人工動静脈瘻を確立するための装置および方法
【課題】改良された血管内コネクタを提供する。
【解決手段】慢性閉塞性肺疾患を処置するための大動脈および下大動脈移植用シャントリベット、ならびに慢性閉塞性肺疾患処置方法を提供する。本発明の血管内コネクタは、少なくとも1つの第1の対のクリンチ部材であって、第1の血管と第2の血管との隣り合う部分に対し縦方向に配置される配備構成を有し、該第1および第2の血管の隣り合う平行部で閉じるように該第1の対のクリンチ部材が付勢されている、少なくとも1つの第1の対のクリンチ部材と、少なくとも1つの第2の対のクリンチ部材であって、該第1の対に対し横切った配備構成を有し、該第1および第2の血管の側壁の円周方向に離れた点にわずかな圧力を及ぼすように該第2の対のクリンチ部材が付勢されている、少なくとも1つの第2の対のクリンチ部材とを含む。
【解決手段】慢性閉塞性肺疾患を処置するための大動脈および下大動脈移植用シャントリベット、ならびに慢性閉塞性肺疾患処置方法を提供する。本発明の血管内コネクタは、少なくとも1つの第1の対のクリンチ部材であって、第1の血管と第2の血管との隣り合う部分に対し縦方向に配置される配備構成を有し、該第1および第2の血管の隣り合う平行部で閉じるように該第1の対のクリンチ部材が付勢されている、少なくとも1つの第1の対のクリンチ部材と、少なくとも1つの第2の対のクリンチ部材であって、該第1の対に対し横切った配備構成を有し、該第1および第2の血管の側壁の円周方向に離れた点にわずかな圧力を及ぼすように該第2の対のクリンチ部材が付勢されている、少なくとも1つの第2の対のクリンチ部材とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許出願第10/927,704号(2004年8月27日出願)の一部継続出願である。
【0002】
(発明の技術分野)
後述の本発明は、肺高血圧症の処置および血管手術に関する。
【背景技術】
【0003】
慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease;COPD)、慢性酸素欠乏、高血圧、左心室肥大、および肺高血圧症は、心肺系の疾患である。慢性気管支炎および肺気腫を含む慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、喫煙によって主に生じる緩徐進行性肺疾患である。COPDでは、肺が損傷を受けて、気道が部分的に閉塞され、呼吸が困難になり、肺機能が徐々に失われる。COPDの症状として、慢性咳、喀痰産生増多、低血中酸素濃度、および生活に支障が及ぶような重度の息切れを含む。COPDは、米国における死因の第4位である。慢性低酸素症(体内の適正な血流量にもかかわらず、体内への酸素供給量が減少)、高血圧、および左心室肥大は、COPDの症状を示す、またはCOPDを併発し得る、関連病状である。
【0004】
これらの深刻な病状は、多くの人々に影響を及ぼすが、その主な処置は、単なる改善処置に過ぎない。COPDの主な処置として、タバコの煙および呼吸酸素補給等の刺激物の回避を含む。COPDの進行症例では、肺容量減少手術が時として行われるが、有用であるかは明白ではない。COPDの既知の治療法はない。
【0005】
大動静脈瘻(Aortocaval Fistula;ACF)は、突発性(症例の80%)、腹部大動脈瘤に類縁、または椎間板手術等のある外傷の結果のうちのいずれかであり得る稀な病態である。現在、手術、場合によっては、大動脈へのステントグラフト移植による治療には欠陥があると考えられている。
【0006】
この見解に反して、意図的に形成された大動静脈瘻は、COPDに対する実行可能な処置であると考えられる。近年、Implantable Arteriovenous Shunt Deviceという名称で、John L. Faul、Toshihiko Nishimura、Peter N. Kao & Ronald G. Pearlを発明者として、2004年4月6日に出願された我々の同時係属米国特許出願第10/820,169号(弁理士整理番号S03−013/US)(参照することによって、全体として本願に援用される)において、本発明者ら、COPDの処置として、人工大動静脈瘻の生成を提案し、瘻の生成方法および大動静脈瘻を維持するための移植可能シャントを開示している。
【0007】
血管を接続するためのシャントまたはステントは、冠動脈疾患の処置のために提案されてきた。Makowerは(Device, System And Method For Interstitial Transvascular Intervention、特許文献1(2004年6月8日)(1998年10月28日出願))において、冠状動脈および隣接して平行する冠状静脈の厚さに及ぶ短い管状部分を有するステントを開示している。このステントは、ステントの片側に「クローバ」を含み、これらのクローバは、半径方向外向きに折曲し、血管壁を通るステントの動きを妨げる。ステントの近位端上の2つのクローバは、ステントの遠位端上の2つのクローバに対し直角(ステントの半径断面に対し)であり、相互接続ワイヤは、装置の縦軸に対し平行である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,746,464号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
後述の装置および方法は、COPD、高血圧、左心室肥大、および慢性酸素欠乏の処置を提供する。患者の大動脈および下大動脈(あるいは、大腿動脈および大腿静脈、または頸動脈および頸静脈等の他の動脈およびその付随静脈)の隣り合う点を拘持し、大動脈から大静脈への開流路を維持する役割を果たす、血管シャントリベットが開示される。本装置は、2つの近接する血管壁を保持するリベットとして、および一方の血管から他方への流れを可能にし、さらに維持するシャントとして機能する。本装置は、肺高血圧症、COPD、および慢性酸素欠乏の処置として、大動脈と下大動脈との間に移植される。
【0010】
シャントリベットは、所望の移植部位への経皮送達および設置用に適合された拡張可能ワイヤフレーム構造の形態で提供される。ワイヤフレーム構造は、送達カテーテルの遠位先端内に適合するように、小径構成に圧縮されてもよい。カテーテルからの放出に応じて、ワイヤフレーム構造は、弾性的または擬弾性的に、それぞれの端部に拡張頭部を有する管を備える貫流リベットに拡張する。大動脈および大静脈壁を貫通して形成された人工瘻内で解放されると、リベットは拡張し、2つの拡張頭部間の壁を捕捉する。2つの拡張頭部間の管状部分は、弾性的に拡張してもよく、また、バルーン拡張、または別様に塑性的に変形し、管状部分の貫流内腔を拡大してもよい。
例えば、本願発明は以下を提供する。
(項目1)
少なくとも1つの第1の対のクリンチ部材であって、第1の血管と第2の血管との隣り合う部分に対し縦方向に配置される配備構成を有し、上記第1および第2の血管の隣り合う平行部で閉じるように上記第1の対のクリンチ部材が付勢されている、少なくとも1つの第1の対のクリンチ部材と、
少なくとも1つの第2の対のクリンチ部材であって、上記第1の対に対し横切った配備構成を有し、上記第1および第2の血管の側壁の円周方向に離れた点にわずかな圧力を及ぼすように上記第2の対のクリンチ部材が付勢されている、少なくとも1つの第2の対のクリンチ部材と
を含む、血管内コネクタ。
(項目2)
各クリンチ部材は、上記クリンチ部材に沿ったスリットを画定し、上記コネクタが半径方向に拡張されると、上記スリット付近で上記クリンチ部材の半径方向変形が生じる、項目1に記載のコネクタ。
(項目3)
その配備構成で解放されると、各並置されるクリンチ部材の遠位部が互いに近接するように、上記第1の対のクリンチ部材が外転するように付勢されている、項目1に記載のコネクタ。
(項目4)
各並置されるクリンチ部材の上記遠位部は、上記第1および第2の血管への影響のために、上記クリンチ部材の間に非侵襲性座面を形成するように構成される、項目3に記載のコネクタ。
(項目5)
上記第1の対のクリンチ部材は、介在胴部が無い連続的に形成されたクリップを含む、項目1に記載のコネクタ。
(項目6)
上記第2の対のクリンチ部材は、上記第1の対のクリンチ部材に対し角度を成す、項目1に記載のコネクタ。
(項目7)
上記第1の血管は、動脈を含む、項目1に記載のコネクタ。
(項目8)
動脈内に配置される上記第1および第2の対のクリンチ部材は、上記動脈内で上流方向、すなわち逆行方向へ傾斜する、項目7に記載のコネクタ。
(項目9)
上記第2の血管は、静脈を含む、項目1に記載のコネクタ。
(項目10)
上記静脈内に配置される上記第1および第2の対のクリンチ部材は、上記静脈内で上流方向、すなわち逆行方向へ傾斜する、項目9に記載のコネクタ。
(項目11)
上記第2の対のクリンチ部材は、上記第1と第2の血管との間に僅かなコンプライアンスミスマッチを構築するように付勢される、項目1に記載のコネクタ。
(項目12)
上記第2の対のクリンチ部材はそれぞれ、上記配備構成において互いに離れた遠位部を画定する、項目1に記載のコネクタ。
(項目13)
上記第2の対のクリンチ部材は、介在胴部が無い連続的に形成されたクリップを含む、項目1に記載のコネクタ。
(項目14)
上記第2の対のクリンチ部材は、上記コネクタに対し外向きに弧を描く遠位部を有する弧状または弓状の形を形成する、項目13に記載のコネクタ。
(項目15)
上記第2の対のクリンチ部材は、上記第1および第2の血管への影響のために、上記第2の対のクリンチ部材の間に非侵襲性座面を形成するように構成される、項目13に記載のコネクタ。
(項目16)
少なくとも部分的に上記コネクタを覆う治療剤の被覆または膜をさらに含む、項目1に記載のコネクタ。
