説明

付着土砂除去装置および付着土砂除去方法

【課題】付着土砂除去のための装置構成を効率的に行う。
【解決手段】容器内壁20に沿う縦部材102を周方向に複数並べて一体とした円筒状スクレーパー101と、この円筒状スクレーパー101を、前記容器10の中心軸を軸に回転させる回転機構130とから付着土砂除去装置100を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付着土砂除去装置および付着土砂除去方法に関するものであり、具体的には、破砕混合機における付着土砂除去のための装置構成を効率的に行うことができる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
円筒状容器の中でフレキシブル剛体を高速回転させることにより、上方より投入した土砂等の材料を破砕混合し、土砂の改質等を行う破砕混合機がある。この破砕混合機において湿った土砂等を破砕する場合、容器内壁に破砕片等が付着して成長し、処理物の排出経路を塞いだり、装置動作を妨げるなどの問題を生じることがある。こうした問題に対処する技術としては、例えば、容器内に傾斜したフィンを配置して土砂付着をしにくくする技術(例:特許文献1〜3など)が提案されている。
【0003】
しかしこれらの技術では、土砂が付着してしまうと除去できず、付着土砂が成長してしまうおそれがある。そこで、容器内に付着した土砂らを掻き落とすべく、上下に伸びて容器内壁に配置したスクレーパーと容器とを相対回転させる技術(特許文献4)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3643587号公報
【特許文献2】特許第3389202号公報
【特許文献3】特許第3554829号公報
【特許文献4】特許第3842062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、処理容器を固定した状態で、特許文献4に開示されるような縦長のスクレーパーを、付着土砂との摩擦や反発に抗して実際に回転させるのは困難であり、このため、現状ではスクレーパーを固定した状態で処理容器を回転させている。こうした状況では、容器底部付近、特に回転軸を下側で支えているステーに堆積する土砂の撤去が問題となっている。
【0006】
そこで本発明では、破砕混合機における付着土砂除去のための装置構成を効率的に行うことができる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の付着土砂除去装置は、破砕混合機の内周面が円筒状の容器の内壁における付着土砂を除去する装置であって、容器内壁に沿う縦部材を周方向に複数並べて一体とした円筒状スクレーパーと、この円筒状スクレーパーを、前記容器の中心軸を軸に回転させる回転機構とを備えることを特徴とする。円筒状スクレーパーにおける、容器内壁に沿う複数の縦部材は、容器内壁を水平方向に巻回する、例えば環状部材にそれぞれ固定されて一体となっている。
【0008】
これによれば、例えば、籠のように一体となっている円筒状スクレーパーを、固定された破砕混合機の容器に対して所定軸で回転させることになるため、従来技術のように移動時に大きな抵抗を受ける縦長のスクレーパーを採用する場合と比べ簡単な機構で装置構成が可能である。破砕混合機の容器を回転させる必要がないことから、従来技術の装置より構造が簡単なものとなり、メンテナンスや組立解体も容易となる。
【0009】
なお、前記円筒状スクレーパーが、前記縦部材と交叉し容器内壁に沿う横部材を更に備えるとしてもよい。このような構成とすれば、上述の装置構成等の容易さの効果に加えて、縦部材と横部材とで区画された領域で容器内壁の付着土砂掻き落としがなされることになり、掻き落とされる土砂が大きな土塊となってしまう状況が生じにくい。よって、適宜に破砕・混合された状態の土砂が容器底部から回収され、破砕混合効率を良好に維持できる。
【0010】
また、前記円筒状スクレーパーにおいて、その円筒外周から、破砕混合機における回転軸に向け伸びる補助スクレーパー部材を備えるとしてもよい。破砕混合機における回転軸とはフレキシブル剛体の回転軸であり、この回転軸からは支持反力をとるために複数のステーが容器内壁に伸びている。一方、容器内でフレキシブル剛体に破砕混合された土砂は、ステー上にも落下して付着、成長する。しかしながら本発明によれば、円筒状スクレーパーの回転に伴って、前記補助スクレーパー部材が、円筒状スクレーパー外周から前記回転軸の軸受け周辺との間の領域について土砂の掻き取り動作を行うことができる。つまり、破砕混合機において土砂がたまりやすいステー部(回転軸の下側軸受け周囲)に対する掻き落し動作を効率的に実現できる。
【0011】
