交信用データ付与方法及び装置、移動体情報収集システム及び該システムの移動体上装置、並びに、車両編成ネットワークシステム及び該システムの車上装置
【課題】人手による交信用データ付与の問題を伴うことなく、移動体上に設置された移動体上装置に、LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って交信する移動体上装置を識別するための交信用データを付与する交信用データ付与方法及び装置、該方法及び装置を用いた移動体情報収集方法及びシステム並びに該システムの移動体上装置、車両編成ネットワークシステム及び該システムの車上装置を提供する。
【構成】移動体上装置12A〜12Cが設置される移動体A〜Cに当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、交信用データが設定されるべき移動体上装置が設置されている移動体の移動体識別符号と、に基づいて生成された当該移動体上装置に設定すべき交信用データを、当該移動体上装置に付与する。
【構成】移動体上装置12A〜12Cが設置される移動体A〜Cに当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、交信用データが設定されるべき移動体上装置が設置されている移動体の移動体識別符号と、に基づいて生成された当該移動体上装置に設定すべき交信用データを、当該移動体上装置に付与する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば軌道上を走行する車両などの移動体上に設置され、LAN(ローカルエリアネットワーク)を介して例えばインターネットプロトコルのような予め定められた通信プロトコルに従って交信を行うネットワークシステムの少なくとも一部分を構成する移動体上装置に、交信の際に移動体上装置を識別するための例えばIP(インターネットプロトコル)アドレスのような通信アドレスを含む交信用データを付与する交信用データ付与方法及び装置に関するものである。
【0002】
本発明はまた、地上に設置された地上装置と例えば軌道上を走行する車両などの移動体上に設置された移動体上装置とが無線LANを介して例えばインターネットプロトコルのような予め定められた通信プロトコルに従って、移動体上装置を識別するため移動体上装置に設定された例えばIPアドレスのような通信アドレスを含む無線交信用データを用いて交信を行い、移動体上装置に蓄積された移動体に係る移動体情報を地上装置において収集する移動体情報収集システム及び該システムの移動体上装置に関するものである。
【0003】
本発明はさらに、例えば軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両にそれぞれ設置された車上装置が、LANを介して例えばインターネットプロトコルのような予め定められた通信プロトコルに従って、相互に識別するため車上装置に設定された例えばIPアドレスのような通信アドレスを含む交信用データを用いて交信を行う車両編成ネットワークシステム及び該システムの車上装置に関するものである。
【背景技術】
【0004】
従来、軌道上を走行する車両などの移動体上に設置された移動体上装置により少なくとも一部分が構成され、LAN(ローカルエリアネットワーク)を介して例えばインターネットプロトコルのような予め定められた通信プロトコルに従って交信を行うネットワークシステムとして、移動体情報収集システムや車両編成ネットワークシステムがある。従来の移動体情報収集システムとして、例えば鉄道の分野において、列車を編成している移動体である各車両に搭載されている多数の搭載機器の動作履歴などの車両情報を、各車両に設置された移動体上装置である車上装置において記録媒体に記録して蓄積し、この記録媒体自体、或いは、記録媒体に蓄積した情報を読み込ませたICカードなどの他の記録媒体を持ち帰り、記録媒体から地上に設置された地上装置に読み込ませて車両情報を収集することにより、この収集した情報を利用して搭載機器の保守業務を適切な時期に行えるようにしたものが知られている。また、車上装置において記録媒体に記録して蓄積した車両情報を、シリアル伝送回線を介して予め定めた一定の時刻や時間間隔、あるいは人手操作によって車上装置から地上装置に伝送することにより、地上装置に車両情報を収集することも知られている。(例えば、特許文献1参照。)
【0005】
しかながら、上記の前者の移動体情報収集システムでは、例えば広い車両基地に集まった車両を作業員が巡回して人手により、地上装置から記録媒体を持ち出し、車両情報を記録媒体から地上装置に読み込ませることを行わなければならず、車両情報の収集は大変手間のかかる作業であった。
【0006】
また、上記の後者の移動体情報収集システムでは、手間はかからない反面、走行して列車の車両上の車上装置からシリアル伝送回線を介して車両情報を地上装置に伝送するために、公衆回線網を利用しなければならず、通信料金が発生してランニングコストがかかるという問題があった。
【0007】
そこで、車両情報の収集に、手間がかからず、しかも、ランニングコストのかからないシステムとして、例えば、車両基地に集まった列車の車両上の車上装置と車両基地に設置した地上装置との間を無線LANによって接続し、無線LANを介して車上装置の記録媒体に蓄積した車両情報を車両基地に設置した地上装置に自動的に収集するようにしたものが考えられている。
【0008】
また、従来の車両編成ネットワークシステムとして、例えば鉄道の分野において、車両編成の各車両に搭載された各種搭載機器などの端末装置を含む車上装置を監視、制御するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。なお、監視、制御としては、車両毎の特定の車上装置、例えば車両毎の空調機器などのサービス機器の特定のものの状態監視とその操作制御、車両毎の特定のドアやブレーキなどを状態監視とその操作制御などが挙げられる。また、搭載機器としては、ドア、空調機器、ブレーキ、ATO(自動列車運転装置)、自動放送、SIV(静止型インバーター)、モータなどが該当する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−251702号公報
【特許文献2】特開2006−20117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したいずれのシステムにおいても、多数の車両にそれぞれ設置された移動体上装置或いは車上装置(以下、車上装置と略記する。)を特定してLANを介して予め定められた通信プロトコルに従って交信を行う場合、各車上装置には、車上装置を特定するために、通信プロトコルにより定められた仕様の通信アドレスなどの交信用データが設定されなければならない。通信アドレスが例えばIP(インターネットプロトコル)アドレス(以下、「IPアドレス」と言う。)である場合、その設定のための付与には、IPアドレスを管理するサーバを用意して、車上装置から要求があると一時的なIPアドレスを自動的に付与する動的アドレス付与方式と、予め静的IPアドレスを付与する静的アドレス付与方式とがある。
【0011】
動的IPアドレスの付与の場合には、ダイナミックホストコンフィギュレーションプロトコル(以下「DHCP」と言う。)が実装されたDHCPサーバを使うことが多い。DHCPサーバには、車上装置に割り当ててもよいIPアドレスの範囲が設定されており、アクセスしてきた車上装置にこれらの車上装置に割り当ててもよいIPアドレスのなかから選択してIPアドレスを一時的に付与する。車上装置が付与されたIPアドレスを用いた通信を終えるとDHCPサーバは自動的にアドレスを回収し、他の車上装置に割り当てる。
【0012】
このDHCPを使うと、ネットワークにおける交信用データの設定の手間を省いて簡単にIPアドレスを用いて接続することができる。しかしながら、このDHCPによるIPアドレスの自動付与方法を使うと、車上装置とIPアドレスとの対応関係が時間的に変化するので、車上装置とIPアドレスとの対応関係の管理が難しくなるという問題がある。また、交信が中断してIPアドレスの再付与が行なわれると、車上装置のIPアドレスが前回と異なる場合があるので、車上装置へのアクセスに支障がでるという問題点もある。
【0013】
静的IPアドレス付与の場合には、静的IPアドレスが予め各車上装置に付与されるので、動的アドレス付与方式の場合のようなアドレスの変動を避けることができ、アドレス変動に伴う問題がない。しかしながら、静的IPアドレスを予め各車上装置に付与する作業は、一般に、付与すべき静的IPアドレスを人手によるキー操作にて入力することが行われる。このため、付与対象となる車上装置が設置された車両に出向く必要があり、手間がかかるとともに、人手を介することによる作業ミスによって誤った静的IPアドレスの付与が行われる可能性がある。しかも、この付与作業は、車上装置の初期設置時だけでなく、故障時や車両の定期的なメンテナンス時、及び車上装置の載せ換え時にも発生するので、人手による付与作業の頻度はかなり高くなる。
【0014】
人手による付与作業のミスで車上装置を誤って特定し接続対象になっていないアドレスを付与すれば通信不能になることもある。さらにIPアドレスの重複付与などがあれば、車上装置の取り違えという問題も起こる。
【0015】
一般に、無線LANの場合、地上装置と車上装置内の一部との間で無線LANを介して予め定められたIPプロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うために、上述したIPアドレスの他に、ユーザID、ユーザパスワードなどの無線交信用データが設定される。特に、車上装置が有線LAN構成を採用しているときには、さらに、ルーティングテーブルも交信用データとして設定されているが、このルーティングテーブルを含む交信用データが人手による作業で付与されると、IPアドレスの場合と同様の問題が起こる。このような問題は、車両編成の各車両に搭載された各種搭載機器などの端末装置を監視、制御するために、車両に設置された車上装置と各車両に設置された端末装置とが、LANを介して、車上装置と各端末装置とに予め設定された異なるアドレスを利用して交信を行うシステムにおいても生じる。
【0016】
よって、本発明は、上述した点に鑑みなされたもので、人手による交信用データ付与の問題を伴うことなく、移動体上に設置され、LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って交信を行うネットワークシステムの少なくとも一部分を構成する移動体上装置に、交信する移動体上装置を識別するための交信用データを付与する交信用データ付与方法及び装置を提供することを課題としている。
【0017】
本発明はまた、上述した点に鑑みなされたもので、人手による無線交信用データ付与の問題を伴うことなく、移動体上装置の各々において蓄積した移動体情報を地上装置において無線LANを介して収集する移動体情報収集システム及び該システムの移動体上装置を提供することを課題としている。
【0018】
本発明はさらに、上述した点に鑑みなされたもので、人手による交信用データ付与の問題を伴うことなく、相互に識別するため車上装置に設定された交信用データを用いて、車両編成の各車両に設置された端末装置と車両に設置された車上装置とがLANを介して予め定められた通信プロトコルに従って交信を行う車両編成ネットワークシステム及び該システムの車上装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述した課題を解決するため本発明によりなされた交信用データ付与方法は、移動体上に設置され、LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って交信を行うネットワークシステムの少なくとも一部分を構成する移動体上装置に、前記交信の際に当該移動体上装置を識別するための交信用データを付与する交信用データ付与方法であって、前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて当該移動体上装置に設定すべき前記交信用データを生成し、該生成された前記交信用データを当該移動体上装置に設定すべき前記交信用データとして当該移動体上装置に付与する。
【0020】
本発明の交信用データ付与方法によれば、移動体上装置に設定すべき交信用データを当該移動体上装置に付与するが、この付与する交信用データが、移動体上装置が設置される移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、交信用データが設定されるべき移動体上装置が設置されている移動体の移動体識別符号と、に基づいて生成されたものであるので、移動体上装置への設定のために付与すべき静的通信アドレスを人手によるキー操作にて入力することが必要ない。
【0021】
上述した課題を解決するため本発明によりなされた交信用データ付与装置は、移動体上に設置され、LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って交信を行うネットワークシステムの少なくとも一部分を構成する移動体上装置に、前記交信の際に当該移動体上装置を識別するための交信用データを付与する交信用データ付与装置であって、前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された当該移動体上装置に設定すべき前記交信用データを、当該移動体上装置に付与する交信用データ付与手段を備える。
【0022】
本発明の交信用データ付与装置によれば、交信用データ付与手段が移動体上装置に設定すべき交信用データを当該移動体上装置に付与するが、この付与する交信用データが、移動体上装置が設置される移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、交信用データが設定されるべき移動体上装置が設置されている移動体の移動体識別符号と、に基づいて生成されたものであるので、移動体上装置への設定のために付与すべき静的通信アドレスを人手によるキー操作にて入力することが必要ない。
【0023】
上述した交信用データ付与装置において、前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された、当該装置に設定すべき前記交信用データが格納されている交信用データ格納手段をさらに備え、前記交信用データ付与手段は、前記交信用データの付与を前記交信用データ格納手段に格納されている前記交信用データを読み出して行う。
【0024】
本発明の交信用データ付与装置によれば、移動体上装置に設定すべき交信用データが格納されている交信用データ格納手段をさらに備え、交信用データ格納手段に格納されている交信用データが、移動体上装置が設置される移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、交信用データが設定されるべき移動体上装置が設置されている移動体の移動体識別符号と、に基づいて生成されたものであり、交信用データ付与手段は、交信用データの付与を交信用データ格納手段に格納されている交信用データを読み出して行っているので、交信用データ付与手段による交信用データの付与が交信用データ格納手段に格納された交信用データに基づいて行うことができ、交信用データを、人手によるキー操作にて入力することなしに、移動体上装置への設定のために付与することができる。
【0025】
上述した交信用データ付与装置において、前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号が格納されている移動体識別符号格納手段と、該移動体識別符号格納手段に格納されている前記移動体識別符号と、前記移動体識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、に基づいて前記交信用データを生成する交信用データ生成手段とをさらに備え、前記交信用データ付与手段は、前記交信用データの付与を前記交信用データ生成手段により生成された前記交信用データに基づいて行う。
【0026】
本発明の交信用データ付与装置によれば、移動体識別符号格納手段と、交信用データ生成手段とをさらに備え、交信用データ生成手段が、移動体上装置が設置される移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号格納手段に格納されている移動体識別符号と、移動体識別符号に対応して予め定められた交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、に基づいて交信用データを生成し、該生成された交信用データの付与を交信用データ付与手段が行っているので、交信用データ付与手段による交信用データの付与が交信用データ生成手段により生成された交信用データに基づいて行うことができ、交信用データを、人手によるキー操作にて入力することなしに、移動体上装置への設定のために付与することができる。
【0027】
上述した交信用データ付与装置において、特に、前記データ生成用情報は、移動体識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを当該移動体識別符号に基づいて演算して生成するための演算式であるので、移動体識別符号の他に、演算式を用意するだけで、移動体識別符号の移動体に設置した移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部に設定されるべき無線交信用データを生成することができる。
【0028】
上述した交信用データ付与装置において、特に、前記通信プロトコルがインターネットプロトコルであり、前記通信アドレスがインターネットプロトコルアドレスであるので、移動体上装置の一部にIPアドレスを使う既存のものを流用して移動体上装置を構成できる。
【0029】
上述した交信用データ付与装置において、特に、前記移動体識別符号格納手段は、電気的に読み出し可能な数字や文字を設定できるスイッチを有するので、スイッチの操作によって複数桁の十進数からなる移動体識別符号を簡単に格納することができる。
【0030】
上述した課題を解決するため本発明によりなされた移動体情報収集システムは、地上に設置された地上装置と、各々が移動体上に設置されて、当該移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有する複数の移動体上装置とを具備し、前記移動体上装置には、前記地上装置と前記移動体上装置との間で無線LANを介して予め定められた無線通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と前記移動体上装置が相互接続されて、前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムであって、前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記無線交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された当該移動体上装置に設定すべき前記無線交信用データを、当該移動体上装置に付与する無線交信用データ付与手段を備える。
【0031】
また、上述した課題を解決するため本発明によりなされた移動体情報収集システムは、地上に設置された地上装置と、各々が移動体上に設置された複数の移動体上装置とを具備し、前記移動体上装置の各々が、当該移動体上装置が設置される移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有する情報蓄積部と、有線LANを介して予め定めた有線通信プロトコルに従って相互に有線交信を行って前記情報蓄積部と相互接続されるとともに、無線LANを介して予め定めた無線通信プロトコルに従って前記地上装置と無線交信を行う無線通信部とを備え、前記移動体上装置の前記無線通信部には、前記地上装置と前記移動体上装置の前記無線通信部及び前記情報蓄積部との間で無線LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と前記移動体上装置が相互接続されて、前記情報蓄積部の前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムであって、前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記無線交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された、当該移動体上装置の前記無線通信部に設定すべき前記無線交信用データを、当該移動体上装置の前記無線通信部に付与する無線交信用データ付与手段を備える。
【0032】
本発明の移動体情報収集システムによれば、移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部に設定すべき、静的通信アドレス、ルーティングテーブル、個別認証符号などの無線交信用データを、当該移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部に付与する無線交信用データ付与手段を備え、無線交信用データ付与手段が付与する無線交信用データが、移動体上装置が設置される移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、無線交信用データが設定されるべき移動体上装置が設置されている移動体の移動体識別符号と、に基づいて生成されたものであるため、移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部への設定のために付与すべき無線交信用データを人手によるキー操作にて入力することが必要ない。
【0033】
上述した移動体情報収集システムにおいて、前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記無線交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された、当該移動体上装置に設定すべき前記無線交信用データが格納されている無線交信用データ格納手段をさらに備え、前記無線交信用データ付与手段は、前記無線交信用データの付与を前記無線交信用データ格納手段に格納されている前記無線交信用データを読み出して行う。
【0034】
本発明の移動体情報収集システムによれば、移動体上装置に設定すべき無線交信用データが格納されている着脱自在の無線交信用データ格納手段をさらに備え、無線交信用データ格納手段に格納されている無線交信用データが、移動体上装置が設置される移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、無線交信用データが設定されるべき移動体上装置が設置されている移動体の移動体識別符号と、に基づいて生成されたものであり、無線交信用データ付与手段は、無線交信用データの付与を無線交信用データ格納手段に格納されている無線交信用データを読み出して行っているので、無線交信用データ付与手段による無線交信用データの付与が着脱自在の無線交信用データ格納手段に格納された無線交信用データに基づいて行うことができ無線交信用データを、人手によるキー操作にて入力することなしに、移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部への設定のために付与することができる。
【0035】
上述した移動体情報収集システムにおいて、前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号が格納されている移動体識別符号格納手段と、該移動体識別符号格納手段に格納されている前記移動体識別符号と、前記移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、に基づいて前記無線交信用データを生成する無線交信用データ生成手段とをさらに備え、前記無線交信用データ付与手段は、前記無線交信用データの付与を前記無線交信用データ生成手段により生成された前記無線交信用データに基づいて行う。
【0036】
本発明の移動体情報収集システムによれば、着脱自在の移動体識別符号格納手段と、無線交信用データ生成手段とをさらに備え、無線交信用データ生成手段が、移動体上装置が設置される移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号格納手段に格納されている移動体識別符号と、移動体識別符号に対応して予め定められた無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、に基づいて無線交信用データを生成し、該生成された無線交信用データの付与を無線交信用データ付与手段が行っているので、無線交信用データ付与手段による無線交信用データの付与が無線交信用データ生成手段により生成された無線交信用データに基づいて行うことができ、無線交信用データを、人手によるキー操作にて入力することなしに、移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部への設定のために付与することができる。
【0037】
上述した移動体情報収集システムにおいて、特に、前記データ生成用情報は、移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信のための無線交信用データを当該移動体識別符号に基づいて演算して生成するための演算式であるので、移動体識別符号の他に、演算式を用意するだけで、移動体識別符号の移動体に設置した移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部に設定されるべき無線交信用データを生成することができる。
【0038】
上述した移動体情報収集システムにおいて、特に、前記移動体が、軌道上を走行する車両であり、前記地上装置は前記車両に設置された前記移動体上装置と交信可能に設置されるので、地上装置にて移動体上装置に蓄積された車両情報を収集することができる。
【0039】
上述した移動体情報収集システムにおいて、特に、前記通信プロトコルがインターネットプロトコルであり、通信アドレスがIPアドレスであるので、移動体上装置の一部にIPアドレスを使う既存のものを流用して移動体上装置を構成できる。
【0040】
上述した移動体情報収集システムにおいて、特に、前記移動体上装置が、前記無線交信用データ付与手段の他に、前記移動体識別符号格納手段と、前記無線交信用データ生成手段とを備えるので、移動体上装置に設定されるべき無線交信用データを自らが生成して自身に付与することができる。
【0041】
上述した移動体情報収集システムにおいて、特に、前記移動体上装置の前記情報蓄積部が、前記無線交信用データ付与手段の他に、移動体識別符号格納手段と、無線交信用データ生成手段とを備え、前記無線交信用データ付与手段は、前記無線交信用データの付与を前記無線交信用データ生成手段により生成された前記無線交信用データに基づいて行うので、無線通信部に設定されるべき無線交信用データを情報蓄積部が生成して無線通信部に付与することができる。
【0042】
上述した移動体情報収集システムにおいて、特に、前記移動体識別符号格納手段は、前記情報蓄積部に着脱自在に取り付けられるので、情報蓄積部が取り替えられても移動体識別符号格納手段を取り外すことで流用でき、移動体識別符号を格納した移動体識別符号格納手段をあらためて用意する必要がない。
【0043】
上述した移動体情報収集システムにおいて、特に、前記移動体上装置或いは前記移動体上装置の前記無線通信部は、前記地上装置と交信可能であるとき前記移動体の運転キーがオフされる毎に自身に設定された前記無線交信用データを用いて前記地上装置との無線交信を行うので、移動体の運転キーがオフされて停止しているときに、運転中に蓄積された移動体情報が的確に地上装置により収集される。
【0044】
上述した移動体情報収集システムにおいて、前記無線交信用データ付与手段は、前記移動体の運転キーがオフされる毎に前記無線交信を開始する前に、前記無線交信用データを付与する動作を行うので、設定されていた無線交信用データが失われていても、移動体がその運転キーのオフにより停止されたときに、交信に必要な無線交信用データが確実に設定されて、運転中に蓄積された移動体情報が的確に地上装置により収集される。
【0045】
上述した課題を解決するため本発明によりなされた移動体情報収集システムの移動体上装置は、複数の移動体の各々に設置されて、設置された移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有し、地上に設置された地上装置と無線LANを介して接続されて移動体情報収集システムを構成し、前記地上装置との間で無線LANを介して予め定められた無線通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた前記地上装置との無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と接続されて、前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムの移動体上装置であって、設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された、設定すべき前記無線交信用データを自身に付与する無線交信用データ付与手段を備える。
【0046】
また、上述した課題を解決するため本発明によりなされた移動体情報収集システムの移動体上装置は、複数の移動体の各々に設置されて、設置された移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有する情報蓄積部と、有線LANを介して予め定めた有線通信プロトコルに従って相互に有線交信を行って前記情報蓄積部と相互接続されるとともに、無線LANを介して予め定めた無線通信プロトコルに従って前記地上装置と無線交信を行う無線通信部とを備え、前記無線通信部には、前記地上装置と前記無線通信部及び前記情報蓄積部との間で無線LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と接続されて、前記情報蓄積部の前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムの移動体上装置であって、設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された、自身の前記無線通信部に設定すべき前記無線交信用データを前記無線通信部に付与する無線交信用データ付与手段を備える。
【0047】
本発明の移動体情報収集システムの移動体上装置によれば、移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部に設定すべき無線交信用データが、無線交信用データ付与手段により当該移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部に付与されるが、無線交信用データ付与手段が付与する無線交信用データが、移動体上装置が設置される移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、無線交信用データが設定されるべき移動体上装置が設置されている移動体の移動体識別符号と、に基づいて生成されたものであるので、移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部への設定のために付与すべき静的通信アドレスを人手によるキー操作にて入力することが必要ない。
【0048】
上述した課題を解決するため本発明によりなされた無線交信用データ付与方法は、地上に設置された地上装置と、各々が移動体上に設置されて、当該移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有する複数の移動体上装置とを具備し、前記移動体上装置には、前記地上装置と前記移動体上装置との間で無線LANを介して予め定められた無線通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と前記移動体上装置が相互接続されて、前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムにおいて、前記移動体上装置に前記無線交信用データを付与する無線交信用データ付与方法であって、前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記無線交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて当該移動体上装置に設定すべき前記無線交信用データを生成し、該生成された前記無線交信用データを当該移動体上装置に設定すべき前記無線交信用データとして当該移動体上装置に付与する。
【0049】
また、上述した課題を解決するため本発明によりなされた無線交信用データ付与方法は、地上に設置された地上装置と、各々が移動体上に設置された複数の移動体上装置とを具備し、前記移動体上装置の各々が、当該移動体上装置が設置される移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有する情報蓄積部と、有線LANを介して予め定めた有線通信プロトコルに従って相互に有線交信を行って前記情報蓄積部と相互接続されるとともに、無線LANを介して予め定めた無線通信プロトコルに従って前記地上装置と無線交信を行う無線通信部とを備え、前記移動体上装置の前記無線通信部には、前記地上装置と前記移動体上装置の前記無線通信部及び前記情報蓄積部との間で無線LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と前記移動体上装置が相互接続されて、前記情報蓄積部の前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムにおいて、前記無線通信部に前記無線交信用データを付与する無線交信用データ付与方法であって、前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記無線交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて当該移動体上装置の前記無線通信部に設定すべき前記無線交信用データを生成し、該生成された前記無線交信用データを当該移動体上装置の前記無線通信部に設定すべき前記無線交信用データとして当該移動体上装置の前記無線通信部に付与する。
【0050】
本発明の無線交信用データ付与方法によれば、移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部に設定すべき無線交信用データを、当該移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部に付与するが、この付与する無線交信用データが、移動体上装置が設置される移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、無線交信用データが設定されるべき移動体上装置が設置されている移動体の移動体識別符号と、に基づいて生成されたものであるので、移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部への設定のために付与すべき静的通信アドレスを人手によるキー操作にて入力することが必要ない。
【0051】
上述した課題を解決するため本発明によりなされた無線交信用データ付与装置は、地上に設置された地上装置と、各々が移動体上に設置されて、当該移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有する複数の移動体上装置とを具備し、前記移動体上装置には、前記地上装置と前記移動体上装置との間で無線LANを介して予め定められた無線通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と前記移動体上装置が相互接続されて、前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムにおいて、前記移動体上装置に前記無線交信用データを付与する無線交信用データ付与装置であって、前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記無線交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された、当該移動体上装置に設定すべき前記無線交信用データを、当該移動体上装置に付与する無線交信用データ付与手段を備える。
【0052】
上述した課題を解決するため本発明によりなされた無線交信用データ付与装置は、地上に設置された地上装置と、各々が移動体上に設置された複数の移動体上装置とを具備し、前記移動体上装置の各々が、当該移動体上装置が設置される移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有する情報蓄積部と、有線LANを介して予め定めた有線通信プロトコルに従って相互に有線交信を行って前記情報蓄積部と相互接続されるとともに、無線LANを介して予め定めた無線通信プロトコルに従って前記地上装置と無線交信を行う無線通信部とを備え、前記移動体上装置の前記無線通信部には、前記地上装置と前記移動体上装置の前記無線通信部及び前記情報蓄積部との間で無線LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と前記移動体上装置が相互接続されて、前記情報蓄積部の前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムにおいて、前記無線通信部に前記無線交信用データを付与する無線交信用データ付与装置であって、前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記無線交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された、当該移動体上装置の前記無線通信部に設定すべき前記無線交信用データを、当該移動体上装置の前記無線通信部に付与する無線交信用データ付与手段を備える。
【0053】
本発明の無線交信用データ付与装置によれば、移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部に設定すべき無線交信用データを、当該移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部に付与するが、この付与する無線交信用データが、移動体上装置が設置される移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、無線交信用データが設定されるべき移動体上装置が設置されている移動体の移動体識別符号と、に基づいて生成されたものであるので、移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部への設定のために付与すべき静的通信アドレスを人手によるキー操作にて入力することが必要ない。
【0054】
上述した課題を解決するため本発明によりなされた車両編成ネットワークシステムは、各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両にそれぞれ設置された車上装置を備え、前記車上装置には、前記車上装置間で車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して前記車上装置が相互接続される車両編成ネットワークシステムであって、前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記車上装置が設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて生成された当該車上装置に設定すべき前記交信用データを、当該車上装置に付与する交信用データ付与手段を備える。
【0055】
上述した課題を解決するため本発明によりなされた車両編成ネットワークシステムは、各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両にそれぞれ設置された車上装置を備え、該車上装置は複数の端末装置と、前記複数の端末装置と車内LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って相互に交信を行って相互接続されるとともに、車両編成LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って他の車両に設置された車上装置と交信を行うネットワーク制御装置とを有し、前記ネットワーク制御装置には、前記車両編成の全車両に設置された前記端末装置及び他の車両に設置されたネットワーク制御装置との間で車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して前記車上装置間が相互接続される車両編成ネットワークシステムであって、前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記車上装置が設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて、当該車上装置の前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に設定すべく生成された前記交信用データを、当該車上装置の前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に付与する交信用データ付与手段を備える。
【0056】
本発明の車両編成ネットワークシステムによれば、車上装置或いは車上装置の複数の端末装置及びネットワーク制御装置に設定すべき交信用データを、当該車上装置或いは車上装置の複数の端末装置及びネットワーク制御装置に付与する交信用データ付与手段を備え、交信用データ付与手段が付与する交信用データが、車上装置が設置される車両編成の各車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と交信用データが設定されるべき車上装置が設置されている車両の車両識別符号と、に基づいて生成されたものであるため、車上装置或いは車上装置の複数の端末装置及びネットワーク制御装置への設定のために付与すべき交信用データを人手によるキー操作にて入力することが必要ない。
【0057】
上述した車両編成ネットワークシステムにおいて、前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記車上装置が設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて生成された、当該車上装置或いは当該車上装置の前記複数の端末装置及び前記ネットワーク制御装置に設定すべき前記交信用データが格納されている交信用データ格納手段をさらに備え、前記交信用データ付与手段は、前記交信用データの付与を前記交信用データ格納手段に格納されている前記交信用データを読み出して行う。
【0058】
本発明の車両編成ネットワークシステムによれば、車上装置に設定すべき交信用データが格納されている交信用データ格納手段をさらに備え、交信用データ格納手段に格納されている交信用データが、車上装置が設置される車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、交信用データが設定されるべき車上装置が設置されている移動体の車両識別符号と、に基づいて生成されたものであり、交信用データ付与手段は、交信用データの付与を交信用データ格納手段に格納されている交信用データを読み出して行っているので、交信用データ付与手段による交信用データの付与が交信用データ格納手段に格納された交信用データに基づいて行うことができ交信用データを、人手によるキー操作にて入力することなしに、車上装置或いは車上装置の前記複数の端末装置及び前記ネットワーク制御装置への設定のために付与することができる。
【0059】
上述した車両編成ネットワークシステムにおいて、前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号が格納されている車両識別符号格納手段と、該車両識別符号格納手段に格納されている前記車両識別符号と、前記車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、に基づいて前記交信用データを生成する交信用データ生成手段とをさらに備え、前記交信用データ付与手段は、前記交信用データの付与を前記交信用データ生成手段により生成された前記交信用データに基づいて行う。
【0060】
本発明の車両編成ネットワークシステムによれば、車両識別符号格納手段と、交信用データ生成手段とをさらに備え、交信用データ生成手段が、車上装置が設置される車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号格納手段に格納されている車両識別符号と、車両識別符号に対応して予め定められた無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、に基づいて交信用データを生成し、該生成された交信用データの付与を交信用データ付与手段が行っているので、交信用データ付与手段による交信用データの付与が交信用データ生成手段により生成された交信用データに基づいて行うことができ、交信用データを、人手によるキー操作にて入力することなしに、車上装置或いは車上装置の複数の端末装置及びネットワーク制御装置への設定のために付与することができる。
【0061】
上述した車両編成ネットワークシステムにおいて、特に、前記データ生成用情報は、車両識別符号に対応して予め定められた前記交信のための交信用データを当該車両識別符号に基づいて演算して生成するための演算式であるので、車両識別符号の他に、演算式を用意するだけで、車両識別符号の車両に設置した車上装置或いは車上装置の複数の端末装置及びネットワーク制御装置に設定されるべき交信用データを生成することができる。
【0062】
上述した課題を解決するため本発明によりなされた車両編成ネットワークシステムの車上装置は、各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両に設置されて、車両編成LANを介して接続されて車両編成ネットワークシステムを構成し、車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して接続される車上装置であって、設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて生成された、設定すべき前記交信用データを自身に付与する交信用データ付与手段を備える。
