説明

交流回路における接地モニタリング用システム、およびこのような接地モニタリングシステムを備える電力供給装置

【課題】 交流回路における接地モニタリング用システム、およびこのような接地モニタリングシステムを備える電力供給装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、交流回路における中性線(N’)側と接地導体(PE)側またはグランド側との間の交流回路を、抵抗(R1,R2,R3)の直列接続部による接地モニタリング用システム(10)であって、該直列接続部は中性線(N’)のための第1の接続部(101)と接地導体(PE)またはグランドのための第2の接続部(102)とを備える、システムにおいて、該システムは、直列接続部の抵抗(R1,R2,R3)のうちの1つの破損を検出するための破損検出手段を少なくとも備えるシステムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流回路の中性線側と接地導体側またはグランド側との間の交流回路における接地モニタリング用システムに関する。本発明はさらにまた、ポリシリコン反応炉用電力供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなシステムは図1に示され、参照符号10で示される。かかるシステムは、直列に接続された抵抗R1,R2,R3を含み、この直列接続部は、中性線N’用の第1の接続部101と、接地導体PEまたはグランド用の第2の接続部102とを含む。
【0003】
図1に示されたポリシリコン反応炉用電力供給装置1において、ポリシリコン反応炉には、シーメンス法に従ってポリシリコンを製造するためのシリコンバーまたはシリコン薄板の直列接続部が設けられる。この直列接続部2も図1に示されている。この場合、直列接続部2は、電力供給装置1に負荷として接続可能である。電力供給装置1は、変圧器11であって、その一次側111は電圧供給網L1,Nに接続可能であり、二次側112は、複数のタップ1121,1122,1123を含む、変圧器11と、制御部12と接地モニタリング用システム10とを含んでなる。二次側112のタップ1123は電力供給装置1の出力部の中性線接続部と結合され、少なくとも2つのタップ1121,1122は、出力調整部13を介して、電力供給装置の出力部の外部導体接続部と結合される。出力部の各接続部は、中性線N’と外部導体L1と結合される。制御部12を介して、電力供給装置1の出力調整部13は電圧シーケンス制御が可能である。
【0004】
ポリシリコン反応炉用電力供給装置1において利用される知られた接地モニタリング用システムの場合、接地部では、電流は、接地導体PE、システム10の第2の接続部102、抵抗R1,R2,R3の直列接続部を通り、接地モニタリング用システム10の第1の接続部101に、したがって電力供給装置1の中性線N’に流れる。接地モニタリング用システム10は、電流強度検出手段Imaxを備え、該電流強度検出手段Imaxは、第2の接続部102から、抵抗R1,R2,R3の直列接続部を通って、第1の接続部101まで流れる電流を検出する。抵抗R1,R2,R3の直列接続部を通過して十分な大きさの電流が流れるならば、電流強度検出手段Imaxによって接地が認識される。
【0005】
接地に基づいて抵抗R1,R2,R3の直列接続部を通過して流れる電流は、該直列接続部の各抵抗R1,R2,R3で、接地モニタリング用システムの第2の接続部102と比べて電圧の低下を伴う。知られた接地モニタリング用システムの場合、直列接続部の2つの抵抗R2,R3の間の少なくとも1つの結節部103に電圧検出手段Umaxが接続され、該電圧検出手段Umaxが、少なくとも1つの抵抗R3と接地モニタリング用システムの第2の接続部102とを亘る電圧を検出する。
【0006】
電流強度検出手段Imaxと電圧検出手段Umaxとは、出力部を含み、各出力部はバスとインターフェース103とを介して制御部12と結合されている。
【0007】
制御部において、インターフェース103を介して、システム10から付与される信号が評価されて、接地に適した基準が準備される。たとえば、電力供給装置1をオフとする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
