交通情報提供装置,交通情報提供方法
【課題】
所望の事象下での交通情報を的確に予測することを目的とする。
【解決手段】
数分間隔の旅行時間といった日単位ではない数値的交通情報の予測に日種等を反映させ、交通情報を蓄積した期間に予測対象日と同じ日種の組み合わせの日(同じ事象の日)が存在せずとも、蓄積された過去の交通情報を適宜合成して、目的とする日種の組み合わせの交通情報を予測する予測計算手段を備える。予測計算手段は、交通情報の日単位の特徴量を幾つか組み合わせて、事象を近似的に復元,予測する。
また、事後の日種カスタマイズを可能とする日種分類設定手段と、遅延時間階級値と遅延発生確率との組み合わせ又は遅延リスクレベルで表現される到着時間遅延リスクを提供する時間遅延リスク提供手段を有する。
所望の事象下での交通情報を的確に予測することを目的とする。
【解決手段】
数分間隔の旅行時間といった日単位ではない数値的交通情報の予測に日種等を反映させ、交通情報を蓄積した期間に予測対象日と同じ日種の組み合わせの日(同じ事象の日)が存在せずとも、蓄積された過去の交通情報を適宜合成して、目的とする日種の組み合わせの交通情報を予測する予測計算手段を備える。予測計算手段は、交通情報の日単位の特徴量を幾つか組み合わせて、事象を近似的に復元,予測する。
また、事後の日種カスタマイズを可能とする日種分類設定手段と、遅延時間階級値と遅延発生確率との組み合わせ又は遅延リスクレベルで表現される到着時間遅延リスクを提供する時間遅延リスク提供手段を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通情報の提供に関し、特に曜日や五十日(ごとおび)等の日種を加味し、到着時間遅延リスクを含んだ交通情報の提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の交通情報予測方法の主流の一つである数量化I類を用いた方法は、旅行時間,渋滞度,交通量等の数値的交通情報を、日種を反映して予測することが可能である。この交通情報予測方法の適用対象は、例えば1日あたりの地点交通量や、ある特定の時間帯の渋滞度等、日単位の交通情報の予測である。しかし、日種を数量化I類の説明変量とした場合、説明変量が日単位の情報であるため、数分間隔の旅行時間等、日単位ではない交通情報の予測には不向きである。
【0003】
この点、数分間隔の旅行時間等、任意の周期の交通情報の予測を行うことが可能な技術として、例えば首都高速道路公団の所要時間案内のように、交通情報を日種で分類して蓄積する方法を用いることが知られている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−118188号公報
【非特許文献1】http://mex.survey.ne.jp/mexntime/
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
日種で分類された交通情報を用いて予測を行う際には、予測対象の日が月曜日であり且つ五十日であるという具合に、日種が組み合わさっている場合がある。
【0006】
しかしながら、上記の技術では予測対象日の事象、即ち日種の組み合わせの下での過去の交通情報を検索して予測計算を行うため、予測対象日の事象が交通情報を蓄積した期間に存在しない場合には的確な予測をすることができない。
【0007】
上記問題点に鑑み本発明は、所望の日種の組み合わせをユーザ側でも選択可能とし、交通情報提供方法を実現することを目的とする。
【0008】
また、上記の説明によって述べた従来の交通情報提供方法は、区間の所要時間値の予測を対象としているため、対象区間における通常走行時に対する遅れのリスクまでは予測対象としていない。
【0009】
上記問題点に対して本発明は、交通情報の予測によって道路の到着遅延リスクの提供装置を実現するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、二地点間の予測対象経路を含んだ地域の地図を表示し、予測対象日の日種または予測対象日の日付の入力を受け付け、予測対象経路の過去の交通情報時系列データに基づいて、入力された複数の日種に応じた交通情報時系列データを求め、求められた交通情報時系列データをグラフとして表示する。
【0011】
また、過去の交通情報時系列データから、基底成分と、基底成分から交通情報時系列データを近似する際に各基底成分に係数として係る特徴量とを求め、計算対象期間における1日毎の日種の組み合わせ情報と特徴量とから、複数の日種の関数として特徴量を近似する特徴量推定モデルの係数を求め、未来の或る日の日種の組み合わせ情報について特徴量推定モデルで特徴量推定値を求め、特徴量推定値を係数として基底成分を合成して得られた交通情報を提供する。
【0012】
そして、交通情報提供装置が二地点間の予測対象経路を指定する経路入力装置あるいは地域を指定する地域入力装置と、前記予測対象経路における日種分類を設定する日種分類設定手段とを備える。
【0013】
また本発明は、交通情報提供装置が、遅延時間階級値と遅延発生確率との組み合わせ、または遅延リスクレベルで表現される到着時間遅延リスクを提供する時間遅延リスク提供手段を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、所望の事象下での交通情報を予測することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の交通情報の提供について以下図を用いて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の一実施形態である交通情報予測システムの操作画面である。日付入力フィールド101は予測対象日の日付を入力するインターフェースである。推奨経路入力フィールド102は、予測対象となる経路を指定するインターフェースであり、地図表示フィールド103において出発地104と目的地105を設定し、経路探索ボタン106を選択することで、地図表示フィールド103に交通情報の予測対象経路107が表示される。日付入力フィールド101で日付を指定し、推奨経路入力フィールド102で予測対象経路を決定してから、予測実行ボタン108を選択すると、推奨経路107上での旅行時間表示フィールド109に旅行時間予測グラフ110が表示される。誤差範囲111は、或る時刻に予測対象経路を走行した場合に、例えば80%の確率で実旅行時間がとり得る誤差の範囲を、時系列上に表したものである。
【0017】
地図表示フィールド103に表示される地図は、その周囲に配置されたスクロールボタン112を選択するか、地図そのものをドラッグすることでスクロール可能であり、尺度表示フィールド113上の適当な位置を選択することで、尺度を変更することができる。推奨経路入力フィールド102内の経路情報表示フィールド114には、推奨経路上での走行距離,特定の時刻における旅行時間や消費燃料等の予測情報が表示される。経路情報表示フィールド114に旅行時間や消費燃料を表示する対象となる時刻は、旅行時間表示フィールド109の時刻軸115の上の適当な位置を選択することで、時刻カーソル116によって指定することができる。また、予測対象経路107を決定する上で交通情報を反映した動的経路探索アルゴリズムを使用した場合には、予測対象経路は時刻によって変化するので、その時刻も時刻カーソル116で指定することができる。経路探索アルゴリズムで予測対象経路を決定する際の時間優先,距離優先といった探索条件は、探索条件指定フィールド117で指定することができる。
【0018】
図1では日付入力フィールド101から予測対象日の日付を入力したが、これに代えて、図2の日種入力フィールド201から曜日,五十日,平日/休日,大型連休,学校休業期間,天気等の日種の組み合わせを入力して交通情報の予測を実施することも可能である。図1の操作画面においては、日付入力フィールドと日種入力フィールドをタブ型のインターフェースで排他的に切り替えて使用する。本実施例では、日種入力フィールド201に「平日/休日」入力フィールド202,「季節」入力フィールド203,「天気」入力フィールド204があり、各フィールド内における項目はそれぞれに排他的に選択される。例えば、「平日/休日」入力フィールドというカテゴリでは「平日」,「休日・祝祭日」,「連休」は排他的であり、そのうち1つだけを予測対象日の日種として選択することができる。図2の例においては、この排他的選択をラジオボタン型のインターフェースで実現している。図では、○が選択可能、◎が実際に選択したものを表している。
【0019】
一方、各フィールド同士は排他的ではなく、各フィールド内で選択したものを組み合わせて日種を表現することができる。図2の例においては、「平日/休日」入力フィールドから「平日」,「季節」入力フィールドから「春」,「天気」入力フィールドから「雨」を選択し、その組み合わせである「平日∧春∧雨」という日種について交通情報の予測を行う。
【0020】
また、「その他」入力フィールド205にある日種「五十日」,「学校休業期間」は互いに排他的ではない日種であり、図2の例ではチェックボックス型のインターフェースで構成している。「その他」入力フィールド205における日種は、他の何れのフィールドの日種とも同時に選択することが可能であり、例えば図2の例においては「五十日」,
「学校休業期間」双方を選択した場合、201〜203のフィールドで選択された日種と合わせて、「平日∧春∧雨∧五十日∧学校休業期間」という日種の組み合わせの下で交通情報の予測が行われる。なお、天気のように日付と独立な日種は、日付入力フィールド
101に示したように、日付と同時に入力することも可能である。
【0021】
図1の例では、推奨経路入力フィールド102において出発地と目的地を指定して、経路探索アルゴリズムにより予測対象経路を自動的に設定したが、これに代えて、図3の自由経路入力フィールド301を用いて、ユーザーが自由に予測対象経路を指定することも可能である。その際、ユーザーは地図表示フィールド103上のリンクを選択して経路の入力を行い、経路確定ボタン302を選択することで予測対象経路が確定される。予測対象経路を入力し直す場合は、経路クリアボタン303を選択する。
【0022】
また、図4の区間入力フィールド401を用いれば、予め交通情報予測システム側で用意した区間を用いて、交通情報の予測を行うことが可能である。区間リスト402は区間名で表したリストであり、区間リスト402から区間を選択し、区間選択ボタン403を選択することで予測対象となる区間が確定され、地図表示フィールド103に予測対象経路が表示される。図1の操作画面においては、推奨経路入力フィールドと自由経路入力フィールドと区間入力フィールドをタブ型のインターフェースで排他的に切り替えて使用する。
【0023】
図5は、交通情報予測システムに必要な予測手法の概念図である。図1,図2に示したように任意の日種の組み合わせの下で、1時間単位,10分単位,1分単位など日単位
(24時間単位)ではない交通情報の予測を行うには、従来の日種を説明変量とした数量化I類、あるいは日種分類といった手法では対応できない。そこで、図5のS501において、VICS情報の受信やプローブカーの情報収集によって得られ蓄積された過去の交通情報時系列データから、それら交通情報時系列データを線形和により1日分ずつ近似的に合成可能な複数の基底成分と、基底成分から交通情報を合成する際に各基底成分に係数として係る日単位の特徴量を計算し、S502において、特徴量を複数の日種の関数として表す予測モデルの予測係数を決定する。
【0024】
本システムにおいて交通情報時系列データを基底成分と特徴量で表すという考え方は、任意の時系列データは複数の直交関数の合成値として近似的に表現されるという概念を基礎としている。信号処理の手法であるフーリエ変換は、任意の信号を、周期の異なる複数の三角関数の合成波形として表す。本願でいう基底成分と特徴量は、フーリエ変換における三角関数と、複数の三角関数を線形合成する際に各三角関数に係る係数に相当する。
【0025】
また、本システムにおいて特徴量を日種と関連付けて予測する考え方は、同じような原因から同じような結果が得られるという経験則を基礎としている。概念的な対応を挙げるとすれば、天気予報や株価のテクニカル分析のようなものである。明日の天気予報の降水確率が10%とあれば、今日の天気図と過去の似たような天気図を比較して、過去の似たような天気図から翌日雨が降った相対度数が0.10 程度であったということである。従って、天気予報というシステムは本システムと同様の考え方である。また、過去の株価の推移から翌日以降所定期間の株価が上昇していく相対度数が0.90 以上であれば、買いサインを出すというようなシステムも本システムと同様の考え方である。本願でいう特徴量や特徴量の予測値を、PERやRSI,ボリンジャーバンドと考えると分かり易い。
【0026】
