説明

代謝可能部分を含む複素環式抗ウイルス性化合物およびその使用

本発明はC型肝炎ウイルス(HCV)感染を処置または予防するために有用な、プロドラッグおよびその組成物に関連する。特に、本発明は、ジフェニル置換された5員複素環化合物、ジヘテロアリール置換された5員複素環化合物、およびフェニルとヘテロアリールとで置換された5員複素環化合物のプロドラッグ、これらの化合物を含有する組成物、ならびにヒトおよび動物におけるHCV感染の処置および/または予防のための治療アプローチとしてHCVの複製および/または増殖を阻害するためのこのような化合物および組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2005年5月2日に出願した米国仮出願番号60/677,374の利益を享受することを主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)感染を処置または予防するのに有用な、プロドラックおよびその組成物に関する。具体的には、本発明は、ヒトおよび動物におけるHCV感染の処置および/または予防における治療アプローチとしてHCV複製および/または増殖を阻害するための、ジフェニル置換型、ジヘテロアリール置換型、およびフェニル・ヘテロアリール併存置換型の5員複素環化合物のプロドラッグ、その化合物を含む組成物、およびそのような化合物および組成物の使用に関する。
【0003】
(関連技術の概要)
C型肝炎ウイルス(HCV)感染は、全人類的な健康上の課題であり、米国単独でも毎年約150,000人もの新たな症例が報告されている。HCVは、一本鎖RNAウイルスであり、輸血または移植の後に生じたA型でもB型でもない肝炎のうち殆どの症例において同定される病原因子であって、急性散発性肝炎の最も一般的な原因である(非特許文献1;非特許文献2;および非特許文献3)。
【0004】
HCVに感染した患者のうち50%を超えるものが慢性的に感染しており、その患者のうち20%が20年以内に肝硬変に進行すると見積もられている(非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;および非特許文献7)。さらに、HCV感染を処置するのに利用可能な唯一の治療法は、インターフェロンα(Schering−Plough社製のINTRON(登録商標)A、PEG−INTRON(登録商標)A;Roche社製のROFERON−A(登録商標)、PEGASys(登録商標))である。殆どの患者で反応がないのであるが、反応があったものの中でも、処置を停止してから6〜12ヶ月以内の再発率が高い(非特許文献8)。RNA型ウイルスおよびDNA型ウイルスのうち多くのものに対して広い活性スペクトルを有するグアノシンアナログであるリバビリンは、インターフェロンンαと併用する場合に慢性HCV感染に対して効果的であることが臨床試験において示され(例えば、非特許文献9;非特許文献10を参照)、最近、この併用療法は、認可を得た(REBETRON,Schering−Plough;また、非特許文献11を参照)。しかし、その反応率は50%を超えない。したがって、HCV感染の処置および予防のための他の化合物が必要である。
【非特許文献1】Chooら,Science 244:359,1989年
【非特許文献2】Kuoら,Science 244:362,1989年
【非特許文献3】Alterら,in Current Perspective in Hepatology,p.83,1989年
【非特許文献4】Davisら,New Engl.J.Med.321:1501,1989
【非特許文献5】Alterら,in Current Perspective in Hepatology,p.83,1989年
【非特許文献6】Alterら,New Engl.J.Med.327:1899,1992年
【非特許文献7】Dienstag Gastroenterology 85:430,1983年
【非特許文献8】Liangら,J.Med.Virol.40:69,1993年
【非特許文献9】Poynardら,Lancet 352:1426−1432,1998年
【非特許文献10】Reichardら,Lancet 351:83−87,1998年
【非特許文献11】Friedら,N.Engl.J.Med.347:975−982,2002年
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、代謝されることでC型肝炎ウイルス(HCV)の複製および/または増殖の強力なインヒビターとなる置換複素環式プロドラッグを成す、化合物、組成物および方法を提供する。
【0006】
第一の局面において、本発明は、以下の構造式、すなわち、
A−B−C−N(R11)−C(O)−CX−H (I)
の化合物またはその薬学的受容可能な塩、水和物、溶媒和物、またはNオキシドを提供する。ここで、A、B、C、R11およびXは、以下で規定するものである。
【0007】
第二の局面において、本発明は、式(I)のプロドラックを作製する方法を提供する。本方法の具体的な実施形態は、スキーム1〜8に例示されている。1つの実施形態において、式(I)に記載された化合物を合成するための方法は、Aza−Michael付加反応を含む。Aza−Michael付加反応は、以下のものに記載されている:Basu,Basudeb;Das,Pralay;Hossain,Ismail,“Synthesis of β−amino esters via Aza−Michael addition of amines to alkenes promoted on silica. A useful and recyclable surface.”,Synlett(2004);14:2630−2632,およびPrieto,Auxiliadora;Fernandez,Rosario;Lassaletta,Jose M.;Vazquez,Juan;Alvarez,Eleuterio,“Aza− Michael addition of chiral hydrazines to alkylidene malonates.”,Tetrahedron(2005);61(19):4609−4613。これら両方の文献は、その全体が参考として援用される。
【0008】
第三の局面において、本発明は、プロドラック組成物を提供する。本組成物は、一般的には、本発明のプロドラックあるいは、その塩、水和物、溶媒和物またはNオキシド、および適切な賦形剤、キャリア、または希釈剤を含む。本組成物は、獣医学的用途のために処方されてもよいし、ヒトに対する用途のために処方されてもよい。
【0009】
本発明のプロドラック、そのプロドラックから変換されて結果として得られる活性薬物、または代謝後に産生される活性化合物は、HCVの複製および/または増殖についての強力なインヒビターである。したがって、さらに第四の局面において、本発明は、HCVの複製および/または増殖を阻害する方法を提供し、その方法は、C型肝炎ビリオンを、その複製または増殖を阻害するのに有効な量である本発明のプロドラックまたは組成物と接触させる工程を包含する。本方法は、インビトロまたはインビボのいずれかでも実施されてもよく、そして、HCV感染を処置および/または予防するための治療アプローチとして使用されてもよい。
【0010】
第五の局面において、本発明は、HCV感染の処置、予防、および/また阻害をおこなうための方法を提供する。本方法は、概して、HCVに感染しているかまたはHCV感染が進行する危険性のある被験体にHCV感染を処置または予防するのに有効な量の本発明のプロドラックまたは組成物を投与する工程を包含する。本方法は、獣医学的な状況で動物において実施されてもよく、また、ヒトにおいて実施されてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(発明の詳細な説明)
本発明は、C型肝炎ウイルス(「HCV」)の複製および/または増殖における強力なインヒビターである置換複素環プロドラックを構成する、化合物、組成物および方法を提供する。
【0012】
第一の局面において、本発明は、構造式
A−B−CN(R11)C(O)CX−H (I)
の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物もしくはN−オキシドを提供し、ここで、
Aは、1個〜5個の同じかまたは異なるR20置換基を有する、フェニルまたは六員ヘテロアリール環であり、ただし、これらの置換基のうちの少なくとも1個は、環Bに対してオルトに位置しており;
Bは、N、O、およびSから選択される1個〜3個の環ヘテロ原子を有する、飽和シクロヘテロアルキル環、部分不飽和シクロヘテロアルキル環、またはヘテロアリール環であり、ここで、A部分およびC部分は、Bの隣接していない環原子に結合しており、ただし、Bが1個より多くの環酸素原子を含む場合、これらの酸素原子は、隣接しておらず;
Cは、フェニル環またはヘテロアリール環であり、ここで、Cがフェニルである場合、このフェニルは、B部分に対してメタ位で、−N(R11)−C(O)−CX−Hで置換されているか、またはCがヘテロアリール基である場合、B部分および−N(R11)−C(O)−CX−H部分は、Cの1個のみの環原子を介在させて、C上に位置しており;
11は、−C〜Cアルキル−C(O)−OR、−C〜Cアルケニル−C(O)−O−R、−(CHR10−J、ならびに必要に応じてC〜Cアルキル、−CNおよび−NHから選択される1個以上の基で置換されたC〜Cアルキルからなる群より選択され;
各Xは、独立して、−Hまたはハロであり、ただし、両方のXがHにはならず;
nは、0、1、2、3または4であり;
は、−H、C〜Cアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアラルキルであり;
各R10は、独立して、−Hまたは低級アルキルであり;
Jは、−O−C(O)−O−R、−O−C(O)−N(H)−CH(R13)−C(O)−O−R、−O−R、−P(O)(OR18)OR19、−C(=O)−(CH0−3CH(R13)−R14、−C(=O)−CH(R13)−NH−C(O)−R14、−C(=O)−OR、−N(H)−C(O)−R21、および−N(H)−C(O)−(CH(R22))1−3−N(R13)−R21からなる群より選択され;
13は、−H、−NHおよびC〜Cアルキルからなる群より選択され;
14は、−H、−NH、C〜Cアルキル、−C〜Cアルキル−C(O)−OR、−P(O)(OR18)OR19および−CH(R15)−N(H)−R21からなる群より選択され;
15は、−H、C〜Cアルキル、および−C〜Cアルキル−C(O)−ORからなる群より選択されるか;または
15は、R15が結合している炭素原子と、該炭素原子に隣接する窒素原子と一緒になって、−OHで必要に応じて置換されているシクロヘテロアルキル基を形成し;
18は、−H、低級アルキル、アリール、またはアリールアルキルであり;
19は、−H、低級アルキル、アリール、またはアリールアルキルであり;
21は、−H、C〜Cアルキル、−O−Rおよび−C(O)−O−Rからなる群より選択され;
22は、−H、アリール、C〜Cアルキル、−C〜Cアルキル−C(O)−ORからなる群より選択されるか;または
22は、R22が結合している炭素と、R13と、R13が結合している窒素と一緒になって、OHで必要に応じて置換されているシクロヘテロアルキル基を形成し;そして
各R20は、互いに独立して、−OH、−SH、−CN、−C(O)H、−NO、ハロ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、低級アルキル、置換低級アルキル、低級ヘテロアルキル、置換低級ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、低級ハロアルキル、モノハロメチル、ジハロメチル、トリハロメチル、トリフルオロメチル、低級アルキルチオ、置換低級アルキルチオ、低級アルコキシ、置換低級アルコキシ、メトキシ、置換メトキシ、低級ヘテロアルコキシ、置換低級ヘテロアルコキシ、シクロアルコキシ、置換シクロアルコキシ、シクロヘテロアルコキシ、置換シクロヘテロアルコキシ、低級ハロアルコキシ、モノハロメトキシ、ジハロメトキシ、トリハロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、低級ジアルキルアミノ、低級モノアルキルアミノ、置換低級ジアルキルアミノ、置換低級モノアルキルアミノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、フェノキシ、置換フェノキシ、アリールアルキル、置換アリールアルキル、アリールアルキルオキシ、置換アリールアルキルオキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルキルオキシ、置換ヘテロアリールアルキルオキシ、カルボキシル、低級アルコキシカルボニル、置換低級アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、置換アリールオキシカルボニル、アリールアルキルオキシカルボニル、置換アリールアルキルオキシカルボニル、カルバメート、置換カルバメート、カルバモイル、置換カルバモイル、チオカルバモイル、置換チオカルバモイル、尿素、置換尿素、チオ尿素、置換チオ尿素、スルファモイル、置換スルファモイル、および式−L−Rの基からなる群より選択され、ここで、「L」は、リンカーであり、そしてRは、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキルである。
【0013】
実施形態Aにおいて、本発明は、
Aが、少なくとも2個のR20基で置換されたフェニルであり、R20基は、ハロ、低級アルコキシ、低級アルキル、低級ハロアルキルからなる群より選択され、ここで、これらのR20のうちの少なくとも1個は、環Bに対してオルトに位置しており;
Bが、NおよびOから選択される2個の環ヘテロ原子を有する部分的に不飽和のヘテロ芳香族環であり、ここで、A部分およびC部分は、Bの隣接していない環原子に結合しており;
Cは、Bに対してメタ位で、−N(R11)−C(O)−CX−Hで置換されているフェニルであり;
11は、−(CHR10−J、ならびに必要に応じて−CNおよび−NHから選択される1個以上の基で置換されているC〜Cアルキルからなる群より選択され;
各Xは、ハロであり;
nは、1または2であり;
は、−HまたはC〜Cアルキルであり;
各R10は、独立して、−Hまたは低級アルキルであり;
Jは、−O−R、−P(O)(OR18)OR19、−C(=O)−OR、−N(H)−C(O)−R21、および−N(H)−C(O)−CH(R22)−N(R13)−R21からなる群より選択され;
13は、−H、およびC〜Cアルキルからなる群より選択され;
18は、−Hまたは低級アルキルであり;
19は、−Hまたは低級アルキルであり;
21は、−H、C〜Cアルキル、−O−R、および−C(O)−O−Rからなる群より選択され;
22は、−H、アリール、C〜Cアルキル、および−C〜Cアルキル−C(O)−ORからなる群より選択され;そして
22は、R22が結合している炭素と、R13と、R13が結合している窒素と一緒になって、必要に応じてOHで置換されているシクロヘテロアルキル基を形成する、
式(I)による化合物を提供する。
【0014】
実施形態Bにおいて、本発明は、
Bが、式
【0015】
【化16】

の基であり、ここで、D、EおよびFは、各々が互いに独立して、N、OおよびCHから選択され、ただし、D、EおよびFのうちの少なくとも2個は、CH以外であり、そしてDとEとの両方が同時にOにはならない、実施形態Aによる化合物を提供する。好ましくは、DがOであり、EがNであり、そしてFがCHであるか、またはDがNであり、EがOであり、そしてFがCHである。より好ましくは、Bは、イソオキサゾリル環、ピラゾリル環、オキサジアゾリル環またはトリアゾリル環である。なおより好ましくは、Bは、イソオキサゾリルである。
【0016】
実施形態Cにおいて、本発明は、Xがクロロであり、そしてAが、2位および6位において、同じかまたは異なるR20置換基で置換されている、実施形態Bによる化合物を提供する。好ましくは、一方のR20がハロであり、そして他方のR20が低級アルコキシまたは低級ハロアルキルである。より好ましくは、両方のR20がハロであり、ここで両方のR20は、クロロである。
【0017】
実施形態Dにおいて、本発明は、式
【0018】
【化17】

を有する、実施形態Cによる化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物もしくはN−オキシドを提供し、ここで、R11は、
【0019】
【化18】

【0020】
【化19】

【0021】
【化20】

からなる群より選択される。
【0022】
実施形態D1において、本発明は、R11が、
【0023】
【化21】

【0024】
【化22】

【0025】
【化23】

からなる群より選択される、実施例Dによる化合物を提供する。
【0026】
実施形態Eにおいて、本発明は、
Aが、少なくとも2個のR20で置換されたフェニルであり、これらのR20は、ハロ、低級アルコキシ、低級アルキル、低級ハロアルキルからなる群より選択され、ここで、これらのR20のうちの少なくとも1個は、環Bに対してオルトに位置しており;
Bが、NおよびOから選択される2個の環ヘテロ原子を有する不飽和ヘテロ芳香族環であり、ここで、A部分およびC部分は、Bの隣接していない環原子に結合しており;
Cが、ピリジニルであり、ここで、B部分および−N(R11)−C(O)−CX−H部分が、Cの1個のみの環原子を介在させて、C上に位置しており;
11が、−C〜Cアルケニル−C(O)−O−R、および−(CHR10−Jからなる群より選択され;
各Xが、ハロであり;
nが、1または2であり;
が、−HまたはC〜Cアルキルであり;
10が、水素であり;
Jが、−O−C(O)−O−R、−O−C(O)−N(H)−CH(R13)−C(O)−O−R、−O−R、−C(=O)−(CH0−3CH(R13)−R14、−C(=O)−CH(R13)−NH−C(O)−R14および−C(=O)−ORからなる群より選択され;
13が、−H、−NHおよびC〜Cアルキルからなる群より選択され;
14が、−NH、C〜Cアルキル、−C〜Cアルキル−C(O)−OR、−P(O)(OR18)OR19および−CH(R15)−N(H)−R21からなる群より選択され;
15が、−H、C〜Cアルキル、および−C〜Cアルキル−C(O)−ORからなる群より選択されるか;または
15が、R15が結合している炭素原子と、この炭素原子に隣接する窒素原子と一緒になって、必要に応じて−OHで置換されているシクロヘテロアルキル基を形成し;
18が、低級アルキルであり;
19が、低級アルキルであり;そして
21が、−H、−O−Rおよび−C(O)−O−Rからなる群より選択される、
式(I)による化合物を提供する。
【0027】
実施形態Fにおいて、本発明は、
Bが、式
【0028】
【化24】

の基であり、ここで、D、EおよびFの各々が、互いに独立して、N、OおよびCHから選択され、ただし、D、EおよびFのうちの少なくとも2個は、CH以外であり、そしてDとEとの両方が、同時にOにはならない、実施形態Eによる化合物を提供する。好ましくは、DがOであり、EがNであり、そしてFがCHであるか、またはDがNであり、EがOであり、そしてFがCHである。より好ましくは、Bは、イソオキサゾリル環、ピラゾリル環、オキサジアゾリル環またはトリアゾリル環である。なおより好ましくは、Bは、イソオキサゾリルである。
【0029】
実施形態Gにおいて、本発明は、Xがクロロであり、そしてAが、2位および6位で、同じかまたは異なるR20置換基で置換されている、実施形態Fによる化合物を提供する。好ましくは、一方のR20がハロであり、そして他方のR20が低級アルコキシまたは低級ハロアルキルである。より好ましくは、両方のR20がハロであり、ここでハロは、クロロである。
【0030】
実施形態Hにおいて、本発明は、

【0031】
【化25】

の、実施形態Eによる化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物もしくはN−オキシドを提供し、ここで、
は、−HまたはC〜Cアルキルであり;
11は、−(CH−C(=O)−CH(R13)−R14、−(CH−C(=O)−(CH1−3CH(R13)−R14および−(CH−C(=O)−CH(R13)−NH−C(O)−R14からなる群より選択され;
13は、−H、−NHおよびC〜Cアルキルからなる群より選択され;
14は、C〜Cアルキル、−C〜Cアルキル−C(O)−ORおよび−CH(R15)−N(H)−R21からなる群より選択され;
15は、−H、C〜Cアルキル、および−C〜Cアルキル−C(O)−ORからなる群より選択されるか;または
15は、R15が結合している炭素原子と、この炭素原子に隣接する窒素原子と一緒になって、必要に応じて−OHで置換されたシクロヘテロアルキル基を形成し;そして
21は、−Hおよび−C(O)−O−Rからなる群より選択される。
【0032】
実施形態Iにおいて、本発明は、R11が−(CH−C(=O)−CH(R13)−R14である、実施形態Hによる化合物を提供する。好ましくは、R13が、−Hまたは−NHであり、そしてR14が、−NH、C〜Cアルキルまたは−C〜Cアルキル−C(O)−OHである。好ましくは、R14が、イソプロピルまたはイソブチルまたは−(CH)−C(O)−OHである。
【0033】
実施形態Jにおいて、本発明は、R11が−(CH−C(=O)−(CHCH(R13)−R14である、実施形態Hによる化合物を提供する。好ましくは、R13が−NHであり、そしてR14が−C〜Cアルキル−C(O)−OHである。好ましくは、R14は、−C(O)−OHである。
【0034】
実施形態Kにおいて、本発明は、R11が−(CH−C(=O)−CH(R13)−NH−C(O)−R14である、実施形態Hによる化合物を提供する。好ましくは、R13が−HまたはC〜Cアルキルであり、そしてR14が−CH(R15)−N(H)−R21である。好ましくは、R13がイソプロピルであり、そしてR14が−CH(R15)−N(H)−R21である。より好ましくは、R15がイソプロピルであり、そしてR21が−Hまたは−C(O)−O−C〜Cアルキルである。なおより好ましくは、R21は、−C(O)−O−tert−ブチルである。
【0035】
実施形態Lにおいて、本発明は、R15が−Hであり、そしてR21が−Hまたは−C(O)−O−C〜Cアルキルである、実施形態Kによる化合物を提供する。好ましくは、R21は、−C(O)−O−tert−ブチルである。
【0036】
実施形態Mにおいて、本発明は、R15が、R15が結合している炭素原子と、この炭素原子に隣接する窒素原子と一緒になって、−OHで置換されたピロリジニル基を形成し、そしてR21が−C(O)−O−tert−ブチルである、実施形態Kによる化合物を提供する。
【0037】
実施形態Nにおいて、本発明は、R15が−C〜Cアルキル−C(O)−ORであり、そしてR21が−Hまたは−C(O)−O−C〜Cアルキルである、実施形態Kによる化合物を提供する。好ましくは、R15が−(CH−C(O)−ORであり、そしてR21が−Hまたは−C(O)−O−tert−ブチルである。より好ましくは、Rは、−tert−ブチルまたは−Hである。
【0038】
実施形態Oにおいて、本発明は、式
【0039】
【化26】

