説明

代謝障害、とりわけ糖尿病、または糖尿病関連疾患もしくは病状の処置方法

【課題】本発明は、容易に製造される、例えばナテグリニド


の組成物、特に医薬組成物、およびその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】上記課題を解決するため、本発明は水の存在下で造粒でき、その後打錠前の粉砕が必要なく、遊離または薬学的に許容される塩形のナテグリニド、および薬学的に許容される担体、とりわけラクトース一水和物、微結晶性セルロース、ポビドン、クロスカルメロースナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、およびステアリン酸マグネシウムを含む組成物、とりわけ錠剤およびその製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、それぞれ、疾患、とりわけ代謝障害、特に2型糖尿病ならびに糖尿病関連疾患および病状の予防、進行の遅延および処置における、同時、個別または連続的使用のためのナテグリニドまたはレパグリニド、およびチアゾリジンジオン誘導体(グリタゾン系)、スルホニルウレア誘導体およびメトホルミンからなる群から選択される少なくとも1つの他の抗糖尿病化合物を含む、組合せ製剤または医薬組成物のような組み合わせ;
代謝障害の予防、進行の遅延または処置のための医薬の製造のためのこのような組み合わせの使用;
美容面で有益な体重減少をもたらすための、哺乳動物の美容的処置のためのこのような組み合わせの使用;
温血動物における疾患の予防、進行の遅延または処置方法;
温血動物の身体的外観を改善する方法;
組成物および薬学的に許容される担体中に唯一の活性剤としてナテグリニドを含む医薬組成物、ならびにこのような医薬組成物の製造方法に関する。
【0002】
糖尿病の処置において一般的に認められている目的は、症状の軽減、生活の質の向上、ならびに急性の合併症(高浸透圧性昏睡およびケトアシドーシス)および慢性の合併症(例えば糖尿病性神経症、糖尿病性腎症および早発性アテローム性動脈硬化症)の両方の予防を提供することである。2型糖尿病は、末梢のインシュリン抵抗性の増大とインシュリン分泌の異常の両方を特徴とする。少なくとも2種類のインシュリン分泌の異常が認められている:第一相において循環グルコースレベルが上昇しているにもかかわらずインスリンが遅延し、不十分であり、そして第二相においてはインスリン分泌が消失する。グルコース、アミノ酸および胃腸管ペプチドを含むいくつかの代謝性、内分泌性および薬理学的物質がインスリン分泌を刺激することが知られている。1型IDDM患者において行われたDiabetes Control and Complications Trial (DCCT)により、血中グルコースの低下が糖尿病性微小血管合併症の発現および進行の減少に関連することが立証された(Diabetes Control and Complications Trial Research Group; N. Engl. J. Med. 1993, 329, 977-986)。したがって、1つの治療上の焦点は、2型糖尿病患者における血糖値の制御を最適化し、可能な限り正常化させることにある。現在入手可能な経口用薬剤は、いくつかの患者サブグループにおいてこの治療上の挑戦を満たさず、ときどき結果として副作用を生じるか、または他の問題を伴う。
【0003】
本発明は、
特に、疾患、とりわけ代謝障害および特に2型糖尿病ならびに糖尿病関連疾患および病状の予防、進行の遅延および処置における、同時、個別または連続的使用のための;
式I
【化1】

のナテグリニドまたはレパグリニド、およびチアゾリジンジオン誘導体(グリタゾン系)、スルホニルウレア誘導体およびメトホルミンからなる群から選択される少なくとも1つの他の抗糖尿病化合物、および所望により少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む、それぞれ、組合せ製剤または医薬組成物のような組み合わせ(それぞれの場合において活性成分が遊離型または薬学的に許容される塩の形態で存在する);
に関する。このような組み合わせは、好ましくは組合せ製剤または医薬組成物である。
【0004】
「同時、個別または連続的使用のための、それぞれ、ナテグリニドまたはレパグリニド、およびチアゾリジンジオン誘導体(グリタゾン系)、スルホニルウレア誘導体およびメトホルミンからなる群から選択される少なくとも1つの他の抗糖尿病化合物、および所望により少なくとも一つの薬学的に許容される担体を含む、組合せ製剤または医薬組成物のような組み合わせ(それぞれの場合において活性成分が遊離型または薬学的に許容される塩の形態で存在する)」なる語は、とりわけ、構成成分であるナテグリニドまたはレパグリニド、およびグリタゾン系、スルホニルウレア誘導体およびメトホルミンからなる群から選択される少なくとも1つの他の抗糖尿病化合物が独立的に、または構成成分の特異な量(distinguished amount)でさまざまな固定された組み合わせを使用して、すなわち同時または異なる時点で投与され得るという意味で、「成分のキット」を意味する。そこで、「成分のキット」の成分は、同時または時間をずらして、すなわち異なる時点で、「成分のキット」の任意の成分に関して等しいまたは異なる時間間隔で投与され得る。好ましくは、その時間間隔は、成分の複合的使用において処置される疾患または病状に対する効果が、任意の1つの成分の使用により得られる効果よりも大きくなるように選択される。好ましくは、少なくとも1つの有利な効果、例えば、ナテグリニドまたはレパグリニド、およびグリタゾン系、スルホニルウレア系およびメトホルミンからなる群から選択される少なくとも1つの他の抗糖尿病化合物の相互増強効果、特に例えば相加以上の相乗効果、付加的な有利な効果、より少ない副作用、構成成分であるナテグリニドまたはレパグリニド、およびグリタゾン系、スルホニルウレア誘導体およびメトホルミンからなる群から選択される少なくとも1つの他の抗糖尿病化合物の1つまたは個々では効果を発現しない投与量における複合治療効果、およびとりわけナテグリニドまたはレパグリニドと、グリタゾン系、スルホニルウレア誘導体およびメトホルミンからなる群から選択される少なくとも1つの他の抗糖尿病化合物との間の大きな相乗効果が存在する。
【0005】
特に、本発明は、個々の活性成分が遊離型または薬学的に許容される塩の形態で存在するナテグリニドおよび抗糖尿病チアゾリジンジオン誘導体を含む共に治療上の有効量の組合せ製剤を、処置を必要とする温血動物に投与することを含む、代謝障害、さらにとりわけ糖尿病、特に2型糖尿病、または糖尿病関連疾患もしくは病状の処置方法に関する。
【0006】
「同時、個別または連続的使用のための組合せ製剤として、個々の活性成分が遊離型または薬学的に許容される塩の形態で存在する、ナテグリニドおよび抗糖尿病チアゾリジンジオン誘導体、および所望により少なくとも一つの薬学的に許容される担体を含む、それぞれ組合せ製剤または医薬組成物」なる語は、特に、構成成分であるナテグリニドおよび抗糖尿病チアゾリジンジオン誘導体が独立的に、または構成成分の特異な量でさまざまな固定された組み合わせを使用して異なる時点で投与され得るという意味で、「成分のキット」を意味する。好ましくは、少なくとも1つの有利な効果、例えば、ナテグリニドおよび抗糖尿病チアゾリジンジオン誘導体の相互増強効果、特に例えば相加以上の相乗効果、付加的な有利な効果、より少ない副作用、構成成分であるナテグリニドおよび抗糖尿病チアゾリジンジオン誘導体の1つまたは個々では効果を発現しない投与量における複合治療効果、とりわけナテグリニドと抗糖尿病チアゾリジンジオン誘導体との間の大きな相乗効果が存在する。
【0007】
本明細書において定義される「糖尿病関連疾患および病状」なる語は、高血糖症、高インスリン血症、高脂血症、インスリン抵抗性、グルコース代謝の減少、肥満、糖尿病網膜症、黄斑変性症、白内障、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、糖尿病性神経症、勃起機能障害、月経前症候群、血管再狭窄および潰瘍性大腸炎を含むが、これらに限定されるものではない。
さらに、「糖尿病関連疾患および病状」なる語は、冠動脈心疾患、高血圧、狭心症、心筋梗塞、卒中、皮膚および結合組織障害、下腿潰瘍(foot ulcerations)、代謝性アシドーシス、関節炎、骨粗鬆症および特にグルコース耐性の減少状態を含むが、これらに限定されるものではない。
【0008】
「予防」なる語は、ここに記載した疾患および病状の発生を予防するために、健常者(healthy patients)に組合せ製剤または医薬組成物のような組み合わせを予防的に投与することを意味する。さらに、「予防」なる語は、処置される疾患、とりわけ糖尿病の前段階にある患者にこのような組み合わせを予防的に投与することを意味する。ここで使用される「進行の遅延」なる語は、対応する疾患の前段階と診断される患者において処置される疾患、とりわけ糖尿病の前段階にある患者に、組合せ製剤または医薬組成物のような組み合わせを予防的に投与することを意味する。ここで使用される「処置方法」なる語は、疾患の予防方法、すなわちここに記載した疾患および病状の発生を予防するために、健常者に組合せ製剤または医薬組成物のような組み合わせを予防的に投与することを含む。
【0009】
本明細書において、「活性剤」、「活性化合物」またはある場合には「化合物」の語の意味を等価として理解すべきである。
【0010】
特記しない限り、有機基および「低級」と示された化合物は、7以下、好ましくは4以下の炭素原子を含む。
【0011】
低級アルキレンは、好ましくはメチレン、エチレンまたはプロピレンである。それは、非置換であるかまたは例えばヒドロキシで置換され得る。
【0012】
スルホニルウレア誘導体は、例えば、グリソキセピド(glisoxepid)、グリブリド、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、グリボヌリド、トルブタミド、トラザミド、グリピジド、カルブタミド、グリキドン、グリヘキサミド、フェンブタミド(phenbutamide)またはトルシクラミド(tolcyclamide);および好ましくはグリメピリドまたはグリクラジドである。
【0013】
ハロゲンは、好ましくはフッ素、塩素または臭素を表す。
低級アルキルは、特記しない限り、好ましくはエチルまたは、最も好ましくはメチルである。
低級アルコキシは、好ましくはメトキシまたはエトキシである。
【0014】
シクロアルキルは、例えばC〜Cシクロアルキル、好ましくはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルである。
アリールは例えば、それぞれ例えば低級アルキルまたはハロゲン、またはトリフルオロメチルによって置換され得るフェニルまたはナフチルである。
【0015】
ナテグリニド(EP 196222、EP 526171、US 5,463,116およびUS 5,488,150)、2−エトキシ−4−[N−{1−(2−ピペリジノ−フェニル)−3−メチル−1−ブチル}−アミノカルボニルメチル]安息香酸(レパグリニド、US 5216 167 (S)−2−エトキシ−4−{2−[[3−メチル−1−[2−(1−ピペリジニル)フェニル]ブチル]−アミノ]−2−オキソエチル}安息香酸としても知られる);5−{[4−(2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ)フェニル]−メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(ピオグリタゾン、EP 0 193 256 A1)、5−{[4−(2−(メチル−2−ピリジニル−アミノ)−エトキシ)フェニル]メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(ロジグリタゾン、EP 0 306 228 A1)、5−{[4−((3,4−ジヒドロ−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−2H−1−ベンゾピラン−2−イル)メトキシ)−フェニル]−メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(トログリタゾン、EP 0 139 421)、(S)−((3,4−ジヒドロ−2−(フェニル−メチル)−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)メチル−チアゾリジン−2,4−ジオン(エングリタゾン(englitazone)、EP 0 207 605 B1)、5−(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イルメチル)−2−メトキシ−N−(4−トリフルオロメチルベンジル)ベンズアミド(KRP297、JP 10087641-A)、5−[6−(2−フルオロ−ベンジルオキシ)ナフタレン−2−イルメチル]チアゾリジン−2,4−ジオン(MCC555、EP 0 604 983 B1)、5−{[4−(3−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)−1−オキソプロピル)−フェニル]−メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(ダルグリタゾン(darglitazone)、EP 0 332 332)、5−(2−ナフチルスルホニル)−チアゾリジン−2,4−ジオン(AY-31637、US 4,997,948)および5−{[4−(1−メチル−シクロヘキシル)メトキシ)−フェニル]メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(シグリタゾン(ciglitazone)、US 4,287,200)は、化合物名の後の括弧内で引用される文献に一般的かつ具体的に開示されており、それぞれの場合において特に請求項の化合物および実施例の最終生成物、最終生成物、医薬製剤および請求項の発明主題はこれらの刊行物の引用により本明細書中に含まれる。同様に、その文献に記載された対応する立体異性体ならびに対応する結晶変態、例えば溶媒和物および結晶多形も含まれる。本明細書で使用するナテグリニドは、それぞれEP 0526171 B1またはUS 5,488,510に記載された結晶変態(結晶多形)を含み、その発明主題、とりわけ請求項8〜10ならびにB型結晶変態に対応する記載を引用により本明細書の一部に含める。好ましくは、本発明において、B型またはH型、さらに好ましくはH型が使用される。
【0016】
これらの化合物および他の類似化合物またはフラグメントの任意の1以上の組み合わせを、組成物および疾患の処置方法の記載において、以下「抗糖尿病薬」と呼ぶ。
【0017】
さらに、MCC555は、EP 0 604 983 B1の49頁、30〜45行に記載されているように製剤化され得る;エングリタゾンは、EP 0 207 605 B1の6頁52行〜7頁6行に記載されているように、または24頁の実施例27もしくは28と同様に製剤化され得る;およびダルグリタゾンおよび5−{4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)−エトキシ]−ベンジル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(BM−13.1246)は、EP 0 332 332 B1の8頁、42〜54行に記載されたように製剤化され得る。AY−31637は、US 4,997,948のカラム4、32〜51行に記載されているように、およびロジグリタゾンはEP 0 306 228 A1の9頁32〜40行に記載されているように(後者は好ましくはそのマレイン酸として)投与され得る。
【0018】
個々の患者の必要性に対応して、ただし、医師によって別個の錠剤で、例えば医薬組成物である組合せをを投与することが意図されている場合には、発売されている抗糖尿病薬、例えばAVANDIA(商標)の商標名で販売されている形態のロジグリタゾンを投与することが可能である。トログリタゾンは、ReZulin(商標)、PRELAY(商標)、ROMOZIN(商標)(英国内)またはNOSCAL(日本国内)の商標名で販売されている形態で投与され得る。ピオグリタゾンはEP 0 193 256 A1の実施例2に記載されているように、好ましくは一塩酸塩の形態で、またはACTOS(商標)の商標名で発売されている形態で投与され得る。シグリタゾンは、例えば、US 4,287,200の実施例13に記載されているように製剤化され得る。薬物メトホルミンが個別の医薬組成物で投与される場合には、それは、例えばDIABETOSAN(商標)の商標名で発売されている形態で投与され得る。薬物メトホルミンが個別の医薬組成物で投与される場合には、それは、例えばDIABETOSAN(商標)の商標名で発売されている形態で投与され得る。薬物メトホルミンがその塩酸塩の形態の個別の医薬組成物で投与される場合には、塩酸メトホルミン塩(metformin hydrochloride salt)は、例えばDIABETASE 500(商標)、DIABETASE 850(商標)またはGLUCOPHAGE S(商標)の商標名で発売されている形態で投与され得る。グリブリドは、AZUGLUCON(商標)またはEUGLUCON(商標)の商標名で発売されている形態で投与され得る。トルブタミドは、ORABETの商標名で発売されている形態で投与され得、グリメピリドは、AMARYL(商標)の商標名で発売されている形態で投与され得、グリクラジドは、DIAMICRON(商標)の商標名で発売されている形態で投与され得、グリボヌリドは、GLUBORID(商標)の商標名で発売されている形態で投与され得、そしてグリキドンは、GLURENORM(商標)の商標名で発売されている形態で投与され得る。
【0019】
組み合わせられる化合物は、薬学的に許容されるような形で存在し得る。これらの化合物が、例えば少なくとも1つの塩基性中心を有する場合、それらは酸付加塩を形成し得る。対応する酸付加塩は、また、所望によりさらなる塩基性中心を有するように形成され得る。酸性基(たとえばCOOH)を有する化合物は、また、塩基と塩を形成する。例えば、組み合わせられる化合物は、ナトリウム塩として、マレイン酸塩または塩酸塩として存在し得る。組み合わせられる化合物は、また、溶媒和物の形態で存在し得る。
【0020】
単独の薬剤として投与されるロジグリタゾンの推奨される投与量は4mgまたは8mgであり、1日に1回の投与または2回の分割投与のいずれかで投与される。糖尿病の処置におけるロジグリタゾンでの最高の応答は、4mgを1日2回で観察される。単独の薬剤として投与されるピオグリタゾンの推奨される投与量は15mg、30mgまたは45mgであり、1日1回投与される。
【0021】
糖尿病および関連疾患または病状の性質は、多くの要素からなる。ある状況下で、異なる作用メカニズムを有する薬物が組み合わせられる。しかしながら、異なる作用様式を有するが同様の領域に作用する薬物の任意の組み合わせを考慮しても、必ずしも有利な効果を有する組み合わせが得られるわけではない。
【0022】
なおさら驚くべきことは、ナテグリニドまたはレパグリニド、およびグリタゾン系(glitazone)、特にロジグリタゾン(rosiglitazone)、トログリタゾン(troglitazone)およびピオグリタゾン(pioglitazone)、スルホニルウレア誘導体およびメトホルミンからなる群から選択される少なくとも1つの他の抗糖尿病化合物の複合的投与は、結果としてただ有利な、とりわけ相乗的な治療効果となるだけでなく、複合的処置および本明細書中で開示した組み合わせに使用される薬学的に活性な化合物のうちの1つを適用する単独療法と比較して、驚くほど有利なさらなる効果に由来する付加的な利点にもなる、という実験成果である。
【0023】
特に、なおさら驚くべきことは、ナテグリニドまたは薬学的に許容されるその塩および抗糖尿病チアゾリジンジオン誘導体の複合的投与は、結果としてただ有利な、とりわけ相乗的な治療効果となるだけでなく、効果の驚くべき持続、治療的処置の広範な多様性および糖尿病関連疾患および病状に対する驚くべき有利な効果、例えば体重増加の程度の減少のような、複合的処置に由来する付加的な利点にもなる、という実験成果である。
【0024】
ナテグリニドまたはレパグリニド、およびグリタゾン系、特にロジグリタゾン、ロジグリタゾンおよびピオグリタゾン、スルホニルウレア誘導体およびビグアナイド系のメトホルミン、またはそれぞれの場合において薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される少なくとも1つの他の抗糖尿病化合物の組み合わせは、結果として疾患、とりわけ代謝障害、特に2型糖尿病および糖尿病関連疾患および病状の、より効果的な予防または好ましくは処置になることが、確立された試験モデルおよびとりわけ本明細書中に記載された試験モデルにより示され得る。特に、ナテグリニドおよび抗糖尿病チアゾリジンジオン誘導体、またはそれぞれの場合において薬学的に許容されるその塩の組み合わせは、結果として疾患、とりわけ代謝障害、よりとりわけ糖尿病および特に2型糖尿病、および糖尿病関連疾患および病状の、より効果的な予防または好ましくは処置になることが、確立された試験モデルおよびとりわけ本明細書中に記載された試験モデルにより示され得る。
【0025】
同時に投与された場合、このことは、本明細書に記載された多くの組み合わせに関し、さらに増強された有利な、とりわけ相乗的な治療効果となるだけでなく、効果の驚くべき持続、治療的処置の広範な多様性および糖尿病関連疾患および病状に対する驚くべき有利な効果、例えば体重のより少ない増加のような、同時の処置に由来する付加的な利点という結果にもなる。さらに、ヒト患者、とりわけ高齢の患者にとって、時間をずらすこと、すなわち比較的複雑な処置計画に従うことよりも同時、例えば食前に2つの錠剤を服用することを思い出すことのほうが簡便であり、容易である。さらに好ましくは、両方の活性成分は、本明細書に記載されたすべての場合において、固定された組成物として、すなわち単一の錠剤として投与される。1つの錠剤を服用することは、同時に2つの錠剤を服用することより取り扱いがいっそう容易である。さらに、パッケージングをより少ない労力で完成し得る。
【0026】
当業者は、上記および下記の治療的指示および有利な効果を証明するための、適切な動物試験モデルを選択することが十分に可能である。薬理活性は、例えば、下記のマウスにおけるin-vivo試験または臨床試験の手順に本質的にしたがって証明され得る。
【0027】
血中グルコース制御のためのin-vivo試験
ICR−CDIマウス(オス、5週齢、体重:約20g)を18時間絶食し、試験対象として使用する。本発明の組み合わせおよび活性成分単独を0.5%CMC−0.14M塩化ナトリウム緩衝液(pH7.4)に懸濁させるか、または0.5%(重量)に懸濁させる。このようにして得られる溶液または懸濁液を、試験対象に固定された用量を経口投与する。予め決めた時間の後、対照群に対する血中グルコース減少の割合を測定する。
【0028】
食事または単独療法および食事のみの、不十分に制御された2型糖尿病を患う患者における臨床二重盲検、ランダム化、平行グループ実験
これらの研究により、特にそれぞれ組合せ製剤または医薬組成物のような請求項の組み合わせの相乗効果が証明される。本願において定義される糖尿病関連疾患および病状に対する有利な効果は、これらの研究の結果を通して直接的に、または当業者に既知の実験計画における変化によって決定される。
【0029】
本研究は、特に、血糖値制御に関する、ナテグリニド、レパグリニド、グリタゾン系、スルホニルウレア誘導体またはメトホルミンでの単独療法の効果と、ナテグリニドまたはレパグリニドとグリタゾン系、スルホニルウレア誘導体またはメトホルミンからなる群から選択される1以上の化合物との組み合わせでの効果を評価するのに適している。本研究は、とりわけ、血糖値制御に関する、メトホルミンもしくは対応する塩酸塩での単独療法、またはナテグリニドとメトホルミンもしくは対応する塩酸塩との組み合わせでの効果を評価するのに適している。食事療法のみでは正常血糖(HbA1c<6.8%)付近に達していない、2型糖尿病と診断された患者を本研究のために選ぶ。ナテグリニド単独療法、グリタゾン単独療法、メトホルミン単独療法および以下に示す複合療法で得られる血糖値制御に対する効果は、これらの研究において16または24週間後に、プラセボで達成される対照群とともに検定され、すべての患者は処置前の期間と同一の食事を継続する。血糖値制御の測定値は、糖尿病の処置のための確立された代表的終点(surrogate endpoint)である。HbA1cは、血糖値制御を評価するための最も信頼できる測定値であり(D. Goldstein et al, Tests of Glycemia in Diabetes; Diabetes Care 1995, 18(6), 896-909)、これらの研究において変動する主たる応答である。ヘモグロビンのグリコシル化は各赤血球細胞が産生された時点のグルコース濃度により決定されるので、HbA1cは過去3ヶ月間の平均血中グルコースの推定値を提供する。
【0030】
16または24週間の二重盲検処置の開始前に、患者に4または8週間、朝食、昼食および夕食前にナテグリニドに対応するプラセボを投与し、そして
(1)その後に、例えば朝食時のみ、グリタゾン系のトログリタゾンに対応するプラセボが投与され(研究1−期間I)、
(2)その後に、朝食、昼食および夕食前に、グリタゾン系のピオグリタゾン5mgに対応するプラセボが投与される(研究2−期間I)。
【0031】
患者を、次いで、後述のように16週または24週間の二重盲検研究(期間II)のために、4つの処置群に分割する。約150〜170人の患者を処置群ごとに無作為化する。各患者の準備期間を含めた総研究期間は、24〜28週間である。統計学的解析が、当分野において既知の方法により行われ得る。
【0032】
研究1:120mgナテグリニドおよびトログリタゾンの組み合わせ
本研究の特定の実施態様において、24週間の二重盲検処置の開始前に、患者に4週間、朝食、昼食および夕食前にプラセボに対応したナテグリニドを投与し、その後、朝食時のみに抗糖尿病チアゾリジンジオンに対応したプラセボを投与する(期間I)。次いで、トログリタゾンが抗糖尿病チアゾリジンジオンとして選択される場合に関し、患者を後述の24週間の二重盲検研究(期間II)のための4つの処置群に分割する。約170人の患者を処置群ごとに無作為化する。各患者の準備期間を含めた総研究期間は、28週間である。
【表1】

