交通障害情報収集装置
【課題】移動通信端末から交通障害についての情報を受信して収集する交通障害情報収集装置において、移動通信端末のユーザの無駄な負担を軽減する。
【解決手段】
交通障害情報収集装置は、交通障害の内容の情報を回答として受信するためにあらかじめ用意された複数項目の質問のうちから、一部の質問を選択し(ステップ305)、複数項目の質問のうち選択した質問のみを、交通障害の内容に関する質問として、道路上の移動通信端末に送信する(ステップ310、320、330)。つまり、質問内容を絞り込んで質問を行う。さらに交通障害情報収集装置は、道路上の移動通信端末から過去に受信した当該交通障害の内容の情報に基づいて、選択する質問を決定する。
【解決手段】
交通障害情報収集装置は、交通障害の内容の情報を回答として受信するためにあらかじめ用意された複数項目の質問のうちから、一部の質問を選択し(ステップ305)、複数項目の質問のうち選択した質問のみを、交通障害の内容に関する質問として、道路上の移動通信端末に送信する(ステップ310、320、330)。つまり、質問内容を絞り込んで質問を行う。さらに交通障害情報収集装置は、道路上の移動通信端末から過去に受信した当該交通障害の内容の情報に基づいて、選択する質問を決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通障害情報収集装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、交通障害についての情報を収集する装置が知られている。交通障害は、道路における車両の通行の障害となる突発的事象であり、例えば、交通事故、道路への倒木、道路への落石、道路の陥没、道路側方の火災、道路への積荷の散乱等である。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の技術では、交通障害を目撃したユーザが、移動通信端末を用いてセンタに交通障害の内容を送信し、センタが、複数の移動通信端末から受けた交通障害に基づいて、交通障害の情報を更新するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−238194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1では、移動通信端末側からセンタへ自発的に交通障害の情報が送信されるに過ぎない。したがって、移動通信端末のユーザは、センタにとって必ずしも必要のない情報までも移動通信端末に入力してしまう可能性がある。その場合、ユーザに無駄な負担がかかってしまうことになる。
【0006】
本発明は上記点に鑑み、移動通信端末から交通障害についての情報を受信して収集する装置において、移動通信端末のユーザの無駄な負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、交通障害の情報を収集する交通障害情報収集装置であって、道路上の移動通信端末(2)と通信するための通信装置(11)と、情報を記憶するための記憶媒体(12)とを含んでいる。そして交通障害情報収集装置は、通信装置(11)が道路上の第1の移動通信端末(2)から交通障害の内容の情報を受信した場合に、当該受信した情報に基づいて、記憶媒体(12)中に前記交通障害の情報を作成する作成手段(245)と、当該交通障害の内容に関する質問を、第1の移動通信端末(2)以外の道路上の複数の移動通信端末(2)に送信するメイン問い合わせ手段(305、308、310、320、330)と、通信装置(11)が、当該複数の移動通信端末(2)から上記質問に対する回答として交通障害の内容の情報を受信した場合に、当該受信した回答を用いて、記憶媒体(12)中の当該交通障害の情報を更新する更新手段(250、420)と、を備えている。さらにメイン問い合わせ手段(305、308、310、320、330)は、あらかじめ用意された交通障害に関する複数項目の質問のうちから一部の質問を選択する選択手段(305)を備えると共に、当該複数項目の質問のうち選択手段(305)が選択した質問のみを、当該交通障害の内容に関する質問として、複数の移動通信端末(2)に送信する。そして選択手段(305)は、通信装置(11)が道路上の移動通信端末(2)から現在までに受信した当該交通障害の内容の情報に基づいて、選択する質問を決定することを特徴とする。
【0008】
このように、本発明の交通障害情報収集装置は、交通障害の内容の情報を回答として受信するためにあらかじめ用意された複数項目の質問のうちから、一部の質問を選択し、複数項目の質問のうち選択した質問のみを、交通障害の内容に関する質問として、道路上の移動通信端末(2)に送信する。つまり、質問内容を絞り込んで質問を行う。したがって、絞り込まずにあらかじめ用意された複数項目の質問をすべて移動通信端末(2)に送信する場合に比べ、移動通信端末(2)のユーザが回答のために入力する負担が低減される。
【0009】
さらに本発明の交通障害情報収集装置は、道路上の移動通信端末(2)から過去に受信した当該交通障害の内容の情報に基づいて、選択する質問を決定するので、交通障害情報収集装置が当該交通障害について受けている情報に応じた質問を選択することができる。したがって、移動通信端末(2)のユーザの無駄な負担を軽減することができる。
【0010】
なお、ここでいう「選択した質問のみを…送信する」とは、あらかじめ用意された複数項目の質問のうちでは、選択した質問のみを送信することを意味している。換言すれば、あらかじめ用意された複数項目の質問のうち、選択した質問は送信し、選択しなかった質問は送信しないことを意味している。したがって、「選択した質問のみを…送信する」とは、選択された質問と共に、あらかじめ用意された複数項目の質問以外の情報が送信されることを妨げるものではない。つまり、選択された質問は、あらかじめ用意された複数項目の質問以外のどのような情報と共に移動通信端末(2)に送信されるようになっていてもよい。
【0011】
また請求項2に記載のように、通信装置(11)が道路上の移動通信端末(2)から受信する当該交通障害の内容の情報は、複数項目の質問のうち1項目以上の質問のそれぞれに対する個別の回答となる情報を含み、選択手段(305)は、現在までに通信装置(11)が道路上の移動通信端末(2)から受信した複数個の当該交通障害の内容の情報において、当該複数項目の質問に対する回答のうち、どの質問に対する回答が不足しているかを特定し、不足している回答に対応する質問を、選択対象の質問に含めるようになっていてもよい。
【0012】
このようにすることで、交通障害情報収集装置は、当該交通障害について不足している情報を積極的に質問することで、交通障害情報収集装置にとっても移動通信端末(2)のユーザにとっても効率的に、移動通信端末(2)から当該交通障害の必要な情報を収集することができる。
【0013】
また、請求項3に記載のように、交通障害情報収集装置は、現在までに当該交通障害の内容に関する質問を送信した回数(以下、質問回数という)と、現在までの当該所定期間内において当該質問に対する回答を受信した回数(以下、回答回数という)とを記録するカウント手段(248、255、340、425)を備え、選択手段(305)は、カウント手段(248、255、340、425)によって記録された質問回数に対する回答回数の割合が基準値を下回っていることに起因して、交通障害が解消したか否かを問う質問を、選択対象の質問に含めるようになっていてもよい。
【0014】
交通障害が解消しつつある状態では、移動通信端末(2)のユーザが質問に対して回答しなくなる可能性が高くなる。したがって、当該交通障害の内容についての質問回数に対する回答回数の割合は、徐々に低下していく。この割合がある程度低下したときに、当該交通障害が解消したか否かの質問をすることで、タイミング良く、当該交通障害が解消したか否かについての確定的な情報を収集することができる。
【0015】
また、請求項4に記載のように、メイン問い合わせ手段(305、308、310、320、330)は、選択した質問の送信先の移動通信端末(2)を搭載した車両が走行中である場合に、選択した質問を、当該移動通信端末(2)に対して、二者択一の形式で、送信するようになっていてもよい。
【0016】
移動通信端末(2)が搭載された車両が走行中であれば、ユーザがドライバである可能性が高い。そうであれば、ドライバに複雑な質問を投げ掛けて複雑な操作を強いるよりも、二者択一という簡単な操作を行わせることで、ドライバの安全運転をより良くサポートすることができる。
【0017】
また、請求項5に記載のように、通信装置(11)が第1の移動通信端末(2)から当該交通障害の存在を通知する障害存在通知情報を受信した場合に、第1の移動通信端末(2)に対して、当該交通障害の内容の情報を回答として受信するための質問を送信する初期問い合わせ手段(110、120、130)を備え、作成手段(245)は、初期問い合わせ手段(110、120、130)が送信した質問に対する第1の移動通信端末(2)からの応答を通信装置(11)が受信したとき、当該応答が障害存在通知情報を撤回する旨の情報を含まない場合に、当該応答中の当該質問に対する回答の情報に基づいて、記憶媒体(12)中に当該交通障害の情報を作成するようになっていてもよい。
【0018】
第1の移動通信端末(2)がユーザの誤操作によって障害存在通知情報を送信してしまった場合は、ユーザは誤操作してしまったことに気付かない可能性が高く、仮に気付いたとしても、既に障害存在通知情報が送信されてしまった後でそれを取り消そうという気にならない可能性が高い。
【0019】
そこで、上記のように、第1の移動通信端末(2)から交通障害の存在を通知する障害存在通知情報を受信し、その上で当該第1の移動通信端末(2)に対して当該交通障害の内容に関する質問を送信することで、第1の移動通信端末(2)のユーザは、誤操作によって障害存在通知情報の送信が行われたことに気付くことができ、さらに、質問に対する応答の段階で障害存在通知情報を撤回する機会を得ることができる。
【0020】
また、請求項6に記載のように、通信装置(11)が、初期問い合わせ手段(110、120、130)が送信した質問に対する応答を第1の移動通信端末(2)から受信し、更に、作成手段(245)が、応答中の質問に対する回答の情報に基づいて、記憶媒体(12)中に当該交通障害の情報を作成した場合に、当該作成された交通障害の情報を、第1の移動通信端末(2)以外の道路上の移動通信端末(2)に送信するようになっていてもよい。
【0021】
このように、第1の移動通信端末(2)から送信された障害存在通知情報および回答に基づいて当該交通障害の情報を作成したときに、この交通障害の情報を他の移動通信端末(2)にも送信することで、他の移動通信端末(2)のユーザは、当該交通障害の存在が既に交通障害情報収集装置において既知であることを認識できる。したがって、他の移動通信端末(2)のユーザが当該移動通信端末(2)を操作して、当該交通障害についての障害存在通知情報を無駄に送信してしまう可能性が低減される。ひいては、交通障害情報収集装置が同じ交通障害について重複して障害存在通知情報を受信してしまう可能性が低減される。
【0022】
なお、上記および特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る交通障害情報収集システムの模式図である。
【図2】センタ1の構成を示すブロック図である。
【図3】移動通信端末2の構成を示すブロック図である
【図4】センタ側制御部13が実行する障害存在通知受信時処理のフローチャートである。
【図5】センタ側制御部13が実行する障害情報報知処理のフローチャートである。
【図6】センタ側制御部13が実行するメイン問い合わせ処理のフローチャートである。
【図7】センタ側制御部13が実行するメイン回答対応処理のフローチャートである。
【図8】移動通信端末2とセンタ1との間でやり取りされる各種情報31〜37の内容を示す図である。
【図9】初期詳細問い合わせの質問形式の一例を示す図である。
【図10】初期簡易問い合わせの質問形式の一例を示す図である。
【図11】簡易テーブルのデータ構成の一例を示す図表である。
【図12】あらかじめ用意された複数の質問項目の一例を示す図である。
【図13】メイン詳細問い合わせの質問形式の一例を示す図である。
【図14】メイン簡易問い合わせの質問形式の一例を示す図である。
【図15】メイン詳細問い合わせの質問形式の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1に、本発明に係る交通障害情報収集システムの概略構成を示す。交通障害情報収集システムは、センタ(交通障害情報収集装置の一例に相当する)1、および、センタ1と通信する複数の移動通信端末2を有している。移動通信端末2は、それぞれ道路上の(走行しているまたは停止している)車両3〜6に搭載されている。
【0025】
本実施形態では、道路上のある地点7において交通障害が発生し、その地点7の近傍の車両4の乗員(ドライバまたは他の乗員)が当該交通障害を発見したときに、当該乗員が交通障害の存在を通知するために移動通信端末2を操作する。交通障害とは、道路における車両の通行の障害となる突発的事象であり、例えば、交通事故、道路への倒木、道路への落石、道路の陥没、道路側方の火災、道路への積荷の散乱等をいう。この操作によって、移動通信端末2がセンタ1へ障害存在通知情報を送信する。
【0026】
移動通信端末2から送信された障害存在通知情報をセンタ1が受信すると、センタ1は、送信元車両4の移動通信端末2に対して、交通障害の内容に関する質問を送信する。この質問は、交通障害の内容の情報を回答として受信するためにあらかじめ用意されたものであり、例えば、交通障害の位置、交通障害の規模、交通障害の種別、交通障害が発生した車線等を問う質問である。
【0027】
この質問を受信した移動通信端末2は質問を乗員に表示し、乗員はこの表示に対応して質問の回答を入力する。すると移動通信端末2は、この回答をセンタ1への応答に含めて送信する。この応答を受信したセンタ1は、応答中に含まれる回答に基づいて、交通障害発生地点7の交通障害の障害まとめ情報を作成し、作成した交通障害の情報を他の車両3、5、6の移動通信端末2に送信する。
【0028】
さらにセンタ1は、他の車両3、5、6の移動通信端末2に対しても、地点7の交通障害の内容に関する質問を送信する。この質問も、交通障害の内容の情報を回答として受信するためにあらかじめ用意されたものである。この質問に対して車両3、5、6の移動通信端末2から応答が送信されると、センタ1は、この応答中の回答に基づいて、当該交通障害の障害まとめ情報を更新する。センタ1は、このようにして逐次更新された当該交通障害の障害まとめ情報に基づいて、交通障害発生地点7の周辺の渋滞状況を予測する。
【0029】
さらにセンタ1は、他の車両3、5、6の移動通信端末2に対して適切な質問を送信するために、あらかじめ用意された複数項目の質問の中から、実際に用いる質問を選択し、これら複数項目の質問のうち選択した質問のみを移動通信端末2に送信するようになっている。そして、質問の選択対象は、当該交通障害の障害まとめ情報に基づいて決定するようになっている。
【0030】
以下、この交通障害情報収集システムの構成および作動について詳細に説明する。センタ1と移動通信端末2との通信を実現する形態は、どのようなものでもよい。例えば、移動通信端末2とセンタ1とが直接無線通信するようになっていてもよい。また例えば、移動通信端末2が無線基地局と無線接続し、センタ1がこの無線基地局と広域ネットワーク等を介して接続している場合は、この無線基地局を介してセンタ1と移動通信端末2との通信が実現してもよい。無線基地局は、携帯電話網の基地局であってもよいし、道路に沿って配置されたDSRCの路上機やVICSの路上機であってもよい。また、センタ1から移動通信端末2への送信の伝達経路と、移動通信端末2からセンタ1への送信の伝達経路は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0031】
図2に、センタ1の構成を示す。センタ1は、通信装置11、記憶媒体12、およびセンタ側制御部13を含んでいる。通信装置11は、移動通信端末2との通信を実現するための装置であり、例えば、移動通信端末2と直接無線通信可能な周知の無線通信機であってもよいし、あるいは、広域ネットワークと接続するための周知のネットワークインターフェース装置であってもよいし、それらの両方を兼ね備えたものであってもよい。
【0032】
記憶媒体12は、各種情報を記憶するための記憶媒体であり、例えば、磁気ディスクであってもよいし、ソリッドステートディスクであってもよい。
【0033】
センタ側制御部13は、図示しないCPU、RAM、ROMを有し、CPUがROMまたは記憶媒体12に記録されているプログラムを実行することで、各種処理を実現する。そしてCPUは、その処理の実行中、必要に応じてRAMおよび記憶媒体12に対してデータの書き込みを行い、また必要に応じてRAM、ROM、および記憶媒体12からデータを読み出し、また必要に応じて通信装置11を使用して移動通信端末2との通信を実現する。なお以降は、CPUが実行する処理をセンタ側制御部13が実行する処理として説明する。センタ側制御部13の具体的な作動については後述する。
【0034】
図3に、移動通信端末2のそれぞれが共通して有する構成を示す。移動通信端末2は、無線部20、位置センサ21、車速・方向センサ22、操作部23、ディスプレイ24、および車載制御部25を含んでいる。無線部20は、センタ1との通信を実現するための周知の無線通信装置である。
【0035】
位置センサ21は、移動通信端末2の現在位置(すなわち移動通信端末2を搭載する車両の現在位置)を特定して車載制御部25に出力する装置である。位置センサ21としては、例えばGPS受信機を用いてもよい。
【0036】
車速・方向センサ22は、移動通信端末2の移動速度(すなわち移動通信端末2を搭載する車両の走行速度)および移動方向(すなわち走行方向)を特定して車載制御部25に出力する装置である。車速・方向センサ22としては、例えば周知の車速センサ、ジャイロセンサ、GPS受信機等を用いてもよい。
【0037】
操作部23は、ユーザの入力操作を直接受け付け、受け付けた操作に応じた信号を車載制御部25に出力する周知の装置である。操作部23としては、例えば、メカニカルスイッチ、タッチパネル等がある。
【0038】
ディスプレイ24は、ユーザに情報を文字または画像で表示するための装置であり、車載制御部25の制御を受けて作動する。
【0039】
車載制御部25は、図示しないCPU、RAM、ROMを有し、CPUがROMに記録されているプログラムを実行することで、各種処理を実現する。そしてCPUは、その処理の実行中、必要に応じてRAMに対してデータの書き込みを行い、また必要に応じてRAM、ROMからデータを読み出し、また必要に応じて位置センサ21、車速・方向センサ22、操作部23から信号を取得し、また必要に応じてディスプレイ24に情報を表示させ、また必要に応じて無線部20を使用してセンタ1との通信を実現する。なお以降は、CPUが実行する処理を車載制御部25が実行する処理として説明する。車載制御部25の具体的な作動については後述する。
【0040】
以下、上記のように構成されたセンタ1および移動通信端末2の作動について、具体的な事例に基づいて図4以降を参照して説明する。図4〜図7は、センタ側制御部13が実行するプログラムのフローチャートであり、図8は、センタ1と移動通信端末2の間の通信でやり取りされる情報31〜37の内容を示す図である。図4の障害存在通知受信時処理は、障害存在通知情報を通信装置11が受信する度に実行される処理であり、図5の障害情報報知処理は、センタ1の作動時に常時実行される処理である。
【0041】
なお、以下の作動では、センタ1のセンタ側制御部13が移動通信端末2に情報を送信する際および移動通信端末2から情報を受信する際には、通信装置11を用いるようになっており、また、移動通信端末2の車載制御部25がセンタ1に情報を送信する際およびセンタ1から情報を受信する際には、無線部20を用いるようになっている。
【0042】
[前提]
まず前提として、各車両に搭載された移動通信端末2の車載制御部25は、無線部20を用いて、図8に示すような自車情報31をセンタ1に対して繰り返し送信するようになっている。自車情報31は、自車両(すなわち、当該移動通信端末2が搭載される車両)のID(識別情報)、自車両の現在位置、および自車両の現在の走行速度、走行方向を含む情報である。自車情報31の送信タイミングは、定期的であってもよいし、センタ1から要求を受けたときであってもよい。なお、車載制御部25は、自車両のIDをROMから取得し、自車両の現在位置を位置センサ21から取得し、自車両の現在の走行速度および走行方向を車速・方向センサ22から取得する。センタ側制御部13は、この自車情報31を受信することで、各車両の現在位置および現在の移動速度を最新に保つようになっている。
