説明

二酸化チタンゾル、その製造方法及びこれを含む被覆組成物

本発明は高濃度で単分散された二酸化チタンゾル、その製造方法、それを含む被覆組成物に関係がある。特に、反応溶液中のチタニア前躯体を含む反応液の温度を何処まで昇温して製造するか、酸性触媒を反応液に加えてゾル−ゲル反応を進め、反応容器の溶液を除去し、製造した二酸化チタンを乾燥させて分散溶媒中に再分散して二酸化チタンゾルを製造する方法、二酸化チタンゾルを含む中屈折及び高屈折コーティング膜用被覆組成物に関する発明である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(a)発明の属する技術分野
本発明は透明性を要する眼鏡、産業安全鏡、レジャー用ゴーグルに中屈折または高屈折充填材として直接使用されてコーティング膜を容易に形成するための二酸化チタンゾル、その製造方法及び前記二酸化チタンゾルを含む被覆組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(b)従来の技術
二酸化チタンは金属酸化物の中で最も高い屈折率を有し、白色度及び着色力が優れて、比較的に正確な粒度で分散が可能である。したがって、ペイント、インク、プラスチック、製紙、ゴムと繊維の光沢度調節と化学繊維及び合成繊維の耐久性向上のための充填材として利用されるだけでなく、電子材料、テレビブラウン管、溶接棒被覆剤などの多様な分野に使用される。
【0003】
一般に二酸化チタンは結晶形によりアナターゼ(Anatase)とルチル(Rutile)に分かれ、それぞれのアナターゼ及びルチル二酸化チタンは相異なる結晶構造によって互いに異なる物理的な特性を示す。特に、ルチル二酸化チタンの屈折率は2.72でアナターゼ二酸化チタンの屈折率である2.52より高く、数nmサイズの球形に製造することが難しい。
【0004】
多様なコーティング層に対する一般的な二酸化チタンの適用は蒸着法を含む乾式コーティング及びコーティング液を利用する湿式コーティングによって行われた。湿式コーティングのためのコーティング液は二酸化チタンが溶媒内に均等に分散されている二酸化チタンゾルの形態で準備された。
【0005】
しかし、公知のように二酸化チタンは化学的に安定でフッ酸と加熱した濃い硫酸及び溶融アルカリ塩以外の酸、アルカリ、水または有機溶媒などに溶けなくてゾル形態の製造が難しい。また、三酸化硫黄(SO3)、塩素ガスなどの反応性の強いガスにも常温常圧で反応しないのでハードコーティング液の製造に多くの困難がある。
【0006】
これによって安定な分散性を有してコーティング液への適用が容易であるようにゾル−ゲル(Sol−gel)反応を通じた二酸化炭素ゾルの製造方法が提案された。前記ゾル−ゲル反応は金属ハロゲン化物またはアルコキシドを加水分解反応を通じてゾル形態の二酸化チタンを容易に得ることができる長所がある。
【0007】
大韓民国公開特許第2001−0028286号はゾル−ゲル方法によって常圧で水分散した二酸化チタンゾルを製造する方法を開示している。前記製造された二酸化チタンゾルはコーティング膜へ適用が可能であるが、高屈折ハードコーティング膜の充填材として利用するのには固形分の含量が低すぎる短所がある。さらに、固形分の含量を高めるために水を除去する場合には、粒子間凝集が発生して粒子が大きくなる問題が発生する。
【0008】
大韓民国公開特許第2004−0100732号ではゾル−ゲル方法によって高圧で二酸化チタンナノ粒子を製造する方法を言及している。前記製造方法を通じて安定な分散状態の二酸化チタンナノ粒子を製造することができる。しかし、このような方法は相対的に工程を高温及び高圧で行わなければならず、製造された二酸化チタンナノ粒子を乾燥した後、分散溶媒に再分散する時に粒子間の凝集が発生して安定なゾルを形成するためにはゾル内固形分含量が非常に低くなければならないので、実際の工程に適用するのに好ましくない。
【0009】
大韓民国公開特許第2002−0043133号は水熱合成方法によって結晶性及び分散性が優れたアナターゼ型光触媒用二酸化チタンゾルの製造方法を開示している。前記製造された二酸化チタンゾルの場合には固形分の含量が比較的に高いが、最大10質量%(wt%と略記)未満であり、この範囲を超えるとゾル粒子の沈澱及びゲル化が発生すると言及している。さらに、減圧蒸留などによって溶媒を除去する方式で固形分の含量を20質量%まで濃縮できると言及しているが、この場合、粒子が大きくなったり凝集が発生するなどの問題が発生する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、200nm以下の平均粒径を有する二酸化チタンナノ粒子が分散溶媒に高濃度で分散した二酸化チタンゾルを提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、前記二酸化チタンゾルの製造方法を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、前記製造された二酸化チタンゾルを透明性が要求される眼鏡、産業安全鏡、レジャー用ゴーグルに中屈折または高屈折充填材として直接コーティングしてコーティング膜に適用できる被覆組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために本発明は、a)反応溶媒に二酸化チタンの前駆体が添加された反応溶液をゾル−ゲル反応温度に昇温する段階、b)前記反応溶媒を除去しながら、前記反応溶液に酸触媒を添加してゾル−ゲル反応を行って二酸化チタンゾルを製造する段階、及びc)前記二酸化チタンゾルを乾燥した後、分散溶媒に再分散する段階を含む二酸化チタンゾルの製造方法を提供する。
