説明

仕分け装置

【課題】様々な種類の荷物を効率よくかつ安全に仕分けるための仕分け装置を提供すること。
【解決手段】コンベアにより搬送される複数の荷物の仕分けを行う仕分け装置10であって、複数の荷物それぞれの特性情報を取得する特性情報取得部17と、複数の荷物のうちの所定の荷物をコンベアから分岐した第1分岐コンベア〜第3分岐コンベアへ送り出す分岐動作を行う第1分岐部11〜第3分岐部13と、コンベアへ連続して送り出される2つの荷物の間の距離である荷物間隔を調整する間隔調整部18と、特性情報取得部17が取得した特性情報に応じて、第1分岐部11〜第3分岐部13に分岐動作を変化させる分岐制御部15aと、当該2つの荷物のうちの先の荷物についての分岐動作に必要な時間が長いほど、間隔調整部18に当該荷物間隔を長くさせる間隔制御部15bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベアにより搬送されている荷物を分岐コンベアに送り出すことで荷物の仕分けを行う仕分け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ローラコンベア等のコンベアにより搬送される複数の荷物を、それぞれの荷物の種類または宛先等に応じて仕分ける仕分け装置が存在する。
【0003】
例えば、仕分け装置は、コンベアから分岐する分岐コンベアを複数備え、コンベア上を移動する荷物をその宛先に対応する分岐コンベアに送り出す。仕分け装置がこのような分岐動作をそれぞれの荷物について行うことで、各荷物の仕分けが行われる。
【0004】
また、仕分け装置には、様々な種類の複数の荷物を扱うことが求められている。そのため、仕分け装置は、このような様々な種類の荷物を確実に分岐コンベアへ送り出すことが必要である。
【0005】
そこで、物品の種類に関係なく荷物を確実に分岐コンベアへ送り出すための技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
図7(A)は、従来の仕分け装置の概要を示す図である。
図7(A)に示すように、従来の仕分け装置100は、ベルトコンベアにより構成される搬入コンベア101の経路上に、光電センサ102を備えている。
【0007】
この光電センサ102により、搬入コンベア101により搬送される荷物Wの搬送方向長さを検出することができる。
【0008】
また、仕分け装置100は各分岐コンベア120に荷物を送り出すためのダイバータ112を分岐コンベア120ごとに備えている。それぞれのダイバータ112の動作は、光電センサ102により計測された荷物Wの搬送方向長さに応じて変えられる。
【0009】
図7(B)は、ダイバータ112の動作開始タイミングを示す簡略平面図である。
メインコンベア110上の荷物Wが所定のダイバータ112の側方において、搬送方向長さに応じた所定位置に達すると、ダイバータ112は上下軸116回りに内側に向かって所定速度で揺動する。
【0010】
このときのダイバータ112の動作開始タイミングは、図7(B)に示すように、荷物Wの搬送方向長さに応じて異なる。
【0011】
即ち、荷物Wの搬送方向長さが長くなるにつれて、荷物Wがメインコンベア110に進入してからダイバータ112が動作を開始するまでのメインコンベア110の送り量は大きくなる。
【0012】
仕分け装置100では、このように、荷物の搬送方向の長さに応じてダイバータ112の動作を変化させることにより、長さの異なる複数の荷物を分岐コンベア120に送り出すことができる。
【特許文献1】実開平9−40174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ここで、例えば同じような長さの荷物であっても、転倒し易い、または破損し易いといった異なる特性を有する場合がある。
【0014】
そのため、上記従来の技術のように、荷物の長さによりそれぞれの荷物についての分岐コンベアへの送り出しの動作(以下、「分岐動作」という。)を変化させた場合であっても、荷物の転倒等の問題が発生する可能性がある。
【0015】
また、分岐動作にはある程度の時間が必要である。そのため、複数の荷物を連続してコンベアに供給する場合、ある荷物についての分岐動作の途中で、当該荷物とその直後にその分岐地点に到達する後続の荷物とが干渉しないように、これら荷物の間隔をある程度あけておく必要がある。
【0016】
そこで、上記従来の技術のように、荷物の長さに応じて分岐動作を変化させる場合、常に十分に長い距離をおいて各荷物をコンベアに供給するという対策を採ることで、このような干渉の発生を防ぐことができる。
【0017】
