人間とロボットとの協調動作領域を有する生産システム
【課題】人間の安全を確保しながら、人間とロボットが同じ作業空間で同時に作業を行う協調動作を可能とする。
【解決手段】作業机6を挟んで一方の側にロボット2が配置され、反対側に作業員1が位置しており、作業員1の手が届く範囲は、作業机6のために制限されている。その結果、作業机6上は、作業員1のみが動作可能な人間動作領域3、ロボット2のみが動作可能なロボット動作領域4、およびそれらの間で作業員1とロボット2が共に動作可能な協調動作領域5に分かれている。ロボット2の制御手段は、協調動作領域内5では、ロボット2の構成部分の最高速度を協調動作領域5外におけるよりも低速に制限し、かつ、協調動作領域5内で作業机6や部材10などの周辺部材から所定の距離内のロボット進入禁止領域8にロボットの構成部分が進入しないようにロボット2の動作を制御する協調動作モードを有している。
【解決手段】作業机6を挟んで一方の側にロボット2が配置され、反対側に作業員1が位置しており、作業員1の手が届く範囲は、作業机6のために制限されている。その結果、作業机6上は、作業員1のみが動作可能な人間動作領域3、ロボット2のみが動作可能なロボット動作領域4、およびそれらの間で作業員1とロボット2が共に動作可能な協調動作領域5に分かれている。ロボット2の制御手段は、協調動作領域内5では、ロボット2の構成部分の最高速度を協調動作領域5外におけるよりも低速に制限し、かつ、協調動作領域5内で作業机6や部材10などの周辺部材から所定の距離内のロボット進入禁止領域8にロボットの構成部分が進入しないようにロボット2の動作を制御する協調動作モードを有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットと人間が同じ空間で同時に作業を行うための協調動作領域が設けられた生産システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットを用いた生産システムでは、ロボットと人間が同じ作業空間で同時に作業を行うことがないように人間とロボットの作業空間を完全に分離するための安全柵が設置されるのが一般的である。安全柵によって、ロボットの動作中には、人間がロボットの可動範囲内に物理的に侵入できないようにして人間の安全が確保されている。
【0003】
しかし、近年、生産現場では、稼動するロボットの可動範囲内で人間が段取り作業などを行うことにより生産性を向上させたいといった要望が多くある。これに対して、従来は、ロボットの各軸の動作を制限するストッパを設けることによってロボットの動作領域を制限し、本来はロボットの可動範囲である領域内に、人間が安全に進入できる保護領域を設けるという方策がとられていた。
【0004】
ところがストッパによる制限では、人間が進入できる保護領域を大きくするとロボットの動作領域が小さくなってしまい、ロボットの可能な作業が制限されたり、効率の低下を招いたりする。また、保護領域は、ストッパを外さなければ変更できないので、ロボットの稼動中には変更できず、人間の作業が必要ない時にまで、ロボットの動作が制限される。これらのことから、ストッパによる制限を行う方策では、生産性を高めるには難があった。
【0005】
また、人間がロボットの可動範囲内に進入して、ロボットが必要とする部品を供給し、または部品を取り出すといった場合には、人間とロボットが同じ作業空間で作業を行う必要がある。そのような場合は、通常、人間は、ロボットを停止させてからその可動範囲内に進入する必要がある。そのため、ロボットの生産性を著しく低下させてしまうことになる。
【0006】
特許文献1では、ロボットの可動範囲内に人間が作業を行うための領域を設定し、その領域への人間やロボットの進入を検出するセンサを設けている。そして、人間またはロボットの進入がセンサによって検出されると、セイフティコントローラによりロボットを停止または減速させることで人間の安全を確保している。さらに、特許文献1では、ロボットの可動範囲内に人間が作業を行うための領域を複数設定し、それらの各領域に人間やロボットの進入を検出するセンサを設け、それらのセンサを有効な状態と無効な状態とに切り替えることができるようにしている。それによって、人間とロボットが同じ作業空間において時間的に入れ替わりで作業を行うことができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−283450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された構成でも、人間とロボットは、依然として、同時には同じ作業空間で作業をすることはできない。しかし、近年のさらなるコスト意識の高まりにより、人間とロボットが同じ作業空間で同時に作業を行う協調動作を可能とすることが求められている。すなわち、このような協調動作は、例えば、人間が組立などの複雑な作業を行い、ロボットが人間に必要な部品を供給する場合などに求められ、このような場合、協調動作を行うことによって、生産効率の向上を期待することができる。
【0009】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、人間の安全を確保しながら、人間とロボットが同じ作業空間で同時に作業を行う協調動作を可能とする生産システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するため、本発明の生産システムは、ロボットと、該ロボットを制御する制御手段と、作業員が進入可能であって前記ロボットが進入できない作業員動作領域と、前記作業員及び前記ロボットの双方が進入可能な協調動作領域とを有する生産システムであって、前記制御手段は、前記ロボットの構成部分が前記協調動作領域に入っている時に前記ロボットの構成部分の最高速度を前記協調動作領域外におけるよりも低速に制限するか、または、前記ロボットの動作中に前記作業員が前記協調動作領域に進入したときに前記ロボットの構成部分の最高速度を前記作業員が前記協調動作領域に進入していないときよりも低速に制限し、かつ、前記協調動作領域内で周辺部材から所定の距離内に設定したロボット進入禁止領域に前記ロボットの構成部分が進入しないように前記ロボットの動作を制御する協調動作モードを有することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、作業員は、協調動作を行っているときまたは協調動作領域内に進入したときに、ロボットに衝突しそうになった場合、ロボットの最高速度が低速に制限されているので、容易に退避行動をとることができ、かつ、ロボット進入禁止領域が設定されているので、ロボットと周辺部材との間に挟まれて退避できなくなることもない。また、ロボットの最高速度が低速に制限されているので、作業員がロボットに衝突したとしても、大きな衝撃を受けるのを抑制することができる。
【0012】
本発明の生産システムには、協調動作モードで、協調動作領域内でのロボットの構成部分の速度が所定の速度を超えた時、または、ロボットの構成部分がロボット進入禁止領域に進入した時にロボットを停止させる手段をさらに設けてもよい。それによって、協調領域内でロボットが高速で動作したり、ロボット進入禁止領域に進入したりするのをより確実に抑制し、安全性を高めることができる。
【0013】
本発明の生産システムでは、制御手段が、ロボットの構成部分が協調動作領域内に入らないようにし、協調動作領域内で作業員のみが動作するようにする第1の動作モードと、協調動作領域内でのロボットの構成部分の最高速度の制限およびロボット進入禁止領域へのロボットの進入制限を解除し、協調動作領域内でロボットのみを動作させる第2の動作モードと、協調動作領域をロボットのみを動作させる領域と、作業員のみが動作するようにした領域とに分割する第3の動作モードと、のうちの少なくとも1つの動作モードをさらに有するようにしてもよい。それによって、協調動作をする必要がない作業工程で、協調動作領域における動作制限を解除してロボットが最大限の能力を発揮できるようにしたり、作業員の作業領域を広く確保したりして、生産性の向上を図ることができる。
【0014】
本発明の生産システムは、第1の動作モードで、協調動作領域にロボットが進入した時にロボットを停止させ、減速させまたは回避動作をさせる手段、または協調動作領域へのロボットの進入を制限する手段をさらに有してもよい。
【0015】
本発明の生産システムは、第2の動作モードで、協調動作領域に作業員が進入した時にロボットを停止させ、減速させまたは回避動作をさせる手段、または協調動作領域への作業員の進入を制限する手段をさらに有してもよい。
【0016】
本発明の生産システムは、第3の動作モードで、ロボットのみを動作させる領域に作業員が進入した時にロボットを停止させ、減速させまたは回避動作させる手段、または、ロボットのみを動作させる領域への作業員の進入を制限する手段をさらに有してもよい。
【0017】
本発明の生産システムは、第3の動作モードで、作業員のみが動作するようにした領域にロボットが進入した時にロボットを停止させ、減速させまたは回避動作をさせる手段、または作業員のみが動作するようにした領域へのロボットの進入を制限する手段をさらに有してもよい。
【0018】
本発明の生産システムは、第1の動作モードで、協調動作領域にロボットが進入したことを検知する第1のセンサと、第2の動作モードで、協調動作領域に作業員が進入したことを検知する第2のセンサと、第3の動作モードで、協調動作領域におけるロボットのみを動作させる領域に作業員が進入したこと、または協調動作領域における作業員のみが動作する領域にロボットが進入したことを検知する第3のセンサと、をさらに有し、第1、第2及び第3のモードの切り替えを、第1、第2及び第3のセンサのオン・オフの切り替えによって行うようにしてもよい。
【0019】
本発明の生産システムは、ロボットが進入可能であって作業員が進入できず、ロボットの動作制限が解除されるロボット動作領域をさらに有してもよい。
【0020】
協調動作領域内でロボットのみを動作させる第2の動作モードで、協調動作領域に作業員が進入した時にロボットを停止させる手段または減速させる手段または回避動作をさせる手段、または協調動作領域への作業員の進入を制限する手段を設け、協調動作領域をロボットのみを動作させる領域と、作業員のみが動作するようにした領域とに分割する第3の動作モードで、ロボットのみを動作させる領域に作業員が進入した時にロボットを停止させる手段または減速させる手段または回避動作をさせる手段、またはロボットのみを動作させる領域への作業員の進入を制限する手段を設けることができる。それによって、作業員が、動作しているロボットに衝突して大きな衝撃を受けるのを防止し、または衝撃を低減することができる。