【0063】
上述した課題を解決するため本発明によりなされた車両編成ネットワークシステムの車上装置は、各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両に設置されて、車両編成LANを介して接続されて車両編成ネットワークシステムを構成し、複数の端末装置と、車内LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って相互に交信を行って前記複数の端末装置と相互接続されるとともに、車両編成LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って交信を行うネットワーク制御装置とを有し、前記ネットワーク制御装置には、前記車両編成の全車両に設置された前記端末装置及び他の車両に設置されたネットワーク制御装置との間で車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して相互接続される車上装置であって、設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて、自身の前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に設定すべく生成された前記交信用データを前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に付与する交信用データ付与手段を備える。
【0064】
本発明の車両編成ネットワークシステムの車上装置によれば、車上装置或いは車上装置の複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に設定すべき交信用データが、交信用データ付与手段により当該車上装置或いは車上装置の複数の端末装置およびネットワーク制御装置に付与されるが、交信用データ付与手段が付与する交信用データが、車上装置が設置される車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、交信用データが設定されるべき車上装が設置されている車両の車両識別符号と、に基づいて生成されたものであるので、車上装置或いは車上装置の複数の端末装置およびネットワーク制御装置への設定のために付与すべき交信用データを人手によるキー操作にて入力することが必要ない。
【0065】
上述した課題を解決するため本発明によりなされた車両編成ネットワークシステムの交信用データ付与方法は、各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両にそれぞれ設置された車上装置を備え、前記車上装置には、前記車上装置間で車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して前記車上装置が相互接続される車両編成ネットワークシステムにおいて、前記車上装置に前記交信用データを付与する交信用データ付与方法であって、前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記車上装置が設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて当該設定すべき前記交信用データを生成し、該生成された前記交信用データを当該設定すべき前記交信用データとして当該車上装置に付与する。
【0066】
上述した課題を解決するため本発明によりなされた車両編成ネットワークシステムの交信用データ付与方法は、各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両にそれぞれ設置された車上装置を備え、該車上装置は複数の端末装置と、前記複数の端末装置と車内LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って相互に交信を行って相互接続されるとともに、車両編成LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って他の車両に設置された車上装置と交信を行うネットワーク制御装置とを有し、前記ネットワーク制御装置には、前記車両編成の全車両に設置された前記端末装置及び他の車両に設置されたネットワーク制御装置との間で車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して前記車上装置間が相互接続される車両編成ネットワークシステムにおいて、前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に前記交信用データを付与する交信用データ付与方法であって、前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記車上装置が設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて当該車上装置の前記ネットワーク制御装置に設定すべき前記交信用データを生成し、該生成された前記交信用データを当該車上装置の前記ネットワーク制御装置に設定すべき前記交信用データとして当該車上装置の前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に付与する。
【0067】
本発明の車両編成ネットワークシステムの交信用データ付与方法によれば、車上装置或いは車上装置の複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に設定すべき交信用データを、当該車上装置或いは車上装置の複数の端末装置およびネットワーク制御装置に付与するが、この付与する交信用データが、車上装置が設置される車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、交信用データが設定されるべき車上装置が設置されている車両の車両識別符号と、に基づいて生成されたものであるので、車上装置或いは車上装置の車上装置の複数の端末装置およびネットワーク制御装置への設定のために付与すべき交信用データを人手によるキー操作にて入力することが必要ない。
【0068】
上述した課題を解決するため本発明によりなされた車両編成ネットワークシステムの交信用データ付与装置は、各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両にそれぞれ設置された車上装置を備え、前記車上装置には、前記車上装置間で車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して前記車上装置が相互接続される車両編成ネットワークシステムにおいて、前記車上装置に前記交信用データを付与する交信用データ付与装置であって、前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記車上装置が設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて生成された当該車上装置に設定すべき前記交信用データを、当該車上装置に付与する交信用データ付与手段を備える。
【0069】
上述した課題を解決するため本発明によりなされた車両編成ネットワークシステムの交信用データ付与装置は、各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両にそれぞれ設置された車上装置を備え、該車上装置は複数の端末装置と、前記複数の端末装置と車内LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って相互に交信を行って相互接続されるとともに、車両編成LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って他の車両に設置された車上装置と交信を行うネットワーク制御装置とを有し、前記ネットワーク制御装置には、前記車両編成の全車両に設置された前記端末装置及び他の車両に設置されたネットワーク制御装置との間で車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して前記車上装置間が相互接続される車両編成ネットワークシステムにおいて、前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に前記交信用データを付与する交信用データ付与装置であって、前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記車上装置が設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて生成された当該車上装置の前記無線通信部に設定すべき前記交信用データを、当該車上装置の前記複数の端末装置およびネットワーク制御装置に付与する交信用データ付与手段を備える。
【0070】
本発明の車両編成ネットワークシステムの交信用データ付与装置によれば、車上装置或いは車上装置の複数の端末装置およびネットワーク制御装置に設定すべき交信用データを、当該車上装置の複数の端末装置およびネットワーク制御装置或いは車上装置の複数の端末装置およびネットワーク制御装置に付与するが、この付与する交信用データが、車上装置の複数の端末装置およびネットワーク制御装置が設置される車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、交信用データが設定されるべき車上装置の複数の端末装置およびネットワーク制御装置が設置されている車両の車両識別符号と、に基づいて生成されたものであるので、車上装置或いは車上装置の複数の端末装置およびネットワーク制御装置への設定のために付与すべき交信用データを人手によるキー操作にて入力することが必要ない。
【発明の効果】
【0071】
本発明によれば、移動体上装置への設定のために付与すべき、交信用データを人手によるキー操作にて入力することが必要ないので、付与対象となる移動体上装置が設置された移動体に出向く必要がなく、手間がかからないだけでなく、交信用データの付与が頻繁に行われても、人手による作業ミスによって誤った交信用データの付与が行われることがない交信用データ付与方法及び装置が得られる。
【0072】
本発明によれば、交信用データの付与が格納手段に格納された交信用データに基づいて行われ、格納手段への交信用データの格納が、移動体識別符号に対応して予め定められた交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、交信用データが設定されるべき移動体上装置が設置されている移動体の移動体識別符号と、に基づいて自動生成した交信用データを格納手段に書き込むことによって行うことができ、交信用データを人手によるキー操作にて入力しなくでも済む。
【0073】
本発明によれば、交信用データの付与が、移動体識別符号に対応して予め定められた交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、交信用データが設定されるべき移動体上装置が設置されている移動体の移動体識別符号と、に基づいて自動生成されるので、交信用データを予め格納手段に格納するなどの手間が不要である。
【0074】
本発明によれば、移動体識別符号の他に、データ生成用情報としての演算式を用意するだけで、移動体識別符号の移動体に設置した移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部に設定されるべき交信用データを生成することができるので、移動体上装置が設置される移動体が増えても、その移動体識別符号を格納した手段のみ異なる移動体上装置を用意するだけで対応することができる。
【0075】
本発明によれば、移動体上装置の一部にIPアドレスを使う既存のものを流用して移動体上装置を構成できるので、既存のユニットを流用して構成できる。
【0076】
本発明によれば、スイッチの操作によって複数桁の数字や文字からなる移動体識別符号を簡単に格納することができる。
【0077】
本発明によれば、移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部への設定のために付与すべき、静的通信アドレス、ルーティングテーブル、個別認証符号などの無線交信用データを人手によるキー操作にて入力することが必要ないので、付与対象となる移動体上装置が設置された移動体に出向く必要がなく、手間がかからないだけでなく、無線交信用データの付与が頻繁に行われても、人手による作業ミスによって誤った無線交信用データの付与が行われることがない移動体情報収集システム、該システムの移動体上装置、該システムにおける無線交信用データ付与方法及び装置が得られる。
【0078】
本発明によれば、無線交信用データの付与が着脱自在の格納手段に格納された無線交信用データに基づいて行われ、格納手段への無線交信用データの格納が、移動体識別符号に対応して予め定められた無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、無線交信用データが設定されるべき移動体上装置が設置されている移動体の移動体識別符号と、に基づいて自動生成した無線交信用データを、取り外した格納手段に書き込むことによって行うことができ、無線交信用データを人手によるキー操作にて入力しなくでも済む。
【0079】
本発明によれば、無線交信用データの付与が、移動体識別符号に対応して予め定められた無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、無線交信用データが設定されるべき移動体上装置が設置されている移動体の移動体識別符号と、に基づいて自動生成されるので、無線交信用データを予め格納手段に格納するなどの手間が不要である。
【0080】
本発明によれば、移動体識別符号の他に、データ生成用情報としての演算式を用意するだけで、移動体識別符号の移動体に設置した移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部に設定されるべき無線交信用データを生成することができるので、移動体上装置が設置される移動体が増えても、その移動体識別符号を格納した手段のみ異なる移動体上装置を用意するだけで対応することができる。
【0081】
本発明によれば、軌道上を走行する車両に設置した移動体上装置に蓄積された車両情報を地上装置にて収集することができる。
【0082】
本発明によれば、移動体上装置の一部にIPアドレスを使う既存のものを流用して移動体上装置を構成できるので、既存のユニットを流用してシステムを安価に構成できる。
【0083】
本発明によれば、移動体上装置に設定されるべき無線交信用データを自らが生成して自身に付与することができる。また、無線通信部に設定されるべき無線交信用データを情報蓄積部が生成して無線通信部に付与することで、無線通信部に手を加えることなく無線通信部に既存のユニットを流用して、移動体上装置、ひいてはシステムを安価に構成できるようになる。
【0084】
本発明によれば、スイッチの操作によって複数桁の数字や文字からなる移動体識別符号を簡単に格納することができる。また、情報蓄積部が取り替えられても移動体識別符号格納手段を取り外すことで流用でき、移動体識別符号を格納した移動体識別符号格納手段をあらためて用意する必要がないので、情報蓄積部の取り替えを安価に行えるとともに、元の移動体識別符号格納手段を取り付けられることで、間違った移動体識別符号の格納手段を取り付けることを防げる。
【0085】
本発明によれば、移動体の運転キーがオフされて停止しているときに、運転中に蓄積された移動体情報が的確に地上装置により収集されるので、例えば、移動体が一日の運行を終了した時点で移動体情報を収集して、一日の運行の終了時の保守点検などに供することができる。
【0086】
本発明によれば、設定されていた無線交信用データが失われていても、移動体がその運転キーのオフにより停止されたときに、交信に必要な無線交信用データが確実に設定されて、運転中に蓄積された移動体情報が的確に地上装置により収集されるので、移動体情報の収集時に無線交信用データが失われていて無線交信ができなく、移動体情報が収集できなくなることがない。
【0087】
本発明によれば、情報蓄積部を無線通信部と独立に構成し、無線通信部に既製のものを流用して構成できるので、人手による作業ミスによって誤った静的通信アドレスの付与が行われることがない安価な移動体情報収集システムが得られる。
【0088】
本発明によれば、情報蓄積部が取り替えられても車両番号格納手段を取り外すことで流用でき、車両番号格納手段にあらためて車両番号を書き込む必要がないので、情報蓄積部の取り替えを安価に行える移動体情報収集システムが得られる。
【0089】
本発明によれば、情報蓄積部を無線通信部と独立に構成し、無線通信部にインターネット用に広く流通している既存のものを流用して安価に構成できる移動体情報収集システムが得られる。
【0090】
本発明によれば、設定のために付与すべき静的IPアドレスを人手によるキー操作にて入力することが必要ないので、付与対象となる移動体上装置が設置された移動体に出向く必要がなく、手間がかからないだけでなく、静的IPアドレスの付与が頻繁に行われても、人手による作業ミスによって誤った静的IPアドレスの付与が行われることがない移動体情報収集システムの移動体上装置が得られる。
【0091】
本発明によれば、車上装置或いは車上装置の複数の端末装置及びネットワーク制御装置への設定のために付与すべき交信用データを人手によるキー操作にて入力することが必要ない車両編成ネットワークシステム及び該システムの車上装置が得られる。
【0092】
本発明によれば、交信用データ付与手段による交信用データの付与が交信用データ格納手段に格納された交信用データに基づいて行うことができ、交信用データを、人手によるキー操作にて入力することなしに、車上装置或いは車上装置の複数の端末装置及びネットワーク制御装置への設定のために付与することができる。
【0093】
本発明によれば、交信用データ付与手段による交信用データの付与が交信用データ生成手段により生成された交信用データに基づいて行うことができ、交信用データを、人手によるキー操作にて入力することなしに、車上装置或いは車上装置の複数の端末装置及びネットワーク制御装置への設定のために付与することができる。
【0094】
本発明によれば、車上装置或いは車上装置の車上装置の複数の端末装置およびネットワーク制御装置への設定のために付与すべき交信用データを人手によるキー操作にて入力することが必要ない車両編成ネットワークシステムの交信用データ付与方法及び装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明による移動体情報収集システムの一実施形態である情報収集システムを、WANを介してワークステーションに接続して構成した車両管理システムを示す構成図である。
【図2】地上装置が設置される車両基地(車両留置場)の一例を示す説明図である。
【図3】車両側装置の概略構成例を示す構成図である。
【図4】車両側装置の主要な一部の具体的な構成例を示す構成図である。
【図5】ルーティングテーブルの一例を示す図である。
【図6】図4中のCPU12201及び制御器1215が行う処理を示すフローチャートである。
【図7】地上に置かれた地上装置の処理フローの説明図である。(A)地上装置の収集サーバ部が行う処理を示すメインルーチンの処理フローである。(B)地上装置の交信処理ルーチンの詳細内容を示すフローチャートである。(C)地上装置のポーリング処理ルーチンの詳細内容を示すフローチャートである。
【図8】車両側装置の無線交信の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の交信用データ付与方法及び装置を適用した車両編成ネットワークシステムの一実施形態である鉄道車両編成ネットワークシステムの概略構成を示す図である。
【図10】図9中の車上装置の具体的な構成の一例を示す図である。
【図11】図10中のモニタの画面に表示される表示例を示す図である。
【図12】車両識別符号から生成して付与したIPアドレス及びNATテーブルを示す図である。
【図13】車両編成ネットワークシステムのネットワーク制御装置の動作を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図14】IPアドレス、NATテーブルの生成と付与についてのネットワーク制御装置の動作を説明するためのフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0096】
以下、本発明の実施形態を図面図1〜図8を参照して説明する。図1は、本発明による交信用データ付与方法及び装置を適用した移動体情報収集システムの一実施形態である鉄道車両情報収集システムにより収集した鉄道車両に係る車両情報を利用して鉄道車両を管理する鉄道車両管理システムの概略構成を示す図である。
【0097】
図1において、鉄道車両管理システムは、例えば広い車両基地に構築される大規模な鉄道車両情報収集システム10と、車両基地から離れた遠隔の場所、例えば駅舎に隣接して設けられる車両留置場に構築される小規模な鉄道車両情報収集システム20と、両システム10及び20により収集した車両情報に基づいて鉄道車両の管理業務を行うワークステーション30と、これらを接続するワイドエリア ネットワーク(WAN)40とによって構成されている。
【0098】
大規模な鉄道車両情報収集システム10と小規模な鉄道車両情報収集システム20は、車両情報を収集する対象とする車両の数に違いがあるだけで、基本的に同一の構成を有する。したがって、両システムを代表して、大規模な鉄道車両情報収集システム10について、そのシステム構成を説明する。
【0099】
システム10は、地上装置11と、各々が鉄道車両A〜Cに設置され、地上装置11に無線ローカルエリアネットワーク(LAN)を介して接続される移動体上装置である車上装置12A〜12Cとで構成される。本実施の形態では、インターネットプロトコル(IP)に従って相互通信を行うIEEE802.11xに準拠した無線LANが採用されており、地上装置11と車上装置12A〜12Cには、相互通信のための静的IPアドレスが予め設定されている。
【0100】
地上装置11は、図2に示すような広い車両基地内の車両留置場にアクセスポイントとして設置される複数の無線通信部111と、アクセスポイントへのアクセスを認証するRADIUS認証サーバ部112と、車両情報を収集して格納する収集サーバ部113と、地上装置をWANに接続するためのルータ部114と、これらを有線LANで相互接続するためのハブ(HUB)115とを有する。地上装置11には、WAN40を介してワークステーション30とインターネット接続されるようグローバルIPアドレスが付与されて、車両の保守点検管理のために、収集サーバ部113に収集された車両情報をワークステーション30側から参照することができる。
【0101】
図1においては、地上装置11の無線通信部111は2つしか示されていない。しかしながら、図2に示すような広い車両基地の場合には、車両基地内に敷設した引き込み線50の何処に列車51が留置されても、列車に編成された各車両に設置された車上装置12との間で無線通信ができるように(1)〜(6)の6つの無線通信部111が設置される。各アクセスポイントの無線通信部111には、隣接するアクセスポイントの通信可能エリア52が重畳しても通信ができるように、相互干渉しないように規格に定められた複数のチャンネルの一つが選択されて割り振られている。なお、無線通信部111を除く、RADIUS認証サーバ部112と収集サーバ部113は、車両の保守作業を行うための作業場や運転手の詰め所などを備え建家53内に設置される。
【0102】
RADIUS認証サーバ部112は、リモート・アクセスにおける認証情報を一元管理する仕組みとして使われるものである。RADIUS認証サーバ部112には、ユーザIDとパスワードを使って認証処理を行うために、予め接続を許されるユーザIDとパスワードのデータが格納されており、車上装置12A〜12Cから接続の要求があると、予め格納されたデータと接続要求に併せて送られてくるユーザID及びパスワードのデータとを照合して同一であれば、当該接続が許容されることとなる。
【0103】
収集サーバ部113は、RADIUS認証サーバ部112により接続が許容された車上装置12A〜12Cに対してポーリングを行い、当該車上装置12A〜12Cに蓄積されている車両情報を送信させて収集する。
【0104】
鉄道車両A〜Cにそれぞれ設置される車上装置12A〜12Cの全ては同一の構成を有する。したがって、全てを代表して、車上装置12Aについて、その概略構成を説明する。車上装置12Aは、図1に示されるように、無線通信部121、第1の車両情報蓄積部122及び第2の車両情報蓄積部123を有する。
【0105】
無線通信部121は、地上装置11の複数の無線通信部111の一つの通信可能エリア52に入って所定の留置位置に停車され、運転キーのオフ操作により車両の運行が終了されると、地上装置11の無線LANのアクセスポイントとして設置されている複数の無線通信部111(1)〜111(2)の一つと無線交信を開始する。第1の車両情報蓄積部122は、車両の運行中に、車両に搭載された空調機などの各種の機器の動作状態を監視して、監視状態を所定の条件で判定して機器の異常、故障、保守点検の要などを診断し、その診断結果を時間とともに逐次記録して搭載機器にかかる第1の車両情報を蓄積する。第2の車両情報蓄積部123は、運転開始から及び終了までの車両の運転状況、例えば、車両を駆動するモータの加速若しくは減速又はブレーキの使用状態などを時系列のデータとして順次記録して車両にかかる第2の車両情報を蓄積する。各車両情報蓄積部122及び123に蓄積されている車両情報は、車両基地に留置されていた列車が車両基地から出て列車の運行を開始するため運転キーがオンされてから、車両の運行を終了して運転キーをオフされて蓄積されている車両情報が地上装置11に収集されるまでに蓄積されたものである。
【0106】
以上の構成により、車両基地に戻ってきた列車が、地上装置11の複数の無線通信部111の一つの通信可能エリア52に入って所定の留置位置に停車され、運転キーのオフ操作により車両の運行が終了されると、移動体上装置12Aの無線通信部121と地上装置11の無線通信部111が無線LANを介してインターネットプロトコル(IP)を使って相互通信を行い、地上装置11の収集サーバ部113に対して認証情報を付加して接続要求する。接続要求を受け取った地上装置11では、接続要求に含まれている認証情報に基づいてRADIUS認証サーバ部112が認証を行う。この認証によって、接続要求を行った車上装置12Aが正規のものであると認められたときには、この通知を受け取った収集サーバ部113は、当該車上装置12Aをポーリング対象リストに登録し、既に登録してある他の車両に設置されている車上装置12B〜12Dと同様に、ポーリングによって当該車上装置12Aの第1及び第2の車両情報蓄積部122及び123にアクセスして、これらの情報蓄積部に蓄積されている車両情報を送信させる。地上装置11の無線通信部111により受信された車両情報は、収集サーバ部113が有する図示しないデータベースに格納されて収集される。
【0107】
図1に示した実施の形態では、車上装置12Aの無線通信部121と地上装置11の無線通信部111が無線LANを介してインターネットプロトコル(IP)に従って相互通信を行うに当たって使用するIPアドレスについて言及していないが、車上装置12Aにおいて、自身に付与すべきIPアドレスを自動的に生成し、この自動的に生成したIPアドレスを自動設定するようにした実施の形態を、その概略構成を示す図3及びその詳細構成を示す図4を参照して以下説明する。
【0108】
図3において、車上装置12Aは、無線通信部121が有するハブ1211に第1の車両情報蓄積部122及び第2の車両情報蓄積部123がコネクタ接続されることにより、無線通信部121、第1の車両情報蓄積部122及び第2の車両情報蓄積部123間で有線LANを介して相互通信するように構成されている。
【0109】
無線通信部121は、ハブ1211の他に、地上装置11との間で無線での交信を行なう無線部1212と、有線LANと無線LANのアドレス変換を行うルータ1213とを有する。無線通信部121は、自身からのデータ、或いは、有線LANを介して車両情報蓄積部122又は123から受け取ったデータを無線パケットとして無線部1212を介しアンテナを通じて無線信号として発信する。また、地上装置11からの無線信号を受信して無線パケットからデータを取り出し、宛先のIPアドレスに応じて自身で受け取り、或いは、ルータ1213を介して車両情報蓄積部122又は123へ有線LANを通じて送信する。ルータ1213は、車上装置12Aの無線通信部121、第1の車両情報蓄積部122及び第2の車両情報蓄積部123に予め付与される既定の固定値からなる有線LAN用の静的IPアドレスと無線LAN用の静的IPアドレスとの間のアドレス変換を行うためのルーティングテーブルを有し、このルーティングテーブルに基づいてIPアドレスの書き換えを行う。このルータ1213への、ルーティングテーブルの設定作業については後述する。なお、このルーティグテーブルは、ポート番号を使って作られるネットワーク アドレス トランスレーション テーブル(NAT)の機能を有するものとなる。
【0110】
なお、有線用の静的IPアドレスは車両内の有線LANのみで使用され車両の外に出ることがないので、全ての車両に搭載される車上装置には、同一の有線用の静的IPアドレスが付与されている。しかしながら、無線LAN用の静的IPアドレスは、他の車両の車上装置でも受信されるので、全ての車両に設置された車上装置には、重複しない無線LAN用の静的IPアドレスが付与されなければならない。また、個別認証情報も当然に、各車上装置において、重複しないものが付与されなければならない。これらの、無線LAN用のIPアドレスおよび個別認証情報などの、無線交信に必要なデータを無線交信用データと言う。
【0111】
第1の車両情報蓄積部122は、第1の車両情報を蓄積するために、信号線を介して、例えば空調機124や推進系の機器125などの各種の機器の状態を表す信号を入力して監視し、入力した信号に基づいて各種の機器の動作状態を所定の条件で判定して機器の故障の診断を行い、故障履歴を搭載機器にかかる第1の車両情報として逐次記録する記録手段とを有する。
【0112】
また、第1の車両情報蓄積部122は、無線通信部121のルータ1213に設定するルーティングテーブルを作成するために必要な無線LAN用の静的IPアドレスを生成するアドレス生成手段を有する。このために、第1の車両情報蓄積部122は、車上装置12Aが設置された車両を識別可能に予め付与された移動体識別符号である車両番号を予め格納した移動体識別符号格納部となる車両番号格納部1221を備えるとともに、列車の運転キーのオン・オフ信号が入力されている。第1の車両情報蓄積部122は、移動体上装置の電源がオンされたとき、車両番号格納部1221から入力した車両番号に基づいて、車上装置12Aの無線通信部121、第1の車両情報蓄積部122及び第2の車両情報蓄積部123に付与される無線LAN用の静的IPアドレス並びに、後述する認証(RADIUS認証)のためのユーザID及びパスワードを所定のルールに従って生成して付与する。さらに、運転キーがオフされて地上装置との無線通信を開始するに際しても、念のために、再度付与が行なわれる。
【0113】
そして、第1の車両情報蓄積部122は、生成された無線LAN用の静的IPアドレスと、第1及び第2の車両情報蓄積部122及び123並びに無線通信部121に予めそれぞれ付与されている有線LAN用の静的IPアドレスの固定値と、に基づいてルーティングテーブルを生成する。この生成されたルーティングテーブルは、上記無線通信部121の無線LAN用の静的IPアドレスと、ユーザID及びパスワードとともに、無線通信部121に送信されて、無線通信部121において車上装置12が地上装置11との間の交信を行うための設定に供される。なお、車両番号に基づいて無線LAN用の静的IPアドレスを生成する仕方の詳細については後述する。
【0114】
なお、車両番号格納部1221としては、機械的に着脱自在でしかも格納した車両番号を電気的に読み取り可能な機械的なサムホイールスイッチ若しくはディップスイッチまたは不揮発性の半導体メモリなどから構成される。しかも、車両番号格納部1221は、第1の車両情報蓄積部122から取り外した状態でも、例えば鎖などで対応する車両に固定されているので、行方不明になることも、他の車両のものと取り違えられることもないようになっている。この車両番号は、各車両で重複することの無い車両を識別するものであり、車両を移動体として把握したときには、移動体識別符号として把握される。したがって、車両番号格納部は、移動体識別符号格納部に相当する。
【0115】
次に、図4を参照して、車上装置12Aの無線通信部121と第1の車両情報蓄積部122のより具体的な構成を以下説明する。図4においては、第2の車両情報蓄積部123については省略されている。
【0116】
無線通信部121は4つのLANインターフェース(I/F)1214を有し、その1を介してハブ1211に第1の車両情報蓄積部122が接続されている。無線通信部121はまた、例えば1チップマイコンから構成される制御器1215、有線LANインターフェース(I/F)回路1216、ルーティング回路1217及び無線LANインターフェース(I/F)回路1218を有し、制御器1215によって制御されてルータ1213(図3)として働くルーティング回路1217には有線LANI/F回路1216を介してハブ1211が接続されるとともに、無線LANI/F回路1218を介して無線アンテナが接続されている。無線通信部121はさらにメモリ1219を有し、認証のために使用されるユーザID及びパスワードが格納されている。
【0117】
第1の車両情報蓄積部122は、中央処理ユニット(CPU)12201、プログラム及びプログラムの実行に当たって使用する固定データを格納する不揮発性メモリであるフラッシュROM12202、プログラムの実行に当たって使用する作業用のメモリであるSDRAM12203を有し、これらはPCIバスなどのバス12204を介して相互に接続されている。
【0118】
バス12204にはまた、例えば故障履歴のような第2の車両情報を順次蓄積する車両情報蓄積手段として働き、電源ダウンによって蓄積された情報が消失しないように電源バックアップされたメモリであるRAM12205、同じく電源バックアップされた実時間データを生成するクロック12206が接続されている。
【0119】
バス12204にはさらに、車両番号格納部1221が接続されるデジタル入出力I/F12207、USBI/F12208を介してUSB接続機器が接続されるUSBコントロールデバイス12209、フラッシュメモリカードI/F12210を介してフラッシュメモリが接続されるフラッシュメモリカードコントロールデバイス12211、RS233CI/F12212、フォトカプラ12213を介して例えばモニタ機器が接続されるシリアルコントローラ12214、LANI/F12215を介して無線通信部121との交信を行うLANコントローラ12216、及び、バス12204に直接機器を接続するためのバスI/F12217が接続されている。フラッシュメモリカードI/F12210は、第2の車両情報をフラッシュメモリカードに取り込む場合に使用できる。バスI/F12217は、CPU12201に直結して高速データの送受信に使用できる。
【0120】
そして、CPU12201には、所定の条件の下で判定して上述した故障履歴を例えばクロックの発生する実時間を付与して時系列に取得するために、車両に搭載された各種の機器の動作状態を監視するための信号を入力する2つのRS422AI/F12218が接続されている。
【0121】
第1の車両情報蓄積部122のCPU12201は、RS422AI/F12218からの信号を判定して第2の車両情報をRAM12205に順次蓄積する車両情報蓄積処理の他に、車上装置12と地上装置11との間の相互通信のためのコンフィグ設定を行う設定処理などを行う。コンフィグ設定では、無線LAN用の静的IPアドレス、ルーティングテーブル、RADIUS認証のためのユーザID及びパスワードなどが設定される。
【0122】
上記フラッシュROM12202には、車両情報蓄積処理、設定処理などを行うためのプログラムの他に、車両情報蓄積処理において判定のために使用される判定値、設定処理において使用される各種の固定値やアドレス情報が格納されている。具体的には、固定値としては、有線LAN側の静的IPアドレスとそのサブネットマスク及び無線LAN用のサブネットマスクとに予め割り当てられた固定値や、ルーティングや暗号化などのために使用される予め定められたその他の固定値が格納されている。
【0123】
本例では、有線LAN側の静的IPアドレスとして、第1の車両情報蓄積部122に192.168.1.1、第2の車両情報蓄積部123に192.168.1.2、無線通信部121に192.168.1.254、そのサブネットマスクに24ビット、無線LAN用のサブネットマスクに16ビットの固定値がそれぞれ割り当てられ、これらはフラッシュROM12202に格納されている。
【0124】
アドレス情報としては、車上装置12が設置される全ての車両に識別可能に予め付与される車両番号と予め定められたルールによって車両番号の各々に対応して定められた無線LAN用の静的IPアドレスとの関係を表す演算式、或いは、演算式によって演算して得られた車両番号−IPアドレス対応テーブルが格納されている。
【0125】
車両番号と無線LAN用の静的IPアドレスとの関係を表す演算式は、車両番号から当該車両に搭載された移動体上装置12の第1の車両情報蓄積部122、第2の車両情報蓄積部123及び無線通信部121に割り当てられるクラスBのプライベートIPアドレスを重複しない無線LAN用の静的IPアドレスとして生成するためのもので、32ビットの生成IPアドレスを8ビットずつに区切って10進数表示して、aaa、bbb、ccc、dddと表し、aaaには172の固定値、bbbには016の固定値がそれぞれ割り当てられ、ccc及びdddについては、以下の演算式により決定される。
【0126】
ccc=[(「車両番号」−「車両番号のスタート番号」)÷25]の商+「付与されるスタート番号」
ddd=〔(「車両番号」÷25)の余り)×10〕+1(第1の車両情報蓄積部122)
=〔(「車両番号」÷25)の余り)×10〕+2(第2の車両情報蓄積部123)
=〔(「車両番号」÷25)の余り〕×10〕+9(無線通信部121)
【0127】
上記の式において、例えば、「車両番号のスタート番号」として、2000、「付与されるスタート番号」として1を用いる。ここで、車両番号が2600の場合には、上記演算式により、cccは、(2600−2000)/25+1=25となる。dddは、車両番号2600が25で割り切れるので、余りが0となって、装置ごとに異なる値1、2、9を加えて、ddd=1、2、9となる。したがって、第1の車両情報蓄積部122、第2の車両情報蓄積部123及び無線通信部121の無線LAN用の静的IPアドレスとして、172.16.25.1、172.16.25.2、172.16.25.9が生成される。この手法では、車両番号が2600〜2624までは、cccは25の共通の値となる。
【0128】
dddの値は、車両番号が2600〜2624に対して、0、10、20のように10ずつ増加して240まで変化するので、cccの値が共通していてもIPアドレスが重複することがない。
【0129】
上記の方法は、cccやdddで与えられる値が、0〜255であることから、除数として25を選らんだものであるが、重複が避けるようにして他の値を用いても良い。
【0130】
また、cccとdddを表現する16ビットで決まる65536通りの値と車両番号を関係付ける表を、上述したaaa及びbbbの固定値と演算式とからなるデータ生成用情報に代わるデータ生成用情報として予め作成して用意し、対応テーブルとして格納して格納しておき、車両番号に対応したIPアドレスを選んで当該車両に設置した車上装置のIPアドレスとして生成するようにしてもよい。すなわち、対応テーブルにおける車両番号に対応したIPアドレスの選択が車両番号に対応したIPアドレスの生成となる。
【0131】
上述のように下位16ビットが、各車両により必ず異なる車両番号に基づいて算出されるので、生成されたIPアドレスは重複することがない。また、bbbの部分については、016の固定値を使用しているが、クラスBとして許容されている16〜31の範囲内の任意の値であってもよい。
【0132】
各車両に設置される車上装置において車両番号に対応して使用されるIPアドレスは、地上装置においても既知であるので、地上装置側へ送られる無線データの送信元アドレスから、当該IPアドレスを有する車両の車両番号及び車両に設置された車上装置を地上装置において特定することができる。すなわち、地上装置と車上装置において、車両番号からIPアドレスをマッピングするデータ生成用情報を共有することで、IPアドレス又は車両番号の一方が既知となることで、対応する他方を確実に推定することができる。
【0133】
なお、上述したように生成された無線LAN用の静的IPアドレスは、固定値からなる有線LAN用の静的IPアドレスと組み合わされてルーティングテーブルの生成に使用される。車両番号2600の車両に設置された車上装置では、図5に示すようなルーティングテーブルが生成されてRAM12203に格納される。
【0134】
RADIUS認証のために使用されるユーザID及びパスワードも、車両番号に基づいて自動的に生成される。例えば、ユーザIDについては、「固定ユーザネーム」+「車両番号」+「ドメインネーム」として生成し、「固定ユーザネーム」を「wpa」、「ドメインネーム」を「xyd」とすると、車両番号2600の車両に設置した車上装置のユーザIDとしてwpa2600xydが生成される。パスワードは所定の方法で車両番号を暗号化することで生成される。このユーザID及びパスワードの生成に関する対応関係も、地上装置と移動体上装置とで共有することで、車両の管理が容易となる。すなわち、地上装置が上述したデータ生成用情報を有することにより、車上装置が地上装置の要求に応じて送出する車両情報に車両番号が付加されていなくても、IPアドレスに基づいてデータ生成用情報を参照することにより、収集した車両情報がどの車両番号の車両のものであるかを特定することができる。
【0135】
生成されたユーザID及びパスワードは、上記ルーティングテーブルなどとともに第1の車両情報蓄積部122内のRAM12203に格納され、その後、無線通信部121における無線LANのためのコンフィグ設定のために、ルーティングテーブルとともに有線LANを介して無線通信部121に伝送されてメモリ1219に格納される。
【0136】
以上概略説明した車両情報収集システムの動作の詳細を、第1の車両情報蓄積部122のCPU12201及び無線通信部121の制御器1215の各々が実行する処理を示すフローチャートと相互間の通信状況とを示す図6と、地上装置の収集サーバ部が行う処理のフローチャートを示す図7および移動体側に置かれた無線交信の処理を示すフローチャートを示す図8を参照して以下説明する。
【0137】
先ず、図6において、第1の車両情報蓄積部122の電源が投入されると、第1の車両情報蓄積部122のCPU12201が一連の動作を開始する(ステップ601)。一方、制御器1215は制御器への電源の投入によって起動状態になっている。
【0138】
第1の車両情報蓄積部122のCPU12201は、起動されるとまず、デジタルI/F12207を介して車両番号格納部1221から、当該車上装置12が設置されている車両固有の車両番号を取得する(ステップ602)。
【0139】
次に、フラッシュROM12202に格納されているコンフィグ設定用の固定値を読み出し、ワーキングメモリとして働くRAM12203の所定エリアに書き込んで登録する(ステップ603)。コンフィグ設定用の固定値としては、有線LANのIPアドレスを解釈するためのサブネットマスクの値、無線LANのIPアドレスを解釈するためのサブネットマスクの値、各移動体上装置から無線LANを通じて地上装置と交信するための、ルーティング方法、無線交信時に必要となる暗号化キーがあり、全ての車上装置に共通の値である。
【0140】
そして、車両番号格納部1221から取得した車両番号に基づいて前述した方法で、当該車両に設置された移動体上装置の無線LAN用の静的IPアドレス、ユーザID、パスワードを生成し(ステップ604)、コンフィグ設定のために、ワーキングメモリとして働くRAM12203の所定エリアに書き込んで格納することで登録する(ステップ605)。
【0141】
その後、CPU12201は、交信の準備ができたので、無線通信部121と交信を開始するために、無線通信部121の起動状態を確認する作業を有線LANにおいてブロードキャストデータを使って装置12内の全部宛に送り無線通信部121からの応答を待つ(ステップ606)。無線通信部121が起動しており、応答を返すことで無線通信部121の生存を確認すると、無線通信部121へ有線LAN用の静的IPアドレスを用いてテルネット接続を試みる(ステップ607)。
【0142】
CPU12201は、テルネットを使って無線通信部121のメモリ1219に既に登録されている無線LAN用のコンフィグ設定値を問い合わせ、上述したようにRAM12203に新たに登録した無線LAN用の設定値との、一致、不一致を照合する(ステップ608)。不一致の場合は、不一致であった設定値について無線通信部121内のルーティング回路の動作に必要な値の再設定を行なう(ステップ609)。
【0143】
ここで再設定を行なって無線通信部121から設定終了の応答が得られた場合は、テルネットを切断して無線通信部121の生存の確認作業(ステップ606)へ戻ることになる。この場合は、無線通信部121の設定値が、RAM12203に登録されている値になっているので、次の無線通信部121への問い合わせ(ステップ608)では、設定値が一致することになる。
【0144】
ここで、設定値を送って、無線通信部121からの応答が得られない場合は、テルネット接続を切断状態にして、無線通信部121へ再起動命令を送り(リブート)、無線通信部121の再起動を行なう。
【0145】
上述のように、無線通信部121への新たな設定値の設定作業が成功すれば、ステップ608で設定値が一致したと判断され、状態監視処理に移行する(ステップ611)。この状態監視処理においては、無線通信部121もその監視対象になっていて、状態監視に対して無応答であるときには、ステップ606に戻って上述した動作を繰り返し、無線通信部121の設定値とRAM12203に登録されている値の一致の確認と、不一致の時の再起動処理を行う。