【0043】
[事例A−1(交通障害発見から初期問い合わせまで)]
まず、図1に示すように、道路上の地点7で、交通障害が発生したとする。この交通障害が継続しているときに車両4(第1の車両の一例に相当する)が交通障害発生地点7の近傍を通ると、車両4の乗員がこの交通障害を発見する。するとこの乗員は、車両4に搭載された移動通信端末2(第1の移動通信端末の一例に相当する)の操作部23を操作して、交通障害が発生した旨の入力を行う。この入力を受けた移動通信端末2の車載制御部25は、図8に示す障害存在通知情報32を作成してセンタ1に送信する。この障害存在通知情報32には、この情報が障害存在通知情報である旨の情報、および、この障害存在通知情報32の送信元の車両の自車情報(自車情報31と同じ内容の情報)を含める。
【0044】
このようにして車両4の移動通信端末2から送信された障害存在通知情報32をセンタ側制御部13が受信すると、センタ側制御部13が図4の障害存在通知受信時処理の実行を開始し、まずステップ105で、当該障害存在通知情報32中の自車情報に含まれる車両位置の情報を、障害存在通知位置として、記憶媒体12に追加記録する。この障害存在通知位置の記録は、後述する図5のステップ220で用いられる。
【0045】
続いてステップ110で、当該障害存在通知情報32中の自車情報に含まれる走行速度の情報に基づいて、障害存在通知情報32の送信元の車両4が走行中であるか否かを判定する。そして走行中でなければ続いてステップ120を実行し、走行中であれば続いてステップ130を実行する。
【0046】
ステップ120では、初期詳細問い合わせを行い、ステップ130では、初期簡易問い合わせを行う。初期詳細問い合わせおよび初期簡易問い合わせのそれぞれは、図8に示す初期問い合わせ情報33を障害存在通知情報32の送信元の移動通信端末2(すなわち車両4の移動通信端末2)に送信する処理である。送信元の移動通信端末2は、受信した障害存在通知情報32中の車両IDに基づいて特定することができる。
【0047】
ここで、初期問い合わせ情報33には、この情報が初期問い合わせ情報である旨の情報、および、交通障害発生地点7における交通障害の内容に関する質問の情報を含める。当該交通障害の内容に関する質問とは、当該交通障害の内容の情報を回答として受信するためにあらかじめ用意された複数項目の質問である。具体的には、交通障害の発生位置(自車両に対する交通障害の前後位置)を問う質問、交通障害の規模を問う質問、交通障害の種別を問う質問、交通障害が塞ぐ車線を問う質問等である。
【0048】
ただし、初期詳細問い合わせと初期簡易問い合わせとでは、初期問い合わせ情報33に含める質問の形式が異なる。具体的には、初期簡易問い合わせの場合、質問の形式は二者択一形式とし、初期詳細問い合わせの場合、質問の形式は二者択一形式よりも詳細な形式となっている。
【0049】
図9に、初期詳細問い合わせにおける質問形式の一例を示し、図10に、初期簡易問い合わせの質問形式の一例を示す。初期詳細問い合わせの場合、質問の送信先の移動通信端末2のディスプレイ24が図9に示すような表示を行うように、質問を作成する。すなわち、センタ側制御部13は、移動通信端末2のディスプレイ24が図9に示すような表示を行うよう指示するデータを、初期問い合わせ情報33中に質問として含める。
【0050】
図9の表示では、自車両に対する交通障害の前後位置を問う質問の表示41a〜41e、交通障害の規模を問う質問の表示42a〜41c、交通障害の種別を問う質問の表示43a〜43d、交通障害が塞ぐ車線を問う質問の表示44a〜44cという、4項目の質問の表示を1つの表示画面に含めている。そして、各項目の質問の回答として、3個以上の選択肢から1つを選択させるような表示となっている。
【0051】
例えば、自車両に対する交通障害の前後位置を問う質問に関しては、当該交通障害が自車両の直前(具体的には100メートル以内)にあるか、直後(具体的には100メートル以内)にあるか、直前よりも遠い前方(具体的には100メートル以上500メートル以内)にあるか、直後よりも遠い後方(具体的には100メートル以上500メートル以内)にあるか、あるいは自車両の側方にあるかを選択させるために、これら選択肢のそれぞれを示すアイコン41a〜41eが表示されている。
【0052】
また、交通障害の規模を問う質問に関しては、当該交通障害が小規模であるか、中規模であるか、あるいは大規模であるかを選択させるために、これら選択肢のそれぞれを示すアイコン42a〜42cが表示されている。
【0053】
また、交通障害の種別を問う質問に関しては、当該交通障害が交通事故であるか、道路への倒木であるか、道路陥没であるか、あるいは、道路への積荷の散乱であるかを選択させるために、これら選択肢のそれぞれを示すアイコン43a〜43dが表示されている。
【0054】
また、交通障害が塞ぐ車線を問う質問に関しては、当該交通障害が自車両の走行する車線を塞いでいるか、自車両の反対車線を塞いでいるか、あるいは両方向の車線を塞いでいるかを選択させるために、これら選択肢のそれぞれを示すアイコン44a〜44cが表示されている。
【0055】
また、図9の表示には、障害存在通知情報32が誤操作によるものであった旨を選択させるアイコン45も含まれる。また、図9の表示には、質問の各項目に対する個別の回答が終了した旨を入力するための入力完了アイコン46も含まれる。なお、これらアイコン41〜46は、車両の乗員が操作部23を用いて各質問項目につき1つ選択できるようになっている。
【0056】
また、初期簡易問い合わせの場合、質問の送信先の移動通信端末2のディスプレイ24が図10に示すような表示を、質問の項目の数だけ順次行うように、質問を作成する。すなわち、センタ側制御部13は、移動通信端末2のディスプレイ24が図10に示すような表示を質問の1項目につき1画面ずつ順番に行うよう指示するデータを、初期問い合わせ情報33中に質問として含める。
【0057】
図10では、交通障害の規模を問う二者択一の質問の表示47a、47bを例示する。この表示は、交通障害の規模として、小規模と大規模の2つの選択肢から1つを選択させるために、選択肢のそれぞれを示すアイコン47a、47bが表示されている。なお、これらアイコン47a、47bは、車両の乗員が操作部23を用いて各質問項目につき1つ選択できるようになっている。そして、乗員が選択した場合には、次の質問項目について二者択一の質問の表示が行われるようになっている。
【0058】
このように、センタ側制御部13は、質問の送信先の移動通信端末2を搭載した車両が走行中である場合に、当該質問を、当該移動通信端末2に対して、二者択一の形式にして送信し、質問の送信先の移動通信端末2を搭載した車両が走行中でない場合に、当該移動通信端末2に対して、二者択一よりも複雑な形式にして送信する。
【0059】
自車情報31の送信元の移動通信端末2が搭載された車両4が走行中であれば、ユーザがドライバである可能性が高い。そうであれば、ドライバに複雑な質問を投げ掛けて複雑な操作を強いるよりも、二者択一という簡単な操作を行わせることで、ドライバの安全運転をより良くサポートすることができる。ステップ120または130に続いては、障害存在通知受信時処理を終了する。
【0060】
[事例A−2(初期問い合わせの応答)]
事例A−1において送信された初期問い合わせ情報33を、車両4の移動通信端末2が受信すると、当該移動通信端末2の車載制御部25は、その初期問い合わせ情報33中の質問の情報に従った表示を、ディスプレイ24に行わせる。
【0061】
具体的には、車両4が停止している場合には、受信した質問の情報が、図9に示すような複雑な形式の質問表示を行うよう指示するデータとなっているので、それに従い、図9に示すような画像をディスプレイ24に表示させる。
【0062】
車両4の乗員は、この表示に従って、これら質問項目のそれぞれに対して、最大1つのアイコンを選択し、意図した選択がすべて終了した後、入力完了アイコン46を選択する。なお、乗員は、すべての質問項目に回答してもよいし、一部の質問項目についてのみ回答してもよい。
【0063】
入力完了アイコン46が選択されると、車載制御部25は、図8に示す初期問い合わせ応答情報34を作成してセンタ1に送信する。この場合の初期問い合わせ応答情報34には、この情報が初期問い合わせ応答情報である旨の情報、自車情報、および回答情報を含める。回答情報には、乗員が選択した個別の回答を含める。個別の回答とは、特定の質問項目についての回答をいう。例えば、図9の質問表示に対して、乗員がアイコン41a、43a、44bの3つを選択した場合、回答情報には、自車両に対する交通障害の前後位置を問う質問項目に対する個別の回答として「自車両の直前」が含まれ、交通障害の種別を問う質問項目に対する個別の回答として「交通事故」が含まれ、また、交通障害の車線を問う質問項目に対する個別の回答として「反対車線」が含まれる。
【0064】
また、最初の障害存在通知情報32が車両4の乗員の誤操作によるものだった場合は、図9に示すような表示に対して、乗員が誤操作アイコン45を選択する。誤操作アイコン45が選択された場合も、車載制御部25は、図8に示す初期問い合わせ応答情報34を作成してセンタ1に送信する。この場合の初期問い合わせ応答情報34には、この情報が初期問い合わせ応答情報である旨の情報、自車情報、および、撤回通知情報を含める。つまり、入力完了アイコン46が選択された場合に含まれる回答情報に代えて、撤回通知情報を含める。撤回通知情報は、直前に自らが送信した障害存在通知情報32を撤回する旨の情報である。
【0065】
移動通信端末2がユーザの誤操作によって障害存在通知情報34を送信してしまった場合は、乗員は誤操作してしまったことに気付かない可能性が高く、仮に気付いたとしても、既に障害存在通知情報が送信されてしまった後でそれを取り消そうという気にならない可能性が高い。
【0066】
そこで、上記のように、車両4の移動通信端末2から障害存在通知情報32を受信し、その上で当該移動通信端末2に対して当該交通障害の内容に関する質問を送信することで、当該移動通信端末2のユーザは、誤操作によって障害存在通知情報32の送信が行われたことに気付くことができる。さらに、移動通信端末2に誤操作アイコン45を表示させることで、質問に対する応答34の段階で障害存在通知情報32を撤回する機会を得ることができる。
【0067】
また、車両4が走行している場合には、受信した質問の情報が、図10に示すような二者択一形式の質問表示を順次行うよう指示するデータとなっている。車載制御部25はそれに従い、まず最初の質問項目についての二者択一の質問をディスプレイ24に表示させる。その後は、表示している質問項目に対する個別回答の選択が行われた場合には次の質問項目についての二者択一の質問をディスプレイ24に表示させるという作動を、最後の質問項目を表示させる段階まで繰り返す。そして、最後の質問項目に対する個別回答の選択が行われた場合には、車載制御部25は、図8に示す初期問い合わせ応答情報34を作成してセンタ1に送信する。この場合の初期問い合わせ応答情報34には、入力完了アイコン46が選択された場合と同様、この情報が初期問い合わせ応答情報である旨の情報、自車情報、および回答情報を含める。
【0068】
なお、初期問い合わせに対して車両4の乗員が全く応答しない場合もある。その場合は、車両4の移動通信端末2からセンタ1へ初期問い合わせ応答情報34が送信されることはない。
【0069】
[事例A−3(初期問い合わせ応答情報の受信からメイン問い合わせまで)]
事例A−2に示すように、車両4の移動通信端末2から初期問い合わせ応答情報34が送信された場合、センタ側制御部13はその初期問い合わせ応答情報34を受信する。するとセンタ側制御部13は、図5の障害情報報知処理のステップ210で、初期問い合わせの応答があったと判定してステップ215に処理を進める。
【0070】
ステップ215では、初期問い合わせ応答情報34に撤回通知情報が含まれているか否かを判定し、含まれていなければ、交通障害の障害まとめ情報を作成する等のためにステップ230に進み、含まれていればそのまま処理をステップ210に戻す。このようにするのは、初期問い合わせ応答情報34に撤回通知情報が含まれている場合、先に受信した障害存在通知情報32が誤報であったことになるので、その障害存在通知情報32に対応する交通障害の障害まとめ情報を作成する必要がないからである。
【0071】
初期問い合わせ応答情報34に撤回通知情報が含まれていない場合、続いてステップ230で、今回の交通障害(すなわち、車両4の移動通信端末2から送信された障害存在通知情報32に係る交通障害)と同じ交通障害に管理番号が既に割り当てられているか否かを判定する。管理番号は、センタ1において交通障害を一意に識別するための識別子である。複数の交通障害が発生している場合、個々の交通障害には他の交通障害とは異なる管理番号が1つ割り当てられる。
【0072】
今回の交通障害と同じ交通障害に管理番号が既に割り当てられているか否かは、受信した初期問い合わせ応答情報34に含まれる今回の交通障害の内容の情報と、既に記憶媒体12に管理番号と共に記録されている既存の交通障害の障害まとめ情報との比較に基づいて判定する。具体的には、既に記憶媒体12に管理番号と共に記録されている既存の交通障害のうち、障害まとめ情報が今回の交通障害の内容の情報と類似するものがあれば、今回の交通障害を、その既存の交通障害と同一のものであるとみなす。
【0073】
類似しているか否かは、例えば、交通障害の種別が完全に一致し、かつ、交通障害の発生位置の座標(緯度、経度)の範囲が一部でも重なっている場合に、類似していると判定し、そうでない場合に、類似していないと判定するようになっていてもよい。ここで、今回の交通障害の発生位置の座標の範囲は、初期問い合わせ応答情報34中の、自車両に対する交通障害の前後位置の情報と、自車位置の情報とに基づいて決定する。なお、既存の交通障害の発生位置の座標の範囲は、後述するように、記憶媒体12中の当該既存の交通障害の情報に含まれている。
【0074】
今回の交通障害について障害存在通知情報32を送信したのは車両4が初めてである場合には、続いてステップ240で、今回の交通障害に新たな管理番号を割り当てる。
【0075】
続いてステップ245では、今回の交通障害の障害まとめ情報を、ステップ240で割り当てられた管理番号に関連付けて、記憶媒体12に新規作成する。今回の交通障害の障害まとめ情報の内容は、車両4の移動通信端末2から受信した初期問い合わせ応答情報34に基づいて作成される。
【0076】
今回の障害まとめ情報の内容としては、今回の交通障害の発生位置の座標の範囲(具体的には、道路に沿った範囲)、規模、種別、および塞いでいる車線の情報等を含める。ここで、初期問い合わせ応答情報34中の自車両に対する前後位置および車線の情報は、自車両4に対する相対的な位置および車線の情報であるので、それらを自車両4に依存しない地図上の位置座標に変換する。具体的には、今回の交通障害の発生位置の座標の範囲は、初期問い合わせ応答情報34中の、自車両に対する交通障害の前後位置の情報と、自車位置の情報とに基づいて決定する。また今回の交通障害が塞いでいる車線は、初期問い合わせ応答情報34中の車線の情報および自車両の走行方向の情報に基づいて決定する。
【0077】
続いてステップ248に進み、記憶媒体12に記録されている管理テーブルに、今回の交通障害のレコードを追加する。図11に、管理テーブルのデータ構成の一例を示す。管理テーブルは、管理番号(図11の1列目)が割り当てられている交通障害毎に、当該交通障害における各質問項目の個別回答の受信回数(図11の2列目から5列目まで)と、当該交通障害の内容に関する質問(初期問い合わせ情報33および後述するメイン問い合わせ情報36)の送信回数(図11の6列目)と、その質問に対する回答(初期問い合わせ応答情報45および後述するメイン問い合わせ応答情報37)を受信した回数(図11の7列目)とを記録するテーブルである。図11における先頭行を除く各行が、1つの交通障害についてのレコードに相当する。
【0078】
本事例において、今回の交通障害についてのレコードを追加する場合、各質問項目の個別回答の受信回数の初期値については、今回受信した初期問い合わせ応答情報34中に含まれる個別回答に対応する質問項目の値を「1」とし、それ以外の質問項目を「0」とする。また、当該交通障害の内容に関する質問の送信回数と、その質問に対して回答を受けた回数についての初期値は、共に「1」とする。これは、本事例においては、初期問い合わせを1回送信し、その回答を1回受信したからである。この管理テーブルは、後述するメイン問い合わせ処理のステップ305において質問項目を選択する際に利用する。
【0079】
続いてステップ260では、今回の交通障害について記憶媒体12に作成された障害まとめ情報(図8の情報35参照)を、複数の車両(例えば図1の車両3〜6)の移動通信端末2に送信する。なお、この障害まとめ情報の送信先の移動通信端末2としては、今回の交通障害の発生位置範囲から所定距離(例えば3km)内にいる複数の移動通信端末2に限定するようになっていてもよい。なお、各移動通信端末2の現在位置は、各移動通信端末2から繰り返し送信される自車情報31(図8参照)に基づいて特定する。また、初期問い合わせ応答情報34の送信元の移動通信端末2は、送信対象から除外してもよいし、送信対象に含めてもよい。このようにすることによって、少なくとも車両4の移動通信端末2以外の複数の移動通信端末2(例えば図1の車両3、5、6に搭載された移動通信端末2)に対して障害まとめ情報を送信することができる。
【0080】
なお、ステップ260では、この障害まとめ情報に加え、今回の交通障害の発生位置周辺の道路における交通渋滞の予測情報(図8の情報35参照)を作成して送信する。交通渋滞の予測情報の作成方法については後述する。
【0081】
このような障害まとめ情報等を受信した移動通信端末2の車載制御部25は、この障害まとめ情報をディスプレイ24に表示させる。したがって、当該移動通信端末2を搭載した車両の乗員は、当該交通障害の発生および内容を知ると共に、当該交通障害がセンタ1において既知であることを知る。
【0082】
このように、車両4の移動通信端末2から送信された障害存在通知情報32および初期問い合わせ応答情報34に基づいて当該交通障害の障害まとめ情報を作成したときに、この障害まとめ情報を他の移動通信端末2にも送信することで、他の移動通信端末2のユーザは、当該交通障害の存在が既にセンタ1において既知であることを認識できる。したがって、他の移動通信端末2のユーザが移動通信端末2を操作して、当該交通障害についての障害存在通知情報32を無駄に送信してしまう可能性が低減される。ひいては、センタ1が同じ交通障害について重複して障害存在通知情報32を受信してしまう可能性が低減される。
【0083】
続いてステップ270では、メイン問い合わせ処理を実行する。図6に、メイン問い合わせ処理の詳細を示す。メイン問い合わせ処理においてセンタ側制御部13は、まずステップ305で、今回の交通障害の障害まとめ情報において不足している情報を補うために、複数の質問項目から、1つまたは複数を選択する。選択する対象の質問項目は、選択肢となる質問項目の一部であってもよいし、全部であってもよい。
【0084】
図12に、選択肢としての複数の質問項目の一例を示す。これら複数の質問項目は、当該交通障害の内容の情報を回答として受信するためにあらかじめ記憶媒体12またはセンタ側制御部13のROMにデータとして用意された質問項目である。図12の例では、自車両に対する交通障害の前後位置を問う質問、交通障害の規模を問う質問、交通障害の種別を問う質問、交通障害が塞ぐ車線を問う質問、交通障害が解消したか否かを問う質問、および、直前のステップ260で報知を受けた障害とユーザが認知している障害とは別障害であるか否かを問う質問の6項目が、選択肢としての質問項目となる。
【0085】
選択肢としての質問項目から、どの質問項目を選択対象とするか(すなわちどの質問項目を選択するか)は、各移動通信端末2から現在までに受信した今回の交通障害の内容の情報に基づいて決定する。具体的には、図11に例示した管理テーブル中の今回の交通障害のレコード(以下、今回のレコードという)に基づいて決定する。
【0086】
より具体的には、今回のレコード中の各質問項目の個別回答の受信回数を、基準回数(例えば、1回、5回)と比較し、その基準回数より少なければ、当該質問項目の個別回答が不足していると判定する。そして、個別回答が不足していると判定した質問項目を、選択対象の質問項目に含める。なお、基準回数は、固定値であってもよいし、固定値でなくともよい。例えば、同じ交通障害についての各質問項目の個別回答の受信回数の合計が大きくなるほど大きくなる値であってもよい。