の、実施形態Eによる化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物もしくはN−オキシドを提供し、ここで、R11は、
【0040】
【化27】

【0041】
【化28】

からなる群より選択される。
【0042】
実施形態O1において、本発明は、R11が、
【0043】
【化29】

からなる群より選択される、実施形態Oによる化合物を提供する。
【0044】
実施形態Pにおいて、本発明は、式(I)による化合物を提供し、この化合物は、C型肝炎ビリオンを含む細胞に投与される場合、HCV複製および/または増殖を阻害し、そしてインビトロアッセイで測定される場合に、10μM以下のIC50を有する。
【0045】
実施形態Qにおいて、本発明は、式
【0046】
【化30】

の、実施形態Aによる化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物もしくはN−オキシドを提供し、ここで、
11は、−(CH−N(H)−C(O)−R21、−(CHR10−N(H)−C(O)−R21、および−(CHR10−N(H)−C(O)−CH(R22)−N(R13)−R21からなる群より選択され;
nは、2であり;
10は、−HまたはC〜Cアルキルであり;
13は、−HまたはC〜Cアルキルであり;
18は、−HまたはC〜Cアルキルであり;
19は、−HまたはC〜Cアルキルであり;
21は、−H、C〜Cアルキル、および−C(O)−O−C〜Cアルキルからなる群より選択され;
22は、−H、アリール、C〜Cアルキル、−C〜Cアルキル−C(O)−OH、および−C〜Cアルキル−C(O)−O−C〜Cアルキルからなる群より選択され;そして
22は、R22が結合している炭素と、R13と、R13が結合している窒素と一緒になって、−OHで置換されたシクロヘテロアルキル基を形成する。
【0047】
実施形態Rにおいて、本発明は、R11が−(CH−N(H)−C(O)−R21である、実施形態Qによる化合物を提供する。好ましくは、R21は、−C(O)−O−tert−ブチルである。
【0048】
実施形態Sにおいて、本発明は、R11が−(CHR10−N(H)−C(O)−R21である、実施形態Qによる化合物を提供する。好ましくは、R10がC〜Cアルキルであり、そしてR21が−C(O)−O−C〜Cアルキルである。より好ましくは、R10がイソプロピルであり、そしてR21が−C(O)−O−tert−ブチルである。
【0049】
実施形態Tにおいて、本発明は、R11が−(CH−N(H)−C(O)−CH(R22)−N(R13)−R21である、実施形態Qによる化合物を提供する。好ましくは、R22が、アリール、−H、C〜Cアルキル、−C〜Cアルキル−C(O)−OH、または−C〜Cアルキル−C(O)−O−C〜Cアルキルであり、R13が−HまたはC〜Cアルキルであり、そしてR21が、−H、C〜Cアルキル、または−C(O)−O−C〜Cアルキルである。より好ましくは、R22が、フェニル、イソブチル、イソプロピル、−(CH−C(O)−OH、または−(CH−C(O)−O−tert−ブチルであり、R13が−CHであり、そしてR21が−CHまたは−C(O)−O−tert−ブチルである。
【0050】
実施形態Uにおいて、本発明は、R11が−CH−(CHR10)−N(H)−C(O)−CH(R22)−N(R13)−R21である、実施形態Qによる化合物を提供する。好ましくは、R10がC〜Cアルキルであり、R22が、アリール、−H、C〜Cアルキル、−C〜Cアルキル−C(O)−OH、または−C〜Cアルキル−C(O)−O−C〜Cアルキルであり、R13が−HまたはC〜Cアルキルであり、そしてR21が、−H、C〜Cアルキル、または−C(O)−O−C〜Cアルキルである。より好ましくは、R10がイソプロピルであり、R22が、フェニル、イソブチル、イソプロピル、−(CH−C(O)−OH、または−(CH−C(O)−O−tert−ブチルであり、R13が−CHであり、そしてR21が−CHまたは−C(O)−O−tert−ブチルである。
【0051】
第三の局面において、本発明は、薬学的に受容可能なビヒクルと、第一の局面または実施形態A〜Uのうちのいずれか1つによる化合物とを含有する、組成物を提供する。
【0052】
第四の局面において、本発明は、C型肝炎(「HC」)ビリオンの複製および/または増殖を阻害する方法を提供し、この方法は、HCビリオンを、HCビリオンの複製および/または増殖を阻害するために有効な量の、第一の局面または実施形態A〜Uのいずれか1つによる化合物と接触させる工程を包含する。好ましくは、この方法は、インビトロで実施される。より好ましくは、この方法は、インビボで実施される。
【0053】
第五の局面において、本発明は、HCV感染を処置または予防する方法を提供し、この方法は、被験体に、HCV感染を処置または予防するために有効な量の、第一の局面または実施形態A〜Uのいずれか1つによる化合物を投与する工程を包含する。好ましくは、この被験体はヒトである。好ましくは、上記化合物は、約0.01mg/kg/日〜200mg/kg/日の量で投与される。より好ましくは、上記化合物は、約1mg/kg/日〜100mg/kg/日の量で投与される。また好ましくは、上記化合物は、経口投与されるか、静脈内投与されるか、または皮下投与される。なおより好ましくは、この方法は、HCV感染を有する被験体において治療的に実施される。また好ましくは、この方法は、HCV感染を発症する危険のある被験体において予防的に実施される。
【0054】
構造式(I)を有するプロドラッグは、2002年11月1日に出願された米国特許出願番号10/286,017、2003年5月2日に出願された米国特許出願番号60/467,650、2003年5月2日に出願された米国特許出願番号60/467,811、2003年5月15日に出願された米国特許出願番号10/440,349、2003年8月22日に出願された米国特許出願番号10/646,348に記載される複素環式化合物から調製され得る。これらの米国特許出願の内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0055】
第二の局面による実施形態Wにおいて、式(I)による本発明の化合物を作製するために使用されるいくつかの出発物質は、構造式(III)に従い、式(III)において、A、BおよびCは、先に定義されたとおりである。式(III)の化合物は、例えば、−NH基のアシル化を介して、対応するハロアセトアミド「親」化合物(IIa)を作製するために使用される。あるいは、式(III)の化合物は、−NH基の反応を介して中間体化合物(IIb)を作製するために使用される(R11は、先に定義されたとおりであるか、またはこの場合、R11について定義された基に対する前駆体である)。化合物(IIa)および(IIb)は、式(I)による本発明のプロドラッグに変換される。(IIa)および(IIb)の、本発明のプロドラッグへの変換は、例えば、アルキル化化学、半アミナール形成、アミノ酸でのアシル化および引き続く還元、還元的アミノ化化学および不飽和系への1,4−付加反応によって、達成され得る。これらの化学のさらなる詳細は、以下の具体的な実施例に記載される。
【0056】
A−B−C−NH(III)
A−B−C−NH−C(=O)CHX(IIa)
A−B−C−NH−R11(IIb)。
【0057】
実施形態Xにおいて、 第二の局面によれば、本発明のプロドラッグR11またはハロアセトアミド基は例えば、環Cを含む中間体に予め組み込まれ得る。1つの例において、このような中間体は、環Aを含む別の中間体と組み合わせて使用される、アルキニル基を含む。例えば、環Bを形成するための[3+2]付加環化において組み合わせられる場合、(IIa)または(IIb)による化合物、あるいはこれらの前駆体が形成される。
【0058】
上記具体的な実施形態の組み合わせもまた、具体的に記載される。
【0059】
(定義)
「アルキル」とは、単独でかまたは別の置換基の一部として、親アルカン、親アルケンまたは親アルキンの1個の炭素原子から1個の水素原子を除去することによって誘導される、飽和または不飽和の、分枝鎖、直鎖または環状の、一価炭化水素基をいう。代表的なアルキル基としては、メチル;エチル(例えば、エタニル、エテニル、エチニル);プロピル(例えば、t−ブチル、イソプロピル、プロパン−1−イル、プロパン−2−イル、シクロプロパン−1−イル、プロパ−1−エン−1−イル、プロパ−1−エン−2−イル、プロパ−2−エン−1−イル(アリル)、シクロプロパ−1−エン−1−イル;シクロプロパ−2−エン−1−イル、プロパ−1−イン−1−イル、プロパ−2−イン−1−イルなど);ブチル(例えば、ブタン−1−イル、ブタン−2−イル、2−メチル−プロパン−1−イル、2−メチル−プロパン−2−イル、シクロブタン−1−イル、ブタ−1−エン−1−イル、ブタ−1−エン−2−イル、2−メチル−プロパ−1−エン−1−イル、ブタ−2−エン−1−イル、ブタ−2−エン−2−イル、ブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1,3−ジエン−2−イル、シクロブタ−1−エン−1−イル、シクロブタ−1−エン−3−イル、シクロブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1−イン−1−イル、ブタ−1−イン−3−イル、ブタ−3−イン−イルなど)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
用語「アルキル」は、任意の程度またはレベルの飽和を有する基(すなわち、排他的に炭素−炭素単結合を有する基、1個以上の炭素−炭素二重結合を有する基、1個以上の炭素−炭素三重結合を有する基、および炭素−炭素の単結合と、二重結合と、三重結合との混合物を有する基)を包含することが、特に意図される。特定のレベルの飽和が意図される場合、表現「アルカニル」、「アルケニル」、および「アルキニル」が使用される。好ましくは、アルキル基は、1個〜15個の炭素原子を含み(C〜C15アルキル)、より好ましくは、1個〜10個の炭素原子を含み(C〜C10アルキル)、そしてなおより好ましくは、1個〜6個の炭素原子を含む(C〜Cアルキルまたは低級アルキル)。
【0061】
用語「低級」とは、アルキルまたはアルキルを含む部分(例えば、アルコキシ、アルキルチオなど)の修飾語句として使用される場合、その部分の「アルキル」部分が、1個〜6個の炭素原子を含むことを意味する(「低級ヘテロアルキル」の場合を除く)。低級ヘテロアルキルとは、1個以上がヘテロ原子であり残りが炭素である、2個〜6個の骨格原子の直鎖部分または分枝鎖部分をいう。従って、例えば、「低級アルキル」とは、C〜Cアルキルをいい、「低級アルコキシ」とは、C〜Cアルキル−O−をいい、「低級モノアルキルアミノ」とは、(C〜Cアルキル)NH−をいう、などである。
【0062】
「アルカニル」とは、単独でかまたは別の置換基の一部として、親アルカンの1個の炭素原子から1個の水素原子を除去することによって誘導される、不飽和の分枝鎖、直鎖または環状のアルキル基をいう。代表的なアルカニル基としては、メタニル;エタニル;プロパニル(例えば、プロパン−1−イル、プロパン−2−イル(イソプロピル)、シクロプロパン−1−イルなど);ブタニル(例えば、ブタン−1−イル、ブタン−2−イル(sec−ブチル)、2−メチル−プロパン−1−イル(イソブチル)、2−メチル−プロパン−2−イル(t−ブチル)、シクロブタン−1−イルなど)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
「アルケニル」とは、単独でかまたは別の置換基の一部として、親アルケンの1個の炭素原子から1個の水素原子を除去することによって誘導される、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する、不飽和の分枝鎖、直鎖または環状のアルキル基をいう。この基は、その二重結合の周りで、シス配置であってもトランス配置であってもいずれでもよい。代表的なアルケニル基としては、エテニル;プロペニル(例えば、プロパ−1−エン−1−イル、プロパ−1−エン−2−イル、プロパ−2−エン−1−イル(アリル)、プロパ−2−エン−2−イル、シクロプロパ−1−エン−1−イル、シクロプロパ−2−エン−1−イル);ブテニル(例えば、ブタ−1−エン−1−イル、ブタ−1−エン−2−イル、2−メチル−プロパ−1−エン−1−イル、ブタ−2−エン−1−イル、ブタ−2−エン−1−イル、ブタ−2−エン−2−イル、ブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1,3−ジエン−2−イル、シクロブタ−1−エン−1−イル、シクロブタ−1−エン−3−イル、シクロブタ−1,3−ジエン−1−イルなど)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
「アルキニル」とは、単独でかまたは別の置換基の一部として、親アルキンの1個の炭素原子から1個の水素原子を除去することによって誘導される、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有する、不飽和の分枝鎖、直鎖または環状のアルキル基をいう。代表的なアルキニル基としては、エチニル;プロピニル(例えば、プロパ−1−イン−1−イル、プロパ−2−イン−1−イルなど);ブチニル(例えば、ブタ−1−イン−1−イル、ブタ−1−イン−3−イル、ブタ−3−イン−1−イルなど)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
「アルキルジイル」とは、単独でかまたは別の置換基の一部として、親のアルカン、アルケンまたはアルキンの2個の異なる炭素原子から1個ずつの水素を除去することによってか、あるいは親のアルカン、アルケンまたはアルキンの1個の炭素原子から2個の水素原子を除去することによって誘導される、飽和または不飽和の、分枝鎖、直鎖または環状の二価炭化水素基をいう。2個の一価のラジカル中心または二価のラジカル中心の各原子価は、同じ原子または異なる原子と結合を形成し得る。代表的なアルキルジイル基としては、メタンジイル;エチルジイル(例えば、エタン−1,1−ジイル、エタン−1,2−ジイル、エテン−1,1−ジイル、エテン−1,2−ジイル);プロピルジイル(例えば、プロパン−1,1−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、プロパン−2,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、シクロプロパン−1,1−ジイル、シクロプロパン−1,2−ジイル、プロパ−1−エン−1,1−ジイル、プロパ−1−エン−1,2−ジイル、プロパ−2−エン−1,2−ジイル、プロパ−1−エン−1,3−ジイル、シクロプロパ−1−エン−1,2−ジイル、シクロプロパ−2−エン−1,2−ジイル、シクロプロパ−2−エン−1,1−ジイル、プロパ−1−イン−1,3−ジイルなど);ブチルジイル(例えば、ブタン−1,1−ジイル、ブタン−1,2−ジイル、ブタン−1,3−ジイル、ブタン−1,4−ジイル、ブタン−2,2−ジイル、2−メチル−プロパン−1,1−ジイル、2−メチル−プロパン−1,2−ジイル、シクロブタン−1,1−ジイル;シクロブタン−1,2−ジイル、シクロブタン−1,3−ジイル、ブタ−1−エン−1,1−ジイル、ブタ−1−エン−1,2−ジイル、ブタ−1−エン−1,3−ジイル、ブタ−1−エン−1,4−ジイル、2−メチル−プロパ−1−エン−1,1−ジイル、2−メタニリデン−プロパン−1,1−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,1−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,2−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,3−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,4−ジイル、シクロブタ−1−エン−1,2−ジイル、シクロブタ−1−エン−1,3−ジイル、シクロブタ−2−エン−1,2−ジイル、シクロブタ−1,3−ジエン−1,2−ジイル、シクロブタ−1,3−ジエン−1,3−ジイル、ブタ−1−イン−1,3−ジイル、ブタ−1−イン−1,4−ジイル、ブタ−1,3−ジイン−1,4−ジイルなど)などが挙げられるが、これらに限定されない。特定の飽和レベルが意図される場合、アルカニルジイル、アルケニルジイルおよび/またはアルキニルジイルとの命名法が使用される。2個の原子化が同じ炭素原子上に存在することが特に意図される場合、命名法「アルキリデン」が使用される。好ましい実施形態において、アルキルジイル基は、1個〜6個の炭素原子を含む(C1〜C6アルキルジイル)。また好ましいものは、ラジカル中心が末端の炭素に存在する飽和非環式アルカニルジイル基(例えば、メタンジイル(メタノ);エタン−1,2−ジイル(エタノ);プロパン−1,3−ジイル(プロパノ);ブタン−1,4−ジイル(ブタノ)など)である(以下で定義されるように、アルキレノともまた称される)。
【0066】
「アルキレノ」とは、単独でかまたは別の置換基の一部として、直鎖の親のアルカン、アルケンまたはアルキンの2個の末端炭素から1個ずつの水素原子を除去することによって誘導される、2個の末端一価ラジカル中心を有する、直鎖の飽和または不飽和のアルキルジイル基をいう。二重結合または三重結合(存在する場合)の位置記号は、特に、アルキレノにおいて、ブラケット内に示される。代表的なアルキレノ基としては、メタノ;エチレノ(例えば、エタノ、エテノ、エチノ);プロピレノ(例えば、プロパノ、プロパ[1]エノ、プロパ[1,2]ジエノ、プロパ[1]イノなど);ブチレノ(例えば、ブタノ、ブタ[1]エノ、ブタ[2]エノ、ブタ[1,3]ジエノ、ブタ[1]イノ、ブタ[2]イノ、ブタ[1,3]ジイノなど)などが挙げられるが、これらに限定されない。特定の飽和のレベルが意図される場合、アルカノ、アルケノおよび/またはアルキノとの命名法が使用される。好ましい実施形態において、アルキレノ基は、(C〜C)アルキレノまたは(C〜C)アルキレノである。また好ましいものは、直鎖飽和アルカノ基(例えば、メタノ、エタノ、プロパノ、ブタノなど)である。
【0067】
「アルコキシ」とは、単独でかまたは別の置換基の一部として、式−ORの基をいい、ここで、Rは、本明細書中で定義されるようなアルキル基またはシクロアルキル基である。代表的な例のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ、シクロプロピルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
「アルコキシカルボニル」とは、単独でかまたは別の置換基の一部として、式−C(O)−アルコキシの基をいい、ここで、アルコキシは、本明細書中で定義されるとおりである。
【0069】
「アルキルチオ」とは、単独でかまたは別の置換基の一部として、式−SRの基をいい、ここで、Rは、本明細書中で定義されるようなアルキル基またはシクロアルキル基である。アルキルチオ基の代表的な例としては、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、tert−ブチルチオ、シクロプロピルチオ、シクロペンチルチオ、シクロヘキシルチオなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
「アリール」とは、単独でかまたは別の置換基の一部として、本明細書中で定義されるような親芳香族環系の1個の炭素原子から、1個の水素原子を除去することによって誘導される、一価の芳香族炭化水素基をいう。代表的なアリール基としては、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、クロメン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as−インダセン、s−インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ−2,4−ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレンなどから誘導される基が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、アリール基は、6個〜20個の炭素原子(C〜C20アリール)、より好ましくは、6個〜15個の炭素原子(C〜C15アリール)、そしてなおより好ましくは、6個〜10個の炭素原子(C〜C10アリール)を含む。
【0071】
「アリールアルキル」とは、単独でかまたは別の置換基の一部として、炭素原子(代表的には、末端炭素原子またはsp炭素原子)に結合している水素原子のうちの1個が、本明細書中で定義されるようなアリール基で置き換えられている、非環式アルキル基をいう。代表的なアリールアルキル基としては、ベンジル、2−フェニルエタン−1−イル、2−フェニルエタン−1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルエタン−1−イル、2−ナフチルエタン−1−イル、ナフトベンジル、2−ナフトフェニルエタン−1−イルなどが挙げられるが、これらに限定されない。特定のアルキル部分が意図される場合、アリールアルカニル、アリールアルケニルおよび/またはアリールアルキニルとの命名法が使用される。好ましくは、アリールアルキル基は、(C〜C30)アリールアルキル(例えば、アリールアルキル基のアルカニル部分、アルケニル部分もしくはアルキニル部分が、(C〜C10)アルキルであり、そしてアリール部分が、(C〜C20)アリールである)であり、より好ましくは、アリールアルキル基は、(C〜C20)アリールアルキル(例えば、アリールアルキル基のアルカニル部分、アルケニル部分もしくはアルキニル部分が(C〜C)アルキルであり、そしてアリール部分が(C〜C12)アリールである)であり、そしてなおより好ましくは、アリールアルキル基は、(C〜C15)アリールアルキル(例えば、アリールアルキル基のアルカニル部分、アルケニル部分もしくはアルキニル部分が、(C〜C)アルキルであり、そしてアリール部分が、(C〜C10)アリールである)である。
【0072】
「アリールオキシ」とは、単独でかまたは別の置換基の一部として、式−O−アリールの基をいい、ここで、アリールは、本明細書中で定義されるとおりである。
【0073】
「アリールアルコキシ」とは、単独でかまたは別の置換基の一部として、式−O−アリールアルキルの基をいい、ここで、アリールアルキルは、本明細書中で定義されるとおりである。
【0074】
「アリールオキシカルボニル」とは、単独でかまたは別の置換基の一部として、式−C(O)−O−アリールの基をいい、ここで、アリールは、本明細書中で定義されるとおりである。
【0075】
「カルバモイル」とは、単独でかまたは別の置換基の一部として、式−C(O)NR’R”の基をいい、ここで、R’およびR”の各々は、互いに独立して、水素、本明細書中で定義されるようなアルキルおよびシクロアルキルからなる群より選択されるか、あるいはR’およびR”は、これらが結合している窒素原子と一緒になって、5員、6員または7員の、本明細書中で定義されるようなシクロヘテロアルキル環を形成し、このシクロヘテロアルキル環は、O、SおよびNからなる群より選択される、1個〜4個の同じかまたは異なるさらなるヘテロ原子を必要に応じて含む。
【0076】
「シクロアルキル」とは、単独でかまたは別の置換基の一部として、飽和または不飽和の環状の、本明細書中で定義されるようなアルキル基をいう。特定の飽和レベルが意図される場合、「シクロアルカニル」または「シクロアルケニル」との命名法が使用される。代表的なシクロアルキル基としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどから誘導される基が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、シクロアルキル基は、3個〜10個の環原子を含み(C〜C10シクロアルキル)、そしてより好ましくは、3個〜7個の環原子を含む(C〜Cシクロアルキル)。シクロアルキル基はまた、多環式の基(例えば、アダマンタンなどであるが、これに限定されない)を含む。
【0077】
「シクロヘテロアルキル」とは、単独でかまたは別の置換基の一部として、1個以上の炭素原子(および必要に応じて任意の付随する水素原子)が、独立して、同じかまたは異なるヘテロ原子で置き換えられている、飽和または不飽和の環式アルキル基をいう。炭素原子を置き換える代表的なヘテロ原子としては、N、P、O、S、Siなどが挙げられるが、これらに限定されない。特定の飽和レベルが意図される場合、「シクロヘテロアルカニル」または「シクロヘテロアルケニル」との命名法が使用される。代表的なシクロヘテロアルキル基としては、エポキシド、アジリン、チイラン、イミダゾリジン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ピラゾリジン、ピロリドン、キヌクリジンなどから誘導される基が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、シクロヘテロアルキル基は、3個〜10個の環原子を含み(3〜10員のシクロヘテロアルキル)、そしてより好ましくは、5個〜7個の環原子を含む(5〜7員のシクロヘテロアルキル)。
【0078】
シクロヘテロアルキル基は、ヘテロ原子(例えば、窒素原子)の位置で、低級アルキルで置換され得る。具体的な例として、N−メチル−イミダゾリジニル、N−メチル−モルホリニル、N−メチル−ピペラジニル、N−メチル−ピペリジニル、N−メチル−ピラゾリジニルおよびN−メチル−ピロリジニルが、「シクロヘテロアルキル」の定義に含まれる。シクロヘテロアルキル基は、分子の残りの部分に、環炭素原子を介して結合されても環ヘテロ原子を介して結合されてもよい。
【0079】
用語「複素環」とは、本明細書中で使用される場合、シクロヘテロアルキル、ヘテロアリールまたは親ヘテロ芳香族環系を意味する。複素環としては、例えば、飽和、不飽和、または芳香族のヘテロ原子環系が挙げられる。
【0080】
「ジアルキルアミノ」または「モノアルキルアミノ」とは、単独でかまたは他の置換基の一部として、それぞれ、式−NRRおよび−NHRの基をいい、ここで、各Rは、独立して、本明細書中で定義されるようなアルキルおよびシクロアルキルからなる群より選択される。ジアルキルアミノ基の代表的な例としては、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジ−(1−メチルエチル)アミノ、(シクロヘキシル)(メチル)アミノ、(シクロヘキシル)(エチル)アミノ、(シクロヘキシル)(プロピル)アミノなどが挙げられるが、これらに限定されない。モノアルキルアミノ基の代表的な例としては、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、シクロヘキシルアミノなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
「ハロゲン」または「ハロ」とは、単独でかまたは別の置換基の一部として、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基および/またはヨード基をいう。
【0082】
「ハロアルキル」とは、単独でかまたは別の置換基と一緒になって、水素原子のうちの1個以上がハロ基で置き換えられている、本明細書中で定義されるようなアルキル基をいう。用語「ハロアルキル」は、過ハロアルキルまでの、モノハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキルなどを含むことを、特に意味する。ハロアルキルを置換するハロ基は、同じであり得るか、またはこれらは異なり得る。例えば、「(C〜C)ハロアルキル」との表現は、1−フルオロメチル、1−フルオロ−2−クロロエチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1−フルオロエチル、1,1−ジフルオロエチル、1,2−ジフルオロエチル、1,1,1−トリフルオロエチル、パーフルオロエチルなどを含む。
【0083】
「ハロアルキルオキシ」とは、単独でかまたは別の置換基の一部として、式−O−ハロアルキルの基をいい、ここで、ハロアルキルは、本明細書中で定義されるとおりである。
【0084】
「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルカニル」、「ヘテロアルケニル」、「ヘテロアルキニル」、「ヘテロアルキルジイル」および「ヘテロアルキレノ」とは、単独でかまたは他の置換基の一部として、炭素原子(および必要に応じて、任意の付随する水素原子)のうちの1個以上の各々が、互いに独立して、同じかまたは異なるヘテロ原子またはヘテロ原子基で置き換えられている、アルキル基、アルカニル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルジイル基およびアルキレノ基をそれぞれいう。炭素原子を置き換え得る代表的なヘテロ原子またはヘテロ原子基としては、O、S、N、Si、−NH−、−S(O)−、−S(O)−、−S(O)NH−、−S(O)NH−など、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロ原子またはヘテロ原子基は、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基の内部の任意の位置に位置し得る。このようなヘテロアルキル基、ヘテロアルカニル基、ヘテロアルケニル基および/またはヘテロアルキニル基の例としては、−CH−CH−O−CH、−CH−CH−NH−CH、−CH−CH−N(CH)−CH、−CH−S−CH−CH、−CH−CH−S(O)−CH、−CH−CH−S(O)−CH、−CH=CH−O−CH、−CH−CH=N−O−CH、および−CH−CH−O−C=CHが挙げられる。ヘテロアルキルジイル基およびヘテロアルキレノ基について、ヘテロ原子またはヘテロ原子基はまた、鎖のいずれかまたは両方の末端を占有し得る。このような基については、この基の配向は示唆されない。
【0085】
「ヘテロアリール」とは、単独でかまたは別の置換基の一部として、本明細書中で定義されるような親ヘテロ芳香族環系の1個の原子から1個の水素原子を除去することによって誘導される、一価のヘテロ芳香族基をいう。代表的なヘテロアリール基としては、アクリジン、□−カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテンなどから誘導される基が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、ヘテロアリール基は、5個〜20個の環原子を含み(5〜20員のヘテロアリール)、より好ましくは、5個〜10個の環原子を含む(5〜10員のヘテロアリール)。好ましいヘテロアリール基は、フラン、チオフェン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾイミダゾール、インドール、ピリジン、ピラゾール、キノリン、イミダゾール、オキサゾール、イソオキサゾールおよびピラジンから誘導されるヘテロアリール基である。
【0086】
「ヘテロアリールアルキル」とは、単独でかまたは別の置換基の一部として、炭素原子(代表的には、末端炭素原子またはsp炭素原子)に結合している水素原子のうちの1個が、ヘテロアリール基で置き換えられている、非環式アルキル基をいう。特定のアルキル部分が意図される場合、ヘテロアリールアルカニル、ヘテロアリールアルケニルおよび/またはヘテロアリールアルキニルとの命名法が使用される。好ましい実施形態において、ヘテロアリールアルキル基は、6〜21員のヘテロアリールアルキル(例えば、ヘテロアリールアルキルのアルカニル部分、アルケニル部分もしくはアルキニル部分が、(C1〜C6)アルキルであり、そしてヘテロアリール部分が、5〜15員のヘテロアリールである)である。特に好ましい実施形態において、ヘテロアリールアルキル基は、6〜13員のヘテロアリールアルキル(例えば、ヘテロアリールアルキルのアルカニル部分、アルケニル部分もしくはアルキニル部分が、(C1〜C3)アルキルであり、そしてヘテロアリール部分が、5〜10員のヘテロアリールである)である。
【0087】
「親芳香族環系」とは、共役π電子系を有する、不飽和の環式環系または多環式環系をいう。「親芳香族環系」の定義に特に含まれるものは、環のうちの1個以上が芳香族であり、そして環のうちの1個以上が飽和または不飽和である、縮合環系(例えば、フルオレン、インダン、インデン、フェナレンなど)である。代表的な親芳香族環系としては、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、クロメン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as−インダセン、s−インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ−2,4−ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
「親ヘテロ芳香族環系」とは、1個以上の炭素原子(および必要に応じて、任意の付随する水素原子)が、各々独立して、同じかまたは異なるヘテロ原子で置き換えられている、親芳香族環系をいう。炭素原子を置き換える代表的なヘテロ原子としては、N、P、O、S、Siなどが挙げられるが、これらに限定されない。「親ヘテロ芳香族環系」の定義に具体的に含まれるものは、環のうちの1個以上が芳香族であり、そして環のうちの1個以上が飽和または不飽和である、縮合環系(例えば、ベンゾジオキサン、ベンゾフラン、クロマン、クロメン、インドール、インドリン、キサンテンなど)である。代表的な親ヘテロ芳香族環系としては、アルシンドール、カルバゾール、β−カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリジミン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
「薬学的に受容可能な塩」とは、薬学的用途のために一般的に受容可能であると当該分野において理解されている対イオンを用いて作製され、親化合物の所望の薬理学的活性を有する、本発明の化合物の塩をいう。このような塩としては、以下が挙げられる:(1)酸付加塩(無機塩(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など)と形成される;または有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、ショウノウスルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプタン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸など)と形成される);あるいは(2)親化合物に存在する酸性プロトンが金属イオン(例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、もしくはアルミニウムイオン)で置き換えられる場合;または無機塩基(例えば、水酸化アンモニウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなど)もしくは有機塩基(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルグルカミン、モルホリン、ピペリジン、ジメチルアミン、ジエチルアミンなど)と配位する場合に形成される塩。アミノ酸(例えば、アルギニン酸など)との塩、および有機酸(グルクロン酸またはガラクツロン酸など)との塩もまた、含まれる(例えば、Bergeら、1977、J.Pharm.Sci.66:1−19を参照のこと)。
【0090】
「薬学的に受容可能なビヒクル」とは、ヒトへの使用のために認容可能な希釈剤、アジュバント、賦形剤またはキャリアをいう。
【0091】
「保護基」とは、分子中の反応性官能基に付着する場合に、この官能基の反応性を遮蔽するか、減少させるか、または防止する原子の群をいう。代表的に、保護基は、合成の経過の間に、必要に応じて選択的に除去され得る。保護基の例は、GreeneおよびWuts,Protective Groups in Organic Chemistry,第3版、1999,John Wiley & Sons,NYならびにHarrisonら,Compendium of Synthetic Organic Methods,第1巻〜第8巻、1971−1996,John Wiley & Sons,NYに見出され得る。代表的なアミノ保護基としては、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(「CBZ」)、tert−ブトキシカルボニル(「Boc」)、トリメチルシリル(「TMS」)、2−トリメチルシリル−エタンスルホニル(「SES」)、トリチルおよび置換トリチル基、アリルオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(「FMOC」)、ニトロ−ベラトリルオキシカルボニル(「NVOC」)などが挙げられるが、これらに限定されない。代表的なヒドロキシル保護基としては、ヒドロキシル基がアシル化される基(例えば、メチルエステルおよびエチルエステル、アセテート基もしくはプロピオネート基、またはグリコールエステル)、あるいはアルキル化される基(例えば、ベンジルエーテルおよびトリチルエーテル、ならびにアルキルエーテル、テトラヒドロピアニルエーテル、トリアルキルシリルエーテル(例えば、TMSまたはTIPPS基)およびアリルエーテル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
「プロドラッグ」とは、活性薬物中の官能基を遮蔽してプロ部分を形成するために使用される場合に、この薬物をプロドラッグに変換する保護基の型をいう。プロドラッグは、代表的に、特定の使用条件下で切断する結合を介して、この薬物の官能基に付着する。従って、プロドラッグとは、特定の使用条件下で切断されて官能基を放出する、プロ部分の部分である。
【0093】
「置換(された)」とは、言及される基またはラジカルを修飾するために使用される場合、その言及された基またはラジカルの1個以上の水素原子の各々が、互いに独立して、同じかまたは異なる置換基で置き換えられていることを意味する。言及される基またはラジカル中の飽和炭素原子を置換するために有用な置換基としては、
【0094】
【化31】