【0146】
状態監視処理(ステップ611)では、車両に搭載された各種の機器の状態を示す信号を入力し、入力した値に基づいてその状態を監視し、監視結果を所定の条件で判定して故障などの診断を行い、故障履歴をRAM12205に順次格納して蓄積する。
【0147】
状態監視処理(ステップ611)の過程で、車上装置12と地上装置11との間の交信条件を、運転キーの状態によって判定する(ステップ612)。運転キーがオフしたときには、通信開始条件が成立したとして、無線通信部121に対して地上装置11との無線通信開始を指示する。この際、無線通信用のIPアドレス、ルーティングテーブル、認証情報などの無線通信に必要なデータ、すなわち無線通信用データの設定を再度行なう。無線通信部が地上装置との交信を開始して、後述の、地上装置11からの認証が得られると、上位サーバである収集サーバ部113への車両情報の送付を行う通信処理が行なわれる(ステップ613)。通信処理の内容については後述する。
【0148】
次に、無線通信部121の制御器1215が実行する処理動作について、同じく、図6に示されたフローチャートを参照して説明する。
【0149】
制御器1215は電源の投入によって起動し(ステップ614)、第1の車両情報蓄積部122からのテルネットによる接続待ちの状態になる(ステップ615)。第1の車両情報蓄積部122から接続要求があるとそれに応答する(ステップ616)。無線通信部121が応答を返すことで、第1の車両情報蓄積部122と無線通信部121が交信状態となり、無線通信部121は第1の車両情報蓄積部122からの命令(コマンド)を待つ状態となる(ステップ617)。
【0150】
第1の車両情報蓄積部122から命令が来るとその内容が判断される(ステップ618)。命令が設定要求の場合は、第1の車両情報蓄積部122から送られて付与された無線交信用データに基づいて無線通信部121のメモリ1219の値のコンフィグ設定を行なう(ステップ619)。よって、この処理により、第1の車両情報蓄積部122のCPU12201は無線交信用データ付与手段として機能し、車上装置が設置される車両に当該車両を識別可能に予め付与された移動体識別符号である車両番号に対応して予め定められた無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報である演算式と、無線交信用データが設定されるべき車上装置が設置されている車両の車両番号と、に基づいて生成された、当該移動体上装置の無線通信部に設定すべき無線交信用データを当該車上装置の無線通信部に付与する。そして、コンフィグ設定作業が終わると、第1の車両情報蓄積部122へ設定作業終了の応答を返す(ステップ620)。
【0151】
また、第1の車両情報蓄積部122からの命令を判断して(ステップ621)命令がリブートの場合は第1の車両情報蓄積部122へOK応答を返し(ステップ622)、無線通信部121の制御器1215の再起動を行なう(ステップ623)。
【0152】
また、命令を判断して(ステップ624)、命令が無線通信開始の場合、地上装置11に対して接続要求を行って、後述する地上装置11との間の無線通信を開始する(ステップ625)。さらに詳述すると、車上装置の無線通信部は地上装置から一定間隔で出されるビーコンと呼ばれる電波を検知し、その周波数を調べ、その周波数と、あらかじめ設定したエクステンデッド サービス セット アイデンティファイアー(以後、「ESS−ID」と言う。)を用いて地上装置の無線部との間で通信を試み、地上装置で同一のESS−IDを持っていれば物理層レベルで接続完了となる。この際、データにESS−ID、通信速度の2点を含む物理層ヘッダを付加し物理層ヘッダを利用して最適な通信ができるように調整する。次に移動体上装置の無線通信部はマック層(以後、「MAC層」と言う。)レベルでの通信を試みる。この際、通信対象となる地上装置の無線部の、MACアドレスを指定して、交信対象以外の無線部と混信しないようにする。このように、地上装置との交信は、通常、地上装置11との基本的な交信が成立してからセキュリティー対策としての後述するRADIUS認証が行なわれる(ステップ626)。
【0153】
また、上記以外のコマンド処理(ステップ627)の詳細については省略するが、無線通信部121は有線ネットワークを介して第1の車両情報蓄積部122から送られる命令を実行する。
【0154】
次に、図7〜図8を用いて地上装置と車上装置との間のやり取りを説明する。図7(A)に示すように、地上装置11の収集サーバ部113は電源の投入によって動作を開始し、無線LANを介しての移動体上装置12との交信処理(ステップ71)、無線LANを介しての車上装置12のポーリング処理(ステップ72)及びWAN経由のワークステーション30との交信処理(ステップ73)を順次行う。
【0155】
一方、車上装置では、列車が車両基地に戻って運転キーがオフされると、車両に設置された移動体上装置12の第1の車両情報蓄積部122から地上装置11への無線接続の開始を指示される。これに応じて車上装置の無線通信部121は、図8に示すように、動作を開始する(ステップ801)。物理層、MAC層での接続後に送信元を無線通信部121の無線LAN用の静的IPアドレスとして送信し、基本的な交信を成立させる。その後認証のために、ユーザID、ユーザパスワードを暗号化して、地上側のRADIUSサーバ部112からRADIUS認証を受けるためのデータを送信する(ステップ802)。
【0156】
これに応じて地上装置11の収集サーバ部113は、図7(B)に示すように、接続要求とRADIUS認証要求があったとして(ステップ711,ステップ712)、RADIUSサーバ部112にRADIUS認証を受ける(ステップ713)。RADIUSサーバ部112は、交信可能な移動体上装置12の無線通信部121の無線LAN用の静的IPアドレスとこれに対応するユーザID及びパスワードの対照表を有し、この対照表を用いて送信元の車上装置12の無線通信部121が交信する資格を有するか否かを判別する。
【0157】
RADIUSサーバ部112による認証が得られたとき(OK)には、移動体上装置12にその旨を送信してから(ステップ714)、送信元を無線通信部121の無線LAN用の静的IPアドレスに基づいて、認証した車両をポーリングリストに登録する(ステップ715)。認証が得られない(NO)のときには規定回数の認証を行なうために(ステップ716)、RADIUS認証がNOであることが地上装置11から移動体上装置12に送信される(ステップ717)。RADIUS認証はシステムへの不正進入より、データベースに収集した情報を乱されることを防ぐことができる。
【0158】
図7(C)に示すポーリング処理では、ポーリングリストに対象車両があるときには(ステップ721)、対象車両の一つを選択してポーリングを行う(ステップ722)。このとき、地上装置11では、車両に対応する第1の車両情報蓄積部122及び第2の車両情報蓄積部123の無線LAN用の静的IPアドレスが分かっているので、基地側装置において各車両に設置されている移動体上装置は識別されている。
【0159】
したがって、このIPアドレスを送信先としてポーリングが行われる(ステップ723)。地上装置からポーリングを受けた車上装置は、自分に対するポーリング要求の有無を判別して(ステップ804)、自分に対するポーリングであるときは予め決められたデータ又は要求されたデータを地上装置へ送信する(ステップ805)。このポーリングによって第1の車両情報蓄積部122及び第2の車両情報蓄積部123から送信された車両情報は収集サーバ部113のデータベースに格納されて収集される(ステップ724)。ポーリングした車上装置12からの収集が完了したら、その車両をポーリングリストから削除する(ステップ725)。このポーリング処理は、ポーリングリストに対象車両がなくなるまで繰り返される。収集サーバ部113のデータベースに収集された車両情報は、WAN経由の交信処理によって、車両管理のためにワークステーション30によって利用される(ステップ73)。また、車上装置は、蓄積された車両情報が全て地上装置へ送信されたことが確認されて、地上装置からの指示あるいは自ら通信終了を判断し(ステップ806)終了条件が満足されると交信動作を中止する(ステップ807)。
【0160】
上述した実施の形態では、車上装置12は、無線通信部121と、第1の車両情報蓄積部122と、第2の車両情報蓄積部123とが有線LANにて接続された上で、第1の車両情報蓄積部122に無線LAN用の静的IPアドレスやルーティングテーブルなどの無線交信用データを付与する手段が設けられているが、これらを一体に構成してもよい。この場合、無線交信用データを付与する手段は車上装置12のIPアドレスを付与すればよく、ルーティングテーブルが付与されなくてよい。しかしながら、実施形態のように、無線通信部121が他のものと分離して設けられて有線LANにて接続されることにより、安価に入手可能な既製の無線通信部を使用することができるようになり、車上装置を安価に構築することができるので有利である。
【0161】
また、車上装置12に設けられている無線LAN用の静的IPアドレスを付与する手段は、システムとして、地上装置11或いは車上装置12のいずれ側に設けられてもよい。地上装置11に設けた場合には、地上装置11が、車上装置12に車両番号を順次無線送信させて受信し、この受信した車両番号と、車両を識別可能に車両に予め付与された車両に対応して予め定められたIPアドレスなどの無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、に基づいて生成された、当該車両に設置された車上装置12に設定すべき無線交信用データを車上装置12或いはその無線通信部121に無線送信して付与することができる。しかしながら、車上装置12或いは無線通信部121に生成付与手段が設けられることによって、無線LAN用の静的IPアドレスの生成付与毎に、IPアドレス設定のための車上装置12と地上装置11との間で交信を行わなくてもよく、また、車両情報を収集しなければならない地上装置11の負担を軽減できる。
【0162】
さらに、無線交信用データ付与手段が車上装置12側に設けられる場合であっても、第1の車両情報蓄積部122に設けられるのではなく、第1の車両情報蓄積部122及び第2の車両情報蓄積部123とともに無線通信部121にハブ接続されるようにして設けられても良い。しかしながら、車両情報蓄積部122に無線交信用データ付与手段が設けられることにより、車上装置12の構成が簡略化される。
【0163】
また、上述した実施の形態では、システムが、車上装置12が設置される車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両番号が格納されている車両番号格納部1221と、この車両番号格納部1221に格納されている車両番号と、車両番号に対応して予め定められた無線交信用データを表す予め用意した例えばテーブル類か演算式などのデータ生成用情報と、に基づいて無線交信用データを生成する無線交信用データ生成手段とを備え、無線交信用データ付与手段による無線交信用データの付与が無線交信用データ生成手段により生成された無線交信用データに基づいて行うことができ、無線交信用データを手入力にて付与する必要がない。
【0164】
しかしながら、システムが、車上装置12が設置される車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両番号に対応して予め定められた無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、無線交信用データが設定されるべき車上装置12が設置されている車両の車両番号と、に基づいて生成された、当該移動体上装置12に設定すべき無線交信用データが格納されている例えばフラッシュメモリ、ROM等のような不揮発性メモリを有する着脱自在の無線交信用データ格納手段を備えるようにしてもよい。
【0165】
この場合、無線交信用データ格納手段への無線交信用データの格納は、例えば、予めデータ生成用情報を有するパソコンに、そのキー操作によって車両番号を入力することにより、この入力した車両番号とデータ生成用情報と、に基づいて車両番号に対応する無線交信用データを生成させ、この生成された無線交信用データを着脱自在の無線交信用データ格納手段に書き込むことによって行うことができる。無線交信用データが書き込まれた無線交信用データ格納手段は、そのパッケージに、格納されている無線交信用データに対応する車両番号を印刷したラベルを貼り付けておくことにより、ラベルに印刷されている車両番号の車両に設置される移動体上装置に誤り無く着脱自在に取り付けられる。そして、無線交信用データ格納手段に格納されている無線交信用データを読み出すことで、無線交信用データ付与手段により移動体上装置或いは無線通信部への無線交信用データの付与を行うことができ、無線交信用データを手入力にて付与しなくてもよくなる。
【0166】
しかしながら、図示の実施の形態のように、無線交信用データ生成手段を備えている場合、予め付与された車両番号が格納されている車両番号格納部1221が用意されていればよく、無線交信用データまで格納した無線交信用データ格納手段を事前に用意する手間が省ける。
【0167】
また、上述した実施の形態では、データ生成用情報は、車両番号に対応して予め定められた無線交信のためのIPアドレス、ルーティングテーブル、認証情報(ユーザID、パスワード)などの無線交信用データを移動体識別符号に基づいて演算して生成するための演算式であるが、この演算式によって演算した無線交信用データと車両番号との対応表、或いは、車両番号とこれに対応して重複しないように演算式を用いずに予め作成した任意の無線交信用データとの対応表であってもよい。しかしながら、演算式を用いた場合には、移動体上装置が搭載される車両が追加されるようなシステム構成の変更があった場合でも、その車両番号とこれに対応する無線交信用データとを追加する対応表の変更を行う作業が不要であるので、システム運用の手数が省ける点で有利である。
【0168】
また、上述した実施の形態では、移動体は軌道上を走行する車両であるが、軌道車両以外のトラックやバスなどの業務用の車両などであってもよい。いずれにしても、地上装置11は、移動体に設置された移動体上装置と交信可能に設置されなければならない。
【0169】
また、上述した実施の形態では、情報蓄積部は第1と第2の情報蓄積部に分割されて形成されているが、両者が一体に形成されていてもよい。しかしながら、本実施の形態のように、診断結果からなる車両情報と、運行状態からなる車両情報とを蓄積する場合には、収集する車両情報が種類によって事前に分かれている方が利用上で便利である。
【0170】
また、上述した実施の形態では、通信プロトコルはインターネットプロトコルであるが、任意のプロトコルであってもよい。しかしながら、現状では、インターネットプロトコルが通信プロトコルとして最も広く使用され、プロトコル処理を行う無線通信部を汎用品によって形成するには、インターネットプロトコルを採用することが好ましい。
【0171】
また、上述した実施の形態では、車両番号格納手段は、前記情報蓄積部に着脱自在に取り付けられ、電気的に読み出し可能な数字や文字を設定できるサムホイールスイッチを有するが、車両番号格納手段は例えばフラッシュメモリ、ROM等のような不揮発性メモリであってもよい。しかしながら、サムホイールスイッチを採用した場合、車両番号をメモリに書き込むための書込器が不要であるので、車両番号をメモリに書き込むためにのみ使用する書込器を用意しなくてもよいので便利である。
【0172】
また、上述した実施の形態では、移動体上装置12或いは無線通信部121は、地上装置11と交信可能であるとき車両の運転キーがオフされる毎に自身に設定された無線交信用データを用いて地上装置との無線交信を行っているが、地上装置11の通信エリアに入ったことを電波強度によって検知して無線交信を開始するようにしてもよい。しかしながら、運転キーのオフによって無線交信を行うようにした場合、車両が運行を終了して停車したことを機会に無線交信を行わせることができるようになるので、無線交信によって車両情報を収集するタイミングとして好ましい。
【0173】
また、上述した実施の形態では、無線交信用データ付与手段は、地上装置11と交信可能であるとき車両の運転キーがオフされる毎に、無線交信を開始する前に、無線交信用データを付与する動作を行っているが、無線交信を開始する前であればいつでもよい。しかしながら、車両の運転キーがオフされる毎に、無線交信を開始するものにあっては、その直前に無線交信用データを付与することにより、無線交信に必要な無線交信用データを確実に設定することができる。
【0174】
さらに、上述した実施の形態では、交信用データ付与方法及び装置は、移動体情報収集システムに適用されているが、各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両にそれぞれ設置された車上装置が相互接続される車両編成ネットワークシステムに適用することができる。この場合、車上装置には、車上装置間で車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された交信用データを用いた交信によって車両編成LANを介して車上装置が相互接続される。
【0175】
図9は、本発明の交信用データ付与方法及び装置を適用した車両編成ネットワークシステムの一実施形態である鉄道車両編成ネットワークシステムの概略構成を示す図である。同図において、鉄道車両編成ネットワークシステム20は、各々が軌道上を走行する複数の車両A〜Eからなる車両編成2の各車両にそれぞれ設置され、車両編成LANを介して接続される車上装置22A〜22Eで構成されている。車上装置22A〜22Eの各々には、車上装置間で車両編成LANを介して予め定められたインターネットプロトコル(IP)のような通信プロトコルに従って、相互に識別して交信を行うための車両編成LAN用の静的IPアドレスを含む車両編成LAN交信用データが設定されている。車上装置22A〜22Eは、この設定された交信用データを用い車両編成LANを介した交信によって相互接続される。
【0176】
車両A〜Eにそれぞれ設置される車上装置22A〜22Eの各々は、各車両にそれぞれ設置された、ドア開閉器、監視カメラ、モータ、空調装置、ブレーキ装置、照明装置などからなる複数の端末装置221a〜221fと、これらが接続されるネットワーク制御装置223と有する。ネットワーク制御装置223は、車両の両端部をそれぞれ識別するために、各車両の両端部が1端部END#1と2端部END#2と予め命名された上で、これらの端部に連結される車両があるとき、その隣接車両に設置されている車上装置22A〜22Eのネットワーク制御装置223とLANケーブルLにてそれぞれ接続されるイーサネット(登録商標)インターフェース(以下LANポートと略記する。)E1及びE2が通信手段としてそれぞれ備えられている。ネットワーク制御装置223はまた、複数の端末装置221a〜221fがLANケーブル・ にてそれぞれ接続されるLANポートE15〜E20が通信手段としてそれぞれ備えられている。
【0177】
ネットワーク制御装置223は、LANポートE1及びE2にLANケーブルLによって隣接車両の車上装置のネットワーク制御装置が接続されるとともに、LANポートE15〜E20にLANケーブル・ によって自車両の複数の端末装置221a〜221fが接続されることにより、車両編成2の他の車両に設置されたネットワーク制御装置223と全車両に設置された複数の端末装置221a〜221fとともに、IPに従ってIPアドレスを用いて交信する車両編成LANシステムを構成している。車両編成LANを介して交信するため、全車両のネットワーク制御装置223と複数の端末装置221a〜221fには、車両編成LAN用のIPアドレスが設定されている。ネットワーク制御装置223は、自車両の複数の端末装置221a〜221fと他の車両のネットワーク制御装置223及び複数の端末装置221a〜221fと車両編成LANを介してIPに従って静的IPアドレスを用いて交信を行い、車両編成2の全車両に設置された端末装置221a〜221fの動作状態の監視とその動作を制御する制御指令の送出などを行う。
【0178】
複数の端末装置221a〜221fの各々においては、車両編成の運行中、その動作状態が監視されて記録され、監視状態が所定の条件で判定されてその異常、故障、保守点検の要などが診断され、その診断結果が時間とともに逐次記録される。各端末装置はそのための診断手段と記録手段を有し、記録手段に記録された情報は要求に応じて要求元に送信される。なお、異常、故障など緊急を要する診断結果については、当該端末装置が接続されているネットワーク制御装置223を介して当該情報を必要とするシステムの任意の箇所に送信される。例えば、運転開始から及び終了までの車両の運転状況、例えば、車両を駆動するモータの加速若しくは減速又はブレーキの使用状態などが時系列のデータとして順次記録されて蓄積される。なお、図には、各端末装置とも1つしか示していないが、ドア開閉器、監視カメラ、モータ、空調装置、ブレーキ装置、照明装置などは、1車両にそれぞれ多数設けられており、各々に車両編成LAN用のIPアドレスが設定されている。
【0179】
車両編成に各車両にそれぞれ設置された車上装置22A〜22Eの全ては同一の構成を有するので、その1つについて、その具体的な構成を図10を参照して説明する。
【0180】
図10においては、全ての車上装置22A〜22Eを代表して、車上装置を符号22で示している。車上装置22のネットワーク制御装置223と、これに接続された複数の端末装置221a〜221fとは、LANケーブルLを介して隣接車両のネットワーク制御装置223と接続されることにより車両編成LANを構成し、LANケーブル・ を介して接続されることにより車内LANを構成している。このため、ネットワーク制御装置223と複数の端末装置221a〜221fには、車両編成LAN用と車内LAN用の静的IPアドレスがそれぞれ設定されている。
【0181】
また、ネットワーク制御装置223は、レイアー2(L2)スイッチ31、制御部32、ルータ部33、ハブ34、車両識別番号設定部としての車両番号格納部35及びタッチパネルスイッチ付きモニタ23が接離自在に接続されるモニタ接続ポートとして使用される制御ポートC5を有し、L2スイッチ31のポートにタグを設定するタグVLAN技術を採用することによって、別途LANケーブルを配することなく、単一のLANケーブルによって、自車両の車両情報と1端部及び2端部に連結された車両の車両情報とを自隣接車両情報として収集する2つのLANと、この各車両で収集した自隣接車両情報を車両編成情報の自動生成のために全て収集する1つのLANとからなる3つの仮想LANを構成している。
【0182】
具体的には、L2スイッチ31は、タグA及びBが初期設定されたLANポートE1及びタグB及びCが初期設定されたLANポートE2の他に、タグB、A、B及びCがそれぞれ初期設定されたLANポートE3〜E6とRS232Cのようなシリアルインタフェース(以下制御ポートと略記する)C4とを有する。LANポートE1及びE2には、LANケーブルLを介して自車両の1端部END#1及び2端部END#2にそれぞれ連結される隣接車両の向きによってL2スイッチのLANポートE2又はE1がそれぞれ接続されるが、同一のタグが設定されたLANポートとの間でしか交信ができないので、隣接車両間で交信ができないときには、初期設定されているタグを変更する何らかのタグ変更処理が行われる必要があるが、これについては後述する。
【0183】
L2スイッチ31は、レイヤー2レベルのあて先情報であるMAC(マック)アドレスを基にLANポートE1〜E6に受信したデータをあて先がつながるポートE1〜E6へ転送(スイッチング)する。L2スイッチ31に入ってきたデータは、具体的には、(1)データの受信、(2)MACフレームの取り出し、(3)アドレス・テーブルの作成、(4)ポートの検索、(5)目的ポートへ送り出しの順に流れる。
【0184】
(1)のデータの受信では、L2スイッチ31はビットの「0」や「1」を電流の変化によって表されたデータを受け取ると、LANケーブルに流れてきた電流の波形から「0」や「1」を読み取る。(2)のMACフレームの取り出しでは、送信元が送信したいデータと、送信元のMACアドレス、相手先のMACアドレス、送信したいデータの種類などを一塊にして送られたMACフレームが取り出される。(3)のアドレス・テーブルの作成と(4)のポートの検索は、どちらも取り出したMACフレームの中に書かれてあるMACアドレスに関係した処理である。まず最初に取り出すのは送信元のMACアドレスであり、これを受信したポートの番号に対応付けてデータベース化することにより、どのポートにはどのMACアドレスが対応しているのかがわかるようになる。次に相手先のMACアドレスを取り出し、これを先ほど作ったデータベースに照らし合わせることにより、そのMACアドレスを持つ機器がどのポートに接続されているかがわかる。最後の(5)の目的ポートへ送り出しでは、(4)で分かったポートからMACフレームを送り出す。なお、L2スイッチとこれに接続された機器はデータを同時に送受信できる。
【0185】
要するに、L2スイッチ31は、LANケーブル経由で送られてきたデータ、つまり電気信号を受け取ると、データをモニタしてMACフレームを取り出す。その後、MACフレーム内のFCS(フレーム・チェック・シーケンス)を使ってフレーム内のデータにビット誤りがないかをチェックし、ビット誤りがなければ,バッファに取り込む。MACフレームを取り込むと同時に、送信元MACアドレスとあて先MACアドレスを読み出す。入力ポートと送信元MACアドレスの対応表(アドレス・テーブル)に情報がなければ、新たに追加するアドレス・ラーニングを行う。
【0186】
制御部32は、図示しないが、中央処理ユニット(CPU)、プログラム及びプログラムの実行に当たって使用する固定データを格納する不揮発性メモリであるフラッシュROM、プログラムの実行に当たって使用する作業用のメモリであるSDRAMなどで構成されたマイクロコンピュータ(MC)を有するとともに、LANポートE6〜E10と制御ポートC2、C3及びC5とを有する。制御部32のLANポートE7〜E9にはLANケーブルを介してL2スイッチ31のLANポートE4〜E6が、制御ポートC3にはL2スイッチ31の制御ポートC4がそれぞれコネクタ接続されている。制御ポートC5にはモニタ接続コネクタ36が接続され、このコネクタを介してタッチパネルスイッチ付きモニタ23が制御部32に接続可能になっている。
【0187】
ルータ部33は、車両編成LAN用と車内LAN用のIPアドレスのアドレス変換を行う、ネットワーク アドレス トランスレーション(NAT)テーブルを有するほか、LANポートE11及びE12と制御ポートC1とを有し、LANポートE11にはLANケーブルを介してL2スイッチ31のLANポートE3が、制御ポートC1には制御部32の制御ポートC2がそれぞれコネクタ接続されている。
【0188】
ハブ34は、LANポートE13〜E20を有し、LANポートE13にはLANケーブルを介してルータ部33のLANポートE12が、LANポートE14にはLANケーブルを介して制御部32のLANポートE10が、そしてLANポートE15〜E20にはLANケーブルを介して複数の端末装置221a〜221fがそれぞれコネクタ接続されている。
【0189】
車両番号格納部35は、車上装置22Aが設置された車両を識別可能に予め付与された移動体識別符号である車両番号を予め格納し、制御部32に接続されているが、機械的に着脱自在でしかも格納した車両番号を電気的に読み取り可能な機械的なサムホイールスイッチ若しくはディップスイッチまたは不揮発性の半導体メモリなどから構成される。しかも、車両番号格納部35は、ネットワーク制御装置223から取り外した状態でも、例えば鎖などで対応する車両に固定されているので、行方不明になることも、他の車両のものと取り違えられることもないようになっている。この車両番号は、各車両で重複することの無い車両を識別するものであり、車両を移動体として把握したときには、移動体識別符号として把握される。したがって、車両番号格納部は、移動体識別符号格納部に相当する。この車両番号は、例えば運転席に設けられた運転キーのオンに応じて車上装置の電源がオンされたとき、制御部32が自身及び複数の端末装置221a〜221fに付与される車両編成LAN用の静的IPアドレスを所定のルールに従って生成するために利用される。
【0190】
タッチパネルスイッチ付きモニタ23は、運転席の設けられる車両編成の両端の車両のネットワーク制御装置のモニタ接続ポートC5を介して制御部32に常時接続されるが、その他の車両では、必要とされるときに、車掌や保守点検者が所持する携帯のモニタがモニタ接続ポートC5を介して制御部32に接続される。モニタ接続ポートC5を介して制御部32にモニタ23が接続されることによって、モニタ23の画面には、制御部32によって生成された車両編成の編成情報や各車両の端末装置情報などが表示される。モニタ32の画面は、監視結果や検査結果を表示するモニタ画面としての他、車両編成2の全車両に設置された複数の端末装置221a〜221fの監視、制御などを行う際のタッチ操作パネルとして使用される。図11はモニタ23の画面に表示される表示例を示す。例えば、モニタ23の画面に表示された車両編成の1台の車両にタッチすることによって、モニタ23の画面に表示される画面が、その車両に設置されている複数の端末装置の選択画面に切り替えられる。車両編成情報は、ユーザインタフェイスを良くするために、ネットワーク制御装置223のモニタ接続ポートC5に接離自在に接続されたモニタ23上に、編成車両全体の車両情報を把握することができるように表示するためなどに利用される。そして、端末装置に異常、故障保守点検の要などがあるときは、モニタ23上に表示された該当する端末装置の色を変えるなどとすることで、各車両に搭載した端末装置の管理を含め、車両の管理が容易になる。
【0191】
上述した構成により、L2スイッチ31は、制御部32からのデータ、或いは、車内LANを介して端末装置221a〜221fから受け取ったデータをパケットとしてLANポートE1及びE2を通じて電気信号として発信する。また、電気信号を受信してパケットからデータを取り出し、宛先のIPアドレスに応じて制御部32、或いは、ルータ部33を介して端末装置221a〜221fへ車内LANを通じて送信する。ルータ部33は、端末装置221a〜221fに予め付与される既定の固定値からなる車内LAN用の静的IPアドレスと車両編成LAN用の静的IPアドレスとの間のアドレス変換を行うためのNATテーブルを有し、このNATテーブルに基づいてIPアドレスの書き換えを行う。このルータ部33に設定されるNATテーブルは、上述したようにポート番号を使って作られる。
【0192】
なお、車内LANのみで使用される車内LAN用の静的IPアドレスは車両の外に出ることがないので、全ての車両に搭載される車上装置には、同一の車内LAN用の静的IPアドレスが付与されている。しかしながら、車両編成LAN用の静的IPアドレスは、他の車両の車上装置でも受信されるので、全ての車両に設置された車上装置には、重複しない車両編成LAN用の静的IPアドレスが付与されなければならない。この車両編成LAN用のIPアドレス交信に必要なデータを交信用データと言う。
【0193】
制御部32のCPUは、複数の端末装置221a〜221fにおける診断の結果、異常や故障があるとき、複数の端末装置221a〜221fから車内LANを介して送信されてくる異常及び故障情報を逐次記録する記録手段としてフラッシュROMを有し、異常及び故障情報は全ての車両のネットワーク制御装置の制御部32に車両編成LANを介して送信される。したがって、制御部32に接続されているモニタ23の画面には異常及び故障情報を反映した表示が行われる。
【0194】
また、制御部32のCPUは、ルータ部33に設定するルーティングのためのNATテーブルを作成するために必要な車両編成LAN用の静的IPアドレスを生成するアドレス生成手段を有する。このために、制御部32のCPUは、車上装置の電源がオンされたとき、車両番号格納部35から入力した車両番号に基づいて、車上装置の複数の端末装置221a〜221f及びネットワーク制御装置223(制御部32)に付与される車両編成LAN用の静的IPアドレス所定のルールに従って生成して付与する。
【0195】
そして、制御部32のCPUは、生成された車両編成LAN用の静的IPアドレスと、車上装置の複数の端末装置221a〜221f及びネットワーク制御装置223(制御部32)に予めそれぞれ付与されている車内LAN用の静的IPアドレスの固定値と、に基づいてNATテーブルを生成する。この生成されたNATテーブルは、ルータ部33に送信されて、ルータ部33において複数の端末装置221a〜221fとネットワーク制御装置223(制御部32)との間の交信を行うための設定に供される。
【0196】
また、制御部32のCPUは、車両編成LANを介して車上装置12間で交信を行うためのコンフィグ設定を行い、その設定に当たって車両編成LAN用の静的IPアドレスの生成及び付与処理並びにNATテーブルの生成処理を行う。制御部32のフラッシュROMには、これらの処理を行うためのプログラムの他に、処理において使用される各種の固定値やアドレス情報が格納されているとともに、生成された車両編成LAN用の静的IPアドレス及びNATテーブルが自車両情報として格納される。具体的には、固定値としては、車内LAN用の静的IPアドレスとそのサブネットマスク及び車両編成LAN用のサブネットマスクとに予め割り当てられた固定値や、ルーティングなどのために使用される予め定められたその他の固定値が格納されている。
【0197】
本例では、車内LAN用の静的IPアドレスとして、制御部32に192.168.0.1、複数の端末装置221a〜221fに192.168.0.11〜192.168.0.16、そのサブネットマスクに24ビット、車両編成LAN用の静的IPアドレスとして、制御部32に172.17.41.1、複数の端末装置221a〜221fに172.17.41.11〜172.17.41.16、そのサブネットマスクに16ビットの固定値がそれぞれ割り当てられている。
【0198】
アドレス情報としては、車上装置12が設置される全ての車両に識別可能に予め付与される車両番号と予め定められたルールによって車両番号の各々に対応して定められた車両編成LAN用の静的IPアドレスとの関係を表す演算式、或いは、演算式によって演算して得られた車両番号−IPアドレス対応テーブルが格納されている。
【0199】
各車両に設置される車上装置において車両番号に対応して使用されるIPアドレスは、他の車両の車上装置においても既知であるので、他の車両の車上装置へ送られるデータの送信元アドレスから、当該IPアドレスを有する車両の車両番号を特定することができる。すなわち、車上装置において、車両番号からIPアドレスをマッピングするデータ生成用情報を共有することで、IPアドレス又は車両番号の一方が既知となることで、対応する他方を確実に推定することができる。
【0200】
なお、上述したように生成された車両編成LAN用の静的IPアドレスは、固定値からなる車内LAN用の静的IPアドレスと組み合わされてNATテーブルの生成に使用される。車両番号5601〜5603の車両に設置された車上装置では、図12に示すような車両編成用LANの静的IPアドレスとNATテーブルが制御部32により生成され、生成されたNATテーブルについてはルータ部33に送られてルータ部33内のRAMに格納される。
【0201】
図12の例では、aaaを172、bbbを17、dddを車内LANのIPアドレスのdddと同一値に固定し、(車両番号÷256)の余りが214未満のとき[(車両番号÷256)+41]、車両番号÷256の余りが214以上のとき[255−(車両番号÷256)]を演算してcccを求めることによって、車両番号5601〜5857の256台の車両に対し、cccが41〜256、0〜40となるIPアドレスを生成している。この代わりに、単純に、「車両番号」−「車両番号のスタート番号」をcccの数値とし、256台の車両に異なるIPアドレスを付与することもできる。いずれの場合にも、256台以上の車両にIPアドレスを付与したいときには、cccについて0〜255の数値が使用される毎にbbbの数値をインクリメントするようにすれば、256台を越える車両に重複しないIPアドレスを生成して付与することができる。
【0202】
制御部32のCPUは、上述した車両編成LAN用の静的IPアドレスやNATテーブルを含む交信用データの生成及び付与処理の他に、タグVLAN設定処理、隣接車両情報取得処理、車両編成情報取得処理、複数の端末装置221a〜221fの監視、制御処理などを行い、これらの処理を行うためのプログラムがフラッシュROMに格納されている。
【0203】
VLAN設定処理では、制御部32のCPUは、まず、L2スイッチでブロードキャスト・ドメインの範囲を自在に操るタグA〜Cを以下のように初期設定する。すなわち、複数のL2スイッチをまたがった3つのVLAN(virtual LAN:仮想LAN)を構築する。1つは各車両の1端部END#1に連結された隣接車両の車上装置12との間でのみ交信を行うタグAを設定したVLANであり、他の1つは各車両の2端部END#2に連結された隣接車両の車上装置12との間でのみ交信を行うタグCを設定したVLANであり、さらに他の1つは車両編成の任意の車両の車上装置12との間で交信を行うタグBを設定したVLANである。
【0204】
このことによって、物理的にはすべての機器がL2スイッチで構成する一つのLANにつながっていながら、論理的には別々に切り離されたLANを実現でき、LANケーブルの省線化が図られている。タグVLANは、LANで使うフレーム(MACフレーム)にタグ情報を挿入して、フレーム単位でVLANを区別する。機器やL2スイッチがこのタグを見て、フレームがどのVLANから出されたものかを識別し、該当するVLANにだけそのフレームが届くようにする。
【0205】
タグ情報は、通常のMACフレームのヘッダー部分に4バイトのタグ情報を挿入される。4バイトのうち、前半の2バイトでフレームのタイプを表す。ここには、「8100」(16進数)という値が入る。後半の2バイトがタグの制御情報を表わし、ここの12ビット分が、VLANを識別するための情報になる。このフィールドに情報が記述されていたら、その情報からそのパケットが記述された情報に対応するVLANから出されたフレームであることが分かる。
【0206】
隣接車両情報取得処理では、制御部32のCPUは、タグA及びタグCを設定したVLANを介して1端部END#1と2端部END#2とに連結された隣接車両の車上装置12の制御部32との間で交信を行って、各制御部32のフラッシュROMに格納されている自車両情報を隣接車両情報として取得し、この取得した隣接車両情報と、自身が有する自車両情報とを自隣接車両情報としてフラッシュROMに格納する。
【0207】
このとき、車両編成の車両が1台おきに逆向きに連結されていると、同じタグ初期値のLANポートがLANケーブルにより接続されるので、データ交換範囲を示すタグ設定値を上述した初期値から変更しなくても、互いの交信が可能となる。しかしながら、車両編成の全車両が同一方向を向いて連結されたり、上述したように1台おきに逆向きに連結されなかったりした場合には、互いの交信が不能となる。したがって、制御部32のCPUは、隣接車両情報取得処理に先だって、VLANの設定値が初期設定のままで隣接車両と交信できたか否かを先ず判別し、交信できない場合は、LANケーブルによって接続されるLANポートのタグが同じになるようにVLANの初期設定値を変えて交信を試み隣接車両と交信を成立させる。その際に、設定値を変更した場合は、変更履歴がフラッシュROMに格納された自車両情報の一部として残される。同一車両内で両端の通信手段の設定値が同一になると1端側と2端側の区別ができなくなるので、再設定は、A及びC設定を、隣接車両の設定を見ながら行うことになる。つまり、端の車両から、A−C,C−A,A−C・・・のように設定が行われれば良い。この再設定又は再付与は、予め決めた方法により編成車両の一つの車両を主車両(マスター)とし、その他の車両を従車両(スレーブ)として、従車両の設定を主車両に合わせるようにしてもよい。
【0208】
車両編成情車両報取得処理では、制御部32のCPUは、送信元に自身の車両編成LAN用の静的IPアドレスを付加し、タグBを設定したVLANを介して車両編成の全ての車両の車上装置12の制御部32に対し、自身がフラッシュROMに格納して保持している自隣接車両情報の送信を要求する送信要求コマンドをブロードキャストにて送信する。制御部32のCPUは、この送信要求に応じ、自身の車両編成LAN用の静的IPアドレスを送信先アドレスとして全ての車両から送信されてきた自隣接車両情報を受信して取得し、この取得した全車両の自隣接車両情報を車両編成車両情報として自身のフラッシュROMに格納する。この格納された車両編成車両情報は、車両編成情報を生成するために供せられる。取得されて格納された車両編成車両情報のなかの自隣接車両情報からは、自身と隣接車両の設定値が初期設定からの変更の様子が分かるので、生成された車両編成情報では、車両編成の各車両の連結の向きを知ることができる。
【0209】
以上により、ネットワーク制御装置223(制御部32)と複数の端末装置221a〜221fは、ネットワーク制御装置223が有するハブ34に複数の端末装置221a〜221fがコネクタ接続されることにより、IPに従ってIPアドレスを用いて交信する車内LANを構成している。車内LANを介して交信するため、全車両のネットワーク制御装置223(制御部32)と複数の端末装置221a〜221fには、それぞれに付与された車内LANのための固定値からなる静的IPアドレスが予め設定されている。なお、車内LAN用の静的IPアドレスは車両内の車内LANのみで使用され車両の外に出ることがないので、全ての車両に搭載される車上装置(ネットワーク制御装置223(制御部32)と複数の端末装置221a〜221f)には、同一の車内LAN用の静的IPアドレスが付与されている。同一のものに同一の車内LAN用の静的IPアドレスを付与することによって、故障によって装置を交換する際に行う車内LAN用の静的IPアドレスの付与に悩まされることがない。
【0210】
また、ネットワーク制御装置223(制御部32)と複数の端末装置221a〜221fは、制御部32がL2スイッチ31及びLANケーブルLを介し、複数の端末装置221a〜221fがLANケーブル・ 、ハブ34、ルータ部33及びL2スイッチ31を介して隣接車両のネットワーク制御装置223のL2スイッチにそれぞれ接続されることにより、IPに従ってIPアドレスを用いて交信する3つの車両編成タグVLANを構成している。その1つは、車両編成の全ての車両のネットワーク制御装置223(制御部32)と複数の端末装置221a〜221fとによって構成され、他の2つは1端部と2端部にそれぞれ隣接する車両のネットワーク制御装置223(制御部32)との間でのみそれぞれ構成される。これらの車両編成LANを介して交信するため、全車両のネットワーク制御装置223(制御部32)と複数の端末装置221a〜221fには、それぞれに付与された車両編成LANのための静的IPアドレスが設定されるとともに、ルータ部33には、車内LAN用の静的IPアドレスと車両編成LAN用の静的IPアドレスとの間のアドレス変換を行ってルーティングを行うNATテーブルが設定されている。なお、車両編成LAN用の静的IPアドレスは、他の車両の車上装置(ネットワーク制御装置223(制御部32)と複数の端末装置221a〜221f)でも受信されるので、全ての車両に設置された車上装置(ネットワーク制御装置223(制御部32)と複数の端末装置221a〜221f)には、重複しない車両編成LAN用の静的IPアドレスが付与されなければならない。これらの、車両編成LAN用のIPアドレス、NATテーブルなどの、車両編成LANでの交信に必要なデータを交信用データと言う。
【0211】
制御部32はまた、自身及びルータ部33に設定するNATテーブルを作成するために必要な車両編成LAN用の静的IPアドレスを生成するアドレス生成手段として機能する。このために、制御部32は、車上装置12Aが設置された車両を識別可能に予め付与された移動体識別符号である車両番号を予め格納した車両識別符号格納部となる車両番号格納部35を備える。制御部32は、車上装置の電源がオンされたとき、車両番号格納部35から入力した車両番号に基づいて、車上装置12Aのネットワーク制御装置223(制御部32)と複数の端末装置221a〜221fに付与される車両編成LAN用の静的IPアドレスを所定のルールに従って生成して付与する。
【0212】
次に、図10に示す車両編成ネットワークシステムのネットワーク制御装置223の動作を、図13のフローチャートを使って説明する。電源投入あるいは動作開始指令により動作を開始すると、IPアドレスの生成と生成したIPアドレスの付与を行なう。以下、図14中のステップ41〜ステップ46に示す、IPアドレス、NATテーブルの生成と付与について詳細に説明する。
【0213】
IPアドレスは、交信範囲の中で互いにアドレスが重複しないように付与されることが必要になる。図10においては、CPUに各車両で重複しない車両番号がスイッチやメモリなどに記録された車両番号格納部35が接続されている。また、図10において制御部32にも車両番号格納部35が接続されている。図10の制御部32のCPUは車両番号格納部35から車両番号を入手して、これからIPアドレスを生成する。ここで生成されるIPアドレスは、各車両固有のものであり、生成後には変化することが無い静的IPアドレスである。
【0214】
車両番号と生成される静的IPアドレスとは一対一に対応しており、その関係を予め表として生成して用意しても良いし、所定のアルゴリズムでその都度生成しても良い。IPアドレス生成の方法として予め車両番号とプライベートIPアドレスの対応表を用意しておき、これをメモリに置いておくことで、車両番号を入手した制御部32は対応表を参照することで、当該車両番号に対応したIPアドレスを簡便に生成することができる。
【0215】
例えば、車両番号からクラスBの重複しないプライベート静的IPアドレスとして生成する場合について説明する。32ビットのIPアドレスを8ビットずつに区切って10進数表示して、aaa、bbb、ccc、dddと表し、aaaには172の固定値、bbbには017の固定値をそれぞれ割り当て、ccc及びdddについては、車両番号に基づいて生成する。
【0216】
車両番号は、例えば、モ1234のように、車両の性格を示す文字と数字で表される場合があるが、文字は、例えば、ASCIIコードのような一定の規則により適当な数字に置き換えて処理を行なうことで、各車両は重複することのない数値を車両番号格納部から得た情報により得ることができる。図12には、車両番号5601〜5603を付された車両が記載されている。
