説明

代謝障害の治療のための化合物

本発明はGPR119としての活性を有し、2型糖尿病を含む代謝障害の治療に有用な治療化合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2型糖尿病を含む代謝障害の治療に有用な治療化合物に関する。特に、本発明は、GPR119アゴニストとしての活性を有する化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
インスリン非依存性2型糖尿病に関連する病態生理を標的とする薬剤は多くの副作用を有し、大多数の患者における脂質代謝異常および高脂血症に適切に対処していない。治療はしばしば、食事、運動、血糖降下剤およびインスリンを用いて個々の患者における必要性に焦点を合わせるが、新規抗糖尿病薬、特により副作用が少なく、より忍容性が高いであろう薬剤は常に必要とされてきた。
【0003】
同様に、メタボリックシンドローム(シンドロームX)は人々を高い冠動脈疾患のリスク下に置き、中心性肥満(腹部における過剰な脂肪組織)、耐糖能障害、高トリグリセライドおよび低HDLコレステロール、および高血圧などの危険因子の集団として特徴付けられる。心筋虚血および微小血管障害は、未治療または不完全に治療されたメタボリックシンドロームとの関連で確立された病的状態である。
【0004】
肥満は体の大きさに比べて過剰な脂肪組織量で特徴付けられる。臨床的には、体脂肪量は肥満度指数(BMI;体重(kg)/慎重(m))または腹囲で見積もられる。BMIが30を超えると各人は肥満と見なされ、過体重であることの医学的帰結は確立されている。体重の増加、特に腹部の体脂肪によるものが、糖尿病、高血圧、心疾患、および多数の別の合併症、例えば関節炎、脳卒中、胆嚢疾患、筋肉および呼吸器における問題、背部痛、さらにはいくつかの癌のリスクの増加と関連することは、長い間受け入れられてきた医学的見解となっている。
【0005】
新規抗糖尿病薬、特により副作用が少なく、より忍容性が高い薬剤、および特に体重と無関係または好ましくは体重の低下を引き起こす薬剤は常に必要とされてきた。
【0006】
GPR119(以前はGPR116と呼ばれていた)はヒトおよびラットの受容体を開示するWO00/50562においてSNORF25として同定されたGPCRであり、また、US 6,468,756はマウスの受容体(受入番号:AAN95194(ヒト)、AAN95195(ラット)およびANN95196(マウス))も開示している。
【0007】
ヒトにおいて、GPR119は膵臓、小腸、結腸および脂肪組織において発現されている。ヒトGPR119受容体の発現プロファイルは、その糖尿病治療の標的としての高い有用性を示している。
【0008】
GPR119アゴニストは胃腸管からのGLP−1の放出を刺激することが示されている。それにより、GPR119アゴニストは、(1)膵臓からのグルコース依存的インスリンの放出を増強し、経口グルコース耐性を改善し;(2)β−細胞のcAMP濃度を増加させることにより疾患の進行を減弱し;(3)おそらくはGLP−1の摂食低下能を通して体重の減少を引き起こす。
【0009】
国際特許出願 WO2005/061489、WO2006/070208、WO2006/067532、WO2006/067531、WO2007/003960、WO2007/003961、WO2007/003962、WO2007/003964、WO2007/116229、WO2007/116230、WO2007/138362、WO2008/081204、WO2008/081205、WO2008/081206、WO2008/081207、WO2008/081208、WO2009/050522、WO2009/050971、WO2010/004343、WO2010/004344、WO2010/004345、 WO2010/004347およびWO2010/00166はGPR119受容体アゴニストを開示する。
【0010】
ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)はユビキタスだが特異性の高いセリンプロテアーゼであり、最後から2番目の位置のL−プロリンまたはL−アラニンでポリペプチドからN−末端側のジペプチドを切り出す。DPP−IV阻害剤を用いた研究から、GLP−1の不活性化におけるDPP−IVの重要な役割が示された。GLP−1が活性である期間を延ばすことにより、インスリンの分泌が刺激され、グルカゴンの放出が阻害され、胃内容排出が遅延される。DPP−IV阻害剤は2型糖尿病の治療に有用であり、DPP−IV阻害剤の例は、例えばビルダグリプチン、シタグリプチン、アログリプチンおよびサクサグリプチンである。
【0011】
GPR119アゴニストおよびDPP−IV阻害剤を組み合わせて用いる可能性は示唆されてはいるが、これには患者への2つの別々の製剤または2つの活性成分を含む複合製剤の投与が必要であり、2つの活性成分の物理化学的、薬物動態学的、および薬力学的性質の適合性の達成に関する問題を孕んでいる。本願の優先日より後に公開された国際特許出願WO2009/034388はGPR119アゴニストおよびDPP−IV阻害剤としての2つの活性を有する化合物を開示している。
【0012】
本発明の化合物もまた、GPR119アゴニストおよびDPP−IV阻害剤としての2つの活性を有し得る。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、GPR119アゴニストとしての活性を有し、DPP−IV阻害剤としての活性も有し得、2型糖尿病を含む代謝障害の治療に有用な化合物に関する。
【0014】
(発明の詳細な説明)
本発明は式(I):
【化1】

[式中、
pは1または2であり;
pが2のとき、ZはN−C(O)OR、N−C(O)NRまたはC1−4アルキル、C1−4アルキルで適宜置換されていてもよいC3−6シクロアルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキルおよびハロゲンから選択される1もしくは2個の基で適宜置換されていてもよいN−ヘテロアリールであり;
pが1のとき、Zは−N−CH−フェニル(ここで、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキルおよびハロから独立して選択される1または2個の基で適宜置換されていてもよい)でもよく;
Aはパラ置換フェニルまたは1もしくは2個の窒素原子を含むパラ置換6員ヘテロアリール環であり;
BはN、OおよびSから選択される1個もしくはそれ以上のヘテロ原子を含む5員ヘテロアリール環、または1もしくは2個の窒素原子を含むパラ置換6員ヘテロアリール環であり;
Bが5員ヘテロアリール環のとき、Xは−O−CRH−または−CRH−O−CRH−であり;Bが6員ヘテロアリール環のとき、Xは−O−または−CRH−O−であり;
は水素、ハロ、シアノ、C1−4アルキルまたはC1−4ハロアルキルであり;
qは1または2であり;

【化2】

1個もしくはそれ以上のハロ基で適宜置換されていてもよいフェニル、または1個もしくはそれ以上のハロもしくはメチル基で適宜置換されていてもよいピリジルであり;
は独立してハロまたはメチルであり;
nは0または1であり;
mは0、1または2であり;
はC2−6アルキルまたはC3−6シクロアルキル(ここで、シクロアルキルはC1−4アルキルで適宜置換されていてもよい)であり;
は水素またはC1−4アルキルであり;
およびRは独立して水素またはC1−2アルキルである]
の化合物、またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0015】
本発明の化合物の好ましい実施態様は式(Ia):
【化3】

で定義される立体化学を有し、かかる化合物はDPP−IV阻害活性を示す。
【0016】
本発明の実施態様の1つにおいて、各pは独立して1または2であり、即ち4、5または6員環を形成する。本発明の実施態様の別の1つにおいて、各pは同一であり、即ち4または6員環を形成する。本発明の化合物において、pは好ましくは2である。
【0017】
本発明の実施態様の1つにおいて、ZはN−C(O)ORである。
本発明のさらなる実施態様の1つにおいて、ZはC1−4アルキル、C1−4アルキルで適宜置換されていてもよいC3−6シクロアルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキルおよびハロゲンから選択される1または2個の基で適宜置換されていてもよいN−ヘテロアリールである。
ZがN−ヘテロアリールのとき、好ましいヘテロアリール基は例えばオキサジアゾールおよびピリミジンである。
Aは好ましくはフェニル、ピリジルまたはピリミジニルである。
は好ましくは水素である。
【0018】
本発明の実施態様の1つにおいて、Bは5員ヘテロアリール環であり、別の1つにおいてBは6員ヘテロアリール環である。
Bが5員ヘテロアリールのとき、Xは好ましくは−O−CRH−であり;Bが6員ヘテロアリール環のとき、Xは好ましくは好ましくは−CRH−O−である。
は好ましくはフェニルまたはピリジルであり、より好ましくはフェニルであり、さらにより好ましくはフェニルである。
は1個またはそれ以上のハロ基で置換されたフェニルであり、それは好ましくは1から3個のハロ基で置換され、該ハロ基は好ましくはフルオロまたはクロロであり、より好ましくはフルオロである。
がピリジルのとき、それは好ましくは2−ピリジルである。
が置換されたピリジルのとき、好ましくはそれは1から3個のハロまたはメチル基で置換され、より好ましくは1または2個のメチル基で置換される。
nは好ましくは1である。
は好ましくはC2−6アルキルである。
およびRは好ましくは独立して水素またはメチルである。
【0019】
本明細書中で述べられる化合物の一群は、式(Ib):
【化4】

[式中、
pは1または2であり;
pが2のとき、ZはN−C(O)OR、N−C(O)NRまたはC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキルもしくはハロゲンから選択される1もしくは2個の基で適宜置換されていてもよいN−ヘテロアリールであり;
pが1のとき、Zは−N−CH−フェニル(ここで、該フェニルはC1−4アルキル、C1−4ハロアルキルおよびハロから独立して選択される1または2個の基で適宜置換されていてもよい)であり;
Aはパラ置換フェニルまたは1もしくは2個の窒素原子を含むパラ置換6員ヘテロアリール環であり;
BはN、OおよびSから選択される1個もしくはそれ以上のヘテロ原子を含む5員ヘテロアリール環、または1もしくは2個の窒素原子を含むパラ置換6員ヘテロアリール環であり;
Bが5員ヘテロアリール環のとき、Xは−O−CRH−であり、Bが6員ヘテロアリール環のとき、Xは−O−または−CRH−O−であり;
は水素、ハロ、シアノ、C1−4アルキルまたはC1−4ハロアルキルであり;
qは1または2であり;

【化5】

または1個もしくはそれ以上のハロ基で適宜置換されていてもよいフェニルであり;
は独立してハロまたはメチルであり;
nは0または1であり;
mは0、1または2であり;
はC2−6アルキルであり;
はC1−4アルキルであり;
は水素またはC1−2アルキルである]
の化合物、またはその医薬的に許容される塩である。
【0020】
式(Ib)の化合物の好ましい実施態様において、それらは式(Ia)で定義される立体化学を有する。
【0021】
各可変部における好ましい基を上で各可変部について概説したが、本発明の好ましい化合物は、式(I)においていくつかの可変部または各可変部が各可変部の好ましい基から選択される化合物を含む。故に、本発明は記載された好ましい基の全ての組み合わせを包含するよう意図される。
【0022】
本発明の化合物の分子量は、好ましくは800未満であり、より好ましくは600未満である。
【0023】
特に断らない限り、本明細書中で用いられる用語「アルキル」は直鎖または分枝鎖の炭素鎖を意味する。アルキル基の例は、例えばエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−およびtert−ブチルである。
【0024】
用語「ヘテロアリール」環は、N、OおよびSから選択されるヘテロ原子を最大2個含む5または6員の含窒ヘテロアリール環を意味する。かかるヘテロアリール環の例は、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、およびトリアジニルである。
【0025】
環Aおよび環Bに関するパラ置換の言及は、環A上における基−B−ならびにN−含有ヘテロ環および環B上における基−X−ならびに−A−の位置を意味する。
【0026】
本明細書中に記載される化合物は、1つまたはそれ以上の不斉中心を有していてもよく、故に、ジアステレオマーおよび光学異性体が生じ得る。本発明は、全てのかかるジアステレオマーならびにそれらのラセミ混合物、高純度に分割されたエナンチオマー、全ての存在可能な幾何異性体、およびそれらの医薬的に許容される塩を包含する。本発明は、本発明の化合物の全ての立体異性体およびその医薬的に許容される塩を包含する。さらに、立体異性体の混合物ならびに単離された特定の立体異性体もまた、包含される。かかる化合物の製造に用いられる合成方法の過程、または当業者に周知のラセミ化もしくはエピマー化手法を使用する際において、かかる方法の生成物は立体異性体の混合物であってもよい。
【0027】
本発明の化合物の互変異性体が存在するとき、特に設定または記載されない限り、本発明の化合物は全ての可能な互変異性体およびその医薬的に許容される塩、およびそれらの混合物を包含する。
【0028】
本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩が溶媒和物または多形相の形態で存在するとき、本発明は全ての存在可能な溶媒和物および多形相の形態を包含する。溶媒和物を形成する溶媒の種類は、溶媒が医薬的に許容される限り、特に限定されない。例えば、水、エタノール、プロパノール、アセトンなどが用いられ得る。
【0029】
用語「医薬的に許容される塩」は、医薬的に許容される無毒な塩基または酸から形成される塩を意味する。本発明の化合物が酸性の場合、その対応する塩は、無機塩基および有機塩基を含む医薬的に許容される無毒な塩基から製造することができる。かかる無機塩基に由来する塩は、例えばアルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅(1価および2価)、三価鉄、二価鉄、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛などによる塩である。特に好ましいものは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム塩である。医薬的に許容される無毒な有機塩基に由来する塩は、例えば1級、2級ならびに3級アミン、および環状アミン、例えば天然に存在する置換アミンならびに合成置換アミンの塩である。塩を形成し得る別の医薬的に許容される無毒な有機塩基 は、例えばアルギニン、ベタニン、カフェイン、コリン、N’,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミンレジン、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどである。
【0030】
本発明の化合物が塩基性の場合、その対応する塩は無機および有機酸を含む医薬的に許容される無毒な酸から製造することができる。かかる酸は、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などである。
【0031】
本発明の化合物は医薬的使用を意図されるため、それらは高純度な形態で提供されることが好ましく、例えば、少なくとも純度60%において、より適切には少なくとも純度75%において、とりわけ少なくとも純度98%(%は重量に基づく)において提供される。
【0032】
式(I)の化合物は以下のようにして製造することができる(ここで、R、R、R、R、R、R、A、B、X、Z、M、n、p、qは式(I)で定義されたものと同義である)。PGは保護基、Halはハロゲンであり、Eはハロゲンまたはトリフレートのどちらかである。
【0033】
式(I)の化合物はスキーム1に概説されるように製造することができる。式(IV)の化合物は、例えば120℃、DBUおよびDMSOといった標準的な条件下における適切な式(II)のハロ芳香族化合物の式(III)のアミン類によるSNAr置換反応により製造することができる。あるいは、式(IV)の化合物は、110℃、トルエンなどの適切な溶媒中におけるPd(dba)およびBINAPといったブッフバルト・ハートウィッグ条件下における適切な式(II)のハロ芳香族化合物と式(III)のアミン類の反応により製造することができる。当業者に周知の標準的な条件を用いたアミン官能性の脱保護反応により、上記のように式(I)の化合物が得られる。
【化6】

【0034】
Bが1または2個の窒素原子を含むパラ置換6員ヘテロアリール環であり、Xが−O−または−CRH−O−である式(II)の基礎的要素は、スキーム2に概説されるように製造することができる。式(V)のアリールハライドは、例えば80℃、DMF/水などの適切な溶媒中における[1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウムといった標準的な鈴木条件下において、式(VI)のボロネート類で処理することができる。
【化7】

【0035】
あるいは、Bが1または2個の窒素原子を含むパラ置換6員ヘテロアリール環であり、Xが−O−または−CRH−O−である式(II)の基礎的要素は、スキーム3に概説されるようにして製造することができる。式(VII)のアリールボロネートは、110℃、[1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウムなどの適切な触媒の存在下、1,4−ジオキサンなどの適切な溶媒中における式(V)のアリールハライドとビス(ピナコレート)ジボロンの反応により製造することができる。式(II)の基礎的要素は、例えば80℃、DMF/水などの適切な溶媒中における[1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウムといった標準的な鈴木条件下における式(VII)のボロネート類と式(VIII)のアリールハライドまたはアリールトリフレートの反応により製造することができる。
【化8】

【0036】
Bが1または2個の窒素原子を含むパラ置換6員ヘテロアリール環であり、Xが−O−または−CRH−O−である式(V)の基礎的要素は、スキーム4に概説されるように製造することができる。式(IX)のアルコール類は、例えばトルエンなどの適切な溶媒中でアゾジカルボン酸ジピペリジドおよびトリブチルホスフィンを用いる標準的な光延条件下において、式(X)のヒドロキシアリール類で処理することができる。
【化9】

【0037】
あるいは、Bが1または2個の窒素原子を含むパラ置換6員ヘテロアリール環であり、Xが−O−または−CRH−O−である式(V)の基礎的要素は、スキーム5に概説されるように製造することができる。式(IX)のアルコールは、120℃、DBUおよびDMSOといった標準的なSNAr条件下において、適切な式(XI)のジハロアリール化合物で処理することができる。
【化10】