【0087】
図11の例において、管理番号が0003の交通障害については、基準回数が例えば5であれば、交通障害の規模を問う質問に対する個別回答が不足しており、また、交通障害の発生した車線を問う質問に対する個別回答が不足していることになる。
【0088】
つまり、センタ側制御部13は、現在までに道路上の移動通信端末2から受信した複数個の交通障害の内容の情報において、複数項目の質問に対する回答のうち、どの質問項目に対する回答が不足しているかを特定し、不足している回答に対応する質問項目を、選択対象の質問項目に含める。
【0089】
ある質問項目に対する個別回答の数が少ないと、その質問項目によって得ようとする交通障害の情報の精度が低くなる。したがって、個別回答が不足している質問項目については、積極的に取得したい一方、個別回答が不足していない質問項目については、ユーザの入力の手間を増大させてまで得る必要があるとは言えない。
【0090】
したがって、上記のようにすることで、センタ1は、今回の交通障害について不足している情報を積極的に質問することで、センタ1にとっても移動通信端末2のユーザにとっても効率的に、複数の移動通信端末2から当該交通障害の必要な情報を収集することができる。
【0091】
なお、本事例の場合、今回の交通障害については、初期問い合わせ応答情報34を1回受信したのみなので、管理テーブル中の当該交通障害において、各質問項目の個別回答の受信回数は、最大でも1である。そして、今回の事例では、基準回数は1よりも大きいものとする。したがって、この段階でセンタ側制御部13は、選択対象の質問として、自車両に対する交通障害の前後位置を問う質問、交通障害の規模を問う質問、交通障害の種別を問う質問、交通障害が塞ぐ車線を問う質問、および別障害か否かを問う質問の5項目が、選択対象の質問項目に含まれる。
【0092】
またセンタ側制御部13は、今回のレコード中の質問の送信回数(以下、質問回数という)と、その質問に対して回答を受信した回数(以下、回答回数という)に基づいて、今回の交通障害が解消したか否かを問う質問項目を選択対象に含めるか否かを決定する。具体的には、質問回数に対する回答回数の割合が基準値を下回っていれば、当該質問項目を選択対象に含め、下回っていなければ、当該質問項目を選択対象に含めない。
【0093】
例えば、図11の例において、管理番号が0003の交通障害については、質問回数に対する回答回数の割合が8/9であるので、基準値が0.5であれば、当該質問項目を選択対象に含めない。
【0094】
つまり、センタ側制御部13は、質問回数に対する回答回数の割合が基準値を下回っていることに起因して、今回の交通障害が解消したか否かを問う質問を、選択対象の質問に含めるようになっている。
【0095】
交通障害が解消しつつある状態では、移動通信端末2を搭載した車両の乗員が質問に対して回答しなくなる可能性が高くなる。したがって、当該交通障害の内容についての質問回数に対する回答回数の割合は、徐々に低下していく。この割合がある程度低下したときに、当該交通障害が解消したか否かの質問をすることで、タイミング良く、当該交通障害が解消したか否かについての確定的な情報を収集することができる。
【0096】
なお、本事例の場合、今回の交通障害については、初期問い合わせ応答情報34を1回受信したのみなので、管理テーブル中の当該交通障害において、質問回数も回答回数も1となっている。この場合においては、質問回数に対する回答回数の割合は1となる。基準値は1よりも小さい値に設定されるので、この場合、今回の交通障害が解消したか否かを問う質問項目を選択対象に含めない。
【0097】
また、直前のステップ260で報知を受けた障害とユーザが認知している障害とは別障害であるか否かを問う質問については、各移動通信端末2から現在までに受信した今回の交通障害の内容の情報とは無関係に、常に選択する。
【0098】
ステップ305に続いてステップ308では、ステップ305で選択した項目の質問を送信する相手、すなわち問い合わせ先の移動通信端末2を決定する。問い合わせ先の移動通信端末2としては、今回の交通障害の発生位置範囲から所定距離(例えば1km)内にいる複数の移動通信端末2に限定するようになっていてもよい。なお、各移動通信端末2の現在位置は、各移動通信端末2から繰り返し送信される自車情報31(図8参照)に基づいて特定する。また、初期問い合わせ応答情報34の送信元の移動通信端末2は、送信対象から除外してもよいし、送信対象に含めてもよい。このようにすることによって、少なくとも車両4の移動通信端末2以外の複数の移動通信端末2(例えば図1の車両3、5、6に搭載された移動通信端末2)に対して、今回の交通障害の内容に関する質問を送信することができる。
【0099】
ステップ308に続いては、ステップ310〜340の処理を、問い合わせ先の移動通信端末2毎に実行する。まずステップ310では、今回のステップ310〜340で対象とする問い合わせ先の移動通信端末2(以下、対象移動通信端末2という)について、当該対象移動通信端末2を搭載した車両が走行中であるか否かを判定する。なお、各車両が走行しているか否かは、各移動通信端末2から繰り返し送信される自車情報31(図8参照)中の走行速度の情報に基づいて特定する。そして走行中でなければ続いてステップ320を実行し、走行中であれば続いてステップ330を実行する。
【0100】
ステップ320では、メイン詳細問い合わせを行い、ステップ330では、メイン簡易問い合わせを行う。メイン詳細問い合わせおよびメイン簡易問い合わせのそれぞれは、図8に示すメイン問い合わせ情報36を対象移動通信端末2に送信する処理である。
【0101】
ここで、メイン問い合わせ情報36には、この情報がメイン問い合わせ情報である旨の情報、今回の交通障害の管理番号、および、初期問い合わせ情報33と同様、交通障害発生地点7における今回の交通障害の内容に関する質問の情報を含める。質問としては、あらかじめ用意した複数項目の質問のうち、ステップ305において選択した項目の質問のみを含める。
【0102】
ただし、メイン詳細問い合わせとメイン簡易問い合わせとでは、メイン問い合わせ情報36に含める質問の形式が異なる。具体的には、メイン簡易問い合わせの場合、質問の形式は二者択一形式とし、メイン詳細問い合わせの場合、質問の形式は二者択一形式よりも詳細な形式となっている。
【0103】
より具体的には、メイン詳細問い合わせの場合、質問の送信先の移動通信端末2のディスプレイ24が図13に示すような表示を行うように、質問を作成する。すなわち、センタ側制御部13は、移動通信端末2のディスプレイ24が図13に示すような表示を行うよう指示するデータを、メイン問い合わせ情報36中に質問として含める。なお、図13の表示は、初期詳細問い合わせの場合における図9の表示の誤操作アイコン45を別障害アイコン48に代えたものと同じである。
【0104】
この別障害アイコン48は、選択すると、直前のステップ260で報知を受けた障害とユーザが認知している障害とは別障害であることを意味し、選択しないと、別障害でない(同じ障害である)ことを意味するアイコンである。
【0105】
また、メイン簡易問い合わせの場合、図4のステップ130の初期簡易問い合わせの場合と同様、質問の送信先の移動通信端末2のディスプレイ24が図14に示すような表示を、質問の項目の数だけ順次行うように、質問を作成する。すなわち、センタ側制御部13は、移動通信端末2のディスプレイ24が図14に示すような表示を質問の1項目につき1画面ずつ順番に行うよう指示するデータを、メイン問い合わせ情報36中に質問として含める。
【0106】
このように、センタ側制御部13は、問い合わせ先の移動通信端末2を搭載した車両が走行中である場合に、当該質問を、当該移動通信端末2に対して、二者択一の形式にして送信し、問い合わせ先の移動通信端末2を搭載した車両が走行中でない場合に、当該移動通信端末2に対して、二者択一よりも複雑な形式にして送信する。
【0107】
問い合わせ先の移動通信端末2が搭載された車両4が走行中であれば、ユーザがドライバである可能性が高い。そうであれば、ドライバに複雑な質問を投げ掛けて複雑な操作を強いるよりも、二者択一という簡単な操作を行わせることで、ドライバの安全運転をより良くサポートすることができる。
【0108】
ステップ320または330に続いては、ステップ340で、管理テーブル中の今回の交通障害のレコードの値をカウントアップする。具体的には、当該レコード中の質問回数の値を1だけ増加させる。
【0109】
このようなステップ310〜340の処理を問い合わせ先の移動通信端末2の数だけ繰り返すことで、各問い合わせ先の移動通信端末2に、それぞれを搭載する車両が走行しているか停止しているかに応じた形式で、当該交通障害の内容に関する質問が送信され、その送信の回数だけ管理テーブル中の質問回数が増加する。
【0110】
ステップ340の後は、メイン問い合わせ処理を終了し、障害情報報知処理のステップ225に処理を進める。
【0111】
[事例A−4(メイン問い合わせの応答)]
事例A−3において送信されたメイン問い合わせ情報36を、問い合わせ先の車両の移動通信端末2が受信すると、当該移動通信端末2の車載制御部25は、そのメイン問い合わせ情報36中の質問の情報に従った表示を、ディスプレイ24に行わせる。
【0112】
具体的には、車両が停止している場合には、受信した質問の情報が、図13に示すような複雑な形式の質問表示を行うよう指示するデータとなっているので、それに従い、図13に示すような画像をディスプレイ24に表示させる。
【0113】
車両の乗員は、自車両が交通障害発生地点付近を通り、その交通障害を目視した後で、この表示に従って、これら質問項目のそれぞれに対して、最大1つのアイコンを選択する。ただし、別障害アイコン48については、直前のステップ260で報知を受けた障害と自身が認知している障害とは別障害であると判断すれば選択し、別障害でないと判断すれば選択しない。意図した選択がすべて終了した後、入力完了アイコン46を選択する。なお、乗員は、すべての質問項目に回答してもよいし、一部の質問項目についてのみ回答してもよい。
【0114】
入力完了アイコン46が選択されると、車載制御部25は、図8に示すメイン問い合わせ応答情報37を作成してセンタ1に送信する。この場合のメイン問い合わせ応答情報37には、この情報がメイン問い合わせ応答情報である旨の情報、直前に受けたメイン問い合わせ情報中の管理番号と同じ管理番号、自車情報、および回答情報を含める。回答情報には、各質問に対してユーザが回答した個別の回答(例えば、「別障害である」または「別障害でない」)を含める。
【0115】
また、車両4が走行している場合には、受信した質問の情報が、図14に示すような二者択一形式の質問表示を順次行うよう指示するデータとなっている。車載制御部25はそれに従い、まず最初の質問項目についての二者択一の質問をディスプレイ24に表示させる。その後は、表示している質問項目に対する個別回答の選択が行われた場合には次の質問項目についての二者択一の質問をディスプレイ24に表示させるという作動を、最後の質問項目を表示させる段階まで繰り返す。そして、最後の質問項目に対する個別回答の選択が行われた場合には、車載制御部25は、図8に示すメイン問い合わせ応答情報37を作成してセンタ1に送信する。この場合のメイン問い合わせ応答情報37には、入力完了アイコン46が選択された場合と同様、この情報がメイン問い合わせ応答情報である旨の情報、管理番号、自車情報、および回答情報を含める。
【0116】
なお、メイン問い合わせに対して移動通信端末2のユーザ(乗員)が全く応答しない場合もある。その場合は、当該移動通信端末2からセンタ1へメイン問い合わせ応答情報37が送信されることはない。
【0117】
[事例A−5(メイン問い合わせの応答の受信以後)]
事例A−4において各車両の移動通信端末2がそれぞれのタイミングでメイン問い合わせ応答情報37送信すると、センタ側制御部13は、それらのメイン問い合わせ応答情報37を個々に受信する。
【0118】
センタ側制御部13は、図5の障害情報報知処理においては、ステップ210で初期問い合わせ応答情報34の新たな受信がないと判定し、ステップ220で障害存在通知情報32の送信が密集して発生していないと判定し、また、ステップ225でメイン問い合わせ応答情報37の新たな受信がないと判定している間は、ステップ210、220、225の処理を、この順に繰り返すようになっている。
【0119】
そして、この繰り返しの状態において、新たにメイン問い合わせ応答情報37を受信すると、ステップ225の判定結果が肯定的(YES)となり、続いてステップ280で、メイン回答対応処理の実行を開始する。
【0120】
図7は、メイン回答対応処理の詳細を示すフローチャートである。センタ側制御部13はメイン回答対応処理の実行において、まずステップ410で、メイン問い合わせ応答情報37の送信元の乗員が認知した交通障害と、今回の交通障害(すなわち、メイン問い合わせ応答情報37に含まれる管理番号が割り当てられた交通障害)とが別の障害であるか否かを判定する。この判定は、受信したメイン問い合わせ応答情報37中の、別障害か否かについての回答に基づいて決定する。
【0121】
別障害であったと判定した場合は、今回の障害とは異なる新たな交通障害が存在することになるので、続いてステップ440で、新規障害対応処理を実行する。具体的には、メイン回答対応処理を終了するが、その後図5のステップ280からステップ210に戻るのではなく、ステップ240に処理を移す。これによってセンタ側制御部13は、ステップ240で新たな交通障害に新たな管理番号を割り当て、ステップ245で、当該メイン問い合わせ応答情報37中の回答に基づいて当該新規交通障害の障害まとめ情報を記憶媒体12に作成し、ステップ248で当該新規交通障害のレコードを管理テーブルに追加し、ステップ260でその新規交通障害を複数の車両に報知し、ステップ270で当該新規交通障害についてのメイン問い合わせ処理を実行する。なお、ステップ248で追加するレコード中の質問回数および回答回数は、作成の時点では「1」となり、個別回答の回数は、メイン問い合わせ応答情報37中に回答のあるものについては「1」となり、他のものについては「0」となる。
【0122】
ステップ410で別障害でないと判定した場合は、続いてステップ420で、記憶媒体12中にある今回の交通障害の障害まとめ情報を更新する。更新の方法としては、例えば、今回受信したメイン問い合わせ応答情報37の回答内容の値と、障害まとめ情報中の交通障害の内容の値とに食い違いがある項目については、それまで受信した回答の統計的な代表値を、障害まとめ情報中の新たな値とするようになっていてもよい。
【0123】
例えば、当該交通障害について現在までに受信した初期問い合わせ応答情報34およびメイン問い合わせ応答情報37の回答のうち、最頻値を、障害まとめ情報中の新たな値とするようになっていてもよい。具体的には、今までの回答のうち、小規模という回答が2件、中規模という回答が6件、大規模という回答が10件あれば、障害まとめ情報中の新たな値として「大規模」を採用する。また例えば、交通障害の発生位置の範囲については、当該交通障害について現在までに受信した初期問い合わせ応答情報34およびメイン問い合わせ応答情報37の回答中の発生位置の平均位置(すなわち重心位置)を障害まとめ情報中の新たな値としてもよい。
【0124】
続いてステップ425では、管理テーブル中の今回の交通障害のレコード中の値をカウントアップする。具体的には、今回受信したメイン問い合わせ応答情報37中に含まれる個別回答に対応する質問項目の値を1だけ増加させ、それ以外の質問項目をそのままとする。また、回答回数を1だけ増加させる。
【0125】
続いてステップ430では、図5のステップ260と同様に、更新した障害まとめ情報および交通渋滞の予測情報を送信する。続いてステップ435では、メイン問い合わせ処理を実行する。
【0126】
この場合のメイン問い合わせ処理では、事例A−3で説明したのと同様に、今回の交通障害についてのメイン問い合わせ情報36を各移動通信端末2に再度送信する。今回の送信タイミングは、事例A−3におけるメイン問い合わせ情報36の送信タイミングよりも後になっているので、車両が移動する等の理由により、新たな移動通信端末2が送信対象に入る可能性が高い。このように、同じ交通障害について時間を空けて繰り返しメイン問い合わせ情報36を送信することで、当該交通障害についての新鮮な情報を持続的に取得することができる。ステップ435において実行したメイン問い合わせ処理が終了すると、メイン回答対応処理を終了し、処理が図5のステップ280からステップ210に戻る。
【0127】
このようにセンタ側制御部13は、ある交通障害についての初期問い合わせ応答情報34またはメイン問い合わせ応答情報37を受信する度にメイン問い合わせ処理を実行する。それによって、その応答情報34、37の送信元および送信元以外の複数の車両に、メイン問い合わせ情報36が送信される。さらにその応答としてセンタ側制御部13はメイン問い合わせ応答情報37を繰り返し受信し、受信した応答中の回答に基づいて、当該交通障害についての管理テーブルおよび障害まとめ情報を更新していく。更新される値は、一般的には回答数が多いほど正確性が高まる。
【0128】
図11に示した管理テーブル中の各値が逐次大きくなっていくと、一部の質問項目については、受信回数が基準回数以上となる場合がある。その場合、ステップ305で、当該質問項目の個別回答は不足していないと判定し、当該質問項目を選択対象から除外する。すると、図15に例示するように、メイン問い合わせ情報36に含める質問項目が次第に減っていく。したがって、移動通信端末2の乗員は、不足していない情報について質問を受けることがないので、当然にその回答を入力する必要もない。つまり、センタ1にとって必ずしも必要でない情報を無駄に入力する手間が省略できる。
【0129】
以上の事例A−1〜A−5で説明した通り、センタ1は、交通障害の内容の情報を回答として受信するためにあらかじめ用意された複数項目の質問のうちから、一部の質問を選択し(ステップ305参照)、複数項目の質問のうち選択した質問のみを、交通障害の内容に関する質問として、道路上の移動通信端末2に送信する(ステップ310、320、330参照)。つまり、質問内容を絞り込んで質問を行う。
【0130】
例えば、不足しているか否かを判定する基準回数が1であった場合、ある移動通信端末2のユーザが、「事故」が発生している「地点」を初期問い合わせ応答情報34で通知した場合、他の周辺車両の移動通信端末2に塞がっている車線を問う質問を含んだメイン問い合わせ情報36を送信し、個別回答として「自車線」「反対車線」「両方」という選択肢を提示することができる。なお、「地点Aで事故が発生しているとの情報がありますが、どのレーンで発生しているか選択してください」という風に、質問項目とは異なる項目について現在センタ1が有している情報を、このメイン問い合わせ情報36に含めるようになっていてもよい。
【0131】
つまり、交通障害が発生してある車両の移動通信端末2から障害存在通知情報32を受信した際、センタ1から周辺の他の車両の移動通信端末2に必要な情報のみを問い合わせることで、効率的に情報を集めることができる。したがって、絞り込まずにあらかじめ用意された複数項目の質問をすべて移動通信端末2に送信する場合に比べ、移動通信端末2のユーザが回答のために入力する負担が低減される。
【0132】
さらにセンタ1は、道路上の移動通信端末2から過去に受信した当該交通障害の内容の情報(図11参照)に基づいて、選択する質問を決定するので、センタ1が当該交通障害について受けている情報に応じた質問を選択することができる。したがって、移動通信端末2のユーザの無駄な負担を軽減することができる。
【0133】
[事例B(後から障害存在通知情報32を受信した場合)]
事例A−3で説明した通り、障害情報報知処理のステップ210で初期問い合わせ情報33を受信したと判定し、その後ステップ260で交通障害の障害まとめ情報を複数の車両に送信することで、同じ交通障害について多重に障害存在通知情報32が送信される可能性を低減することができる。
【0134】
しかし、そのような可能性を低減したとしても、多重に障害存在通知情報32が送信される可能性はゼロではない。そして、障害存在通知情報32を受信したセンタ1はステップ120または130で初期問い合わせ情報33を送信し、移動通信端末2は初期問い合わせ情報33の回答として初期問い合わせ応答情報34を送信する可能性が高い。このような初期問い合わせ応答情報34に基づいて、新たな交通障害が発生したとみなし、新たな管理番号を割り当てると、1つの交通障害に複数の管理番号が割り当てられることになってしまう。