冒頭で述べたタイプの、ポリシリコン反応炉用電力供給装置1における、冒頭で述べたタイプの接地モニタリング用システム10は、特に、電力供給装置1によって供給されるシリコンバーまたはシリコン薄板の直列接続部2の少なくとも一部を通過して、中性線N’と接地導体PEとの間を高オーミック結合する場合に、確実に機能する。基本的に、このような接地モニタリング用システム10によって、中性線N’と接地導体PEとの間の低オーミック結合でも、電力供給装置1によって供給されるシリコンバーまたはシリコン薄板の直列接続部2の一部を介して検出可能である。かかる場合、いずれにせよ、中性線N’と接地導体PEとの間で電圧降下は、場合によってはごくわずかであり、小電流が、接地モニタリング用システム10の抵抗R1,R2,R3を通過するにすぎない。第2の接続部102から、接地モニタリング用システム10の抵抗R1,R2,R3の直列接続部を通過して第1接続部101まで流れる電流の電流強度検出手段Imaxは、たしかに基本的にこのような小さな電流を検出するが、安全性には関連しない短絡、または他のごく短期の事象のために、電力供給装置1全体のオフを招き、よってポリシリコンの製造プロセスがストップしてしまう、または少なくとも中断することになり、これは望ましくないことである。したがって、抵抗R1,R2,R3の直列接続部を流れる電流が越える必要がある閾値であって、適切な安全装置を作動させ、電力供給装置1を停止させる閾値は、安全性には関連しない短絡、または他のごく短期の事象が電力供給装置1までをもオフにはしないような高さに調整される。したがって、このような接地モニタリング用システム10は、中性線N’と接地導体PEとの間が低オーミック結合である場合でも、電力供給装置1によって供給されるシリコンバーまたはシリコン薄板の直列接続部2の一部を介して応答しない。
【0009】
このような接地モニタリング用システム10のさらなる短所は、抵抗R1,R2,R3の直列接続部に破損があった場合に接地を検出することがもはやできないという点である。したがって、抵抗R1,R2,R3の直列接続部に破損が認められる場合には、電力供給装置1はオフにできることが望ましい。なぜなら、電力供給装置は、機能的な接地モニタリングを自由に行うことができないからである。
【0010】
本発明は、低オーミックを、重大ではない状況と確実に区別することが可能であり、抵抗の直列接続部に破損による接地モニタリング用システムの欠損をも検出することが可能となるように、接地モニタリング用システムを改良することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
抵抗の直列接続部における破損の検出に関して、接地モニタリング用システムは、直列接続部の抵抗の1つの破損を検出するための手段を少なくとも備えていることで課題が解決される。直列接続部に破損がある場合、それが検出され、接地モニタリング用システムを停止する信号を出力することが可能であり、それによって電力供給装置がオフになる。
【0012】
低オーミック接地の確実な検出に関しては、接地モニタリング用システムが直列接続部を通過して第1の接続部から第2の接続部に流れる電流を積分するための積分手段を備えることで課題が解決される。電流の積分によって、接地部を流れるエネルギを取得することができる。これが重大な量に達するときは、低オーミック接地を安全性とは関係がない結果から確実に区別することができる。
【0013】
両解決手段は、接地モニタリング用システムに共にまたは互いに隣接して使用可能である。
【0014】
第1の破損検出手段は、第1の電圧源と第1の結合ネットワークとを有してもよく、該第1の結合ネットワークを介して、直列接続部の少なくとも第1の抵抗が第1の電圧源に接続される。結合ネットワークは、変圧器であってもよく、これによって、第1の電圧源は第1の抵抗から直流的に絶縁される。第1の破損検出手段は、第1の電圧源から第1の抵抗を通過して流れる電流を検出する第1の電流強度検出手段を有してもよい。あるいは、第1の電流強度検出手段は、第1の電圧源を通過して流れる電流も取得してもよい。
【0015】
さらに、第1の破損検出手段は、第2の電圧源と第2の結合ネットワークとを有してもよく、該第2の結合ネットワークを介して、少なくとも第2の抵抗が第2の電圧源に接続される。また、第2の結合ネットワークは変圧器を介して構成されてもよい。第1の破損検出手段は、第2の電圧源から第2の抵抗を通過して流れる電流を検出する第2の電流強度検出手段を有してもよい。あるいは、第2の電流強度検出手段は、第2の電圧源を通過する電流を取得してもよい。