【0014】
本発明はまた、前記方法で製造され、平均粒径200nm以下の二酸化チタン2次粒子を含む二酸化チタンゾルを提供する。
【0015】
本発明はまた、前記二酸化チタンゾルを10乃至70質量%含む中屈折及び高屈折コーティング膜用被覆組成物を提供する。
【0016】
この発明と多くの効果の一層完全な認識が、以下の添付図を伴う詳細な説明を参照することで、更によく理解できる。
【0017】
図1は実施例1で製造された二酸化チタン粒子を示す透過電子顕微鏡写真である。
【0018】
図2は実施例2で製造された二酸化チタン粒子を示す透過電子顕微鏡写真である。
【0019】
図3は実施例3で製造された二酸化チタン粒子を示す透過電子顕微鏡写真である。
【0020】
図4は実施例4で製造された二酸化チタン粒子を示す透過電子顕微鏡写真である。
【0021】
図5は実施例1で製造された二酸化チタンの結晶状態を示すX線回折分析グラフである。
【0022】
図6は実施例1で再分散した二酸化チタンゾルの粒子分布を示すグラフである。
【0023】
図7は比較例6で再分散した二酸化チタンゾルの粒子分布を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明をよって詳細に説明する。
【0025】
従来技術に記述したように二酸化チタンゾルを製造するためのゾル−ゲル反応が多様に試みられたが、まだ二酸化チタンゾルの製造メカニズムが糾明されていない状態である。しかし、ゾル−ゲル反応を通じて製造された二酸化チタンの粒子サイズ、結晶性及び分散安定性などのような物理的特性が反応に使用されたアルコキシドの種類、反応条件などにかなり影響を受ける。特に、相異なる反応条件及び反応物の添加順などによって生成される二酸化チタンゾル粒子の物性が相当な影響を受ける。
【0026】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0027】
本発明で“1次粒子”はそれぞれ独立的な二酸化チタン結晶粒子を意味し、“2次粒子”は前記“1次粒子”が2つ以上凝集した状態を意味する。
【0028】
本発明の二酸化チタンゾルの製造方法は高温でのゾル−ゲル反応を行う時、反応溶媒を除去して二酸化チタン1次粒子の解膠及び結晶成長を調節することを特徴とする。
【0029】
また、本発明の製造方法によって製造される二酸化チタンゾルの二酸化チタン2次粒子は平均粒径が200nm以下であり、粒子分布の狭い単分散性(monodispersity)を有する。したがって、前記二酸化チタン2次粒子を分散溶媒に再分散しても粒子の凝集現象が発生しなくて安定なゾル形態を維持することができ、高濃度で分散することが可能である。
【0030】
ゾル−ゲル反応による二酸化チタンゾルの製造は反応溶液のpH、温度と時間、試薬の濃度、触媒の性質と濃度、HO/金属元素モル比(R)及び乾燥など多様な変数に依存する。そのうちpH、触媒の性質と濃度、水の相対的モル比(R)、そして温度が最も重要である。したがって、このような要素を制御することによって二酸化チタンゾルの特性と二酸化チタン1次粒子の網状組織の構造と性質を広い範囲にわたって変化させることができる。
【0031】
以下、本発明による二酸化チタンゾルの製造方法を各段階別に説明する。
【0032】
段階a)では反応器に反応溶媒及び二酸化チタン前駆体を注入して反応溶液を製造した後、ゾル−ゲル反応を行うために反応器の温度を70乃至95℃の温度に調節する。
【0033】
この時、二酸化チタン前駆体としてはこの分野で通常使用される有機チタン及び無機チタン化合物が可能である。代表的に有機チタン化合物はテトラエトキシチタン(TEOT)、テトライソプロポキシチタン(TIPT)、テトラブトキシチタン(TBOT)などのチタンアルコキシドが可能である。
【0034】
また、前記無機チタン化合物は四塩化チタン(TiCl)、硫酸チタン(Ti(SO)及びオキシ硫酸チタン(TiO(SO))などを使用することができる。
【0035】
前記反応溶媒は水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコールなどのC1乃至C5の低級アルコール、ポリビニルアルコールなどの高級アルコール、へキシレングリコール及びアセチルアセトンからなる群より選択された1種以上が可能である。好ましく、前記反応溶媒としては加水分解のための水と有機及び無機チタン化合物を溶解するための溶媒を混合使用することができる。さらに好ましくは、前記反応溶媒として水と水を除いた1種以上の溶媒を混合して使用する。この時、二酸化チタン前駆体と水が混合される時に発熱反応が強く起こるので、二酸化チタン前駆体と反応溶媒を低い温度で強い攪拌下に混合する。
【0036】