が挙げられるが、これらに限定されない。ここで、Rは、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルからなる群より選択され;各Rは、独立して、水素またはRであり;そして各Rは、独立して、Rであるか、あるいは2個のRが、これらが結合している窒素原子と一緒になって、5員、6員もしくは7員のシクロヘテロアルキルを形成し、このシクロヘテロアルキルは、O、NおよびSからなる群より選択される、1個〜4個の同じかまたは異なるさらなるヘテロ原子を必要に応じて含み得る。具体例として、−NRは、−NH、−NH−アルキル、N−ピロリジニルおよびN−モルホリニルを含むことを意味する。
【0095】
同様に、言及される基またはラジカル中の不飽和炭素原子を置換するために有用な置換基としては、
【0096】
【化32】

が挙げられるが、これらに限定されない。ここで、R、RおよびRは、先に定義されたとおりである。不飽和炭素原子を置換するためのさらなる置換基は、上記部分のうちの1個で置換された、C〜C−アルキル部分である。
【0097】
ヘテロアルキル基およびシクロヘテロアルキル基中の窒素原子を置換するために有用な置換基としては、
【0098】
【化33】

が挙げられるが、これらに限定されない。ここで、R、RおよびRは、先に定義されたとおりである。
【0099】
言及される他の基または原子を置換するために有用な、上記列挙からの置換基は、当業者に明らかである。
【0100】
言及される基を置換するために使用される置換基は、代表的に、上で言及された種々の基から選択される1個以上の同じ基または異なる基で、さらに置換され得る。
【0101】
「スルファモイル」とは、単独でかまたは別の置換基の一部として、式−S(O)NR’R”の基をいい、ここで、R’およびR”の各々は、互いに独立して、水素、本明細書中で定義されるようなアルキルおよびシクロアルキルからなる群より選択されるか、あるいは、R’およびR”は、これらが結合している窒素原子と一緒になって、5員、6員または7員の、本明細書中で定義されるようなシクロヘテロアルキル環を形成し、このシクロヘテロアルキル環は、O、SおよびNからなる群より選択される1個〜4個の同じかまたは異なるさらなるヘテロ原子を必要に応じて含み得る。
【0102】
用語「リンカー」とは、1つの分子部分を別の分子部分から間隔を空けさせるために有用な原子または基の任意の組み合わせをいい、リンカーは、200amu以下の総分子量を有し、そして以下から選択される:非環式炭化水素架橋(例えば、飽和または不飽和の、そして/または架橋した、アルキレノ(例えば、メタノ、エタノ、エテノ、プロパノ、プロパ[1]エノ、ブタノ、ブタ[1]エノ、ブタ[2]エノ、ブタ[1,3]ジエノ))、単環式、二環式もしくは三環式の、炭化水素架橋(例えば、[1,2]ベンゼノ、[2,3]ナフタレノ、シクロヘキサン−1,4−ジイル)、非環式のヘテロ芳香族架橋またはヘテロアルキルジイル架橋(例えば、−O−、−S−、−S−O−、−NH−、−PH−、−C(O)−、−C(O)NH−、−OC(O)NH−、−S(O)−、−S(O)−、−S(O)NH−、−S(O)NH−、−O−CH−、−CH−O−CH−、−O−CH=CH−CH−)、単環式、二環式もしくは三環式のヘテロアリール架橋(例えば、[3,4]フラノ、ピリジノ、チオフェノ、ピペリジノ、ピペラジノ、ピリジジノ、ピロリジノ)、ならびにこのような架橋の組み合わせ。
【0103】
用語「PyBOP」とは、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(化学式:C1828OP;分子量:520.39)をいう。PyBOPの構造は、
【0104】
【化34】

である。
【0105】
本発明のプロドラッグのいくつかの例が、表1および表1Aに提供される。これらの例は、単に、本発明のいくつかの実施形態を説明するために働き、本発明の範囲をいかなる方法でも限定しない。立体化学が具体的に記載されない場合、表1の化合物、表1Aの化合物、および式Iによる化合物の立体化学は、これらの化合物の全てのラセミ体、エナンチオマーおよびジアステレオマーを含む。天然アミノ酸部分および非天然アミノ酸部分(例えば、L−アミノ酸およびD−アミノ酸)もまた、含まれる。1つの実施形態において、本発明の化合物は、L−アミノ酸部分を含む。本発明はまた、本明細書中に記載されるプロドラッグの種々の位置異性体およびヒドロ異性体を含み、構造式(I)〜(Id)ならびに表1および表1Aのプロドラッグの種々の位置異性体およびヒドロ異性体を含む。例えば、結合が
【0106】
【化35】

と記載されている場合、この結合は、
【0107】
【化36】

(すなわち、S配置とR配置との両方)を含む。さらに、化合物が1個以上のキラル中心を含む場合、各キラル中心は、他のものから独立して、任意の配置を呈し得る。
【0108】
【表1−1】

