説明

仮設道路

【課題】 道路の工事時等での車輛の渋滞緩和のために、短時間で簡単に組み上げて
設置でき、かつ短時間で分解できて道路を解放できるとともに、作業車等を容易に通行可
能とする仮設道路を提供するにある。
【解決手段】 所定の強度のパイプやチャンネル材構造等により所定の高さに車輛通
路ユニット5を車輛の進行方向に複数連結し、この車輛通路ユニット5の前後の両端部に
車輛昇降用の所定のスロープの車輛傾斜通路体6を連結するようにしている。特に、車輛
通路ユニット5として、その車輛通行用の車輛通路体4にその支持用の脚部3を折り畳み
自在に配設している。また、車輛傾斜通路体6の車輛通路ユニット5側を起倒可能として
車輛傾斜通路体6の車輛通路ユニット5側をその下方の道路側に倒して作業車等が車輛通
路ユニット5の下部を通行できるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路分野における仮設道路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車輛の増加によって交通渋滞が生じることが多くなり、また道路の損傷が激し
くなって不定期または定期的に補修されることが多くなっている。そして、道路工事が施
工されると、交通渋滞となって自動車等の車輛の走行状態が著しく悪くなり、いろいろな
支障が生じる。
【0003】
出願人は、このような交通渋滞解消の仮設道路について特許調査をしたところ、特開
平5−247913号公報、特開平9−221707号公報が検索された。
特開平5−247913号公報は、立体道路式路面補修橋に係るもので、予め剛体の
立体道路構成単位体を形成しておいて、この剛体の立体道路構成単位体を剛体結合して架
橋上に設置するものである。
【0004】
また、特開平9−221707号公報は、可動仮設路面構造体に係るもので、デッキ
をスライド可能として摺動するようにして既設道路面上を動かせるようにしたものである

【特許文献1】特開平5−247913号公報
【特許文献2】特開平9−221707号公報
【0005】
しかし、これらの従来のものは、構造体を構成する部材が剛体として結合したもので
、設置するのに長時間にわたって車輛等を遮断しなければならず、また作業車の通行が容
易でなく、さらに保管や搬送が容易でない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのため、長時間にわたって車輛等を遮断することなく、交通にできるだけ支障のな
い範囲で素早く組み立てられ、素早く分解できるようにすることが課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記のような点に鑑みたもので、上記の課題を解決するために、所定の強
度のパイプやチャンネル材構造等により所定の高さに車輛通路ユニットを車輛の進行方向
に複数連結し、この車輛通路ユニットの前後の両端部に車輛昇降用の所定のスロープの車
輛傾斜通路体を連結するようにしたことを特徴とする仮設道路を提供するにある。
【0008】
また、車輛通路ユニットとして、その車輛通行用の車輛通路体にその支持体の脚部を
折り畳み自在に配設したことを特徴とする仮設道路を提供するにある。
【0009】
そしてまた、車輛傾斜通路体の車輛通路ユニット側を起倒可能とし、車輛傾斜通路体
の車輛通路ユニット側をその下方の道路側に倒して作業車等が車輛通路ユニットの下部を
通行できるようにしたことを特徴とする仮設道路を提供するにある。
【発明の効果】
【0010】
本発明の仮設道路は、所定の強度のパイプやチャンネル材構造等により所定の高さに
車輛通路ユニットを車輛の進行方向に複数連結し、この車輛通路ユニットの前後の両端部
に車輛昇降用の所定のスロープの車輛傾斜通路体を連結するようにしたので、車輛通路ユ
ニットと車輛傾斜通路体を適宜数連結できて、仮設道路を素早く設置でき、道路工事や自
動車事故、その他での長時間にわたって車輛等を遮断させなくできて、車輛の渋滞の緩和
をはかることができる。
【0011】
また、車輛通路ユニットとして、その車輛通行用の車輛通路体にその支持用の脚部を
