基、アセチルアミノ−フルオロフェニル基、およびアセチルアミノ−クロロフ
ェニル基を代表例として挙げることができる。モノ置換フェニル基としては、メチルフェ
ニル基、トリフルオロメチルフェニル基、メトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、
フルオロフェニル基、クロロフェニル基、およびブロモフェニル基が好ましく、メチルフ
ェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、メトキシフェニル基、フェノキシフェニル基
、フルオロフェニル基およびクロロフェニル基がより好ましい。ジ置換フェニル基として
は、フルオロ−メチルフェニル基、クロロ−メチルフェニル基、ジフルオロフェニル基、
ジクロロフェニル基、クロロ−フルオロフェニル基、フルオロ−メトキシフェニル基、お
よびクロロ−メトキシフェニル基が好ましく、ジフルオロフェニル基、ジクロロフェニル
、およびクロロ−フルオロフェニル基がより好ましい。
【0023】
置換ピリジル基とは、アルキル基、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ
基、ジアルキルアミノ基、低級アルコキシ基、フェノキシ基、置換もしくは非置換のアミ
ノ基の中から選ばれる1または2個の基が置換したものを意味する。モノ置換ピリジル基
の具体例としては、メチルピリジル基、トリフルオロメチルピリジル基、エチルピリジル
基、ヒドロキシピリジル基、フルオロピリジル基、クロロピリジル基、ブロモピリジル基
、アミノピリジル基、メチルアミノピリジル基、エチルアミノピリジル基、ジメチルアミ
ノピリジル基、ジエチルアミノピリジル基、メトキシピリジル基、フェノキシピリジル基
、メトキシカルボニルアミノピリジル基、カルバモイルアミノピリジル基、メチルカルバ
モイルアミノピリジル基、ジメチルカルバモイルアミノピリジル基、メチルスルホニルア
ミノピリジル基、およびアセチルアミノピリジル基を代表例として挙げることができ、ジ
置換ピリジル基の具体例としては、フルオロ−メチルピリジル基、クロロ−メチルピリジ
ル基、フルオロ−ヒドロキシピリジル基、クロロ−ヒドロキシピリジル基、ジフルオロピ
リジル基、ジクロロピリジル基、クロロ−フルオロピリジル基、アミノフルオロピリジル
基、アミノクロロピリジル基、フルオロ−メチルアミノピリジル基、クロロ−メチルアミ
ノピリジル基、ジメチルアミノ−フルオロピリジル基、ジメチルアミノ−クロロピリジル
基、ジエチルアミノ−フルオロピリジル基、クロロ−ジエチルアミノピリジル基、フルオ
ロ−メトキシピリジル基、クロロ−メトキシピリジル基、フルオロ−メトキシカルボニル
アミノピリジル基、クロロ−メトキシカルボニルアミノピリジル基、カルバモイルアミノ
−フルオロピリジル基、カルバモイルアミノ−クロロピリジル基、フルオロ−メチルカル
バモイルアミノピリジル基、クロロ−メチルカルバモイルアミノピリジル基、ジメチルカ
ルバモイルアミノ−フルオロピリジル基、クロロ−ジメチルカルバモイルアミノピリジル
基、フルオロ−メチルスルホニルアミノピリジル基、クロロ−メチルスルホニルアミノピ
リジル基、アセチルアミノ−フルオロピリジル基、およびアセチルアミノ−クロロピリジ
ル基を代表例として挙げることができる。モノ置換ピリジル基としては、メチルピリジル
基、トリフルオロメチルピリジル基、メトキシピリジル基、フェノキシピリジル基、フル
オロピリジル基、クロロピリジル基、およびブロモピリジル基が好ましく、メチルピリジ
ル基、トリフルオロメチルピリジル基、メトキシピリジル基、フェノキシピリジル基、フ
ルオロピリジル基およびクロロピリジル基がより好ましい。ジ置換ピリジル基としては、
フルオロ−メチルピリジル基、クロロ−メチルピリジル基、ジフルオロピリジル基、ジク
ロロピリジル基、クロロ−フルオロピリジル基、フルオロ−メトキシピリジル基、および
クロロ−メトキシピリジル基が好ましく、ジフルオロピリジル基、ジクロロピリジル、お
よびクロロ−フルオロピリジル基がより好ましい。
【0024】
以下に、RおよびRについて説明する。
は、ハロゲン原子、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、フェノキシ基、置換も
しくは非置換の低級アルキル基、および置換もしくは非置換のアミノ基の中から選ばれる
1または2個の基で置換されてもよいフェニル基が好ましく、具体的には、フェニル基、
フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、トリフルオロメチルフェニ
ル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、およびフルオロ
−メチルフェニル基を好ましい例として挙げることができる。
【0025】
は、水酸基、ハロゲン原子、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、置換もしくは
非置換の低級アルキル基、置換もしくは非置換のアミノ基、置換もしくは非置換のフェニ
ル基、および置換もしくは非置換のピリジル基の中から選ばれる1または2個の基で置換
されてもよい、フェニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル
基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基
、オキサゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チア
ジアゾリル基、インドリル基、ベンゾイミダゾリル基、インダゾリル基、ベンゾチアゾリ
ル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、およびベンゾイソオキサゾリル
基、並びに1または2個の低級アルキル基で置換されてもよいカルバモイル基が好ましい
。さらに、水酸基、ハロゲン原子、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、置換もしくは
非置換の低級アルキル基、置換もしくは非置換のアミノ基、置換もしくは非置換のフェニ
ル基、および置換もしくは非置換のピリジル基の中から選ばれる1または2個の基で置換
されてもよい、フェニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル
基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基
、オキサゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チア
ジアゾリル基、並びに1または2個の低級アルキル基で置換されてもよいカルバモイル基
がより好ましい。
【0026】
具体的には、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、フルオロフェニル
基、クロロフェニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、
チエニル基、メチルチエニル基、フリル基、メチルフリル基、ピロリル基、メチルピロリ
ル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、メチルピラゾリル基、チアゾリル基、メチルチア
ゾリル基、オキサゾリル基、メチルオキサゾリル基、イソチアゾリル基、メチルイソチア
ゾリル基、ジメチルイソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、メチルイソオキサゾリル基
、ジメチルイソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、ヒドロキシオキサジアゾリル基、
メチルオキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、インドリル基、メチルインドリル基、ベ
ンゾイミダゾリル基、メチルベンゾイミダゾリル基、インダゾリル基、メチルインダゾリ
ル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイ
ソオキサゾリル基、カルバモイル基、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジ
メチルカルバモイル基、およびジエチルカルバモイル基を好ましい例として挙げることが
でき、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、フルオロフェニル基、クロ
ロフェニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、チエニル
基、メチルチエニル基、フリル基、メチルフリル基、ピロリル基、メチルピロリル基、イ
ミダゾリル基、ピラゾリル基、メチルピラゾリル基、チアゾリル基、メチルチアゾリル基
、オキサゾリル基、メチルオキサゾリル基、イソチアゾリル基、メチルイソチアゾリル基
、ジメチルイソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、メチルイソオキサゾリル基、ジメチ
ルイソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、ヒドロキシオキサジアゾリル基、メチルオ
キサジアゾリル基、チアジアゾリル基、カルバモイル基、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、およびジエチルカルバモイル基をより好まし
い例として挙げることができる。
【0027】
以下に、Qについて説明する。
Qとしては、ナフタレン環、ヒドロキシナフタレン環、フルオロナフタレン環、クロロ
ナフタレン環、ブロモナフタレン環、メトキシナフタレン環、メチルナフタレン環、テト
ラリン環、ヒドロキシテトラリン環、フルオロテトラリン環、クロロテトラリン環、ブロ
モテトラリン環、メトキシテトラリン環、メチルテトラリン環、インダン環、ヒドロキシ
インダン環、フルオロインダン環、クロロインダン環、ブロモインダン環、メトキシイン
ダン環、メチルインダン環、ベンゾチオフェン環、ヒドロキシベンゾチオフェン環、フル
オロベンゾチオフェン環、クロロベンゾチオフェン環、ブロモベンゾチオフェン環、メト
キシベンゾチオフェン環、メチルベンゾチオフェン環、ジヒドロベンゾチオフェン環、ヒ
ドロキシジヒドロベンゾチオフェン環、フルオロジヒドロベンゾチオフェン環、クロロジ
ヒドロベンゾチオフェン環、ブロモジヒドロベンゾチオフェン環、メトキシジヒドロベン
ゾチオフェン環、メチルジヒドロベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、ヒドロキシベン
ゾフラン環、フルオロベンゾフラン環、クロロベンゾフラン環、ブロモベンゾフラン環、
メトキシベンゾフラン環、メチルベンゾフラン環、ジヒドロベンゾフラン環、ヒドロキシ
ジヒドロベンゾフラン環、フルオロジヒドロベンゾフラン環、クロロジヒドロベンゾフラ
ン環、ブロモジヒドロベンゾフラン環、メトキシジヒドロベンゾフラン環、メチルジヒド
ロベンゾフラン環、インドール環、ヒドロキシインドール環、フルオロインドール環、ク
ロロインドール環、ブロモインドール環、メトキシインドール環、メチルインドール環、
インドリン環、ヒドロキシインドリン環、フルオロインドリン環、クロロインドリン環、
ブロモインドリン環、メトキシインドリン環、メチルインドリン環、ベンゾピラン環、ヒ
ドロキシベンゾピラン環、フルオロベンゾピラン環、クロロベンゾピラン環、ブロモベン
ゾピラン環、メトキシベンゾピラン環、メチルベンゾピラン環、ジヒドロベンゾピラン環
、ヒドロキシジヒドロベンゾピラン環、フルオロジヒドロベンゾピラン環、クロロジヒド
ロベンゾピラン環、ブロモジヒドロベンゾピラン環、メトキシジヒドロベンゾピラン環、
メチルジヒドロベンゾピラン環、キノリン環、ヒドロキシキノリン環、フルオロキノリン
環、クロロキノリン環、ブロモキノリン環、メトキシキノリン環、メチルキノリン環、イ
ソキノリン環、ヒドロキシイソキノリン環、フルオロイソキノリン環、クロロイソキノリ
ン環、ブロモイソキノリン環、メトキシイソキノリン環、およびメチルイソキノリン環を
具体例として挙げることができる。
【0028】
ナフタレン環、フルオロナフタレン環、クロロナフタレン環、メトキシナフタレン環、
メチルナフタレン環、テトラリン環、フルオロテトラリン環、クロロテトラリン環、メト
キシテトラリン環、メチルテトラリン環、インダン環、フルオロインダン環、クロロイン
ダン環、メトキシインダン環、メチルインダン環、ベンゾチオフェン環、フルオロベンゾ
チオフェン環、クロロベンゾチオフェン環、メトキシベンゾチオフェン環、メチルベンゾ
チオフェン環、ジヒドロベンゾチオフェン環、フルオロジヒドロベンゾチオフェン環、ク
ロロジヒドロベンゾチオフェン環、メトキシジヒドロベンゾチオフェン環、メチルジヒド
ロベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、フルオロベンゾフラン環、クロロベンゾフラン
環、メトキシベンゾフラン環、メチルベンゾフラン環、ジヒドロベンゾフラン環、フルオ
ロジヒドロベンゾフラン環、クロロジヒドロベンゾフラン環、メトキシジヒドロベンゾフ
ラン環、メチルジヒドロベンゾフラン環、インドール環、フルオロインドール環、クロロ
インドール環、メトキシインドール環、メチルインドール環、インドリン環、フルオロイ
ンドリン環、クロロインドリン環、メトキシインドリン環、メチルインドリン環、ベンゾ
ピラン環、フルオロベンゾピラン環、クロロベンゾピラン環、メトキシベンゾピラン環、
メチルベンゾピラン環、ジヒドロベンゾピラン環、フルオロジヒドロベンゾピラン環、ク
ロロジヒドロベンゾピラン環、メトキシジヒドロベンゾピラン環、メチルジヒドロベンゾ
ピラン環、キノリン環、フルオロキノリン環、クロロキノリン環、メトキシキノリン環、
メチルキノリン環、イソキノリン環、フルオロイソキノリン環、クロロイソキノリン環、
メトキシイソキノリン環、およびメチルイソキノリン環を好ましい具体例として挙げるこ
とができる。
【0029】
ナフタレン環、フルオロナフタレン環、クロロナフタレン環、メトキシナフタレン環、
メチルナフタレン環、テトラリン環、メチルテトラリン環、インダン環、メチルインダン
環、ベンゾチオフェン環、メチルベンゾチオフェン環、ジヒドロベンゾチオフェン環、メ
チルジヒドロベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、メトキシベンゾフラン環、メチルベ
ンゾフラン環、ジヒドロベンゾフラン環、メチルジヒドロベンゾフラン環、インドール環
、メチルインドール環、インドリン環、メチルインドリン環、ベンゾピラン環、メチルベ
ンゾピラン環、ジヒドロベンゾピラン環、メチルジヒドロベンゾピラン環、キノリン環、
メチルキノリン環、イソキノリン環、およびメチルイソキノリン環をより好ましい具体例
として挙げることができ、特にナフタレン環が好ましい。
【0030】
以下に、R〜Rおよびnについて説明する。
およびRとしては、水素原子、メチル基およびエチル基が好ましく、水素原子お
よびメチル基がより好ましく、水素原子がより好ましい。
およびRとしては、水素原子、メチル基、およびエチル基が好ましく、またR
とRが結合している炭素原子と一緒になって形成する3〜6員の飽和環も好ましい。R
およびRとしては、水素原子およびメチル基がより好ましく、特に、メチル基が好ま
しい。
としては、水素原子、メチル基、エチル基、およびtert−ブチル基が好ましい

