説明

二重エアゾール製品

【課題】、パウチを用いたものであって、内容物の残量の確認ができる二重エアゾール製品を提供する。
【解決手段】透光性を有する外部容器11と、その内部に収容され、可撓性を有する第1パウチ12および第2パウチ13と、2つのエアゾールバルブ21を備えたバルブアッセンブリ16と、それぞれのパウチ内に充填される第1内容物14および第2内容物15と、両パウチと外部容器11との間に充填される噴射剤Pとからなる二重エアゾール製品10。第2パウチ13は透光性を有し、第2内容物は不透明のものが用いられる。第2パウチ13と一方のエアゾールバルブ21との間には、第2内容物とは異なる色からなる不透明なディップチューブ17が設けられている。そのため、第2内容物15が吐出されて第2パウチ13内が所定の容積に減少したときに、第2パウチ13内にディップチューブ17のサインが露出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重エアゾール製品に関する。詳しくは、内容物の残量を視認できる二重エアゾール製品に関する。
【背景技術】
【0002】
二重エアゾール製品は、外部容器と、その内部に収容される内袋と、その内袋内に充填される内容物と、内袋と外部容器との間に充填される噴射剤とからなる。また、外部容器には安全性の見地から強度が求められており、一般的な二重エアゾール製品の外部容器は金属材料で成形されている。そのため、一般的な二重エアゾール製品では、内容物の状態または残量を確認する方法はなかった。
一方、特許文献1のような二重エアゾール製品が知られている。この二重エアゾール製品は、透光性を有するエアゾール容器と、その内部に充填される透光性を有する円筒状の内袋と、その内袋内に充填される着色したエアゾール内容物と、外部容器と内袋の間に充填される噴射剤とからなる。このように構成されているため、エアゾール容器の外から内袋の変形が確認でき、内袋内のエアゾール内容物が視認できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−327053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、二枚のシートの側縁を連結させて形成されるパウチを備えた二重エアゾール製品の場合、パウチは元々薄い袋であるため、その満注時と排出時とのときのパウチ形状に大きな差はなく、パウチの外観だけでは残量の確認が難しい。
本発明は、パウチを用いたものであって、内容物の残量の確認ができる二重エアゾール製品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の二重エアゾール製品は、外部容器と、その内部に収容され、2つの平面状の側壁の周縁同士を繋げて形成される可撓性のパウチと、そのパウチおよび外部容器を閉じるエアゾールバルブと、そのパウチ内に充填される内容物と、パウチと外部容器との間に充填される噴射剤とからなる二重エアゾール製品であって、前記外部容器が、透光性を有する外窓部を備えており、前記内容物が吐出されてパウチが所定の容積に減少したときに、内容物の残量がわかるサインが見えるように構成されていることを特徴としている。
【0006】
このような二重エアゾール製品であって、前記パウチが前記外窓部から視認できる透光性の内窓部を備えており、前記内容物が不透明であり、前記内容物が吐出されてパウチが所定の容積に減少したときに、前記内窓部からサインが見えるように構成されているものが好ましい。
このような内窓部からサインが見える二重エアゾール製品であって、前記エアゾールバルブにパウチ内に挿入され、内容物と異なる色のディップチューブが取り付けられており、前記サインが内窓部から視認できるディップチューブであるものが好ましい。
また、内窓部が形成された側壁の反対側の側壁の内面にマークが設けられており、前記サインが内窓部から視認できるマークであってもよい。
さらに、前記パウチの一方の側壁が透光性のあるシートから構成され、他方の側壁が不透明であり、前記一方の側壁が内窓部であり、前記サインが内窓部から視認できる他方の
側壁であってもよい。
このような二重エアゾール製品であって、前記外部容器内に収納される内容器をさらに備え、前記パウチの両側壁が透光性を備え、パウチ全体が内窓部となっており、前記サインが内窓部を介して視認できる内容器であってもよい。
【0007】
本発明の二重エアゾール製品であって、前記外部容器が透光性を有しており、前記外部容器の外周に一部を除いて不透明なフィルムを設けることにより外窓部が形成されたものが好ましい。
【0008】