【0021】
また、協調動作領域内で作業員のみが動作するようにする第1の動作モードで、協調動作領域にロボットが進入した時にロボットを停止させる手段または減速させる手段または回避動作をさせる手段、または協調動作領域へのロボットの進入を制限する手段を設け、協調動作領域をロボットのみを動作させる領域と、作業員のみが動作するようにした領域とに分割する第3の動作モードで、作業員のみが動作するようにした領域にロボットが進入した時にロボットを停止させる手段または減速させる手段または回避動作をさせる手段、または作業員のみが動作するようにした領域へのロボットの進入を制限する手段をさらに設けてもよい。それによって、作業員のみが動作するようにした領域の安全性をより高めることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、人間の安全を確保しながら、一方でロボットの動作を過剰に制限することなく、人間とロボットが同じ作業空間を同時に共有して作業する協調動作を可能とする生産システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態の生産システムの側面図である。
【図2】図1の生産システムにおける作業員動作領域、ロボット動作領域、および協調動作領域を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図3】図2(b)に示す協調動作領域内のロボット進入禁止領域の部分の拡大図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の生産システムの平面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態の生産システムの斜視図である。
【図6】図5の生産システムにおける作業員動作領域、ロボット動作領域、および協調動作領域を示す側面図である。
【図7】図6に示す協調動作領域内のロボット進入禁止領域の部分の拡大図である。
【図8】本発明の第4の実施形態の生産システムの斜視図である。
【図9】本発明の第5の実施形態の生産システムの斜視図である。
【図10】図9の生産システムにおける作業員動作領域、ロボット動作領域、および協調動作領域を示す側面図である。
【図11】図9の生産システムにおけるロボットのアームの動作範囲の制限を説明するための斜視図である。
【図12】図9の生産システムにおける協調動作領域を作業員の動作領域として利用する動作モードへの切り替えを説明するための側面図である。
【図13】本発明の第6の実施形態の生産システムの側面図である。
【図14】図13の生産システムで、協調動作領域を作業員のみが動作する領域に切り替えた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0025】
(第1の実施形態)
図1に示すように、本実施形態の生産システムには、作業机6が設けられている。作業机6の側方には、ロボット2が設けられている。作業机6の、ロボット2が設けられたのとは反対側には、作業員1のための座席7が設けられている。
【0026】
図1に示す例では、ロボット2としては、ワークや加工工具を保持可能なハンド9が先端に取り付けられた一般的な多関節ロボットを示しているが、公知の他の構成のロボットであってもよく、その詳細は、本発明には直接関係しないので説明を省略する。ロボット2には、そのリンク機構の駆動モータなどの駆動部を制御して、ロボット2の動作を制御するコントローラ2aが付属している。
【0027】
いずれにしてもロボット2は、作業机6上でワークの加工や搬送などの作業を行うことができるようになっている。この際、ロボット2の可動範囲は、作業机6上の全領域には及ばないようになっている。ここで、ロボット2の可動範囲とは、ロボット2の構成部分が物理的に移動可能な範囲であり、例えば、ロボット2を構成するアームやハンド9の大きさ、それらを連結するリンク機構の回転可能範囲によって定まる。また、ロボット2の可動範囲は、ストッパなどによって物理的にリンク機構などの可動範囲を制限することにより設定されたものであってもよい。なお、ロボット2の構成部分には、ハンド9によって保持されるワークや加工工具など、ロボット2の動作によってアームなどと一緒に移動するものも含まれていてよい。
【0028】
また、座席7に座った作業員1も、手が届く範囲は作業机6上の全領域には及ばないようになっている。すなわち、作業員1が座席7に座って作業を行う場合、物理的に手の届く範囲は有限であり、作業机6は、作業員1の手が届かない範囲が生じるのに十分な大きさを有している。言い換えれば、作業机6と座席7によって、ロボット2の周囲で作業員1が進入可能な領域が制限されている。
【0029】
このようにして、図2に示すように、作業机6上の空間は、作業員動作領域3、ロボット動作領域4、および協調動作領域5の3つの領域に分かれている。すなわち、作業員動作領域3は、ロボット2の可動範囲外であり、ロボット2の動作状態に関係なく、ロボット2の構成部分が物理的に進入できない領域であり、作業員1のみが存在可能な領域である。ロボット動作領域4は、座席7に座った作業員1の手が届かない領域であり、ロボット2のみが存在可能な領域である。そして、協調動作領域5は、作業員動作領域3とロボット動作領域4との間に挟まれた領域であり、作業員1もロボット2も進入可能な領域である。なお、図2では、分かりやすくするために、協調動作領域5などの各領域は、ほぼ直方体の形状としているが、一般には、曲面によって区切られたより複雑な形状を有するものであってよい。
【0030】
第1の実施形態の生産システムでは、協調動作領域5には、作業員1もロボット2も進入可能であるため、両者が衝突する可能性がある。そこで、協調動作領域5内ではロボット動作領域4におけるよりもロボット2の最高速度を低速に制限している。それによって、作業員1は、ロボット2に衝突しそうになった時に回避行動をとることができ、衝突したとしても、大きな衝撃を受けなくて済むようにすることができる。
【0031】
協調動作領域5におけるロボット2の最高速度は、例えば、ISO10218−1に低速制御として規定されている250mm/sに設定することができる。もちろん、最高速度をより低速に設定してもよい。
【0032】
さらに、協調動作領域5には、作業机6などの周辺部材とロボット2の構成部分との間に作業員1の身体の一部が挟まれないようにするために、周辺部材に対して所定の距離内の部分にロボット進入禁止領域8が設けられている。また、図3により詳細に示すように、作業机6上に治具やワークなどの部材10が存在する場合には、部材10から所定の距離内の部分にもロボット進入禁止領域8が設けられている。このように、周辺部材とは、ロボット2の可動範囲内またはその近辺に存在し、作業員1が、ロボット2との間に挟まれる可能性のある任意の部材を意味している。
【0033】
協調動作領域5における最高速度の制限とロボット進入禁止領域8へのロボット1の進入制限は、コントローラ2aのソフトウェアによって実現することができる。すなわち、コントローラ2aには、通常、ロボット2の制御のためにロボット2の各駆動モータの位置などの情報が取り込まれる。それらの情報から、コントローラ2aによって、ロボット2の構成部分が協調動作領域5に進入しているかどうかを判定することができる。そして、コントローラ2aによって、ロボット2の構成部分が協調動作領域5に進入している場合には、ロボット2の構成部分の速度が、設定された低速の最高速度を越えないように、ロボット2の各駆動部の動作を調整することができる。
【0034】
また、コントローラ2aには、作業机6や部材10などの周辺部材の位置の情報もロボット2の制御のために取り込まれるのが普通である。したがって、それらの情報から、コントローラ2aによって、ロボット進入禁止領域8を自動的に設定し、設定したロボット進入禁止領域8内には、ロボット2の構成部分が進入しないように、ロボット2の各駆動部の動作を調整することができる。あるいは、ロボット進入禁止領域8は、作業工程の教示時などに、オペレータが予め設定しておいてもよい。
【0035】
さらに、協調動作領域5においてロボット2の構成部分の速度が、設定された最高速度を超え、またはロボット2の構成部分がロボット進入禁止領域8に進入した時にロボット2を停止させる監視装置2bを設けてもよい。監視装置2bは、ロボット2の各駆動部のエンコーダあるいはコントローラ2aから取り込んだ情報に基づいてロボット2の構成部分の位置や速度を監視するのに用いることができる。あるいは、監視装置2bは、カメラや光追尾センサなどによってロボット2の所定部の速度や位置、さらには、周辺部材の位置などを計測することにより監視を行うものであってもよい。また、監視装置2bは、ロボット2の構成部分の速度が、設定された最高速度を超え、またはロボット2の構成部分がロボット進入禁止領域8に進入した時にロボット2を減速、停止または回避動作をさせるものであってもよい。
【0036】
監視装置2bは、特に、通常の制御を行うコントローラ2aよりも信頼性を高めたセイフティコントローラとして構成することができる。あるいは、監視装置2bは、コントローラ2aの通常の制御を行うソフトウェア部分とは別のソフトウェア部分として構成してもよい。
【0037】
以上説明した本実施形態の生産システムによれば、作業員1とロボット2は、協調動作領域5において、同時に協同して作業を行うことができる。したがって、例えば、作業員1が作業を行うのに必要な部品や治具をロボット2によって作業員1の手の届く所に供給する作業工程を実現することができる。また、例えば、ロボット2自体を治具として利用し、すなわち、例えば、ワークを作業員1が加工を実行しやすい位置および姿勢にロボット2によって保持した状態で作業員1が加工を行う作業工程を実現することができる。
【0038】
この際、第1の実施形態の生産システムでは、協調動作領域5においてロボット2の最高速度が低速に制限され、かつ、作業机6や部材10などの周辺部材から所定距離内の部分がロボット進入禁止領域8に設定される。それによって、作業員1が、ロボット2に衝突して大きな衝撃を受けたりロボット2と周辺部材との間に挟まれたりするのを防止することができる。ロボット2は、ロボット動作領域4では動作の制限を受けず、或いは協調動作領域5内でしか動作の制限を受けないので、動作制限を最小限に抑え、高い生産性を確保することができる。
【0039】
(第2の実施形態)