また、前記付着土砂除去装置において、円筒状スクレーパーを構成する前記複数の縦部材に代えて螺旋状部材を用いるとしてもよい。これによれば、容器内壁に付着した土砂には、従来とは異なり、螺旋状部材により容器の上下方向と左右方向の両方から掻き落としの力が加わり、容器内壁の全周にわたって同時に掻き落としがなされることになる。したがって、掻き落とされる土砂が1列の大きな塊となって容器内を落下するといった事態は生じない。そのため、適宜に破砕・混合された状態の土砂が容器底部から回収され、破砕混合効率を良好に維持できる。また、掻き落とされた土砂は大きな土塊ではないから、例えば風等により表面から水分を揮発させるような場合は、その効率も適宜なものとなり、土砂の含水比低下の目的を効率的に達成しやすくなる。
【0012】
また、前記付着土砂除去装置において、前記回転機構が、容器に対する円筒状スクレーパーの回転方向を、前記螺旋状部材が前記容器に対して巻き上がる方向とするものであるとしてもよい。これによれば、螺旋状部材で掻き落とされた土砂は、螺旋状部材に乗って容器上方に運ばれ、螺旋状部材終端から容器内空に落下することになる。したがって、掻き落とされた土砂が容器内空に再投入されることになり、破砕効果もより高まる。また、再破砕されることにより土砂の単位体積あたりの表面積が(破砕前より)増加し、風等による含水比低下効果の向上が期待できる。
【0013】
また、本発明の付着土砂除去方法は、破砕混合機の容器内壁における付着土砂を除去する方法であって、容器内壁に沿う縦部材を周方向に複数並べて一体とした円筒状スクレーパーを、前記容器の中心軸を軸に回転させ、容器内壁に付着した土砂を前記縦部材により剥がし落とすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、破砕混合機における付着土砂除去のための装置構成を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態における付着土砂除去装置の適用例1を示す図である。
【図2】本実施形態における円筒状スクレーパーの他の構成例を示す図である。
【図3】本実施形態における付着土砂除去装置の適用例2を示す図である。
【図4】付着土砂除去の解説図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
−−−適用例1−−−
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態における付着土砂除去装置の適用例1を示す図である。土工を伴う工事現場では、大量の排土等が発生する。特に、工事対象となる地盤の土質が低品位であれば、排土の再利用を図ったり、そのまま搬出するにも問題がある。そこで、破砕混合機を用いて排土の改良、改質を図る場合がある。ここで破砕混合機1の構造について概説しておく。
【0017】
破砕混合機1は、例えば、鋼製など適宜な強度を備える円筒状の容器10、容器内空11にてスピンしチェーン12を高速回転させる回転軸13、この回転軸13を回転自在に支持する軸受け14、回転軸13を駆動する回転軸用モータ15などから構成される。掘削現場等で生じた排土5は、例えばベルトコンベヤーなどの搬送手段6により搬送され、容器10の上部に備わる投入口16から破砕混合機1に供給されることになる。また、排土5の改質、改良を図るための添加材料も投入口16から容器内に供給してよい。
【0018】
投入口16から供給された排土5は、容器内空11に落下してチェーン12による破砕・混合の処理を受けて、一部は容器内壁20に飛散して付着し、その他は更に容器下方のドラム27に落下する。ドラム27は、例えばスリーブのあるロール面を備えたもので、落下してきた処理土をスリーブを介してドラム内空に通過させ、当該ドラム27の回転に伴って混ぜ返す一方、送風機28からの送気で処理土の含水率低減を図っている。ドラム内空で混ぜ返された処理土は再びスリーブを通過して適宜落下する。落下した処理土はベルトコンベアー29により搬出される。また、送風機28からの送気は排気口30を介して破砕混合機内から排出される。
【0019】
また、破砕混合機1の容器10の少なくとも下部開口には、例えば適宜な剛性を備えたステー24が備わっている。また容器10はこのステー24を介して容器10の回転軸13と固定されている。また容器10の上下端面は上部構造18や下部構造17に固定されている。
【0020】
なお、破砕混合機1が処理する排土5としては、掘削土砂のみならず、礫や岩塊、コンクリート塊、アスファルト塊、ガラス、浚渫土などであってもよい。また、添加材料としては、ベントナイト、セメント系の固化剤、石炭系の固化剤など必要に応じて各種適用してよい。
【0021】