図1において予測実行ボタン108を選択した際に、かかる予測モデルを用いて交通情報の予測を行うには、S503において予測モデルに日種情報を入力し、S504において予測モデルを用いて特徴量の予測値を計算し、この特徴量予測値を係数として、S501で計算された基底成分をS505において交通情報として合成することで、交通情報予測値の時系列データを得ることができる。このように日単位の特徴量を日種の関数として予測計算し、計算された特徴量予測値を交通情報に変換することで、任意の周期の交通情報を任意の日種の組み合わせの下で予測計算することができる。従って、図2に示した日種入力フィールド201のようなインターフェースを用いて、図1の旅行時間予測グラフ
110のような形で旅行時間や渋滞度等の時系列データの予測値を提供することができる。
【0027】
図6は、図5に概念を示した予測手法を備えた交通情報予測システムの一実施形態のブロック図である。特徴量抽出装置601は、以下のように基底成分と日単位の特徴量とを計算する。即ち、VICS情報の受信やプローブカーによる情報収集によって得られたデータであって、交通情報データベース(以下、DBという)602に蓄積された、旅行時間,渋滞度,交通量等の過去の交通情報時系列データから、主成分分析等の手法により、基底成分と特徴量とを計算する。基底成分は、特徴量を係数として元の交通情報を合成するのに必要であり、複数得られる。複数の基底成分は、それら交通情報を線形和により1日分ずつ近似的に合成可能である。また特徴量も複数得られ、基底成分から交通情報を合成する際に各基底成分に係数として係る。このとき、特徴量抽出装置601は、特徴量を予測係数決定装置603に出力し、基底成分を交通情報合成装置604に出力する。交通情報から基底成分と特徴量を計算し、それぞれ交通情報合成装置と予測係数決定装置に出力する以上の処理は、図5におけるS501の処理に相当する。
【0028】
特徴量の計算に主成分分析を用いる場合には、基底成分は特徴量と同時に一意に計算される。一方、基底成分として互いに直交する複数の関数を予め指定して特徴量を計算することも可能である。フーリエ変換はその一例であり、フーリエ変換を特徴量の計算に用いた場合には、基底成分は異なる周期を持った複数の三角関数が用いられる。
【0029】
予測係数決定装置603は、特徴量抽出装置601から入力された特徴量と、特徴量抽出装置601における特徴量計算の対象となった期間の日種情報とから、数量化I類等の手法により、予測係数を計算する。この予測係数は、特徴量予測装置605において日種をパラメータとする予測モデルによって上記日単位の特徴量の予測値を計算するためのものである。計算された予測係数は、特徴量予測装置605に記録される。なお、上記日種情報は曜日,五十日,平日/休日,大型連休,学校休業期間,天気等であって、日種DB606に記録されているものである。予測係数決定装置において予測係数を計算する以上の処理は、図5におけるS502の処理に相当する。
【0030】
特徴量の予測計算に数量化I類を用いる場合は、予測モデルの関数形は日種の線形和であり、N種類の日種に該当するか否かをそれぞれ1と0で表す二値説明変量d1,d2,…,dN、予測係数a1,a2,…,aNを用いて、予測対象である特徴量Tは
T=a1×d1+a2×d2+…+aN×dN
と表される。一方、例えば気温や降水量などの数値データを予測モデルに反映させる場合には、上式に多値説明変量x1,x2,…,xMの項を加え、
T=a1×d1+a2×d2+…+aN×dN+b1×x1+b2×x2
+…+bM×xM
と表される予測モデルを用いる。上式では多値説明変量の項を1次の項としているが、2次,3次などの項を持つ予測モデルも考えられる。
【0031】
交通情報の予測を行う際には、予測対象日の事象に応じて、予測モデルで必要とされる日種パラメータを特徴量予測装置605に入力する。特徴量予測装置605は、人によって入力された日種パラメータと、予測係数決定装置603から入力され記録されている予測係数を用いて特徴量予測値を計算し、その特徴量予測値を交通情報合成装置604に出力する。これは図5におけるS504の処理に相当する。
【0032】
交通情報合成装置604は、上記特徴量予測値を係数として、特徴量抽出装置601から入力され記録されている基底成分を合成する計算を行う。この合成値が、特徴量予測装置605に入力された日種パラメータに対応した交通情報の予測値であり、交通情報表示装置607に出力される。なお、図6では交通情報の予測値を交通情報表示装置607に出力したが、予測された交通情報はカーナビゲーション装置における経路探索手段や、配車管理システムの配車計画手段の入力として用いること等も可能である。
【0033】
図12は交通情報を予測するための処理フローである。以下、図12の処理フローについて、図6の実施例に従って説明する。
【0034】
S1201:特徴量抽出装置601において、交通情報DB602に蓄積された過去の交通情報から、それらを近似的に合成可能な上記基底成分と、基底成分から元の交通情報を合成する際に係数として係る上記特徴量を計算する。
【0035】
S1202:S1201で計算された基底成分を交通情報合成装置604に記録する。
【0036】
S1203:予測係数決定装置603において、日種をパラメータとする予測モデルによって上記特徴量の予測値を計算するための予測係数を、S1201で計算された特徴量と、日種DB606から読み出された日種情報から計算する。
【0037】
S1204:S1203で計算された予測係数を特徴量予測装置605に記録する。
【0038】
S1205:特定の日の交通情報を予測する際はS1206に、事象を指定して交通情報を予測する際はS1207に処理を進める。
【0039】
S1206:日付入力装置801で予測対象日の日付の入力を受け、日種予定DB802および天気の情報が必要であれば天気予報DB804から当該日の日種情報を読み出し、特徴量予測装置605に入力する。
【0040】
S1207:日種入力装置805で予測対象となる事象を表す日種情報の入力を受け、日種情報を特徴量予測装置605に入力する。
【0041】
S1208:特徴量予測装置605において、S1206もしくはS1207で入力された日種情報から、S1204で記録された予測係数を用いて、予測対象となる日の事象に応じた特徴量の予測値を計算する。
【0042】
S1209:S1208で計算された特徴量予測値から、S1202で記録された基底成分を用いて、交通情報合成装置604において交通情報の予測値を計算する。
【0043】
図6の実施例による交通情報予測システムでは、特徴量の抽出から交通情報の予測に至る過程を一連の処理として扱っているが、図7のように予測に必要なDBを事前に作成する処理と、予測の都度演算を行う処理に分けて非同期に実施することも可能である。図6に示した特徴量抽出装置601,予測係数決定装置603は、図7の実施例では交通情報予測DB作成装置701を構成する。特徴量抽出装置702,予測係数決定装置703においてそれぞれ計算される基底成分ならびに予測係数は、交通情報予測DB704に記録される。交通情報予測DB作成装置701において交通情報時系列データから基底成分と予測係数を計算して交通情報予測DB704に記録する以上の処理は、予測の都度必要になる演算処理と区別して事前に実施することが可能であり、この処理により交通情報予測DB704に記録された基底成分ならびに予測係数の更新が必要となるのは、予測に用いる交通情報DB705内の交通情報が更新された場合、あるいは、予測モデルが変更された場合である。
【0044】
図6において交通情報を予測する過程で用いられる特徴量予測装置605,交通情報合成装置604は、図7の実施例では交通情報予測装置706を構成する。交通情報予測装置706は日種パラメータが入力されると、それを特徴量予測装置707に受け渡し、特徴量予測装置707および交通情報合成装置708は、交通情報予測DB704からそれぞれ予測係数ならびに基底成分を読み出し、日種パラメータに応じた交通情報の予測値を出力する。交通情報予測装置706において日種パラメータから交通情報の予測値を計算する以上の処理は、異なる日種パラメータに対して交通情報の予測を行う都度、必要となる処理である。
【0045】
交通情報を予測するための処理フローについて図12を用いて補足する。上記図6の実施例に則した処理フローに対し、図7の実施例では、S1202,S1204それぞれにおける基底成分と予測係数の記録が交通情報予測DB704に為され、S1208,
S1209では、基底成分と予測係数の読み出しが交通情報予測DB704から為される。
【0046】
図8は、日種パラメータの入力例であって、図6および図7の実施例で交通情報予測システムに日種パラメータを入力する手段を示したブロック図である。日付入力装置801では、図1に例示した操作画面を通してユーザーから入力された日付に応じて、未来の日種情報を格納した日種予定DB802から該当する日付の日種情報を読み出し、図6あるいは図7で示した特徴量予測装置803へ出力する。このとき、特徴量予測装置803が日種パラメータとして天気情報をも用いた予測計算を行うものであり、かつ、天気情報としてユーザーが指定する天気ではなく天気予報情報を用いるのであれば、天気予報DB
804から日種DB802へ該当する日付の天気予報情報を読み出し、その他の日種情報と合わせて特徴量予測装置803へ出力する。
【0047】
日種入力装置805では、図2に例示した操作画面を通して、ユーザーが曜日,五十日,平日/休日,大型連休,学校休業期間,天気等といった日種を自由に組み合わせて、特徴量予測装置803に入力し、交通情報を予測計算することが可能である。なお、日種選択の操作画面に表示される日種は、交通情報の提供における予測モデルで必要とする日種パラメータに応じて構成されるものであり、図2の実施例に限定されるものではない。
【0048】
図8では日付あるいは日種をユーザーが入力するものとしているが、カーナビゲーション装置や配車管理システム等を構成するプログラムが自動的に、日付あるいは日種を日付入力装置801あるいは日種入力装置805に入力しても差し支えない。
【0049】
図9は、交通情報の提供について、通信型ナビゲーション装置ならびに交通情報センターに適用した実施例を示すブロック図である。本願の交通情報予測システムによれば、交通情報の提供は、図6,図7に示した日種パラメータ,特徴量の予測係数および交通情報の基底成分から交通情報の予測計算が可能であり、特徴量の予測係数および交通情報の基底成分の情報量は、これらの情報を基に計算される交通情報予測値の情報量よりも小さい。つまり、通信量を小さく抑えることができ、通信回線を使用して交通情報を提供する際に好ましい実施形態であるといえる。図9の実施例においては、図7の交通情報予測データベース704を交通情報センター901に置き、交通情報予測装置706を通信型ナビゲーション装置902に搭載することで、予測交通情報提供の際に送信の必要な情報を交通情報予測値そのものではなく、上記日種パラメータ,予測係数,基底成分のみとしている。
【0050】
図7の交通情報予測DB作成装置701ならびに交通情報予測DB704は、交通情報センター901に設置され、交通情報予測DB作成装置903による予測係数と基底成分の計算と、それらの交通情報予測DB904への記録は、交通情報センター901から通信型ナビゲーション装置902への予測交通情報の提供とは独立した処理として非同期に実施される。通信型ナビゲーション装置902において交通情報の予測計算を行う際には、交通情報センター901に予測対象日の日付を送信し、交通情報センター901から予測係数,基底成分,前記送信した日付に対応した日種パラメータを受け取り、交通情報予測装置905にて交通情報の予測値を計算する。
【0051】
交通情報センター901から通信型ナビゲーション装置902へ予測交通情報を提供する際の通信データは、図10のフォーマットに従い、交通情報の予測計算単位であるリンクや区間毎の日種パラメータ,予測係数,基底成分から構成される。図10では、予測リンク/区間毎に日種パラメータ,予測係数,基底成分をまとめているが、図11のように、日種パラメータ,予測係数,基底成分といった情報種別毎に各予測リンク/区間の情報をまとめたフォーマットをとることも可能であり、交通情報予測装置905による予測計算に必要な日種パラメータ,予測係数,基底成分を予測対象の各予測区間について送信できる通信フォーマットであれば、その実施形態は図10,図11のフォーマットにとらわれない。なお、複数のリンク/区間の予測を行う場合には、日種パラメータは各予測リンク/区間について同一である場合もあり、そのような場合には日種パラメータを重複して送信する必要はない。
【0052】
図9の実施例では、通信型ナビゲーション装置から予測対象日の日付を交通情報センター901に送信し、交通情報センター901において図8に示した日付入力装置801を介して生成された日種パラメータを通信型ナビゲーション装置902に送り返している。これに対して、交通情報センター901に置かれている日付入力装置906と日種予定