作業者及びロボットが協調作業を行う必要がない場合には、上述の領域5は作業者及びロボットの一方のみが作業する領域として設定することができる。この場合は、ロボットの最高速度制限等が不要となるので、生産性の向上が図られるが、領域5は作業者及びロボットの双方が進入可能な領域であるので、該領域内での両者間の深刻な衝突等を防止する必要がある。以下、そのための第2の実施形態について説明する。
【0040】
図4に示す第2の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、図4には、第1の実施形態と同様の部分には同一の符号を付しており、また、第1の実施形態と同様の生産システムの構成要素の一部は記載を省略しており、それらに関しては、詳細な説明は省略する。
【0041】
第2の実施形態の生産システムは、状況に応じて、協調動作領域5を作業員のみが動作する領域および/またはロボットのみが動作する領域として利用する動作モードに切り替えることができるようにしたものである。このために、本実施形態では、光電センサ等の第1のセンサ12a、第2のセンサ12bおよび第3のセンサ12cの検出信号を利用している。
【0042】
光電センサ12a,12b,12cは、所定の境界に沿って光線を発生し、光線が遮光されるのを検知することによって、設定された境界を作業員1またはロボット2が通過するのを検出するものである。図4には、各光電センサ12a,12b,12cによって設定された境界を模式的に示している。
【0043】
図4(a)は、協調動作領域5を作業員1のみが動作する領域13として利用するように設定した第1の動作モードを説明する図である。この際には、ロボット2のコントローラ2aは、ロボット2の構成部分が領域13に進入しないようにロボット2の動作を制御する。
【0044】
図4(a)の第1の動作モードでは、さらに、領域13とロボット動作領域4の境界に設けられた第1の光電センサ12aを利用することができる。すなわち、監視装置2bによって、光電センサ12aの信号に応じ、光電センサ12aが設けられた境界をロボット2が通過した時には、ロボット2を停止または減速させることができる。それによって、領域13における作業員1の安全性をより高めることができる。
【0045】
図4(b)は、協調動作領域5をロボット2のみが動作する領域14として利用するように設定した第2の動作モードを説明する図である。この際には、ロボット2のコントローラ2aは、第1の実施形態において説明した協調動作領域5における最高速度制限やロボット進入禁止領域8への進入制限を解除する。それによって、協調動作が必要ない状態で、ロボット2の性能を最大限に利用して、生産性の向上を図ることができる。
【0046】
図4(b)の第2の動作モードでは、さらに、領域14と作業員動作領域3の境界に設けられた第2の光電センサ12bを利用することができる。すなわち、監視装置2bによって、光電センサ12bの信号に応じ、光電センサ12bが設けられた境界を作業員1が通過した時には、ロボット2を停止または減速させることができる。それによって、作業員1が、ロボット2が動作するように設定された領域14に不用意に進入して、高速で動作するロボット2に衝突するのを防止または衝突を緩和し、安全性を高めることができる。
【0047】
図4(c)は、協調動作領域5のうち、任意の位置を境界として、作業員動作領域3側を作業員のみが動作する領域13’、ロボット動作領域4側をロボットのみが動作する領域14’として利用するように分割した第3の動作モードを説明する図である。この際には、ロボット2のコントローラ2aは、領域13’にはロボット2の構成部分が進入しないようにロボット2の動作を制御する。また、コントローラ2aは、領域14’内では、最高速度制限やロボット進入禁止領域8への進入制限を行わない。
【0048】
図4(c)の第3の動作モードでは、さらに、領域14と作業員動作領域3の境界に設けられた第3の光電センサ12cを利用することができる。すなわち、監視装置2bによって、光電センサ12cの信号に応じ、光電センサ12cが設けられた境界をロボット2または作業員1が通過した時には、ロボット2を停止または減速させることができる。それによって、作業員1と高速で移動するロボット2が不用意に接触するのを防止または衝突を緩和し、安全性を高めることができる。
【0049】
第1の光電センサ12aは、図4(a)に示す第1の動作モードが設定されているときにのみ作動させるのが好ましい。また第2の光電センサ12bは、図4(b)に示す第2の動作モードが設定されているときにのみ作動させるのが好ましい。同様に第3の光電センサ12cは、図4(c)に示す第3の動作モードが設定されているときにのみ作動させるのが好ましい。それによって、作業員1は、いずれの光電センサが作動しているかによって、ロボット2の動作領域がどの範囲までに設定されているのかを認識することができる。その結果、作業員1が不用意にロボット2の動作領域内に進入するのを抑制することができる。
【0050】
第2の実施形態では、動作モードの切り替え、すなわち協調動作を行う状態と行わない状態との切り替え、および、協調動作を行わない状態において人間のみが動作する領域とロボットのみが動作する領域の境界の変更を、コントローラ2aのソフトウェアによって、また、必要に応じて光電センサ12a,12b,12cのオン・オフ状態を切り替えることによって行うことができる。したがって、生産システムの稼動中でも、迅速に動作モードを切り替えることができ、それによって、作業工程に応じて動作モードを迅速に切り替えることができ、生産効率を向上させることができる。
【0051】
なお、第2の実施形態では、光電センサの代わりに、可動式の物理的構造物や、外部に設けたカメラや光追尾センサなどを用いて、作業員1やロボット2が所定の境界を通過するのを監視する構成とすることも考えられる。また、この際には、必要に応じて、作業員1の動作領域とロボット2の動作領域の境界がどこに設定されているかをランプなどによって表示することができる。さらに、外部に設けたカメラや光追尾センサで、作業員1とロボット2の位置を計測し、その情報をコントローラ2aや監視装置2bに取り込んで、作業員1とロボット2の相対位置を計算し、作業員1やロボット2が所定の境界を通過した際、ロボット2が作業員1と接触しないようにロボット2に回避動作をさせて、安全性を確保することもできる。
【0052】
(第3の実施形態)
図5〜7に示す第3の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、図5〜7には、第1の実施形態と同様の部分には同一の符号を付しており、また、第1の実施形態と同様の生産システムの構成要素の一部は記載を省略しており、それらに関しては、詳細な説明は省略する。
【0053】
第3の実施形態の生産システムでは、作業員1とロボット2の間に、ロボット2の周囲で作業員1が進入可能な領域を制限する安全柵15が設けられている。安全柵15には窓16が形成されており、作業員1が窓16からロボット2が配置された側に手を入れることができるようになっている。
【0054】
このようにして、図6に示すように、安全柵15の、作業員1が位置する側の全体が作業員動作領域3となっている。この際、ロボット4は、そのアーム部などの大きさを適切に設定したり、リンク機構部などの可動範囲をストッパなどによって制限したりすることによって、安全柵15の窓16を通って動かないようになっている。
【0055】
一方、安全柵15の、ロボット2が位置する側では、窓16を通った作業員1の手が届く範囲が協調動作領域5となっており、残りの部分がロボット動作領域4となっている。すなわち、作業員1は安全柵15のためにロボット動作領域4内には物理的に進入できない。協調動作領域5においては、第1の実施形態で説明したのと同様に、ロボット2のコントローラ2aや監視装置2bによって、ロボット2の構成部分の最高速度の制限が行われる。
【0056】
また、図7に示すように、協調動作領域5において、安全柵15から所定の距離以内の部分はロボット進入禁止領域8に設定されている。ロボット進入禁止領域8では、ロボット2のコントローラ2aや監視装置2bによって、ロボット2の構成部分の進入が防止される。
【0057】
第3の実施形態でも、協調動作領域5を設けることによって、作業員1とロボット2が同時に協同して作業を行うことが可能となる。この際、協調動作領域5でロボット2の構成部分の最高速度を制限し、また、安全柵15などの周辺部材から所定の距離内をロボット進入禁止領域8としている。それによって、作業員1が、ロボット2に衝突しそうになっても退避できるようにし、衝突したとしても、大きな衝撃を受けないようにすることができ、作業員1の安全を確保することができる。
【0058】
(第4の実施形態)
図8に示す第4の実施形態は、第3の実施形態の変形例であり、図8には、第3の実施形態と同様の部分には同一の符号を付しており、また、第3の実施形態と同様の生産システムの構成要素の一部は記載を省略しており、それらに関しては、詳細な説明は省略する。
【0059】
第4の実施形態では、窓16を開閉可能な板17が設けられている。図8(a)に示すように、板17を開いた状態では、第3の実施形態において説明したような作業員1とロボット2との協調動作が行われる。
【0060】
一方、協調動作をする必要がない作業工程では、図8(b)に示すように板17を閉じる。それによって、安全柵15のロボット2側の全体が、作業員1が物理的に進入できない領域となる。そこで、リミットスイッチなどによる板17の開閉状態を示す検知信号をロボット2のコントローラ2aや監視装置2bに取り込んで、板17が閉じている時には、協調動作領域5における最高速度の制限やロボット進入禁止領域8への進入の制限を解除する。それによって、協調動作をする必要がない時には、ロボット2の能力を最大限に利用して、生産性を高めることができる。
【0061】
なお、図8には、窓16の上辺に取り付けられた回転式ヒンジによって板17を開閉可能とした構成を示しているが、窓16の左辺または右辺に取り付けた回転式ヒンジによって板17を開閉可能としてもよい。あるいは、板17は、上下または左右方向にスライドさせて開閉できるように構成してもよい。
【0062】
また、板17で作業員1が安全柵15の窓16に物理的に進入できないようにする代わりに、光電センサや光追尾センサ等を用い、作業員1が安全柵15の窓16を通過したときに、ロボット2が停止、減速または回避動作をするようにしてもよい。
【0063】
(第5の実施形態)
図9〜12に示す第5の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、図9〜12には、第1の実施形態と同様の部分には同一の符号を付しており、また、第1の実施形態と同様の生産システムの構成要素の一部は記載を省略しており、それらに関しては、詳細な説明は省略する。