本発明の二重エアゾール製品であって、前記パウチ内に収容される立体形状のサイン体をさらに備え、前記内容物が吐出されてパウチが所定の容積に減少したときに、サイン体の形状に基づいた突出部が見えるように構成されているものが好ましい。特に、形状および/または大きさが異なるサイン体を複数個備えているものが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の二重エアゾール製品は、前記外部容器が、透光性を有する外窓部を備えており、前記内容物が吐出されてパウチが所定の容積に減少したときに、内容物の残量がわかるサインが見えるように構成されているため、使用者は内容物の残量を外部から確認できる。
【0010】
本発明の二重エアゾール製品であって、前記パウチが前記外窓部から視認できる透光性の内窓部を備えており、前記内容物が不透明であり、前記内容物が吐出されてパウチが所定の容積に減少したときに、前記内窓部からサインが見えるように構成されている場合、使用者はその内窓部を視認することによって内容物の残量が少なくなったことがわかる。
このような内窓部を備えたパウチであって、前記エアゾールバルブにパウチ内に挿入され、内容物と異なる色のディップチューブが取り付けられている場合、パウチが所定の容積に減少したときにディップチューブが内窓部から確認でき、内容物の残量が少なくなったことがわかる。
内窓部が形成された側壁の反対側の側壁の内面にマークが設けられている場合、パウチが所定の容積に減少したときにマークが内窓部から確認でき、内容物の残量が少なくなったことがわかる。
前記パウチの一方の側壁が透光性のあるシートから構成され、他方の側壁が不透明である場合、パウチが所定の容積に減少したときに透光性の一方の側壁から他方の側壁が確認でき、内容物の残量が少なくなったことがわかる。
外部容器内に収納される内容器をさらに備え、前記パウチの両側壁が透光性を備え、パウチ全体が内窓部となっている場合、パウチが所定の容積に減少したときにパウチを通して内容器が視認でき、内容物の残量が少なくなったことがわかる。
【0011】
本発明の二重エアゾール製品であって、前記外部容器が透光性を有しており、前記外部容器の外周に一部を除いて不透明なフィルムを設けることにより外窓部が形成されている場合、外窓部が不透明なフィルムによって外部容器内の明暗が明確になり、外部容器内を視認しやすく、特に外窓部とマークが重なる場合はマークの位置が視認しやすくなる。
【0012】
本発明の二重エアゾール製品であって、前記パウチ内に収容される立体形状のサイン体をさらに備えている場合、パウチが所定の容積に減少したときにサイン体の形状による突出部が確認でき、内容物の残量が少なくなったことがわかる。
特に形状および/または大きさが異なるサイン体を複数個備えている場合は、サイン体が突出するタイミングを複数回に設定でき、残量を段階的に視認させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の二重エアゾール製品の一実施形態を示す正面断面図である。
【図2】図1の二重エアゾール製品の側面断面図である。
【図3】図3aは図1の二重エアゾール製品に用いられるエアゾールバルブであり、図3b、c、dは図1の二重エアゾール製品に用いられるバルブホルダーの平面図、正面断面図、側面断面図である。
【図4】図4a、bは、図1の二重エアゾール製品に用いることができる第2パウチの他の実施形態を示す正面図、組立図である。
【図5】図5a、bは、図1の二重エアゾール製品に用いることができる第2パウチのさらに他の実施形態を示す正面図、側面断面図であり、図5cはその第2パウチのさらに他の実施形態を示す側面断面図である。
【図6】本発明の二重エアゾール製品の他の実施形態を示す側面図である。
【図7】本発明の二重エアゾール製品のさらに他の実施形態を示す側面断面図である。
【図8】本発明の二重エアゾール製品のさらに他の実施形態を示す正面断面図である。
【図9】図8の二重エアゾール製品の側面断面図である。
【図10】図10a、b、cは、図8の二重エアゾール製品のパウチの収縮過程を示す正面断面図である。
【図11】図11a、b、cは、図8の二重エアゾール製品に用いられるパウチの他の実施形態を示す正面断面図であり、図11d、e、f、gは、そのパウチに用いられるサイン体の他の実施形態を示す斜視図である。
