説明

人体検知装置

【課題】人体あるいは雨滴の区別が確実にできる人体検知装置を提供する。
【解決手段】人体の接触を検出する人体検知装置1であって、絶縁体11を挟む一対の電極部A、Bと、一方の前記電極部Aに抵抗25を介して高周波を印加すると共に、他方の前記電極部Bに低周波を印加する発振部20と、一方の前記電極部Aと前記抵抗25の間の電圧波形の変化から、人体が前記電極部に接触したことを判定するマイクロコンピュータを備えることにより、一対の電極部A、Bがコンデンサとしての機能を有し、高周波と低周波が電極部を通過できるため、外部ノイズに対し強くなり、人体あるいは雨滴の区別が確実にできるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外用の人体検知装置に係り、特に、車両のスマートエントリーシステムで使用される車両用ドアの施錠、開錠の意思確認を行う人体検知装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両ユーザが携帯する送受信機と、車両に設けられる送受信機との間でユーザ認識コードの送受信により車両ユーザを認識するスマートエントリーシステムが知られている(特許文献1)。このスマートエントリーシステムは、静電容量式センサを使用して、ドアハンドルへの車両ユーザの接触を検出している。
【0003】
この静電容量式センサは、人体(人の手)がドアハンドルに接触したとき、人体が持つ浮遊容量が変化することを捉えて人体がドアハンドルに触れたことを検知するものである。ところが、静電容量式のセンサは、雨滴が持つ浮遊容量によっても静電容量が変化するため、人体あるいは雨滴が電極に接触したときの区別が確実にできない。これにより、上述のスマートエントリーシステムが誤動作してしまう可能性がある。
【0004】
これに対して、人体や雨滴を区別する静電容量式の人体検知装置が開示されている(特許文献2)。この人体検知装置は、一つのセンサ電極に低周波と高周波を順次切り替えて印加し、センサ電極の静電容量の変化を各周波数においてそれぞれ電圧変化量として検出している。このセンサ電極の人体や雨滴に対する感度は、低周波と高周波で一律ではなく、各周波数に対してそれぞれ固有の依存性があるため、各周波数におけるそれぞれの電圧変化量の差により、人体あるいは雨滴かを区別できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−295094号公報
【特許文献2】特開2006−211427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の人体検知装置は、人体あるいは雨滴の区別時の低周波の電圧変化量の差は僅かであり、また、高周波の電圧変化量の差は少ない。そのため、センサ電極に外部ノイズが加わると、人体あるいは雨滴の区別ができない可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は、人体あるいは雨滴の区別が確実にできる人体検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成すべく成された本発明の請求項1の人体検知装置は、
人体の接触を検出する人体検知装置であって、
絶縁体を挟む一対の電極部と、
一方の前記電極部に抵抗を介して高周波を印加すると共に、他方の前記電極部に低周波を印加する発振部と、
一方の前記電極部と前記抵抗の間の電圧波形の変化から、人体が前記電極部に接触したことを判定するマイクロコンピュータを備えることを特徴としている。
【0009】
本発明の請求項2の人体検知装置は、請求項1に記載の人体検知装置において、
前記電圧波形は、最大電圧値であることを特徴としている。
【0010】
本発明の請求項3の人体検知装置は、請求項2に記載の人体検知装置において、