一方、こうした破砕混合機1に設置され、破砕混合機1における付着土砂除去のための装置構成が効率的に行えるのが本実施形態の付着土砂除去装置100となる。この付着土砂除去装置100は、破砕混合機1の容器内壁20における付着土砂を除去する装置であり、容器内壁20に沿う縦部材102を周方向に複数並べ一体とした円筒状スクレーパー101と、この円筒状スクレーパー101を、容器10の中心軸を軸に回転させる回転機構130とから構成されている。
【0022】
円筒状スクレーパー101は、その上部および下部に、例えば適宜な剛性を備えた短筒上部材111、112を備えている。この短筒状部材111、112は各縦部材102の上下端を固定し一体となすものとなる。本実施形態のごとく容器10に対して、円筒状スクレーパー101を回転させる場合、短筒状部材112はその底面の外周を容器内壁20に備わる受けローラ104に載置している。この受けローラ104は、容器内空11における短筒状部材112の回転を可能とすべく、容器内壁20から容器内空11の断面中心に向かって突出した軸を中心に回転するローラとなる。なお、容器10は、円筒状スクレーパー101と共連れを起こして回転することがない程度に固定されている。
【0023】
また、短筒状部材111、112のいずれかの箇所の側面26には、回転機構130たる駆動用モータ150が配置されている。図1の例では、短筒状部材111の側面26に駆動用モータ150が配置された例となっている。但し、この駆動用モータ150は、ローラや歯車などの回転伝達部151を、容器10の一部に設けられたスリット19を介して短筒状部材の側面26に当接させている。また回転伝達部151は、回転軸にて軸支されている。駆動用モータ150は、例えば一定時間毎に所定回転量だけ駆動するよう、駆動用モータ150への給電時間と給電量を制御する制御用コンピュータが接続され、その制御下におかれている。他方、短筒状部材111、112の側面26は、当接される前記ローラと摩擦接触してその伝達力を確実に受け取る適宜な表面粗さを備えるか、或いは前記歯車(ピニオン)と噛み合うラックを巻回している。
【0024】
また、円筒状スクレーパー101における縦部材102は、短筒上部材111、112の間の容器内壁20を当接できるだけの延長と、掻き取り動作時の応力や衝撃に耐えうる所定の幅および厚みを備えた、例えば鋼製の板材を成形したものとなる。この板材の外周部を刃状として、容器内壁20との密着度を向上させれば、付着土砂の掻き取り効率がより向上する。図1に示す縦部材102の例では、容器上下方向すなわち垂直方向に伸びる部材を示しているが、例えば図2に示すように、垂直方向から適宜傾いた斜め方向に伸びる部材や、斜め方向の部材を組み合わせた斜め格子部材などであってもよい。
【0025】
或いは、前記円筒状スクレーパー101が、前記縦部材102と交叉し容器内壁20に沿う横部材103を更に備えるとしてもよい。こうした構成としては、図2において、縦部材102と横部材103で格子を形成した円筒状スクレーパー101を例示している。この例において、縦部材102は容器上下方向すなわち垂直方向に伸びる部材であり、横部材103はこの縦部材102と略直交する部材となっており、横部材103を容器上方から見れば環状となっている。
【0026】
いずれにしても、本実施形態の円筒状スクレーパー101は、複数の縦部材102(および横部材103と)が組み合わされて、短筒状部材111、112によってその上下端を固定され一体となった籠状の構造とも言える。なお、短筒状部材111、112を横部材と見なしても良い。
【0027】
一方、本実施形態における円筒状スクレーパー101の下部には、その円筒外周から、破砕混合機1における回転軸13に向け伸びる補助スクレーパー部材120が備わっている。破砕混合機1の回転軸13と軸受け14とが接続される周辺、特に、ステー24には上方から落下した処理土が付着して堆積することがある。しかしながら、補助スクレーパー部材120が、円筒状スクレーパー101の回転に伴ってステー24の上面に当接しながらスライドすることで、ステー上の付着土砂は除去されることになる。補助スクレーパー部材120としては、例えば、鋼製の棒材にワイヤブラシや金属突起等が取り付けられた構造のものなどが適用できる。勿論、その他のスクレーパー機能を備えるいかなる構造を採用しても良い。
【0028】
こうした構成において、駆動用モータ150が稼働してローラや歯車などの回転伝達部151を回転させると、回転伝達部151が短筒状部材111の側面26に対して回転力を付与する。この回転力を得た短筒状部材111すなわち円筒状スクレーパー101は、受けローラ104で回転支持されながら容器内空11を回転する。容器内壁20に当接されている円筒状スクレーパー101の縦部材102(および横部材103)は、上記の回転に応じて、容器内壁20に付着している土砂を掻き落としていくことになる。