【図12】図12aは本発明の二重エアゾール製品に用いられるパウチのさらに他の実施形態であり、図12b、cはそれぞれ別の製造工程を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1、図2の二重エアゾール製品10は、透光性を有する外部容器11と、その外部容器内に収容される第1パウチ12および第2パウチ13と、それぞれのパウチに充填される第1内容物14および第2内容物15と、外部容器11およびそれぞれのパウチを閉じるバルブアッセンブリ16と、外部容器11とパウチ間に充填される噴射剤Pとからなる。この実施形態では、第1パウチ12が不透明であり、第2パウチ13が透明となっている。バルブアッセンブリ16と第2パウチ13との間に、内容物と異なる色のディップチューブ17が設けられている。
また、バルブアッセンブリ16には、2つの内容物を同時に吐出するための噴射部材Aが取り付けられている。
【0015】
外部容器11は、図1に示すように、底部11a、筒状の胴部11b、テーパー状の肩部11c、円筒状の首部11dおよび上端開口に肉厚のフランジ部11eを備えた透光性のものである。また肩部11cと首部11dとの間の内面に半径方向内側に突出する環状突起11fが形成されている。この外部容器11は、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリプロピレンなどの透光性を有する合成樹脂からなる有底筒状のパリソンを軸方向に伸ばしながら内部に空気を吹き込んで膨らます2軸延伸ブロー成形によって成形されている。しかし、筒状のパリソンをダイレクトブロー成形で成形されてもよい。
この実施形態では、外部容器11の全体が透光性を有しているため、全体が外窓部となるが、実質的にはフランジ部11eあるいは首部11dにはバルブアッセンブリ16が取り付けられているため、底部11aから肩部11cにかけた部位が外窓部となる。そのため、例えば、外部容器11の外周面に印刷物を印刷したり、フィルムやシール等を設けたりする場合、底部11aから肩部11c、特に胴部11bから肩部11cにかけて透光性を有する部位が一部でも設けられていればよい。外窓部の形状、大きさは特に限定されないが、外窓部を内部の第2パウチ13と重なる位置に設けるなど、外窓部から第2パウチを覗けるように設けることが必要である。特に、図1の二重エアゾール製品10は、2つ
のパウチを並列して設けられているため、第2パウチ13が第1パウチ12の影で見えないことがないように外窓部の位置を調整することが必要である。
【0016】
第1パウチ12は、不透明なシートを貼り合わせて形成される袋体12aと、その開口部に取り付けられる連結部材18とからなる。
第2パウチ13は、透明なシートを貼り合わせて形成される袋体13aと、その開口部に取り付けられる連結部材18とからなる。この実施形態では、袋体13aの全体が透光性を有しているため、袋体13aの全体が内窓部となる。しかし、第2パウチ13の袋体13aの一部に透光性を有する部位を備えていればよく、詳しくは、第2パウチ13が所定の容積となった(両側壁部が重なる直前)とき、ディップチューブ17と当接する部位が少なくとも透光性を有していればよい。
【0017】
第1パウチ12の袋体12aのシートとしては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン(NY)、エバール(EVO
H)などからなる単層または積層した樹脂シート、前記樹脂シートを着色した着色樹脂シ
ート、前記樹脂シートにシリカ(Si)やアルミナ(Al23)、炭素(C)などを蒸着した蒸着樹脂シート、アルミニウム(Al箔)などの金属箔シートあるいは樹脂シート、着色樹脂シート、蒸着樹脂シート、金属箔シートから選ばれる少なくとも2つのシートを積層した積層シートが挙げられる。不透明な積層シートとしては、PE/Al箔/PE、PE/Al箔/PET、PE/Al箔/PET/PEなど、金属箔シートを樹脂シートや蒸着樹脂シートで積層したものが好ましい。
第2パウチ13の袋体13aのシートとしては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン(NY)、エバール(EVO
H)などからなる単層または積層した透光性の樹脂シート、前記樹脂シートを着色した透
光性の着色樹脂シート、前記樹脂シートにシリカ(Si)やアルミナ(Al23)、炭素(C)などを蒸着した透光性の蒸着樹脂シートあるいはこれらの樹脂シート、着色樹脂シート、蒸着樹脂シートから選ばれる少なくとも2つのシートを積層した透光性の積層シートが用いられる。特に、PE/EVOH/PE、PE/NY/PE、PE/EVOH/Si/PEなどの透明積層シートが好ましい。
【0018】
袋体12a、13aは、前記シートを重ね合わせ、または、折り合わせた後、周縁部を熱溶着や接着などにより貼り合わせて形成される。このシートの材料は、充填する内容物に応じて適宜選択される。
連結部材18は、第1パウチ12および第2パウチ13で共通している。連結部材18は、下部に貼着部18aを備えており、上部にバルブアッセンブリと連結する連結部18bを備えた筒状のものである。