(項目17)
第1の血管と第2の血管との隣り合う部分に対し縦方向に配置された配備構成を有する少なくとも1対のクリップと、
少なくとも1対の引張バネであって、上記対のクリップに対し横切った配備構成を有し、上記引張バネが少なくとも部分的に上記第1および第2の血管内に延びる、少なくとも1対の引張バネと
を含み、
上記クリップおよび引張バネの配列は、開流路が上記第1と第2の血管との間に維持されるように上記クリップと引張バネとの間に開口部を画定する、血管内コネクタ。
(項目18)
上記対のクリップは、上記第1および第2の血管の隣り合う平行部で閉じるように付勢されている、項目17に記載のコネクタ。
(項目19)
各クリップ部材の遠位部は、上記第1および第2の血管への影響のために、非侵襲性座面を形成する、項目17に記載のコネクタ。
(項目20)
上記クリップは、介在胴部が無く連続的に形成された部材から成る、項目17に記載のコネクタ。
(項目21)
各引張バネの遠位部は、上記第1および第2の血管への影響のために、非侵襲性座面を形成する、項目17に記載のコネクタ。
(項目22)
上記引張バネは、介在胴部が無く連続的に形成された部材から成る、項目20に記載のコネクタ。
(項目23)
上記引張バネは、それぞれ第1および第2の血管の側壁の円周方向に離れた点にわずかな圧力を加えるように付勢されている、項目17に記載のコネクタ。
(項目24)
上記コネクタは、互いに対し外向きに位置決めされた少なくとも2対のクリップを含む、項目17に記載のコネクタ。
(項目25)
互いに対し外向きに配置された少なくとも2対の引張バネをさらに含む、項目24に記載のコネクタ。
(項目26)
上記対のクリップおよび対の引張バネは、円形配列に位置決めされ、各クリップまたは引張バネの閉口端は、各クリップまたは引張バネの開口端が上記円形配列から外向きに向くように、隣り合うクリップまたは引張バネの閉口端に固定される、項目25に記載のコネクタ。
(項目27)
上記対のクリップおよび対の引張バネは、交互に配列される、項目26に記載のコネクタ。
(項目28)
上記対のクリップおよび対の引張バネは、上記円形配列において、互いに30度〜90度離れている、項目26に記載のコネクタ。
(項目29)
各クリップの先端部は、上記開口部から縦方向に離れた第1または第2の血管内の点で閉じる、項目17に記載のコネクタ。
(項目30)
少なくとも部分的に上記コネクタを覆う治療剤の被覆または膜をさらに含む、項目17に記載のコネクタ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、シャントリベットを設置し、人工大動静脈瘻を生成および維持するための方法を示す。
【図2】図2は、拘束状態における、大動静脈シャントリベットを示す。
【図3】図3は、弾性的に拡張された構成における、大動静脈シャントリベットを示す。
【図4】図4は、弾性的に拡張された構成における、図2の大動静脈シャントリベットの斜視図である。
【図5】図5は、完全に拡張された構成における、図2の大動静脈シャントリベットを示す。
【図6】図6は、図2の大動静脈シャントリベットの配備を示す。
【図7】図7は、図2の大動静脈シャントリベットの配備を示す。
【図8】図8は、図2の大動静脈シャントリベットの配備を示す。
【図9】図9は、図2の大動静脈シャントリベットの配備を示す。
【図10】図10は、図2の大動静脈シャントリベットの配備を示す。
【図11】図11は、図2の大動静脈シャントリベットの配備を示す。
【図12】図12は、非対称的に成形された遠位および近位フランジを有する、大動静脈シャントリベットを示す。
【図13】図13は、非対称的に成形された遠位および近位フランジを有する、大動静脈シャントリベットを示す。
【図14】図14は、拡張時に、中心部分にダイヤモンド形セルを形成するシャント部材を有する、大動静脈シャントリベットを示す。
【図15】図15は、拡張時に、中心部分にダイヤモンド形セルを形成するシャント部材を有する、大動静脈シャントリベットを示す。
【図16】図16は、拡張時に、中心部分にダイヤモンド形セルを形成するシャント部材を有する、大動静脈シャントリベットを示す。
【図17】図17は、単一ワイヤで巻かれた状態で形成され、装置を形成する、大動静脈シャントリベットを示す。
【図18】図18は、単一ワイヤで巻かれた状態で形成され、装置を形成する、大動静脈シャントリベットを示す。
【図19】図19クリンチ部材の詳細であり、シャントリベット上に放射線不透過性マーカを示す。
【図20】図20は、シャントリベットの形成および鍛錬/熱処理に有用なマンドレルを示す。
【図21】図21は、シャントリベットの形成および鍛錬/熱処理に有用なマンドレルを示す。
【図22】図22は、シャントリベットの斜視図であり、隣り合う血管の接触平行部で閉じるように付勢される一方、隣り合う血管の側壁上の円周方向に離間した点に軽度の圧力を印加する一対のクリンチ部材を提供するために、クリンチ部材は付勢される。
【図23】図23は、シャントリベット22の側面図であり、縦方向に配向されたクリンチ部材の実質的閉鎖を示す。
【図24】図24は、シャントリベット22の側面図であり、装置の軸に対し横方向に配向されたクリンチ部材の好ましい角度を示す。
【図25】図25は、図22のシャントリベットの側面図であり、横方向に配向されたクリンチを示す。
【図26】図26は、動脈と静脈との間に設置された図22から25のシャントリベットであり、使用環境に対する装置の構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、シャントリベットを設置し、人工大動静脈瘻を生成および維持するための方法を示す。患者1は、左大腿動脈/外側大腿動脈3Lに挿入され、左総腸骨動脈4Lを通り遠位腹部大動脈5の大動脈/腸骨分岐部のすぐ上の点まで、上方へ押された送達カテーテル2を有する状態で示されている。下大動脈6は、大動脈と並走し、典型的には、大動脈と隣接している。図示されるように、左大腿動脈は、腹部大動脈内の人工大動静脈瘻7の好適な部位に対し略直線の通路を提供する(右大腿静脈9Rもまた、大静脈側の同一部位に対し直線通路を提供し、さらにアクセス通路として使用してもよい)。瘻は、すぐ隣り合う部位に、大動脈と大静脈の両方の壁を貫通する小孔または細隙を形成することによって生成され、後述のシャントリベット8を挿入することによって維持される。また、本装置は、左大腿静脈9Lを通る経路を介して、あるいは右大腿動脈3Rおよび/または右総腸骨動脈4Rを通して移植されてもよいが、これらの通路は、容易に操作可能とは考えられない。また、シャントリベットは、要素10Rおよび10Lとして示される、体の一方の側の大腿静脈と大腿動脈との間、または腸骨動脈と大腿静脈との間に形成される人工動静脈瘻内、および腎動脈より上の大動脈内の位置に設置されてもよい。
【0013】
図2は、拘束状態における、大動静脈シャントリベット8を示し、図3は、弾性的に拡張された構成における、図2の大動静脈シャントリベットを示す。シャントリベットは、ニチノール、バネ鋼、ガラス、炭素複合材、またはポリマー等の弾力材、あるいはニチノールまたは同等合金およびポリマー等の擬弾性(体温時)材の単一管11から、管長に沿っていくつかの閉口溝12をレーザ削成し(管の最遠位および最近位の端はそのまま残す)、管の縦方向中心から管の遠位および近位端まで開口溝13を削成することによって、形成してもよい。開口溝は、閉口溝の各対間に削成され、胴部15によって中心部分で結合されるいくつかのループ14を形成する。これらの図に示されるシャントリベットは、胴部で溶着されたワイヤのいくつかのループから、および多くの他の加工技術から作製可能であるが、図示されるような単一管からの製造が便利である。
【0014】
上述のように管を削成後、図3に図示されるように、最終的に弾性的に拡張される構成に形成される。本構成では、ループは、中心部分から半径方向外向きに方向を変え、さらに中心部分の中心平面へ外転し、したがって、胴部15によって形成される略管状中心部分から延在するループの片端に、弓状の外転花弁状フレームの形態でクリンチ部材16を形成する。明確にするために、本明細書で使用される「外転」とは、花弁状フレームの弧が、図2で構成されるような装置内面が管によって構築される円筒形から半径方向外向きに向くようなものであることを意味する。図4は、弾性的に拡張された構成における、図3に図示されるシャントリベットの斜視図であり、シャントリベットの各端部におけるいくつかの花弁状フレーム間の関係をより明確に示す。
【0015】
図5は、完全に拡張された構成における、図2の大動静脈シャントリベットの側面図を示す。大動脈および大静脈壁へのその作用を考慮して可能な範囲内で、装置が弾性的に拡張された後でも、中心部分は、塑性変形によってさらに拡張されてもよい。これは、中心部分内でバルーンを膨らませ、さらにバルーンを膨張させ、その弾性または超弾性変形範囲を超えて中心部分を拡張させることによって、達成され得る。シャントリベットの中心部分を塑性的に変形することによって、中心部分は、より硬くなり、大動脈および大静脈壁の圧縮力に耐えることが可能となる。
【0016】
図示されるように、本構造は、縦方向に対向し(すなわち、互いに近接するように屈曲し、接触する場合もあるが、必ずしもそうではない)、整合される(同一縦線に沿って設置される)遠位および近位花弁状のいくつかの対を提供する。概して、遠位部分の花弁状フレームは、大静脈壁に作用し、大動脈内への放出を防ぐ、「花冠」(花の花冠に類似)フランジまたはリベットクリンチを形成し、近位部分の花弁状フレームは、大動脈壁に作用し、大静脈へのシャントリベットの放出を防ぐ、花冠、フランジ、またはリベットクリンチ(このクリンチは、リベット頭部に類似するが、リベット頭部はリベット挿入後にクリンチのように形成される)を形成し、中心部分17は、硬い短管を形成し、瘻を開通状態に保つ。このように形成された2つの遠位および近位フランジまたは花冠の弾性的な並置は、大動脈および大静脈壁を弾性的に挟持することによって、シャントリベットを定位置に拘持することになる(相当な壁厚範囲または「把持範囲」を超える場合でも)。