【0016】
第1の抵抗および第2の抵抗は、抵抗の直列接続部において、互いに隣接して設けられてもよい。それらの間には、共通結節部が設けられる。
【0017】
第1の電圧源から印加され第1の抵抗で降下する電圧と、第2の電圧源から印加され第2の抵抗で降下する電圧との総計は、好ましくは0または略0に等しい。したがって、第1の抵抗と第2の抵抗とからなる直列接続部では、破損検出に起因する電圧降下は生じない。しかしながら、第1の抵抗と第2の抵抗とからなる直列接続部では、接地の場合、発明に従った接地モニタリング用システムの一部であってもよい電圧検出手段によって検出され得る電圧が降下する。
【0018】
発明に従った接地モニタリング用システムは、第2の破損検出手段を少なくとも備えてもよい。第2の破損検出手段は、第3の電圧源と第3の結合ネットワークとを有してもよく、該第3の結合ネットワークを介して、少なくとも第3の抵抗は第3の電圧源に接続される。第3の結合ネットワークは、変圧器によって形成されてもよい。第2の破損検出手段は、第3の電圧源から第3の抵抗を通過して流れる電流、または第3の電流源を通過する電流を検出する第3の電流強度検出手段を有してもよい。
【0019】
発明に従った接地モニタリング用システムは、第1の接続部から直列接続部を通過して第2の接続部に流れる電流を検出する第4の電流強度検出手段を備えてもよい。
【0020】
接地モニタリング用システムは、分岐部を備え、該分岐部は、第1の接続部、直列接続部の2つの抵抗の間の結節部、直列接続部の2つの抵抗の間のさらなる結節部および/または第2の接続部に互いに接続され、かつ該分岐部は、第4の電圧源と制御可能なスイッチとを有し、該スイッチは各不連続な時点で制御部によって選択的に閉じてもよい。また有利なことに、各不連続な時点で、第1の破損検出手段と第2の破損検出手段とは動作しない。スイッチが閉じた状態において、第4の電圧源から、スイッチ、第1の接続部、直列接続部の2つの抵抗の間の結節部、直列接続部の2つの抵抗の間のさらなる結節部、および/または第2の接続部を介して、したがって抵抗からなる直列接続部の少なくとも一部を介して、電流が流れてもよい。第5の電流強度検出手段は、スイッチを通過して流れる電流を検出することができる。閉じられた制御可能なスイッチにもかかわらず、第4の電圧源からの電流が流れない場合、発明に従った接地モニタリング用システムの抵抗の直列接続部における破損が存在し得る。この制御可能なスイッチは、リレーであってもよい。
【0021】
発明に従った接地モニタリング用システムにおける電流検出手段は、電流リレーであってもよい。
【0022】
さらに詳しくは、本発明は、交流回路における中性線(N’)側と接地導体(PE)側またはグランド側との間の交流回路を、抵抗(R1,R2,R3)の直列接続部による接地モニタリングのためのシステム(10)であって、該直列接続部は中性線(N’)のための第1の接続部(101)と接地導体(PE)またはグランドのための第2の接続部(102)とを備える、システムにおいて、
該システムは、直列接続部の抵抗(R1,R2,R3)のうちの1つの破損を検出するための破損検出手段を少なくとも備えることを特徴とするシステムである。
【0023】
本発明において、破損検出手段のうちの第1の破損検出手段は、第1の電圧源(Um1)と、第1の結合ネットワーク(K1)とを有し、該結合ネットワークを介して、抵抗(R1,R2,R3)のうちの少なくとも1つの第1の抵抗(R1)が第1の電圧源(Um1)に接続されることを特徴とする。
【0024】
また本発明において、第1の破損検出手段は、第1の電圧源から第1の抵抗(R1)を通過して流れる電流(Im1)を検出する第1の電流強度検出手段(Im1max)を有することを特徴とする。
【0025】
また本発明において、第1の破損検出手段は、第2の電圧源(Um2)と、第2の結合ネットワーク(K2)とを有し、該結合ネットワークを介して、抵抗(R1,R2,R3)のうちの少なくとも1つの第2の抵抗(R2)は第2の電圧源(Um2)に接続されることを特徴とする。
【0026】
また本発明において、第1の破損検出手段は、第2の電圧源(Um2)から第2の抵抗(R2)を通過して流れる電流(Im2)を検出する第2の電流強度検出手段(Im2max)を有することを特徴とする。
【0027】
また本発明において、抵抗(R1,R2,R3)の直列接続部における第1の抵抗(R1)および第2の抵抗(R2)は、互いに隣接して設けられることを特徴とする。