DB907を通信型ナビゲーション装置902に搭載して、日付から日種パラメータを生成する処理を通信型ナビゲーション装置902側でオフラインで実施する、あるいは、通信型ナビゲーション装置902に日種入力装置805を搭載して、オフラインで日種パラメータを直接入力することも可能である。
【0053】
その際、図10,図11の通信フォーマットからは日種パラメータが除外される。交通情報予測装置905を構成する特徴量予測装置707と交通情報合成装置708とを分けて、前者を交通情報センター901に置き、後者を通信型ナビゲーション装置902に搭載することも可能であり、その場合は、特徴量の予測は交通情報センター901にて実施され、図10,図11の通信フォーマットからは日種パラメータと予測係数が除外され、代わりに特徴量予測値が付加される。なお、日付入力装置906と日種予定DB907を通信型ナビゲーション装置902に搭載する実施例において、交通情報予測装置905が日種パラメータとして天気も必要とする場合は、天気予報情報を予めダウンロードした天気予報DBを通信型ナビゲーション装置902に搭載する、あるいは、交通情報の予測計算を行う際にネットワーク接続された天気予報DBにアクセスして、予測対象日の天気予報情報を取得する。
【0054】
ここでは、情報の提供について通信型ナビゲーション装置に適用したが、これに代えて、携帯電話,ネットワーク接続されたPDA,パソコン等に適用することも可能である。また、通信を介した情報の提供ではなく、例えば、DVD−ROM等の記録メディアで情報を提供する場合にも、かかる記録メディアを利用するナビゲーション装置やパソコン等に、図7の交通情報予測装置706の機能を持たせることができる。当然その際にも、記録メディアに記録すべき情報を、各リンク/区間毎の予測係数,基底成分,日種パラメータのみ、すなわち、交通情報予測DB904と日種予定DB907に記憶された情報のみとすることができる。こうすれば上記と同様、情報量を小さくすることができるので、交通情報予測値そのものよりも記憶装置に対する負荷を低減できる。
【0055】
本交通情報予測システムにおいて、数分間隔の旅行時間といった日単位ではない数値的交通情報の予測に日種を反映させ、交通情報を蓄積した期間に予測対象日と同一の事象の日が存在しない場合でも、過去の交通情報を合成することによって、所望の事象の下での交通情報を的確に予測することが可能となる。
【実施例2】
【0056】
以下では、本発明の一実施形態である日種分類設定手段を備えた交通情報予測システムに関して、図13から図19を用いて説明する。本実施例では、上述の実施例における交通情報予測システムに、更に日種分類指定手段を備えることにより、交通情報提供を行うサービス事業者、あるいはユーザが地域の特徴等を加味して予測交通情報を独自にカスタマイズ可能となっている。
【0057】
図13は、交通情報予測システムの日種分類設定手段による設定画面における日種分類指定画面である。経路指定フィールド1301では、地図表示フィールド1302に経路指定フィールド1301の領域下部に表示された地図のスケールで指定された縮尺(図
13の場合は、2万5千分の1)で地図を表示する。ユーザは地図表示フィールド1302上で道路を選択することで、矢印1303にあるように日種分類の対象となる経路を選択することができる。
【0058】
日種分類設定フィールド1304では、日種分類1305とカレンダー1306により、システム側であらかじめ定めた日種分類、あるいはユーザが既に登録した日種分類を表示する。例えば、日種分類が「平日/休日」となっている項目を例に説明すると、カレンダー1306上で日種分類が「平日/休日」の行の中で濃い色あるいは地の色とは異なる色で示された日付が「休日」の日種分類として登録されており、それ以外の日付が「平日」の分類となっていることを表す。
【0059】
日種分類設定フィールド1304上で、新規に日種分類を登録する方法について説明する。まず、日種分類1305の空欄となっている個所で新規に設定したい日種を決定する。次に、カレンダー1306上で日種分類として登録する期間を設定する。例えば日種分類に「お祭り」を登録する例では、日種分類1305の空欄を選択して「祭り」と入力し、カレンダー1306上で4月30日から5月2日の個所を選択して登録したものである。また同一日種分類の中で複数の項目を設定することも可能である。例えば日種分類の
「季節」について考えると、カレンダー1306上に表示されている「春」以外にも「夏」「秋」「冬」の項目が存在し、これについてもユーザ側で設定することが可能である。
【0060】
図14は、交通情報予測システムの日種分類設定手段による設定画面における地域指定画面である。地域指定フィールド1401は、図13で示した経路指定フィールド1301において経路を指定する代わりに、地域を指定することにより日種指定分類の対象となる道路リンクを指定する画面である。地域指定フィールド1401では、地図表示フィールド1302を表示する。ユーザは長方形1402でこの地図表示フィールド1302上でエリアを指定することにより、日種分類の対象としたい道路リンクを一括選択する。図14で示した、地図上で直接エリアを指定する方法以外にも、図15のようにメッシュコードを選択させる地域指定方法や、図16のように行政区画を選択して行くことによる地域指定方法を用いることも可能である。
【0061】
図15に示す例では、メッシュコードのリスト1501の中から指定されたメッシュコード1502が日種分類対象とするエリアであることを表している。この場合、指定したメッシュコード1502に対応するエリア内に含まれる道路リンクが日種分類対象として選択されたことになる。なお、メッシュコードは、例えばJIS X 0410:1976 に示される地域メッシュコード等を利用する。
【0062】
図16では、都道府県選択ボックス1601,市町村選択ボックス1602,町名選択ボックス1603から、選択領域1604,1605,1606のように順次行政区画を指定して日種分類対象領域を選択している。図16の例では、「茨城県日立市大みか町」が日種分類対象の領域として選択されたことを表す。この選択ボックス1601,1602,1603は階層化されていて、例えば都道府県選択ボックス1601で選択された行政区画内の市町村を、市町村選択ボックス1602内に段階的に表示する。
【0063】
図17は、図13から図16に示した画面例で構成される日種分類設定手段を備えた交通情報予測システムのブロック図である。経路入力装置1701の入力画面例は、図13の経路指定フィールド1301に、地域入力装置1702の入力画面例は、図14,図
15,図16の地域選択画面例に、日種分類指定手段1703の入力画面例は、図13の日種分類設定フィールド1304にそれぞれ対応している。経路入力装置1701では、図示されていない地図データベースの地図データに基づき、指定された縮尺の地図を入力画面の地図表示フィールドに表示する。この地図表示フィールド上で指定された経路の座標を地図データから求めることにより、該当する道路に含まれるリンクを日種分類対象リンクとして取り出すと共に、地図表示フィールド上に選択された道路を示す矢印1303を表示する。
【0064】
地域入力装置1702では、やはり図示されていない地図データベースの地図データに基づき、指定された縮尺の地図を入力画面の地図表示フィールドに表示する。この地図表示フィールド上で指定された地域に含まれるリンクを日種分類対象リンクとして取り出すため、画面上で指定された長方形1402の座標位置を地図データから求め、更に長方形1402で指定される座標の領域内に存在する道路のリンクを求める。なお、図15に示すようなメッシュコードの選択により領域を指定する場合には、やはり図示されていないメッシュコードとこれに対応した座標情報を対応付けるメッシュコード・データのテーブルから、選択されたコードに対応する領域の座標を求め、これから座標の領域内に存在する道路のリンクを求める。また、図16に示すような地域選択により領域を指定する場合には、都道府県選択ボックス1601,市町村選択ボックス1602,町名選択ボックス1603を表示するために、別途行政区画の階層情報と各行政区画に対応した地図上の領域の座標情報を管理するデータベースを用意しておき、段階的に表示され選択された行政区画の情報から領域の座標情報を求め、更に領域内に存在する道路のリンクを求める。
【0065】
上記二つの入力装置の少なくとも一つを用いて取り出されたリンクあるいはリンク群に対して、日種分類指定手段1703で決定した日種分類がそれぞれ対応し、リンク毎に定義された日種データベース606が形成される。
【0066】
日種分類指定手段1703では、日種データベース606から、登録されている日種分類と、各日種分類の登録期間あるいは登録項目を読み出して、日種分類設定フィールド
1304上に表示する。そして、日種分類設定フィールド1304の日種分類1305とカレンダー1306のエリアに入力が行われると、新たな日種分類が追加されたものとして日種分類データを更新する。また、同様に、選択された日種分類の削除が指示された場合、あるいは選択された日種分類の期間または項目が変更された場合も、日種分類データを更新する。
【0067】
日種分類設定手段では、日種分類指定手段1703で更新された日種分類を、経路入力装置1701または地域入力装置1702で選択された道路リンクまたはリンク群に対応付けたリンク別日種入力データを日種データベース606に送り、日種データベース606を更新する。
【0068】
そして、更新された日種データベース606のデータを基に、実施例1で示した予測係数決定装置603において図12のS1203の予測係数の決定処理を行うことによって、リンク毎の予測係数が決定し、交通情報予測を行うことができる。
【0069】
図17に示した日種分類設定手段を備えることにより、交通情報提供を行うサービス事業者は、地域の特徴等を加味して予測交通情報を独自にカスタマイズ可能することができる。本発明の交通情報予測方式では、特徴量抽出により算出された基底成分と、基底成分と日種データベースとの関連付けから算出された予測係数とを別個にもって予測を行っている。よって、あらかじめ日種による分類を必要としないため、事前に作成された基底成分に対して、事後に地域の事情に詳しい管理者が、イベントの発生日時,学校休業日,工場休日など地域毎の依存性が高い情報を、日種データベースとして事後に追加し、予測係数を決定することが可能となる。上記のように全国共通の基底成分を作成する処理と、地域個別の予測係数を作成する処理を分離することによって、日種分類のカスタマイズの自由度を図り、精度の向上を図ることができる。
【0070】
図18は、日種分類設定手段に加えユーザ毎に日種データベースを管理するための交通情報管理手段を備えた交通情報予測システムのブロック図である。図18の例では、サーバ側のシステムで交通情報データベースや日種データベースといったデータベースを構成し、あるいは交通情報予測のための処理を行い、ユーザ側のクライアントシステムでは、ユーザ毎のリンク別日種入力データをサーバに送り、サーバ側で求めた交通情報の予測結果を出力するようなサーバ・クライアント型のシステム構成を想定している。ユーザ側のクライアントシステムでは、ユーザの要求に応じて、サーバから該当ユーザの日種分類情報を取り寄せ、前述の例と同様に日種分類指定画面を表示して、ユーザからの日種分類データの入力に基づきリンク別日種入力データを生成してサーバに送る。なお、クライアントシステムでもユーザの日種分類情報を管理している場合には、サーバから該当ユーザの日種分類情報は取り寄せずに、クライアントシステムの日種分類情報を用いるようにしても良い。サーバの交通情報管理手段1801は、ユーザ毎に送られてくるリンク別日種入力データを受信すると、ユーザ毎に設定して別個に管理しているユーザ別日種データベース1802,1803のうち、該当するユーザのユーザ別日種データベースを更新する。そしてサーバでは、図6に示した例と異なり、ユーザ毎に分類されたユーザ別日種データベース利用し、予測係数決定,特徴量予測,交通情報合成の各処理についても、ユーザ毎に分類して行う。これにより、クライアント側の交通情報表示装置607においても、ユーザは個別にカスタマイズされた予測交通情報を取得することとなる。上記のようにユーザ毎に日種データベースを管理する交通情報管理手段1801を備えることによって、本発明の交通情報予測装置は、ユーザ個別のカスタマイズをサーバ・クライアント型のサービスとして実現することができる。
【0071】