【0017】
図2から5を参照すると、シャントリベットは、約8〜10mmの初期全長Lを有して製造され得、約3mmの把持範囲G(標的部位における典型的大動脈壁厚2mmおよび典型的下大動脈壁厚1mmを考慮して)、少なくとも約3mmのクリンチ許容長C(クリンチ許容長は、反転、カール、または平坦化され、定形の頭部を形成する、リベットの遠位突起部である)、約10〜16mmの定形または隠れ頭部許容長A(接合部の隠れた側に形成される頭部である、遠位頭部を称するために隠れ頭部という用語を用いる)、5〜16mmの頭部直径H、3〜8mmの初期軸部直径D1(弾性的に拡張された構成では、塑性変形前)、直径約5〜10mmの貫流内腔を生成するための5〜12mmの最終軸部直径D2を得る。シャントリベットの把持力は、介在する血管壁への対向するクリンチ部材によって加えられる軽度の圧縮力を提供すべきである。したがって、シャントリベットは、弾性的に拡張された構成において、予期される厚さの介在血管に応じて、クリンチ部材ごとに0.1〜1.5oz(約3〜45グラム重量)の範囲の把持力を産み出すように形成される。
【0018】
図6から11は、遠位クリンチ部材が大静脈内で解放され、近位クリンチ部材が大動脈内で解放されるように、シャントリベットを解放する方法を示す。送達カテーテルの挿入に先立って、移植を行う執刀医は、適切な蛍光透視鏡、超音波、または他の撮像方法で大動脈および下大動脈を撮像し、横断するカテーテルによって血管壁内にパイロット孔を生成するであろう。図6に示されるように、シャントリベットは、送達カテーテル23の遠位先端内に収納され、送達カテーテル内で完全に拘束される。送達カテーテルは、外側シース24と、外側シース内で縦方向に摺動可能なシャフト25と、シャフト上に配置される先細または円形先端部26とを含む。先細部は、調製開口部に押入される一方、大動脈に留まる装置の残留部を拘持するように、シャフト25内に摺動可能に配置される別個のシャフト上に取り付けられてもよい。外側シースの遠位端もまた、図示されるように、円形または先細であってもよい。シャントリベットの直ぐ近位にあるシャフト上の遠位方向に向く肩部27は、外側シースが撤収されると、シャントリベットを縦方向の定位置に保つ役割を果たす。ガイドワイヤ内腔28が、ガイドワイヤ29の使用のためにシャフト内に提供されてもよく、またオーバー・ザ・ワイヤ式操作用にシャフト近位端まで延出してもよく、あるいはモノレール式ガイドワイヤ操作用にシャントリベットを保持する区画の直ぐ近位のシャフトから出てもよく、さらに他のガイドワイヤ構成を使用してもよい。バルーン30は、シャフト上に配置されてもよい(さらに、好適なバルーン膨張内腔がシャフト内に提供され、好適な空気圧源が内腔と流体連通する)。
【0019】
図7に示されるように、送達カテーテルの遠位先端は、大動脈および大静脈(要素31および32)壁内の小開口部に押入され(開口部は、別個または統合型穿孔機、針、あるいはランセットを使用して、オペレータによって形成される)、人工大動静脈瘻を生成する。図8に示されるように、遠位先端を大静脈に内挿後、外側シースが近位方向に引かれ、遠位花弁状部を解放する。遠位花弁状部がその非拘束構成に戻った後、装置全体が近位方向に引かれ、大静脈の内壁に対し遠位花弁状部を着座させる。シャントリベットの完全な解放に先立って、オペレータは、その位置が許容範囲にあるか確認すべきである(任意の好適な撮像技術を使用してもよい)。シャントリベットを再配置しなければならない場合に格納可能なように、フック33は、シャフト25から半径方向に突出し、シャントリベットのループを貫通する。これによって、シャントリベットの完全な解放に先立って可視化された際に、その位置が望ましくない場合、オペレータが、シャントリベットを外側シース内に後退させ得るように、外側シースが近位方向に移動され、近位クリンチ部材を解放するまで、シャントリベットは、外側シース24内に捕捉および固定される。弾性またはバネ式戻り止め、シャントリベットのループを係合する格納式爪、または外側シースから内向きに延在する格納式フック等の任意の他の拘持手段が、図示されるフックの定位置において使用されてもよい。
【0020】
次いで、図9に示されるように、外側シースがさらに近位方向に引かれ、近位花弁状部を解放する。人工瘻内へのシャントリベットのしっかりとした設置に関し、図10に示されるように、中心部分が、次いで、バルーンを膨張させることによって拡張されてもよい。図11に示されるように、シャフトの撤収によって、シャントリベットは、定位置に留まり、2つの血管壁内の穿孔を互いに並列に保ち、瘻を維持し、さらに大動脈と大静脈との間のシャント開口路を維持する。
【0021】
上述の説明によると、シャントリベットの最終形態は、第1の直径を備える中心部分と、1つ以上のクリンチ部材によって画定される近位クリンチ部分と、1つ以上のクリンチ部材によって画定される遠位クリンチ部分とを有する略管状構造を形成し、近位および遠位クリンチ部材を鍛錬し、中心部分から半径方向外向きに曲げるように弾性的に付勢するステップと、次いで、略管状形状を維持するように管状構造を弾性的に圧縮し、体内への経皮挿入に好適な圧縮構成に圧縮管状構造を拘束するステップと、遠位クリンチ部材が患者の大静脈内に突出し、中心部分が開口部内に配置されるように、患者の大動脈壁および大静脈壁の並置開口部に本構造を挿入するステップと、次いで、遠位クリンチ部材を解放し、遠位クリンチ部材を弾性拡張させた後、中心部分を塑性変形によって大径へ拡張し、近位クリンチ部材を解放し、近位クリンチ部材を弾性拡張させるステップ(近位クリンチ部材は、中心部分の拡張前または後に解放してもよい)とを含む、方法によって達成される。
【0022】
上述のシャントリベットは、非対称的に成形された遠位および近位フランジを備える大動静脈シャントリベットを示す、図12および13に示されるように修正されてもよい。図12では、シャントリベット35は、図2から4のシャントリベットに類似しており、中心部分と、複数の花弁状ワイヤフレーム部材16dから成る遠位フランジと、複数の花弁状ワイヤフレーム部材16dから成る近位フランジとを含む。本実施形態では、遠位花冠は、外転せずに(近位方向に実質的弧を有さずに)、外向きに弧を描く花弁状部を有する、角状、「高盆状」または「漏斗状」(これらの用語は、植物学で使用される)であり、近位花冠は、外向きに弧を描き、遠位方向に実質的弧を有して外転する、花被状である。各花弁状部は、キクラミネウス水仙の花被のように著しく反り返っている。図13は、非対称的に成形された遠位および近位フランジを備える、大動静脈シャントリベットの別の実施形態を示す。図13では、血管壁への作用のために、近位花弁状部が、花弁状部の先端部よりもむしろある長さのワイヤ37を提供するために、先端36に向かって半径方向に内向きに屈曲するように、非常に反り返り、180°を超える弧、好ましくは、図示されるように、約270°を超える弧を有するピグテールを形成するように外転する。遠位または近位花弁状部/クリンチ部材の一方または両方を修正し、図13に図示されるピグテールを形成してもよい。図示される実施形態では、花弁状部は、合弁(少なくとも基部において、その縁によって合体される花弁を有する(図2以下参照))であるが、以下図14、15、および16に示されるように、多弁であってもよい。また、本実施形態は、放射相称を示すが、非対称花弁状部を有する左右相称様に構築されてもよい。
【0023】
図14、15、および16は、中心部分にダイヤモンド形に成形された支柱部材を有する、大動静脈シャントリベット8を示す。このシャントリベットは、円周方向に配向された支柱38によって結合される一連の拡張可能ループを有する、中心部分17を提供する。図14は、その中に削成され、図16に示されるシャントリベットを形成する、多数の溝を有する管11を示す。溝12は、閉口溝であり、中心部分17から延在し、クリンチ部材セル39を形成するループ14を残す。溝40は、装置中心から延在する開口または閉口溝であり、装置の隣接セルを接続する小さな環状支柱41を残す。溝42は、装置中心部分から延在する開口または閉口溝であり、環状支柱と装置の隣接クリンチ部材セルを接続する大きな腰部43を残す。溝44は、腰部の中の閉口溝である。図15に示されるように、図14に示される腰領域の一部(除去することを意図した区画)46は、切除および廃棄され、環状支柱38によって相互接続される拡張可能腰部セル47およびクリンチセル39を残す。本装置は、各端部上に3つのクリンチ部材を有して図示されるが、シャントリベット内に形成されるクリンチ部材の数は、変更されてもよい。腰部セルおよびクリンチ部材セルは、48に示されるように、隣接セルを画定する支柱を共有可能である。図16に示されるように、腰部セルは、拡張時、中心部分のダイヤモンド形セルを形成する。クリンチ部材セルは、腎臓形または円形よりもむしろ、皮針形(頂点に向かって狭く、先細になる(頂点は、好ましくは鈍角である))、または卵形(基部は幅広く、先端が狭い)として記載され得る、花弁状セルを含む。花弁状先端部は、好ましくは、鈍頭、円形、または丸みがある。図16から理解され得るように、クリンチ部材もまた、隣り合う腰部セルの先端を縦方向に接続する縦方向に延在するワイヤとして、記載され得る。
【0024】