【0217】
制御部32が読み込んだ車両番号とメモリ上の車両番号の両者を比較して一致していれば、すでに車両番号とIPアドレスの対応テーブルができてルータに設定されているので、各端末装置(ED)がルータ部33を使ってそのIPアドレスが変換されて車両編成LANに接続される(ステップ57)。
【0218】
また、読み込んだ両者の値を比較して不一致の場合は、新たに車両番号格納部35から読み込んだ車両番号とIPアドレス対応テーブルから、車両のIPアドレスを生成するとともに端末装置の車両編成LANと装置の車内LANのアドレスの対応表(NATテーブル)を作成する(ステップ54)。そして、生成したNATテーブルをルータ部33に設定する(ステップ55)。
【0219】
また、車両番号格納部35より読み込んだ車両番号の値をメモリへ記憶する(ステップ56)。その後、外部に通用するアドレスと車両内のみで使えるアドレスの対応表を有する部分であるルータ部33に読み込んだNATテーブルに基づいて、各端末装置のIPアドレスの変換をして、車両編成LANへ接続する(ステップ57)。
上記の様にして生成したIPアドレス及びNATテーブルをネットワーク制御装置は自分自身、ルータ部などに必要に応じて付与する(ステップ41)。
【0220】
ここで、図12を使ってIPアドレスの具体的な生成について説明する。制御部32のCPUが読み込んだ値から、車両番号5600を引かれることで、1〜3の数字を得る。ネットワークアドレスとして、cccについては、40に前記の値を加算したものを使い、dddとして1を使うことに決めておくと、図12に示すように、上記のようにして生成したIPアドレスの付与状況の一例が、車両番号5601のIPアドレス172.17.41.1、車両番号5602のIPアドレス172.17.42.1、車両番号5603のIPアドレス172.17.43.1となる。
【0221】
次に、各車両に搭載されている端末装置のIPアドレスの付与について説明する。ここでは、装置に付与するIPアドレスはクラスCとすると、IPアドレスの上位16ビットが、192.168となり下位16ビットを各車両に搭載した装置へ付与することになる。
【0222】
例えば、IPアドレスの下位ビットを11からはじめるとすれば、図12に示すように、端末装置221a(ED1)には、IPアドレス192.168.0.11から始まり、順次下位ビットの数字を変えて付与する。ここで、各車両において、各装置のIPアドレスは全て共通となっているので、装置の交換などがあっても、IPアドレスの再付与が不要になるので管理が容易になる。
【0223】
装置に付与されたIPアドレスは各装置に共通なので、そのIPアドレスのまま車両の各端末装置の情報を外へ出すことはできない。そこで、各車両の車両ネットワーク制御装置に付与された編成LAN用のIPアドレスを使って、車両編成全体を覆う車両編成LANで通用するIPアドレスへ変換する必要がある。
【0224】
一つの方法として、IPアドレスの上位3オクテットに、装置に付与されたIPアドレスの下位1オクテットをつなげて、4オクテットのIPアドレスとする。この対応の様子が、図12に示されている。
【0225】
以上の説明で、車両編成LANに接続された全ての機器にIPアドレスが付与されることになる。次に、ネットワーク制御装置は、上述したように隣接車両との交信をして、車両情報の取得を行う(ステップ42)。
【0226】
さらに、VLAN−Bの設定を制御部32とL2スイッチに対して行い、車両編成全体での情報交換が可能な環境を作り、他車両と交信して他車両の情報を取得する(ステップ43)。次に、得られた車両情報を整理することで、車両編成情報を生成する(ステップ44)。
【0227】
自車両については、図10のE10とE14のポートを使い、ハブに接続された端末装置からの情報収集をして、情報収集蓄積部に収集して自車両情報として蓄積する。また、各端末に必要な制御情報を送り、所定の動作を行わせる。所定の動作には、ドアの開閉、照明のオン・オフ、モータの制御、エアコン温度設定など多様な内容が含まれる(ステップ45)。ここで、全ての車両の端末装置IPアドレスが共通になっているので、ネットワーク制御装置の監視、制御プログラムを共通化することができる。
【0228】
ネットワーク制御装置には、表示と制御情報の人間による入力を受け付けるモニタ23を接続する接続部としてのコネクタ36が設けられており、ここへ、モニタ23が接続されると、それを感知して(ステップ46)、コネクタ36へ所定の情報を送ってモニタ23の画面に図11に示したような表示を行う(ステップ47)。
【0229】
モニタ23の使い方として、例えば車掌の居る最後部車両へ車両識別番号5601の監視カメラ(ED2)からのデータを送る場合は、送信元のIPアドレス192.168.0.12が、ルータによって172.17.41.12に変換されて最後部車両の車掌の所へ届くことになる。また、逆に車掌から当該監視カメラの操作指令は、送信先のIPアドレス172.17.41.12として、送信されて、ネットワークアドレス172.17.41.1を有するルータで受信されて、そのIPアドレスを192.168.0.12に変換されて、監視カメラに届くことになる。
【0230】
ネットワーク制御装置は、車両間の接続の遮断などにより車両の編成の変更の通知を受けると処理の最初へ戻る(ステップ48)ので、故障により、車両編成が分断されても、分断後のそれぞれが新しい車両編成を構成することができる。LANポートにはリンクパルスの送信手段が備えられており、LANが物理的に接続されているのか否かを判定することができる。物理リンクの状況が変わる(物理リンクが有る→無くなる、若しくは、物理リンクが無い→有る)または、連結時に加圧されるデジタルインプット情報を別途持つことにより、車両が連結されたまたは開放されたことを認識すると、車両が連結された、または解放されたと判断し、システムを初期化ルーチン(ステップ41)に戻り、編成情報の収集をやり直す。特に、車両編成の変更が無い通常の場合は電源のオン・オフを検知して電源が入っていれば、ステップ45の処理へ戻る(ステップ49)。
【0231】
以上説明したように、各車両のネットワーク制御装置は、隣接車両と情報を交換するとともに、列車を構成する車両情報を得ることができる。車両情報としては、各車両に搭載されている端末装置の情報の他に各車両の車両識別符号、車両の向き、各車両に搭載されている装置のIPアドレスなどがある。
【0232】
本発明においては、任意の車両において、モニタ23を車両編成ネットワークシステムのネットワーク制御装置223に接続することで、全車両の全ての装置の情報を得ることができ、同時に、それらに対しての制御を行なうことができる。
【0233】
また、スイッチ間を接続してネットワークを構成しているので障害に強く、IPレベルのVLANを使って論理的に分割しているので、ネットワーク構成の自由度が大きく車両ネットワークの管理が容易になる。
【0234】
上述した例では、タグVLANの採用によって、LANポートE1及びE2を介して、車両編成全体での情報交換ができるようにして配線の省略が可能となっているが、図10に点線で示すように、LANポートEx及びEyをL2スイッチに設け、ポートVLAN構成とすることもできる。しかし、タグVLANを採用した場合には、LANポートEx,Eyを、これらの間の配線とLANポートE1,E2間の配線を重複させて2重系として耐故障性を高めても良い。
【0235】
また、車両編成ネットワークシステムでは、通常、端末装置の一斉動作指令をするよういなっているが、これをブロードキャストにて行うと、ルータ部33においてネットワークアドレスの不一致によって作動指令が端末装置に到達しなくなる。そこで、ルータ部33にデフォルトゲートウエー(DGW)192.168.0.1を設定しておき、データ部に乗せてブロードキャストによって送出した特定の端末装置に対する指令情報を全ての端末装置に到達させ、特定の端末装置の一斉作動を行えるようにしている。
【0236】
なお、図10の実施形態では、L2スイッチを使用して3つのVLANを構成しているが、Lスイッチを使用しないで構成することも可能である。
【0237】
上述した実施の形態では、車上装置22のネットワーク制御装置223と、これに接続された複数の端末装置221a〜221fとに、車両編成LAN用の静的IPアドレスがそれぞれ設定され、しかもネットワーク制御装置223と、複数の端末装置221a〜221fとが車内LANを介して接続されるように、ネットワーク制御装置223には、L2スイッチ31、制御部32、ルータ部33、ハブ34、車両番号格納部35が設けられ、制御部32に車両編成LAN用の静的IPアドレスやルータ部33内のNATテーブルを含む交信用データを生成して付与する手段が設けられているが、車上装置22として1つの車両編成LAN用の静的IPアドレスを付与するようにしてもよい。この場合、交信用データを付与する手段は車上装置22のIPアドレスを生成して付与すればよく、NATテーブルを生成して付与しなくてよい。しかしながら、実施形態のように、ネットワーク制御装置223と、複数の端末装置221a〜221fと車両編成LAN用の静的IPアドレスをそれぞれ付与し、これらを車内LANを介して接続することにより、安価に入手可能な既製品を使用することができるようになり、車上装置22を安価に構築することができるので有利である。
【0238】
また、上述した実施の形態では、システムが、車上装置22が設置されている車両番号格納部35に格納されている車両番号と、車両番号に対応して予め定められた交信用データを表す予め用意した例えばテーブル類か演算式などのデータ生成用情報と、に基づいて交信用データを生成する交信用データ生成手段とを備え、交信用データ付与手段による交信用データの付与が交信用データ生成手段により生成された交信用データに基づいて行うことができ、交信用データを手入力にて付与する必要がない。
【0239】
しかしながら、システムが、車上装置22が設置される車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両番号に対応して予め定められた交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、交信用データが設定されるべき車上装置22が設置されている車両の車両番号と、に基づいて生成された、当該車上装置22に設定すべき交信用データが格納されている例えばフラッシュメモリ、ROM等のような不揮発性メモリを有する着脱自在の交信用データ格納手段を備えるようにしてもよい。
【0240】
この場合、交信用データ格納手段への交信用データの格納は、例えば、予めデータ生成用情報を有するパソコンに、そのキー操作によって車両番号を入力することにより、この入力した車両番号とデータ生成用情報とに基づいて車両番号に対応する交信用データを生成させ、この生成された交信用データを着脱自在の交信用データ格納手段に書き込むことによって行うことができる。交信用データが書き込まれた交信用データ格納手段は、そのパッケージに、格納されている交信用データに対応する車両番号を印刷したラベルを貼り付けておくことにより、ラベルに印刷されている車両番号の車両に設置される車上装置に誤り無く着脱自在に取り付けられる。そして、交信用データ格納手段に格納されている交信用データを読み出すことで、交信用データ付与手段により車上装置或いはネットワーク制御装置223と複数の端末装置221a〜221fへの交信用データの付与を行うことができ、交信用データを手入力にて付与しなくてもよくなる。
【0241】
しかしながら、図示の実施の形態のように、交信用データ生成手段を備えている場合、予め付与された車両番号が格納されている車両番号格納部35が用意されていればよく、交信用データまで格納した交信用データ格納手段を事前に用意する手間が省ける。
【0242】
また、上述した実施の形態でも、図1〜図8の実施形態と同様の変形や変更を行うことができる。
【0243】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0244】
10 移動体情報収集システム
11 地上装置
112 RADIUSサーバ部
113 収集サーバ部
12A〜12D 車上装置(移動体上装置)
121 車上装置の無線通信部
122 第1の車両情報蓄積部(移動体情報蓄積手段)
1221 車両番号格納部(移動体識別符号格納部)
12201 CPU(通信アドレス生成付与手段、ルーティングテーブル生成付与手段、認証情報生成付与手段)
123 第2の車両情報蓄積部(移動体情報蓄積手段)
2 車両編成
20 車両編成ネットワークシステム
22A〜22E 車上装置
221a〜221f 端末装置
223 ネットワーク制御装置
32 制御部(交信用データ付与手段、交信用データ格納手段、交信用データ生成手段)
35 車両番号格納部(車両識別符号格納部)
50 線路(軌道)
51 複数車両からなる列車
52 無線LANのサービスエリア
53 建屋
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば軌道上を走行する車両などの移動体上に設置され、LAN(ローカルエリアネットワーク)を介して例えばインターネットプロトコルのような予め定められた通信プロトコルに従って交信を行うネットワークシステムの少なくとも一部分を構成する移動体上装置に、交信の際に移動体上装置を識別するための例えばIP(インターネットプロトコル)アドレスのような通信アドレスを含む交信用データを付与する交信用データ付与方法及び装置に関するものである。
【0002】
本発明はまた、地上に設置された地上装置と例えば軌道上を走行する車両などの移動体上に設置された移動体上装置とが無線LANを介して例えばインターネットプロトコルのような予め定められた通信プロトコルに従って、移動体上装置を識別するため移動体上装置に設定された例えばIPアドレスのような通信アドレスを含む無線交信用データを用いて交信を行い、移動体上装置に蓄積された移動体に係る移動体情報を地上装置において収集する移動体情報収集システム及び該システムの移動体上装置に関するものである。
【0003】
本発明はさらに、例えば軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両にそれぞれ設置された車上装置が、LANを介して例えばインターネットプロトコルのような予め定められた通信プロトコルに従って、相互に識別するため車上装置に設定された例えばIPアドレスのような通信アドレスを含む交信用データを用いて交信を行う車両編成ネットワークシステム及び該システムの車上装置に関するものである。
【背景技術】
【0004】
従来、軌道上を走行する車両などの移動体上に設置された移動体上装置により少なくとも一部分が構成され、LAN(ローカルエリアネットワーク)を介して例えばインターネットプロトコルのような予め定められた通信プロトコルに従って交信を行うネットワークシステムとして、移動体情報収集システムや車両編成ネットワークシステムがある。従来の移動体情報収集システムとして、例えば鉄道の分野において、列車を編成している移動体である各車両に搭載されている多数の搭載機器の動作履歴などの車両情報を、各車両に設置された移動体上装置である車上装置において記録媒体に記録して蓄積し、この記録媒体自体、或いは、記録媒体に蓄積した情報を読み込ませたICカードなどの他の記録媒体を持ち帰り、記録媒体から地上に設置された地上装置に読み込ませて車両情報を収集することにより、この収集した情報を利用して搭載機器の保守業務を適切な時期に行えるようにしたものが知られている。また、車上装置において記録媒体に記録して蓄積した車両情報を、シリアル伝送回線を介して予め定めた一定の時刻や時間間隔、あるいは人手操作によって車上装置から地上装置に伝送することにより、地上装置に車両情報を収集することも知られている。(例えば、特許文献1参照。)
【0005】
しかながら、上記の前者の移動体情報収集システムでは、例えば広い車両基地に集まった車両を作業員が巡回して人手により、地上装置から記録媒体を持ち出し、車両情報を記録媒体から地上装置に読み込ませることを行わなければならず、車両情報の収集は大変手間のかかる作業であった。
【0006】
また、上記の後者の移動体情報収集システムでは、手間はかからない反面、走行して列車の車両上の車上装置からシリアル伝送回線を介して車両情報を地上装置に伝送するために、公衆回線網を利用しなければならず、通信料金が発生してランニングコストがかかるという問題があった。
【0007】
そこで、車両情報の収集に、手間がかからず、しかも、ランニングコストのかからないシステムとして、例えば、車両基地に集まった列車の車両上の車上装置と車両基地に設置した地上装置との間を無線LANによって接続し、無線LANを介して車上装置の記録媒体に蓄積した車両情報を車両基地に設置した地上装置に自動的に収集するようにしたものが考えられている。
【0008】
また、従来の車両編成ネットワークシステムとして、例えば鉄道の分野において、車両編成の各車両に搭載された各種搭載機器などの端末装置を含む車上装置を監視、制御するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。なお、監視、制御としては、車両毎の特定の車上装置、例えば車両毎の空調機器などのサービス機器の特定のものの状態監視とその操作制御、車両毎の特定のドアやブレーキなどを状態監視とその操作制御などが挙げられる。また、搭載機器としては、ドア、空調機器、ブレーキ、ATO(自動列車運転装置)、自動放送、SIV(静止型インバーター)、モータなどが該当する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−251702号公報
【特許文献2】特開2006−20117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したいずれのシステムにおいても、多数の車両にそれぞれ設置された移動体上装置或いは車上装置(以下、車上装置と略記する。)を特定してLANを介して予め定められた通信プロトコルに従って交信を行う場合、各車上装置には、車上装置を特定するために、通信プロトコルにより定められた仕様の通信アドレスなどの交信用データが設定されなければならない。通信アドレスが例えばIP(インターネットプロトコル)アドレス(以下、「IPアドレス」と言う。)である場合、その設定のための付与には、IPアドレスを管理するサーバを用意して、車上装置から要求があると一時的なIPアドレスを自動的に付与する動的アドレス付与方式と、予め静的IPアドレスを付与する静的アドレス付与方式とがある。
【0011】
動的IPアドレスの付与の場合には、ダイナミックホストコンフィギュレーションプロトコル(以下「DHCP」と言う。)が実装されたDHCPサーバを使うことが多い。DHCPサーバには、車上装置に割り当ててもよいIPアドレスの範囲が設定されており、アクセスしてきた車上装置にこれらの車上装置に割り当ててもよいIPアドレスのなかから選択してIPアドレスを一時的に付与する。車上装置が付与されたIPアドレスを用いた通信を終えるとDHCPサーバは自動的にアドレスを回収し、他の車上装置に割り当てる。
【0012】
このDHCPを使うと、ネットワークにおける交信用データの設定の手間を省いて簡単にIPアドレスを用いて接続することができる。しかしながら、このDHCPによるIPアドレスの自動付与方法を使うと、車上装置とIPアドレスとの対応関係が時間的に変化するので、車上装置とIPアドレスとの対応関係の管理が難しくなるという問題がある。また、交信が中断してIPアドレスの再付与が行なわれると、車上装置のIPアドレスが前回と異なる場合があるので、車上装置へのアクセスに支障がでるという問題点もある。
【0013】
静的IPアドレス付与の場合には、静的IPアドレスが予め各車上装置に付与されるので、動的アドレス付与方式の場合のようなアドレスの変動を避けることができ、アドレス変動に伴う問題がない。しかしながら、静的IPアドレスを予め各車上装置に付与する作業は、一般に、付与すべき静的IPアドレスを人手によるキー操作にて入力することが行われる。このため、付与対象となる車上装置が設置された車両に出向く必要があり、手間がかかるとともに、人手を介することによる作業ミスによって誤った静的IPアドレスの付与が行われる可能性がある。しかも、この付与作業は、車上装置の初期設置時だけでなく、故障時や車両の定期的なメンテナンス時、及び車上装置の載せ換え時にも発生するので、人手による付与作業の頻度はかなり高くなる。
【0014】
人手による付与作業のミスで車上装置を誤って特定し接続対象になっていないアドレスを付与すれば通信不能になることもある。さらにIPアドレスの重複付与などがあれば、車上装置の取り違えという問題も起こる。
【0015】
一般に、無線LANの場合、地上装置と車上装置内の一部との間で無線LANを介して予め定められたIPプロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うために、上述したIPアドレスの他に、ユーザID、ユーザパスワードなどの無線交信用データが設定される。特に、車上装置が有線LAN構成を採用しているときには、さらに、ルーティングテーブルも交信用データとして設定されているが、このルーティングテーブルを含む交信用データが人手による作業で付与されると、IPアドレスの場合と同様の問題が起こる。このような問題は、車両編成の各車両に搭載された各種搭載機器などの端末装置を監視、制御するために、車両に設置された車上装置と各車両に設置された端末装置とが、LANを介して、車上装置と各端末装置とに予め設定された異なるアドレスを利用して交信を行うシステムにおいても生じる。
【0016】
よって、本発明は、上述した点に鑑みなされたもので、人手による交信用データ付与の問題を伴うことなく、移動体上に設置され、LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って交信を行うネットワークシステムの少なくとも一部分を構成する移動体上装置に、交信する移動体上装置を識別するための交信用データを付与する交信用データ付与方法及び装置を提供することを課題としている。
【0017】
本発明はまた、上述した点に鑑みなされたもので、人手による無線交信用データ付与の問題を伴うことなく、移動体上装置の各々において蓄積した移動体情報を地上装置において無線LANを介して収集する移動体情報収集システム及び該システムの移動体上装置を提供することを課題としている。
【0018】
本発明はさらに、上述した点に鑑みなされたもので、人手による交信用データ付与の問題を伴うことなく、相互に識別するため車上装置に設定された交信用データを用いて、車両編成の各車両に設置された端末装置と車両に設置された車上装置とがLANを介して予め定められた通信プロトコルに従って交信を行う車両編成ネットワークシステム及び該システムの車上装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述した課題を解決するため本発明によりなされた交信用データ付与方法は、移動体上に設置され、LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って交信を行うネットワークシステムの少なくとも一部分を構成する移動体上装置に、前記交信の際に当該移動体上装置を識別するための交信用データを付与する交信用データ付与方法であって、前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて当該移動体上装置に設定すべき前記交信用データを生成し、該生成された前記交信用データを当該移動体上装置に設定すべき前記交信用データとして当該移動体上装置に付与する。
【0020】
本発明の交信用データ付与方法によれば、移動体上装置に設定すべき交信用データを当該移動体上装置に付与するが、この付与する交信用データが、移動体上装置が設置される移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、交信用データが設定されるべき移動体上装置が設置されている移動体の移動体識別符号と、に基づいて生成されたものであるので、移動体上装置への設定のために付与すべき静的通信アドレスを人手によるキー操作にて入力することが必要ない。
【0021】
上述した課題を解決するため本発明によりなされた交信用データ付与装置は、移動体上に設置され、LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って交信を行うネットワークシステムの少なくとも一部分を構成する移動体上装置に、前記交信の際に当該移動体上装置を識別するための交信用データを付与する交信用データ付与装置であって、前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された当該移動体上装置に設定すべき前記交信用データを、当該移動体上装置に付与する交信用データ付与手段を備える。
【0022】
本発明の交信用データ付与装置によれば、交信用データ付与手段が移動体上装置に設定すべき交信用データを当該移動体上装置に付与するが、この付与する交信用データが、移動体上装置が設置される移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、交信用データが設定されるべき移動体上装置が設置されている移動体の移動体識別符号と、に基づいて生成されたものであるので、移動体上装置への設定のために付与すべき静的通信アドレスを人手によるキー操作にて入力することが必要ない。
【0023】
上述した交信用データ付与装置において、前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された、当該装置に設定すべき前記交信用データが格納されている交信用データ格納手段をさらに備え、前記交信用データ付与手段は、前記交信用データの付与を前記交信用データ格納手段に格納されている前記交信用データを読み出して行う。
【0024】
本発明の交信用データ付与装置によれば、移動体上装置に設定すべき交信用データが格納されている交信用データ格納手段をさらに備え、交信用データ格納手段に格納されている交信用データが、移動体上装置が設置される移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、交信用データが設定されるべき移動体上装置が設置されている移動体の移動体識別符号と、に基づいて生成されたものであり、交信用データ付与手段は、交信用データの付与を交信用データ格納手段に格納されている交信用データを読み出して行っているので、交信用データ付与手段による交信用データの付与が交信用データ格納手段に格納された交信用データに基づいて行うことができ、交信用データを、人手によるキー操作にて入力することなしに、移動体上装置への設定のために付与することができる。
【0025】
上述した交信用データ付与装置において、前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号が格納されている移動体識別符号格納手段と、該移動体識別符号格納手段に格納されている前記移動体識別符号と、前記移動体識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、に基づいて前記交信用データを生成する交信用データ生成手段とをさらに備え、前記交信用データ付与手段は、前記交信用データの付与を前記交信用データ生成手段により生成された前記交信用データに基づいて行う。
【0026】
本発明の交信用データ付与装置によれば、移動体識別符号格納手段と、交信用データ生成手段とをさらに備え、交信用データ生成手段が、移動体上装置が設置される移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号格納手段に格納されている移動体識別符号と、移動体識別符号に対応して予め定められた交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、に基づいて交信用データを生成し、該生成された交信用データの付与を交信用データ付与手段が行っているので、交信用データ付与手段による交信用データの付与が交信用データ生成手段により生成された交信用データに基づいて行うことができ、交信用データを、人手によるキー操作にて入力することなしに、移動体上装置への設定のために付与することができる。
【0027】
上述した交信用データ付与装置において、特に、前記データ生成用情報は、移動体識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを当該移動体識別符号に基づいて演算して生成するための演算式であるので、移動体識別符号の他に、演算式を用意するだけで、移動体識別符号の移動体に設置した移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部に設定されるべき無線交信用データを生成することができる。
【0028】
上述した交信用データ付与装置において、特に、前記通信プロトコルがインターネットプロトコルであり、前記通信アドレスがインターネットプロトコルアドレスであるので、移動体上装置の一部にIPアドレスを使う既存のものを流用して移動体上装置を構成できる。
【0029】
上述した交信用データ付与装置において、特に、前記移動体識別符号格納手段は、電気的に読み出し可能な数字や文字を設定できるスイッチを有するので、スイッチの操作によって複数桁の十進数からなる移動体識別符号を簡単に格納することができる。
【0030】
上述した課題を解決するため本発明によりなされた移動体情報収集システムは、地上に設置された地上装置と、各々が移動体上に設置されて、当該移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有する複数の移動体上装置とを具備し、前記移動体上装置には、前記地上装置と前記移動体上装置との間で無線LANを介して予め定められた無線通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と前記移動体上装置が相互接続されて、前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムであって、前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記無線交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された当該移動体上装置に設定すべき前記無線交信用データを、当該移動体上装置に付与する無線交信用データ付与手段を備える。
【0031】
また、上述した課題を解決するため本発明によりなされた移動体情報収集システムは、地上に設置された地上装置と、各々が移動体上に設置された複数の移動体上装置とを具備し、前記移動体上装置の各々が、当該移動体上装置が設置される移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有する情報蓄積部と、有線LANを介して予め定めた有線通信プロトコルに従って相互に有線交信を行って前記情報蓄積部と相互接続されるとともに、無線LANを介して予め定めた無線通信プロトコルに従って前記地上装置と無線交信を行う無線通信部とを備え、前記移動体上装置の前記無線通信部には、前記地上装置と前記移動体上装置の前記無線通信部及び前記情報蓄積部との間で無線LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と前記移動体上装置が相互接続されて、前記情報蓄積部の前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムであって、前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記無線交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された、当該移動体上装置の前記無線通信部に設定すべき前記無線交信用データを、当該移動体上装置の前記無線通信部に付与する無線交信用データ付与手段を備える。
【0032】
本発明の移動体情報収集システムによれば、移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部に設定すべき、静的通信アドレス、ルーティングテーブル、個別認証符号などの無線交信用データを、当該移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部に付与する無線交信用データ付与手段を備え、無線交信用データ付与手段が付与する無線交信用データが、移動体上装置が設置される移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、無線交信用データが設定されるべき移動体上装置が設置されている移動体の移動体識別符号と、に基づいて生成されたものであるため、移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部への設定のために付与すべき無線交信用データを人手によるキー操作にて入力することが必要ない。
【0033】
上述した移動体情報収集システムにおいて、前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記無線交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された、当該移動体上装置に設定すべき前記無線交信用データが格納されている無線交信用データ格納手段をさらに備え、前記無線交信用データ付与手段は、前記無線交信用データの付与を前記無線交信用データ格納手段に格納されている前記無線交信用データを読み出して行う。
【0034】
本発明の移動体情報収集システムによれば、移動体上装置に設定すべき無線交信用データが格納されている着脱自在の無線交信用データ格納手段をさらに備え、無線交信用データ格納手段に格納されている無線交信用データが、移動体上装置が設置される移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、無線交信用データが設定されるべき移動体上装置が設置されている移動体の移動体識別符号と、に基づいて生成されたものであり、無線交信用データ付与手段は、無線交信用データの付与を無線交信用データ格納手段に格納されている無線交信用データを読み出して行っているので、無線交信用データ付与手段による無線交信用データの付与が着脱自在の無線交信用データ格納手段に格納された無線交信用データに基づいて行うことができ無線交信用データを、人手によるキー操作にて入力することなしに、移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部への設定のために付与することができる。
【0035】
上述した移動体情報収集システムにおいて、前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号が格納されている移動体識別符号格納手段と、該移動体識別符号格納手段に格納されている前記移動体識別符号と、前記移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、に基づいて前記無線交信用データを生成する無線交信用データ生成手段とをさらに備え、前記無線交信用データ付与手段は、前記無線交信用データの付与を前記無線交信用データ生成手段により生成された前記無線交信用データに基づいて行う。
【0036】
本発明の移動体情報収集システムによれば、着脱自在の移動体識別符号格納手段と、無線交信用データ生成手段とをさらに備え、無線交信用データ生成手段が、移動体上装置が設置される移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号格納手段に格納されている移動体識別符号と、移動体識別符号に対応して予め定められた無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、に基づいて無線交信用データを生成し、該生成された無線交信用データの付与を無線交信用データ付与手段が行っているので、無線交信用データ付与手段による無線交信用データの付与が無線交信用データ生成手段により生成された無線交信用データに基づいて行うことができ、無線交信用データを、人手によるキー操作にて入力することなしに、移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部への設定のために付与することができる。
【0037】
上述した移動体情報収集システムにおいて、特に、前記データ生成用情報は、移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信のための無線交信用データを当該移動体識別符号に基づいて演算して生成するための演算式であるので、移動体識別符号の他に、演算式を用意するだけで、移動体識別符号の移動体に設置した移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部に設定されるべき無線交信用データを生成することができる。
【0038】
上述した移動体情報収集システムにおいて、特に、前記移動体が、軌道上を走行する車両であり、前記地上装置は前記車両に設置された前記移動体上装置と交信可能に設置されるので、地上装置にて移動体上装置に蓄積された車両情報を収集することができる。
【0039】
上述した移動体情報収集システムにおいて、特に、前記通信プロトコルがインターネットプロトコルであり、通信アドレスがIPアドレスであるので、移動体上装置の一部にIPアドレスを使う既存のものを流用して移動体上装置を構成できる。
【0040】
上述した移動体情報収集システムにおいて、特に、前記移動体上装置が、前記無線交信用データ付与手段の他に、前記移動体識別符号格納手段と、前記無線交信用データ生成手段とを備えるので、移動体上装置に設定されるべき無線交信用データを自らが生成して自身に付与することができる。
【0041】
上述した移動体情報収集システムにおいて、特に、前記移動体上装置の前記情報蓄積部が、前記無線交信用データ付与手段の他に、移動体識別符号格納手段と、無線交信用データ生成手段とを備え、前記無線交信用データ付与手段は、前記無線交信用データの付与を前記無線交信用データ生成手段により生成された前記無線交信用データに基づいて行うので、無線通信部に設定されるべき無線交信用データを情報蓄積部が生成して無線通信部に付与することができる。
【0042】
上述した移動体情報収集システムにおいて、特に、前記移動体識別符号格納手段は、前記情報蓄積部に着脱自在に取り付けられるので、情報蓄積部が取り替えられても移動体識別符号格納手段を取り外すことで流用でき、移動体識別符号を格納した移動体識別符号格納手段をあらためて用意する必要がない。
【0043】
上述した移動体情報収集システムにおいて、特に、前記移動体上装置或いは前記移動体上装置の前記無線通信部は、前記地上装置と交信可能であるとき前記移動体の運転キーがオフされる毎に自身に設定された前記無線交信用データを用いて前記地上装置との無線交信を行うので、移動体の運転キーがオフされて停止しているときに、運転中に蓄積された移動体情報が的確に地上装置により収集される。
【0044】
上述した移動体情報収集システムにおいて、前記無線交信用データ付与手段は、前記移動体の運転キーがオフされる毎に前記無線交信を開始する前に、前記無線交信用データを付与する動作を行うので、設定されていた無線交信用データが失われていても、移動体がその運転キーのオフにより停止されたときに、交信に必要な無線交信用データが確実に設定されて、運転中に蓄積された移動体情報が的確に地上装置により収集される。
【0045】
上述した課題を解決するため本発明によりなされた移動体情報収集システムの移動体上装置は、複数の移動体の各々に設置されて、設置された移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有し、地上に設置された地上装置と無線LANを介して接続されて移動体情報収集システムを構成し、前記地上装置との間で無線LANを介して予め定められた無線通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた前記地上装置との無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と接続されて、前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムの移動体上装置であって、設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された、設定すべき前記無線交信用データを自身に付与する無線交信用データ付与手段を備える。
【0046】
また、上述した課題を解決するため本発明によりなされた移動体情報収集システムの移動体上装置は、複数の移動体の各々に設置されて、設置された移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有する情報蓄積部と、有線LANを介して予め定めた有線通信プロトコルに従って相互に有線交信を行って前記情報蓄積部と相互接続されるとともに、無線LANを介して予め定めた無線通信プロトコルに従って前記地上装置と無線交信を行う無線通信部とを備え、前記無線通信部には、前記地上装置と前記無線通信部及び前記情報蓄積部との間で無線LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と接続されて、前記情報蓄積部の前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムの移動体上装置であって、設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された、自身の前記無線通信部に設定すべき前記無線交信用データを前記無線通信部に付与する無線交信用データ付与手段を備える。
【0047】
本発明の移動体情報収集システムの移動体上装置によれば、移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部に設定すべき無線交信用データが、無線交信用データ付与手段により当該移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部に付与されるが、無線交信用データ付与手段が付与する無線交信用データが、移動体上装置が設置される移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、無線交信用データが設定されるべき移動体上装置が設置されている移動体の移動体識別符号と、に基づいて生成されたものであるので、移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部への設定のために付与すべき静的通信アドレスを人手によるキー操作にて入力することが必要ない。
【0048】
上述した課題を解決するため本発明によりなされた無線交信用データ付与方法は、地上に設置された地上装置と、各々が移動体上に設置されて、当該移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有する複数の移動体上装置とを具備し、前記移動体上装置には、前記地上装置と前記移動体上装置との間で無線LANを介して予め定められた無線通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と前記移動体上装置が相互接続されて、前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムにおいて、前記移動体上装置に前記無線交信用データを付与する無線交信用データ付与方法であって、前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記無線交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて当該移動体上装置に設定すべき前記無線交信用データを生成し、該生成された前記無線交信用データを当該移動体上装置に設定すべき前記無線交信用データとして当該移動体上装置に付与する。
【0049】
また、上述した課題を解決するため本発明によりなされた無線交信用データ付与方法は、地上に設置された地上装置と、各々が移動体上に設置された複数の移動体上装置とを具備し、前記移動体上装置の各々が、当該移動体上装置が設置される移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有する情報蓄積部と、有線LANを介して予め定めた有線通信プロトコルに従って相互に有線交信を行って前記情報蓄積部と相互接続されるとともに、無線LANを介して予め定めた無線通信プロトコルに従って前記地上装置と無線交信を行う無線通信部とを備え、前記移動体上装置の前記無線通信部には、前記地上装置と前記移動体上装置の前記無線通信部及び前記情報蓄積部との間で無線LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と前記移動体上装置が相互接続されて、前記情報蓄積部の前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムにおいて、前記無線通信部に前記無線交信用データを付与する無線交信用データ付与方法であって、前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記無線交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて当該移動体上装置の前記無線通信部に設定すべき前記無線交信用データを生成し、該生成された前記無線交信用データを当該移動体上装置の前記無線通信部に設定すべき前記無線交信用データとして当該移動体上装置の前記無線通信部に付与する。
【0050】
本発明の無線交信用データ付与方法によれば、移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部に設定すべき無線交信用データを、当該移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部に付与するが、この付与する無線交信用データが、移動体上装置が設置される移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、無線交信用データが設定されるべき移動体上装置が設置されている移動体の移動体識別符号と、に基づいて生成されたものであるので、移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部への設定のために付与すべき静的通信アドレスを人手によるキー操作にて入力することが必要ない。