【0038】
Bが1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、Xが−O−CRH−である式(II)の基礎的要素は、スキーム6に概説されるように製造することができる。式(XII)のアミドオキシムは、78℃、KCOなどの適切な塩基の存在下、エタノール/水などの適切な溶媒中における式(XIII)のニトリルとヒドロキシルアミン塩酸塩の反応により製造することができる。上記の式(II)の基礎的要素は、DMFなどの適切な溶媒中、クロロギ酸イソブチルおよびトリエチルアミンといった標準的な条件下における式(XII)のアミドオキシムと式(XIV)の酸の反応により製造することができる。
【化11】

【0039】
Bが1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、Xが−O−CRH−である式(II)の基礎的要素は、スキーム7に概説されるように製造することができる。式(XV)のアミドオキシムは、78℃、KCOなどの適切な塩基の存在下、エタノール/水などの適切な溶媒中における式(XVI)のニトリルとヒドロキシルアミン塩酸塩の反応により製造することができる。上記の式(II)の基礎的要素は、DMFなどの適切な溶媒中、クロロギ酸イソブチルおよびトリエチルアミンといった標準的な条件下における式(XV)と式(XVII)の酸の反応により製造することができる。
【化12】

【0040】
Bがチアゾール−2−イル、Xが−O−CRH−である式(II)の基礎的要素は、スキーム8に概説されるように製造することができる。式(XVIII)の1級アミド類は、例えば、DCMなどの適切な溶媒中、HOBTおよびEDCIといった標準的なアミドカップリング条件下における式(XIV)の酸と1,4−ジオキサン溶液中のアンモニアの反応により製造することができる。式(XIX)のチオアミド類は、例えば、還流下、トルエンなどの適切な溶媒中でローソン試薬(Lawesson’s reagent)を用いる標準的な条件下における式(XVIII)の1級アミド類の反応により製造することができる。上記の式(II)の基礎的要素は、例えば、室温、エタノールといった標準的なハンチュ(Hantzsch)条件下における式(XX)のブロモケトン類と式(XIX)のチオアミドの反応により製造することができる。
【化13】

【0041】
Bがチアゾール−5−イル、Xが−O−CRH−である式(II)の基礎的要素は、スキーム9に概説されるように製造することができる。式(XXI)の1級アミド類は、例えば、DCMなどの適切な溶媒中、HOBTおよびEDCIといった標準的なアミドカップリング条件下における式(XVII)の酸と1,4−ジオキサン溶液中のアンモニアの反応により製造することができる。式(XXII)のチオアミドは、例えば、還流下、トルエンなどの適切な溶媒中でローソン試薬を用いる標準的な条件下における式(XVIII)の1級アミド類の反応により製造することができる。上記の式(II)の基礎的要素は、例えば、室温、エタノールといった標準的なハンチュ条件下における式(XXIII)のクロロケトン類と式(XXII)のチオアミドの反応により製造することができる。
【化14】

【0042】
Xが−O−CRH−である式(XVI)の基礎的要素は、スキーム10に概説されるように製造することができる。式(XXIV)のアルコール類は、例えば、0℃、THFなどの適切な溶媒中におけるNaHといった標準的な条件下において、式(XXV)のブロミド類で処理することができる。
【化15】

【0043】
式(XX)の基礎的要素は、スキーム11に概説されるように製造することができる。式(XXVI)のケトン類は、THFなどの適切な溶媒中において、トリメチルフェニルアンモニウムトリブロミドで処理することができる。
【化16】

【0044】
Xが−O−CRH−である式(XXIII)の基礎的要素は、スキーム12に概説されるように製造することができる。式(XXIV)のアルコール類は、KCOなどの適切な塩基の存在下、DMFなどの適切な溶媒中において1,3−ジクロロアセトンで処理することができる。
【化17】

【0045】
式(III)の基礎的要素の例および合成は他で記載されている: Benbow et.al., WO2007/148185; Brackes et.al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 2007, 17 2005-2012; Pei et.al., J. Med. Chem., 2007, 50 (8), 1983-1987; Cox et.al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 2007, 17 4579-4583; Wright et.al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 2007, 17 5638-5642。
【0046】
pが2、Xが−O−またはCRH−O−である式(IX)の基礎的要素の合成は他で記載されている: Fang et. al., WO2008/070692; Alper et. al., WO2008/097428; Wacker et.al., WO2009/012275。
【0047】
pが1、Xが−O−またはCRH−O−である式(IX)の基礎的要素の合成は他で記載されている: Arnould et.al., WO2007/091046; Evans et.al., WO2008/079028。
【0048】
Xが−O−CRH−である式(XIV)の基礎的要素の合成は他で記載されている: Bertram et.al., WO2007/116229。
【0049】
式(I)の別の化合物は、上記と同様の方法またはそれ自体周知の方法により製造されてもよい。式(I)の化合物の製造に関するさらなる詳細は、実施例に述べる。
【0050】
式(I)の化合物は、単独で製造されてもよく、少なくとも2個、例えば5個から1000個、好ましくは10から100個の式(I)の化合物を含む化合物ライブラリーとして製造されてもよい。化合物ライブラリーは、コンビナトリアル「split and mix」アプローチ、または多重パラレル合成により、液相もしくは固相化学を用い、当業者に周知の方法を用いて製造されてもよい。
【0051】
式(I)の化合物の製造中、中間体化合物の不安定な官能基、例えばヒドロキシ、カルボキシならびにアミノ基は保護されてもよい。保護基は、式(I)の化合物の製造中のいずれのステージにおいて除去されてもよく、あるいは最終的な式(I)の化合物に存在していてもよい。種々の不安定な官能基を保護することができる方法および得られた保護誘導体を切断する方法に関する包括的な議論は、例えば、Protective Groups in Organic Chemistry, T.W. Greene and P.G.M. Wuts, (1991) Wiley-Interscience, New York, 2nd editionに見られる。
【0052】
上に記載したような式(I)の化合物およびその中間体の製造工程もまた、本発明のさらなる態様に包含される。
【0053】
上のスキームまたは実施例で定義したいずれの新規中間体もまた、本発明の範囲に包含される。故に、本発明のさらなる態様により、上と同義の式(II)、(IV)、(V)、(XIV)、(XV)、(XVI)、(XVIII)、(XIX)および(XXIII)のいずれか1つの化合物が提供される。好ましい基の式(I)の化合物に関連して上に記載される変数は、中間体化合物にも適用される。
【0054】
上で示されるように、本発明の化合物はGPR119アゴニストとして、例えば糖尿病の治療および/または予防に有用である。かかる使用のために、本発明の化合物は通常医薬組成物の形態で投与される。
【0055】
本発明の化合物はまた、デュアルGPR119アゴニスト/DPP−IV阻害剤として、例えば糖尿病の治療および/または予防に有用である。かかる使用のために、本発明の化合物は通常医薬組成物の形態で投与される。
【0056】
本発明はまた、薬剤として使用するための本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0057】
本発明はまた、本発明の化合物を医薬的に許容される担体との組み合わせで含む医薬組成物を提供する。
【0058】
好ましくは、該組成物は医薬的に許容される担体および無毒で治療上有効量の本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩を含む。
【0059】
さらに、本発明の化合物はまた、GPR119および適宜DPP−IVを調節し、糖尿病の治療または予防効果を得ることにより疾患の治療に有用であり、医薬的に許容される担体および無毒な治療上有効量の本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。
【0060】
該医薬組成物は別の治療上の成分またはアジュバントを適宜含んでいてもよい。該組成物は、経口、経直腸、局所、および非経口(例えば、皮下、筋肉内、静脈内)投与に適した組成物を含むが、与えられたいずれの例における大半の適切な経路は、特定のホスト、および活性成分が投与される目的の病態の性質ならびに重篤度に依存する。該医薬組成物は便宜上単位投与剤形で存在してもよく、製剤学分野で周知のいずれの方法により製造されてもよい。
【0061】
医療現場において、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩は、一般的な医薬品配合技法により活性成分として医薬的担体と緊密な混合物に組み合わせてもよい。該担体は、投与、例えば経口または非経口(静脈内を含む)投与のための製造形態に依存して、様々な形態を取り得る。
【0062】
故に、該医薬組成物は、各々が所定量の活性成分を含む経口投与に適した個別の単位、例えばカプセル剤、カシェ剤または錠剤として提供されてもよい。さらに、該組成物は、粉剤、顆粒剤、液剤、水性の液体による懸濁剤、非水性の液剤、水中油エマルジョン剤、または油中水液体エマルジョン剤として提供され得る。上で設定した一般的な投与剤形に加え、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩はまた、放出制御されるような方法および/または送達装置で投与されてもよい。該組成物はいずれの製剤学的方法により製造されてもよい。一般的に、かかる方法は、活性成分と、1つまたはそれ以上の必要成分を構成する担体を会合させる工程を含む。一般的に、該組成物は、活性成分と液体の担体または微細に破砕した固体の担体またはその混合物を均一かつ緊密に混合することにより製造される。生成物は次いで、目的の形態に便利に剤形化され得る。
【0063】
本発明の化合物または医薬的に許容される塩はまた、1つまたはそれ以上の別の治療上の活性成分と組み合わせて医薬組成物に含まれ得る。
【0064】
用いられ得る医薬的担体は、例えば、固体、液体または気体である。固体の担体の例は、乳糖、白土、ショ糖、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸である。液体の担体の例は、液糖、ピーナツ油、オリーブ油および水である。気体の担体の例は、二酸化炭素および窒素である。
【0065】
経口投与剤形の製造には、いずれの便利な媒体が用いられてもよい。例えば、水、グリセロール、油、アルコール、香料、保存剤、着色剤などが経口用液剤、例えば懸濁剤、エリキシル剤および液剤の製造に用いられてもよい;他方、デンプン、砂糖、結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などの担体は、経口用の固形製剤、例えば粉剤、カプセル剤および錠剤の製造に用いられてもよい。投与が簡便であるため、錠剤およびカプセル剤が好ましい経口投与単位であり、これには固体の医薬的担体が用いられる。適宜、錠剤は標準的な水性または非水性の技法によりコーティングされてもよい。
【0066】
本発明の化合物を含む錠剤は、適宜1つまたはそれ以上の付属の成分またはアジュバントと共に圧縮または成形して製造されてもよい。圧縮された錠剤は、適切な機械により、流動性のよい形状(free flowing form)、例えば粉末または顆粒の活性成分を、適宜結合剤、滑沢剤、不活性な希釈剤、界面活性剤または分散剤と混合して圧縮することにより製造されてもよい。成形錠剤は、適切な機械により、粉末の化合物を不活性な液体の希釈剤で湿潤させた混合物を成形して製造してもよい。各錠剤は、好ましくは、約0.05mgから約5gの活性成分を含み、各カシェ剤またはカプセル剤は、好ましくは約0.05mgから約5gの活性成分を含む。
【0067】
例えば、ヒトへの経口投与を意図する製剤は、総組成の約5から95%の適当で都合のよい量の担体原料を配合した約0.5mgから約5gの活性薬剤を含んでいてもよい。投与単位剤形は一般的に約1mgから約2gの活性成分、典型的には25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mgまたは1000mgを含む。
【0068】
非経口投与に適した本発明の医薬組成物は、活性成分を含んだ水溶液または水懸濁剤として製造されてもよい。適切な界面活性剤、例えばヒドロキシプロピルセルロースが含有され得る。グリセロール、液体ポリエチレングリコール、またはそれらの油混合物を用いて分散液を製造することもできる。さらに、微生物の有害な成長を防ぐために、保存剤を含んでいてもよい。
【0069】
注射による使用に適した本発明の医薬組成物は、滅菌水による水溶液または分散液を含む。さらに、該組成物は、かかる滅菌された注射用溶液または分散液の即時調製のための滅菌された粉末の形態を取っていてもよい。全ての場合において、最終的な注射用の形態は滅菌された状態でなくてはならず、簡単に注射できるような効果的な液体でなくてはならない。該医薬組成物は、製造および保存条件において安定でなくてはならず;故に、好ましくは、バクテリアや真菌による汚染作用から保護されるべきである。担体は例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、植物油、それらの適切な混合物を含む溶媒でも分散媒体でもよい。
【0070】
本発明の医薬組成物は、局所使用に適した剤形、例えば噴霧剤、クリーム剤、軟膏剤、ローション剤、散布剤などでもよい。さらに、該組成物は、経皮装置における使用に適した剤形でもよい。これらの製剤は、本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩を一般的な製造方法により含有する。例えば、クリーム剤または軟膏剤は親水性材料と水を、約5wt%から約10wt%の化合物と混合し、目的の固さを有するクリーム剤または軟膏剤を生成することにより製造される。
【0071】
本発明の化合物の医薬組成物は、経直腸投与に適した剤形(ここで、担体は固体である)でもよい。混合物が投与単位の座剤を形成することが望ましい。適切な担体は、例えばココアバターおよび該分野で一般的に用いられる別の材料である、座剤は便宜上、まず組成物を軟化または融解させた担体と混合し、次いで冷却、成形することにより製造されてもよい。
【0072】
前述の担体成分に加え、上記の医薬製剤は、適当な1つまたはそれ以上の追加の担体成分を希釈剤、緩衝剤、香料、結合剤、界面活性剤、増粘剤、滑沢剤、保存剤(抗酸化剤を含む)などを含んでいてもよい。さらに、該製剤を目的のレシピエントの血液と等張に保つために別のアジュバントを含んでいてもよい。本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩を含む組成物は、粉剤、または濃縮液剤の形態で製造されてもよい。
【0073】
一般的に、上で示した病態の治療には1日あたり約0.01mg/kgから約150mg/kg体重のオーダーの投与レベルが有用であり、あるいは1日あたり約0.5mgから約7gが有用である。例えば、肥満は1日あたり、体重1kgあたり約0.01から50mgの化合物の投与で効果的に治療され得、あるいは患者1日あたり約0.5mgから約3.5gである。
【0074】
しかしながら、いずれの特定の患者における特定の投与レベルは、様々な因子、例えば年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路、排泄速度、薬の組み合わせおよび治療下にある特定の疾患の重篤度に依存することは理解されるべきである。
【0075】
本発明の化合物は、GPR119および適宜DPP−IVが関連する病態または疾患の治療に使用され得る。
【0076】
故に、本発明はまた、GPR119および適宜DPP−IVが関与する疾患または病態の治療方法であって、治療上有効量の本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩を治療が必要な対象に投与することを特徴とする方法を提供する。かかる疾患または病態は、糖尿病、肥満、耐糖能障害、インスリン抵抗性および糖尿病合併症(例えば神経症、腎症、網膜症、白内障、心血管系合併症ならびに脂質代謝異常)である。また、摂取した脂肪に異常な感受性を有し機能性胃腸症を発症する患者の治療方法も提供される。本発明の化合物はまた、代謝性疾患、例えばメタボリックシンドローム(シンドロームX)、耐糖能障害、高脂血症、高トリグリセライド血症、高コレステロール血症、低HDLレベルおよび高血圧の治療に用いられ得る。
【0077】
本発明はまた、2型糖尿病の治療方法であって、治療上有効量の本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩を治療が必要な患者に投与することを特徴とする方法を提供する。
【0078】
本発明はまた、肥満、メタボリックシンドローム(シンドロームX)、耐糖能障害、高脂血症、高トリグリセライド血症、高コレステロール血症、低HDLレベルおよび高血圧の治療方法であって、治療上有効量の本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩を治療が必要な患者に投与することを特徴とする方法を提供する。
【0079】
本発明はまた、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩の、上と同義の病態の治療における使用を提供する。
【0080】
本発明はまた、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩の、上と同義の病態の治療薬の製造における使用を提供する。
【0081】
本発明の方法における用語「治療」は、治療的および予防的治療を含む。
【0082】
本発明の化合物は、糖尿病の治療のための既知の化合物または組み合わせに比べ、有利な性質を示し得る。
【0083】
本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩は、単独、または1つもしくはそれ以上の別の治療的に活性な化合物との組み合わせで投与されてもよい。別の治療的に活性な化合物は、本発明の化合物と同じ、または異なる疾患または病態の治療のためのものでもよい。治療的に活性な化合物は、同時、時間差、または別々に投与されてもよい。
【0084】
本発明の化合物は、肥満および/または糖尿病の治療のための別の活性な化合物、例えばインスリンならびにインスリンアナログ、胃リパーゼ阻害剤、膵リパーゼ阻害剤、スルホニル尿素およびそのアナログ、ビグアナイド系化合物(例えば、メトホルミン)、α2アゴニスト、グリタゾン、PPAR−γアゴニスト、PPAR−α/γアゴニスト混合物、RXRアゴニスト、脂肪酸酸化阻害剤、α−グルコシダーゼ阻害剤、β−アゴニスト、ホスホジエステラーゼ阻害剤、脂質低下剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、抗肥満薬(例えば、膵リパーゼ阻害剤、MCH−1アンタゴニストおよびCB−1アンタゴニスト(またはインバースアゴニスト))、アミリンアンタゴニスト、リポキシゲナーゼ阻害剤、ソモスタチンアナログ、グルコキナーゼ活性化剤、グルカゴンアンタゴニスト、インスリンシグナリングアゴニスト、PTP1B阻害剤、糖新生阻害剤、抗脂肪分解剤、GSK阻害剤、ガラニン受容体アゴニスト、食欲低下薬、CCK受容体アゴニスト、レプチン、セロトニン作動性/ドパミン作動性抗肥満薬、再取込み阻害剤(シブトラミン)、CRFアンタゴニスト、CRF結合タンパク質、甲状腺ホルモン様化合物、アルドース還元酵素阻害剤、グルココルチコイド受容体アンタゴニスト、NHE−1阻害剤またはソルビトール脱水素酵素阻害剤と共に投与されてもよい。
【0085】
本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩、および少なくとも1つの別の薬剤、例えば糖尿病または肥満の別の治療薬の組み合わせの療法は、本発明のさらなる態様を表す。
【0086】
本発明はまた、哺乳類(例えばヒト)における糖尿病の治療方法であって、治療上有効量の本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩、および別の薬剤、例えば糖尿病または肥満の別の1つの治療薬を治療が必要な哺乳類に投与することを特徴とする方法を提供する。
【0087】
本発明はまた、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩、および別の薬剤の糖尿病の治療における使用を提供する。
【0088】
本発明はまた、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩の、糖尿病の治療のために別の薬剤と組み合わせて用いる薬物の製造における使用を提供する。
【0089】
本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩、および別の薬剤は同時投与されてもよく、あるいは時間差もしくは別々に投与されてもよい。
【0090】
同時投与は、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩および別の薬剤を含む製剤の投与、または各薬剤の異なる製剤の同時もしくは時間差での投与を含む。本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩、および別の化合物の薬理学的プロファイルが許すなら、2つの薬剤の同時投与が好ましい。
【0091】
本発明はまた、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩、および別の化合物の糖尿病の治療のための薬物の製造における使用を提供する。
【0092】
本発明はまた、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩、および別の抗糖尿病薬、および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。本発明はまた、上記の方法におけるかかるその使用を包含する。
【0093】
本明細書中の全ての刊行物、例えば、限定されないが、本明細書中で引用される特許及び特許出願は、個々の刊行物が引用により完全に説明されたかのように具体的かつ個別に組み入れられるよう、引用によりここに取り込む。
【0094】
本発明は以下の実施例の言及により記載されるが、これは例示が目的であり、本発明の範囲の限定を意図するものではない。
【実施例】
【0095】
(材料および方法)
特に断らない限り、カラムクロマトグラフィはSiO2(40−63メッシュ)上で行われた。LCMSデータは以下のようにして得られた:Atlantis 3μC18カラム(3.0x20.0mM、流速=0.85ml/分)、0.1%HCOHを含むHO−MeCN溶液で6分間かけて溶出、UV検出220nm。グラジエント情報:0.0−0.3分、100%HO;0.3−4.25分:10%HO−90%MeCNに上昇;4.25−4.4分:100%MeCNに上昇;4.4−4.9分:100%MeCNでホールド;4.9−6.0分:100%HOに戻す。質量スペクトルデータはpositive(ES)またはnegative(ES)イオンモードのエレクトロスプレーイオン化ソースを用いて得た。
【0096】
LCMS−方法2のデータは以下のようにして得た:Xbridge C18カラム(2.1x50mM、2.5μM、流速0.8ml/分)、MeCN−10mM NHHCO溶液で1.5分間かけて溶出、UV検出215−350nm。グラジエント情報:0−0.8分:98%MeCN 2%NHHCOから98%NHHCO 2%MeCN;0.8−1.2分:98%NHHCO 2%MeCNでホールド。質量スペクトルはpositive(ES)モードのエレクトロスプレーイオン化ソースを用いて得た。
【0097】
LCMS−方法3のデータは以下のようにして得た:Xbridge C18カラム(2.1x5.0mM、2.55μM、流速0.8ml/分)、MeCN−10mM NHHCO溶液で5分間かけて溶出、UV検出215−350nm。グラジエント情報:0−4分:98%MeCN 2%NHHCOから98%NHHCO 2%MeCN;4−4.6分:98%NHHCO 2%MeCNでホールド。質量スペクトルはpositive(ES)モードのエレクトロスプレーイオン化ソースを用いて得た。
【0098】
LCMS−方法4のデータは以下のようにして得た:Xbridge C18カラム(3.0x150mM、5μM、流速1.0ml/分)、MeCN−10mM NHHCO溶液で5分間かけて溶出、UV検出215−350nm。グラジエント情報:0−0.1分:5%MeCN 95%NHHCOでホールド;0.1−3.0分:5%MeCN 95%NHHCOから5%NHHCO 95%MeCN;3.0−3.9分:5%NHHCO 95%MeCN。質量スペクトルはpositive(ES)モードのエレクトロスプレーイオン化モードを用いて得た。
【0099】
キラル−HPLCはDaicel chiralpak IA 250x20mm、5μMカラムを用いて得た。
【0100】
略語および頭字語:AcOH:酢酸;atm:雰囲気;BA:n−ブチルアミン;CHCl:クロロホルム;DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン;DCM:ジクロロメタン;DEA:ジエチルアミン;DIPEA: ジイソプロピルエチルアミン;DMAP:ジメチルピリジン−4−イルアミン;DMF:ジメチルホルムアミド;DMSO:ジメチルスルホキシド;EDCI:(3−ジメチルアミノプロピル)エチルカルボジイミド塩酸塩;EtOAc:酢酸エチル;EtO:ジエチルエーテル;EtOH:エタノール;h:時間;HCl:塩酸得;HCOH:ギ酸;H2O:水;HOBt:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物;HPLC:高速液体クロマトグラフィ;IH:イソヘキサン;IMS:工業用変性アルコール;IPA:イソプロピルアルコール;M:モル濃度;MeCN:アセトニトリル;MeOH:メタノール;MgSO:硫酸マグネシウム;min:分;MTBE:メチル−tert−ブチルエーテル;NaHCO:炭酸水素ナトリウム;NaCO:炭酸ナトリウム;NaOH:水酸化ナトリウム;NaSO:硫酸ナトリウム;NH:アンモニア;NHHCO:炭酸水素アンモニウム;NHOH:水酸化アンモニウム;Pd:パラジウム;RT:保持時間;r.t.:室温;sat:飽和;SCX:強陽イオン交換レジン;SiO:シリカゲル;THF:テトラヒドロフラン;TFA:トリフルオロ酢酸;TFAA:トリフルオロ酢酸無水物;TsOH:p−トルエンスルホン酸一水和物
【0101】
以下の化合物の合成は他で記載されている:4−(N−ヒドロキシカルバムイミドイルメトキシ)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル:Bradley et. al., WO2007/003961;4−((R)−1−カルボキシエトキシ)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル:Bertram et. al, WO2007/116229;(3S,4S)−3,4−ジアジド−1−ベンジルピロリジン:Benbow et. al., WO2007/148185。別の全ての化合物は市販のものである。
【0102】
製造1:4−[5−(6−クロロピリジン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルメトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化18】