図17および18は、単一ワイヤで巻かれた状態で形成され、装置を形成する、大動静脈シャントリベット51を示す。本装置では、単一ワイヤは、特別に形成されたマンドレル周囲に巻かれ、装置の一端にいくつかのクリンチ部材52を、装置の他端にいくつかのクリンチ部材53を形成する。図示されるように、各クリンチ部材は、装置の半径に対し傾斜し、装置の胴部を形成するワイヤもまた、装置の経線に対し斜めになっている。上部から見ると、各クリンチ部材は、略円弧から成り、ワイヤは、弧から装置の反対端へ縦方向に続き、前の弧から離れて円周方向に弧を描き反対端にクリンチ部材を形成するまで、装置の長軸に略平行に延設する直線胴部54を形成し、その後、円周に対し逆行して延在するようにループの形をとり、長軸に対し斜めに延設する胴部55を形成し、円周方向に前方に再び湾曲し、第1のループと円周方向に隣接し、シャントリベット反対端の直前に形成されたクリンチ部材に縦方向に一致した、次のクリンチ部材のループを形成するまで、装置の第1の端部へ戻り、装置の管状構造全体が達成されるまで、同様に継続する。その経路を辿る際に、ワイヤは、1つ以上の他のワイヤ部と交差してもよい。
【0025】
図19は、クリンチ部材の詳細であり、シャントリベット上に放射線不透過性マーカを示す。放射線不透過性マーカは、クリンチ部材16の先端部近傍に配置される放射線不透過性リベット61の形態で提供されてもよく、または放射線不透過性ワイヤまたは糸62の巻かれたコイルの形態で提供されてもよい。放射線不透過性マーカは、白金、イリジウム、タンタル、硫酸バリウム、または他の放射線不透過性材から成ってもよい。類似マーカもまた、腰部に適用してもよい。また、マーカ材は、超音波画像診断、磁気共鳴映像法、または他の好適な撮像技術下、可視性を向上させるために選択されてもよい。
【0026】
図20および21は、シャントリベットの形成および鍛錬/熱処理に有用なマンドレルまたは金型を示す。図20に示されるように、2部マンドレルは、遠位マンドレル部63および近位マンドレル部64を含む。各マンドレルは、成形され、シャントリベットおよびそのクリンチ部材の所望の最終形状に対応する。マンドレル部は、装置を変形するために削成された後、管内に挿入される。本装置が、熱処理または鍛錬される必要がある擬弾性材から形成される場合、マンドレルは、その所望の開放構成に装置を変更するように寸法がとられる。本装置がバネ鋼等から形成される場合、マンドレルは、所望の最終構成を超えてクリンチ部材を曲げるように寸法がとられる。したがって、図20のマンドレルおよび図21のマンドレルは、異なって成形されているが、ニチノールおよびバネ鋼から成る装置に対し、非常に類似した形状を形成するために使用され得る。マンドレル形状は、所望に応じて修正し、図12および13に示される非対称形状等の種々のクリンチ部材形状を達成してもよい。
【0027】
シャントリベットは、図22から25に示されるように、修正されてもよい。図22は、シャントリベット65の斜視図であり、隣り合う血管の隣接平行部で閉鎖するように付勢された一対のクリンチ部材66aおよび66vと、隣接血管の側壁上の円周方向に離間した点に軽度の圧力を加え、僅かなコンプライアンスミスマッチを構築するように付勢された一対のクリンチ部材67aおよび67vと、を提供するようにクリンチ部材は付勢される。各クリンチ部材は、中心に沿って細隙が入れられ、クリンチ部材の半径方向変形を通して、装置の半径方向への拡張を可能にする。
【0028】
図23は、図22のシャントリベットの側面図であり、縦方向に配向されたクリンチ部材66aおよび66vの実質的閉鎖を示す。開放される際に、対向するクリンチ部材66aおよび66vの先端が互いに近接するように、これらのクリンチ部材は、外転するように形成される(拡張された構成で示される)。各クリンチ部材の遠位先端にある小区画は、装置の横断正中線68から逸れ、血管壁上への作用のための非侵襲性座面を形成する。図示されるように、クリンチ部材66aおよび66vは、クリップの動脈部とクリップの静脈部との間に介在胴部を有さず、連続的に形成されたクリップを含む。クリップは、本用語が他の技術分野で使用されるような、ツールクリップに類似する。好ましくは、ツールクリップを構成するクリンチ部材は、直線的介在基部を有さず、直接継合され(所望に応じて、直線的基部を組み込み、特定の部位における動静脈瘻の生体構造を収容してもよい)、遠位クリンチ部材から近位クリンチ部材まで、円滑な弓状移行を生成する。図24は、シャントリベット22の側面図であり、装置の軸70に対し横方向に配向されたクリンチ部材67aおよび67vの好ましい角度を示す。本実施形態では、横方向に配向されたクリンチ部材67aおよび67v(本図では、近傍対と遠方対の両方が見える)は、軸70から小角度で設定される。非拘束構成では、装置の動脈側上のクリンチ部材67a(典型的には、経静脈送達を優先することを考慮して、カテーテルから開放される装置の第1の側面)は、上流または逆行方向へ傾斜する。装置の静脈側上のクリンチ部材67vは、静脈内の上流または逆行方向へ傾斜する。本構成によって、瘻へ挿入するために使用される小型の送達カテーテルからの装置の解放を容易にする。
【0029】
図25は、図22から24のシャントリベットの側面図であり、クリンチ部材の先端間に実質的間隔を有する、横方向に配向されたクリンチ部材67aおよび67bを示す(拡張された構成で示される)。また、クリンチ部材67aおよび67bは、引張バネの動脈部と引張バネの静脈部との間に介在胴部を有さずに、連続して形成された引張バネ(窓枠に使用される引張バネ状に実質的に成形され、弓状または弓形形状を有し、装置の軸中心線70から外向きに弧を描き、血管に作用または力を加えるように適合された端部と、固定されるシャントリベットの残留部に力を加えるように適合された弧の中央部とを備える)を構成し、該引張りバネは、ツールクリップの先端によってそれが達成されるように、反対側の先端69aおよび69vを並置するために動脈および/または静脈壁を変形せずに、リベット中心から円周方向に変位した点において、動脈または静脈の側壁に作用するように形成される。各クリンチ部材の遠位先端における小区画は、装置の軸中心線70から逸れ、血管壁上への作用のための非侵襲性座面を形成する。
【0030】
したがって、本装置は、その開放および非拘束状態において、その閉口端部で、該2つの平行引張バネに対し該引張バネの中点で固定された、2つの平行ツールクリップを備え、バネクリップと引張バネとが交互に直交または十字形のグループを生成するとして記載され得る。他の実施形態に使用される植物学用語を採用すると、装置の各側面は、外転せずに、装置の軸中心線から外向きに弧を描く一対の花弁状部(近位方向における実質的弧を有さずに)と、外向きに弧を描き、遠位方向に実質的弧を有して外転する一対の花弁状部とを含み、対応する花弁状構造は、介在胴部を有さずにそれらの近位端で結合される。各花弁状部は、開放フレームのV字形で形成される。一対のクリップおよび一対の引張バネを有して図示されるが、本装置は、特定の設置における局所的生体構造に応じて、追加引張バネまたはクリップを有して形成されてもよい。適切な生体構造上の状態において、本装置は、ツールクリップ構成内に4つのクリップ、または直交に配列された同等の外転花弁状対(すべてのクリンチ部材が、血管壁で閉じるように実質的に外転する)を備え、ツールクリップは円形配列に配置され、各ツールクリップの開口端が円形配列から外向きに向けられるように隣接クリップの閉口端に固定される。また、本装置は、追加弓状引張バネおよび/またはツールクリップ部を含み、したがって、図示される十字形構成から逸脱し、動静脈瘻からの血管接触端の実質的離間による効果を得てもよい。
【0031】
図26は、使用環境に対する装置の構造を示すための、動脈71と静脈72との間に設置された図22から25のシャントリベットである。装置の「ツールクリップ」部(66aおよび66b)の先端は、装置が載置される場所に形成された動静脈瘻から縦方向(血管に対し)に離間したそれぞれ血管内の点73aおよび73vで閉じる。作用点は、図示されるように、瘻から大幅に離間する。装置の引張バネ部67aおよび67v)の先端(は、円周方向に離間した点74aおよび74vに作用する。図26に示されるように、環状の作用点は、瘻から大幅に離間する。環状間隔は、好ましくは30°〜90°であるが、局部生体構造に適合するように調節されてもよい。このように、シャントリベットは、瘻に隣り合う血管の係合を回避する。本装置は、図22から25の非拘束形状に戻るように、弾性的または擬弾性的に付勢されるが、図26に示されるように、設置されたシャントリベットの最終形状は、血管壁に残る拘束力によって、非拘束形状から変化し得る。設置後、シャントリベットは、隣り合う動脈および静脈を共に保持し、クリップおよび引張バネの略円形配列によって画定される開口部を貫通する開流路を維持する。配列が、種々の部分の特定の形状を考慮し、略四角形、または角張った状態、五角形、六角形等である場合の完璧な円形配列からのそのような逸脱も、円形配列の説明下に内包されるものと意図される。
【0032】
上述の装置は、種々の治療用化合物の基質としての役割を果たす、被覆または追加構造が提供されてもよい。薬剤溶出被覆、追加薬剤溶出シャント部材、中心部分を包囲する薬剤溶出膜、または装置のセルを充填する薬剤溶出塊を、装置に添加してもよい。大動静脈用途および動静脈用途に対し、ヘパリン、他の抗凝固剤、パクリタキセル、ラパマイシン(SirolumisTM)、エベロリムス、および他の抗狭窄化合物等の治療剤は、移植後数時間から数ヶ月の一定期間にかけてこれらの薬剤を溶出させるポリマー基質で、ステントに適用することが可能である。ポリウレタン等のポリマーも、基質として使用可能である。
【0033】