朝食、昼食、および夕食前に投与
** 1日投与量
【0033】
ナテグリニドの錠剤は120mgまたは対応するプラセボの何れかを含む。トログリタゾンの錠剤は商業的に購入され得、対応するプラセボカプセルに対する600mg錠剤を製造するために使用され得る。
【0034】
研究2:120mgナテグリニドおよびピオグリタゾンの組み合わせ
【表2】

共に朝食、昼食、および夕食前に投与
【0035】
ナテグリニドの錠剤は120mgまたは対応するプラセボの何れかを含む。ピオグリタゾンの錠剤は商業的に購入され得、対応するプラセボカプセルに対する5mg錠剤を製造するために使用され得る。
【0036】
研究3:単一の医薬組成物として投与される60mgナテグリニドおよび250mgメトホルミンの組み合わせ
本研究の期間Iにおいて、24週間の処置の開始前に、患者に4週間、朝食、昼食および夕食前に対応するプラセボを投与する。次いで、後述の24週間の研究(期間II)のための4つの処置群に分割する。各患者の準備期間を含めた総研究期間は、28週間である。両方の薬物は、薬学的に活性のある成分として含む、各主食前に投与される固定された医薬組成物中で組み合わされる。
【表3】

【0037】
研究4:食前の60または120mgナテグリニドと1日投与量としての1000mgメトホルミンとの組み合わせ
6.8〜11%のHbA1c値を有する患者に、少なくとも3ヶ月間、および期間0の開始前の少なくとも4週間、少なくとも1500mg/日のメトホルミンを投与する。1000mg/日のメトホルミンとナテグリニドのプラセボを患者に投与する期間である、4週間にわたる期間0の後、1日に1000mgのメトホルミン投与を継続しながら、患者を24週間主食前のナテグリニドのプラセボ、60mgのナテグリニドまたは120mgのナテグリニドの各投与群に無作為化する。
【表4】