【0051】
上述した課題を解決するため本発明によりなされた無線交信用データ付与装置は、地上に設置された地上装置と、各々が移動体上に設置されて、当該移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有する複数の移動体上装置とを具備し、前記移動体上装置には、前記地上装置と前記移動体上装置との間で無線LANを介して予め定められた無線通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と前記移動体上装置が相互接続されて、前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムにおいて、前記移動体上装置に前記無線交信用データを付与する無線交信用データ付与装置であって、前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記無線交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された、当該移動体上装置に設定すべき前記無線交信用データを、当該移動体上装置に付与する無線交信用データ付与手段を備える。
【0052】
上述した課題を解決するため本発明によりなされた無線交信用データ付与装置は、地上に設置された地上装置と、各々が移動体上に設置された複数の移動体上装置とを具備し、前記移動体上装置の各々が、当該移動体上装置が設置される移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有する情報蓄積部と、有線LANを介して予め定めた有線通信プロトコルに従って相互に有線交信を行って前記情報蓄積部と相互接続されるとともに、無線LANを介して予め定めた無線通信プロトコルに従って前記地上装置と無線交信を行う無線通信部とを備え、前記移動体上装置の前記無線通信部には、前記地上装置と前記移動体上装置の前記無線通信部及び前記情報蓄積部との間で無線LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と前記移動体上装置が相互接続されて、前記情報蓄積部の前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムにおいて、前記無線通信部に前記無線交信用データを付与する無線交信用データ付与装置であって、前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記無線交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された、当該移動体上装置の前記無線通信部に設定すべき前記無線交信用データを、当該移動体上装置の前記無線通信部に付与する無線交信用データ付与手段を備える。
【0053】
本発明の無線交信用データ付与装置によれば、移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部に設定すべき無線交信用データを、当該移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部に付与するが、この付与する無線交信用データが、移動体上装置が設置される移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、無線交信用データが設定されるべき移動体上装置が設置されている移動体の移動体識別符号と、に基づいて生成されたものであるので、移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部への設定のために付与すべき静的通信アドレスを人手によるキー操作にて入力することが必要ない。
【0054】
上述した課題を解決するため本発明によりなされた車両編成ネットワークシステムは、各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両にそれぞれ設置された車上装置を備え、前記車上装置には、前記車上装置間で車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して前記車上装置が相互接続される車両編成ネットワークシステムであって、前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記車上装置が設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて生成された当該車上装置に設定すべき前記交信用データを、当該車上装置に付与する交信用データ付与手段を備える。
【0055】
上述した課題を解決するため本発明によりなされた車両編成ネットワークシステムは、各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両にそれぞれ設置された車上装置を備え、該車上装置は複数の端末装置と、前記複数の端末装置と車内LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って相互に交信を行って相互接続されるとともに、車両編成LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って他の車両に設置された車上装置と交信を行うネットワーク制御装置とを有し、前記ネットワーク制御装置には、前記車両編成の全車両に設置された前記端末装置及び他の車両に設置されたネットワーク制御装置との間で車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して前記車上装置間が相互接続される車両編成ネットワークシステムであって、前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記車上装置が設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて、当該車上装置の前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に設定すべく生成された前記交信用データを、当該車上装置の前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に付与する交信用データ付与手段を備える。
【0056】
本発明の車両編成ネットワークシステムによれば、車上装置或いは車上装置の複数の端末装置及びネットワーク制御装置に設定すべき交信用データを、当該車上装置或いは車上装置の複数の端末装置及びネットワーク制御装置に付与する交信用データ付与手段を備え、交信用データ付与手段が付与する交信用データが、車上装置が設置される車両編成の各車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と交信用データが設定されるべき車上装置が設置されている車両の車両識別符号と、に基づいて生成されたものであるため、車上装置或いは車上装置の複数の端末装置及びネットワーク制御装置への設定のために付与すべき交信用データを人手によるキー操作にて入力することが必要ない。
【0057】
上述した車両編成ネットワークシステムにおいて、前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記車上装置が設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて生成された、当該車上装置或いは当該車上装置の前記複数の端末装置及び前記ネットワーク制御装置に設定すべき前記交信用データが格納されている交信用データ格納手段をさらに備え、前記交信用データ付与手段は、前記交信用データの付与を前記交信用データ格納手段に格納されている前記交信用データを読み出して行う。
【0058】
本発明の車両編成ネットワークシステムによれば、車上装置に設定すべき交信用データが格納されている交信用データ格納手段をさらに備え、交信用データ格納手段に格納されている交信用データが、車上装置が設置される車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、交信用データが設定されるべき車上装置が設置されている移動体の車両識別符号と、に基づいて生成されたものであり、交信用データ付与手段は、交信用データの付与を交信用データ格納手段に格納されている交信用データを読み出して行っているので、交信用データ付与手段による交信用データの付与が交信用データ格納手段に格納された交信用データに基づいて行うことができ交信用データを、人手によるキー操作にて入力することなしに、車上装置或いは車上装置の前記複数の端末装置及び前記ネットワーク制御装置への設定のために付与することができる。
【0059】
上述した車両編成ネットワークシステムにおいて、前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号が格納されている車両識別符号格納手段と、該車両識別符号格納手段に格納されている前記車両識別符号と、前記車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、に基づいて前記交信用データを生成する交信用データ生成手段とをさらに備え、前記交信用データ付与手段は、前記交信用データの付与を前記交信用データ生成手段により生成された前記交信用データに基づいて行う。
【0060】
本発明の車両編成ネットワークシステムによれば、車両識別符号格納手段と、交信用データ生成手段とをさらに備え、交信用データ生成手段が、車上装置が設置される車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号格納手段に格納されている車両識別符号と、車両識別符号に対応して予め定められた無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、に基づいて交信用データを生成し、該生成された交信用データの付与を交信用データ付与手段が行っているので、交信用データ付与手段による交信用データの付与が交信用データ生成手段により生成された交信用データに基づいて行うことができ、交信用データを、人手によるキー操作にて入力することなしに、車上装置或いは車上装置の複数の端末装置及びネットワーク制御装置への設定のために付与することができる。
【0061】
上述した車両編成ネットワークシステムにおいて、特に、前記データ生成用情報は、車両識別符号に対応して予め定められた前記交信のための交信用データを当該車両識別符号に基づいて演算して生成するための演算式であるので、車両識別符号の他に、演算式を用意するだけで、車両識別符号の車両に設置した車上装置或いは車上装置の複数の端末装置及びネットワーク制御装置に設定されるべき交信用データを生成することができる。
【0062】
上述した課題を解決するため本発明によりなされた車両編成ネットワークシステムの車上装置は、各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両に設置されて、車両編成LANを介して接続されて車両編成ネットワークシステムを構成し、車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して接続される車上装置であって、設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて生成された、設定すべき前記交信用データを自身に付与する交信用データ付与手段を備える。
【0063】
上述した課題を解決するため本発明によりなされた車両編成ネットワークシステムの車上装置は、各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両に設置されて、車両編成LANを介して接続されて車両編成ネットワークシステムを構成し、複数の端末装置と、車内LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って相互に交信を行って前記複数の端末装置と相互接続されるとともに、車両編成LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って交信を行うネットワーク制御装置とを有し、前記ネットワーク制御装置には、前記車両編成の全車両に設置された前記端末装置及び他の車両に設置されたネットワーク制御装置との間で車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して相互接続される車上装置であって、設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて、自身の前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に設定すべく生成された前記交信用データを前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に付与する交信用データ付与手段を備える。
【0064】
本発明の車両編成ネットワークシステムの車上装置によれば、車上装置或いは車上装置の複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に設定すべき交信用データが、交信用データ付与手段により当該車上装置或いは車上装置の複数の端末装置およびネットワーク制御装置に付与されるが、交信用データ付与手段が付与する交信用データが、車上装置が設置される車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、交信用データが設定されるべき車上装が設置されている車両の車両識別符号と、に基づいて生成されたものであるので、車上装置或いは車上装置の複数の端末装置およびネットワーク制御装置への設定のために付与すべき交信用データを人手によるキー操作にて入力することが必要ない。
【0065】
上述した課題を解決するため本発明によりなされた車両編成ネットワークシステムの交信用データ付与方法は、各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両にそれぞれ設置された車上装置を備え、前記車上装置には、前記車上装置間で車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して前記車上装置が相互接続される車両編成ネットワークシステムにおいて、前記車上装置に前記交信用データを付与する交信用データ付与方法であって、前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記車上装置が設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて当該設定すべき前記交信用データを生成し、該生成された前記交信用データを当該設定すべき前記交信用データとして当該車上装置に付与する。
【0066】
上述した課題を解決するため本発明によりなされた車両編成ネットワークシステムの交信用データ付与方法は、各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両にそれぞれ設置された車上装置を備え、該車上装置は複数の端末装置と、前記複数の端末装置と車内LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って相互に交信を行って相互接続されるとともに、車両編成LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って他の車両に設置された車上装置と交信を行うネットワーク制御装置とを有し、前記ネットワーク制御装置には、前記車両編成の全車両に設置された前記端末装置及び他の車両に設置されたネットワーク制御装置との間で車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して前記車上装置間が相互接続される車両編成ネットワークシステムにおいて、前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に前記交信用データを付与する交信用データ付与方法であって、前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記車上装置が設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて当該車上装置の前記ネットワーク制御装置に設定すべき前記交信用データを生成し、該生成された前記交信用データを当該車上装置の前記ネットワーク制御装置に設定すべき前記交信用データとして当該車上装置の前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に付与する。
【0067】
本発明の車両編成ネットワークシステムの交信用データ付与方法によれば、車上装置或いは車上装置の複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に設定すべき交信用データを、当該車上装置或いは車上装置の複数の端末装置およびネットワーク制御装置に付与するが、この付与する交信用データが、車上装置が設置される車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、交信用データが設定されるべき車上装置が設置されている車両の車両識別符号と、に基づいて生成されたものであるので、車上装置或いは車上装置の車上装置の複数の端末装置およびネットワーク制御装置への設定のために付与すべき交信用データを人手によるキー操作にて入力することが必要ない。
【0068】
上述した課題を解決するため本発明によりなされた車両編成ネットワークシステムの交信用データ付与装置は、各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両にそれぞれ設置された車上装置を備え、前記車上装置には、前記車上装置間で車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して前記車上装置が相互接続される車両編成ネットワークシステムにおいて、前記車上装置に前記交信用データを付与する交信用データ付与装置であって、前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記車上装置が設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて生成された当該車上装置に設定すべき前記交信用データを、当該車上装置に付与する交信用データ付与手段を備える。
【0069】
上述した課題を解決するため本発明によりなされた車両編成ネットワークシステムの交信用データ付与装置は、各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両にそれぞれ設置された車上装置を備え、該車上装置は複数の端末装置と、前記複数の端末装置と車内LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って相互に交信を行って相互接続されるとともに、車両編成LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って他の車両に設置された車上装置と交信を行うネットワーク制御装置とを有し、前記ネットワーク制御装置には、前記車両編成の全車両に設置された前記端末装置及び他の車両に設置されたネットワーク制御装置との間で車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して前記車上装置間が相互接続される車両編成ネットワークシステムにおいて、前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に前記交信用データを付与する交信用データ付与装置であって、前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記車上装置が設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて生成された当該車上装置の前記無線通信部に設定すべき前記交信用データを、当該車上装置の前記複数の端末装置およびネットワーク制御装置に付与する交信用データ付与手段を備える。
【0070】
本発明の車両編成ネットワークシステムの交信用データ付与装置によれば、車上装置或いは車上装置の複数の端末装置およびネットワーク制御装置に設定すべき交信用データを、当該車上装置の複数の端末装置およびネットワーク制御装置或いは車上装置の複数の端末装置およびネットワーク制御装置に付与するが、この付与する交信用データが、車上装置の複数の端末装置およびネットワーク制御装置が設置される車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、交信用データが設定されるべき車上装置の複数の端末装置およびネットワーク制御装置が設置されている車両の車両識別符号と、に基づいて生成されたものであるので、車上装置或いは車上装置の複数の端末装置およびネットワーク制御装置への設定のために付与すべき交信用データを人手によるキー操作にて入力することが必要ない。
【発明の効果】
【0071】
本発明によれば、移動体上装置への設定のために付与すべき、交信用データを人手によるキー操作にて入力することが必要ないので、付与対象となる移動体上装置が設置された移動体に出向く必要がなく、手間がかからないだけでなく、交信用データの付与が頻繁に行われても、人手による作業ミスによって誤った交信用データの付与が行われることがない交信用データ付与方法及び装置が得られる。
【0072】
本発明によれば、交信用データの付与が格納手段に格納された交信用データに基づいて行われ、格納手段への交信用データの格納が、移動体識別符号に対応して予め定められた交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、交信用データが設定されるべき移動体上装置が設置されている移動体の移動体識別符号と、に基づいて自動生成した交信用データを格納手段に書き込むことによって行うことができ、交信用データを人手によるキー操作にて入力しなくでも済む。
【0073】
本発明によれば、交信用データの付与が、移動体識別符号に対応して予め定められた交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、交信用データが設定されるべき移動体上装置が設置されている移動体の移動体識別符号と、に基づいて自動生成されるので、交信用データを予め格納手段に格納するなどの手間が不要である。
【0074】
本発明によれば、移動体識別符号の他に、データ生成用情報としての演算式を用意するだけで、移動体識別符号の移動体に設置した移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部に設定されるべき交信用データを生成することができるので、移動体上装置が設置される移動体が増えても、その移動体識別符号を格納した手段のみ異なる移動体上装置を用意するだけで対応することができる。
【0075】
本発明によれば、移動体上装置の一部にIPアドレスを使う既存のものを流用して移動体上装置を構成できるので、既存のユニットを流用して構成できる。
【0076】
本発明によれば、スイッチの操作によって複数桁の数字や文字からなる移動体識別符号を簡単に格納することができる。
【0077】
本発明によれば、移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部への設定のために付与すべき、静的通信アドレス、ルーティングテーブル、個別認証符号などの無線交信用データを人手によるキー操作にて入力することが必要ないので、付与対象となる移動体上装置が設置された移動体に出向く必要がなく、手間がかからないだけでなく、無線交信用データの付与が頻繁に行われても、人手による作業ミスによって誤った無線交信用データの付与が行われることがない移動体情報収集システム、該システムの移動体上装置、該システムにおける無線交信用データ付与方法及び装置が得られる。
【0078】
本発明によれば、無線交信用データの付与が着脱自在の格納手段に格納された無線交信用データに基づいて行われ、格納手段への無線交信用データの格納が、移動体識別符号に対応して予め定められた無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、無線交信用データが設定されるべき移動体上装置が設置されている移動体の移動体識別符号と、に基づいて自動生成した無線交信用データを、取り外した格納手段に書き込むことによって行うことができ、無線交信用データを人手によるキー操作にて入力しなくでも済む。
【0079】
本発明によれば、無線交信用データの付与が、移動体識別符号に対応して予め定められた無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、無線交信用データが設定されるべき移動体上装置が設置されている移動体の移動体識別符号と、に基づいて自動生成されるので、無線交信用データを予め格納手段に格納するなどの手間が不要である。
【0080】
本発明によれば、移動体識別符号の他に、データ生成用情報としての演算式を用意するだけで、移動体識別符号の移動体に設置した移動体上装置或いは移動体上装置の無線通信部に設定されるべき無線交信用データを生成することができるので、移動体上装置が設置される移動体が増えても、その移動体識別符号を格納した手段のみ異なる移動体上装置を用意するだけで対応することができる。
【0081】
本発明によれば、軌道上を走行する車両に設置した移動体上装置に蓄積された車両情報を地上装置にて収集することができる。
【0082】
本発明によれば、移動体上装置の一部にIPアドレスを使う既存のものを流用して移動体上装置を構成できるので、既存のユニットを流用してシステムを安価に構成できる。
【0083】
本発明によれば、移動体上装置に設定されるべき無線交信用データを自らが生成して自身に付与することができる。また、無線通信部に設定されるべき無線交信用データを情報蓄積部が生成して無線通信部に付与することで、無線通信部に手を加えることなく無線通信部に既存のユニットを流用して、移動体上装置、ひいてはシステムを安価に構成できるようになる。
【0084】
本発明によれば、スイッチの操作によって複数桁の数字や文字からなる移動体識別符号を簡単に格納することができる。また、情報蓄積部が取り替えられても移動体識別符号格納手段を取り外すことで流用でき、移動体識別符号を格納した移動体識別符号格納手段をあらためて用意する必要がないので、情報蓄積部の取り替えを安価に行えるとともに、元の移動体識別符号格納手段を取り付けられることで、間違った移動体識別符号の格納手段を取り付けることを防げる。
【0085】
本発明によれば、移動体の運転キーがオフされて停止しているときに、運転中に蓄積された移動体情報が的確に地上装置により収集されるので、例えば、移動体が一日の運行を終了した時点で移動体情報を収集して、一日の運行の終了時の保守点検などに供することができる。
【0086】
本発明によれば、設定されていた無線交信用データが失われていても、移動体がその運転キーのオフにより停止されたときに、交信に必要な無線交信用データが確実に設定されて、運転中に蓄積された移動体情報が的確に地上装置により収集されるので、移動体情報の収集時に無線交信用データが失われていて無線交信ができなく、移動体情報が収集できなくなることがない。
【0087】
本発明によれば、情報蓄積部を無線通信部と独立に構成し、無線通信部に既製のものを流用して構成できるので、人手による作業ミスによって誤った静的通信アドレスの付与が行われることがない安価な移動体情報収集システムが得られる。
【0088】
本発明によれば、情報蓄積部が取り替えられても車両番号格納手段を取り外すことで流用でき、車両番号格納手段にあらためて車両番号を書き込む必要がないので、情報蓄積部の取り替えを安価に行える移動体情報収集システムが得られる。
【0089】
本発明によれば、情報蓄積部を無線通信部と独立に構成し、無線通信部にインターネット用に広く流通している既存のものを流用して安価に構成できる移動体情報収集システムが得られる。
【0090】
本発明によれば、設定のために付与すべき静的IPアドレスを人手によるキー操作にて入力することが必要ないので、付与対象となる移動体上装置が設置された移動体に出向く必要がなく、手間がかからないだけでなく、静的IPアドレスの付与が頻繁に行われても、人手による作業ミスによって誤った静的IPアドレスの付与が行われることがない移動体情報収集システムの移動体上装置が得られる。
【0091】
本発明によれば、車上装置或いは車上装置の複数の端末装置及びネットワーク制御装置への設定のために付与すべき交信用データを人手によるキー操作にて入力することが必要ない車両編成ネットワークシステム及び該システムの車上装置が得られる。
【0092】
本発明によれば、交信用データ付与手段による交信用データの付与が交信用データ格納手段に格納された交信用データに基づいて行うことができ、交信用データを、人手によるキー操作にて入力することなしに、車上装置或いは車上装置の複数の端末装置及びネットワーク制御装置への設定のために付与することができる。
【0093】
本発明によれば、交信用データ付与手段による交信用データの付与が交信用データ生成手段により生成された交信用データに基づいて行うことができ、交信用データを、人手によるキー操作にて入力することなしに、車上装置或いは車上装置の複数の端末装置及びネットワーク制御装置への設定のために付与することができる。
【0094】
本発明によれば、車上装置或いは車上装置の車上装置の複数の端末装置およびネットワーク制御装置への設定のために付与すべき交信用データを人手によるキー操作にて入力することが必要ない車両編成ネットワークシステムの交信用データ付与方法及び装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明による移動体情報収集システムの一実施形態である情報収集システムを、WANを介してワークステーションに接続して構成した車両管理システムを示す構成図である。
【図2】地上装置が設置される車両基地(車両留置場)の一例を示す説明図である。
【図3】車両側装置の概略構成例を示す構成図である。
【図4】車両側装置の主要な一部の具体的な構成例を示す構成図である。
【図5】ルーティングテーブルの一例を示す図である。
【図6】図4中のCPU12201及び制御器1215が行う処理を示すフローチャートである。
【図7】地上に置かれた地上装置の処理フローの説明図である。(A)地上装置の収集サーバ部が行う処理を示すメインルーチンの処理フローである。(B)地上装置の交信処理ルーチンの詳細内容を示すフローチャートである。(C)地上装置のポーリング処理ルーチンの詳細内容を示すフローチャートである。
【図8】車両側装置の無線交信の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の交信用データ付与方法及び装置を適用した車両編成ネットワークシステムの一実施形態である鉄道車両編成ネットワークシステムの概略構成を示す図である。
【図10】図9中の車上装置の具体的な構成の一例を示す図である。
【図11】図10中のモニタの画面に表示される表示例を示す図である。
【図12】車両識別符号から生成して付与したIPアドレス及びNATテーブルを示す図である。
【図13】車両編成ネットワークシステムのネットワーク制御装置の動作を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図14】IPアドレス、NATテーブルの生成と付与についてのネットワーク制御装置の動作を説明するためのフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0096】
以下、本発明の実施形態を図面図1〜図8を参照して説明する。図1は、本発明による交信用データ付与方法及び装置を適用した移動体情報収集システムの一実施形態である鉄道車両情報収集システムにより収集した鉄道車両に係る車両情報を利用して鉄道車両を管理する鉄道車両管理システムの概略構成を示す図である。
【0097】
図1において、鉄道車両管理システムは、例えば広い車両基地に構築される大規模な鉄道車両情報収集システム10と、車両基地から離れた遠隔の場所、例えば駅舎に隣接して設けられる車両留置場に構築される小規模な鉄道車両情報収集システム20と、両システム10及び20により収集した車両情報に基づいて鉄道車両の管理業務を行うワークステーション30と、これらを接続するワイドエリア ネットワーク(WAN)40とによって構成されている。
【0098】
大規模な鉄道車両情報収集システム10と小規模な鉄道車両情報収集システム20は、車両情報を収集する対象とする車両の数に違いがあるだけで、基本的に同一の構成を有する。したがって、両システムを代表して、大規模な鉄道車両情報収集システム10について、そのシステム構成を説明する。
【0099】
システム10は、地上装置11と、各々が鉄道車両A〜Cに設置され、地上装置11に無線ローカルエリアネットワーク(LAN)を介して接続される移動体上装置である車上装置12A〜12Cとで構成される。本実施の形態では、インターネットプロトコル(IP)に従って相互通信を行うIEEE802.11xに準拠した無線LANが採用されており、地上装置11と車上装置12A〜12Cには、相互通信のための静的IPアドレスが予め設定されている。
【0100】
地上装置11は、図2に示すような広い車両基地内の車両留置場にアクセスポイントとして設置される複数の無線通信部111と、アクセスポイントへのアクセスを認証するRADIUS認証サーバ部112と、車両情報を収集して格納する収集サーバ部113と、地上装置をWANに接続するためのルータ部114と、これらを有線LANで相互接続するためのハブ(HUB)115とを有する。地上装置11には、WAN40を介してワークステーション30とインターネット接続されるようグローバルIPアドレスが付与されて、車両の保守点検管理のために、収集サーバ部113に収集された車両情報をワークステーション30側から参照することができる。
【0101】
図1においては、地上装置11の無線通信部111は2つしか示されていない。しかしながら、図2に示すような広い車両基地の場合には、車両基地内に敷設した引き込み線50の何処に列車51が留置されても、列車に編成された各車両に設置された車上装置12との間で無線通信ができるように(1)〜(6)の6つの無線通信部111が設置される。各アクセスポイントの無線通信部111には、隣接するアクセスポイントの通信可能エリア52が重畳しても通信ができるように、相互干渉しないように規格に定められた複数のチャンネルの一つが選択されて割り振られている。なお、無線通信部111を除く、RADIUS認証サーバ部112と収集サーバ部113は、車両の保守作業を行うための作業場や運転手の詰め所などを備え建家53内に設置される。
【0102】
RADIUS認証サーバ部112は、リモート・アクセスにおける認証情報を一元管理する仕組みとして使われるものである。RADIUS認証サーバ部112には、ユーザIDとパスワードを使って認証処理を行うために、予め接続を許されるユーザIDとパスワードのデータが格納されており、車上装置12A〜12Cから接続の要求があると、予め格納されたデータと接続要求に併せて送られてくるユーザID及びパスワードのデータとを照合して同一であれば、当該接続が許容されることとなる。
【0103】
収集サーバ部113は、RADIUS認証サーバ部112により接続が許容された車上装置12A〜12Cに対してポーリングを行い、当該車上装置12A〜12Cに蓄積されている車両情報を送信させて収集する。
【0104】
鉄道車両A〜Cにそれぞれ設置される車上装置12A〜12Cの全ては同一の構成を有する。したがって、全てを代表して、車上装置12Aについて、その概略構成を説明する。車上装置12Aは、図1に示されるように、無線通信部121、第1の車両情報蓄積部122及び第2の車両情報蓄積部123を有する。
【0105】
無線通信部121は、地上装置11の複数の無線通信部111の一つの通信可能エリア52に入って所定の留置位置に停車され、運転キーのオフ操作により車両の運行が終了されると、地上装置11の無線LANのアクセスポイントとして設置されている複数の無線通信部111(1)〜111(2)の一つと無線交信を開始する。第1の車両情報蓄積部122は、車両の運行中に、車両に搭載された空調機などの各種の機器の動作状態を監視して、監視状態を所定の条件で判定して機器の異常、故障、保守点検の要などを診断し、その診断結果を時間とともに逐次記録して搭載機器にかかる第1の車両情報を蓄積する。第2の車両情報蓄積部123は、運転開始から及び終了までの車両の運転状況、例えば、車両を駆動するモータの加速若しくは減速又はブレーキの使用状態などを時系列のデータとして順次記録して車両にかかる第2の車両情報を蓄積する。各車両情報蓄積部122及び123に蓄積されている車両情報は、車両基地に留置されていた列車が車両基地から出て列車の運行を開始するため運転キーがオンされてから、車両の運行を終了して運転キーをオフされて蓄積されている車両情報が地上装置11に収集されるまでに蓄積されたものである。
【0106】
以上の構成により、車両基地に戻ってきた列車が、地上装置11の複数の無線通信部111の一つの通信可能エリア52に入って所定の留置位置に停車され、運転キーのオフ操作により車両の運行が終了されると、移動体上装置12Aの無線通信部121と地上装置11の無線通信部111が無線LANを介してインターネットプロトコル(IP)を使って相互通信を行い、地上装置11の収集サーバ部113に対して認証情報を付加して接続要求する。接続要求を受け取った地上装置11では、接続要求に含まれている認証情報に基づいてRADIUS認証サーバ部112が認証を行う。この認証によって、接続要求を行った車上装置12Aが正規のものであると認められたときには、この通知を受け取った収集サーバ部113は、当該車上装置12Aをポーリング対象リストに登録し、既に登録してある他の車両に設置されている車上装置12B〜12Dと同様に、ポーリングによって当該車上装置12Aの第1及び第2の車両情報蓄積部122及び123にアクセスして、これらの情報蓄積部に蓄積されている車両情報を送信させる。地上装置11の無線通信部111により受信された車両情報は、収集サーバ部113が有する図示しないデータベースに格納されて収集される。
【0107】
図1に示した実施の形態では、車上装置12Aの無線通信部121と地上装置11の無線通信部111が無線LANを介してインターネットプロトコル(IP)に従って相互通信を行うに当たって使用するIPアドレスについて言及していないが、車上装置12Aにおいて、自身に付与すべきIPアドレスを自動的に生成し、この自動的に生成したIPアドレスを自動設定するようにした実施の形態を、その概略構成を示す図3及びその詳細構成を示す図4を参照して以下説明する。
【0108】
図3において、車上装置12Aは、無線通信部121が有するハブ1211に第1の車両情報蓄積部122及び第2の車両情報蓄積部123がコネクタ接続されることにより、無線通信部121、第1の車両情報蓄積部122及び第2の車両情報蓄積部123間で有線LANを介して相互通信するように構成されている。
【0109】
無線通信部121は、ハブ1211の他に、地上装置11との間で無線での交信を行なう無線部1212と、有線LANと無線LANのアドレス変換を行うルータ1213とを有する。無線通信部121は、自身からのデータ、或いは、有線LANを介して車両情報蓄積部122又は123から受け取ったデータを無線パケットとして無線部1212を介しアンテナを通じて無線信号として発信する。また、地上装置11からの無線信号を受信して無線パケットからデータを取り出し、宛先のIPアドレスに応じて自身で受け取り、或いは、ルータ1213を介して車両情報蓄積部122又は123へ有線LANを通じて送信する。ルータ1213は、車上装置12Aの無線通信部121、第1の車両情報蓄積部122及び第2の車両情報蓄積部123に予め付与される既定の固定値からなる有線LAN用の静的IPアドレスと無線LAN用の静的IPアドレスとの間のアドレス変換を行うためのルーティングテーブルを有し、このルーティングテーブルに基づいてIPアドレスの書き換えを行う。このルータ1213への、ルーティングテーブルの設定作業については後述する。なお、このルーティグテーブルは、ポート番号を使って作られるネットワーク アドレス トランスレーション テーブル(NAT)の機能を有するものとなる。
【0110】
なお、有線用の静的IPアドレスは車両内の有線LANのみで使用され車両の外に出ることがないので、全ての車両に搭載される車上装置には、同一の有線用の静的IPアドレスが付与されている。しかしながら、無線LAN用の静的IPアドレスは、他の車両の車上装置でも受信されるので、全ての車両に設置された車上装置には、重複しない無線LAN用の静的IPアドレスが付与されなければならない。また、個別認証情報も当然に、各車上装置において、重複しないものが付与されなければならない。これらの、無線LAN用のIPアドレスおよび個別認証情報などの、無線交信に必要なデータを無線交信用データと言う。
【0111】
第1の車両情報蓄積部122は、第1の車両情報を蓄積するために、信号線を介して、例えば空調機124や推進系の機器125などの各種の機器の状態を表す信号を入力して監視し、入力した信号に基づいて各種の機器の動作状態を所定の条件で判定して機器の故障の診断を行い、故障履歴を搭載機器にかかる第1の車両情報として逐次記録する記録手段とを有する。
【0112】
また、第1の車両情報蓄積部122は、無線通信部121のルータ1213に設定するルーティングテーブルを作成するために必要な無線LAN用の静的IPアドレスを生成するアドレス生成手段を有する。このために、第1の車両情報蓄積部122は、車上装置12Aが設置された車両を識別可能に予め付与された移動体識別符号である車両番号を予め格納した移動体識別符号格納部となる車両番号格納部1221を備えるとともに、列車の運転キーのオン・オフ信号が入力されている。第1の車両情報蓄積部122は、移動体上装置の電源がオンされたとき、車両番号格納部1221から入力した車両番号に基づいて、車上装置12Aの無線通信部121、第1の車両情報蓄積部122及び第2の車両情報蓄積部123に付与される無線LAN用の静的IPアドレス並びに、後述する認証(RADIUS認証)のためのユーザID及びパスワードを所定のルールに従って生成して付与する。さらに、運転キーがオフされて地上装置との無線通信を開始するに際しても、念のために、再度付与が行なわれる。
【0113】
そして、第1の車両情報蓄積部122は、生成された無線LAN用の静的IPアドレスと、第1及び第2の車両情報蓄積部122及び123並びに無線通信部121に予めそれぞれ付与されている有線LAN用の静的IPアドレスの固定値と、に基づいてルーティングテーブルを生成する。この生成されたルーティングテーブルは、上記無線通信部121の無線LAN用の静的IPアドレスと、ユーザID及びパスワードとともに、無線通信部121に送信されて、無線通信部121において車上装置12が地上装置11との間の交信を行うための設定に供される。なお、車両番号に基づいて無線LAN用の静的IPアドレスを生成する仕方の詳細については後述する。
【0114】
なお、車両番号格納部1221としては、機械的に着脱自在でしかも格納した車両番号を電気的に読み取り可能な機械的なサムホイールスイッチ若しくはディップスイッチまたは不揮発性の半導体メモリなどから構成される。しかも、車両番号格納部1221は、第1の車両情報蓄積部122から取り外した状態でも、例えば鎖などで対応する車両に固定されているので、行方不明になることも、他の車両のものと取り違えられることもないようになっている。この車両番号は、各車両で重複することの無い車両を識別するものであり、車両を移動体として把握したときには、移動体識別符号として把握される。したがって、車両番号格納部は、移動体識別符号格納部に相当する。
【0115】
次に、図4を参照して、車上装置12Aの無線通信部121と第1の車両情報蓄積部122のより具体的な構成を以下説明する。図4においては、第2の車両情報蓄積部123については省略されている。
【0116】
無線通信部121は4つのLANインターフェース(I/F)1214を有し、その1を介してハブ1211に第1の車両情報蓄積部122が接続されている。無線通信部121はまた、例えば1チップマイコンから構成される制御器1215、有線LANインターフェース(I/F)回路1216、ルーティング回路1217及び無線LANインターフェース(I/F)回路1218を有し、制御器1215によって制御されてルータ1213(図3)として働くルーティング回路1217には有線LANI/F回路1216を介してハブ1211が接続されるとともに、無線LANI/F回路1218を介して無線アンテナが接続されている。無線通信部121はさらにメモリ1219を有し、認証のために使用されるユーザID及びパスワードが格納されている。
【0117】
第1の車両情報蓄積部122は、中央処理ユニット(CPU)12201、プログラム及びプログラムの実行に当たって使用する固定データを格納する不揮発性メモリであるフラッシュROM12202、プログラムの実行に当たって使用する作業用のメモリであるSDRAM12203を有し、これらはPCIバスなどのバス12204を介して相互に接続されている。
【0118】
バス12204にはまた、例えば故障履歴のような第2の車両情報を順次蓄積する車両情報蓄積手段として働き、電源ダウンによって蓄積された情報が消失しないように電源バックアップされたメモリであるRAM12205、同じく電源バックアップされた実時間データを生成するクロック12206が接続されている。
【0119】
バス12204にはさらに、車両番号格納部1221が接続されるデジタル入出力I/F12207、USBI/F12208を介してUSB接続機器が接続されるUSBコントロールデバイス12209、フラッシュメモリカードI/F12210を介してフラッシュメモリが接続されるフラッシュメモリカードコントロールデバイス12211、RS233CI/F12212、フォトカプラ12213を介して例えばモニタ機器が接続されるシリアルコントローラ12214、LANI/F12215を介して無線通信部121との交信を行うLANコントローラ12216、及び、バス12204に直接機器を接続するためのバスI/F12217が接続されている。フラッシュメモリカードI/F12210は、第2の車両情報をフラッシュメモリカードに取り込む場合に使用できる。バスI/F12217は、CPU12201に直結して高速データの送受信に使用できる。