およびRとしては、各々独立に水素原子、メチル基、およびエチル基が好ましく
、水素原子およびメチル基がより好ましい。
nは、0〜3の整数であるが、0〜2が好ましく、1がより好ましい。
【0031】
一般式(I)中のX、YおよびZを含む環は、5員の複素環を意味し、チオフェン環、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、オキサジアゾール環、およびトリアゾール環を具体例として挙げることができる。
【0032】
上記の5員環に置換基Rおよび/またはR9が置換したものとしては、メチル基また
はエチル基1個が置換したチオフェン環、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラ
ゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、お
よびトリアゾール環、メチル基2個が置換したチオフェン環、フラン環、ピロール環、イ
ミダゾール環、およびピラゾール環を好ましい例として挙げることができる。それらの中
では、メチル基1個が置換したチオフェン環、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、
ピラゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環
、およびトリアゾール環がより好ましく、メチル基1個が置換したピロール環、ピラゾー
ル環、チアゾール環、およびオキサゾール環が特に好ましい。なお、上記の5員環がチア
ゾール環、オキサゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、およびトリアゾー
ル環である場合には、置換基R9はないものとみなす。
【0033】
本発明の一般式(I)で示される化合物には、立体異性体あるいは不斉炭素原子に由来
する光学異性体が存在することもあるが、これらの立体異性体、光学異性体及びこれらの
混合物のいずれも本発明に含まれる。
【0034】
本発明の一般式(I)で示される化合物の塩としては、医薬的に許容し得る塩であれば
特に限定されないが、具体的には、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、燐酸塩、硝
酸塩および硫酸塩等の鉱酸塩類、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ヒドロキシエタ
ンスルホン酸塩およびp−トルエンスルホン酸塩等の有機スルホン酸塩類、並びに酢酸塩
、プロパン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、グルタル酸塩、アジピン酸塩、
酒石酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩およびマンデル酸塩等の有機カルボン酸塩類等を挙
げることができる。
【0035】
また、一般式(I)で示される化合物が酸性基を有する場合には、アルカリ金属イオン
またはアルカリ土類金属イオンの塩となってもよい。溶媒和物としては、医薬的に許容し
得るものであれば特に限定されないが、具体的には、水和物、エタノール和物等を挙げる
ことができる。
【0036】
以下に、本発明中の化合物の代表的な合成方法について説明する。
先ず、IaおよびIb型の化合物(R2が置換されてもよい、フェニル基、ピリジル基
、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基
、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イソチアゾリル基、
イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、キノリル基、イソキノリル
基、キナゾリル基、シンノリル基、キノキサリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基
、インドリル基、ベンゾイミダゾリル基、インダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾ
オキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基またはベンゾトリ
アゾリル基を表す場合)の合成方法について説明する。
【0037】
【化4】