主食前に投与
** 朝食および夕食直後
【0038】
例えば、血液サンプルを入手するために次の手順に従い得る:患者は朝の研究医薬を服用しないよう忠告され、予定された研究訪問日には朝食を取らないように忠告される。朝の投与は、すべての空腹時実験室用サンプルの採取およびすべての実験手順の終了後に現場の職員により投与される。訪問は、期間Iの間に2週間の間隔で、および期間IIの間に4〜8週間の間隔で行うように計画される。患者を毎回の訪問前の少なくとも7時間絶食させる。実験評価のためのすべての血液サンプルを、午前7:00〜午前10:00の間に採取する。すべての試験は、当分野において既知の手順に従いGLP(Good Laboratory Practice)の基準にしたがって行われる。
【0039】
HbA1cは、Bio-Rad Diamat analyzerのイオン交換法を使用する高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定される。ヘモグロビン変化体またはヘモグロビン分解物のピークが観察された場合には、予備的なアフィニティー法が使用される。
測定されるべきさらなるパラメーターは、空腹時血糖値(FPG)、空腹時脂質値(総、HDL(高密度リポタンパク質)−およびLDL(低密度リポタンパク質)−コレステロール、およびトリグリセリド)および体重である。FPGはヘキソキナーゼ法を用いて測定され、トリグリセリドが400mg/dL(4.5mmol/l)未満である場合には、LDL−コレステロールはFriedewald式を用いて計算される。
【0040】
ヘマトクリット値およびヘモグロビン値、血小板数、赤血球数、白血球数(好塩基球、エオシン好性白血球、リンパ球、単球、区分に分けられた好中球および総好中球)の総量および差;血液中のアルブミン、アルカリホスファターゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ(血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(血清グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ)、血中尿素窒素または尿素、重炭酸塩、カルシウム、クロライド、総クレアチンホスホキナーゼ(CPK)、(CPKが上昇している場合には)クレアチンホスホキナーゼの筋肉−脳フラクションのイソ酵素、直接ビリルビン、クレアチニン、γ−グルタミルトランスフェラーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、カリウム、ナトリウム、総ビリルビン、総タンパクおよび尿酸;およびビリルビン、グルコース、ケトン類、pH、タンパク、および患者の尿比重がラボ分析により測定される。さらに体重、血圧(着席3分後の収縮期および拡張期)および橈骨動脈拍(着席3分後)を訪問中に測定する。
【0041】
その結果より、本発明にしたがった組み合わせは、代謝障害、および特に糖尿病、とりわけ2型糖尿病および糖尿病関連疾患および病状の予防、進行の遅延および好ましくは処置に使用され得る。本発明の組み合わせは、また、他の疾患の予防および好ましくは処置に使用され得る。
【0042】
ナテグリニドまたはレパグリニド、およびグリタゾン系、スルホニルウレア誘導体およびメトホルミンからなる群から選択される少なくとも1つの他の抗糖尿病化合物の複合的投与は、とりわけ2型糖尿病に対する有利な、とりわけ相乗的治療効果になり、およびさらなる利点、例えば糖尿病関連死亡率の減少、薬物の効力の驚くべき持続(インスリンのいつか来たるべき必要性を遅らせる)、治療的処置の広範な多様性、2型糖尿病患者における標的血中グルコースレベルの維持、2型糖尿病患者における良好な初期血中グルコース制御の提供、空腹時血漿グルコースレベルの穏当な変化、および例えば体重増加の停止または減少、胃腸管の副作用の減少、または本明細書に記載された組み合わせにおいて使用される1つの薬学的に活性な化合物に適用する単独療法と比較して、改善された安全プロフィールを含むさらに驚くべき有利な効果という結果にもなる。特に、さらに驚くべき有利な効果は、また、2型糖尿病以外の代謝障害の処置中および2型糖尿病関連疾患および病状の処置中に観察され得る。さらなる利点は、本発明にしたがって組み合わせられたより低用量の個々の薬物が使用されると投与量が減少することであり、例えば投与量は必ずしもしばしばより少量で済むだけでなく、またより回数が少なく適用され、また使用されると副作用(例えば貧血、浮腫、頭痛)の発生が減少し得ることである。
【0043】
さらに、本明細書に記載された多くの組み合わせにおいて、本発明の組み合わせの適用に関し、成分のうちの1つで観察される副作用は驚くべきほど蓄積しない。
【0044】
有利な治療的効果、付加的な利点およびとりわけ驚くべき有利な効果は、特にナテグリニドで観察される。非常に良好な結果が、ナテグリニドおよびメトホルミンまたは塩酸メトホルミンの組み合わせにより得られる。
【0045】
有利な治療的効果、付加的な利点およびとりわけ驚くべき有利な効果は、とりわけ比較的重症の2型糖尿病を患うヒト患者、すなわち本明細書に記載された組み合わせでの処置前の、上昇したHbA1c値のベースラインが8%より大きいヒト患者、およびさらに特には上昇したHbA1c値のベースラインが9.5%より大きいヒト患者において観察される。ナテグリニドがこのようなヒト患者に投与される場合、好ましくは、このようなヒト患者は1食あたりの組み合わせの一部としてのナテグリニドを90〜200mg、より好ましくは100〜150mg、例えば120mg投与される。
【0046】
本発明の1つの好ましい実施態様において、1食あたりのナテグリニド45〜85mg、さらに好ましくは60mgの投与量を、HbA1c値のベースラインが6.8%〜8%、特に6.8%〜7%のヒト患者に組み合わせの一部として投与する。これにより、後にナテグリニドの量を増やすという選択肢が提供され、この選択肢はヒト患者の処置開始後の一定期間または継続的にHbA1c値のベースラインが7%を超える場合に、または担当医が他の理由でより高用量のナテグリニドに処置計画を変更しなければならないと決定した場合に有利である。本実施態様における1つの好ましい組み合わせ相手は、メトホルミンである。
【0047】
さらに、有利な治療的効果、付加的な利点およびとりわけ驚くべき有利な効果は、とりわけbody mass index(BMI)が20〜35kg/m、特にBMIが27〜35kg/mのヒト患者において観察され、およびBMIが30〜35kg/mのヒト患者においていっそうさらに増強される。BMIが30kg/m以上のヒト患者は、臨床上、肥満と定義される。
【0048】
加えて、有利な治療的効果、付加的な利点およびとりわけ驚くべき有利な効果は、とりわけ本明細書に記載された組み合わせの成分のうちの1つによる単独療法で、不十分に制御された患者において観察される。
【0049】
さらなる利点は、本発明にしたがって組み合わせられたより低用量の個々の薬物が使用されると投与量が減少し得ることであり、例えば投与量は必ずしもしばしばより少量で済むだけでなく、またより回数が少なく適用され、また使用されると副作用(例えば貧血、浮腫、頭痛)の発生が減少し得ることである。これは処置される患者の要望および要求と一致している。
【0050】
本発明の1つの好ましい実施態様において、組み合わせは、疾患の予防または処置における同時、個別または連続的使用のためのナテグリニドおよびグリタゾン系を含む組合せ製剤である。
【0051】
特に、本発明はナテグリニドおよびグリタゾン系を含む組合せ製剤に関し、この場合、活性成分は、それぞれの場合において、疾患、とりわけ代謝障害、さらにとりわけ糖尿病および特に2型糖尿病、ならびに糖尿病関連疾患および病状の予防または処置における、同時、個別または連続的使用のための組合せ製剤として、遊離型または薬学的に許容される塩および所望により少なくとも1つの薬学的に許容される担体の形態で存在する。
【0052】
本発明の1つの好ましい実施態様において、組み合わせはナテグリニドまたはレパグリニド、およびグリタゾン系、スルホニルウレア誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの他の抗糖尿病化合物を含み、さらにインスリンを含むか、あるいは当該組み合わせはグリタゾン系、スルホニルウレア誘導体およびメトホルミン、または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される少なくとも2つの他の抗糖尿病化合物を含む。
【0053】
該他の抗糖尿病化合物がメトホルミンもしくは塩酸メトホルミン、またはグリタゾン系、とりわけロジグリタゾンもしくはトログリタゾン、または特にピオグリタゾンから選択される組み合わせも好ましい。
【0054】
好ましい抗糖尿病チアゾリジンジオン誘導体(グリタゾン系)は、式(II)
【化2】

〔式中、
Aは、
ナフチル、ベンゾキサゾリル、ジヒドロベンゾピラニル;
共に置換基が非置換またはハロゲンで置換されたフェニルまたはフェニルエチニルを表し;
は、ハロゲンまたは−XRを表し、ここでXは酸素、メチレン、カルボニルまたは−NH−であり得、

(i)ナフチル;
(ii)非置換または2,4−ジオキソ−5−チアゾリジニルで置換されたフェニル;または
(iii)それぞれ非置換または
a)インドールまたは2,3−ジヒドロインドール、
b)ピリジル、低級アルキルピリジル、N−低級アルキル−N−ピリジルアミノまたはハロゲンフェニル、
c)非置換またはヒドロキシおよび低級アルキルで置換されたジヒドロベンゾピラニル、
d)低級アルキルおよびフェニルで置換されたオキサゾリル、
e)非置換または低級アルキルで置換されたシクロアルキル、または
f)アリールシクロアルキルカルボニル;
で置換された低級アルキルまたはヒドロキシ低級アルキルであり、
は水素またはトリフルオロメチルフェニル低級アルキルカルバモイルを表し;そして
は水素またはアリールスルホニルを表す〕
で示されるものである。
【0055】
本発明の1つの非常に好ましい実施態様において、Aはナフチル、好ましくは2−ナフチルを表し;Rは、好ましくはナフチル基の6位に位置し、かつ−XRであり、ここでXは酸素であり;Rは低級アルキル、最も好ましくはハロゲンフェニル、最も好ましくは2−フルオロフェニルで置換されたメチルである。RおよびRはともに水素である。
【0056】
本発明の別の好ましい実施態様において、Aはジヒドロベンゾピラニル、好ましくは3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−2−イルを表し;Rは、好ましくはベンゾピラニル基の2位に位置し、かつ好ましくは−XRであり、ここでXは低級アルキレン、好ましくはメチレンであり;そしてRは、好ましくは非置換フェニルである。RおよびRはともに水素である。
【0057】
本発明の別の好ましい実施態様において、Aはフェニルエチニルを表し;Rは、好ましくはフェニル基の4位に位置し、かつ好ましくはハロゲン、最も好ましくは塩素であり;Rは好ましくは水素であり、Rはアリールスルホニルであり、ここで好ましくはアリールは非置換またはハロゲン、好ましくはフッ素、低級アルキル、好ましくはメチル、または低級アルコキシ、好ましくはメトキシで置換されたフェニル;またはナフチルである。最も好ましくは、Rは非置換フェニルスルホニルである。
【0058】
さらに好ましい実施態様において、グリタゾン系は式(IIa)
【化3】