本装置および方法の好ましい実施形態が、それらが開発された環境を参照して説明されたが、それらは、本発明の原理の例示に過ぎない。本発明の精神ならびに添付の請求項の範囲から逸脱することなく、他の実施形態および構成が考案されてもよい。
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許出願第10/927,704号(2004年8月27日出願)の一部継続出願である。
【0002】
(発明の技術分野)
後述の本発明は、肺高血圧症の処置および血管手術に関する。
【背景技術】
【0003】
慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease;COPD)、慢性酸素欠乏、高血圧、左心室肥大、および肺高血圧症は、心肺系の疾患である。慢性気管支炎および肺気腫を含む慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、喫煙によって主に生じる緩徐進行性肺疾患である。COPDでは、肺が損傷を受けて、気道が部分的に閉塞され、呼吸が困難になり、肺機能が徐々に失われる。COPDの症状として、慢性咳、喀痰産生増多、低血中酸素濃度、および生活に支障が及ぶような重度の息切れを含む。COPDは、米国における死因の第4位である。慢性低酸素症(体内の適正な血流量にもかかわらず、体内への酸素供給量が減少)、高血圧、および左心室肥大は、COPDの症状を示す、またはCOPDを併発し得る、関連病状である。
【0004】
これらの深刻な病状は、多くの人々に影響を及ぼすが、その主な処置は、単なる改善処置に過ぎない。COPDの主な処置として、タバコの煙および呼吸酸素補給等の刺激物の回避を含む。COPDの進行症例では、肺容量減少手術が時として行われるが、有用であるかは明白ではない。COPDの既知の治療法はない。
【0005】
大動静脈瘻(Aortocaval Fistula;ACF)は、突発性(症例の80%)、腹部大動脈瘤に類縁、または椎間板手術等のある外傷の結果のうちのいずれかであり得る稀な病態である。現在、手術、場合によっては、大動脈へのステントグラフト移植による治療には欠陥があると考えられている。
【0006】
この見解に反して、意図的に形成された大動静脈瘻は、COPDに対する実行可能な処置であると考えられる。近年、Implantable Arteriovenous Shunt Deviceという名称で、John L. Faul、Toshihiko Nishimura、Peter N. Kao & Ronald G. Pearlを発明者として、2004年4月6日に出願された我々の同時係属米国特許出願第10/820,169号(弁理士整理番号S03−013/US)(参照することによって、全体として本願に援用される)において、本発明者ら、COPDの処置として、人工大動静脈瘻の生成を提案し、瘻の生成方法および大動静脈瘻を維持するための移植可能シャントを開示している。
【0007】
血管を接続するためのシャントまたはステントは、冠動脈疾患の処置のために提案されてきた。Makowerは(Device, System And Method For Interstitial Transvascular Intervention、特許文献1(2004年6月8日)(1998年10月28日出願))において、冠状動脈および隣接して平行する冠状静脈の厚さに及ぶ短い管状部分を有するステントを開示している。このステントは、ステントの片側に「クローバ」を含み、これらのクローバは、半径方向外向きに折曲し、血管壁を通るステントの動きを妨げる。ステントの近位端上の2つのクローバは、ステントの遠位端上の2つのクローバに対し直角(ステントの半径断面に対し)であり、相互接続ワイヤは、装置の縦軸に対し平行である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,746,464号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
後述の装置および方法は、COPD、高血圧、左心室肥大、および慢性酸素欠乏の処置を提供する。患者の大動脈および下大動脈(あるいは、大腿動脈および大腿静脈、または頸動脈および頸静脈等の他の動脈およびその付随静脈)の隣り合う点を拘持し、大動脈から大静脈への開流路を維持する役割を果たす、血管シャントリベットが開示される。本装置は、2つの近接する血管壁を保持するリベットとして、および一方の血管から他方への流れを可能にし、さらに維持するシャントとして機能する。本装置は、肺高血圧症、COPD、および慢性酸素欠乏の処置として、大動脈と下大動脈との間に移植される。
【0010】
シャントリベットは、所望の移植部位への経皮送達および設置用に適合された拡張可能ワイヤフレーム構造の形態で提供される。ワイヤフレーム構造は、送達カテーテルの遠位先端内に適合するように、小径構成に圧縮されてもよい。カテーテルからの放出に応じて、ワイヤフレーム構造は、弾性的または擬弾性的に、それぞれの端部に拡張頭部を有する管を備える貫流リベットに拡張する。大動脈および大静脈壁を貫通して形成された人工瘻内で解放されると、リベットは拡張し、2つの拡張頭部間の壁を捕捉する。2つの拡張頭部間の管状部分は、弾性的に拡張してもよく、また、バルーン拡張、または別様に塑性的に変形し、管状部分の貫流内腔を拡大してもよい。
例えば、本願発明は以下を提供する。
(項目1)
少なくとも1つの第1の対のクリンチ部材であって、第1の血管と第2の血管との隣り合う部分に対し縦方向に配置される配備構成を有し、上記第1および第2の血管の隣り合う平行部で閉じるように上記第1の対のクリンチ部材が付勢されている、少なくとも1つの第1の対のクリンチ部材と、
少なくとも1つの第2の対のクリンチ部材であって、上記第1の対に対し横切った配備構成を有し、上記第1および第2の血管の側壁の円周方向に離れた点にわずかな圧力を及ぼすように上記第2の対のクリンチ部材が付勢されている、少なくとも1つの第2の対のクリンチ部材と
を含む、血管内コネクタ。
(項目2)
各クリンチ部材は、上記クリンチ部材に沿ったスリットを画定し、上記コネクタが半径方向に拡張されると、上記スリット付近で上記クリンチ部材の半径方向変形が生じる、項目1に記載のコネクタ。
(項目3)
その配備構成で解放されると、各並置されるクリンチ部材の遠位部が互いに近接するように、上記第1の対のクリンチ部材が外転するように付勢されている、項目1に記載のコネクタ。
(項目4)
各並置されるクリンチ部材の上記遠位部は、上記第1および第2の血管への影響のために、上記クリンチ部材の間に非侵襲性座面を形成するように構成される、項目3に記載のコネクタ。
(項目5)
上記第1の対のクリンチ部材は、介在胴部が無い連続的に形成されたクリップを含む、項目1に記載のコネクタ。
(項目6)
上記第2の対のクリンチ部材は、上記第1の対のクリンチ部材に対し角度を成す、項目1に記載のコネクタ。
(項目7)
上記第1の血管は、動脈を含む、項目1に記載のコネクタ。
(項目8)
動脈内に配置される上記第1および第2の対のクリンチ部材は、上記動脈内で上流方向、すなわち逆行方向へ傾斜する、項目7に記載のコネクタ。
(項目9)
上記第2の血管は、静脈を含む、項目1に記載のコネクタ。
(項目10)
上記静脈内に配置される上記第1および第2の対のクリンチ部材は、上記静脈内で上流方向、すなわち逆行方向へ傾斜する、項目9に記載のコネクタ。
(項目11)
上記第2の対のクリンチ部材は、上記第1と第2の血管との間に僅かなコンプライアンスミスマッチを構築するように付勢される、項目1に記載のコネクタ。
(項目12)
上記第2の対のクリンチ部材はそれぞれ、上記配備構成において互いに離れた遠位部を画定する、項目1に記載のコネクタ。
(項目13)
上記第2の対のクリンチ部材は、介在胴部が無い連続的に形成されたクリップを含む、項目1に記載のコネクタ。
(項目14)
上記第2の対のクリンチ部材は、上記コネクタに対し外向きに弧を描く遠位部を有する弧状または弓状の形を形成する、項目13に記載のコネクタ。
(項目15)
上記第2の対のクリンチ部材は、上記第1および第2の血管への影響のために、上記第2の対のクリンチ部材の間に非侵襲性座面を形成するように構成される、項目13に記載のコネクタ。
(項目16)
少なくとも部分的に上記コネクタを覆う治療剤の被覆または膜をさらに含む、項目1に記載のコネクタ。
(項目17)
第1の血管と第2の血管との隣り合う部分に対し縦方向に配置された配備構成を有する少なくとも1対のクリップと、
少なくとも1対の引張バネであって、上記対のクリップに対し横切った配備構成を有し、上記引張バネが少なくとも部分的に上記第1および第2の血管内に延びる、少なくとも1対の引張バネと
を含み、
上記クリップおよび引張バネの配列は、開流路が上記第1と第2の血管との間に維持されるように上記クリップと引張バネとの間に開口部を画定する、血管内コネクタ。
(項目18)
上記対のクリップは、上記第1および第2の血管の隣り合う平行部で閉じるように付勢されている、項目17に記載のコネクタ。
(項目19)
各クリップ部材の遠位部は、上記第1および第2の血管への影響のために、非侵襲性座面を形成する、項目17に記載のコネクタ。
(項目20)
上記クリップは、介在胴部が無く連続的に形成された部材から成る、項目17に記載のコネクタ。
(項目21)
各引張バネの遠位部は、上記第1および第2の血管への影響のために、非侵襲性座面を形成する、項目17に記載のコネクタ。
(項目22)
上記引張バネは、介在胴部が無く連続的に形成された部材から成る、項目20に記載のコネクタ。
(項目23)
上記引張バネは、それぞれ第1および第2の血管の側壁の円周方向に離れた点にわずかな圧力を加えるように付勢されている、項目17に記載のコネクタ。
(項目24)