【0135】
このような問題を解決するため、センタ側制御部13は、事例A−3で説明した通り、初期問い合わせ応答情報34を受信した後のステップ230で、今回受信した初期問い合わせ応答情報34に対応する交通障害と同じ交通障害に管理番号が既に割り当てられているか否かを判定する。そして、同じ交通障害に管理番号が既に割り当てられていると判定した場合は、ステップ250で、当該管理番号が割り当てられた交通障害の障害まとめ情報を、今回受信した初期問い合わせ応答情報34に基づいて更新する。更新の方法としては、図7のステップ420においてメイン問い合わせ応答情報37に基づいて行ったのと同じ方法を用いる。
【0136】
続いてステップ255では、管理テーブル中の、当該管理番号が割り当てられたレコードの値をカウントアップする。具体的には、今回受信したメイン問い合わせ応答情報37中に含まれる個別回答に対応する質問項目の値を1だけ増加させ、それ以外の質問項目をそのままとする。また、質問回数および回答回数を1だけ増加させる。ステップ255に続いては、既に説明したステップ260を実行する。
【0137】
このように、同じ交通障害に対して複数の移動通信端末2から多重に初期問い合わせ応答情報34を受信してしまったとしても、その初期問い合わせ応答情報34中の情報に基づいて、新たな交通障害であるか既知の交通障害であるかを判定し、新たな交通障害であるときにのみ新たな管理番号を割り当てる。したがって、1つの交通障害に複数の管理番号が割り当てられることになってしまう可能性が低下する。
【0138】
そして、受信した初期問い合わせ応答情報34が既知の交通障害についての情報であると判定した場合は、その既存の交通障害の障害まとめ情報の更新に、当該初期問い合わせ応答情報34を利用する。したがって、既に管理番号が割り当てられている交通障害についての初期問い合わせ応答情報34であっても、単に捨てることなく有効に利用することができる。
【0139】
[事例C(初期問い合わせの応答がなかった場合)]
事例A−1においてセンタ1から送信された初期問い合わせ情報33に対して、車両4の移動通信端末2が初期問い合わせ応答情報34を送信しなかったとする。このような場合、センタ側制御部13がステップ210で初期問い合わせ応答情報34を受信したと判定してその後ステップ260で当該交通障害の情報を他の車両に報知することもない。
【0140】
そのような状態の場合、車両4以外の他の車両が交通障害発生地点7の近傍を通過したときに、乗員が移動通信端末2を操作して障害存在通知情報32を送信させる可能性がある。その場合、障害存在通知情報32を受信したセンタ側制御部13は、上述の通り、図4の障害存在通知受信時処理を実行して初期問い合わせ情報33を当該移動通信端末2に送信する。
【0141】
もしこの場合に、この初期問い合わせ情報33を受信した移動通信端末2のユーザ(乗員)が、質問に対する回答を入力しないと、また初期問い合わせ応答情報34がセンタ1に送信されない。発生した交通障害の事情によっては、このように、障害存在通知情報32を送信したにも関わらず質問に対して回答しない移動通信端末2が複数発生するという事態もあり得る。
【0142】
そのような場合であっても、センタ1から見れば、近接した複数地点から障害存在通知情報32が多数回送信されたという事実は、その地点付近に交通障害が発生している可能性が高いと判断するに足る証拠となり得る。
【0143】
このような場合に対応するために、センタ側制御部13は、図5の障害情報報知処理において、ステップ210で初期問い合わせの応答がないと判定しても、続いてステップ220で、障害存在通知情報32の送信位置が密集していると判定すれば、交通障害が発生しているとみなし、ステップ230に進み、当該発生した障害と同じ交通障害に管理番号が割り当てられていなければ、続いてステップ240で新たな管理番号を割り当てる。
【0144】
ここで、障害存在通知情報32の送信位置が密集しているか否かは、次のようにして判定する。すなわち、最後に受信した障害存在通知情報32中の車両位置を中心とする所定半径(例えば500メートル)の円内に、障害存在通知位置(ステップ105参照)として記録された位置が所定個数(例えば5個)以上あるか否か判定する。そして、所定個数以上ある場合に、障害存在通知情報32の送信位置が密集していると判定し、所定個数以上ない場合に、密集していないと判定する。
【0145】
このようにすることで、障害存在通知情報32を送信した移動通信端末2が初期問い合わせ情報33に対して応答しなくても、障害存在通知情報32の位置が密集していて障害が発生した可能性が高い場合には、初期問い合わせ応答情報34として回答を受信した場合と同じように作動する。したがってセンタ1は、より敏感に障害の発生を検出することができる。
【0146】
ここで、交通障害の障害まとめ情報から交通渋滞の予測情報を作成する方法について説明する。この方法は、特許文献1に記載の通りであるので、ここでは概要だけ説明する。
【0147】
具体的には、センタ1のセンタ側制御部13は、各道路の通行量や車線数あるいは過去のデータを記憶媒体12に記憶されている道路データベースを利用して参照し、それにより、交通障害発生地点の周辺の道路の渋滞発生と解消との予測を行う。以下具体的に説明する。
【0148】
まず、季節または月、曜日、時刻、催時、天候などの条件別に、予め過去の統計的なデータから道路毎の将来の交通状況を別途予測し、その状況を道路区間毎の平均速度情報として表した道路データベースとしてセンタ1の記憶媒体12に記録しておく。
【0149】
そして、交通障害の障害まとめ情報に基づいて、交通障害の発生した道路、および、その交通障害によって塞がっている車線を特定する。そして、交通障害の発生した道路の塞がっている車線へ流入する道路を道路データベースに基づいて特定し、それら流入道路の当日の交通量の時間推移を道路データベースに基づいて特定し、特定した推移によって、交通障害発生地点の渋滞の有無の変化を予測する。すなわち、流入道路の交通量が多い時間は渋滞が発生し易く、流入道路の交通量が少ない時間は渋滞が発生しにくくなるよう予測する。また、障害まとめ情報中の交通障害の規模が大きいほど渋滞が発生し易くなるよう予測する。また、流入道路から分岐して交通障害発生地点を迂回する迂回路を道路データベースに基づいて特定し、それら迂回道路の当日の交通量の時間推移および車線数を道路データベースに基づいて特定し、特定した推移によって、交通障害発生地点の渋滞の有無の変化を予測する。例えば、迂回道路の車線数が多いほど、交通障害発生地点の渋滞が発生し難いと予測する。また、このようにして予測した交通障害発生地点の渋滞および道路データベースに基づいて、周囲の道路の渋滞も予測する。
【0150】
なお、上記実施形態においては、センタ側制御部13が、ステップ245を実行することで作成手段の一例として機能し、ステップ305、308、310、320、330を実行することでメイン問い合わせ手段の一例として機能し、ステップ305を実行することで選択手段の一例として機能し、ステップ250、420を実行することで更新手段の一例として機能し、ステップ248、255、340、425を実行することでカウント手段の一例として機能し、ステップ260を実行することで障害報知手段の一例として機能する。
【0151】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0152】
例えば、上記実施形態においては、センタ1において収集および更新される交通障害の情報は、移動通信端末2へ送信されるようになっていると共に、交通渋滞の予測に利用されるようになっている。しかし、交通障害の情報の用途は、このようなものに限られない。例えば、移動通信端末2へ送信するためだけに用いられてもよいし、交通渋滞の予測にだけ用いられてもよいし、ただ単に記録用として蓄積されるだけであってもよい。
【0153】
また、上記実施形態においてセンタ1は、移動通信端末2から初期問い合わせ応答情報34またはメイン問い合わせ応答情報37を受信する度に、複数の移動通信端末2にメイン問い合わせ情報36を送信するようになっている。しかし、メイン問い合わせ情報36の送信タイミングは、必ずしもこのようになっておらずともよく、持続的に繰り返し送信されるようになっていれば足りる。例えばセンタ1は、図6のメイン問い合わせ処理を交通障害毎に定期的に実行してメイン問い合わせ情報36を定期的に送信するようになっていてもよい。あるいは、移動通信端末2のユーザが操作部23に対してメイン問い合わせ情報36を要求する操作を行い、それに応じて車載制御部25がセンタ1に問い合わせ要求信号を送信したとき、センタ側制御部13は、その問い合わせ要求信号を受信したことに基づいて、すべての現存する交通障害について図6のメイン問い合わせ処理を実行してメイン問い合わせ情報36を送信するようになっていてもよい。
【0154】
また、図6のステップ320で、停止している車両の移動通信端末2にメイン問い合わせ情報36を送信する際に、障害発生地点を問う質問を選択対象に含んでいる場合が考えられる。そのような場合には、障害発生地点の質問として、現在の障害まとめ情報における障害発生地点(または地点範囲)を地図上に表示させ、「この地点(または地点範囲)で障害が発生しているとの情報がありますが、地点はあっていますか?誤っている場合には、発生している地点にカーソルを合わせ、OKボタンを押してください」と問い合わせるような指令を、センタ側制御部13から移動通信端末2にメイン問い合わせ情報36中の質問として送信するようになっていてもよい。この場合、移動通信端末2のユーザはその表示に従って正しい交通障害の発生位置を入力し、移動通信端末2はその入力された情報を回答としてメイン問い合わせ応答情報37に含めてセンタ1に送信する。
【0155】
また、既にある程度渋滞が発生しているか確認するために、メイン問い合わせのためにあらかじめ用意した質問項目(すなわち選択肢の質問項目)として、現在の道路の混雑の程度を含めてもよい。その場合、この「現在の道路の混雑の程度」という質問項目は、常に選択対象の質問項目とする。この「現在の道路の混雑の程度」を問う質問としては、例えば、「この障害により渋滞が発生しています。現在の混雑具合を選択してください」と問い合わせ、回答として「時速10km以下」、「時速30km程度」、「順調」という選択肢のいずれかを移動通信端末2のユーザに選択させるようなものであってもよい。あるいは、「車速を通知してください」と問い合わせるようなものであってもよい。
【0156】
また、上記実施形態においては、ステップ320および330でメイン問い合わせ情報36を送信する際、車両が走行していてもいなくても、あらかじめ用意した複数の質問項目のうちから選択した質問のみを送信するようになっている。しかし、ステップ320で停止している車両の移動通信端末2にメイン問い合わせ情報36を送信する場合には、複数の質問項目のすべてを送信し、ステップ320で走行している車両の移動通信端末2にメイン問い合わせ情報36を送信する場合に、複数の質問項目のうち選択した質問項目のみを送信するようになっていてもよい。
【0157】
また、上記実施形態においては、移動通信端末2における障害存在通知情報32の送信は、ユーザによる操作部23の所定の操作であったが、必ずしもこのようになっておらずともよい。例えば、移動通信端末2の車載制御部25は、自車両のブレーキペダルが急激に踏み込まれたことに基づいて、障害存在通知情報32を送信するようになっていてもよい。
【0158】
また、上記実施形態においては、初期問い合わせ情報33およびメイン問い合わせ情報36の送信先の移動通信端末2を搭載する車両が走行しているか否かを、センタ1が判定し、さらに、その判定結果に基づいて、送信する質問の形式をセンタ1が切り替えている。しかし、必ずしもこのようになっておらずともよい。例えば、センタ1は、初期問い合わせ情報33およびメイン問い合わせ情報36を送信する際に、停止している車両用の形式で作成した質問と、走行している車両用の形式で作成した質問の両方を、問い合わせ先のすべての移動通信端末2に送信するようになっていてもよい。この場合、初期問い合わせ情報33、メイン問い合わせ情報36を受信した移動通信端末2の車載制御部25は、車速・方向センサ22からの信号に基づいて、自車両が停止している場合には、停止している車両用の形式で作成された質問をディスプレイ24に表示させ、自車両が走行している場合には、走行している車両用の形式で作成された質問をディスプレイ24に表示させるようになっていてもよい。
【0159】
また、車載制御部25は、センタ1から受けた初期問い合わせ情報33、メイン問い合わせ情報36中の質問をディスプレイ24に表示しているが、図示しないスピーカを用いて、当該質問を音声で出力するようになっていてもよい。また、車載制御部25は、質問に対するユーザの回答を、音声で受け付けるようになっていてもよい。具体的には、車載制御部25は、ユーザが回答した音声を図示しないマイクから信号として取得し、取得した音声信号に対して周知の音声認識処理を行うことで、その音声信号が示す回答内容(例えば、「はい」、か「いいえ」か)を特定するようになっていてもよい。
【0160】
また、上記実施形態では、移動通信端末2は車両に搭載されているが、必ずしも車両に搭載されるようになっておらずともよく、例えば、歩行者が携帯するようになっていてもよい。すなわち、移動通信端末2のユーザは、必ずしも車両の乗員でなくともよく、例えば、歩行者であってもよい。
【0161】
また、センタ側制御部13は、図5のステップ260、図6のステップ308、および図7のステップ430で、交通障害の発生位置範囲の近傍の車両を、自車情報31に基づいて特定し、それらを送信対象の車両としている。これは、障害まとめ情報、メイン問い合わせ情報36の送信先を、交通障害の発生位置範囲の近傍に限定するためである。しかし、送信先を交通障害の発生位置範囲の近傍に限定する方法としては、このような方法に限らず、例えば、交通障害の発生位置範囲の近傍に存在する路上通信機(例えばDSRC路上機、VICS路上機)にのみ、このような障害まとめ情報、メイン問い合わせ情報36を送信させる方法を採用してもよい。
【0162】
また、上記実施形態においては、図4の障害存在通知受信時処理のステップ120、130において、センタ側制御部13は、初期問い合わせ情報33の送信時に、あらかじめ用意された質問項目のすべてを移動通信端末2に送信している。しかし、必ずしもこのようになっておらずともよい。例えば、図6のメイン問い合わせ情報36の送信時のように、あらかじめ用意された質問項目のうちから一部を選択し、選択した質問のみを移動通信端末2に送信するようになっていてもよい。その場合センタ側制御部13は、障害存在通知情報32を受信した段階で、その障害存在通知情報に含まれる車両位置から最も近い位置にある既知の交通障害を、当該障害存在通知情報32に係る交通障害であるとみなし、管理テーブル中のこの交通障害のレコードに基づいて、選択対象の質問項目を決定するようになっていてもよい。
【0163】
また、移動通信端末2は、カーナビゲーションに用いる地図データを有していてもよい。その場合、移動通信端末2の車載制御部25は、センタ1から交通障害の障害まとめ情報を受信した場合、当該障害まとめ情報に基づいて、交通障害の発生位置を、地図上の位置としてディスプレイ24に表示するようになっていてもよい。また、移動通信端末2が、目的地までの経路を算出して案内するナビゲーション機能を有しており、かつ、目的地までの経路を案内している最中に交通障害の障害まとめ情報を受信した場合、車載制御部25は、「交通障害が発生していますが、経路を変更しますか?」などのように、経路の変更を促すメッセージを文字または音声で出力するようになっていてもよい。
【0164】
また、上記の実施形態において、センタ側制御部13、車載制御部25がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0165】
1 センタ
2 移動通信端末
3〜6 車両
7 交通障害発生地点
11 通信装置
12 記憶媒体
13 センタ側制御部
20 無線部
21 位置センサ
22 車速センサ
23 操作部
24 ディスプレイ
25 車載制御部
31〜37 センタと移動通信端末がやりとりする情報
41〜47 ユーザが選択するアイコン
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通障害情報収集装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、交通障害についての情報を収集する装置が知られている。交通障害は、道路における車両の通行の障害となる突発的事象であり、例えば、交通事故、道路への倒木、道路への落石、道路の陥没、道路側方の火災、道路への積荷の散乱等である。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の技術では、交通障害を目撃したユーザが、移動通信端末を用いてセンタに交通障害の内容を送信し、センタが、複数の移動通信端末から受けた交通障害に基づいて、交通障害の情報を更新するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−238194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1では、移動通信端末側からセンタへ自発的に交通障害の情報が送信されるに過ぎない。したがって、移動通信端末のユーザは、センタにとって必ずしも必要のない情報までも移動通信端末に入力してしまう可能性がある。その場合、ユーザに無駄な負担がかかってしまうことになる。
【0006】
本発明は上記点に鑑み、移動通信端末から交通障害についての情報を受信して収集する装置において、移動通信端末のユーザの無駄な負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、交通障害の情報を収集する交通障害情報収集装置であって、道路上の移動通信端末(2)と通信するための通信装置(11)と、情報を記憶するための記憶媒体(12)とを含んでいる。そして交通障害情報収集装置は、通信装置(11)が道路上の第1の移動通信端末(2)から交通障害の内容の情報を受信した場合に、当該受信した情報に基づいて、記憶媒体(12)中に前記交通障害の情報を作成する作成手段(245)と、当該交通障害の内容に関する質問を、第1の移動通信端末(2)以外の道路上の複数の移動通信端末(2)に送信するメイン問い合わせ手段(305、308、310、320、330)と、通信装置(11)が、当該複数の移動通信端末(2)から上記質問に対する回答として交通障害の内容の情報を受信した場合に、当該受信した回答を用いて、記憶媒体(12)中の当該交通障害の情報を更新する更新手段(250、420)と、を備えている。さらにメイン問い合わせ手段(305、308、310、320、330)は、あらかじめ用意された交通障害に関する複数項目の質問のうちから一部の質問を選択する選択手段(305)を備えると共に、当該複数項目の質問のうち選択手段(305)が選択した質問のみを、当該交通障害の内容に関する質問として、複数の移動通信端末(2)に送信する。そして選択手段(305)は、通信装置(11)が道路上の移動通信端末(2)から現在までに受信した当該交通障害の内容の情報に基づいて、選択する質問を決定することを特徴とする。
【0008】
このように、本発明の交通障害情報収集装置は、交通障害の内容の情報を回答として受信するためにあらかじめ用意された複数項目の質問のうちから、一部の質問を選択し、複数項目の質問のうち選択した質問のみを、交通障害の内容に関する質問として、道路上の移動通信端末(2)に送信する。つまり、質問内容を絞り込んで質問を行う。したがって、絞り込まずにあらかじめ用意された複数項目の質問をすべて移動通信端末(2)に送信する場合に比べ、移動通信端末(2)のユーザが回答のために入力する負担が低減される。
【0009】
さらに本発明の交通障害情報収集装置は、道路上の移動通信端末(2)から過去に受信した当該交通障害の内容の情報に基づいて、選択する質問を決定するので、交通障害情報収集装置が当該交通障害について受けている情報に応じた質問を選択することができる。したがって、移動通信端末(2)のユーザの無駄な負担を軽減することができる。
【0010】