しかし、このような対策を採った場合、単位時間あたりの仕分け数が著しく減少する。つまり、仕分け作業の効率が著しく低下することになる。
【0018】
本発明は、上記従来の課題を考慮し、複数の荷物の仕分けを行う仕分け装置であって、様々な種類の荷物を効率よくかつ安全に仕分けるための仕分け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記従来の課題を解決するため、本発明の仕分け装置は、コンベアにより搬送される複数の荷物の仕分けを行う仕分け装置であって、前記複数の荷物それぞれの特性情報を取得する特性情報取得手段と、前記複数の荷物のうちの所定の荷物を前記コンベアから分岐した分岐コンベアへ送り出す分岐動作を行う分岐手段と、前記コンベアへ連続して送り出される2つの荷物の間の距離である荷物間隔を調整する間隔調整手段と、前記特性情報取得手段が取得した特性情報に応じて、前記分岐手段に前記分岐動作を変化させる分岐制御手段と、前記2つの荷物のうちの先の荷物についての分岐動作に必要な時間が長いほど、間隔調整手段に前記荷物間隔を長くさせる間隔制御手段とを備える。
【0020】
この構成によれば、荷物の特性に応じて、分岐動作が変更される。例えば分岐動作の速度またはタイミングが変更される。かつ、先の荷物についての分岐動作に必要な時間が長いほど、直後の荷物との荷物間隔が長くされる。
【0021】
これにより、本発明の仕分け装置は、様々な種類の複数の荷物を扱った場合においても、各荷物についての分岐動作における安全性は確保され、かつ、コンベア上で荷物同士が干渉することが防止される。
【0022】
従って、本発明は、様々な種類の荷物を効率よくかつ安全に仕分けることのできる仕分け装置を提供することができる。
【0023】
また、前記特性情報は、前記特性情報に対応する荷物の転倒容易度を示す情報であり、前記制御手段は、前記特性情報に示される前記転倒容易度が所定の閾値よりも高い場合、前記分岐手段に、前記荷物についての分岐動作の速度を、前記転倒容易度が前記所定の閾値以下の場合よりも遅くさせるとしてもよい。
【0024】
このように、本発明の仕分け装置は、荷物の特性の一種である転倒容易度が所定の閾値よりも高いか否かにより分岐動作を変更してもよい。これにより、転倒し易いと判断される荷物については、比較的遅い動作で分岐コンベアに送り出すことができ、仕分け作業の安全性および効率性が確保される。
【0025】
また、前記特性情報は、前記特性情報に対応する荷物の転倒容易度を示す情報であり、前記制御手段は、前記特性情報に対応する荷物の転倒容易度の度合いが高いほど、前記分岐手段に前記分岐動作の速度を遅くさせるとしてもよい。
【0026】
このように、本発明の仕分け装置は、転倒容易度に応じて多段階に分岐動作の速度を変更してもよい。これにより、それぞれの荷物を、それぞれに適した速度の分岐動作で扱うことができ、仕分け作業の効率性が向上する。
【0027】
また、前記間隔調整手段は、前記分岐コンベアよりも上流に設けられ、前記コンベアとは独立して搬送速度の変化が可能な他のコンベアであり、前記制御手段は、前記他のコンベアにおける搬送速度を遅くさせることで、前記荷物間隔を長くさせるとしてもよい。
【0028】
このように、本発明の仕分け装置は、コンベアの速度により荷物間隔を調整してもよい。これにより、例えば、荷物に負担を掛けることなく細やかな荷物間隔の調整が可能となる。
【0029】
さらに、本発明は、本発明の仕分け装置における特徴的な動作ステップを含む、荷物の仕分け方法として実現することもできる。また、それら各ステップを仕分け装置に実行させる制御プログラムとして実現することもできる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の仕分け装置によれば、様々な特性の荷物を安全にかつ効率よく仕分けることができる。
【0031】
これにより、本発明の仕分け装置は、例えば、倒れ易いまたは壊れ易い等の理由から従来では仕分け装置に扱わせることができずに、人手により仕分けられていた荷物を仕分けることができる。
【0032】
つまり、従来より多くの数および種類の荷物に対する仕分け作業を自動化することができる。そのため、このような多種多様な荷物を仕分けることが要求される物流の現場等において荷物の仕分けに係る作業全体の効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の実施の形態における仕分け装置10について、図面を参照しながら説明する。
まず、実施の形態の仕分け装置10の構成について図1〜図3を用いて説明する。
【0034】
図1は、本発明の実施の形態の仕分け装置10の概要を示す図である。