【0109】
【表1−2】

【0110】
【表1−3】

【0111】
【表1−4】

【0112】
【表1−5】

【0113】
【表1−6】

【0114】
【表1−7】

【0115】
【表1−8】

【0116】
【表1−9】

【0117】
【表1−10】

【0118】
【表1−11】

【0119】
【表1−12】

【0120】
【表1−13】

本発明の化合物は、ChemDraw Ultra 8.0ケミカルドローイングプログラム(CambridgeSoft Corporation,Cambridge Massachusetts)を使用して描かれ、そしていくつかの例においては、その中のCambridgeSoftの専売の命名ソフトウェアの応用に従って命名された。本発明の化合物はまた、本明細書中で、International Union of Pure and Applied Chemistry(IUPAC)、International Union of Biochemistry and Molecular Biology(IUBMB)、およびChemical Abstracts Service(CAS)により制定された命名規則の体系的応用に従って、命名され得る。
【0121】
(使用および投与)
HCVの複製を阻害する能力のために、本発明のプロドラックの代謝活性因子および/またはその組成物は、様々な状況下において使用されることが可能である。例えば、本発明のプロドラックは、程度の差こそあれ強力な抗HCVプロドラックを同定するためのインビトロアッセイにおいてコントロールとして使用され得る。別の例としては、本発明のプロドラックおよび/またはその組成物は、医療機器および医療用品がHCVウイルスで汚染されてしまうことを防止するための臨床条件下での保存剤または消毒剤として使用され得る。このような状況において使用される場合に、本発明のプロドラックおよび/またはその組成物は、そのプロドラックの代謝活性因子について測定されたIC50の数倍、例えば、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍またはそれ以上の濃度で、消毒されるべき機器に適用され得る。
【0122】
特定の実施形態において、本発明のプロドラックおよび/または組成物は、移植しようとする器官を「消毒する」ために使用され得る。例えば、移植されるために準備された肝臓またはその一部分は、その器官をレシピエントに移植する前に本発明の阻害性プロドラックを含む溶液で灌流され得る。この方法は、肝臓移植手術・治療後のB型肝炎ウイルス(HBV)感染の発生を低減するためにラミブジン(=Lamivudine;3TC,Epivir(登録商標),Epivir−HBV(登録商標))を用いた場合での成功が実証されている。非常に興味深いことに、このような灌流処理はHBV感染していない(HBV)肝臓レシピエントを、HBVドナーから得られた肝臓に由来するHBVに感染することから保護するだけでなく、これはまた、HBVドナーに由来する肝臓がHBVレシピエントに対して移植される場合にも、その肝臓をHBVによる攻撃から保護することが見出された。本発明のプロドラックは、これと同様に、器官移植、肝臓移植の前に使用されてもよい。
【0123】
本発明のプロドラックおよび/またはその組成物について、動物およびヒトでのHCV感染の処置および/または予防における特定の利用法が見出される。このような状況において使用される場合、本発明のプロドラックは、それ単独で投与されてもよいが、代表的には、薬学的組成物の形態で処方および投与されてもよい。その組成物の詳細な部分は、具体的には、投与方法に依存しているが、それは当業者にとって明確なものである。広範で適切な薬学的組成物が、例えば「Remington’s Pharmaceutical Sciences(第20版,2001年)」において記載されている。
【0124】
経口投与に適切な処方物は、以下に示す(a)〜(e)からなる。すなわち、(a)水、生理学的食塩水またはPEG400のような希釈液に有効量のプロドラックを懸濁した溶液;(b)液体、固体、顆粒またはゼラチンとして、所定量の有効成分を含んだ、カプセル、サチェット(sachet)または錠剤;(c)適切な液体での懸濁物;(d)適切な乳剤;および(e)マイクロカプセルである。錠剤の形態は、ラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、リン酸カルシウム、コーンスターチ、ジャガイモスターチ、微晶質状セルロース、ゼラチン、酸化ケイ素コロイド、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、および他の賦形剤、着色料、充填剤、結合剤、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤、矯味剤、色素、崩壊剤および薬学的適合性キャリアを含み得る。ロゼンジ形態は、矯味矯臭薬(例えば、スクロース)に含ませた活性成分、ならびに不活性基材(例えば、ゼラチンおよびグリセリン)またはスクロースおよびアカシアの乳剤中に活性成分を含んだ錠剤(pastille)ならびに活性成分に加えて当該技術分野では公知であるようなキャリアを含有するゲルなどを含み得る。
【0125】
選択されるプロドラックは、単独でまたは他の適切な成分と併用することで、吸入により投与されるためのエアロゾル処方物となる(すなわち、それらは、「噴霧される」)。エアロゾル処方物は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などのような加圧が可能である噴霧体中に入れ得る。
【0126】
直腸投与に適切な処方物としては、例えば、坐剤用基剤で封入された核酸からなる坐剤などが挙げられる。適切な坐剤としては、天然または合成のトリグリセリドまたはパラフィン炭化水素が挙げられる。さらに、選択して組み合わせたプロドラックと基材からなるゼラチン製直腸用カプセルを使用することも可能であり、この基材としては、例えば、液状トリグリセリド、ポリエチレングリコール、およびパラフィン炭化水素が挙げられる。
【0127】
例えば、関節内(関節部内)経路、静脈内経路、筋内経路、皮内経路、腹腔内経路および皮下経路による、非経口投与に適切な処方物は、水溶性または非水溶性である等張性無菌注射溶液を含み、この溶液は、抗酸化物質、緩衝液、静菌薬および意図したレシピエントにとってその処方物を血液と等張性とするような溶質、懸濁剤、可溶化剤、増粘剤(thickening agent)、安定化剤および保存剤を含み得る水溶性および非水溶性滅菌懸濁液を含む。本発明を実施する際に、例えば、経静脈内投与、経口投与、局所的投与、腹腔内投与、膀胱内投与、またはくも膜下腔内投与により、組成物が投与され得る。非経口投与、経口投与、皮下投与、および静脈内投与は、好ましい投与方法である。適切な溶液処方物の具体的例は、約0.5〜100mg/mlのプロドラック水溶液および約1000mg/mlのプロピレングリコール水溶液を含む。適切な溶液処方物の別の具体例は、約0.5〜100mg/mlのプロドラック水溶液および約800〜1000mg/mlのポリエチレングリコール400(PEG400)水溶液を含み得る。
【0128】
適切な懸濁処方物の具体例は、0.5〜30mg/mlプロドラックおよび以下に示すものからなる群より選択される1以上の賦形剤を含み得る:約200 mg/mlエタノール、約1000mg/ml植物油(例えば、トウモロコシ油)、約600〜1000mg/ml果汁(例えば、グレープジュース)、約400〜800mg/ml牛乳、約0.1mg/mlのカルボキシルメチルセルロース(または微晶質セルロース)、約0.5mg/mlベンジルアルコール(またはベンジルアルコールおよび塩化ベンザルコニウムの組み合わせたもの)および約40−50mM緩衝水溶液(pH7)(例えば、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液またはクエン酸緩衝液であり、あるいは、5%デキストロールを緩衝液の代わりに使用してもよい)。
【0129】
適切なリポソーム懸濁処方物の具体例は、以下のものを含んでもよい:約0.5〜30mg/mlプロドラック、約100〜200mg/mlレシチン(また他のリン脂質またはリン脂質の混合物)および必要に応じて約5mg/mlコレステロール水溶液。プロドラックの皮下投与のために、100mg/mlレシチンとともに5mg/mlプロドラックを水に溶かしたもの、ならびに100mg/mlレシチンおよび5mg/mlコレステロールとともに5mg/mlプロドラックを水に溶かしたものを含むリポソーム懸濁処方物は、十分な結果を提供する。この処方物を、本発明の他のプロドラックに対して使用してもよい。
【0130】
プロドラックの処方物は、単位用量または複数回用量の密閉した容器(例えば、アンプルおよびバイアル)で与えられ得る。注射溶液または懸濁が、上述した種類の滅菌粉末、顆粒、および錠剤から調製され得る。
【0131】
薬学的調製物は、好ましくは、単位投薬形態である。このような形態では、その調製物は、適当量のプロドラックを含む単位用量へと小分けされる。単位投薬形態は、パッケージされた調製物であり、このパッケージは、離散量の調製物を含み、例えば、パケット錠剤(packeted tablet)、カプセル、ならびにバイアルまたはアンプル中の粉剤である。また、単位投薬形態は、カプセル、錠剤、カシェ剤、またはロゼンジ(または糖錠)自体であり得、または、単位投薬形態は、パッケージされた形態にあるこれらのもののうちのいずれかを適量得たものである。この組成物はまた、所望される場合、後で詳述するように、他の適合性の治療剤を含有する。
【0132】
HCV感染を治療するための治療的用途では、本発明の薬学的方法において使用されるプロドラックは、治療効果を達成するのに適切な投薬量でHCVに関していると診断された患者に投与される。この治療効果として意味するところは、プロドラックの投与によって、時間の経過ともに有益な効果を導くことである。例えば、患者におけるHCVの力価または負荷(load)が、低減されたかまたは増加が停止したいずれかの場合に、治療効果が達成される。患者におけるHCV力価または負荷に関係なく、プロドラッグの投与がHCV感染に典型的に伴う臓器おける損傷の発生または他の有害な症状の発生を遅延させるか全く停止させる場合にも、治療効果は達成される。
【0133】
本発明のプロドラックおよび/またはその組成物はまた、HCVの感染の進行を予防するために、HCV感染を進行させる危険性がある患者またはHCVに曝露されたことがある患者において予防的に投与されてもよい。例えば、本発明のプロドラックおよび/またはその組成物は、HCV感染の危険性を低減するため、またはHCV感染の進行を完全に無効にするために、偶発的にHCV患者を看護した際に針をさしてしまった医療従事者に投与されてもよい。
【0134】
ヒトへの投与に際して適切な初期投薬量は、インビトロアッセイまたは動物モデルから決定できる。例えば、初期投薬量は、インビトロアッセイにおいて測定されるような、投与されたプロドラックの特定の代謝活性因子のIC50を含む血清濃度を達成するように処方され得る。あるいは、ヒトに対する初期投薬量は、HCV感染の動物モデルおいて有効であると判明した投薬量に基づくことができる。適切なモデル系が、例えば、Muchmore,2001,Immunol.Rev.183:86−93およびLanford&Bigger,2002,Virology,293:1−9ならびにそれらに引用された文献に記載されている。一例として、初期投薬量は、約0.01mg/kg/日〜約200mg/kg/日の範囲にあってもよく、または、約0.1mg/kg/日〜約100mg/kg/日、または約1mg/kg/日〜約50mg/kg/日、または約10mg/kg/日〜約50mg/kg/日も使用され得る。しかし、この投薬量は、患者における必要条件、処置すべき状態の重篤度、および使用するプロドラックに依存して改変され得るものである。この投薬量の規模は、個々の患者における特定のプロドラックの投与に伴う有害な副作用の存在、特性、および程度により決定される。個々の状況にとって適切な投薬量を決定することは、当業者の通常の技術の範囲内である。一般的に、処置は、そのプロドラックの最適用量よりも低い投薬量で開始される。その後、この投薬量は、その状況下で最適の効果に至るまで少しずつ投薬量を増加させる。便宜上、所望する場合には、一日の総投薬量を、細分して、その日のうちに分けて投与されてもよい。
【0135】
(併用療法)
本発明の特定の実施形態において,本発明のプロドラックおよび/またはその組成物は、少なくとも1つの他の治療剤を伴って併用療法において使用されてもよい。本発明のプロドラックおよびその組成物および治療剤は、相加的に作用するか、または、好ましくは、相乗的に作用し得る。本発明のプロドラックおよび/またはその組成物は、その他の治療剤の投与と同時に投与されてもよいし、その他の治療剤が投与される前またはその後に投与されてもよい。
【0136】
1つの実施形態において、本発明のプロドラックおよび/またはその組成物は、HCVの処置または予防において効果的であることが知られている他の抗ウイルス剤または他の治療剤を用いる併用療法において使用されてもよい。具体的な例としては、本発明のプロドラックおよび/またはその組成物は、リバビリンのような既知の抗ウイルス剤(例えば、米国特許第4,530,901号を参照)と併用されてもよい。別の具体的な例として、本発明のプロドラックおよび/またはその組成物は、以下のいずれかに記載されるような化合物のうちの1つ以上と併用して投与されてもよい:米国特許第6,143,715号;米国特許第6,323,180号;米国特許第6,329,379号;米国特許第6,329,417号;米国特許第6,410,531号;米国特許第6,420,380号;および米国特許第6,448,281号。
【0137】
さらに別の具体例としては、本発明のプロドラックおよび/またはその組成物は、α−インターフェロン、β−インターフェロンおよび/またはγ−インターフェロンのようなインターフェロンと併用されてもよい。これらのインターフェロンは、未改変のままでも、例えば、ポリエチレングリコールのような部分を用いて改変したもの(ペグ化インターフェロン)としてもよい。多くの適切なペグ化していない、またはペグ化された、インターフェロンが、市販されており、そのようなもとしては、以下のものあげられるが、これらに限定されない:インターフェロンα−2b(例えば、Schering Corporation(Kenilworth,NJ)から入手可能であるIntron−A インターフェロン)、組換えインターフェロンα−2a(例えば、Hoffmann−La Roche(Nutley,NJ)から入手可能であるRoferonインターフェロン)、組換えインターフェロンα−2C(例えば、Boehringer Ingelheim Pharmaceutical,Inc.(Ridgefield,Conn.)から入手可能であるBerofor α2インターフェロン)、天然のαインターフェロン精製ブレンドであるインターフェロンα−nl(例えば、Sumitomo(Japan)から入手可能であるSumiferonまたはGlaxo−Wellcome Ltd.(London,Great Britain)から入手可能であるWellferon インターフェロンα−nl(INS))あるいはコンセンサスαインターフェロン(例えば、米国特許第4,897,471号および同第4,695,623号(特に、その実施例7、8または9)に記載されるもの)およびAmgen,Inc.(Newbury Park,Calif)製の特効のある製品),またはインターフェロンα−n3(Interferon Sciences製またはPurdue Frederick Co.(Norwalk,Conn.)から商標Alferonのもと入手可能である、天然のαインターフェロンの混合物)、Schering Corporation(Kenilworth,NJ)から商標PEG−Intron Aのもと入手可能であるペグ化インターフェロン−2bおよびHoffmann−La Roche(Nutley,NJ.)から商標Pegasysのもと入手可能であるペグ化インターフェロン−2a。
【0138】
さらに別の具体例としては、本発明のプロドラックおよび/またはその組成物は、リボビリン(ribovirin)およびインターフェロンの両方と併用されてもよい。
【0139】
(合成方法)
本発明のプロドラッグは、スキーム1に示される合成方法を介して得られ得る。一般に、式(I)の化合物は、適切に官能基化されたA環出発物質とC環出発物質との反応を介するB環の合成によって、作製される。例えば、スキーム1は、化合物105を形成するための、(例えば)クロロ−オキシムで官能基化されたベンゼン101と、(例えば)アルキニルで官能基化された環Cベンゼン103との組み合わせを記載する。この例において、A−B−C環系は、インサイチュで形成される酸化ニトリル中間体104を介する[3+2]付加環化によって形成される。しかし、本発明は、この方法に限定されない。スキーム1において、R20は、上で定義されたとおりであり、そして「R」は、一般に、−H、R11、式(I)によるハロアセチル基、またはR11およびこのようなハロアセチル基の前駆体もしくは他の保護形態を表す。基「R」が、例えば水素以外である場合、これらのR基は、各々独立して、B環の形成前または形成後のいずれかに、環窒素に付着し得る。上述のように、1つの例において、式(III)の中間体A−B−C−NHが形成され、次いで、式(I)の化合物への官能基化が行われる。他の例において、R11が環Cの窒素に付着し、その後、環Bが形成され、次いで、ハロアセチル基が付加される。本明細書中でまた言及されるように、環Bの形成は、必ずしもイソオキサゾールである必要はなく、[3+2]付加環化によって形成される必要もない。本明細書を、以下の特定の実施例と組み合わせて理解する当業者は、多くの組み合わせが、式(I)による化合物を合成するために可能であることを理解する。
【0140】
スキーム1において、置換基R20は、合成の間に保護を必要とする、反応性官能基を含み得る。適切な保護基の選択は、官能基の性質および使用される合成方法に依存し、そして当業者に明らかである。適切な保護基を選択するための指針は、Greene & Wuts(前出)、およびそこに引用される種々の他の参考文献に見出され得る。
【0141】
【化37】

本発明のプロドラッグおよびその中間体を調製するために有用な出発物質は、市販されているか、または周知の合成方法(例えば、Harrisonら,「Compendium of Synthetic Organic Methods」第1巻〜第8巻(John Wiley and Sons,1971−1996);「Beilstein Handbook of Organic Chemistry」,Beilstein Institute of Organic Chemistry,Frankfurt,Germany;Feiserら,「Reagents for Organic Synthesis」,第1巻〜第21巻、Wiley Interscience;Trostら,「Comprehensive Organic Synthesis」,Pergamon Press,1991;「Theilheimer’s Synthetic Methods of Organic Chemistry」,第1巻〜第45巻,Karger,1991;March,「Advanced Organic Chemistry」,Wiley Interscience,1991;Larock「Comprehensive Organic Transformations」,VCH Publishers,1989;Paquette,「Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis」,第3版、John Wiley & Sons,1995を参照のこと)によって調製され得る。本明細書中に記載される化合物の合成のための他の方法および/または出発物質は、当該分野において記載されているか、または当業者に容易に明らかであるかの、いずれかである。従って、本明細書中に提供される合成方法およびストラテジーは、網羅的ではなく、例示的である。
【0142】
以下の一般方法は、例示的であることが意図されることが理解されるべきである。例えば、記載される合成経路は、イソオキサゾールの「B」環に焦点を当てる。しかし、本明細書全体にわたって記載されるような、イソオキサゾールの「B」環の代わりの複素環式環が、当業者によって使用され得る。さらに、これらのスキームにおいて利用される置換基は、本明細書全体にわたって記載される置換基に対応する。置換基の操作および選択は、当業者の知識の範囲内である。
【0143】
1,3−双極付加環化反応(1,3−双極付加、[3+2]環化または[3+2]付加環化ともまた呼ばれる)を行うためのさらなる指針は、「Cycloaddition Reactions in Organic Synthesis」(Kobayashi,S.およびJorgensen,K.A.編),2002,Wiley−VCH Publishers,pp.1−332(具体的には、[3+2]付加環化および1,3−双極付加については第6章および第7章(pp.211−248および249−300));「1,3−双極付加環化」,Chemistry of Heterocyclic Compounds,第59巻(Padwa,A.およびPearson.W.編),2002,John Wiley,New York,pp.1−940;「Nitrile Oxides,Nitrones,Nitronates in Organic Synthesis;Novel Strategies in Synthesis」,Torssel,K.B.G.,1988,VCH Publishers,New York,pp.1−332;Barnes & Spriggs,1945,J.Am.Chem Soc.67:134;ならびにAnjaneyuluら,1995,Indian J.Chem.,Sect.5 34(11);933−938に見出され得る。
【0144】
イソオキサゾールを合成するためのさらなる指針は、M.Sutharchanadevi,R.Murugan,Comprehensive Heterocyclic Chemistry II,A.R.Katritzky,C.W.Rees,E.F.V.Scriven編;Pergamon Press,Oxford,第3巻,p.221;R.Gruenager,P,Vita−Finzi,Heterocyclic Compounds,第49巻,Isoxazoles,Part one,John Wiley and Sons,New York,1991;K.B.G.Torssell,Nitrile Oxides,Nitrones,and Nitronates in Organic Synthesis,VCH Publishers, New York,1988;Y−Y.Ku,T.Grieme,P.Sharma,Y.−M.Pu,P.Rage,H.Morton,S.King Organic Letters,2001,3,4185;V.G.Desai,S.G.Tilve Synth.Comm.,1999,29,3017;X.Wei,J.Fang,Y.Hu,H.Hu Synthesis,1992,1205;C.Kashima,N.Yoshihara,S.Shirai Heterocycles,1981,16,145;A.S.R.Anjaneyulu,G.S.Rani,K.G.Annapurna,U.V.Mallavadhani,Y.L.N.Murthy Indian J.Chem.Sect B,1995,34,933;R.P.Barnes,A.S.Spriggs,J.Am.Chem.Soc.,1945,67,134;A.Alberola,L.Calvo,A.G.Ortega,M.L.Sa´bada,M.C.Sanudo,S.G.Granda,E.G.Rodriguez Heterocycles,1999,51,2675;X.Wang,J.Tan,K.Grozinger Tetrahedron Lett.2000,41,4713;A.R.Katritzky,M.Wang,S.Zhang,M.V.Voronkov J.Org.Chem.,2001,66,6787;ならびにJ.Bohrisch,M.Paetzel,C.Muegge,J.Liebscher Synthesis,1991,1153に見出され得る。ピラゾールを合成するためのさらなる指針は、J.Elguero Comprehensive Heterocyclic Chemistry II,A.R.Katritzky,C.W.Reees,E.F.V.Scriven編;Pergamon Press,Oxford,1996;第3巻,p.1に見出され得る。
【実施例】
【0145】
以下の実施例は、例示のみの目的で提供されるのであり、限定の目的で提供されるのではない。当業者は、本質的に類似の結果を得るために変更または改変され得る、重要ではない種々のパラメータを容易に認識する。
【0146】
表1のプロドラッグを、以下に記載されるかまたはスキーム1およびスキーム8に説明される方法に従って、合成した。融点を、Electrothermal IA9100シリーズのデジタル融点装置を使用して得た。全ての融点は、補正されていない。元素分析は、Desert Analytics,Tuscon,AZによって実施された。NMPスペクトルを、300 MHz Varian Mercuryシステムで得た。マイクロ波反応を、Personal Chemistry,SmithCreatorマイクロ波で実施した。LC−MSを、エレクトロスプレーイオン化を用いて、Waters Micromass ZQ機器で実施した。HPLC成分は、254nmの波長のWaters Model 996フォトダイオードアレイ検出器に結合された、Waters Model 2690 Separationモジュールであった。特定のプロドラッグを分析するために使用された具体的なLC−MS方法(各プロドラッグについて括弧内に示されている)を、以下に提供する。
【0147】
(2−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセとアミド)エチルホスホン酸(化合物番号2)の合成(スキーム2を参照のこと))
(2−(3−エチニルフェニルアミノ)エチルホスホン酸ジエチルの合成)
3−エチルアニリン(2.36g、22.1mmol)、2−ブロモエチルホスホン酸ジエチル(5.41g、22.1mmol)および炭酸カリウム(3.1g、22.1mmol)を、無水アセトニトリル(40mL)中で26時間、90℃で加熱した。その溶媒を減圧下で除去し、そしてその残渣を、酢酸エチルと水との間で分配した。その有機層を分離し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(1:1酢酸エチル:ヘキサン、続いて97:3塩化メチレン:メタノールで溶出する)により精製して、2−(3−エチニルフェニルアミノ)エチルホスホン酸ジエチル(450mg)を黄色油状物として得た。
【0148】
【化37A】

(2−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニルアミノ)エチルホスホン酸ジエチルの合成)
2,6−ジクロロ−N−ヒドロキシベンゾイミドイルクロリド(370mg、1.6mmol)および2−(3−エチニルフェニルアミノ)エチルホスホン酸ジエチル(450mg、1.6mmol)を、無水テトラヒドロフラン(40mL)およびトリエチルアミン(0.30mL、1.6mmol)に溶解した。次いで、この混合物を、5時間加熱還流した。この反応物を室温まで冷却し、そしてその溶媒を減圧下で除去した。その残渣を酢酸エチルに溶解し、そして水およびブラインで連続して洗浄した。この酢酸エチル溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。得られた固体をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(98:2塩化メチレン:メタノールで溶出する)により精製して、2−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニルアミノ)エチルホスホン酸ジエチル(670mg)を淡黄色油状物として得た。
【0149】
【化38】