反応器に二酸化チタン前駆体と反応溶媒を均一に混合した後、反応器の温度をゾル−ゲル反応温度に調節する。前記反応溶媒の含量は二酸化チタン前駆体100質量部に対して400乃至1600質量部で使用される。
【0037】
また、二酸化チタンゾルに含まれる二酸化チタン2次粒子の分散性を高めるためには必要に応じて前記反応溶媒に無機塩または界面活性剤を追加的に添加することができる。この時、使用可能な無機塩はNaCl、KCl、NaBr及びKBrからなる群より選択される1種以上を含む。また、界面活性剤はドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)及び塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC)からなる群より選択される1種以上の陰イオンまたは陽イオン界面活性剤が可能である。
【0038】
このような無機塩及び界面活性剤は二酸化チタン2次粒子の安定性及び再分散性を考慮して、その含量を二酸化チタン前駆体100質量部に対して1乃至10質量部の範囲内で使用する。もし、無機塩及び界面活性剤の含量が1質量部未満である場合は、分散安定性及び再分散性に及ぼす影響が微小で、10質量部以上である場合には生成される二酸化チタン2次粒子の模様が変更したり被覆組成物を製造する時に物性の低下をもたらす。
【0039】
段階b)では前記二酸化チタン前駆体及び反応溶媒を含む反応溶液に酸触媒を徐々に積荷してゾル−ゲル反応を遂行すると同時に反応器内反応溶媒を除去する。
【0040】
酸性条件下で二酸化チタン前駆体の官能基が一次的に迅速に水素イオンを受け入れるように酸触媒の含量を調節し、好ましくは二酸化チタン前駆体100質量部に対して酸触媒を11乃至30質量部、さらに好ましくは13乃至25質量部添加することができる。
【0041】
その結果、二酸化チタン分子周辺の電子密度が低下し、電子との親和性が大きくなって水と反応が容易に起こって加水分解速度が増加し、親核体の攻撃を容易に受けて凝縮反応が急速に起こって二酸化チタン粒子間の重合反応が起こる。これは酸触媒がゾル−ゲル反応の反応速度を高めるだけでなく、重合を起こす解膠剤として作用することを示す。
【0042】
酸触媒以外に塩基性触媒を使用することもできるが、塩基性触媒を使用する場合にはゲル化時間が長くなるため、酸触媒を使用するのが好ましい。酸性触媒条件下では主に線状乃至は自由に連結された枝構造の重合体を形成してより小さいサイズの二酸化チタン1次粒子の製造が可能である。塩基性触媒条件下ではゲルになる前に互いに浸透することができないほどの塊りが複雑に縺れた構造を作って酸触媒を使用した場合と比較して相対的に粒子の大きい二酸化チタン1次粒子が製造される。したがって、本発明による酸触媒は強酸が好ましく、代表的に硝酸、塩酸、硫酸及び酢酸からなる群より選択された1種以上が可能である。
【0043】
この時、ゾル−ゲル反応は70乃至95℃で2乃至24時間行うのが好ましい。前記反応温度は製造された二酸化チタン1次粒子の結晶度に直接的に関与し、70℃より温度が低いと結晶成長がよく行われず、95℃より温度が高い場合には再分散性が悪化して物理的な攪拌などの再処理の後にも沈殿物が発生するために前記範囲内で適切に調節する。
【0044】
特に、本発明ではゾル−ゲル反応を行うと同時に、反応溶媒を除去することによって最終製造された二酸化チタン1次粒子の結晶性をさらに増加させる。
【0045】
つまり、酸触媒を添加することによって二酸化チタン1次粒子の解膠及び結晶成長が起こり、この時、二酸化チタン1次粒子は非晶質構造でアナターゼ(anatase)またはルチル(rutile)の結晶質構造に転換される。この時、反応器内反応溶媒を人為的に除去すると、非晶質から結晶質に転換される反応速度が増加してより高い結晶化度を有する二酸化チタン1次粒子を製造することができる。このような反応速度の増加は‘ある界の平衡状態が外部作用によって壊れると、その外部作用の効果を相殺する方向に界の状態が変化して化学平衡を取り戻すという法則’である‘ルシャトリエの法則’に起因する。つまり、本発明では反応器内反応溶媒を除去するという条件を変化させてゾル−ゲル反応を調節することによって二酸化チタン1次粒子の結晶性を調節する。
【0046】
この時、反応溶媒の除去は通常使用される加熱または減圧方式で行われる。加熱方式の場合、反応器を前記ゾル−ゲル反応温度を反応溶媒の沸点まで調節する方式からなり、前述したようにゾル−ゲル反応温度である70乃至95℃で十分に行われることもできる。
【0047】
また、減圧方式の場合には通常の減圧装置を利用して反応溶媒を除去する。このような加熱または減圧は二酸化チタン1次粒子の結晶性を調節するために同時に行われてもよい。
【0048】
段階c)ではゾル−ゲル反応によって製造された二酸化チタン粒子を乾燥して二酸化チタン2次粒子粉末を製造した後、これを分散溶媒に再分散して二酸化チタンゾルを製造する。
【0049】
前記段階c)の乾燥は溶媒が十分に乾燥されるまで行い、乾燥方法は特に限定されない。ただし、乾燥温度が95℃を超える場合には溶媒の急激な蒸発によって二酸化チタン2次粒子サイズが大きくなり、単分散の形態で再分散されにくいために前記乾燥温度は95℃以下であるのが好ましい。