図1に示すように、仕分け装置10は、制御部15と、コンベア20と、コンベア20から分岐する第1分岐コンベア21、第2分岐コンベア22、および第3分岐コンベア23と、第1分岐部11、第2分岐部12、および第3分岐部13と、荷物認識部16と、間隔調整部18とを備える。
【0035】
コンベア20、および第1分岐コンベア21〜第3分岐コンベア23の各分岐コンベアは、荷物を搬送するための構成部である。なお、それぞれ本実施の形態においてはローラコンベアであるが、ベルトコンベア等の他の種類のコンベアでもよい。
【0036】
第1分岐部11〜第3分岐部13分岐部の各分岐部のそれぞれは、複数の荷物のうちの所定の荷物を、それぞれの分岐コンベアへ送り出す構成部である。
【0037】
本実施の形態では、複数のローラを有するターンテーブルが回転することにより荷物の方向転換をするターンローラ式の方向転換機が各分岐部として採用されている。
【0038】
例えば、第2分岐部12のターンテーブル上に荷物が搬送されると、当該ターンテーブルが半時計回りに90度回転することにより、図1に示すように、荷物を第2分岐コンベア22に送り出すことができる。
【0039】
第1分岐部11〜第3分岐部13分岐部のそれぞれがこのような分岐動作を行うことにより、それぞれが分岐コンベアに送り出すべき荷物をそれぞれの分岐コンベアに送り出すことができる。
【0040】
なお、各分岐部の上流側には、それぞれセンサ(図示せず)が設けられており、制御部15との情報のやり取りおよび各センサによる荷物の検出により、どの荷物をそれぞれの分岐コンベアに送り出すべきかが判断される。
【0041】
また、これら分岐部は、ターンローラ式以外の方式の方向転換機、例えばダイバータ式またはプッシュ式等の方向転換機であってもよい。
【0042】
荷物認識部16は、複数の荷物それぞれを認識する構成部である。具体的には荷物の識別番号、分岐位置、および寸法、荷姿、形状、重量等の特性を示す情報をそれぞれの荷物に貼付されたバーコード等から取得することができる。
【0043】
間隔調整部18は、コンベア20へ連続して送り出される2つの荷物の間の距離である荷物間隔を調整する構成部である。
【0044】
本実施の形態において、間隔調整部18は、本発明の仕分け装置における他のコンベアの一例であり、コンベア20とは独立して搬送速度の変化が可能なコンベアである。例えば、上流(図1において右)から搬送されてきた荷物をコンベア20に送り出した後に搬送速度を変えて次の荷物をコンベア20に送り出す。これによりこれら荷物間の間隔を従前よりも長くまたは短くすることができる。
【0045】
なお、間隔調整部18は、他の方法で荷物間隔の調整を行ってもよい。例えば、コンベア20上に開閉可能なバーを設け、バーにより荷物の移動を止めることにより、当該荷物とその前方にある荷物との間隔を調整してもよい。
【0046】
制御部15は、荷物認識部16から送信される情報に基づき、第1分岐部11、第2分岐部12、第3分岐部13分岐部、および間隔調整部18の動作等を制御する構成部である。
【0047】
図2は、実施の形態の仕分け装置10の主要な機能構成を示すブロック図である。
図2に示すように、荷物認識部16は、特性情報取得部17を有している。特性情報取得部17は、コンベア20へ送り出される複数の荷物それぞれの特性情報を取得する構成部である。
【0048】
特性情報取得部17が取得する特性情報の種類としては、荷物の長さ、幅、高さ等の寸法、重量、形状、および荷姿を示す情報、転倒容易度を示す情報、ならびに破損容易度を示す情報等である。
【0049】
また、荷物認識部16は、特性情報取得部17が取得する特性情報の他、各荷物の識別番号および分岐位置を示す情報もそれぞれの荷物から取得することもできる。
【0050】
荷物認識部16は、例えば、荷物に貼付されたバーコードを読み取ることにより、これら情報を取得する。
【0051】
なお、これら情報の取得方法は他の方法でもよい。例えば、操作者からの入力を受け付けることによりこれら情報を取得してもよい。また、例えば、エリアセンサおよび重量計等の計測装置によりこれら情報を取得してもよい。
【0052】
制御部15は、図2に示すように、分岐制御部15aと間隔制御部15bとを有する。
分岐制御部15aは、第1分岐部11〜第3分岐部13の各分岐部の動作を制御する構成部である。
【0053】
具体的には、特性情報取得部17が取得した特性情報に応じて、各分岐部に分岐動作を変化させる。
【0054】
間隔制御部15bは、間隔調整部18の動作を制御し、荷物間隔を変更する構成部である。
【0055】
具体的には、コンベア20へ連続して送り出される2つの荷物のうちの先の荷物についての分岐動作に必要な時間が長いほど、間隔調整部18にこれら2つの荷物の荷物間隔を長くさせる。
