説明

交換部品の取付部構造

【課題】交換作業のスピードアップ化を図ることができる交換部品の取付部構造を提供する。
【解決手段】アーム11に設けられた接続用部品21に軸部41を突設し、該軸部41の先端面44に当該軸部41を横断する横断溝46を形成する。該横断溝46に、当該軸部41の基端側へ向かうに従って螺旋状に旋回する螺旋部52と、該螺旋部52の先端に連設され前記先端面44と略平行に延在するフラット部53とを設ける。計測ヘッド12に、前記軸部41の前記横断溝46に挿入される線状のスプリング71を設け、該スプリング71の両端部を当該計測ヘッド12に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用途に応じて交換される交換部品の取付部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製造された製品の寸法を測定する際には、計測装置が使用されている。
【0003】
この計測装置の装置本体には、計測ヘッドが交換自在に取り付けられており、製造された製品に応じて測定ヘッドを交換できるように構成されている。
【0004】
図5は、その取付部801の構造の要部を示す断面図であり、装置本体802には、複数のネジ穴803,・・・が設けられている。また、計測ヘッド804には、複数のボルト挿通穴805,・・・が設けられており、各ボルト挿通穴805,・・・に挿入されたボルト806,・・・を、前記装置本体802側のネジ穴803,・・・に螺入することによって、当該計測ヘッド804を前記装置本体802に交換自在に取り付けられるように構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の取付部構造にあっては、測定ヘッド804を交換する度にボルト締めを行わなければならず、作業時間を要してしまう。
【0006】
また、ボルト806,・・・を締め付ける為の工具も必要となる。
【0007】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、交換作業のスピードアップ化を図ることができる交換部品の取付部構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明の交換部品の取付部構造にあっては、対象箇所に交換部品を交換自在に取り付ける交換部品の取付部構造において、前記対象箇所又は前記交換部品の一方側に軸部を突設し、該軸部の先端面に当該軸部を横断する横断溝を形成するとともに、該横断溝に、当該軸部の基端側へ向かうに従って螺旋状に旋回する螺旋部と、該螺旋部の先端に連設され前記先端面と略平行に延在するフラット部とを設ける一方、前記対象箇所又は前記交換部品の他方側に、前記軸部の前記横断溝に挿入される線状の弾性部材を設け、該弾性部材の両端部を当該他方側に固定した。
【0009】
ここで、対象箇所に軸部が突設され、交換部品に弾性部材が設けられた場合を例に挙げて、その動作を説明する。
【0010】
すなわち、前記対象箇所に前記交換部品を取り付ける際には、前記対象箇所の軸部に設けられた横断溝に、前記交換部品に設けられた弾性部材を挿入する。この状態において、当該交換部品を回転すると、前記横断溝に挿入された前記弾性部材は、前記横断溝の螺旋部に沿って当該軸部の基端側へ移動し、前記螺旋部の先端に連設されたフラット部に到達する。
【0011】
このとき、このフラット部は、前記軸部の先端面と略平行に延設されている。このため、当該軸部からの前記弾性部材の不用意な抜けが防止される。
【0012】
この状態において、前記弾性部材は弾性変形しており、前記交換部品には、この弾性部材による復元力が作用する。これにより、当該交換部品は、前記対象箇所に付勢された状態で固定される。
【0013】
なお、ここでは前記対象箇所に軸部が設けられ、前記交換部品に弾性部材が設けられた場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、前記対象箇所に前記弾性部材が設けられ、前記交換部品に前記軸部が設けられた場合であっても、前述と同様の作用が得られる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明の交換部品の取付部構造にあっては、対象箇所の軸部に設けられた横断溝に、前記交換部品に設けられた弾性部材を挿入して前記交換部品を回転するだけで、当該交換部品を前記対象箇所に固定することができる。また、この固定状態において、前記交換部品を逆向きに回転することで、当該交換部品を前記対象箇所から取り外すことができる。