【0038】
化合物(3)は、化合物(1)とアルデヒド(2)を還元剤の存在下に反応させること
により合成することができる。酢酸等の酸の存在下または非存在下に、化合物(1)とア
ルデヒド(2)からシッフ塩基を生成させた後に還元剤を作用させて化合物(3)を得る
。この場合、化合物(1)とアルデヒド(2)を溶媒に溶解し、シッフ塩基の生成を確認
することなく還元剤を作用させることによっても、化合物(3)を合成することができる
。通常、化合物(1)に対してアルデヒド(2)を等モルまたは過剰モルを用いる。還元
剤としては水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水
素化ホウ素ナトリウム等の水素化金属錯体が挙げられ、化合物(1)に対して通常等モル
または過剰モル、好ましくは3モルから5モルの還元剤を用いる。反応溶媒としては、メ
タノールやエタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、ジク
ロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化アルカンを挙げることができる。反応温度は、
−20℃から用いる溶媒の沸点まで、好ましくは0℃から50℃であり、反応時間は15
分から24時間、好ましくは30分から10時間程度である。
【0039】
化合物3から化合物(Ia)の合成は、化合物(3)とアルデヒド(4)を還元剤の存
在下に作用させることにより達成される。通常、化合物(3)に対してアルデヒド(4)
を等モルまたは過剰モルを用いる。還元剤としては水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素
化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム等の水素化金属錯体、好ま
しくはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムが挙げられ、化合物(3)に対して通常等
モルまたは過剰モル、好ましくは2モルから3モルの還元剤を用いる。反応溶媒としては
ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化アルカンが挙げられ、反応温度は0℃から
40℃、好ましくは0℃から30℃であり、反応時間は1時間から48時間、好ましくは
1時間から30時間程度である。
【0040】
化合物(Ia)から化合物(Ib)の合成は、エステルの種類によって異なるが、文献
記載の方法[プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protecti
ve Groups in Organic Synthesis)、第2版、T.W.グリーン(T. W. Green)、P.
G.M.ウッツ(P. G. M. Wuts)著、John Wiley & Son社(1991年)を参照]また
はそれに準ずる方法に従って行うことができる。酸または塩基を用いる加水分解反応、パ
ラジウム−炭素等の触媒の存在下に行う水素化反応、トリフルオロ酢酸を用いて行う方法
が挙げられる。例えば、塩基を用いる加水分解反応では、水酸化リチウム、水酸化ナトリ
ウム等の水酸化金属塩や炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩を化合物(Ia)に対
して等モルないし過剰モル作用させることにより行う。溶媒としてはメタノール、エタノ
ール等のアルコール類、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、または水、およびそれ
らの混合溶媒が挙げられる。反応温度は0℃から100℃、好ましくは0℃から60℃で
ある。反応時間は、エステルの種類によって異なるが、通常1時間から72時間、好まし
くは1時間から24時間程度である。化合物(Ia)のRがtert−ブチル基の場合
、トリフルオロ酢酸、塩酸等の酸を作用させる方法により行うことができる。トリフルオ
ロ酢酸、塩酸は過剰モルを用いる。溶媒としてはジクロロメタン、ジオキサン等の溶媒が
挙げられ、反応温度は0℃から用いる溶媒の沸点まで、好ましくは0℃から30℃であり
、反応時間は1時間から48時間、好ましくは1時間から24時間である。
【0041】
また、上記合成法1−1で製造した化合物(Ia)は、下記合成法1−2に示すように
化合物(5)を経由しても合成することが可能である。
【0042】
【化5】