この実施形態では、第2パウチ13の袋体13aの両面に透光性を持たしているが、透明なシートと不透明なシートとを貼り合わせて外部容器に面する片面だけに透光性を持たしてもよい。その場合は、その片面が内窓部となる。また、例えば、中央に透光性を持たした矩形状の部位を備えたシート等、一部だけ透光性を持たしたシートを用いて様々な形状の内窓部を構成してもよい。
【0019】
第1内容物14は、不透明な第1パウチに充填されるため、特に限定されない。一方、第2内容物15は、不透明な内容物15が充填される。
そのような第1内容物14および第2内容物15としては、2つを混合させることにより、その反応による効果を得ることができる2液式染毛剤や2液式パーマ剤等の2液反応型製剤が挙げられる。特に、2液式染毛剤の場合、第1内容物14として酸化染料、染毛補助成分、アンモニアや有機アミンなどのアルカリ剤、安定化剤、粘度調整剤、発泡剤(界面活性剤)、染毛効果以外の効果を発揮する他の有効成分、油性成分などを溶媒に含有させた染毛剤第1剤が用いられ、第2内容物15として、過酸化水素水などの酸化剤、p
H調整剤、安定化剤、粘度調整剤、発泡剤(界面活性剤)、染毛効果以外の効果を発揮する他の有効成分、油性成分などを溶媒に含有させた染毛剤第2剤が好ましく用いられる。第2内容物15が不透明であれば特にそれぞれ用途に応じて適宜設計すればよい。
【0020】
バルブアッセンブリ16は、2つの独立したエアゾールバルブ21と、それらのエアゾールバルブ21を受け入れるバルブホルダー22と、エアゾールバルブ21とバルブホルダー22を覆うようにしてエアゾールバルブ21をバルブホルダー22に固定し、バルブホルダー22を外容器11の開口部に固定するマウンテンカバー23とからなる。
【0021】
エアゾールバルブ21は、それぞれ第1パウチ12および第2パウチ13の連結部材18と連結されるものであり、それぞれのパウチ内から送り出される内容物の流れを制御するものである。具体的に、エアゾールバルブ21は、図3に示すように、下部に連結部材18が連結される筒状のハウジング26と、そのハウジング26内に上下動自在に挿入されるステム27と、そのステムのステム孔27aを閉じるステムラバー28と、ステム27を常時上方に付勢するバネ29と、ハウジング26の全体を覆うカバー30とからなる。このエアゾールバルブ21は、カバー30の上部側面30aをハウジング26方向に環状にカシメることによりステム27およびステムラバー28をハウジング26に固定してステム孔がステムラバーによりシールされている状態に維持しており、カバーの下端30bを真っ直ぐ下方に延ばしている。また、ハウジング26の外周にリング状のシール部材21aが設けられており、マウンテンカバーを外容器に固定した際にバルブホルダーと当接してシールする。それ以外は、従来公知のエアゾールバルブと同じである。
【0022】
バルブホルダー22は、図3b〜dに示すように、円柱状の基部31と、その基部を上下に貫通するように形成された2つの筒状のホルダー部32と、その基部の上端に上方に向かって延びる1つ位置決め突起33と、その基部を上下に貫通するように形成された筒状の充填部34とを有する。
基部31は、外部容器11内に挿入される下部体36と、外部容器11の上部に配置される上部体37と、その間に設けられ、半径方向外側に突出するフランジ部31aとを有する。下部体36の外周面に、バルブホルダー22と外部容器11の内面とをシールするガスケット38(図2参照)を設けるための環状凹部36aが形成されている。また、フランジ部31aは、外部容器11のフランジ部11eの上に配置される。
ホルダー部32は、基部31を貫通する中心孔41と、その外側に設けられる環状の係止溝42と、中心孔41内に下方に向かって縮径するように設けられた環状の段部43とを備えている。中心孔41は、エアゾールバルブ21のハウジング26を挿入する部位である。係止溝42は、エアゾールバルブ21のカバー30の下端30bを挿入する部位である。段部43は、エアゾールバルブ21のシール部材21aが当接され、中心孔41とエアゾールバルブ21との間をシールする部位である。
【0023】
突起33は、基部31の上面から突出する外形が円柱状の突起である。この突起33は、バルブアッセンブリおよびエアゾール容器の方向(位置)合わせ手段および方向確認手段である。
充填部34は、基部31内を上下に貫通する貫通孔34aからなる。ガス充填ユニット45は、図2に示すように、貫通孔34aの内部に上下移動自在に挿入されるステム45aと、そのステム45aを閉じるステムラバー45bと、ステム45aを常時上方に付勢するバネ45cとからなり、マウンテンカバー23によって閉じられ、ステム45aがステムラバー45bによりシールされている状態で維持される。このガス充填ユニット45は、外部容器11内に噴射剤Pを充填するためのものである。