なお、ここでいう「選択した質問のみを…送信する」とは、あらかじめ用意された複数項目の質問のうちでは、選択した質問のみを送信することを意味している。換言すれば、あらかじめ用意された複数項目の質問のうち、選択した質問は送信し、選択しなかった質問は送信しないことを意味している。したがって、「選択した質問のみを…送信する」とは、選択された質問と共に、あらかじめ用意された複数項目の質問以外の情報が送信されることを妨げるものではない。つまり、選択された質問は、あらかじめ用意された複数項目の質問以外のどのような情報と共に移動通信端末(2)に送信されるようになっていてもよい。
【0011】
また請求項2に記載のように、通信装置(11)が道路上の移動通信端末(2)から受信する当該交通障害の内容の情報は、複数項目の質問のうち1項目以上の質問のそれぞれに対する個別の回答となる情報を含み、選択手段(305)は、現在までに通信装置(11)が道路上の移動通信端末(2)から受信した複数個の当該交通障害の内容の情報において、当該複数項目の質問に対する回答のうち、どの質問に対する回答が不足しているかを特定し、不足している回答に対応する質問を、選択対象の質問に含めるようになっていてもよい。
【0012】
このようにすることで、交通障害情報収集装置は、当該交通障害について不足している情報を積極的に質問することで、交通障害情報収集装置にとっても移動通信端末(2)のユーザにとっても効率的に、移動通信端末(2)から当該交通障害の必要な情報を収集することができる。
【0013】
また、請求項3に記載のように、交通障害情報収集装置は、現在までに当該交通障害の内容に関する質問を送信した回数(以下、質問回数という)と、現在までの当該所定期間内において当該質問に対する回答を受信した回数(以下、回答回数という)とを記録するカウント手段(248、255、340、425)を備え、選択手段(305)は、カウント手段(248、255、340、425)によって記録された質問回数に対する回答回数の割合が基準値を下回っていることに起因して、交通障害が解消したか否かを問う質問を、選択対象の質問に含めるようになっていてもよい。
【0014】
交通障害が解消しつつある状態では、移動通信端末(2)のユーザが質問に対して回答しなくなる可能性が高くなる。したがって、当該交通障害の内容についての質問回数に対する回答回数の割合は、徐々に低下していく。この割合がある程度低下したときに、当該交通障害が解消したか否かの質問をすることで、タイミング良く、当該交通障害が解消したか否かについての確定的な情報を収集することができる。
【0015】
また、請求項4に記載のように、メイン問い合わせ手段(305、308、310、320、330)は、選択した質問の送信先の移動通信端末(2)を搭載した車両が走行中である場合に、選択した質問を、当該移動通信端末(2)に対して、二者択一の形式で、送信するようになっていてもよい。
【0016】
移動通信端末(2)が搭載された車両が走行中であれば、ユーザがドライバである可能性が高い。そうであれば、ドライバに複雑な質問を投げ掛けて複雑な操作を強いるよりも、二者択一という簡単な操作を行わせることで、ドライバの安全運転をより良くサポートすることができる。
【0017】
また、請求項5に記載のように、通信装置(11)が第1の移動通信端末(2)から当該交通障害の存在を通知する障害存在通知情報を受信した場合に、第1の移動通信端末(2)に対して、当該交通障害の内容の情報を回答として受信するための質問を送信する初期問い合わせ手段(110、120、130)を備え、作成手段(245)は、初期問い合わせ手段(110、120、130)が送信した質問に対する第1の移動通信端末(2)からの応答を通信装置(11)が受信したとき、当該応答が障害存在通知情報を撤回する旨の情報を含まない場合に、当該応答中の当該質問に対する回答の情報に基づいて、記憶媒体(12)中に当該交通障害の情報を作成するようになっていてもよい。
【0018】
第1の移動通信端末(2)がユーザの誤操作によって障害存在通知情報を送信してしまった場合は、ユーザは誤操作してしまったことに気付かない可能性が高く、仮に気付いたとしても、既に障害存在通知情報が送信されてしまった後でそれを取り消そうという気にならない可能性が高い。
【0019】
そこで、上記のように、第1の移動通信端末(2)から交通障害の存在を通知する障害存在通知情報を受信し、その上で当該第1の移動通信端末(2)に対して当該交通障害の内容に関する質問を送信することで、第1の移動通信端末(2)のユーザは、誤操作によって障害存在通知情報の送信が行われたことに気付くことができ、さらに、質問に対する応答の段階で障害存在通知情報を撤回する機会を得ることができる。
【0020】
また、請求項6に記載のように、通信装置(11)が、初期問い合わせ手段(110、120、130)が送信した質問に対する応答を第1の移動通信端末(2)から受信し、更に、作成手段(245)が、応答中の質問に対する回答の情報に基づいて、記憶媒体(12)中に当該交通障害の情報を作成した場合に、当該作成された交通障害の情報を、第1の移動通信端末(2)以外の道路上の移動通信端末(2)に送信するようになっていてもよい。
【0021】
このように、第1の移動通信端末(2)から送信された障害存在通知情報および回答に基づいて当該交通障害の情報を作成したときに、この交通障害の情報を他の移動通信端末(2)にも送信することで、他の移動通信端末(2)のユーザは、当該交通障害の存在が既に交通障害情報収集装置において既知であることを認識できる。したがって、他の移動通信端末(2)のユーザが当該移動通信端末(2)を操作して、当該交通障害についての障害存在通知情報を無駄に送信してしまう可能性が低減される。ひいては、交通障害情報収集装置が同じ交通障害について重複して障害存在通知情報を受信してしまう可能性が低減される。
【0022】
なお、上記および特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る交通障害情報収集システムの模式図である。
【図2】センタ1の構成を示すブロック図である。
【図3】移動通信端末2の構成を示すブロック図である
【図4】センタ側制御部13が実行する障害存在通知受信時処理のフローチャートである。
【図5】センタ側制御部13が実行する障害情報報知処理のフローチャートである。
【図6】センタ側制御部13が実行するメイン問い合わせ処理のフローチャートである。
【図7】センタ側制御部13が実行するメイン回答対応処理のフローチャートである。
【図8】移動通信端末2とセンタ1との間でやり取りされる各種情報31〜37の内容を示す図である。
【図9】初期詳細問い合わせの質問形式の一例を示す図である。
【図10】初期簡易問い合わせの質問形式の一例を示す図である。
【図11】簡易テーブルのデータ構成の一例を示す図表である。
【図12】あらかじめ用意された複数の質問項目の一例を示す図である。
【図13】メイン詳細問い合わせの質問形式の一例を示す図である。
【図14】メイン簡易問い合わせの質問形式の一例を示す図である。
【図15】メイン詳細問い合わせの質問形式の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1に、本発明に係る交通障害情報収集システムの概略構成を示す。交通障害情報収集システムは、センタ(交通障害情報収集装置の一例に相当する)1、および、センタ1と通信する複数の移動通信端末2を有している。移動通信端末2は、それぞれ道路上の(走行しているまたは停止している)車両3〜6に搭載されている。
【0025】
本実施形態では、道路上のある地点7において交通障害が発生し、その地点7の近傍の車両4の乗員(ドライバまたは他の乗員)が当該交通障害を発見したときに、当該乗員が交通障害の存在を通知するために移動通信端末2を操作する。交通障害とは、道路における車両の通行の障害となる突発的事象であり、例えば、交通事故、道路への倒木、道路への落石、道路の陥没、道路側方の火災、道路への積荷の散乱等をいう。この操作によって、移動通信端末2がセンタ1へ障害存在通知情報を送信する。
【0026】
移動通信端末2から送信された障害存在通知情報をセンタ1が受信すると、センタ1は、送信元車両4の移動通信端末2に対して、交通障害の内容に関する質問を送信する。この質問は、交通障害の内容の情報を回答として受信するためにあらかじめ用意されたものであり、例えば、交通障害の位置、交通障害の規模、交通障害の種別、交通障害が発生した車線等を問う質問である。
【0027】
この質問を受信した移動通信端末2は質問を乗員に表示し、乗員はこの表示に対応して質問の回答を入力する。すると移動通信端末2は、この回答をセンタ1への応答に含めて送信する。この応答を受信したセンタ1は、応答中に含まれる回答に基づいて、交通障害発生地点7の交通障害の障害まとめ情報を作成し、作成した交通障害の情報を他の車両3、5、6の移動通信端末2に送信する。
【0028】
さらにセンタ1は、他の車両3、5、6の移動通信端末2に対しても、地点7の交通障害の内容に関する質問を送信する。この質問も、交通障害の内容の情報を回答として受信するためにあらかじめ用意されたものである。この質問に対して車両3、5、6の移動通信端末2から応答が送信されると、センタ1は、この応答中の回答に基づいて、当該交通障害の障害まとめ情報を更新する。センタ1は、このようにして逐次更新された当該交通障害の障害まとめ情報に基づいて、交通障害発生地点7の周辺の渋滞状況を予測する。
【0029】
さらにセンタ1は、他の車両3、5、6の移動通信端末2に対して適切な質問を送信するために、あらかじめ用意された複数項目の質問の中から、実際に用いる質問を選択し、これら複数項目の質問のうち選択した質問のみを移動通信端末2に送信するようになっている。そして、質問の選択対象は、当該交通障害の障害まとめ情報に基づいて決定するようになっている。
【0030】
以下、この交通障害情報収集システムの構成および作動について詳細に説明する。センタ1と移動通信端末2との通信を実現する形態は、どのようなものでもよい。例えば、移動通信端末2とセンタ1とが直接無線通信するようになっていてもよい。また例えば、移動通信端末2が無線基地局と無線接続し、センタ1がこの無線基地局と広域ネットワーク等を介して接続している場合は、この無線基地局を介してセンタ1と移動通信端末2との通信が実現してもよい。無線基地局は、携帯電話網の基地局であってもよいし、道路に沿って配置されたDSRCの路上機やVICSの路上機であってもよい。また、センタ1から移動通信端末2への送信の伝達経路と、移動通信端末2からセンタ1への送信の伝達経路は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0031】
図2に、センタ1の構成を示す。センタ1は、通信装置11、記憶媒体12、およびセンタ側制御部13を含んでいる。通信装置11は、移動通信端末2との通信を実現するための装置であり、例えば、移動通信端末2と直接無線通信可能な周知の無線通信機であってもよいし、あるいは、広域ネットワークと接続するための周知のネットワークインターフェース装置であってもよいし、それらの両方を兼ね備えたものであってもよい。
【0032】
記憶媒体12は、各種情報を記憶するための記憶媒体であり、例えば、磁気ディスクであってもよいし、ソリッドステートディスクであってもよい。
【0033】
センタ側制御部13は、図示しないCPU、RAM、ROMを有し、CPUがROMまたは記憶媒体12に記録されているプログラムを実行することで、各種処理を実現する。そしてCPUは、その処理の実行中、必要に応じてRAMおよび記憶媒体12に対してデータの書き込みを行い、また必要に応じてRAM、ROM、および記憶媒体12からデータを読み出し、また必要に応じて通信装置11を使用して移動通信端末2との通信を実現する。なお以降は、CPUが実行する処理をセンタ側制御部13が実行する処理として説明する。センタ側制御部13の具体的な作動については後述する。
【0034】
図3に、移動通信端末2のそれぞれが共通して有する構成を示す。移動通信端末2は、無線部20、位置センサ21、車速・方向センサ22、操作部23、ディスプレイ24、および車載制御部25を含んでいる。無線部20は、センタ1との通信を実現するための周知の無線通信装置である。
【0035】
位置センサ21は、移動通信端末2の現在位置(すなわち移動通信端末2を搭載する車両の現在位置)を特定して車載制御部25に出力する装置である。位置センサ21としては、例えばGPS受信機を用いてもよい。
【0036】
車速・方向センサ22は、移動通信端末2の移動速度(すなわち移動通信端末2を搭載する車両の走行速度)および移動方向(すなわち走行方向)を特定して車載制御部25に出力する装置である。車速・方向センサ22としては、例えば周知の車速センサ、ジャイロセンサ、GPS受信機等を用いてもよい。
【0037】
操作部23は、ユーザの入力操作を直接受け付け、受け付けた操作に応じた信号を車載制御部25に出力する周知の装置である。操作部23としては、例えば、メカニカルスイッチ、タッチパネル等がある。
【0038】
ディスプレイ24は、ユーザに情報を文字または画像で表示するための装置であり、車載制御部25の制御を受けて作動する。
【0039】
車載制御部25は、図示しないCPU、RAM、ROMを有し、CPUがROMに記録されているプログラムを実行することで、各種処理を実現する。そしてCPUは、その処理の実行中、必要に応じてRAMに対してデータの書き込みを行い、また必要に応じてRAM、ROMからデータを読み出し、また必要に応じて位置センサ21、車速・方向センサ22、操作部23から信号を取得し、また必要に応じてディスプレイ24に情報を表示させ、また必要に応じて無線部20を使用してセンタ1との通信を実現する。なお以降は、CPUが実行する処理を車載制御部25が実行する処理として説明する。車載制御部25の具体的な作動については後述する。
【0040】
以下、上記のように構成されたセンタ1および移動通信端末2の作動について、具体的な事例に基づいて図4以降を参照して説明する。図4〜図7は、センタ側制御部13が実行するプログラムのフローチャートであり、図8は、センタ1と移動通信端末2の間の通信でやり取りされる情報31〜37の内容を示す図である。図4の障害存在通知受信時処理は、障害存在通知情報を通信装置11が受信する度に実行される処理であり、図5の障害情報報知処理は、センタ1の作動時に常時実行される処理である。
【0041】
なお、以下の作動では、センタ1のセンタ側制御部13が移動通信端末2に情報を送信する際および移動通信端末2から情報を受信する際には、通信装置11を用いるようになっており、また、移動通信端末2の車載制御部25がセンタ1に情報を送信する際およびセンタ1から情報を受信する際には、無線部20を用いるようになっている。
【0042】
[前提]
まず前提として、各車両に搭載された移動通信端末2の車載制御部25は、無線部20を用いて、図8に示すような自車情報31をセンタ1に対して繰り返し送信するようになっている。自車情報31は、自車両(すなわち、当該移動通信端末2が搭載される車両)のID(識別情報)、自車両の現在位置、および自車両の現在の走行速度、走行方向を含む情報である。自車情報31の送信タイミングは、定期的であってもよいし、センタ1から要求を受けたときであってもよい。なお、車載制御部25は、自車両のIDをROMから取得し、自車両の現在位置を位置センサ21から取得し、自車両の現在の走行速度および走行方向を車速・方向センサ22から取得する。センタ側制御部13は、この自車情報31を受信することで、各車両の現在位置および現在の移動速度を最新に保つようになっている。
【0043】
[事例A−1(交通障害発見から初期問い合わせまで)]
まず、図1に示すように、道路上の地点7で、交通障害が発生したとする。この交通障害が継続しているときに車両4(第1の車両の一例に相当する)が交通障害発生地点7の近傍を通ると、車両4の乗員がこの交通障害を発見する。するとこの乗員は、車両4に搭載された移動通信端末2(第1の移動通信端末の一例に相当する)の操作部23を操作して、交通障害が発生した旨の入力を行う。この入力を受けた移動通信端末2の車載制御部25は、図8に示す障害存在通知情報32を作成してセンタ1に送信する。この障害存在通知情報32には、この情報が障害存在通知情報である旨の情報、および、この障害存在通知情報32の送信元の車両の自車情報(自車情報31と同じ内容の情報)を含める。
【0044】
このようにして車両4の移動通信端末2から送信された障害存在通知情報32をセンタ側制御部13が受信すると、センタ側制御部13が図4の障害存在通知受信時処理の実行を開始し、まずステップ105で、当該障害存在通知情報32中の自車情報に含まれる車両位置の情報を、障害存在通知位置として、記憶媒体12に追加記録する。この障害存在通知位置の記録は、後述する図5のステップ220で用いられる。
【0045】
続いてステップ110で、当該障害存在通知情報32中の自車情報に含まれる走行速度の情報に基づいて、障害存在通知情報32の送信元の車両4が走行中であるか否かを判定する。そして走行中でなければ続いてステップ120を実行し、走行中であれば続いてステップ130を実行する。
【0046】
ステップ120では、初期詳細問い合わせを行い、ステップ130では、初期簡易問い合わせを行う。初期詳細問い合わせおよび初期簡易問い合わせのそれぞれは、図8に示す初期問い合わせ情報33を障害存在通知情報32の送信元の移動通信端末2(すなわち車両4の移動通信端末2)に送信する処理である。送信元の移動通信端末2は、受信した障害存在通知情報32中の車両IDに基づいて特定することができる。
【0047】
ここで、初期問い合わせ情報33には、この情報が初期問い合わせ情報である旨の情報、および、交通障害発生地点7における交通障害の内容に関する質問の情報を含める。当該交通障害の内容に関する質問とは、当該交通障害の内容の情報を回答として受信するためにあらかじめ用意された複数項目の質問である。具体的には、交通障害の発生位置(自車両に対する交通障害の前後位置)を問う質問、交通障害の規模を問う質問、交通障害の種別を問う質問、交通障害が塞ぐ車線を問う質問等である。
【0048】
ただし、初期詳細問い合わせと初期簡易問い合わせとでは、初期問い合わせ情報33に含める質問の形式が異なる。具体的には、初期簡易問い合わせの場合、質問の形式は二者択一形式とし、初期詳細問い合わせの場合、質問の形式は二者択一形式よりも詳細な形式となっている。
【0049】
図9に、初期詳細問い合わせにおける質問形式の一例を示し、図10に、初期簡易問い合わせの質問形式の一例を示す。初期詳細問い合わせの場合、質問の送信先の移動通信端末2のディスプレイ24が図9に示すような表示を行うように、質問を作成する。すなわち、センタ側制御部13は、移動通信端末2のディスプレイ24が図9に示すような表示を行うよう指示するデータを、初期問い合わせ情報33中に質問として含める。
【0050】
図9の表示では、自車両に対する交通障害の前後位置を問う質問の表示41a〜41e、交通障害の規模を問う質問の表示42a〜41c、交通障害の種別を問う質問の表示43a〜43d、交通障害が塞ぐ車線を問う質問の表示44a〜44cという、4項目の質問の表示を1つの表示画面に含めている。そして、各項目の質問の回答として、3個以上の選択肢から1つを選択させるような表示となっている。
【0051】
例えば、自車両に対する交通障害の前後位置を問う質問に関しては、当該交通障害が自車両の直前(具体的には100メートル以内)にあるか、直後(具体的には100メートル以内)にあるか、直前よりも遠い前方(具体的には100メートル以上500メートル以内)にあるか、直後よりも遠い後方(具体的には100メートル以上500メートル以内)にあるか、あるいは自車両の側方にあるかを選択させるために、これら選択肢のそれぞれを示すアイコン41a〜41eが表示されている。
【0052】
また、交通障害の規模を問う質問に関しては、当該交通障害が小規模であるか、中規模であるか、あるいは大規模であるかを選択させるために、これら選択肢のそれぞれを示すアイコン42a〜42cが表示されている。
【0053】
また、交通障害の種別を問う質問に関しては、当該交通障害が交通事故であるか、道路への倒木であるか、道路陥没であるか、あるいは、道路への積荷の散乱であるかを選択させるために、これら選択肢のそれぞれを示すアイコン43a〜43dが表示されている。
【0054】
また、交通障害が塞ぐ車線を問う質問に関しては、当該交通障害が自車両の走行する車線を塞いでいるか、自車両の反対車線を塞いでいるか、あるいは両方向の車線を塞いでいるかを選択させるために、これら選択肢のそれぞれを示すアイコン44a〜44cが表示されている。
【0055】
また、図9の表示には、障害存在通知情報32が誤操作によるものであった旨を選択させるアイコン45も含まれる。また、図9の表示には、質問の各項目に対する個別の回答が終了した旨を入力するための入力完了アイコン46も含まれる。なお、これらアイコン41〜46は、車両の乗員が操作部23を用いて各質問項目につき1つ選択できるようになっている。