図19は、日種分類集約手段と日種分類設定手段を備えた交通情報予測システムのブロック図である。日種分類集約手段1901は、ユーザ毎に別個に入力した日種分類を集約する手段である。例えば、あるリンクに対して年間のイベントの事象(例えば花火大会,お祭り,運動会など)を入力する場合を考える。例えば、日種分類集約手段1901は、ユーザAとユーザBから別々に受け取ったリンク別日種入力に基づき、ユーザAがイベントに対して定義した分類名を「ユーザA:イベント」、ユーザBが定義した分類名を「ユーザB:イベント」として、日種データベースに登録する。予測係数決定装置では、上記二つの分類をそれぞれ別個の分類として扱い、異なる分類に対する予測係数を算出する。交通情報予測値を算出する際には、その両方の日種分類に対する影響を加味した形で予測交通情報が算出される。
【0072】
上記のように、日種分類集約手段を備えることによって、複数ユーザが定義した日種分類を利用して予測精度を高めることが可能となる。本発明では、基底成分と日種分類との関連付けを予測係数として扱っており、例えば日種分類がカテゴリーとして不適切で、交通状況との関連付けが小さいものに関しては、予測係数が小さくなり日種分類の影響を余りうけずに予測可能となる。日種分類のカテゴリーが適切で、交通状況との関連付けが大きいものに関しては、予測係数が大きくなり日種分類の影響を大きくうけて予測可能となる。よって、適当な日種分類のみの影響を受けた予測が可能となり、複数の日種分類情報を加味することで予測精度を向上させることが可能となる。
【実施例3】
【0073】
以下では、本発明の一実施形態である旅行時間の遅延リスクを提供する時間遅延リスク提供手段を備えた交通情報予測システムに関して、図20から図23を用いて説明する。本実施例では、時間遅延リスク提供手段を備えることにより、旅行時間の予測値だけでなく、遅延が発生する確率も提供することにより、荷物の時間指定配送などに対応した配送計画を立案する際の業務に役立てることができる。
【0074】
図20は、時間遅延リスクの表示画面の一例である。グラフ2001は、横軸に旅行時間(分単位)、縦軸にその旅行時間の発生確率を表したものである。グラフ2001は、「○×町→□△交差点」区間の2003年9月20日17時05分における、この区間で予測される旅行時間の分布を表している。例えば棒グラフ2002は、旅行時間が120分〜180分の所要時間階級値となる確率が25%程度であることを表している。また線分2003のように、期待値,80パーセンタイル,95パーセンタイルとなる旅行時間をグラフ上に表示することも可能である。ここでパーセンタイルとは、累積分布上で或る定めた値以下となる割合を表し、旅行時間確率密度分布の積分として計算することができる。図20の例で「80%320分」は、この区間の旅行時間が80%の確率で320分以内に収まることを表している。
【0075】
図20の表示により、ユーザは該当区間の旅行時間予測値だけでなく、予測値がどの程度ばらつく可能性があるかをグラフの形とパーセンタイル表示の線分を重ね合わせた表示を見ることで視覚的に把握することが可能となる。また、単に予測された旅行時間の期待値その信頼度が表示される場合に比べ、期待値より遅れる傾向が強いのか、期待値より早く通過する傾向が強いのか、グラフとパーセンタイル表示から判断する事が出来るようになる。これにより旅行計画、あるいは配送計画時にどの程度の余裕をもって出発すればよいかを見積もることができる。図20の例で、時間内に到着する信頼性が80%で十分、すなわち5回に1回は遅延を許される状況であれば、所要時間320分を見込んで出発すればよいことを示唆している。時間内に到着する信頼性がもっと厳しく95%必要、すなわち20回に1回しか遅延が許されない場合には、所要時間410分を見込む必要がある。図20の旅行時間確率分布の作成にあたり、事故の発生による旅行時間遅延がデータに含まれているのであれば、事故発生リスクを見込んだ時間遅延リスクを計算することも可能である。
【0076】
図21は、時間遅延リスクの表示画面の別の例である。遅延リスク表示2101において、2102は、実施例1と同様に過去の統計交通情報データベースから計算される交通情報予測値に基づく指定区間の旅行時間についての期待所要時間、及びそのデータのばらつきから推定される遅延リスクレベルである。図21の例では、凡例2104に従い、遅延リスクAが遅延時間10分となる確率が90%、遅延リスクBが遅延時間30分となる確率が90%、遅延リスクCが遅延時間60分となる確率が90%であることを表している。すなわち、期待所要時間200分に遅延時間30分を合計した230分内に到着する可能性が90%であることを表している。この例のように、ドライバーにとっての関心が、所要時間はどれくらいかと言う点と、予測される所要時間に対してどれくらい遅れやすいのかと言う点に対して強いことから、所要時間の期待値に対する遅延時間を評価した遅延リスクレベルで時間遅延リスクを表現することにより、ユーザは直感的に道路の時間遅延リスクの発生度を知ることができる。
【0077】
また、表2103にあるように時間帯に応じて異なる所要時間,遅延リスクレベルを表現することもできる。表2103の例では、16:00に出発した場合は所要時間120分であり、遅延リスクレベルAであるので、高い信頼性をもって目的地に時間内で到着可能であることを表している。これに対して18:00に出発した場合は所要時間300分であり、遅延リスクレベルCであるので、16:00に出発した場合に比べて所要時間が多くかかり、さらに遅延リスクが高いことから、期待所要時間時間までに到着する信頼性が低く所要時間が伸びがちであることを表している。ユーザはこの表を見ることにより、16:00に出発することを選択した方が、確実に目的地に到着し得ることを確認することができる。なお、図21の凡例2104では、確率一定(例では90%)となる場合の遅延時間によって遅延リスクレベルを表しているが、遅延時間、あるいは遅延時間率(遅延時間を期待所要時間で割ったもの)を一定にして、その時間内に到着する確率の違いによってレベル分けしてもよい。
【0078】
図22は、時間遅延リスク提供手段を備えた交通情報予測システムのブロック図である。実施例1で説明した図6の構成に加え、時間遅延リスク提供手段2201を備えており、この時間遅延リスク提供手段2201は、日種データベース,交通情報データベース,交通情報予測値から時間遅延リスクを算出する。例えば、図20のように特定の1日のある時間帯の時間遅延リスクを算出するには、実施例1の方法を用いて旅行時間予測値が算出できる。日種データベースからこの予測値と同一の日種分類である日種データの該当する時間帯における旅行時間データを交通情報データベースから取り出すことで旅行時間の確率密度分布を形成することができる。または、交通情報データベースからではなく、同一日種分類の旅行時間予測値の集合から旅行時間の確率密度分布を形成してもよい。確率密度分布が求まると、次に所要時間の期待値やパーセンタイルの値が求められ、更にこの期待値からの所定時間の遅延リスクが求められる。図21の2102のような区間の代表的な時間遅延リスクを算出する場合には、日種分類の区別なく全旅行時間データを抽出するか、あるいは予測対象日が該当する特定の日種分類に絞って旅行時間データを抽出して時間遅延リスクを計算する。時間遅延リスクは、基本的に旅行時間統計データの積み上げによって計算することができるが、サンプルデータ数が少ないことが影響して分布の広がりが小さくなることも考えられる。この点を考慮し、例えばデータ数Nのデータに対しては、分布の幅に自由度(N−1)のt分布の値(例えば、信頼区間95%を利用)を乗じることによって、サンプルデータ数不足の影響を取り除くことができる。
【0079】
図23は、日種毎に分類した旅行時間確率密度分布の例である。図23は、横軸旅行時間、縦軸発生確率密度とした旅行時間の分布を表している。図23の例では、ある区間での17:00〜19:00での旅行時間の分布を表したものであり、分布2301は一年間を通しての旅行時間の分布、分布2302は春の休日の分布、分布2303は春の平日の分布であるとする。図23の例にあるように、日種分類が交通状況の特徴をよくとらえている場合は、分布の裾が狭くなる可能性が高くなる。よって日種分類した時間遅延リスクを用いることにより、同一時間遅延リスクでも日種に応じた計画を立てることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の交通情報予測装置、及び方法は、一般ユーザ向けへの交通情報提供サービスに利用することができる。また、時間管理を必要とする物流・運送システム全般に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】交通情報予測システムの操作画面の例。
【図2】交通情報予測システムの操作画面における日種入力フィールドの例。
【図3】交通情報予測システムの操作画面における自由経路入力フィールドの例。
【図4】交通情報予測システムの操作画面における区間入力フィールドの例。
【図5】交通情報予測システムに必要な予測手法の概念図。
【図6】交通情報予測システムを示すブロック図。
【図7】交通情報予測システムを示すブロック図。
【図8】日付および日種を入力する手段のブロック図。
【図9】通信型ナビゲーション装置と交通情報センターに適用した実施例を示すブロック図。
【図10】通信型ナビゲーション装置と交通情報センターに適用した実施例における通信フォーマットの例。
【図11】通信型ナビゲーション装置と交通情報センターに適用した実施例における通信フォーマットの例。
【図12】交通情報を予測するための処理フローの例。
【図13】交通情報予測システムの設定画面における日種分類指定画面の例。
【図14】交通情報予測システムの設定画面における地域指定画面の例。
【図15】交通情報予測システムの設定画面におけるメッシュコードによる地域指定画面の例。
【図16】交通情報予測システムの設定画面における行政区画による地域指定画面の例。
【図17】日種分類設定手段を備えた交通情報予測システムのブロック図。
【図18】ユーザ毎の交通情報管理手段と日種分類設定手段を備えた交通情報予測システムのブロック図。
【図19】日種分類集約手段と日種分類設定手段を備えた交通情報予測システムのブロック図。
【図20】時間遅延リスク表示画面の例。
【図21】時間遅延リスク表示画面の例。
【図22】時間遅延リスク提供手段を備えた交通情報予測システムのブロック図。
【図23】日種毎の旅行時間確率密度分布の例。
【符号の説明】
【0082】
601…特徴量抽出装置、602…交通情報データベース、603…予測係数決定装置、604…交通情報合成装置、605…特徴量予測装置、606…日種データベース、
607…交通情報表示装置、1701…経路入力装置、1702…地域入力装置、1703…日種分類指定手段、1801…交通情報管理手段、1803…ユーザ別日種データベース、1901…日種分類集約手段、2201…時間遅延リスク提供手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通情報の提供に関し、特に曜日や五十日(ごとおび)等の日種を加味し、到着時間遅延リスクを含んだ交通情報の提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の交通情報予測方法の主流の一つである数量化I類を用いた方法は、旅行時間,渋滞度,交通量等の数値的交通情報を、日種を反映して予測することが可能である。この交通情報予測方法の適用対象は、例えば1日あたりの地点交通量や、ある特定の時間帯の渋滞度等、日単位の交通情報の予測である。しかし、日種を数量化I類の説明変量とした場合、説明変量が日単位の情報であるため、数分間隔の旅行時間等、日単位ではない交通情報の予測には不向きである。
【0003】
この点、数分間隔の旅行時間等、任意の周期の交通情報の予測を行うことが可能な技術として、例えば首都高速道路公団の所要時間案内のように、交通情報を日種で分類して蓄積する方法を用いることが知られている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−118188号公報
【非特許文献1】http://mex.survey.ne.jp/mexntime/
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
日種で分類された交通情報を用いて予測を行う際には、予測対象の日が月曜日であり且つ五十日であるという具合に、日種が組み合わさっている場合がある。
【0006】
しかしながら、上記の技術では予測対象日の事象、即ち日種の組み合わせの下での過去の交通情報を検索して予測計算を行うため、予測対象日の事象が交通情報を蓄積した期間に存在しない場合には的確な予測をすることができない。
【0007】
上記問題点に鑑み本発明は、所望の日種の組み合わせをユーザ側でも選択可能とし、交通情報提供方法を実現することを目的とする。
【0008】
また、上記の説明によって述べた従来の交通情報提供方法は、区間の所要時間値の予測を対象としているため、対象区間における通常走行時に対する遅れのリスクまでは予測対象としていない。
【0009】