前記マイクロコンピュータは、前記低周波の半周期毎に入力された前記最大電圧値と予め設定されている判定値と比較し、前記最大電圧値が前記判定値以下となった後、直後に入力された前記最大電圧値が前記判定値よりも大きくなったことを検出することにより、前記電極部が水浸し状態であることを検出することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、一対の電極部がコンデンサとしての機能を有し、高周波と低周波が電極部を通過できるため、外部ノイズに対し強くなり、人体あるいは雨滴の区別が確実にできるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る人体検知装置のブロック図を示す。
【図2】図1の電圧検出器の実施形態を示す。
【図3】本発明の第1実施形態に係る第一分周器の出力波形(a)、及び第二分周器の出力波形(b)である。
【図4】本発明の第1実施形態に係り、(a)は、図1の電極部Bと第一抵抗間(測定点C)の電圧波形である。(b)は、図1の電極部Aと第二抵抗間(測定点D)の電圧波形である。(c)は、電極Aに人体が非接触、少量の水滴が付着した状態の測定点Dの電圧波形である。(d)は、電極Aに人体が接触、水滴が未付着の状態の測定点Dの電圧波形である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る人体検知装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】電圧検出部の変形例である。
【図7】本発明の第2実施形態に係り、(a)は、図1の電極部Bと第一抵抗間(測定点C)の電圧波形である。(b)は、図1の電極部Aと第二抵抗間(測定点D)の電圧波形である。(c)は、電極Aが水浸し状態の測定点Dの電圧波形である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る人体検知装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る人体検知装置1について説明する。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係る人体検知装置1のブロック図を示す。図2は、図1の電圧検出器の実施形態を示す。図3は、本発明の一実施形態に係る第一分周器22の出力波形(a)、及び第二分周器23の出力波形(b)である。図1において、10はセンサ部、20は発振部、30は電圧検出部、40はマイクロコンピュータである。
【0015】
センサ部10は、人体が接触したことを検知するためのものである。センサ部10の具体的な構成例として、図1に示すように、センサ部10は、電極部A、電極部B、絶縁体11からなり、一対の電極部A、Bは、非接触に近接して対向配置される。このセンサ部10は、電極部A、電極部Bの間に絶縁体11を挟み、絶縁体11を固定している。
【0016】
本実施形態のセンサ部10は、ガラスエポキシ基板(絶縁体11)の両面に銅箔(電極部A、電極部B)が設けられたものであり、縦が30mm、横が30mm、厚みが0.8mmの平坦面を有する平板状に形成される。この電極部A、電極部Bは、鉄、アルミ、ステンレス、銅等の導体で形成されてもよい。絶縁体11は、紙フェノール、雲母、ビニール、ゴム、樹脂等の非導体で形成されてもよい。本実施形態では、センサ部10へ人体が接触あるいは水滴が付着したことは、電極部Aの平坦面に対することを意味する。
【0017】
発振部20は、2つの異なる高周波および低周波をそれぞれ電極部A、電極部Bに印加するものである。本実施形態では、20MHzで5Vの方形波を出力する発振器21が第一分周器22と第二分周器23に接続されている。第一分周器22は、発振器21の出力を1/128に分周して156.25kHzで5Vの低周波を電極部Bに印加する(図3(a)参照)。第二分周器23は、発振器21の出力を1/2に分周して10MHzで5Vの高周波を電極部Aに印加する(図3(b)参照)。
【0018】
発振部20は、電極部Bに第一抵抗24を介して低周波を印加する。また、発振部20は、電極部Aに第二抵抗25を介して高周波を印加する。第一抵抗24と第二抵抗25は、人体がセンサ部10に接触した時、高周波および低周波の変化を検知する際の分圧抵抗として機能する。すなわち、人体がセンサ部10に接触すると、センサ部10内の電荷が人体に流れ電圧降下が発生するため、この電圧の変化量が現れるものである。本実施形態では、第一抵抗24および第二抵抗25が設けられているが、図1の測定点Dの波形が検出できればよく、上述の第一抵抗24はなくもてよい。この第一抵抗24と第二抵抗25は、それぞれ390Ωの低抵抗に設定されている。