上記コネクタは、互いに対し外向きに位置決めされた少なくとも2対のクリップを含む、項目17に記載のコネクタ。
(項目25)
互いに対し外向きに配置された少なくとも2対の引張バネをさらに含む、項目24に記載のコネクタ。
(項目26)
上記対のクリップおよび対の引張バネは、円形配列に位置決めされ、各クリップまたは引張バネの閉口端は、各クリップまたは引張バネの開口端が上記円形配列から外向きに向くように、隣り合うクリップまたは引張バネの閉口端に固定される、項目25に記載のコネクタ。
(項目27)
上記対のクリップおよび対の引張バネは、交互に配列される、項目26に記載のコネクタ。
(項目28)
上記対のクリップおよび対の引張バネは、上記円形配列において、互いに30度〜90度離れている、項目26に記載のコネクタ。
(項目29)
各クリップの先端部は、上記開口部から縦方向に離れた第1または第2の血管内の点で閉じる、項目17に記載のコネクタ。
(項目30)
少なくとも部分的に上記コネクタを覆う治療剤の被覆または膜をさらに含む、項目17に記載のコネクタ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、シャントリベットを設置し、人工大動静脈瘻を生成および維持するための方法を示す。
【図2】図2は、拘束状態における、大動静脈シャントリベットを示す。
【図3】図3は、弾性的に拡張された構成における、大動静脈シャントリベットを示す。
【図4】図4は、弾性的に拡張された構成における、図2の大動静脈シャントリベットの斜視図である。
【図5】図5は、完全に拡張された構成における、図2の大動静脈シャントリベットを示す。
【図6】図6は、図2の大動静脈シャントリベットの配備を示す。
【図7】図7は、図2の大動静脈シャントリベットの配備を示す。
【図8】図8は、図2の大動静脈シャントリベットの配備を示す。
【図9】図9は、図2の大動静脈シャントリベットの配備を示す。
【図10】図10は、図2の大動静脈シャントリベットの配備を示す。
【図11】図11は、図2の大動静脈シャントリベットの配備を示す。
【図12】図12は、非対称的に成形された遠位および近位フランジを有する、大動静脈シャントリベットを示す。
【図13】図13は、非対称的に成形された遠位および近位フランジを有する、大動静脈シャントリベットを示す。
【図14】図14は、拡張時に、中心部分にダイヤモンド形セルを形成するシャント部材を有する、大動静脈シャントリベットを示す。
【図15】図15は、拡張時に、中心部分にダイヤモンド形セルを形成するシャント部材を有する、大動静脈シャントリベットを示す。
【図16】図16は、拡張時に、中心部分にダイヤモンド形セルを形成するシャント部材を有する、大動静脈シャントリベットを示す。
【図17】図17は、単一ワイヤで巻かれた状態で形成され、装置を形成する、大動静脈シャントリベットを示す。
【図18】図18は、単一ワイヤで巻かれた状態で形成され、装置を形成する、大動静脈シャントリベットを示す。
【図19】図19クリンチ部材の詳細であり、シャントリベット上に放射線不透過性マーカを示す。
【図20】図20は、シャントリベットの形成および鍛錬/熱処理に有用なマンドレルを示す。
【図21】図21は、シャントリベットの形成および鍛錬/熱処理に有用なマンドレルを示す。
【図22】図22は、シャントリベットの斜視図であり、隣り合う血管の接触平行部で閉じるように付勢される一方、隣り合う血管の側壁上の円周方向に離間した点に軽度の圧力を印加する一対のクリンチ部材を提供するために、クリンチ部材は付勢される。
【図23】図23は、シャントリベット22の側面図であり、縦方向に配向されたクリンチ部材の実質的閉鎖を示す。
【図24】図24は、シャントリベット22の側面図であり、装置の軸に対し横方向に配向されたクリンチ部材の好ましい角度を示す。
【図25】図25は、図22のシャントリベットの側面図であり、横方向に配向されたクリンチを示す。
【図26】図26は、動脈と静脈との間に設置された図22から25のシャントリベットであり、使用環境に対する装置の構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、シャントリベットを設置し、人工大動静脈瘻を生成および維持するための方法を示す。患者1は、左大腿動脈/外側大腿動脈3Lに挿入され、左総腸骨動脈4Lを通り遠位腹部大動脈5の大動脈/腸骨分岐部のすぐ上の点まで、上方へ押された送達カテーテル2を有する状態で示されている。下大動脈6は、大動脈と並走し、典型的には、大動脈と隣接している。図示されるように、左大腿動脈は、腹部大動脈内の人工大動静脈瘻7の好適な部位に対し略直線の通路を提供する(右大腿静脈9Rもまた、大静脈側の同一部位に対し直線通路を提供し、さらにアクセス通路として使用してもよい)。瘻は、すぐ隣り合う部位に、大動脈と大静脈の両方の壁を貫通する小孔または細隙を形成することによって生成され、後述のシャントリベット8を挿入することによって維持される。また、本装置は、左大腿静脈9Lを通る経路を介して、あるいは右大腿動脈3Rおよび/または右総腸骨動脈4Rを通して移植されてもよいが、これらの通路は、容易に操作可能とは考えられない。また、シャントリベットは、要素10Rおよび10Lとして示される、体の一方の側の大腿静脈と大腿動脈との間、または腸骨動脈と大腿静脈との間に形成される人工動静脈瘻内、および腎動脈より上の大動脈内の位置に設置されてもよい。
【0013】
図2は、拘束状態における、大動静脈シャントリベット8を示し、図3は、弾性的に拡張された構成における、図2の大動静脈シャントリベットを示す。シャントリベットは、ニチノール、バネ鋼、ガラス、炭素複合材、またはポリマー等の弾力材、あるいはニチノールまたは同等合金およびポリマー等の擬弾性(体温時)材の単一管11から、管長に沿っていくつかの閉口溝12をレーザ削成し(管の最遠位および最近位の端はそのまま残す)、管の縦方向中心から管の遠位および近位端まで開口溝13を削成することによって、形成してもよい。開口溝は、閉口溝の各対間に削成され、胴部15によって中心部分で結合されるいくつかのループ14を形成する。これらの図に示されるシャントリベットは、胴部で溶着されたワイヤのいくつかのループから、および多くの他の加工技術から作製可能であるが、図示されるような単一管からの製造が便利である。
【0014】
上述のように管を削成後、図3に図示されるように、最終的に弾性的に拡張される構成に形成される。本構成では、ループは、中心部分から半径方向外向きに方向を変え、さらに中心部分の中心平面へ外転し、したがって、胴部15によって形成される略管状中心部分から延在するループの片端に、弓状の外転花弁状フレームの形態でクリンチ部材16を形成する。明確にするために、本明細書で使用される「外転」とは、花弁状フレームの弧が、図2で構成されるような装置内面が管によって構築される円筒形から半径方向外向きに向くようなものであることを意味する。図4は、弾性的に拡張された構成における、図3に図示されるシャントリベットの斜視図であり、シャントリベットの各端部におけるいくつかの花弁状フレーム間の関係をより明確に示す。
【0015】
図5は、完全に拡張された構成における、図2の大動静脈シャントリベットの側面図を示す。大動脈および大静脈壁へのその作用を考慮して可能な範囲内で、装置が弾性的に拡張された後でも、中心部分は、塑性変形によってさらに拡張されてもよい。これは、中心部分内でバルーンを膨らませ、さらにバルーンを膨張させ、その弾性または超弾性変形範囲を超えて中心部分を拡張させることによって、達成され得る。シャントリベットの中心部分を塑性的に変形することによって、中心部分は、より硬くなり、大動脈および大静脈壁の圧縮力に耐えることが可能となる。
【0016】
図示されるように、本構造は、縦方向に対向し(すなわち、互いに近接するように屈曲し、接触する場合もあるが、必ずしもそうではない)、整合される(同一縦線に沿って設置される)遠位および近位花弁状のいくつかの対を提供する。概して、遠位部分の花弁状フレームは、大静脈壁に作用し、大動脈内への放出を防ぐ、「花冠」(花の花冠に類似)フランジまたはリベットクリンチを形成し、近位部分の花弁状フレームは、大動脈壁に作用し、大静脈へのシャントリベットの放出を防ぐ、花冠、フランジ、またはリベットクリンチ(このクリンチは、リベット頭部に類似するが、リベット頭部はリベット挿入後にクリンチのように形成される)を形成し、中心部分17は、硬い短管を形成し、瘻を開通状態に保つ。このように形成された2つの遠位および近位フランジまたは花冠の弾性的な並置は、大動脈および大静脈壁を弾性的に挟持することによって、シャントリベットを定位置に拘持することになる(相当な壁厚範囲または「把持範囲」を超える場合でも)。
【0017】
図2から5を参照すると、シャントリベットは、約8〜10mmの初期全長Lを有して製造され得、約3mmの把持範囲G(標的部位における典型的大動脈壁厚2mmおよび典型的下大動脈壁厚1mmを考慮して)、少なくとも約3mmのクリンチ許容長C(クリンチ許容長は、反転、カール、または平坦化され、定形の頭部を形成する、リベットの遠位突起部である)、約10〜16mmの定形または隠れ頭部許容長A(接合部の隠れた側に形成される頭部である、遠位頭部を称するために隠れ頭部という用語を用いる)、5〜16mmの頭部直径H、3〜8mmの初期軸部直径D1(弾性的に拡張された構成では、塑性変形前)、直径約5〜10mmの貫流内腔を生成するための5〜12mmの最終軸部直径D2を得る。シャントリベットの把持力は、介在する血管壁への対向するクリンチ部材によって加えられる軽度の圧縮力を提供すべきである。したがって、シャントリベットは、弾性的に拡張された構成において、予期される厚さの介在血管に応じて、クリンチ部材ごとに0.1〜1.5oz(約3〜45グラム重量)の範囲の把持力を産み出すように形成される。