上記問題点に対して本発明は、交通情報の予測によって道路の到着遅延リスクの提供装置を実現するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、二地点間の予測対象経路を含んだ地域の地図を表示し、予測対象日の日種または予測対象日の日付の入力を受け付け、予測対象経路の過去の交通情報時系列データに基づいて、入力された複数の日種に応じた交通情報時系列データを求め、求められた交通情報時系列データをグラフとして表示する。
【0011】
また、過去の交通情報時系列データから、基底成分と、基底成分から交通情報時系列データを近似する際に各基底成分に係数として係る特徴量とを求め、計算対象期間における1日毎の日種の組み合わせ情報と特徴量とから、複数の日種の関数として特徴量を近似する特徴量推定モデルの係数を求め、未来の或る日の日種の組み合わせ情報について特徴量推定モデルで特徴量推定値を求め、特徴量推定値を係数として基底成分を合成して得られた交通情報を提供する。
【0012】
そして、交通情報提供装置が二地点間の予測対象経路を指定する経路入力装置あるいは地域を指定する地域入力装置と、前記予測対象経路における日種分類を設定する日種分類設定手段とを備える。
【0013】
また本発明は、交通情報提供装置が、遅延時間階級値と遅延発生確率との組み合わせ、または遅延リスクレベルで表現される到着時間遅延リスクを提供する時間遅延リスク提供手段を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、所望の事象下での交通情報を予測することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の交通情報の提供について以下図を用いて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の一実施形態である交通情報予測システムの操作画面である。日付入力フィールド101は予測対象日の日付を入力するインターフェースである。推奨経路入力フィールド102は、予測対象となる経路を指定するインターフェースであり、地図表示フィールド103において出発地104と目的地105を設定し、経路探索ボタン106を選択することで、地図表示フィールド103に交通情報の予測対象経路107が表示される。日付入力フィールド101で日付を指定し、推奨経路入力フィールド102で予測対象経路を決定してから、予測実行ボタン108を選択すると、推奨経路107上での旅行時間表示フィールド109に旅行時間予測グラフ110が表示される。誤差範囲111は、或る時刻に予測対象経路を走行した場合に、例えば80%の確率で実旅行時間がとり得る誤差の範囲を、時系列上に表したものである。
【0017】
地図表示フィールド103に表示される地図は、その周囲に配置されたスクロールボタン112を選択するか、地図そのものをドラッグすることでスクロール可能であり、尺度表示フィールド113上の適当な位置を選択することで、尺度を変更することができる。推奨経路入力フィールド102内の経路情報表示フィールド114には、推奨経路上での走行距離,特定の時刻における旅行時間や消費燃料等の予測情報が表示される。経路情報表示フィールド114に旅行時間や消費燃料を表示する対象となる時刻は、旅行時間表示フィールド109の時刻軸115の上の適当な位置を選択することで、時刻カーソル116によって指定することができる。また、予測対象経路107を決定する上で交通情報を反映した動的経路探索アルゴリズムを使用した場合には、予測対象経路は時刻によって変化するので、その時刻も時刻カーソル116で指定することができる。経路探索アルゴリズムで予測対象経路を決定する際の時間優先,距離優先といった探索条件は、探索条件指定フィールド117で指定することができる。
【0018】
図1では日付入力フィールド101から予測対象日の日付を入力したが、これに代えて、図2の日種入力フィールド201から曜日,五十日,平日/休日,大型連休,学校休業期間,天気等の日種の組み合わせを入力して交通情報の予測を実施することも可能である。図1の操作画面においては、日付入力フィールドと日種入力フィールドをタブ型のインターフェースで排他的に切り替えて使用する。本実施例では、日種入力フィールド201に「平日/休日」入力フィールド202,「季節」入力フィールド203,「天気」入力フィールド204があり、各フィールド内における項目はそれぞれに排他的に選択される。例えば、「平日/休日」入力フィールドというカテゴリでは「平日」,「休日・祝祭日」,「連休」は排他的であり、そのうち1つだけを予測対象日の日種として選択することができる。図2の例においては、この排他的選択をラジオボタン型のインターフェースで実現している。図では、○が選択可能、◎が実際に選択したものを表している。
【0019】
一方、各フィールド同士は排他的ではなく、各フィールド内で選択したものを組み合わせて日種を表現することができる。図2の例においては、「平日/休日」入力フィールドから「平日」,「季節」入力フィールドから「春」,「天気」入力フィールドから「雨」を選択し、その組み合わせである「平日∧春∧雨」という日種について交通情報の予測を行う。
【0020】
また、「その他」入力フィールド205にある日種「五十日」,「学校休業期間」は互いに排他的ではない日種であり、図2の例ではチェックボックス型のインターフェースで構成している。「その他」入力フィールド205における日種は、他の何れのフィールドの日種とも同時に選択することが可能であり、例えば図2の例においては「五十日」,
「学校休業期間」双方を選択した場合、201〜203のフィールドで選択された日種と合わせて、「平日∧春∧雨∧五十日∧学校休業期間」という日種の組み合わせの下で交通情報の予測が行われる。なお、天気のように日付と独立な日種は、日付入力フィールド
101に示したように、日付と同時に入力することも可能である。
【0021】
図1の例では、推奨経路入力フィールド102において出発地と目的地を指定して、経路探索アルゴリズムにより予測対象経路を自動的に設定したが、これに代えて、図3の自由経路入力フィールド301を用いて、ユーザーが自由に予測対象経路を指定することも可能である。その際、ユーザーは地図表示フィールド103上のリンクを選択して経路の入力を行い、経路確定ボタン302を選択することで予測対象経路が確定される。予測対象経路を入力し直す場合は、経路クリアボタン303を選択する。
【0022】
また、図4の区間入力フィールド401を用いれば、予め交通情報予測システム側で用意した区間を用いて、交通情報の予測を行うことが可能である。区間リスト402は区間名で表したリストであり、区間リスト402から区間を選択し、区間選択ボタン403を選択することで予測対象となる区間が確定され、地図表示フィールド103に予測対象経路が表示される。図1の操作画面においては、推奨経路入力フィールドと自由経路入力フィールドと区間入力フィールドをタブ型のインターフェースで排他的に切り替えて使用する。
【0023】
図5は、交通情報予測システムに必要な予測手法の概念図である。図1,図2に示したように任意の日種の組み合わせの下で、1時間単位,10分単位,1分単位など日単位
(24時間単位)ではない交通情報の予測を行うには、従来の日種を説明変量とした数量化I類、あるいは日種分類といった手法では対応できない。そこで、図5のS501において、VICS情報の受信やプローブカーの情報収集によって得られ蓄積された過去の交通情報時系列データから、それら交通情報時系列データを線形和により1日分ずつ近似的に合成可能な複数の基底成分と、基底成分から交通情報を合成する際に各基底成分に係数として係る日単位の特徴量を計算し、S502において、特徴量を複数の日種の関数として表す予測モデルの予測係数を決定する。
【0024】
本システムにおいて交通情報時系列データを基底成分と特徴量で表すという考え方は、任意の時系列データは複数の直交関数の合成値として近似的に表現されるという概念を基礎としている。信号処理の手法であるフーリエ変換は、任意の信号を、周期の異なる複数の三角関数の合成波形として表す。本願でいう基底成分と特徴量は、フーリエ変換における三角関数と、複数の三角関数を線形合成する際に各三角関数に係る係数に相当する。
【0025】
また、本システムにおいて特徴量を日種と関連付けて予測する考え方は、同じような原因から同じような結果が得られるという経験則を基礎としている。概念的な対応を挙げるとすれば、天気予報や株価のテクニカル分析のようなものである。明日の天気予報の降水確率が10%とあれば、今日の天気図と過去の似たような天気図を比較して、過去の似たような天気図から翌日雨が降った相対度数が0.10 程度であったということである。従って、天気予報というシステムは本システムと同様の考え方である。また、過去の株価の推移から翌日以降所定期間の株価が上昇していく相対度数が0.90 以上であれば、買いサインを出すというようなシステムも本システムと同様の考え方である。本願でいう特徴量や特徴量の予測値を、PERやRSI,ボリンジャーバンドと考えると分かり易い。
【0026】
図1において予測実行ボタン108を選択した際に、かかる予測モデルを用いて交通情報の予測を行うには、S503において予測モデルに日種情報を入力し、S504において予測モデルを用いて特徴量の予測値を計算し、この特徴量予測値を係数として、S501で計算された基底成分をS505において交通情報として合成することで、交通情報予測値の時系列データを得ることができる。このように日単位の特徴量を日種の関数として予測計算し、計算された特徴量予測値を交通情報に変換することで、任意の周期の交通情報を任意の日種の組み合わせの下で予測計算することができる。従って、図2に示した日種入力フィールド201のようなインターフェースを用いて、図1の旅行時間予測グラフ
110のような形で旅行時間や渋滞度等の時系列データの予測値を提供することができる。
【0027】
図6は、図5に概念を示した予測手法を備えた交通情報予測システムの一実施形態のブロック図である。特徴量抽出装置601は、以下のように基底成分と日単位の特徴量とを計算する。即ち、VICS情報の受信やプローブカーによる情報収集によって得られたデータであって、交通情報データベース(以下、DBという)602に蓄積された、旅行時間,渋滞度,交通量等の過去の交通情報時系列データから、主成分分析等の手法により、基底成分と特徴量とを計算する。基底成分は、特徴量を係数として元の交通情報を合成するのに必要であり、複数得られる。複数の基底成分は、それら交通情報を線形和により1日分ずつ近似的に合成可能である。また特徴量も複数得られ、基底成分から交通情報を合成する際に各基底成分に係数として係る。このとき、特徴量抽出装置601は、特徴量を予測係数決定装置603に出力し、基底成分を交通情報合成装置604に出力する。交通情報から基底成分と特徴量を計算し、それぞれ交通情報合成装置と予測係数決定装置に出力する以上の処理は、図5におけるS501の処理に相当する。
【0028】
特徴量の計算に主成分分析を用いる場合には、基底成分は特徴量と同時に一意に計算される。一方、基底成分として互いに直交する複数の関数を予め指定して特徴量を計算することも可能である。フーリエ変換はその一例であり、フーリエ変換を特徴量の計算に用いた場合には、基底成分は異なる周期を持った複数の三角関数が用いられる。
【0029】
予測係数決定装置603は、特徴量抽出装置601から入力された特徴量と、特徴量抽出装置601における特徴量計算の対象となった期間の日種情報とから、数量化I類等の手法により、予測係数を計算する。この予測係数は、特徴量予測装置605において日種をパラメータとする予測モデルによって上記日単位の特徴量の予測値を計算するためのものである。計算された予測係数は、特徴量予測装置605に記録される。なお、上記日種情報は曜日,五十日,平日/休日,大型連休,学校休業期間,天気等であって、日種DB606に記録されているものである。予測係数決定装置において予測係数を計算する以上の処理は、図5におけるS502の処理に相当する。
【0030】
特徴量の予測計算に数量化I類を用いる場合は、予測モデルの関数形は日種の線形和であり、N種類の日種に該当するか否かをそれぞれ1と0で表す二値説明変量d1,d2,…,dN、予測係数a1,a2,…,aNを用いて、予測対象である特徴量Tは
T=a1×d1+a2×d2+…+aN×dN
と表される。一方、例えば気温や降水量などの数値データを予測モデルに反映させる場合には、上式に多値説明変量x1,x2,…,xMの項を加え、
T=a1×d1+a2×d2+…+aN×dN+b1×x1+b2×x2
+…+bM×xM
と表される予測モデルを用いる。上式では多値説明変量の項を1次の項としているが、2次,3次などの項を持つ予測モデルも考えられる。
【0031】