【0064】
第5の実施形態では、ロボット2が安全マット20上に配置されている。安全マット20は、その上に作業員1が乗ると、作業員1の重量を感知する装置である。安全マット20の感知信号は、ロボット2のコントローラ2aおよび/または監視装置2bに入力され、作業員1が安全マット20に乗ると、作業員1とロボット2との接近が適当な手段によって検知され、ロボット2が停止または減速させられる。
【0065】
作業員1は安全マット20を踏まずにロボット2に近づくことはできないため、ロボット2が動作している状態で作業員1が手を届かせることができる範囲は、安全マット20の縁から一定の距離までの領域に限られている。一方、ロボット2の可動範囲は、必要に応じてストッパなどが用いられて、安全マット20上の所定の範囲内になっている。
【0066】
このようにして、第5の実施形態でも、図10に示すように、作業員動作領域3、ロボット動作領域4、および両者の間の協調動作領域5が設けられている。第1の実施形態と同様に、協調動作領域5では、ロボット2の最高速度が低速に制限される。また、協調動作領域5において、周辺部材である安全マット20上の所定の高さまでの部分には、ロボット進入禁止領域8が設けられている。
【0067】
第5の実施形態でも、協調動作領域5を設けることによって、作業員1とロボット2が同時に協同して作業を行うことが可能となる。この際、協調動作領域5でロボット2の構成部分の最高速度を制限し、また、安全マット20などの周辺部材から所定の距離内をロボット進入禁止領域8としている。それによって、作業員1が、ロボット2に衝突しそうになっても退避できるようにし、衝突したとしても、大きな衝撃を受けないようにすることができ、作業員1の安全を確保することができる。
【0068】
なお、第5の実施形態では、安全マット20の大きさによっては、ロボット2の多くの部分が協調動作領域5内に進入できる場合がある。そこで、例えば、図11に示すように、ロボット2のリンク機構によって互いに対して回転可能に連結されたアーム22,23の連結部が協調動作領域5内に進入する場合には、アーム22,23間の相対角度を所定の値より小さくならないように制限してもよい。それによって、作業員2の手21がアーム22,23間に挟まれるのを防止することができる。
【0069】
アーム22,23間の相対角度の制限は、ロボット進入禁止領域8へのロボット2の進入制限と同様に、ロボット2のコントローラ2aおよび/または監視装置2bのソフトウェアによって実現することができる。あるいは、ストッパを用いて物理的に動作を制限したり、リミットスイッチやカメラによって相対角度を監視し、所定の値より小さくなった時にロボット2を停止させるようにしたりしてもよい。
【0070】
また、第5の実施形態でも、第2および第4の実施形態で示したように、協調動作が必要ない時には、協調動作領域5の制限を解除するようにしてもよい。図12は、このような例として、協調動作領域5を作業員1のみが動作する領域25に設定できるようにした例を示している。
【0071】
また第5の実施形態において、ロボット2の動作中に作業員1がロボット2に接近したとき(または該接近を適当な検知手段が検知したとき)、具体的には協調動作領域5に入ったときに、ロボット2の最高速度を、作業員1が協調動作領域5に入っていないとき(該接近が検知されていないとき)の最高速度(例えばロボット2の性能が最大限に発揮され得る速度)より低速に制限してもよい。
【0072】
すなわち、ロボット2のコントローラ2aによって、ロボット2の動作範囲をロボット動作領域4のみに制限するように制御を行うことによって、協調動作領域5を作業員1のみが動作する領域25とすることができる。この際、カメラ30によってロボット2を監視し、ロボット2が領域25に進入して作業員1とロボット2との接近が検知されたときは、ロボット2を停止、減速または回避動作をさせるようにすることができる。
【0073】
カメラ30は複数設けてもよく、例えば、ロボット2に対して複数の方向から作業員1が作業を行うことができる構成の場合、種々の方向にカメラ30を設けて監視する構成としてもよい。また、協調動作領域5を、第2の実施形態において示したように、ロボット2のみが動作する領域に設定したり、作業員1のみが動作する領域とロボット2のみが動作する領域とに分割するように設定したりできるようにしてもよい。また、カメラ30の代わりに、第2の実施形態において示したように、光電センサを用いて監視を行ってもよい。
【0074】
(第6の実施形態)
図13,14に示す第6の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、図13,14には、第1の実施形態と同様の部分には同一の符号を付しており、また、第1の実施形態と同様の生産システムの構成要素の一部は記載を省略しており、それらに関しては、詳細な説明は省略する。第6の実施形態は、第2の実施形態と同様に、協調動作領域5を作業員のみが動作する領域および/またはロボットのみが動作する領域として利用する動作モードに切り替えることができるようにするものであり、この際、作業員のみが動作する領域を確保するのに、第2の実施形態とは別の方策を用いるものである。
【0075】
図13は、図1と同様に、作業員1とロボット2が机6を挟んでおり、作業員動作領域3、ロボット動作領域4、協調動作領域5が存在する。ロボット2は自走手段または走行軸などの走行手段を備えており、例えば矢印31で示す方向に移動可能である。図14に示すように、ロボット2が机6から離れるとロボット2は協調動作領域5に物理的に侵入できなくなる。走行軸部のエンコーダ、あるいは外部に設けたカメラや光追尾センサ、光電センサなどの情報をコントローラ2aや監視装置2bに取り込んで、ロボット2が机6から離れている時は、協調動作領域5を作業員動作領域3として利用する動作モードに切り替えることができる。このように、走行手段が、ロボット2が協調動作領域5への進入を制限する手段となる。また、協調動作領域5の途中までしかロボット2の動作範囲に含まれない位置にロボット2を移動させ、協調動作領域5を作業員1のみが動作する領域とロボット2のみが動作する領域とに分割する動作モードに切り替えてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 作業員
2 ロボット
3 作業員動作領域
4 ロボット動作領域
5 協調動作領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットと人間が同じ空間で同時に作業を行うための協調動作領域が設けられた生産システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットを用いた生産システムでは、ロボットと人間が同じ作業空間で同時に作業を行うことがないように人間とロボットの作業空間を完全に分離するための安全柵が設置されるのが一般的である。安全柵によって、ロボットの動作中には、人間がロボットの可動範囲内に物理的に侵入できないようにして人間の安全が確保されている。
【0003】
しかし、近年、生産現場では、稼動するロボットの可動範囲内で人間が段取り作業などを行うことにより生産性を向上させたいといった要望が多くある。これに対して、従来は、ロボットの各軸の動作を制限するストッパを設けることによってロボットの動作領域を制限し、本来はロボットの可動範囲である領域内に、人間が安全に進入できる保護領域を設けるという方策がとられていた。
【0004】
ところがストッパによる制限では、人間が進入できる保護領域を大きくするとロボットの動作領域が小さくなってしまい、ロボットの可能な作業が制限されたり、効率の低下を招いたりする。また、保護領域は、ストッパを外さなければ変更できないので、ロボットの稼動中には変更できず、人間の作業が必要ない時にまで、ロボットの動作が制限される。これらのことから、ストッパによる制限を行う方策では、生産性を高めるには難があった。
【0005】
また、人間がロボットの可動範囲内に進入して、ロボットが必要とする部品を供給し、または部品を取り出すといった場合には、人間とロボットが同じ作業空間で作業を行う必要がある。そのような場合は、通常、人間は、ロボットを停止させてからその可動範囲内に進入する必要がある。そのため、ロボットの生産性を著しく低下させてしまうことになる。
【0006】
特許文献1では、ロボットの可動範囲内に人間が作業を行うための領域を設定し、その領域への人間やロボットの進入を検出するセンサを設けている。そして、人間またはロボットの進入がセンサによって検出されると、セイフティコントローラによりロボットを停止または減速させることで人間の安全を確保している。さらに、特許文献1では、ロボットの可動範囲内に人間が作業を行うための領域を複数設定し、それらの各領域に人間やロボットの進入を検出するセンサを設け、それらのセンサを有効な状態と無効な状態とに切り替えることができるようにしている。それによって、人間とロボットが同じ作業空間において時間的に入れ替わりで作業を行うことができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−283450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された構成でも、人間とロボットは、依然として、同時には同じ作業空間で作業をすることはできない。しかし、近年のさらなるコスト意識の高まりにより、人間とロボットが同じ作業空間で同時に作業を行う協調動作を可能とすることが求められている。すなわち、このような協調動作は、例えば、人間が組立などの複雑な作業を行い、ロボットが人間に必要な部品を供給する場合などに求められ、このような場合、協調動作を行うことによって、生産効率の向上を期待することができる。