【0029】
なお、上記適用例においては、付着土砂除去の観点にて説明を行ったが、本実施形態の技術にて付着土砂の除去を連続的に行うことで土砂の付着自体を効果的に抑制できるから、本実施形態の付着土砂除去装置および付着土砂除去方法は、土砂の付着防止装置および付着防止方法として適用できる。
【0030】
−−−適用例2−−−
続いて、円筒状スクレーパー101を構成する縦部材102に代えて、螺旋状部材110とした場合の適用例について説明する。図3は、本実施形態における付着土砂除去装置の適用例2を示す図である。この例の場合、円筒状スクレーパー101における短筒上部材111、112の構成については同様である。一方、複数の縦部材102は螺旋状部材110に置き換わっている。この螺旋状部材110は、容器内壁20を複数回周回するだけの延長と、掻き取り動作時の応力や衝撃に耐えうる所定の幅および厚みを備えた、例えば鋼製の板材を成形したものとなる。板材の幅および厚みとしては、例えば、幅10cm、厚み4cmなどとなる。勿論、こうした寸法は板材の強度等に応じて適宜設計すればよい。また、この板材の外周部すなわち螺旋状部材110の外周部114を刃状として、容器内壁20との密着度を向上させれば、付着土砂の掻き取り効率がより向上する。
【0031】
この螺旋状部材110の上部および下部は、上述した短筒上部材111、112に固定されている。また、上記適用例1と同様、短筒状部材111、112のうち例えば短筒上部材112は、その底面の外周を容器内壁20に備わる受けローラ104に載置している。この受けローラ104は、容器内空11における短筒状部材112の回転を可能とすべく、容器内壁20から容器内空11の断面中心に向かって突出した軸を中心に回転するローラとなる。
【0032】
また、短筒状部材111、112のいずれかの箇所の側面26には、回転機構130たる駆動用モータ150が配置されている。図3の例では、短筒状部材111の側面26に駆動用モータ150が配置された例となっている。但し、この駆動用モータ150は、ローラや歯車などの回転伝達部151を、容器10の一部に設けられたスリット19を介して短筒状部材の側面26に当接させている。また回転伝達部151は、回転軸にて軸支されている。駆動用モータ150は、例えば一定時間毎に所定回転量だけ駆動するよう、駆動用モータ150への給電時間と給電量を制御する制御用コンピュータが接続され、その制御下におかれている。他方、短筒状部材111、112の側面26は、当接される前記ローラと摩擦接触してその伝達力を確実に受け取る適宜な表面粗さを備えるか、或いは前記歯車(ピニオン)と噛み合うラックを巻回している。また、円筒状スクレーパー101の下部に、補助スクレーパー部材120が備わっているのも上記適用例1と同様である。
【0033】
こうした構成において、駆動用モータ150が稼働してローラや歯車などの回転伝達部151を回転させると、回転伝達部151が短筒状部材111の側面26に対して回転力を付与する。この回転力を得た短筒状部材111すなわち螺旋状部材110は、受けローラ104で回転支持されて容器内空11を回転する。一方、容器10は固定されている。容器内壁20に当接された螺旋状部材110の外周部114は、上記の回転に応じて、容器内壁20に付着している土砂を掻き落としていくことになる。
【0034】
なお、上述してきた回転機構130は、螺旋状部材110を備える円筒状スクレーパー101を回転させる場合において、容器10に対する円筒状スクレーパー101すなわち螺旋状部材110の回転方向を、螺旋状部材110が前記容器10に対して巻き上がる方向としている。本実施形態の螺旋状部材110において、螺旋の周回方向は、部材が容器底部から時計回りに上がっていく方向を例示している。こうした周回方向の螺旋状部材110が回転し、容器10が固定されている場合、回転機構130たる駆動用モータ150等は、例えば螺旋状部材110(の短筒上部材111、112等)を、容器上方から見て反時計回りで、容器内空中心を軸に回転させる(図3の上断面図参照)。すると、容器内において螺旋が巻き上がっていく状態となる。つまり、容器10に対する螺旋状部材110の回転方向は、螺旋状部材110が前記容器10に対して巻き上がる方向となっているのである。巻き上がっていく螺旋状部材110の外周部114で掻き落とされた土砂は、螺旋状部材110における容器上方への傾斜に沿って上方に運ばれ、外周部114の終端115から容器内空11に落下することになる(図3参照)。
【0035】