【0056】
なお、制御部15は、上述の特性情報の他に各荷物の識別番号および分岐位置を示す情報も荷物認識部16から受け取り、荷物情報として保持する。
【0057】
図3(A)は、制御部15に保持されている荷物情報の第1の例を示す図である。
図3(A)に示すように、制御部15は、認識番号により識別されるそれぞれの荷物の特性情報を特性情報取得部17から受け取り、識別番号および分岐位置を示す情報と合わせて荷物情報として保持する。
【0058】
なお、特性情報として保持されている「長さ」は、各荷物の搬送方向の長さであり、「幅」は、各荷物の搬送方向に垂直かつコンベア20の搬送面に平行な方向の長さである。
【0059】
また、「分岐位置」の欄の1〜3の数字は、それぞれ第1分岐コンベア21〜第3分岐コンベア23に対応している。
【0060】
図3(A)に示される「転倒容易度」の欄の“○”および“×”は転倒のし易さの度合いを示す指標であり、“○”は転倒し易い荷物であることを示し、“×”は転倒し難い荷物であることを示す。
【0061】
この“○”および“×”は、例えば、荷物の寸法等から算出される転倒容易度を示す値と所定の閾値とを比較して決定される。また、決定された“○”または“×”を示す情報はコード化され、当該荷物に貼付されたバーコードに含まれている。
【0062】
特性情報取得部17は、各荷物に貼付されたバーコードからそれぞれの転倒容易度を示す“○”または“×”を読み取ることができる。
【0063】
なお、“○”または“×”を示す情報は操作者が荷物ごとに荷物認識部16に入力してもよく、制御部15が、荷物の寸法、重量、重心の位置および形状等と、所定の閾値とを比較することで決定してもよい。
【0064】
分岐制御部15aは、特性情報取得部17から得た情報に基づき、転倒容易度が“○”の荷物については、分岐動作の速度が遅くなるように、その荷物を分岐コンベアに送り出す分岐部を制御する。
【0065】
例えば、識別番号P002の荷物は、転倒容易度が“○”であり、分岐位置が“1”である。
【0066】
そのため、分岐制御部15aは、第1分岐部11がP002の荷物を第1分岐コンベア21に送り出す際のターンテーブルの回転速度およびターンテーブルの各ローラの回転速度のそれぞれを通常よりも遅くさせる。
【0067】
例えば転倒容易度が“×”の荷物を転倒させることなく分岐コンベアに送り出すことのできる速度(基準速度)の1/2にさせる。
【0068】
さらに、分岐制御部15aは、その分岐動作に必要な時間を算出する。例えば、分岐動作を基準速度で行った場合の動作必要時間が1.5秒である場合を想定する。
【0069】
この想定下において、上述のように分岐動作の速度を1/2にした場合、転倒容易度が“○”の荷物については1.5秒の2倍の3.0秒を分岐動作に必要な時間として算出する。
【0070】
また、転倒容易度は、“○”または“×”の2段階の指標ではなく、数値で表される指標であってもよい。
【0071】
図3(B)は、制御部15に保持されている荷物情報の第2の例を示す図である。
図3(B)に示すように、各荷物の転倒容易度は、数値で表されており、例えば、制御部15が、荷物の寸法から算出する値である。
【0072】
図3(B)に示す例では、各荷物の長さと幅との短い方の値と高さとの比を示す値である。つまり、各荷物の長さまたは幅が短く、かつ、高い荷物ほど、転倒容易度の度合いが高くなる。
【0073】
制御部15はこのようにして算出した転倒容易度と、閾値(例えば1.0)とを比較し、閾値を超える転倒容易度を有する荷物については、分岐動作の速度が遅くなるように、その荷物を分岐コンベアに送り出す分岐部を制御する。
【0074】
例えば、転倒容易度が1.0以下の荷物を転倒させることなく分岐コンベアに送り出すことのできる速度(基準速度)の1/2になるように当該分岐部を制御する。
【0075】
また、その分岐動作に必要な時間を算出する。例えば、分岐動作を基準速度で行った場合の動作必要時間が1.5秒であり、上述のように分岐動作の速度を1/2にした場合、転倒容易度が1.0を超える荷物についてはその2倍の3.0秒を分岐動作に必要な時間として算出する。
【0076】
または、転倒し易いほど分岐動作の速度が遅くなるように、各分岐部を制御してもよい。
【0077】
例えば、分岐動作の速度が、基準速度を転倒容易度を示す数値で除した値となるように、当該分岐部を制御する。
【0078】
また、分岐動作を基準速度で行った場合の動作必要時間に転倒容易度を示す数値を乗じることで、その荷物についての分岐動作必要時間を算出する。
【0079】