6−クロロニコチン酸(500mg、3.17mmol)のTHF(25mL)溶液にEDCI(0.74g、3.89mmol)、次いでHOBt(583mg、3.81mmol)を加え、反応物を室温で10分間撹拌した。4−(N−ヒドロキシカルバムイミドイルメトキシ)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(866mg、3.17mmol)を加え、反応物を室温で16時間撹拌し、溶媒を減圧除去した。得られた残渣をEtOAc(100mL)および水(50mL)で分液処理した。有機相を分離し、飽和NaHCO溶液、次いでブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、次いで溶媒を減圧除去した。残渣をトルエンに溶解し、反応液を110℃で16時間加熱した。溶媒を減圧除去し、カラムクロマトグラフィ(IH:EtOAc、70:30)で精製し、表題化合物を得た:保持時間= 3.97 分 ; m/z (ES+) = 395.2 [M + H]+.
【0103】
製造2:4−[5−(2−クロロピリミジン−5−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルメトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化19】

2−クロロピリミジン−5−カルボン酸(100mg、0.63mmol)のTHF(10mL)溶液に1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(99μL、0.63mmol)を加え、反応物を室温で10分間撹拌した。4−(N−ヒドロキシカルバムイミドイルメトキシ)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(172mg、0.63mmol)を加え、混合物を室温で72時間撹拌した。反応溶媒を減圧除去し、得られた残渣をEtOAc(100mL)に再溶解した。有機混合物を水、次いでブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を減圧除去した。得られた残渣をトルエンに溶解し、80℃で16時間加熱した。溶媒を減圧除去し、カラムクロマトグラフィ(IH:EtOAc、60:40)で精製し、表題化合物を得た:保持時間= 3.77 分 ; m/z (ES+) = 396.1 [M + H]+.
【0104】
製造3:4−[3−(6−クロロピリジン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化20】

4−カルボキシメトキシピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.51g、5.83mmol)のTHF(40mL)溶液にEDCI(1.11g、6.99mmol)、次いでHOBt(0.95g、6.99mmol)を加え、反応物を室温で10分間撹拌した。6−クロロ−N−ヒドロキシニコチンアミジン(1.00g、5.83mmol)を加え、反応物を室温で17時間撹拌し、溶媒を減圧除去した。得られた残渣をEtOAc(200mL)および水(100mL)で分液処理し、次いで有機相を分離し、飽和NaHCO溶液(100mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を減圧除去した。残渣をトルエンに溶解し、20時間加熱還流し、溶媒を減圧除去し、生成物をEtOAc(200mL)に再溶解した。溶液を水(100mL)、次いでブライン(50mL)で洗浄し、乾燥した(MgSO)。溶媒を減圧除去し、EtOAc/IHから再結晶化し、表題化合物を得た:保持時間= 4.02 分 ; m/z (ES+) = 395.1 [M + H]+.
【0105】
製造4:4−{(R)−1−[3−(6−クロロピリジン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]エトキシ}ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化21】

製造3で説明される方法を用い、表題化合物を4−((R)−1−カルボキシエトキシ)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルと6−クロロ−N−ヒドロキシニコチンアミジンの反応により製造した:保持時間= 4.20 分 ; m/z (ES+) = 409.2 [M + H]+.
【0106】
製造5:4−[5−(6−クロロピリジン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルメトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【化22】

HClのジオキサン(4M、10mL)溶液中の4−[5−(6−クロロピリジン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルメトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製造1、578mg、1.47mmol)を2時間撹拌し、溶媒を減圧除去した。該生成物のDCM(20mL)溶液にトリエチルアミン(0.66mL、4.70mmol)を加え、混合物を0℃に冷却した。クロロギ酸イソプロピルのトルエン(1M、1.76mL、1.76mmol)溶液を滴下して加え、次いで得られた反応物を室温で16時間撹拌した。粗混合物をDCM(100mL)で希釈し、水(50mL)、飽和NaCO溶液(50mL)およびブラインで洗浄し、乾燥した(MgSO)。溶媒を減圧除去し、表題化合物を得た:保持時間= 3.75 分 ; m/z (ES+) = 381.2 [M + H]+.
【0107】
以下の化合物は、製造5で説明される方法を用い、適当なtert−ブチルカルバメート保護化合物から製造された:
【表1】

【0108】
製造9:4−((R)−1−カルボキシエトキシ)ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【化23】

炉乾燥したフラスコ内、アルゴン下の4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(10.0g、53.4mmol)のTHF(100mL)溶液を0℃に冷却した。水素化ナトリウム(60%/ミネラル油、8.55g、213.6mmol)を少量ずつ加え、得られた混合物を0℃で1時間撹拌し、次いで室温で30分間撹拌した。反応物に(S)−2−ブロモプロピオン酸(4.82g、53.4mmol)のTHF(40mL)溶液を30分間かけて滴下して加え;次いでさらにTHF(60mL)を加え、混合物を室温で16時間撹拌した。水を注意深く加えて反応をクエンチし、THFを減圧除去した。得られた水性の混合物をEtOで洗浄し、2M HClでpH1に酸性化した。混合物をEtOAc(2x150mL)で抽出し、次いで有機画分を合わせ、乾燥し、(MgSO)、溶媒を減圧除去し、表題化合物を得た:1H NMR δH (400MHz , CDCl3): 4.97 - 4.86 (m, 1H), 4.19 - 4.09 (m, 1H), 3.89 - 3.79 (m, 2H), 3.66 - 3.58 (m, 1H), 3.18 - 3.08 (m, 2H), 1.91 - 1.80 (m, 2H), 1.65 - 1.50 (m, 2H), 1.47 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 1.26 - 1.22 (m, 6H).
【0109】
製造10:4−((R)−1−カルバモイルエトキシ)ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【化24】

炉乾燥したフラスコ内、アルゴン下の4−((R)−1−カルボキシエトキシ)ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造9、200mg、0.77mmol)のTHF(10mL)溶液にEDCI(177mg、0.93mmol)、次いでHOBt(126mg、0.93mmol)を加え、反応物を室温で10分間撹拌した。NHのジオキサン(0.5M、15μL、7.72mmol)溶液を加え、反応物を室温で24時間撹拌した。溶媒を減圧除去し、得られた残渣をEtOAc(75mL)および水(25mL)で分液処理した。有機層を除去し、飽和NaHCO溶液(25mL)、次いでブライン(25mL)で洗浄し、乾燥した(MgSO)。溶媒を減圧除去し、カラムクロマトグラフィ(IH:EtOAc、5:95、0:100)で精製し、表題化合物を得た:保持時間= 2.49 分 ; m/z (ES+) = 259.2 [M + H]+.
【0110】
製造11:4−((R)-シアノメチルメトキシ)ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【化25】

炉乾燥したフラスコ内、アルゴン下の4−((R)−1−カルバモイルエトキシ)ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造10、200mg、0.78mmol)のTHF溶液を0℃に冷却した。該溶液にトリエチルアミン(320μL、2.34mmol)、次いでTFAA(165μL、1.16mmol)を加え、混合物をこの温度において1時間撹拌した。水を加えて反応をクエンチし、混合物をDCM(100mL)で抽出した。有機画分をブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を減圧除去し、表題化合物を得た:保持時間= 3.62 分 ; m/z (ES+) = 240.1 [M + H]+.
【0111】
製造12:4−[(R)−1−(N−ヒドロキシカルバムイミドイル)エトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸 イソプロピルエステル
【化26】

4−((R)-シアノメチルメトキシ)ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造11、51mg、0.02mmol)のEtOH(5mL)溶液にヒドロキシルアミン(50%重量/水、470μL、0.02mmol)を加え、反応物を80℃で16時間加熱した。混合物を減圧濃縮し、残渣をトルエン(x3)で共沸し、表題化合物を得た:保持時間= 2.02 分 ; m/z (ES+) = 274.1 [M + H]+.
【0112】
以下の化合物は、製造2で説明される方法を用い、4−[(R)−1−(N−ヒドロキシカルバムイミドイル)エトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造12)と適当なカルボン酸の反応により製造された:
【表2】

【0113】
製造15:3−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−ニトロブタン酸メチルエステル
【化27】

(2E)−3−(2,5−ジフルオロフェニル)アクリル酸(21.10g、114.7mmol)のDCMおよびMeOH(DCM:MeOH、4:1、250mL)混合物溶液にトリメチルシリルジアゾメタン(2M/EtO、57.34mL、114.7mmol)の溶液を15分間かけて加え、反応完了まで反応物を室温で撹拌した。反応混合物が無色になるまでAcOHを滴下して加え、次いで溶媒を減圧除去した。残渣をMeCN(114mL)に再溶解し、ニトロメタン(7.45mL、137.6mmol)を加えた。混合物を0℃に冷却し、DBU(17.49mL、117.0mmol)を30分間かけて滴下して加えた。反応物を室温に昇温し、16時間撹拌した。溶媒を減圧除去し、カラムクロマトグラフィ(IH:EtOAc、95:5、90:10)で精製し、表題化合物を得た:1H NMR δH (400MHz, CDCl3): 7.18 - 7.00 (m, 3H), 4.91 - 4.77 (m, 2H), 4.27 - 4.17 (m, 1H), 3.75 (s, 3H), 2.91 (m, 2H).
【0114】
製造16:(トランス)−1−ベンジル−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−5−ニトロピペリジン−2−オン
【化28】

3−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−ニトロブタン酸メチルエステル(製造15、16.27g、62.81mmol)、パラホルムアルデヒド(1.94g、64.63mmol)およびベンジルアミン(13.7mL、125.62mmol)のEtOH混合物を密閉チューブ内において90℃で16時間加熱した。反応完了後、混合物をEtOAc(400mL)および2M HCl(600mL)で分液処理した。有機画分を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を減圧除去した。カラムクロマトグラフィ(IH:EtOAc、70:30)で精製し、表題化合物を得た:保持時間= 3.72分; m/z (ES+) = 347.1 [M + H]+.
【0115】
製造17:(トランス)−1−ベンジル−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−ニトロピペリジン塩酸塩
【化29】