【0019】
発振部20は、電極部Bに低周波を印加すると共に、電極部Aに高周波を印加すると、一対の電極部A、Bは、コンデンサとしての機能を有する。
【0020】
電圧検出部30は、ダイオード31と平滑コンデンサ32を有する整流回路で構成され(図2参照)、電極部Aと第二抵抗25の間(測定点D)に現れる電圧波形を直流に変換し、最大電圧値(ピーク値)を出力する。
【0021】
マイクロコンピュータ40は、人体が電極部Aに接触したことを検出する。このマイクロコンピュータ40は、A/D変換器(アナログ−ディジタル変換器)およびピークホールド回路を有し、電圧検出部30の出力(最大電圧値)および第一分周器22の出力(低周波)が接続されている。そして、マイクロコンピュータ40は、センサ部10に人体が接触した時に、電圧検出部30で検出される最大電圧値の減少を検知して、人体検知信号を出力する。
【0022】
このような構成の人体検知装置1において、検出される電圧波形を説明する。
【0023】
まず、センサ部10に人体が非接触、水滴が未付着の通常状態の時、電極Bと第一抵抗24間(測定点C)における電圧波形は、低周波の方が高周波に比べ優勢になるため、高周波が重畳(変調)された低周波が現れる(図4(a)参照)。
電極部Aと第二抵抗25間(測定点D)における電圧波形は、高周波の方が低周波に比べ優勢になるため、低周波が重畳された高周波が現れる(図4(b)参照)。ただし、本実施形態では、図4(b)に示すように、低周波の成分がほとんど現れず最大電圧値がほぼ一定となっている(段差波形にならない)。この理由として、本実施形態のセンサ部10は、低周波がほとんど通過しないコンデンサとなっているためと考えられる。なお、図4(b)の電圧波形の最大電圧値は約4V、最小電圧値は約1Vとなっている。
【0024】
次に、センサ部10に少量の水滴が付着した場合、測定点Dで検知される波形は、図3(b)と同様の波形となる(図4(c)参照)。この理由として、センサ部10内に電界が閉じ込められるため少量の水滴が電極Aに付着してもほとんど影響されないためと考えられる。
【0025】
次に、センサ部10に人体(人の手)が接触した場合、測定点Dで検知される波形は、最大電圧値が減少する(図4(d)参照)。この理由として、センサ部10内に閉じこめられていた電荷が人体に流れ込むため変化したと考えられる。なお、図4(d)の電圧波形の最大電圧値は約3.7V、最小電圧値は約1.3Vとなっている。
このように、センサ部10に人体が接触した場合は測定点Dの電圧波形の最大電圧値は明確な減少を示すが、センサ部10に水滴が付着した程度では測定点Dの電圧波形はほとんど変化しない。このため、測定点Dで検知される電圧波形の最大電圧値の減少を検知することにより、人体が電極部Aに接触したことを検出できる。
【0026】
次に、本例の人体検知装置1の動作を、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0027】
(ステップS1)
まず、発振器21を駆動させると、第一分周器22は156.25kHzで5V程度の低周波を電極部Bに印加する。また、第二分周器23は10MHzで5V程度の高周波を電極部Aに印加する。
【0028】
(ステップS2)
電圧検出部30は、測定点Dの電圧波形を整流して最大電圧値を出力する。
【0029】
(ステップS3)
マイクロコンピュータ40は、第一分周器22の出力(低周波)の半周期毎に、電圧検出部の出力をピークホールド回路にてピークホールドしA/D変換器でA/D変換(アナログ−ディジタル変換)し最大電圧値を逐次記憶する。
【0030】
(ステップS4)
マイクロコンピュータ40は、低周波の半周期毎に入力された最大電圧値と予め設定されている閾値とを逐次比較する。この閾値は、センサ部10に水滴が付着した場合に検出される最小の値よりも小さく、かつ、センサ部10に人体が接触した場合に検出される最大の値以上に設定され、本実施形態では閾値は3.75Vに設定されている。なお、センサ部10に人体が接触した場合、触れた人の体格等によって電圧検出部30の出力(最大電圧値)は多少変化するものの、閾値を上記のように設定することにより、センサ部10に人体が接触したことを確実に検出することができる。