〔式中、
はXRであり、ここでXは酸素であり、Rはインドールまたは2,3−ジヒドロインドール、最も好ましくは2−(インドール−1−イル)エトキシまたは2−(2,3−ジヒドロインドール−1−イル)エトキシにより置換された低級アルキルである。RおよびRはともに水素である。〕
で示される。
【0059】
本発明の別の好ましい実施態様において、グリタゾン系は式(IIa)
〔式中、
はXRであり、ここでXは酸素であり、Rはヒドロキシ低級アルキル、好ましくはフェニルおよび低級アルキル、好ましくはメチルにより置換されたオキサゾリル、好ましくは4−オキサゾリルで置換された、ヒドロキシ低級アルキル、好ましくは2−ヒドロキシエチルである。RおよびRはともに水素である。〕
で示される。
【0060】
本発明の1つの非常に好ましい実施態様において、グリタゾン系は式(IIa)
〔式中、
はXRであり、ここでXは酸素であり、Rは低級アルキル、好ましくはメチルまたはエチルおよび最も好ましくはメチルであり;Rはトリフルオロメチルフェニル低級アルキルカルバモイル、好ましくはトリフルオロメチルベンジルカルバモイルであり;Rは水素である。〕
で示される。
【0061】
本発明の別の好ましい実施態様において、グリタゾン系は式(IIa)
〔式中、
はXRであり、ここでXは−NH−であり、Rはアリールシクロアルキルカルボニルある。このましくは、Rは、フェニル残基とカルボニル残基とがシクロアルキル環の同一の炭素原子で結合しているフェニルシクロアルキルカルボニルである;最も好ましくは、Rは1−フェニル−1−シクロプロパンカルボニルである。RおよびRはともに水素である。〕
で示される。
【0062】
本発明の1つの非常に好ましい実施態様において、グリタゾン系は式(IIa)
〔式中、
はXRであり、ここでXは酸素であり、Rはピリジルまたは低級アルキルピリジルで置換された低級アルキル、好ましくはメチルまたはエチルおよび最も好ましくはメチルである。さらに好ましくは低級アルキルは、低級アルキル−2−ピリジルおよび最も好ましくはエチル−2−ピリジルによって置換されている。RはおよびRは水素である。〕
で示される。
【0063】
本発明の1つの非常に好ましい実施態様において、グリタゾン系は式(IIa)
〔式中、
はXRであり、ここでXは酸素であり、Rは、非置換または好ましくは低級アルキル、好ましくはメチルまたはエチル、およびヒドロキシによって置換されたジヒドロベンゾピラニル、好ましくは3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−2−イルで置換された低級アルキル、好ましくはメチルである。最も好ましくは、Xは酸素であり、Rは3,4−ジヒドロ−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−2H−1−ベンゾピラン−2−イルによって置換されたメチルである。RはおよびRは水素である。〕
で示される。
【0064】
本発明の別の非常に好ましい実施態様において、グリタゾン系は式(IIa)
〔式中、
はXRであり、ここでXは好ましくは酸素であり、Rは、非置換または低級アルキル、好ましくはエチルまたはメチルおよびさらに好ましくはメチルで置換されたシクロアルキル、好ましくはC〜C−シクロアルキル、さらに好ましくはシクロヘキシルによって置換された低級アルキルである。RはおよびRは水素である。〕
で示される。
【0065】
本発明の1つの非常に好ましい実施態様において、グリタゾン系は式(IIa)
〔式中、
はXRであり、ここでXは酸素であり、Rは、N−低級アルキル−N−ピリジルアミノ、好ましくはN−メチル−N−ピリジルアミノおよび最も好ましくはN−メチル−N−2−ピリジルアミノよって置換された低級アルキル、好ましくはエチルである。RはおよびRは水素である。〕
で示される。
【0066】
本発明の別の好ましい実施態様において、グリタゾン系は式(IIa)
〔式中、
はXRであり、ここでXは酸素またはカルボニルであり、Rは、低級アルキル、好ましくはメチルおよび非置換フェニルで置換されたオキサゾリルによって置換された低級アルキル、好ましくはエチルである。RはおよびRは水素である。〕
で示される。
【0067】
本発明の別の好ましい実施態様において、グリタゾン系は式(IIa)
〔式中、
はXRであり、ここでXは低級アルキレン、好ましくはメチレンであり、Rは、好ましくは4位が2,4−ジオキソ−5−チアゾリジニルによって置換されたフェニルである。RはおよびRは水素である。〕
で示される。
【0068】
本発明のさらなる好ましい実施態様において、グリタゾン系は5−(2−ナフチルスルホニル)−チアゾリジン−2,4−ジオンである。
【0069】
本発明の1つの非常に好ましい実施態様において、Aはベンゾキサゾリル、好ましくは5−ベンゾキサゾリルを表し;Rは好ましくはベンゾキサゾリルの2位に位置し、かつXRであり、ここでXは低級アルキレン、好ましくはメチレンであり、Rはナフチル、好ましくは2−ナフチルである。RおよびRはともに水素である。
【0070】
本発明のあらゆる観点に従う非常に好ましいグリタゾン系は、ロジグリタゾン、MCC555、トログリタゾンおよびとりわけピオグリタゾン、および薬学的に許容されるそれらの塩からなる群から選択される。ピオグリタゾンの場合において、本発明は特にそのモノ塩酸塩に関する。
【0071】
本発明のさらなる好ましい実施態様において、本発明のあらゆる観点に従うグリタゾン系は、T−174、KRP297および薬学的に許容されるそれらの塩からなる群から選択される。
【0072】
本発明のあらゆる観点に従う別の好ましいグリタゾン系は、エングリタゾン、ダルグリタゾン、シグリタゾン、AY−31637、5−{[4−(2−(1−インドリル)エトキシ)フェニル]メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(DRF2189)、5−{[4−(2−(2,3−ジヒドロインドール−1−イル)エトキシ)フェニル]メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン、BM−13.1246、ビス{4−[(2,4−ジオキソ−5−チアゾリジニル)メチル]フェニル}メタン(YM268)、5−{4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)−2−ヒドロキシエトキシ]ベンジル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(AD−5075)、5−[3−(4−クロロフェニル)−2−プロピニル]−5−フェニルスルホニル)チアゾリジン−2,4−ジオン、5−[3−(4−クロロフェニル)−2−プロピニル]−5−(4−フルオロフェニルスルホニル)チアゾリジン−2,4−ジオン、5−[4−(1−フェニル−1−シクロプロパンカルボニルアミノ)−ベンジル]−チアゾリジン−2,4−ジオン(DN−108)および薬学的に許容されるそれらの塩からなる群から選択される。
【0073】
本発明の非常に好ましい実施態様において、ナテグリニドはメトホルミン、塩酸メトホルミンまたはそれらの混合物と組み合わせて投与される。ナテグリニドとメトホルミン、塩酸メトホルミンまたはそれらの混合物を、異なる時点で(例えば朝食、昼食および夕食前にナテグリニド、および朝食、昼食および夕食後にメトホルミンもしくは塩酸メトホルミンまたはそれらの混合物)、または同時に投与し得る。好ましくは、ナテグリニドおよびメトホルミン、塩酸メトホルミンまたはそれらの混合物は同時に投与される。非常に好ましくは、ナテグリニドおよびメトホルミン、塩酸メトホルミンまたはそれらの混合物は、朝食、昼食および夕食前に1日3回投与される。ナテグリニドおよびメトホルミン、塩酸メトホルミンまたはそれらの混合物を一緒に、固定された組み合わせで投与することも非常に好ましい。
【0074】
ともに代謝障害、特に2型糖尿病または糖尿病関連疾患または病状に治療上有効な量の(i)ナテグリニドもしくはレパグリニドまたはそれぞれの場合において薬学的に許容されるその塩ならびに(ii)およびグリタゾン系、スルホニルウレア誘導体およびメトホルミンまたは薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される少なくとも1つの他の抗糖尿病化合物および少なくとも1つの薬学的に許容される担体、を含む医薬組成物を提供することが、本発明の1つの目的である。
【0075】
本組成物において、成分(i)および(ii)は、一緒に、一方の後に他方を、または1つの複合単位投与形態もしくは2つの別々の単位投与形態で別々に投与され得る。好ましくは、単位投与形態は固定された組み合わせである。好ましくは、ナテグリニドを含む本発明の医薬組成物は、ナテグリニドのB型またはH型、さらに好ましくはH型の結晶変態を含む。
【0076】
特に、本発明は治療上有効量のナテグリニドまたは薬学的に許容されるその塩、グリタゾン系または薬学的に許容されるその塩、および少なくとも1つの薬学的に許容される担体をともに含む医薬組成物に関する。
【0077】
さらに、本発明は、それぞれナテグリニドおよびグリタゾン系を含む組合せ製剤または医薬組成物に関するものであり、該組合せ製剤または医薬組成物は、それぞれ、例えばスルホニルウレア誘導体、薬学的に許容されるその塩、メトホルミンおよびインスリンからなる群から選択されるさらなる薬学的に活性な少なくとも1つの化合物を含むか;または該組合せ製剤または医薬組成物は、それぞれ、さらなる少なくとも1つのグリタゾン系または薬学的に許容されるその塩を含む。
【0078】
本発明のさらなる観点は、代謝障害、特に2型糖尿病または糖尿病関連疾患もしくは病状の予防、進行の遅延または処置のための医薬品の製造のための、ナテグリニドまたはレパグリニド、およびグリタゾン系、スルホニルウレア誘導体およびメトホルミンからなる群から選択される少なくとも1つの他の抗糖尿病化合物、それぞれの場合、遊離型または薬学的に許容される塩の形態で含まれる医薬組成物の使用である。特に、本発明のこのさらなる観点は、疾患、とりわけ代謝障害、さらにとりわけ糖尿病、特に2型糖尿病、および糖尿病関連疾患もしくは病状の予防または処置に関する医薬品の製造のための、ナテグリニドおよびグリタゾン系、それぞれの場合、遊離型または薬学的に許容される塩の形態で含まれる医薬組成物の使用に関する。
【0079】
さらに、高血糖症、高インスリン血症、高脂血症、インスリン抵抗性、グルコース代謝の減少、肥満、糖尿病網膜症、黄斑変性症、白内障、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、糖尿病性神経症、勃起機能障害、月経前症候群、血管性再狭窄および潰瘍性大腸炎、冠動脈心疾患、高血圧、狭心症、心筋梗塞、卒中、皮膚および結合組織障害、下腿潰瘍、代謝性アシドーシス、関節炎、骨粗鬆症および特にグルコース耐性の減少状態およびとりわけ2型糖尿病の予防、進行の遅延または処置のための、ナテグリニドまたはレパグリニド、およびグリタゾン系、スルホニルウレア誘導体およびメトホルミンからなる群から選択される少なくとも1つの他の抗糖尿病化合物、それぞれの場合、遊離型または薬学的に許容される塩の形態で含まれる医薬組成物に関する。
【0080】
本発明のさらなる観点は、2型糖尿病の特徴を有する疾患に罹患しているまたはリスクのある哺乳動物に投与するための、経口投与形態および医薬製剤(組成物)である。本発明の処置にしたがった2型糖尿病の症状の、あらゆる統計学的に有意な減少が本発明の範囲内であることが理解されるであろう。
【0081】
本発明にしたがった各経口製剤(組成物)は、当分野において周知の、薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、可溶化剤または乳化剤および塩を含む不活性な成分を更に含み得る。例えば、複合療法に使用される錠剤は、当分野において周知の固体担体を使用する通常の手順にしたがって製剤化され得る。本発明の複合療法に使用されるカプセルは、ゼラチンまたはセルロース誘導体のような任意の薬学的に許容される材料から製造され得る。
【0082】
本明細書で使用する「複合療法」なる用語は、ナテグリニドまたはレパグリニド、およびグリタゾン系、スルホニルウレア誘導体およびメトホルミンからなる群から選択される少なくとも1つの他の抗糖尿病化合物を含む組み合わせを、本明細書に記載した1つの疾患、とりわけ代謝障害の処置、進行の遅延または予防に使用することを意味する。
【0083】
固体担体の例は、ベントナイト、シリカおよび他の一般に使用される担体を含む。本発明の複合療法製剤において使用され得るさらなる担体および希釈剤の非限定的例は、食塩水およびリン酸緩衝性食塩水(PBS)のような生理学的緩衝性食塩溶液および水を含む。
【0084】
各投与形態の個々の投与量中に含まれる活性成分(複数を含む)の単位用量は、必要とされる有効量が多数の投与単位の投与によって達成され得るので、それ自身有効量を構成する必要がないことが分かるであろう。
【0085】
本発明の投与形態の好ましい投与経路は、経口または経腸である。好ましい経口または経腸の医薬製剤または単位形態は、例えば約1mg〜約1000mgのナテグリニドを含み得る。
【0086】
本発明の別の好ましい実施態様において、本発明の複合療法のための医薬製剤または単位形態は、また、エアロゾルの形態で、2型糖尿病の特徴を有する疾患を患う哺乳動物に投与され得る。より低用量の抗糖尿病薬、またはその疾患抑制フラグメントまたは類似物質は、他のアレルギー疾患状態の処置において発見されているように、2型糖尿病を処置または予防するためにエアロゾル投与を使用することを要求されることが予想される。エアロゾル形態で投与され得る抗糖尿病薬またはその類似物質の量は、1日に哺乳動物の体重1kgにつき約0.1mg〜10mgであろう、そして単一投与形態または複合投与形態で投与され得る。投与される正確な量は、患者の疾患の状態および重症度、ならびに患者の身体的状態によって変動する。
【0087】
本発明の複合療法における使用のためのエアロゾル医薬製剤は、必要に応じて加えられる成分として、当分野において周知のタイプの、薬学的に許容される担体、希釈剤、可溶化剤または乳化剤、および塩を含み得る。このような物質の例は、生理食塩水溶液、例えば生理学的緩衝性食塩水、および水を含む。
【0088】
本発明のこの別の実施態様に従う抗糖尿病薬またはその疾患抑制フラグメントまたは類似物質の投与経路は、エアロゾルまたは吸入の形態である。抗糖尿病薬および本発明の関連化合物は、乾燥粉末または水性溶液で投与され得る。好ましい医薬製剤は、例えば約1mg〜約1000mgの抗糖尿病薬、その疾患抑制フラグメントまたは類似物質を含む生理学的に許容される緩衝性食塩水溶液を含み得る。
【0089】
液体に溶解または懸濁しない抗糖尿病薬またはその疾患抑制フラグメントまたは類似物質の細かく分割した粉末粒子の形態のドライエアロゾルは、また、本発明の実施において有用である。抗糖尿病薬は粉剤の形態であり得、約1〜5ミクロン、好ましくは2〜3ミクロンの平均粒子径を有する細かく分割された粒子(finely divided particle)を含み得る。細かく分割された粒子は、当分野において周知の技術を用いる粉砕および分級によって製造され得る。粒子は、粉末の形態であり得る、予め決められた量の細かく分割された物質を吸入することにより投与され得る。
【0090】
本発明の複合療法のために使用されるエアロゾル医薬製剤において有用な担体および/または希釈剤の特定の非限定的例は、水およびリン酸緩衝性食塩水pH7.0−8.0のような生理学的に許容される緩衝性食塩水を含む。
【0091】
本発明の医薬製剤は、例えばU.S. Pat. Nos. 4,624,251(1986年11月25日発行); 3,703,173(1972年11月21日発行); 3,561,444(1971年2月9日発行)および4,635,627(1971年1月13日発行)に記載されたようなネブライザーを用いてエアロゾルスプレーの形態で投与され得る。
【0092】
エアロゾル送達法の他のシステム、例えばNewman, S. P. in Aerosols and the Lung, Clarke, S. W. and Davia, D. eds. pp. 197-224, Butterworths, London, England, 1984に記載のような加圧式定量噴霧吸入器(MDI)および乾燥粉末吸入器は、本発明を実施する際に使用され得る。
【0093】
本明細書に記載された種類のエアロゾル送達システムは、Fisons Corporation (Bedford, Mass.)、Schering Corp. (Kenilworth, N.J.)およびAmerican Pharmoseal Co., (Valencia, Calif.)を含む多数の業者から入手可能である。
【0094】
実際的な使用において、抗糖尿病薬またはその組み合わせは、通常の医薬混合技術に従って、活性成分として、医薬担体と完全に混合されるように組み合わされ得る。担体は、投与、例えば経口的または非経腸的(経静脈的を含む)に望ましい製剤の形態に依存して広範な多様性を取り得る。経口投与形態のための組成物の製造において、任意の通常の医薬媒体を使用することができ、その例として経口液体製剤(例えば、懸濁剤、エリキシル剤および溶液剤)の場合には、水、グリコール類、油状物類、アルコール類、香味剤(flavoring agent)、保存料、着色料など、固体経口製剤(例えば粉剤、カプセル剤および錠剤)の場合には、澱粉、糖類、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤(granulating agent)、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などのような担体を挙げることができ、液体製剤よりも固体経口製剤のほうが好ましい。それらの投与の容易さのため、錠剤およびカプセル剤は最も有利な経口投与単位形態であって、そこでは明らかに固体医薬担体が使用される。所望により、錠剤は標準的水性または非水性技術により被覆される。
【0095】
上述の通常の投与形態に加えて、抗糖尿病薬またはその組み合わせは、また、U.S. Pat. Nos. 3,845,770; 3,916,899; 3,536,809; 3,598,123; 3,630,200 および 4,008,719に記載されたような放出制御法および/または送達装置により投与され得、その記載を引用することにより本明細書に含める。