【0056】
また、初期簡易問い合わせの場合、質問の送信先の移動通信端末2のディスプレイ24が図10に示すような表示を、質問の項目の数だけ順次行うように、質問を作成する。すなわち、センタ側制御部13は、移動通信端末2のディスプレイ24が図10に示すような表示を質問の1項目につき1画面ずつ順番に行うよう指示するデータを、初期問い合わせ情報33中に質問として含める。
【0057】
図10では、交通障害の規模を問う二者択一の質問の表示47a、47bを例示する。この表示は、交通障害の規模として、小規模と大規模の2つの選択肢から1つを選択させるために、選択肢のそれぞれを示すアイコン47a、47bが表示されている。なお、これらアイコン47a、47bは、車両の乗員が操作部23を用いて各質問項目につき1つ選択できるようになっている。そして、乗員が選択した場合には、次の質問項目について二者択一の質問の表示が行われるようになっている。
【0058】
このように、センタ側制御部13は、質問の送信先の移動通信端末2を搭載した車両が走行中である場合に、当該質問を、当該移動通信端末2に対して、二者択一の形式にして送信し、質問の送信先の移動通信端末2を搭載した車両が走行中でない場合に、当該移動通信端末2に対して、二者択一よりも複雑な形式にして送信する。
【0059】
自車情報31の送信元の移動通信端末2が搭載された車両4が走行中であれば、ユーザがドライバである可能性が高い。そうであれば、ドライバに複雑な質問を投げ掛けて複雑な操作を強いるよりも、二者択一という簡単な操作を行わせることで、ドライバの安全運転をより良くサポートすることができる。ステップ120または130に続いては、障害存在通知受信時処理を終了する。
【0060】
[事例A−2(初期問い合わせの応答)]
事例A−1において送信された初期問い合わせ情報33を、車両4の移動通信端末2が受信すると、当該移動通信端末2の車載制御部25は、その初期問い合わせ情報33中の質問の情報に従った表示を、ディスプレイ24に行わせる。
【0061】
具体的には、車両4が停止している場合には、受信した質問の情報が、図9に示すような複雑な形式の質問表示を行うよう指示するデータとなっているので、それに従い、図9に示すような画像をディスプレイ24に表示させる。
【0062】
車両4の乗員は、この表示に従って、これら質問項目のそれぞれに対して、最大1つのアイコンを選択し、意図した選択がすべて終了した後、入力完了アイコン46を選択する。なお、乗員は、すべての質問項目に回答してもよいし、一部の質問項目についてのみ回答してもよい。
【0063】
入力完了アイコン46が選択されると、車載制御部25は、図8に示す初期問い合わせ応答情報34を作成してセンタ1に送信する。この場合の初期問い合わせ応答情報34には、この情報が初期問い合わせ応答情報である旨の情報、自車情報、および回答情報を含める。回答情報には、乗員が選択した個別の回答を含める。個別の回答とは、特定の質問項目についての回答をいう。例えば、図9の質問表示に対して、乗員がアイコン41a、43a、44bの3つを選択した場合、回答情報には、自車両に対する交通障害の前後位置を問う質問項目に対する個別の回答として「自車両の直前」が含まれ、交通障害の種別を問う質問項目に対する個別の回答として「交通事故」が含まれ、また、交通障害の車線を問う質問項目に対する個別の回答として「反対車線」が含まれる。
【0064】
また、最初の障害存在通知情報32が車両4の乗員の誤操作によるものだった場合は、図9に示すような表示に対して、乗員が誤操作アイコン45を選択する。誤操作アイコン45が選択された場合も、車載制御部25は、図8に示す初期問い合わせ応答情報34を作成してセンタ1に送信する。この場合の初期問い合わせ応答情報34には、この情報が初期問い合わせ応答情報である旨の情報、自車情報、および、撤回通知情報を含める。つまり、入力完了アイコン46が選択された場合に含まれる回答情報に代えて、撤回通知情報を含める。撤回通知情報は、直前に自らが送信した障害存在通知情報32を撤回する旨の情報である。
【0065】
移動通信端末2がユーザの誤操作によって障害存在通知情報34を送信してしまった場合は、乗員は誤操作してしまったことに気付かない可能性が高く、仮に気付いたとしても、既に障害存在通知情報が送信されてしまった後でそれを取り消そうという気にならない可能性が高い。
【0066】
そこで、上記のように、車両4の移動通信端末2から障害存在通知情報32を受信し、その上で当該移動通信端末2に対して当該交通障害の内容に関する質問を送信することで、当該移動通信端末2のユーザは、誤操作によって障害存在通知情報32の送信が行われたことに気付くことができる。さらに、移動通信端末2に誤操作アイコン45を表示させることで、質問に対する応答34の段階で障害存在通知情報32を撤回する機会を得ることができる。
【0067】
また、車両4が走行している場合には、受信した質問の情報が、図10に示すような二者択一形式の質問表示を順次行うよう指示するデータとなっている。車載制御部25はそれに従い、まず最初の質問項目についての二者択一の質問をディスプレイ24に表示させる。その後は、表示している質問項目に対する個別回答の選択が行われた場合には次の質問項目についての二者択一の質問をディスプレイ24に表示させるという作動を、最後の質問項目を表示させる段階まで繰り返す。そして、最後の質問項目に対する個別回答の選択が行われた場合には、車載制御部25は、図8に示す初期問い合わせ応答情報34を作成してセンタ1に送信する。この場合の初期問い合わせ応答情報34には、入力完了アイコン46が選択された場合と同様、この情報が初期問い合わせ応答情報である旨の情報、自車情報、および回答情報を含める。
【0068】
なお、初期問い合わせに対して車両4の乗員が全く応答しない場合もある。その場合は、車両4の移動通信端末2からセンタ1へ初期問い合わせ応答情報34が送信されることはない。
【0069】
[事例A−3(初期問い合わせ応答情報の受信からメイン問い合わせまで)]
事例A−2に示すように、車両4の移動通信端末2から初期問い合わせ応答情報34が送信された場合、センタ側制御部13はその初期問い合わせ応答情報34を受信する。するとセンタ側制御部13は、図5の障害情報報知処理のステップ210で、初期問い合わせの応答があったと判定してステップ215に処理を進める。
【0070】
ステップ215では、初期問い合わせ応答情報34に撤回通知情報が含まれているか否かを判定し、含まれていなければ、交通障害の障害まとめ情報を作成する等のためにステップ230に進み、含まれていればそのまま処理をステップ210に戻す。このようにするのは、初期問い合わせ応答情報34に撤回通知情報が含まれている場合、先に受信した障害存在通知情報32が誤報であったことになるので、その障害存在通知情報32に対応する交通障害の障害まとめ情報を作成する必要がないからである。
【0071】
初期問い合わせ応答情報34に撤回通知情報が含まれていない場合、続いてステップ230で、今回の交通障害(すなわち、車両4の移動通信端末2から送信された障害存在通知情報32に係る交通障害)と同じ交通障害に管理番号が既に割り当てられているか否かを判定する。管理番号は、センタ1において交通障害を一意に識別するための識別子である。複数の交通障害が発生している場合、個々の交通障害には他の交通障害とは異なる管理番号が1つ割り当てられる。
【0072】
今回の交通障害と同じ交通障害に管理番号が既に割り当てられているか否かは、受信した初期問い合わせ応答情報34に含まれる今回の交通障害の内容の情報と、既に記憶媒体12に管理番号と共に記録されている既存の交通障害の障害まとめ情報との比較に基づいて判定する。具体的には、既に記憶媒体12に管理番号と共に記録されている既存の交通障害のうち、障害まとめ情報が今回の交通障害の内容の情報と類似するものがあれば、今回の交通障害を、その既存の交通障害と同一のものであるとみなす。
【0073】
類似しているか否かは、例えば、交通障害の種別が完全に一致し、かつ、交通障害の発生位置の座標(緯度、経度)の範囲が一部でも重なっている場合に、類似していると判定し、そうでない場合に、類似していないと判定するようになっていてもよい。ここで、今回の交通障害の発生位置の座標の範囲は、初期問い合わせ応答情報34中の、自車両に対する交通障害の前後位置の情報と、自車位置の情報とに基づいて決定する。なお、既存の交通障害の発生位置の座標の範囲は、後述するように、記憶媒体12中の当該既存の交通障害の情報に含まれている。
【0074】
今回の交通障害について障害存在通知情報32を送信したのは車両4が初めてである場合には、続いてステップ240で、今回の交通障害に新たな管理番号を割り当てる。
【0075】
続いてステップ245では、今回の交通障害の障害まとめ情報を、ステップ240で割り当てられた管理番号に関連付けて、記憶媒体12に新規作成する。今回の交通障害の障害まとめ情報の内容は、車両4の移動通信端末2から受信した初期問い合わせ応答情報34に基づいて作成される。
【0076】
今回の障害まとめ情報の内容としては、今回の交通障害の発生位置の座標の範囲(具体的には、道路に沿った範囲)、規模、種別、および塞いでいる車線の情報等を含める。ここで、初期問い合わせ応答情報34中の自車両に対する前後位置および車線の情報は、自車両4に対する相対的な位置および車線の情報であるので、それらを自車両4に依存しない地図上の位置座標に変換する。具体的には、今回の交通障害の発生位置の座標の範囲は、初期問い合わせ応答情報34中の、自車両に対する交通障害の前後位置の情報と、自車位置の情報とに基づいて決定する。また今回の交通障害が塞いでいる車線は、初期問い合わせ応答情報34中の車線の情報および自車両の走行方向の情報に基づいて決定する。
【0077】
続いてステップ248に進み、記憶媒体12に記録されている管理テーブルに、今回の交通障害のレコードを追加する。図11に、管理テーブルのデータ構成の一例を示す。管理テーブルは、管理番号(図11の1列目)が割り当てられている交通障害毎に、当該交通障害における各質問項目の個別回答の受信回数(図11の2列目から5列目まで)と、当該交通障害の内容に関する質問(初期問い合わせ情報33および後述するメイン問い合わせ情報36)の送信回数(図11の6列目)と、その質問に対する回答(初期問い合わせ応答情報45および後述するメイン問い合わせ応答情報37)を受信した回数(図11の7列目)とを記録するテーブルである。図11における先頭行を除く各行が、1つの交通障害についてのレコードに相当する。
【0078】
本事例において、今回の交通障害についてのレコードを追加する場合、各質問項目の個別回答の受信回数の初期値については、今回受信した初期問い合わせ応答情報34中に含まれる個別回答に対応する質問項目の値を「1」とし、それ以外の質問項目を「0」とする。また、当該交通障害の内容に関する質問の送信回数と、その質問に対して回答を受けた回数についての初期値は、共に「1」とする。これは、本事例においては、初期問い合わせを1回送信し、その回答を1回受信したからである。この管理テーブルは、後述するメイン問い合わせ処理のステップ305において質問項目を選択する際に利用する。
【0079】
続いてステップ260では、今回の交通障害について記憶媒体12に作成された障害まとめ情報(図8の情報35参照)を、複数の車両(例えば図1の車両3〜6)の移動通信端末2に送信する。なお、この障害まとめ情報の送信先の移動通信端末2としては、今回の交通障害の発生位置範囲から所定距離(例えば3km)内にいる複数の移動通信端末2に限定するようになっていてもよい。なお、各移動通信端末2の現在位置は、各移動通信端末2から繰り返し送信される自車情報31(図8参照)に基づいて特定する。また、初期問い合わせ応答情報34の送信元の移動通信端末2は、送信対象から除外してもよいし、送信対象に含めてもよい。このようにすることによって、少なくとも車両4の移動通信端末2以外の複数の移動通信端末2(例えば図1の車両3、5、6に搭載された移動通信端末2)に対して障害まとめ情報を送信することができる。
【0080】
なお、ステップ260では、この障害まとめ情報に加え、今回の交通障害の発生位置周辺の道路における交通渋滞の予測情報(図8の情報35参照)を作成して送信する。交通渋滞の予測情報の作成方法については後述する。
【0081】
このような障害まとめ情報等を受信した移動通信端末2の車載制御部25は、この障害まとめ情報をディスプレイ24に表示させる。したがって、当該移動通信端末2を搭載した車両の乗員は、当該交通障害の発生および内容を知ると共に、当該交通障害がセンタ1において既知であることを知る。
【0082】
このように、車両4の移動通信端末2から送信された障害存在通知情報32および初期問い合わせ応答情報34に基づいて当該交通障害の障害まとめ情報を作成したときに、この障害まとめ情報を他の移動通信端末2にも送信することで、他の移動通信端末2のユーザは、当該交通障害の存在が既にセンタ1において既知であることを認識できる。したがって、他の移動通信端末2のユーザが移動通信端末2を操作して、当該交通障害についての障害存在通知情報32を無駄に送信してしまう可能性が低減される。ひいては、センタ1が同じ交通障害について重複して障害存在通知情報32を受信してしまう可能性が低減される。
【0083】
続いてステップ270では、メイン問い合わせ処理を実行する。図6に、メイン問い合わせ処理の詳細を示す。メイン問い合わせ処理においてセンタ側制御部13は、まずステップ305で、今回の交通障害の障害まとめ情報において不足している情報を補うために、複数の質問項目から、1つまたは複数を選択する。選択する対象の質問項目は、選択肢となる質問項目の一部であってもよいし、全部であってもよい。
【0084】
図12に、選択肢としての複数の質問項目の一例を示す。これら複数の質問項目は、当該交通障害の内容の情報を回答として受信するためにあらかじめ記憶媒体12またはセンタ側制御部13のROMにデータとして用意された質問項目である。図12の例では、自車両に対する交通障害の前後位置を問う質問、交通障害の規模を問う質問、交通障害の種別を問う質問、交通障害が塞ぐ車線を問う質問、交通障害が解消したか否かを問う質問、および、直前のステップ260で報知を受けた障害とユーザが認知している障害とは別障害であるか否かを問う質問の6項目が、選択肢としての質問項目となる。
【0085】
選択肢としての質問項目から、どの質問項目を選択対象とするか(すなわちどの質問項目を選択するか)は、各移動通信端末2から現在までに受信した今回の交通障害の内容の情報に基づいて決定する。具体的には、図11に例示した管理テーブル中の今回の交通障害のレコード(以下、今回のレコードという)に基づいて決定する。
【0086】
より具体的には、今回のレコード中の各質問項目の個別回答の受信回数を、基準回数(例えば、1回、5回)と比較し、その基準回数より少なければ、当該質問項目の個別回答が不足していると判定する。そして、個別回答が不足していると判定した質問項目を、選択対象の質問項目に含める。なお、基準回数は、固定値であってもよいし、固定値でなくともよい。例えば、同じ交通障害についての各質問項目の個別回答の受信回数の合計が大きくなるほど大きくなる値であってもよい。
【0087】
図11の例において、管理番号が0003の交通障害については、基準回数が例えば5であれば、交通障害の規模を問う質問に対する個別回答が不足しており、また、交通障害の発生した車線を問う質問に対する個別回答が不足していることになる。
【0088】
つまり、センタ側制御部13は、現在までに道路上の移動通信端末2から受信した複数個の交通障害の内容の情報において、複数項目の質問に対する回答のうち、どの質問項目に対する回答が不足しているかを特定し、不足している回答に対応する質問項目を、選択対象の質問項目に含める。
【0089】
ある質問項目に対する個別回答の数が少ないと、その質問項目によって得ようとする交通障害の情報の精度が低くなる。したがって、個別回答が不足している質問項目については、積極的に取得したい一方、個別回答が不足していない質問項目については、ユーザの入力の手間を増大させてまで得る必要があるとは言えない。
【0090】
したがって、上記のようにすることで、センタ1は、今回の交通障害について不足している情報を積極的に質問することで、センタ1にとっても移動通信端末2のユーザにとっても効率的に、複数の移動通信端末2から当該交通障害の必要な情報を収集することができる。
【0091】
なお、本事例の場合、今回の交通障害については、初期問い合わせ応答情報34を1回受信したのみなので、管理テーブル中の当該交通障害において、各質問項目の個別回答の受信回数は、最大でも1である。そして、今回の事例では、基準回数は1よりも大きいものとする。したがって、この段階でセンタ側制御部13は、選択対象の質問として、自車両に対する交通障害の前後位置を問う質問、交通障害の規模を問う質問、交通障害の種別を問う質問、交通障害が塞ぐ車線を問う質問、および別障害か否かを問う質問の5項目が、選択対象の質問項目に含まれる。
【0092】
またセンタ側制御部13は、今回のレコード中の質問の送信回数(以下、質問回数という)と、その質問に対して回答を受信した回数(以下、回答回数という)に基づいて、今回の交通障害が解消したか否かを問う質問項目を選択対象に含めるか否かを決定する。具体的には、質問回数に対する回答回数の割合が基準値を下回っていれば、当該質問項目を選択対象に含め、下回っていなければ、当該質問項目を選択対象に含めない。
【0093】
例えば、図11の例において、管理番号が0003の交通障害については、質問回数に対する回答回数の割合が8/9であるので、基準値が0.5であれば、当該質問項目を選択対象に含めない。
【0094】
つまり、センタ側制御部13は、質問回数に対する回答回数の割合が基準値を下回っていることに起因して、今回の交通障害が解消したか否かを問う質問を、選択対象の質問に含めるようになっている。
【0095】
交通障害が解消しつつある状態では、移動通信端末2を搭載した車両の乗員が質問に対して回答しなくなる可能性が高くなる。したがって、当該交通障害の内容についての質問回数に対する回答回数の割合は、徐々に低下していく。この割合がある程度低下したときに、当該交通障害が解消したか否かの質問をすることで、タイミング良く、当該交通障害が解消したか否かについての確定的な情報を収集することができる。
【0096】
なお、本事例の場合、今回の交通障害については、初期問い合わせ応答情報34を1回受信したのみなので、管理テーブル中の当該交通障害において、質問回数も回答回数も1となっている。この場合においては、質問回数に対する回答回数の割合は1となる。基準値は1よりも小さい値に設定されるので、この場合、今回の交通障害が解消したか否かを問う質問項目を選択対象に含めない。
【0097】
また、直前のステップ260で報知を受けた障害とユーザが認知している障害とは別障害であるか否かを問う質問については、各移動通信端末2から現在までに受信した今回の交通障害の内容の情報とは無関係に、常に選択する。
【0098】
ステップ305に続いてステップ308では、ステップ305で選択した項目の質問を送信する相手、すなわち問い合わせ先の移動通信端末2を決定する。問い合わせ先の移動通信端末2としては、今回の交通障害の発生位置範囲から所定距離(例えば1km)内にいる複数の移動通信端末2に限定するようになっていてもよい。なお、各移動通信端末2の現在位置は、各移動通信端末2から繰り返し送信される自車情報31(図8参照)に基づいて特定する。また、初期問い合わせ応答情報34の送信元の移動通信端末2は、送信対象から除外してもよいし、送信対象に含めてもよい。このようにすることによって、少なくとも車両4の移動通信端末2以外の複数の移動通信端末2(例えば図1の車両3、5、6に搭載された移動通信端末2)に対して、今回の交通障害の内容に関する質問を送信することができる。
【0099】
ステップ308に続いては、ステップ310〜340の処理を、問い合わせ先の移動通信端末2毎に実行する。まずステップ310では、今回のステップ310〜340で対象とする問い合わせ先の移動通信端末2(以下、対象移動通信端末2という)について、当該対象移動通信端末2を搭載した車両が走行中であるか否かを判定する。なお、各車両が走行しているか否かは、各移動通信端末2から繰り返し送信される自車情報31(図8参照)中の走行速度の情報に基づいて特定する。そして走行中でなければ続いてステップ320を実行し、走行中であれば続いてステップ330を実行する。
【0100】