【0050】
また、前記乾燥には常圧乾燥、真空乾燥及び凍結乾燥方法などを利用することができ、この時の乾燥温度と乾燥時間は前記乾燥方法により溶媒を十分に乾燥させる範囲内で多様に選択して調節することができる。
【0051】
ただし、好ましく常圧乾燥の場合には30乃至95℃の温度で行うのが好ましい。乾燥温度が95℃を超えると二酸化チタン1次粒子の結晶性は増加するが、粒子間の凝集現象が発生して分散溶媒に対する再分散性が大きく低下することがあり、反対に30℃未満であると乾燥工程が長すぎて未反応物などが残留して単分散された透明な二酸化チタンゾルを得ることが難しい。また、前記常圧乾燥工程は6乃至72時間進められるのが好ましい。乾燥時間が6時間未満である場合には未反応物などが残留して単分散された透明な二酸化チタンゾルを得ることが難しく、72時間を超える場合には二酸化チタン粒子間の凝縮反応を通じた凝集によって単分散された透明な二酸化チタンゾルを得ることが難しい。前記乾燥時間は乾燥条件により変わることがあり、通常低い温度での乾燥はさらに多くの乾燥時間を要する。
【0052】
また、真空乾燥の場合には二酸化チタンゾル−ゲル反応物の溶媒が液状で存在する温度範囲内で行われ、溶媒が水である場合には0乃至95℃の温度で行うのが好ましい。真空乾燥工程は通常の常圧乾燥よって工程時間が短い。
【0053】
また、凍結乾燥の場合には二酸化チタンゾル−ゲル反応物の溶媒が固体状態で存在する温度範囲内で昇華による乾燥を行い、特に、分散媒が水である場合には−196乃至0℃の温度で行うことができる。凍結乾燥によって粒子間に存在した分散媒が固体状から昇華するので、液状溶媒の蒸発による乾燥過程で発生する毛細管力によって粒子が互いに凝集する現象が防止されるので、1次粒子間の凝集が減る長所がある。
【0054】
前記段階を経て製造された二酸化チタンゾルは二酸化チタン2次粒子が分散溶媒に分散したゾルの形態を有し、この時、前記二酸化チタン2次粒子の平均粒径は200nm以下、好ましくは2乃至100nmである。また、前記2次粒子は平均粒径1乃至20nm、好ましくは5乃至15nmの二酸化チタン1次粒子を2つ以上含む。
【0055】
また、前記二酸化チタンゾルの2次粒子は分布が狭い単分散性を示し、好ましくは標準偏差が0.3以内であり、さらに好ましくは0.2以内である。
【0056】
特に、本発明ではゾル−ゲル反応によって製造された二酸化チタン粒子を固形分含量で8乃至50質量%で分散溶媒に分散させることによって二酸化チタンゾルを製造する。この時、本発明による二酸化チタンゾルの濃度は従来ゾル−ゲル反応によって製造された二酸化チタンゾルの固形分含量が約5質量%以下であることを考慮する時、非常に高い数値である。
【0057】
前記分散溶媒は水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコールなどのC1乃至C5の低級アルコール、ポリビニルアルコールなどの高級アルコール、へキシレングリコール及びアセチルアセトンからなる群より選択された1種以上が可能で、好ましくは水を使用する。
【0058】
前記中屈折及び高屈折コーティング膜製造用被覆組成物は前記二酸化チタンゾルを10乃至70質量%に含み、通常のシロキサン系樹脂と溶媒を含む光学コーティング組成物がその他の成分として本発明のコーティング組成物に適用できる。
【0059】
したがって、前記シロキサン系樹脂と溶媒の種類は本発明で特に限定されないが、前記シロキサン樹脂が下記の化学式1で表示される有機シラン化合物及び下記化学式2で表示される有機シラン化合物からなる群より選択される1種以上を含むのが好ましく、前記溶媒はメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、エチルアセテート、メチルアセテート、キシレン及びトルエンからなる群より選択された1種以上の単独または混合溶媒が可能である。
【0060】
[化学式1]
(SiOR4−a
【0061】
[化学式2]
Si(OR4−b
【0062】
前記化学式で、
及びRはそれぞれ独立的で、C−Cのアルキル基、C−Cのアルケニル基、C−Cのハロゲン化アルキル基、アリル基、またはC−Cの芳香族基であり、Rは下記化学式1の構造を有し、この時、RはC−Cのアルキレン基であり、Rは水素、C−Cのアルキル基、または下記化学式2の構造を有し、この時Rは水素、C−Cのアルキル基、またはC−Cのアルキレン基であり、RはC−Cのアルキル基であり、aは0乃至3の整数であり、bは0乃至3の整数である。
【0063】
【化1】

【0064】
【化2】

【0065】
前記被覆組成物は透明性を要求する眼鏡、産業安全鏡、レジャー用ゴーグルの表面にコーティングした後に硬化して透明度が高く、屈折率が1.5乃至1.65範囲である中屈折コーティング膜または高屈折コーティング膜が形成される。
【0066】
この時、使用されるコーティング方法は通常の湿式コーティング法が可能であり、例えば、ロールコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティングまたはスピンコーティングを使用することができる。
【0067】