アルゴン下の(トランス)−1−ベンジル−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−5−ニトロピペリジン−2−オン(製造16、10.44g、30.17mmol)のTHF(90mL)溶液にボラン−ジメチルスルフィド錯体(2.0M/DCM、45.3mL、90.60mmol)を加え、反応物を70℃で3時間加熱した。室温に冷却後、混合物をMeOH(20mL)で希釈し、次いで1M HCl(30mL)を加えた。混合物を10分間撹拌し、溶媒を減圧除去した。MeOH(20mL)および1M HCl(20mL)をさらに加え、反応物を10分間撹拌した。溶媒を減圧除去し、表題化合物を得た:保持時間= 3.30分; m/z (ES+) = 333.1 [M + H]+.
【0116】
製造18:[(3R,4R)−1−ベンジル−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピペリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化30】

(トランス)−1−ベンジル−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−ニトロピペリジン塩酸塩(製造17、11.12g、30.17mmol)および亜鉛末(15.69g、241.36mmol)のAcOH(55mL)およびEtOH(55mL)混合物溶液を80℃に加熱した。反応完了後、混合物を濾過し、溶媒を減圧除去した。得られた残渣のMeOH(30mL)溶液にHCl/ジオキサン(4M、30mL)を加え、溶媒を減圧除去した。該物質をEtO(x2)、次いでトルエン(x3)でトリチュレートし、アミンを塩酸塩として得た。生成物のTHF(150mL)および水(75mL)溶液を0℃に冷却し、トリエチルアミン(12.6mL、90.51mmol)、次いでジ炭酸ジ−tert−ブチル(9.59g、45.26mmol)を加えた。反応物を室温に昇温し、反応完了まで16時間撹拌した。混合物をEtOAc(750mL)および水(200mL)で分液処理し、有機相を分離した。水相をEtOAc(500mL)で抽出し、有機画分を合わせ、乾燥し(MgSO)、溶媒を減圧除去した。カラムクロマトグラフィ(IH:EtOAc、80:20)、さらにキラルHPLC(IH:IPA:DEA 90:10:0.1、15ml/分、270nm、保持時間= 9.8分)で精製し、表題化合物を得た:保持時間= 2.68分; m/z (ES+) = 403.2 [M + H]+.
【0117】
製造19:[(3R,4R)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピペリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化31】

[(3R,4R)−1−ベンジル−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピペリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(製造18、1.89g、4.70mmol)のMeOH(94mL)溶液をH−Cube装置(10% pd/C Catcart 70、30バール、80℃)に流速1mL/分で通した。溶媒を減圧除去し、表題化合物を得た:保持時間= 2.37 分; m/z (ES+) = 313.2[M + H]+.
【0118】
製造20:2−メトキシピリミジン−5−カルボニトリル
【化32】

炉乾燥したフラスコ内の5−ブロモ−2−メトキシピリミジン(2.55g、13.49mmol)およびシアン化亜鉛(1.90g、16.19mmol)のDMF(40mL)溶液にパラジウムテトラキス(4.68g、4.05mmol)を加え、混合物をアルゴンで10分間バブルし、反応完了まで85℃で加熱した。反応溶媒を減圧濃縮し、残渣をEtOAc(300mL)および水(200mL)で分液処理した。有機層を分離し、水層をEtOAc(2x150mL)で抽出した。有機画分を合わせ、飽和NaHCO溶液(2x100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、乾燥した(MgSO)。溶媒を減圧除去し、カラムクロマトグラフィ(IH:DCM、1:9、DCM、DCM:MeOH、95:5)で精製し、表題化合物を得た:1H NMR δH (400MHz , CDCl3): 8.80 (s, 2H), 4.12 (s, 3H)
【0119】
製造21:N−ヒドロキシ−2−メトキシピリミジン−5−カルボキシアミジン
【化33】

2−メトキシピリミジン−5−カルボニトリル(製造20、1.21g、9.01mmol)のEtOH(50mL)溶液にヒドロキシルアミン(50%重量/水、0.65mL、9.91mmol)を加え、反応物を65℃で16時間加熱した。混合物を減圧濃縮し、表題化合物を得た:保持時間= 0.85 分 ; m/z (ES+) = 169.0 [M + H]+.
【0120】
製造22:4−[3−(2−メトキシピリミジン−5−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化34】

4−カルボキシメトキシピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.08g、4.16mmol)のTHF(30mL)溶液にEDCI(0.96g、5.00mmol)、次いでHOBt(0.77g、5.00mmol)を加え、反応物を室温で15分間撹拌した。N−ヒドロキシ−2−メトキシピリミジン−5−カルボキシアミジン(製造21、0.70g、4.16mmol)を加え、反応物を室温で16時間撹拌し、溶媒を減圧除去した。得られた残渣をEtOAc(50mL)および水(50mL)で分液処理し、有機相を分離し、飽和NaHCO溶液(50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を減圧除去した。残渣をトルエン(30mL)に溶解し、完了まで85℃で加熱した。溶媒を減圧除去し、表題化合物を得た:保持時間= 3.58 分 ; m/z (ES+) = 392.2 [M + H]+.
【0121】
製造23:4−[3−(2−メトキシピリミジン−5−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【化35】

4−[3−(2−メトキシピリミジン−5−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製造22、1.33g、3.40mmol)のジオキサン(10mL)溶液にHCl/ジオキサン(4M、2.55mL、10.19mmol)を加え、反応物を室温で4時間撹拌した。HCl/ジオキサン(7.5mL、30mmol)のさらなる一部を加え、撹拌を72時間続けた。溶媒を減圧除去し、中間体生成物2−メトキシ−5−[5−(ピペリジン−4−イルオキシメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]ピリミジン塩酸塩を得た:保持時間= 1.95 分 ; m/z (ES+) = 292.1 [M + H]+.
該生成物のDCM(20mL)懸濁液にトリエチルアミン(0.99mL、7.11mmol)を加え、混合物を0℃で加熱した。クロロギ酸イソプロピル(1M/トルエン、3.73mL、3.73mmol)を20分間かけて滴下して加え;反応物を室温でさらに2時間撹拌した。混合物をDCM(50mL)および水(50mL)で分液処理し、有機相を分離した。水相をDCM(100mL)で抽出し、有機画分を合わせ、ブライン(100mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を減圧除去した。カラムクロマトグラフィ(DCM:MeOH、98:2、97:3、96:4)で精製し、表題化合物を得た:保持時間= 3.44 分 ; m/z (ES+) = 378.2 [M + H]+.
【0122】
製造24:4−[3−(2−ヒドロキシピリミジン−5−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【0123】

アルゴン雰囲気下の4−[3−(2−メトキシピリミジン−5−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造23、885mg、2.34mmol)のMeCN(30mL)溶液にヨウ化ナトリウム(1054mg、7.03mmol)、次いでトリメチルシリルクロリド(893μL、7.03mmol)を加え、反応物を65℃で16時間加熱した。混合物をEtOAc(100mL)および飽和チオ硫酸ナトリウム溶液(100mL)で分液処理し、有機相を分離した。水相をEtOAc(2x50mL)で抽出し、有機画分を合わせ、ブライン(100mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を減圧除去した。カラムクロマトグラフィ(DCM:MeOH、100:0、98:2、96:4、94:6)で精製し、表題化合物を得た:保持時間= 2.76 分 ; m/z (ES+) = 364.2 [M + H]+.
【0124】
製造25:4−[3−(2−クロロピリミジン−5−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【化36】

アルゴン下の4−[3−(2−ヒドロキシピリミジン−5−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造24、199mg、0.55mmol)のオキシ塩化リン(6mL)溶液にN,N−ジメチルアミノアニリン(90μL、0.71mmol)を加え、混合物を50℃で5時間加熱した。氷(50mL)を滴下して反応をクエンチし、有機物をDCM(3x50mL)に抽出した。有機画分を合わせ、ブライン(50mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を減圧除去した。カラムクロマトグラフィ(DCM:MeOH、97:3)で精製し、表題化合物を得た:保持時間= 3.71 分 ; m/z (ES+) = 382.1 [M + H]+.
【0125】
製造26:4−{(R)−1−[3−(2−メトキシピリミジン−5−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]エトキシ}ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【化37】

製造22で説明される方法を用い、4−((R)−1−カルボキシエトキシ)ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造9)をN−ヒドロキシ−2−メトキシピリミジン−5−カルボキシアミジン(製造21)と反応させた。カラムクロマトグラフィ(DCM:MeOH、97:3)で精製し、表題化合物を得た:保持時間= 3.55 分 ; m/z (ES+) = 392.2 [M + H]+.
【0126】
製造27:4−{(R)−1−[3−(2−ヒドロキシピリミジン−5−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]エトキシ}ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【化38】

製造24で説明される方法を用い、表題化合物を4−{(R)−1−[3−(2−メトキシピリミジン−5−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]エトキシ}ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造26)から製造した:保持時間= 2.87 分 ; m/z (ES+) = 378.2 [M + H]+.
【0127】
製造28:4−{(R)−1−[3−(2−クロロピリミジン−5−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]エトキシ}ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【化39】

製造25で説明される方法を用い、4−{(R)−1−[3−(2−ヒドロキシピリミジン−5−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]エトキシ}ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造27)から表題化合物を製造した:保持時間= 3.82 分 ; m/z (ES+) = 396.1 [M + H]+.
【0128】
製造29:(トランス)−3−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化40】

(トランス)−3−アミノ−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(2.00g、7.13mmol)およびトリエチルアミン(1.59mL、11.40mmol)のジオキサンおよび水(2:1、75mL)混合物溶液を0℃に冷却し、クロロギ酸9−フルオレンイルメチル(2.31g、8.92mmol)を加えた。反応物を室温に昇温し、16時間撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し、次いで該溶液を水、1M HCl、飽和NaHCO溶液、ブラインで洗浄し、乾燥した(MgSO)。溶媒を減圧除去し、カラムクロマトグラフィ(IH:EtOAc、90:10、80:20、70:30)で精製し、表題化合物を得た:保持時間= 4.28分; m/z (ES+) = 503.3 [M + H]+.
【0129】
製造30:[(トランス)−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸9H−フルオレン−9−イルメチルエステル塩酸塩
【化41】

(トランス)−3−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製造29、1.50g、2.98mmol)のジオキサン(30mL)溶液にHClのジオキサン(4M、30mL)溶液を加え、反応物を室温で16時間撹拌し、この後、沈殿物が生じた。それ以上沈殿が観察されなくなるまでEtOを混合物に加え、溶媒をデカントした。残渣をさらなるEtOに懸濁し、混合物を5分間撹拌し、溶媒をデカントした。この工程をさらに2回繰り返し、得られた残渣を濃縮乾燥し、表題化合物を得た:保持時間= 2.82分; m/z (ES+) = 403.1 [M + H]+.
【0130】
製造31:(3R,4S)−3−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化42】

(トランス)−3−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製造29)のキラルHPLC分離により表題化合物を得た:IH:CHCl:IPA:DEA 85:10:5:0.1、15ml/分、270nm、保持時間=9.4分.
【0131】
製造32:[(3R,4S)−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸 9H−フルオレン−9−イルメチルエステル塩酸塩
【化43】

製造30で説明される方法を用い、(3R,4S)−3−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製造31)から表題化合物を得た:保持時間= 2.82分; m/z (ES+) = 403.1 [M + H]+.
【0132】
製造33:2,4−ジフルオロ−1−((E)−2−ニトロビニル)ベンゼン
【化44】

アルゴン下の2,4−ジフルオロベンズアルデヒド(25.0g、0.18mol)およびニトロメタン(11.4mL、0.21mol)のMeOH(53mL)溶液を−15℃に冷却し、NaOH(7.4g、0.19mol)の水(26mL)溶液を20分間かけて滴下して加えた。得られた混合物を−15℃で撹拌し、30分後、沈殿物が生じた。さらにMeOHを加えてスラリーを形成し、撹拌を15分間続け、反応物を0℃に昇温した。氷水を加え、混合物を15分間撹拌し、4M HCl(100mL)を加えた。有機画分をDCM(3x300mL)で抽出し、乾燥し(NaSO)、溶媒を減圧除去した。残渣の一部(10.0g、50mmol)を酢酸無水物(8.1mL、90mol)に溶解し、アルゴン下で0℃に冷却した。DMAP(0.4g、3mmol)を加え、反応物をこの温度において20分間撹拌し、室温に昇温し、さらに16時間撹拌した。反応溶媒を減圧除去し、得られた残渣をDCMに再溶解した。少量の1M NaOH溶液を加えて残存している酢酸無水物を壊し、次いで得られた溶液を乾燥し(MgSO)、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィ(DCM)で精製し、表題化合物を得た:保持時間= 3.60 分; m/z (ES+) = 186.1 [M + H]+.
【0133】
製造34:(トランス)−1−ベンジル−3−(2,4−ジフルオロフェニル)−4−ニトロピロリジン
【化45】

アルゴン下の2,4−ジフルオロ−1−((E)−2−ニトロビニル)ベンゼン(製造33、8.0g、43.0mmol)のDCM(250mL)溶液を−30℃に冷却した。温度を30℃に維持するようにN−(メトキシメチル)−N−(トリメチルシリルメチル)ベンジルアミン(11.7mL、45.0mmol)を加えた。反応物を10分間撹拌し、TFA(0.3mL、4.3mmol)を加え、得られた混合物を室温で16時間以上撹拌した。反応混合物を水、次いでブラインで洗浄し、乾燥した(NaSO)。溶媒を減圧除去し、表題化合物を得た:保持時間= 3.05 分; m/z (ES+) = 319.1 [M + H]+.
【0134】
製造35:[(トランス)−1−ベンジル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化46】

AcOHおよびEtOH(1:1、500mL)混合物中の(トランス)−1−ベンジル−3−(2,4−ジフルオロフェニル)−4−ニトロピロリジン(製造34、25.0g、0.08mol)および亜鉛末(17.8g、0.28mol)混合物を70℃に加熱した。45時間後、さらなる亜鉛末(12.0g、0.18mol)を加え、加熱を20分間続けた。反応完了後、溶媒を減圧除去した。得られた残渣をEtOAcに再溶解し、飽和NaHCO溶液、次いでブラインで洗浄し、乾燥した(NaSO)。溶媒を減圧除去し、中間体生成物(トランス)−1−ベンジル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イルアミンを得た:保持時間= 1.82 分; m/z (ES+) = 289.1 [M + H]+.
アルゴン下の該生成物のTHF(400mL)溶液にトリエチルアミン(20.4mL、0.15mol)を加え、溶液を0℃に冷却した。ジ炭酸ジ−tert−ブチル(19.0g、0.09mol)を5分間かけて加え;反応物を16時間かけて室温に昇温した。溶媒を減圧除去し、次いで得られた残渣をEtOAcに再溶解し、ブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、溶媒を減圧除去した。該生成物にヘプタン(100mL)を加え、完全に溶解するまで該懸濁液を超音波処理した。溶液を60時間静置し、沈殿を形成させた。溶媒をデカントし、固形物を新鮮な一部分のヘプタン(50mL)で洗浄し、表題化合物を得た:保持時間= 2.74 分; m/z (ES+) = 389.3 [M + H]+.
【0135】
製造36:[(3R,4S)−1−ベンジル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化47】

[(トランス)−1−ベンジル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステル(製造35)のキラルHPLC分離により表題化合物を得た:IH:IPA:DEA 96:4:0.1、15ml/分、270nm、保持時間=9.8分.
【0136】
製造37:[(3R,4S)−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化48】

製造19で説明される方法(ただし、圧力は10バール、温度は50℃)を用い、表題化合物を[(3R,4S)−1−ベンジル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(製造36)から製造した:保持時間= 2.38 分; m/z (ES+) = 299.1 [M + H]+.
【0137】
製造38:4−((R)−1−{5−[6−(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)ピリダジン−3−イル]−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル}エトキシ)ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【化49】

6−クロロピリダジン−3−カルボン酸(60mg、0.38mmol)のTHF(10mL)溶液にEDCI(107mg、0.46mmol)、次いでHOBt(69mg、0.46mmol)を加え、反応物を室温で15分間撹拌した。4−[(R)−1−(N−ヒドロキシカルバムイミドイル)エトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造12、103mg、0.38mmol)を加え、撹拌を4時間続け、溶媒を減圧除去した。得られた残渣をEtOAcおよび水で分液処理し、次いで有機相を分離し、飽和NaHCO溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を減圧除去した。残渣をトルエンに溶解し、16時間加熱還流し、溶媒を減圧濃縮し、該生成物をEtOAcに再溶解した。該溶液を水、次いでブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を減圧除去した。カラムクロマトグラフィ(IH:EtOAc、1:1)による精製により表題化合物を得た:保持時間= 3.87 分 ; m/z (ES+) = 495.2 [M + H]+.
【0138】
製造39:3−((R)−1−カルボキシエトキシ)アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化50】