ステップ320では、メイン詳細問い合わせを行い、ステップ330では、メイン簡易問い合わせを行う。メイン詳細問い合わせおよびメイン簡易問い合わせのそれぞれは、図8に示すメイン問い合わせ情報36を対象移動通信端末2に送信する処理である。
【0101】
ここで、メイン問い合わせ情報36には、この情報がメイン問い合わせ情報である旨の情報、今回の交通障害の管理番号、および、初期問い合わせ情報33と同様、交通障害発生地点7における今回の交通障害の内容に関する質問の情報を含める。質問としては、あらかじめ用意した複数項目の質問のうち、ステップ305において選択した項目の質問のみを含める。
【0102】
ただし、メイン詳細問い合わせとメイン簡易問い合わせとでは、メイン問い合わせ情報36に含める質問の形式が異なる。具体的には、メイン簡易問い合わせの場合、質問の形式は二者択一形式とし、メイン詳細問い合わせの場合、質問の形式は二者択一形式よりも詳細な形式となっている。
【0103】
より具体的には、メイン詳細問い合わせの場合、質問の送信先の移動通信端末2のディスプレイ24が図13に示すような表示を行うように、質問を作成する。すなわち、センタ側制御部13は、移動通信端末2のディスプレイ24が図13に示すような表示を行うよう指示するデータを、メイン問い合わせ情報36中に質問として含める。なお、図13の表示は、初期詳細問い合わせの場合における図9の表示の誤操作アイコン45を別障害アイコン48に代えたものと同じである。
【0104】
この別障害アイコン48は、選択すると、直前のステップ260で報知を受けた障害とユーザが認知している障害とは別障害であることを意味し、選択しないと、別障害でない(同じ障害である)ことを意味するアイコンである。
【0105】
また、メイン簡易問い合わせの場合、図4のステップ130の初期簡易問い合わせの場合と同様、質問の送信先の移動通信端末2のディスプレイ24が図14に示すような表示を、質問の項目の数だけ順次行うように、質問を作成する。すなわち、センタ側制御部13は、移動通信端末2のディスプレイ24が図14に示すような表示を質問の1項目につき1画面ずつ順番に行うよう指示するデータを、メイン問い合わせ情報36中に質問として含める。
【0106】
このように、センタ側制御部13は、問い合わせ先の移動通信端末2を搭載した車両が走行中である場合に、当該質問を、当該移動通信端末2に対して、二者択一の形式にして送信し、問い合わせ先の移動通信端末2を搭載した車両が走行中でない場合に、当該移動通信端末2に対して、二者択一よりも複雑な形式にして送信する。
【0107】
問い合わせ先の移動通信端末2が搭載された車両4が走行中であれば、ユーザがドライバである可能性が高い。そうであれば、ドライバに複雑な質問を投げ掛けて複雑な操作を強いるよりも、二者択一という簡単な操作を行わせることで、ドライバの安全運転をより良くサポートすることができる。
【0108】
ステップ320または330に続いては、ステップ340で、管理テーブル中の今回の交通障害のレコードの値をカウントアップする。具体的には、当該レコード中の質問回数の値を1だけ増加させる。
【0109】
このようなステップ310〜340の処理を問い合わせ先の移動通信端末2の数だけ繰り返すことで、各問い合わせ先の移動通信端末2に、それぞれを搭載する車両が走行しているか停止しているかに応じた形式で、当該交通障害の内容に関する質問が送信され、その送信の回数だけ管理テーブル中の質問回数が増加する。
【0110】
ステップ340の後は、メイン問い合わせ処理を終了し、障害情報報知処理のステップ225に処理を進める。
【0111】
[事例A−4(メイン問い合わせの応答)]
事例A−3において送信されたメイン問い合わせ情報36を、問い合わせ先の車両の移動通信端末2が受信すると、当該移動通信端末2の車載制御部25は、そのメイン問い合わせ情報36中の質問の情報に従った表示を、ディスプレイ24に行わせる。
【0112】
具体的には、車両が停止している場合には、受信した質問の情報が、図13に示すような複雑な形式の質問表示を行うよう指示するデータとなっているので、それに従い、図13に示すような画像をディスプレイ24に表示させる。
【0113】
車両の乗員は、自車両が交通障害発生地点付近を通り、その交通障害を目視した後で、この表示に従って、これら質問項目のそれぞれに対して、最大1つのアイコンを選択する。ただし、別障害アイコン48については、直前のステップ260で報知を受けた障害と自身が認知している障害とは別障害であると判断すれば選択し、別障害でないと判断すれば選択しない。意図した選択がすべて終了した後、入力完了アイコン46を選択する。なお、乗員は、すべての質問項目に回答してもよいし、一部の質問項目についてのみ回答してもよい。
【0114】
入力完了アイコン46が選択されると、車載制御部25は、図8に示すメイン問い合わせ応答情報37を作成してセンタ1に送信する。この場合のメイン問い合わせ応答情報37には、この情報がメイン問い合わせ応答情報である旨の情報、直前に受けたメイン問い合わせ情報中の管理番号と同じ管理番号、自車情報、および回答情報を含める。回答情報には、各質問に対してユーザが回答した個別の回答(例えば、「別障害である」または「別障害でない」)を含める。
【0115】
また、車両4が走行している場合には、受信した質問の情報が、図14に示すような二者択一形式の質問表示を順次行うよう指示するデータとなっている。車載制御部25はそれに従い、まず最初の質問項目についての二者択一の質問をディスプレイ24に表示させる。その後は、表示している質問項目に対する個別回答の選択が行われた場合には次の質問項目についての二者択一の質問をディスプレイ24に表示させるという作動を、最後の質問項目を表示させる段階まで繰り返す。そして、最後の質問項目に対する個別回答の選択が行われた場合には、車載制御部25は、図8に示すメイン問い合わせ応答情報37を作成してセンタ1に送信する。この場合のメイン問い合わせ応答情報37には、入力完了アイコン46が選択された場合と同様、この情報がメイン問い合わせ応答情報である旨の情報、管理番号、自車情報、および回答情報を含める。
【0116】
なお、メイン問い合わせに対して移動通信端末2のユーザ(乗員)が全く応答しない場合もある。その場合は、当該移動通信端末2からセンタ1へメイン問い合わせ応答情報37が送信されることはない。
【0117】
[事例A−5(メイン問い合わせの応答の受信以後)]
事例A−4において各車両の移動通信端末2がそれぞれのタイミングでメイン問い合わせ応答情報37送信すると、センタ側制御部13は、それらのメイン問い合わせ応答情報37を個々に受信する。
【0118】
センタ側制御部13は、図5の障害情報報知処理においては、ステップ210で初期問い合わせ応答情報34の新たな受信がないと判定し、ステップ220で障害存在通知情報32の送信が密集して発生していないと判定し、また、ステップ225でメイン問い合わせ応答情報37の新たな受信がないと判定している間は、ステップ210、220、225の処理を、この順に繰り返すようになっている。
【0119】
そして、この繰り返しの状態において、新たにメイン問い合わせ応答情報37を受信すると、ステップ225の判定結果が肯定的(YES)となり、続いてステップ280で、メイン回答対応処理の実行を開始する。
【0120】
図7は、メイン回答対応処理の詳細を示すフローチャートである。センタ側制御部13はメイン回答対応処理の実行において、まずステップ410で、メイン問い合わせ応答情報37の送信元の乗員が認知した交通障害と、今回の交通障害(すなわち、メイン問い合わせ応答情報37に含まれる管理番号が割り当てられた交通障害)とが別の障害であるか否かを判定する。この判定は、受信したメイン問い合わせ応答情報37中の、別障害か否かについての回答に基づいて決定する。
【0121】
別障害であったと判定した場合は、今回の障害とは異なる新たな交通障害が存在することになるので、続いてステップ440で、新規障害対応処理を実行する。具体的には、メイン回答対応処理を終了するが、その後図5のステップ280からステップ210に戻るのではなく、ステップ240に処理を移す。これによってセンタ側制御部13は、ステップ240で新たな交通障害に新たな管理番号を割り当て、ステップ245で、当該メイン問い合わせ応答情報37中の回答に基づいて当該新規交通障害の障害まとめ情報を記憶媒体12に作成し、ステップ248で当該新規交通障害のレコードを管理テーブルに追加し、ステップ260でその新規交通障害を複数の車両に報知し、ステップ270で当該新規交通障害についてのメイン問い合わせ処理を実行する。なお、ステップ248で追加するレコード中の質問回数および回答回数は、作成の時点では「1」となり、個別回答の回数は、メイン問い合わせ応答情報37中に回答のあるものについては「1」となり、他のものについては「0」となる。
【0122】
ステップ410で別障害でないと判定した場合は、続いてステップ420で、記憶媒体12中にある今回の交通障害の障害まとめ情報を更新する。更新の方法としては、例えば、今回受信したメイン問い合わせ応答情報37の回答内容の値と、障害まとめ情報中の交通障害の内容の値とに食い違いがある項目については、それまで受信した回答の統計的な代表値を、障害まとめ情報中の新たな値とするようになっていてもよい。
【0123】
例えば、当該交通障害について現在までに受信した初期問い合わせ応答情報34およびメイン問い合わせ応答情報37の回答のうち、最頻値を、障害まとめ情報中の新たな値とするようになっていてもよい。具体的には、今までの回答のうち、小規模という回答が2件、中規模という回答が6件、大規模という回答が10件あれば、障害まとめ情報中の新たな値として「大規模」を採用する。また例えば、交通障害の発生位置の範囲については、当該交通障害について現在までに受信した初期問い合わせ応答情報34およびメイン問い合わせ応答情報37の回答中の発生位置の平均位置(すなわち重心位置)を障害まとめ情報中の新たな値としてもよい。
【0124】
続いてステップ425では、管理テーブル中の今回の交通障害のレコード中の値をカウントアップする。具体的には、今回受信したメイン問い合わせ応答情報37中に含まれる個別回答に対応する質問項目の値を1だけ増加させ、それ以外の質問項目をそのままとする。また、回答回数を1だけ増加させる。
【0125】
続いてステップ430では、図5のステップ260と同様に、更新した障害まとめ情報および交通渋滞の予測情報を送信する。続いてステップ435では、メイン問い合わせ処理を実行する。
【0126】
この場合のメイン問い合わせ処理では、事例A−3で説明したのと同様に、今回の交通障害についてのメイン問い合わせ情報36を各移動通信端末2に再度送信する。今回の送信タイミングは、事例A−3におけるメイン問い合わせ情報36の送信タイミングよりも後になっているので、車両が移動する等の理由により、新たな移動通信端末2が送信対象に入る可能性が高い。このように、同じ交通障害について時間を空けて繰り返しメイン問い合わせ情報36を送信することで、当該交通障害についての新鮮な情報を持続的に取得することができる。ステップ435において実行したメイン問い合わせ処理が終了すると、メイン回答対応処理を終了し、処理が図5のステップ280からステップ210に戻る。
【0127】
このようにセンタ側制御部13は、ある交通障害についての初期問い合わせ応答情報34またはメイン問い合わせ応答情報37を受信する度にメイン問い合わせ処理を実行する。それによって、その応答情報34、37の送信元および送信元以外の複数の車両に、メイン問い合わせ情報36が送信される。さらにその応答としてセンタ側制御部13はメイン問い合わせ応答情報37を繰り返し受信し、受信した応答中の回答に基づいて、当該交通障害についての管理テーブルおよび障害まとめ情報を更新していく。更新される値は、一般的には回答数が多いほど正確性が高まる。
【0128】
図11に示した管理テーブル中の各値が逐次大きくなっていくと、一部の質問項目については、受信回数が基準回数以上となる場合がある。その場合、ステップ305で、当該質問項目の個別回答は不足していないと判定し、当該質問項目を選択対象から除外する。すると、図15に例示するように、メイン問い合わせ情報36に含める質問項目が次第に減っていく。したがって、移動通信端末2の乗員は、不足していない情報について質問を受けることがないので、当然にその回答を入力する必要もない。つまり、センタ1にとって必ずしも必要でない情報を無駄に入力する手間が省略できる。
【0129】
以上の事例A−1〜A−5で説明した通り、センタ1は、交通障害の内容の情報を回答として受信するためにあらかじめ用意された複数項目の質問のうちから、一部の質問を選択し(ステップ305参照)、複数項目の質問のうち選択した質問のみを、交通障害の内容に関する質問として、道路上の移動通信端末2に送信する(ステップ310、320、330参照)。つまり、質問内容を絞り込んで質問を行う。
【0130】
例えば、不足しているか否かを判定する基準回数が1であった場合、ある移動通信端末2のユーザが、「事故」が発生している「地点」を初期問い合わせ応答情報34で通知した場合、他の周辺車両の移動通信端末2に塞がっている車線を問う質問を含んだメイン問い合わせ情報36を送信し、個別回答として「自車線」「反対車線」「両方」という選択肢を提示することができる。なお、「地点Aで事故が発生しているとの情報がありますが、どのレーンで発生しているか選択してください」という風に、質問項目とは異なる項目について現在センタ1が有している情報を、このメイン問い合わせ情報36に含めるようになっていてもよい。
【0131】
つまり、交通障害が発生してある車両の移動通信端末2から障害存在通知情報32を受信した際、センタ1から周辺の他の車両の移動通信端末2に必要な情報のみを問い合わせることで、効率的に情報を集めることができる。したがって、絞り込まずにあらかじめ用意された複数項目の質問をすべて移動通信端末2に送信する場合に比べ、移動通信端末2のユーザが回答のために入力する負担が低減される。
【0132】
さらにセンタ1は、道路上の移動通信端末2から過去に受信した当該交通障害の内容の情報(図11参照)に基づいて、選択する質問を決定するので、センタ1が当該交通障害について受けている情報に応じた質問を選択することができる。したがって、移動通信端末2のユーザの無駄な負担を軽減することができる。
【0133】
[事例B(後から障害存在通知情報32を受信した場合)]
事例A−3で説明した通り、障害情報報知処理のステップ210で初期問い合わせ情報33を受信したと判定し、その後ステップ260で交通障害の障害まとめ情報を複数の車両に送信することで、同じ交通障害について多重に障害存在通知情報32が送信される可能性を低減することができる。
【0134】
しかし、そのような可能性を低減したとしても、多重に障害存在通知情報32が送信される可能性はゼロではない。そして、障害存在通知情報32を受信したセンタ1はステップ120または130で初期問い合わせ情報33を送信し、移動通信端末2は初期問い合わせ情報33の回答として初期問い合わせ応答情報34を送信する可能性が高い。このような初期問い合わせ応答情報34に基づいて、新たな交通障害が発生したとみなし、新たな管理番号を割り当てると、1つの交通障害に複数の管理番号が割り当てられることになってしまう。
【0135】
このような問題を解決するため、センタ側制御部13は、事例A−3で説明した通り、初期問い合わせ応答情報34を受信した後のステップ230で、今回受信した初期問い合わせ応答情報34に対応する交通障害と同じ交通障害に管理番号が既に割り当てられているか否かを判定する。そして、同じ交通障害に管理番号が既に割り当てられていると判定した場合は、ステップ250で、当該管理番号が割り当てられた交通障害の障害まとめ情報を、今回受信した初期問い合わせ応答情報34に基づいて更新する。更新の方法としては、図7のステップ420においてメイン問い合わせ応答情報37に基づいて行ったのと同じ方法を用いる。
【0136】
続いてステップ255では、管理テーブル中の、当該管理番号が割り当てられたレコードの値をカウントアップする。具体的には、今回受信したメイン問い合わせ応答情報37中に含まれる個別回答に対応する質問項目の値を1だけ増加させ、それ以外の質問項目をそのままとする。また、質問回数および回答回数を1だけ増加させる。ステップ255に続いては、既に説明したステップ260を実行する。
【0137】
このように、同じ交通障害に対して複数の移動通信端末2から多重に初期問い合わせ応答情報34を受信してしまったとしても、その初期問い合わせ応答情報34中の情報に基づいて、新たな交通障害であるか既知の交通障害であるかを判定し、新たな交通障害であるときにのみ新たな管理番号を割り当てる。したがって、1つの交通障害に複数の管理番号が割り当てられることになってしまう可能性が低下する。
【0138】
そして、受信した初期問い合わせ応答情報34が既知の交通障害についての情報であると判定した場合は、その既存の交通障害の障害まとめ情報の更新に、当該初期問い合わせ応答情報34を利用する。したがって、既に管理番号が割り当てられている交通障害についての初期問い合わせ応答情報34であっても、単に捨てることなく有効に利用することができる。
【0139】
[事例C(初期問い合わせの応答がなかった場合)]
事例A−1においてセンタ1から送信された初期問い合わせ情報33に対して、車両4の移動通信端末2が初期問い合わせ応答情報34を送信しなかったとする。このような場合、センタ側制御部13がステップ210で初期問い合わせ応答情報34を受信したと判定してその後ステップ260で当該交通障害の情報を他の車両に報知することもない。
【0140】
そのような状態の場合、車両4以外の他の車両が交通障害発生地点7の近傍を通過したときに、乗員が移動通信端末2を操作して障害存在通知情報32を送信させる可能性がある。その場合、障害存在通知情報32を受信したセンタ側制御部13は、上述の通り、図4の障害存在通知受信時処理を実行して初期問い合わせ情報33を当該移動通信端末2に送信する。
【0141】
もしこの場合に、この初期問い合わせ情報33を受信した移動通信端末2のユーザ(乗員)が、質問に対する回答を入力しないと、また初期問い合わせ応答情報34がセンタ1に送信されない。発生した交通障害の事情によっては、このように、障害存在通知情報32を送信したにも関わらず質問に対して回答しない移動通信端末2が複数発生するという事態もあり得る。
【0142】
そのような場合であっても、センタ1から見れば、近接した複数地点から障害存在通知情報32が多数回送信されたという事実は、その地点付近に交通障害が発生している可能性が高いと判断するに足る証拠となり得る。
【0143】
このような場合に対応するために、センタ側制御部13は、図5の障害情報報知処理において、ステップ210で初期問い合わせの応答がないと判定しても、続いてステップ220で、障害存在通知情報32の送信位置が密集していると判定すれば、交通障害が発生しているとみなし、ステップ230に進み、当該発生した障害と同じ交通障害に管理番号が割り当てられていなければ、続いてステップ240で新たな管理番号を割り当てる。
【0144】
ここで、障害存在通知情報32の送信位置が密集しているか否かは、次のようにして判定する。すなわち、最後に受信した障害存在通知情報32中の車両位置を中心とする所定半径(例えば500メートル)の円内に、障害存在通知位置(ステップ105参照)として記録された位置が所定個数(例えば5個)以上あるか否か判定する。そして、所定個数以上ある場合に、障害存在通知情報32の送信位置が密集していると判定し、所定個数以上ない場合に、密集していないと判定する。
【0145】
このようにすることで、障害存在通知情報32を送信した移動通信端末2が初期問い合わせ情報33に対して応答しなくても、障害存在通知情報32の位置が密集していて障害が発生した可能性が高い場合には、初期問い合わせ応答情報34として回答を受信した場合と同じように作動する。したがってセンタ1は、より敏感に障害の発生を検出することができる。
【0146】
ここで、交通障害の障害まとめ情報から交通渋滞の予測情報を作成する方法について説明する。この方法は、特許文献1に記載の通りであるので、ここでは概要だけ説明する。
【0147】
具体的には、センタ1のセンタ側制御部13は、各道路の通行量や車線数あるいは過去のデータを記憶媒体12に記憶されている道路データベースを利用して参照し、それにより、交通障害発生地点の周辺の道路の渋滞発生と解消との予測を行う。以下具体的に説明する。
【0148】
まず、季節または月、曜日、時刻、催時、天候などの条件別に、予め過去の統計的なデータから道路毎の将来の交通状況を別途予測し、その状況を道路区間毎の平均速度情報として表した道路データベースとしてセンタ1の記憶媒体12に記録しておく。