交通情報の予測を行う際には、予測対象日の事象に応じて、予測モデルで必要とされる日種パラメータを特徴量予測装置605に入力する。特徴量予測装置605は、人によって入力された日種パラメータと、予測係数決定装置603から入力され記録されている予測係数を用いて特徴量予測値を計算し、その特徴量予測値を交通情報合成装置604に出力する。これは図5におけるS504の処理に相当する。
【0032】
交通情報合成装置604は、上記特徴量予測値を係数として、特徴量抽出装置601から入力され記録されている基底成分を合成する計算を行う。この合成値が、特徴量予測装置605に入力された日種パラメータに対応した交通情報の予測値であり、交通情報表示装置607に出力される。なお、図6では交通情報の予測値を交通情報表示装置607に出力したが、予測された交通情報はカーナビゲーション装置における経路探索手段や、配車管理システムの配車計画手段の入力として用いること等も可能である。
【0033】
図12は交通情報を予測するための処理フローである。以下、図12の処理フローについて、図6の実施例に従って説明する。
【0034】
S1201:特徴量抽出装置601において、交通情報DB602に蓄積された過去の交通情報から、それらを近似的に合成可能な上記基底成分と、基底成分から元の交通情報を合成する際に係数として係る上記特徴量を計算する。
【0035】
S1202:S1201で計算された基底成分を交通情報合成装置604に記録する。
【0036】
S1203:予測係数決定装置603において、日種をパラメータとする予測モデルによって上記特徴量の予測値を計算するための予測係数を、S1201で計算された特徴量と、日種DB606から読み出された日種情報から計算する。
【0037】
S1204:S1203で計算された予測係数を特徴量予測装置605に記録する。
【0038】
S1205:特定の日の交通情報を予測する際はS1206に、事象を指定して交通情報を予測する際はS1207に処理を進める。
【0039】
S1206:日付入力装置801で予測対象日の日付の入力を受け、日種予定DB802および天気の情報が必要であれば天気予報DB804から当該日の日種情報を読み出し、特徴量予測装置605に入力する。
【0040】
S1207:日種入力装置805で予測対象となる事象を表す日種情報の入力を受け、日種情報を特徴量予測装置605に入力する。
【0041】
S1208:特徴量予測装置605において、S1206もしくはS1207で入力された日種情報から、S1204で記録された予測係数を用いて、予測対象となる日の事象に応じた特徴量の予測値を計算する。
【0042】
S1209:S1208で計算された特徴量予測値から、S1202で記録された基底成分を用いて、交通情報合成装置604において交通情報の予測値を計算する。
【0043】
図6の実施例による交通情報予測システムでは、特徴量の抽出から交通情報の予測に至る過程を一連の処理として扱っているが、図7のように予測に必要なDBを事前に作成する処理と、予測の都度演算を行う処理に分けて非同期に実施することも可能である。図6に示した特徴量抽出装置601,予測係数決定装置603は、図7の実施例では交通情報予測DB作成装置701を構成する。特徴量抽出装置702,予測係数決定装置703においてそれぞれ計算される基底成分ならびに予測係数は、交通情報予測DB704に記録される。交通情報予測DB作成装置701において交通情報時系列データから基底成分と予測係数を計算して交通情報予測DB704に記録する以上の処理は、予測の都度必要になる演算処理と区別して事前に実施することが可能であり、この処理により交通情報予測DB704に記録された基底成分ならびに予測係数の更新が必要となるのは、予測に用いる交通情報DB705内の交通情報が更新された場合、あるいは、予測モデルが変更された場合である。
【0044】
図6において交通情報を予測する過程で用いられる特徴量予測装置605,交通情報合成装置604は、図7の実施例では交通情報予測装置706を構成する。交通情報予測装置706は日種パラメータが入力されると、それを特徴量予測装置707に受け渡し、特徴量予測装置707および交通情報合成装置708は、交通情報予測DB704からそれぞれ予測係数ならびに基底成分を読み出し、日種パラメータに応じた交通情報の予測値を出力する。交通情報予測装置706において日種パラメータから交通情報の予測値を計算する以上の処理は、異なる日種パラメータに対して交通情報の予測を行う都度、必要となる処理である。
【0045】
交通情報を予測するための処理フローについて図12を用いて補足する。上記図6の実施例に則した処理フローに対し、図7の実施例では、S1202,S1204それぞれにおける基底成分と予測係数の記録が交通情報予測DB704に為され、S1208,
S1209では、基底成分と予測係数の読み出しが交通情報予測DB704から為される。
【0046】
図8は、日種パラメータの入力例であって、図6および図7の実施例で交通情報予測システムに日種パラメータを入力する手段を示したブロック図である。日付入力装置801では、図1に例示した操作画面を通してユーザーから入力された日付に応じて、未来の日種情報を格納した日種予定DB802から該当する日付の日種情報を読み出し、図6あるいは図7で示した特徴量予測装置803へ出力する。このとき、特徴量予測装置803が日種パラメータとして天気情報をも用いた予測計算を行うものであり、かつ、天気情報としてユーザーが指定する天気ではなく天気予報情報を用いるのであれば、天気予報DB
804から日種DB802へ該当する日付の天気予報情報を読み出し、その他の日種情報と合わせて特徴量予測装置803へ出力する。
【0047】
日種入力装置805では、図2に例示した操作画面を通して、ユーザーが曜日,五十日,平日/休日,大型連休,学校休業期間,天気等といった日種を自由に組み合わせて、特徴量予測装置803に入力し、交通情報を予測計算することが可能である。なお、日種選択の操作画面に表示される日種は、交通情報の提供における予測モデルで必要とする日種パラメータに応じて構成されるものであり、図2の実施例に限定されるものではない。
【0048】
図8では日付あるいは日種をユーザーが入力するものとしているが、カーナビゲーション装置や配車管理システム等を構成するプログラムが自動的に、日付あるいは日種を日付入力装置801あるいは日種入力装置805に入力しても差し支えない。
【0049】
図9は、交通情報の提供について、通信型ナビゲーション装置ならびに交通情報センターに適用した実施例を示すブロック図である。本願の交通情報予測システムによれば、交通情報の提供は、図6,図7に示した日種パラメータ,特徴量の予測係数および交通情報の基底成分から交通情報の予測計算が可能であり、特徴量の予測係数および交通情報の基底成分の情報量は、これらの情報を基に計算される交通情報予測値の情報量よりも小さい。つまり、通信量を小さく抑えることができ、通信回線を使用して交通情報を提供する際に好ましい実施形態であるといえる。図9の実施例においては、図7の交通情報予測データベース704を交通情報センター901に置き、交通情報予測装置706を通信型ナビゲーション装置902に搭載することで、予測交通情報提供の際に送信の必要な情報を交通情報予測値そのものではなく、上記日種パラメータ,予測係数,基底成分のみとしている。
【0050】
図7の交通情報予測DB作成装置701ならびに交通情報予測DB704は、交通情報センター901に設置され、交通情報予測DB作成装置903による予測係数と基底成分の計算と、それらの交通情報予測DB904への記録は、交通情報センター901から通信型ナビゲーション装置902への予測交通情報の提供とは独立した処理として非同期に実施される。通信型ナビゲーション装置902において交通情報の予測計算を行う際には、交通情報センター901に予測対象日の日付を送信し、交通情報センター901から予測係数,基底成分,前記送信した日付に対応した日種パラメータを受け取り、交通情報予測装置905にて交通情報の予測値を計算する。
【0051】
交通情報センター901から通信型ナビゲーション装置902へ予測交通情報を提供する際の通信データは、図10のフォーマットに従い、交通情報の予測計算単位であるリンクや区間毎の日種パラメータ,予測係数,基底成分から構成される。図10では、予測リンク/区間毎に日種パラメータ,予測係数,基底成分をまとめているが、図11のように、日種パラメータ,予測係数,基底成分といった情報種別毎に各予測リンク/区間の情報をまとめたフォーマットをとることも可能であり、交通情報予測装置905による予測計算に必要な日種パラメータ,予測係数,基底成分を予測対象の各予測区間について送信できる通信フォーマットであれば、その実施形態は図10,図11のフォーマットにとらわれない。なお、複数のリンク/区間の予測を行う場合には、日種パラメータは各予測リンク/区間について同一である場合もあり、そのような場合には日種パラメータを重複して送信する必要はない。
【0052】
図9の実施例では、通信型ナビゲーション装置から予測対象日の日付を交通情報センター901に送信し、交通情報センター901において図8に示した日付入力装置801を介して生成された日種パラメータを通信型ナビゲーション装置902に送り返している。これに対して、交通情報センター901に置かれている日付入力装置906と日種予定
DB907を通信型ナビゲーション装置902に搭載して、日付から日種パラメータを生成する処理を通信型ナビゲーション装置902側でオフラインで実施する、あるいは、通信型ナビゲーション装置902に日種入力装置805を搭載して、オフラインで日種パラメータを直接入力することも可能である。
【0053】
その際、図10,図11の通信フォーマットからは日種パラメータが除外される。交通情報予測装置905を構成する特徴量予測装置707と交通情報合成装置708とを分けて、前者を交通情報センター901に置き、後者を通信型ナビゲーション装置902に搭載することも可能であり、その場合は、特徴量の予測は交通情報センター901にて実施され、図10,図11の通信フォーマットからは日種パラメータと予測係数が除外され、代わりに特徴量予測値が付加される。なお、日付入力装置906と日種予定DB907を通信型ナビゲーション装置902に搭載する実施例において、交通情報予測装置905が日種パラメータとして天気も必要とする場合は、天気予報情報を予めダウンロードした天気予報DBを通信型ナビゲーション装置902に搭載する、あるいは、交通情報の予測計算を行う際にネットワーク接続された天気予報DBにアクセスして、予測対象日の天気予報情報を取得する。
【0054】
ここでは、情報の提供について通信型ナビゲーション装置に適用したが、これに代えて、携帯電話,ネットワーク接続されたPDA,パソコン等に適用することも可能である。また、通信を介した情報の提供ではなく、例えば、DVD−ROM等の記録メディアで情報を提供する場合にも、かかる記録メディアを利用するナビゲーション装置やパソコン等に、図7の交通情報予測装置706の機能を持たせることができる。当然その際にも、記録メディアに記録すべき情報を、各リンク/区間毎の予測係数,基底成分,日種パラメータのみ、すなわち、交通情報予測DB904と日種予定DB907に記憶された情報のみとすることができる。こうすれば上記と同様、情報量を小さくすることができるので、交通情報予測値そのものよりも記憶装置に対する負荷を低減できる。
【0055】
本交通情報予測システムにおいて、数分間隔の旅行時間といった日単位ではない数値的交通情報の予測に日種を反映させ、交通情報を蓄積した期間に予測対象日と同一の事象の日が存在しない場合でも、過去の交通情報を合成することによって、所望の事象の下での交通情報を的確に予測することが可能となる。
【実施例2】
【0056】
以下では、本発明の一実施形態である日種分類設定手段を備えた交通情報予測システムに関して、図13から図19を用いて説明する。本実施例では、上述の実施例における交通情報予測システムに、更に日種分類指定手段を備えることにより、交通情報提供を行うサービス事業者、あるいはユーザが地域の特徴等を加味して予測交通情報を独自にカスタマイズ可能となっている。
【0057】
図13は、交通情報予測システムの日種分類設定手段による設定画面における日種分類指定画面である。経路指定フィールド1301では、地図表示フィールド1302に経路指定フィールド1301の領域下部に表示された地図のスケールで指定された縮尺(図
13の場合は、2万5千分の1)で地図を表示する。ユーザは地図表示フィールド1302上で道路を選択することで、矢印1303にあるように日種分類の対象となる経路を選択することができる。
【0058】
日種分類設定フィールド1304では、日種分類1305とカレンダー1306により、システム側であらかじめ定めた日種分類、あるいはユーザが既に登録した日種分類を表示する。例えば、日種分類が「平日/休日」となっている項目を例に説明すると、カレンダー1306上で日種分類が「平日/休日」の行の中で濃い色あるいは地の色とは異なる色で示された日付が「休日」の日種分類として登録されており、それ以外の日付が「平日」の分類となっていることを表す。