【0018】
図6から11は、遠位クリンチ部材が大静脈内で解放され、近位クリンチ部材が大動脈内で解放されるように、シャントリベットを解放する方法を示す。送達カテーテルの挿入に先立って、移植を行う執刀医は、適切な蛍光透視鏡、超音波、または他の撮像方法で大動脈および下大動脈を撮像し、横断するカテーテルによって血管壁内にパイロット孔を生成するであろう。図6に示されるように、シャントリベットは、送達カテーテル23の遠位先端内に収納され、送達カテーテル内で完全に拘束される。送達カテーテルは、外側シース24と、外側シース内で縦方向に摺動可能なシャフト25と、シャフト上に配置される先細または円形先端部26とを含む。先細部は、調製開口部に押入される一方、大動脈に留まる装置の残留部を拘持するように、シャフト25内に摺動可能に配置される別個のシャフト上に取り付けられてもよい。外側シースの遠位端もまた、図示されるように、円形または先細であってもよい。シャントリベットの直ぐ近位にあるシャフト上の遠位方向に向く肩部27は、外側シースが撤収されると、シャントリベットを縦方向の定位置に保つ役割を果たす。ガイドワイヤ内腔28が、ガイドワイヤ29の使用のためにシャフト内に提供されてもよく、またオーバー・ザ・ワイヤ式操作用にシャフト近位端まで延出してもよく、あるいはモノレール式ガイドワイヤ操作用にシャントリベットを保持する区画の直ぐ近位のシャフトから出てもよく、さらに他のガイドワイヤ構成を使用してもよい。バルーン30は、シャフト上に配置されてもよい(さらに、好適なバルーン膨張内腔がシャフト内に提供され、好適な空気圧源が内腔と流体連通する)。
【0019】
図7に示されるように、送達カテーテルの遠位先端は、大動脈および大静脈(要素31および32)壁内の小開口部に押入され(開口部は、別個または統合型穿孔機、針、あるいはランセットを使用して、オペレータによって形成される)、人工大動静脈瘻を生成する。図8に示されるように、遠位先端を大静脈に内挿後、外側シースが近位方向に引かれ、遠位花弁状部を解放する。遠位花弁状部がその非拘束構成に戻った後、装置全体が近位方向に引かれ、大静脈の内壁に対し遠位花弁状部を着座させる。シャントリベットの完全な解放に先立って、オペレータは、その位置が許容範囲にあるか確認すべきである(任意の好適な撮像技術を使用してもよい)。シャントリベットを再配置しなければならない場合に格納可能なように、フック33は、シャフト25から半径方向に突出し、シャントリベットのループを貫通する。これによって、シャントリベットの完全な解放に先立って可視化された際に、その位置が望ましくない場合、オペレータが、シャントリベットを外側シース内に後退させ得るように、外側シースが近位方向に移動され、近位クリンチ部材を解放するまで、シャントリベットは、外側シース24内に捕捉および固定される。弾性またはバネ式戻り止め、シャントリベットのループを係合する格納式爪、または外側シースから内向きに延在する格納式フック等の任意の他の拘持手段が、図示されるフックの定位置において使用されてもよい。
【0020】
次いで、図9に示されるように、外側シースがさらに近位方向に引かれ、近位花弁状部を解放する。人工瘻内へのシャントリベットのしっかりとした設置に関し、図10に示されるように、中心部分が、次いで、バルーンを膨張させることによって拡張されてもよい。図11に示されるように、シャフトの撤収によって、シャントリベットは、定位置に留まり、2つの血管壁内の穿孔を互いに並列に保ち、瘻を維持し、さらに大動脈と大静脈との間のシャント開口路を維持する。
【0021】
上述の説明によると、シャントリベットの最終形態は、第1の直径を備える中心部分と、1つ以上のクリンチ部材によって画定される近位クリンチ部分と、1つ以上のクリンチ部材によって画定される遠位クリンチ部分とを有する略管状構造を形成し、近位および遠位クリンチ部材を鍛錬し、中心部分から半径方向外向きに曲げるように弾性的に付勢するステップと、次いで、略管状形状を維持するように管状構造を弾性的に圧縮し、体内への経皮挿入に好適な圧縮構成に圧縮管状構造を拘束するステップと、遠位クリンチ部材が患者の大静脈内に突出し、中心部分が開口部内に配置されるように、患者の大動脈壁および大静脈壁の並置開口部に本構造を挿入するステップと、次いで、遠位クリンチ部材を解放し、遠位クリンチ部材を弾性拡張させた後、中心部分を塑性変形によって大径へ拡張し、近位クリンチ部材を解放し、近位クリンチ部材を弾性拡張させるステップ(近位クリンチ部材は、中心部分の拡張前または後に解放してもよい)とを含む、方法によって達成される。
【0022】
上述のシャントリベットは、非対称的に成形された遠位および近位フランジを備える大動静脈シャントリベットを示す、図12および13に示されるように修正されてもよい。図12では、シャントリベット35は、図2から4のシャントリベットに類似しており、中心部分と、複数の花弁状ワイヤフレーム部材16dから成る遠位フランジと、複数の花弁状ワイヤフレーム部材16dから成る近位フランジとを含む。本実施形態では、遠位花冠は、外転せずに(近位方向に実質的弧を有さずに)、外向きに弧を描く花弁状部を有する、角状、「高盆状」または「漏斗状」(これらの用語は、植物学で使用される)であり、近位花冠は、外向きに弧を描き、遠位方向に実質的弧を有して外転する、花被状である。各花弁状部は、キクラミネウス水仙の花被のように著しく反り返っている。図13は、非対称的に成形された遠位および近位フランジを備える、大動静脈シャントリベットの別の実施形態を示す。図13では、血管壁への作用のために、近位花弁状部が、花弁状部の先端部よりもむしろある長さのワイヤ37を提供するために、先端36に向かって半径方向に内向きに屈曲するように、非常に反り返り、180°を超える弧、好ましくは、図示されるように、約270°を超える弧を有するピグテールを形成するように外転する。遠位または近位花弁状部/クリンチ部材の一方または両方を修正し、図13に図示されるピグテールを形成してもよい。図示される実施形態では、花弁状部は、合弁(少なくとも基部において、その縁によって合体される花弁を有する(図2以下参照))であるが、以下図14、15、および16に示されるように、多弁であってもよい。また、本実施形態は、放射相称を示すが、非対称花弁状部を有する左右相称様に構築されてもよい。
【0023】
図14、15、および16は、中心部分にダイヤモンド形に成形された支柱部材を有する、大動静脈シャントリベット8を示す。このシャントリベットは、円周方向に配向された支柱38によって結合される一連の拡張可能ループを有する、中心部分17を提供する。図14は、その中に削成され、図16に示されるシャントリベットを形成する、多数の溝を有する管11を示す。溝12は、閉口溝であり、中心部分17から延在し、クリンチ部材セル39を形成するループ14を残す。溝40は、装置中心から延在する開口または閉口溝であり、装置の隣接セルを接続する小さな環状支柱41を残す。溝42は、装置中心部分から延在する開口または閉口溝であり、環状支柱と装置の隣接クリンチ部材セルを接続する大きな腰部43を残す。溝44は、腰部の中の閉口溝である。図15に示されるように、図14に示される腰領域の一部(除去することを意図した区画)46は、切除および廃棄され、環状支柱38によって相互接続される拡張可能腰部セル47およびクリンチセル39を残す。本装置は、各端部上に3つのクリンチ部材を有して図示されるが、シャントリベット内に形成されるクリンチ部材の数は、変更されてもよい。腰部セルおよびクリンチ部材セルは、48に示されるように、隣接セルを画定する支柱を共有可能である。図16に示されるように、腰部セルは、拡張時、中心部分のダイヤモンド形セルを形成する。クリンチ部材セルは、腎臓形または円形よりもむしろ、皮針形(頂点に向かって狭く、先細になる(頂点は、好ましくは鈍角である))、または卵形(基部は幅広く、先端が狭い)として記載され得る、花弁状セルを含む。花弁状先端部は、好ましくは、鈍頭、円形、または丸みがある。図16から理解され得るように、クリンチ部材もまた、隣り合う腰部セルの先端を縦方向に接続する縦方向に延在するワイヤとして、記載され得る。
【0024】
図17および18は、単一ワイヤで巻かれた状態で形成され、装置を形成する、大動静脈シャントリベット51を示す。本装置では、単一ワイヤは、特別に形成されたマンドレル周囲に巻かれ、装置の一端にいくつかのクリンチ部材52を、装置の他端にいくつかのクリンチ部材53を形成する。図示されるように、各クリンチ部材は、装置の半径に対し傾斜し、装置の胴部を形成するワイヤもまた、装置の経線に対し斜めになっている。上部から見ると、各クリンチ部材は、略円弧から成り、ワイヤは、弧から装置の反対端へ縦方向に続き、前の弧から離れて円周方向に弧を描き反対端にクリンチ部材を形成するまで、装置の長軸に略平行に延設する直線胴部54を形成し、その後、円周に対し逆行して延在するようにループの形をとり、長軸に対し斜めに延設する胴部55を形成し、円周方向に前方に再び湾曲し、第1のループと円周方向に隣接し、シャントリベット反対端の直前に形成されたクリンチ部材に縦方向に一致した、次のクリンチ部材のループを形成するまで、装置の第1の端部へ戻り、装置の管状構造全体が達成されるまで、同様に継続する。その経路を辿る際に、ワイヤは、1つ以上の他のワイヤ部と交差してもよい。
【0025】
図19は、クリンチ部材の詳細であり、シャントリベット上に放射線不透過性マーカを示す。放射線不透過性マーカは、クリンチ部材16の先端部近傍に配置される放射線不透過性リベット61の形態で提供されてもよく、または放射線不透過性ワイヤまたは糸62の巻かれたコイルの形態で提供されてもよい。放射線不透過性マーカは、白金、イリジウム、タンタル、硫酸バリウム、または他の放射線不透過性材から成ってもよい。類似マーカもまた、腰部に適用してもよい。また、マーカ材は、超音波画像診断、磁気共鳴映像法、または他の好適な撮像技術下、可視性を向上させるために選択されてもよい。