【0031】
このマイクロコンピュータ40は、少なくとも2回連続して最大電圧値が閾値以下となったことを検出すると、人体がセンサ部10に接触の状態と判定する。すなわち、電極部Aに人体が接触すると、その期間、最大電圧値は4.0Vから3.7Vに変化し3.7Vで一定になるため、マイクロコンピュータ40は、最大電圧値が3.7Vで複数回連続して閾値以下であることを検出でき、人体がセンサ部10に接触の状態であると判定する。
また、このマイクロコンピュータ40は、少なくとも2回連続して最大電圧値が閾値以下でないことを検知すると、人体がセンサ部10に非接触の状態と判定する。そして、マイクロコンピュータ40は、ステップS1に戻って通常の検知動作に戻る。
【0032】
(ステップS5)
マイクロコンピュータ40は、少なくとも2回連続して最大電圧値が閾値以下の場合、人体がセンサ部10に接触した状態と判定して、人体検知信号を出力する。
【0033】
以上のように、本発明は、人体の接触を検出する人体検知装置であって、絶縁体を挟む一対の電極部A、Bと、一方の電極部Aに抵抗24を介して高周波を印加すると共に、他方の電極部Bに低周波を印加する発振部20と、一方の電極部Aと抵抗24の間の電圧波形の変化から、人体が電極部に接触したことを判定するマイクロコンピュータを備える。
【0034】
本発明の人体検知装置によれば、一対の電極部がコンデンサとしての機能を有し、センサ部内に電界(電荷)が閉じ込められる。このため、電極部に水滴が付着した時は、電圧検出部の出力はほとんど変化することがなく、電極部に人体が接触した時は、電極部間(センサ部内)に閉じこめられていた電荷が人体に流れ込むことにより、電圧検出部の出力が減少する。この電圧検出部の出力(最大電圧値)の所定の変化を検知することにより、人体が電極部に接触したことが検出できる。
このように電極部の検出信号を電圧変換した電圧波形(最大電圧値)に基づき、人体が電極部に接触した時と非接触の時の電圧波形(最大電圧値)の変化を検出することにより、人体が電極部に接触したことが検出できる。
【0035】
また、一対の電極部がコンデンサとしての機能を有し、高周波が外部の影響でほとんど変化することがなく、外部ノイズに対し強くなり、人体が電極部に接触した時の検出感度が向上できる。
【0036】
また、上述した電圧波形は、最大電圧値であるため、非常に簡単な構成で人体が電極部に接触したことが検出できる。
【0037】
以上の説明では、電圧検出部30は、測定点Dの電圧波形を整流して最大電圧値を出力して、電圧波形の変化は最大電圧値の変化となり、人体が電極部に接触したことを判定していたが、この電圧検出部は、電圧波形の最小電圧値を出力するように構成し、マイクロコンピュータがこの最小電圧値の増加(電圧変化)を検知して人体が電極部に接触したことを判定してもよい。
【0038】
また、電圧検出部は、電圧波形の最大電圧値と最小電圧値の差である波高値を出力するように構成して、マイクロコンピュータがこの波高値の減少(電圧変化)を検知して人体が電極部に接触したことを判定してもよい。
【0039】
また、電圧検出部は、図6に示すような回路にしてもよい。具体的には、電圧波形は、コンデンサ61により直流分がカットされ交流分のみ通過される。そして、電圧波形は、ブリッジ整流回路62により整流され、コンデンサ63により平滑され、直流が出力される。この直流の電圧値の減少(電圧変化)を検知して人体の接触を判定してもよい。
【0040】
以上の説明では、マイクロコンピュータ40は、第一分周器22の出力(低周波)の半周期毎に、電圧検出部の出力をピークホールド回路にてピークホールドしA/D変換器でA/D変換し電圧波形を逐次記憶していたが、タイマーなどの所定の間隔で電圧波形を検出し閾値と判定してもよい。
【0041】
[第2実施形態]