【0009】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、人間の安全を確保しながら、人間とロボットが同じ作業空間で同時に作業を行う協調動作を可能とする生産システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するため、本発明の生産システムは、ロボットと、該ロボットを制御する制御手段と、作業員が進入可能であって前記ロボットが進入できない作業員動作領域と、前記作業員及び前記ロボットの双方が進入可能な協調動作領域とを有する生産システムであって、前記制御手段は、前記ロボットの構成部分が前記協調動作領域に入っている時に前記ロボットの構成部分の最高速度を前記協調動作領域外におけるよりも低速に制限するか、または、前記ロボットの動作中に前記作業員が前記協調動作領域に進入したときに前記ロボットの構成部分の最高速度を前記作業員が前記協調動作領域に進入していないときよりも低速に制限し、かつ、前記協調動作領域内で周辺部材から所定の距離内に設定したロボット進入禁止領域に前記ロボットの構成部分が進入しないように前記ロボットの動作を制御する協調動作モードを有することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、作業員は、協調動作を行っているときまたは協調動作領域内に進入したときに、ロボットに衝突しそうになった場合、ロボットの最高速度が低速に制限されているので、容易に退避行動をとることができ、かつ、ロボット進入禁止領域が設定されているので、ロボットと周辺部材との間に挟まれて退避できなくなることもない。また、ロボットの最高速度が低速に制限されているので、作業員がロボットに衝突したとしても、大きな衝撃を受けるのを抑制することができる。
【0012】
本発明の生産システムには、協調動作モードで、協調動作領域内でのロボットの構成部分の速度が所定の速度を超えた時、または、ロボットの構成部分がロボット進入禁止領域に進入した時にロボットを停止させる手段をさらに設けてもよい。それによって、協調領域内でロボットが高速で動作したり、ロボット進入禁止領域に進入したりするのをより確実に抑制し、安全性を高めることができる。
【0013】
本発明の生産システムでは、制御手段が、ロボットの構成部分が協調動作領域内に入らないようにし、協調動作領域内で作業員のみが動作するようにする第1の動作モードと、協調動作領域内でのロボットの構成部分の最高速度の制限およびロボット進入禁止領域へのロボットの進入制限を解除し、協調動作領域内でロボットのみを動作させる第2の動作モードと、協調動作領域をロボットのみを動作させる領域と、作業員のみが動作するようにした領域とに分割する第3の動作モードと、のうちの少なくとも1つの動作モードをさらに有するようにしてもよい。それによって、協調動作をする必要がない作業工程で、協調動作領域における動作制限を解除してロボットが最大限の能力を発揮できるようにしたり、作業員の作業領域を広く確保したりして、生産性の向上を図ることができる。
【0014】
本発明の生産システムは、第1の動作モードで、協調動作領域にロボットが進入した時にロボットを停止させ、減速させまたは回避動作をさせる手段、または協調動作領域へのロボットの進入を制限する手段をさらに有してもよい。
【0015】
本発明の生産システムは、第2の動作モードで、協調動作領域に作業員が進入した時にロボットを停止させ、減速させまたは回避動作をさせる手段、または協調動作領域への作業員の進入を制限する手段をさらに有してもよい。
【0016】
本発明の生産システムは、第3の動作モードで、ロボットのみを動作させる領域に作業員が進入した時にロボットを停止させ、減速させまたは回避動作させる手段、または、ロボットのみを動作させる領域への作業員の進入を制限する手段をさらに有してもよい。
【0017】
本発明の生産システムは、第3の動作モードで、作業員のみが動作するようにした領域にロボットが進入した時にロボットを停止させ、減速させまたは回避動作をさせる手段、または作業員のみが動作するようにした領域へのロボットの進入を制限する手段をさらに有してもよい。
【0018】
本発明の生産システムは、第1の動作モードで、協調動作領域にロボットが進入したことを検知する第1のセンサと、第2の動作モードで、協調動作領域に作業員が進入したことを検知する第2のセンサと、第3の動作モードで、協調動作領域におけるロボットのみを動作させる領域に作業員が進入したこと、または協調動作領域における作業員のみが動作する領域にロボットが進入したことを検知する第3のセンサと、をさらに有し、第1、第2及び第3のモードの切り替えを、第1、第2及び第3のセンサのオン・オフの切り替えによって行うようにしてもよい。
【0019】
本発明の生産システムは、ロボットが進入可能であって作業員が進入できず、ロボットの動作制限が解除されるロボット動作領域をさらに有してもよい。
【0020】
協調動作領域内でロボットのみを動作させる第2の動作モードで、協調動作領域に作業員が進入した時にロボットを停止させる手段または減速させる手段または回避動作をさせる手段、または協調動作領域への作業員の進入を制限する手段を設け、協調動作領域をロボットのみを動作させる領域と、作業員のみが動作するようにした領域とに分割する第3の動作モードで、ロボットのみを動作させる領域に作業員が進入した時にロボットを停止させる手段または減速させる手段または回避動作をさせる手段、またはロボットのみを動作させる領域への作業員の進入を制限する手段を設けることができる。それによって、作業員が、動作しているロボットに衝突して大きな衝撃を受けるのを防止し、または衝撃を低減することができる。
【0021】
また、協調動作領域内で作業員のみが動作するようにする第1の動作モードで、協調動作領域にロボットが進入した時にロボットを停止させる手段または減速させる手段または回避動作をさせる手段、または協調動作領域へのロボットの進入を制限する手段を設け、協調動作領域をロボットのみを動作させる領域と、作業員のみが動作するようにした領域とに分割する第3の動作モードで、作業員のみが動作するようにした領域にロボットが進入した時にロボットを停止させる手段または減速させる手段または回避動作をさせる手段、または作業員のみが動作するようにした領域へのロボットの進入を制限する手段をさらに設けてもよい。それによって、作業員のみが動作するようにした領域の安全性をより高めることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、人間の安全を確保しながら、一方でロボットの動作を過剰に制限することなく、人間とロボットが同じ作業空間を同時に共有して作業する協調動作を可能とする生産システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態の生産システムの側面図である。
【図2】図1の生産システムにおける作業員動作領域、ロボット動作領域、および協調動作領域を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図3】図2(b)に示す協調動作領域内のロボット進入禁止領域の部分の拡大図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の生産システムの平面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態の生産システムの斜視図である。
【図6】図5の生産システムにおける作業員動作領域、ロボット動作領域、および協調動作領域を示す側面図である。
【図7】図6に示す協調動作領域内のロボット進入禁止領域の部分の拡大図である。
【図8】本発明の第4の実施形態の生産システムの斜視図である。
【図9】本発明の第5の実施形態の生産システムの斜視図である。
【図10】図9の生産システムにおける作業員動作領域、ロボット動作領域、および協調動作領域を示す側面図である。
【図11】図9の生産システムにおけるロボットのアームの動作範囲の制限を説明するための斜視図である。
【図12】図9の生産システムにおける協調動作領域を作業員の動作領域として利用する動作モードへの切り替えを説明するための側面図である。
【図13】本発明の第6の実施形態の生産システムの側面図である。
【図14】図13の生産システムで、協調動作領域を作業員のみが動作する領域に切り替えた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0025】
(第1の実施形態)
図1に示すように、本実施形態の生産システムには、作業机6が設けられている。作業机6の側方には、ロボット2が設けられている。作業机6の、ロボット2が設けられたのとは反対側には、作業員1のための座席7が設けられている。
【0026】
図1に示す例では、ロボット2としては、ワークや加工工具を保持可能なハンド9が先端に取り付けられた一般的な多関節ロボットを示しているが、公知の他の構成のロボットであってもよく、その詳細は、本発明には直接関係しないので説明を省略する。ロボット2には、そのリンク機構の駆動モータなどの駆動部を制御して、ロボット2の動作を制御するコントローラ2aが付属している。
【0027】
いずれにしてもロボット2は、作業机6上でワークの加工や搬送などの作業を行うことができるようになっている。この際、ロボット2の可動範囲は、作業机6上の全領域には及ばないようになっている。ここで、ロボット2の可動範囲とは、ロボット2の構成部分が物理的に移動可能な範囲であり、例えば、ロボット2を構成するアームやハンド9の大きさ、それらを連結するリンク機構の回転可能範囲によって定まる。また、ロボット2の可動範囲は、ストッパなどによって物理的にリンク機構などの可動範囲を制限することにより設定されたものであってもよい。なお、ロボット2の構成部分には、ハンド9によって保持されるワークや加工工具など、ロボット2の動作によってアームなどと一緒に移動するものも含まれていてよい。
【0028】
また、座席7に座った作業員1も、手が届く範囲は作業机6上の全領域には及ばないようになっている。すなわち、作業員1が座席7に座って作業を行う場合、物理的に手の届く範囲は有限であり、作業机6は、作業員1の手が届かない範囲が生じるのに十分な大きさを有している。言い換えれば、作業机6と座席7によって、ロボット2の周囲で作業員1が進入可能な領域が制限されている。
【0029】
このようにして、図2に示すように、作業机6上の空間は、作業員動作領域3、ロボット動作領域4、および協調動作領域5の3つの領域に分かれている。すなわち、作業員動作領域3は、ロボット2の可動範囲外であり、ロボット2の動作状態に関係なく、ロボット2の構成部分が物理的に進入できない領域であり、作業員1のみが存在可能な領域である。ロボット動作領域4は、座席7に座った作業員1の手が届かない領域であり、ロボット2のみが存在可能な領域である。そして、協調動作領域5は、作業員動作領域3とロボット動作領域4との間に挟まれた領域であり、作業員1もロボット2も進入可能な領域である。なお、図2では、分かりやすくするために、協調動作領域5などの各領域は、ほぼ直方体の形状としているが、一般には、曲面によって区切られたより複雑な形状を有するものであってよい。
【0030】