(2−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル9イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)エチルホスホン酸ジエチル(化合物番号1)の合成)
2−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニルアミノ)エチルホスホン酸ジエチル(660mg、1.4mmol)を、トリエチルアミン(0.28mL、1.7mmol)と一緒に無水塩化メチレン(10mL)に溶解した。この混合物を、氷浴中窒素下で冷却し、次いで、無水ジクロロメタン(0.5mL)中のジクロロアセチルクロリドの溶液(161μL、1.7mmol)を滴下した。この添加が完了した後に、氷浴を取り除き、そしてこの混合物を、室温で一晩攪拌した。この反応混合物を塩化メチレンで希釈し、次いで、水、10%塩酸および飽和重炭酸ナトリウム溶液で連続して洗浄した。その有機溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(1:1酢酸エチル:ヘキサン、続いて98:2塩化メチレン:メタノールで溶出する)により精製して、2−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)エチルホスホン酸ジエチル(化合物番号1)を、白色固体として得た。
【0150】
【化39】

(2−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)エチルホスホン酸(化合物番号2)の合成)
(2−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)エチルホスホン酸ジエチル(化合物番号1、50mg、0.09mmol)を、無水塩化メチレン(1mL)に溶解した。ブロモトリメチルシラン(750μL、5.7mmol)を添加し、そしてこの混合物を4時間攪拌し、この時点で、LC−MSにより、出発物質が消費されたことを確認した。その溶媒を減圧下で除去した。得られた残渣をメタノール:水(1:1、3mL)に溶解し、そして30分間振盪した。この混合物を、セライトのパッドで濾過した。このセライトを酢酸エチルで洗浄した。合わせた濾液をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして減圧下で濃縮して、2−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)エチルホスホン酸(化合物2)を、白色固体として得た。
【0151】
【化40】

(N−(4−(2−アミノアセトアミド)−5−メチル−3−オキソヘキシル)−2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号50)の合成(スキーム3を参照のこと))
((R)−1−(メトキシ(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イルカルバミン酸tert−ブチルの合成)
N−Boc−L−バリン(3.72g、17.2mmol)およびN,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(1.84g、18.86mmol)を、窒素下で、無水塩化メチレン(50mL)に溶解した。トリエチルアミン(2.09g、20.64mmol)をこの混合物に添加し、次いで、シアノホスホン酸ジエチル(3.09g、18.92mmol)を滴下した。得られた混合物を、室温で12時間攪拌した。次いで、この反応物を塩化メチレン(150mL)で希釈し、そして水(10mL)で洗浄した。その水層を塩化メチレン(50mL)で抽出した。合わせた有機層を、水性重炭酸ナトリウム(2×100mL)およびブライン(2×100mL)で連続して洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。その粗製残渣を、さらに精製せずに先に進んだ。
【0152】
【化41】

((R)−2−メチル−4−オキソヘキサ−5−エン−3−イルカルバミン酸tert−ブチルの合成)
ビニルマグネシウムブロミド(THF中1M溶液、34.6mL、34.6mmol)を、無水テトラヒドロフラン(50mL)中の(R)−1−(メトキシ(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イルカルバミン酸tert−ブチル(4.5g、17.30mmol)の溶液に、窒素下−78℃で、20分間かけて滴下した。この反応物を0℃までゆっくりと温め、次いで、0℃で1時間攪拌した。この反応物を室温まで温め、次いで、10時間攪拌した。無水酢酸(10mL)を、この反応混合物に0℃で添加した。数分後、メタノール(10mL)を、この反応物に添加した。この混合物を10分間攪拌し、次いで、25mLの体積まで濃縮した。この反応混合物を水(100mL)で洗浄し、そしてその水層を酢酸エチル(150mL)で抽出した。合わせた有機層を、水性重炭酸ナトリウム(2×100mL)およびブライン(2×100mL)で連続して洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で、40℃未満で濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(85:15ヘキサン:酢酸エチルで溶出する)により精製して、(R)−2−メチル−4−オキソヘキサ−5−エン−3−イルカルバミン酸tert−ブチル(2.52g)を白色固体として得た。
【0153】
【化42】

(6−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イルアミノ)−2−メチル−4−オキソヘキサン−3−イルカルバミン酸tert−ブチルの合成)
3−(2,6−ジクロロフェニル)−5−(5−アミノ−2−ピリジル)イソオキサゾール(0.34g、0.99mmol)、(R)−2−メチル−4−オキソヘキサ−5−エン−3−イルカルバミン酸tert−ブチル(0.64g、2.8mmol)および重炭酸ナトリウム(0.25g、3.0mmol)を、メタノール(1mL)と水(1mL)との混合物に、閉じたバイアル中で溶解した。この混合物を、100℃で13時間加熱した。この反応混合物を減圧下で濃縮した。得られた残渣を酢酸エチル(50mL)に溶解し、そして水(25mL)およびブライン(2×25mL)で連続して洗浄した。その有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(0.5:99.5メタノール:塩化メチレンで溶出する)により精製して、6−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イルアミノ)−2−メチル−4−オキソヘキサン−3−イルカルバミン酸tert−ブチル(0.445g)を黄色固体として得た。
【0154】
【化43】

(6−(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)−2−メチル−4−オキソヘキサン−3−イルカルバミン酸tert−ブチルの合成)
6−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イルアミノ)−2−メチル−4−オキソヘキサン−3−イルカルバミン酸tert−ブチル(445mg、0.83mmol)を、トリエチルアミン(140μL、1.0mmol)と一緒に塩化メチレン(10mL)に溶解した。この溶液を氷浴中で冷却し、次いで、塩化メチレン(1mL)中のジクロロアセチルクロリド(100μL、1.0mmol)の溶液を滴下した。この反応混合物を、室温に維持しながら一晩攪拌した。この溶液を、水および飽和重炭酸ナトリウム溶液で連続して洗浄し、次いで、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(0.5:99.5メタノール:塩化メチレンで溶出する)により精製して、6−(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)−2−メチル−4−オキソヘキサン−3−イルカルバミン酸tert−ブチル(185mg)を桃色泡状物として得た。
【0155】
【化44】

(N−(4−アミノ−5−メチル−3−オキソヘキシル)−2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号3)の合成)
トリフルオロ酢酸(1mL)を、塩化メチレン(2mL)中の6−(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)−2−メチル−4−オキソヘキサン−3−イルカルバミン酸tert−ブチル(185mg、0.29mmol)の溶液に、0℃で添加した。得られた混合物を、0℃で2時間攪拌し、次いで、減圧下で濃縮した。その残渣を塩化メチレン(2mL)に溶解し、そして再度減圧下で濃縮した。次いで、凍結乾燥させて、N−(4−アミノ−5−メチル−3−オキソヘキシル)−2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号3、ロット2、150mg)を淡橙色固体として得た。
【0156】
【化45】

(2−(6−(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)−2−メチル−4−オキソヘキサン−3−イルアミノ)−2−オキソエチルカルバミン酸tert−ブチル(化合物番号49)の合成)
Pybop(164mg、0.32mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(50mg、0.39mmol)およびN−boc−L−バリン(69mg、0.32mmol)を、塩化メチレン(5mL)中のN−(4−アミノ−5−メチル−3−オキソヘキシル)−2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号3、ロット2、75mg、0.11mmol)の溶液に0℃で添加した。得られた混合物を室温で5時間攪拌した。次いで、この反応混合物を塩化メチレン(15mL)で希釈し、そして水およびブラインで連続して洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。得られた残渣を、分取規模の逆相高速液体クロマトグラフィーにより精製して、6−(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)−2−メチル−4−オキソヘキサン−3−イルカルバミン酸tert−ブチル(化合物番号49、100mg)を白色固体として得た。
【0157】
【化46】

(N−(4−(2−アミノアセトアミド)−5−メチル−3−オキソヘキシル)−2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号50)の合成)
トリフルオロ酢酸(5mL)を、塩化メチレン(5mL)中の6−(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)−2−メチル−4−オキソヘキサン−3−イルカルバミン酸tert−ブチル(化合物番号49、100mg)の溶液に、0℃で添加した。得られた混合物を0℃で3時間攪拌し、次いで、減圧下で濃縮した。その残渣を塩化メチレン(2mL)に溶解し、そして再度減圧下で濃縮した。凍結乾燥して、N−(4−(2−アミノアセトアミド)−5−メチル−3−オキソヘキシル)−2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド(R937672)を淡黄色固体として得た。
【0158】
【化47】

以下の化合物を、上に記載された方法に本質的に従って合成した。化合物を、LC−MSおよび/またはプロトンNMRによって特徴付けた。
【0159】
化合物番号1 2−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)エチルホスホン酸ジエチル。LC−MSにより確認したMW=580、t=11.55分(方法A)MH=578−582
化合物番号2 2−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)エチルホスホン酸。LC−MSにより確認したMW=524、t=11.24分(方法Y)MH=522−526
化合物番号3 N−(4−アミノ−5−メチル−3−オキソヘキシル)−2−(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド。LC−MSにより確認したMW=544、t=10.55分(方法Y)MH=542−546
化合物番号4 4−アミノ−7−(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)−5−オキソヘプタン酸。LC−MSにより確認したMW=574、t=10.07分(方法Y)MH=572−576
化合物番号5 2−アミノ−7−(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)−5−オキソヘプタン酸。LC−MSにより確認したMW=574、t=10.08分(方法Y)MH=572−576
化合物番号11 5−(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)−3−オキソペンチルホスホン酸ジエチル。LC−MSにより確認したMW=637、t=14.00分(方法Y)MH=635−639
化合物番号12 3−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)プロパン酸メチル。LC−MSにより確認したMW=502、t=15.88分(方法Y)MH=500−504
化合物番号47 1−(6−(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)−2−メチル−4−オキソヘキサン−3−イルアミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イルカルバミン酸tert−ブチル。LC−MSにより確認したMW=744、t=17.66分(方法Y)MH=742−746
化合物番号48 2−アミノ−N−(6−(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)−2−メチル−4−オキソヘキサン−3−イル)−3−メチルブタンアミド。LC−MSにより確認したMW=643、t=11.82分(方法Y)MH=641−645
化合物番号49 2−(6−(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)−2−メチル−4−オキソヘキサン−3−イルアミノ)−2−オキソエチルカルバミン酸tert−ブチル。LC−MSにより確認したMW=701、t=17.21分(方法Y)MH=699−703
化合物番号50 N−(4−(2−アミノアセトアミド)−5−メチル−3−オキソヘキシル)−2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド。LC−MSにより確認したMW=601、t=10.72分(方法Y)MH=599−603
化合物番号51 1−(6−(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)−2−メチル−4−オキソヘキサン−3−イルアミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イルカルバミン酸tert−ブチル。LC−MSにより確認したMW=758、t=17.99分(方法Y)MH=756−760
化合物番号52 2−アミノ−N−(6−(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)−2−メチル−4−オキソヘキサン−3−イル)−3−メチルペンタンアミド。LC−MSにより確認したMW=657、t=10.82分(方法Y)MH=655−659
化合物番号53 2−(6−(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)−2−メチル−4−オキソヘキサン−3−イルカルバモイル)−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル。LC−MSにより確認したMW=757、t=16.55分(方法Y)MH=755−759
化合物番号55 4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(6−(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)−2−メチル−4−オキソヘキサン−3−イルアミノ)−5−オキソペンタン酸tert−ブチル。LC−MSにより確認したMW=830、t=18.75分(方法Y)MH=828−832
化合物番号56 4−アミノ−5−(6−(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)−2−メチル−4−オキソヘキサン−3−イルアミノ)−5−オキソペンタン酸。LC−MSにより確認したMW=673、t=9.82分(方法Y)MH=671−675
化合物番号59 N−(4−アミノ−5−メチル−3−オキソヘプチル)−2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド。LC−MSにより確認したMW=558、t=11.12分(方法Y)MH=556−560
化合物番号60 N−(4−アミノ−3−オキソブチル)−2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド。LC−MSにより確認したMW=502、t=10.91分(方法Y)MH=500−504。
【0160】
(融点の方法)
融点を、Electrothermal IA9100シリーズのデジタル融点装置で得た。全ての融点は、補正されていない。
【0161】
(元素分析)
元素分析は、Desert Analytics,Tuscon,AZによって実施した。
【0162】
(NMRの方法)
NMPスペクトルを、300 MHz Varian Mercuryシステムで得た。
【0163】
(マイクロ波の方法)
マイクロ波反応を、Personal Chemistry,SmithCreatorマイクロ波で実施した。
【0164】
(LC−MSの方法)
(一般)
LC−MSを、エレクトロスプレーイオン化を用いて、Waters Micromass ZQ機器で実施した。HPLC成分は、254nmの波長のWaters Model 996フォトダイオードアレイ検出器に連結された、Waters Model 2690 Separationモジュールであった。
【0165】
(方法Y)
この方法は、2.1×150mmのAgilent Zorbax 5μM C−18逆相カラムを利用し、0.3mL/分の流量、および0.05%のギ酸を含む水中5%〜100%のアセトニトリルで15分間、次いで100%アセトニトリルで5分間続ける勾配を用いた。
【0166】
(方法Z)
この方法は、2.1×5mmのAgilent Zorbax 5μM C−18逆相カラムを利用し、0.5mL/分の流量、および0.1%のトリフルオロ酢酸を含む水中5%〜100%のアセトニトリルで8分間、次いで100%アセトニトリルで2分間続ける勾配を用いた。
【0167】
(方法A)
LC−MSを、エレクトロスプレーイオン化を用いるWaters Micromass ZMD機器で実施した。この方法は、2.1×5mmのAgilent Zorbax 5μM C−18逆相カラムを利用し、0.3mL/分の流量、および0.05%のギ酸を含む水中10%〜100%のアセトニトリルで10分間、次いで100%アセトニトリルで8分間続ける勾配を用いた。
【0168】
(方法B)
この方法は、2.1×5mmのAgilent Zorbax 5μM C−18逆相カラムを利用し、0.8mL/分の流量、および0.05%のトリフルオロ酢酸を含む水中5%〜95%のアセトニトリルで5分間、次いで95%アセトニトリルで2分間続ける勾配を用いた。
【0169】
【化48】

【0170】
【化49】

(R)−4−アミノ−7−(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)−5−オキソヘプタン酸トリフルオロ酢酸塩(化合物番号4)の合成(スキーム4を参照のこと))
((S)−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(メトキシ(メチル)アミノ)−5−オキソペンタン酸tert−ブチルの合成)
N−α−t−Boc−L−グルタミン酸−γ−t−ブチルエステル(6.06g、20mmol)、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(2.4g、24mmol)およびトリエチルアミン(5.6mL、40mmol)を、無水ジクロロメタンに溶解し、そしてシアノホスホン酸ジエチル(6.06mL、24mmol)で処理した。室温で一晩攪拌した後、この反応混合物を水で希釈した。それらの層を分離し、そしてその水層を、ジクロロメタンで2回抽出した。合わせた有機層を、飽和重炭酸ナトリウム溶液(2回)およびブラインで連続して洗浄した。この有機溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。得られた残渣を、1:4酢酸エチル:ヘキサンで溶出してシリカゲルのパッドに通し、(S)−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(メトキシ(メチル)アミノ)−5−オキソペンタン酸tert−ブチル(4.21g)を淡黄色シロップとして得た。
【0171】
【化50】

((S)−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−オキソヘプタ−6−エン酸tert−ブチルの合成)
(S)−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(メトキシ(メチル)アミノ)−5−オキソペンタン酸tert−ブチル(4.12g、12.2mmol)を、無水テトラヒドロフラン(100mL)に溶解し、そして窒素下で−70℃まで冷却した。ビニルマグネシウムブロミド(37mL、THF中1.0M溶液、3.0当量)を滴下した。この反応物を−70℃で30分間攪拌し、次いで、冷却浴を取り除いて、この反応物を室温で一晩攪拌した。この混合物を氷浴中で冷却し、そして無水酢酸(20mL)を添加し、続いてメタノール(27mL)を添加した。この混合物を減圧下で小さい体積まで濃縮し、次いで、酢酸エチルで希釈した。この反応混合物を水およびブラインで連続して洗浄し、そして無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(1:4酢酸エチル:ヘキサンで溶出)により精製して、(S)−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−オキソヘプタ−6−エン酸tert−ブチル(0.94g)を黄色油状物として得た。
【0172】
【化51】

((R)−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−7−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イルアミノ)−5−オキソヘプタン酸tert−ブチルの合成)
(S)−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−オキソヘプタ−6−エン酸tert−ブチル(0.94g)および2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−アミン塩酸塩(0.40g)を、アセトニトリル(4mL)に溶解した。ジイソプロピルエチルアミン(0.52mL)を添加し、そしてこの混合物を89℃で25時間加熱した。この混合物を室温まで冷却し、ジクロロメタンで希釈し、そしてブラインで洗浄した。その有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(0.5:99.5メタノール:ジクロロメタン、次いで5:95メタノール:ジクロロメタンで溶出する)により精製して、(R)−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−7−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イルアミノ)−5−オキソヘプタン酸tert−ブチル(316mg)をベージュ色の泡状物として得た。
【0173】
【化52】

((R)−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−7−(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)−5−オキソヘプタン酸tert−ブチルの合成)
(R)−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−7−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イルアミノ)−5−オキソヘプタン酸tert−ブチル(280mg、0.45mmol)を、トリエチルアミン(126μL、0.90mmol)と一緒に無水ジクロロメタンに溶解した。この混合物を氷浴中で窒素下で冷却し、次いで、ジクロロアセチルクロリド(66μL、0.68mmol)の溶液を滴下した。この添加が完了した後に、この氷浴を取り除き、そしてこの混合物を室温で一晩攪拌した。この反応混合物をジクロロメタンで希釈し、次いで、水、10%塩酸および飽和重炭酸ナトリウム溶液で連続して洗浄した。この有機溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(99:1ジクロロメタン:メタノールで溶出する)により精製して、(R)−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−7−(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)−5−オキソヘプタン酸tert−ブチル(165mg)を白色泡状物として得た。
【0174】
【化53】

((R)−4−アミノ−7−(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)−5−オキソヘプタン酸トリフルオロ酢酸塩(化合物番号4)の合成(スキーム4を参照のこと))
(R)−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−7−(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)−5−オキソヘプタン酸tert−ブチル(165mg)を、無水ジクロロメタン(2mL)に溶解し、そして氷浴中で窒素下で冷却した。次いで、トリフルオロ酢酸(2mL)を添加した。4℃で4.5時間後、この混合物を減圧下で濃縮した。その残渣を溶解し、そして再度減圧下で濃縮して、(R)−4−アミノ−7−(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)−5−オキソヘプタン酸トリフルオロ酢酸塩を褐色固体として得た。
【0175】
【化54】

(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)−N−(イソプロポキシメチル)アセトアミド)(化合物番号9)の合成(スキーム5を参照のこと))
(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)−N−(イソプロポキシメチル)ピリジン−4−アミンの合成)
水素化ナトリウム(120mg、2.9mmol)を、イソプロピルアルコール(15mL)に0℃でゆっくりと添加した。水素の発生が止んだら、2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−アミン塩酸塩(200mg、0.58mmol)およびパラホルムアルデヒド(147mg、1.64mmol)を添加した。得られた混合物を室温で5時間攪拌し、そして氷冷水で加水分解し、そして酢酸エチルで抽出した。この有機抽出物を水で洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮して、2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)−N−(イソプロポキシメチル)ピリジン−4−アミン(269mg)を得た。この生成物を、さらに精製せずに次に進めた。
【0176】
【化55】

(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)−N−(イソプロポキシメチル)アセトアミド(化合物番号9)の合成(スキーム5を参照のこと))
2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)−N−(イソプロポキシメチル)ピリジン−4−アミン(269mg、0.58mmol)を、トリエチルアミン(100μL、0.70mmol)と一緒に無水ジクロロメタンに溶解した。この混合物を氷浴中で窒素下で冷却し、次いで、ジクロロアセチルクロリドの溶液(70μL、0.70mmol)を滴下した。この添加が完了した後に、この氷浴を取り除き、そしてこの混合物を室温で一晩攪拌した。この反応混合物をジクロロメタンで希釈し、次いで、水、10%塩酸および飽和重炭酸ナトリウム溶液で連続して洗浄した。この有機溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(99:1ジクロロメタン:メタノールで溶出する)により精製して、2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)−N−(イソプロポキシメチル)アセトアミド(化合物番号4)を得た。
【0177】
【化56】