折り畳み自在に配設することによって、車輛通路ユニットを車輛通路体の下面側に折り畳
むことができて、搬送や保管しやすくできる。
【0012】
そしてまた、車輛傾斜通路体の車輛通路ユニット側を起倒可能として車輛傾斜通路体
の車輛通路ユニット側をその下方の道路側に倒して作業車等が車輛通路ユニットの下部を
通行できるようにすることによって、簡易、迅速に作業車等を車輛通路ユニットの下を通
行可能として作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の仮設道路は、所定の強度のパイプやチャンネル材構造等により所定の高さに
車輛通路ユニットを車輛の進行方向に複数連結し、この車輛通路ユニットの前後の両端部
に車輛昇降用の所定のスロープの車輛傾斜通路体を連結するようにしたことを特徴として
いる。
【0014】
仮設道路1は、図1(a)、(b)のように適宜に補強材2で補強したパイプやチャ
ンネル材を主体としたフレーム等で支持用の脚部3を1500〜2500mm長さ、30
00〜4000mm高さとしてそのほぼ中間で屈曲可能にそれぞれ形成し、図2のように
脚部3間に車輛が通行可能に両側の脚部3の上端に3000〜4000mm幅、1500
〜2500mm長さの車輛通路体4を装着して車輛通路ユニット5を構成し、この車輛通
路ユニット5を車輛の進行方向に所要の長さにわたって所要の複数個を互いに連結し、連
結した車輛通路ユニット5の前後の両端部に所要のスロープとした車輛傾斜通路体6をそ
れぞれ所定数ずつ連結して、上記した車輛通路ユニット5の上面の車輛通路体4に車輛を
走行できるようにし、道路工事や事故等での車輛の渋滞を緩和できるようにしている。
【0015】
車輛通路ユニット5は、図2(a)〜(c)、図3のように車輛通路体4の両側に所
定の強度の脚部3を枢着具7を介して枢着しているとともに、この脚部3の中間部に蝶番
8を取着して車輛通路体4の下面側に折り畳み可能として搬送や保管しやすくしており、
さらにこの脚部3の下部に所要強度のチャンネル状の架台9を一体的に取着して車輛通路
ユニット5を組み立てやすく、分解しやすくしている。
【0016】
また、この車輛通路ユニット5には、図1〜図3のように上部の車輛通路体4の両脇
にそれぞれ手摺10を着脱自在に装着できるようにしているとともに、4隅部に吊り下げ
用のフック11をそれぞれ取り付けて搬送容易としている。また、車輛通路体4に支持す
る脚部3に斜材12を取り付けて強固に支持するように配設しているとともに、折り畳み
可能とした脚部3の蝶番8部にはロック自在に固定具13を配設し、さらに脚部3の下部
に脚部開閉支持具14を配設し、図2(b)のように脚部3の折り畳み時、または伸張時
に脚部開閉支持具14によって脚部3の下端間の間隔を保持することによって折り畳み、
伸張をスムーズに行えるようにしている。そして、脚部3を折り畳んだ時には折り畳み状
態を維持するように適宜の固定具(図示せず)にて固定(必要により車輛通路ユニット5
をバンド掛けして保持)するとともに、脚部3を伸張した後は脚部開閉支持具14の中央
付近のボルト・ナットの連結具を解除して脚部開閉支持具14を両側の脚部3側に折り曲
げて保持し、両側の脚部3間に作業車等を通行できるようにしている。
【0017】
また、車輛通路ユニット5を車輛の進行方向に所定の長さにわたって図1、図3のよ
うに所要の複数個を互いにボルト・ナット等の適宜な連結金具15で連結し、図1のよう
に連結した車輛通路ユニット5の前後の両端部に所要のスロープとした車輛傾斜通路体6
をそれぞれ所定数ずつ連結して、上記した車輛通路ユニット5の上面の車輛通路体4に車
輛を走行できるようにしている。
【0018】
また、図1(a)、(b)に示す前後の車輛傾斜通路体6について、トラックに搭載
して搬送可能に3000〜4500mm長さに適宜に分割して適宜の連結金具を介して連
結できるものとしているとともに、車輛傾斜通路体6の車輛通路ユニット5側の一端部を
他の車輛傾斜通路体6の端部に枢着して連結して車輛通路ユニット5側を起倒可能とし、
この車輛傾斜通路体6を道路側に倒して作業車等を車輛通路ユニット5の下方の両側の脚
部3間の通路を通行できるようにしている。