アルゴン下の3−ヒドロキシアゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(3.00g、17.32mmol)のTHF(50mL)溶液を0℃に冷却し、水素化ナトリウム(60%/ミネラル油、0.76g、18.98mmol)を10分間かけて少量ずつ加えた。反応物を室温で72時間撹拌し、次いで水(50mL)を加えた。混合物をEtOAc(2x100mL)で洗浄し、得られた水溶液を2M HClでpH1に酸性化した。混合物をEtOAc(3x80mL)で抽出し、有機画分を合わせ、ブライン(100mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を減圧除去し、表題化合物を得た:1H NMR δH (400MHz, CDCl3): 4.40 - 4.31 (m, 1H), 4.16 - 4.08 (m, 2H), 4.04 - 3.93 (m, 2H), 3.90 - 3.85 (m, 1H), 1.48 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 1.44 (s, 9H).
【0139】
製造40:3−((R)−1−メトキシカルボニルエトキシ)アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化51】

0℃に冷却した3−((R)−1−カルボキシエトキシ)アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製造39、3.29g、13.40mmol)のトルエンおよびMeOH(4:1、25mL)混合物溶液にトリメチルシリルジアゾメタン(2M/ヘキサン、8.71mL、17.42mmol)を5分間かけて滴下して加えた。反応物をこの温度において30分間撹拌し、AcOH(1mL)を加えてクエンチした。溶媒を減圧除去し、カラムクロマトグラフィ(DCM:MeOH、100:0、98:2、95:5)による精製により、表題化合物を得た:1H NMR δH (400MHz, CDCl3): 4.35 - 4.27 (m, 1H), 4.13 - 4.04 (m, 2H), 3.99 - 3.91 (m, 2H), 3.87 - 3.82 (m, 1H), 3.75 (s, 3H), 1.44 - 1.41 (m, 12H).
【0140】
製造41:(R)−2−(アゼチジン−3−イルオキシ)プロピオン酸メチルエステル トリフルオロ酢酸塩
【化52】

アルゴン下、0℃に冷却した3−((R)−1−メトキシカルボニルエトキシ)アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製造40、2.69g、10.37mmol)のDCM(50mL)溶液にTFA(10mL)を加え、反応物をこの温度において1時間撹拌した。TFAのさらなる一部(2mL)を加え、撹拌を30分間続けた。溶媒を減圧除去し、表題化合物を得た:1H NMR δH (400MHz, DMSO-d6): 4.51 - 4.43 (m, 1H), 4.24 - 4.17 (m, 1H), 4.16 - 4.08 (m, 2H), 3.96 - 3.83 (m, 2H), 3.66 (s, 3H), 1.30 (d, J = 6.6 Hz, 3H).
【0141】
製造42:3−((R)−1−メトキシカルボニルエトキシ)アゼチジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【化53】

アルゴン下の(R)−2−(アゼチジン−3−イルオキシ)プロピオン酸メチルエステルトリフルオロ酢酸塩(製造41、1.42g、5.19mmol)のDCM(20mL)溶液を0℃に冷却した。トリエチルアミン(1.66mL、11.93mmol)、次いでクロロギ酸イソプロピル(1M/トルエン、6.22mL、6.22mmol)の溶液を滴下して加え、反応物をこの温度において2時間撹拌した。混合物をDCM(30mL)で希釈し、1M HCl(30mL)、飽和NaHCO溶液(30mL)、次いでブライン(30mL)で洗浄し、乾燥した(MgSO)。溶媒を減圧除去し、カラムクロマトグラフィ(DCM:MeOH、99:0、98:2)で精製し、表題化合物を得た:1H NMR δH (400MHz, CDCl3): 4.94 - 4.86 (m, 1H), 4.38 - 4.30 (m, 1H), 4.17 - 4.09 (m, 2H), 4.01 - 3.94 (m, 2H), 3.91 - 3.86 (m, 1H), 3.76 (s, 3H), 1.43 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 1.22 (d, J = 6.2 Hz, 6H).
【0142】
製造43:3−((R)−1−カルボキシエトキシ)アゼチジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【化54】

0℃に冷却した3−((R)−1−メトキシカルボニルエトキシ)アゼチジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造42、829mg、3.38mmol)のTHF(6mL)溶液に水(1.5mL)、次いで水酸化リチウム一水和物(298mg、7.10mmol)を加え、得られた混合物をこの温度において3時間撹拌した。反応物を減圧濃縮し、次いで水(15mL)を加え、溶液をEtOAc(20mL)で精製した。1M HClで水相をpH1に酸性化し、EtOAc(2x30mL)で抽出した。有機画分を合わせ、水(20mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を減圧除去し、表題化合物を得た:1H NMR δH (400MHz, DMSO-d6): 4.77 - 4.66 (m, 1H), 4.39 - 4.31 (m, 1H), 4.08 - 4.00 (m, 2H), 3.99 - 3.92 (m, 1H), 3.77 - 3.66 (m, 2H), 1.28 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.15 (d, 6H).
【0143】
製造44:2,5−ジフルオロ−1−((E)−2−ニトロビニル)ベンゼン
【化55】

製造33で説明される方法を用いて2,5−ジフルオロベンズアルデヒドから表題化合物を製造した。DMAPとの反応後、粗混合物を飽和NaHCO溶液で希釈した。生じた沈殿物を30分間撹拌し;濾過し、乾燥し、表題化合物を得た:1H NMR δH (300MHz, CDCl3): 8.00 - 7.96 (m, 1H), 7.71 - 7.66 (m, 1H), 7.25 - 7.11 (m, 3H).
【0144】
製造45:(トランス)−1−ベンジル−3−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−ニトロピロリジン
【化56】

製造34で説明される方法を用い(ただし、反応は0℃で行った)、表題化合物を2,5−ジフルオロ−1−((E)−2−ニトロビニル)ベンゼン(製造44)から製造した。カラムクロマトグラフィ(ヘキサン:EtOAc、100:0、98:2、95:5、90:10)による精製により、表題化合物を得た。LCMS 方法2:保持時間= 0.96 分; m/z (ES+) = 319.2 [M + H]+.
【0145】
製造46:[(トランス)−1−ベンジル−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化57】

AcOHおよびEtOHの混合物(1:1、820mL)中の(トランス)−1−ベンジル−3−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−ニトロピロリジン(製造45、45.6g、0.14mol)および亜鉛末(57.0g、0.86mol)の混合物を65℃で加熱した。反応完了後、混合物を濾過し、AcOHで洗浄し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をEtOAcに再溶解し、飽和NaHCO溶液、次いでブラインで洗浄し、乾燥した(NaSO)。溶媒を減圧除去し、カラムクロマトグラフィ(DCM:MeOH:NH、100:0:0、95:5:0、90:10:0、90:10:5)で精製し、中間体生成物(トランス)−1−ベンジル−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ピロリジン−3−イルアミンを得た。LCMS方法 2:保持時間= 0.80 分; m/z (ES+) = 289.4 [M + H]+.
アルゴン下の該生成物(12.2g、42.3mmol)のTHF(250mL)溶液にトリエチルアミン(12.0mL、84.6mol)を加え、混合物を0℃に冷却した。ジ炭酸ジ−tert−ブチル(11.0g、50.4mol)を5分間かけて加え;次いで反応物を室温に昇温し、16時間撹拌した。溶媒を濃縮し、得られた残渣をEtOAcに再溶解し、ブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、溶媒を減圧除去した。該生成物をヘプタンで数回トリチュレートし、表題化合物を得た。LCMS方法 3:保持時間= 3.08 分; m/z (ES+) = 389.5 [M + H]+.
【0146】
製造47:[(3R,4S)−1−ベンジル−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化58】

[(トランス)−1−ベンジル−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(製造46)のキラルHPLC分離により表題化合物を得た:IH:IPA:DEA 96:4:0.1、15ml/分、270nm、保持時間=10.9分.
【0147】
製造48:[(3R,4S)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステル
【化59】

製造19で説明される方法を用い(ただし、反応は90℃で行った)、[(3R,4S)−1−ベンジル−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(製造47)から表題化合物を得た:保持時間= 2.35 分; m/z (ES+) = 299.2 [M + H]+.
【0148】
製造49:[(3R,4S)−1−(5−シアノピリミジン−2−イル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化60】

2−クロロピリミジン−5−カルボニトリル(71mg、0.51mmol)および[(3R,4S)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(製造48、160mg、0.54mmol)のDMSO(1mL)混合物にDBU(76μL、0.51mmol)を加えた。混合物をアルゴンで5分間バブルし、70℃で16時間加熱した。室温に冷却後、粗反応混合物をEtOAc(50mL)および水(50mL)で分液処理し、有機相を分離した。水相をさらにEtOAc(20mL)で抽出し、次いで有機画分を合わせ、水(30mL)、飽和NaHCO溶液(50mL)、次いでブライン(50mL)で洗浄し、乾燥した(MgSO)。溶媒を減圧除去し、カラムクロマトグラフィ(DCM:MeOH、100:0、98:2)で精製し、表題化合物を得た:保持時間= 4.03 分; m/z (ES+) = 402.1 [M + H]+.
【0149】
製造50:{(3R,4S)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−1−[5−(N−ヒドロキシカルバムイミドイル)−ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化61】

製造21で説明される方法を用い、[(3R,4S)−1−(5−シアノピリミジン−2−イル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(製造49)から表題化合物を製造した:保持時間= 2.72 分; m/z (ES+) = 435.2 [M + H]+.
【0150】
製造51:3−[(R)−1−(3−{2−[(3R,4S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)エトキシ]アゼチジン−1−カルボン酸 イソプロピルエステル
【化62】

製造22で説明される方法を用い、3−((R)−1−カルボキシエトキシ)アゼチジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造43)を{(3R,4S)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−1−[5−(N−ヒドロキシカルバムイミドイル)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバミン酸tert−ブチルエステル(製造50)と反応させた。カラムクロマトグラフィ(IH:EtOAc、6:4)による精製により、表題化合物を得た:保持時間= 4.44 分 ; m/z (ES+) = 630.2 [M + H]+.
【0151】
製造52:[(3R,4S)−1−(5−シアノピラジン−2−イル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化63】

5−クロロピラジン−2−カルボニトリル(140mg、1.01mmol)および[(3R,4S)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(製造48、300mg、1.01mmol)のDMSO(1mL)混合物にDBU(150μL、1.01mmol)を加えた。混合物をアルゴンで5分間バブルし、次いで70℃で3時間加熱した。室温に冷却後、粗反応混合物をEtOAc(200mL)および水(75mL)で分液処理し、有機相を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を減圧除去した。カラムクロマトグラフィ(IH:EtOAc、60:40)による精製により表題化合物を得た:保持時間= 3.93 分; m/z (ES+) = 402.1 [M + H]+.
【0152】
製造53:{(3R,4S)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−1−[5−(N−ヒドロキシカルバムイミドイル)ピラジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化64】

製造12で説明される方法を用い(ただし、反応物は3時間だけ加熱した)、[(3R,4S)−1−(5−シアノピラジン−2−イル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(製造52)から表題化合物を得た:保持時間= 2.73 分; m/z (ES+) = 435.2 [M + H]+.
【0153】
製造54:[(トランス)−1−ベンジル−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化65】

製造46で説明される方法を用い、2,4,5−トリフルオロベンズアルデヒドから表題化合物を3工程で製造した。LCMS方法 3:保持時間= 3.10 分; m/z (ES+) = 407.3 [M + H]+.
【0154】
製造55:[(トランス)−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化66】

オートクレーブ内の[(トランス)−1−ベンジル−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(製造54、40.1g、98.8mmol)のIMS(325mL)およびEtOAc(50mL)混合物溶液をアルゴン雰囲気下に置いた。パラジウム炭素(5%、4.0g、1.9mmol)を最少量のトルエンのスラリーとして加え、次いで反応物を水素雰囲気下(50atm)に置き、72時間撹拌した。Celiteを通して粗混合物を濾過し、EtOAcで洗浄し、濾液を減圧濃縮し、表題化合物を得た。LCMS方法 4:保持時間= 2.42 分; m/z (ES+) = 317.2 [M + H]+.
【0155】
製造56:[(3R,4S)−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化67】

[(トランス)−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(製造55、59.5g、188mmol)をEtOH(200mL)に懸濁し、70℃で加熱した。該懸濁液に温めた(S)−(+)−ナプロキセン(21.5g、93mmol)溶液を加え、混合物を加熱還流した。加熱を中止し、16時間撹拌しながら混合物をゆっくりと室温に冷却した。得られた沈殿物を濾過し、EtOHで洗浄し、濾液をDCM(2400mL)および1M NaOH(600mL)で分液処理した。有機相を分離し、1M NaOH、ブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を減圧除去した。全過程を2回目に繰り返し、表題化合物を得た:1H NMR δH (400MHz, CD3OD): 7.38 - 7.25 (m, 1H), 7.14 - 7.01 (m, 1H).
【0156】
製造57:3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【化68】

3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(10.0g、53.4mmol)のHCl/ジオキサン溶液(4M、125mL)の溶液を室温で40分間撹拌し、反応溶媒を減圧除去した。残渣をDCM(150mL)に懸濁し、トリエチルアミン(22.0mL、160.2mmol)を加え、反応混合物を0℃に冷却した。クロロギ酸イソプロピルのトルエン溶液(1M、64mL、64mmol)を滴下して加え、次いで得られた混合物を氷浴から取り出し、室温で1時間撹拌した。クロロギ酸イソプロピルのさらなる一部(53.4mL、53.4mmol)を加え、撹拌を室温で16時間続けた。粗反応混合物を水(2x100mL)で洗浄し、乾燥した(MgSO)。溶媒を減圧除去し、カラムクロマトグラフィ(DCM:MeOH:NHOH、9:1:0.1)で精製し、表題化合物を得た:保持時間= 2.29 分; m/z (ES+) = 174.0 [M + H]+.
【0157】
製造58:3−((R)−1−カルボキシエトキシ)ピロリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【化69】

製造9で説明される方法と類似の方法を用いて表題化合物を製造した。最初のワークアップ後、残渣を1M NaOH溶液に溶解し、EtOで洗浄した。2M HClで水相をpH1に酸性化し、EtOAcで抽出し、有機相を乾燥した(NaSO)。溶媒を減圧除去し、表題化合物を得た:保持時間= 2.70 分; m/z (ES+) = 246.2 [M + H]+.
【0158】
製造59:3−((R)−1−カルバモイルエトキシ)ピロリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【化70】

アルゴン下の3−((R)−1−カルボキシエトキシ)ピロリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造58、1.00g、4.08mmol)のTHF(50mL)溶液にEDCI(0.94g、4.90mmol)、次いでHOBt(0.66g、4.33mmol)を加え、反応物を室温で10分間撹拌した。NHのジオキサン溶液(0.05M、20.4μL、40.80mmol)を加え、反応物を室温で4時間加熱した。NH/ジオキサンのさらなる一部(0.05M、10mL)を加え、反応物を1時間撹拌した。溶媒を減圧除去し、得られた残渣をEtOAc(150mL)および水(100mL)で分液処理した。有機相を除去し、水相をEtOAc(150mL)で抽出した。有機画分を合わせ、飽和NaHCO溶液(100mL)、次いでブライン(100mL)で洗浄し、乾燥した(MgSO)。溶媒を減圧除去し、カラムクロマトグラフィ(DCM:MeOH、95:5)で精製し、表題化合物を得た:保持時間= 2.53 分 ; m/z (ES+) = 245.2 [M + H]+.
【0159】
製造60:3−((R)-シアノメチルメトキシ)ピロリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【化71】

製造11で説明される方法を用い、3−((R)−1−カルバモイルエトキシ)ピロリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造59)から表題化合物を製造した:保持時間= 3.06 分 ; m/z (ES+) = 227.1 [M + H]+.
【0160】
製造61:3−[(R)−1−(N−ヒドロキシカルバムイミドイル)エトキシ]ピロリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【化72】

製造12で説明される方法を用い(ただし、反応物の加熱は2時間とした)、3−((R)-シアノメチルメトキシ)ピロリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造60)から表題化合物を製造した:保持時間= 1.99 分 ; m/z (ES+) = 260.1 [M + H]+.
【0161】
製造62:3−{(R)−1−[5−(2−クロロピリミジン−5−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]エトキシ}ピロリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【化73】

0℃に冷却した2−クロロピリミジン−2−オール(103mg、0.65mmol)のTHF(10mL)溶液に1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(101μL、0.65mmol)を加え、反応物をこの温度において10分間撹拌した。3−[(R)−1−(N−ヒドロキシカルバムイミドイル)エトキシ]ピロリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造61、169mg、0.65mmol)を加え、氷浴を取り外し、混合物を室温で1時間撹拌した。反応溶媒を濃縮乾燥し、得られた残渣をEtOAcに溶解し、水、ブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、溶媒を減圧除去した。残渣をトルエンに溶解し、80℃で18時間加熱し、次いで1時間加熱還流した。溶媒を減圧除去し、カラムクロマトグラフィ(IH:EtOAc、1:1)で精製し、表題化合物を得た:保持時間= 3.53 分 ; m/z (ES+) = 382.1 [M + H]+.
【0162】
製造63:1−ピペリジン−4−イルエタノール
【化74】