((S)−2−(2−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)エチルアミノ)−2−オキソ−1−フェニルエチルカルバミン酸tert−ブチル(化合物番号19)の合成(スキーム6を参照のこと))
(2−(3−エチニルフェニルアミノ)−2−オキソエチルカルバミン酸tert−ブチルの合成)
3−エチニルアニリン(1.0g、8.54mmol)、N−Bocグリシン(2.7g、15.41mmol)およびPyBOP(8.1g、15.41mmol)を、ジクロロメタン(25mL)中で合わせた。ジイソプロピルエチルアミン(3.3g、25.61mmol)をこの溶液に添加し、そしてこの混合物を、アルゴン下室温で10時間攪拌した。この混合物をジクロロメタンで希釈し、次いで、水およびブラインで連続して洗浄した、その有機溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(95:5ヘキサン:酢酸エチルで溶出する)により精製して、2−(3−エチニルフェニルアミノ)−2−オキソエチルカルバミン酸tert−ブチルを得た。
【0178】
【化57】

(2−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニルアミノ)−2−オキソエチルカルバミン酸tert−ブチルの合成)
2−(3−エチニルフェニルアミノ)−2−オキソエチルカルバミン酸tert−ブチル(1.6g、5.83mmol)を、無水テトラヒドロフラン(25mL)に溶解し、そしてトリエチルアミン(0.82g、8.1mmol)で処理し、次いで、2,6−ジクロロ−N−ヒドロキシベンゾイミドイルクロリド(1.4g、6.3mmol)で処理した。室温で15分間攪拌した後に、この混合物を4時間加熱還流した。この混合物を酢酸エチルで希釈し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮して、2−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニルアミノ)−2−オキソエチルカルバミン酸tert−ブチルを得た。
【0179】
【化58】

(2−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニルアミノ)エチルカルバミン酸tert−ブチルの合成)
2−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニルアミノ)−2−オキソエチルカルバミン酸tert−ブチル(500mg、1.08mmol)を、無水テトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、そして0℃まで冷却した。ボラン−テトラヒドロフラン錯体(THF中1M溶液、10.8mL、10.8mmol)を、この冷溶液に滴下した。この反応混合物を攪拌し、この間に、5時間かけてゆっくりと室温まで温度が上昇した。この反応物を、1N塩酸(25mL)でクエンチし、そして酢酸エチルで抽出した。その有機層を減圧下で濃縮して、2−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニルアミノ)エチルカルバミン酸tert−ブチルを白色固体として得た。この生成物を、さらに精製せずに次に進めた。
【0180】
【化59】

(2−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)エチルカルバミン酸tert−ブチルの合成)
2−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニルアミノ)エチルカルバミン酸tert−ブチル(230mg、0.51mmol)を、トリエチルアミン(120μL、0.82mmol)と一緒に無水ジクロロメタンに溶解した。この混合物を氷浴中窒素下で冷却し、次いで、ジクロロアセチルクロリド(120mg、0.82mmol)の溶液を滴下した。この添加が完了した後に、この氷浴を取り除き、そしてこの混合物を、室温で一晩攪拌した。この反応混合物をジクロロメタンで希釈し、次いで、水、10%塩酸および飽和重炭酸ナトリウムで連続して洗浄した。その有機溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(95:5ヘキサン:酢酸エチルで溶出する)により精製して、2−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)エチルカルバミン酸tert−ブチルを得た。
【0181】
【化60】

(N−(2−アミノエチル)−2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)トリフルオロ酢酸塩の合成)
2−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)エチルカルバミン酸tert−ブチル(100mg、0.18mmol)を、無水ジクロロメタン(3mL)に溶解し、そして氷浴中窒素下で冷却した。次いで、トリフルオロ酢酸(3mL)を添加した。4℃で3時間後、この混合物を減圧下で濃縮した。その残渣を溶解し、そして再度減圧下で濃縮して、N−(2−アミノエチル)−2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)トリフルオロ酢酸塩を白色固体として得た。
【0182】
【化61】

((S)−2−(2−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)エチルアミノ)−2−オキソ−1−フェニルエチルカルバミン酸tert−ブチル(化合物番号1219)の合成(スキーム6を参照のこと))
N−(2−アミノエチル)−2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)トリフルオロ酢酸塩(50mg、0.09mmol)を、ジクロロメタン(5mL)に溶解し、次いで、D−N−Bocフェニルグリシン(66mg、0.26mmol)、PyBOP(140mg、0.27mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(39mg、0.30mmol)を添加した。得られた混合物を、アルゴン下室温で3時間攪拌した。この反応混合物をジクロロメタンで希釈し、次いで、水および飽和重炭酸ナトリウム溶液で連続して洗浄した。その有機溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。得られた残渣を分取規模の逆相高速液体クロマトグラフィーにより精製して、(S)−2−(2−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)エチルアミノ)−2−オキソ−1−フェニルエチルカルバミン酸tert−ブチル(化合物番号19)を得た。
【0183】
【化62】

((E/Z)−3−(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)アクリル酸tert−ブチル(化合物番号54)の合成(スキーム7を参照のこと))
((E/Z)−3−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イルアミノ)アクリル酸tert−ブチルの合成)
2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−アミン(300mg、0.98mmol)および3−オキソプロパン酸tert−ブチル(300mg、2.1mmol)を、1,2−ジクロロエタン(5mL)中で合わせ、そしてトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(500mg、2.36mmol)および酢酸(1滴)で処理した。この混合物を、室温で18時間超音波処理した。この反応物を酢酸エチルで希釈し、次いで、水、ブラインおよび飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄した。この有機溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(75:25ヘキサン:酢酸エチルで溶出する)により精製して、(E/Z)−3−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イルアミノ)アクリル酸tert−ブチルを得た。
【0184】
【化63】

((E/Z)−3−(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)アクリル酸tert−ブチル(化合物番号54)の合成(スキーム7を参照のこと))
(E/Z)−3−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イルアミノ)アクリル酸tert−ブチル(300mg、0.69mmol)を、トリエチルアミン(120mg、1.2mmol)と一緒に無水ジクロロメタン(25mL)に溶解した。この混合物を氷浴中窒素下で冷却し、次いで、ジクロロアセチルクロリド(180mg、1.2mmol)の溶液を滴下した。この添加が完了した後に、この氷浴を取り除き、そしてこの混合物を室温で一晩攪拌した。この反応混合物をジクロロメタンで希釈し、次いで、水、10%塩酸および飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄した。この有機溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(75;25ヘキサン:酢酸エチルで溶出する)により精製して、(E/Z)−3−(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)アクリル酸tert−ブチル(化合物番号54)を得た。
【0185】
【化64】

(炭酸2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)メチルイソプロピル(化合物番号57)の合成(スキーム8を参照のこと))
(炭酸クロロメチルイソプロピルの合成)
無水エーテル(150mL)中のクロロギ酸クロロメチルエステル(6.23mL、7.70mmol)およびイソプロピルアルコール(4.4g、73.0mmol)の溶液を、ピリジン(5.7mL)の溶液に0℃で滴下した。この反応混合物を0℃で1時間攪拌し、次いで、室温で3時間攪拌した。この反応混合物をエーテルで希釈し、次いで、水、10%塩酸およびブラインで連続して洗浄した。その有機溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮して、炭酸クロロメチルイソプロピルを得た。この生成物を、さらに精製せずに次に進めた。H NMR(CDCl):5.68(s,2H)、4.90(m,1H)、1.32ppm(d,6H)。
【0186】
(3−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イルアミノ)プロピオン酸イソプロピルの合成)
ヨウ化ナトリウム(1.4g、9.3mmol)を、アセトン(5mL)中の炭酸クロロメチルイソプロピル(750mg、4.8mmol)の溶液に添加した。得られた混合物を室温で2.5時間攪拌し、次いで、2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−アミン(500mg、1.6mmol)を添加した。次いで、この反応混合物を室温で7日間攪拌した。この反応混合物を減圧下で濃縮して、3−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イルアミノ)プロピオン酸イソプロピルを得、これを、さらに精製せずに次に進めた。
【0187】
【化65】

(炭酸2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)メチルイソプロピル(化合物番号57)の合成(スキーム8を参照のこと))
3−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イルアミノ)プロピオン酸イソプロピル(520mg、1.23mmol)を、トリエチルアミン(270mg、2.7mmol)と一緒に、無水ジクロロメタン(25mL)に溶解した。この混合物を、氷浴中窒素下で冷却し、次いで、ジクロロアセチルクロリド(320mg、2.17mmol)の溶液を滴下した。この添加が完了した後に、この氷浴を取り除き、そしてこの混合物を、室温で一晩攪拌した。この反応混合物をジクロロメタンで希釈し、そして水、10%塩酸および飽和重炭酸ナトリウム溶液で連続して洗浄した。この有機溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(95:5ヘキサン:酢酸エチルで溶出する)により精製して、3−(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)プロピオン酸イソプロピル(化合物番号57)を得た。
【0188】
【化66】

以下の化合物を、上に記載された方法に本質的に従って合成した。化合物を、LC−MSおよび/またはプロトンNMRにより特徴付けた。
【0189】
化合物番号6 2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)−N−(メトキシメチル)アセトアミド。LC−MSにより確認したMW=460、t=15.76分(方法Y)MH=458−462
化合物番号7 2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)−N−(メトキシメチル)アセトアミド。LC−MSにより確認したMW=525、t=8.11分(方法Y)MH=523−527
化合物番号8 2−(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)酢酸エチル。LC−MSにより確認したMW=503、t=15.26分(方法Y)MH=501−505
化合物番号9 2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)−N−(イソプロポキシメチル)アセトアミド。LC−MSにより確認したMW=489、t=14.57分(方法Y)MH=487−491
化合物番号10 N−(sec−ブトキシメチル)−2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド。LC−MSにより確認したMW=503、t=14.97分(方法Y)MH=501−505
化合物番号13 2,2−ジクロロ−N−(2−シアノエチル)−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド。LC−MSにより確認したMW=469、t=15.07分(方法Y)MH=467−471
化合物番号14 2−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)エチルカルバミン酸tert−ブチル。LC−MSにより確認したMW=559、t=17.86分(方法Y)MH=557−561
化合物番号16 N−(2−アミノエチル)−2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド。LC−MSにより確認したMW=459、t=11.64分(方法Y)MH=457−461
化合物番号17 (S)−2−(2−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)エチルアミノ)−2−オキソ−1−フェニルエチルカルバミン酸tert−ブチル。LC−MSにより確認したMW=692、t=16.66分(方法Y)MH=690−694
化合物番号18 (S)−N−(2−(2−アミノ−2−フェニルアセトアミド)エチル)−2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド。LC−MSにより確認したMW=592、t=11.65分(方法Y)MH=590−594
化合物番号19 (S)−2−(2−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)エチルアミノ)−2−オキソ−1−フェニルエチルカルバミン酸tert−ブチル。LC−MSにより確認したMW=692、t=16.81分(方法Y)MH=690−694
化合物番号20 (R)−N−(2−(2−アミノ−2−フェニルアセトアミド)エチル)−2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド。LC−MSにより確認したMW=592、t=11.75分(方法Y)MH=590−594
化合物番号21 (S)−1−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)−3−メチルブタン−2−イルカルバミン酸tert−ブチル。LC−MSにより確認したMW=601、t=18.18分(方法Y)MH=599−603
化合物番号22 (S)−2−((S)−1−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)−3−メチルブタン−2−イルアミノ)−2−オキソ−1−フェニルエチルカルバミン酸tert−ブチル。LC−MSにより確認したMW=735、t=18.78分(方法Y)MH=733−737
化合物番号23 (R)−2−((S)−1−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)−3−メチルブタン−2−イルアミノ)−2−オキソ−1−フェニルエチルカルバミン酸tert−ブチル。LC−MSにより確認したMW=735、t=18.67分(方法Y)MH=733−737
化合物番号24 2−((S)−1−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)−3−メチルブタン−2−イルカルバモイル)−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル。LC−MSにより確認したMW=714、t=17.89分(方法Y)MH=712−716
化合物番号25 (S)−2−(1−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)−3−メチルブタン−2−イルアミノ)−2−オキソエチル(メチル)カルバミン酸tert−ブチル。LC−MSにより確認したMW=672、t=17.98分(方法Y)MH=670−674
化合物番号26 (S)−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−((S)−1−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)−3−メチルブタン−2−イルアミノ)−5−オキソペンタン酸tert−ブチル。LC−MSにより確認したMW=787、t=18.99分(方法Y)MH=785−789
化合物番号27 (S)−1−((S)−1−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)−3−メチルブタン−2−イルアミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イルカルバミン酸tert−ブチル。LC−MSにより確認したMW=700、t=18.81分(方法Y)MH=698−702
化合物番号28 (2S,3S)−1−((S)−1−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)−3−メチルブタン−2−イルアミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イルカルバミン酸tert−ブチル。LC−MSにより確認したMW=714、t=18.92分(方法Y)MH=712−716
化合物番号29 (2S,3S)−1−(2−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)エチルアミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イルカルバミン酸tert−ブチル。LC−MSにより確認したMW=672、t=17.82分(方法Y)MH=670−674
化合物番号30 (S)−1−(2−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)エチルアミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イルカルバミン酸tert−ブチル。LC−MSにより確認したMW=658、t=17.64分(方法Y)MH=656−660
化合物番号31 2−(2−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)エチルアミノ)−2−オキソエチル(メチル)カルバミン酸tert−ブチル。LC−MSにより確認したMW=630、t=17.59分(方法Y)MH=628−632
化合物番号32 (S)−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)エチルアミノ)−5−オキソペンタン酸tert−ブチル。LC−MSにより確認したMW=744、t=18.28分(方法Y)MH=742−746
化合物番号33 (2S)−2−(2−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)エチルカルバモイル)−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル。LC−MSにより確認したMW=672、t=16.18分(方法Y)MH=670−674
化合物番号34 (2S)−N−(2−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)エチル)−4−ヒドロキシピロリジン−2−カルボキサミド。LC−MSにより確認したMW=572、t=11.12分(方法Y)MH=570−574
化合物番号35 (S)−4−アミノ−5−(2−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)エチルアミノ)−5−オキソペンタン酸。LC−MSにより確認したMW=588、t=10.81分(方法Y)MH=586−590
化合物番号36 2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)−N−(2−(2−(メチルアミノ)アセトアミド)エチル)アセトアミド。LC−MSにより確認したMW=530、t=11.01分(方法Y)MH=528−532
化合物番号37 (S)−2−アミノ−N−(2−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)エチル)−3−メチルブタンアミド。LC−MSにより確認したMW=558、t=12.33分(方法Y)MH=556−560
化合物番号38 (2S,3S)−2−アミノ−N−(2−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)エチル)−3−メチルペンタンアミド。LC−MSにより確認したMW=572、t=12.58分(方法Y)MH=570−574
化合物番号39 (S)−N−(2−アミノ−3−メチルブチル−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド。LC−MSにより確認したMW=501、t=11.88分(方法Y)MH=499−503
化合物番号40 N−((S)−2−((S)−2−アミノ−2−フェニルアセトアミド)−3−メチルブチル−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド。LC−MSにより確認したMW=634、t=12.89分(方法Y)MH=632−636
化合物番号41 N−((S)−2−((R)−2−アミノ−2−フェニルアセトアミド)−3−メチルブチル−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド。LC−MSにより確認したMW=634、t=12.84分(方法Y)MH=634−638
化合物番号42 N−((S)−1−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド−3−メチルブタン−2−イル)−4−ヒドロキシピロリジン−2−カルボキサミド。LC−MSにより確認したMW=614、t=11.18分(方法Y)MH=612−616
化合物番号43 (S)−2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)−N−(3−メチル−2−(2−メチルアミノ)アセトアミド)ブチル)アセトアミド。LC−MSにより確認したMW=572、t=11.01分(方法Y)MH=570−574
化合物番号44 (S)−4−アミノ−5−((S)−1−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)−3−メチルブタン−1−イルアミノ)−5−オキソペンタン酸。LC−MSにより確認したMW=630、t=10.08分(方法Y)MH=628−632
化合物番号45 (S)−2−アミノ−N−((S)−1−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)−3−メチルブタン−2−イル)−3−メチルブタンアミド。LC−MSにより確認したMW=600、t=12.18分(方法Y)MH=598−602
化合物番号46 (2S,3S)−2−アミノ−N−((S)−1−(2,2−ジクロロ−N−(3−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)フェニル)アセトアミド)−3−メチルブタン−2−イル)−3−メチルペンタンアミド。LC−MSにより確認したMW=614、t=12.60分(方法Y)MH=612−616
化合物番号54 (E)−3−(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)アクリル酸tert−ブチル。LC−MSにより確認したMW=543、t=14.25分(方法Y)MH=541−545
化合物番号57 炭酸(2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)メチルイソプロピル。LC−MSにより確認したMW=533、t=16.18分(方法Y)MH=531−535
化合物番号58 (R)−2−(((2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド)メトキシ)カルボニルアミノ)−3−メチルブタン酸tert−ブチル。LC−MSにより確認したMW=646、t=16.08分(方法Y)MH=644−648
化合物番号61 (R)−N−(4−アミノ−5−メチル−3−オキソヘキシル)−2,2−ジクロロ−N−(2−(3−(2,6−ジクロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル)ピリジン−4−イル)アセトアミド。LC−MSにより確認したMW=544、t=11.92分(方法Y)MH=542−546。
【0190】
【化67】