【0024】
マウンテンカバー23は、図2に示すように、エアゾールバルブ21およびバルブホルダー22を覆う円筒状のカバー部23aと、バルブホルダー22のフランジ部31aと外
容器11のフランジ部11eとを固定し、カバー部23aより大きい径の円筒状の固定部23bとを有する。
カバー部23aは、その上底にエアゾールバルブのステム、ガス充填用のステムおよび位置決め突起を通す4つの挿通孔23cを有している。また、カバー部23aは、その上底の下面とエアゾールバルブ21のカバー30の上面、その上底の下面と突起33付近においる基部31の上面、かつ、その上底の下面と充填部34のステムラバー45cの上面とが当接するように下方に押し付けられた状態でカシメられており、上面に4箇所の凹み部23dを有している。
【0025】
噴射剤Pとしては、窒素、圧縮空気、炭酸ガス、亜酸化窒素などの圧縮ガス、液化石油ガス、ハイドロフルオロオレフィンなどの液化ガスなどがあげられる。前記噴射剤により外部容器内の圧力を0.2〜0.8MPaにし、第1パウチおよび第2パウチを常時加圧する。
ディップチューブ17は、バルブアッセンブリ16のエアゾールバルブ21と第2パウチ13とを連通する筒状のものであり、内容物と異なる色に成型されている。この実施形態では、ディップチューブ17は、第2パウチ13の連結材14の内面に係合して設けられている。しかし、エアゾールバルブ21のハウジングの下端に直接設けてもよい。ディップチューブ17を設けることにより、内容物を吐出してパウチの容積が減少したときにパウチが想定通り変形しなくても内容物を最後まで吐出させることができる。例えば、パウチが折れ曲がりながら収縮した場合でもディップチューブにより内容物を最後まで吐出できる。
【0026】
このように構成された二重エアゾール製品10は、使用前における第1内容物14および第2内容物15が第1パウチ12および第2パウチ13を満たしている。そのため、第2パウチ13の内窓部からは不透明な第2内容物15しか見えない。
噴射部材Aを押下げて、両方のエアゾールバルブ21を同時に開くことにより第1内容物14および第2内容物15が同時に吐出される。このように二重エゾール製品10は、両内容物を同時に吐出することを目的としているため、第2パウチ13の残量が確認できれば、第1パウチ12の残量を確認しなくてもよい。そのため、これ以後は第2パウチ13の説明のみを行う。
第2内容物15が第2パウチ13から排出されることにより、第2パウチ13は、袋本体13aの両側壁13bが当接する方向に、そして、ディップチューブ17を挟むように収縮する(図1の想像線)。両側壁13bが当接する直前、または、当接と同時に両側壁13bはディップチューブ17とも当接する。これによりそれまで第2パウチ13の内部を遮っていた第2内容物15は外部に排出され、内窓部からは当接したディップチューブ17が視認できる。ディップチューブは第2内容物と異なる色で成型しているため、第2内容物と異なる色が見えてくる。また、第2パウチ13の袋体13aの全体を透明としているため、第2パウチ13の側壁13b同士が当接することにより、内窓部から第1パウチ12も見えてくる。このように、この実施形態では、ディップチューブ17および第1パウチ12がサインとして機能している。しかし、いずれか一方のみとしてもよい。
第1パウチ12をサインとして機能させるためには、第2パウチ13を貫通して見えるように内窓部を構成する。一方、ディップチューブ17をサインとして機能させるには、袋体13aに挿入されるディップチューブ17に応じて内窓部を構成する。特にディップチューブ17は、袋体17aの中心を通るため、幅方向の中心の上下方向に内窓部が構成されていれば好ましい。その場合、内窓部は両側の側壁13bに設けなくてもよく、外部容器に面する側壁13bのみに設ければ足りる。
【0027】
図4aに、図1の第2パウチ13に用いることができる第2パウチ48を示す。このものは、第2パウチ48の内窓部が、袋体48aの幅方向の中心の上下方向に形成されている。このものは、図4bに示すように、最外面と最内面に耐薬品性に優れた2枚の透明な