α−メチル−4−ピリジンメタノール(3.7g、30mmol)のEtOH(100mL)溶液にAcOH(1.9mL、33mmol)および酸化白金(0.5g、2.2mmol)を加え、得られた混合物を水素雰囲気下において室温で16時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を減圧濃縮した。残渣をMeOHに溶解し、それにNaOH(1.6g、40mmol)および水(1.6mL)のMeOH溶液を加えた。反応物を30分間撹拌し、溶媒を減圧除去し、得られた残渣をジエチルエーテルに30分間懸濁した。混合物を濾過し、濾液を減圧濃縮し、表題化合物を得た:1H NMR δH (400MHz, CDCl3): 3.63 - 3.55 (m, 1H), 3.39 - 3.31 (m, 2H), 2.7 - 2.6 (m, 2H), 2.01 - 1.92 (m, 2H), 1.76 - 1.69 (m, 0H), 1.67 - 1.54 (m, 2H), 1.51 - 1.42 (m, 1H), 1.1 - 1.14 (m, 3H).
【0163】
製造64:4−(1−ヒドロキシエチル)ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【化75】

3ツ口フラスコ内、アルゴン下の1−ピペリジン−4−イルエタノール(製造63、5.0g、38.76mmol)のDCM(200mL)溶液にDIPEA(8.8mL、50.39mmol)を加え、反応物を0℃に冷却した。クロロギ酸イソプロピルのトルエン溶液(46.5mL、46.5mmol)を10分間かけて滴下して加え;次いで反応物を室温に昇温し、さらに2.5時間撹拌した。反応混合物をDCMに希釈し、1M HCl溶液で分液処理した。有機層を分離し、1M HCl溶液、ブラインで洗浄し、フェーズセパレーターに通した。溶媒を減圧除去し、表題化合物を得た:1H NMR δH (400MHz, CDCl3): 4.97 - 4.87 (m, 1H), 4.28 - 4.14 (m, 2H), 3.66 - 3.55 (m, 1H), 2.77 - 2.63 (m, 2H), 1.88 - 1.81 (m, 1H), 1.67 - 1.59 (m, 1H), 1.48 - 1.38 (m, 1H), 1.26 - 1.16 (m, 11H).
【0164】
製造65:4−[1−(5−ブロモピリジン−2−イルオキシ)エチル]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【化76】

アルゴン下の4−(1−ヒドロキシエチル)ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造64、7.4g、34.4mmol)のDMF(100mL)乾燥溶液を0℃に冷却した。水素化ナトリウム(60%/ミネラル油、2.8g、68.8mmol)を一度に加え、次いで反応物を室温で1時間撹拌した。5−ブロモ−2−クロロピリジン(13.2g、68.8mmol)を加え、反応物を80℃で16時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、EtOAcおよび水で分液処理した。有機相を分離し、水、次いでブラインで洗浄し、乾燥した(MgSO)。溶媒を減圧除去し、イソ−ヘキサン(2x6mL)、次いでジエチルエーテルでトリチュレートし、表題化合物を得た:保持時間= 4.34 分; m/z (ES+) = 371.2 [M + H]+.
【0165】
製造66:4−{1−[5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−イルオキシ]エチル}ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【化77】

4−[1−(5−ブロモピリジン−2−イルオキシ)エチル]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造65、4.2g、11.3mmol)のジオキサン(90mL)溶液に酢酸カリウム(3.3g、33.9mmol)、[1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(0.9g、1.1mmol)およびビス(ピナコレート)ジボロン(3.4g、13.4mmol)を加えた。反応混合物にアルゴンを10分間バブルし;110℃で16時間加熱した。溶媒を減圧除去し、次いで粗物質をカラムクロマトグラフィ(IH:EtOAc、100:0、97.5:2.5、95:5)で精製し、表題化合物を得た:保持時間= 4.55 分; m/z (ES+) = 419.4 [M + H]+.
【0166】
製造67:(3S,4S)−4−アジド−1−ベンジルピロリジン−3−イルアミン
【化78】

0℃に冷却した(3S,4S)−3,4−ジアジド−1−ベンジルピロリジン(15.6g、64.10mmol)のTHF(500mL)溶液にトリフェニルホスフィン(16.5g、62.81mmol)のTHF(100mL)溶液を4時間かけて滴下して加え、得られた混合物を室温に昇温し、16時間撹拌した。反応溶媒を減圧除去し、得られた残渣をTHF(500mL)および水(1.3mL)に再溶解し、4時間加熱還流し、次いで室温で16時間撹拌した。反応溶媒を減圧除去し、得られた残渣をEtOでトリチュレートした。沈殿物を濾過し、濾液を減圧濃縮した。残渣をEtOに再び溶解し、濾過した。濾液を減圧除去し、カラムクロマトグラフィ(IH:EtOAc、90:10、80:20、50:50、0:100、次いでMeOH:NHOH、9:1)で精製し、表題化合物を得た:保持時間= 0.77 分; m/z (ES+) = 218.1 [M + H]+.
【0167】
製造68:((3S,4S)−4−アジド−1−ベンジルピロリジン−3−イル)カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化79】

0℃に冷却した(3S,4S)−4−アジド−1−ベンジルピロリジン−3−イルアミン(製造67、6.0g、27.74mmol)およびトリエチルアミン(4.6mL、33.29mmol)のDCM(100mL)溶液にジ炭酸ジtert−ブチル(7.3g、33.29mmol)のDCM(10mL)溶液を20分間かけて滴下して加えた。得られた混合物を室温に昇温し、72時間撹拌した。反応溶媒を飽和NaHCO溶液、次いでブラインで洗浄し、乾燥した(MgSO)。溶媒を減圧除去し、カラムクロマトグラフィ(DCM:MeOH)で精製し、表題化合物を得た:1H NMR δH (400MHz, CDCl3): 7.37 - 7.26 (m, 5H), 4.09 - 4.02 (m, 1H), 3.84 - 3.76 (m, 1H), 3.68 - 3.59 (m, 2H), 3.12 - 3.01 (m, 1H), 2.91 - 2.82 (m, 1H), 2.55 - 2.35 (m, 2H), 1.46 (s, 9H).
【0168】
製造69:((3S,4S)−4−アミノ−1−ベンジルピロリジン−3−イル)カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化80】

WO2007/148185で説明される方法を用い、((3S,4S)−4−アジド−1−ベンジルピロリジン−3−イル)カルバミン酸tert−ブチルエステル(製造68)から表題化合物を得た。
【0169】
製造70:[(3S,4S)−1−ベンジル−4−(2−オキソピペリジン−1−イル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化81】

WO2007/148185で説明される方法を用い、((3S,4S)−4−アミノ−1−ベンジルピロリジン−3−イル)カルバミン酸tert−ブチルエステル(製造69)から表題化合物を2工程で製造した。
【0170】
製造71:[(3S,4S)−4−(2−オキソピペリジン−1−イル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化82】

[(3S,4S)−1−ベンジル−4−(2−オキソピペリジン−1−イル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(製造70、2.6g、7.07mmol)のMeOH(140mL)溶液をH−Cube装置(10% pd/C Catcart 70、10バール、90℃)に流速1mL/分で通した。溶媒を減圧除去し、表題化合物を得た:1H NMR δH (400MHz, CDCl3): 5.25 - 5.07 (m, 1H), 4.85 - 4.62 (m, 1H), 4.34 - 4.07 (m, 1H), 3.49 - 3.28 (m, 3H), 3.24 (s, 1H), 2.99 (s, 1H), 2.87 - 2.73 (m, 1H), 2.52 - 2.39 (m, 2H), 2.38 - 2.22 (m, 2H), 1.91 - 1.74 (m, 1H), 1.54 - 1.38 (m, 9H).
【0171】
製造72:[(3S,4S)−1−(5−ブロモピリミジン−2−イル)−4−(2−オキソピペリジン−1−イル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化83】

[(3S,4S)−4−(2−オキソピペリジン−1−イル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(製造71、415mg、1.46mmol)、5−ブロモ−2−クロロピリミジン(283mg、1.46mmol)およびDBU(219μL、1.46mmol)のDMSO(3mL)混合物を70℃で1時間加熱した。反応物を室温に冷却し、EtOAcおよび水で分液処理した。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥した(NaSO)。溶媒を減圧除去し、カラムクロマトグラフィ(IH:EtOAc、1:1)で精製し、表題化合物を得た:保持時間= 3.44分 ; m/z (ES+) = 440.1 [M + H]+.
【0172】
製造73:[(3R,4S)−1−(5−ブロモピリミジン−2−イル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化84】

[(3R,4S)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(製造48、540mg、1.8mmol)、5−ブロモ−2−クロロピリミジン(350mg、1.8mmol)およびDBU(270μL、1.8mmol)のDMSO(3mL)混合物を70℃で30分間加熱した。反応物を室温に冷却し、EtOAcおよび水で分液処理した。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥した(NaSO)。溶媒を減圧除去し、カラムクロマトグラフィ(IH:EtOAc、1:1)で精製し、表題化合物を得た:保持時間= 4.32分 ; m/z (ES+) = 455.1 [M + H]+.
【0173】
実施例1:4−(5−{6−[(3R,4S)−3−アミノ−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリジン−3−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルメトキシ)ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【化85】

4−[5−(6−クロロピリジン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルメトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造5、150mg、0.39mmol)、[(トランス)−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸−9H−フルオレン−9−イルメチルエステル塩酸塩(製造30、172mg、0.39mmol)およびDIPEA(143μL、0.82mmol)のtert−ブタノール(2mL)混合物を反応完了まで80℃で加熱した。混合物を少量のDCMで希釈し、カラムクロマトグラフィ(DCM:MeOH、96:4)で精製した。さらにキラルHPLC(MTBE:EtOH:BA 80:20:0.1、11ml/分、285nm、保持時間=35.0分)で精製し、表題化合物を得た:保持時間= 2.75 分; m/z (ES+) = 525.2 [M + H]+.
【0174】
実施例2:4−(5−{2−[(3R,4S)−3−アミノ−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルメトキシ)ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル p−トルエンスルホン酸塩
【化86】

4−[5−(6−クロロピリミジン−5−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルメトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造6、150mg、0.39mmol)、[(トランス)−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸−9H−フルオレン−9−イルメチルエステル塩酸塩(製造30、172mg、0.39mmol)およびDIPEA(143μL、0.83mmol)のtert−ブタノール(2mL)混合物を80℃で16時間加熱した。反応混合物を減圧濃縮し、DCM(150mL)に再溶解した。有機混合物を水(50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を減圧除去した。カラムクロマトグラフィ(DCM:MeOH、96:4)、次いでキラルHPLC(MeOH:THF:CHCl 55:25:20、11ml/分、285nm、保持時間=6.8分)で精製し、中間体生成物4−(5−{2−[(3R,4S)−3−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルメトキシ)ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステルを得た:保持時間= 4.89 分; m/z (ES+) = 748.3 [M + H]+.
0℃に冷却した該生成物のDCM(1mL)溶液にピペリジン(0.5mL)のDCM(1mL)溶液を滴下して加えた。混合物をこの温度において2時間撹拌し、溶媒を減圧除去し、カラムクロマトグラフィ(DCM:MeOH、98:2、92:8)で精製した。TsOH(1eq.)のMeOH(2mL)溶液を加え、溶媒を減圧除去し、表題化合物を得た:保持時間= 2.78 分; m/z (ES+) = 526.4 [M + H]+.
【0175】
実施例3:4−(5−{2−[(3R,4S)−3−アミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルメトキシ)ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル p−トルエンスルホン酸塩
【化87】

4−[5−(6−クロロピリミジン−5−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルメトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造6、65mg、0.17mmol)、[(3R,4S)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステル(製造48、59mg、0.17mmol)およびDIPEA(38μL、0.22mmol)のtert−ブタノール(1mL)混合物を反応完了まで80℃で加熱した。反応混合物を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィ(DCM:MeOH、99:1、96:4)、中間体生成物4−(5−{2−[(3R,4S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルメトキシ)ピペリジン−1−カルボン酸 イソプロピルエステルを得た:保持時間= 4.47 分; m/z (ES+) = 644.5 [M + H]+.
0℃に冷却した該生成物のDCM(5mL)溶液に TFA(1mL)を滴下して加え、反応物を室温で45分間撹拌した。混合物をDCM(75mL)で希釈し、飽和NaCO溶液(25mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶液を減圧除去した。カラムクロマトグラフィ(DCM:MeOH、96:4)で精製し、表題化合物を遊離アミンとして得た。TsOH(1eq.)のMeOH(2mL)溶液を該生成物に加え、溶媒を減圧除去し、表題化合物を得た:保持時間= 2.79 分; m/z (ES+) = 544.2 [M + H]+.
【0176】
実施例4:4−(5−{2−[(3R,4S)−3−アミノ−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルメトキシ)ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル p−トルエンスルホン酸塩
【化88】

実施例3で説明される方法を用い、4−[5−(6−クロロピリミジン−5−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルメトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸 イソプロピルエステル(製造6)および[(3R,4S)−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステル(製造37)から表題化合物を製造した:保持時間= 2.75 分; m/z (ES+) = 544.3 [M + H]+.
【0177】
実施例5:4−(3−{6−[(3R,4S)−3−アミノ−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリジン−3−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメトキシ)ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル p−トルエンスルホン酸塩
【化89】

実施例1で説明される方法を用い、4−[3−(6−クロロピリジン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造7)を[(トランス)−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸−9H−フルオレン−9−イルメチルエステル塩酸塩(製造30)と反応させ、表題化合物を遊離アミンとして得た(キラルHPLC:MTBE:MeOH:BA 80:20:0.1、12ml/分、285nm、保持時間=32.8分)。TsOH(1eq.)のMeOH(5mL)溶液を該生成物に加え、溶媒を減圧除去し、表題化合物を得た:保持時間= 2.80 分; m/z (ES+) = 525.2 [M + H]+.
【0178】
実施例6:4−(3−{6−[(3S,4R)−3−アミノ−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリジン−3−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメトキシ)ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル p−トルエンスルホン酸塩
【化90】

実施例5で説明される方法を用い、表題化合物を4−[3−(6−クロロピリジン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造7)および[(トランス)−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸−9H−フルオレン−9−イルメチルエステル塩酸塩(製造30)から製造した。キラルHPLC:MTBE:MeOH:BA 80:20:0.1、12ml/分、285nm、保持時間=29.2分)。
LCMS:保持時間= 2.80 分 ; m/z (ES+) = 525.2 [M + H]+.
【0179】
実施例7:4−(3−{6−[(3S,4R)−3−アミノ−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリジン−3−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメトキシ)ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル p−トルエンスルホン酸塩
【化91】

実施例5で説明される方法を用い、表題化合物を4−{(R−1−[3−(6−クロロピリジン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]エトキシ}ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造8)および[(トランス)−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸−9H−フルオレン−9−イルメチルエステル塩酸塩(製造30)から製造した(キラルHPLC:MTBE:MeOH:BA 80:20:0.1、12ml/分、285nm、保持時間=20.4分)。
LCMS:保持時間= 2.89 分; m/z (ES+) = 539.5 [M + H]+.
【0180】
実施例8:4−(3−{6−[(3R,4S)−3−アミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリジン−3−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメトキシ)ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル p−トルエンスルホン酸塩
【化92】

実施例3で説明される方法を用い、4−[3−(6−クロロピリジン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造7)を[(3R,4S)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(製造48)と反応させた。TFAと反応後、粗混合物をSCXカートリッジに通し、MeOH、次いでNHOH/MeOHで溶出し、塩基性の画分を回収し、表題化合物を遊離アミンとして得た。該生成物のMeOH溶液にTsOH(1eq.)のMeOH溶液を加え、溶媒を減圧除去し、表題化合物を得た:保持時間= 2.82 分; m/z (ES+) = 543.2 [M + H]+.
【0181】
実施例9:4−[(R)−1−(3−{6−[(3R,4S)−3−アミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリジン−3−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)エトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル p−トルエンスルホン酸塩
【化93】