【0096】
経口投与に適した複合療法のために使用される本発明の医薬組成物は、粉剤または顆粒剤または溶液または水性液体、非水性液体の懸濁剤、水中油型エマルジョンまたは油中水型液体エマルジョンとして、それぞれ予め決められた量の活性成分を含むカプセル剤、カシェ剤または錠剤のような別個のユニットで与えられ得る。このような組成物は、任意の薬学的方法であるが活性成分と1以上の必要な成分を含む担体とを結びつける段階を含むすべての方法により製造され得る。一般に、組成物は活性成分を液体担体または細かく分割した固体担体またはその両方と均等にかつ完全に混合し、次いで、所望により、生成物を所望の体裁に形作ることにより製造される。例えば錠剤は、所望により1以上の補助的な成分との圧縮または成形により製造される。圧縮錠剤は、適当な機械で、所望により結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、界面活性剤または分散剤と混合した粉剤または顆粒剤のような流動性のある形態の活性成分を圧縮することにより製造される。成形錠剤(molded tablet)は、適当な機械で、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を成形することにより製造される。
【0097】
本発明の化合物の組み合わせは、糖尿病の処置において有用である。これらの目的のため、本発明の組み合わせは、通常の非毒性の薬学的に許容される担体、アジュバントおよび賦形剤を含む投与単位製剤で、吸入スプレーにより経口的、非経腸的に(皮下注射、静脈、筋肉内、胸骨内注射または点滴注入技術を含む)、または経直腸的に投与され得る。これらは固定された複合投与形態でまたは別々に投与され得る。
【0098】
したがって、本発明の複合療法に従い、さらに、肥満および糖尿病の処置方法およびそれらを処置するための医薬組成物が提供される。処置は、このような処置を必要とする患者に、薬学的に許容される担体および本発明の組み合わせにおける治療上有効量の各化合物を含む医薬組成物を投与することを含む。
【0099】
これらの医薬組成物は、経口投与可能な懸濁剤または錠剤;スプレー式点鼻薬;滅菌注入可能な製剤、例えば滅菌注入可能な水性または油性懸濁剤または坐剤の形態であり得る。
【0100】
本発明の方法に従い、組み合わせの個々の成分は、治療クールの間の異なった時間に別々に、または分割されたもしくは単一の組み合わせの形態で同時に投与され得る。例えば、ナテグリニドまたはレパグリニドおよび/または本明細書で定義のグリタゾン系またはメトホルミンの、例えば2成分の組み合わせにおいて、ナテグリニドまたはレパグリニドでの処置を、グリタゾン系および/またはメトホルミンでの処置の開始前に、開始後に、または開始と同時に開始することができる。さらに、「投与」なる語は選択的抗糖尿病薬にin vivoで変換される任意の抗糖尿病薬プロドラッグの使用を含む。従って、本発明は、このような同時の様式または別の処置のすべてを含むものとして理解されるべきであり、「投与」なる語はそのように解釈されるべきである。
【0101】
任意の活性成分が、懸濁剤として経口的に、複合療法において投与された場合に、これらの組成物は医薬製剤の分野において周知の技術にしたがって製造され、増量のための微結晶セルロース、懸濁化剤としてのアルギン酸またはアルギン酸ナトリウム、増粘剤としてのメチルセルロース、および当分野において既知の甘味剤/香味剤を含み得る。さらに、これらの組成物は、リン酸二カルシウム、澱粉、ステアリン酸マグネシウムおよびラクトースおよび/または当分野において既知の他の賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、希釈剤および滑沢剤を含み得る。
【0102】
エアロゾル点鼻剤または吸入剤で投与される場合、これらの組成物は医薬製剤の分野において周知の技術にしたがって製造され、ベンジルアルコールまたは他の適当な保存剤、バイオアベイラビリティーを高めるための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または当分野において既知の可溶化剤または分散剤を用いて、食塩水中の溶液として製造される。
【0103】
組み合わせに利用される化合物は、また、経静脈(ボラスまたは点滴の両方)、腹膜内、皮下、閉塞もしくは無閉塞下、または筋肉内の形態で、医薬の分野において通常の知識を有する者に周知の形態をすべて使用して投与され得る。注射により投与される場合、注射可能な溶液または懸濁液は、既知の方法にしたがって、マンニトール、1,3−ブタンジオール、水、リンゲル液または等張食塩水のような適当な非毒性の、非経腸的に許容される希釈剤または溶媒、または合成モノ−またはジグリセリドを含む滅菌、低刺激性固定油およびオレイン酸を含む脂肪酸のような適当な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて製剤化され得る。
【0104】
坐剤の形態で直腸的に投与される場合、通常の温度では固体であるが直腸では液体化および/または溶解して薬物を放出する、ココアバター、合成グリセリドエステル類またはポリエチレングリコール類のような適当な非刺激性賦形剤と薬物を混合することにより製造され得る。
【0105】
本発明の組み合わせの活性成分は、例えば不活性の希釈剤とともに、または同化可能な食用に適する担体とともに、医薬組成物として投与され得、またはそれらは硬もしくは軟カプセル中に封入され得、またはそれらは錠剤に圧縮され得、またはそれらは食物中に直接組み込まれ得る。舌下投与を含む経口治療的投与のために、これらの活性化合物は、添加剤とともに組み込まれ得、錠剤、ピル、カプセル、アンプル、サシェット、エリキシル、懸濁液、シロップなどの形態で使用される。このような組成物および製剤は少なくとも0.1パーセントの活性成分を含むべきである。これらの組成物における活性成分の割合は、もちろん、変動し得、簡便にはユニットの重量の約2%〜約60%であり得る。このような治療上有用な組成物中の活性成分の量は、有効な投与量となる量である。活性化合物は、また、例えば液滴またはスプレーのように経鼻的に投与され得る。
【0106】
複合療法で使用される各活性成分の有効投与量は、使用される特定の化合物、投与様式、処置される病状および処置される病状の重症度に依存して変化する。したがって、本発明の化合物を使用する投与様式は、患者のタイプ、人種、年齢、体重、性別および医学的な病状;処置される病状の重症度;投与経路;患者の腎および肝機能;および使用される特定のその化合物を含む多様な要因にしたがって選択される。通常の知識を有する医師、臨床医または獣医は、容易に、病状の進行を予防、抑制または阻止するのに必要な薬物の有効量を決定でき、処方できる。毒性がなく効力を生ずる範囲内の薬物の濃度を得るための正確な最適化には、標的部位に対する薬物アベイラビリティーの速度論に基づいた様式が必要とされる。これには薬物の分配、平衡、および排泄を考慮することが必要とされる。
【0107】
本発明の組成物中のナテグリニドまたはレパグリニドの量は、もちろん、例えば意図された投与経路および前記の他の成分がどの程度存在するかに依存して変動する。しかしながら、一般に、ナテグリニドまたはレパグリニドは、組成物の総重量に基づいた重量の0.05、とりわけ約0.1%〜約35%の範囲内の量で存在する。
【0108】
ナテグリニドまたはレパグリニドは、組成物の総重量に基づいた重量の約0.5%〜約90%の量で、本発明の組成物中に適当に存在する。付加的な成分メトホルミンを含む本発明に従う組成物の場合には、これは一般に、組成物の総重量に基づいた重量の約1%〜約90%、さらに一般的には5または10〜約70%の量で存在する。付加的な成分チアゾリジノン誘導体を含む本発明に従う組成物の場合には、これは一般に、組成物の総重量に基づいた重量の約2%〜約50%の量で存在する。
【0109】
錠剤、ピル、カプセルなどは、また、トラガカントゴム、アラビアゴム、とうもろこし澱粉またはゼラチンのような結合剤;リン酸二カルシウムのような賦形剤;とうもろこし澱粉、ジャガイモ澱粉、アルギン酸のような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤;およびスクロース、ラクトースまたはサッカリンのような甘味剤を含み得る。投与単位形態がカプセルである場合には、上述の物質に加えて、脂肪油のような液体担体を含み得る。
【0110】
さまざまな他の物質が、コーティング剤としてまたは投薬ユニットの物質的形態を修飾するために存在し得る。例えば、錠剤はセラック、砂糖またはその両方で被覆され得る。シロップ剤またはエリキシル剤は、活性成分に加えて、甘味剤としてスクロース、保存剤としてメチルおよびプロピルパラベン、色素およびチェリーまたはオレンジフレーバーのような香味剤を含み得る。
【0111】
これらの活性化合物は、また、本発明の複合療法のために非経腸的に投与され得る。これらの活性化合物の溶液または懸濁液は、ヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と混合して水中で適当に製造され得る。分散剤は、また、グリセロール、液体ポリエチレングリコール類およびそれらの油中混合物中で製造され得る。貯蔵および使用の通常の条件下では、これらの製剤は微生物の増殖を防ぐために保存剤を含む。
【0112】
とりわけ、本発明は薬学的担体中のナテグリニドおよびメトホルミンを含む複合療法のための、好ましくは錠剤、カプセル剤、懸濁剤または液体の形態の医薬組成物に関する。このような医薬組成物は、投薬ユニットあたり最も好ましくは約100mg〜約130mgのナテグリニドおよび約320mg〜約1500mg、さらに好ましくは330mg〜350mgのメトホルミンを含む。
【0113】
注射可能な使用に適した医薬的形態は、滅菌水性溶液または分散剤および滅菌注射可能な溶液または分散剤の用時調製のための滅菌粉末を含む。すべての場合において、その形態は滅菌でなければならず、注射筒操作が容易な程度の流動性を有さなければならない。それは製造および貯蔵条件下で安定でなければならず、細菌および真菌のような微生物の汚染性影響から保護されなければならない。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、ポリプロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、これらの適当な混合物および植物油を含む溶媒または分散媒体であり得る。
【0114】
本発明に記載された抗糖尿病薬の組み合わせが製剤化される場合、本発明の組成物における成分の相対比率は、もちろん、組成物の特定の種類に依存して、例えばそれが錠剤、トローチ、エマルジョンまたはマイクロエマルジョンのような液体、または懸濁剤などであるかに依存してかなり変動する。相対比率は、また、使用される特定の成分および生成物である組成物の所望の物質的特徴に依存して変動する。任意の特定の例における使用し得る比率の決定は、当業者の能力の範囲内である。したがって、後述のすべての示された比率および相対的重量の範囲は、好適なものの表示またはそれぞれの技術的教示としてのみ理解されるべきであって、最も広い観点において発明を限定するものではない。
【0115】
下記の方法の議論において、式Iの化合物の引用は、また、薬学的に許容される塩を含むことを意味すると理解される。
【0116】
本発明のさらなる観点は、代謝障害、特に2型糖尿病ならびに糖尿病関連疾患および病状を有する温血動物、とりわけヒトの処置方法であり、該方法は、代謝障害に対してともに治療上有効量の、ナテグリニドまたはレパグリニド、およびグリタゾン系、スルホニルウレア誘導体およびメトホルミンからなる群から選択される少なくとも1つの他の抗糖尿病化合物の組み合わせ(両方の化合物は薬学的に許容されるその塩の形態でも存在し得る)をその動物に投与することを含む。好ましくは、このような処置方法は、同一の投与単位形態に含まれるナテグリニド、およびグリタゾン系、スルホニルウレア誘導体およびメトホルミンからなる群から選択される少なくとも1つの他の抗糖尿病化合物で行われる。組み合わせは、好ましくは同時に投与される。
【0117】
特に、本発明は、処置を必要とする温血動物に、ともに治療上有効量の遊離または薬学的に許容される塩の形態のナテグリニド、および遊離または薬学的に許容される塩の形態のグリタゾン系を、同時にまたは任意の順序で連続的に、別々にまたは固定された組み合わせで投与することを含む、糖尿病あるいは糖尿病関連疾患または病状の処置方法に関する。好ましくは、本方法においてナテグリニドおよびグリタゾン系は組合せ製剤として提供される。1つの好ましい実施態様において、この方法は、さらにスルホニルウレア誘導体、薬学的に許容されるその塩、メトホルミンおよびインスリン;または少なくとも1つのグリタゾン系、または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される、治療上有効量の少なくとも1つのさらなる薬学的に活性な化合物の投与を含む。好ましくは、本方法においてグリタゾン系は、式(II)
〔式中、
Aは、ナフチル、ベンゾキサゾリル、ジヒドロベンゾピラニル、インドール、フェニル(所望によりハロゲンにより置換されていてもよい)またはフェニルエチニル(所望によりハロゲンにより置換されていてもよい)を表し;
は、ハロゲンまたは−XRを表し、ここでXは酸素、低級アルキレン、カルボニルまたは−NH−であり得、Rはナフチル;非置換または2,4−ジオキソ−5−チアゾリジニルで置換されたフェニル;またはそれぞれ非置換または
a)インドールまたは2,3−ジヒドロインドール、
b)ピリジル、低級アルキルピリジル、N−低級アルキル−N−ピリジルアミノまたはハロゲンフェニル、
c)非置換またはヒドロキシおよび低級アルキルで置換されたジヒドロベンゾピラニル、
d)低級アルキルおよびフェニルで置換されたオキサゾリル、
e)非置換または低級アルキルで置換されたシクロアルキル、または
f)アリールシクロアルキルカルボニル;
で置換された低級アルキルまたはヒドロキシ低級アルキルであり、
は水素またはトリフルオロメチルフェニル低級アルキルカルバモイルを表し;そして
は水素またはアリールスルホニルを表す〕
の化合物である。本方法の第1のより好ましい実施態様において、グリタゾン系は、エングリタゾン、ダルグリタゾン、シグリタゾン、DRF2189、BM−13.1246、AY−31637、YM268、AD−5075、DN−108、5−{[4−(2−(2,3−ジヒドロインドール−1−イル)エトキシ)フェニル]メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン、5−[3−(4−クロロ−フェニル)−2−プロピニル]−5−フェニルスルホニル)チアゾリジン−2,4−ジオン、および5−[3−(4−クロロフェニル)−2−プロピニル]−5−(4−フルオロフェニルスルホニル)チアゾリジン−2,4−ジオンまたは薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される。本方法の第2のより好ましい実施態様において、グリタゾン系は、ロジグリタゾン、ピオグリタゾン、トログリタゾン、およびMCC555または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される。本方法の第3のより好ましい実施態様において、グリタゾン系は、T−174およびKRP297または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される。
【0118】
とりわけ、本発明は、処置を必要とする温血動物に、ともに治療上有効量の遊離または薬学的に許容される塩の形態のナテグリニド、および遊離または薬学的に許容される塩の形態のグリタゾン系を、同時にまたは任意の順序で連続的に、別々にまたは固定された組み合わせで投与することを含む、糖尿病あるいは糖尿病関連疾患または病状の処置方法に関し、該方法はさらに、スルホニルウレア誘導体、薬学的に許容されるその塩、メトホルミンおよびインスリン;または少なくとも1つのグリタゾン系または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される薬学的に活性な化合物の治療上有効量を投与することを含む。本発明のこの特定の実施態様は、とりわけ、食後高血糖を処置するのに十分な量の、有効量の少なくとも1つの短時間作用型血糖降下剤と少なくとも1つの他の長時間作用型血糖降下剤の組み合わせを用いることにより、2型糖尿病患者を処置する方法に関する。好ましくは、短時間作用型血糖降下剤はナテグリニドである。また好ましくは、長時間作用型血糖降下剤はメトホルミンである。別の好ましい実施態様において、長時間作用型血糖降下剤はグリタゾン、最も好ましくは5−(2−ナフチルスルホニル)−チアゾリジン−2,4−ジオン;ロジグリタゾン、ピオグリタゾン、トログリタゾン、MCC555;T−174;KRP297;エングリタゾン、ダルグリタゾン、シグリタゾン、AY−31637、5−{[4−(2−(1−インドリル)エトキシ)フェニル]メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(DRF2189)、5−{[4−(2−(2,3−ジヒドロインドール−1−イル)エトキシ)フェニル]メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン、BM−13.1246、ビス{4−[(2,4−ジオキソ−5−チアゾリジニル)メチル]フェニル}メタン(YM268)、5−{4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)−2−ヒドロキシエトキシ]ベンジル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(AD−5075)、5−[3−(4−クロロフェニル)−2−プロピニル]−5−フェニルスルホニル)チアゾリジン−2,4−ジオン、5−[3−(4−クロロフェニル)−2−プロピニル]−5−(4−フルオロフェニルスルホニル)チアゾリジン−2,4−ジオン;または5−[4−(1−フェニル−1−シクロプロパンカルボニルアミノ)−ベンジル]−チアゾリジン−2,4−ジオン(DN−108);または薬学的に許容されるその塩である。本実施態様において、短時間作用型血糖降下剤および長時間作用型血糖降下剤は同一の投薬ユニットに含まれる。