樹脂シート49a(たとえばPE、PET)と、最外面の内側にガスバリヤ性に優れた透明な樹脂シート49c(たとえばEVOH、NY)と、最内面の樹脂シート49aと樹脂シート49cの間に挟まれる不透明な金属箔シート49b(たとえばアルミニウム箔)とからなる。そして、不透明な金属箔シート49bを中心に隙間が空くように配置して、透明な樹脂シート49aで挟むことにより成形される。このものも第2パウチ48が所定の容積に減少した(側壁48c同士が重なる直前)とき、第2パウチ48を貫通してその奥が見えるため、第1パウチ12がサインとして機能し、袋体48aの中心を通るディップチューブ17もサインとして機能する。なお、金属箔シートの面積により第2パウチの透過量を調整することができ、たとえば染毛剤第2剤中に含まれる過酸化水素の分解により発生した酸素を外部に排出して第2パウチの膨張を防止し、残量を正確に視認させることができる。
【0028】
図5aに図1の第2パウチ13に用いることができる第2パウチ50を示す。このものは、袋体50aの一方の側壁51aの内面に印刷物、シール等のマーク52が設けられている。そして、他方の(外部容器に面する)側壁51bに内窓部が形成されている。この図5aでは他方の側壁51b全体に透光性を持たせており、他方の側壁51bの全体が内窓部を構成している。しかし、第2パウチ50が所定の容積に減少した(両側壁51a、bが重なる直前)ときマーク52が見えるように構成されていれば、内窓部は他方の側壁51bのいずれに設けてもよい。一方の側壁51aは、透光性を持たせてもよく、不透明にしてもよい。側壁51aは不透明にした方が好ましい。またマーク52は、第1パウチ12の表面や外部容器11の内面に設けてもよい。
図5cの第2パウチ53は、袋体53aの一方の側壁54aに透光性を持たせ、他方の側壁54bを不透明としている。これにより、第2パウチ53が所定の容積となった(両側壁54a、54bが重なる直前)とき、一方の側壁54aから他方の側壁54bが見える。つまり、他方の側壁54bがサインとして機能する。このものも一方の側壁54aの全部に透光性を持たせなくてもよく、一部が透光性を有していればよい。
【0029】
図6の二重エアゾール製品55は、外部容器11の周囲に不透明のフィルム55aを巻きつけたものである。このフィルムは円筒状であり、製品のブランド名やロゴ、効果、使用方法などを印刷しており、印刷していない部分が外窓部として作用する。他の構成は、図1の二重エアゾール製品10と実質的に同じである。この実施の形態では、外部容器の胴部に、上下に延びる外窓部が構成されているが、円形など他の形状でもよい。フィルム55aは外窓部が第2パウチ13の側壁と重なるように設けられ、これにより少なくとも第2パウチ13の中心が見えやすくなり、外窓部から第2パウチ13のサインを視認することができ、第2内容物15の残量が少なくなったことを認識させることができる。フィルムとしては、シュリンクフィルムが好ましい。このフィルム55aは外窓部が確保できるものであれば特に限定されず、たとえば、外部容器11の胴部11bにシールを貼り付けたり、外窓部を残して外部容器の胴部に直接印刷してもよい。
【0030】
図7の二重エアゾール製品57は、透光性を有する外部容器11と、その外部容器内に収容されるパウチ57aと、そのパウチに充填される内容物57bと、外部容器11およびパウチを閉じるエアゾールバルブ57cと、外部容器11とパウチ間に充填される噴射剤Pとからなる。またエアゾールバルブ57cとパウチ57aとの間に内容物と異なる色のディップチューブ17が設けられている。外部容器11は、図1の外部容器11と実質的に同じものである。またパウチ57aは図1の第2パウチ13と同じである。エアゾールバルブ57cは、カバー30の中央部分30cを内側にかしめてステム27が常時ステムラバー28によりシールされるようにハウジング26内を固定し、また、カバー30の下端を外部容器11に対してかしめることでエアゾールバルブ57cを外部容器11に固定している。そのため、図3aのようにカバー30の上部側面30aを備えていない。他の構成は、図3aのエアゾールバルブ21と実質的に同じであり、従来公知のものである

このように構成された二重エアゾール製品57も、使用前における内容物57bがパウチ57aを満たしているとき、パウチ57aの内窓部からは不透明な内容物57bしか見えない。そして、エアゾールバルブ57cを開き、内容物57bを排出し、パウチ57aが所定の容積に減少すると(ほぼ両側壁が重なる直前)ディップチューブ17が内窓部から現れる。
【0031】
図8、9の二重エアゾール製品60は、透光性を有する外部容器11と、その外部容器内に収容される2つのパウチ61と、それぞれのパウチに充填される第1内容物14および第2内容物15と、外部容器11およびそれぞれのパウチを閉じるバルブアッセンブリ16と、外部容器11とパウチ間に充填される噴射剤Pとからなり、パウチ61とバルブアッセンブリ16との間にディップチューブ62が設けられている。そして、ディップチューブ62の外周にサイン体63が設けられている。外部容器11、第1内容物14、第2内容物15、バルブアッセンブリ16および噴射剤Pは、図1の二重エアゾール製品10と実質的に同じである。