例えば、転倒容易度が2.7の識別番号P002の荷物についての分岐動作の速度を、基準速度の1/2.7とする。この場合、その分岐動作必要時間は、1.5×2.7によって求められ、約4秒となる。
【0080】
なお、転倒容易度が閾値以下である荷物についても、転倒容易度等に応じて分岐動作の速度を変更してもよい。
【0081】
例えば、転倒容易度が0.9の識別番号P003の荷物について、その分岐動作の速度が基準速度を0.9で除した値となるように当該分岐部を制御する。つまり、より安定的な荷物については通常よりも分岐動作の速度を上げてもよい。
【0082】
また、この場合、分岐動作を基準速度で行った場合の動作必要時間が1.5秒であれば、P003の荷物についての分岐動作必要時間は1.5×0.9によって求められ、約1.4秒となる。
【0083】
以上述べたような手順で分岐制御部15aにより算出された各荷物の分岐動作必要時間は、間隔制御部15bによる間隔調整部18の制御に用いられる。
【0084】
具体的には、原則として、コンベア20へ連続して送り出される2つの荷物のうちの先の荷物についての分岐動作に必要な時間が長いほど、当該2つの荷物の荷物間隔が長くされる。
【0085】
これにより、先の荷物が分岐コンベアに送り出される分岐位置で当該2つの荷物同士が干渉することが防がれる。
【0086】
次に、本実施の形態の仕分け装置10の動作の概要を図4を用いて説明する。
図4は、本実施の形態の仕分け装置10の動作の流れを示すフロー図である。
【0087】
なお、具体例として、荷物Aと荷物Bとが連続してコンベア20に送り出された場合の仕分け装置10の動作を説明する。
【0088】
また、荷物Aが荷物認識部16からコンベア20へ送り出された後の、仕分け装置10が荷物Bについて行う動作を中心に説明する。
【0089】
荷物認識部16は、荷物Bの識別番号および分岐位置を示す情報、並びに特性情報を取得する(S10)。これら情報は制御部15へ送られる。
【0090】
制御部15の間隔制御部15bは、荷物Aと荷物Bの分岐位置を比較する(S11)。
荷物Bの分岐位置が荷物Aの分岐位置より上流である場合(S11でYes)、つまり、荷物Bが先に分岐コンベアに送り出される場合、荷物Aについて分岐動作が行われる際には既に荷物Bはコンベア20上にない。従って、荷物Aについての分岐動作中に荷物Aと荷物Bとが干渉することはない。
【0091】
そのため、荷物Aと荷物Bとの荷物間隔が短くても問題はないため、間隔制御部15bは、荷物Aと短い距離をおいて荷物Bがコンベア20へ送り出されるように間隔調整部18を制御する(S12)。
【0092】
間隔制御部15bは、荷物Aと荷物Bとの荷物間隔が比較的短い所定の距離となるように荷物Bをコンベア20に送り出すよう間隔調整部18に指示する。
【0093】
間隔調整部18は、その指示に従い、自身のコンベアの速度を当該所定の距離に対応する値に変更する。
【0094】
なお、例えば、荷物間隔としてとり得る最も短い距離が初期値として間隔調整部18に設定されている場合、つまり、コンベアの速度が当該短い距離に対応した速度に設定されている場合、間隔調整部18は、コンベアの搬送速度を変更することなく荷物Bをコンベア20に送り出す。
【0095】
また、荷物Bの分岐位置が荷物Aの分岐位置と同じまたは下流である場合(S11でNo)、荷物Aについて分岐動作が行われている間に、荷物Bが当該分岐位置に接近してくることになる。従って、荷物Aと荷物Bとが干渉しないだけの荷物間隔をあけておく必要がある。
【0096】
そこで、間隔制御部15bは、当該荷物間隔を、荷物Aについての分岐動作に必要な時間に応じて長くするよう間隔調整部18を制御する(S13)。
【0097】
例えば、荷物Aが図3(B)に示す識別番号P002の荷物(以下、単に「P002」と記す。)であり、荷物Bが識別番号P003の荷物(以下、単に「P003」と記す。)である場合を想定する。
【0098】
この場合、P002の分岐位置は“1”であり、P002は、第1分岐部11により第1分岐コンベア21に送り出されることになる。また、P003は、の分岐位置は“2”であり、P003は、第2分岐部12により第1分岐コンベア22に送り出されることになる。
【0099】
従って、P003の分岐位置は、先行する荷物であるP002の分岐位置よりも下流である。そのため、P002とP003との荷物間隔をこれらが干渉しない距離にしておく必要がある。
【0100】
そこで、間隔制御部15bは、先に分岐制御部15aにより算出されているP002(荷物A)についての分岐動作必要時間を参照する。
【0101】