【0119】
本発明は、また、疾患の予防、進行の遅延または処置における使用のための本明細書に記載の組み合わせ、代謝障害の予防、進行の遅延または処置のための医薬の製造のためのこのような組み合わせの使用、美容面で有益な体重の減少をもたらすための哺乳動物の美容的処置のためのこのような組み合わせの使用に関する。
【0120】
ナテグリニドもしくはレパグリニドまたは薬学的に許容されるその塩とグリタゾン系、スルホニルウレア誘導体またはメトホルミンまたはそれぞれの場合において薬学的に許容されるその塩の1日投与量の比は、とりわけ選択される化合物の性質にしたがって広範な範囲で変動し得る。成分の相乗効果を得るために、好ましくはナテグリニドまたは薬学的に許容されるその塩とグリタゾン系との比は、12000:1から1:2800の間、さらに好ましくは500:1から1:100の間、例えば1.5:1、およびロジグリタゾンの場合には400:1から2:1の間;およびピオグリタゾンの場合には50:1から1:3の間である。ナテグリニドとロジグリタゾンの比は、好ましくは50:1から20:1の間、例えば22.5:1または45:1である。ナテグリニドとピオグリタゾンの比は、好ましくは30:1から3:1の間、例えば24:1、12:1または8:1である。
本発明の1つの好ましい実施態様において、ナテグリニドとメトホルミンの1日投与量の比は、1:3.5から1:40の間、好ましくは1:4から1:7.1の間であり、非常に好ましくは1:4.1から1:4.5の間、例えば1:4.2である。本発明のさらなる好ましい実施態様において、ナテグリニドとメトホルミンの1日投与量の比は、1:2から1:3の間である。
【0121】
本発明の1つの好ましい実施態様において、ナテグリニドと塩酸メトホルミンの1日投与量の比は、1:1.25から1:9の間、さらに好ましくは1:2.5から1:5の間、例えば1:4.2である。本発明のさらなる好ましい実施態様において、ナテグリニドと塩酸メトホルミンの1日投与量の比は、4:1から1:1の間、さらに好ましくは2.5:1から1.5:1の間、例えば2:1である。本発明の別の好ましい実施態様において、ナテグリニドと塩酸メトホルミンの1日投与量の比は、25:1から4.5:1の間、さらに好ましくは20:1から8:1の間、特に18:1、16:1、14:1、10:1およびとりわけ12:1である。
【0122】
本発明の組み合わせの治療上有効量の各成分が、同時または任意の順序で連続的に投与され得る。
【0123】
対応する活性成分または薬学的に許容されるその塩は、また、水和物の形態で使用され得るかまたは結晶化に使用される他の溶媒を含み得る。
【0124】
特に、本発明の組み合わせの治療上有効量の各成分は、同時または任意の順序で連続的に投与され得、成分は別々にまたは固定された組み合わせで投与され得る。例えば、本発明の処置方法は、ともに治療上有効量の、好ましくは相乗効果の量の、例えば本明細書に記載された比率に対応する1日投与量の、同時または任意の順序で連続的に(i)遊離のまたは薬学的に許容される塩の形態のナテグリニドの投与および(ii)遊離のまたは薬学的に許容される塩の形態のグリタゾン系の投与を含み得る。
【0125】
特記しない限り、本発明に従う医薬組成物は、それ自体既知の方法で製造され得、単独または1以上の、とりわけ経腸または非経腸適用に適した薬学的に許容される担体と組み合わせた、治療上有効量の薬理学的に活性な化合物を含む、ヒトを含む哺乳動物(温血動物)に経腸的、例えば経口または経直腸的に、および非経腸的投与に適したものである。
【0126】
特記しない限り、新規医薬製剤は、例えば、約10%〜約100%、好ましくは80%、好ましくは約20%〜約60%の活性成分を含む。経腸または非経腸的投与に使用され得る複合療法のための医薬製剤は、例えば、糖衣錠、錠剤、カプセル剤または坐剤、およびさらにアンプル剤のような、単位投与形態のものである。特記しない限り、これらはそれ自体既知の方法、例えば通常の混合、造粒、シュガーコーティング、溶解または凍結乾燥プロセスにより製造される。したがって、経口的使用のための医薬製剤は、活性成分を固体担体と組み合わせ、所望により得られる混合物を造粒し、および混合物または顆粒を加工し、所望または必要であれば、適当な賦形剤を添加すると錠剤または糖衣錠の核を得ることにより得られる。
【0127】
本明細書に記載された組み合わせの任意の各成分の投与様式は、最適な治療応答を提供するように調整され得る。後述の薬学的活性化合物の正確な量、特定の投与レベルおよび任意の特定の患者のための投与頻度は、温血動物の種、体重、性別、食事および年齢、処置される病状の性質および重症度、投与様式および使用される特定の組み合わせを含む、当業者に既知の要因に依存して変動し得る。特に、ナテグリニドおよび使用される式(II)の抗糖尿病チアゾリジンジオン誘導体の組み合わせの投与範囲は、温血動物の種、体重および年齢、処置される病状の性質および重症度、投与様式および使用される特定の物質を含む、当業者に既知の要因に依存する。本明細書中で特記しない限り、ナテグリニドおよび式(II)のグリタゾン系は、好ましくは1日1〜4回に分割して投与され、好ましくは組み合わせはともに、各食事ごと、好ましくは各食事前に投与される。
【0128】
ナテグリニドは、好ましくは温血動物に、約5〜1200、さらに好ましくは10〜1000および最も好ましくは25〜800mg/日の範囲の投与量で投与され、とりわけ温血動物が体重約70kgのヒトである場合にはそうである。本発明の1つの好ましい実施態様において、60mgまたは120mgのナテグリニド(I)は1日3回適用される。レパグリニドは、好ましくは食事ごとに0.01〜8mg、さらに好ましくは食事ごとに約0.2〜5mg、最も好ましくは食事ごとに0.5〜4mgの投与量で投与される。
【0129】
温血動物がヒトである場合には、MCC555の投与量は、成人患者あたり、好ましくは約0.1〜2000、さらに好ましくは約0.25〜500、および最も好ましくは0.5〜100mg/日の範囲である。温血動物がヒトである場合には、エングリタゾンまたはダルグリタゾンの投与量は、好ましくは約0.05〜50、さらに好ましくは約0.05〜5mg/kg(体重)/日の範囲である。温血動物がヒトである場合には、AY−31637の投与量は、好ましくは約0.5〜200、さらに好ましくは約2.5〜100mg/kg(体重)/日の範囲である。温血動物がヒトである場合には、シグリタゾンの投与量は、好ましくは約0.25〜200、さらに好ましくは約0.5〜50mg/kg(体重)/日の範囲である。DN−108の投与量は、好ましくは約0.25〜200、さらに好ましくは約5〜100mg/kg(温血動物の体重)/日の範囲である。抗糖尿病チアゾリジンジオン誘導体がT−174、KRP297、AD−5075、5−[3−(4−クロロフェニル)−2−プロピニル]−5−フェニルスルホニル)チアゾリジン−2,4−ジオンまたは5−[3−(4−クロロフェニル)−2−プロピニル]−5−(4−フルオロ−フェニルスルホニル)チアゾリジン−2,4−ジオンである場合には、該化合物の投与量は、好ましくは約0.1〜2500、さらに好ましくは約0.5〜2000、および最も好ましくは約1〜1000mg/日の範囲である。抗糖尿病チアゾリジンジオン誘導体がロジグリタゾンである場合には、該化合物の投与量は、体重約70kgのヒトである温血動物の場合には、成人患者あたり好ましくは約0.1〜500、さらにより通常には約0.5〜100、および最も好ましくは約1〜20、例えば1、2、4または8mg/日の範囲である。温血動物が体重約70kgのヒトである場合には、ピオグリタゾンの投与量は、成人患者あたり好ましくは約0.1〜1000、さらにより通常には約1〜500、および最も好ましくは約10〜150、例えば15、30、45または90mg/日の範囲である。
【0130】
1つの好ましい実施態様において、活性成分はメトホルミンであり、温血動物は体重約70kgのヒトであり、そして該化合物の投与量は、成人患者あたり好ましくは約750〜2000、および最も好ましくは約1000〜1500mg/日の範囲である。本発明の1つの好ましい実施態様において、180mgのナテグリニドおよび750mgのメトホルミンが体重約70kgのヒト患者に1日投与量として投与される。本発明のさらに好ましい実施態様において、活性成分メトホルミンは、塩酸メトホルミンの形態で、体重約70kgの温血動物に1500〜3000の間、とりわけ1500、1700または2550mg/日の投与量で適用されるべきである。別の好ましい実施態様において、活性成分メトホルミンは、塩酸メトホルミンの形態で、体重約70kgの温血動物に700〜1250の間、とりわけ750〜1100の間、例えば1000mg/日の投与量で適用されるべきである。
【0131】
スルホニルウレア誘導体グリブリドが活性成分として選択され、温血動物が体重約70kgのヒトである場合、該化合物の投与量は、好ましくは約0.5〜20、さらに好ましくは約1.75〜15、例えば3.5、7.0または10.5mg/日の範囲である。スルホニルウレア誘導体トルブタミドが活性成分として選択され、温血動物が体重約70kgのヒトである場合、該化合物の投与量は、好ましくは約100〜3500、さらに好ましくは約250〜3000、例えば500、1000、1500、2000、2500mg/日の範囲である。スルホニルウレア誘導体グリメピリドが活性成分として選択され、温血動物が体重約70kgのヒトである場合、該化合物の投与量は、好ましくは約0.25〜12、さらに好ましくは約0.5〜10、および最も好ましくは1〜3mg/日の範囲である。スルホニルウレア誘導体グリクラジドが活性成分として選択され、温血動物が体重約70kgのヒトである場合、該化合物の投与量は、好ましくは約5〜500、さらに好ましくは約15〜300、および最も好ましくは40〜120mg/日の範囲である。スルホニルウレア誘導体グリボヌリドが活性成分として選択され、温血動物が体重約70kgのヒトである場合、該化合物の投与量は、好ましくは約5〜250、さらに好ましくは約12.5〜75、および最も好ましくは12.5〜50mg/日の範囲である。スルホニルウレア誘導体グリキドンが活性成分として選択され、温血動物が体重約70kgのヒトである場合、該化合物の投与量は、好ましくは約5〜500、さらに好ましくは約30〜120、および最も好ましくは30〜45mg/日の範囲である。
【0132】
メトホルミン(ジメチルビグアナイド)およびその塩酸塩の製造は、現在の技術水準であり、最初にEmil A. Werner and James Bell, J. Chem. Soc. 121, 1922, 1790-1794により開示された。DRF2189および5−{[4−(2−(2,3−ジヒドロインドール−1−イル)エトキシ)フェニル]メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオンの製造は、B.B.Lohray et al., J. Med. Chem. 1998, 41, 1619-1630;1627および1628頁の実施例2dおよび3gに記載されている。5−[3−(4−クロロフェニル)−2−プロピニル]−5−フェニルスルホニル)−チアゾリジン−2,4−ジオン、およびAが本明細書に記載のフェニルエチニルである他の化合物の製造は、J.Wrobel et al., J. Med. Chem. 1998, 41, 1084-1091に記載の方法にしたがって行われ得る。
【0133】
本発明のさらなる目的は、代謝障害、さらにとりわけ糖尿病および特に2型糖尿病、または糖尿病関連疾患もしくは病状の処置または予防に効果的な医薬組成物を提供することである。
【0134】
本発明の別の目的は、容易に製造される、例えばナテグリニドの組成物、特に医薬組成物を提供することである。
【0135】
後に記載のような組成物は、唯一の活性剤、特に薬理学的活性剤としてのナテグリニドを含む。
【0136】
これらの観点で、および後に記載のように、本発明は、
水の存在下で造粒でき、その後打錠前の粉砕が必要なく、遊離または薬学的に許容される塩の形態のナテグリニド、および薬学的に許容される担体を含む組成物、特に医薬組成物;および
投与後、約90重量%のナテグリニドが10分以内に放出される、遊離または薬学的に許容される塩の形態のナテグリニド、および薬学的に許容される担体を含む組成物、特に医薬組成物に関する。
【0137】
本発明は、また、遊離または薬学的に許容される塩の形態のナテグリニド、および薬学的に許容される担体を含む組成物、特に医薬組成物の製造方法に関するものであり、該方法は、粉砕の段階なしに水の存在下で、医薬物質および1以上の薬学的に許容される担体の造粒を含む。
【0138】
本発明は、また、水の存在下で造粒でき、その後打錠前の粉砕が必要なく、治療上有効量の遊離または薬学的に許容される塩の形態のナテグリニドを含む医薬組成物を、処置または予防を必要とする温血動物に投与することにより糖尿病または糖尿病関連疾患もしくは病状の処置または予防する方法に関する。
【0139】
組成物、特に医薬組成物のための活性剤、特に医薬物質として、ナテグリニドはEP196222およびEP526171に記載され、各文献のすべての内容を引用により本明細書に特に含める。
【0140】
活性医薬物質は、本明細書で前記定義の薬学的に許容される塩、例えば酸付加塩、例えばナトリウム塩またはマレイン酸塩として存在し得る。
【0141】
本発明に従う各経口用組成物は、さらに、薬学的に許容される担体を含む不活性成分を含み得る。本明細書で使用されるように、「薬学的に許容される担体」なる語は、活性医薬成分を除く、組成物、特に医薬組成物の成分を意味する。薬学的に許容される担体の例は、結合剤、崩壊剤、希釈剤、増量剤、流動促進剤(glidant)、抗凝集剤(anti-adherent)、滑沢剤、可溶化剤または乳化剤および塩を含む。例えば、錠剤は、当分野で周知の固体担体を用いる通常の手順にしたがって製剤化され得る。錠剤組成物に通常使用される打錠補助剤が使用され得、この問題に関し多数の文献が作成されている。特に、Fiedler著、"Lexicon der Hilfstoffe", 4th Edition, ECV Aulendorf 1996を参照。その内容を引用により本明細書に含める。
【0142】
使用され得る崩壊剤は、CMC−Ca、CMC−Na、架橋ポリビニルピロリドン(Crospovidone、PolyplasdoneまたはKollidon XL)、アルギン酸、アルギン酸ナトリウムおよびグアールガムを含む。好ましい崩壊剤は、架橋ポリビニルピロリドン(Crospovidone)、クロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol)を含む。他の崩壊剤は、セルロースのピラノース環が有するヒドロキシル基のうちのごく少数がプロピレンオキシドでエーテル化された、低置換度ヒドロキシプロピルエーテルセルロースを含む。このようなヒドロキシプロピルセルロースは、乾燥した低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの定量において、5.0〜約16.0重量%のヒドロキシプロピルを含む(日本薬局方、13版、D885からD−888;United States Pharmacopoeia, 23rd Edition, pp2253-2254参照;それぞれの内容を引用により本明細書に含める)。このようなセルロースのヒドロキシプロピルエーテルの例は、Shin-Etsu Chemical Co., Ltd.により製造されたL−HPC(LH-11、LH-20、LH-21、LH-22、LH-30、LH-31、LH-32など)を含む。医薬組成物中のヒドロキシプロピルエーテルセルロースの存在は、選択的なものである。したがって、好ましい実施態様において、組成物、特に医薬組成物は、前記のヒドロキシプロピルエーテルセルロースを含まない。
【0143】
特に好ましい崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムおよび架橋ポリビニルピロリドンである。
【0144】
使用される崩壊剤の量は、約2〜約20、または30重量%までであり得るが、最高レベルにすると貯蔵中の錠剤のふくれ(blistering)の原因となり得るであろう。特に好ましい範囲は2〜15重量%であり、いっそうさらに好ましくは2〜10重量%である;4〜10重量%は、また、崩壊剤の好ましい量である。
【0145】
組成物、特に医薬組成物の結合剤は、澱粉、例えばジャガイモ澱粉、小麦澱粉、とうもろこし澱粉、トラガカントゴム、アラビアゴムまたはゼラチンのようなゴム類、微結晶性セルロース、例えばAvicel、Filtrak、HewetenまたはPharmacelの登録商標名で知られる製品、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、例えば5〜16重量%のヒドロキシプロピルを含有し、分子量が80,000〜1,150,000、さらに特に140,000〜850,000であるヒドロキシプロピルセルロース、またはPovidoneのようなポリビニルピロリドンを含む。ポリビニルピロリドンが特に好ましい。
【0146】
使用される結合剤の量は、約0.1〜約5重量%であり得る。特に好ましい範囲は1〜5重量%であり、およびいっそうさらに好ましくは2〜4重量%である。
【0147】
使用され得る流動促進剤は、シリカ、三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロース、澱粉、タルクおよび三塩基性リン酸カルシウムを含む。コロイド性のシリカ(例えば、Aerosil)が特に好ましい。
【0148】
使用される抗凝集剤の量は、約5重量%まで、または0〜約5重量%であり得る。特に好ましい範囲は、0.5〜2重量%であり、およびいっそうさらに好ましくは0.5〜1重量%である。
【0149】