前記組成物の硬化条件は配合比や成分により多少差があるが、基材の軟化点未満の温度、好ましくは60乃至150℃で20分乃至数時間硬化することによって目的とする硬度のコーティング膜を得ることができる。
【0068】
前記シロキサン系被覆組成物によって得られたコーティング膜は分散染料で染色が可能である。このような染色は分散染料の濃度、温度、時間などの条件を任意に決めることができ、一般的に0.1乃至1質量%濃度の染料水溶液を使用し、80乃至100℃の温度で5乃至10分間浸漬して染色する。
【0069】
このようなコーティング膜は本発明による単分散性を有するナノサイズの二酸化チタン2次粒子が分散溶媒に高濃度で分散した二酸化チタンゾルを利用して製造することによって多様な効果を得ることができる。つまり、2次粒子サイズが200nm以下である二酸化チタンゾルを用いることによって透明性の高いコーティング膜を形成することができ、前記二酸化チタンが単分散性を有することによって前記透明性がさらに高まる。また二酸化チタン粒子が高濃度で分散して所望する水準の屈折率を得るために従来複数回のコーティング工程を短縮することができる。そして、コーティング膜の硬度、耐摩耗性、透明度、光沢度、着色度、レベリングなどの物性が向上し、より薄い厚さに形成することができる。
【0070】
以下の実施例及び比較例を通じて本発明をさらに詳細に説明する。但し、実施例は本発明を例示するためのもので、これらに限定されることではない。
【0071】
実施例1
反応器に蒸溜水1500gを反応溶媒として注入した後、イソプロパノール40gとデュポン社のチタンテトライソプロポキシド(TTIP)240gを徐々に添加した。
【0072】
反応器の温度を80℃に昇温した後、硝酸(65質量%)41.7gを注入してゾル−ゲル反応を10時間進めた。この時、反応器内の蒸溜水が容易に蒸発するように真空下で行った。
【0073】
前記ゾル−ゲル反応が終了した後、前記ゾル−ゲル生成物を80℃で14時間乾燥して二酸化チタン粉末を得た。
【0074】
前記反応器の温度を常温に冷却した後、再分散溶媒として蒸溜水200gを反応機内部に注入して二酸化チタンゾルを製造した。
【0075】
実施例2
反応器の反応温度を85℃に昇温したことを除いては、前記実施例1で記述したことと同一に実施して二酸化チタンゾルを製造した。
【0076】
実施例3
反応器の温度を90℃に昇温したことを除いては、前記実施例1で記述したことと同一に実施して二酸化チタンゾルを製造した。
【0077】
実施例4
反応器の温度を95℃に昇温したことを除いては、前記実施例1で記述したことと同一に実施して二酸化チタンゾルを製造した。
【0078】
実施例5
界面活性剤として臭化セチルトリメチルアンモニウム5gを追加注入したことを除いては、前記実施例1で記述したことと同一に実施して二酸化チタンゾルを製造した。
【0079】
実施例6
再分散溶媒として蒸溜水800gを反応機内部に注入して二酸化チタンゾルを製造したことを除いては、前記実施例1で記述したことと同一に実施して二酸化チタンゾルを製造した。
【0080】
実施例7
再分散溶媒として蒸溜水160gを反応機内部に注入して二酸化チタンゾルを製造したことを除いては、前記実施例1で記述したことと同一に実施して二酸化チタンゾルを製造した。
【0081】
比較例1
反応器の温度を25℃に維持したことを除いては、前記実施例1で記述したことと同一に実施して二酸化チタンゾルを製造した。
【0082】
比較例2
酸触媒として硝酸を24g添加したことを除いては、前記実施例1で記述したことと同一に実施して二酸化チタンゾルを製造した。
【0083】
比較例3
酸触媒として硝酸を72g添加したことを除いては、前記実施例1で記述したことと同一に実施して二酸化チタンゾルを製造した。
【0084】
比較例4
乾燥された二酸化チタン粉末を150℃のオーブンで24時間熱処理して蒸溜水に再分散したことを除いては、前記実施例1で記述したことと同一に実施して二酸化チタンゾルを製造した。
【0085】
比較例5
再分散溶媒として蒸溜水50gを反応機内部に注入して二酸化チタンゾルを製造したことを除いては、前記実施例1で記述したことと同一に実施して二酸化チタンゾルを製造した。
【0086】
比較例6
ゾル−ゲル反応段階で溶媒を除去せず、反応器を加熱還流して乾燥及び再分散工程なく直接二酸化チタンゾルを製造したことを除いては、前記実施例1で記述したことと同一に実施して二酸化チタンゾルを製造した。
【0087】
前記製造された二酸化チタンゾルは固形分含量が4質量%であり、これを80℃で固形分含量が32質量%になるまで溶媒を増発させた。
【0088】
実験例1:透過電子顕微鏡写真
前記実施例及び比較例で製造された二酸化チタンゾル1次粒子サイズを分析するために透過電子顕微鏡(TEM)を利用し、測定された1次粒子の平均粒径を下記表1に整理した。また、実施例1乃至4で反応温度を異ならせて製造された二酸化チタンゾルのTEM写真を図1乃至図4に示した。
【0089】
図1乃至図4を参照すると、実施例1乃至4で製造された二酸化チタン1次粒子は4乃至7nmの平均粒径を有し、反応温度が増加することによって二酸化チタン1次粒子の結晶度が増加することが分かる。
【0090】
実験例2:X線回折分析