例えば、P002についての分岐動作必要時間が、上述のように4秒であり、かつ、コンベア20における搬送速度が0.5m/秒である場合を想定する。この場合2.0m(0.5m/秒×4秒)以上の荷物間隔(例えば、2.1m)になるように、間隔調整部18を制御する。
【0102】
間隔調整部18は、間隔制御部15bの指示に基づき、P002とP003との荷物間隔が2.1mになるように、P002をコンベア20に送り出した後にコンベアの速度を調整する。
【0103】
P003は、この調整後の速度で間隔調整部18を通過することにより、P002との荷物間隔が2.1mとなる。
【0104】
このように、仕分け装置10では、コンベア20へ連続して送り出される2つの荷物のうちの先の荷物についての分岐動作に必要な時間が長いほど、間隔調整部18がこれら2つの荷物の荷物間隔を長くする。
【0105】
これにより、連続する2つの荷物が先の荷物の分岐位置で干渉することを防ぐことができ、荷物同士が干渉することによる荷物の転倒および破損等のトラブルの発生が防止される。
【0106】
また、制御部15の分岐制御部15aは、P003(荷物B)の転倒容易度が高いか否かを判断する(S14)。
【0107】
図3(B)に示すように、P003の転倒容易度は“0.9”であり、“1”を閾値とすると、P003は転倒容易度が高くない荷物である(S14でNo)。
【0108】
そこで、分岐制御部15aは、P003が通常の分岐動作で第2分岐コンベア22に送り出されるように、第2分岐部12を制御する(S16)。
【0109】
この場合、例えば、転倒容易度が1.0である荷物を転倒させることなく分岐コンベアに送り出すための分岐動作必要時間が1.5秒であれば、1.5秒でP003についての分岐動作が完了する。
【0110】
または、上述のように、通常よりも早く分岐動作が完了するように、第2分岐部12を制御する。例えば、分岐制御部15aは、1.5×0.9によって求められる約1.4秒でP003についての分岐動作が完了するように、第2分岐部12を制御する。
【0111】
このようにして求められたP003についての分岐動作必要時間は、P003に続いてコンベア20に送り出される荷物とP003との荷物間隔の制御に用いられる。
【0112】
なお、後続の荷物である荷物Bの転倒容易度が高い場合(S14でYes)は、分岐動作の速度は遅くされる(S15)。
【0113】
例えば、荷物Bが、図3(B)に示す識別番号P004の荷物(以下、単に「P004」と記す。)である場合、その転倒容易度は“2.1”であり、閾値を“1”とした場合、転倒容易度が高い荷物である。
【0114】
また、分岐位置は“1”であり、第1分岐部11により第1分岐コンベア21に送り出されるべき荷物である。
【0115】
従って、分岐制御部15aは、例えば、分岐動作の速度が通常の1/2になるように、第1分岐部11を制御する。この場合、分岐動作必要時間は、通常の1.5秒の倍の3.0秒となる。
【0116】
または、例えば、転倒容易度の数値“2.1”をそのまま利用し、分岐動作の速度が通常の1/2.1になるように、第1分岐部11を制御する。この場合、分岐動作必要時間は、1.5×2.1により求められ、約3.2秒となる。
【0117】
分岐制御部15aは、第2分岐部12および第3分岐部13に対しても、それぞれが分岐コンベアに送り出す荷物の転倒容易度に応じて分岐動作を変更するように制御する。
【0118】
なお、以上説明した特性情報、分岐動作の態様および数値等のそれぞれは一例であり、上述の内容に限定されることはない。
【0119】
例えば、図3(B)に示す転倒容易度は荷物の長さ等の寸法から求められるとしたが、形状、重量、または重心位置から算出してもよく、または、これら情報から転倒容易度の高低を判断してもよい。
【0120】
また、変更後の分岐動作の速度の算出方法も、上述のように単純に基準速度の1/2にする方法や、基準速度を転倒容易度を示す数値で除する方法に限られない。
【0121】
例えば、制御部15が、転倒容易度と分岐動作の速度との対応表を保持しておき、その対応表に基づいて変更後の分岐動作の速度を求めてもよい。
【0122】
また、例えば、転倒容易度以外の特性情報に応じて、分岐動作を変更してもよい。
図5は、制御部15に保持されている荷物情報の第3の例を示す図である。
【0123】
図5に示す荷物情報には、特性情報として「破損容易度」と「耐振動性」とが含まれている。
【0124】
破損容易度は、荷物の破損し易さの度合いを示す情報である。例えば、荷物の中身がガラス製品である場合、および、荷物の表面が強度のない紙等で覆われている場合など、破損し易い荷物については“○”が記録される。また、破損し難い荷物については、破損容易度は“×”が記録される。
【0125】