【0026】
図20および21は、シャントリベットの形成および鍛錬/熱処理に有用なマンドレルまたは金型を示す。図20に示されるように、2部マンドレルは、遠位マンドレル部63および近位マンドレル部64を含む。各マンドレルは、成形され、シャントリベットおよびそのクリンチ部材の所望の最終形状に対応する。マンドレル部は、装置を変形するために削成された後、管内に挿入される。本装置が、熱処理または鍛錬される必要がある擬弾性材から形成される場合、マンドレルは、その所望の開放構成に装置を変更するように寸法がとられる。本装置がバネ鋼等から形成される場合、マンドレルは、所望の最終構成を超えてクリンチ部材を曲げるように寸法がとられる。したがって、図20のマンドレルおよび図21のマンドレルは、異なって成形されているが、ニチノールおよびバネ鋼から成る装置に対し、非常に類似した形状を形成するために使用され得る。マンドレル形状は、所望に応じて修正し、図12および13に示される非対称形状等の種々のクリンチ部材形状を達成してもよい。
【0027】
シャントリベットは、図22から25に示されるように、修正されてもよい。図22は、シャントリベット65の斜視図であり、隣り合う血管の隣接平行部で閉鎖するように付勢された一対のクリンチ部材66aおよび66vと、隣接血管の側壁上の円周方向に離間した点に軽度の圧力を加え、僅かなコンプライアンスミスマッチを構築するように付勢された一対のクリンチ部材67aおよび67vと、を提供するようにクリンチ部材は付勢される。各クリンチ部材は、中心に沿って細隙が入れられ、クリンチ部材の半径方向変形を通して、装置の半径方向への拡張を可能にする。
【0028】
図23は、図22のシャントリベットの側面図であり、縦方向に配向されたクリンチ部材66aおよび66vの実質的閉鎖を示す。開放される際に、対向するクリンチ部材66aおよび66vの先端が互いに近接するように、これらのクリンチ部材は、外転するように形成される(拡張された構成で示される)。各クリンチ部材の遠位先端にある小区画は、装置の横断正中線68から逸れ、血管壁上への作用のための非侵襲性座面を形成する。図示されるように、クリンチ部材66aおよび66vは、クリップの動脈部とクリップの静脈部との間に介在胴部を有さず、連続的に形成されたクリップを含む。クリップは、本用語が他の技術分野で使用されるような、ツールクリップに類似する。好ましくは、ツールクリップを構成するクリンチ部材は、直線的介在基部を有さず、直接継合され(所望に応じて、直線的基部を組み込み、特定の部位における動静脈瘻の生体構造を収容してもよい)、遠位クリンチ部材から近位クリンチ部材まで、円滑な弓状移行を生成する。図24は、シャントリベット22の側面図であり、装置の軸70に対し横方向に配向されたクリンチ部材67aおよび67vの好ましい角度を示す。本実施形態では、横方向に配向されたクリンチ部材67aおよび67v(本図では、近傍対と遠方対の両方が見える)は、軸70から小角度で設定される。非拘束構成では、装置の動脈側上のクリンチ部材67a(典型的には、経静脈送達を優先することを考慮して、カテーテルから開放される装置の第1の側面)は、上流または逆行方向へ傾斜する。装置の静脈側上のクリンチ部材67vは、静脈内の上流または逆行方向へ傾斜する。本構成によって、瘻へ挿入するために使用される小型の送達カテーテルからの装置の解放を容易にする。
【0029】
図25は、図22から24のシャントリベットの側面図であり、クリンチ部材の先端間に実質的間隔を有する、横方向に配向されたクリンチ部材67aおよび67bを示す(拡張された構成で示される)。また、クリンチ部材67aおよび67bは、引張バネの動脈部と引張バネの静脈部との間に介在胴部を有さずに、連続して形成された引張バネ(窓枠に使用される引張バネ状に実質的に成形され、弓状または弓形形状を有し、装置の軸中心線70から外向きに弧を描き、血管に作用または力を加えるように適合された端部と、固定されるシャントリベットの残留部に力を加えるように適合された弧の中央部とを備える)を構成し、該引張りバネは、ツールクリップの先端によってそれが達成されるように、反対側の先端69aおよび69vを並置するために動脈および/または静脈壁を変形せずに、リベット中心から円周方向に変位した点において、動脈または静脈の側壁に作用するように形成される。各クリンチ部材の遠位先端における小区画は、装置の軸中心線70から逸れ、血管壁上への作用のための非侵襲性座面を形成する。
【0030】
したがって、本装置は、その開放および非拘束状態において、その閉口端部で、該2つの平行引張バネに対し該引張バネの中点で固定された、2つの平行ツールクリップを備え、バネクリップと引張バネとが交互に直交または十字形のグループを生成するとして記載され得る。他の実施形態に使用される植物学用語を採用すると、装置の各側面は、外転せずに、装置の軸中心線から外向きに弧を描く一対の花弁状部(近位方向における実質的弧を有さずに)と、外向きに弧を描き、遠位方向に実質的弧を有して外転する一対の花弁状部とを含み、対応する花弁状構造は、介在胴部を有さずにそれらの近位端で結合される。各花弁状部は、開放フレームのV字形で形成される。一対のクリップおよび一対の引張バネを有して図示されるが、本装置は、特定の設置における局所的生体構造に応じて、追加引張バネまたはクリップを有して形成されてもよい。適切な生体構造上の状態において、本装置は、ツールクリップ構成内に4つのクリップ、または直交に配列された同等の外転花弁状対(すべてのクリンチ部材が、血管壁で閉じるように実質的に外転する)を備え、ツールクリップは円形配列に配置され、各ツールクリップの開口端が円形配列から外向きに向けられるように隣接クリップの閉口端に固定される。また、本装置は、追加弓状引張バネおよび/またはツールクリップ部を含み、したがって、図示される十字形構成から逸脱し、動静脈瘻からの血管接触端の実質的離間による効果を得てもよい。
【0031】
図26は、使用環境に対する装置の構造を示すための、動脈71と静脈72との間に設置された図22から25のシャントリベットである。装置の「ツールクリップ」部(66aおよび66b)の先端は、装置が載置される場所に形成された動静脈瘻から縦方向(血管に対し)に離間したそれぞれ血管内の点73aおよび73vで閉じる。作用点は、図示されるように、瘻から大幅に離間する。装置の引張バネ部67aおよび67v)の先端(は、円周方向に離間した点74aおよび74vに作用する。図26に示されるように、環状の作用点は、瘻から大幅に離間する。環状間隔は、好ましくは30°〜90°であるが、局部生体構造に適合するように調節されてもよい。このように、シャントリベットは、瘻に隣り合う血管の係合を回避する。本装置は、図22から25の非拘束形状に戻るように、弾性的または擬弾性的に付勢されるが、図26に示されるように、設置されたシャントリベットの最終形状は、血管壁に残る拘束力によって、非拘束形状から変化し得る。設置後、シャントリベットは、隣り合う動脈および静脈を共に保持し、クリップおよび引張バネの略円形配列によって画定される開口部を貫通する開流路を維持する。配列が、種々の部分の特定の形状を考慮し、略四角形、または角張った状態、五角形、六角形等である場合の完璧な円形配列からのそのような逸脱も、円形配列の説明下に内包されるものと意図される。
【0032】
上述の装置は、種々の治療用化合物の基質としての役割を果たす、被覆または追加構造が提供されてもよい。薬剤溶出被覆、追加薬剤溶出シャント部材、中心部分を包囲する薬剤溶出膜、または装置のセルを充填する薬剤溶出塊を、装置に添加してもよい。大動静脈用途および動静脈用途に対し、ヘパリン、他の抗凝固剤、パクリタキセル、ラパマイシン(SirolumisTM)、エベロリムス、および他の抗狭窄化合物等の治療剤は、移植後数時間から数ヶ月の一定期間にかけてこれらの薬剤を溶出させるポリマー基質で、ステントに適用することが可能である。ポリウレタン等のポリマーも、基質として使用可能である。
【0033】
本装置および方法の好ましい実施形態が、それらが開発された環境を参照して説明されたが、それらは、本発明の原理の例示に過ぎない。本発明の精神ならびに添付の請求項の範囲から逸脱することなく、他の実施形態および構成が考案されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2012−148123(P2012−148123A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−82160(P2012−82160)
【出願日】平成24年3月30日(2012.3.30)
【分割の表示】特願2008−555445(P2008−555445)の分割
【原出願日】平成19年2月12日(2007.2.12)
【出願人】(506410730)ロックス メディカル, インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−82160(P2012−82160)
【出願日】平成24年3月30日(2012.3.30)
【分割の表示】特願2008−555445(P2008−555445)の分割
【原出願日】平成19年2月12日(2007.2.12)
【出願人】(506410730)ロックス メディカル, インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】
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