【0028】
また本発明において、第1の電圧源(Um1)から印加され第1の抵抗(R1)で降下する電圧と、第2の電圧源(Um2)から印加され第2の抵抗(R2)で降下する電圧との総計が0または略0に等しいことを特徴とする。
【0029】
また本発明において、接地モニタリング用システムは、第3の電圧源(Um3)と第3の結合ネットワーク(K3)とを有する第2の破損検出手段を備え、該結合ネットワークを介して、抵抗(R1,R2,R3)のうちの少なくとも1つの第3の抵抗(R3)が第3の電圧源(Um3)に接続されることを特徴とする。
【0030】
また本発明において、第2の破損検出手段は、第3の電圧源(Um3)から第3の抵抗(R3)を通過して流れる電流(Im3)を検出する第3の電流強度検出手段(Im3max)を有することを特徴とする。
【0031】
また本発明において、接地モニタリング用システムは、第2の接続部(102)から抵抗(R1,R2,R3)の直列接続部を通過して第1の接続部(101)に流れる電流(I)を検出する第4の電流強度検出手段(Imax)を備えることを特徴とする。
【0032】
また本発明において、接地モニタリング用システムは、抵抗(R1,R2,R3)の直列接続部を通過して流れる電流(I)を積分する積分手段(Int)を備えることを特徴とする。
【0033】
また本発明において、接地モニタリング用システムは、直列接続部の抵抗(R1,R2)の少なくとも一部に並列に配置される分岐部を備え、該分岐部は第4の電圧源(U)と、制御可能なスイッチ(109)とを有し、該スイッチは各不連続な時点で制御部(109)によって選択的に閉じることを特徴とする。
【0034】
また本発明において、スイッチ(109)が閉じた状態において、第4の電圧源(U)は、スイッチ(109)を通過して電流(I)を流すことを特徴とする。
【0035】
また本発明において、接地モニタリング用システムは、スイッチ(109)を通過して流れる電流(I)を検出する第5の電流強度検出手段(Itmax)を備えることを特徴とする。
【0036】
また本発明は、シーメンス法に従ってポリシリコンを製造するためのシリコンバーまたはシリコン薄板の直列接続部(2)が設けられる、ポリシリコン反応炉用電力供給装置(1)であって、負荷としての直列接続部(2)が電力供給装置(1)に接続可能であり、
変圧器(11)であって、その一次側(111)が電圧供給回路(L1,N)に接続可能であり、その二次側(112)が複数のタップ(1121,1122,1123)を含み、1つのタップ(1123)は電力供給装置の出力部の中性線接続部と結合され、少なくとも2つのタップ(1121,1122)は出力調整部(13)を介して電力供給装置の出力部の外部導体接続部と結合される、変圧器(11)と、
制御部(12)であって、該制御部を介して、電力供給装置(1)の出力調整部(13)が電圧シーケンス制御可能である制御部(12)と、
接地モニタリング用システム(10)とを含む、電力供給装置において、
上述の接地モリタリング用システム(10)が設けられることを特徴とする電力供給装置である。
【0037】
前述の発明のさらなる特徴と利点は、添付の図を参照した以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】交流回路における接地モニタリング用システムを備える電流供給装置を示す。
【図2】発明に従った、第1の接地モニタリング用システムを示す。
【図3】発明に従った、第2の接地モニタリング用システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1、図2、図3に示す、各接地モニタリング用システムは、複数の同じまたは機能的に同じ構成エレメントまたは構成要素を備える。これらの構成エレメントまたは構成要素は、図においては、同じ参照符号が付されている。図2および図3に示された、発明に従った2つのシステムの構成エレメント、構成要素、および/または部品は、すべて、または部分的に、さらなる発明に従ったシステムを創るために組み合わせることが可能である。
【0040】
図2と図3とに示す接地モニタリング用システム10は、図1に示された接地モニタリング用システム10の代わりに、図1において同じように示された電力供給装置に利用することが可能である。
【0041】