【0043】
化合物(5)は、化合物(1)とアルデヒド(4)を還元剤の存在下に反応させること
により合成することができる。酢酸等の酸の存在下または非存在下に、化合物(1)とア
ルデヒド(4)からシッフ塩基を生成させた後に還元剤を作用させて化合物(5)を得る
。この場合、化合物(1)とアルデヒド(4)を溶媒に溶解し、シッフ塩基の生成を確認
することなく還元剤を作用させることによっても、化合物(5)を合成することができる
。通常、化合物(1)に対してアルデヒド(4)を等モルまたは過剰モルを用いる。還元
剤としては水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水
素化ホウ素ナトリウム等の水素化金属錯体が挙げられ、化合物(1)に対して通常等モル
あるいは過剰モル、好ましくは3モルから5モルの還元剤を用いる。反応溶媒としては、
メタノールやエタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、ジ
クロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化アルカンを挙げることができる。反応温度は
、−20℃から用いる溶媒の沸点まで、好ましくは0℃から50℃であり、反応時間は1
5分から24時間、好ましくは30分から10時間程度である。
【0044】
化合物(5)から化合物(Ia)の合成は、化合物(5)とアルデヒド(2)を還元剤
の存在下に作用させることにより達成される。通常、化合物(5)に対してアルデヒド(
2)を等モルあるいは過剰モルを用いる。還元剤としては水素化ホウ素ナトリウム、シア
ノ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム等の水素化金属錯体
、好ましくはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムが挙げられ、化合物6に対して通常
等モルあるいは過剰モル、好ましくは2モルから3モルの還元剤を用いる。反応溶媒とし
てはジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化アルカンが挙げられ、反応温度は0℃
から40℃まで、好ましくは0℃から30℃であり、反応時間は1時間から48時間、好
ましくは1時間から30時間程度である。
【0045】
続いて、IcおよびId型化合物(R2が1または2個の低級アルキル基で置換されて
もよいカルバモイル基を表す場合)の合成方法について説明する。
【0046】
【化6】