【0191】
【化68】

【0192】
【化69】

(HCVの調節に関するアッセイ)
前述したように、本発明のプロドラックまたはそのプロドラックの代謝活性因子、A−B−C−NHCOCHXは、HCVの複製および/または増殖の強力なインヒビターである。本発明のプロドラック、またはその代謝産物(代謝物)の活性を、ウイルスまたはレトロウイルスの複製および/または増殖の阻害を測定するのに適切なインビトロアッセイにおいて確認し得る。これらのアッセイによって、直接的または間接的にHCVの影響下にある任意のパラメータについて調べることが可能である。このパラメータとしては、タンパク質−RNA結合、翻訳、転写、ゲノム複製、タンパク質プロセシング、ウイルス粒子形成、感染性、ウイルスによる形質導入などが挙げられるがこれらに限定されない。このようなアッセイは、当該分野において周知である。1つの実施形態において阻害の程度を調べるために調べようとするパラメータがいずれのものであっても、HCVレプリコンまたはHCV RNAを含むサンプル、細胞、組織などを、見込みのある阻害性プロドラック(試験化合物)で処理して、そのパラメータについての値を、コントロール細胞(未処理であるか、またはビヒクルまたは他のプラセボを用いて処理したもの)と比較する。コントロールサンプルを、100%相対活性値を割り当てる。そのコントロールに比較したプロドラックの代謝活性因子の活性値が約90%、好ましくは50%、そしてさらに好ましくは25〜0%である場合に、阻害が達成されたとする。
【0193】
あるいは、阻害の程度は、以下で詳説されるように、特定のアッセイにおけるプロドラックの代謝活性因子のIC50に基づいて決定される。
【0194】
1つの実施形態において、そのプロドラックの代謝活性因子の阻害活性は、試験化合物がレプリコン細胞におけるHCV複製を停止または阻害する能力を評価するレプリコンアッセイで確認され得る。適切なレプリコンアッセイの1例は、Lohmann ら.,1999,Science 285:110−113に記載される肝臓細胞株Huh 7に基づいたレプリコンアッセイである。ルシフェラーゼ翻訳を利用するレプリコンアッセイの具体例を、実施例の節において提供する。このアッセイの1つの実施形態において、コントロール細胞と比較して翻訳の50%低下を生じる試験プロドラックの量(IC50)を決定してもよい。
【0195】
あるいは、そのプロドラックの代謝活性因子の阻害活性を、HCVの非構造タンパク質(例えば、NS3,NS4A NS5AおよびNS5B)に特異的な抗体を利用する定量ウェスタン免疫ブロットアッセイを使用して確認し得る。本アッセイの1つの実施形態において、レプリコン細胞を種々の濃度の試験プロドラックで処理して、コントロールサンプルと比較して非構造タンパク質の生成量の50%低減をもたらす代謝活性因子の濃度(IC50)を決定する。単一の非構造タンパク質を定量してもよいし、または複数の非構造タンパク質を定量してもよい。このような免疫ブロットアッセイを実施するのに適切な抗体は、市販されている(例えば、BIODESIGN International(Saco,ME)製のものがある)。
【0196】
あるいは、そのプロドラックの代謝活性因子の阻害活性は、HCV感染アッセイ(例えば、Fournier ら,1998,J.Gen.Virol.79(10):2367:2374(その開示内容は参考として本明細書で援用される)に記載されているようなHCV感染アッセイ)において確認してもよい。このアッセイにおける1実施形態において、コントロール細胞と比較してHCVの複製またはHCV増殖の50%低減をもたらす代謝活性因子に代謝される試験プロドラックの量(IC50)が決定され得る。HCV複製の程度は、HCV感染細胞に存在するHCV RNA量を定量することにより決定され得る。このようなアッセイを実施するための具体的な方法を、実施例の節において提供する。
【0197】
さらに別の実施例において、プロドラックの代謝活性因子の阻害活性が、例えば、Taqmanアッセイ(Roche Molecular,Alameda,CA)を使用して処理したレプリコンにおいて転写されたHCV RNAの量を定量するアッセイを利用することで確認されてもよい。このアッセイの1実施形態において、コントロールサンプルと比較した場合に、1以上のHCV RNAの50%転写低減をもたらす活性因子へと代謝される試験プロドラックの量(IC50)が決定され得る。
【0198】
使用されるアッセイにかかわらず、そのプロドラックの代謝活性因子は、概して、特定のアッセイにおいて約1mM以下の範囲のIC50を示すものである。約100μM、約10μM、約1μM、約100nM、約10nM、約1nMまたはそれ以下の範囲にある、より低いIC50を示す活性因子に代謝されるプロドラックが、HCV感染を処置するまたは予防するために、治療薬または予防薬として特に有用である。
【0199】
(プロドラックは、HCV翻訳レプリコンアッセイまたはHCV転写レプリコンアッセイを阻害する活性因子に代謝される)
代謝前にHCVの翻訳または複製を阻害することが可能であるか、かつ/または活性因子へと代謝される、本発明の特定のプロドラックの阻害活性を、HCVレプリコンアッセイを使用して確認した。このHCVレプリコンは、HCV IRESを含むHCV5’非翻訳領域、HCV3’非翻訳領域、HCVポリペプチドをコードする選択されたHCV遺伝子、選択マーカーおよびレポーター遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ、GFPなど)を含み得る。このアッセイにおいて、能動的に分裂する5−2 Lucレプリコン含有細胞(RaIf Bartenschlagerから入手したもの;Lohmann et at,1999,Science 285:110−113を参照)を、約5,000細胞/ウェルと約7,500細胞/ウェルとの間の密度で96ウェルプレート(1ウェルあたり約90μLの細胞)に播き、そして、24時間にわたって37℃かつ5%COでインキュベートした。ついで、この試験プロドラック(容量にして、約10μL)を、種々の濃度でウェルに加えて、その細胞を、ルシフェラーゼアッセイ前にさらに24〜48時間に亘ってインキュベートした。この培地を各ウェルから吸引し、Bright−Glo(Promega,Madison,WI)ルシフェラーゼアッセイ試薬を、製造業者の指示書に従ってウェルの各々に添加した。手短にいうと、Bright−Glo試薬を、PBSを用いて1:1希釈して、そして、希釈した試薬のうち100μlを、各々のウェルに添加した。室温で5分間のインキュベートを行った後に、ルシフェラーゼ発光を、ルミネータで定量した。このアッセイにおいて、ルシフェラーゼ発光の50%低減をもたらすプロドラックの量(IC50)を、決定した。このIC50値は、プロドラック自体の抗ウイルス活性、それが代謝された活性形態に変換されるプロドラックの活性、またはその2つの組み合わせを示すといえる。
【0200】
(ウェスタンブロットアッセイ)
本発明の特定のプロドラックは、代謝される前にHCVの翻訳または複製を阻害してもよく、かつ/またはその活性因子へと代謝され、それらがHCVの複製を阻害する能力についても、HCV NS5Aまたは他の非構造性タンパク質に特異的な抗体を用いる定量ウェスタンブロット分析を使用して試験した。能動的に分裂する9−13レプリコン細胞を、2ml/ウェルの容量で1×l0細胞/ウェルの密度にて96ウェルプレートに播き、そして、24時間にわたって37℃かつ5%COでインキュベートした。ついで、この試験プロドラック(容量にして、約10μL)を、種々の濃度でウェルに加えて、その細胞を、ルシフェラーゼアッセイ前にさらに48時間に亘ってインキュベートした。その培養細胞からタンパク質サンプルを調製して、SDS−PAGEゲルで分離させて、そして、ニトロセルロースメンブレンに移しとった。そのメンブレンを、室温で1時間にわたり5%の脱脂乳を含むPBSを用いてブロックした。一次抗体(抗NS5A抗体;BIODESIGN International,Saco,ME)インキュベーションを、室温で1時間にわたり実施して、その後、そのメンブレンを、(15分間にわたり)PBST(PBS+0.1% Tween 20)で3回洗浄した。西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体化二次抗体インキュベーションを、1時間にわたり室温で実施して、そのメンブレンを、(15分間にわたり)PBSTで3回洗浄した。次いで、そのメンブレンを、基質溶液(Pierce)中に浸漬させて、フィルムに露出させて、画像装置を使用して定量した。本アッセイでは、コントロールサンプルと比較した際に翻訳されたNS5Aタンパク質の量の50%低減をもたらす所定条件下での、活性因子に変換されると考えられる試験プロドラックの量(IC50)を決定した。
【0201】
このレプリコンアッセイの結果を、表2に示した。そのプロドラックの代謝活性因子のうち多くのものは、ナノモル(nM)範囲でレプリコンアッセイにおけるIC50を提示した。
【0202】
(ルシフェラーゼカウンターアッセイ)
カウンタースクリーンを使用して、ルシフェラーゼレポーター遺伝子の非特異的インヒビターを同定した。カウンタースクリーンにおいて、CMV駆動性ルシフェラーゼ遺伝子のような構築物を保持している細胞を使用して、そのレポーター遺伝子を阻害するが、HCVを阻害しないプロドラックを同定した。これらのCMV−Luc細胞では、CMPプロモーターの下流にルシフェラーゼを含むそのDNA構築物を、Huh7細胞の染色体へと安定的に組み込んだ。そのカウンタースクリーンに対して、能動的に分裂するCMV−Luc細胞を、90μl/ウェルの容量で5000〜7500細胞/ウェルの密度にて96ウェルプレートに播いた。次いで、その細胞を、24時間にわたって37℃かつ5%COでインキュベートした。この試験プロドラック(容量にして、約10μL)を、種々の濃度でウェルに加えて、その細胞を、ルシフェラーゼアッセイ前にさらに24〜48時間に亘ってインキュベートした。この培地を、各ウェルから吸引し、Bright−Glo(Pharmacia)ルシフェラーゼアッセイ試薬を、製造業者の指示書に従ってウェルの各々に添加した。ルシフェラーゼカウントを、ルミネータを使用して行った。
【0203】
(PCRアッセイ)
TaqMan RT−PCRアッセイ(Roche Molecular Systems(Pleasanton,CA))を使用して、HCV RNAコピー数を分析した。これによって、HCVのウイルスゲノムが複製されていないことを確認した。能動的に分裂する9−13レプリコン細胞を、1mL/ウェルの容量で3×10細胞/ウェルの密度にて24ウェルプレートに播いた。次いで、その細胞を、24時間にわたって37℃かつ5%COでインキュベートした。この試験プロドラック(容量にして、約10μL)を、種々の濃度でウェルに加えて、その細胞を、さらに24〜48時間に亘ってインキュベートした。培地を、各ウェルから吸引し取り除き、各ウェルからRNAサンプルを調製した。「TaqMan one step RT−PCR 」(Roche Molecular Systems,Alameda,CA)を、新たに調製したRNAサンプルを用いて製造者の指示書に従い実施し、ABI Prism 7700 Sequence Detector(Applied Biosystems)で分析した。細胞性GAPDH RNAに対するHCV RNAの比を、そのウイルスゲノムが複製されなかったことを確認するためのHCV阻害の特異性指標として使用した。
【0204】
(HCV感染アッセイ)
活性因子へと代謝されるプロドラックの活性もまた、HCV感染アッセイで確認される。このアッセイ、本質的には、Fournier ら.,1998,J.Gen.Virol.79:2367−2374に記載されているように実施する。手短にいうと、ドナーから得た肝細胞を、第1日目においてプレートし得る。第3日目において、その細胞を、HCVウイルスと試験プロドラックを添加してインキュベートする。第5日目に、その培地を交換して、試験プロドラックを追加する。第7日目に、その培地を、交換して、試験プロドラックを添加する。第8日目に、そのRNAを単離して、そのHCV RNAをTaqmanアッセイを用いて定量する。このアッセイにおいて10μM未満のIC50を示す活性因子へと代謝されるプロドラックを同定し得る。
【0205】
(細胞培養物中のプロドラックの非細胞傷害性の決定)
プロドラックを、HCVレプリコンを含む肝細胞(5−2 Luc細胞、9−13細胞、またはHuh−7細胞)を用いた細胞傷害性アッセイで試験し得る。このアッセイでは、細胞を、96ウェルプレートに播くことができ(容量90μlとして約7500細胞/ウェル)、37℃で24時間にわたり増殖できる。第2日目に、種々の濃度の試験プロドラック(容量として10μl)を、ウェルに追加して、その細胞を、37℃でさらに48時間にわたって増殖させる。第3日目において、ATP依存性R−ルシフェラーゼアッセイ(細胞力価Gloアッセイ)を実施して、多くの生存可能であった細胞を決定する。10μM以上のCC50を呈する活性因子に代謝されるプロドラックが非細胞傷害性と考えられる。
【0206】
(動物実験)
プロドラックの安全性は、ラットにおいて数種の実験で経口投与、皮下投与および静脈内投与をおこなうことにより評価することができる。最大30mg/Kg/日の用量をモニターすることができる。実験手順を以下にまとめる。
【0207】
第1の試験研究において、プロドラックの毒性を、スプラーグドーリーラット(SDラット)において皮下経路(SC)による投与または静脈内経路(頚動脈カニューレを介したIV)による投与のいずれかで評価することができる。2匹のオスのラットを、それぞれの群において使用する。用量増加スキームを用いた。ここでは、プロドラックを、連続した3日間(試験 第1日〜第3日)に亘って80%:20%−PEG/ビヒクルにて10mg/Kgの投薬量でIVまたはSCにより送達し;1日(試験 第4日)に、100% PEGにて30mg/Kgの投薬量でIVまたはSCにより送達し;そして、100%PEGにて60mg/kgの投薬量でIVにより送達する(試験 第5日)。プロドラックは、いずれの投与経路によっても30mg/Kg以下の用量で十分に許容されるものとして同定され得た。
【0208】
第2の試験研究において、プロドラックを、100%PEGにおいて10mg/Kgおよび30mg/Kgの投与量でIV経路により投与した。10mg/Kg用量で投与した量は、0.67ml/kg/日であり、30mg/kg用量が与えられた群で投与した量は、2ml/kg/日である。さらに、2つのコントロール群を設けた。一方のコントロールでは、2ml/kg/日の量で100%PEG単独を受け取るようにして、他方では、未処置としたシャム(sham)コントロール群であった。全ての群は、それぞれ4匹のオスのラットを含む(但し、未処置コントロールを除く。このコントロール群は、3匹のオスのラットを含む)。試験研究パラメータは、以下のものを含む:臨床観察、体重、血液学的値、臨床化学的値、全体解剖(gross necropsy)、臓器重量、骨髄評価および選択的した臓器の組織病理学的状態。ビヒクルを用いたコントロールではなく未処置のコントロールと比較して、赤血球、ヘモグロビン、およびヘマトクリットの減少が測定される。
【0209】
第3の試験研究において、プロドラックを、他の化合物と比較可能とし、100%PEGで10mg/Kgおよび30mg/Kgの用量で投与して、IVにより1ml/Kg/日の濃度で、最初は頚静脈カニューレを介してそして、その頚静脈が抜管された際には尾静脈(lateral tail vein)により送達した。ビヒクルコントロール群は、同容量で100%PEGのみを与えた。群を、それぞれ、オス3匹およびメス三匹から構成した。投薬量を10mg/Kgおよび30mg/Kgに減らす前に、2匹のラットに100mg/kgでIVにより容量として1ml/Kgを与えた。本試験研究のパラメータとしては、以下のものが挙げられる:臨床観察、体重、血液学的値、臨床化学的値、全体解剖、臓器重量、骨髄評価および選択的した臓器の組織病理学的状態(注入部位を含む)。
【0210】
(持続した血漿レベル)
プロドラックの薬物動態学的特性は、種々の異なる送達ビヒクルの投与において静脈内経路および皮下経路を使用してラット、サルおよびチンパージにおいて計算され得る。持続した血漿レベルを、皮下投与を使用して種々のリポソーム持続性ビヒクルも用いて測定できる:(i)100mg/mlレシチンを伴った5mg/mlプロドラック水溶液;(ii)200mg/mlレシチンを伴った5mg/ml プロドラック水溶液;および(iii)100mg/mlレシチンおよび5mg/mlのコレステロールを伴ったプロドラック5mg/ml水溶液。これらの結果に基づいて、当該分野で周知の他のリポソーム処方物が本発明のプロドラックを投与するために使用することが可能である。
【0211】
本発明のプロドラックは、ラットおよびヒトの肝臓に由来するミクロソームで容易に代謝され得、その一部が活性化合物であるA−B−C−NHCOCHXに変換される。その活性化合物は、NADPH非依存性エステラーゼにより容易に分解されるので、エステラーゼインヒビターであるビス(p−ニトロフェニル)ホスフェート(BNPP)を、その活性化合物の分解を防止するためにミクロソームインキュベーションにおいて使用した。多くのプロドラックの場合において、BNPPは、ラットまたはヒトのいずれのミクロソームにおけるプロドラックの消失に対しても影響を与えないことがわかった。そのプロドラックの代謝は、NADPH依存性酵素、おそらくは、P450により生じている。そのプロドラックの全てが肝臓ミクロソームで容易に代謝されるが、生成された活性化合物の量は、試験した化合物によって有意な違いがあった。代謝経路を完全に追跡してはいないが、この化合物のうちの多くのものにとって、脱アセチル化産物が存在しないことを、LC/MS/MSを使用することで確認した。すなわち、そのプロドラックの側鎖は、不活性な脱アセチル産物を生じるエステラーゼによる攻撃を防ぐ役割を担っている。アルキル基側鎖がないことが好ましい代謝経路となるようである。ヒトの空腸から単離したミクロソームにおいて追加試験を実施した。概して、それらの化合物は、これらの消化管のミクロソームにおいては安定である。
【0212】
(方法)
インキュベーションを、市販元より購入した凍結保存していたラットおよびヒトのミクロソームを使用して実施した。インキュベーションを、1mM NADPHを含むリン酸緩衝液(100mM,pH=7.4)における最終タンパク質濃度1mg/mlで実施した。BNPP濃度は、インキュベーション混合物で1mMであった。反応を、化合物(水:DMSO(9:1)溶液とした10μg/mlの溶液を5μl)を添加することにより開始した。反応は、96ウェルプレートにおいて100μLの容量で実施し、反応を、1%ギ酸を含む50μLのジメチルスルホキシドを添加することでクエンチした。内部標準(ベラパミル,0.5μM水溶液を10μl)および100μlの有機溶媒混合物(アセチルニトリル:エタノール:DMSO;2:1:1)を添加することで分析用のサンプルを調製した。サンプルを分析前に遠心分離して、沈降したタンパク質を取り除いた。
【0213】
(LC/MS/MS分析)
PE/Sciex 3000機器を全ての分析において使用した。サンプルを、Betasil C8カラム(50×3mm;Thermo Electron Corp.)に注入して、アセトニトリル勾配を用いて溶出させた。加熱した噴霧機源を、HPLCカラムとMS/MSとの間のインターフェースとして使用した。定量分析を、MRMモードの操作を利用することで実施した。ここで、各々化合物について予め特定のパラメータを決定しておいた。標準を、先述した手順を利用することでラットまたはヒトのミクロソームで調製し、1〜1000ng/mlの範囲を確保した。
【0214】
(薬物動態試験)
薬物動態試験を、門脈と頚静脈外科的にカニューレを移植したラットで実施した。血液サンプルを、化合物の経口投与後の様々な時点で両方のカニューレから同時に採取した。門脈において、そのプロドラックを検出し、いくつか場合においては、その活性化合物であるA−B−C−NHCOCHXも検出した。門脈サンプルにおける活性化合物の存在は、消化管壁を通過した際のプロドラックの代謝に起因する。驚くべきことに、不活性代謝物のレベルは低かった。頚静脈において、全てではないものの多くのプロドラックが、プロドラックの肝臓での抽出比率に依存して、体循環で検出された。対照的に、A−B−C−NHCOCHX(ここで、「C」は、2−ピリジルである)の経口投与によって、門脈血管において高レベルの不活性代謝産物が得られ(これは、小腸のエステラーゼ活性に起因するものである)、そして、低レベルのA−B−C−NHCOCHXを得た。
【0215】
ラットの肝臓におけるプロドラックからその活性代謝物の変換の証拠を、胆汁中のプロドラック濃度および活性化合物の濃度を測定することにより得た。高レベルのプロドラックおよびその結果得られたA−B−C−NHCOCHXを、経口投与後4時間に亘って胆汁で検出した。対照的に、等量のA−B−C−NHCOCHXを経口投与した後では、A−B−C−NHCOCHXは胆汁中で検出されなかった。このデータによって、そのプロドラックが肝臓に蓄積して、徐々にその活性型のジハロアセトアミドへと変換されていることが示唆される。
【0216】
(方法)
化合物を、TPGS:PEG:PG(35%:60%:5%)混合物に溶解して、経口投与用に生理食塩水で希釈した。代表的には、6.5mgの化合物を、その1mlの有機混合物中に溶解して、5.5mlの生理食塩水に添加した。5mg/Kgの局所投与のために5ml/Kgのこの混合物を動物に投与した。全ての動物試験を、スプラーグドーリーラット(Spraque−Dawley rat;SDラット)で実施し、その動物は、投与前に一晩絶食させた。外科的処置(採血用カニューレを移植するためであるもの)を、試験研究の少なくとも2日前に実施した。血液サンプル(100μl)を抗凝固剤としてヘパリンナトリウムを使用して採取して、酢酸緩衝液(100mM、pH=6.5):アセトニトリル:エタノール:DMSOを体積比で2:1:1:2とする300μlの混合物に添加した。サンプルを遠心分離して、その上清を、先述した手順を使用してLC/MS/MSにより分析した。標準は、未処置の動物群の新鮮なラットの血液を用いて同様に調製した。
【0217】
レプリコンアッセイの結果を、表2に提供する。表2において、値として「+++」は、1μM未満を意味し;「++」は、1μMと20μMとの間を意味し;「+」は、20μMを超えることを意味する。
【0218】
【表2−1】

【0219】
【表2−2】

(プロドラックストラテジーを使用した親化合物の安定化)
親化合物(64)は、コファクターとしてNADPHを必要としない反応では、エステラーゼ酵素により切断されると不活性代謝物(66)となる。エステラーゼは消化管に存在するので、その活性化合物は、吸収過程において多くが加水分解される。アセチル窒素のアルキル化は、プロドラック65を提供することで、エステラーゼによる直接的な攻撃に対してその親化合物を安定化させる。アルキル化により安定化された親化合物は、NADPHが存在しない条件で、ヒトミクロソームの投与後、少なくともその60分後では、加水分解を受けず本質的には100%残存する。そのミクロソームのインキュベーション物にNADPHを添加すると、CYP P450酵素活性のために親化合物への変換が生じる。プロドラックは、消化管ではその分解に対して安定化され、NADPHが存在すると60分間以内にて肝臓内で代謝を受ける。
【0220】
【化70】

(親化合物の経口投与−ラットにおける加水分解反応)
経口投与された場合、血漿サンプルをラットの門脈から採取して化合物番号(Cpd.No)66および化合物番号64について分析した実験に実証されるように(表3)、親化合物は十分に吸収されるが殆ど加水分解されて不活性な代謝産物となる。しかし、活性な親化合物の一部は、インタクトであり、その活性の親化合物の濃度は、用量に比例して上昇する(図IAおよびIB)。門脈血液が肝臓に直接流れ込むために、そのインタクトな活性親化合物が、肝臓で抗ウイルス効果を発揮することができる。
【0221】
【表3】

(肝臓ミクロソームにおけるプロドラックの代謝−活性因子の生成)
プロドラックが加水分解して親化合物となることが、多くのプロドラックについてヒトおよびラットの肝臓ミクロソームにおいて観察された(図2Aおよび2B)。これらの研究は、市販の凍結保存されたミクロソームを使用して実施し、インキュベーションを、親化合物のジクロロアセチル基の加水分解を防止するためにエステラーゼインヒビターであるビス−ニトロフェニルホスフェートの存在下で実施した。
【0222】
(ラットにおけるプロドラックの薬物動態−消化管でのプロドラック加水分解と不活性代謝物への親化合物の代謝)
プロドラックは、消化管エステラーゼに対して安定であり、インタクトな状態で吸収される。門脈における不活性代謝物の濃度は、プロドラック濃度と比較して低いものである(図3Aおよび図3B)。表4は、5mg/Kgのプロドラットの経口投与後に門脈におけるプロドラック、親化合物、および不活性代謝物のAUC値をまとめたものである。表4は、5mg/Kgのプロドラックの経口投与後に門脈におけるプロドラック、親化合物、および不活性代謝物のAUC値を示す。
【0223】
【表4】