本発明の人体検知装置は、センサ部10に多量の水滴が付着した場合(例えば、車両を自動洗車機にて洗車するような水浸しの状態)も検知できる。図7(a)は、図1の電極部Bと第一抵抗24間(測定点C)の電圧波形である。図7(b)は、図1の電極部Aと第二抵抗25間(測定点D)の電圧波形である。図7(c)は、センサ部10が水浸し状態の測定点Dの電圧波形である。図8は、本実施形態に係る人体検知装置1の動作を説明するためのフローチャートである。
【0042】
センサ部10が水浸し状態であると、図1の測定点Dで検知される電圧波形は、段差のある波形となる(図7(c)参照)。この図7の電圧波形は、最大電圧値が段差状に繰り返し現れ、一方の段差波形(c1)は、最大電圧値が約4V、最小電圧値が約1Vとなり、他方の段差波形(c2)は、最大電圧値が約3.7V、最小電圧値が約0.7Vとなる。
図7(c)の電圧波形に段差波形が繰り返し現れる理由として、センサ部10が水浸しの状態になるとセンサ部10の静電容量が多くなり、通常状態ではほとんど通過しない低周波が電極部(センサ部)を通過する結果、低周波が多く重畳されたためと考えられる。
【0043】
本実施形態の人体検知装置1の動作を、図8のフローチャートを用いて説明する。
【0044】
(ステップS1)
発振器21を駆動させると、第一分周器22が、156.25kHzで5V程度の低周波を電極部Bに印加する。また、第二分周器23が、10MHzで5V程度の高周波を電極部Aに出力する。
【0045】
(ステップS2)
電圧検出部30は、測定点Dの電圧波形を整流して最大電圧値を出力する。
【0046】
(ステップS3)
マイクロコンピュータ40は、低周波の半周期毎に入力された最大電圧値と予め設定されている判定値と比較する。この判定値は、センサ部10が水浸し状態のときに検出される他方の段差波形(c2)の最大の値以上に設定され、本実施形態では判定値は3.75Vに設定されている。
【0047】
そして、マイクロコンピュータ40は、最大電圧値が判定値以下となった後、直後に入力された最大電圧値が前記判定値よりも大きくなったことを検出すると、電極部が水浸し状態であることを検出する。すなわち、電極部が水浸し状態であると、その期間、最大電圧値は4.0Vと3.7Vの段差波形が繰り返し現れるため、マイクロコンピュータ40は、最大電圧値が3.7Vで判定値以下となった後、直後に入力された最大電圧値が前記判定値より大きい4.0Vであることを検知すると、電極部が水浸し状態であることが検出できる。
そして、マイクロコンピュータ40は、最大電圧値が判定値以下となった後、直後に入力された最大電圧値が前記判定値よりも大きくない場合、電極部は水浸しの状態でないことを検出する。
【0048】
(ステップS4)
マイクロコンピュータ40は、電極部が水浸し状態であると判断すると、異常警報信号を出力する。
【0049】
(ステップS5)
マイクロコンピュータ40は、電極部は水浸しの状態でないことを検出すると、低周波の半周期毎に入力された最大電圧値と予め設定されている閾値と比較する。この閾値は、センサ部10に水滴が付着した場合に検出される最大の値よりも小さく、かつ、センサ部10に人体が接触した場合に検出される最大の値以上に設定され、本実施形態では閾値は3.75Vに設定されている。なお、センサ部10に人体が接触した場合、触れた人の体格等によって電圧検出部30の出力(最大電圧値)は多少変化するものの、閾値を上記のように設定することにより、センサ部10に人体が接触したことを確実に検出することができる。
【0050】
このマイクロコンピュータ40は、少なくとも2回連続して最大電圧値が閾値以下となったことを検出すると、人体がセンサ部10に接触の状態と判定する。すなわち、電極部に人体が接触すると、その期間、最大電圧値は4.0Vから3.7Vに変化し3.7Vで一定になるため、マイクロコンピュータ40は、最大電圧値が3.7Vで複数回連続して閾値以下であることを検出でき、人体がセンサ部10に接触の状態であると判定できる。
また、このマイクロコンピュータ40は、少なくとも2回連続して最大電圧値が閾値以下でないことを検知すると、人体がセンサ部10に非接触の状態と判定する。そして、マイクロコンピュータ40は、ステップS1に戻って通常の検知動作に戻る。
【0051】
(ステップS6)