また、二重エアゾール製品60は、このバルブアッセンブリ16に図1の噴射部材Aを取り付けて操作する。
【0032】
パウチ61は、2つのシートを貼り合わせて形成される袋体61aと、その開口部に取り付けられる連結部材18とからなる。連結部材18は、図1の連結部材18と実質的に同じものである。袋体61aは、透明であっても不透明であってもよい。しかし、不透明の方がパウチの変形が確認しやすい。
ディップチューブ62は、筒状のものであり、透明でも不透明でもよい。
サイン体63は、貫通した中心孔63aを備えた球状のものである。この中心孔63aにディップチューブ62を挿入する。また、この実施形態では、大きさの異なる球状のサイン体63を2つ上下に設けている。さらに、サイン体63は、中心孔を有する円板状でもよく、中心孔を軸とした回転体であれば特に限定されない。
【0033】
このように構成された二重エアゾール製品60は、図10に示すように、使用前における第1内容物14および第2内容物15がパウチ61を満たしているとき、扁平ではあるが側壁61bが真っ直ぐ上下に延びている(図10a参照)。一方、内容物を排出し、パウチ内が第1の所定の容積となったとき、側壁61bと大きいサイン体63とが当接し、収縮したパウチ61には突出部が現れる(図10b参照)。そして、さらに、内容物を排出し、パウチ内が次ぎの所定の容積となったとき、側壁部61bと小さいサイン体63とが当接し、収縮したパウチ61に大小の2つの突出部が現れる(図10c参照)。このようにサイン体63とパウチ61による変形がサインとして機能する。この場合、異なる大きさのサイン体を入れることにより内容物の残量を細かく認識することができる。
この実施形態では、両方のパウチ61にサイン体63を収容したが、一方のみにしてもよい。しかし、両方に入れることにより、両パウチ61の残量が認識でき、両内容物が同じように吐出しているかの確認にもなる。また、このようなサイン体63を備えたパウチ61を図7の二重エアゾール製品57のパウチ57aの代わりに用いても良い。
【0034】
図11に、図7の二重エアゾール製品57および図8の二重エアゾール製品60に用いることができる他のサイン体を開示する。
図11aのサイン体66は、上筒部66aと、その上筒部66aより径が大きい下筒部66bとが一体の回転体であり、ディップチューブ62に挿入されるものである。この場合も、パウチ61が収縮させることにより側壁61cが下筒部66bと当接して突出部を形成し、さらに収縮させることにより側壁61cが上筒部66aと当接して突出部を形成する。そのため、図8と同様の効果が得られる。
図11bのサイン体67は、外形が図11aのサイン体66と同じであり、上円柱部6
7aとその上円柱部より径が大きい下円柱部67bとが一体のものである。この実施形態はサイン体66をディップチューブに装着せず、パウチ内に収容するものである。この場合、パウチ61が収縮することにより、扁平な方向が上下となるようにサイン体67は動く。この実施形態では、サイン体67の高さの方が、下円柱部67bの径より小さいため、サイン体67は横を向いてパウチ61の側壁61cの圧迫を受ける。パウチ61が収縮することにより側壁61cがサイン体67と当接して突出部を形成する。このようにサイン体67を挿入することによりパウチ61の収縮による変形度が変わるため、ディップチューブを設けなくても内容物をエアゾールバルブに排出しやすくなる。
図11cのサイン体68は、断面が略楕円形状であり、長軸方向に中心孔68aが形成されている。この実施形態もサイン体をディップチューブに装着せず、パウチ内に収容するものである。これによりパウチ61が収縮することにより、サイン体68に応じて側壁部に突出部が形成される。また、このものは中心孔68aを有しているため、ディップチューブの役割も奏する。
図11d〜gのサイン体69は、異なる形状のサイン体を複数個用いており、突出部の形状により残量を認識することができる。
【0035】
図12のパウチ70は、側縁に強化部71を設けたものである。これによりパウチ70が、水平方向の折れ目でパウチが折れ曲がったりせず、安定した形状で収縮する。そのため、パウチ内とエアゾールバルブとの連通を確保することができる。このような強化材71をディップチューブの変わりに用いることができる。例えば、強化材71は、図12bのようにパウチ70の袋体70aの縁部を折り返し、溶着等で結合することによって形成することができ、また、図12cのようにパウチ70の袋体70aの縁部を強化材73を挟みながら折り返し、溶着等で結合することによって形成できる。