第1の実施形態の生産システムでは、協調動作領域5には、作業員1もロボット2も進入可能であるため、両者が衝突する可能性がある。そこで、協調動作領域5内ではロボット動作領域4におけるよりもロボット2の最高速度を低速に制限している。それによって、作業員1は、ロボット2に衝突しそうになった時に回避行動をとることができ、衝突したとしても、大きな衝撃を受けなくて済むようにすることができる。
【0031】
協調動作領域5におけるロボット2の最高速度は、例えば、ISO10218−1に低速制御として規定されている250mm/sに設定することができる。もちろん、最高速度をより低速に設定してもよい。
【0032】
さらに、協調動作領域5には、作業机6などの周辺部材とロボット2の構成部分との間に作業員1の身体の一部が挟まれないようにするために、周辺部材に対して所定の距離内の部分にロボット進入禁止領域8が設けられている。また、図3により詳細に示すように、作業机6上に治具やワークなどの部材10が存在する場合には、部材10から所定の距離内の部分にもロボット進入禁止領域8が設けられている。このように、周辺部材とは、ロボット2の可動範囲内またはその近辺に存在し、作業員1が、ロボット2との間に挟まれる可能性のある任意の部材を意味している。
【0033】
協調動作領域5における最高速度の制限とロボット進入禁止領域8へのロボット1の進入制限は、コントローラ2aのソフトウェアによって実現することができる。すなわち、コントローラ2aには、通常、ロボット2の制御のためにロボット2の各駆動モータの位置などの情報が取り込まれる。それらの情報から、コントローラ2aによって、ロボット2の構成部分が協調動作領域5に進入しているかどうかを判定することができる。そして、コントローラ2aによって、ロボット2の構成部分が協調動作領域5に進入している場合には、ロボット2の構成部分の速度が、設定された低速の最高速度を越えないように、ロボット2の各駆動部の動作を調整することができる。
【0034】
また、コントローラ2aには、作業机6や部材10などの周辺部材の位置の情報もロボット2の制御のために取り込まれるのが普通である。したがって、それらの情報から、コントローラ2aによって、ロボット進入禁止領域8を自動的に設定し、設定したロボット進入禁止領域8内には、ロボット2の構成部分が進入しないように、ロボット2の各駆動部の動作を調整することができる。あるいは、ロボット進入禁止領域8は、作業工程の教示時などに、オペレータが予め設定しておいてもよい。
【0035】
さらに、協調動作領域5においてロボット2の構成部分の速度が、設定された最高速度を超え、またはロボット2の構成部分がロボット進入禁止領域8に進入した時にロボット2を停止させる監視装置2bを設けてもよい。監視装置2bは、ロボット2の各駆動部のエンコーダあるいはコントローラ2aから取り込んだ情報に基づいてロボット2の構成部分の位置や速度を監視するのに用いることができる。あるいは、監視装置2bは、カメラや光追尾センサなどによってロボット2の所定部の速度や位置、さらには、周辺部材の位置などを計測することにより監視を行うものであってもよい。また、監視装置2bは、ロボット2の構成部分の速度が、設定された最高速度を超え、またはロボット2の構成部分がロボット進入禁止領域8に進入した時にロボット2を減速、停止または回避動作をさせるものであってもよい。
【0036】
監視装置2bは、特に、通常の制御を行うコントローラ2aよりも信頼性を高めたセイフティコントローラとして構成することができる。あるいは、監視装置2bは、コントローラ2aの通常の制御を行うソフトウェア部分とは別のソフトウェア部分として構成してもよい。
【0037】
以上説明した本実施形態の生産システムによれば、作業員1とロボット2は、協調動作領域5において、同時に協同して作業を行うことができる。したがって、例えば、作業員1が作業を行うのに必要な部品や治具をロボット2によって作業員1の手の届く所に供給する作業工程を実現することができる。また、例えば、ロボット2自体を治具として利用し、すなわち、例えば、ワークを作業員1が加工を実行しやすい位置および姿勢にロボット2によって保持した状態で作業員1が加工を行う作業工程を実現することができる。
【0038】
この際、第1の実施形態の生産システムでは、協調動作領域5においてロボット2の最高速度が低速に制限され、かつ、作業机6や部材10などの周辺部材から所定距離内の部分がロボット進入禁止領域8に設定される。それによって、作業員1が、ロボット2に衝突して大きな衝撃を受けたりロボット2と周辺部材との間に挟まれたりするのを防止することができる。ロボット2は、ロボット動作領域4では動作の制限を受けず、或いは協調動作領域5内でしか動作の制限を受けないので、動作制限を最小限に抑え、高い生産性を確保することができる。
【0039】
(第2の実施形態)
作業者及びロボットが協調作業を行う必要がない場合には、上述の領域5は作業者及びロボットの一方のみが作業する領域として設定することができる。この場合は、ロボットの最高速度制限等が不要となるので、生産性の向上が図られるが、領域5は作業者及びロボットの双方が進入可能な領域であるので、該領域内での両者間の深刻な衝突等を防止する必要がある。以下、そのための第2の実施形態について説明する。
【0040】
図4に示す第2の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、図4には、第1の実施形態と同様の部分には同一の符号を付しており、また、第1の実施形態と同様の生産システムの構成要素の一部は記載を省略しており、それらに関しては、詳細な説明は省略する。
【0041】
第2の実施形態の生産システムは、状況に応じて、協調動作領域5を作業員のみが動作する領域および/またはロボットのみが動作する領域として利用する動作モードに切り替えることができるようにしたものである。このために、本実施形態では、光電センサ等の第1のセンサ12a、第2のセンサ12bおよび第3のセンサ12cの検出信号を利用している。
【0042】
光電センサ12a,12b,12cは、所定の境界に沿って光線を発生し、光線が遮光されるのを検知することによって、設定された境界を作業員1またはロボット2が通過するのを検出するものである。図4には、各光電センサ12a,12b,12cによって設定された境界を模式的に示している。
【0043】
図4(a)は、協調動作領域5を作業員1のみが動作する領域13として利用するように設定した第1の動作モードを説明する図である。この際には、ロボット2のコントローラ2aは、ロボット2の構成部分が領域13に進入しないようにロボット2の動作を制御する。
【0044】
図4(a)の第1の動作モードでは、さらに、領域13とロボット動作領域4の境界に設けられた第1の光電センサ12aを利用することができる。すなわち、監視装置2bによって、光電センサ12aの信号に応じ、光電センサ12aが設けられた境界をロボット2が通過した時には、ロボット2を停止または減速させることができる。それによって、領域13における作業員1の安全性をより高めることができる。
【0045】
図4(b)は、協調動作領域5をロボット2のみが動作する領域14として利用するように設定した第2の動作モードを説明する図である。この際には、ロボット2のコントローラ2aは、第1の実施形態において説明した協調動作領域5における最高速度制限やロボット進入禁止領域8への進入制限を解除する。それによって、協調動作が必要ない状態で、ロボット2の性能を最大限に利用して、生産性の向上を図ることができる。
【0046】
図4(b)の第2の動作モードでは、さらに、領域14と作業員動作領域3の境界に設けられた第2の光電センサ12bを利用することができる。すなわち、監視装置2bによって、光電センサ12bの信号に応じ、光電センサ12bが設けられた境界を作業員1が通過した時には、ロボット2を停止または減速させることができる。それによって、作業員1が、ロボット2が動作するように設定された領域14に不用意に進入して、高速で動作するロボット2に衝突するのを防止または衝突を緩和し、安全性を高めることができる。
【0047】
図4(c)は、協調動作領域5のうち、任意の位置を境界として、作業員動作領域3側を作業員のみが動作する領域13’、ロボット動作領域4側をロボットのみが動作する領域14’として利用するように分割した第3の動作モードを説明する図である。この際には、ロボット2のコントローラ2aは、領域13’にはロボット2の構成部分が進入しないようにロボット2の動作を制御する。また、コントローラ2aは、領域14’内では、最高速度制限やロボット進入禁止領域8への進入制限を行わない。
【0048】
図4(c)の第3の動作モードでは、さらに、領域14と作業員動作領域3の境界に設けられた第3の光電センサ12cを利用することができる。すなわち、監視装置2bによって、光電センサ12cの信号に応じ、光電センサ12cが設けられた境界をロボット2または作業員1が通過した時には、ロボット2を停止または減速させることができる。それによって、作業員1と高速で移動するロボット2が不用意に接触するのを防止または衝突を緩和し、安全性を高めることができる。
【0049】
第1の光電センサ12aは、図4(a)に示す第1の動作モードが設定されているときにのみ作動させるのが好ましい。また第2の光電センサ12bは、図4(b)に示す第2の動作モードが設定されているときにのみ作動させるのが好ましい。同様に第3の光電センサ12cは、図4(c)に示す第3の動作モードが設定されているときにのみ作動させるのが好ましい。それによって、作業員1は、いずれの光電センサが作動しているかによって、ロボット2の動作領域がどの範囲までに設定されているのかを認識することができる。その結果、作業員1が不用意にロボット2の動作領域内に進入するのを抑制することができる。
【0050】
第2の実施形態では、動作モードの切り替え、すなわち協調動作を行う状態と行わない状態との切り替え、および、協調動作を行わない状態において人間のみが動作する領域とロボットのみが動作する領域の境界の変更を、コントローラ2aのソフトウェアによって、また、必要に応じて光電センサ12a,12b,12cのオン・オフ状態を切り替えることによって行うことができる。したがって、生産システムの稼動中でも、迅速に動作モードを切り替えることができ、それによって、作業工程に応じて動作モードを迅速に切り替えることができ、生産効率を向上させることができる。
【0051】