【0149】
そして、交通障害の障害まとめ情報に基づいて、交通障害の発生した道路、および、その交通障害によって塞がっている車線を特定する。そして、交通障害の発生した道路の塞がっている車線へ流入する道路を道路データベースに基づいて特定し、それら流入道路の当日の交通量の時間推移を道路データベースに基づいて特定し、特定した推移によって、交通障害発生地点の渋滞の有無の変化を予測する。すなわち、流入道路の交通量が多い時間は渋滞が発生し易く、流入道路の交通量が少ない時間は渋滞が発生しにくくなるよう予測する。また、障害まとめ情報中の交通障害の規模が大きいほど渋滞が発生し易くなるよう予測する。また、流入道路から分岐して交通障害発生地点を迂回する迂回路を道路データベースに基づいて特定し、それら迂回道路の当日の交通量の時間推移および車線数を道路データベースに基づいて特定し、特定した推移によって、交通障害発生地点の渋滞の有無の変化を予測する。例えば、迂回道路の車線数が多いほど、交通障害発生地点の渋滞が発生し難いと予測する。また、このようにして予測した交通障害発生地点の渋滞および道路データベースに基づいて、周囲の道路の渋滞も予測する。
【0150】
なお、上記実施形態においては、センタ側制御部13が、ステップ245を実行することで作成手段の一例として機能し、ステップ305、308、310、320、330を実行することでメイン問い合わせ手段の一例として機能し、ステップ305を実行することで選択手段の一例として機能し、ステップ250、420を実行することで更新手段の一例として機能し、ステップ248、255、340、425を実行することでカウント手段の一例として機能し、ステップ260を実行することで障害報知手段の一例として機能する。
【0151】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0152】
例えば、上記実施形態においては、センタ1において収集および更新される交通障害の情報は、移動通信端末2へ送信されるようになっていると共に、交通渋滞の予測に利用されるようになっている。しかし、交通障害の情報の用途は、このようなものに限られない。例えば、移動通信端末2へ送信するためだけに用いられてもよいし、交通渋滞の予測にだけ用いられてもよいし、ただ単に記録用として蓄積されるだけであってもよい。
【0153】
また、上記実施形態においてセンタ1は、移動通信端末2から初期問い合わせ応答情報34またはメイン問い合わせ応答情報37を受信する度に、複数の移動通信端末2にメイン問い合わせ情報36を送信するようになっている。しかし、メイン問い合わせ情報36の送信タイミングは、必ずしもこのようになっておらずともよく、持続的に繰り返し送信されるようになっていれば足りる。例えばセンタ1は、図6のメイン問い合わせ処理を交通障害毎に定期的に実行してメイン問い合わせ情報36を定期的に送信するようになっていてもよい。あるいは、移動通信端末2のユーザが操作部23に対してメイン問い合わせ情報36を要求する操作を行い、それに応じて車載制御部25がセンタ1に問い合わせ要求信号を送信したとき、センタ側制御部13は、その問い合わせ要求信号を受信したことに基づいて、すべての現存する交通障害について図6のメイン問い合わせ処理を実行してメイン問い合わせ情報36を送信するようになっていてもよい。
【0154】
また、図6のステップ320で、停止している車両の移動通信端末2にメイン問い合わせ情報36を送信する際に、障害発生地点を問う質問を選択対象に含んでいる場合が考えられる。そのような場合には、障害発生地点の質問として、現在の障害まとめ情報における障害発生地点(または地点範囲)を地図上に表示させ、「この地点(または地点範囲)で障害が発生しているとの情報がありますが、地点はあっていますか?誤っている場合には、発生している地点にカーソルを合わせ、OKボタンを押してください」と問い合わせるような指令を、センタ側制御部13から移動通信端末2にメイン問い合わせ情報36中の質問として送信するようになっていてもよい。この場合、移動通信端末2のユーザはその表示に従って正しい交通障害の発生位置を入力し、移動通信端末2はその入力された情報を回答としてメイン問い合わせ応答情報37に含めてセンタ1に送信する。
【0155】
また、既にある程度渋滞が発生しているか確認するために、メイン問い合わせのためにあらかじめ用意した質問項目(すなわち選択肢の質問項目)として、現在の道路の混雑の程度を含めてもよい。その場合、この「現在の道路の混雑の程度」という質問項目は、常に選択対象の質問項目とする。この「現在の道路の混雑の程度」を問う質問としては、例えば、「この障害により渋滞が発生しています。現在の混雑具合を選択してください」と問い合わせ、回答として「時速10km以下」、「時速30km程度」、「順調」という選択肢のいずれかを移動通信端末2のユーザに選択させるようなものであってもよい。あるいは、「車速を通知してください」と問い合わせるようなものであってもよい。
【0156】
また、上記実施形態においては、ステップ320および330でメイン問い合わせ情報36を送信する際、車両が走行していてもいなくても、あらかじめ用意した複数の質問項目のうちから選択した質問のみを送信するようになっている。しかし、ステップ320で停止している車両の移動通信端末2にメイン問い合わせ情報36を送信する場合には、複数の質問項目のすべてを送信し、ステップ320で走行している車両の移動通信端末2にメイン問い合わせ情報36を送信する場合に、複数の質問項目のうち選択した質問項目のみを送信するようになっていてもよい。
【0157】
また、上記実施形態においては、移動通信端末2における障害存在通知情報32の送信は、ユーザによる操作部23の所定の操作であったが、必ずしもこのようになっておらずともよい。例えば、移動通信端末2の車載制御部25は、自車両のブレーキペダルが急激に踏み込まれたことに基づいて、障害存在通知情報32を送信するようになっていてもよい。
【0158】
また、上記実施形態においては、初期問い合わせ情報33およびメイン問い合わせ情報36の送信先の移動通信端末2を搭載する車両が走行しているか否かを、センタ1が判定し、さらに、その判定結果に基づいて、送信する質問の形式をセンタ1が切り替えている。しかし、必ずしもこのようになっておらずともよい。例えば、センタ1は、初期問い合わせ情報33およびメイン問い合わせ情報36を送信する際に、停止している車両用の形式で作成した質問と、走行している車両用の形式で作成した質問の両方を、問い合わせ先のすべての移動通信端末2に送信するようになっていてもよい。この場合、初期問い合わせ情報33、メイン問い合わせ情報36を受信した移動通信端末2の車載制御部25は、車速・方向センサ22からの信号に基づいて、自車両が停止している場合には、停止している車両用の形式で作成された質問をディスプレイ24に表示させ、自車両が走行している場合には、走行している車両用の形式で作成された質問をディスプレイ24に表示させるようになっていてもよい。
【0159】
また、車載制御部25は、センタ1から受けた初期問い合わせ情報33、メイン問い合わせ情報36中の質問をディスプレイ24に表示しているが、図示しないスピーカを用いて、当該質問を音声で出力するようになっていてもよい。また、車載制御部25は、質問に対するユーザの回答を、音声で受け付けるようになっていてもよい。具体的には、車載制御部25は、ユーザが回答した音声を図示しないマイクから信号として取得し、取得した音声信号に対して周知の音声認識処理を行うことで、その音声信号が示す回答内容(例えば、「はい」、か「いいえ」か)を特定するようになっていてもよい。
【0160】
また、上記実施形態では、移動通信端末2は車両に搭載されているが、必ずしも車両に搭載されるようになっておらずともよく、例えば、歩行者が携帯するようになっていてもよい。すなわち、移動通信端末2のユーザは、必ずしも車両の乗員でなくともよく、例えば、歩行者であってもよい。
【0161】
また、センタ側制御部13は、図5のステップ260、図6のステップ308、および図7のステップ430で、交通障害の発生位置範囲の近傍の車両を、自車情報31に基づいて特定し、それらを送信対象の車両としている。これは、障害まとめ情報、メイン問い合わせ情報36の送信先を、交通障害の発生位置範囲の近傍に限定するためである。しかし、送信先を交通障害の発生位置範囲の近傍に限定する方法としては、このような方法に限らず、例えば、交通障害の発生位置範囲の近傍に存在する路上通信機(例えばDSRC路上機、VICS路上機)にのみ、このような障害まとめ情報、メイン問い合わせ情報36を送信させる方法を採用してもよい。
【0162】
また、上記実施形態においては、図4の障害存在通知受信時処理のステップ120、130において、センタ側制御部13は、初期問い合わせ情報33の送信時に、あらかじめ用意された質問項目のすべてを移動通信端末2に送信している。しかし、必ずしもこのようになっておらずともよい。例えば、図6のメイン問い合わせ情報36の送信時のように、あらかじめ用意された質問項目のうちから一部を選択し、選択した質問のみを移動通信端末2に送信するようになっていてもよい。その場合センタ側制御部13は、障害存在通知情報32を受信した段階で、その障害存在通知情報に含まれる車両位置から最も近い位置にある既知の交通障害を、当該障害存在通知情報32に係る交通障害であるとみなし、管理テーブル中のこの交通障害のレコードに基づいて、選択対象の質問項目を決定するようになっていてもよい。
【0163】
また、移動通信端末2は、カーナビゲーションに用いる地図データを有していてもよい。その場合、移動通信端末2の車載制御部25は、センタ1から交通障害の障害まとめ情報を受信した場合、当該障害まとめ情報に基づいて、交通障害の発生位置を、地図上の位置としてディスプレイ24に表示するようになっていてもよい。また、移動通信端末2が、目的地までの経路を算出して案内するナビゲーション機能を有しており、かつ、目的地までの経路を案内している最中に交通障害の障害まとめ情報を受信した場合、車載制御部25は、「交通障害が発生していますが、経路を変更しますか?」などのように、経路の変更を促すメッセージを文字または音声で出力するようになっていてもよい。
【0164】
また、上記の実施形態において、センタ側制御部13、車載制御部25がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0165】
1 センタ
2 移動通信端末
3〜6 車両
7 交通障害発生地点
11 通信装置
12 記憶媒体
13 センタ側制御部
20 無線部
21 位置センサ
22 車速センサ
23 操作部
24 ディスプレイ
25 車載制御部
31〜37 センタと移動通信端末がやりとりする情報
41〜47 ユーザが選択するアイコン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路における車両の通行の障害となる突発的事象(以下、交通障害という)の情報を収集する交通障害情報収集装置であって、
道路上の移動通信端末(2)と通信するための通信装置(11)と、
情報を記憶するための記憶媒体(12)と、
前記通信装置(11)が道路上の第1の移動通信端末(2)から交通障害の内容の情報を受信した場合に、当該受信した情報に基づいて、前記記憶媒体(12)中に前記交通障害の情報を作成する作成手段(245)と、
前記交通障害の内容に関する質問を、前記第1の移動通信端末(2)以外の道路上の複数の移動通信端末(2)に送信するメイン問い合わせ手段(305、308、310、320、330)と、
前記通信装置(11)が、前記複数の移動通信端末(2)から前記質問に対する回答として前記交通障害の内容の情報を受信した場合に、当該受信した前記回答を用いて、前記記憶媒体(12)中の前記交通障害の情報を更新する更新手段(250、420)と、を備え、
前記メイン問い合わせ手段(305、308、310、320、330)は、あらかじめ用意された交通障害に関する複数項目の質問のうちから一部の質問を選択する選択手段(305)を備えると共に、前記複数項目の質問のうち前記選択手段(305)が選択した質問のみを、前記交通障害の内容に関する質問として、前記複数の移動通信端末(2)に送信し、
前記選択手段(305)は、前記通信装置(11)が道路上の移動通信端末(2)から現在までに受信した前記交通障害の内容の情報に基づいて、選択する質問を決定することを特徴とする交通障害情報収集装置。
【請求項2】
前記通信装置(11)が道路上の移動通信端末(2)から受信する前記交通障害の内容の情報は、前記複数項目の質問のうち1項目以上の質問のそれぞれに対する個別の回答となる情報を含み、
前記選択手段(305)は、現在までに前記通信装置(11)が道路上の移動通信端末(2)から受信した複数個の前記交通障害の内容の情報において、前記複数項目の質問に対する回答のうち、どの質問に対する回答が不足しているかを特定し、不足している回答に対応する質問を、選択対象の質問に含めることを特徴とする請求項1に記載の交通障害情報収集装置。
【請求項3】
現在までに前記交通障害の内容に関する質問を送信した回数(以下、質問回数という)と、現在までの前記所定期間内において当該質問に対する回答を受信した回数(以下、回答回数という)とを記録するカウント手段(248、255、340、425)を備え、
前記選択手段(305)は、前記カウント手段(248、255、340、425)によって記録された前記質問回数に対する前記回答回数の割合が基準値を下回っていることに起因して、前記交通障害が解消したか否かを問う質問を、選択対象の質問に含めることを特徴とする請求項1または2に記載の交通障害情報収集装置。
【請求項4】
前記メイン問い合わせ手段(305、308、310、320、330)は、前記選択した質問の送信先の移動通信端末(2)を搭載した車両が走行中である場合に、前記選択した質問を、当該移動通信端末(2)に対して、二者択一の形式で、送信することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の交通障害情報収集装置。
【請求項5】
前記通信装置(11)が前記第1の移動通信端末(2)から交通障害の存在を通知する障害存在通知情報を受信した場合に、前記第1の移動通信端末(2)に対して、前記交通障害の内容の情報を回答として受信するための質問を送信する初期問い合わせ手段(110、120、130)を備え、
前記作成手段(245)は、前記初期問い合わせ手段(110、120、130)が送信した質問に対する前記第1の移動通信端末(2)からの応答を前記通信装置(11)が受信したとき、前記応答が前記障害存在通知情報を撤回する旨の情報を含まない場合に、前記応答中の前記質問に対する回答の情報に基づいて、前記記憶媒体(12)中に前記交通障害の情報を作成することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の交通障害情報収集装置。
【請求項6】
前記通信装置(11)が、前記初期問い合わせ手段(110、120、130)が送信した質問に対する応答を前記第1の移動通信端末(2)から受信し、更に、前記作成手段(245)が、前記応答中の前記質問に対する回答の情報に基づいて、前記記憶媒体(12)中に前記交通障害の情報を作成した場合に、当該作成された前記交通障害の情報を、前記第1の移動通信端末(2)以外の複数の移動通信端末(2)に送信する障害報知手段(260)を備えたことを特徴とする請求項5に記載の交通障害情報収集装置。
【請求項1】
道路における車両の通行の障害となる突発的事象(以下、交通障害という)の情報を収集する交通障害情報収集装置であって、
道路上の移動通信端末(2)と通信するための通信装置(11)と、
情報を記憶するための記憶媒体(12)と、
前記通信装置(11)が道路上の第1の移動通信端末(2)から交通障害の内容の情報を受信した場合に、当該受信した情報に基づいて、前記記憶媒体(12)中に前記交通障害の情報を作成する作成手段(245)と、
前記交通障害の内容に関する質問を、前記第1の移動通信端末(2)以外の道路上の複数の移動通信端末(2)に送信するメイン問い合わせ手段(305、308、310、320、330)と、
前記通信装置(11)が、前記複数の移動通信端末(2)から前記質問に対する回答として前記交通障害の内容の情報を受信した場合に、当該受信した前記回答を用いて、前記記憶媒体(12)中の前記交通障害の情報を更新する更新手段(250、420)と、を備え、
前記メイン問い合わせ手段(305、308、310、320、330)は、あらかじめ用意された交通障害に関する複数項目の質問のうちから一部の質問を選択する選択手段(305)を備えると共に、前記複数項目の質問のうち前記選択手段(305)が選択した質問のみを、前記交通障害の内容に関する質問として、前記複数の移動通信端末(2)に送信し、
前記選択手段(305)は、前記通信装置(11)が道路上の移動通信端末(2)から現在までに受信した前記交通障害の内容の情報に基づいて、選択する質問を決定することを特徴とする交通障害情報収集装置。
【請求項2】
前記通信装置(11)が道路上の移動通信端末(2)から受信する前記交通障害の内容の情報は、前記複数項目の質問のうち1項目以上の質問のそれぞれに対する個別の回答となる情報を含み、
前記選択手段(305)は、現在までに前記通信装置(11)が道路上の移動通信端末(2)から受信した複数個の前記交通障害の内容の情報において、前記複数項目の質問に対する回答のうち、どの質問に対する回答が不足しているかを特定し、不足している回答に対応する質問を、選択対象の質問に含めることを特徴とする請求項1に記載の交通障害情報収集装置。
【請求項3】
現在までに前記交通障害の内容に関する質問を送信した回数(以下、質問回数という)と、現在までの前記所定期間内において当該質問に対する回答を受信した回数(以下、回答回数という)とを記録するカウント手段(248、255、340、425)を備え、
前記選択手段(305)は、前記カウント手段(248、255、340、425)によって記録された前記質問回数に対する前記回答回数の割合が基準値を下回っていることに起因して、前記交通障害が解消したか否かを問う質問を、選択対象の質問に含めることを特徴とする請求項1または2に記載の交通障害情報収集装置。
【請求項4】
前記メイン問い合わせ手段(305、308、310、320、330)は、前記選択した質問の送信先の移動通信端末(2)を搭載した車両が走行中である場合に、前記選択した質問を、当該移動通信端末(2)に対して、二者択一の形式で、送信することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の交通障害情報収集装置。
【請求項5】
前記通信装置(11)が前記第1の移動通信端末(2)から交通障害の存在を通知する障害存在通知情報を受信した場合に、前記第1の移動通信端末(2)に対して、前記交通障害の内容の情報を回答として受信するための質問を送信する初期問い合わせ手段(110、120、130)を備え、
前記作成手段(245)は、前記初期問い合わせ手段(110、120、130)が送信した質問に対する前記第1の移動通信端末(2)からの応答を前記通信装置(11)が受信したとき、前記応答が前記障害存在通知情報を撤回する旨の情報を含まない場合に、前記応答中の前記質問に対する回答の情報に基づいて、前記記憶媒体(12)中に前記交通障害の情報を作成することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の交通障害情報収集装置。
【請求項6】
前記通信装置(11)が、前記初期問い合わせ手段(110、120、130)が送信した質問に対する応答を前記第1の移動通信端末(2)から受信し、更に、前記作成手段(245)が、前記応答中の前記質問に対する回答の情報に基づいて、前記記憶媒体(12)中に前記交通障害の情報を作成した場合に、当該作成された前記交通障害の情報を、前記第1の移動通信端末(2)以外の複数の移動通信端末(2)に送信する障害報知手段(260)を備えたことを特徴とする請求項5に記載の交通障害情報収集装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−3118(P2011−3118A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147330(P2009−147330)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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