【0120】
そして、CPU12201には、所定の条件の下で判定して上述した故障履歴を例えばクロックの発生する実時間を付与して時系列に取得するために、車両に搭載された各種の機器の動作状態を監視するための信号を入力する2つのRS422AI/F12218が接続されている。
【0121】
第1の車両情報蓄積部122のCPU12201は、RS422AI/F12218からの信号を判定して第2の車両情報をRAM12205に順次蓄積する車両情報蓄積処理の他に、車上装置12と地上装置11との間の相互通信のためのコンフィグ設定を行う設定処理などを行う。コンフィグ設定では、無線LAN用の静的IPアドレス、ルーティングテーブル、RADIUS認証のためのユーザID及びパスワードなどが設定される。
【0122】
上記フラッシュROM12202には、車両情報蓄積処理、設定処理などを行うためのプログラムの他に、車両情報蓄積処理において判定のために使用される判定値、設定処理において使用される各種の固定値やアドレス情報が格納されている。具体的には、固定値としては、有線LAN側の静的IPアドレスとそのサブネットマスク及び無線LAN用のサブネットマスクとに予め割り当てられた固定値や、ルーティングや暗号化などのために使用される予め定められたその他の固定値が格納されている。
【0123】
本例では、有線LAN側の静的IPアドレスとして、第1の車両情報蓄積部122に192.168.1.1、第2の車両情報蓄積部123に192.168.1.2、無線通信部121に192.168.1.254、そのサブネットマスクに24ビット、無線LAN用のサブネットマスクに16ビットの固定値がそれぞれ割り当てられ、これらはフラッシュROM12202に格納されている。
【0124】
アドレス情報としては、車上装置12が設置される全ての車両に識別可能に予め付与される車両番号と予め定められたルールによって車両番号の各々に対応して定められた無線LAN用の静的IPアドレスとの関係を表す演算式、或いは、演算式によって演算して得られた車両番号−IPアドレス対応テーブルが格納されている。
【0125】
車両番号と無線LAN用の静的IPアドレスとの関係を表す演算式は、車両番号から当該車両に搭載された移動体上装置12の第1の車両情報蓄積部122、第2の車両情報蓄積部123及び無線通信部121に割り当てられるクラスBのプライベートIPアドレスを重複しない無線LAN用の静的IPアドレスとして生成するためのもので、32ビットの生成IPアドレスを8ビットずつに区切って10進数表示して、aaa、bbb、ccc、dddと表し、aaaには172の固定値、bbbには016の固定値がそれぞれ割り当てられ、ccc及びdddについては、以下の演算式により決定される。
【0126】
ccc=[(「車両番号」−「車両番号のスタート番号」)÷25]の商+「付与されるスタート番号」
ddd=〔(「車両番号」÷25)の余り)×10〕+1(第1の車両情報蓄積部122)
=〔(「車両番号」÷25)の余り)×10〕+2(第2の車両情報蓄積部123)
=〔(「車両番号」÷25)の余り〕×10〕+9(無線通信部121)
【0127】
上記の式において、例えば、「車両番号のスタート番号」として、2000、「付与されるスタート番号」として1を用いる。ここで、車両番号が2600の場合には、上記演算式により、cccは、(2600−2000)/25+1=25となる。dddは、車両番号2600が25で割り切れるので、余りが0となって、装置ごとに異なる値1、2、9を加えて、ddd=1、2、9となる。したがって、第1の車両情報蓄積部122、第2の車両情報蓄積部123及び無線通信部121の無線LAN用の静的IPアドレスとして、172.16.25.1、172.16.25.2、172.16.25.9が生成される。この手法では、車両番号が2600〜2624までは、cccは25の共通の値となる。
【0128】
dddの値は、車両番号が2600〜2624に対して、0、10、20のように10ずつ増加して240まで変化するので、cccの値が共通していてもIPアドレスが重複することがない。
【0129】
上記の方法は、cccやdddで与えられる値が、0〜255であることから、除数として25を選らんだものであるが、重複が避けるようにして他の値を用いても良い。
【0130】
また、cccとdddを表現する16ビットで決まる65536通りの値と車両番号を関係付ける表を、上述したaaa及びbbbの固定値と演算式とからなるデータ生成用情報に代わるデータ生成用情報として予め作成して用意し、対応テーブルとして格納して格納しておき、車両番号に対応したIPアドレスを選んで当該車両に設置した車上装置のIPアドレスとして生成するようにしてもよい。すなわち、対応テーブルにおける車両番号に対応したIPアドレスの選択が車両番号に対応したIPアドレスの生成となる。
【0131】
上述のように下位16ビットが、各車両により必ず異なる車両番号に基づいて算出されるので、生成されたIPアドレスは重複することがない。また、bbbの部分については、016の固定値を使用しているが、クラスBとして許容されている16〜31の範囲内の任意の値であってもよい。
【0132】
各車両に設置される車上装置において車両番号に対応して使用されるIPアドレスは、地上装置においても既知であるので、地上装置側へ送られる無線データの送信元アドレスから、当該IPアドレスを有する車両の車両番号及び車両に設置された車上装置を地上装置において特定することができる。すなわち、地上装置と車上装置において、車両番号からIPアドレスをマッピングするデータ生成用情報を共有することで、IPアドレス又は車両番号の一方が既知となることで、対応する他方を確実に推定することができる。
【0133】
なお、上述したように生成された無線LAN用の静的IPアドレスは、固定値からなる有線LAN用の静的IPアドレスと組み合わされてルーティングテーブルの生成に使用される。車両番号2600の車両に設置された車上装置では、図5に示すようなルーティングテーブルが生成されてRAM12203に格納される。
【0134】
RADIUS認証のために使用されるユーザID及びパスワードも、車両番号に基づいて自動的に生成される。例えば、ユーザIDについては、「固定ユーザネーム」+「車両番号」+「ドメインネーム」として生成し、「固定ユーザネーム」を「wpa」、「ドメインネーム」を「xyd」とすると、車両番号2600の車両に設置した車上装置のユーザIDとしてwpa2600xydが生成される。パスワードは所定の方法で車両番号を暗号化することで生成される。このユーザID及びパスワードの生成に関する対応関係も、地上装置と移動体上装置とで共有することで、車両の管理が容易となる。すなわち、地上装置が上述したデータ生成用情報を有することにより、車上装置が地上装置の要求に応じて送出する車両情報に車両番号が付加されていなくても、IPアドレスに基づいてデータ生成用情報を参照することにより、収集した車両情報がどの車両番号の車両のものであるかを特定することができる。
【0135】
生成されたユーザID及びパスワードは、上記ルーティングテーブルなどとともに第1の車両情報蓄積部122内のRAM12203に格納され、その後、無線通信部121における無線LANのためのコンフィグ設定のために、ルーティングテーブルとともに有線LANを介して無線通信部121に伝送されてメモリ1219に格納される。
【0136】
以上概略説明した車両情報収集システムの動作の詳細を、第1の車両情報蓄積部122のCPU12201及び無線通信部121の制御器1215の各々が実行する処理を示すフローチャートと相互間の通信状況とを示す図6と、地上装置の収集サーバ部が行う処理のフローチャートを示す図7および移動体側に置かれた無線交信の処理を示すフローチャートを示す図8を参照して以下説明する。
【0137】
先ず、図6において、第1の車両情報蓄積部122の電源が投入されると、第1の車両情報蓄積部122のCPU12201が一連の動作を開始する(ステップ601)。一方、制御器1215は制御器への電源の投入によって起動状態になっている。
【0138】
第1の車両情報蓄積部122のCPU12201は、起動されるとまず、デジタルI/F12207を介して車両番号格納部1221から、当該車上装置12が設置されている車両固有の車両番号を取得する(ステップ602)。
【0139】
次に、フラッシュROM12202に格納されているコンフィグ設定用の固定値を読み出し、ワーキングメモリとして働くRAM12203の所定エリアに書き込んで登録する(ステップ603)。コンフィグ設定用の固定値としては、有線LANのIPアドレスを解釈するためのサブネットマスクの値、無線LANのIPアドレスを解釈するためのサブネットマスクの値、各移動体上装置から無線LANを通じて地上装置と交信するための、ルーティング方法、無線交信時に必要となる暗号化キーがあり、全ての車上装置に共通の値である。
【0140】
そして、車両番号格納部1221から取得した車両番号に基づいて前述した方法で、当該車両に設置された移動体上装置の無線LAN用の静的IPアドレス、ユーザID、パスワードを生成し(ステップ604)、コンフィグ設定のために、ワーキングメモリとして働くRAM12203の所定エリアに書き込んで格納することで登録する(ステップ605)。
【0141】
その後、CPU12201は、交信の準備ができたので、無線通信部121と交信を開始するために、無線通信部121の起動状態を確認する作業を有線LANにおいてブロードキャストデータを使って装置12内の全部宛に送り無線通信部121からの応答を待つ(ステップ606)。無線通信部121が起動しており、応答を返すことで無線通信部121の生存を確認すると、無線通信部121へ有線LAN用の静的IPアドレスを用いてテルネット接続を試みる(ステップ607)。
【0142】
CPU12201は、テルネットを使って無線通信部121のメモリ1219に既に登録されている無線LAN用のコンフィグ設定値を問い合わせ、上述したようにRAM12203に新たに登録した無線LAN用の設定値との、一致、不一致を照合する(ステップ608)。不一致の場合は、不一致であった設定値について無線通信部121内のルーティング回路の動作に必要な値の再設定を行なう(ステップ609)。
【0143】
ここで再設定を行なって無線通信部121から設定終了の応答が得られた場合は、テルネットを切断して無線通信部121の生存の確認作業(ステップ606)へ戻ることになる。この場合は、無線通信部121の設定値が、RAM12203に登録されている値になっているので、次の無線通信部121への問い合わせ(ステップ608)では、設定値が一致することになる。
【0144】
ここで、設定値を送って、無線通信部121からの応答が得られない場合は、テルネット接続を切断状態にして、無線通信部121へ再起動命令を送り(リブート)、無線通信部121の再起動を行なう。
【0145】
上述のように、無線通信部121への新たな設定値の設定作業が成功すれば、ステップ608で設定値が一致したと判断され、状態監視処理に移行する(ステップ611)。この状態監視処理においては、無線通信部121もその監視対象になっていて、状態監視に対して無応答であるときには、ステップ606に戻って上述した動作を繰り返し、無線通信部121の設定値とRAM12203に登録されている値の一致の確認と、不一致の時の再起動処理を行う。
【0146】
状態監視処理(ステップ611)では、車両に搭載された各種の機器の状態を示す信号を入力し、入力した値に基づいてその状態を監視し、監視結果を所定の条件で判定して故障などの診断を行い、故障履歴をRAM12205に順次格納して蓄積する。
【0147】
状態監視処理(ステップ611)の過程で、車上装置12と地上装置11との間の交信条件を、運転キーの状態によって判定する(ステップ612)。運転キーがオフしたときには、通信開始条件が成立したとして、無線通信部121に対して地上装置11との無線通信開始を指示する。この際、無線通信用のIPアドレス、ルーティングテーブル、認証情報などの無線通信に必要なデータ、すなわち無線通信用データの設定を再度行なう。無線通信部が地上装置との交信を開始して、後述の、地上装置11からの認証が得られると、上位サーバである収集サーバ部113への車両情報の送付を行う通信処理が行なわれる(ステップ613)。通信処理の内容については後述する。
【0148】
次に、無線通信部121の制御器1215が実行する処理動作について、同じく、図6に示されたフローチャートを参照して説明する。
【0149】
制御器1215は電源の投入によって起動し(ステップ614)、第1の車両情報蓄積部122からのテルネットによる接続待ちの状態になる(ステップ615)。第1の車両情報蓄積部122から接続要求があるとそれに応答する(ステップ616)。無線通信部121が応答を返すことで、第1の車両情報蓄積部122と無線通信部121が交信状態となり、無線通信部121は第1の車両情報蓄積部122からの命令(コマンド)を待つ状態となる(ステップ617)。
【0150】
第1の車両情報蓄積部122から命令が来るとその内容が判断される(ステップ618)。命令が設定要求の場合は、第1の車両情報蓄積部122から送られて付与された無線交信用データに基づいて無線通信部121のメモリ1219の値のコンフィグ設定を行なう(ステップ619)。よって、この処理により、第1の車両情報蓄積部122のCPU12201は無線交信用データ付与手段として機能し、車上装置が設置される車両に当該車両を識別可能に予め付与された移動体識別符号である車両番号に対応して予め定められた無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報である演算式と、無線交信用データが設定されるべき車上装置が設置されている車両の車両番号と、に基づいて生成された、当該移動体上装置の無線通信部に設定すべき無線交信用データを当該車上装置の無線通信部に付与する。そして、コンフィグ設定作業が終わると、第1の車両情報蓄積部122へ設定作業終了の応答を返す(ステップ620)。
【0151】
また、第1の車両情報蓄積部122からの命令を判断して(ステップ621)命令がリブートの場合は第1の車両情報蓄積部122へOK応答を返し(ステップ622)、無線通信部121の制御器1215の再起動を行なう(ステップ623)。
【0152】
また、命令を判断して(ステップ624)、命令が無線通信開始の場合、地上装置11に対して接続要求を行って、後述する地上装置11との間の無線通信を開始する(ステップ625)。さらに詳述すると、車上装置の無線通信部は地上装置から一定間隔で出されるビーコンと呼ばれる電波を検知し、その周波数を調べ、その周波数と、あらかじめ設定したエクステンデッド サービス セット アイデンティファイアー(以後、「ESS−ID」と言う。)を用いて地上装置の無線部との間で通信を試み、地上装置で同一のESS−IDを持っていれば物理層レベルで接続完了となる。この際、データにESS−ID、通信速度の2点を含む物理層ヘッダを付加し物理層ヘッダを利用して最適な通信ができるように調整する。次に移動体上装置の無線通信部はマック層(以後、「MAC層」と言う。)レベルでの通信を試みる。この際、通信対象となる地上装置の無線部の、MACアドレスを指定して、交信対象以外の無線部と混信しないようにする。このように、地上装置との交信は、通常、地上装置11との基本的な交信が成立してからセキュリティー対策としての後述するRADIUS認証が行なわれる(ステップ626)。
【0153】
また、上記以外のコマンド処理(ステップ627)の詳細については省略するが、無線通信部121は有線ネットワークを介して第1の車両情報蓄積部122から送られる命令を実行する。
【0154】
次に、図7〜図8を用いて地上装置と車上装置との間のやり取りを説明する。図7(A)に示すように、地上装置11の収集サーバ部113は電源の投入によって動作を開始し、無線LANを介しての移動体上装置12との交信処理(ステップ71)、無線LANを介しての車上装置12のポーリング処理(ステップ72)及びWAN経由のワークステーション30との交信処理(ステップ73)を順次行う。
【0155】
一方、車上装置では、列車が車両基地に戻って運転キーがオフされると、車両に設置された移動体上装置12の第1の車両情報蓄積部122から地上装置11への無線接続の開始を指示される。これに応じて車上装置の無線通信部121は、図8に示すように、動作を開始する(ステップ801)。物理層、MAC層での接続後に送信元を無線通信部121の無線LAN用の静的IPアドレスとして送信し、基本的な交信を成立させる。その後認証のために、ユーザID、ユーザパスワードを暗号化して、地上側のRADIUSサーバ部112からRADIUS認証を受けるためのデータを送信する(ステップ802)。
【0156】
これに応じて地上装置11の収集サーバ部113は、図7(B)に示すように、接続要求とRADIUS認証要求があったとして(ステップ711,ステップ712)、RADIUSサーバ部112にRADIUS認証を受ける(ステップ713)。RADIUSサーバ部112は、交信可能な移動体上装置12の無線通信部121の無線LAN用の静的IPアドレスとこれに対応するユーザID及びパスワードの対照表を有し、この対照表を用いて送信元の車上装置12の無線通信部121が交信する資格を有するか否かを判別する。
【0157】
RADIUSサーバ部112による認証が得られたとき(OK)には、移動体上装置12にその旨を送信してから(ステップ714)、送信元を無線通信部121の無線LAN用の静的IPアドレスに基づいて、認証した車両をポーリングリストに登録する(ステップ715)。認証が得られない(NO)のときには規定回数の認証を行なうために(ステップ716)、RADIUS認証がNOであることが地上装置11から移動体上装置12に送信される(ステップ717)。RADIUS認証はシステムへの不正進入より、データベースに収集した情報を乱されることを防ぐことができる。
【0158】
図7(C)に示すポーリング処理では、ポーリングリストに対象車両があるときには(ステップ721)、対象車両の一つを選択してポーリングを行う(ステップ722)。このとき、地上装置11では、車両に対応する第1の車両情報蓄積部122及び第2の車両情報蓄積部123の無線LAN用の静的IPアドレスが分かっているので、基地側装置において各車両に設置されている移動体上装置は識別されている。
【0159】
したがって、このIPアドレスを送信先としてポーリングが行われる(ステップ723)。地上装置からポーリングを受けた車上装置は、自分に対するポーリング要求の有無を判別して(ステップ804)、自分に対するポーリングであるときは予め決められたデータ又は要求されたデータを地上装置へ送信する(ステップ805)。このポーリングによって第1の車両情報蓄積部122及び第2の車両情報蓄積部123から送信された車両情報は収集サーバ部113のデータベースに格納されて収集される(ステップ724)。ポーリングした車上装置12からの収集が完了したら、その車両をポーリングリストから削除する(ステップ725)。このポーリング処理は、ポーリングリストに対象車両がなくなるまで繰り返される。収集サーバ部113のデータベースに収集された車両情報は、WAN経由の交信処理によって、車両管理のためにワークステーション30によって利用される(ステップ73)。また、車上装置は、蓄積された車両情報が全て地上装置へ送信されたことが確認されて、地上装置からの指示あるいは自ら通信終了を判断し(ステップ806)終了条件が満足されると交信動作を中止する(ステップ807)。
【0160】
上述した実施の形態では、車上装置12は、無線通信部121と、第1の車両情報蓄積部122と、第2の車両情報蓄積部123とが有線LANにて接続された上で、第1の車両情報蓄積部122に無線LAN用の静的IPアドレスやルーティングテーブルなどの無線交信用データを付与する手段が設けられているが、これらを一体に構成してもよい。この場合、無線交信用データを付与する手段は車上装置12のIPアドレスを付与すればよく、ルーティングテーブルが付与されなくてよい。しかしながら、実施形態のように、無線通信部121が他のものと分離して設けられて有線LANにて接続されることにより、安価に入手可能な既製の無線通信部を使用することができるようになり、車上装置を安価に構築することができるので有利である。
【0161】
また、車上装置12に設けられている無線LAN用の静的IPアドレスを付与する手段は、システムとして、地上装置11或いは車上装置12のいずれ側に設けられてもよい。地上装置11に設けた場合には、地上装置11が、車上装置12に車両番号を順次無線送信させて受信し、この受信した車両番号と、車両を識別可能に車両に予め付与された車両に対応して予め定められたIPアドレスなどの無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、に基づいて生成された、当該車両に設置された車上装置12に設定すべき無線交信用データを車上装置12或いはその無線通信部121に無線送信して付与することができる。しかしながら、車上装置12或いは無線通信部121に生成付与手段が設けられることによって、無線LAN用の静的IPアドレスの生成付与毎に、IPアドレス設定のための車上装置12と地上装置11との間で交信を行わなくてもよく、また、車両情報を収集しなければならない地上装置11の負担を軽減できる。
【0162】
さらに、無線交信用データ付与手段が車上装置12側に設けられる場合であっても、第1の車両情報蓄積部122に設けられるのではなく、第1の車両情報蓄積部122及び第2の車両情報蓄積部123とともに無線通信部121にハブ接続されるようにして設けられても良い。しかしながら、車両情報蓄積部122に無線交信用データ付与手段が設けられることにより、車上装置12の構成が簡略化される。
【0163】
また、上述した実施の形態では、システムが、車上装置12が設置される車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両番号が格納されている車両番号格納部1221と、この車両番号格納部1221に格納されている車両番号と、車両番号に対応して予め定められた無線交信用データを表す予め用意した例えばテーブル類か演算式などのデータ生成用情報と、に基づいて無線交信用データを生成する無線交信用データ生成手段とを備え、無線交信用データ付与手段による無線交信用データの付与が無線交信用データ生成手段により生成された無線交信用データに基づいて行うことができ、無線交信用データを手入力にて付与する必要がない。
【0164】
しかしながら、システムが、車上装置12が設置される車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両番号に対応して予め定められた無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、無線交信用データが設定されるべき車上装置12が設置されている車両の車両番号と、に基づいて生成された、当該移動体上装置12に設定すべき無線交信用データが格納されている例えばフラッシュメモリ、ROM等のような不揮発性メモリを有する着脱自在の無線交信用データ格納手段を備えるようにしてもよい。
【0165】
この場合、無線交信用データ格納手段への無線交信用データの格納は、例えば、予めデータ生成用情報を有するパソコンに、そのキー操作によって車両番号を入力することにより、この入力した車両番号とデータ生成用情報と、に基づいて車両番号に対応する無線交信用データを生成させ、この生成された無線交信用データを着脱自在の無線交信用データ格納手段に書き込むことによって行うことができる。無線交信用データが書き込まれた無線交信用データ格納手段は、そのパッケージに、格納されている無線交信用データに対応する車両番号を印刷したラベルを貼り付けておくことにより、ラベルに印刷されている車両番号の車両に設置される移動体上装置に誤り無く着脱自在に取り付けられる。そして、無線交信用データ格納手段に格納されている無線交信用データを読み出すことで、無線交信用データ付与手段により移動体上装置或いは無線通信部への無線交信用データの付与を行うことができ、無線交信用データを手入力にて付与しなくてもよくなる。
【0166】
しかしながら、図示の実施の形態のように、無線交信用データ生成手段を備えている場合、予め付与された車両番号が格納されている車両番号格納部1221が用意されていればよく、無線交信用データまで格納した無線交信用データ格納手段を事前に用意する手間が省ける。
【0167】
また、上述した実施の形態では、データ生成用情報は、車両番号に対応して予め定められた無線交信のためのIPアドレス、ルーティングテーブル、認証情報(ユーザID、パスワード)などの無線交信用データを移動体識別符号に基づいて演算して生成するための演算式であるが、この演算式によって演算した無線交信用データと車両番号との対応表、或いは、車両番号とこれに対応して重複しないように演算式を用いずに予め作成した任意の無線交信用データとの対応表であってもよい。しかしながら、演算式を用いた場合には、移動体上装置が搭載される車両が追加されるようなシステム構成の変更があった場合でも、その車両番号とこれに対応する無線交信用データとを追加する対応表の変更を行う作業が不要であるので、システム運用の手数が省ける点で有利である。
【0168】
また、上述した実施の形態では、移動体は軌道上を走行する車両であるが、軌道車両以外のトラックやバスなどの業務用の車両などであってもよい。いずれにしても、地上装置11は、移動体に設置された移動体上装置と交信可能に設置されなければならない。
【0169】
また、上述した実施の形態では、情報蓄積部は第1と第2の情報蓄積部に分割されて形成されているが、両者が一体に形成されていてもよい。しかしながら、本実施の形態のように、診断結果からなる車両情報と、運行状態からなる車両情報とを蓄積する場合には、収集する車両情報が種類によって事前に分かれている方が利用上で便利である。
【0170】
また、上述した実施の形態では、通信プロトコルはインターネットプロトコルであるが、任意のプロトコルであってもよい。しかしながら、現状では、インターネットプロトコルが通信プロトコルとして最も広く使用され、プロトコル処理を行う無線通信部を汎用品によって形成するには、インターネットプロトコルを採用することが好ましい。
【0171】
また、上述した実施の形態では、車両番号格納手段は、前記情報蓄積部に着脱自在に取り付けられ、電気的に読み出し可能な数字や文字を設定できるサムホイールスイッチを有するが、車両番号格納手段は例えばフラッシュメモリ、ROM等のような不揮発性メモリであってもよい。しかしながら、サムホイールスイッチを採用した場合、車両番号をメモリに書き込むための書込器が不要であるので、車両番号をメモリに書き込むためにのみ使用する書込器を用意しなくてもよいので便利である。
【0172】
また、上述した実施の形態では、移動体上装置12或いは無線通信部121は、地上装置11と交信可能であるとき車両の運転キーがオフされる毎に自身に設定された無線交信用データを用いて地上装置との無線交信を行っているが、地上装置11の通信エリアに入ったことを電波強度によって検知して無線交信を開始するようにしてもよい。しかしながら、運転キーのオフによって無線交信を行うようにした場合、車両が運行を終了して停車したことを機会に無線交信を行わせることができるようになるので、無線交信によって車両情報を収集するタイミングとして好ましい。
【0173】
また、上述した実施の形態では、無線交信用データ付与手段は、地上装置11と交信可能であるとき車両の運転キーがオフされる毎に、無線交信を開始する前に、無線交信用データを付与する動作を行っているが、無線交信を開始する前であればいつでもよい。しかしながら、車両の運転キーがオフされる毎に、無線交信を開始するものにあっては、その直前に無線交信用データを付与することにより、無線交信に必要な無線交信用データを確実に設定することができる。
【0174】
さらに、上述した実施の形態では、交信用データ付与方法及び装置は、移動体情報収集システムに適用されているが、各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両にそれぞれ設置された車上装置が相互接続される車両編成ネットワークシステムに適用することができる。この場合、車上装置には、車上装置間で車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された交信用データを用いた交信によって車両編成LANを介して車上装置が相互接続される。
【0175】
図9は、本発明の交信用データ付与方法及び装置を適用した車両編成ネットワークシステムの一実施形態である鉄道車両編成ネットワークシステムの概略構成を示す図である。同図において、鉄道車両編成ネットワークシステム20は、各々が軌道上を走行する複数の車両A〜Eからなる車両編成2の各車両にそれぞれ設置され、車両編成LANを介して接続される車上装置22A〜22Eで構成されている。車上装置22A〜22Eの各々には、車上装置間で車両編成LANを介して予め定められたインターネットプロトコル(IP)のような通信プロトコルに従って、相互に識別して交信を行うための車両編成LAN用の静的IPアドレスを含む車両編成LAN交信用データが設定されている。車上装置22A〜22Eは、この設定された交信用データを用い車両編成LANを介した交信によって相互接続される。
【0176】
車両A〜Eにそれぞれ設置される車上装置22A〜22Eの各々は、各車両にそれぞれ設置された、ドア開閉器、監視カメラ、モータ、空調装置、ブレーキ装置、照明装置などからなる複数の端末装置221a〜221fと、これらが接続されるネットワーク制御装置223と有する。ネットワーク制御装置223は、車両の両端部をそれぞれ識別するために、各車両の両端部が1端部END#1と2端部END#2と予め命名された上で、これらの端部に連結される車両があるとき、その隣接車両に設置されている車上装置22A〜22Eのネットワーク制御装置223とLANケーブルLにてそれぞれ接続されるイーサネット(登録商標)インターフェース(以下LANポートと略記する。)E1及びE2が通信手段としてそれぞれ備えられている。ネットワーク制御装置223はまた、複数の端末装置221a〜221fがLANケーブル・ にてそれぞれ接続されるLANポートE15〜E20が通信手段としてそれぞれ備えられている。
【0177】
ネットワーク制御装置223は、LANポートE1及びE2にLANケーブルLによって隣接車両の車上装置のネットワーク制御装置が接続されるとともに、LANポートE15〜E20にLANケーブル・ によって自車両の複数の端末装置221a〜221fが接続されることにより、車両編成2の他の車両に設置されたネットワーク制御装置223と全車両に設置された複数の端末装置221a〜221fとともに、IPに従ってIPアドレスを用いて交信する車両編成LANシステムを構成している。車両編成LANを介して交信するため、全車両のネットワーク制御装置223と複数の端末装置221a〜221fには、車両編成LAN用のIPアドレスが設定されている。ネットワーク制御装置223は、自車両の複数の端末装置221a〜221fと他の車両のネットワーク制御装置223及び複数の端末装置221a〜221fと車両編成LANを介してIPに従って静的IPアドレスを用いて交信を行い、車両編成2の全車両に設置された端末装置221a〜221fの動作状態の監視とその動作を制御する制御指令の送出などを行う。
【0178】
複数の端末装置221a〜221fの各々においては、車両編成の運行中、その動作状態が監視されて記録され、監視状態が所定の条件で判定されてその異常、故障、保守点検の要などが診断され、その診断結果が時間とともに逐次記録される。各端末装置はそのための診断手段と記録手段を有し、記録手段に記録された情報は要求に応じて要求元に送信される。なお、異常、故障など緊急を要する診断結果については、当該端末装置が接続されているネットワーク制御装置223を介して当該情報を必要とするシステムの任意の箇所に送信される。例えば、運転開始から及び終了までの車両の運転状況、例えば、車両を駆動するモータの加速若しくは減速又はブレーキの使用状態などが時系列のデータとして順次記録されて蓄積される。なお、図には、各端末装置とも1つしか示していないが、ドア開閉器、監視カメラ、モータ、空調装置、ブレーキ装置、照明装置などは、1車両にそれぞれ多数設けられており、各々に車両編成LAN用のIPアドレスが設定されている。
【0179】
車両編成に各車両にそれぞれ設置された車上装置22A〜22Eの全ては同一の構成を有するので、その1つについて、その具体的な構成を図10を参照して説明する。
【0180】
図10においては、全ての車上装置22A〜22Eを代表して、車上装置を符号22で示している。車上装置22のネットワーク制御装置223と、これに接続された複数の端末装置221a〜221fとは、LANケーブルLを介して隣接車両のネットワーク制御装置223と接続されることにより車両編成LANを構成し、LANケーブル・ を介して接続されることにより車内LANを構成している。このため、ネットワーク制御装置223と複数の端末装置221a〜221fには、車両編成LAN用と車内LAN用の静的IPアドレスがそれぞれ設定されている。
【0181】
また、ネットワーク制御装置223は、レイアー2(L2)スイッチ31、制御部32、ルータ部33、ハブ34、車両識別番号設定部としての車両番号格納部35及びタッチパネルスイッチ付きモニタ23が接離自在に接続されるモニタ接続ポートとして使用される制御ポートC5を有し、L2スイッチ31のポートにタグを設定するタグVLAN技術を採用することによって、別途LANケーブルを配することなく、単一のLANケーブルによって、自車両の車両情報と1端部及び2端部に連結された車両の車両情報とを自隣接車両情報として収集する2つのLANと、この各車両で収集した自隣接車両情報を車両編成情報の自動生成のために全て収集する1つのLANとからなる3つの仮想LANを構成している。
【0182】
具体的には、L2スイッチ31は、タグA及びBが初期設定されたLANポートE1及びタグB及びCが初期設定されたLANポートE2の他に、タグB、A、B及びCがそれぞれ初期設定されたLANポートE3〜E6とRS232Cのようなシリアルインタフェース(以下制御ポートと略記する)C4とを有する。LANポートE1及びE2には、LANケーブルLを介して自車両の1端部END#1及び2端部END#2にそれぞれ連結される隣接車両の向きによってL2スイッチのLANポートE2又はE1がそれぞれ接続されるが、同一のタグが設定されたLANポートとの間でしか交信ができないので、隣接車両間で交信ができないときには、初期設定されているタグを変更する何らかのタグ変更処理が行われる必要があるが、これについては後述する。
【0183】
L2スイッチ31は、レイヤー2レベルのあて先情報であるMAC(マック)アドレスを基にLANポートE1〜E6に受信したデータをあて先がつながるポートE1〜E6へ転送(スイッチング)する。L2スイッチ31に入ってきたデータは、具体的には、(1)データの受信、(2)MACフレームの取り出し、(3)アドレス・テーブルの作成、(4)ポートの検索、(5)目的ポートへ送り出しの順に流れる。
【0184】
(1)のデータの受信では、L2スイッチ31はビットの「0」や「1」を電流の変化によって表されたデータを受け取ると、LANケーブルに流れてきた電流の波形から「0」や「1」を読み取る。(2)のMACフレームの取り出しでは、送信元が送信したいデータと、送信元のMACアドレス、相手先のMACアドレス、送信したいデータの種類などを一塊にして送られたMACフレームが取り出される。(3)のアドレス・テーブルの作成と(4)のポートの検索は、どちらも取り出したMACフレームの中に書かれてあるMACアドレスに関係した処理である。まず最初に取り出すのは送信元のMACアドレスであり、これを受信したポートの番号に対応付けてデータベース化することにより、どのポートにはどのMACアドレスが対応しているのかがわかるようになる。次に相手先のMACアドレスを取り出し、これを先ほど作ったデータベースに照らし合わせることにより、そのMACアドレスを持つ機器がどのポートに接続されているかがわかる。最後の(5)の目的ポートへ送り出しでは、(4)で分かったポートからMACフレームを送り出す。なお、L2スイッチとこれに接続された機器はデータを同時に送受信できる。
【0185】
要するに、L2スイッチ31は、LANケーブル経由で送られてきたデータ、つまり電気信号を受け取ると、データをモニタしてMACフレームを取り出す。その後、MACフレーム内のFCS(フレーム・チェック・シーケンス)を使ってフレーム内のデータにビット誤りがないかをチェックし、ビット誤りがなければ,バッファに取り込む。MACフレームを取り込むと同時に、送信元MACアドレスとあて先MACアドレスを読み出す。入力ポートと送信元MACアドレスの対応表(アドレス・テーブル)に情報がなければ、新たに追加するアドレス・ラーニングを行う。
【0186】
制御部32は、図示しないが、中央処理ユニット(CPU)、プログラム及びプログラムの実行に当たって使用する固定データを格納する不揮発性メモリであるフラッシュROM、プログラムの実行に当たって使用する作業用のメモリであるSDRAMなどで構成されたマイクロコンピュータ(MC)を有するとともに、LANポートE6〜E10と制御ポートC2、C3及びC5とを有する。制御部32のLANポートE7〜E9にはLANケーブルを介してL2スイッチ31のLANポートE4〜E6が、制御ポートC3にはL2スイッチ31の制御ポートC4がそれぞれコネクタ接続されている。制御ポートC5にはモニタ接続コネクタ36が接続され、このコネクタを介してタッチパネルスイッチ付きモニタ23が制御部32に接続可能になっている。
【0187】
ルータ部33は、車両編成LAN用と車内LAN用のIPアドレスのアドレス変換を行う、ネットワーク アドレス トランスレーション(NAT)テーブルを有するほか、LANポートE11及びE12と制御ポートC1とを有し、LANポートE11にはLANケーブルを介してL2スイッチ31のLANポートE3が、制御ポートC1には制御部32の制御ポートC2がそれぞれコネクタ接続されている。
【0188】
ハブ34は、LANポートE13〜E20を有し、LANポートE13にはLANケーブルを介してルータ部33のLANポートE12が、LANポートE14にはLANケーブルを介して制御部32のLANポートE10が、そしてLANポートE15〜E20にはLANケーブルを介して複数の端末装置221a〜221fがそれぞれコネクタ接続されている。
【0189】
車両番号格納部35は、車上装置22Aが設置された車両を識別可能に予め付与された移動体識別符号である車両番号を予め格納し、制御部32に接続されているが、機械的に着脱自在でしかも格納した車両番号を電気的に読み取り可能な機械的なサムホイールスイッチ若しくはディップスイッチまたは不揮発性の半導体メモリなどから構成される。しかも、車両番号格納部35は、ネットワーク制御装置223から取り外した状態でも、例えば鎖などで対応する車両に固定されているので、行方不明になることも、他の車両のものと取り違えられることもないようになっている。この車両番号は、各車両で重複することの無い車両を識別するものであり、車両を移動体として把握したときには、移動体識別符号として把握される。したがって、車両番号格納部は、移動体識別符号格納部に相当する。この車両番号は、例えば運転席に設けられた運転キーのオンに応じて車上装置の電源がオンされたとき、制御部32が自身及び複数の端末装置221a〜221fに付与される車両編成LAN用の静的IPアドレスを所定のルールに従って生成するために利用される。
【0190】
タッチパネルスイッチ付きモニタ23は、運転席の設けられる車両編成の両端の車両のネットワーク制御装置のモニタ接続ポートC5を介して制御部32に常時接続されるが、その他の車両では、必要とされるときに、車掌や保守点検者が所持する携帯のモニタがモニタ接続ポートC5を介して制御部32に接続される。モニタ接続ポートC5を介して制御部32にモニタ23が接続されることによって、モニタ23の画面には、制御部32によって生成された車両編成の編成情報や各車両の端末装置情報などが表示される。モニタ32の画面は、監視結果や検査結果を表示するモニタ画面としての他、車両編成2の全車両に設置された複数の端末装置221a〜221fの監視、制御などを行う際のタッチ操作パネルとして使用される。図11はモニタ23の画面に表示される表示例を示す。例えば、モニタ23の画面に表示された車両編成の1台の車両にタッチすることによって、モニタ23の画面に表示される画面が、その車両に設置されている複数の端末装置の選択画面に切り替えられる。車両編成情報は、ユーザインタフェイスを良くするために、ネットワーク制御装置223のモニタ接続ポートC5に接離自在に接続されたモニタ23上に、編成車両全体の車両情報を把握することができるように表示するためなどに利用される。そして、端末装置に異常、故障保守点検の要などがあるときは、モニタ23上に表示された該当する端末装置の色を変えるなどとすることで、各車両に搭載した端末装置の管理を含め、車両の管理が容易になる。
【0191】
上述した構成により、L2スイッチ31は、制御部32からのデータ、或いは、車内LANを介して端末装置221a〜221fから受け取ったデータをパケットとしてLANポートE1及びE2を通じて電気信号として発信する。また、電気信号を受信してパケットからデータを取り出し、宛先のIPアドレスに応じて制御部32、或いは、ルータ部33を介して端末装置221a〜221fへ車内LANを通じて送信する。ルータ部33は、端末装置221a〜221fに予め付与される既定の固定値からなる車内LAN用の静的IPアドレスと車両編成LAN用の静的IPアドレスとの間のアドレス変換を行うためのNATテーブルを有し、このNATテーブルに基づいてIPアドレスの書き換えを行う。このルータ部33に設定されるNATテーブルは、上述したようにポート番号を使って作られる。
【0192】
なお、車内LANのみで使用される車内LAN用の静的IPアドレスは車両の外に出ることがないので、全ての車両に搭載される車上装置には、同一の車内LAN用の静的IPアドレスが付与されている。しかしながら、車両編成LAN用の静的IPアドレスは、他の車両の車上装置でも受信されるので、全ての車両に設置された車上装置には、重複しない車両編成LAN用の静的IPアドレスが付与されなければならない。この車両編成LAN用のIPアドレス交信に必要なデータを交信用データと言う。
【0193】
制御部32のCPUは、複数の端末装置221a〜221fにおける診断の結果、異常や故障があるとき、複数の端末装置221a〜221fから車内LANを介して送信されてくる異常及び故障情報を逐次記録する記録手段としてフラッシュROMを有し、異常及び故障情報は全ての車両のネットワーク制御装置の制御部32に車両編成LANを介して送信される。したがって、制御部32に接続されているモニタ23の画面には異常及び故障情報を反映した表示が行われる。
【0194】
また、制御部32のCPUは、ルータ部33に設定するルーティングのためのNATテーブルを作成するために必要な車両編成LAN用の静的IPアドレスを生成するアドレス生成手段を有する。このために、制御部32のCPUは、車上装置の電源がオンされたとき、車両番号格納部35から入力した車両番号に基づいて、車上装置の複数の端末装置221a〜221f及びネットワーク制御装置223(制御部32)に付与される車両編成LAN用の静的IPアドレス所定のルールに従って生成して付与する。
【0195】
そして、制御部32のCPUは、生成された車両編成LAN用の静的IPアドレスと、車上装置の複数の端末装置221a〜221f及びネットワーク制御装置223(制御部32)に予めそれぞれ付与されている車内LAN用の静的IPアドレスの固定値と、に基づいてNATテーブルを生成する。この生成されたNATテーブルは、ルータ部33に送信されて、ルータ部33において複数の端末装置221a〜221fとネットワーク制御装置223(制御部32)との間の交信を行うための設定に供される。
【0196】
また、制御部32のCPUは、車両編成LANを介して車上装置12間で交信を行うためのコンフィグ設定を行い、その設定に当たって車両編成LAN用の静的IPアドレスの生成及び付与処理並びにNATテーブルの生成処理を行う。制御部32のフラッシュROMには、これらの処理を行うためのプログラムの他に、処理において使用される各種の固定値やアドレス情報が格納されているとともに、生成された車両編成LAN用の静的IPアドレス及びNATテーブルが自車両情報として格納される。具体的には、固定値としては、車内LAN用の静的IPアドレスとそのサブネットマスク及び車両編成LAN用のサブネットマスクとに予め割り当てられた固定値や、ルーティングなどのために使用される予め定められたその他の固定値が格納されている。
【0197】
本例では、車内LAN用の静的IPアドレスとして、制御部32に192.168.0.1、複数の端末装置221a〜221fに192.168.0.11〜192.168.0.16、そのサブネットマスクに24ビット、車両編成LAN用の静的IPアドレスとして、制御部32に172.17.41.1、複数の端末装置221a〜221fに172.17.41.11〜172.17.41.16、そのサブネットマスクに16ビットの固定値がそれぞれ割り当てられている。
【0198】
アドレス情報としては、車上装置12が設置される全ての車両に識別可能に予め付与される車両番号と予め定められたルールによって車両番号の各々に対応して定められた車両編成LAN用の静的IPアドレスとの関係を表す演算式、或いは、演算式によって演算して得られた車両番号−IPアドレス対応テーブルが格納されている。
【0199】
各車両に設置される車上装置において車両番号に対応して使用されるIPアドレスは、他の車両の車上装置においても既知であるので、他の車両の車上装置へ送られるデータの送信元アドレスから、当該IPアドレスを有する車両の車両番号を特定することができる。すなわち、車上装置において、車両番号からIPアドレスをマッピングするデータ生成用情報を共有することで、IPアドレス又は車両番号の一方が既知となることで、対応する他方を確実に推定することができる。
【0200】
なお、上述したように生成された車両編成LAN用の静的IPアドレスは、固定値からなる車内LAN用の静的IPアドレスと組み合わされてNATテーブルの生成に使用される。車両番号5601〜5603の車両に設置された車上装置では、図12に示すような車両編成用LANの静的IPアドレスとNATテーブルが制御部32により生成され、生成されたNATテーブルについてはルータ部33に送られてルータ部33内のRAMに格納される。