図2に示す、接地モニタリング用システム10は、第1の破損検出手段を備える。該第1の破損検出手段は、第1の電圧源Um1と、第1の結合ネットワークK1とを含み、変圧器を介して形成される。この第1の電圧源Um1は、変圧器K1と一次側で結合される。二次側では、接地モニタリング用システムの抵抗R1,R2,R3の直列接続部の第1の抵抗R1が接続される。
【0042】
第1の破損検出手段は、さらにまた、第2の電圧源Um2と、第2の結合ネットワークK2とを含み、同様に変圧器を介して形成される。第2の電圧源Um2は、変圧器K2と一次側で結合される。二次側では、接地モニタリング用システム10の抵抗R1,R2,R3の直列接続部の第2の抵抗R2が接続される。
【0043】
第1の電圧源Um1、第2の電圧源Um2、変圧器K1、および変圧器K2は、二次側電圧が相殺され、そして第1の抵抗R1と第2の抵抗R2とからなる直列接続部を介して、第1の電圧源Um1または第2の電圧源Um2に由来するであろう電圧が総計においては低下しないように構成されてなり、電圧源Um1,Um2によって自由に使用可能となる電圧が査定される。外部電圧源の破損を検出する第1の破損検出手段に起因する電圧の降下が、第1の抵抗R1と第2の抵抗R2とからなる直列接続部に起こり得る。
【0044】
第1の破損検出手段は、さらにまた第1の電力強度検出手段Im1max、たとえば、第1の電圧源Um1から第1の抵抗R1を通過して流れる電流Im1を検出する電流リレーを含む。さらに、第1の電力強度検出手段Im1maxは、変圧器K1の二次側と第1の抵抗R1とによって形成される回路内に設けられる取得要素106を含む。この場合、取得要素106は、変圧器K1の二次側に直列に設けられている。
【0045】
第1の抵抗R1を通過した電流Im1が十分大きい場合、第1の抵抗R1は破損していないと確定される。しかしながら、電流Im1が存在しない場合は、第1の抵抗R1は破損していると判断せざるを得ない。
【0046】
第1の破損検出手段はさらにまた、第2の電流強度検出手段Im2maxと、第2の電圧源Um2から第2の抵抗R2を通過して流れる電流Im2を検出する電流リレーとを含む。ここにおいて、抵抗R2を通過した電流Im2が、十分な強度である場合、抵抗R2は破損していないと確定される。電流Im2が存在しない場合には、第2の抵抗R2は破損していると判断せざるを得ない。
【0047】
第2の電流強度検出手段Im2maxは、変圧器K2の二次側と第2の抵抗R2とによって形成される回路内に設けられる取得要素107を含む。この場合、取得要素107は、変圧器K2の二次側に直列に設けられ、したがって、電流Im2だけが取得要素107を通過して流れることができる。
【0048】
図3に示す、接地モニタリング用システム10はさらにまた、第2の破損検出手段を備える。該第2の破損検出手段は、第3の電圧源Um3と、第3の結合ネットワークK3と、第3の電圧源Um3から、抵抗R3を通過して流れる電流を検出する第3の電流強度検出手段Im3maxとを含む。該第3の抵抗R3は、変圧器を介して形成される結合ネットワークK3を介して、第3の電圧源Um3に結合される。第3の電流強度検出手段Im3maxは、変圧器K3の二次側に直列に設けられる取得要素108を含む。第3の電流強度検出手段Im3maxは電流リレーであってもよい。
【0049】
第3の抵抗R3が破損していない限り、第3の電圧源Um3は、電流を、変圧器K3の二次側と、取得要素108と、第3の抵抗R3によって形成される回路を通過させることが可能である。反対に、第3の抵抗R3が破損している場合には、この電流は流れない。第3の電流強度検出手段Im3maxは、これを検出し、電力供給装置1の制御部12に接続した接地モニタリング用システムの出力部103を介して破損を報知する。
【0050】
図2に従った、発明に従うシステム10はさらにまた、第2の接続部102から、抵抗R1,R2,R3の直列接続部を通過して第1の接続部に流れる電流を検出する第4の電流強度検出手段Imaxを含む。さらに、該第4の電流強度検出手段Imaxは、第1の接続部101よりも後段に設けられる取得要素109を含む。該第4の電流強度検出手段Imaxの場合も、電流リレーであってもよい。第4の電流強度検出手段Imaxによって検出され、電力供給装置1の制御部12に接続される接地モニタリング用システム10の接続部103を介して報知される電流が、接地の場合、抵抗R1,R2,R3の直列接続部を通過する。
【0051】