前記実施例1で製造された二酸化チタンの結晶性及び粒度を確認するための目的でX線回折分析器(XRD)を利用して測定し、得られた結果を図5に示した。
【0091】
図5は実施例1で製造された二酸化チタンの結晶状態を示すX線回折分析グラフである。
【0092】
図5を参照すると、XRDピークの位置から生成された二酸化チタンは全てアナターゼであることが分かり、シェラー(Scherrer)式を利用して二酸化チタン粒子サイズを計算すると5nm未満で前記実験例1の透過電子顕微鏡の結果と一致することが分かる。
【0093】
実験例3:粒度分析
粒度分析器を利用して前記実施例及び比較例で製造された二酸化チタンゾルの二酸化チタン2次粒子の粒度を分析し、その結果を下記表1に整理した。
【0094】
また、実施例1及び比較例6で製造された二酸化チタンゾルの2次粒子の粒度分布グラフを図6、及び7に示した。
【0095】
図6を参照すると、本発明によって再分散した二酸化チタンゾルの場合に10nm付近の粒子サイズを有し、その分布度が非常に狭くて単分散性を有することが分かる。これと反対に、図7の場合のように乾燥及び再分散工程を経ない比較例6の二酸化チタンゾルは2次粒子が多様な範囲で広い分布を有することが分かる。
【0096】
【表1】

【0097】
前記表1を参照すると、本発明による実施例1乃至7を通じて製造された二酸化チタンゾルの1次粒子の平均粒径が4乃至7nmでナノ級サイズのアナターゼ型二酸化チタン粒子が分散溶媒に安定に分散された構造を有することが分かる。
【0098】
また、固形分の含量32質量%以上の高濃度でも二酸化チタンの分散性が優れて、非常に狭い範囲に分散することが確認できる。
【0099】
反面、比較例1乃至6によって製造される二酸化チタンゾルの場合には再分散性が非常に低下する。
【0100】
比較例1の場合、常温でゾル−ゲル反応を行うことによって解膠過程が徐々に起こって単分散の粒子を得ることができず、二酸化チタン原子集合を整列させるだけのエネルギーが不足して無定形(amorphous)の二酸化チタン1次粒子が形成されることが分かった。
【0101】
比較例2の場合、酸触媒の含量が不足して含水二酸化チタン1次粒子が完全には解膠されなくて結晶性が多少低下し、分散状態も大きく低下する。
【0102】
これとは反対に、比較例3の場合には、酸触媒を過剰に使用することによって含水二酸化チタンの解膠が非常に速く起こって、さらに小さい二酸化チタン粒子が作られた。しかし、小さい粒子サイズによる高い表面エネルギーと強い酸性条件での二酸化チタン1次粒子の不安定性によって粒子間の凝集現象が起こって乾燥後再分散の時に分散性が大きく低下することが分かる。
【0103】
比較例4の場合、高温での焼結工程を行うことによって二酸化チタン粒子間の凝集が起こって分散度が非常に低下した。これは無定形二酸化チタン1次粒子を熱処理または焼結して結晶性二酸化チタンを得る場合や二酸化チタンの結晶度を上げるために高温で熱処理または焼結する場合に単分散性二酸化チタンゾルを作ることができないことを意味する。
【0104】
比較例5の場合には、蒸溜水の量が不足して生成された二酸化チタン2次粒子が単分散形態に再分散されることが難しかった。
【0105】
また、乾燥及び再分散段階を経ずに直接製造された比較例6の二酸化チタンゾルの場合には、固形分の含量が4質量%で非常に低くて分散性が多少落ちる特性を示し、これから溶媒を乾燥して固形分含量を32質量%まで高める場合には二酸化チタン粒子の凝集によって多分散特性を示した。
【0106】
実施例8
前記実施例1で製造された二酸化チタンゾルを利用して、コーティング液を製造した。
【0107】
まず、常温を維持するジャケット反応器にオルトケイ酸テトラエチル(Tetraethyl orthosilicate)50g、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン((3−Glycidyloxypropyl)trimethoxysilane)250gにメタノール100gを添加した。これに二酸化チタンゾル(固形分:32質量%)260gを添加して3時間攪拌した後、アセチルアセトン145gとメタノール200gを添加してコーティング液を製造した。
【0108】
実施例9
前記実施例1で製造された二酸化チタンゾルを利用してコーティング液を製造した。
【0109】
常温を維持するジャケット反応器にオルトケイ酸テトラエチル100g、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン150gにメタノール100gを添加した。これに二酸化チタンゾル(32質量%)260gを添加して3時間攪拌した後、アセチルアセトン145gとメタノール200gを添加してコーティング液を製造した。
【0110】
実施例10
前記実施例1で製造された二酸化チタンゾルを利用して被覆組成物を製造した。
【0111】
常温を維持するジャケット反応器にオルトケイ酸テトラエチル50g、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン250gにメタノール100gを添加した後、二酸化チタンゾル(32質量%)130gを添加して3時間攪拌した後、アセチルアセトン145gとメタノール200gを添加してコーティング液を製造した。