【0019】
上記車輛傾斜通路体6は、図1(b)、図4のようにその下方に油圧や電動駆動のリ
フターやジャッキ、ブームのような昇降器16を設置して、車輛通路ユニット5側を起倒
可能としているものである。車輛傾斜通路体6は、その端部を車輛通路ユニット5の端部
に固定具17で固着して強固に固定するようにできる。
【0020】
また、上記起倒する車輛傾斜通路体6の下部には、この車輛傾斜通路体6を支持する
所定の勾配とした支持体18を設置するのが、耐久性や安全性を向上できて好ましい。
【0021】
また、上記した車輛通路ユニット5の両側部に点検通路をそれぞれ配設したり、適宜
な位置の車輛通路ユニット5に昇降用タラップを着脱可能に配設し、上記点検通路を歩行
して車輛通路ユニット5を容易に点検、修理、その他を行えるようにするのが好ましい。
【0022】
上記では、仮設道路として片側通行のものについて説明したが、上記のものを2列な
いし多数列連結して双方向通行のものとしたり、2車線、4車線通行のものとすることが
できる。
【実施例】
【0023】
図1〜図4は、本発明の一実施例を示すものである。仮設道路1は、図1(a)、(
b)のように工事を必要とする道路に設置して自動車や軽トラック等の軽車輛を走行でき
るようにしたもので、搬送容易な4000mm幅、2000mm長さとした車輛通路ユニ
ット5を図3のように複数個の連結金具15で連結し、前後に所定のスロープの車輛傾斜
通路体6を適宜数連結したものである。
【0024】
車輛通路ユニット5は、図2のように車輛通路体4の両側に所定の強度の脚部3を枢
着具7を介して枢着しているとともに、この脚部3の中間部に蝶番8をロック可能に取着
して車輛通路体4の下面側に折り畳み可能として搬送や保管しやすくしている。そしてま
た、脚部3の下部に所要強度のチャンネル状の架台9を一体的に取着して車輛通路ユニッ
ト5を設置しやすくしている。
【0025】
また、図1に示す前後の車輛傾斜通路体6について、4500mm長さに適宜に分割
してボルト・ナットの連結金具を介して連結自在とし、車輛傾斜通路体6の反車輛通路ユ
ニット5側を他の車輛傾斜通路体6の端部に軸着して連結し、図1、図4のようにその下
方に電動駆動のリフターの昇降器16を設置して、車輛通路ユニット5側を起倒可能とし
、この車輛傾斜通路体6を倒して作業車等を車輛通路ユニット5の下方の通路を通行でき
るようにしている。なお、上記起倒する車輛傾斜通路体6の下部には、この車輛傾斜通路
体6を支持する所定の勾配とした支持体18を設置して安全性を確保している。
【0026】
上記車輛通路ユニット5を設置するにあっては、図2(b)の点線のように車輛通路
ユニット5を折り畳み状態として複数個積み重ねてトラックで搬送し、車輛通路ユニット
5をフック11にワイヤーロープを引っ掛けてクレーン等で吊り上げて所定の道路上に載
置する。そして、車輛通路ユニット5の脚部3間にチェーンブロックを掛けて、折り畳み
状態に保持した固定具を解除し、車輛通路ユニット5を吊り上げながらチェーンブロック
を操作して徐々に弛め、脚部3の自重により脚部3を伸張させていく。
【0027】
そして、脚部3が伸張すると、その下端の架台9を道路に設置し、上記した脚部3の
ボルトの固定具13を固定して垂直にロックし、斜材12を取り付け、脚部開閉支持具1
4の中央付近のボルト・ナットの連結具を解除して脚部開閉支持具14を両側の脚部3側
にそれぞれ折り曲げて適宜の固定具により固定し、高さ調整具19を調整して車輛通路体
4を水平にしていく。
【0028】
このようにして所定数の車輛通路ユニット5を設置して、これらをボルト・ナット等
の連結具15を介してしっかりと結合して連結し、手摺10を適宜に装着していく。そし
て、図1のように連結した車輛通路ユニット5の前後にトラックに搭載して搬送する車輛
傾斜通路体6を適宜数連結する。
【0029】
上記車輛傾斜通路体6は、図1、図4のようにその下方にリフターの昇降器16を設
置して、車輛通路ユニット5側を起倒可能とし、車輛傾斜通路体6は起倒の際にはその端
部を車輛通路ユニット5の端部に固定具17で固着して強固に固定するようにしている。
【0030】