取得要素109はさらにまた、取得された電流を積分する積分手段Intと結合される。抵抗R1,R2,R3の直列接続部を通過して流れる電流の積分は、接地において流れるエネルギを保証することになる。流出するエネルギのパッケージは、接地と他の安全性にとって問題とならない現象との区別に利用することが可能である。
【0052】
図2に示す接地モニタリング用システムは、抵抗R2とR3との間にある結節部104と、第2の接続部すなわち接地導体PEとの間で、低下する電圧を検出する、電圧検出手段Umaxを備える。電流が、接地のために抵抗R1,R2,R3の直列接続部を流れる場合、抵抗R1,R2,R3の直列接続部を通過した後、電圧は低下する。この電圧は、電圧検出手段Umaxによって検出され、制御部によって、接地に関する指標として利用することが可能である。
【0053】
図3に示す、発明に従った接地モニタリング用システム10は、図2に示すものと大半において対応する。図2に示す接地モニタリング用システムとは異なり、図3に示す接地モニタリング用システム10には第1の破損検出手段が設けられていない。単に第2の破損検出手段が設けられているのみであり、該破損検出手段によって、第3の抵抗R3の破損について連続的に監視される。
【0054】
それに対して、抵抗R1およびR2については連続した破損検出は行われない。抵抗R1およびR2ついては、たとえば、電力供給装置1からの直列接続部2への電力供給を開始する前に、各不連続な時点で破損について検査することが可能な手段が設けられる。
【0055】
各不連続な時点で破損を検出する手段は、第1の接続部101と結節部104とを互いに結合し、第4の電圧源Uと制御可能なスイッチ109とを有する分岐部を含み、該スイッチは各不連続な時点で、接続部に対する制御部12を介して制御可能である。スイッチが閉じた状態である場合、第4の電圧源Uは、スイッチ109と、抵抗R1およびR2とを通過する電流Iを流す。分岐部を通過して流れる電流Iは、第5の電流強度検出手段Itmaxによって検出される。したがって、不連続な時点で、抵抗R1とR2とが破損しているか否かを確認することが可能である。第5の電流強度検出手段Itmaxの出力部は、インターフェース103を介して制御部12と結合されている。
【符号の説明】
【0056】
1 電力供給装置
2 直列接続部
10 接地モニタリング用システム
101 第1の接続部
102 第2の接続部
11 変圧器
111 一次側
112 二次側
1121,1122,1123 タップ
12 制御部
13 出力調整部
R1,R2,R3 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流回路における中性線(N’)側と接地導体(PE)側またはグランド側との間の交流回路における、抵抗(R1,R2,R3)の直列接続部による接地モニタリングのためのシステム(10)であって、該直列接続部は中性線(N’)のための第1の接続部(101)と接地導体(PE)またはグランドのための第2の接続部(102)とを含む、システムにおいて、
該システムは、直列接続部の抵抗(R1,R2,R3)のうちの1つの破損を検出するための破損検出手段を少なくとも備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
破損検出手段のうちの第1の破損検出手段は、第1の電圧源(Um1)と、第1の結合ネットワーク(K1)とを有し、該結合ネットワークを介して、抵抗(R1,R2,R3)のうちの少なくとも1つの第1の抵抗(R1)が第1の電圧源(Um1)に接続されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
第1の破損検出手段は、第1の電圧源から第1の抵抗(R1)を通過して流れる電流(Im1)を検出する第1の電流強度検出手段(Im1max)を有することを特徴とする、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
第1の破損検出手段は、第2の電圧源(Um2)と、第2の結合ネットワーク(K2)とを有し、該結合ネットワークを介して、抵抗(R1,R2,R3)のうちの少なくとも1つの第2の抵抗(R2)は第2の電圧源(Um2)に接続されることを特徴とする、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
第1の破損検出手段は、第2の電圧源(Um2)から第2の抵抗(R2)を通過して流れる電流(Im2)を検出する第2の電流強度検出手段(Im2max)を有することを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