【0112】
比較例7
前記比較例1で製造された二酸化チタンゾルを利用したことを除いては、前記実施例8と同様な方法でコーティング液を製造した。
【0113】
前記実施例8乃至10と比較例7で製造されたコーティング液を基板に湿式コーティングした後、60℃で乾燥して120℃で硬化してコーティング膜を製造した。以下、得られたコーティング膜の物性を下記のような条件によって測定して結果を下記表2に示した。
【0114】
A:屈折率(%)
シリコンウエハーに被覆組成物をコーティングした後、硬化してプリズムカプラー(prism coupler)を利用して各部位別に屈折率を5回測定して平均値を求めた。
【0115】
B:膜の厚さ(μm)
シリコンウエハーに被覆組成物をコーティングした後、硬化してプリズムカプラーでデータの溝と溝の部分の間隔を測定した。
【0116】
前記測定値から膜の厚さを計算し、各部位別に5回測定して平均値を求めた。
【0117】
C:耐摩耗性
#0000スチールウールを1kgのハンマーに縛ってレンズに30回擦った後、スクラッチ数を観察した。
◎:スクラッチ個数:0個
○:スクラッチ個数:1cm以下の細いスクラッチ5個以下
△:スクラッチ個数:1cm以下の細いスクラッチ5個超過または1cm超過の長いスクラッチ1個以上3個以下
×:スクラッチ個数:1cm超過の長いスクラッチ3個超過
【0118】
D:耐温水性
コーティングされたレンズを100℃の沸騰水に10分間浸漬した後、外形検査を行った。
◎:クラック個数:0個
○:クラック個数:5mm以下の細いスクラッチ5個以下
△:クラック個数:5mm以下の細いスクラッチ5個超過または5mm超過の長いクラック1個以上3個以下
×:クラック個数:5mm超過の長いクラック3個超過
【0119】
E:レベリング特性
コーティングされたレンズの表面を肉眼で観察して表面突起、溝及びコーティング膜の厚さが一定であるかどうかを確認した。
◎:不良発生0個。
×:不良発生1個以上。
【0120】
F:接着特性
ASTMD3359に基づいて皮膜に横、縦それぞれ1mm間隔でセクターをひいて1mmのセクターを100個作った後、日本ニッチバン社の幅24mmのセロハンテープを利用して10回剥離テストを行った。
【0121】
塗装膜が剥離されずに付着されているセクター数を数えて付置力を評価した。
◎:剥離されたセルの個数0個
○:剥離されたセルの個数1個以上3個以下
△:剥離されたセルの個数3個超過10個以下
×:剥離されたセルの個数10個超過
【0122】
【表2】

【0123】
前記表2を参照すると、本発明による実施例8乃至10のコーティング液で製造されたコーティング膜の場合、屈折率が1.55乃至1.60で中屈折及び高屈折特性を示すことが分かった。また、耐摩耗性、耐温水性、レベリング及び付置力が比較例7のコーティング膜に比べて非常に優れていた。
【0124】
実施例8及び9のコーティング液から製造されたコーティング膜は屈折率がそれぞれ1.59及び1.60で高屈折を示し、実施例10のコーティング液から製造されたコーティング膜は屈折率が1.55に中屈折を示す。
【0125】
反面、比較例7のコーティング液で製造されたコーティング膜は屈折率が1.48で所望する水準の屈折率が得られなかった。さらに、耐摩耗性及びレベリング特性が非常に弱く、付置力も低くてコーティング膜として適用できないことが分かる。
【0126】
本発明による製造方法によって単分散された二酸化チタンが高濃度で分散する二酸化チタンゾルを製造することができた。このような二酸化チタンゾルは分散溶媒に分散した二酸化チタンを最大50質量%まで含むことができ、別途の工程を経ずに中屈折または高屈折コーティング膜用被覆組成物の充填材に適用されて透明性が要求される眼鏡、産業安全鏡、レジャー用ゴーグルのコーティング膜に適用することができる。
【0127】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、請求範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形及び改良形態もまた本発明の権利範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】実施例1で製造された二酸化チタン粒子を示す透過電子顕微鏡写真である。
【図2】実施例2で製造された二酸化チタン粒子を示す透過電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例3で製造された二酸化チタン粒子を示す透過電子顕微鏡写真である。
【図4】実施例4で製造された二酸化チタン粒子を示す透過電子顕微鏡写真である。
【図5】実施例1で製造された二酸化チタンの結晶状態を示すX線回折分析グラフである。
【図6】実施例1で再分散した二酸化チタンゾルの粒子分布を示すグラフである。
【図7】比較例6で再分散した二酸化チタンゾルの粒子分布を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)反応溶媒に二酸化チタンの前駆体が添加された反応溶液をゾル−ゲル反応温度に昇温する段階、