上記車輛通路ユニット5を解体するときは、上記と逆の手順で車輛通路ユニット5間
の連結を解き、脚部3側に折り曲げた脚部開閉支持具14を図2(b)のようにほぼ水平
に戻してボルト・ナットの連結具で連結し、車輛通路ユニット5をフック11にワイヤー
ロープを引っ掛けてクレーン等で吊り下げた状態で、斜材12をはずし、脚部3間にチェ
ーンブロックを掛けて脚部3のロックの固定具13を弛め、チェーンブロックを操作して
脚部3を折り曲げ方向に締め付けながら吊り下げた車輛通路ユニット5を徐々に下げてい
き、図2(b)の点線のように折り畳み状態とし、この折り畳み状態を保持するように適
宜の固定具で固定した後、車輛通路ユニット5をクレーンで吊り上げてトラックに積み込
んでいく。
【0031】
このように仮設道路を簡易迅速に組み立てられるとともに、簡易迅速に分解すること
ができて、道路工事や事故等での車輛の渋滞の緩和をはかることができる。
【0032】
特に、車輛通路ユニット5をその車輛通行用の車輛通路体4に支持用の脚部3を折り
畳み自在に配設しているので、車輛通路ユニット5の組み立てが容易かつ迅速となり、ま
た車輛通路ユニット5を車輛通路体4の下面側に折り畳むことができて、搬送や保管しや
すくできて好ましい。
【0033】
また、車輛傾斜通路体6の車輛通路ユニット5側を起倒可能に連結しているので、必
要により車輛傾斜通路体6を倒して作業車等を車輛通路ユニット5の下方の通路を通行す
るようにでき、簡易、迅速に作業車等を車輛通路ユニット5の下を通行可能として作業を
行うことができる。
【0034】
なお、点検通路を歩行して車輛通路体4等を容易に点検、修理、その他を行うことが
できる。
【0035】
上記では、一方通行の仮設道路の組み立て、設置について説明したが、双方向通行や
複数斜線の仮設道路の組み立て、設置についても、同様にして行うことができ、また走行
用信号を設置するなど、上記した本発明の趣旨にもとづいて適宜の変更態様や使用態様を
実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施例の一部省略した平面図(a)と側面図(b)、
【図2】同上の車輛通路ユニット部の平面図(a)、正面図(b)と脚部開閉支持具部の底面図(c)、
【図3】同上の車輛通路ユニットの連結状態の説明用側面図、
【図4】同上の車輛傾斜通路体の一部省略した起倒説明用正面図(a)と側面図(b)。
【符号の説明】
【0037】
1…仮設道路 3…脚部 4…車輛通路体
5…車輛通路ユニット 7…車輛傾斜通路体 16…昇降機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の強度のパイプやチャンネル材構造等により所定の高さに車輛通路ユニットを車
輛の進行方向に複数連結し、この車輛通路ユニットの前後の両端部に車輛昇降用の所定の
スロープの車輛傾斜通路体を連結するようにしたことを特徴とする仮設道路。
【請求項2】
車輛通路ユニットとして、その車輛通行用の車輛通路体にその支持用の脚部を折り畳
み自在に配設したことを特徴とする請求項1に記載の仮設道路。
【請求項3】
車輛傾斜通路体の車輛通路ユニット側を起倒可能とし、車輛傾斜通路体の車輛通路ユ
ニット側をその下方の道路側に倒して作業車等が車輛通路ユニットの下部を通行できるよ
うにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の仮設道路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−97231(P2006−97231A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−280998(P2004−280998)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(503203889)
【出願人】(503125949)大竹建機産業株式会社 (1)
【出願人】(000226482)日工株式会社 (177)
【出願人】(598104436)日工セック株式会社 (18)
【Fターム(参考)】