【0201】
図12の例では、aaaを172、bbbを17、dddを車内LANのIPアドレスのdddと同一値に固定し、(車両番号÷256)の余りが214未満のとき[(車両番号÷256)+41]、車両番号÷256の余りが214以上のとき[255−(車両番号÷256)]を演算してcccを求めることによって、車両番号5601〜5857の256台の車両に対し、cccが41〜256、0〜40となるIPアドレスを生成している。この代わりに、単純に、「車両番号」−「車両番号のスタート番号」をcccの数値とし、256台の車両に異なるIPアドレスを付与することもできる。いずれの場合にも、256台以上の車両にIPアドレスを付与したいときには、cccについて0〜255の数値が使用される毎にbbbの数値をインクリメントするようにすれば、256台を越える車両に重複しないIPアドレスを生成して付与することができる。
【0202】
制御部32のCPUは、上述した車両編成LAN用の静的IPアドレスやNATテーブルを含む交信用データの生成及び付与処理の他に、タグVLAN設定処理、隣接車両情報取得処理、車両編成情報取得処理、複数の端末装置221a〜221fの監視、制御処理などを行い、これらの処理を行うためのプログラムがフラッシュROMに格納されている。
【0203】
VLAN設定処理では、制御部32のCPUは、まず、L2スイッチでブロードキャスト・ドメインの範囲を自在に操るタグA〜Cを以下のように初期設定する。すなわち、複数のL2スイッチをまたがった3つのVLAN(virtual LAN:仮想LAN)を構築する。1つは各車両の1端部END#1に連結された隣接車両の車上装置12との間でのみ交信を行うタグAを設定したVLANであり、他の1つは各車両の2端部END#2に連結された隣接車両の車上装置12との間でのみ交信を行うタグCを設定したVLANであり、さらに他の1つは車両編成の任意の車両の車上装置12との間で交信を行うタグBを設定したVLANである。
【0204】
このことによって、物理的にはすべての機器がL2スイッチで構成する一つのLANにつながっていながら、論理的には別々に切り離されたLANを実現でき、LANケーブルの省線化が図られている。タグVLANは、LANで使うフレーム(MACフレーム)にタグ情報を挿入して、フレーム単位でVLANを区別する。機器やL2スイッチがこのタグを見て、フレームがどのVLANから出されたものかを識別し、該当するVLANにだけそのフレームが届くようにする。
【0205】
タグ情報は、通常のMACフレームのヘッダー部分に4バイトのタグ情報を挿入される。4バイトのうち、前半の2バイトでフレームのタイプを表す。ここには、「8100」(16進数)という値が入る。後半の2バイトがタグの制御情報を表わし、ここの12ビット分が、VLANを識別するための情報になる。このフィールドに情報が記述されていたら、その情報からそのパケットが記述された情報に対応するVLANから出されたフレームであることが分かる。
【0206】
隣接車両情報取得処理では、制御部32のCPUは、タグA及びタグCを設定したVLANを介して1端部END#1と2端部END#2とに連結された隣接車両の車上装置12の制御部32との間で交信を行って、各制御部32のフラッシュROMに格納されている自車両情報を隣接車両情報として取得し、この取得した隣接車両情報と、自身が有する自車両情報とを自隣接車両情報としてフラッシュROMに格納する。
【0207】
このとき、車両編成の車両が1台おきに逆向きに連結されていると、同じタグ初期値のLANポートがLANケーブルにより接続されるので、データ交換範囲を示すタグ設定値を上述した初期値から変更しなくても、互いの交信が可能となる。しかしながら、車両編成の全車両が同一方向を向いて連結されたり、上述したように1台おきに逆向きに連結されなかったりした場合には、互いの交信が不能となる。したがって、制御部32のCPUは、隣接車両情報取得処理に先だって、VLANの設定値が初期設定のままで隣接車両と交信できたか否かを先ず判別し、交信できない場合は、LANケーブルによって接続されるLANポートのタグが同じになるようにVLANの初期設定値を変えて交信を試み隣接車両と交信を成立させる。その際に、設定値を変更した場合は、変更履歴がフラッシュROMに格納された自車両情報の一部として残される。同一車両内で両端の通信手段の設定値が同一になると1端側と2端側の区別ができなくなるので、再設定は、A及びC設定を、隣接車両の設定を見ながら行うことになる。つまり、端の車両から、A−C,C−A,A−C・・・のように設定が行われれば良い。この再設定又は再付与は、予め決めた方法により編成車両の一つの車両を主車両(マスター)とし、その他の車両を従車両(スレーブ)として、従車両の設定を主車両に合わせるようにしてもよい。
【0208】
車両編成情車両報取得処理では、制御部32のCPUは、送信元に自身の車両編成LAN用の静的IPアドレスを付加し、タグBを設定したVLANを介して車両編成の全ての車両の車上装置12の制御部32に対し、自身がフラッシュROMに格納して保持している自隣接車両情報の送信を要求する送信要求コマンドをブロードキャストにて送信する。制御部32のCPUは、この送信要求に応じ、自身の車両編成LAN用の静的IPアドレスを送信先アドレスとして全ての車両から送信されてきた自隣接車両情報を受信して取得し、この取得した全車両の自隣接車両情報を車両編成車両情報として自身のフラッシュROMに格納する。この格納された車両編成車両情報は、車両編成情報を生成するために供せられる。取得されて格納された車両編成車両情報のなかの自隣接車両情報からは、自身と隣接車両の設定値が初期設定からの変更の様子が分かるので、生成された車両編成情報では、車両編成の各車両の連結の向きを知ることができる。
【0209】
以上により、ネットワーク制御装置223(制御部32)と複数の端末装置221a〜221fは、ネットワーク制御装置223が有するハブ34に複数の端末装置221a〜221fがコネクタ接続されることにより、IPに従ってIPアドレスを用いて交信する車内LANを構成している。車内LANを介して交信するため、全車両のネットワーク制御装置223(制御部32)と複数の端末装置221a〜221fには、それぞれに付与された車内LANのための固定値からなる静的IPアドレスが予め設定されている。なお、車内LAN用の静的IPアドレスは車両内の車内LANのみで使用され車両の外に出ることがないので、全ての車両に搭載される車上装置(ネットワーク制御装置223(制御部32)と複数の端末装置221a〜221f)には、同一の車内LAN用の静的IPアドレスが付与されている。同一のものに同一の車内LAN用の静的IPアドレスを付与することによって、故障によって装置を交換する際に行う車内LAN用の静的IPアドレスの付与に悩まされることがない。
【0210】
また、ネットワーク制御装置223(制御部32)と複数の端末装置221a〜221fは、制御部32がL2スイッチ31及びLANケーブルLを介し、複数の端末装置221a〜221fがLANケーブル・ 、ハブ34、ルータ部33及びL2スイッチ31を介して隣接車両のネットワーク制御装置223のL2スイッチにそれぞれ接続されることにより、IPに従ってIPアドレスを用いて交信する3つの車両編成タグVLANを構成している。その1つは、車両編成の全ての車両のネットワーク制御装置223(制御部32)と複数の端末装置221a〜221fとによって構成され、他の2つは1端部と2端部にそれぞれ隣接する車両のネットワーク制御装置223(制御部32)との間でのみそれぞれ構成される。これらの車両編成LANを介して交信するため、全車両のネットワーク制御装置223(制御部32)と複数の端末装置221a〜221fには、それぞれに付与された車両編成LANのための静的IPアドレスが設定されるとともに、ルータ部33には、車内LAN用の静的IPアドレスと車両編成LAN用の静的IPアドレスとの間のアドレス変換を行ってルーティングを行うNATテーブルが設定されている。なお、車両編成LAN用の静的IPアドレスは、他の車両の車上装置(ネットワーク制御装置223(制御部32)と複数の端末装置221a〜221f)でも受信されるので、全ての車両に設置された車上装置(ネットワーク制御装置223(制御部32)と複数の端末装置221a〜221f)には、重複しない車両編成LAN用の静的IPアドレスが付与されなければならない。これらの、車両編成LAN用のIPアドレス、NATテーブルなどの、車両編成LANでの交信に必要なデータを交信用データと言う。
【0211】
制御部32はまた、自身及びルータ部33に設定するNATテーブルを作成するために必要な車両編成LAN用の静的IPアドレスを生成するアドレス生成手段として機能する。このために、制御部32は、車上装置12Aが設置された車両を識別可能に予め付与された移動体識別符号である車両番号を予め格納した車両識別符号格納部となる車両番号格納部35を備える。制御部32は、車上装置の電源がオンされたとき、車両番号格納部35から入力した車両番号に基づいて、車上装置12Aのネットワーク制御装置223(制御部32)と複数の端末装置221a〜221fに付与される車両編成LAN用の静的IPアドレスを所定のルールに従って生成して付与する。
【0212】
次に、図10に示す車両編成ネットワークシステムのネットワーク制御装置223の動作を、図13のフローチャートを使って説明する。電源投入あるいは動作開始指令により動作を開始すると、IPアドレスの生成と生成したIPアドレスの付与を行なう。以下、図14中のステップ41〜ステップ46に示す、IPアドレス、NATテーブルの生成と付与について詳細に説明する。
【0213】
IPアドレスは、交信範囲の中で互いにアドレスが重複しないように付与されることが必要になる。図10においては、CPUに各車両で重複しない車両番号がスイッチやメモリなどに記録された車両番号格納部35が接続されている。また、図10において制御部32にも車両番号格納部35が接続されている。図10の制御部32のCPUは車両番号格納部35から車両番号を入手して、これからIPアドレスを生成する。ここで生成されるIPアドレスは、各車両固有のものであり、生成後には変化することが無い静的IPアドレスである。
【0214】
車両番号と生成される静的IPアドレスとは一対一に対応しており、その関係を予め表として生成して用意しても良いし、所定のアルゴリズムでその都度生成しても良い。IPアドレス生成の方法として予め車両番号とプライベートIPアドレスの対応表を用意しておき、これをメモリに置いておくことで、車両番号を入手した制御部32は対応表を参照することで、当該車両番号に対応したIPアドレスを簡便に生成することができる。
【0215】
例えば、車両番号からクラスBの重複しないプライベート静的IPアドレスとして生成する場合について説明する。32ビットのIPアドレスを8ビットずつに区切って10進数表示して、aaa、bbb、ccc、dddと表し、aaaには172の固定値、bbbには017の固定値をそれぞれ割り当て、ccc及びdddについては、車両番号に基づいて生成する。
【0216】
車両番号は、例えば、モ1234のように、車両の性格を示す文字と数字で表される場合があるが、文字は、例えば、ASCIIコードのような一定の規則により適当な数字に置き換えて処理を行なうことで、各車両は重複することのない数値を車両番号格納部から得た情報により得ることができる。図12には、車両番号5601〜5603を付された車両が記載されている。
【0217】
制御部32が読み込んだ車両番号とメモリ上の車両番号の両者を比較して一致していれば、すでに車両番号とIPアドレスの対応テーブルができてルータに設定されているので、各端末装置(ED)がルータ部33を使ってそのIPアドレスが変換されて車両編成LANに接続される(ステップ57)。
【0218】
また、読み込んだ両者の値を比較して不一致の場合は、新たに車両番号格納部35から読み込んだ車両番号とIPアドレス対応テーブルから、車両のIPアドレスを生成するとともに端末装置の車両編成LANと装置の車内LANのアドレスの対応表(NATテーブル)を作成する(ステップ54)。そして、生成したNATテーブルをルータ部33に設定する(ステップ55)。
【0219】
また、車両番号格納部35より読み込んだ車両番号の値をメモリへ記憶する(ステップ56)。その後、外部に通用するアドレスと車両内のみで使えるアドレスの対応表を有する部分であるルータ部33に読み込んだNATテーブルに基づいて、各端末装置のIPアドレスの変換をして、車両編成LANへ接続する(ステップ57)。
上記の様にして生成したIPアドレス及びNATテーブルをネットワーク制御装置は自分自身、ルータ部などに必要に応じて付与する(ステップ41)。
【0220】
ここで、図12を使ってIPアドレスの具体的な生成について説明する。制御部32のCPUが読み込んだ値から、車両番号5600を引かれることで、1〜3の数字を得る。ネットワークアドレスとして、cccについては、40に前記の値を加算したものを使い、dddとして1を使うことに決めておくと、図12に示すように、上記のようにして生成したIPアドレスの付与状況の一例が、車両番号5601のIPアドレス172.17.41.1、車両番号5602のIPアドレス172.17.42.1、車両番号5603のIPアドレス172.17.43.1となる。
【0221】
次に、各車両に搭載されている端末装置のIPアドレスの付与について説明する。ここでは、装置に付与するIPアドレスはクラスCとすると、IPアドレスの上位16ビットが、192.168となり下位16ビットを各車両に搭載した装置へ付与することになる。
【0222】
例えば、IPアドレスの下位ビットを11からはじめるとすれば、図12に示すように、端末装置221a(ED1)には、IPアドレス192.168.0.11から始まり、順次下位ビットの数字を変えて付与する。ここで、各車両において、各装置のIPアドレスは全て共通となっているので、装置の交換などがあっても、IPアドレスの再付与が不要になるので管理が容易になる。
【0223】
装置に付与されたIPアドレスは各装置に共通なので、そのIPアドレスのまま車両の各端末装置の情報を外へ出すことはできない。そこで、各車両の車両ネットワーク制御装置に付与された編成LAN用のIPアドレスを使って、車両編成全体を覆う車両編成LANで通用するIPアドレスへ変換する必要がある。
【0224】
一つの方法として、IPアドレスの上位3オクテットに、装置に付与されたIPアドレスの下位1オクテットをつなげて、4オクテットのIPアドレスとする。この対応の様子が、図12に示されている。
【0225】
以上の説明で、車両編成LANに接続された全ての機器にIPアドレスが付与されることになる。次に、ネットワーク制御装置は、上述したように隣接車両との交信をして、車両情報の取得を行う(ステップ42)。
【0226】
さらに、VLAN−Bの設定を制御部32とL2スイッチに対して行い、車両編成全体での情報交換が可能な環境を作り、他車両と交信して他車両の情報を取得する(ステップ43)。次に、得られた車両情報を整理することで、車両編成情報を生成する(ステップ44)。
【0227】
自車両については、図10のE10とE14のポートを使い、ハブに接続された端末装置からの情報収集をして、情報収集蓄積部に収集して自車両情報として蓄積する。また、各端末に必要な制御情報を送り、所定の動作を行わせる。所定の動作には、ドアの開閉、照明のオン・オフ、モータの制御、エアコン温度設定など多様な内容が含まれる(ステップ45)。ここで、全ての車両の端末装置IPアドレスが共通になっているので、ネットワーク制御装置の監視、制御プログラムを共通化することができる。
【0228】
ネットワーク制御装置には、表示と制御情報の人間による入力を受け付けるモニタ23を接続する接続部としてのコネクタ36が設けられており、ここへ、モニタ23が接続されると、それを感知して(ステップ46)、コネクタ36へ所定の情報を送ってモニタ23の画面に図11に示したような表示を行う(ステップ47)。
【0229】
モニタ23の使い方として、例えば車掌の居る最後部車両へ車両識別番号5601の監視カメラ(ED2)からのデータを送る場合は、送信元のIPアドレス192.168.0.12が、ルータによって172.17.41.12に変換されて最後部車両の車掌の所へ届くことになる。また、逆に車掌から当該監視カメラの操作指令は、送信先のIPアドレス172.17.41.12として、送信されて、ネットワークアドレス172.17.41.1を有するルータで受信されて、そのIPアドレスを192.168.0.12に変換されて、監視カメラに届くことになる。
【0230】
ネットワーク制御装置は、車両間の接続の遮断などにより車両の編成の変更の通知を受けると処理の最初へ戻る(ステップ48)ので、故障により、車両編成が分断されても、分断後のそれぞれが新しい車両編成を構成することができる。LANポートにはリンクパルスの送信手段が備えられており、LANが物理的に接続されているのか否かを判定することができる。物理リンクの状況が変わる(物理リンクが有る→無くなる、若しくは、物理リンクが無い→有る)または、連結時に加圧されるデジタルインプット情報を別途持つことにより、車両が連結されたまたは開放されたことを認識すると、車両が連結された、または解放されたと判断し、システムを初期化ルーチン(ステップ41)に戻り、編成情報の収集をやり直す。特に、車両編成の変更が無い通常の場合は電源のオン・オフを検知して電源が入っていれば、ステップ45の処理へ戻る(ステップ49)。
【0231】
以上説明したように、各車両のネットワーク制御装置は、隣接車両と情報を交換するとともに、列車を構成する車両情報を得ることができる。車両情報としては、各車両に搭載されている端末装置の情報の他に各車両の車両識別符号、車両の向き、各車両に搭載されている装置のIPアドレスなどがある。
【0232】
本発明においては、任意の車両において、モニタ23を車両編成ネットワークシステムのネットワーク制御装置223に接続することで、全車両の全ての装置の情報を得ることができ、同時に、それらに対しての制御を行なうことができる。
【0233】
また、スイッチ間を接続してネットワークを構成しているので障害に強く、IPレベルのVLANを使って論理的に分割しているので、ネットワーク構成の自由度が大きく車両ネットワークの管理が容易になる。
【0234】
上述した例では、タグVLANの採用によって、LANポートE1及びE2を介して、車両編成全体での情報交換ができるようにして配線の省略が可能となっているが、図10に点線で示すように、LANポートEx及びEyをL2スイッチに設け、ポートVLAN構成とすることもできる。しかし、タグVLANを採用した場合には、LANポートEx,Eyを、これらの間の配線とLANポートE1,E2間の配線を重複させて2重系として耐故障性を高めても良い。
【0235】
また、車両編成ネットワークシステムでは、通常、端末装置の一斉動作指令をするよういなっているが、これをブロードキャストにて行うと、ルータ部33においてネットワークアドレスの不一致によって作動指令が端末装置に到達しなくなる。そこで、ルータ部33にデフォルトゲートウエー(DGW)192.168.0.1を設定しておき、データ部に乗せてブロードキャストによって送出した特定の端末装置に対する指令情報を全ての端末装置に到達させ、特定の端末装置の一斉作動を行えるようにしている。
【0236】
なお、図10の実施形態では、L2スイッチを使用して3つのVLANを構成しているが、Lスイッチを使用しないで構成することも可能である。
【0237】
上述した実施の形態では、車上装置22のネットワーク制御装置223と、これに接続された複数の端末装置221a〜221fとに、車両編成LAN用の静的IPアドレスがそれぞれ設定され、しかもネットワーク制御装置223と、複数の端末装置221a〜221fとが車内LANを介して接続されるように、ネットワーク制御装置223には、L2スイッチ31、制御部32、ルータ部33、ハブ34、車両番号格納部35が設けられ、制御部32に車両編成LAN用の静的IPアドレスやルータ部33内のNATテーブルを含む交信用データを生成して付与する手段が設けられているが、車上装置22として1つの車両編成LAN用の静的IPアドレスを付与するようにしてもよい。この場合、交信用データを付与する手段は車上装置22のIPアドレスを生成して付与すればよく、NATテーブルを生成して付与しなくてよい。しかしながら、実施形態のように、ネットワーク制御装置223と、複数の端末装置221a〜221fと車両編成LAN用の静的IPアドレスをそれぞれ付与し、これらを車内LANを介して接続することにより、安価に入手可能な既製品を使用することができるようになり、車上装置22を安価に構築することができるので有利である。
【0238】
また、上述した実施の形態では、システムが、車上装置22が設置されている車両番号格納部35に格納されている車両番号と、車両番号に対応して予め定められた交信用データを表す予め用意した例えばテーブル類か演算式などのデータ生成用情報と、に基づいて交信用データを生成する交信用データ生成手段とを備え、交信用データ付与手段による交信用データの付与が交信用データ生成手段により生成された交信用データに基づいて行うことができ、交信用データを手入力にて付与する必要がない。
【0239】
しかしながら、システムが、車上装置22が設置される車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両番号に対応して予め定められた交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、交信用データが設定されるべき車上装置22が設置されている車両の車両番号と、に基づいて生成された、当該車上装置22に設定すべき交信用データが格納されている例えばフラッシュメモリ、ROM等のような不揮発性メモリを有する着脱自在の交信用データ格納手段を備えるようにしてもよい。
【0240】
この場合、交信用データ格納手段への交信用データの格納は、例えば、予めデータ生成用情報を有するパソコンに、そのキー操作によって車両番号を入力することにより、この入力した車両番号とデータ生成用情報とに基づいて車両番号に対応する交信用データを生成させ、この生成された交信用データを着脱自在の交信用データ格納手段に書き込むことによって行うことができる。交信用データが書き込まれた交信用データ格納手段は、そのパッケージに、格納されている交信用データに対応する車両番号を印刷したラベルを貼り付けておくことにより、ラベルに印刷されている車両番号の車両に設置される車上装置に誤り無く着脱自在に取り付けられる。そして、交信用データ格納手段に格納されている交信用データを読み出すことで、交信用データ付与手段により車上装置或いはネットワーク制御装置223と複数の端末装置221a〜221fへの交信用データの付与を行うことができ、交信用データを手入力にて付与しなくてもよくなる。
【0241】
しかしながら、図示の実施の形態のように、交信用データ生成手段を備えている場合、予め付与された車両番号が格納されている車両番号格納部35が用意されていればよく、交信用データまで格納した交信用データ格納手段を事前に用意する手間が省ける。
【0242】
また、上述した実施の形態でも、図1〜図8の実施形態と同様の変形や変更を行うことができる。
【0243】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0244】
10 移動体情報収集システム
11 地上装置
112 RADIUSサーバ部
113 収集サーバ部
12A〜12D 車上装置(移動体上装置)
121 車上装置の無線通信部
122 第1の車両情報蓄積部(移動体情報蓄積手段)
1221 車両番号格納部(移動体識別符号格納部)
12201 CPU(通信アドレス生成付与手段、ルーティングテーブル生成付与手段、認証情報生成付与手段)
123 第2の車両情報蓄積部(移動体情報蓄積手段)
2 車両編成
20 車両編成ネットワークシステム
22A〜22E 車上装置
221a〜221f 端末装置
223 ネットワーク制御装置
32 制御部(交信用データ付与手段、交信用データ格納手段、交信用データ生成手段)
35 車両番号格納部(車両識別符号格納部)
50 線路(軌道)
51 複数車両からなる列車
52 無線LANのサービスエリア
53 建屋
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体上に設置され、LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って交信を行うネットワークシステムの少なくとも一部分を構成する移動体上装置に、前記交信の際に当該移動体上装置を識別するための交信用データを付与する交信用データ付与方法であって、
前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて当該移動体上装置に設定すべき前記交信用データを生成し、
該生成された前記交信用データを当該移動体上装置に設定すべき前記交信用データとして当該移動体上装置に付与する
ことを特徴とする交信用データ付与方法。
【請求項2】
移動体上に設置され、LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って交信を行うネットワークシステムの少なくとも一部分を構成する移動体上装置に、前記交信の際に当該移動体上装置を識別するための交信用データを付与する交信用データ付与装置であって、
前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された当該移動体上装置に設定すべき前記交信用データを、当該移動体上装置に付与する交信用データ付与手段を備える
ことを特徴とする交信用データ付与装置。
【請求項3】
請求項2記載の交信用データ付与装置において、
前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された、当該装置に設定すべき前記交信用データが格納されている交信用データ格納手段をさらに備え、
前記交信用データ付与手段は、前記交信用データの付与を前記交信用データ格納手段に格納されている前記交信用データを読み出して行う
ことを特徴とする交信用データ付与装置。
【請求項4】
請求項2記載の交信用データ付与装置において、
前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号が格納されている移動体識別符号格納手段と、
該移動体識別符号格納手段に格納されている前記移動体識別符号と、前記移動体識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、に基づいて前記交信用データを生成する交信用データ生成手段とをさらに備え、
前記交信用データ付与手段は、前記交信用データの付与を前記交信用データ生成手段により生成された前記交信用データに基づいて行う
ことを特徴とする交信用データ付与装置。
【請求項5】
請求項4記載の交信用データ付与装置において、
前記データ生成用情報は、移動体識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを当該移動体識別符号に基づいて演算して生成するための演算式である
ことを特徴とする交信用データ付与装置。
【請求項6】
請求項2記載の交信用データ付与装置において、
前記通信プロトコルがインターネットプロトコルであり、前記交信用データはインターネットプロトコルアドレスを含む
ことを特徴とする交信用データ付与装置。
【請求項7】
請求項2記載の交信用データ付与装置において、
前記移動体識別符号格納手段は、電気的に読み出し可能な数字や文字を設定できるスイッチを有する
ことを特徴とする交信用データ付与装置。
【請求項8】
地上に設置された地上装置と、各々が移動体上に設置されて、当該移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有する複数の移動体上装置とを具備し、前記移動体上装置には、前記地上装置と前記移動体上装置との間で無線LANを介して予め定められた無線通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と前記移動体上装置が相互接続されて、前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムであって、
前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記無線交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された当該移動体上装置に設定すべき前記無線交信用データを、当該移動体上装置に付与する無線交信用データ付与手段を備えることを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項9】
地上に設置された地上装置と、各々が移動体上に設置された複数の移動体上装置とを具備し、前記移動体上装置の各々が、当該移動体上装置が設置される移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有する情報蓄積部と、有線LANを介して予め定めた有線通信プロトコルに従って相互に有線交信を行って前記情報蓄積部と相互接続されるとともに、無線LANを介して予め定めた無線通信プロトコルに従って前記地上装置と無線交信を行う無線通信部とを備え、前記移動体上装置の前記無線通信部には、前記地上装置と前記移動体上装置の前記無線通信部及び前記情報蓄積部との間で無線LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と前記移動体上装置が相互接続されて、前記情報蓄積部の前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムであって、
前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記無線交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された、当該移動体上装置の前記無線通信部に設定すべき前記無線交信用データを、当該移動体上装置の前記無線通信部に付与する無線交信用データ付与手段を備える
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項10】
請求項8又は9記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記無線交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された、当該移動体上装置に設定すべき前記無線交信用データが格納されている無線交信用データ格納手段をさらに備え、
前記無線交信用データ付与手段は、前記無線交信用データの付与を前記無線交信用データ格納手段に格納されている前記無線交信用データを読み出して行う
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項11】
請求項8又は9記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号が格納されている移動体識別符号格納手段と、
該移動体識別符号格納手段に格納されている前記移動体識別符号と、前記移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、に基づいて前記無線交信用データを生成する無線交信用データ生成手段とをさらに備え、
前記無線交信用データ付与手段は、前記無線交信用データの付与を前記無線交信用データ生成手段により生成された前記無線交信用データに基づいて行う
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項12】
請求項11記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記データ生成用情報は、移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信のための無線交信用データを当該移動体識別符号に基づいて演算して生成するための演算式である
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項13】
請求項8又は9記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記移動体が、軌道上を走行する車両であり、前記地上装置は前記車両に設置された前記移動体上装置と交信可能に設置される
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項14】
請求項8記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記無線交信用データは、前記移動体上装置に設定すべき無線LAN用の静的通信アドレスを含む
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項15】
請求項9記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記無線交信用データは、前記無線通信部の無線LAN用の静的通信アドレスと、前記情報蓄積部の無線LAN用の静的通信アドレス及び有線LAN用の静的通信アドレスからなるルーティングテーブルとを含む
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項16】
請求項14又は15記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記無線交信用データは、接続要求した前記移動体上装置の接続を前記地上装置が許可するのに必要な個別認証符号をさらに含む
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項17】
請求項7又は8記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記通信プロトコルがインターネットプロトコルであり、
前記通信アドレスがインターネットプロトコルアドレスである
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項18】
請求項14又は15記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記移動体上装置が、前記無線交信用データ付与手段を備える
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項19】
請求項11記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記移動体上装置が、前記移動体識別符号格納手段と、前記無線交信用データ生成手段とを備える
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項20】
請求項9記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記移動体上装置の前記情報蓄積部が、前記無線交信用データ付与手段を備える
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項21】
請求項20記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記移動体上装置の前記情報蓄積部が、
当該移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号が格納されている移動体識別符号格納手段と、
該移動体識別符号格納手段に格納されている前記移動体識別符号と、前記移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、に基づいて前記無線交信用データを生成する無線交信用データ生成手段とを備え、
前記無線交信用データ付与手段は、前記無線交信用データの付与を前記無線交信用データ生成手段により生成された前記無線交信用データに基づいて行う
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項22】
請求項21記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記移動体識別符号格納手段は、前記情報蓄積部に着脱自在に取り付けられる
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項23】
請求項18記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記移動体上装置は、前記地上装置と交信可能であるとき前記移動体の運転キーがオフされる毎に自身に設定された前記無線交信用データを用いて前記地上装置との無線交信を行う
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項24】
請求項20記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記移動体上装置の前記無線通信部は、前記地上装置と交信可能であるとき前記移動体の運転キーがオフされる毎に自身に設定された前記無線交信用データを用いて前記地上装置との間で無線交信を行う
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項25】
請求項23又は24記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記無線交信用データ付与手段は、前記移動体の運転キーがオフされる毎に前記無線交信を開始する前に、前記無線交信用データを付与する動作を行う
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項26】
複数の移動体の各々に設置されて、設置された移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有し、地上に設置された地上装置と無線LANを介して接続されて移動体情報収集システムを構成し、前記地上装置との間で無線LANを介して予め定められた無線通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた前記地上装置との無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と接続されて、前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムの移動体上装置であって、
設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された、設定すべき前記無線交信用データを自身に付与する無線交信用データ付与手段を備える
ことを特徴とする移動体情報収集システムの移動体上装置。
【請求項27】
複数の移動体の各々に設置されて、設置された移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有する情報蓄積部と、有線LANを介して予め定めた有線通信プロトコルに従って相互に有線交信を行って前記情報蓄積部と相互接続されるとともに、無線LANを介して予め定めた無線通信プロトコルに従って前記地上装置と無線交信を行う無線通信部とを備え、前記無線通信部には、前記地上装置と前記無線通信部及び前記情報蓄積部との間で無線LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と接続されて、前記情報蓄積部の前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムの移動体上装置であって、
設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された、自身の前記無線通信部に設定すべき前記無線交信用データを前記無線通信部に付与する無線交信用データ付与手段を備える
ことを特徴とする移動体情報収集システムの移動体上装置。
【請求項28】
地上に設置された地上装置と、各々が移動体上に設置されて、当該移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有する複数の移動体上装置とを具備し、前記移動体上装置には、前記地上装置と前記移動体上装置との間で無線LANを介して予め定められた無線通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と前記移動体上装置が相互接続されて、前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムにおいて、前記移動体上装置に前記無線交信用データを付与する移動体情報収集システムの無線交信用データ付与方法であって、
前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記無線交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて当該移動体上装置に設定すべき前記無線交信用データを生成し、
該生成された前記無線交信用データを当該移動体上装置に設定すべき前記無線交信用データとして当該移動体上装置に付与する
ことを特徴とする移動体情報収集システムの無線交信用データ付与方法。
【請求項29】
地上に設置された地上装置と、各々が移動体上に設置された複数の移動体上装置とを具備し、前記移動体上装置の各々が、当該移動体上装置が設置される移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有する情報蓄積部と、有線LANを介して予め定めた有線通信プロトコルに従って相互に有線交信を行って前記情報蓄積部と相互接続されるとともに、無線LANを介して予め定めた無線通信プロトコルに従って前記地上装置と無線交信を行う無線通信部とを備え、前記移動体上装置の前記無線通信部には、前記地上装置と前記移動体上装置の前記無線通信部及び前記情報蓄積部との間で無線LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と前記移動体上装置が相互接続されて、前記情報蓄積部の前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムにおいて、前記無線通信部に前記無線交信用データを付与する移動体情報収集システムの無線交信用データ付与方法であって、
前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記無線交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて当該移動体上装置の前記無線通信部に設定すべき前記無線交信用データを生成し、
該生成された前記無線交信用データを当該移動体上装置の前記無線通信部に設定すべき前記無線交信用データとして当該移動体上装置の前記無線通信部に付与する
ことを特徴とする移動体情報収集システムの無線交信用データ付与方法。
【請求項30】
地上に設置された地上装置と、各々が移動体上に設置されて、当該移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有する複数の移動体上装置とを具備し、前記移動体上装置には、前記地上装置と前記移動体上装置との間で無線LANを介して予め定められた無線通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と前記移動体上装置が相互接続されて、前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムにおいて、前記移動体上装置に前記無線交信用データを付与する移動体情報収集システムの無線交信用データ付与装置であって、
前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記無線交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された当該移動体上装置に設定すべき前記無線交信用データを、当該移動体上装置に付与する無線交信用データ付与手段を備える
ことを特徴とする移動体情報収集システムの無線交信用データ付与装置。
【請求項31】
地上に設置された地上装置と、各々が移動体上に設置された複数の移動体上装置とを具備し、前記移動体上装置の各々が、当該移動体上装置が設置される移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有する情報蓄積部と、有線LANを介して予め定めた有線通信プロトコルに従って相互に有線交信を行って前記情報蓄積部と相互接続されるとともに、無線LANを介して予め定めた無線通信プロトコルに従って前記地上装置と無線交信を行う無線通信部とを備え、前記移動体上装置の前記無線通信部には、前記地上装置と前記移動体上装置の前記無線通信部及び前記情報蓄積部との間で無線LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と前記移動体上装置が相互接続されて、前記情報蓄積部の前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムにおいて、前記無線通信部に前記無線交信用データを付与する移動体情報収集システムの無線交信用データ付与装置であって、
前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記無線交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された当該移動体上装置の前記無線通信部に設定すべき前記無線交信用データを、当該移動体上装置の前記無線通信部に付与する無線交信用データ付与手段を備える
ことを特徴とする移動体情報収集システムの無線交信用データ付与装置。
【請求項32】
各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両にそれぞれ設置された車上装置を備え、前記車上装置には、前記車上装置間で車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して前記車上装置が相互接続される車両編成ネットワークシステムであって、