b)前記反応溶媒を除去しながら、前記反応溶液に酸触媒を添加してゾル−ゲル反応を行って二酸化チタンゾルを製造する段階、及び
c)前記二酸化チタンゾルを乾燥した後、分散溶媒に再分散する段階を含むことを特徴とする二酸化チタンゾルの製造方法。
【請求項2】
前記b)のゾル−ゲル反応及び反応溶媒の除去は70乃至95℃で行うことを特徴とする、請求項1に記載の二酸化チタンゾルの製造方法。
【請求項3】
前記c)の乾燥は95℃以下で行うことを特徴とする、請求項1に記載の二酸化チタンゾルの製造方法。
【請求項4】
前記c)の乾燥は凍結乾燥、常圧乾燥または真空乾燥法で進められることを特徴とする、請求項3に記載の二酸化チタンゾルの製造方法。
【請求項5】
前記反応溶媒の除去は反応器外部に気化した反応溶媒を除去するように行うことを特徴とする、請求項1に記載の二酸化チタンゾルの製造方法。
【請求項6】
前記反応溶媒の除去は減圧下で行うことを特徴とする、請求項1に記載の二酸化チタンゾルの製造方法。
【請求項7】
前記反応溶媒及び分散溶媒は互いに同一であるか異なり、水、C乃至Cの低級アルコール、C以上の高級アルコール、へキシレングリコール;及びアセチルアセトンからなる群より選択された1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の二酸化チタンゾルの製造方法。
【請求項8】
前記低級アルコールはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコールまたはイソブチルアルコールであり、前記高級アルコールはポリビニルアルコールであることを特徴とする、請求項7に記載の二酸化チタンゾルの製造方法。
【請求項9】
前記二酸化チタン前駆体はテトラエトキシチタン(TEOT)、テトライソプロポキシチタン(TIPT)、テトラブトキシチタン(TBOT)を含むチタンアルコキシド、四塩化チタン(TiCl)、硫酸チタン(Ti(SO)及びオキシ硫酸チタン(TiO(SO))からなる群より選択された1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の二酸化チタンゾルの製造方法。
【請求項10】
前記酸触媒は硝酸、硫酸、塩酸及び酢酸からなる群より選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の二酸化チタンゾルの製造方法。
【請求項11】
前記酸触媒は二酸化チタン前駆体100質量部に対して11乃至30質量部添加されることを特徴とする、請求項1に記載の二酸化チタンゾルの製造方法。
【請求項12】
段階a)で追加的にNaCl、KCl、NaBr及びKBrからなる群より選択される1種以上の無機塩;またはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)及び塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC)からなる群より選択される1種以上の界面活性剤を添加することを特徴とする、請求項1に記載の二酸化チタンゾルの製造方法。
【請求項13】
前記無機塩または界面活性剤は二酸化チタン前駆体100質量部に対して1から10質量部まで使用することを特徴とする、請求項12に記載の二酸化チタンゾルの製造方法。
【請求項14】
請求項1に記載の製造方法によって製造され、平均粒径200nm以下の二酸化チタン2次粒子を含むことを特徴とする二酸化チタンゾル。
【請求項15】
前記二酸化チタン2次粒子は平均粒径1乃至20nmである二酸化チタン1次粒子を2つ以上含むことを特徴とする、請求項14に記載の二酸化チタンゾル。
【請求項16】
前記二酸化チタン1次粒子はアナターゼ型またはルチル型の結晶形に属することを特徴とする、請求項15に記載の二酸化チタンゾル。
【請求項17】
前記二酸化チタンゾルは固形分の含量が8乃至50質量%であることを特徴とする、請求項14に記載の二酸化チタンゾル。
【請求項18】
前記二酸化チタン2次粒子の粒径の分散性は標準偏差0.3以内であることを特徴とする、請求項14に記載の二酸化チタンゾル。
【請求項19】
請求項14に記載の二酸化チタンゾルを10乃至70質量%で含む中屈折及び高屈折コーティング膜用被覆組成物。
【請求項20】
前記中屈折及び高屈折コーティング膜は眼鏡、産業安全鏡、レジャー用ゴーグルに適用されることを特徴とする、請求項19に記載の被覆組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−519890(P2009−519890A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547089(P2008−547089)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【国際出願番号】PCT/KR2006/005057
【国際公開番号】WO2007/073043
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【出願人】(505282042)ポステック・アカデミー‐インダストリー・ファウンデーション (34)
【Fターム(参考)】