なお、第2の実施形態では、光電センサの代わりに、可動式の物理的構造物や、外部に設けたカメラや光追尾センサなどを用いて、作業員1やロボット2が所定の境界を通過するのを監視する構成とすることも考えられる。また、この際には、必要に応じて、作業員1の動作領域とロボット2の動作領域の境界がどこに設定されているかをランプなどによって表示することができる。さらに、外部に設けたカメラや光追尾センサで、作業員1とロボット2の位置を計測し、その情報をコントローラ2aや監視装置2bに取り込んで、作業員1とロボット2の相対位置を計算し、作業員1やロボット2が所定の境界を通過した際、ロボット2が作業員1と接触しないようにロボット2に回避動作をさせて、安全性を確保することもできる。
【0052】
(第3の実施形態)
図5〜7に示す第3の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、図5〜7には、第1の実施形態と同様の部分には同一の符号を付しており、また、第1の実施形態と同様の生産システムの構成要素の一部は記載を省略しており、それらに関しては、詳細な説明は省略する。
【0053】
第3の実施形態の生産システムでは、作業員1とロボット2の間に、ロボット2の周囲で作業員1が進入可能な領域を制限する安全柵15が設けられている。安全柵15には窓16が形成されており、作業員1が窓16からロボット2が配置された側に手を入れることができるようになっている。
【0054】
このようにして、図6に示すように、安全柵15の、作業員1が位置する側の全体が作業員動作領域3となっている。この際、ロボット4は、そのアーム部などの大きさを適切に設定したり、リンク機構部などの可動範囲をストッパなどによって制限したりすることによって、安全柵15の窓16を通って動かないようになっている。
【0055】
一方、安全柵15の、ロボット2が位置する側では、窓16を通った作業員1の手が届く範囲が協調動作領域5となっており、残りの部分がロボット動作領域4となっている。すなわち、作業員1は安全柵15のためにロボット動作領域4内には物理的に進入できない。協調動作領域5においては、第1の実施形態で説明したのと同様に、ロボット2のコントローラ2aや監視装置2bによって、ロボット2の構成部分の最高速度の制限が行われる。
【0056】
また、図7に示すように、協調動作領域5において、安全柵15から所定の距離以内の部分はロボット進入禁止領域8に設定されている。ロボット進入禁止領域8では、ロボット2のコントローラ2aや監視装置2bによって、ロボット2の構成部分の進入が防止される。
【0057】
第3の実施形態でも、協調動作領域5を設けることによって、作業員1とロボット2が同時に協同して作業を行うことが可能となる。この際、協調動作領域5でロボット2の構成部分の最高速度を制限し、また、安全柵15などの周辺部材から所定の距離内をロボット進入禁止領域8としている。それによって、作業員1が、ロボット2に衝突しそうになっても退避できるようにし、衝突したとしても、大きな衝撃を受けないようにすることができ、作業員1の安全を確保することができる。
【0058】
(第4の実施形態)
図8に示す第4の実施形態は、第3の実施形態の変形例であり、図8には、第3の実施形態と同様の部分には同一の符号を付しており、また、第3の実施形態と同様の生産システムの構成要素の一部は記載を省略しており、それらに関しては、詳細な説明は省略する。
【0059】
第4の実施形態では、窓16を開閉可能な板17が設けられている。図8(a)に示すように、板17を開いた状態では、第3の実施形態において説明したような作業員1とロボット2との協調動作が行われる。
【0060】
一方、協調動作をする必要がない作業工程では、図8(b)に示すように板17を閉じる。それによって、安全柵15のロボット2側の全体が、作業員1が物理的に進入できない領域となる。そこで、リミットスイッチなどによる板17の開閉状態を示す検知信号をロボット2のコントローラ2aや監視装置2bに取り込んで、板17が閉じている時には、協調動作領域5における最高速度の制限やロボット進入禁止領域8への進入の制限を解除する。それによって、協調動作をする必要がない時には、ロボット2の能力を最大限に利用して、生産性を高めることができる。
【0061】
なお、図8には、窓16の上辺に取り付けられた回転式ヒンジによって板17を開閉可能とした構成を示しているが、窓16の左辺または右辺に取り付けた回転式ヒンジによって板17を開閉可能としてもよい。あるいは、板17は、上下または左右方向にスライドさせて開閉できるように構成してもよい。
【0062】
また、板17で作業員1が安全柵15の窓16に物理的に進入できないようにする代わりに、光電センサや光追尾センサ等を用い、作業員1が安全柵15の窓16を通過したときに、ロボット2が停止、減速または回避動作をするようにしてもよい。
【0063】
(第5の実施形態)
図9〜12に示す第5の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、図9〜12には、第1の実施形態と同様の部分には同一の符号を付しており、また、第1の実施形態と同様の生産システムの構成要素の一部は記載を省略しており、それらに関しては、詳細な説明は省略する。
【0064】
第5の実施形態では、ロボット2が安全マット20上に配置されている。安全マット20は、その上に作業員1が乗ると、作業員1の重量を感知する装置である。安全マット20の感知信号は、ロボット2のコントローラ2aおよび/または監視装置2bに入力され、作業員1が安全マット20に乗ると、作業員1とロボット2との接近が適当な手段によって検知され、ロボット2が停止または減速させられる。
【0065】
作業員1は安全マット20を踏まずにロボット2に近づくことはできないため、ロボット2が動作している状態で作業員1が手を届かせることができる範囲は、安全マット20の縁から一定の距離までの領域に限られている。一方、ロボット2の可動範囲は、必要に応じてストッパなどが用いられて、安全マット20上の所定の範囲内になっている。
【0066】
このようにして、第5の実施形態でも、図10に示すように、作業員動作領域3、ロボット動作領域4、および両者の間の協調動作領域5が設けられている。第1の実施形態と同様に、協調動作領域5では、ロボット2の最高速度が低速に制限される。また、協調動作領域5において、周辺部材である安全マット20上の所定の高さまでの部分には、ロボット進入禁止領域8が設けられている。
【0067】
第5の実施形態でも、協調動作領域5を設けることによって、作業員1とロボット2が同時に協同して作業を行うことが可能となる。この際、協調動作領域5でロボット2の構成部分の最高速度を制限し、また、安全マット20などの周辺部材から所定の距離内をロボット進入禁止領域8としている。それによって、作業員1が、ロボット2に衝突しそうになっても退避できるようにし、衝突したとしても、大きな衝撃を受けないようにすることができ、作業員1の安全を確保することができる。
【0068】
なお、第5の実施形態では、安全マット20の大きさによっては、ロボット2の多くの部分が協調動作領域5内に進入できる場合がある。そこで、例えば、図11に示すように、ロボット2のリンク機構によって互いに対して回転可能に連結されたアーム22,23の連結部が協調動作領域5内に進入する場合には、アーム22,23間の相対角度を所定の値より小さくならないように制限してもよい。それによって、作業員2の手21がアーム22,23間に挟まれるのを防止することができる。
【0069】
アーム22,23間の相対角度の制限は、ロボット進入禁止領域8へのロボット2の進入制限と同様に、ロボット2のコントローラ2aおよび/または監視装置2bのソフトウェアによって実現することができる。あるいは、ストッパを用いて物理的に動作を制限したり、リミットスイッチやカメラによって相対角度を監視し、所定の値より小さくなった時にロボット2を停止させるようにしたりしてもよい。
【0070】
また、第5の実施形態でも、第2および第4の実施形態で示したように、協調動作が必要ない時には、協調動作領域5の制限を解除するようにしてもよい。図12は、このような例として、協調動作領域5を作業員1のみが動作する領域25に設定できるようにした例を示している。
【0071】
また第5の実施形態において、ロボット2の動作中に作業員1がロボット2に接近したとき(または該接近を適当な検知手段が検知したとき)、具体的には協調動作領域5に入ったときに、ロボット2の最高速度を、作業員1が協調動作領域5に入っていないとき(該接近が検知されていないとき)の最高速度(例えばロボット2の性能が最大限に発揮され得る速度)より低速に制限してもよい。
【0072】
すなわち、ロボット2のコントローラ2aによって、ロボット2の動作範囲をロボット動作領域4のみに制限するように制御を行うことによって、協調動作領域5を作業員1のみが動作する領域25とすることができる。この際、カメラ30によってロボット2を監視し、ロボット2が領域25に進入して作業員1とロボット2との接近が検知されたときは、ロボット2を停止、減速または回避動作をさせるようにすることができる。
【0073】
カメラ30は複数設けてもよく、例えば、ロボット2に対して複数の方向から作業員1が作業を行うことができる構成の場合、種々の方向にカメラ30を設けて監視する構成としてもよい。また、協調動作領域5を、第2の実施形態において示したように、ロボット2のみが動作する領域に設定したり、作業員1のみが動作する領域とロボット2のみが動作する領域とに分割するように設定したりできるようにしてもよい。また、カメラ30の代わりに、第2の実施形態において示したように、光電センサを用いて監視を行ってもよい。
【0074】
(第6の実施形態)
図13,14に示す第6の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、図13,14には、第1の実施形態と同様の部分には同一の符号を付しており、また、第1の実施形態と同様の生産システムの構成要素の一部は記載を省略しており、それらに関しては、詳細な説明は省略する。第6の実施形態は、第2の実施形態と同様に、協調動作領域5を作業員のみが動作する領域および/またはロボットのみが動作する領域として利用する動作モードに切り替えることができるようにするものであり、この際、作業員のみが動作する領域を確保するのに、第2の実施形態とは別の方策を用いるものである。
【0075】