【0047】
化合物(3)から化合物(7)の合成は、化合物(3)とグリオキシル酸(6)にトリ
アセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナト
リウム等の水素化金属錯体、好ましくはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを作用さ
せることにより行う。通常、化合物(3)に対してグリオキシル酸(6)を等モルまたは
過剰モルを用いる。水素化金属錯体は化合物(3)に対して通常等モルまたは過剰モル、
好ましくは2モルから3モル程度用いる。反応溶媒としてはジクロロメタン、クロロホル
ム等の不活性溶媒が挙げられ、反応温度は0℃から40℃まで、好ましくは0℃から30
℃程度であり、反応時間は1時間から48時間、好ましくは1時間から10時間程度であ
る。
【0048】
化合物(7)から化合物(Ic)の合成は、化合物(7)にアミン(8)を縮合剤の存
在下に作用させて行うことができる。例えば、化合物(7)に対してアミン(8)を等モ
ルないし過剰モルを不活性溶媒中で−50℃ないし反応に用いる溶媒の沸点まで、好まし
くは0℃から30℃において縮合剤の存在下に作用させることにより行われる。反応時間
は10分から48時間、好ましくは30分から12時間程度である。縮合剤としては、N
,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロ
ピル)カルボジイミド、シアノリン酸ジエチル、ベンゾトリアゾリルオキシ−トリス[ピ
ロリジノ]−ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート、2−(1H−ベンゾトリアゾ
ール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボレート
等を挙げることができ、化合物(7)に対して等モルないし過剰モル、好ましくは1〜5
モルを用いる。不活性溶媒としては、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、
テトラヒドロフラン、酢酸エチル等の溶媒、またはそれらの混合物が挙げられる。また、
必要によりトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリンや4
−ジメチルアミノピリジン等の塩基の存在下に行うことができる。さらに、1−ヒドロキ
シベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシフタルイミド等
のN−ヒドロキシ化合物もしくは4−ニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、
2,4,5−トリクロロフェノール、ペンタクロロフェノール等のフェノール化合物を反
応促進剤として添加することができる。
【0049】
化合物(Ic)から化合物(Id)の合成は、合成法1−1における化合物(Ia)か
ら化合物(Ib)の合成の場合と同様の方法により行うことができる。
【0050】
なお、前記合成法1−1において用いた化合物(4)の合成法については、下記合成法
3の通りにして合成することができる。
【0051】
【化7】

【0052】
化合物(4)の合成は、化合物(9)に対して化合物(10)を塩基の存在下に作用さ
せて行うことができる。化合物(9)に対して化合物(10)を過剰モルの炭酸セシウム
、炭酸カリウム等の炭酸塩またはトリエチルアミン等の三級アミン類の存在下に作用させ
る。溶媒としてはN,N−ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン等の不活性溶媒を用い
る。反応温度は、室温から用いる溶媒の沸点まで、反応時間は1時間から3日間、好まし
くは1時間から1日程度である。
【0053】
本発明の化合物(I)を糖尿病の予防・治療薬は、種々の製剤を用いて経口投与される
。その製剤に用いられる本発明の化合物(I)は、遊離体、塩またはそれらの水和物もし
くは溶媒和物のいずれでもよい。本発明の化合物(I)を含有する経口用製剤としては、
錠剤、細粒剤、散剤、顆粒剤、およびカプセル剤を挙げることができ、錠剤およびカプセ
ル剤が好ましい。これらの経口用製剤は、製剤学上許容される添加物を含み、例えば充填
剤類、増量剤類、結合剤類、崩壊剤類、溶解促進剤類、湿潤剤類、潤滑剤類等を必要に応
じて選択して使用することができる。
また、投与量については、一人当たり一日に0.1mg〜1500mgが好ましく、特
に1mg〜500mgが好ましい。この投与量は、1日1回でもよく、2〜3回に分けて
もよい。
【実施例】
【0054】
以下に実施例を示して本発明を説明する。
[参考例1]
フラン−2−イルメチル−(5−メチル−2−フェニルオキサゾール−4−イルメチル)アミン
【0055】
【化8】

【0056】
フラン−2−カルバルデヒド(13.5g)と5−メチル−2−フェニルオキサゾール
−4−イルメチルアミン(26.5g)をクロロホルム(150ml)に溶解し3時間加
熱還流した。減圧下溶媒を留去し、残渣をメタノール(500ml)に溶解し、氷水冷下
、水素化ホウ素ナトリウム(10g)を加え、室温にて3時間攪拌した。酢酸エチルエス
テル(500ml)、水(50ml)を加え分液し、酢酸エチルエステル層を飽和食塩水
にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラム
クロマトグラフィー(酢酸エチル)に付すことにより標題化合物(15.5g)を油状物
質として得た。
【0057】
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:1.65−1.75(1H,br−s),2.35(3H,s),3.69(2H,s),3.89(2H,s),6.20−6.22(1H,m),6.30−6.32(1H,m),7.36−7.47(4H,m),7.97−8.01(2H,m).
【0058】
[参考例2]
2−(4−ホルミルナフタレン−1−イルオキシ)−2−メチルプロパン酸 エチルエステル
【0059】
【化9】