マイクロコンピュータ40は、少なくとも2回連続して最大電圧値が閾値以下の場合、人体がセンサ部10に接触した状態と判断して、人体検知信号を出力する。
【0052】
以上のように、マイクロコンピュータ40は、低周波の半周期毎に入力された前記最大電圧値と予め設定されている判定値と比較し、前記最大電圧値が前記判定値以下となった後、直後に入力された前記最大電圧値が前記判定値よりも大きくなったことを検出することにより、前記電極部が水浸し状態であることを検出する。
そのため、第1実施形態の効果を有すると共に、電極部に多量の水滴が付着すると、電極部間の静電容量が多くなるため、低周波が電極部を通過しやすくなり、測定点Dには、低周波が多く重畳された電圧波形が現れる結果、電極部(センサ部)が水浸しの状態であることが検知できる。
【0053】
上述の低周波は156.25kHzとして説明したが、100kHzから500kHzの範囲であれば上述と同様の作用効果が得られる。低周波が100kHz未満であると、低周波が電極部を通過しにくくなり、電極部が水浸しの状態の時、高周波の段差波形が出にくい。また、低周波が500kHzを超えると、低周波が電極部を通過しやすくなるため段差波形が出やすくなり、電極部が水浸しのときの感度が低下する。よって、低周波は、100kHzから500kHzの範囲であることが好ましい。
また、上述の高周波は10MHzとして説明したが、1MHzから30MHzの範囲であれば上述と同様の作用効果が得られる。高周波が1MHz未満または30MHzを超える高周波では、人体が電極に接触したときの検出感度が低下してしまう。よって、高周波は、1MHzから30MHzの範囲であることが好ましい。
【0054】
以上の説明では、屋外で使用される車両用の人体検知装置について説明してきたが、屋外で使用される住宅用のインターンホーンの人体検知装置にも適用できる。
また、以上の説明では、電極部Aに対し人体が接触したり雨滴が付着したりしたことを説明したが、電極部Bも同様に作用するものである。
また、以上の説明では、センサ部10に人体が非接触、水滴が未付着の通常状態の時、測定点Dにおける電圧波形は、低周波の成分がほとんど現れず最大電圧値がほぼ一定となっているが、測定点Dにおける電圧波形に若干の段差があっても適用できるものである。
【符号の説明】
【0055】
1 人体検知装置
10 センサ部
11 絶縁体
20 発振部
21 発振器
22 第一分周器
23 第二分周器
24 第一抵抗
25 第二抵抗
30 電圧検出部
40 マイクロコンピュータ
A 電極部(一方の電極部)
B 電極部(他方の電極部)
















【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の接触を検出する人体検知装置であって、
絶縁体を挟む一対の電極部と、
一方の前記電極部に抵抗を介して高周波を印加すると共に、他方の前記電極部に低周波を印加する発振部と、
一方の前記電極部と前記抵抗の間の電圧波形の変化から、人体が前記電極部に接触したことを判定するマイクロコンピュータを備えることを特徴とする人体検知装置。
【請求項2】
前記電圧波形は、最大電圧値であることを特徴とする請求項1に記載の人体検知装置。
【請求項3】
前記マイクロコンピュータは、前記低周波の半周期毎に入力された前記最大電圧値と予め設定されている判定値と比較し、前記最大電圧値が前記判定値以下となった後、直後に入力された前記最大電圧値が前記判定値よりも大きくなったことを検出することにより、前記電極部が水浸し状態であることを検出することを特徴とする請求項2に記載の人体検知装置。






















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−105112(P2012−105112A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252484(P2010−252484)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000220125)東京パーツ工業株式会社 (122)
【Fターム(参考)】