4−{(R−1−[3−(6−クロロピリジン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]エトキシ}ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造8、79mg、0.20mmol)、[(3R,4S)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(製造48、60mg、0.20mmol)およびDIPEA(38μL、0.22mmol)のtert−ブタノール(1mL)混合物を80℃で72時間加熱し、次いでそれ以上反応しなくなるまで85℃で加熱した。混合物を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィ(DCM:MeOH、99:1、97:3)で精製し、中間体生成物4−[(R)−1−(3−{6−[(3R,4S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリジン−3−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)エトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステルを得た:保持時間= 4.39 分; m/z (ES+) = 657.4 [M + H]+.
0℃に冷却した該生成物のDCM(5mL)溶液にTFA(1mL)を滴下して加え、反応物を室温で45分間撹拌した。混合物をDCMで希釈し、飽和NaCO溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を減圧除去した。カラムクロマトグラフィ(DCM:MeOH、97:3)で精製し、表題化合物を遊離アミンとして得た。TsOH(1eq.)のMeOH(2mL)溶液を該生成物に加え、次いで溶媒を減圧除去し、表題化合物を得た:保持時間= 2.93 分; m/z (ES+) = 557.3 [M + H]+.
【0182】
実施例10:4−[(R)−1−(5−{2−[(3R,4S)−3−アミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)エトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸 イソプロピルエステル
【化94】

実施例3で説明される方法を用い、4−{(R)−1−[5−(2−クロロピリミジン−5−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]エトキシ}ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造13)を[(3R,4S)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(製造48)と反応させた。TFAと反応後、粗混合物をSCXカートリッジに通し、MeOH、次いでNHOH/MeOHで溶出し、塩基性の画分を回収し、表題化合物を得た:保持時間= 2.80 分; m/z (ES+) = 558.2 [M + H]+.
【0183】
実施例11:4−[(R)−1−(5−{5−[(3R,4S)−3−アミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピラジン−2−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)エトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【化95】

4−{(R)−1−[5−(5−クロロピラジン−2−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]エトキシ}ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造14、127mg、0.32mmol)のDMSO(0.5mL)溶液に[(3R,4S)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(製造48、98mg、0.33mmol)およびDBU(48μL、0.32mmol)を加え、反応物を70℃で1時間加熱した。混合物をDCM(100mL)および水(50mL)で分液処理し、有機相を分離した。水相をDCM(50mL)で抽出し、次いで有機画分を合わせ、ブラインで洗浄し、乾燥した(MgSO)。カラムクロマトグラフィ(DCM:MeOH、98:2)で精製し、中間体生成物4−[(R)−1−(5−{5−[(3R,4S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピラジン−2−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)エトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステルを得た:保持時間= 4.43 分; m/z (ES+) = 658.3 [M + H]+.
0℃に冷却した該生成物のDCM(5mL)溶液にTFA(1mL)を滴下して加え、完了まで室温で撹拌した。溶媒を減圧除去し、カラムクロマトグラフィ(DCM:MeOH、95:5)で精製し、表題化合物を得た:保持時間= 2.74 分; m/z (ES+) = 558.2 [M + H]+.
【0184】
実施例12:4−{5−[(3R,4R)−3−アミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−5’イル]−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルメトキシ}ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル塩酸塩
【化96】

4−[5−(6−クロロピリジン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルメトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造5、38mg、0.10mmol)、[(3R,4R)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピペリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(製造19、31mg、0.10mmol)およびDIPEA(18μL、0.11mmol)のtert−ブタノール(0.30mL)混合物を反応完了まで80℃で加熱した。混合物をEtOAc(50mL)で希釈し、ブライン(50mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧濃縮し、中間体生成物4−{5−[(3R,4R)−3−tert−ブチルカルボニルアミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−5’イル]−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルメトキシ}ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステルを得た:保持時間= 4.53 分; m/z (ES+) = 657.2 [M + H]+.
該生成物のDCM(3mL)溶液にTFA(3mL)を加え、混合物を室温で30分間撹拌した。粗混合物をSCXカートリッジに通し、MeOH、次いでNHOH/MeOHで精製し、塩基性の画分を回収し、減圧濃縮し、表題化合物を遊離アミンとして得た。残渣をHClのジオキサン溶液(4M)に溶解し、次いで溶媒を減圧除去し、表題化合物を得た:保持時間= 2.85 分; m/z (ES+) = 557.3 [M + H]+.
【0185】
実施例13:4−{3−[(3R,4R)−3−アミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−5’−イル]−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメトキシ}ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル二塩酸塩
【化97】

実施例12で説明される方法を用い、表題化合物を4−[3−(6−クロロピリジン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸 イソプロピルエステル(製造7)および[(3R,4R)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピペリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(製造19)から製造した。SCXカートリッジで精製後、残渣をさらにプレパラティブHPLCで精製した。実施例12で説明される方法を用いて塩を形成させ、表題化合物をその二塩酸塩として得た:保持時間= 2.73 分; m/z (ES+) = 557.2 [M + H]+.
【0186】
実施例14:4−(3−{2−[(3R,4S)−3−アミノ−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメトキシ)ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル p−トルエンスルホン酸塩
【化98】

4−[3−(2−クロロピリミジン−5−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造25、40mg、0.10mmol)および[(3R,4S)−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(製造37、38mg、0.13mmol)のDMSO(0.4mL)溶液にDBU(16μL、0.10mmol)を加え、混合物にアルゴンを1分間バブルし、70℃で16時間加熱した。反応混合物をEtOAc(50mL)および水(20mL)で分液処理し、有機相を分離した。水相をEtOAc(20mL)で抽出し、次いで有機画分を合わせ、飽和NaHCO溶液(50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を減圧除去した。カラムクロマトグラフィ(DCM:MeOH、100:0、98:2)による精製により、中間体生成物4−(3−{2−[(3R,4S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメトキシ)ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステルを得た:保持時間= 4.43 分; m/z (ES+) = 644.3 [M + H]+.
アルゴン下、0℃に冷却した該生成物のDCM(5mL)溶液にTFA(1mL)を加え、反応物をこの温度において2時間撹拌した。さらにTFA(0.5mL)を加え、反応が完了するまで撹拌を続けた。粗混合物をSCXカートリッジに通し、MeOH、次いでNHOH/MeOHで溶出した。塩基性の画分を回収し、減圧濃縮し、表題化合物を遊離アミンとして得た。該生成物のDCM(2mL)溶液にTsOH(1eq.)のMeOH(2mL)溶液を加え、次いで溶媒を減圧除去し、表題化合物を得た:保持時間= 2.86 分; m/z (ES+) = 544.2 [M + H]+.
【0187】
以下の実施例は、実施例14で説明される方法を用い、適当な2−クロロピリミジン中間体と適当なアミンの基礎的要素との反応により製造された:
【表3】

【0188】
実施例19:4−(3−{2−[(3R,4S)−3−アミノ−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメトキシ)ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル p−トルエンスルホン酸塩
【化99】

アルゴン下の4−[3−(2−クロロピリミジン−5−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造25、19mg、0.05mmol)および[(3R,4S)−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸−9H−フルオレン−9−イルメチルエステル塩酸塩(製造32、31mg、0.07mmol)のDMSO(0.4mL)溶液にDBU(15μL、0.10mmol)を加え、反応物を80℃で65時間加熱した。混合物を水(10mL)で希釈し、得られた溶液をEtOAc(3x30mL)で抽出した。有機画分を合わせ、水(30mL)、飽和NaHCO溶液(30mL)、およびブライン(30mL)で洗浄し、乾燥した(MgSO)。溶媒を減圧除去し、カラムクロマトグラフィ(DCM:MeOH、100:0、98:2、97:3、95:5、92:8)で精製し、表題化合物を遊離アミンとして得た。該生成物のDCM(4mL)溶液にTsOH(1eq.)のMeOH(2mL)溶液を加え、溶媒を減圧除去し、表題化合物を得た:保持時間= 2.74 分; m/z (ES+) = 526.2 [M + H]+.
【0189】
実施例20:4−[(R)−1−(3−{2−[(3R,4S)−3−アミノ−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)エトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル p−トルエンスルホン酸塩
【化100】

実施例19で説明される方法を用い、表題化合物を4−{(R)−1−[3−(2−クロロピリミジン−5−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]エトキシ}ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造28)と[(3R,4S)−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸−9H−フルオレン−9−イルメチルエステル塩酸塩(製造32)の反応により製造した:保持時間= 2.84 分; m/z (ES+) = 540.3 [M + H]+.
【0190】
実施例21:4−[(R)−1−(5−{6−[(3R,4S)−3−アミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)エトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【化101】

4−((R)−1−{5−[6−(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)ピリダジン−3−イル]−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル}エトキシ)ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造38、12mg、0.02mmol)および[(3R,4S)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(製造48、8mg、0.03mmol)のDMSO(0.5mL)混合物を70℃で1時間加熱した。反応混合物を水で希釈し、EtOAc(2x50mL)で抽出した。有機画分を合わせ、ブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を減圧除去し、中間体生成物4−[(R)−1−(5−{6−[(3R,4S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)エトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステルを得た:保持時間= 4.23 分; m/z (ES+) = 658.3 [M + H]+.
0℃に冷却した該生成物のDCM(5mL)溶液にTFA(0.5mL)を滴下して加え、反応物を室温で1時間撹拌した。粗混合物をSCXカートリッジに通し、MeOH、次いでNHOH/MeOHで溶出し、塩基性の画分を回収し、減圧濃縮した。さらにカラムクロマトグラフィ(DCM:MeOH、95:5)で精製し、表題化合物を得た:保持時間= 2.72 分; m/z (ES+) = 558.2 [M + H]+.
【0191】
実施例22:3−[(R)−1−(3−{2−[(3R,4S)−3−アミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)エトキシ]アゼチジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル p−トルエンスルホン酸塩
【化102】

0℃に冷却した3−[(R)−1−(3−{2−[(3R,4S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)エトキシ]アゼチジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造51、109mg、0.17mmol)のDCM(5mL)溶液にTFA(1.0mL)を滴下して加え、反応物をこの温度において2時間撹拌した。TFAのさらなる一部(0.5mL)を加え、撹拌を30分間続けた。粗反応混合物をSCXカートリッジに通し、MeOH、次いでNHOH/MeOHで溶出し、塩基性の画分を回収し、減圧濃縮した。該生成物のDCM(2mL)溶液にTsOH(1eq.)のMeOH(2mL)溶液を加え、溶媒を減圧除去し、表題化合物を得た:保持時間= 2.73 分; m/z (ES+) = 530.2 [M + H]+.
【0192】
実施例23:4−[(R)−1−(3−{5−[(3R,4S)−3−アミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピラジン−2−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)エトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【化103】

4−((R)−1−カルボキシエトキシ)ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造9、72mg、0.28mmol)のTHF(20mL)溶液にEDCI(63mg、0.33mmol)、次いでHOBt(45mg、0.30mmol)を加え、反応物を室温で10分間撹拌した。{(3R,4S)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−1−[5−(N−ヒドロキシカルバムイミドイル)ピラジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバミン酸tert−ブチルエステル(製造53、120mg、0.28mmol)を加え、反応物を室温で16時間撹拌した。反応溶媒を減圧濃縮し、得られた残渣をEtOAc(100mL)および水(50mL)で分液処理した。有機相を分離し、乾燥し(MgSO)、減圧濃縮した。残渣をトルエンに溶解し、16時間加熱還流した。溶媒を減圧除去し、カラムクロマトグラフィ(DCM:MeOH、97:3)で精製し、中間体生成物を得た:保持時間= 4.39 分; m/z (ES+) = 658.3 [M + H]+.
0℃に冷却した該生成物のDCM(7mL)溶液にTFA(0.7mL)を加えた。氷浴を取り外し、反応物を室温で1時間撹拌した。プレパラティブHPLC、次いでカラムクロマトグラフィ(DCM:MeOH、95:5)で精製し、表題化合物を得た:保持時間= 2.79 分; m/z (ES+) = 558.2 [M + H]+.
【0193】
実施例24:4−[(R)−1−(5−{2−[(3R,4S)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)エトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【化104】

4−{(R)−1−[5−(2−クロロピリミジン−5−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]エトキシ}ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造13、100mg、0.25mmol)および[(3R,4S)−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(製造56、80mg、0.25mmol)のDMSO(1.0mL)混合物をDBU(38μL、0.25mmol)で処理し、反応物を70℃で3時間加熱した。反応混合物を水(70mL)で希釈し、EtOAc(2x100mL)で抽出した。有機画分を合わせ、ブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を減圧除去し、中間体生成物4−[(R)−1−(5−{2−[(3R,4S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)エトキシ]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステルを得た:保持時間= 4.69 分; m/z (ES+) = 676.3 [M + H]+.
0℃に冷却した該生成物のDCM(7mL)溶液にTFA(0.7mL)を滴下して加え、得られた反応物を室温で1時間撹拌した。粗混合物をSCXカートリッジに通し、MeOH、次いでNHOH/MeOHで溶出し、塩基性の画分を回収し、減圧濃縮し、表題化合物を得た:保持時間= 2.88 分; m/z (ES+) = 576.2 [M + H]+.
【0194】
実施例25:(R)−3−[(R)−1−(5−{2−[(3R,4S)−3−アミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)エトキシ]ピロリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【化105】

3−{(R)−1−[5−(2−クロロピリミジン−5−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]エトキシ}ピロリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造62、60mg、0.16mmol)、[(3R,4S)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(製造48、48mg、0.16mmol)およびDIPEA(29μL、0.18mmol)のtert−ブタノール(1mL)混合物を反応完了まで80℃で加熱した。溶媒を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィ(IH:EtOAc、1:1)、次いでキラルHPLC (IH:EtOH:THF 70:20:10、15ml/分、290nm、保持時間=11.4分)で精製し、中間体生成物(R)−3−[(R)−1−(5−{2−[(3R,4S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)エトキシ]ピロリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステルを得た:保持時間=4.49 分; m/z (ES+) = 644.5 [M + H]+.
0℃に冷却した該生成物のDCM(0.5mL)溶液にTFA(0.05mL)を滴下して加え、反応物を2時間撹拌した。TFAのさらなる一部(0.05mL)を加え、反応完了まで撹拌を続けた。粗混合物をSCXカートリッジに通し、MeOH、次いでNHOH/MeOH(10%)で溶出した。塩基性の画分を回収し、減圧濃縮し、表題化合物を得た:保持時間= 2.83 分; m/z (ES+) = 544.0 [M + H]+.
【0195】
実施例26:(S)−3−[(R)−1−(5−{2−[(3R,4S)−3−アミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)エトキシ]ピロリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【化106】

実施例25で説明される方法を用い、3−{(R)−1−[5−(2−クロロピリミジン−5−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]エトキシ}ピロリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造62)と[(3R,4S)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(製造48)の反応により表題化合物を製造した(キラルHPLC:IH:EtOH:THF 70:20:10、15ml/分、290nM、保持時間:9.8分)。
LCMS:保持時間= 2.72 分; m/z (ES+) = 544.2 [M + H]+.
【0196】
実施例27:4−[(S)−1−(5−{2−[(3S,4S)−3−アミノ−4−(2−オキソピペリジン−1−イル)ピロリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}ピリジン−2−イルオキシ)エチル]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【化107】

4−{1−[5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−イルオキシ]エチル}ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造66、350mg、0.84mmol)および[(3S,4S)−1−(5−ブロモピリミジン−2−イル)−4−(2−オキソピペリジン−1−イル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(製造72、442mg、1.00mmol)のDMF(7mL)および水(1.8mL)混合物溶液に[1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(82mg、0.10mmol)およびトリエチルアミン(418mL、3.00mmol)を加えた。反応物をマイクロ波反応器内において80℃で20分間加熱し;次いでさらに5分間、80℃で反応させ、Celiteを通して濾過し、EtOAcで洗浄した。有機混合物を水、1M クエン酸、飽和NaHCO溶液、次いでブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、溶媒を減圧除去した。カラムクロマトグラフィ(IH:EtOAc、1:1、0:100)、次いでキラルHPLC(MeCN:THF:MeOH、67:30:3、1ml/分、285nm、保持時間=7.48分)で精製し、中間体生成物4−[(S)−1−(5−{2−[(3S,4S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(2−オキソピペリジン−1−イル)ピロリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}ピリジン−2−イルオキシ)エチル]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステルを得た:保持時間= 4.18分 ; m/z (ES+) = 652.2 [M + H]+.
該生成物のDCM(1mL)溶液にTFA(0.5mL)を加え、反応物を室温で1時間撹拌した。粗混合物を直接SCXカートリッジに通し、MeOH、次いでNHOH/MeOH(10%)で溶出した。塩基性の画分を回収し、減圧濃縮し、表題化合物を得た:保持時間= 2.83分 ; m/z (ES+) = 552.4 [M + H]+.
【0197】
実施例28:4−[(S)−1−(5−{2−[(3R,4S)−3−アミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}ピリジン−2−イルオキシ)エチル]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【化108】

実施例27で説明される方法を用い、4−{1−[5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−イルオキシ]エチル}ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造66)と[(3R,4S)−1−(5−ブロモピリミジン−2−イル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(製造73)の反応により表題化合物を製造した(キラルHPLC条件および中間体の保持時間:MTBE:THF 85:15、1ml/分、285nm、保持時間=8.6分)。
LCMS:保持時間= 3.00 分 ; m/z (ES+) = 567.3 [M + H]+.
【0198】
実施例29:4−[(R)−1−(5−{2−[(3R,4S)−3−アミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}ピリジン−2−イルオキシ)エチル]ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【化109】