抵抗(R1,R2,R3)の直列接続部における第1の抵抗(R1)および第2の抵抗(R2)は、互いに隣接して設けられることを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
第1の電圧源(Um1)から印加され第1の抵抗(R1)で降下する電圧と、第2の電圧源(Um2)から印加され第2の抵抗(R2)で降下する電圧との総計が0または略0に等しいことを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
第3の電圧源(Um3)と第3の結合ネットワーク(K3)とを有する第2の破損検出手段を備え、該結合ネットワークを介して、抵抗(R1,R2,R3)のうちの少なくとも1つの第3の抵抗(R3)が第3の電圧源(Um3)に接続されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
第2の破損検出手段は、第3の電圧源(Um3)から第3の抵抗(R3)を通過して流れる電流(Im3)を検出する第3の電流強度検出手段(Im3max)を有することを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
第2の接続部(102)から抵抗(R1,R2,R3)の直列接続部を通過して第1の接続部(101)に流れる電流(I)を検出する第4の電流強度検出手段(Imax)を備えることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
抵抗(R1,R2,R3)の直列接続部を通過して流れる電流(I)を積分する積分手段(Int)を備えることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
直列接続部の抵抗(R1,R2)の少なくとも一部に並列に配置される分岐部を備え、該分岐部は第4の電圧源(U)と、制御可能なスイッチ(109)とを有し、該スイッチは各不連続な時点で制御部(109)によって選択的に閉じることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
スイッチ(109)が閉じた状態において、第4の電圧源(U)は、スイッチ(109)を通過して電流(I)を流すことを特徴とする、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
スイッチ(109)を通過して流れる電流(I)を検出する第5の電流強度検出手段(Itmax)を備えることを特徴とする、請求項12または13に記載のシステム。
【請求項15】
シーメンス法に従ってポリシリコンを製造するためのシリコンバーまたはシリコン薄板の直列接続部(2)が設けられる、ポリシリコン反応炉用電力供給装置(1)であって、負荷としての直列接続部(2)が電力供給装置(1)に接続可能であり、
変圧器(11)であって、その一次側(111)が電圧供給回路(L1,N)に接続可能であり、その二次側(112)が複数のタップ(1121,1122,1123)を含み、1つのタップ(1123)は電力供給装置の出力部の中性線接続部と結合され、少なくとも2つのタップ(1121,1122)は出力調整部(13)を介して電力供給装置の出力部の外部導体接続部と結合される、変圧器(11)と、
制御部(12)であって、該制御部を介して、電力供給装置(1)の出力調整部(13)が電圧シーケンス制御可能である制御部(12)と、
接地モニタリング用システム(10)とを含む、電力供給装置において、
請求項1〜14のいずれか1項に記載の接地モリタリング用システム(10)が設けられることを特徴とする電力供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−220501(P2012−220501A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−92517(P2012−92517)
【出願日】平成24年4月13日(2012.4.13)
【出願人】(511011861)
【氏名又は名称原語表記】AEG Power Solutions B.V.
【住所又は居所原語表記】Weerenweg 29 Zwanenburg The Netherlands
【Fターム(参考)】