【0015】
したがって、交換部品をボルトで対象箇所に固定していた従来と比較して、交換時間を大幅に短縮することができる。これにより、交換作業のスピードアップを図ることができる。
【0016】
また、ボルト等を使用せずに固定できるため、レンチ等の工具が不要となるとともに、誰でも簡単に取り付け取り外しを行うことができる。
【0017】
なお、ここでは前記対象箇所に軸部が設けられ、前記交換部品に弾性部材が設けられた場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、前記対象箇所に前記弾性部材が設けられ、前記交換部品に前記軸部が設けられた場合であっても、前述と同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかる交換部品の取付部構造1を示す図であり、この取付部構造1を計測装置2に応用した例が示されている。
【0019】
すなわち、製造した製品の寸法を測定する際には、計測装置2が使用されており、該計測装置2の装置本体より延出した対象箇所であるアーム11には、測定する機種毎に交換される交換部品としての計測ヘッド12が取り付けられている。
【0020】
前記アーム11の先端には、接続用部品21が固定されており、前記取付構造1が構成されている。この接続用部品21は、図2にも示すように、前記アーム11に固定される円板状のベース22を備えており、該ベース22の裏面23には、図1に示すように、前記アーム11の端面24に形成された位置決め穴25に内嵌された状態で位置決めされる位置決め凸部26が突設されている。
【0021】
また、前記ベース22の表面31には、図2に示すように、座繰り穴32が周縁部の四カ所に形成されており、各座繰り穴32,・・・の底面には、ボルト挿通穴33,・・・が設けられている。これにより、図1に示したように、前記位置決め凸部26を前記アーム11の前記位置決め穴25に内嵌して位置決めした状態で、前記各ボルト挿通穴33,・・・に挿入したボルト34,・・・を、前記アーム11の端面24に設けられたネジ穴35,・・・に螺入することによって、当該接続用部品21を前記アーム11に固定できるように構成されている。
【0022】
前記ベース22の前記表面31には、図2の(b)に示したように、軸部41が突設されており、該軸部41は、基端側を構成する大径部42と、先端側を構成する小径部43とによって構成されている。該小径部43の先端面44には、図2の(a)に示したように、中央部に設けられた円形穴45と、当該軸部41の中央を横断する横断溝46とが形成されている。
【0023】
該横断溝46は、図3にも示すように、前記先端面44から基端側へ向けて当該軸部41の長さ方向に垂直に延在する垂直部51と、該垂直部51に連設され当該軸部41の基端側へ向かうに従って螺旋状に周方向に旋回する螺旋部52と、該螺旋部52の先端に連設され前記先端面44と略平行に延在するフラット部53とによって構成されており、該フラット部53の先端は、行き止まりとなるように構成されている。
【0024】
一方、図1及び図4に示すように、前記計測ヘッド12の基端面61には、大径の円形凹部62が形成されており、該円形凹部62の外周部には、図1に示したように、前記アーム11に設けられた前記接続用部品21の周縁部63に面接する面接面64がリング状に形成されている。前記円形凹部62の底面65には、小径の挿通穴66が中央部に開設されており、当該計測ヘッド12の前記面接面64を前記接続用部品21の周縁部63に面接した状態で、前記接続用部品21の前記軸部41が前記挿通穴66に挿入され、当該計測ヘッド12との干渉を回避できるように構成されている。
【0025】
前記円形凹部62の底面65には、図4にも示すように、弾性部材としてのスプリング71が設けられている。該スプリング71は、前記軸部41の前記横断溝46に挿入可能な太さの線状部材で構成されており、当該スプリング71の両端には、渦巻き状に巻かれてなる渦巻き部72,72が形成されている。両渦巻き部72,72間には、直線状に延在する直線部73が形成されており、当該スプリング71は、この直線部73が前記円形凹部62の中央を通過するように配置されている。
【0026】
この配置状態において、前記両渦巻き部72,72の中心には、図1にも示したように、ネジ81,81が挿通されており、各ネジ81,81は、図4に示したように、前記円形凹部62の前記底面65に設けられたネジ穴82,82に螺入されている。これにより、前記スプリング71は、その両端部が前記計測ヘッド12に固定されている。
【0027】