なお、上記適用例においては、付着土砂除去の観点にて説明を行ったが、本実施形態の技術にて付着土砂の除去を連続的に行うことで土砂の付着自体を効果的に抑制できるから、本実施形態の付着土砂除去装置および付着土砂除去方法は、土砂の付着防止装置および付着防止方法として適用できる。
【0036】
以上、本実施形態によれば、容器内壁に沿う縦部材を周方向に複数並べて一体とした円筒状スクレーパーと、この円筒状スクレーパーを、固定された破砕混合機の容器に対して所定軸で回転させることになるため、従来実現が難しかった内部のスクレーパー自体を移動させることができるようになり、簡単な機構で装置構成が可能である。破砕混合機の容器を回転させる必要がないことから、従来技術の装置より構造が簡単なものとなり、メンテナンスや組立解体も容易となる。
【0037】
また、円筒状スクレーパーの回転に伴って、前記補助スクレーパー部材が、円筒状スクレーパー外周から前記回転軸の軸受け周辺との間の領域について土砂の掻き取り動作を行うことができる。つまり、破砕混合機において土砂がたまりやすいステー部(回転軸の軸受け周囲)に対する掻き落し動作を効率的に実現できる。
【0038】
また、螺旋状部材を採用することで、容器内壁に付着した土砂には、従来とは異なり、容器の上下方向と左右方向の両方から掻き落としの力が加わり、容器内壁の全周にわたって同時に掻き落としがなされることになる。したがって、掻き落とされる土砂が1列の大きな塊となって容器内を落下するといった事態は生じない。そのため、適宜に破砕・混合された状態の土砂が容器底部から回収され、破砕混合効率を良好に維持できる。また、掻き落とされた土砂は大きな土塊ではないから、風等により表面から水分が揮発する効率も適宜なものとなり、土砂の含水比低下の目的を効率的に達成しやすくなる。
【0039】
上記螺旋状部材で掻き落とされた土砂は、螺旋状部材に乗って容器上方に運ばれ、螺旋状部材終端から容器内空に落下することになる。したがって、掻き落とされた土砂が容器内空に再投入されることになり、破砕効果もより高まる。また、再破砕されることにより土砂の単位体積あたりの表面積が(破砕前より)増加し、風等による含水比低下効果の向上が期待できる。
【0040】
以上、本発明の実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 破砕混合機
5 排土
6 ベルトコンベヤー(搬送手段)
7 基底部
10 容器
11 容器内空
12 チェーン
13 回転軸
14 軸受け
15 回転軸用モータ
16 投入口
19 スリット
20 容器内壁
24 ステー
26 側面
100 付着土砂除去装置
101 円筒状スクレーパー
102 縦部材
103 横部材
104 受けローラ
110 螺旋状部材
111、112 短筒状部材
114 外周部
115 終端
120 補助スクレーパー部材
130 回転機構
150 駆動用モータ
151 回転伝達部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕混合機の内周面が円筒状の容器の内壁における付着土砂を除去する装置であって、
容器内壁に沿う縦部材を周方向に複数並べて一体とした円筒状スクレーパーと、この円筒状スクレーパーを、前記容器の中心軸を軸に回転させる回転機構とを備えることを特徴とする付着土砂除去装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記円筒状スクレーパーが、前記縦部材と交叉し容器内壁に沿う横部材を更に備えることを特徴とする付着土砂除去装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
円筒状スクレーパーにおいて、その円筒外周から、破砕混合機における回転軸に向け伸びる補助スクレーパー部材を備えることを特徴とする付着土砂除去装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
円筒状スクレーパーを構成する前記複数の縦部材に代えて螺旋状部材を用いることを特徴とする付着土砂除去装置。
【請求項5】
破砕混合機の容器内壁における付着土砂を除去する方法であって、
容器内壁に沿う縦部材を周方向に複数並べて一体とした円筒状スクレーパーを、前記容器の中心軸を軸に回転させ、容器内壁に付着した土砂を前記縦部材により剥がし落とすことを特徴とする付着土砂除去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−535(P2012−535A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135340(P2010−135340)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】