耐振動性は、振動に対する耐性の高低を示す情報である。例えば、精密機器などのように、なるべく振動させたくない荷物については「低」が記録される。また、振動に対する耐性が高い荷物については「高」が記録される。
【0126】
このような破損容易度および耐振動性を示す情報は、例えば、上述の転倒容易度と同じく各荷物に貼付されたバーコードから特性情報取得部17によって読み出され、制御部15に送信される。
【0127】
また、例えば、操作者からの入力を受け付けることによりこれら情報を取得してもよい。
【0128】
また、これら破損容易度および耐振動性が数値によって示されていてもよく、この場合は、それぞれ所定の閾値を基準として、各荷物についての分岐動作を変更してもよい。または、その数値に応じて多段階に分岐動作を変更してもよい。
【0129】
破損容易度および耐振動性が図5に示すように規定されている場合、例えば、P001については、転倒容易ではなく、振動に対する耐性も高いが、破損容易であることが判断できる。
【0130】
そのため、分岐制御部15aは、第3分岐部13の分岐動作の速度を、破損容易度が“×”である場合よりも遅くなるように第3分岐部13を制御する。これにより、P001を破損させずに、第3分岐コンベア23へ送り出すことができる。
【0131】
なお、例えば第1分岐部11〜第3分岐部13の各分岐部がダイバータ式の方向転換機である場合を想定する。この場合、分岐制御部15aは破損容易度の高い荷物については、ダイバータの揺動開始のタイミングを早くするとともにその揺動速度を減速させるといった制御を行う。
【0132】
仕分け装置10は、このように複数種の特性情報を考慮して各荷物についての分岐動作を変更することができる。
【0133】
また、このように複数種の特性情報を考慮する場合、例えば、転倒容易度と破損容易度とがともに高い荷物については、いずれか一方のみが高い荷物の場合よりも分岐速度を遅くするといった制御を行ってもよい。
【0134】
さらに、これら複数種の特性情報を数値化し重み付けた上で加算することで、分岐速度の変更の目安となる1種類の数値を生成し、その数値に従って分岐速度を変更してもよい。
【0135】
また、分岐動作に必要な時間は、制御部15が算出しなくてもよい。例えば、個々の分岐部が制御部15からの指示に従って動作した場合の必要時間を算出し制御部15に通知してもよい。
【0136】
また、本実施の形態において、仕分け装置10は、図1に示すように1つの荷物認識部16が複数の荷物から特性情報等の情報を順次取得するとした。
【0137】
しかしながら、仕分け装置10は、複数の荷物認識部16を備えてもよい。
図6は、複数の荷物認識部16を備えた場合の仕分け装置10の構成概要を示す図である。
【0138】
仕分け装置10は、例えば図6(A)に示すように、間隔調整部18に対して並行して荷物を送り込むように複数の荷物認識部16を備えてもよい。
【0139】
この場合、間隔調整部18には、複数の荷物認識部16から1つずつ荷物が送り込まれるように、例えば制御部15(図6に図示せず)がそれぞれの荷物認識部16を制御すればよい。
【0140】
また、例えば図6(B)に示すように、間隔調整部18の上流側の1つのコンベア上で複数の荷物が合流するように複数の荷物認識部16を備えてもよい。
【0141】
この場合、当該コンベア上でそれぞれの荷物認識部16からの荷物が干渉しないように、制御部15がそれぞれの荷物認識部16を制御すればよい。
【0142】
例えば、荷物の転倒容易度等の特性を、センサ等を用いて計測するために、1つの荷物についての特性情報の取得に時間がかかる場合、このように複数の荷物認識部16を備えることにより、仕分け作業の効率性を向上させることができる。
【0143】
また、本実施の形態において第1分岐コンベア21〜第3分岐コンベア23の各分岐コンベアは、図1に示すようにコンベア20に対して垂直な方向に延伸していなくてもよい。
【0144】
また、コンベア20および第1分岐コンベア21〜第3分岐コンベア23の各分岐コンベアは、直線的に荷物を搬送するものでなくてもよい。
【0145】
つまり、これらコンベア20の形状および搬送方向等は、必要に応じて決定し設置すればよく、本実施の形態における形状および方向等に限定されるものではない。
【0146】
以上説明したように、本実施の形態の仕分け装置10において、第1分岐部11〜第3分岐部13の各分岐部が荷物の特性に応じた分岐動作をし、かつ、間隔調整部18が、分岐動作に必要な時間に応じて荷物間隔を調整することにより、以下の有用な効果が発揮される。
【0147】
すなわち、各分岐部が、荷物ごとにそれらの特性に応じて分岐動作を変化させることにより、速く移動させることのできない荷物に対しては、ゆっくりと分岐コンベアに送り出すことができる。