【0059】
日種分類設定フィールド1304上で、新規に日種分類を登録する方法について説明する。まず、日種分類1305の空欄となっている個所で新規に設定したい日種を決定する。次に、カレンダー1306上で日種分類として登録する期間を設定する。例えば日種分類に「お祭り」を登録する例では、日種分類1305の空欄を選択して「祭り」と入力し、カレンダー1306上で4月30日から5月2日の個所を選択して登録したものである。また同一日種分類の中で複数の項目を設定することも可能である。例えば日種分類の
「季節」について考えると、カレンダー1306上に表示されている「春」以外にも「夏」「秋」「冬」の項目が存在し、これについてもユーザ側で設定することが可能である。
【0060】
図14は、交通情報予測システムの日種分類設定手段による設定画面における地域指定画面である。地域指定フィールド1401は、図13で示した経路指定フィールド1301において経路を指定する代わりに、地域を指定することにより日種指定分類の対象となる道路リンクを指定する画面である。地域指定フィールド1401では、地図表示フィールド1302を表示する。ユーザは長方形1402でこの地図表示フィールド1302上でエリアを指定することにより、日種分類の対象としたい道路リンクを一括選択する。図14で示した、地図上で直接エリアを指定する方法以外にも、図15のようにメッシュコードを選択させる地域指定方法や、図16のように行政区画を選択して行くことによる地域指定方法を用いることも可能である。
【0061】
図15に示す例では、メッシュコードのリスト1501の中から指定されたメッシュコード1502が日種分類対象とするエリアであることを表している。この場合、指定したメッシュコード1502に対応するエリア内に含まれる道路リンクが日種分類対象として選択されたことになる。なお、メッシュコードは、例えばJIS X 0410:1976 に示される地域メッシュコード等を利用する。
【0062】
図16では、都道府県選択ボックス1601,市町村選択ボックス1602,町名選択ボックス1603から、選択領域1604,1605,1606のように順次行政区画を指定して日種分類対象領域を選択している。図16の例では、「茨城県日立市大みか町」が日種分類対象の領域として選択されたことを表す。この選択ボックス1601,1602,1603は階層化されていて、例えば都道府県選択ボックス1601で選択された行政区画内の市町村を、市町村選択ボックス1602内に段階的に表示する。
【0063】
図17は、図13から図16に示した画面例で構成される日種分類設定手段を備えた交通情報予測システムのブロック図である。経路入力装置1701の入力画面例は、図13の経路指定フィールド1301に、地域入力装置1702の入力画面例は、図14,図
15,図16の地域選択画面例に、日種分類指定手段1703の入力画面例は、図13の日種分類設定フィールド1304にそれぞれ対応している。経路入力装置1701では、図示されていない地図データベースの地図データに基づき、指定された縮尺の地図を入力画面の地図表示フィールドに表示する。この地図表示フィールド上で指定された経路の座標を地図データから求めることにより、該当する道路に含まれるリンクを日種分類対象リンクとして取り出すと共に、地図表示フィールド上に選択された道路を示す矢印1303を表示する。
【0064】
地域入力装置1702では、やはり図示されていない地図データベースの地図データに基づき、指定された縮尺の地図を入力画面の地図表示フィールドに表示する。この地図表示フィールド上で指定された地域に含まれるリンクを日種分類対象リンクとして取り出すため、画面上で指定された長方形1402の座標位置を地図データから求め、更に長方形1402で指定される座標の領域内に存在する道路のリンクを求める。なお、図15に示すようなメッシュコードの選択により領域を指定する場合には、やはり図示されていないメッシュコードとこれに対応した座標情報を対応付けるメッシュコード・データのテーブルから、選択されたコードに対応する領域の座標を求め、これから座標の領域内に存在する道路のリンクを求める。また、図16に示すような地域選択により領域を指定する場合には、都道府県選択ボックス1601,市町村選択ボックス1602,町名選択ボックス1603を表示するために、別途行政区画の階層情報と各行政区画に対応した地図上の領域の座標情報を管理するデータベースを用意しておき、段階的に表示され選択された行政区画の情報から領域の座標情報を求め、更に領域内に存在する道路のリンクを求める。
【0065】
上記二つの入力装置の少なくとも一つを用いて取り出されたリンクあるいはリンク群に対して、日種分類指定手段1703で決定した日種分類がそれぞれ対応し、リンク毎に定義された日種データベース606が形成される。
【0066】
日種分類指定手段1703では、日種データベース606から、登録されている日種分類と、各日種分類の登録期間あるいは登録項目を読み出して、日種分類設定フィールド
1304上に表示する。そして、日種分類設定フィールド1304の日種分類1305とカレンダー1306のエリアに入力が行われると、新たな日種分類が追加されたものとして日種分類データを更新する。また、同様に、選択された日種分類の削除が指示された場合、あるいは選択された日種分類の期間または項目が変更された場合も、日種分類データを更新する。
【0067】
日種分類設定手段では、日種分類指定手段1703で更新された日種分類を、経路入力装置1701または地域入力装置1702で選択された道路リンクまたはリンク群に対応付けたリンク別日種入力データを日種データベース606に送り、日種データベース606を更新する。
【0068】
そして、更新された日種データベース606のデータを基に、実施例1で示した予測係数決定装置603において図12のS1203の予測係数の決定処理を行うことによって、リンク毎の予測係数が決定し、交通情報予測を行うことができる。
【0069】
図17に示した日種分類設定手段を備えることにより、交通情報提供を行うサービス事業者は、地域の特徴等を加味して予測交通情報を独自にカスタマイズ可能することができる。本発明の交通情報予測方式では、特徴量抽出により算出された基底成分と、基底成分と日種データベースとの関連付けから算出された予測係数とを別個にもって予測を行っている。よって、あらかじめ日種による分類を必要としないため、事前に作成された基底成分に対して、事後に地域の事情に詳しい管理者が、イベントの発生日時,学校休業日,工場休日など地域毎の依存性が高い情報を、日種データベースとして事後に追加し、予測係数を決定することが可能となる。上記のように全国共通の基底成分を作成する処理と、地域個別の予測係数を作成する処理を分離することによって、日種分類のカスタマイズの自由度を図り、精度の向上を図ることができる。
【0070】
図18は、日種分類設定手段に加えユーザ毎に日種データベースを管理するための交通情報管理手段を備えた交通情報予測システムのブロック図である。図18の例では、サーバ側のシステムで交通情報データベースや日種データベースといったデータベースを構成し、あるいは交通情報予測のための処理を行い、ユーザ側のクライアントシステムでは、ユーザ毎のリンク別日種入力データをサーバに送り、サーバ側で求めた交通情報の予測結果を出力するようなサーバ・クライアント型のシステム構成を想定している。ユーザ側のクライアントシステムでは、ユーザの要求に応じて、サーバから該当ユーザの日種分類情報を取り寄せ、前述の例と同様に日種分類指定画面を表示して、ユーザからの日種分類データの入力に基づきリンク別日種入力データを生成してサーバに送る。なお、クライアントシステムでもユーザの日種分類情報を管理している場合には、サーバから該当ユーザの日種分類情報は取り寄せずに、クライアントシステムの日種分類情報を用いるようにしても良い。サーバの交通情報管理手段1801は、ユーザ毎に送られてくるリンク別日種入力データを受信すると、ユーザ毎に設定して別個に管理しているユーザ別日種データベース1802,1803のうち、該当するユーザのユーザ別日種データベースを更新する。そしてサーバでは、図6に示した例と異なり、ユーザ毎に分類されたユーザ別日種データベース利用し、予測係数決定,特徴量予測,交通情報合成の各処理についても、ユーザ毎に分類して行う。これにより、クライアント側の交通情報表示装置607においても、ユーザは個別にカスタマイズされた予測交通情報を取得することとなる。上記のようにユーザ毎に日種データベースを管理する交通情報管理手段1801を備えることによって、本発明の交通情報予測装置は、ユーザ個別のカスタマイズをサーバ・クライアント型のサービスとして実現することができる。
【0071】
図19は、日種分類集約手段と日種分類設定手段を備えた交通情報予測システムのブロック図である。日種分類集約手段1901は、ユーザ毎に別個に入力した日種分類を集約する手段である。例えば、あるリンクに対して年間のイベントの事象(例えば花火大会,お祭り,運動会など)を入力する場合を考える。例えば、日種分類集約手段1901は、ユーザAとユーザBから別々に受け取ったリンク別日種入力に基づき、ユーザAがイベントに対して定義した分類名を「ユーザA:イベント」、ユーザBが定義した分類名を「ユーザB:イベント」として、日種データベースに登録する。予測係数決定装置では、上記二つの分類をそれぞれ別個の分類として扱い、異なる分類に対する予測係数を算出する。交通情報予測値を算出する際には、その両方の日種分類に対する影響を加味した形で予測交通情報が算出される。
【0072】
上記のように、日種分類集約手段を備えることによって、複数ユーザが定義した日種分類を利用して予測精度を高めることが可能となる。本発明では、基底成分と日種分類との関連付けを予測係数として扱っており、例えば日種分類がカテゴリーとして不適切で、交通状況との関連付けが小さいものに関しては、予測係数が小さくなり日種分類の影響を余りうけずに予測可能となる。日種分類のカテゴリーが適切で、交通状況との関連付けが大きいものに関しては、予測係数が大きくなり日種分類の影響を大きくうけて予測可能となる。よって、適当な日種分類のみの影響を受けた予測が可能となり、複数の日種分類情報を加味することで予測精度を向上させることが可能となる。
【実施例3】
【0073】
以下では、本発明の一実施形態である旅行時間の遅延リスクを提供する時間遅延リスク提供手段を備えた交通情報予測システムに関して、図20から図23を用いて説明する。本実施例では、時間遅延リスク提供手段を備えることにより、旅行時間の予測値だけでなく、遅延が発生する確率も提供することにより、荷物の時間指定配送などに対応した配送計画を立案する際の業務に役立てることができる。
【0074】
図20は、時間遅延リスクの表示画面の一例である。グラフ2001は、横軸に旅行時間(分単位)、縦軸にその旅行時間の発生確率を表したものである。グラフ2001は、「○×町→□△交差点」区間の2003年9月20日17時05分における、この区間で予測される旅行時間の分布を表している。例えば棒グラフ2002は、旅行時間が120分〜180分の所要時間階級値となる確率が25%程度であることを表している。また線分2003のように、期待値,80パーセンタイル,95パーセンタイルとなる旅行時間をグラフ上に表示することも可能である。ここでパーセンタイルとは、累積分布上で或る定めた値以下となる割合を表し、旅行時間確率密度分布の積分として計算することができる。図20の例で「80%320分」は、この区間の旅行時間が80%の確率で320分以内に収まることを表している。
【0075】
図20の表示により、ユーザは該当区間の旅行時間予測値だけでなく、予測値がどの程度ばらつく可能性があるかをグラフの形とパーセンタイル表示の線分を重ね合わせた表示を見ることで視覚的に把握することが可能となる。また、単に予測された旅行時間の期待値その信頼度が表示される場合に比べ、期待値より遅れる傾向が強いのか、期待値より早く通過する傾向が強いのか、グラフとパーセンタイル表示から判断する事が出来るようになる。これにより旅行計画、あるいは配送計画時にどの程度の余裕をもって出発すればよいかを見積もることができる。図20の例で、時間内に到着する信頼性が80%で十分、すなわち5回に1回は遅延を許される状況であれば、所要時間320分を見込んで出発すればよいことを示唆している。時間内に到着する信頼性がもっと厳しく95%必要、すなわち20回に1回しか遅延が許されない場合には、所要時間410分を見込む必要がある。図20の旅行時間確率分布の作成にあたり、事故の発生による旅行時間遅延がデータに含まれているのであれば、事故発生リスクを見込んだ時間遅延リスクを計算することも可能である。
【0076】