(プロドラックのラットへの経口投与後における親化合物および不活性代謝物の胆汁排出)
プロドラックを、5mg/Kgの用量でラットに投与して、胆汁を、1時間ごとの間隔で3時間にわたって採取した。これらのデータは、そのプロドラックが肝臓で抽出されて、その親化合物に変換されたことを示した(図4Aおよび4B)。5mg/Kgの用量でプロドラックを用いた場合の方が30mg/Kgの用量で親化合物を用いた場合よりも、胆汁におけるその親化合物の濃度は実質的に高いものであった。
【0224】
本願明細書における全ての刊行物および特許出願は、その個々の刊行物または特許出願が具体的かつ別個に参考として援用されるがごとく、本願明細書において参考として援用される。
【0225】
先述した本発明をその理解を明快なものとする過程において実例および実施例を用いることにより幾分具体的に記載してきたが、添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなしに本発明に対して一定の変更および改変が許容され得ることは、本発明の教示に鑑みて、当業者には非常に明白なことである。
【図面の簡単な説明】
【0226】
【図1】図1Aおよび図1Bは、その親化合物および不活性代謝産物の門脈レベルを示している。図1Aは、5mg/Kgの親化合物をラットに経口投与した後の親化合物および不活性代謝産物の門脈レベルを示している。図1Bは、2mg/kg、5mg/kgおよび10mg/kgの親化合物を経口投与した後の親化合物に関する用量で規格化したAUC値を示す。
【図2】図2Aおよび図2Bは、ヒトおよびラットの肝臓ミクロソームにおけるプロドラックに由来する親化合物の生成量を示す。プロドラックの出発濃度は、1マイクロモル濃度(μM)である。
【図3】図3Aおよび図3Bは、5mg/kgのプロドラッグを経口投与した後におけるプロドラックおよび不活性代謝産物についての薬物動態プロファイルを示す。
【図4】図4Aおよび4Bは、ラットの胆汁におけるプロドラックレベルを示す。図4Aは、経口用量5mg/kgのプロドラックを投与されたラットの胆汁におけるプロドラックレベルを示す。図4Bは、5mg/kgのプロドラックまたは30mg/kgの親化合物のいずれかを投与した後の胆汁での親化合物の濃度を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式
A−BCN(R11)C(O)CXH (I)
に従う化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物もしくはN−オキシドであって、該構造式(I)において、
Aは、1個〜5個の同じかまたは異なるR20置換基を有する、フェニルまたは六員ヘテロアリール環であり、ただし、該置換基のうちの少なくとも1個は、環Bに対してオルトに位置しており;
Bは、N、O、およびSから選択される1個〜3個の環ヘテロ原子を有する、飽和、不飽和、または芳香族のヘテロ芳香族環であり、ここで、A部分およびC部分は、Bの隣接していない環原子に結合しており、ただし、Bが1個より多くの環酸素原子を有する場合、該酸素原子は、隣接しておらず;
Cは、フェニルまたはヘテロアリール環であり、ここで、Cがフェニルである場合、該フェニルは、B部分に対してメタ位で、−N(R11)−C(O)−CX−Hで置換されているか、またはCがヘテロアリール基である場合、該B部分および該−N(R11)−C(O)−CX−H部分は、Cの1つのみの環原子を介在させて、C上に位置しており;
11は、−C〜Cアルキル−C(O)−OR、−C〜Cアルケニル−C(O)−O−R、−(CHR10−J、ならびに必要に応じてC〜Cアルキル、−CNおよび−NHから選択される1個以上の基で置換されたC〜Cアルキルからなる群より選択され;
各Xは、独立して、−Hまたはハロであり、ただし、両方のXがHにはならず;
は、−H、C〜Cアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアラルキルであり;
各R10は、独立して、−Hまたは低級アルキルであり;
Jは、−O−C(O)−O−R、−O−C(O)−N(H)−CH(R13)−C(O)−O−R、−O−R、−P(O)(OR18)OR19、−−C(=O)−(CH0−3CH(R13)−R14、−C(=O)−CH(R13)−NH−C(O)−R14、−C(=O)−OR、−N(H)−C(O)−R21および−N(H)−C(O)−(CH(R22))1−3−N(R13)−R21からなる群より選択され;
13は、−H、−NHおよびC〜Cアルキルからなる群より選択され;
14は、−H、−NH、C〜Cアルキル、−C〜Cアルキル−C(O)−OR、−P(O)(OR18)OR19および−CH(R15)−N(H)−R21からなる群より選択され;
15は、−H、C〜Cアルキル、および−C〜Cアルキル−C(O)−ORからなる群より選択されるか;または
15は、R15が結合している炭素原子と、該炭素原子に隣接する窒素原子と一緒になって、−OHで必要に応じて置換されているシクロヘテロアルキル基を形成し;
18は、−H、低級アルキル、アリール、またはアリールアルキルであり;
19は、−H、低級アルキル、アリール、またはアリールアルキルであり;
21は、−H、C〜Cアルキル、−O−Rおよび−C(O)−O−Rからなる群より選択され;
22は、−H、アリール、C〜Cアルキル、−C〜Cアルキル−C(O)−ORからなる群より選択されるか;または
22は、R22が結合している炭素と、R13と、R13が結合している窒素と一緒になって、−OHで必要に応じて置換されているシクロヘテロアルキル基を形成し;そして
各R20は、互いに独立して、−OH、−SH、−CN、−C(O)H、−NO、ハロ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、低級アルキル、置換低級アルキル、低級ヘテロアルキル、置換低級ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、低級ハロアルキル、モノハロメチル、ジハロメチル、トリハロメチル、トリフルオロメチル、低級アルキルチオ、置換低級アルキルチオ、低級アルコキシ、置換低級アルコキシ、メトキシ、置換メトキシ、低級ヘテロアルコキシ、置換低級ヘテロアルコキシ、シクロアルコキシ、置換シクロアルコキシ、シクロヘテロアルコキシ、置換シクロヘテロアルコキシ、低級ハロアルコキシ、モノハロメトキシ、ジハロメトキシ、トリハロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、低級ジアルキルアミノ、低級モノアルキルアミノ、置換低級ジアルキルアミノ、置換低級モノアルキルアミノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、フェノキシ、置換フェノキシ、アリールアルキル、置換アリールアルキル、アリールアルキルオキシ、置換アリールアルキルオキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルキルオキシ、置換ヘテロアリールアルキルオキシ、カルボキシル、低級アルコキシカルボニル、置換低級アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、置換アリールオキシカルボニル、アリールアルキルオキシカルボニル、置換アリールアルキルオキシカルボニル、カルバメート、置換カルバメート、カルバモイル、置換カルバモイル、チオカルバモイル、置換チオカルバモイル、尿素、置換尿素、チオ尿素、置換チオ尿素、スルファモイル、置換スルファモイル、および式−L−Rの基からなる群より選択され、ここで、「L」は、リンカーであり、そしてRは、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキルである、
化合物。
【請求項2】
Aが、少なくとも2個のR20基で置換されたフェニルであり、R20基は、ハロ、低級アルコキシ、低級アルキル、低級ハロアルキルからなる群より選択され、ここで、該R20のうちの少なくとも1個は、環Bに対してオルトに位置しており;
Bが、NおよびOから選択される2個の環ヘテロ原子を有する不飽和ヘテロ芳香族環であり、ここで、A部分およびC部分は、Bの隣接していない環原子に結合しており;
Cは、Bに対してメタ位で、−N(R11)−C(O)−CX−Hで置換されているフェニルであり;
11は、−(CHR10−J、ならびに必要に応じて−CNおよび−NHから選択される1個以上の基で置換されたC〜Cアルキルからなる群より選択され;
各Xは、ハロであり;
nは、1または2であり;
は、−HまたはC〜Cアルキルであり;
各R10は、独立して、−Hまたは低級アルキルであり;
Jは、−O−R、−P(O)(OR18)OR19、−C(=O)−OR、−N(H)−C(O)−R21、および−N(H)−C(O)−(CH(R22))1−3−N(R13)−R21からなる群より選択され;
13は、−H、およびC〜Cアルキルからなる群より選択され;
18は、−Hまたは低級アルキルであり;
19は、−Hまたは低級アルキルであり;
21は、−H、C〜Cアルキル、−O−R、および−C(O)−O−Rからなる群より選択され;
22は、−H、アリール、C〜Cアルキル、および−C〜Cアルキル−C(O)−ORからなる群より選択され;そして
22は、R22が結合している炭素と、R13と、R13が結合している窒素と一緒になって、必要に応じて−OHで置換されているシクロヘテロアルキル基を形成する、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Bが、式
【化1】

の基であり、ここで、D、EおよびFは、各々が互いに独立して、N、OおよびCHから選択され、ただし、D、EおよびFのうちの少なくとも2個は、CH以外であり、そしてDとEとの両方が同時にOにはならない、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
DがOであり、EがNであり、そしてFがCHである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
DがNであり、EがOであり、そしてFがCHである、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
Bが、イソオキサゾリル環、ピラゾリル環、オキサジアゾリル環またはトリアゾリル環である、請求項3に記載の化合物。
【請求項7】
Bがイソオキサゾリルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
Xがクロロであり、そしてAが、2位および6位において、同じかまたは異なるR20置換基で置換されている、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
一方のR20がハロであり、そして他方のR20が低級アルコキシまたは低級ハロアルキルである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
両方のR20がハロである、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
両方のR20がクロロである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】

【化2】

の、請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物もしくはN−オキシドであって、ここで、R11は、
【化3】

【化4】

【化5】

からなる群より選択される、化合物。
【請求項13】
11が、
【化6】

【化7】

からなる群より選択される、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
Aが、少なくとも2個のR20基で置換されたフェニルであり、該R20基は、ハロ、低級アルコキシ、低級アルキル、低級ハロアルキルからなる群より選択され、ここで、該R20のうちの少なくとも1個は、環Bに対してオルトに位置しており;
Bが、NおよびOから選択される2個の環ヘテロ原子を有する不飽和ヘテロ芳香族環であり、ここで、A部分およびC部分は、Bの隣接していない環原子に結合しており;
Cが、ピリジニルであり、ここで、B部分および−N(R11)−C(O)−CX−H部分は、Cの1個のみの環原子を介在させて、C上に位置しており;
11は、−C〜Cアルケニル−C(O)−O−R、および−(CHR10−Jからなる群より選択され;
各Xは、ハロであり;
nは、1または2であり;
は、−HまたはC〜Cアルキルであり;
10は、水素であり;
Jは、−O−C(O)−O−R、−O−C(O)−N(H)−CH(R13)−C(O)−O−R、−O−R、−C(=O)−(CH0−3CH(R13)−R14、−C(=O)−CH(R13)−NH−C(O)−R14および−C(=O)−ORからなる群より選択され;
13は、−H、−NHおよびC〜Cアルキルからなる群より選択され;
14は、−NH、C〜Cアルキル、−C〜Cアルキル−C(O)−OR、−P(O)(OR18)OR19および−CH(R15)−N(H)−R21からなる群より選択され;
15は、−H、C〜Cアルキル、および−C〜Cアルキル−C(O)−ORからなる群より選択されるか;または
15は、R15が結合している炭素原子と、該炭素原子に隣接する窒素原子と一緒になって、必要に応じて−OHで置換されているシクロヘテロアルキル基を形成し;
18は、低級アルキルであり;
19は、低級アルキルであり;そして
21は、−H、−O−Rおよび−C(O)−O−Rからなる群より選択される、
請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
Bが、式
【化8】

の基であり、ここで、D、EおよびFの各々が、互いに独立して、N、OおよびCHから選択され、ただし、D、EおよびFのうちの少なくとも2個は、CH以外であり、そしてDとEとの両方が、同時にOにはならない、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
DがOであり、EがNであり、そしてFがCHである、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
DがNであり、EがOであり、そしてFがCHである、請求項15に記載の化合物。
【請求項18】
Bが、イソオキサゾリル環、ピラゾリル環、オキサジアゾリル環またはトリアゾリル環である、請求項15に記載の化合物。
【請求項19】
Bがイソオキサゾリルである、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
Xがクロロであり、そしてAが、2位および6位で、同じかまたは異なるR20置換基で置換されている、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
一方のR20がハロであり、そして他方のR20が低級アルコキシまたは低級ハロアルキルである、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
両方のR20がハロである、請求項20に記載の化合物。
【請求項23】
両方のR20がクロロである、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】

【化9】

の、請求項14に記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物もしくはN−オキシドであって、ここで、
は、−HまたはC〜Cアルキルであり;
11は、−(CH−C(=O)−CH(R13)−R14、−(CH−C(=O)−(CH1−3CH(R13)−R14および−(CH−C(=O)−CH(R13)−NH−C(O)−R14からなる群より選択され;
13は、−H、−NHおよびC〜Cアルキルからなる群より選択され;
14は、C〜Cアルキル、−C〜Cアルキル−C(O)−ORおよび−CH(R15)−N(H)−R21からなる群より選択され;
15は、−H、C〜Cアルキル、および−C〜Cアルキル−C(O)−ORからなる群より選択されるか;または
15は、R15が結合している炭素原子と、該炭素原子に隣接する窒素原子と一緒になって、必要に応じて−OHで置換されたシクロヘテロアルキル基を形成し;そして
21は、−Hおよび−C(O)−O−Rからなる群より選択される、
化合物。
【請求項25】
11が、−(CH−C(=O)−CH(R13)−R14である、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
13が、−Hまたは−NHであり、そしてR14が、−NH、C〜Cアルキルまたは−C〜Cアルキル−C(O)−OHである、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
14が、イソプロピルまたはイソブチルまたは−(CH)−C(O)−OHである、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
11が、−(CH−C(=O)−(CHCH(R13)−R14である、請求項24に記載の化合物。
【請求項29】
13が−NHであり、そしてR14が−C〜Cアルキル−C(O)−OHである、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
14が−C(O)−OHである、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
11が−(CH−C(=O)−CH(R13)−NH−C(O)−R14である、請求項24に記載の化合物。
【請求項32】
13が−HまたはC〜Cアルキルであり、そしてR14が−CH(R15)−N(H)−R21である、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
13がイソプロピルであり、そしてR14が−CH(R15)−N(H)−R21である、請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
15がイソプロピルであり、そしてR21が−Hまたは−C(O)−O−C〜Cアルキルである、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
21が−C(O)−O−tert−ブチルである、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
15が−Hであり、そしてR21が−Hまたは−C(O)−O−C〜Cアルキルである、請求項33に記載の化合物。
【請求項37】
21が−C(O)−O−tert−ブチルである、請求項36に記載の化合物。
【請求項38】
15が、R15が結合している炭素原子と、該炭素原子に隣接する窒素原子と一緒になって、−OHで置換されたピロリジニル基を形成し、そしてR21が−C(O)−O−tert−ブチルである、請求項33に記載の化合物。
【請求項39】
15が−C〜Cアルキル−C(O)−ORであり、そしてR21が−Hまたは−C(O)−O−C〜Cアルキルである、請求項33に記載の化合物。
【請求項40】
15が−(CH−C(O)−ORであり、そしてR21が−Hまたは−C(O)−O−tert−ブチルである、請求項39に記載の化合物。
【請求項41】
が−tert−ブチルまたは−Hである、請求項40に記載の化合物。
【請求項42】

【化10】

の、請求項14に記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物もしくはN−オキシドであって、ここで、R11が、
【化11】

【化12】

【化13】

からなる群より選択される、化合物。
【請求項43】
11が、
【化14】

からなる群より選択される、請求項42に記載の化合物。
【請求項44】

【化15】

の、請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物もしくはN−オキシドであって、ここで、
11は、−(CH−N(H)−C(O)−R21、−(CHR10−N(H)−C(O)−R21、および−(CHR10−N(H)−C(O)−CH(R22)−N(R13)−R21からなる群より選択され;
nは、2であり;
10は、−HまたはC〜Cアルキルであり;
13は、−HまたはC〜Cアルキルであり;
18は、−HまたはC〜Cアルキルであり;
19は、−HまたはC〜Cアルキルであり;
21は、−H、C〜Cアルキル、および−C(O)−O−C〜Cアルキルからなる群より選択され;
22は、−H、アリール、C〜Cアルキル、−C〜Cアルキル−C(O)−OH、および−C〜Cアルキル−C(O)−O−C〜Cアルキルからなる群より選択され;そして
22は、R22が結合している炭素と、R13と、R13が結合している窒素と一緒になって、−OHで置換されたシクロヘテロアルキル基を形成する、
化合物。
【請求項45】
11が−(CH−N(H)−C(O)−R21である、請求項44に記載の化合物。
【請求項46】
21が−C(O)−O−tert−ブチルである、請求項45に記載の化合物。
【請求項47】
11が−(CHR10−N(H)−C(O)−R21であり、R10がC〜Cアルキルであり、そしてR21が−C(O)−O−C〜Cアルキルである、請求項44に記載の化合物。
【請求項48】
10がイソプロピルであり、そしてR21が−C(O)−O−tert−ブチルである、請求項47に記載の化合物。
【請求項49】
11が−(CH−N(H)−C(O)−CH(R22)−N(R13)−R21であり、R22が、アリール、−H、C〜Cアルキル、−C〜Cアルキル−C(O)−OH、または−C〜Cアルキル−C(O)−O−C〜Cアルキルであり、R13が−HまたはC〜Cアルキルであり、そしてR21が、−H、C〜Cアルキル、または−C(O)−O−C〜Cアルキルである、請求項44に記載の化合物。
【請求項50】
22が、フェニル、イソブチル、イソプロピル、−(CH−C(O)−OH、または−(CH−C(O)−O−tert−ブチルであり、R13が−CHであり、そしてR21が−CHまたは−C(O)−O−tert−ブチルである、請求項49に記載の化合物。
【請求項51】
11が−CH−(CHR10)−N(H)−C(O)−CH(R22)−N(R13)−R21であり、R10がC〜Cアルキルであり、R22が、アリール、−H、C〜Cアルキル、−C〜Cアルキル−C(O)−OH、または−C〜Cアルキル−C(O)−O−C〜Cアルキルであり、R13が−HまたはC〜Cアルキルであり、そしてR21が、−H、C〜Cアルキル、または−C(O)−O−C〜Cアルキルである、請求項44に記載の化合物。
【請求項52】
10がイソプロピルであり、R22が、フェニル、イソブチル、イソプロピル、−(CH−C(O)−OH、または−(CH−C(O)−O−tert−ブチルであり、R13が−CHであり、そしてR21が−CHまたは−C(O)−O−tert−ブチルである、請求項51に記載の化合物。
【請求項53】
C型肝炎ビリオンを含む細胞に投与される場合、前記化合物が、HCV複製および/または増殖を阻害し、そしてインビトロアッセイで測定される場合に、10μM以下のIC50を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項54】
表1および表1Aに提供される化合物からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項55】
薬学的に受容可能なビヒクルと、請求項1〜54のいずれか1項に記載の化合物とを含有する、組成物。
【請求項56】
C型肝炎(「HC」)ビリオンの複製および/または増殖を阻害する方法であって、該方法は、HCビリオンを、HCビリオンの複製および/または増殖を阻害するために有効な量の、請求項1〜54のいずれか1項に記載の化合物と接触させる工程を包含する、方法。
【請求項57】
前記方法が、インビトロで実施される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記方法が、インビボで実施される、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
HCV感染を処置または予防する方法であって、該方法は、被験体に、HCV感染を処置または予防するために有効な量の、請求項1〜54のいずれか1項に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項60】
前記被験体がヒトである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記化合物が、約0.01mg/kg/日〜200mg/kg/日の量で投与される、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記化合物が、約1mg/kg/日〜100mg/kg/日の量で投与される、請求項59に記載の方法。
【請求項63】
前記化合物が、経口投与されるか、静脈内投与されるか、または皮下投与される、請求項59に記載の方法。
【請求項64】
前記方法が、HCV感染を有する被験体において治療的に実施される、請求項59に記載の方法。
【請求項65】
前記方法が、HCV感染を発症する危険のある被験体において予防的に実施される、請求項59に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−540425(P2008−540425A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510118(P2008−510118)
【出願日】平成18年5月1日(2006.5.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/016732
【国際公開番号】WO2007/027230
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(504294145)ライジェル ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (63)
【Fターム(参考)】