【0148】
また、このような荷物と、その直後の荷物との間隔を、通常の間隔よりも長くしておくことができるため、先の荷物の分岐地点においてこれら荷物が干渉することを防ぐことができる。
【0149】
従って、本実施の形態の仕分け装置10は、安定性が悪い、壊れ易い等の理由により、従来では仕分け装置に扱わせることができずに、人手により仕分けられていた荷物をも実質的に扱うことが可能である。
【0150】
つまり、本実施の形態の仕分け装置10は、従来ではこのような機械的な仕分け作業の対象にできなかった種類の荷物をも仕分け作業の対象とすることができる。
【0151】
そのため、例えば、様々な種類の荷物を仕分けることが求められる物流の現場等において荷物の仕分けに係る作業全体の効率を向上させることができる。
【0152】
なお、安定度が高く、速く移動させることができる荷物に対しては、通常よりも速い分岐動作で分岐コンベアに送り出し、かつ、当該荷物とその直後の荷物との間隔を通常の間隔よりも短くする、という制御も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明の仕分け装置は、様々な種類の荷物を仕分ける装置として利用できる。そのため、多種多様な荷物を仕分けることが要求される物流の現場における仕分け装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】本発明の実施の形態の仕分け装置の概要を示す図である。
【図2】実施の形態の仕分け装置の主要な機能構成を示すブロック図である。
【図3】(A)は、実施の形態の制御部に保持されている荷物情報の第1の例を示す図であり、(B)は、第2の例を示す図である。
【図4】実施の形態の仕分け装置の動作の流れを示すフロー図である。
【図5】実施の形態の制御部に保持されている荷物情報の第3の例を示す図である。
【図6】複数の荷物認識部を備えた場合の仕分け装置の構成概要を示す図である。
【図7】(A)は、従来の仕分け装置の概要を示す図であり、(B)は、(A)に示す仕分け装置におけるダイバータの動作開始タイミングを示す簡略平面図である。
【符号の説明】
【0155】
10 仕分け装置
11 第1分岐部
12 第2分岐部
13 第3分岐部
15 制御部
15a 分岐制御部
15b 間隔制御部
16 荷物認識部
17 特性情報取得部
18 間隔調整部
20 コンベア
21 第1分岐コンベア
22 第2分岐コンベア
23 第3分岐コンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアにより搬送される複数の荷物の仕分けを行う仕分け装置であって、
前記複数の荷物それぞれの特性情報を取得する特性情報取得手段と、
前記複数の荷物のうちの所定の荷物を前記コンベアから分岐した分岐コンベアへ送り出す分岐動作を行う分岐手段と、
前記コンベアへ連続して送り出される2つの荷物の間の距離である荷物間隔を調整する間隔調整手段と、
前記特性情報取得手段が取得した特性情報に応じて、前記分岐手段に前記分岐動作を変化させる分岐制御手段と、
前記2つの荷物のうちの先の荷物についての分岐動作に必要な時間が長いほど、間隔調整手段に前記荷物間隔を長くさせる間隔制御手段と
を備える仕分け装置。
【請求項2】
前記特性情報は、前記特性情報に対応する荷物の転倒容易度を示す情報であり、
前記制御手段は、前記特性情報に示される前記転倒容易度が所定の閾値よりも高い場合、前記分岐手段に、前記荷物についての分岐動作の速度を、前記転倒容易度が前記所定の閾値以下の場合よりも遅くさせる
請求項1記載の仕分け装置。
【請求項3】
前記特性情報は、前記特性情報に対応する荷物の転倒容易度を示す情報であり、
前記制御手段は、前記特性情報に対応する荷物の転倒容易度の度合いが高いほど、前記分岐手段に前記分岐動作の速度を遅くさせる
請求項1記載の仕分け装置。
【請求項4】
前記間隔調整手段は、前記分岐コンベアよりも上流に設けられ、前記コンベアとは独立して搬送速度の変化が可能な他のコンベアであり、
前記制御手段は、前記他のコンベアにおける搬送速度を遅くさせることで、前記荷物間隔を長くさせる
請求項1〜3のいずれか1項に記載の仕分け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−137717(P2009−137717A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−316275(P2007−316275)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】