【0060】
4−ヒドロキシナフタレン−1−カルバルデヒド(2.0g)をジメチルホルムアミド
(30ml)に溶解し、炭酸セシウム(3.0g)と2−ブロモ−2−メチルプロパン酸
エチルエステル(5ml)を加え80℃にて12時間攪拌した。室温に戻した後、水(
40ml)を加えて酢酸エチル(200ml)、で抽出した。飽和食塩水にて洗浄後、無
水硫酸ナトリウムにて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:3)に付すことにより標題化合物(2.4g)
を固体として得た。
【0061】
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:1.19(3H,t,J=7.1Hz),1.82(6H,s),4.23(2H,q,J=7.1Hz),6.70(1H,q,J=8.1Hz),7.55−7.61(1H,m),7.66−7.73(1H,m),7.87(1H,q,J=8.1Hz),8.38(1H,q,J=8.3Hz),9.29(1H,q,J=8.3Hz),10.22(1H,s).
【0062】
[参考例3]
2−メチル−2−[4−[[(5−メチル−2−フェニルオキサゾール−4−イルメチル)アミノ]メチル]ナフタレン−1−イルオキシ]プロピオン酸 エチルエステル
【0063】
【化10】

【0064】
参考例2の化合物(1.15g)と5−メチル−2−フェニルオキサゾール−4−イル
メチルアミン(0.75g)をクロロホルム(50ml)に溶解し、1時間加熱還流した
。放冷後、減圧下溶媒を留去した。残渣をメタノール(40ml)に溶解し、水素化ホウ
素ナトリウム(285mg)を加えて室温で13時間攪拌した。減圧下溶媒を留去し、残
渣に水を加えて酢酸エチルで抽出した。飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥
し、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)
で精製して標題化合物(1.46g)を淡黄色油状物質として得た。
【0065】
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:1.24(3H,t,J=7.1Hz),1.57−1.62(1H,br−s),1.70(6H,s),2.35(3H,s),3.78(2H,s),4.18(2H,s),4.24 (2H,q,J=7.1Hz),6.65(1H,d,J=7.8Hz),7.30(1H,d,J=7.8Hz),7.30−7.80(5H,m),7.99−8.03(2H,m),8.08−8.10(1H,m),8.30−8.34 (1H,m).
【0066】
[参考例4]
2−[4−[[カルボキシメチル−(5−メチル−2−フェニルオキサゾール−4−イルメチル)アミノ]メチル]ナフタレン−1−イルオキシ]−2−メチルプロピオン酸 エチルエステル
【0067】
【化11】

【0068】
参考例3の化合物(458mg)とグリオキシル酸(150mg)をテトラヒドロフラ
ン(5ml)に溶解し、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(270mg)を加えて
、室温で11時間攪拌した。水を加えて酢酸エチルで抽出後、無水硫酸ナトリウムで乾燥
した。減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール−
ジクロロメタン)で精製して標題化合物(115mg)を油状物質として得た。
【0069】
[実施例1]
(1)2−[4−[[フラン−2−イルメチル−(5−メチル−2−フェニルオキサゾール−4−イルメチル)]アミノ]メチル]ナフタレン−1−イルオキシ]−2−メチルプロパン酸 エチルエステル
【0070】
【化12】

【0071】
参考例1の化合物(135mg)と参考例2の化合物(144mg)をジクロロメタン
(5ml)に溶解し、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(215mg)を加え室温
にて3時間攪拌した。水(10ml)を加えて酢酸エチル(50ml)で抽出し、飽和食
塩水にて洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:3)に付すことにより標題
化合物(215mg)を油状物質として得た。
【0072】
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:1.19(3H,t,J=7.1Hz),1.80(6H,s),1.99(3H,s),3.70(2H,s),3.97(2H,s),4.20(2H,s),4.23(2H,q,J=7.1Hz),6.35−6.90(4H,m),7.35−7.61(6H,m),7.66−7.73(1H,m),7.87(1H,q,J=8.1Hz),8.38(1H,q,J=8.3Hz),9.29(1H,q,J=8.3Hz).
【0073】
(2)2−[4−[[フラン−2−イルメチル−(5−メチル−2−フェニルオキサゾール−4−イルメチル)]アミノ]メチル]ナフタレン−1−イルオキシ]−2−メチルプロパン酸
【0074】
【化13】

【0075】
実施例1−(1)の化合物(215mg)をテトラヒドロフラン(3ml)に溶解し、
1規定水酸化ナトリウム水溶液(3ml)、メタノール(3ml)を加え、5時間攪拌し
た。1規定塩酸水溶液(3ml)を加え中和した後、酢酸エチル(50ml)にて抽出し
、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。減圧下濃縮し、標題化合物(134.0mg)を油
状物質として得た。
【0076】
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:1.70(6H,s),1.99(3H,s),3.70−3.72(3H,m),3.97(2H,s),4.20(2H,s),6.35−6.42(2H,m),6.89(1H,d,J=7.8Hz),7.30−7.47(6H,m),7.55(1H,d,J=8.1Hz),7.97−8.03(3H,m),8.25−8.28(1H,m).
【0077】
[実施例2]
(1)2−メチル−2−[4−[(5−メチル−2−フェニルオキサゾール−4−イルメチル)チアゾール−2−イルメチルアミノ]メチル]ナフタレン−1−イルオキシ]プロパン酸 エチルエステル
【0078】
【化14】