使用され得る増量剤または希釈剤は、精製糖、可圧縮糖、デキストレート(dextrate)、デキストリン、デキストロース、ラクトース、マンニトール、微結晶性セルロース、特に約0.45g/cmの密度を有するもの、例えばAvicel、粉末セルロース、ソルビトール、スクロースおよびタルクを含む。ラクトースおよび微結晶性セルロースが特に好ましく、別々にまたはそれぞれ10−90から90−10、とりわけ25−75から75−25、例えば67−33重量%の混合物が好ましい。
【0150】
組成物、特に医薬組成物の滑沢剤は、ステアリン酸およびステアリン酸Mg、AlまたはCaのような塩、ポリエチレングリコール4000〜8000、例えば6000、およびタルクを含む。ステアリン酸マグネシウムが好ましい。
【0151】
使用される滑沢剤の量は、約0.75〜約3重量%であり得る。特に好ましい範囲は、約1.5〜約3重量%であり、いっそうさらに好ましくは約1.8〜約2.5重量%である。
【0152】
したがって、本発明の実施態様のための特に好ましい実施態様は、中心にラクトース一水和物、微結晶性セルロース、ポビドン、クロスカルメロースナトリウムを、コーティング層にステアリン酸マグネシウム、opadry white、クロスカルメロースナトリウムおよびコロイド状二酸化ケイ素を含む錠剤の形態のナテグリニドまたはレパグリニドのためのガレヌス製剤を含む。
【0153】
組成物、特に医薬組成物中の薬学的に許容される担体の総量は、約30〜約70重量%の範囲であり得る。特に好ましい範囲は、50〜70重量%であり、いっそうさらに好ましくは約53〜約67重量%である。
【0154】
1以上のこれらの添加剤は、通常の実験により容易に、固体経口投与形態の特定の所望の特性を顧慮する当業者によって選択され、使用され得る。
【0155】
成分の上記の好ましい範囲内で、各添加剤の絶対量および他の添加剤に対する相対量は、固体経口投与形態の所望の特性に依存し、また、容易に通常の実験により当業者によって選択され得る。
【0156】
加速的または即時的な放出(30分、例えば20分、例えば10分、さらに特には5分以内に、水または人工胃液(例えば0.1N HCl)中で、錠剤の形態の例えば約60〜95%、例えば75%、例えば85%、例えば約90重量%の放出)が望まれる場合、架橋ポリビニルピロリドンのような崩壊剤、例えばPolyplasdone(商標)XLまたはKollidon(商標)CLの登録商標名で知られるものが使用され得る。
【0157】
特に、崩壊剤は、1,000,000を超える分子量、さらに特には400ミクロン未満または74ミクロン未満の粒子径分布、または水の存在下で錠剤の速やかな崩壊をもたらす反応性添加剤(発泡性混合物)を有し得、例えば化学的に結合した二酸化炭素を含む塩基(例えば炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウム)において水中で作用し、二酸化炭素を放出する固体の形態の酸、典型的にクエン酸を含むいわゆる発泡錠であり得る。
【0158】
ゆえに、本発明は、投与後約90重量%のナテグリニドが10分以内に放出される、
(a)遊離のまたは薬学的に許容される塩の形態のナテグリニドおよび
(b)薬学的に許容される担体
を含む、組成物、特に医薬組成物に関する。好ましくは、このような組成物は、特に1,000,000を超える分子量を有する崩壊剤を含む。さらに、崩壊剤は、好ましくは400ミクロン未満、またはさらに好ましくは74ミクロン未満の粒子径を有する。本発明のこの観点の非常に好ましい実施態様において、崩壊剤は架橋ポリビニルピロリドンである。
【0159】
活性剤がナテグリニドまたは薬学的に許容されるその塩である固体経口投与形態において、好ましい添加剤は、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)またはCMC−ステアリン酸Na、Mg、CaまたはAl、ポリビニルピロリドン、無水コロイド状シリカ、ラクトース、およびそれらの任意の組み合わせである。使用される添加剤の量は、どれくらいの量の活性剤が使用されるかに一部依存する。ステアリン酸塩、例えばステアリン酸マグネシウムは、好ましくは1.0〜5.0重量%、例えば1.5〜3.0重量%の量で使用される。シリカは、好ましくは0.5〜10重量%、とりわけ1〜5重量%の量で使用される。
【0160】
経口適用に適した本発明の組成物、特に医薬組成物は、粉末または顆粒として、それぞれ予め決められた量の活性剤を含むカプセル剤、カシェ剤または錠剤のような別個のユニットとして提供され得る。このような組成物は、任意の薬学的方法であるが活性成分と1以上の必要な成分を含む担体とを結びつける段階を含むすべての方法により製造され得る。一般に、組成物は、活性成分を液体担体または細かく分割した固体担体またはその両方と均等にかつ完全に混合し、次いで、必要であれば、生成物を所望の体裁に形作ることにより製造される。例えば錠剤は、所望により1以上の補助的な成分との圧縮または成形により製造される。圧縮錠剤は、適当な機械で、所望により結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、界面活性剤または分散剤と混合した粉剤または顆粒剤のような流動性のある形態の活性成分を圧縮することにより製造される。成形錠剤(molded tablet)は、適当な機械で、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を成形することにより製造される。望ましくは、各錠剤は、約2.5mg〜約500mg、好ましくは約60mg〜約200mg、および最も好ましくは約120mg〜約180mgの活性成分を含む。
【0161】
投与単位形態がカプセルである場合、それは、上の種類の物質に加えて、脂肪油のような液体担体を含み得る。本発明で使用されるカプセルは、ゼラチンまたはセルロース誘導体のような任意の薬学的に許容される物質から製造され得る。
【0162】
さまざまな他の物質が、コーティングとしてまたは投薬ユニットの物理的形態を修飾するために提供され得る。例えば、錠剤はセラック、糖またはその両方で被覆され得る。
【0163】
組成物、特に医薬組成物は、単独または1以上の、とりわけ経腸または非経腸適用に適した薬学的に許容される担体と組み合わせた、治療上有効量の薬理学的に活性な化合物を含む、ヒトを含む哺乳動物(温血動物)に経腸的、例えば経口または経直腸的に投与するために使用され得る。
【0164】
組成物、特に医薬組成物は、例えば、約10〜約100重量%、好ましくは80重量%、好ましくは約20〜約60重量%の活性成分を含む。最も好ましい商業的レベルは、18〜29%の活性成分の範囲である。経腸投与のための本発明に従う組成物は、例えば、糖衣錠、錠剤、カプセル剤または坐剤のような単位投与形態のものである。
【0165】
これらはそれ自体既知の方法、例えば通常の混合、造粒、シュガーコーティング、溶解または凍結乾燥プロセスにより製造される。したがって、医薬組成物は、活性成分を固体担体と組み合わせ、所望により得られる混合物を造粒し、および混合物または顆粒を加工し、所望または必要であれば、適当な賦形剤を添加すると錠剤または糖衣錠の核を得ることにより得られる。
【0166】
造粒の段階は、当分野で通常の種類の高剪断湿式造粒機により行われ得る。トップまたはボトムドライブ型の何れかの造粒機が使用され得、collette gral造粒機が好ましい実施態様の例である。当業者は、容易に最適な造粒時間を決定することができる。好ましい造粒時間は、約1〜約4分の範囲であり、最も好ましくは約2分である。
【0167】
造粒後、顆粒を例えば流動層乾燥機により行われる乾燥の段階を含む、通常の段階により乾燥し得る。次いで、乾燥した顆粒を篩過装置にかけ、望ましくないサイズを有する顆粒を粉砕し得る。好ましい篩過装置の例は、Frewitt MG 400およびFrewitt MG 624を含む。
【0168】
造粒後、顆粒は、さらに、追加の組成物成分、または予め造粒された追加量の成分と混合され得る。さまざまな混合容器の形態の分散混合機が、混合の段階のために使用され得る。混合に使用される典型的な混合機は、例えばStocklin混合機のようなV字型または円筒型混合機を含む。
【0169】
本発明の好ましい実施態様において、組成物、特に医薬組成物は、顆粒を形成するための水の存在下での造粒、顆粒の乾燥、および所望により、例えば網ふるいを通して顆粒をふるいにかけることを含む工程により製造される。組成物のすべての成分を造粒前、または造粒中に加え得る。代わりに、1以上の成分のすべてまたは一部を造粒の段階の終了後に加え得る。例えば、すべてもしくは一部の抗凝集剤(例えばシリカ)、すべてもしくは一部の滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム)および/またはすべてもしくは一部の崩壊剤(例えばクロスカルメロースもしくはその塩)を、造粒後に加え得る。本発明の好ましい観点において、ステアリン酸マグネシウムおよびコロイド状シリカを除くすべての成分が造粒機に充填され、次いでそれらが後で加えられる。
【0170】
本発明の1つの観点において、組成物、特に医薬組成物の製造方法は、粉砕の段階を必要とすることなく行われ得る。本明細書で使用されるように、「粉砕」または「粉砕する」なる語は、粒子径を小さくするために粒子をすりつぶし、または砕き切断することを含む任意の工程を意味する。本発明の好ましい観点において、組成物、特に医薬組成物を、顆粒を錠剤へと形成させるために、造粒の段階および乾燥および/または圧縮段階の間に顆粒を粉砕することなく製造することができる。
【0171】
本明細書に記載された組成物、特に医薬組成物を、さらに、造粒の段階の前または後に粉砕の必要なしに造粒することができる。本明細書で使用されるように、「粉砕の必要なしに造粒することができる」なる語は、組成物が実際に粉砕の段階を伴わずに製造されるという要求に対立する性質を意味する。組成物を記述するために使用される場合の「…ができる」なる語は、特に、組成物における任意のプロセスまたはプロダクト・バイ・プロセスによる限定を強要するものではない。組成物は、さらに、例えば患者への投与が容易な錠剤に、圧縮により首尾よく形成されることができる。
【0172】
造粒後、水が造粒中に加えられたとしても、許容される顆粒サイズを有する顆粒組成物が得られることが認められている。さらに特に、組成物、特に医薬組成物は、上述の粉砕の必要なしに約25〜約80重量%の水の存在下で、造粒(および造粒後に続いて打錠)されることできる。好ましくは、造粒は、約25〜40重量%の水の添加により行われ得る。さらに好ましくは、120mg、90mg、60mg、および30mgのナテグリニドを含む錠剤を製造する場合には、造粒は約22〜約37重量%、およびいっそうさらに好ましくは約27重量%の水の添加により行われ得る。180mgナテグリニド錠を製造する場合には、好ましくは約33〜約40重量%、およびさらに好ましくは33〜約37重量%の水が顆粒に添加される。乾燥の段階後、実質的に物質の量を損なうことなく、顆粒はふるいにかけられ得るので、粉砕の段階は首尾よく避けられ得る。
【0173】
本発明のさらなる観点は、薬学的に許容される結合剤、賦形剤などおよび許容されるコーティングを含む錠剤のような薬学的に許容される組成物の形態のナテグリニドのための組成物、特に医薬組成物である。このような組成物は、さらに、好ましくは滑沢剤、最も好ましくはステアリン酸、またはステアリン酸Mg、AlもしくはCa、抗凝集剤、または着色料を含む。
【0174】
ナテグリニドまたは薬学的に許容される塩は疾患、とりわけ代謝障害、さらにとりわけ糖尿病および特に2型糖尿病、および糖尿病関連疾患および病状の予防、進行の遅延または好ましくは処置においてより効果的であることが、確立された試験モデルおよびとりわけ本明細書に記載された試験モデルにより示され得る。
【0175】
当業者は、前記および後記の治療適用および有利な効果を証明するための適切な動物試験モデルを選択することが十分に可能である。薬理学的活性は、例えば、前記のようにマウスにおけるまたは臨床研究におけるin vivo試験手順に本質的にしたがって証明され得る。
【0176】
さらに、本発明は、それぞれナテグリニドまたは薬学的に許容されるその塩を含む製剤または組成物、特に医薬組成物に関する。
【0177】
本発明のさらなる観点は、薬学的に許容される結合剤、賦形剤などおよび許容されるコーティングを含む錠剤のような薬学的に許容される組成物の形態のナテグリニドのための組成物、特に医薬組成物である。
【0178】
好ましくは、組成物はB型またはH型の、より好ましくはH型の結晶変態のナテグリニドを含む。活性成分または薬学的に許容されるその塩は、また、水和物の形態で使用され得、または結晶化に使用される他の溶媒を含み得る。
【0179】
ナテグリニドの投与量の範囲は、当業者に既知の、温血動物の種、体重および年齢、処置される病状の性質および重症度、および使用される投与様式を含む要因に依存する。本明細書で特記しない限り、ナテグリニドは、好ましくは1日に1〜4回に分割して投与される。
【0180】
ナテグリニドは、好ましくは温血動物に、約5〜1200、さらに好ましくは10〜1000および最も好ましくは25〜800mg/日の範囲の投与量で投与され、とりわけ温血動物が体重約70kgのヒトである場合にはそうである。
【0181】
本発明のさらなる観点は、中心にラクトース一水和物、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、クロスカルメロースナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、およびステアリン酸マグネシウム、および所望によりコーティング部にopadry yellowのようなコーティング剤を含む錠剤の形態のナテグリニドのための医薬組成物である。
【0182】
さらに、本発明は、
(a)遊離型または薬学的に許容される塩の形態のナテグリニド、および
(b)薬学的に許容される担体
を含む医薬組成物に関するものであり、該組成物は、高血糖症、高インスリン血症、高脂血症、インスリン抵抗性、グルコース代謝の減少、肥満、糖尿病網膜症、黄斑変性症、白内障、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、糖尿病性神経症、勃起機能障害、月経前症候群、血管性再狭窄、潰瘍性大腸炎、冠動脈心疾患、高血圧、狭心症、心筋梗塞、卒中、皮膚および結合組織障害、下腿潰瘍(foot ulceration)、代謝性アシドーシス、関節炎、骨粗鬆症および特にグルコース耐性の減少状態およびとりわけ2型糖尿病の予防、進行の遅延または処置のために、水の存在下で造粒し、粉砕工程を必要とせずに打錠することができる。
【0183】
さらに、本発明は、
(a)遊離型または薬学的に許容される塩の形態のナテグリニド、および
(b)薬学的に許容される担体
を含む医薬組成物に関するものであり、該組成物は、
(i)代謝障害の予防、進行の遅延または処置における使用のために、および
(ii)代謝障害の予防、進行の遅延または処置に関する医薬製造のためのこのような組成物の使用のために、水の存在下で造粒し、粉砕工程を必要とせずに打錠することができる。
【0184】
さらに、本発明はヒトを含む哺乳動物、とりわけ代謝障害、特に2型糖尿病を患うヒトの身体的外観を改善する方法に関し、該方法は該哺乳動物に、
グルコース代謝に影響する、例えば増加または減少させる、または他のメカニズムで体重に影響するのに有効な投与量で、
(i)本明細書に記載のような、例えば組合せ製剤または組成物としての組み合わせ、または
(ii)(a)遊離型または薬学的に許容される塩の形態のナテグリニド、および
(b)薬学的に許容される担体
を含む、水の存在下で造粒し、粉砕工程を必要とせずに打錠することができる組成物を経口投与すること、および美容面で有益な体重減少が起きるまで該投与を繰り返すことを含む。本明細書に記載されたこのような組み合わせおよび組成物は、互いに独立的に、また、美容面での理由で、体重増加を経験しているヒトのさらなる体重増加を防ぐために使用され得る。さらに、本発明は哺乳動物、とりわけヒトの身体的外観を改善するのに有用な、本明細書に記載の組み合わせおよび組成物、および哺乳動物、とりわけヒトの身体的外観を改善するためのこのような組み合わせおよび組成物の使用に関する。太りすぎは代謝障害、特に2型糖尿病の発現のリスク要因の1つであると同時に、このような代謝障害、特に2型糖尿病の結果でもある。さらに、多くの抗糖尿病薬は、体重増加の原因となることが知られている。ゆえに、代謝障害、とりわけ2型糖尿病を患うヒトは、しばしば太りすぎに直面する。したがって、美容面で有益な体重の減少が、代謝障害、例えば2型糖尿病を患うヒトにおいてとりわけ実現され得る。組み合わせ、例えば組合せ製剤または組成物、および本明細書に記載された組成物は、互いに独立的に、また、美容面での理由で、さらなる体重増加を防ぐために、2型糖尿病を患うヒトにより服用される抗糖尿病薬に代わり、または補うために使用され得る。
【0185】
特に本発明は、哺乳動物に、遊離型または薬学的に許容される塩の形態のナテグリニド、および遊離型または薬学的に許容される塩の形態のグリタゾン系を、グルコース代謝に影響するのに有効な投与量で経口投与すること、および美容面で有益な体重減少が起きるまで該投与を繰り返すことを含む、該哺乳動物の身体的外観を改善する方法に関するものであり、本方法では、活性成分は同時または任意の順序で連続的に、別々にまたは固定された組み合わせで投与される。また特に、本発明は
(a)遊離型または薬学的に許容される塩の形態のナテグリニド、および
(b)薬学的に許容される担体
を含む組成物を哺乳動物に経口投与することを含む、該哺乳動物の身体的外観を改善する方法に関するものであり、本方法において、組成物は打錠前の粉砕の段階が必要なしに水の存在下で造粒することができる。さらに、本発明は
(a)遊離型または薬学的に許容される塩の形態のナテグリニド、および
(b)薬学的に許容される担体
を含む組成物を哺乳動物に経口投与することを含む、該哺乳動物の身体的外観を改善する方法に関するものであり、本方法において、投与後約90重量%のナテグリニドは10分以内に放出される。
【0186】
以下の実施例は上記の発明を説明するものである;しかしながら、それらはいかなる点においても発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0187】
実施例1:ナテグリニドの錠剤
それぞれ120mgのナテグリニドを含む108,000個の錠剤を以下のように製造する:
【表5】