以上の構成にかかる本実施の形態において、計測装置2の装置本体より延出したアーム11に計測ヘッド12を取り付ける際には、前記アーム11の軸部41に設けられた横断溝46に、前記計測ヘッド12に設けられたスプリング71の直線部73を挿入するとともに、この直線部73を前記横断溝46の垂直部51に沿って螺旋部52まで移動する。
【0028】
この状態において、当該計測ヘッド12を時計回りに回転すると、前記横断溝46に挿入された前記スプリング71の直線部73は、前記横断溝46の螺旋部46に沿って当該軸部41の基端側へ移動し、前記螺旋部52の先端に連設されたフラット部53に到達するとともに、該フラット部53の端部にて当接して停止する。
【0029】
このとき、このフラット部53は、前記軸部41の先端面44と略平行に延設されている。このため、当該軸部41からの前記スプリング71の不用意な抜けが防止される。
【0030】
この状態において、前記スプリング71の前記直線部73は、図1に示したように、その中央部が前記アーム11側へ向けて弾性変形しており、前記計測ヘッド12には、このスプリング71による復元力が作用する。これにより、当該計測ヘッド12は、前記アーム11側へ向けて付勢され、前記計測ヘッド12の面接面64が前記アーム11に設けられた前記接続用部品21の周縁部63に圧接された状態で固定される。
【0031】
このうように、前記アーム11の前記軸部41に設けられた横断溝46に、前記計測ヘッド12に設けられたスプリング71を挿入して前記計測ヘッド12を時計回りに回転するだけで、当該計測ヘッド12を前記アーム11に固定することができる。また、この固定状態において、前記計測ヘッド12を反時計回りに回転することで、当該計測ヘッド12を前記アーム11から取り外すことができる。
【0032】
したがって、計測ヘッド12をボルトでアーム11に固定していた従来と比較して、交換時間を大幅に短縮することができる。これにより、交換作業のスピードアップを図ることができる。
【0033】
また、ボルト等を使用せずに固定できるため、レンチ等の工具が不要となるとともに、誰でも簡単に取り付け取り外しを行うことができる。
【0034】
なお、本実施の形態では、前記アーム11に前記軸部41を設け、前記計測ヘッド12に前記スプリング71を設けた場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、前記アーム11に前記スプリング71を設け、前記計測ヘッド12に前記軸部41を設けた場合であっても、前述と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施の形態を示す要部の断面図である。
【図2】同実施の形態の接続用部品を示す図で、(a)はその平面図であり、(b)は側面図である。
【図3】同実施の形態の軸部に設けられた横断溝を展開した状態を示す模式図である。
【図4】同実施の形態の計測ヘッドの端面を示すで、(a)はその平面図であり、(b)はスプリングが軸部の横断溝に挿入された状態を示す説明図である。
【図5】従来の取付部構造を示す要部の断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 取付部構造
11 アーム
12 計測ヘッド
21 接続用部品
41 軸部
44 先端面
46 横断溝
52 螺旋部
53 フラット部
71 スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象箇所に交換部品を交換自在に取り付ける交換部品の取付部構造において、
前記対象箇所又は前記交換部品の一方側に軸部を突設し、該軸部の先端面に当該軸部を横断する横断溝を形成するとともに、該横断溝に、当該軸部の基端側へ向かうに従って螺旋状に旋回する螺旋部と、該螺旋部の先端に連設され前記先端面と略平行に延在するフラット部とを設ける一方、
前記対象箇所又は前記交換部品の他方側に、前記軸部の前記横断溝に挿入される線状の弾性部材を設け、該弾性部材の両端部を当該他方側に固定したことを特徴とする交換部品の取付部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−146952(P2007−146952A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−341135(P2005−341135)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(000220505)日本電産トーソク株式会社 (189)
【Fターム(参考)】