【0079】
参考例3の化合物(222mg)と2−ホルミルチアゾール(56mg)をジクロロメ
タン(5ml)に溶解し、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(276mg)を加え
て、室温で4時間攪拌した。水を加えて酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥
後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:
ヘキサン=1:3)で精製して標題化合物(191mg)を油状物質として得た。
【0080】
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:1.18(3H,t,J=7.1Hz),1.71(6H,s),2.22(3H,s),3.72(2H,s),4.09(2H,s),4.15(2H,s),4.22(2H,q,J=7.1Hz),6.63(1H,d,J=8.3Hz),7.22(1H,d,J=3.4Hz),7.37−7.50(6H,m),7.65(1H,d,J=3.4Hz),8.00−8.05(2H,m),8.22−8.30(2H,m).
【0081】
(2)2−メチル−2−[4−[(5−メチル−2−フェニルオキサゾール−4−イルメチル)チアゾール−2−イルメチルアミノ]メチル]ナフタレン−1−イルオキシ]プロパン酸
【0082】
【化15】

【0083】
実施例1−(2)と同様にして、実施例2−(1)の化合物(191mg)から合成し
、標題化合物(147mg)を無色固体として得た。
【0084】
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:1.45−1.47(7H,brs),2.15(3H,s),3.63(2H,s),3.94(2H,s),4.00(2H,s),6.63(1H,d,J=7.8Hz),7.06(1H,d,J=3.4Hz),7.12(1H,d,J=8.1Hz),7.26−7.32(1H,m),7.35−7.45(4H,m),7.56(1H,d,J=3.4Hz),7.98−8.02(2H,m),8.11(1H,d,J=8.3Hz),8.16(1H,d,J=8.3Hz).
【0085】
[実施例3]
(1)2−メチル−2−[4−[[メチルカルバモイルメチル−(5−メチル−2−フェニルオキサゾール−4−イルメチル)アミノ]メチル]ナフタレン−1−イルオキシ]プロピオン酸 エチルエステル
【0086】
【化16】

【0087】
参考例4の化合物(115mg)をジクロロメタン(3ml)に溶解し、メチルアミン
(2Mテトラヒドロフラン溶液、0.6ml)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ
プロピル)カルボジイミド 塩酸塩(210mg)と1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
(12mg)を加えて、室温で10時間攪拌した。酢酸エチルで希釈し、水および飽和食
塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール:ジクロロメタン=1:10)で精製して標
題化合物(81mg)を油状物質として得た。
【0088】
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:1.20(3H,t,J=7.1Hz),1.72(6H,s),2.39(3H,s),2.49(3H,s),3.19(2H,s),3.65(2H,s),4.00(2H,s),4.24(2H,q,J=7.1Hz),6.58(1H,d,J=7.8Hz),7.21(1H,d,J=7.8Hz),7.35−7.52(6H,m),8.03−8.13(3H,m),8.26−8.31(1H,m).
【0089】
(2)2−メチル−2−[4−[[メチルカルバモイルメチル−(5−メチル−2−フェニルオキサゾール−4−イルメチル)アミノ]メチル]ナフタレン−1−イルオキシ]プロピオン酸
【0090】
【化17】

【0091】
実施例1−(2)と同様にして、実施例3−(1)の化合物(81mg)から合成し、
標題化合物(62mg)を無色固体として得た。
【0092】
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:1.83(6H,s),2.28−2.3
4(3H,br−s),2.29(3H,s),3.20−3.35(2H, br−s
), 3.67−3.81(2H,br−s),3.90−4.07(2H,br−s)
,6.67−6.74(1H,m),7.15−7.20(1H, m),7.38−7
.51(7H,m),8.00−8.10(3H,m),8.25−8.31(1H,m
).
【0093】
[試験例1]
GAL4−mPPAR トランスアクチベーションアッセイ
(a)プラスミド
GAL4 DNA結合領域−PPARリガンド結合領域の融合蛋白発現プラスミドpFA−mPPARα/GAL4およびpFA−mPPARγ/GAL4は、それぞれmPPARαおよびmPPARγのLBD cDNAを、CMVプロモーター下に酵母のGAL4 DNA結合領域(GAL4 DBD)を持つ市販の発現ベクター(pFA trans−Activator plasmids,STRATAGENE社)に組み込むことで得た。レポーター蛋白発現プラスミドは、分泌型アルカリフォスファターゼ(SEAP)のcDNA上流にGAL4応答領域(GAL4 UAS)を持つ市販のプラスミド(pFR−SEAP,STRATAGENE社)を使用した。
【0094】
(b)細胞培養およびトランスアクチべーションアッセイ
10%ウシ胎仔血清(Hyclone社)、100単位/mLペニシリンGおよび100mg/mL硫酸ストレプトマイシンを含む高グルコースのダルベッコの調整イーグル培地(DMEM)にHEK293T細胞を懸濁し、24ウェル細胞培養プレートに8×104個/ウェルの密度で播種した。5%CO2の加湿雰囲気下に37℃で24時間培養後、製造業者の説明に従ってリポフェクトアミン(Lipofectamine,Invitrogen社)およびプラス試薬(Plus Reagent,Invitrogen社)を用いて無血清条件下でトランスフェクションを行った。すなわち、リポフェクトアミン0.48μL、pFA−PPAR/GAL4発現プラスミド0.060μg、pFR−SEAP0.060μgを含む225μLのトランスフェクション用培地(OPTI−MEM,Invitrogen社)中、5%CO2雰囲気下に37℃で、細胞を5時間インキュベートした。次に、10%ウシ胎仔血清、100単位/mLペニシリンGおよび100mg/mL硫酸ストレプトマイシンおよび指定の2倍濃度の被験化合物を含む新鮮な高グルコースDMEMを等容量添加し、細胞を約48時間インキュベートした。化合物をDMSO中で可溶化したことから、同等濃度のDMSOとともに対照細胞のインキュベーションを行った。なお、最終DMSO濃度は0.1%以下であり、その濃度はトランスアクチベーション活性には影響しないことが明らかになっている。インキュベーション終了後、培養上清を回収し、キット(Reporter assay kit−SEAP,TOYOBO社)を用いて製造業者の説明に従ってSEAP活性を測定した。すなわち、培養上清5μLに等量の内在性アルカリフォスファターゼ阻害液を加えて37℃で30分間インキュベートし、次に化学発光基質(Lumiphos PLUS,Lumigen)を100μL添加して37℃で15分間インキュベートした後、発光をマルチラベルカウンター(ARVOsx,Perkin Elmer)を用いて測定した。上記操作により得られた値と被験化合物の濃度との関係をプロットし、EC50値を求めた。
【0095】
<試験結果>
下表に示すように、本発明の化合物は、強力なGAL4−mPPAR トランスア クチベーション活性を示した。
【0096】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