【符号の説明】
【0036】
10 二重エアゾール製品
11 外部容器
11a 底部
11b 胴部
11c 肩部
11d 首部
11e フランジ部
11f 環状突起
12 第1パウチ
12a 袋体
13 第2パウチ
13a 袋体
14 第1内容物
15 第2内容物
16 バルブアッセンブリ
17 ディップチューブ
18 連結部材
18a 貼着部
18b 連結部
21 エアゾールバルブ
21a シール材
22 バルブホルダー
23 マウンテンカバー
23a カバー
23b 固定部
23c 挿通孔
23d 凹み部
26 ハウジング
27 ステム
27a ステム孔
28 ステムラバー
29 バネ
30 カバー
30a 上部側面
30b 下端
31 基部
31a フランジ部
32 ホルダー部
33 突起
34 充填部
34a 貫通孔
36 下部体
36a 環状凹部
37 上部体
38 ガスケット
41 中心孔
42 係止溝
43 段部
45 ガス充填ユニット
45a ステム
45b ステムラバー
45c バネ
48 第2パウチ
48a 袋体
49a、c 樹脂シート
49b 金属箔シート
50 第2パウチ
50a 袋体
51a 一方の側壁
51b 他方の側壁
52 マーク
53 第2パウチ
54a 一方の側壁
54b 他方の側壁
55 二重エアゾール製品
55a フィルム
57 二重エアゾール製品
57a パウチ
57b 内容物
57c エアゾールバルブ
60 二重エアゾール製品
61 パウチ
61a 袋体
61b 側壁
62 ディップチューブ
63 サイン体
63a 中心孔
66 サイン体
66a 上筒部
66b 下筒部
67 サイン体
67a 上円柱部
67b 下円柱部
68 サイン体
68a 中心孔
69 サイン体
70 パウチ
70a 袋体
71 強化部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部容器と、
その内部に収容され、2つの平面状の側壁の周縁同士を繋げて形成される可撓性のパウチと、
そのパウチおよび外部容器を閉じるエアゾールバルブと、
そのパウチ内に充填される内容物と、
パウチと外部容器との間に充填される噴射剤とからなる二重エアゾール製品であって、
前記外部容器が、透光性を有する外窓部を備えており、
前記内容物が吐出されてパウチが所定の容積に減少したときに、内容物の残量がわかるサインが見えるように構成されている、
二重エアゾール製品。
【請求項2】
前記パウチが前記外窓部から視認できる透光性の内窓部を備えており、
前記内容物が不透明であり、
前記内容物が吐出されてパウチが所定の容積に減少したときに、前記内窓部からサインが見えるように構成されている、
請求項1記載の二重エアゾール製品。
【請求項3】
前記エアゾールバルブにパウチ内に挿入され、内容物と異なる色のディップチューブが取り付けられており、
前記サインが内窓部から視認できるディップチューブである、
請求項2記載の二重エアゾール製品。
【請求項4】
内窓部が形成された側壁の反対側の側壁の内面にマークが設けられており、
前記サインが内窓部から視認できるマークである、
請求項2記載の二重エアゾール製品。
【請求項5】
前記パウチの一方の側壁が透光性のあるシートから構成され、他方の側壁が不透明であり、前記一方の側壁が内窓部であり、
前記サインが内窓部から視認できる他方の側壁である、
請求項2記載の二重エアゾール製品。
【請求項6】
前記外部容器内に収納される内容器をさらに備え、
前記パウチの両側壁が透光性を備え、パウチ全体が内窓部となっており、
前記サインが内窓部を介して視認できる内容器である、
請求項1記載の二重エアゾール製品。
【請求項7】
前記外部容器が透光性を有しており、前記外部容器の外周に一部を除いて不透明なフィルムを設けることにより外窓部が形成された、
請求項2記載の二重エアゾール製品。
【請求項8】
前記パウチ内に収容される立体形状のサイン体をさらに備え、
前記内容物が吐出されてパウチが所定の容積に減少したときに、サイン体の形状に基づいた突出部が見えるように構成されている、
請求項1記載の二重エアゾール製品。
【請求項9】
形状および/または大きさが異なるサイン体を複数個備えている、
請求項8記載の二重エアゾール製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−82478(P2013−82478A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223502(P2011−223502)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】