前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記車上装置が設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて生成された当該車上装置に設定すべき前記交信用データを、当該車上装置に付与する交信用データ付与手段を備える
ことを特徴とする車両編成ネットワークシステム。
【請求項33】
各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両にそれぞれ設置された車上装置を備え、該車上装置は複数の端末装置と、前記複数の端末装置と車内LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って相互に交信を行って相互接続されるとともに、車両編成LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って他の車両に設置された車上装置と交信を行うネットワーク制御装置とを有し、前記ネットワーク制御装置には、前記車両編成の全車両に設置された前記端末装置及び他の車両に設置されたネットワーク制御装置との間で車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して前記車上装置間が相互接続される車両編成ネットワークシステムであって、
前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記車上装置が設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて、当該車上装置の前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に設定すべく生成された前記交信用データを、当該車上装置の前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に付与する交信用データ付与手段を備える
ことを特徴とする車両編成ネットワークシステム。
【請求項34】
請求項32又は33記載の車両編成ネットワークシステムにおいて、
前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、と、前記交信用データが設定されるべき前記車上装置が設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて生成された、当該車上装置或いは当該車上装置の前記複数の端末装置及び前記ネットワーク制御装置に設定すべき前記交信用データが格納されている交信用データ格納手段をさらに備え、
前記交信用データ付与手段は、前記交信用データの付与を前記交信用データ格納手段に格納されている前記交信用データを読み出して行う
ことを特徴とする車両編成ネットワークシステム。
【請求項35】
請求項32又は33記載の車両編成ネットワークシステムにおいて、
前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号が格納されている車両識別符号格納手段と、
該車両識別符号格納手段に格納されている前記車両識別符号と、前記車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、に基づいて前記交信用データを生成する交信用データ生成手段とをさらに備え、
前記交信用データ付与手段は、前記交信用データの付与を前記交信用データ生成手段により生成された前記交信用データに基づいて行う
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
ことを特徴とする車両編成ネットワークシステム。
【請求項36】
請求項32乃至35のいずれかに記載の車両編成ネットワークシステムにおいて、
前記データ生成用情報は、車両識別符号に対応して予め定められた前記交信のための交信用データを当該車両識別符号に基づいて演算して生成するための演算式である
ことを特徴とする車両編成ネットワークシステム。
【請求項37】
各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両に設置されて、車両編成LANを介して接続されて車両編成ネットワークシステムを構成し、車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して接続される車上装置であって、
設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて生成された、設定すべき前記交信用データを自身に付与する交信用データ付与手段を備える
ことを特徴とする車両編成ネットワークシステムの車上装置。
【請求項38】
各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両に設置されて、車両編成LANを介して接続されて車両編成ネットワークシステムを構成し、複数の端末装置と、車内LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って相互に交信を行って前記複数の端末装置と相互接続されるとともに、車両編成LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って交信を行うネットワーク制御部とを有し、前記ネットワーク制御部には、前記車両編成の全車両に設置された前記端末装置及び他の車両に設置されたネットワーク制御部との間で車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して相互接続される車上装置であって、
設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて、自身の前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御部に設定すべく生成された前記交信用データを前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御部に付与する交信用データ付与手段を備える
ことを特徴とする車両編成ネットワークシステムの車上装置。
【請求項39】
各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両にそれぞれ設置された車上装置を備え、前記車上装置には、前記車上装置間で車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して前記車上装置が相互接続される車両編成ネットワークシステムにおいて、前記車上装置に前記交信用データを付与する交信用データ付与方法であって、
前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記車上装置が設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて当該設定すべき前記交信用データを生成し、
該生成された前記交信用データを当該設定すべき前記交信用データとして当該車上装置に付与する
ことを特徴とする車両編成ネットワークシステムの交信用データ付与方法。
【請求項40】
各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両にそれぞれ設置された車上装置を備え、該車上装置は複数の端末装置と、前記複数の端末装置と車内LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って相互に交信を行って相互接続されるとともに、車両編成LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って他の車両に設置された車上装置と交信を行うネットワーク制御装置とを有し、前記ネットワーク制御装置には、前記車両編成の全車両に設置された前記端末装置及び他の車両に設置されたネットワーク制御装置との間で車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して前記車上装置間が相互接続される車両編成ネットワークシステムにおいて、前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に前記交信用データを付与する交信用データ付与方法であって、
前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記車上装置が設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて当該車上装置の前記ネットワーク制御部に設定すべき前記交信用データを生成し、
該生成された前記交信用データを当該車上装置の前記ネットワーク制御部に設定すべき前記交信用データとして当該車上装置の前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に付与する
ことを特徴とする車両編成ネットワークシステムの交信用データ付与方法。
【請求項41】
各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両にそれぞれ設置された車上装置を備え、前記車上装置には、前記車上装置間で車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して前記車上装置が相互接続される車両編成ネットワークシステムにおいて、前記車上装置に前記交信用データを付与する交信用データ付与装置であって、
前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記車上装置が設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて生成された当該車上装置に設定すべき前記交信用データを、当該車上装置に付与する交信用データ付与手段を備える
ことを特徴とする車両編成ネットワークシステムの交信用データ付与装置。
【請求項42】
各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両にそれぞれ設置された車上装置を備え、該車上装置は複数の端末装置と、前記複数の端末装置と車内LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って相互に交信を行って相互接続されるとともに、車両編成LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って他の車両に設置された車上装置と交信を行うネットワーク制御装置とを有し、前記ネットワーク制御装置には、前記車両編成の全車両に設置された前記端末装置及び他の車両に設置されたネットワーク制御装置との間で車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して前記車上装置間が相互接続される車両編成ネットワークシステムにおいて、前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に前記交信用データを付与する交信用データ付与装置であって、
前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記車上装置が設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて生成された当該車上装置の前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に設定すべき前記交信用データを、当該車上装置の前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に付与する交信用データ付与手段を備える
ことを特徴とする車両編成ネットワークシステムの交信用データ付与装置。
【請求項1】
移動体上に設置され、LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って交信を行うネットワークシステムの少なくとも一部分を構成する移動体上装置に、前記交信の際に当該移動体上装置を識別するための交信用データを付与する交信用データ付与方法であって、
前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて当該移動体上装置に設定すべき前記交信用データを生成し、
該生成された前記交信用データを当該移動体上装置に設定すべき前記交信用データとして当該移動体上装置に付与する
ことを特徴とする交信用データ付与方法。
【請求項2】
移動体上に設置され、LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って交信を行うネットワークシステムの少なくとも一部分を構成する移動体上装置に、前記交信の際に当該移動体上装置を識別するための交信用データを付与する交信用データ付与装置であって、
前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された当該移動体上装置に設定すべき前記交信用データを、当該移動体上装置に付与する交信用データ付与手段を備える
ことを特徴とする交信用データ付与装置。
【請求項3】
請求項2記載の交信用データ付与装置において、
前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された、当該装置に設定すべき前記交信用データが格納されている交信用データ格納手段をさらに備え、
前記交信用データ付与手段は、前記交信用データの付与を前記交信用データ格納手段に格納されている前記交信用データを読み出して行う
ことを特徴とする交信用データ付与装置。
【請求項4】
請求項2記載の交信用データ付与装置において、
前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号が格納されている移動体識別符号格納手段と、
該移動体識別符号格納手段に格納されている前記移動体識別符号と、前記移動体識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、に基づいて前記交信用データを生成する交信用データ生成手段とをさらに備え、
前記交信用データ付与手段は、前記交信用データの付与を前記交信用データ生成手段により生成された前記交信用データに基づいて行う
ことを特徴とする交信用データ付与装置。
【請求項5】
請求項4記載の交信用データ付与装置において、
前記データ生成用情報は、移動体識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを当該移動体識別符号に基づいて演算して生成するための演算式である
ことを特徴とする交信用データ付与装置。
【請求項6】
請求項2記載の交信用データ付与装置において、
前記通信プロトコルがインターネットプロトコルであり、前記交信用データはインターネットプロトコルアドレスを含む
ことを特徴とする交信用データ付与装置。
【請求項7】
請求項2記載の交信用データ付与装置において、
前記移動体識別符号格納手段は、電気的に読み出し可能な数字や文字を設定できるスイッチを有する
ことを特徴とする交信用データ付与装置。
【請求項8】
地上に設置された地上装置と、各々が移動体上に設置されて、当該移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有する複数の移動体上装置とを具備し、前記移動体上装置には、前記地上装置と前記移動体上装置との間で無線LANを介して予め定められた無線通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と前記移動体上装置が相互接続されて、前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムであって、
前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記無線交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された当該移動体上装置に設定すべき前記無線交信用データを、当該移動体上装置に付与する無線交信用データ付与手段を備えることを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項9】
地上に設置された地上装置と、各々が移動体上に設置された複数の移動体上装置とを具備し、前記移動体上装置の各々が、当該移動体上装置が設置される移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有する情報蓄積部と、有線LANを介して予め定めた有線通信プロトコルに従って相互に有線交信を行って前記情報蓄積部と相互接続されるとともに、無線LANを介して予め定めた無線通信プロトコルに従って前記地上装置と無線交信を行う無線通信部とを備え、前記移動体上装置の前記無線通信部には、前記地上装置と前記移動体上装置の前記無線通信部及び前記情報蓄積部との間で無線LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と前記移動体上装置が相互接続されて、前記情報蓄積部の前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムであって、
前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記無線交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された、当該移動体上装置の前記無線通信部に設定すべき前記無線交信用データを、当該移動体上装置の前記無線通信部に付与する無線交信用データ付与手段を備える
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項10】
請求項8又は9記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記無線交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された、当該移動体上装置に設定すべき前記無線交信用データが格納されている無線交信用データ格納手段をさらに備え、
前記無線交信用データ付与手段は、前記無線交信用データの付与を前記無線交信用データ格納手段に格納されている前記無線交信用データを読み出して行う
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項11】
請求項8又は9記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号が格納されている移動体識別符号格納手段と、
該移動体識別符号格納手段に格納されている前記移動体識別符号と、前記移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、に基づいて前記無線交信用データを生成する無線交信用データ生成手段とをさらに備え、
前記無線交信用データ付与手段は、前記無線交信用データの付与を前記無線交信用データ生成手段により生成された前記無線交信用データに基づいて行う
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項12】
請求項11記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記データ生成用情報は、移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信のための無線交信用データを当該移動体識別符号に基づいて演算して生成するための演算式である
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項13】
請求項8又は9記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記移動体が、軌道上を走行する車両であり、前記地上装置は前記車両に設置された前記移動体上装置と交信可能に設置される
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項14】
請求項8記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記無線交信用データは、前記移動体上装置に設定すべき無線LAN用の静的通信アドレスを含む
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項15】
請求項9記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記無線交信用データは、前記無線通信部の無線LAN用の静的通信アドレスと、前記情報蓄積部の無線LAN用の静的通信アドレス及び有線LAN用の静的通信アドレスからなるルーティングテーブルとを含む
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項16】
請求項14又は15記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記無線交信用データは、接続要求した前記移動体上装置の接続を前記地上装置が許可するのに必要な個別認証符号をさらに含む
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項17】
請求項7又は8記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記通信プロトコルがインターネットプロトコルであり、
前記通信アドレスがインターネットプロトコルアドレスである
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項18】
請求項14又は15記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記移動体上装置が、前記無線交信用データ付与手段を備える
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項19】
請求項11記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記移動体上装置が、前記移動体識別符号格納手段と、前記無線交信用データ生成手段とを備える
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項20】
請求項9記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記移動体上装置の前記情報蓄積部が、前記無線交信用データ付与手段を備える
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項21】
請求項20記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記移動体上装置の前記情報蓄積部が、
当該移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号が格納されている移動体識別符号格納手段と、
該移動体識別符号格納手段に格納されている前記移動体識別符号と、前記移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、に基づいて前記無線交信用データを生成する無線交信用データ生成手段とを備え、
前記無線交信用データ付与手段は、前記無線交信用データの付与を前記無線交信用データ生成手段により生成された前記無線交信用データに基づいて行う
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項22】
請求項21記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記移動体識別符号格納手段は、前記情報蓄積部に着脱自在に取り付けられる
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項23】
請求項18記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記移動体上装置は、前記地上装置と交信可能であるとき前記移動体の運転キーがオフされる毎に自身に設定された前記無線交信用データを用いて前記地上装置との無線交信を行う
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項24】
請求項20記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記移動体上装置の前記無線通信部は、前記地上装置と交信可能であるとき前記移動体の運転キーがオフされる毎に自身に設定された前記無線交信用データを用いて前記地上装置との間で無線交信を行う
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項25】
請求項23又は24記載の移動体情報収集システムにおいて、
前記無線交信用データ付与手段は、前記移動体の運転キーがオフされる毎に前記無線交信を開始する前に、前記無線交信用データを付与する動作を行う
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
【請求項26】
複数の移動体の各々に設置されて、設置された移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有し、地上に設置された地上装置と無線LANを介して接続されて移動体情報収集システムを構成し、前記地上装置との間で無線LANを介して予め定められた無線通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた前記地上装置との無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と接続されて、前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムの移動体上装置であって、
設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された、設定すべき前記無線交信用データを自身に付与する無線交信用データ付与手段を備える
ことを特徴とする移動体情報収集システムの移動体上装置。
【請求項27】
複数の移動体の各々に設置されて、設置された移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有する情報蓄積部と、有線LANを介して予め定めた有線通信プロトコルに従って相互に有線交信を行って前記情報蓄積部と相互接続されるとともに、無線LANを介して予め定めた無線通信プロトコルに従って前記地上装置と無線交信を行う無線通信部とを備え、前記無線通信部には、前記地上装置と前記無線通信部及び前記情報蓄積部との間で無線LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と接続されて、前記情報蓄積部の前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムの移動体上装置であって、
設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された、自身の前記無線通信部に設定すべき前記無線交信用データを前記無線通信部に付与する無線交信用データ付与手段を備える
ことを特徴とする移動体情報収集システムの移動体上装置。
【請求項28】
地上に設置された地上装置と、各々が移動体上に設置されて、当該移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有する複数の移動体上装置とを具備し、前記移動体上装置には、前記地上装置と前記移動体上装置との間で無線LANを介して予め定められた無線通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と前記移動体上装置が相互接続されて、前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムにおいて、前記移動体上装置に前記無線交信用データを付与する移動体情報収集システムの無線交信用データ付与方法であって、
前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記無線交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて当該移動体上装置に設定すべき前記無線交信用データを生成し、
該生成された前記無線交信用データを当該移動体上装置に設定すべき前記無線交信用データとして当該移動体上装置に付与する
ことを特徴とする移動体情報収集システムの無線交信用データ付与方法。
【請求項29】
地上に設置された地上装置と、各々が移動体上に設置された複数の移動体上装置とを具備し、前記移動体上装置の各々が、当該移動体上装置が設置される移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有する情報蓄積部と、有線LANを介して予め定めた有線通信プロトコルに従って相互に有線交信を行って前記情報蓄積部と相互接続されるとともに、無線LANを介して予め定めた無線通信プロトコルに従って前記地上装置と無線交信を行う無線通信部とを備え、前記移動体上装置の前記無線通信部には、前記地上装置と前記移動体上装置の前記無線通信部及び前記情報蓄積部との間で無線LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と前記移動体上装置が相互接続されて、前記情報蓄積部の前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムにおいて、前記無線通信部に前記無線交信用データを付与する移動体情報収集システムの無線交信用データ付与方法であって、
前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記無線交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて当該移動体上装置の前記無線通信部に設定すべき前記無線交信用データを生成し、
該生成された前記無線交信用データを当該移動体上装置の前記無線通信部に設定すべき前記無線交信用データとして当該移動体上装置の前記無線通信部に付与する
ことを特徴とする移動体情報収集システムの無線交信用データ付与方法。
【請求項30】
地上に設置された地上装置と、各々が移動体上に設置されて、当該移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有する複数の移動体上装置とを具備し、前記移動体上装置には、前記地上装置と前記移動体上装置との間で無線LANを介して予め定められた無線通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と前記移動体上装置が相互接続されて、前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムにおいて、前記移動体上装置に前記無線交信用データを付与する移動体情報収集システムの無線交信用データ付与装置であって、
前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記無線交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された当該移動体上装置に設定すべき前記無線交信用データを、当該移動体上装置に付与する無線交信用データ付与手段を備える
ことを特徴とする移動体情報収集システムの無線交信用データ付与装置。
【請求項31】
地上に設置された地上装置と、各々が移動体上に設置された複数の移動体上装置とを具備し、前記移動体上装置の各々が、当該移動体上装置が設置される移動体自体に係わる第1の移動体情報と当該移動体に搭載された機器に係わる第2の移動体情報との少なくとも一方を含む移動体情報を蓄積する移動体情報蓄積手段を有する情報蓄積部と、有線LANを介して予め定めた有線通信プロトコルに従って相互に有線交信を行って前記情報蓄積部と相互接続されるとともに、無線LANを介して予め定めた無線通信プロトコルに従って前記地上装置と無線交信を行う無線通信部とを備え、前記移動体上装置の前記無線通信部には、前記地上装置と前記移動体上装置の前記無線通信部及び前記情報蓄積部との間で無線LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して無線交信を行うための無線交信用データが設定されており、該設定された前記無線交信用データを用いた無線交信によって前記無線LANを介して前記地上装置と前記移動体上装置が相互接続されて、前記情報蓄積部の前記移動体情報蓄積手段に蓄積されている前記移動体情報が前記地上装置にて収集される移動体情報収集システムにおいて、前記無線通信部に前記無線交信用データを付与する移動体情報収集システムの無線交信用データ付与装置であって、
前記移動体上装置が設置される前記移動体に当該移動体を識別可能に予め付与された移動体識別符号に対応して予め定められた前記無線交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記無線交信用データが設定されるべき前記移動体上装置が設置されている前記移動体の前記移動体識別符号と、に基づいて生成された当該移動体上装置の前記無線通信部に設定すべき前記無線交信用データを、当該移動体上装置の前記無線通信部に付与する無線交信用データ付与手段を備える
ことを特徴とする移動体情報収集システムの無線交信用データ付与装置。
【請求項32】
各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両にそれぞれ設置された車上装置を備え、前記車上装置には、前記車上装置間で車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して前記車上装置が相互接続される車両編成ネットワークシステムであって、
前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記車上装置が設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて生成された当該車上装置に設定すべき前記交信用データを、当該車上装置に付与する交信用データ付与手段を備える
ことを特徴とする車両編成ネットワークシステム。
【請求項33】
各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両にそれぞれ設置された車上装置を備え、該車上装置は複数の端末装置と、前記複数の端末装置と車内LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って相互に交信を行って相互接続されるとともに、車両編成LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って他の車両に設置された車上装置と交信を行うネットワーク制御装置とを有し、前記ネットワーク制御装置には、前記車両編成の全車両に設置された前記端末装置及び他の車両に設置されたネットワーク制御装置との間で車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して前記車上装置間が相互接続される車両編成ネットワークシステムであって、
前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記車上装置が設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて、当該車上装置の前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に設定すべく生成された前記交信用データを、当該車上装置の前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に付与する交信用データ付与手段を備える
ことを特徴とする車両編成ネットワークシステム。
【請求項34】
請求項32又は33記載の車両編成ネットワークシステムにおいて、
前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、と、前記交信用データが設定されるべき前記車上装置が設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて生成された、当該車上装置或いは当該車上装置の前記複数の端末装置及び前記ネットワーク制御装置に設定すべき前記交信用データが格納されている交信用データ格納手段をさらに備え、
前記交信用データ付与手段は、前記交信用データの付与を前記交信用データ格納手段に格納されている前記交信用データを読み出して行う
ことを特徴とする車両編成ネットワークシステム。
【請求項35】
請求項32又は33記載の車両編成ネットワークシステムにおいて、
前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号が格納されている車両識別符号格納手段と、
該車両識別符号格納手段に格納されている前記車両識別符号と、前記車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、に基づいて前記交信用データを生成する交信用データ生成手段とをさらに備え、
前記交信用データ付与手段は、前記交信用データの付与を前記交信用データ生成手段により生成された前記交信用データに基づいて行う
ことを特徴とする移動体情報収集システム。
ことを特徴とする車両編成ネットワークシステム。
【請求項36】
請求項32乃至35のいずれかに記載の車両編成ネットワークシステムにおいて、
前記データ生成用情報は、車両識別符号に対応して予め定められた前記交信のための交信用データを当該車両識別符号に基づいて演算して生成するための演算式である
ことを特徴とする車両編成ネットワークシステム。
【請求項37】
各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両に設置されて、車両編成LANを介して接続されて車両編成ネットワークシステムを構成し、車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して接続される車上装置であって、
設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて生成された、設定すべき前記交信用データを自身に付与する交信用データ付与手段を備える
ことを特徴とする車両編成ネットワークシステムの車上装置。
【請求項38】
各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両に設置されて、車両編成LANを介して接続されて車両編成ネットワークシステムを構成し、複数の端末装置と、車内LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って相互に交信を行って前記複数の端末装置と相互接続されるとともに、車両編成LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って交信を行うネットワーク制御部とを有し、前記ネットワーク制御部には、前記車両編成の全車両に設置された前記端末装置及び他の車両に設置されたネットワーク制御部との間で車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して相互接続される車上装置であって、
設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて、自身の前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御部に設定すべく生成された前記交信用データを前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御部に付与する交信用データ付与手段を備える
ことを特徴とする車両編成ネットワークシステムの車上装置。
【請求項39】
各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両にそれぞれ設置された車上装置を備え、前記車上装置には、前記車上装置間で車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して前記車上装置が相互接続される車両編成ネットワークシステムにおいて、前記車上装置に前記交信用データを付与する交信用データ付与方法であって、
前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記車上装置が設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて当該設定すべき前記交信用データを生成し、
該生成された前記交信用データを当該設定すべき前記交信用データとして当該車上装置に付与する
ことを特徴とする車両編成ネットワークシステムの交信用データ付与方法。
【請求項40】
各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両にそれぞれ設置された車上装置を備え、該車上装置は複数の端末装置と、前記複数の端末装置と車内LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って相互に交信を行って相互接続されるとともに、車両編成LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って他の車両に設置された車上装置と交信を行うネットワーク制御装置とを有し、前記ネットワーク制御装置には、前記車両編成の全車両に設置された前記端末装置及び他の車両に設置されたネットワーク制御装置との間で車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して前記車上装置間が相互接続される車両編成ネットワークシステムにおいて、前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に前記交信用データを付与する交信用データ付与方法であって、
前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記車上装置が設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて当該車上装置の前記ネットワーク制御部に設定すべき前記交信用データを生成し、
該生成された前記交信用データを当該車上装置の前記ネットワーク制御部に設定すべき前記交信用データとして当該車上装置の前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に付与する
ことを特徴とする車両編成ネットワークシステムの交信用データ付与方法。
【請求項41】
各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両にそれぞれ設置された車上装置を備え、前記車上装置には、前記車上装置間で車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して前記車上装置が相互接続される車両編成ネットワークシステムにおいて、前記車上装置に前記交信用データを付与する交信用データ付与装置であって、
前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記車上装置が設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて生成された当該車上装置に設定すべき前記交信用データを、当該車上装置に付与する交信用データ付与手段を備える
ことを特徴とする車両編成ネットワークシステムの交信用データ付与装置。
【請求項42】
各々が軌道上を走行する複数の車両からなる車両編成の各車両にそれぞれ設置された車上装置を備え、該車上装置は複数の端末装置と、前記複数の端末装置と車内LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って相互に交信を行って相互接続されるとともに、車両編成LANを介して予め定めた通信プロトコルに従って他の車両に設置された車上装置と交信を行うネットワーク制御装置とを有し、前記ネットワーク制御装置には、前記車両編成の全車両に設置された前記端末装置及び他の車両に設置されたネットワーク制御装置との間で車両編成LANを介して予め定められた通信プロトコルに従って相互に識別して交信を行うための交信用データが設定されており、該設定された前記交信用データを用いた交信によって前記車両編成LANを介して前記車上装置間が相互接続される車両編成ネットワークシステムにおいて、前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に前記交信用データを付与する交信用データ付与装置であって、
前記車上装置が設置される前記車両に当該車両を識別可能に予め付与された車両識別符号に対応して予め定められた前記交信用データを表す予め用意したデータ生成用情報と、前記交信用データが設定されるべき前記車上装置が設置されている前記車両の前記車両識別符号と、に基づいて生成された当該車上装置の前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に設定すべき前記交信用データを、当該車上装置の前記複数の端末装置および前記ネットワーク制御装置に付与する交信用データ付与手段を備える
ことを特徴とする車両編成ネットワークシステムの交信用データ付与装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−10279(P2011−10279A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108232(P2010−108232)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(390010054)小糸工業株式会社 (136)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(390010054)小糸工業株式会社 (136)
【Fターム(参考)】
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