(上記式中、
Qは、水酸基、ハロゲン原子、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、置換もしくは非置
換の低級アルキル基、および置換もしくは非置換のアミノ基の中から選ばれる1または2
個の基で置換されてもよい、ナフタレン環、テトラリン環、インダン環、ベンゾチオフェ
ン環、ジヒドロベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、ジヒドロベンゾフラン環、インド
ール環、インドリン環、ベンゾピラン環、ジヒドロベンゾピラン環、キノリン環またはイ
ソキノリン環を示し、
は、ハロゲン原子、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、フェノキシ基、置換もし
くは非置換の低級アルキル基、および置換もしくは非置換のアミノ基の中から選ばれる1
または2個の基で置換されてもよい、フェニル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピリダジ
ニル基、ピラジニル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリ
ル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサ
ジアゾリル基またはトリアゾリル基を示し、
は、水酸基、ハロゲン原子、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、置換もしくは非
置換の低級アルキル基、置換もしくは非置換のアミノ基、置換もしくは非置換のフェニル
基、および置換もしくは非置換のピリジル基の中から選ばれる1もしくは2個の基で置換
されてもよい、フェニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル
基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基
、オキサゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チア
ジアゾリル基、トリアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリル基、シンノリ
ル基、キノキサリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、インドリル基、ベンゾイミ
ダゾリル基、インダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソ
チアゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基もしくはベンゾトリアゾリル基、または、1も
しくは2個の低級アルキル基で置換されてもよいカルバモイル基を示し、
X、YおよびZは、各々独立にC、O、SまたはN(ただし、X、YおよびZの少なくと
もいずれか1つがO、SまたはNである。)を示し、
〜Rは、各々独立に水素原子または低級アルキル基を示し、あるいはRとR
たはRとRは、それらが置換している炭素原子と一緒になって3〜6員の飽和環を形
成してもよいことを示し、
、RおよびR9は、各々独立に水素原子または低級アルキル基を示し、
nは、0〜3の整数を示す。)で表される化合物、その塩およびそれらの溶媒和物。
【請求項2】
一般式(I)中のX、YおよびZを含む5員環が、オキサゾール環またはチアゾール環
である請求項1に記載の化合物、その塩およびそれらの溶媒和物。
【請求項3】
Qが、ナフタレン環、フルオロナフタレン環、クロロナフタレン環、メトキシナフタレ
ン環、またはメチルナフタレン環である請求項1または2に記載の化合物、その塩および
それらの溶媒和物。
【請求項4】
が、ハロゲン原子、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、フェノキシ基、置換も
しくは非置換の低級アルキル基、および置換もしくは非置換のアミノ基の中から選ばれる
1または2個の基で置換されてもよいフェニル基である請求項1〜3のいずれかに記載の
化合物、その塩およびそれらの溶媒和物。
【請求項5】
が、水酸基、ハロゲン原子、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、置換もしくは
非置換の低級アルキル基、置換もしくは非置換のアミノ基、置換もしくは非置換のフェニ
ル基、および置換もしくは非置換のピリジル基の中から選ばれる1または2個の基で置換
されてもよい、フェニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル
基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基
、オキサゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基または
チアジアゾリル基である請求項1〜4のいずれかに記載の化合物、その塩およびそれらの
溶媒和物。
【請求項6】
が、1または2個の低級アルキル基で置換されてもよいカルバモイル基である請求
項1〜4のいずれかに記載の化合物、その塩およびそれらの溶媒和物。
【請求項7】
請求項1記載の一般式(I)で表される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物を有効
成分とする医薬。
【請求項8】
請求項1記載の一般式(I)で表される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物及び薬
学的に許容し得る担体を含有する医薬組成物。
【請求項9】
請求項1記載の一般式(I)で表される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物の、医
薬製造のための使用。

【公開番号】特開2007−230868(P2007−230868A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−99200(P2004−99200)
【出願日】平成16年3月30日(2004.3.30)
【出願人】(000002831)第一製薬株式会社 (129)
【Fターム(参考)】