:製造中に除去される
【0188】
製造方法−変法(a):
微結晶性セルロース、ポビドン、クロスカルメロースナトリウムの一部、ナテグリニドおよびラクトースを高剪断ミキサー中で混合し、その後、精製水を用いて造粒する。代わりに、微結晶性セルロース、ポビドン、クロスカルメロースナトリウムの一部、ナテグリニドおよびラクトースは、精製水を添加してcollette gral造粒機で造粒される。湿った顆粒を流動層乾燥機中で乾燥させ、ふるいにかける。コロイド状二酸化ケイ素および残りのクロスカルメロースナトリウムを混合し、ふるいにかけ、V字型混合機中で乾燥した顆粒と混ぜる。ステアリン酸マグネシウムをふるいにかけ、V字型混合機からの混合物と混ぜ、その後、全体の混合物を錠剤に圧縮する。opadry yellowを精製水に懸濁させ、このコーティング用懸濁液で錠剤を被覆する。
【0189】
実施例2:ナテグリニドのガレヌス製剤No.1
【表6】

【0190】
実施例3:ナテグリニドのガレヌス製剤No.2
【表7】

【0191】
以下の実施例は、ナテグリニドが唯一の活性剤であり、造粒後に粉砕の段階が行われない、単独療法用の組成物の製造を説明する;しかしながら、それらはいかなる点においても発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0192】
実施例4:ナテグリニドの錠剤
それぞれ120mgのナテグリニドを含む108,000個の錠剤を以下のように製造する:
【表8】

:製造中に除去される
【0193】
製造方法:
微結晶性セルロース、ポビドン、クロスカルメロースナトリウムの一部、ナテグリニドおよびラクトースを、精製水を添加してcollette gral造粒機で造粒する。湿った顆粒を流動層乾燥機中で乾燥させ、ふるいにかける。コロイド状二酸化ケイ素および残りのクロスカルメロースナトリウムを混合し、ふるいにかけ、V字型混合機中で乾燥した顆粒と混ぜる。ステアリン酸マグネシウムをふるいにかけ、V字型混合機からの混合物と混ぜ、その後、混合物全体を錠剤に圧縮する。opadry yellowを精製水に懸濁させ、このコーティング用懸濁液で錠剤を被覆する。この製造法の変法は、コロイド状シリカおよび残りのカルメロースナトリウムを、ともに、乾燥、次いでふるい後に第2の造粒機装填物に加えること;および各バッチごとに3回造粒機/乾燥機装填物を組み合わせることを含む。
【0194】
実施例5:ナテグリニドの医薬組成物(60mg)
【表9】

【0195】
実施例6:ナテグリニドの医薬組成物(120mg)
【表10】

【0196】
実施例7:ナテグリニドの医薬組成物(180mg)
【表11】

【0197】
実施例8:ナテグリニドの組成物、特に医薬組成物
5.112kgの微結晶性セルロース、0.864kgのポリビニルピロリドン、0.864kgのクロスカルメロースナトリウム、4.320kgのナテグリニド、および10.118kgのラクトースを、5/7Lの精製水を添加しながら、collette gral造粒機で造粒した。得られる顆粒をGlatt CGP30流動層乾燥機中で乾燥させた。サンプルの粒子径分布は表1に示すようにふるいにより測定された。
【表12】

【0198】
したがって、表1から分かるように、組成物は、水の存在下で造粒することができ、710μm(25#)以上のサイズを有する約1重量%未満の顆粒、500μm(35#)以上のサイズを有する約5重量%未満の顆粒、355μm以上のサイズを有する約12重量%未満の顆粒、250μm以上のサイズを有する約20重量%未満の顆粒、180μm以上のサイズを有する約25重量%未満の顆粒、125μm以上のサイズを有する約40重量%未満の顆粒、90μm以上のサイズを有する約70重量%未満の顆粒、45μm以上のサイズを有する約99重量%未満の顆粒を含む顆粒組成物を、粉砕の段階なしに提供することができる。
【0199】
さらに好ましくは、組成物は、水の存在下で造粒することができ、710μm(25#)以上のサイズを有する約1重量%未満の顆粒、500μm(35#)以上のサイズを有する約5重量%未満の顆粒、355μm以上のサイズを有する約2重量%未満の顆粒、250μm以上のサイズを有する約20重量%未満の顆粒、180μm以上のサイズを有する約25重量%未満の顆粒、125μm以上のサイズを有する約25重量%未満の顆粒、90〜95μm以上のサイズを有する約40〜50重量%未満の顆粒、および/または45μm以上のサイズを有する約90重量%未満の顆粒を含む顆粒組成物を、粉砕の段階なしに提供することができる。
【0200】
本発明の他の実施態様は、本明細書の研究および本明細書に記載された発明の実施から、当業者にとって明らかである。本明細書および実施例は例示としてのみ考慮され、発明の範囲および意図はクレームに示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の存在下で造粒でき、その後打錠前の粉砕の段階の必要のない
(a)遊離または薬学的に許容される塩の形態のナテグリニド、および
(b)薬学的に許容される担体
を含む組成物。
【請求項2】
唯一の薬理学的活性剤としてナテグリニドを含む請求項1の組成物。
【請求項3】
組成物が顆粒の形態である請求項1または2の組成物。
【請求項4】
組成物が錠剤の形態である請求項1または2の組成物。
【請求項5】
組成物がゼラチンカプセル中に含まれる請求項1、2または3の組成物。
【請求項6】
組成物が約25〜約80重量%の水の存在下で造粒される請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
250μm以上のサイズを有する顆粒が約20重量%未満である顆粒組成物を形成させるために、組成物を水の存在下でその後の打錠前の粉砕の段階の必要なしに造粒する請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
(a)遊離または薬学的に許容される塩の形態のナテグリニド、
(b)ポリビニルピロリドン、および
(c)薬学的に許容される担体、
を含む組成物。
【請求項9】
約60〜95重量%のナテグリニドが水中で30分以内に放出される、
遊離または薬学的に許容される塩の形態のナテグリニド、
(b)ポリビニルピロリドン、および
(c)薬学的に許容される担体、
を含む組成物。
【請求項10】
(a)遊離または薬学的に許容される塩の形態のナテグリニド、および
(b)遊離または低置換ヒドロキシプロピルセルロースである薬学的に許容される担体
を含む組成物。
【請求項11】
ポリビニルピロリドンを含む請求項1または10の組成物。
【請求項12】
組成物が30分以内に約60〜95重量%のナテグリニドを水中で放出する、請求項10の組成物。
【請求項13】
唯一の薬理学的活性剤としてナテグリニドを含む請求項10の組成物。
【請求項14】
ポリビニルピロリドンが1,000,000を超える分子量を有する請求項8、9または11のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
ポリビニルピロリドンが400ミクロン未満または74ミクロン未満の粒子径分布を有する請求項1、8〜11のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
ポリビニルピロリドンが架橋されている請求項1、8、9、10、14または15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
コロイド状二酸化ケイ素を含む請求項1〜16のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
ラクトース一水和物、微結晶性セルロース、ポビドン、クロスカルメロースナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、およびステアリン酸マグネシウムを含む錠剤の形態の請求項1〜17のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
ナテグリニドがB型またはH型結晶変異で存在することを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の組成物。
【請求項20】
(a)遊離または薬学的に許容される塩の形態のナテグリニド、および
(b)薬学的に許容される担体
を含む医薬組成物の製造方法であって、
水の存在下で後の粉砕の段階なしに成分(a)および1以上の薬学的に許容される担体を造粒することを含む製造方法。
【請求項21】
組成物を錠剤へと圧縮するか、または組成物をゼラチンカプセルに入れることをさらに含む請求項20の製造方法。
【請求項22】
組成物を約25〜約80重量%の水の存在下で造粒する請求項21の製造方法。
【請求項23】
造粒後、組成物が250μm以上のサイズを有する約20重量%未満の顆粒を含む請求項20〜22のいずれかに記載の製造方法。
【請求項24】
代謝障害の予防、進行の遅延または処置における使用のための請求項1〜19のいずれかに記載の組成物。
【請求項25】
代謝障害の予防、進行の遅延または処置に関する医薬の製造のための請求項1〜19のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項26】
代謝障害の予防、進行の遅延または処置における、または哺乳動物の身体的外観を改善する方法における、同時、個別または連続的使用のための指示とともに、活性剤としてナテグリニド、およびグリタゾン系、スルホニルウレア誘導体およびメトホルミンからなる群から選択される少なくとも1つの他の抗糖尿病化合物を含む商業用パッケージ。
【請求項27】
哺乳動物の身体的外観を改善する方法における、同時、個別または連続的使用のための指示とともに、活性剤としてナテグリニド、およびグリタゾン系のロジグリタゾン、トログリタゾンおよびピオグリタゾン、およびメトホルミンからなる群から選択される少なくとも1つの他の抗糖尿病化合物を含む商業用パッケージ。

【公開番号】特開2006−335767(P2006−335767A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−241423(P2006−241423)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【分割の表示】特願2001−524585(P2001−524585)の分割
【原出願日】平成12年9月15日(2000.9.15)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】