実施例27で説明される方法を用い、4−{1−[5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−イルオキシ]エチル}ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(製造66)と[(3R,4S)−1−(5−ブロモピリミジン−2−イル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(製造73)の反応から表題化合物を製造した(キラルHPLC条件および中間体の保持時間:MTBE:THF 85:15、1ml/分、285nm、保持時間=7.2分)。
LCMS:保持時間= 3.10 分 ; m/z (ES+) = 567.3 [M + H]+.
【0199】
本発明の化合物の生物学的活性は以下のアッセイシステムにおいて試験されてもよい。
【0200】
(GPR119酵母レポーターアッセイ)
酵母レポーターアッセイ
酵母細胞ベースのレポーターアッセイは先に文献に記載されている(例えば、Miret J. J. et al, 2002, J. Biol. Chem., 277:6881-6887; Campbell R.M. et al, 1999, Bioorg. Med. Chem. Lett., 9:2413-2418; King K. et al, 1990, Science, 250:121-123); WO 99/14344; WO 00/12704; および US 6,100,042参照)。簡潔には、内因性酵母G−アルファ(GPA1)を欠損させ、多様な技法を用いて構築したG−タンパク質キメラで置き換えるよう酵母細胞を操作したものである。さらに、内因性酵母GPCR、Ste3を欠損させ、最適な哺乳類GPCRを異種発現させた。酵母において、フェロモンシグナリング伝達経路における要素が、これは真核細胞でも保存されているが(例えば、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ経路)、Fus1の発現を駆動する。β-ガラクトシダーゼ(LacZ)をFus1プロモーター制御下に置くことにより、受容体の活性化が酵素の読み出しに繋がるシステムが構築されている。
【0201】
Agatep et alにより記載された酢酸リチウム法の変法により、酵母細胞を形質転換した(Agatep, R. et al, 1998, Transformation of Saccharomyces cerevisiae by the lithium acetate/single-stranded carrier DNA/polyethylene glycol (LiAc/ss-DNA/PEG) protocol. Technical Tips Online, Trends Journals, Elsevier)。簡潔には、酵母細胞を酵母トリプトンプレート(YT)上で終夜成長させた。キャリアー一本鎖DNA(10μg)、2つのFus1p-LacZレポータープラスミド各2μg(1つはURA選択マーカー、1つはTRPを有する)、酵母発現ベクター(2μgの複製起点)に組み込んだGPR119(ヒトまたはマウスの受容体)2μgおよび酢酸リチウム/ポリエチレングリコール/TEバッファーをエッペンドルフチューブにピペットで入れた。受容体/受容体不含コントロールを含んだ酵母発現プラスミドはLEUマーカーを有する。酵母細胞をこの混合物に接種し、反応を30℃で60分間進めた。酵母細胞に42℃で15分間熱ショックを与えた。次いで、細胞を洗浄し、選択用プレートに播種した。選択用プレートは、既定の合成酵母培地からLEU、URAおよびTRP(SD−LUT)を差し引いたものである。30℃で2−3日間インキュベート後、選択用プレートに生えたコロニーをLacZアッセイで試験した。
【0202】
β−ガラクトシダーゼの蛍光定量的酵素アッセイを行うために、ヒトまたはマウスGPR119受容体を保持する酵母細胞を液体SD−LUT培地で不飽和濃度まで終夜成長させた(即ち、細胞はまだ分裂中であり、未だ静止期には達していなかった)。これらの細胞を新鮮な培地で最適なアッセイ濃度に希釈し、90μLの酵母細胞を96−ウェルの黒色ポリスチレンプレート(Costar)に加えた。DMSOに溶解し、10%DMSOで10x濃度に希釈した化合物をプレートに加え、プレートを30℃に4時間置いた。4時間後、β−ガラクトシダーゼの基質を各ウェルに加えた。これらの実験において、フルオレセインを放出し、蛍光定量の読み出しを可能にする酵素の基質であるフルオレセインジ(β−D−ガラクトシダーゼ)(FDG)を用いた。20μL/ウェルの500μM FDG/2.5% Triton 100を加えた(界面活性剤は細胞の透過性を維持するために必要である)。細胞と基質を60分間インキュベート後、20μL/ウェルの1M 炭酸ナトリウムを加えて反応を終了させ、蛍光シグナルを増強した。蛍光光度計を用いて485/535nmでプレートを読み取った。
【0203】
このアッセイにおいて、実施例1から29の全てが、蛍光シグナルをバックグランドシグナル(即ち、化合物不含1%DMSO存在下で得られたシグナル)の少なくとも〜1.5倍に増強する活性を示した。少なくとも5倍に増強する本発明の化合物が好ましいであろう。
【0204】
cAMPアッセイ
組み換えヒトGPR119を安定発現している細胞株を確立し、サイクリックAMP(cAMP)の細胞内レベルに対する本発明の化合物の影響の調査にこの細胞株を用いた。細胞の単層をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、刺激バッファー(+1% DMSO)中の様々な濃度の化合物により37℃で30分間刺激した。次いで、細胞を溶解し、Perkin Elmer AlphaScreenTM (Amplified Luminescent Proximity Homogeneous Assay) cAMP キットを用いてcAMP含量を決定した。バッファーおよびアッセイ条件は製造者のプロトコルに記載の通りである。
【0205】
本発明の化合物により濃度依存的な細胞内cAMPレベルが得られ、通常EC50は<10μMであった。cAMPアッセイにおいて1μM以下のEC50を示す化合物が好ましいであろう。
【0206】
DPP−IVアッセイ方法
DPP−IV活性は、蛍光発生ペプチド基質であるH−Gly−Pro−7−アミノ−4−メチルクマリン(GP−AMC)の切断のモニターにより測定した(生成物である7−アミノ−4−メチルクマリンは励起380nm、発光460nmにおける蛍光により定量化される)。アッセイは、96−ウェルプレート(Black OptiPlate−96F)、総体積100μL/ウェル(50mM トリス、pH7.6、100μM GP−AMC、10−25μU 組み換えヒトDPP−IV、および1%DMSOの最終濃度における様々な希釈の阻害剤からなる)において行った。37℃で30分間インキュベート後、プレートを蛍光光度計で読み取った。組み換えヒトDPP−IV(Asn29−Pro766残基)はBioMolから購入した。
【0207】
実施例1から53の全てが、このアッセイにおいて<20μMのIC50を有していた。式(Ia)の化合物は通常<20μMのIC50を有していた。
【0208】
(膵β細胞(HIT−T15)のインビトロモデルにおける本発明の化合物の抗糖尿病効果)
細胞培養
HIT−T15細胞(継代数60)をATCCから得、10%ウシ胎児血清および30nM亜セレン酸ナトリウムを含んだRPMI1640培地中で培養した。全ての実験は、この細胞株が継代数81回以上で性質が変わることを記載した文献に従い(Zhang HJ, Walseth TF, Robertson RP. Insulin secretion and cAMP metabolism in HIT cells. Reciprocal and serial passage-dependent relationships. Diabetes. 1989 Jan;38(1):44-8)、70回以下の継代数の細胞で行われた。
【0209】
cAMPアッセイ
HIT−T15細胞を標準的な培養用培地を用い、96ウェルプレートに100,000細胞/0.1mL/ウェルで播種し、24時間培養し、培地を廃棄した。細胞を室温で15分間、100μlの刺激バッファー(ハンクス平衡塩類溶液、5mM HEPES、0.5mM IBMX、0.1% BSA、pH7.4)でインキュベートした。これを廃棄し、0.5%DMSO存在下の0.001、0.003、0.01、0.03、0.1、0.3、1、3、10、30μMの範囲の刺激バッファー中の化合物希釈物で置き換えた。細胞を室温で30分間インキュベートした。次いで、75μLの溶解バッファー(5mM HEPES、0.3% Tween−20、0.1% BSA、pH7.4)を各ウェルに加え、プレートを900rpmで20分間振盪した。微粒子状物質を3000rpm、5分間の遠心により除去し、次いでサンプルを384−ウェルプレートに2つの複製で移し、Perkin Elmer AlphaScreen cAMP assayキットの説明書に従って次に進んだ。簡単には、8μLのサンプル、5μLのアクセプタービーズ混合物および12μLの検出混合物を含む25μLの反応液を、最終的な反応成分の濃度がキットの説明書の指示と同じになるようにセットアップした。反応液を室温で150分間インキュベートし、プレートをPackard Fusion装置で読み取った。cAMPの測定値を既知のcAMP量の標準曲線(0.01、0.03、0.1、0.3、1、3、10、30、100、300、1000nM)と比較し、読み取った値をcAMP量の絶対値に変換した。データはXLfit 3ソフトウェアで解析した。
【0210】
代表的な本発明の化合物は、cAMPを10μM以下のEC50において増加させることが示された。cAMPアッセイにおいて1μM以下のEC50を示す化合物が好ましいであろう。
【0211】
インスリン分泌アッセイ
HIT−T15細胞を標準的な培養用培地で12−ウェルプレートに10細胞/1ml/ウェルで播種し、3日間培養し、培地を廃棄した。細胞を補足クレブス・リンガーバッファー(KRB)(119mM NaCl、4.74mM KCl、2.54mM CaCl、1.19mM MgSO、1.19mM KHPO、25mM NaHCO、10mM HEPES、pH7.4、0.1%ウシ血清アルブミン)で2回洗浄した。細胞を1ml KRBで37℃において30分間インキュベートし、バッファーを廃棄した。これに次いで、KRBで30分間2回目のインキュベートを行い、これを回収し、各ウェルにおけるインスリンの基底分泌レベルの測定に用いた。次いで、1ml KRB中の化合物希釈物(0、0.1、0.3、1、3、10μM)を2つの複製ウェルに加え、5.6mM グルコースを添加した。37℃で30分間インキュベート後、インスリンレベルを測定するためにサンプルを採取した。インスリンの測定は、MercodiaラットインスリンELISAキットを用い、製造者の指示に従い、既知のインスリン濃度の標準曲線を用いて行った。各ウェルについて、インスリンレベルは、グルコースの非存在下におけるインキュベーション前から基底分泌レベルを差し引いて補正した。データはXLfit 3ソフトウェアを用いて解析した。
【0212】
本発明の化合物は10μM以下のEC50においてインスリン分泌を増加させることが望ましい。
【0213】
経口グルコース負荷試験
本発明の化合物が経口グルコース(Glc)耐性に及ぼす影響は、オスSprague−Dawleyラットを用いて評価することができる。ラットはGlc投与の16時間前から絶食させ、試験中も絶食状態を維持した。試験中、ラットは水を自由に摂取することができた。Glc負荷投与の60分前に動物の尾に切り口を入れ、次いで血液(1滴)をGlc基底レベルの測定用に採取した。次いで、ラットの体重を量り、試験化合物またはベヒクル(20%ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン水溶液)を経口投与し、45分後にさらに血液サンプルを採取し、Glc負荷(2g kg−1、経口)を行った。血液サンプルは、Glc投与後、尾の切り口から5、15、30、60、120および180分後に採取した。血中グルコースレベルは、採取直後に市販のグルコース計(OneTouch(登録商標) UltraTM、Lifescanから購入)を用いて測定した。本発明の化合物は、好ましくは≦100mg kg−1の投与量においてGlc変動を統計学的に有意に減少させる。
【0214】
本発明の化合物が経口グルコース(Glc)耐性に及ぼす影響はまた、オスC57Bl/6またはオスob/obマウスを用いて評価することができる。マウスをGlc投与5時間前に絶食させ、実験中も絶食状態を維持した。実験中、マウスは水を自由に摂取することができた。Glc負荷投与の45分前に動物の尾に切り口を入れ、血液(20μL)を基底Glcレベルの測定用に採取した。次いで、マウスの体重を量り、試験化合物またはベヒクル(20% ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン水溶液または25% Gelucire 44/14)を経口投与し、30分後、さらに血液サンプルを(20μL)採取し、Glc負荷(2−5g kg−1、経口)を行った。次いで、血液サンプル(20μL)をGlc投与後25、50、80、120、および180分後に採取した。Glcレベル測定用の20μLの血液サンプルは、尾の切り口から使い捨てマイクロピペと(Dade Diagnostics Inc.、プエルトリコ)に取り、480μLの溶血試薬を加えた。次いで、96−ウェルアッセイプレート中で、希釈した溶血血液の複製20μLアリコートに180μLのトリンダーグルコース試薬(Trinders glucose reagent)(シグマ酵素的(トリンダー)比色法)を加えた。混合後、サンプルを室温で30分間維持し、Glcスタンダード(シグマ グルコース/尿素窒素複合スタンダードセット)に対して読み取った。本発明の化合物は、好ましくは≦100mg kg−1の投与量においてGlc変動を統計学的に有意に減少させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】

[式中、
pは1または2であり;
pが2のとき、ZはN−C(O)OR、N−C(O)NR、またはC1−4アルキル、C1−4アルキルで適宜置換されていてもよいC3−6シクロアルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキルおよびハロゲンから選択される1もしくは2個の基で適宜置換されていてもよいN−ヘテロアリールであり;
pが1のとき、Zは−N−CH−フェニル(ここで、該フェニルはC1−4アルキル、C1−4ハロアルキルおよびハロから独立して選択される1または2個の基で適宜置換されていてもよい)でもよく;
Aはパラ置換フェニルまたは1もしくは2個の窒素原子を含むパラ置換6員ヘテロアリール環であり;
BはN、OおよびSから選択される1個もしくはそれ以上のヘテロ原子を含む5員ヘテロアリール環、または1もしくは2個の窒素原子を含むパラ置換6員ヘテロアリール環であり;
Bが5員ヘテロアリール環であるとき、Xは−O−CRH−または−CRH−O−CRH−であり;Bが6員ヘテロアリール環であるとき、Xは−O−または−CRH−O−であり;
は水素、ハロ、シアノ、C1−4アルキルまたはC1−4ハロアルキルであり;
qは1または2であり;

【化2】

1個もしくはそれ以上のハロ基で適宜置換されていてもよいフェニル、または1個もしくはそれ以上のハロもしくはメチル基で適宜置換されていてもよいピリジルであり;
は独立してハロまたはメチルであり;
nは0または1であり;
mは0、1または2であり;
はC2−6アルキルまたはC3−6シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルはC1−4アルキルで適宜置換されていてもよい)であり;
は水素またはC1−4アルキルであり;
およびRは独立して水素またはC1−2アルキルである]
の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
式(Ia):
【化3】

で定義される立体化学を有する請求項1の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項3】
pが2である請求項1または2の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項4】
ZがN−C(O)ORである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項5】
がC2−6アルキルである、請求項4に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項6】
ZがC1−4アルキル、C1−4アルキルで適宜置換されていてもよいC3−6シクロアルキル、C1−4ハロアルキルおよびハロゲンから選択される1または2個の基で適宜置換されていてもよいN−ヘテロアリールである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項7】
Zが適宜置換されていてもよいオキサジアゾールまたはピリミジンである請求項6の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項8】
Aがフェニル、ピリジルまたはピリミジニルである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項9】
が水素である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項10】
Bがオキサジアゾール、チアゾールまたはピリジンである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項11】
Bが5員ヘテロアリール環のときXが−O−CRH−であり;Bが6員ヘテロアリール環のときXが−CRH−O−である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項12】
が1個またはそれ以上のハロ基で置換されたフェニルである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項13】
が1個またはそれ以上のフルオロ基で置換されたフェニルである、請求項12に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項14】
およびRが独立して水素またはメチルである、請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項15】
遊離塩基として実施例1から29のいずれか1つにおいて定義される化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩;および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項17】
GPR119が関連する疾患または病態の治療方法であって、治療上有効量の請求項1から15のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩を治療が必要な対象に投与する段階を特徴とする方法。
【請求項18】
GPR119およびDPP−IVが関連する疾患または病態の治療方法であって、治療上有効量の請求項1から15のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩を治療が必要な対象に投与する段階を特徴とする方法。
【請求項19】
2型糖尿病の治療方法であって、治療上有効量の請求項1から15のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩を治療が必要な対象に投与する段階を特徴とする方法。
【請求項20】
肥満、メタボリックシンドローム(シンドロームX)、耐糖能障害、高脂血症、高トリグリセライド血症、高コレステロール血症、低HDLレベルまたは高血圧の治療方法であって、治療上有効量の請求項1から15のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩を治療が必要な患者に投与することを特徴とする方法。

【公表番号】特表2012−520284(P2012−520284A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553534(P2011−553534)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【国際出願番号】PCT/GB2010/050442
【国際公開番号】WO2010/103335
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(504326837)プロシディオン・リミテッド (53)
【氏名又は名称原語表記】Prosidion Limited
【Fターム(参考)】