図21は、時間遅延リスクの表示画面の別の例である。遅延リスク表示2101において、2102は、実施例1と同様に過去の統計交通情報データベースから計算される交通情報予測値に基づく指定区間の旅行時間についての期待所要時間、及びそのデータのばらつきから推定される遅延リスクレベルである。図21の例では、凡例2104に従い、遅延リスクAが遅延時間10分となる確率が90%、遅延リスクBが遅延時間30分となる確率が90%、遅延リスクCが遅延時間60分となる確率が90%であることを表している。すなわち、期待所要時間200分に遅延時間30分を合計した230分内に到着する可能性が90%であることを表している。この例のように、ドライバーにとっての関心が、所要時間はどれくらいかと言う点と、予測される所要時間に対してどれくらい遅れやすいのかと言う点に対して強いことから、所要時間の期待値に対する遅延時間を評価した遅延リスクレベルで時間遅延リスクを表現することにより、ユーザは直感的に道路の時間遅延リスクの発生度を知ることができる。
【0077】
また、表2103にあるように時間帯に応じて異なる所要時間,遅延リスクレベルを表現することもできる。表2103の例では、16:00に出発した場合は所要時間120分であり、遅延リスクレベルAであるので、高い信頼性をもって目的地に時間内で到着可能であることを表している。これに対して18:00に出発した場合は所要時間300分であり、遅延リスクレベルCであるので、16:00に出発した場合に比べて所要時間が多くかかり、さらに遅延リスクが高いことから、期待所要時間時間までに到着する信頼性が低く所要時間が伸びがちであることを表している。ユーザはこの表を見ることにより、16:00に出発することを選択した方が、確実に目的地に到着し得ることを確認することができる。なお、図21の凡例2104では、確率一定(例では90%)となる場合の遅延時間によって遅延リスクレベルを表しているが、遅延時間、あるいは遅延時間率(遅延時間を期待所要時間で割ったもの)を一定にして、その時間内に到着する確率の違いによってレベル分けしてもよい。
【0078】
図22は、時間遅延リスク提供手段を備えた交通情報予測システムのブロック図である。実施例1で説明した図6の構成に加え、時間遅延リスク提供手段2201を備えており、この時間遅延リスク提供手段2201は、日種データベース,交通情報データベース,交通情報予測値から時間遅延リスクを算出する。例えば、図20のように特定の1日のある時間帯の時間遅延リスクを算出するには、実施例1の方法を用いて旅行時間予測値が算出できる。日種データベースからこの予測値と同一の日種分類である日種データの該当する時間帯における旅行時間データを交通情報データベースから取り出すことで旅行時間の確率密度分布を形成することができる。または、交通情報データベースからではなく、同一日種分類の旅行時間予測値の集合から旅行時間の確率密度分布を形成してもよい。確率密度分布が求まると、次に所要時間の期待値やパーセンタイルの値が求められ、更にこの期待値からの所定時間の遅延リスクが求められる。図21の2102のような区間の代表的な時間遅延リスクを算出する場合には、日種分類の区別なく全旅行時間データを抽出するか、あるいは予測対象日が該当する特定の日種分類に絞って旅行時間データを抽出して時間遅延リスクを計算する。時間遅延リスクは、基本的に旅行時間統計データの積み上げによって計算することができるが、サンプルデータ数が少ないことが影響して分布の広がりが小さくなることも考えられる。この点を考慮し、例えばデータ数Nのデータに対しては、分布の幅に自由度(N−1)のt分布の値(例えば、信頼区間95%を利用)を乗じることによって、サンプルデータ数不足の影響を取り除くことができる。
【0079】
図23は、日種毎に分類した旅行時間確率密度分布の例である。図23は、横軸旅行時間、縦軸発生確率密度とした旅行時間の分布を表している。図23の例では、ある区間での17:00〜19:00での旅行時間の分布を表したものであり、分布2301は一年間を通しての旅行時間の分布、分布2302は春の休日の分布、分布2303は春の平日の分布であるとする。図23の例にあるように、日種分類が交通状況の特徴をよくとらえている場合は、分布の裾が狭くなる可能性が高くなる。よって日種分類した時間遅延リスクを用いることにより、同一時間遅延リスクでも日種に応じた計画を立てることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の交通情報予測装置、及び方法は、一般ユーザ向けへの交通情報提供サービスに利用することができる。また、時間管理を必要とする物流・運送システム全般に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】交通情報予測システムの操作画面の例。
【図2】交通情報予測システムの操作画面における日種入力フィールドの例。
【図3】交通情報予測システムの操作画面における自由経路入力フィールドの例。
【図4】交通情報予測システムの操作画面における区間入力フィールドの例。
【図5】交通情報予測システムに必要な予測手法の概念図。
【図6】交通情報予測システムを示すブロック図。
【図7】交通情報予測システムを示すブロック図。
【図8】日付および日種を入力する手段のブロック図。
【図9】通信型ナビゲーション装置と交通情報センターに適用した実施例を示すブロック図。
【図10】通信型ナビゲーション装置と交通情報センターに適用した実施例における通信フォーマットの例。
【図11】通信型ナビゲーション装置と交通情報センターに適用した実施例における通信フォーマットの例。
【図12】交通情報を予測するための処理フローの例。
【図13】交通情報予測システムの設定画面における日種分類指定画面の例。
【図14】交通情報予測システムの設定画面における地域指定画面の例。
【図15】交通情報予測システムの設定画面におけるメッシュコードによる地域指定画面の例。
【図16】交通情報予測システムの設定画面における行政区画による地域指定画面の例。
【図17】日種分類設定手段を備えた交通情報予測システムのブロック図。
【図18】ユーザ毎の交通情報管理手段と日種分類設定手段を備えた交通情報予測システムのブロック図。
【図19】日種分類集約手段と日種分類設定手段を備えた交通情報予測システムのブロック図。
【図20】時間遅延リスク表示画面の例。
【図21】時間遅延リスク表示画面の例。
【図22】時間遅延リスク提供手段を備えた交通情報予測システムのブロック図。
【図23】日種毎の旅行時間確率密度分布の例。
【符号の説明】
【0082】
601…特徴量抽出装置、602…交通情報データベース、603…予測係数決定装置、604…交通情報合成装置、605…特徴量予測装置、606…日種データベース、
607…交通情報表示装置、1701…経路入力装置、1702…地域入力装置、1703…日種分類指定手段、1801…交通情報管理手段、1803…ユーザ別日種データベース、1901…日種分類集約手段、2201…時間遅延リスク提供手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去の交通情報時系列データを記録した交通情報データベースと、
予測対象日の日種または予測対象日の日付を入力する入力装置と、
前記過去の交通情報時系列データに基づいて、前記日種入力装置から入力された複数の日種に応じた交通情報時系列データを求める交通情報計算装置と、を有する交通情報提供装置において、
二地点間の予測対象経路を指定する経路入力装置と、
日種分類を設定する日種分類指定手段と、を有し、
該日種分類指定手段は、前記経路入力装置で指定された予測対象経路毎に日種分類を設定する
ことを特徴とする交通情報提供装置。
【請求項2】
過去の交通情報時系列データを記録した交通情報データベースと、
予測対象日の日種または予測対象日の日付を入力する入力装置と、
前記過去の交通情報時系列データに基づいて、前記日種入力装置から入力された複数の日種に応じた交通情報時系列データを求める交通情報計算装置と、を有する交通情報提供装置において、
日種分類を設定する地域を指定する地域入力装置と、
日種分類を設定する日種分類指定手段と、を有し、
該日種分類指定手段は、前記地域入力装置で指定された地域にある経路毎に日種分類を設定する
ことを特徴とする交通情報提供装置。
【請求項3】
請求項1,請求項2に記載の交通情報提供装置において、
日種分類を指定したユーザごとに別個の交通情報時系列データを管理する交通情報管理手段を有する交通情報提供装置。
【請求項4】
請求項1,請求項2に記載の交通情報提供装置において、
日種分類を指定したユーザごとの日種分類データを集約する日種分類集約手段を備え、前記集約した日種分類に応じた交通情報時系列データを求める交通情報計算装置と、を有する交通情報提供装置。
【請求項5】
過去の交通情報時系列データを記録した交通情報データベースと、
予測対象日の日種または予測対象日の日付を入力する入力装置と、
前記過去の交通情報時系列データに基づいて、前記日種入力装置から入力された複数の日種に応じた交通情報時系列データを求める交通情報計算装置と、を有する交通情報提供装置において、
二地点間の予測対象経路を指定する経路入力装置と、
該経路入力装置により指定された指定経路における所要時間に対する遅延リスクを求める時間遅延リスク提供手段と、を有する交通情報提供装置。
【請求項6】
請求項5において、
提供する到着時間遅延リスクは、日種・時間帯によって変化することを特徴とする時間遅延リスク提供手段を有する交通情報提供装置。
【請求項7】
請求項5において、
提供する到着時間遅延リスクは、遅延時間階級値と遅延発生確率との組み合わせ、または遅延リスクレベルで表現されることを特徴とする時間遅延リスク提供手段を有する交通情報提供装置。
【請求項1】
過去の交通情報時系列データを記録した交通情報データベースと、
予測対象日の日種または予測対象日の日付を入力する入力装置と、
前記過去の交通情報時系列データに基づいて、前記日種入力装置から入力された複数の日種に応じた交通情報時系列データを求める交通情報計算装置と、を有する交通情報提供装置において、
二地点間の予測対象経路を指定する経路入力装置と、
日種分類を設定する日種分類指定手段と、を有し、
該日種分類指定手段は、前記経路入力装置で指定された予測対象経路毎に日種分類を設定する
ことを特徴とする交通情報提供装置。
【請求項2】
過去の交通情報時系列データを記録した交通情報データベースと、
予測対象日の日種または予測対象日の日付を入力する入力装置と、
前記過去の交通情報時系列データに基づいて、前記日種入力装置から入力された複数の日種に応じた交通情報時系列データを求める交通情報計算装置と、を有する交通情報提供装置において、
日種分類を設定する地域を指定する地域入力装置と、
日種分類を設定する日種分類指定手段と、を有し、
該日種分類指定手段は、前記地域入力装置で指定された地域にある経路毎に日種分類を設定する
ことを特徴とする交通情報提供装置。
【請求項3】
請求項1,請求項2に記載の交通情報提供装置において、
日種分類を指定したユーザごとに別個の交通情報時系列データを管理する交通情報管理手段を有する交通情報提供装置。
【請求項4】
請求項1,請求項2に記載の交通情報提供装置において、
日種分類を指定したユーザごとの日種分類データを集約する日種分類集約手段を備え、前記集約した日種分類に応じた交通情報時系列データを求める交通情報計算装置と、を有する交通情報提供装置。
【請求項5】
過去の交通情報時系列データを記録した交通情報データベースと、
予測対象日の日種または予測対象日の日付を入力する入力装置と、
前記過去の交通情報時系列データに基づいて、前記日種入力装置から入力された複数の日種に応じた交通情報時系列データを求める交通情報計算装置と、を有する交通情報提供装置において、
二地点間の予測対象経路を指定する経路入力装置と、
該経路入力装置により指定された指定経路における所要時間に対する遅延リスクを求める時間遅延リスク提供手段と、を有する交通情報提供装置。
【請求項6】
請求項5において、
提供する到着時間遅延リスクは、日種・時間帯によって変化することを特徴とする時間遅延リスク提供手段を有する交通情報提供装置。
【請求項7】
請求項5において、
提供する到着時間遅延リスクは、遅延時間階級値と遅延発生確率との組み合わせ、または遅延リスクレベルで表現されることを特徴とする時間遅延リスク提供手段を有する交通情報提供装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2006−39978(P2006−39978A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−219491(P2004−219491)
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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