図13は、図1と同様に、作業員1とロボット2が机6を挟んでおり、作業員動作領域3、ロボット動作領域4、協調動作領域5が存在する。ロボット2は自走手段または走行軸などの走行手段を備えており、例えば矢印31で示す方向に移動可能である。図14に示すように、ロボット2が机6から離れるとロボット2は協調動作領域5に物理的に侵入できなくなる。走行軸部のエンコーダ、あるいは外部に設けたカメラや光追尾センサ、光電センサなどの情報をコントローラ2aや監視装置2bに取り込んで、ロボット2が机6から離れている時は、協調動作領域5を作業員動作領域3として利用する動作モードに切り替えることができる。このように、走行手段が、ロボット2が協調動作領域5への進入を制限する手段となる。また、協調動作領域5の途中までしかロボット2の動作範囲に含まれない位置にロボット2を移動させ、協調動作領域5を作業員1のみが動作する領域とロボット2のみが動作する領域とに分割する動作モードに切り替えてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 作業員
2 ロボット
3 作業員動作領域
4 ロボット動作領域
5 協調動作領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットと、該ロボットを制御する制御手段と、作業員が進入可能であって前記ロボットが進入できない作業員動作領域と、前記作業員及び前記ロボットの双方が進入可能な協調動作領域とを有する生産システムであって、
前記制御手段は、前記ロボットの構成部分が前記協調動作領域に入っている時に前記ロボットの構成部分の最高速度を前記協調動作領域外におけるよりも低速に制限するか、または、前記ロボットの動作中に前記作業員が前記協調動作領域に進入したときに前記ロボットの構成部分の最高速度を前記作業員が前記協調動作領域に進入していないときよりも低速に制限し、かつ、前記協調動作領域内で周辺部材から所定の距離内に設定したロボット進入禁止領域に前記ロボットの構成部分が進入しないように前記ロボットの動作を制御する協調動作モードを有する、生産システム。
【請求項2】
前記協調動作モードで、前記協調動作領域内での前記ロボットの構成部分の速度が所定の速度を超えた時、または、前記ロボットの構成部分が前記ロボット進入禁止領域に進入した時に前記ロボットを停止させる手段をさらに有する、請求項1に記載の生産システム。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記ロボットの構成部分が前記協調動作領域内に入らないようにし、前記協調動作領域内で前記作業員のみが動作するようにする第1の動作モードと、
前記協調動作領域内での前記ロボットの構成部分の最高速度の制限および前記ロボット進入禁止領域への前記ロボットの進入制限を解除し、前記協調動作領域内で前記ロボットのみを動作させる第2の動作モードと、
前記協調動作領域を前記ロボットのみを動作させる領域と、前記作業員のみが動作するようにした領域とに分割する第3の動作モードと、
のうちの少なくとも1つの動作モードをさらに有する、
請求項1又は2に記載の生産システム。
【請求項4】
前記第1の動作モードで、前記協調動作領域に前記ロボットが進入した時に前記ロボットを停止させ、減速させまたは回避動作をさせる手段、または前記協調動作領域への前記ロボットの進入を制限する手段をさらに有する、請求項3に記載の生産システム。
【請求項5】
前記第2の動作モードで、前記協調動作領域に前記作業員が進入した時に前記ロボットを停止させ、減速させまたは回避動作をさせる手段、または前記協調動作領域への前記作業員の進入を制限する手段をさらに有する、請求項3又は4に記載の生産システム。
【請求項6】
前記第3の動作モードで、前記ロボットのみを動作させる前記領域に前記作業員が進入した時に前記ロボットを停止させ、減速させまたは回避動作させる手段、または、前記ロボットのみを動作させる前記領域への前記作業員の進入を制限する手段をさらに有する、請求項3〜5のいずれか1項に記載の生産システム。
【請求項7】
前記第3の動作モードで、前記作業員のみが動作するようにした前記領域に前記ロボットが進入した時に前記ロボットを停止させ、減速させまたは回避動作をさせる手段、または前記作業員のみが動作するようにした前記領域への前記ロボットの進入を制限する手段をさらに有する、請求項3〜6のいずれか1項に記載の生産システム。
【請求項8】
前記第1の動作モードで、前記協調動作領域に前記ロボットが進入したことを検知する第1のセンサと、
前記第2の動作モードで、前記協調動作領域に前記作業員が進入したことを検知する第2のセンサと、
前記第3の動作モードで、前記協調動作領域における前記ロボットのみを動作させる領域に前記作業員が進入したこと、または前記協調動作領域における前記作業員のみが動作する領域に前記ロボットが進入したことを検知する第3のセンサと、をさらに有し、
前記第1、第2及び第3のモードの切り替えを、前記第1、第2及び第3のセンサのオン・オフの切り替えによって行うようにした、請求項3〜7のいずれか1項に記載の生産システム。
【請求項9】
前記ロボットが進入可能であって前記作業員が進入できないロボット動作領域をさらに有し、前記ロボット動作領域内では前記ロボットの動作制限が解除される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の生産システム。
【請求項1】
ロボットと、該ロボットを制御する制御手段と、作業員が進入可能であって前記ロボットが進入できない作業員動作領域と、前記作業員及び前記ロボットの双方が進入可能な協調動作領域とを有する生産システムであって、
前記制御手段は、前記ロボットの構成部分が前記協調動作領域に入っている時に前記ロボットの構成部分の最高速度を前記協調動作領域外におけるよりも低速に制限するか、または、前記ロボットの動作中に前記作業員が前記協調動作領域に進入したときに前記ロボットの構成部分の最高速度を前記作業員が前記協調動作領域に進入していないときよりも低速に制限し、かつ、前記協調動作領域内で周辺部材から所定の距離内に設定したロボット進入禁止領域に前記ロボットの構成部分が進入しないように前記ロボットの動作を制御する協調動作モードを有する、生産システム。
【請求項2】
前記協調動作モードで、前記協調動作領域内での前記ロボットの構成部分の速度が所定の速度を超えた時、または、前記ロボットの構成部分が前記ロボット進入禁止領域に進入した時に前記ロボットを停止させる手段をさらに有する、請求項1に記載の生産システム。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記ロボットの構成部分が前記協調動作領域内に入らないようにし、前記協調動作領域内で前記作業員のみが動作するようにする第1の動作モードと、
前記協調動作領域内での前記ロボットの構成部分の最高速度の制限および前記ロボット進入禁止領域への前記ロボットの進入制限を解除し、前記協調動作領域内で前記ロボットのみを動作させる第2の動作モードと、
前記協調動作領域を前記ロボットのみを動作させる領域と、前記作業員のみが動作するようにした領域とに分割する第3の動作モードと、
のうちの少なくとも1つの動作モードをさらに有する、
請求項1又は2に記載の生産システム。
【請求項4】
前記第1の動作モードで、前記協調動作領域に前記ロボットが進入した時に前記ロボットを停止させ、減速させまたは回避動作をさせる手段、または前記協調動作領域への前記ロボットの進入を制限する手段をさらに有する、請求項3に記載の生産システム。
【請求項5】
前記第2の動作モードで、前記協調動作領域に前記作業員が進入した時に前記ロボットを停止させ、減速させまたは回避動作をさせる手段、または前記協調動作領域への前記作業員の進入を制限する手段をさらに有する、請求項3又は4に記載の生産システム。
【請求項6】
前記第3の動作モードで、前記ロボットのみを動作させる前記領域に前記作業員が進入した時に前記ロボットを停止させ、減速させまたは回避動作させる手段、または、前記ロボットのみを動作させる前記領域への前記作業員の進入を制限する手段をさらに有する、請求項3〜5のいずれか1項に記載の生産システム。
【請求項7】
前記第3の動作モードで、前記作業員のみが動作するようにした前記領域に前記ロボットが進入した時に前記ロボットを停止させ、減速させまたは回避動作をさせる手段、または前記作業員のみが動作するようにした前記領域への前記ロボットの進入を制限する手段をさらに有する、請求項3〜6のいずれか1項に記載の生産システム。
【請求項8】
前記第1の動作モードで、前記協調動作領域に前記ロボットが進入したことを検知する第1のセンサと、
前記第2の動作モードで、前記協調動作領域に前記作業員が進入したことを検知する第2のセンサと、
前記第3の動作モードで、前記協調動作領域における前記ロボットのみを動作させる領域に前記作業員が進入したこと、または前記協調動作領域における前記作業員のみが動作する領域に前記ロボットが進入したことを検知する第3のセンサと、をさらに有し、
前記第1、第2及び第3のモードの切り替えを、前記第1、第2及び第3のセンサのオン・オフの切り替えによって行うようにした、請求項3〜7のいずれか1項に記載の生産システム。
【請求項9】
前記ロボットが進入可能であって前記作業員が進入できないロボット動作領域をさらに有し、前記ロボット動作領域内では前記ロボットの動作制限が解除される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の生産システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−188515(P2010−188515A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12494(P2010−12494)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成20年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト、人間・ロボット協調型セル生産組立システム(次世代産業用ロボット分野)、(先進工業国対応型セル生産組立システムの開発)」に係る委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(390008235)ファナック株式会社 (1,110)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成20年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト、人間・ロボット協調型セル生産組立システム(次世代産業用ロボット分野)、(先進工業国対応型セル生産組立システムの開発)」に係る委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(390008235)ファナック株式会社 (1,110)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]